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特許7530221太陽電池ストリング及び太陽電池モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】太陽電池ストリング及び太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/05 20140101AFI20240731BHJP
【FI】
H01L31/04 570
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020109347
(22)【出願日】2020-06-25
(65)【公開番号】P2022006836
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】岡本 紳平
(72)【発明者】
【氏名】小島 広平
(72)【発明者】
【氏名】寺下 徹
(72)【発明者】
【氏名】中村 淳一
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-048146(JP,A)
【文献】特開2015-211154(JP,A)
【文献】特表2014-500631(JP,A)
【文献】特開2011-077103(JP,A)
【文献】特表2013-542614(JP,A)
【文献】特開2009-130116(JP,A)
【文献】国際公開第2009/066583(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0216887(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0086119(KR,A)
【文献】国際公開第2020/071083(WO,A1)
【文献】特開平10-341031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078
H01L 31/18-31/20
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に一列に配列された複数の太陽電池セルと、
隣接する2つの太陽電池セルの間を接続する複数のインターコネクタと、
を備え、
前記太陽電池セルは、裏面に極性が異なる第1電極パターン及び第2電極パターンを有し、
前記第1電極パターンは、前記第1方向一方側に隣接する前記太陽電池セルと接続する前記インターコネクタが固定される複数の第1固定パッド部と、前記第1方向一方側に隣接する前記太陽電池セルと接続する前記インターコネクタが摺動可能に接触する複数の接触パッド部と、を有し、
前記第2電極パターンは、前記第1方向他方側に隣接する前記太陽電池セルと接続する前記インターコネクタが固定される複数の第2固定パッド部を有する、太陽電池ストリング。
【請求項2】
前記接触パッド部は、前記太陽電池セルの前記第1方向の一方側の端部に配設される、請求項1に記載の太陽電池ストリング。
【請求項3】
前記インターコネクタは、
前記隣接する2つの太陽電池セルのうちの前記第1方向他方側の前記太陽電池セルの前記複数の接触パッド部に接触するよう前記第1方向と交差する第2方向に延びる接触配線部と、
前記接触配線部から前記第1方向の他方側に延出し、それぞれ前記第1方向他方側の前記太陽電池セルの前記第1固定パッド部に固定される複数の第1固定配線部と、
前記接触配線部から前記第1方向の一方側に延出し、それぞれ前記第1方向一方側の前記太陽電池セルの前記第2固定パッド部に固定される複数の第2固定配線部と、
を有する、請求項2に記載の太陽電池ストリング。
【請求項4】
前記太陽電池セルは、前記第1方向の端部を互いに重ね合わせるよう配置され、
前記接触パッド部は、前記太陽電池セルの隣接する前記太陽電池セルの裏側に配置される側の端部に配設される、請求項2又は3に記載の太陽電池ストリング。
【請求項5】
前記太陽電池セルの裏面側にそれぞれ積層され、前記太陽電池セルと前記インターコネクタとの間に介設される複数の絶縁シートをさらに備え、
前記絶縁シートは、前記第1固定パッド部をそれぞれ露出する複数の第1固定開口、前記接触パッド部をそれぞれ露出する複数の接触開口、及び前記第2固定パッド部をそれぞれ露出する複数の第2固定開口を有する、請求項1から4のいずれかに記載の太陽電池ストリング。
【請求項6】
前記接触開口は、前記第1固定開口及び前記第2固定開口よりも大きい、請求項5に記載の太陽電池ストリング。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の太陽電池ストリングを備える太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池ストリング及び太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の太陽電池セルを有する太陽電池モジュールは、複数の太陽電池セルを一列に配列し、隣接する太陽電池セル間をインターコネクタによって接続した太陽電池ストリングを用いて形成されることが多い。太陽電池セルは、表面に形成される電極パターンを介して電力を取り出すよう構成される。
【0003】
極性が異なる一対の電極パターンを共に裏面に設けた裏面電極型太陽電池セルでは、セルの全体から集電するために一対の電極パターンをそれぞれ全面的に張り巡らすと共に、短絡を防止するために一対の電極パターンを互いに接触しないように配設する必要がある。このような条件を満たすためには、交互に配置される極性が異なる多数の細い線状の電極(フィンガー電極)と、集電のためにこれらの線状の電極を接続するやや幅が大きい電極(バスバー電極)と、を有する電極パターンを設けることになる。
【0004】
太陽電池ストリングの効率を向上するためには、インターコネクタから見た電極パターンの電気抵抗、つまり、インターコネクタ接続される電極パッド(バスバー電極の一部分であり得る)と末端部との間の電気抵抗を小さくすることが望まれる。したがって、電極パッドは、パッド部と末端との距離を小さくするために、隣接する太陽電池セルから離れた領域にもパッド部を有することが望ましい。
【0005】
通常、バスバー電極は、金属によって形成され、シリコン基板等から形成される太陽電池セルの本体と熱膨張率が異なる。このため、温度変化によってバスバー電極と太陽電池セルの本体との間に熱応力が作用するおそれがある。特許文献1には、基板とバスバー電極との間の熱応力による太陽電池セルの反りを緩和するために、バスバーの中央部の幅を端部の幅よりも小さくすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-045951公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の太陽電池セルでは、バスバーが太陽電池セルを縦断するよう配設され、バスバーの全長に亘って接続部材(インターコネクタ)が接続されている。一般に、インターコネクタも金属から形成されるため、バスバーと太陽電池セルとの熱膨張率の差によって生じる熱応力によりインターコネクタが分離するおそれがある。そこで、本発明は、インターコネクタの接続の信頼性が高い太陽電池ストリング及び太陽電池モジュールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る太陽電池ストリングは、第1方向に一列に配列された複数の太陽電池セルと、隣接する2つの太陽電池セルの間を接続するインターコネクタと、を備え、前記太陽電池セルは、裏面に極性が異なる第1電極パターン及び第2電極パターンを有し、前記第1電極パターンは、前記インターコネクタが固定される複数の第1固定パッド部と、前記インターコネクタが摺動可能に接触する複数の接触パッド部と、を有し、前記第2電極パターンは、前記インターコネクタが固定される複数の第2固定パッド部を有する。
【0009】
前記太陽電池ストリングにおいて、前記接触パッド部は、前記太陽電池セルの前記第1方向の一方側の端部に配設されてもよい。
【0010】
前記太陽電池ストリングにおいて、前記インターコネクタは、前記複数の接触パッド部に接触するよう前記第1方向と交差する第2方向に延びる接触配線部と、前記接触配線部から前記第1方向の一方側に延出し、それぞれ前記第1固定パッド部に固定される複数の第1固定配線部と、前記接触配線部から前記第1方向の他方側に延出し、それぞれ前記第2固定パッド部に固定される複数の第2固定配線部と、を有してもよい。
【0011】
前記太陽電池ストリングにおいて、前記太陽電池セルは、前記第1方向の端部を互いに重ね合わせるよう配置され、前記接触パッド部は、前記太陽電池セルの隣接する前記太陽電池セルの裏側に配置される側の端部に配設されてもよい。
【0012】
前記太陽電池ストリングは、前記太陽電池セルの裏面側にそれぞれ積層され、前記太陽電池セルと前記インターコネクタとの間に介設される複数の絶縁シートをさらに備え、前記絶縁シートは、前記第1固定パッド部をそれぞれ露出する複数の第1固定開口、前記接触パッド部をそれぞれ露出する複数の接触開口、及び前記第2固定パッド部をそれぞれ露出する複数の第2固定開口を有してもよい。
【0013】
前記太陽電池ストリングにおいて、前記接触開口は、前記第1固定開口及び前記第2固定開口よりも大きくてもよい。
【0014】
本発明の一態様に係る太陽電池モジュールは、前記太陽電池ストリングを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、インターコネクタの接続の信頼性が高い太陽電池ストリング及び太陽電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る太陽電池ストリングの模式裏面図である。
図2図1の太陽電池ストリングの模式断面図である。
図3図1の太陽電池ストリングの太陽電池セルの模式裏面図である。
図4図1の太陽電池ストリングのインターコネクタの模式裏面図である。
図5図1の太陽電池ストリングの絶縁シートの模式裏面図である。
図6図1の太陽電池ストリングを備える太陽電池モジュールの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照して本発明の各実施形態について説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。また、簡略化のために、部材の図示、符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の形状及び寸法は、便宜上、見やすいように調整されている。
【0018】
<太陽電池ストリング>
図1は、本発明の一実施形態に係る太陽電池ストリング1を示す模式裏面図である。図2は、太陽電池ストリング1の模式断面図である。
【0019】
本発明の一実施形態に係る太陽電池ストリング1は、第1方向に一列に配列された複数の太陽電池セル10と、隣接する2つの太陽電池セル10の間を接続するインターコネクタ20と、太陽電池セル10の裏面側(受光面と反対側)にそれぞれ積層され、太陽電池セル10とインターコネクタ20との間に介設される複数の絶縁シート30と、を備える。複数の太陽電池セル10は、第1方向の端部を一定方向に互いに重ね合わせるよう配置される。つまり、太陽電池ストリング1は、いわゆるシングリング構造を有する。
【0020】
太陽電池セル10は、いわゆるヘテロ接合バックコンタクト型の太陽電池セルである。太陽電池セル10は、図3に詳しく示すように、半導体基板11と、半導体基板11の裏面に実質的に重複しないよう形成される第1半導体層12及び第2半導体層13と、第1半導体層12の裏面に積層される第1電極パターン14及び第2半導体層13の裏面に積層される第2電極パターン15と、を有する。
【0021】
半導体基板11は、受光面側からの入射光を吸収して光キャリア(電子及び正孔)を生成する光電変換基板として機能する。半導体基板11は、単結晶シリコン又は多結晶シリコン等の結晶シリコン材料で形成される。半導体基板11は、例えば結晶シリコン材料にn型ドーパントがドープされたn型の半導体基板である。n型ドーパントとしては、例えばリン(P)が挙げられる。半導体基板11の材料として結晶シリコンが用いられることにより、暗電流が比較的に小さく、入射光の強度が低い場合であっても比較的高出力(照度によらず安定した出力)が得られる。
【0022】
第1半導体層12及び第2半導体層13は、半導体基板11内に発生したキャリアを誘引して電荷を収集する。第1半導体層12及び第2半導体層13は、両者を合わせて半導体基板11の略全面を覆うように配設されることが好ましい。
【0023】
第1半導体層12及び第2半導体層13は、互いに異なる導電型を有する。例として、第1半導体層12はp型半導体から形成され、第2半導体層13はn型半導体から形成される。第1半導体層12及び第2半導体層13は、例えば所望の導電型を付与するドーパントを含有するアモルファスシリコン材料で形成することができる。p型ドーパントとしては、例えばホウ素(B)が挙げられ、n型ドーパントとしては、例えば上述したリン(P)が挙げられる。
【0024】
第1半導体層12は、それぞれ第1方向と交差する第2方向に延び帯状に形成され、第1方向及び第2方向に行列状に配列される複数の第1末端半導体部121と、第1方向に並ぶ複数の第1末端半導体部121をそれぞれ接続するよう第1方向に延びる複数の第1中間半導体部122と、半導体基板11の第1方向一方側の側縁に沿って形成され、複数の第1中間半導体部122を接続する基端半導体部123と、を有する。
【0025】
第2半導体層13は、それぞれ第1方向と交差する第2方向に延び帯状に形成され、第1方向に第1末端半導体部121と交互に位置する行列状に配列される複数の第2末端半導体部131と、第1方向に並ぶ複数の第2末端半導体部131をそれぞれ接続するよう第1方向に延びる複数の第2中間半導体部132と、を有する。複数の第2中間半導体部132は、互いに接続されていない。
【0026】
第1電極パターン14及び第2電極パターン15は、第1半導体層12及び第2半導体層13からそれぞれ電荷を取り出し、後述するインターコネクタ20を介して太陽電池セル10から外部に電力を出力する。つまり、太陽電池セル10は、裏面に互いに極性が異なる第1電極パターン14及び第2電極パターン15を有する。第1電極パターン14及び第2電極パターン15は、互いの絶縁のために、少なくとも他の太陽電池セル10の裏側に配置されない領域において、第1半導体層12及び第2半導体層13の外縁部にそれぞれマージンを残すよう積層される。
【0027】
第1電極パターン14及び第2電極パターン15は、例えば銅、ニッケル等の金属層をエッチングによりパターニングすることによって形成することができる。また、第1電極パターン14及び第2電極パターン15は、例えば銀ペースト等の導電材料を印刷及び焼成して形成してもよく、所望のパターンに積層した導電性を有する薄層を被着体とするメッキによって形成してもよい。
【0028】
第1電極パターン14は、第1末端半導体部121にそれぞれ積層される複数の第1末端集電部141と、第1中間半導体部122にそれぞれ積層される複数の第1中間集電部142と、基端半導体部123に積層される基端集電部143と、を有する。第1中間集電部142には、インターコネクタ20が固定される第1固定パッド部144が設けられ、基端集電部143には、インターコネクタ20が摺動可能に接触する接触パッド部145が設けられる。つまり、第1電極パターン14は、太陽電池セル10の第1方向の一方側の端部、より詳しくは隣接する太陽電池セル10の裏側に配置される側の端部に配置される複数の接触パッド部145と、接触パッド部145よりも第1方向の他方側に配置される複数の第1固定パッド部144と、を有する。第1固定パッド部144及び接触パッド部145は、第1中間集電部142及び基端集電部143から突出するよう形成されてもよく、第1中間集電部142及び基端集電部143の一部の領域であってもよい。
【0029】
第2電極パターン15は、第2末端半導体部131にそれぞれ積層される複数の第2末端集電部151と、第2中間半導体部132にそれぞれ積層される複数の第2中間集電部152と、を有する。第2中間集電部152には、インターコネクタ20が固定される第2固定パッド部153が設けられる。つまり、第2電極パターン15は、第1電極パターン14の接触パッド部145よりも第1方向の他方側に配置される複数の第2固定パッド部153を有する。第2固定パッド部153は、第2中間集電部152から突出するよう形成されてもよく、第2中間集電部152の一部の領域であってもよい。
【0030】
インターコネクタ20は、太陽電池セル10の第1電極パターン14と、隣接する太陽電池セル10の第2電極パターン15とをそれぞれ接続する。インターコネクタ20は、例えば銅等の金属箔から形成され得る。
【0031】
インターコネクタ20は、図4に詳しく示すように、複数の接触パッド部145に接触するよう第2方向に延びる接触配線部21と、接触配線部21から第1方向の一方側に延出し、それぞれ第1固定パッド部144に固定される複数の第1固定配線部22と、接触配線部21から第1方向の他方側に、かつ第2方向に第1固定配線部22と互い違いに延出し、それぞれ第2固定パッド部153に固定される複数の第2固定配線部23と、を有する。
【0032】
接触配線部21は、複数の接触パッド部145の裏側に重ねられ、摺動可能に接触する。第1固定配線部22は、重なり合う複数の第1固定パッド部144に、例えば半田、導電性接着剤等の接続材料40によって不動に接続される。第2固定配線部23は、重なり合う複数の第2固定パッド部153に接続材料40によって不動に接続される。第1固定配線部22及び第2固定配線部23の第2方向の幅は、図示するように、相互に重ならない範囲で、接触配線部21側で大きくなっていてもよい。これにより、第1固定配線部22及び第2固定配線部23の剛性を向上することで、太陽電池ストリング1の製造時にインターコネクタ20の取扱が容易となる。
【0033】
絶縁シート30は、太陽電池セル10とインターコネクタ20との間に介在し、インターコネクタ20が第1電極パターン14の第1固定パッド部144及び接触パッド部145以外の部分並びに第2電極パターン15の第2固定パッド部153以外の部分に接触して短絡を生じることを防止する。
【0034】
絶縁シート30は、図5に詳しく示すように、第1固定パッド部144をそれぞれ露出する複数の第1固定開口31、接触パッド部145をそれぞれ露出する複数の接触開口32、及び第2固定パッド部をそれぞれ露出する複数の第2固定開口33、を有する。また、絶縁シート30は、インターコネクタ20と重複しない領域を開口する封止材開口34をさらに有する。
【0035】
なお、図2では、分かりやすいよう各構成要素の厚さを大きく示すため、インターコネクタ20が極端に太陽電池セル10側に膨出することで接触パッド部145に当接しているように見える。しかしながら、実際には、絶縁シート30の厚さが十分に小さいため、インターコネクタ20は、後述するように太陽電池モジュールを形成したときに、封止材4によって押圧されるだけで容易に接触パッド部145に接触する。また、このようなインターコネクタ20の変形をさらに容易にするために、接触開口32は、第1固定開口31及び第2固定開口33よりも大きいことが好ましい。
【0036】
<太陽電池モジュール>
図6は、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールMの模式断面図である。図6の太陽電池モジュールMは、複数の太陽電池ストリング1と、複数の太陽電池ストリング1の表面側を覆う表面保護材2と、太陽電池ストリング1の裏面側を覆う裏面保護材3と、表面保護材2と裏面保護材3と間の太陽電池ストリング1の周囲の空間に充填される封止材4と、を備える。
【0037】
太陽電池モジュールMでは、複数の太陽電池ストリング1が、第2方向に並んで平行に配置される。
【0038】
表面保護材2は、封止材4を介して、太陽電池ストリング1、すなわち太陽電池セル10の表面を覆うことにより、太陽電池セル10を保護する。表面保護材2は、板状又はシート状の材料から形成することができ、透光性及び対候性に優れることが好ましい。具体的には、表面保護材2の材質としては、例えばアクリル樹脂若しくはポリカーボネート樹脂等の透明樹脂、ガラスなどを挙げることができる。また、表面保護材2の表面は、光の反射を抑制するために、凹凸状に加工されたり、反射防止コーティング層で被覆されてもよい。
【0039】
裏面保護材3は、封止材4を介して、太陽電池ストリング1の裏面を覆うことにより、太陽電池セル10を保護する。裏面保護材3は、表面保護材2同様に、板状又はシート状の材料から形成することができ、遮水性に優れることが好ましい。具体的には、裏面保護材3としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、オレフィン系樹脂、含フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂フィルム、このような樹脂フィルムとアルミニウム箔等の金属箔との積層体などが好適に用いられる。
【0040】
封止材4は、太陽電池ストリング1、すなわち太陽電池セル10を封止して保護するもので、特に太陽電池セル10に水分が接触することを防止する。封止材4は、絶縁シート30の封止材開口34において太陽電池セル10に密着することで、インターコネクタ20による太陽電池セル10間の接続強度を補強する。
【0041】
封止材4は、太陽電池ストリング1と表面保護材2及び裏面保護材3とを接着すると共に、太陽電池ストリング1の周囲の隙間をなくすことで、太陽電池セル10を保護する。このため、封止材4としては、例えば、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/α-オレフィン共重合体、エチレン/酢酸ビニル/トリアリルイソシアヌレート(EVAT)、ポリビニルブチラート(PVB)、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、又は、シリコーン樹脂等の透光性を有する熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
【0042】
太陽電池モジュールMは、表面保護材2、封止材4の表側部分を形成する熱可塑性樹脂製の第1のシート、太陽電池ストリング1、封止材4の裏側部分を形成する熱可塑性樹脂製の第2のシート及び裏面保護材3をこの順番に積層し、この積層体を熱プレスすることによって第1のシートと第2のシートとを溶融一体化させて封止材4を形成することで製造できる。
【0043】
太陽電池ストリング1は、太陽電池セル10の接触パッド部145にインターコネクタ20が摺動可能に接触するため、半導体基板11の熱膨張が支配的である太陽電池セル10の熱膨張量と、インターコネクタ20の熱膨張量との差を吸収しつつ、太陽電池セル10とインターコネクタ20との電気的接続を維持することができる。このため、太陽電池ストリング1及び太陽電池ストリング1を用いた太陽電池モジュールMは、インターコネクタ20の接続の信頼性が高い。
【0044】
太陽電池ストリング1において、接触パッド部145は太陽電池セル10の第1方向一方側に配設されているため、インターコネクタ20の1つの太陽電池セル10に固定される部分の長さが太陽電池セル10の第1方向の長さよりも十分に小さくなる。これにより、太陽電池セル10とインターコネクタ20との熱膨張率の差による熱応力を効率よく緩和できるため、インターコネクタ20が太陽電池セル10から剥離し難い。
【0045】
太陽電池ストリング1において、インターコネクタ20は、接触配線部21から第1固定配線部22及び第2固定配線部23が分岐する樹状に形成されるため、接触配線部21は、接触パッド部145に接触する部分の周囲に一定の面積を有する。このため、太陽電池モジュールMを形成する際に接触パッド部145と接触配線部21との間に誤って封止材4が浸入することが防止されるので、インターコネクタ20の接続の信頼性をより向上できる。
【0046】
また、インターコネクタ20において、接触配線部21から第1固定配線部22及び第2固定配線部23が第1方向に互いに反対方向に、かつ第2方向に互い違いに延出することによって、各太陽電池セル10の熱変位を接触配線部21で吸収し、太陽電池セル10間の相対位置を保持して太陽電池セル10の太陽電池モジュールM内での移動を防止することができる。
【0047】
接触パッド部145は、太陽電池セル10の隣接する太陽電池セル10の裏側に配置される側の端部に、つまり太陽電池ストリング1の厚さが比較的大きい部分に配設されるので、インターコネクタ20の接触パッド部145に対する圧接力が大きく、接触パッド部145とインターコネクタ20との接触が確実となる。また、他の太陽電池セル10の裏側に配置されることにより光電変換に寄与しない部分に接触パッド部145を設けることによって、光電変換効率を低下させることなく第1電極パターン14の接触パッド部145ひいては基端集電部143及びインターコネクタ20の接触配線部21を大きくして、接触パッド部145とインターコネクタ20との接触を確実にすることができる。
【0048】
太陽電池ストリング1は、太陽電池セル10とインターコネクタ20との間に介設される絶縁シート30を有するため、比較的簡単な構成でありながら、第1電極パターン14及び第2電極パターン15の意図しない部分に対するインターコネクタ20の接触による短絡を確実に防止することができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更及び変形が可能である。
【0050】
本発明に係る太陽電池ストリングは、太陽電池セルに第1電極パター及び第2電極パターンの意図しない部分へのインターコネクタの接触を防止するソルダレジスト等の構成を設けることによって絶縁シートを省略したものであってもよい。
【0051】
上述の太陽電池ストリングにおいて、第1固定パッド部、接触パッド部及び第2固定パッド部の数及び配置は任意に変更することができる。例えば、第1固定パッド部と第2固定パッド部とが第1方向に並んで設けられてもよい。また、半導体基板の第1方向一方側の側縁近傍に第1固定パッド部が設けられ、第1固定パッド部よりも第1方向他方側に接触パッド部が設けられてもよい。
【0052】
本発明に係る太陽電池ストリングにおいて、第1半導体層、第2半導体層、第1電極パターン及び第2電極パターンの形状は、上述の実施形態の形状に限定されない。例として、第2電極パターンも第1電極パターンと同様に、複数の第2中間集電部を接続する第2基端集電部を有してもよい。
【0053】
本発明に係る太陽電池ストリングにおいて、第1電極パターン及び第2電極パターンの厚さは、インターコネクタの接続を容易にするために、第1固定パッド部、接触パッド部及び第2固定パッド部の少なくとも一部の領域で局所的に大きくなっていてもよい。
【0054】
また、本発明に係る太陽電池ストリングにおいて、隣接する2つの太陽電池セルは、複数のインターコネクタによって接続されてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 太陽電池ストリング
2 表面保護材
3 裏面保護材
4 封止材
10 太陽電池セル
11 半導体基板
12 第1半導体層
121 第1末端半導体部
122 第1中間半導体部
123 基端半導体部
13 第2半導体層
131 第2末端半導体部
132 第2中間半導体部
14 第1電極パターン
141 第1末端集電部
142 第1中間集電部
143 基端集電部
144 第1固定パッド部
145 接触パッド部
15 第2電極パターン
151 第2末端集電部
152 第2中間集電部
153 第2固定パッド部
20 インターコネクタ
21 接触配線部
22 第1固定配線部
23 第2固定配線部
30 絶縁シート
31 第1固定開口
32 接触開口
33 第2固定開口
34 封止材開口
40 接続材料
M 太陽電池モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6