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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】吸湿装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20240731BHJP
   F24F 1/0358 20190101ALI20240731BHJP
   F24F 11/32 20180101ALI20240731BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20240731BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
B01D53/26 220
F24F1/0358
F24F11/32
F24F11/74
G01J1/02 P
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020143507
(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公開番号】P2022038826
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】森本 直行
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-036810(JP,A)
【文献】特開2006-212543(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0223545(US,A1)
【文献】韓国登録特許第2113837(KR,B1)
【文献】特開2015-085266(JP,A)
【文献】特開2013-024448(JP,A)
【文献】特開2009-041841(JP,A)
【文献】特開2010-112607(JP,A)
【文献】特開平06-031132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26
F24F 3/14
F24F 11/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デシカント式の除湿ロータと、
前記除湿ロータを回転駆動する駆動部と、
前記除湿ロータを加熱する加熱部と、
前記除湿ロータの回転を検出する検出部と
を備え、
前記検出部は、発光部と受光部とを含む光検知器を含み、前記加熱部よりも上方に配置される、吸湿装置。
【請求項2】
前記除湿ロータは、前記発光部から前記受光部に至る光路を遮光する遮光部を有し、
前記光検知器は、前記除湿ロータが1回転する間に少なくとも1回、前記遮光部による前記光路の遮光を検知する、請求項1記載の吸湿装置。
【請求項3】
前記除湿ロータは、外周面を有し、
前記遮光部は、前記外周面から突出する、請求項2に記載の吸湿装置。
【請求項4】
前記加熱部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記除湿ロータの回転速度が所定値以下であるか否かを判定し、
前記回転速度が前記所定値以下であると判定した場合、前記加熱部による前記除湿ロータの加熱を停止させる加熱停止処理を実行する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の吸湿装置。
【請求項5】
前記除湿ロータを冷却する風を発生させる送風部を備え、
前記制御部は、前記回転速度が前記所定値以下であると判定した場合、前記風の風量が増加するように前記送風部を制御する、請求項4に記載の吸湿装置。
【請求項6】
デシカント式の除湿ロータと、
前記除湿ロータを回転駆動する駆動部と、
前記除湿ロータを加熱する加熱部と、
発光部と受光部とを含む光検知器を含み、前記加熱部よりも上方に配置され、煙を検出する検出部と
を備える、吸湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デシカント式の吸湿装置が知られている。デシカント式除湿装置は、除湿ロータ(デシカントロータ)を備える。除湿ロータは、ゼオライト等の吸湿剤を担持している。デシカント式除湿装置は、屋内の空気を除湿ロータに向けて送風する。除湿ロータ内では、空気に含まれる水分が吸湿剤に吸着(吸湿)され、水分率(湿度)の低い空気が生成される。湿度の低い空気は、屋内に供給される。
【0003】
詳しくは、除湿ロータは、円板状又は円筒状の回転体であり、回転軸を有する。除湿ロータは、回転軸方向に通風(通気)可能なハニカム構造又はコルゲート構造を有する。デシカント式除湿装置は、除湿ロータの一部に向けて屋内の空気を送風する。除湿ロータにおいて、屋内の空気が送風される領域は、空気中の水分を吸着する除湿領域(吸湿部)として機能する。
【0004】
また、デシカント式除湿装置は、除湿領域以外の部分を加熱する。除湿ロータは、加熱されることにより、吸湿剤が吸着していた水分を放出する。この結果、除湿ロータの吸湿性が回復(再生)する。従って、除湿ロータのうち、加熱される領域は、再生領域(放湿部)として機能する。
【0005】
デシカント式除湿装置は、除湿ロータを回転させて、空気が送風される領域と、加熱される領域とを入れ替える。つまり、デシカント式除湿装置は、除湿ロータにおいて、除湿領域として機能する領域と、再生領域として機能する領域とを入れ替える。例えば、特許文献1の除湿機は、除湿ロータの下半円部分を除湿領域として機能させ、除湿ロータの上半円部分を再生領域として機能させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-13493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、デシカント式の吸湿装置は、除湿ロータの一部が加熱され続けると、除湿ロータの一部が高温になる異常状態が発生する可能性がある。
【0008】
本発明は、除湿ロータの異常状態を検出することのできる吸湿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の吸湿装置は、デシカント式の除湿ロータと、駆動部と、加熱部と、検出部とを備える。前記駆動部は、前記除湿ロータを回転駆動する。前記加熱部は、前記除湿ロータを加熱する。前記検出部は、前記除湿ロータの回転を検出する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、除湿ロータの異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態の徐湿装置の断面図である。
図2】第1実施形態の除湿ロータ周りの構成を示す斜視図である。
図3】第2実施形態の除湿ロータ周りの構成を示す斜視図である。
図4】第3実施形態の除湿ロータ周りの構成を示す斜視図である。
図5】除湿ロータの外周面に設けられた遮光部の形状例を示す図である。
図6】除湿ロータの外周面に設けられた遮光部の他の形状例を示す図である。
図7】除湿ロータの外周面に設けられた遮光部の他の形状例を示す図である。
図8】除湿ロータの外周面に設けられた遮光部の他の形状例を示す図である。
図9】除湿ロータの外周面に取り付けられた遮光部材の形状例を示す図である。
図10】除湿ロータの外周面に取り付けられた遮光部材の他の形状例を示す図である。
図11】第4実施形態の除湿ロータ周りの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0013】
本発明の実施形態では、除湿装置100について説明する。除湿装置100は、吸湿剤を担持したデシカントロータ(除湿ロータ)を備えるデシカント式除湿装置である。除湿装置100は、本発明の吸湿装置の一例である。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の除湿装置100の断面図である。図2は、第1実施形態の除湿ロータ10周りの構成を示す斜視図である。
【0015】
図1に示すように、除湿装置100は、除湿ロータ10と、ロータ駆動部20と、除湿空気流路30と、除湿ファン33と、再生空気流路40と、再生ファン43と、ヒータ44と、検出器50と、制御部60と、筐体101とを備える。
【0016】
除湿ロータ10は、図2に示すように円板状である。除湿ロータ10は、ダンボール紙などのシート状基材に吸湿剤を担持させた2種類のシートを用いて形成されている。一方のシートは平面状であり、他方のシートは波付け加工された波形シートである。除湿ロータ10は、平面状シートと波形シートとを接着して回転軸周りに巻回したものである。
【0017】
除湿ロータ10は、回転軸方向(両端面の対向方向)に通気可能なハニカム構造となっている。なお、除湿ロータ10の下半円は、吸湿剤が空気中の水分(湿気)を吸収する除湿領域10Aである。また、除湿ロータ10の上半円は、吸湿剤が加熱により放湿して再生される再生領域10Bである。
【0018】
図1に示すように、ロータ駆動部20は、回転軸23と、伝達部材22と、駆動モータ21とを含む。伝達部材22は、駆動モータ21の駆動力を回転軸23に伝達する。回転軸23は、除湿ロータ10を回転自在に支持する。駆動モータ21は、伝達部材22及び回転軸23を介して駆動力を伝達し、除湿ロータ10を回転させる。
【0019】
除湿側の構造について説明する。図1に示すように、除湿ロータ10下半円の除湿領域10Aの両側には、除湿空気流路30が設けられている。除湿空気流路30は、屋内の空気(被除湿空気)を除湿ロータ10に流過させる。
【0020】
除湿空気流路30は、除湿空気導入路31と、除湿空気導出路32とを含む。除湿空気流路30は、除湿領域10Aを挟んで配置されたダクト状である。
【0021】
除湿ファン33は、例えば送風用のブロアである。除湿ファン33は、除湿空気導出路32に配置される。除湿ファン33は、除湿領域10A側の空気を吸引して、除湿空気導出路32を通じて筐体101の外部に排気する。
【0022】
除湿ファン33の吸引は、除湿領域10Aの周囲の空気を吸い込む。除湿ファン33の吸引による負圧は、図1の点線矢印に示すように、ハニカム状の除湿領域10Aの内部を通じて、反対側の除湿空気導入路31側にまで及ぶ。その結果、除湿空気導入路31を介して、筐体101外の屋内空気が、除湿領域10Aまで導入される。
【0023】
除湿空気導入路31を介して導入された屋内空気は、ハニカム状の除湿領域10Aを通過する際に、水分(湿気)が除湿ロータ10の吸湿剤に吸着され、乾燥空気となる。乾燥空気は、除湿空気導出路32を通じて筐体101の外部に排出される。
【0024】
次に、再生側の構造について説明する。図1に示すように、除湿ロータ10上半円の再生領域10Bの両側には、再生領域10Bを経由して空気が循環する再生空気流路40が設けられている。
【0025】
再生空気流路40は、再生空気導入路41と、再生空気導出路42とを含む。再生空気流路40は、再生領域10Bを挟んで配置された循環ダクト状である。ダクトは、基本的に同じ空気が循環する閉回路を構成している。図1に示す再生ファン43と、ヒータ44とは、再生空気導入路41に配置される。凝縮器45は、再生空気導出路42に配置される。
【0026】
詳細には、再生ファン43は、例えば送風用のブロアである。但し、除湿側よりも取り扱う空気量が少ないため、除湿ファン33よりも低容量のブロアが用いられる。
【0027】
再生ファン43は、再生空気導入路41に配置される。再生ファン43は、再生空気導出路42側の空気を吸引して、再生空気導入路41を通じて空気を再生領域10Bに吹き付ける。
【0028】
ヒータ44は、再生空気導入路41の出口に配置される。ヒータ44は、再生領域10Bに対面する位置に配置される。ヒータ44は、再生空気導入路41から導出される空気を温めるとともに、輻射熱により直接に再生領域10Bを加熱する。ヒータ44は、本発明の加熱部の一例である。
【0029】
ヒータ44の加熱により、再生領域10Bに位置する除湿剤は、吸着している水分を放出(脱着)する。放出された水分は、再生領域10Bの内部を流過する空気に乗って、再生空気導出路42側に取り出される。再生空気導出路42は、水分を多く含む温かい空気を凝縮器45に流過させる。
【0030】
凝縮器45は、例えば熱交換機である。凝縮器45は、図1に示すように、被凝縮流体通路45a、45bと、気液分離部45cとを含む。凝縮器45は、樹脂製であってもよい。
【0031】
被凝縮流体通路45a、45bは、上下方向の空気流路である。気液分離部45cは、凝縮器45の下部に設けられる。
【0032】
被凝縮流体通路45a、45b内は、温かい湿った空気が流過する。被凝縮流体通路45a、45bは、流路の周囲を流れる常温の空気との間で熱交換を行う。これにより、内部を流れる空気に結露が発生し、被凝縮流体通路45a、45bの内壁に水滴(凝縮水)が付着する。水滴は成長して大きくなると下方に落下して、気液分離部45cに溜まる。気液分離部45cの底部には、凝縮水流路46が接続されている。
【0033】
凝縮水流路46は、気液分離部45cに溜まる凝縮水を下方に排出する。凝縮水流路46の排出側には、凝縮水タンク47が接続されている。凝縮水タンク47は、排出された凝縮水を貯留する。
【0034】
一方、凝縮器45で水分を取り除かれた空気は、再生ファン43及び再生空気導入路41を介して再生領域10Bに導入され、除湿剤の再生に再度利用される。
【0035】
次に、除湿ロータ10の回転を検出する構成について説明する。図2に示すように、除湿装置100は、検出器50を備える。
【0036】
検出器50は、発光部51と受光部52とを備える。発光部51から発せられた光(光軸又は光路L)は、受光部52に到達する。除湿ロータ10は、複数の遮光部10dを有する。遮光部10dは、発光部51からの光(光路L)を遮光する。検出器50は、受光部52の受光又は遮光部10dの遮光に基づく信号を発信する。制御部60(図1)は、検出器50の発信する信号に基づき、除湿ロータ10の回転の有無を判定する。検出器50は、本発明の検出部の一例である。
【0037】
詳しく説明すると、除湿ロータ10の遮光部10dは、除湿ロータ10の外周面10cから径方向に突出する凸部である。図2に示す除湿ロータ10において、遮光部10dは、周方向等配(ここでは20度おき)の位置に、合計18個設けられている。以下、遮光部10dを凸部10dと記載する場合がある。
【0038】
凸部10dの外周面10cからの高さ(径方向の突出距離)は数mm~数十mm程度、詳細には、10~20mm程度の高さに設定される。具体的には、図2に示すように、各凸部10dは、発光部51と受光部52との間に設けられる光路Lを遮光するのに充分な高さに形成される。
【0039】
なお、各凸部10dの形成は、外周面10cを径方向に突出させて凸部としてもよく、除湿ロータ10の最外周面(凸部10dの外面)を径方向に掘り込んで(切り欠いて)溝を形成し、溝と溝との間の残部を凸部としたものでもよい。
【0040】
検出器50の発光部51と受光部52とは、除湿ロータ10の上半円(ここでは再生領域10B)の上部に配置される。具体的には、発光部51は、図2に示すように、凸部10dと凸部10dのとの間に形成された溝部分(外周面10c部分)の側方に配置される。詳細には、発光部51から発せられる光の光路Lが、凸部10dと凸部10dのとの間の溝部分を通過する位置である。
【0041】
受光部52は、凸部10dと凸部10dとの間を通過した光を受光する位置に配置される。具体的には、発光部51が、図2のように除湿ロータ10のヒータ44側(再生空気導入路41側)にある場合、受光部52は、除湿ロータ10を挟んで対向する再生空気導出路42側に配置される。詳細には、凸部10dと凸部10dのとの間の溝部分(光路L)を挟んで発光部51と正対する位置である。
【0042】
また、除湿装置100の制御部60は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。制御部60は、記憶部(図示省略)に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、除湿装置100の各要素を制御する。制御部60は、駆動部20の駆動モータ21に信号を送出して、除湿ロータ10の回転を制御する。
【0043】
制御部60は更に、検出器50の信号を取得する。検出器50の信号は、除湿ロータ10の回転の状態を示す。制御部60は、検出器50の信号に基づいて、ヒータ44の作動(オン-オフ)を制御する。また、制御部60は、除湿ファン33及び再生ファン43の作動(オン-オフ)を制御する。
【0044】
以上の構成において、制御部60から駆動部20への指示のとおり除湿ロータ10が回転している場合、検出器50の受光部52は、発光部51からの光を受光している状態を示す「受光信号」と、光を受光していない遮光状態であることを示す信号とを、交互に、除湿ロータ10の回転速度に相当する時間間隔で、制御部60に向け送出する。
【0045】
信号を受信した制御部60は、受光信号と、遮光状態であることを示す信号とを交互に受信することに基づいて、除湿ロータ10が正常に回転していると判定する。なお、除湿ロータ10が回転していることの判定は、受光信号の所定の時間間隔での受信、もしくは、遮光状態であることを示す信号の所定の時間間隔での受信、のいずれか一方に基づいて行ってもよい。
【0046】
他方、受光信号を所定の時間以上連続で受信した場合、あるいは、遮光状態であることを示す信号を所定の時間以上連続で受信した場合、制御部60は、除湿ロータ10の回転に何らかの異常が発生していると判断する。
【0047】
受光信号と遮光状態であることを示す信号との切り替わりが遅い場合、すなわち、回転速度が所定の値以下の場合又は回転速度が停止を示す0(零)の場合、制御部60は、除湿ロータ10が殆ど回転していないか、あるいは、除湿ロータ10の回転が止まっていると判定する。これにより、除湿ロータ10の異常を早期に検出することが可能になる。
【0048】
更に、除湿ロータ10の回転が止まっているか、あるいは、殆ど回転していないと判定した場合、制御部60は、ヒータ44への電流をオフにして、その温度を下げるようにしてもよい。
【0049】
具体的には、制御部60は、除湿ロータ10の回転が止まっているか、あるいは、殆ど回転していないと判定した場合、ヒータ44による加熱を停止する加熱停止処理を実行する。これにより、ロータの回転停止に起因する除湿ロータ10の過熱を防止して、除湿装置100の安全性を高めることができる。
【0050】
また、除湿ロータ10の回転が止まっているか、あるいは、殆ど回転していないと判定した場合、制御部60は、ヒータ44(加熱部)に風を送る再生ファン43の作動を継続させる。これにより、ヒータ44及びこれに対面する除湿ロータ10の再生領域10Bを、風により冷却することができる。再生ファン43は、本発明の送風部の一例である。
【0051】
なお、ヒータ44及び再生領域10Bをより効率的に冷却するため、除湿ロータ10の回転が止まっていると判定した場合は、再生ファン43の回転数を上げて、ヒータ44に向けて送風する風量を増加させてもよい。
【0052】
更に、除湿ロータ10の回転が停止している場合、ヒータ44による加熱が継続されると、ヒータ44に対面する再生領域10Bの一部に、過熱による変質が発生するおそれがある。変質は、ガスの発生や発煙を伴う場合もある。
【0053】
本実施形態の除湿装置100は、図2に示すように、検出器50が、ヒータ44と対面する再生領域10Bの上部に配置されている。従って、本実施形態の除湿装置100は、除湿ロータ10から発生するガスや発煙による検知光の「減光」を検出することができる。更に、検知光の減光を検出した場合、ヒータ44を即時に停止させるように設定してもよい。これにより、除湿装置100の安全性を、より高めることができる。
【0054】
[第2実施形態]
続いて、図3を参照して本発明の第2実施形態について説明する。但し、以下では第1実施形態と異なる事項を説明し、第1実施形態と同じ事項についての説明は割愛する。
【0055】
図3は、第2実施形態の除湿装置100の除湿ロータ10周りの構成を示す斜視図である。図3に示す第2実施形態の除湿装置100は、検出器50の構成が、図2に示す第1実施形態の除湿ロータ10周りの構成とは異なる。
【0056】
詳細には、第2実施形態の除湿装置100において、除湿ロータ10の回転を検出する検出器50として、フォトインタラプタ53が用いられる。フォトインタラプタ53は、1つのケースの中に、発光部53aと受光部53bとを有する一体型の光検知器である。
【0057】
この構成によっても、除湿ロータ10の異常を検出することが可能になる。また、除湿ロータ10の回転検出の機構を簡単に構成することができる。
【0058】
[第3実施形態]
続いて、図4を参照して本発明の第3実施形態について説明する。但し、第1実施形態と異なる事項のみを説明し、第1実施形態と同じ事項についての説明は割愛する。
【0059】
図4は、第3実施形態の除湿装置100の除湿ロータ11周りの構成を示す斜視図である。図4に示す第3実施形態の除湿装置100は、除湿ロータ11の構成及び形状が、図2に示す第1実施形態の除湿ロータ10とは異なる。
【0060】
詳細には、第3実施形態の除湿ロータ11は、その外周面11cに、除湿ロータ11とは異なる素材で構成された複数の凸部11D(遮光部材)が配置されている。なお、複数の凸部11Dは、吸湿性はあってもなくてもよいが、光を遮光する有色の物体である。これにより、凸部11Dは、遮光部10dと同様、発光部51と受光部52との間に設けられる光路Lを遮光する。
【0061】
従って、第3実施形態の除湿装置100は、除湿ロータ11の異常を検出することが可能になる。また、除湿ロータ11の回転検出の機構を安価に構成することができる。
【0062】
なお、第1実施形態(図2)及び第2実施形態(図3)で用いた除湿ロータ10の遮光部(凸部10d)の形状も、図2及び図3に示す例に限定されるものではなく、種々の形状をとることができる。例えば、凸部を、図5に示す断面三角状の遮光部10eとしてもよく、図6に示すような波形の遮光部10fとしてもよい。更に、図7に示す断面歯車形の遮光部10gや、図8に示すような波形と歯車形とを合成した形状の遮光部10hとすることもできる。いずれの形状も、光が通過する部分(外周面10c)と光を遮光する部分(遮光部)との高低差を確保するよう構成すればよい。
【0063】
また、第3実施形態(図4)で用いた除湿ロータ11の遮光部材(凸部11D)の形状も、図4に示す例に限定されるものではない。例えば、遮光部材を、図9に示す断面三角状の遮光部11Eとしてもよく、図10に示すような棒状の遮光部11Fとしてもよい。検出器50の光路Lを遮光可能であれば、遮光部材は更に他の形状とすることもできる。
【0064】
[第4実施形態]
次に、図11を参照して本発明の第4実施形態について説明する。但し、以下では第1実施形態と異なる事項を説明し、第1実施形態と同じ事項についての説明は割愛する。
【0065】
図11は、第4実施形態の除湿装置100の除湿ロータ12周りの構成を示す斜視図である。図11に示す第4実施形態の除湿装置100は、検出器50の構成が、図2に示す第1実施形態の除湿ロータ10周りの構成とは異なる。
【0066】
詳細には、第4実施形態の除湿装置100において、除湿ロータ12の回転を検出する検出器として、磁気を検出するホール素子54が用いられる。ホール素子54は、除湿ロータ12の下側(除湿領域12A側)に配置される。なお、ホール素子54は、除湿ロータ12の上側(再生領域12B側)に配置してもよい。ホール素子54は、本発明の検知部の一例である。
【0067】
ホール素子54に対向する除湿ロータ12の一面には、除湿ロータ12の回転方向(周方向)に沿って、複数の磁石55が配置される。この構成によっても、除湿ロータ12の回転の異常を検出することが可能になる。
【0068】
すなわち、以上の構成において、制御部60から駆動部20への指示のとおり除湿ロータ12が回転している場合、ホール素子54は、1回転につき複数回(ここでは8回)磁石55の接近を示す信号を、除湿ロータ12の回転速度に相当する時間間隔で、制御部60に向け送出する。
【0069】
制御部60は、磁石55の接近を示す信号に基づいて、除湿ロータ12が正常に回転していると判定する。
【0070】
一方、磁石55の接近を示す信号が、所定の時間以上受信されない場合、制御部60は、除湿ロータ12の回転に何らかの異常が発生していると判断する。すなわち、磁石55の接近を示す信号の次回の受信までの時間間隔が長い場合、制御部60は、除湿ロータ12の回転が止まっているか、あるいは、殆ど回転していないと判定する。これにより、除湿ロータ12の異常を早期に検出することが可能になる。
【0071】
なお、第4実施形態においても、制御部60は、除湿ロータ12の回転が止まっているか、あるいは、殆ど回転していないと判定した場合、ヒータ44への電流をオフにして、その温度を下げるようにしてもよい。これにより、ロータの回転停止に起因する除湿ロータ12の過熱を防止して、除湿装置100の安全性を高めることができる。
【0072】
更に、第1実施形態と同様に、除湿ロータ10の回転が止まっているか、あるいは、殆ど回転していないと判定した場合、制御部60は、ヒータ44(加熱部)に風を送る再生ファン43の作動を継続させか、もしくは、再生ファン43の回転数を上げて、ヒータ44に向けて送風する風量を増加させてもよい。これにより、ヒータ44及びこれに対面する除湿ロータ10の再生領域10Bを、風により冷却することができる。
【0073】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0074】
例えば、図1図11を参照して、本発明の吸湿装置を適用した除湿装置100を説明したが、本発明は、除湿装置にのみ適用されるものではない。本発明は、例えば調湿装置、乾燥機、空気調和機に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、吸湿装置の分野に利用可能である。具体的には、吸湿装置、除湿装置、調湿装置、乾燥機、空気調和機に利用可能である。
【符号の説明】
【0076】
10 除湿ロータ
10A 除湿領域
10B 再生領域
10d 遮光部
20 駆動部
21 駆動モータ
31 除湿空気導入路
32 除湿空気導出路
41 再生空気導入路
42 再生空気導出路
44 ヒータ
50 検出器
51 発光部
52 受光部
100 除湿装置
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