(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20240731BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20240731BHJP
H04N 23/68 20230101ALI20240731BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240731BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N5/222 400
H04N23/68
G03B30/00
(21)【出願番号】P 2020145286
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】武井 宏光
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/058785(WO,A1)
【文献】特開2007-219338(JP,A)
【文献】特開2012-113317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00-5/08
H04N 5/222-5/257
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90-23/959
G02B 7/02-7/16
G03B 17/02
G03B 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュール、および前記カメラモジュールを保持するホルダを備える可動体と、
前記可動体を前記カメラモジュールの光軸と交差する第1軸回りに回転可能に支持するとともに、前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに回転可能に支持するジンバル機構と、
前記ジンバル機構を介して前記可動体を支持する固定体と、
前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構と、
前記可動体を前記光軸回りに回転可能に支持する回転支持機構と、
前記可動体を前記光軸回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構と、を有し、
前記ホルダは、磁性金属製であり、前記カメラモジュールを径方向外側から囲む枠部を備え、
前記振れ補正用磁気駆動機構は、前記枠部の外側面に固定された振れ補正用マグネットと、前記固定体に支持されて径方向で前記振れ補正用マグネットと所定の第1距離を開けて対向する振れ補正用コイルと、を備え、
前記振れ補正用マグネットは、前記光軸方向で2極に分極され、その第1着磁分極線が周方向に延びており、
前記枠部は、前記周方向で前記振れ補正用マグネットに隣り合う位置に当該振れ補正用マグネットに沿って設けられた第1開口部を備え、
前記周方向から見た場合に、前記第1着磁分極線と前記第1開口部とは重な
り、
前記ジンバル機構は、前記回転支持機構を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに回転可能に支持することにより、前記回転支持機構を介して、前記可動体を支持し、
前記ローリング補正用磁気駆動機構は、前記振れ補正用マグネットの前記周方向に配列されて前記枠部の前記外側面に固定されたローリング補正用マグネットと、前記固定体に保持されて前記径方向で前記ローリング補正用マグネットと所定の第2距離を開けて対向するローリング補正用コイルと、を備え、
前記ローリング補正用マグネットは、前記周方向で2極に分極され、その第2着磁分極線が前記光軸方向に延び、
前記枠部は、前記光軸方向で前記ローリング補正用マグネットに隣り合う位置に第2開口部を備え、
前記光軸方向から見た場合に、前記第2着磁分極線と前記第2開口部とは重なることを
特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記周方向における前記第1開口部の第1幅寸法は、前記径方向において前記振れ補正用振れ補正用マグネットと前記振れ補正用コイルとが離間する第1離間以上であることを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記振れ補正用マグネットは、直方体形状であり、前記周方向の両側で前記光軸方向に延びる一対の第1側壁面を備え、
前記枠部は、前記第1開口部として、一方の前記第1側壁面に沿って前記光軸方向に直線状に延びる一方側開口部と、他方の前記第1側壁面に沿って前記光軸方向に直線状に延びる他方側開口部と、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記枠部の外側面において前記振れ補正用マグネットと重なる第1マグネット固定領域には、複数の第1凹部が設けられており、
前記第1マグネット固定領域と前記振れ補正用マグネットとの間には、接着剤層が介在することを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
複数の前記第1凹部のそれぞれは、前記光軸方向に延びる溝であり、
前記溝の前記光軸方向の一方の端は、前記外側面における前記第1マグネット固定領域の外側に達していることを特徴とする請求項4に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
前記光軸方向における前記第2開口部の第2幅寸法は、前記径方向において前記ローリング補正用マグネットと前記ローリング補正用コイルとが離間する第2離間以上であることを特徴とする請求項
1から5のうちのいずれか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュールを光軸と交差する第1軸回りおよび第2軸回りに回転させて振れを補正する振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や移動体に搭載される光学ユニットの中には、携帯端末や移動体の移動時の撮影画像の乱れを抑制するために、カメラモジュールを備える可動体を、光軸回り、光軸と直交する第1軸回り、並びに光軸および第1軸と直交する第2軸回りに回転させるものがある。特許文献1には、この種の振れ補正機能付き光学ユニットが記載されている。
【0003】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュールおよびカメラモジュールを径方向外側から保持するホルダ枠を備える可動体と、可動体を光軸を中心に回転可能に支持する回転支持機構と、シンバル機構と、ジンバル機構および回転支持機構を介して可動体を支持する固定体と、を備える。可動体は固定体の内周側に配置されている。回転支持機構は、可動体と固定体との間に配置された中間枠体と、可動体と中間枠体との間を径方向に架け渡された複数の弾性部材を備える。複数の弾性部材は、光軸回りで等角度間隔に配置されており、中間枠体に対する可動体の光軸回りの回転を許容する。ジンバル機構は、ジンバルバネと、可動体と中間枠体とを第1軸回りに回転可能に接続する第1接続機構と、ジンバルバネと固定体とを第2軸回りに回転可能に接続する第2接続機構と、を備える。
【0004】
また、振れ補正機能付き光学ユニットは、可動体を第1軸回りおよび第2軸回りに回転させるための振れ補正用磁気駆動機構と、可動体を光軸回りに回転させるためのリーリング補正用磁気駆動機構とを備える。振れ補正用磁気駆動機構はホルダ枠の外側面に固定された振れ補正用マグネットと、固定体に支持されて径方向で振れ補正用マグネットに対向する振れ補正用コイルと、を備える。振れ補正用マグネットは、光軸方向で2極に分極されており、その着磁分極線は周方向に延びる。ローリング補正用磁気駆動機構はホルダ枠の外側面に固定されたローリング補正用マグネットと、固定体に支持されて径方向でローリング補正用マグネットと対向するローリング補正用コイルと、を備える。ローリング補正用マグネットは、周方向で2極に分極されており、その着磁分極線は、光軸方向に延びる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、振れ補正用マグネットが固定されたホルダ枠を磁性金属製とすれば、ホルダ枠が振れ補正用磁気駆動機構のヨークとして機能する。従って、振れ補正用磁気駆動機構が可動体を駆動する駆動力を確保することが容易となる。
【0007】
しかし、ホルダ枠を磁性金属製とした場合には、ホルダ枠において周方向で振れ補正用マグネットに隣り合う領域に、着磁分極線の一方側から他方側に向かう振れ補正用マグネットの磁束の一部が短絡する。このような磁束の短絡は、振れ補正用マグネットの磁束を駆動力に利用する利用効率を低下させる。
【0008】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、可動体を駆動する振れ補正用磁気駆動機構のマグネットの磁束を効率よく利用できる振れ補正機能付き光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュール、および前記カメラモジュールを保持するホルダを備える可動体と、前記可動体を前記カメラモジュールの光軸と交差する第1軸回りに回転可能に支持するとともに、前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに回転可能に支持するジンバル機構と、前記ジンバル機構を介して前記可動体を支持する固定体と、前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構と、を有し、前記ホルダは、磁性金属製であり、前記カメラモジュールを径方向外側から囲む枠部を備え、前記振れ補正用磁気駆動機構は、前記枠部の外側面に固定された振れ補正用マグネットと、前記固定体に支持されて径方向で前記振れ補正用マグネットと所定の第1距離を開けて対向する振れ補正用コイルと、を備え、前記振れ補正用マグネットは、前記光軸方向で2極に分極され、その第1着磁分極線が周方向に延びており、前記枠部は、前記周方向で前記振れ補正用マグネットに隣り合う位置に当該振れ補正用マグネットに沿って設けられた第1開口部を備え、前記周方向から見た場合に、前記第1着磁分極線と前記第1開口部とは重なることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、可動体は、カメラモジュールを径方向外側から囲む枠部を備えるホルダを有する。ホルダは磁性金属製であり、振れ補正用磁気駆動機構の振れ補正用マグネットは、枠部の外側面に固定される。振れ補正用磁気駆動機構の振れ補正用コイルは、固定体に固定され、径方向で振れ補正用マグネットに対向する。これによりホルダは振れ補正用磁気駆動機構のヨークとして機能する。従って、振れ補正用磁気駆動機構では、可動体を駆動する駆動力を確保することが容易となる。また、枠部は、周方向で振れ補正用マグネットに隣り合う位置に、周方向から見た場合に第1着磁分極線と重なる第1開口部を備える。これにより、枠部において周方向で振れ補正用マグネットに隣り合う領域で、第1着磁分極線の一方側から他方側に向かう振れ補正用マグネットの磁束の一部が短絡することを防止或いは抑制できる。従って、振れ補正用マグネットの磁束を、可動体を駆動する駆動力に効率よく利用できる。また、第1開口部は、振れ補正用マグネットに沿って設けられている。従って、第1開口部に位置決め用の治具を挿入し、治具に振れ補正用マグネットを接触させながら枠部に吸着させれば、振れ補正用マグネットを周方向で位置決めできる。これにより、振れ補正用マグネットと振れ補正用コイルとの位置関係の精度を向上させることができるので、振れ補正用マグネットの磁束を、より、効率よく利用することができる。
【0011】
本発明において、前記周方向における前記第1開口部の第1幅寸法は、前記径方向において前記振れ補正用振れ補正用マグネットと前記振れ補正用コイルとが離間する第1離間以上であることが望ましい。このようにすれば、振れ補正用マグネットから周方向に向かう磁束を、振れ補正用コイルの側に向かわせることが容易となる。従って、振れ補正用マグネットの磁束が枠部で短絡することを、より、抑制しやすい。
【0012】
本発明において、前記振れ補正用マグネットは、直方体形状であり、前記周方向の両側で前記光軸方向に延びる一対の第1側壁面を備え、前記枠部は、前記第1開口部として、一方の前記第1側壁面に沿って前記光軸方向に直線状に延びる一方側開口部と、他方の前記第1側壁面に沿って前記光軸方向に直線状に延びる他方側開口部と、を備えるものとすることができる。このようにすれば、枠部における振れ補正用マグネットの周方向の両側において、振れ補正用マグネットの磁束が短絡することを防止或いは抑制できる。
【0013】
本発明において、前記枠部の外側面において前記振れ補正用マグネットと重なる第1マグネット固定領域には、複数の第1凹部が設けられており、前記第1マグネット固定領域と前記振れ補正用マグネットとの間には、接着剤層が介在するものとすることができる。このようにすれば、接着剤層を形成する接着剤が第1凹部に保持されるので、振れ補正用マグネットを枠部に強固に固定することができる。
【0014】
本発明において、複数の前記第1凹部のそれぞれは、前記光軸方向に延びる溝であり、前記溝の前記光軸方向の一方の端は、前記外側面における前記第1マグネット固定領域の外側に達しているものとすることができる。このようにすれば、枠部に対して振れ補正用マグネットを位置決めして吸着させた後に、溝である第1凹部において、振れ補正用マグネットから外側に露出する光軸方向の一方の端から接着剤を第1凹部内に流し込むことができる。これにより、第1マグネット固定領域と振れ補正用マグネットとの間に接着剤層を形成して、第1マグネット固定領域に振れ補正用マグネットを固定できる。
【0015】
本発明において、前記可動体を前記光軸回りに回転可能に支持する回転支持機構と、前記可動体を前記光軸回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構と、を有し、前記ジンバル機構は、前記回転支持機構を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに回転可能に支持することにより、前記回転支持機構を介して、前記可動体を支持し、前記ローリング補正用磁気駆動機構は、前記振れ補正用マグネットの前記周方向に配列されて前記枠部の前記外側面に固定されたローリング補正用マグネットと、前記固定体に保持されて前記径方向で前記ローリング補正用マグネットと所定の第2距離を開けて対向するローリング補正用コイルと、を備え、前記ローリング補正用マグネットは、前記周方向で2極に分極され、その第2着磁分極線が前記光軸方向に延び、前記枠部は、前記光軸方向で前記ローリング補正用マグネットに隣り合う位置に第2開口部を備え、前記光軸方向から見た場合に、前記第2着磁分極線と前記第2開口部とは重なるものとすることができる。
【0016】
このようにすれば、可動体は、光軸回りに回転可能な状態で、第1軸回りおよび第2軸回りに回転可能となる。よって、可動体を、光軸回り、第1軸回り、および第2軸回りに回転させて、振れ補正を行うことができる。また、ホルダは、可動体を光軸回りに駆動するローリング補正用磁気駆動機構のヨークとしても機能する。従って、ローリング補正用磁気駆動機構が可動体を駆動する駆動力を確保することが容易となる。さらに、枠部は、光軸方向でローリング補正用マグネットに隣り合う位置に、光軸方向から見た場合に第2着磁分極線と重なる第2開口部を備える。これにより、枠部において光軸方向でローリング補正用マグネットに隣り合う領域で、第2着磁分極線の一方側から他方側に向かうローリング補正用マグネットの磁束の一部が短絡することを防止或いは抑制できる。従って、ローリング補正用マグネットの磁束を、可動体を駆動する駆動力に効率よく利用できる。また、第2開口は、ローリング補正用マグネットに沿って設けられている。従って、第2開口部に位置決め用の治具を挿入し、治具にローリング補正用マグネットを接触させながら枠部に吸着させれば、ローリング補正用マグネットを光軸方向で位置決めできる。これにより、ローリング補正用マグネットとローリング補正用コイルとの位置関係の精度を向上させることができるので、ローリング補正用マグネットの磁束を、より、効率よく利用することができる。
【0017】
本発明において、前記光軸方向における前記第2開口部の第2幅寸法は、前記径方向において前記ローリング補正用マグネットと前記ローリング補正用コイルとが離間する第2離間以上であることが望ましい。このようにすれば、ローリング補正用マグネットから光軸方向に向かう磁束をローリング補正用コイルの側に向かわせることが容易となる。従って、ローリング補正用マグネットの磁束が枠部で短絡することを、より、抑制しやすい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、可動体において振れ補正用マグネットが固定されるホルダは、磁性金属製である。これによりホルダは振れ補正用磁気駆動機構のヨークとして機能する。従って、振れ補正用磁気駆動機構では、可動体を駆動する駆動力を確保することが容易となる。また、ホルダの枠部は、周方向で振れ補正用マグネットに隣り合う位置に、周方向から見た場合に振れ補正用マグネットの第1着磁分極線と重なる第1開口部を備える。これにより、枠部において周方向で振れ補正用マグネットに隣り合う領域で、第1着磁分極線の一方側から他方側に向かう振れ補正用マグネットの磁束の一部が短絡することを防止或いは抑制できる。従って、振れ補正用マグネットの磁束を、可動体を駆動する駆動力に効率よく利用できる。また、第1開口部は、振れ補正用マグネットに沿って設けられている。従って、第1開口部に位置決め用の治具を挿入し、治具に振れ補正用マグネットを接触させながら枠部に吸着させれば、振れ補正用マグネットを周方向で位置決めできる。これにより、振れ補正用マグネットと振れ補正用コイルとの位置関係の精度を向上させることができるので、振れ補正用マグネットの磁束を、より、効率よく利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明を適用した補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
【
図2】
図1の振れ補正機能付き光学ユニットを光軸方向の一方側から見た分解斜視図である。
【
図3】
図1の振れ補正機能付き光学ユニットを光軸方向の他方側から見た分解斜視図である。
【
図4】振れ補正機能付き光学ユニットをXZ平面で切断した断面図である。
【
図5】振れ補正機能付き光学ユニットをXY平面で切断した断面図である。
【
図6】振れ補正機能付き光学ユニットを第1軸およびZ軸を含む平面で切断した断面図である。
【
図7】振れ補正機能付き光学ユニットを第2軸およびZ軸を含む平面で切断した断面図である。
【
図9】振れ補正機能付き光学ユニットの主要部を示す平面図である
【
図10】ホルダ、第1マグネットおよび第2マグネットの斜視図である。
【
図11】ストッパーケース、および磁性部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの実施形態を説明する。
【0021】
(全体構成)
図1は、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット1の斜視図である。
図2は、
図1の振れ補正機能付き光学ユニット1を光軸方向の一方側から見た分解斜視図である。
図3は、
図1の振れ補正機能付き光学ユニット1を光軸方向の他方側から見た分解斜視図である。
図4は、振れ補正機能付き光学ユニット1をXZ平面で切断した断面図である。
図5は、振れ補正機能付き光学ユニット1をXY平面で切断した断面図である。
図6は、振れ補正機能付き光学ユニット1を第1軸R1およびZ軸を含む平面で切断した断面図である。
図7は、振れ補正機能付き光学ユニット1を第2軸R2およびZ軸を含む平面で切断した断面図である。
図8は、ジンバルバネ70の斜視図である。
図9は、振れ補正機能付き光学ユニット1の主要部を示す平面図である。
【0022】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、レンズ2および撮像素子3を備えたカメラモジュール4を有する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移
動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に光学機器の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、撮影画像が傾くことを回避するため、ジャイロスコープ等の検出手段によって検出された加速度や角速度、振れ量等に基づき、カメラモジュール4の傾きを補正する。
【0023】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、光軸L回り、光軸Lと直交する第1軸R1回り、並びに、光軸Lおよび第1軸R1と直交する第2軸R2回りにカメラモジュール4を回転させて振れ補正を行う。光軸Lは、カメラモジュール4のレンズ2の光軸である。光軸L、第1軸R1、および第2軸の交点は、カメラモジュール4の内側に位置する。
【0024】
以下の説明では、互いに直交する3軸をX軸、Y軸、Z軸とする。Z軸は、レンズ2の光軸Lと一致する。X軸は、光軸Lと直交して、第1軸R1と第2軸R2との交点を通過する。また、X軸は、第1軸R1および第2軸R2と45°の角度で交差する。Y軸は、光軸LおよびX軸と直交して、第1軸R1および第2軸R2の交点を通過する。また、Y軸は、第1軸R1および第2軸R2と45°の角度で交差する。従って、X軸およびY軸を含む平面をXY平面とした場合に、第1軸R1および第2軸R2は、XY平面上に位置する。第1軸R1および第2軸R2は、Z軸回りで、X軸およびY軸に対して45°傾斜する。
【0025】
また、以下の説明では、X軸、Y軸、Z軸に沿った方向をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向とする。X軸方向の一方側を-X方向、他方側を+X方向とする。また、Y軸方向の一方側を-Y方向、他方側を+Y方向とし、Z軸方向の一方側を-Z方向、他方側を+Z方向とする。-Z方向は、カメラモジュール4の反被写体側であり、+Z方向は、カメラモジュール4の被写体側である。また、第1軸R1に沿った方向を第1軸R1方向、第2軸R2に沿った方向を第2軸R2方向とする。さらに、Z軸回りの方向、すなわち光軸L回りの方向を周方向とする。径方向は、Z軸を中心とする方向である。
【0026】
図1、
図2に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール4を備える可動体5と、可動体5を光軸L回りに回転可能に支持する回転支持機構6を備える。従って、可動体5は、光軸L回りのロール方向ROLLに回転可能である。
【0027】
また、振れ補正機能付き光学ユニット1は、回転支持機構6を、第1軸R1回りに回転可能に支持するとともに、第2軸R2回りに回転可能に支持するジンバル機構7と、ジンバル機構7および回転支持機構6を介して、可動体5を支持する固定体8を有する。従って、可動体5は、ジンバル機構7を介して、第1軸R1回りに回転可能に支持されるとともに、第2軸R2回りに回転可能に支持される。
【0028】
ここで、可動体5は、第1軸R1回りの回転および第2軸R2回りの回転を合成することにより、X軸回りのヨー方向YAW、およびY軸回りのピッチ方向PITCHに回転可能である。従って、ジンバル機構7は、回転支持機構6を介して可動体5をX軸回りおよびY軸回りに回転可能に支持する回転支持機構である。光軸L、X軸、およびY軸の交点は、光軸L、第1軸R1、および第2軸R2の交点と同一であり、可動体5の内側に位置する。
【0029】
さらに、振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体5に接続されるフレキシブルプリント基板14を備える。
図4、
図5に示すように、フレキシブルプリント基板14は、可動体5から+X方向に引き出されている。フレキシブルプリント基板14は、固定体8の外部に引き出され、不図示のコネクタを介して、振れ補正機能付き光学ユニット1が搭載される光学機器の基板などに接続される。
【0030】
また、振れ補正機能付き光学ユニット1は、
図5に示すように、可動体5を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構10を有する。振れ補正用磁気駆動機構10は、可動体5に対してX軸回りの駆動力を発生させる第1振れ補正用磁気駆動機構11と、可動体5に対してY軸回りの駆動力を発生させる第2振れ補正用磁気駆動機構12と、を備える。
図2、
図3、
図5に示すように、第1振れ補正用磁気駆動機構11は、可動体5の-Y方向に配置される第1マグネット111および第1コイル112を備える。第2振れ補正用磁気駆動機構12は、可動体5の-X方向に配置される第2マグネット121および第2コイル122を備える。
【0031】
さらに、振れ補正機能付き光学ユニット1は、
図2、
図3、
図5に示すように、可動体5を光軸L回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構13を有する。ローリング補正用磁気駆動機構13は、可動体5の+Y方向に配置されるローリング補正用マグネット131およびローリング補正用コイル132を備える。振れ補正機能付き光学ユニット1は、振れ補正用磁気駆動機構10およびローリング補正用磁気駆動機構13への給電用のフレキシブルプリント基板15を備える。フレキシブルプリント基板15は、固定体8に取り付けられている。
【0032】
(可動体)
図10は、ホルダ、第1マグネットおよび第2マグネットの斜視図である。
図2~
図5に示すように、可動体5は、カメラモジュール4と、カメラモジュール4を保持するホルダ16とを備える。カメラモジュール4は、Z軸方向から見て8角形のカメラモジュール本体4aと、カメラモジュール本体4aから+Z方向へ突出する円筒形の鏡筒部4bを備える。鏡筒部4bには、レンズ2(
図4参照)が保持される。カメラモジュール4の光軸Lは、レンズ2の光軸である。
【0033】
ホルダ16は、磁性金属製である。ホルダ16は、カメラモジュール4を-Z方向から支持するホルダ底部161と、ホルダ底部161の外周縁から+Z方向へ立ち上がるホルダ枠部162(枠部)と、を備える。
図2、
図10に示すように、ホルダ枠部162は、+X方向に開口する切欠き部160を備える。
【0034】
カメラモジュール本体4aは、ホルダ底部161とホルダ枠部162とにより区画されるカメラモジュール収容凹部163に収容される。カメラモジュール収容凹部163は、+Z方向に向くホルダ開口部163aを備えており、カメラモジュール本体4aは+Z方向からカメラモジュール収容凹部163に嵌め込まれる。フレキシブルプリント基板14は、カメラモジュール4の内部に配置される撮像素子3に接続され、切欠き部160を通って可動体5の+X方向へ引き出される。
【0035】
ホルダ底部161は、板状である。ホルダ底部161の-Z方向の端面、すなわちホルダ16の-Z方向の端面16aは、ホルダ16にカメラモジュール4を保持したときに、光軸Lと垂直になる。ホルダ底部161の中央には、-Z方向に突出する軸部61が設けられている。軸部61は、バーリング加工によりホルダ16に形成される。軸部61は、ホルダ16にカメラモジュール4を保持したときに、光軸Lと同軸となる。
【0036】
図10に示すように、ホルダ枠部162の-Y方向の外側面には、第1マグネット111(振れ補正用マグネット)が固定される。ホルダ枠部162の-X方向の外側面には、第2マグネット121(振れ補正用マグネット)が固定される。また、ホルダ枠部162の+Y方向の外側面には、ローリング補正用マグネット131が固定される。
【0037】
第1マグネット111は、直方体形状であり、周方向の両側でZ軸方向に延びる一対の
第1側壁面111aと、Z軸方向の両側で周方向に延びる一対の第2側壁面111bと、を備える。一対の第2側壁面111bのうち、-Z方向に位置する第2側壁面111bは、Z軸方向においてホルダ16の-Z方向の端面16aと同一の高さ位置にある。また、第1マグネット111は、Z軸方向で2極に分極着磁されている。従って、第1マグネット111の着磁分極線111c(第1着磁分極線)は、周方向に延びる。
【0038】
第2マグネット121は、第1マグネット111と同一の部材である。第2マグネット121は、直方体形状であり、周方向の両側でZ軸方向に延びる一対の第1側壁面121aと、Z軸方向の両側で周方向に延びる一対の第2側壁面121bと、を備える。一対の第2側壁面121bのうち、-Z方向に位置する第2側壁面121bは、Z軸方向において、ホルダ16の-Z方向の端面16aと同一の高さ位置にある。また、第2マグネット121は、Z軸方向で2極に分極着磁されている。従って、第2マグネット121の着磁分極線121c(第1着磁分極線)は、周方向に延びる。
【0039】
ここで、ホルダ枠部162の-Y方向の外側面において、第1マグネット111と重なるマグネット固定領域162a(第1マグネット固定領域)には、複数の凹部164が設けられている。また、マグネット固定領域162aと第1マグネット111との間には、接着剤層165が介在する。本例において、複数の凹部164のそれぞれは、Z軸方向に直線状に延びる溝である。各溝の幅は、0.03mm程度である。凹部164のZ軸方向の+Z方向の端は、ホルダ枠部162の-Y方向の外側面におけるマグネット固定領域162aの外側に達する。従って、マグネット固定領域162aに第1マグネット111を配置したときに、凹部164+Z方向の端は、第1マグネット111よりも+Z方向に位置する。
【0040】
また、ホルダ枠部162の-Y方向の枠部分は、第1マグネット111の周方向の両側に、各第1側壁面111aに沿って延びる開口部166(第1開口部)を備える。より具体的には、ホルダ枠部162は、開口部166として、第1マグネット111の周方向の一方の第1側壁面111aに隣り合う位置で一方の第1側壁面111a沿って延びる一方側開口部166aと、他方の第1側壁面111aに隣り合う位置で他方の第1側壁面111aに沿って延びる他方側開口部166bと、を備える。一方側開口部166aおよび他方側開口部166bは、一定の幅寸法D1で、Z軸方向に直線状に延びる。周方向から見た場合に、第1マグネット111の着磁分極線111cと各開口部166a、166bとは重なる。
【0041】
同様に、ホルダ枠部162の-X方向の外側面において、第2マグネット121と重なるマグネット固定領域162b(第1マグネット固定領域)には、複数の凹部164が設けられている。また、マグネット固定領域と第2マグネット121との間には、接着剤層165が介在する。複数の凹部164のそれぞれは、Z軸方向に直線状に延びる溝である。凹部164のZ軸方向の+Z方向の端は、ホルダ枠部162の-Y方向の外側面におけるマグネット固定領域162bの外側に達する。従って、マグネット固定領域162bに第2マグネット121を配置したときに、凹部164+Z方向の端は、第2マグネット121よりも+Z方向に位置する。
【0042】
また、ホルダ枠部162の-X方向の枠部分は、第2マグネット121の周方向の両側に、各第1側壁面121aに沿って延びる開口部167(第1開口部)を備える。より具体的には、ホルダ枠部162は、開口部167として、第2マグネット121の周方向の一方の第1側壁面121aに隣り合う位置で一方の第1側壁面121aに沿って延びる一方側開口部167aと、他方の第1側壁面121aに隣り合う位置で他方の第1側壁面121aに沿って延びる他方側開口部167bと、を備える。一方側開口部167aおよび他方側開口部167bは、それぞれ、一定の幅寸法D1で、Z軸方向に直線状に延びる。
周方向から見た場合に、第2マグネット121の着磁分極線121cと各開口部167a、167bとは重なる。
【0043】
次に、ローリング補正用マグネット131は、直方体形状であり、Z軸方向の両側で周方向に延びる一対の第1側壁面131aと、周方向の両側でZ軸方向に延びる一対の第2側面面131bと、を備える。一対の第1側壁面131aのうち、-Z方向に位置する第1側面は、ホルダ16の-Z方向の端面16aよりも-Z方向に位置する。ローリング補正用マグネット131は、周方向で2極に分極着磁されている。従って、ローリング補正用マグネット131の着磁分極線131c(第2着磁分極線)は、Z軸方向に延びる。
【0044】
ホルダ枠部162の+Y方向の外側面において、ローリング補正用マグネット131と重なるマグネット固定領域162c(第2マグネット固定領域)には、複数の凹部164が設けられている。また、マグネット固定領域162cとローリング補正用マグネット131との間には、接着剤層165が介在する。複数の凹部164のそれぞれは、Z軸方向に直線状に延びる溝である。
【0045】
また、ホルダ枠部162の+Y方向の枠部分は、+Z方向でローリング補正用マグネット131に隣り合う位置で+Z方向の第1側壁面131aに沿って延びる開口部168(第2開口部)を備える。開口部168は、一定の幅寸法D2で、周方向に直線状に延びる。Z軸方向から見た場合に、ローリング補正用マグネット131の着磁分極線111cと開口部168とは重なる。凹部164の+Z方向の端は、開口部168に達する。従って、凹部164と開口部168とは連通する。
【0046】
ここで、第1マグネット111をホルダ16に固定する際には、開口部116に位置決め用の治具を挿入し、治具に第1マグネット111を接触させながらホルダ枠部162に吸着させる。また、第1マグネット111の-Z方向の第2側壁面111bを、ホルダ16の-Z方向の端面16aとを、治具などによって、同一平面上に配置する。これにより、第1マグネット111は周方向、およびZ軸方向で位置決めされた状態で、ホルダ16に吸着される。次に、ホルダ枠部162の外側面と第1マグネット111の+Z方向の境界部分に接着剤を塗布する。これにより、接着剤は、第1マグネット111よりも+Z方向に位置する凹部164の+Z方向の端から凹部164に侵入して、マグネット固定領域162aに達する。従って、ホルダ枠部162と第1マグネット111との間に接着剤層165が形成される。第1マグネット111は、接着剤層165により、ホルダ枠部162の外側面に固定される。
【0047】
また、ローリング補正用マグネット131をホルダ16に固定する際には、開口部168に位置決め用の治具を挿入し、治具にローリング補正用マグネット131を接触させながらホルダ枠部162に吸着させる。これにより、ローリング補正用マグネット131はZ軸方向で位置決めされた状態で、ホルダ16に保持される。次に、ローリング補正用マグネット131の+Z方向に形成された開口部168の開口縁に接着剤を塗布する。これにより、接着剤は、開口部168と連通する凹部164の+Z方向の端から凹部164に侵入して、マグネット固定領域162cに達する。従って、ホルダ枠部162とローリング補正用マグネット131との間に接着剤層165が形成される。ローリング補正用マグネット131は、接着剤層165により、ホルダ枠部162の外側面に固定される。
【0048】
(固定体)
図11は、フレームケース、ストッパーケース、第1磁性部材、および第2磁性部材の斜視図である。
図1~
図5に示すように、固定体8は、可動体5およびフレキシブルプリント基板14を-Z方向から覆うカバーボトム20と、カバーボトム20に+Z方向から固定され可動体5の対角方向を囲むフレームケース30と、フレームケース30および可
動体5の外周側を囲むストッパーケース40と、を備える。カバーボトム20、フレームケース30、およびストッパーケース40は非磁性金属製である。
【0049】
カバーボトム20は、例えば板厚0.15mmの板金部材であり、プレス加工により製造される。フレームケース30は、例えば板厚0.30mmの板金部材であり、プレス加工により製造される。フレームケース30は、カバーボトム20よりも厚い。ストッパーケース40は、カバーボトム20と板厚が等しく、プレス絞り加工により製造される。ストッパーケース40は、可動体5を-X方向、-Y方向、および+Y方向の3方向から囲む。
【0050】
また、固定体8は、
図2、
図3、
図5に示すように、可動体5から+X方向へ引き出されるフレキシブルプリント基板14の外周側を囲むFPCカバー50を備える。FPCカバー50は樹脂製であり、カバーボトム20に+Z方向から固定される。FPCカバー50の-X方向の端部は、フレームケース30の矩形枠部31に嵌まる引っ掛け部52を備える(
図3、
図5参照)。矩形枠部31に引っ掛け部52が+Z方向から嵌まることにより、フレームケース30にFPCカバー50の-X方向の端部が係止される。また、FPCカバー50の-X方向の端部における-Y方向の側面および+Y方向の側面には、それぞれ、係止部53が形成されている。ストッパーケース40の+X方向の端部は、係止部53に係合する係合孔49を備える。また、ストッパーケース40の-X方向の側面は、カバーボトム20の-X方向の縁から+Z方向へ立ち上がる2か所の第3弾性係合部26に係合する係合孔27を備える(
図3参照)。
【0051】
図5に示すように、フレキシブルプリント基板15は、ストッパーケース40の内面に沿って周方向に引き回されている。
図2、
図3、
図5に示すように、フレキシブルプリント基板15は、ストッパーケース40の-Y方向の側面に沿ってX軸方向に延びる第1コイル固定部151、ストッパーケース40の-X方向の側面に沿ってY軸方向に延びる第2コイル固定部152、ストッパーケース40の+Y方向の側面に沿ってX軸方向に延びる第3コイル固定部153を備える。第1コイル固定部151、第2コイル固定部152、および第3コイル固定部153は、ストッパーケース40の内周側に保持される。
【0052】
第1コイル固定部151には、第1振れ補正用磁気駆動機構11の第1コイル112が固定され、第2コイル固定部152には、第2振れ補正用磁気駆動機構12の第2コイル122が固定される。また、第3コイル固定部153には、ローリング補正用コイル132が固定される。第1コイル112、第2コイル122、およびローリング補正用コイル132は、フレキシブルプリント基板15に電気的に接続されている。また、第1コイル112、第2コイル122、およびローリング補正用コイル132は、フレキシブルプリント基板15を介してストッパーケース40に固定される。
【0053】
図2、
図3、
図5、
図11に示すように、ストッパーケース40は、可動体5を3方向から囲む胴部40Aと、胴部40Aの+Z方向の縁から内周側へ張り出す端板部44と、を備える。胴部40Aは、可動体5の-Y方向においてX軸方向に延びる第1ケース壁41と、可動体5の-X方向においてY軸方向に延びる第2ケース壁42と、可動体5の+Y方向においてX軸方向に延びる第3ケース壁43と、を備える。端板部44は、第1軸R1方向の対角位置から内周側へ突出する第1ケース突起45Aと、第2軸R2方向の対角位置から内周側へ突出する第2ケース突起45Bを備える。第1ケース突起45Aは、端板部44から内周側に延びる延設部45aと、延設部の内周側の端縁から-Z方向に屈曲して延びる屈曲部45bと、を備える。また、端板部44は、第1軸R1上の2か所、および第2軸R2上の2か所に、それぞれフレームケース30との位置決め用のケース位置決め孔440を備える。
【0054】
ストッパーケース40は、フレキシブルプリント基板15の-Z方向の縁を係止するフック46(
図2、
図3、
図4参照)と、フレキシブルプリント基板15の+Z方向の縁を係止する凹溝47(
図3参照)を備える。フック46は、第1ケース壁41、第2ケース壁42、および第3ケース壁43の周方向の中央にそれぞれ1箇所ずつ形成されている。凹溝47は、端板部44の-Y方向の縁、-X方向の縁、および+Y方向の縁にそれぞれ2か所ずつ形成されている。第1コイル固定部151、第2コイル固定部152、および第3コイル固定部153は、それぞれ、-Z方向の縁がフック46に係止され、+Z方向の縁が凹溝47に係止されて位置決めされるとともに、接着剤によりストッパーケース40に固定されている。
【0055】
図3、
図11に示すように、第1ケース壁41、第2ケース壁42、および第3ケース壁43は、それぞれの外側面の周方向の中央に磁性部材配置凹部48を備える。磁性部材配置凹部48は、一定幅で前記光軸方向に直線状に延びる。
【0056】
図5、
図11に示すように、第1ケース壁41に設けられた磁性部材配置凹部48には、第1磁性部材113が配置される。
図11に示すように、第1磁性部材113は、矩形板状であり、Z軸方向に直線状に延びる平行な2辺を備える。第1磁性部材113のZ軸方向の長さ寸法Mは、磁性部材配置凹部48のZ軸方向の長さ寸法Nよりも短い。また、第1磁性部材113のZ軸方向の長さ寸法Mは、
図10に示す第1マグネットのZ軸方向の長さ寸法0よりも長い。第1磁性部材113の厚みは、磁性部材配置凹部48の深さ以下である。従って、磁性部材配置凹部48に第1磁性部材113が配置されたときに、第1磁性部材113は、磁性部材配置凹部48から外周側に突出することがない。
【0057】
磁性部材配置凹部48内には、第1磁性部材113を第1ケース壁41に固定するための溶接痕54が設けられている。すなわち、第1磁性部材113は、溶接によって第1ケース壁41に固定される。第1磁性部材113は、可動体5に保持された第1マグネット111とともに、可動体5をX軸回りの振れ補正における原点位置に位置決めするための磁気バネを構成する。
【0058】
また、第2ケース壁42に設けられた磁性部材配置凹部48には、第2磁性部材123が配置される。第2磁性部材123は、第1磁性部材113と同一の部材である。第2磁性部材は、矩形板状であり、Z軸方向に直線状に延びる平行な2辺を備える。第2磁性部材のZ軸方向の長さ寸法Mは、磁性部材配置凹部48のZ軸方向の長さ寸法Nよりも短い。また、第2磁性部材のZ軸方向の長さ寸法Mは、第2マグネットのZ軸方向の長さ寸法Oよりも長い。第2磁性部材123の厚みは、磁性部材配置凹部48の深さ以下である。従って、磁性部材配置凹部48に第2磁性部材123が配置されたときに、第2磁性部材123は、磁性部材配置凹部48から外周側に突出することがない。
【0059】
磁性部材配置凹部48内には、第2磁性部材123を第2ケース壁42に固定するための溶接痕54が設けられている。すなわち、第2磁性部材123は、溶接によって第2ケース壁42に固定される。第2磁性部材123は、可動体5に保持された第2マグネット121とともに、可動体5をY軸回りの振れ補正における原点位置に位置決めするための磁気バネを構成する。
【0060】
ここで、
図3に示すように、フック46は、磁性部材配置凹部48の底部を内周側に切り起こした切起こし部である。従って、磁性部材配置凹部48の底部は、フック46を切り起こした箇所が開口部46aになっている。開口部46aは、フレキシブルプリント基板15をストッパーケース40に位置決めした後、固定用の接着剤をフレキシブルプリント基板15とストッパーケース40との間に流し込むための接着剤塗布孔として使用される。
【0061】
図2、
図3に示すように、フレームケース30は、カバーボトム20に+Z方向から当接する矩形枠部31と、矩形枠部31の第1軸R1方向の対角位置から+Z方向へ立ち上がる一対の第1縦枠部32と、矩形枠部31の第2軸R2方向の対角位置から+Z方向へ立ち上がる一対の第2縦枠部33を備える。第1縦枠部32および第2縦枠部33は、カバーボトム20の第1軸R1方向の対角位置、および第2軸R2方向の対角位置に設けられた4箇所の第2弾性係合部23を係止する第2係止部24を備える。第2弾性係合部23を第2係止部24に係止することにより、カバーボトム20にフレームケース30が固定される。
【0062】
図2、
図3に示すように、一対の第1縦枠部32は、それぞれ、+Z方向へ延びる板部34と、板部34の幅方向の両側の縁から突出する2本の突部35を備える。また、一対の第2縦枠部33は、それぞれ、+Z方向へ延びる板部36と、板部36の幅方向の両側の縁のZ軸方向の略中央から突出する一対の突起37と、各突起37の+Z方向および-Z方向において板部36の幅方向の両側の縁から突出する4本の突部38を備える。突部35、38は、ストッパーケース40の内面に固定されるフレキシブルプリント基板15に沿ってY軸方向もしくはX軸方向に延びている。
【0063】
図1、
図6に示すように、一対の第1縦枠部32は、それぞれ、板部34の+Z方向の先端がストッパーケース40のケース位置決め孔440に挿入される。また、
図1、
図7に示すように、一対の第2縦枠部33は、それぞれ、板部36の+Z方向の先端がストッパーケース40のケース位置決め孔440に挿入される。本形態では、板部34、36の先端は、溶接によりストッパーケース40に固定される。
【0064】
ここで、
図7に示すように各第2縦枠部33には、第2軸R2上を可動体5の側に突出する第2軸側突部56が設けられる。具体的には、各第2縦枠部33は、板部36を第2軸R2方向に貫通する貫通孔36aと、板部36における貫通孔36aの開口縁から第2軸R2方向を内周側に突出する第2軸側筒部39とを備える。貫通孔36aおよび第2軸側筒部39には、円柱形状の第2軸側シャフト720が保持される。第2軸側シャフト720の内周側の端部分は、板部36から可動体5の側に突出する第2軸側突部56である。第2軸側突部56の先端部分は半球面を備える。第2軸側突部56は、後述するように、ジンバル機構7の第2接続機構72を構成する。ここで、一対の突起37は、第2軸側筒部39の周方向の両側に設けられている。
【0065】
(回転支持機構)
図4、
図6、
図7に示すように、回転支持機構6は、可動体5から-Z方向に突出する軸部61と、ジンバル機構7に支持されて第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転するプレートホルダ63と、プレートホルダ63に軸部61を回転可能に支持させる軸受機構62と、を備える。また、回転支持機構6は、
図3に示すように、プレートホルダ63に固定されて、ホルダをプレートホルダ63の側に吸引する吸着マグネット64を備える。可動体5の軸部61は、光軸Lと同軸である。
【0066】
プレートホルダ63は、非磁性金属製である。
図6に示すように、プレートホルダ63は、軸部61を囲むプレートホルダ筒部65と、プレートホルダ筒部65の+Z方向の端部から外周側へ広がるプレートホルダ環状部66と、プレートホルダ環状部66から第1軸R1方向の両側に突出して+Z方向に屈曲した一対のプレートホルダ延設部67と、を備える。軸受機構62は、ベアリングである。軸受機構62は、軸部61の外周面に設けられた段部610に固定される内輪621と、内輪621の外周側を囲む外輪622と、内輪621と外輪622の間を転動する球体623と、球体623を転動可能に保持する環状のリテーナ624を備える。吸着マグネット64は、環状であり、プレートホルダ環
状部66のホルダ16とは反対側の面に固定されている。吸着マグネット64は、Z軸方向において軸受機構62よりも薄い。吸着マグネット64は、周方向で複数極に分極着磁されている。
【0067】
軸受機構62を介して軸部61とプレートホルダ63とが接続された状態では、プレートホルダ環状部66は、ホルダ16の-Z方向の端面16aと、一定の隙間を開けて対向する。吸着マグネット64は、軸受機構62の径方向外側に位置し、Z軸と直交する方向から見た場合に、軸受機構62の内側に位置する。
【0068】
図6に示すように、一対のプレートホルダ延設部67の先端部は、それぞれ、可動体5の外周側をZ軸方向に延びている。各プレートホルダ延設部67の先端部は、第1軸R1上を内周側へ凹む第1軸側凹部68を備える。第1軸側凹部68は、凹曲面を備える。第1軸側凹部68は、後述するように、ジンバル機構7の第1接続機構71を構成する。
【0069】
(弾性支持部材)
図2に示すように、カバーボトム20は、光軸Lを中心とする円形穴25を備える。円形穴25を挟んで第1軸R1方向に対向する2か所には、円筒形の弾性支持部材9が配置される。弾性支持部材9は、ゴム硬度が10以下の低硬度ゴムからなる。弾性支持部材9は、例えば、ゴム硬度が1ないし3のシリコン系のゴムからなる。ここで、弾性支持部材9は、可動体5の底部に配置された回転支持機構6のプレートホルダ63を介して、可動体5および回転支持機構6の荷重を受ける(
図6参照)。弾性支持部材9は、可動体5および回転支持機構6の荷重が加わることにより、プレートホルダ63とカバーボトム20との間でZ軸方向の高さが10%程度の圧縮率となるように構成されている。弾性支持部材9は、カバーボトム20に固定されるが、プレートホルダ63には固定されていない。
【0070】
弾性支持部材9は、光軸Lを挟んで対称に配置され、カバーボトム20に固定される。本形態では、可動体5の重心は光軸上に位置するので、弾性支持部材9は、可動体5の重心を基準として対称に配置される。従って、弾性支持部材9によって可動体5および回転支持機構6の荷重を受けることにより、可動体5を振れ補正の原点位置に位置決めする際の位置精度を高めることができる。また、低硬度ゴムは防振性材料であるため、落下等による衝撃が加わった際に耐衝撃性を高めることができる。
【0071】
(ジンバル機構)
図2~
図5に示すように、ジンバル機構7は、ジンバルバネ70と、第1接続機構71と、第2接続機構72と、を備える。第1接続機構71は、ジンバルバネ70とプレートホルダ63とを第1軸R1回りに回転可能に接続する。第2接続機構72は、ジンバルバネ70と固定体8とを第2軸R2回りに回転可能に接続する。本例では、第2接続機構72は、ジンバルバネ70とフレームケース30とを接続する。ジンバル機構7が構成されると、可動体5は、ジンバル機構7および回転支持機構6を介して、固定体8に支持される。これにより、可動体5は、光軸L、第1軸R1、および第2軸R2が交差する交点を中心に回転可能となる。
【0072】
ジンバルバネ70は、金属製の板バネである。ジンバルバネ70は、枠状であり、可動体5を外周側から囲む。
図8に示すように、ジンバルバネ70は、可動体5の第1軸R1方向の両側に位置する一対の第1接続部74、可動体5の第2軸R2方向の両側に位置する一対の第2接続部75、および周方向で隣り合う第1接続部74と第2接続部75とを可動体5の外周側で接続する4本の腕部73を有する。
【0073】
各第1接続部74は、板状であり、その厚み方向を第1軸R1方向に向けている。各第2接続部75は板状であり、その厚み方向を第2軸R2方向に向けている。各腕部73は
、第1接続部74の+Z方向の端縁における第2接続部75の側の第1端部分74aと、第2接続部75の+Z方向の端縁における第1接続部74の側の第2端部分75aと、を接続する。ここで、各第1接続部74から周方向の両側に延びる2本の腕部73は、周方向で離間する。従って、各第1接続部74は、+Z方向の端縁の周方向の中央に、腕部73が接続されていない第1中央部分74bを備える。同様に、各第2接続部75から周方向の両側に延びる2本の腕部73は、周方向で離間する。従って、各第2接続部75は、+Z方向の端縁の周方向の中央に、腕部73が接続されていない第2中央部分75bを備える。
【0074】
各腕部73は、第1接続部74の第1端部分74aから+Z方向に向かって周方向を第2接続部75の側に傾斜する第1傾斜部分731と、第2接続部75の第2端部分75aから+Z方向に向かって周方向を第1接続部74の側に傾斜する第2傾斜部分732と、第1傾斜部分731の+Z方向の端部分と第2傾斜部分732の+Z方向の端部分とを接続する接続部分733と、を備える。
【0075】
4本の腕部73のうち、可動体5の-X方向、-Y方向、および+Y方向に位置する3本の腕部73の接続部分733は、それぞれ、第1傾斜部分731の+Z方向の端部分と第2傾斜部分732の+Z方向の端部分との間を、周方向に延びる。3本の腕部73の接続部分733の周方向の中央部分には、-Z方向に窪む屈曲部734が設けられている。
【0076】
4本の腕部73のうち、可動体5の+X方向に位置する腕部73の接続部分733は、可動体5から+X方向へ延びるフレキシブルプリント基板14との干渉を避ける形状を備える。具体的には、接続部分733は、第1傾斜部分731の+Z方向の端部分、および第2傾斜部分732の+Z方向の端部分から、それぞれ+X方向へ屈曲して延びる一対の突出部761、各突出部761の+X方向の先端から-Z方向へ屈曲してZ軸方向へ延びる一対の屈曲部762、Y軸方向に直線状に延びて一対の屈曲部762の-Z方向の先端を接続する直線部763を備える。なお、フレキシブルプリント基板14と干渉しなければ、可動体5の+X方向に位置する腕部73の接続部分733は、他の腕部73の接続部分733と同様に周方向に延びるものとすることができる。
【0077】
ここで、
図6に示すように、各第1接続部74には、第1軸R1上を可動体5の側に突出する第1軸側突部80が設けられる。具体的には、第1接続部74は、第1軸R1に貫通する貫通孔74cと、第1接続部74における貫通孔74cの開口縁から外周側へ突出する第1軸側筒部77と、を備える。貫通孔74cおよび第1軸側筒部77には、円柱形状の第1軸側シャフト710が保持される。第1軸側シャフト710の内周側の端部分は、第1軸側筒部77から径方向内側へ突出する第1軸側突部80である。第1軸側突部80は、内周側の先端部に半球面を備える。また、
図8に示すように、一対の第1接続部74には、第1軸側筒部77の周方向の両側において内周側へ突出する一対の突起78が設けられている。
【0078】
第1接続機構71は、第1軸側突部80の先端部に設けられた半球面が、プレートホルダ延設部67の先端に設けられた第1軸側凹部68の凹曲面に点接触することにより構成される。第1接続機構71が構成されると、プレートホルダ63は、第1軸R1回りに回転可能な状態でジンバルバネ70に支持される。第1軸側突部80が第1軸側凹部68に支持された状態では、一対のプレートホルダ延設部67は、内周側へ撓んでおり、第1軸側突部80に内周側から弾性接触する。
【0079】
第1接続機構71が構成されると、回転支持機構6は、ジンバル機構7により、第1軸R1回りに回転可能に支持される。また、第1接続機構71が構成されると、
図5に示すように、一対の突起78の間にプレートホルダ延設部67が配置される。一対の突起78
は、プレートホルダ延設部67が第1接続部74からZ軸方向に抜けることを規制する抜け防止部である。
【0080】
図5、
図7に示すように、一対の第2接続部75は、それぞれ第2軸R2上を内周側へ凹む第2軸側凹部79を備える。第2軸側凹部79は凹曲面を備える。第2接続機構72は、フレームケース30の各第2縦枠部33に設けられた第2軸側突部56の半球面が第2軸側凹部79の凹曲面に点接触することにより構成される。第2接続機構72が構成されると、ジンバルバネ70は、第2軸R2回りに回転可能な状態で固定体8に支持される。第2軸側凹部79が第2軸側突部56に支持された状態では、一対の第2接続部75は、内周側へ撓んでおり、第2軸側突部56に内周側から弾性接触する。
【0081】
第2接続機構72が構成されると、ジンバル機構7は、固定体8により、第2軸R2回りに回転可能に支持される。また、第2接続機構72が構成されると、
図5に示すように、一対の第2接続部75の先端部は、フレームケース30の第2縦枠部33に設けられた一対の突起37の間に配置される。一対の突起37は、第2接続部75が第2縦枠部33から+Z方向に抜けることを規制する抜け防止部である。
【0082】
ここで、ジンバル機構7および回転支持機構6を介して可動体5と固定体8とが接続された状態では、固定体8の胴部40A、すなわちストッパーケース40の胴部40Aは、可動体5およびジンバルバネ70の径方向外側に位置する。また、
図4、
図6、
図7に示すように、ジンバルバネ70およびホルダ16は、カメラモジュール本体4aの径方向外側で、カメラモジュール本体4aの+Z方向の端面よりも-Z方向に位置する。固定体8は、可動体5の径方向外側で、カメラモジュール本体4aの+Z方向の端面よりも-Z方向に位置する。従って、可動体5およびジンバル機構7の+Z方向の一部は、ストッパーケース40から+Z方向に突出する。
【0083】
(振れ補正用磁気駆動機構およびローリング補正用磁気駆動機構)
図5に示すように、ジンバル機構7および回転支持機構6を介して可動体5が固定体8に支持されると、可動体5の-Y方向の側面に固定された第1マグネット111とストッパーケース40に固定された第1コイル112とが径方向で対向する。これにより、第1マグネット111と第1コイル112とは、第1振れ補正用磁気駆動機構11を構成する。従って、第1コイル112への給電により、可動体5は、X軸回りに回転する。ここで、Y軸方向で、第1マグネット111と第1コイル112とが離間する距離E1(第1距離)は、ホルダ枠部162において第1マグネット111の周方向の隣に設けられた開口部166の周方向の幅寸法D1(
図10参照)よりも短い。
【0084】
また、ジンバル機構7および回転支持機構6を介して可動体5が固定体8に支持されると、可動体5の-X方向の側面に固定された第2マグネット121とストッパーケース40に固定された第2コイル122とが径方向で対向する。これにより、第2マグネット121と第2コイル122とは、第2振れ補正用磁気駆動機構12を構成する。従って、第2コイル122への給電により、可動体5は、Y軸回りに回転する。ここで、X軸方向で、第2マグネット121と第2コイル122とが離間する距離E2(第1距離)は、ホルダ枠部162において第2マグネット121の周方向の隣に設けられた開口部167の周方向の幅寸法D1(
図10参照)よりも短い。
【0085】
さらに、ジンバル機構7および回転支持機構6を介して可動体5が固定体8に支持されると、可動体5の+Y方向の側面に固定されたローリング補正用マグネット131とストッパーケース40に固定されたローリング補正用コイル132とが径方向で対向する。これにより、ローリング補正用マグネット131とローリング補正用コイル132とは、ローリング補正用磁気駆動機構13を構成する。従って、ローリング補正用コイル132へ
の給電により、可動体5は、光軸L回りに回転する。ここで、
図3、
図10に示すように、Y軸方向で、第1マグネット111と第1コイル112とが離間する距離E3(第2距離)は、ホルダ枠部162においてローリング補正用マグネット131の+Z方向の隣に設けられた開口部168のZ軸方向の幅寸法D2よりも短い。
【0086】
また、ジンバル機構7および回転支持機構6を介して可動体5が固定体8に支持されると、径方向から見た場合に、ストッパーケース40の磁性部材配置凹部48と第1マグネット111の着磁分極線111cとが重なる。同様に、磁性部材配置凹部48に配置された第2磁性部材123と、第2マグネット121の着磁分極線121cとが重なる。そして、第1コイル112および第2コイル122への給電がない状態では、第1磁性部材113と第1マグネット111との間に働く磁気吸引力、および第2磁性部材123と第2マグネット121との間に働く磁気吸引力により、可動体5の姿勢は、カメラモジュール4の光軸と基準軸であるZ軸とが一致する基準姿勢となる。
【0087】
さらに、ジンバル機構7および回転支持機構6を介して可動体5が固定体8に支持されると、
図6に示すように、ストッパーケース40において、第1軸R1方向の対角位置から内周側へ突出する第1ケース突起45Aは、ジンバルバネ70の第1接続部74から周方向の両側に延びる2本の腕部73の間に位置する。また、第1ケース突起45Aは、第1接続部74の+Z方向の端縁の第1中央部分74bに、Z軸方向で所定の第1隙間Q1を開けて対向する。さらに、第1ケース突起45Aは、その屈曲部45bが、第1軸方向でホルダ16と僅かな隙間を開けて対向する。また、ストッパーケース40において、第2軸R2方向の対角位置から内周側へ突出する第2ケース突起45Bは、第2接続部75から周方向の両側に延びる2本の腕部73の間に位置する。さらに、第2ケース突起45Bは、第2接続部75の+Z方向の端縁の第2中央部分75bに、Z軸方向で所定の第2隙間Q2を開けて対向する。
【0088】
ここで、一対の第2ケース突起45Bは、可動体5の第1軸R1回りの回転角度範囲を規定する。すなわち、各第2ケース突起45Bは、可動体5が第1軸R1回りの所定の回転角度まで回転したときに、可動体5とともに回転するジンバルバネ70の第2接続部75に回転方向の前方から当接して、ジンバルバネ70がこれ以上第1軸R1回りに回転することを阻止する。従って、第2ケース突起45Bによって可動体5の第1軸R1回りの回転角度範囲を規定できる。
【0089】
また、一対の第1ケース突起45Aは、可動体5の第2軸R2回りの回転角度範囲を規定する。すなわち、各第1ケース突起45Aは、可動体5が第2軸R2回りを所定の回転角度まで回転したときに、可動体5とともに回転するジンバルバネ70の第1接続部74に回転方向の前方から当接して、ジンバルバネ70がこれ以上第2軸R2回りに回転することを阻止する。従って、第1ケース突起45Aによって可動体5の第2軸R2回りの回転角度範囲を規定できる。
【0090】
さらに、一対の第1ケース突起45Aは、外部から衝撃などが加わった場合に、可動体5の第1軸R1方向への移動範囲を規定する。すなわち、外部からの衝撃などにより、可動体5が第1軸R1方向の一方側に移動した場合には、第1軸R1方向の一方側に位置する第1ケース突起45Aの屈曲部45bが移動方向の前方からホルダ16に当接して、可動体5がそれ以上第1軸R1方向の一方側に移動することを規制する。また、外部からの衝撃などにより、可動体5が第1軸R1方向の他方側に移動した場合には、第1軸R1方向の他方側に位置する第1ケース突起45Aの屈曲部45bが、移動方向の前方からホルダ16に当接して、可動体5がそれ以上第1軸R1方向の他方側に移動することを規制する。
【0091】
(作用効果)
本例によれば、可動体5は、カメラモジュール4を径方向外側から囲むホルダ枠部162を備えるホルダ16を有する。ホルダ16は磁性金属製であり、振れ補正用磁気駆動機構10の第1マグネット111および第2マグネット121は、ホルダ枠部162の外側面に固定される。また、振れ補正用磁気駆動機構10の第1コイル112および第2コイル122は固定体8に固定され、径方向で第1マグネット111および第2マグネット121に対向する。これによりホルダ16は振れ補正用磁気駆動機構10のヨークとして機能する。従って、振れ補正用磁気駆動機構10では、可動体5を駆動する駆動力を確保することが容易となる。
【0092】
また、ホルダ枠部162は、周方向で第1マグネット111に隣り合う位置に、周方向から見た場合に第1マグネット111の着磁分極線111cと重なる開口部116を備える。これにより、ホルダ枠部162において周方向で第1マグネット111に隣り合う領域で、着磁分極線111cの一方側から他方側に向かう第1マグネット111の磁束の一部が短絡することを防止或いは抑制できる。従って、第1マグネット111の磁束を、可動体5を駆動する駆動力に効率よく利用できる。同様に、ホルダ枠部162は、周方向で第2マグネット121に隣り合う位置に、周方向から見た場合に第2マグネット121の着磁分極線121cと重なる開口部117を備える。これにより、ホルダ枠部162において周方向で第2マグネット121に隣り合う領域で、着磁分極線121cの一方側から他方側に向かう第2マグネット121の磁束の一部が短絡することを防止或いは抑制できる。従って、第2マグネット121の磁束を、可動体5を駆動する駆動力に効率よく利用できる。
【0093】
さらに、開口部116は、第1マグネット111の第1側壁面111aに沿って設けられている。従って、開口部116に位置決め用の治具を挿入し、治具に第1マグネット111を接触させながらホルダ枠部162に吸着させれば、第1マグネット111を周方向で位置決めできる。同様に、開口部117は、第2マグネット121の第1側壁面111aに沿って設けられている。従って、開口部116に位置決め用の治具を挿入し、治具に第2マグネット121を接触させながらホルダ枠部162に吸着させれば、第2マグネット121を周方向で位置決めできる。
【0094】
また、周方向における開口部116の幅寸法D1は、径方向において第1マグネット111と第1コイル112とが離間する距離E1以上である。従って、第1マグネット111から周方向に向かう磁束を、第1コイル112の側に向かわせることができる。従って、第1マグネット111の磁束がホルダ枠部162で短絡することを、より、抑制しやすい。同様に、周方向における開口部117の幅寸法D1は、径方向において第2マグネット121と第2コイル122とが離間する距離E2以上である。従って、第2マグネット121から周方向に向かう磁束を、第2コイル122の側に向かわせることができる。従って、第2マグネット121の磁束がホルダ枠部162で短絡することを、より、抑制しやすい。
【0095】
さらに、ホルダ枠部162は、開口部116として、第1マグネット111の周方向の一方側に設けられた一方側開口部116aと、他方に設けられた116bを備える。従って、ホルダ枠部162における第1マグネット111の周方向の両側において、第1マグネット111の磁束が短絡することを防止或いは抑制できる。同様に、ホルダ枠部162は、開口部117として、第2マグネット121の周方向の一方側に設けられた一方側開口部117aと、他方に設けられた117bを備える。従って、ホルダ枠部162における第2マグネット121の周方向の両側において、第2マグネット121の磁束が短絡することを防止或いは抑制できる。
【0096】
また、本例において、ホルダ枠部162の外側面において第1マグネット111と重なるマグネット固定領域162aには、複数の凹部164が設けられている。第1マグネット111とマグネット固定領域162aとの間には、接着剤層165が介在する。これにより、接着剤層165を形成する接着剤が凹部164に保持されるので、第1マグネット111をホルダ枠部162に強固に固定できる。同様に、ホルダ枠部162の外側面において第2マグネット121と重なるマグネット固定領域162bには、複数の凹部164が設けられている。第2マグネット121とマグネット固定領域162bとの間には、接着剤層165が介在する。これにより、接着剤層165を形成する接着剤が凹部164に保持されるので、第2マグネット121をホルダ枠部162に強固に固定できる。
【0097】
さらに、複数の凹部164のそれぞれは、Z軸方向に延びる溝である。また、溝のZ軸方向の一方の端は、マグネット固定領域162a、162bの外側に達している。従って、本例では、ホルダ枠部162に対して第1マグネット111および第2マグネット121を吸着させた後に、第1マグネット111および第2マグネット121の+Z方向から接着剤を塗布することにより、第1マグネット111とマグネット固定領域162aとの間および第2マグネット121とマグネット固定領域162bとの間に接着剤層165を形成できる。
【0098】
また、本例では、ジンバル機構7は、回転支持機構6を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転可能に支持することにより、回転支持機構6を介して、可動体5を支持する。従って、可動体5は、光軸L回りに回転可能な状態で、第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転可能となる。よって、可動体5を、光軸L回り、第1軸R1回り、および第2軸R2回りに回転させて、振れ補正を行うことができる。
【0099】
さらに、ローリング補正用磁気駆動機構13は、第1マグネット111および第2マグネット121の周方向に配列されてホルダ枠部162の外側面に固定されたローリング補正用マグネット131と、固定体8に固定され径方向でローリング補正用マグネット131と所定の隙間を開けて対向するローリング補正用コイル132と、を備える。従って、ホルダ16は、可動体5を光軸L回りに駆動するローリング補正用磁気駆動機構13のヨークとして機能する。よって、ローリング補正用磁気駆動機構13が可動体5を駆動する駆動力を確保することが容易となる。
【0100】
また、ローリング補正用マグネット131は、周方向で2極に分極され、その第2着磁分極線がZ軸方向に延びる。ホルダ枠部162は、Z軸方向でローリング補正用マグネット131に隣り合う位置に開口部168を備える。Z軸方向から見た場合に、第2着磁分極線と開口部168とは重なる。これにより、ホルダ枠部162においてZ軸方向でローリング補正用マグネット131に隣り合う領域で、第2着磁分極線の一方側から他方側に向かうローリング補正用マグネット131の磁束の一部が短絡することを防止或いは抑制できる。従って、ローリング補正用マグネット131の磁束を、可動体5を駆動する駆動力に効率よく利用できる。
【0101】
ここで、開口168は、ローリング補正用マグネット131に沿って設けられている。従って、開口部168に位置決め用の治具を挿入し、治具にローリング補正用マグネット131を接触させながらホルダ枠部162に吸着させれば、ローリング補正用マグネット131をZ軸方向で位置決めできる。
【0102】
また、Z軸方向における開口部168の幅寸法D2は、径方向においてローリング補正用マグネット131とローリング補正用コイル132とが離間する離間E3以上である。従って、ローリング補正用マグネット131からZ軸方向に向かう磁束を、径方向に向かわせることが容易となる。従って、ローリング補正用マグネット131の磁束がホルダ枠
部162で短絡することを、より、抑制しやすい。
(変形例)
固定体のストッパーケース40(胴部40A)は、樹脂製としてもよい。この場合には、磁性部材113、123は、接着剤によって胴部40Aに固定される。従って、胴部40Aと磁性部材113、123との間には接着剤層165が設けられる。
【0103】
また、第1接続機構71を構成するために、プレートホルダ延設部67の先端部分に、第1軸R1上を外周側に突出する第1軸側突部80を設け、ジンバルバネの第1接続部74の第1軸R1上に第1軸側突部を回転可能に受け入れる第1軸側凹部を設けてもよい。同様に、第2接続機構72を構成するために、ジンバルバネの第2接続部75の第2軸R1上に第2軸側突部を設け、フレームケース30の各第2縦枠部33の板部36の第2軸R2上に、第2軸側突部を回転可能に受け入れる第2軸側凹部を設けてもよい。
【0104】
ここで、振れ補正として、X軸回りのヨー方向YAW、およびY軸回りのピッチ方向PITCHの補正のみを行う場合には、振れ補正機能付き光学ユニット1から回転支持機構6を省略してもよい。この場合には、振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール4を備える可動体5と、可動体5をカメラモジュール4のレンズの光軸Lと交差する第1軸R1回りに回転可能に支持するとともに、光軸Lおよび第1軸と交差する第2軸R2回りに回転可能に支持するジンバル機構7と、ジンバル機構7を介して可動体5を支持する固定体8と、可動体5を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構10と、を有する。また、この場合には、ホルダ16から軸部61を省略する。また、プレートホルダ63をホルダ16と一体として、可動体5のホルダ16とする。これにより、回転支持機構6を省略できる。
【符号の説明】
【0105】
1…振れ補正機能付き光学ユニット、2…レンズ、3…撮像素子、4…カメラモジュール、4a…カメラモジュール本体、4b…鏡筒部、5…可動体、6…回転支持機構、7…ジンバル機構、8…固定体、9…弾性支持部材、10…振れ補正用磁気駆動機構、11…第1振れ補正用磁気駆動機構、12…第2振れ補正用磁気駆動機構、13…ローリング補正用磁気駆動機構、14…フレキシブルプリント基板、15…給電用のフレキシブルプリント基板、16…ホルダ、16a…ホルダの端面、20…カバーボトム、23…第2弾性係合部、24…第2係止部、25…円形穴、26…第3弾性係合部、27…係合孔、30…フレームケース、31…矩形枠部、32…第1縦枠部、33…第2縦枠部、34、26…板部、35、38…突部、36a…貫通孔、37…突起、39…第2軸側筒部、40…ストッパーケース、40A…胴部、41…第1ケース壁、42…第2ケース壁、43…第3ケース壁、44…端板部、45A…第1ケース突起、45a…延設部、45b…屈曲部、45B…第2ケース突起、46…フック、46a…開口部、47…凹溝、48…磁性部材配置凹部、49…係合孔、50…FPCカバー、52…引っ掛け部、53…係止部、54…溶接痕、56…第2軸側突部、60…胴部、61…軸部、62…軸受機構、63…プレートホルダ、64…吸着マグネット、65…プレートホルダ筒部、66…プレートホルダ環状部、67…プレートホルダ延設部、68…第1軸側凹部、70…ジンバルバネ、71…第1接続機構、72…第2接続機構、73…腕部、74…第1接続部、74a…第1端部分、74b…第1中央部分、74c…貫通孔、75…第2接続部、75a…第2端部分、75b…第2中央部分、77…第1軸側筒部、78…一対の突起、79…第2軸側凹部、80…第1軸側突部、111…第1マグネット、111a…第1側壁面、111b…第2側壁面、111c…着磁分極線、112…第1コイル、113…第1磁性部材、116…開口部、121…第2マグネット、121a…第1側壁面、121b…第2側壁面、121c…着磁分極線、122…第2コイル、123…第2磁性部材、131…ローリング補正用マグネット、131a…第1側壁面、131b…一対の第2側面面、131c…着磁分極線、132…ローリング補正用コイル、151…第1コイル固定部、152…第2
コイル固定部、153…第3コイル固定部、160…切欠き部、161…ホルダ底部、162…ホルダ枠部、162a…マグネット固定領域、162b…マグネット固定領域、162c…マグネット固定領域、163…カメラモジュール収容凹部、163a…ホルダ開口部、164…凹部、165…接着剤層、166…開口部、166a…一方側開口部、166b…他方側開口部、167…開口部、167a…一方側開口部、167b…他方側開口部、168…開口部、440…ケース位置決め孔、610…段部、621…内輪、622…外輪、623…球体、624…リテーナ、710…第1軸側シャフト、720…第2軸側シャフト、731…第1傾斜部分、732…第2傾斜部分、733…接続部分、734…屈曲部、761…突出部、762…屈曲部、763…直線部