IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-加熱調理器 図1A
  • 特許-加熱調理器 図1B
  • 特許-加熱調理器 図2
  • 特許-加熱調理器 図3
  • 特許-加熱調理器 図4
  • 特許-加熱調理器 図5
  • 特許-加熱調理器 図6
  • 特許-加熱調理器 図7
  • 特許-加熱調理器 図8
  • 特許-加熱調理器 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20240731BHJP
   A47J 27/04 20060101ALI20240731BHJP
   A47J 36/18 20060101ALI20240731BHJP
   A47J 36/20 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
A47J27/00 101E
A47J27/00 103Z
A47J27/00 103H
A47J27/04 F
A47J36/18
A47J36/20
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020150616
(22)【出願日】2020-09-08
(65)【公開番号】P2022045111
(43)【公開日】2022-03-18
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】上田 真也
(72)【発明者】
【氏名】宇野 正行
(72)【発明者】
【氏名】源 忠孝
(72)【発明者】
【氏名】中村 達彦
(72)【発明者】
【氏名】村井 隆男
(72)【発明者】
【氏名】平川 功
(72)【発明者】
【氏名】東 幸靖
(72)【発明者】
【氏名】松林 一之
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-172901(JP,A)
【文献】実開平03-103025(JP,U)
【文献】中国実用新案第203735982(CN,U)
【文献】実開昭50-031054(JP,U)
【文献】登録実用新案第3139163(JP,U)
【文献】米国特許第4574776(US,A)
【文献】実公昭40-033802(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
A47J 27/04
A47J 36/18
A47J 36/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋と、
前記鍋の内部に配置される蒸具と、
前記鍋を加熱する加熱部と
を備え、
前記蒸具は、
容器本体と、
前記容器本体に配置され、前記容器本体の内部と前記鍋の内部とを連通する連通部と
を含み、
前記容器本体は、
複数の貫通孔を有する底壁と、
前記底壁から立設する側壁と
を含み、
前記連通部は、鉛直方向と交差する方向に沿って配置される水蒸気の通路と、
前記底壁に設けられた前記貫通孔の周囲から下方に突出する略円筒状の複数の突出部と
を含み、
前記通路は、前記突出部の側壁に配置された貫通孔である、加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
炊飯と蒸し料理とを同時に行う炊飯器が開示されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の炊飯器では、内釜と、蒸し器とを有する。蒸し器の底壁は、網状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-102061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の炊飯器では、内釜に水とレトルトパウチ食品とを入れ、蒸し器に蒸し物が入れられた場合、調理中にレトルトパウチ食品が膨張し水に浮く。その結果、蒸し器の底壁の網目がレトルトパウチ食品で塞がれることがあった。よって、水蒸気が内釜のような鍋の内部から蒸し器のような蒸具の内部に移動することが妨げられた。その結果、蒸し物の調理が不充分であることがあった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、水蒸気が鍋の内部から蒸具の内部に移動することが妨げられない加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、加熱調理器は、鍋と、蒸具と、加熱部とを備える。前記蒸具が、鍋の内部に配置される。前記加熱部は、前記鍋を加熱する。前記蒸具は、容器本体と、前記容器本体に配置され、前記容器本体の内部と前記鍋の内部とを連通する連通部とを含む。前記連通部は、鉛直方向と交差する方向に沿って配置される水蒸気の通路を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の加熱調理器によれば、水蒸気が鍋の内部から蒸具の内部に移動することが妨げられない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本発明の実施形態1の炊飯器の模式的な斜視図である。
図1B】本実施形態1の炊飯器の模式的な斜視図である。
図2】実施形態1の蒸具の斜視図である。
図3】実施形態1の炊飯器の断面図である。
図4】実施形態1の炊飯器の断面図である。
図5】本発明の実施形態2の蒸具の斜視図である。
図6】実施形態2の連通部の拡大図である。
図7】実施形態2の炊飯器の断面図である。
図8】本発明の実施形態3の蒸具の斜視図である。
図9】実施形態3の炊飯器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明に係る炊飯器の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
[実施形態1]
まず、図1を参照して、本発明に係る炊飯器100の実施形態を説明する。図1A及び図1Bは、実施形態1の炊飯器100の模式的な斜視図である。図1Aは、炊飯器100において本体部112に対して蓋114が閉じた状態の模式図であり、図1Bは、炊飯器100において本体部112に対して蓋114が開いた状態の模式図である。なお、実施形態1では、図中に、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を示す。Z軸は鉛直方向に平行であり、X軸及びY軸は水平方向に平行である。X軸の正方向は、炊飯器100の背面側を示す。
【0011】
図1A及び図1Bに示すように、炊飯器100は、本体部112と、蓋114と、加熱部130と、鍋120とを備える。炊飯器100は、加熱調理器の一例である。
【0012】
本体部112は、上方が開放した形状を有する。具体的には、本体部112の上部の中央には、下方に向かう穴が設けられている。穴の形状は、例えば、略円柱状である。
【0013】
鍋120は、例えば、アルミニウム等の高熱伝導部材で形成される。鍋120は、本体部112に対して脱着可能である。具体的には、鍋120は、本体部112の穴に挿入されることにより、本体部112に装着される。鍋120の形状は、穴の形状に対応し、例えば、円形の底壁を有する略円筒状である。具体的には、鍋120は、底壁120aと、側壁120bとを有する。側壁120bは、底壁120aの周縁部から上方に向かって延びている。
【0014】
加熱部130は、本体部112に装着された鍋120を加熱する。具体的には、加熱部130は、鍋120と対向する。詳細には、加熱部130は、本体部112の下部に配置される。具体的には、加熱部130は、誘導加熱コイルを含んでもよい。誘導加熱コイルは、巻線から形成される。
【0015】
蓋114は、本体部112の穴に対して開閉自在に設けられる。具体的には、蓋114の一端は、本体部112の上部の一端に取り付けられる。蓋114の一端は、Y軸方向に沿って延びている。蓋114の一端が回転軸部となり、蓋114は本体部112に対して回動する。蓋114が本体部112に対して開くことにより、鍋120が露出される。一方、蓋114が本体部112に対して閉じることにより、鍋120は蓋114に覆われる。
【0016】
また、蓋114は、水蒸気の排出孔114aを有する。排出孔114aは、蓋114の上面から下面まで貫通する。排出孔114aは、蓋114の背面側に配置されている。排出孔114aは、ボール弁を有する。ボール弁は、排出孔114aを開閉する。詳細には、鍋120の内部の蒸気圧が所定値以上になると、水蒸気はボール弁を押し上げ、排出孔114aから排出される。なお、排出孔114aは、ボール弁を有しなくてもよい。
【0017】
ここで、炊飯器100で調理する調理方法について説明する。炊飯器100で米を炊く場合には、鍋120には米及び水が入れられる。蓋114が本体部112に対して閉められる。加熱部130が鍋120を加熱することにより、鍋120の内部で水蒸気が発生する。鍋120の内部の蒸気圧が所定値以上になると、水蒸気の内の一部の水蒸気は、排出孔114aを介して外部に排出される。
【0018】
一方、炊飯器100でレトルトパウチ食品を調理する場合には、鍋120にはレトルトパウチ食品及び水が入れられる。レトルトパウチ食品は、例えば、食材が入れられた袋(例えば、耐熱ビニールパック)である。蓋114が本体部112に対して閉められる。加熱部130が鍋120を加熱することにより、鍋120の内部で水蒸気が発生する。鍋120の内部の蒸気圧が所定値以上になると、水蒸気の内の一部の水蒸気は、排出孔114aを介して外部に排出される。
【0019】
続けて、図2を参照して、実施形態1の蒸具210を説明する。図2は、実施形態1の蒸具210の斜視図である。図2に示すように、炊飯器100は、蒸具210を更に備える。蒸具210は、容器本体220と、連通部230とを含む。
【0020】
容器本体220は、第1方向D1が開放した形状を有する。具体的には、容器本体220の形状は、例えば、円形の底壁を有する略円筒状である。第1方向D1は、容器本体220の開放された側を示し、Z軸の正方向を示す。以下、第1方向D1を上方ともいう。更に具体的には、容器本体220は、底壁221と、側壁222と、フランジ部223とを含む。
【0021】
底壁221は、湾曲面であり、周縁部から中央部に向かって上方に突出する度合いが徐々に大きくなっている。その結果、蒸具210の内部の食材から放出された液体等は、中央部から周縁部に移動する。よって、食材は、液体に浸漬されることを抑制できる。
【0022】
側壁222は、底壁221から立設する。詳細には、側壁222は、底壁221の周縁部から上方に向かって延びている。
【0023】
フランジ部223は、側壁222の上部に配置される。フランジ部223は、側壁222の上部から外方に向かって突出する。具体的には、フランジ部223の形状は、略円環状である。
【0024】
連通部230は、容器本体220に配置される。連通部230は、水蒸気の通路231を含む。通路231は、鉛直方向と交差する方向に沿って配置される。具体的には、通路231は、鉛直方向と直交する方向に沿って配置される。
【0025】
実施形態1では、通路231は、側壁222に配置された貫通孔231である。貫通孔231は、容器本体220の内部と外部とを連通する。貫通孔231の形状は、略円柱状である。
【0026】
詳細には、連通部230は、複数の貫通孔231を含む。例えば、連通部230は、10個の貫通孔231を含む。
【0027】
側壁222は、第1領域222aと、第2領域222bとを有する。第1領域222aには、複数の貫通孔231が配置される。第2領域222bには、貫通孔231が配置されない。例えば、側壁222は、2つの第1領域222aと、2つの第2領域222bとを有する。2つの第1領域222aは、対向する。また、2つの第1領域222aの各々には、5個の貫通孔231が配置される。
【0028】
続けて図3を参照して、実施形態1の炊飯器100を説明する。図3は、実施形態1の炊飯器100の断面図である。図3に示すように、蒸具210は、鍋120に対して脱着可能である。具体的には、蒸具210のフランジ部223が、鍋120の側壁120bの上部に載置されることにより、蒸具210は鍋120に装着される。
【0029】
具体的には、蒸具210は鍋120の内部に配置される。詳細には、蒸具210の側壁222と鍋120とが離隔して、蒸具210は鍋120の内部に配置される。更に詳細には、底壁221と底壁120aとの間の距離が第1距離LAであり、側壁222と側壁120bとの間の距離が第2距離LBであるように、蒸具210は鍋120の内部に配置される。その結果、貫通孔231は、容器本体220の内部と鍋120の内部とを連通する。
【0030】
続けて図4を参照して、炊飯器100で、蒸し物SBを蒸すことと、レトルトパウチ食品SAを調理することとを同時に行う調理方法について説明する。図4は、実施形態1の炊飯器100の断面図である。
【0031】
図4に示すように、鍋120にはレトルトパウチ食品SA及び水WAが入れられる。蒸具210には、複数の蒸し物SBが入れられる。蒸具210は鍋120の内部に配置される。蓋114は本体部112に対して閉められる。加熱部130が鍋120を加熱することにより、鍋120の内部で水蒸気WSが発生する。また、レトルトパウチ食品SAが膨張し水WAに浮き、底壁221と接触する。水蒸気WSは、側壁222と側壁120bとの間を通過し、複数の貫通孔231を介して鍋120の内部から蒸具210の内部に移動する。蒸し物SBは、水蒸気WSで蒸される。鍋120の内部の蒸気圧が所定値以上になると、水蒸気WSは、排出孔114aを介して外部に排出される。
【0032】
以上、図1から図4を参照して説明したように、実施形態1によれば、連通部230は、鉛直方向と交差する方向に沿って配置される水蒸気WSの通路231を含む。例えば、レトルトパウチ食品SAが底壁221と接触した場合にも、水蒸気WSが、通路231を介して鍋120の内部から蒸具210の内部に移動できる。換言すれば、水蒸気WSが鍋120の内部から蒸具210の内部に移動することが妨げられない。よって、複数の蒸し物SBの調理が不充分であることを抑制できる。
【0033】
また、通路231は、側壁222に配置された貫通孔231である。その結果、蒸具210を容易に製造できる。更に、炊飯器100で、蒸し物SBを蒸すことと、米を炊くこととを同時に行った場合、複数の蒸し物SBから放出された液体等が、米に向かって滴下することを抑制できる。その結果、複数の蒸し物SBから放出された液体等が付着していない米を作製できる。
【0034】
更に詳細には、図2に示すように、蒸具210は、位置決部240を更に含むことが好ましい。位置決部240は、鍋120に対する位置を定める。具体的には、位置決部240は、側壁222の上部から内方に向かって突出する一対の突起部241である。一対の突起部241は、対向する。詳細には、一対の突起部241の下方に、それぞれ、一対の第1領域222aが配置されている。ユーザは、一対の突起部241と排出孔114aとが離隔するように、一対の突起部241を配置する。換言すれば、貫通孔231と排出孔114aとが離隔するように、位置決部240は鍋120に対する蒸具210の位置を定める。その結果、水蒸気WSが、排出孔114aから外部に排出されるまでに、水蒸気WSが蒸し物SBに接触する。よって、複数の蒸し物SBの調理が不充分であることを、より抑制できる。
【0035】
[実施形態2]
次に、図5を参照して、本発明の実施形態2に係る炊飯器100を説明する。図5は、実施形態2の蒸具310の斜視図である。図5の蒸具310は、連通部330が底壁321に配置される点を除いて、図2を参照して上述した説明と同様であり、重複する説明を省略する。
【0036】
図5に示すように、炊飯器100は、蒸具310を更に備える。蒸具310は、容器本体320と、連通部330とを含む。
【0037】
容器本体320は、第1方向D1が開放した形状を有する。具体的には、容器本体320の形状は、例えば、円形の底壁を有する略円筒状である。第1方向D1は、容器本体320の開放された側を示す。更に具体的には、容器本体320は、底壁321と、側壁322と、フランジ部323とを含む。
【0038】
底壁321は、複数の貫通孔321aを含む。複数の貫通孔321aの各々は、容器本体320の内部と外部とを連通する。貫通孔321aの形状は、略円柱状である。
【0039】
側壁322は、底壁321から立設する。詳細には、側壁322は、底壁321の周縁部から上方に向かって延びている。
【0040】
フランジ部323は、側壁322の上部に配置される。フランジ部323は、側壁322の上部から外方に向かって突出する。具体的には、フランジ部323の形状は、略円環状である。
【0041】
続けて図5及び図6を参照して、連通部330について説明する。図6は、連通部330の拡大図である。図5及び図6に示すように、連通部330は、突出部331を含む。突出部331は、底壁321から下方に突出する。具体的には、突出部331は、底壁321から第1方向D1と逆方向に突出する。詳細には、連通部330は、複数の突出部331を含む。複数の突出部331は、それぞれ、複数の貫通孔321aを囲む。具体的には、突出部331は、略円筒状の側壁332を含む。側壁332は、底壁321から下方に向かって延びている。
【0042】
連通部330は、水蒸気の通路333を更に含む。通路333は、鉛直方向と交差する方向に沿って配置される。具体的には、通路333は、鉛直方向と直交する方向に沿って配置される。
【0043】
実施形態2では、通路333は、側壁332に配置された貫通孔333である。具体的には、側壁332の一部は切り欠けられて、貫通孔333は側壁332に配置される。貫通孔333は、容器本体320の内部と外部とを連通する。
【0044】
続けて図7を参照して、実施形態2の炊飯器100を説明する。図7は、実施形態2の炊飯器100の断面図である。図7に示すように、蒸具310は、鍋120に対して脱着可能である。具体的には、蒸具310のフランジ部323が、鍋120の側壁120bの上部に載置されることにより、蒸具310は鍋120に装着される。
【0045】
具体的には、蒸具310は鍋120の内部に配置される。詳細には、底壁321と底壁120aとの間の距離が第1距離LAであるように、蒸具310は鍋120の内部に配置される。
【0046】
続けて、炊飯器100で、蒸し物を蒸すことと、レトルトパウチ食品を調理することとを同時に行う調理方法について説明する。
【0047】
鍋120にはレトルトパウチ食品及び水が入れられる。蒸具310には、複数の蒸し物が入れられる。蒸具310は鍋120の内部に配置される。蓋114は本体部112に対して閉められる。加熱部130が鍋120を加熱することにより、鍋120の内部で水蒸気WSが発生する。
【0048】
レトルトパウチ食品が突出部331と接触しない場合には、水蒸気WSは、上方に向かって移動する。水蒸気WSは、複数の貫通孔321aを介して鍋120の内部から蒸具310の内部に移動する。蒸し物は、水蒸気WSで蒸される。鍋120の内部の蒸気圧が所定値以上になると、水蒸気WSは、排出孔114aを介して外部に排出される。
【0049】
一方、レトルトパウチ食品が膨張し水に浮き、複数の突出部331と接触した場合には、水蒸気WSは、レトルトパウチ食品と底壁321との間を通過し、複数の貫通孔333を介して鍋120の内部から蒸具310の内部に移動する。蒸し物SBは、水蒸気WSで蒸される。鍋120の内部の蒸気圧が所定値以上になると、水蒸気WSは、排出孔114aを介して外部に排出される。その結果、複数の蒸し物の調理が不充分であることを抑制できる。
【0050】
[実施形態3]
次に、図8を参照して、本発明の実施形態3に係る炊飯器100を説明する。図8は、実施形態3の蒸具410の斜視図である。図8の蒸具410は、通路431が底壁421に配置される点を除いて、図2を参照して上述した説明と同様であり、重複する説明を省略する。
【0051】
図8に示すように、炊飯器100は、蒸具410を更に備える。蒸具410は、容器本体420と、連通部430とを含む。
【0052】
容器本体420は、第1方向D1が開放した形状を有する。具体的には、容器本体420の形状は、例えば、円形の底壁を有する略円筒状である。第1方向D1は、容器本体420の開放された側を示す。更に具体的には、容器本体420は、底壁421と、側壁422と、フランジ部423とを含む。
【0053】
側壁422は、底壁421から立設する。詳細には、側壁422は、底壁421の周縁部から上方に向かって延びている。
【0054】
フランジ部423は、側壁422の上部に配置される。フランジ部423は、側壁422の上部から外方に向かって突出する。具体的には、フランジ部423の形状は、略円環状である。
【0055】
連通部430は、突出部431を含む。突出部431は、底壁421に沿って配置され、底壁421に対して上方に突出する。
【0056】
連通部430は、水蒸気の通路431を更に含む。通路431は、鉛直方向と交差する方向に沿って配置される。具体的には、通路431は、鉛直方向と直交する方向に沿って配置される。実施形態3では、通路431は、突出部431によって形成される。
【0057】
具体的には、突出部431は、複数の円環突出部432と、複数の連結突出部433とを含む。複数の円環突出部432の各々の形状は、側面視で略半円柱状であり、平面視で略円環状である。更に具体的には、複数の円環突出部432は、第1円環突出部432aと、第2円環突出部432bと、第3円環突出部432cとを含む。中心から第2円環突出部432bまでの距離は、中心から第1円環突出部432aまでの距離より大きい。中心から第3円環突出部432cまでの距離は、中心から第2円環突出部432bまでの距離より大きい。
【0058】
また、複数の連結突出部433の各々の形状は、略半円柱状である。具体的には、複数の連結突出部433は、第1連結突出部433aと、第2連結突出部433bと、第3連結突出部433cとを含む。第1連結突出部433aは、第1円環突出部432aと第2円環突出部432bとの間に配置される。第2連結突出部433bは、第2円環突出部432bと第3円環突出部432cとの間に配置される。第3連結突出部433cは、第3円環突出部432cと側壁422との間に配置される。換言すれば、第3連結突出部433cは、底壁421に沿って側壁422まで延びる。
【0059】
連通部430は、突出部431に配置された貫通孔440を更に含む。貫通孔440は、容器本体420の内部と外部とを連通する。貫通孔440の形状は、略円柱状である。具体的には、連通部430は、複数の貫通孔440を含む。詳細には、複数の貫通孔440は、第1円環突出部432aと第2円環突出部432bと第3円環突出部432cとに配置される。
【0060】
続けて図9を参照して、実施形態3の炊飯器100を説明する。図9は、実施形態3の炊飯器100の断面図である。図9に示すように、蒸具410は、鍋120に対して脱着可能である。具体的には、蒸具410のフランジ部423が、鍋120の側壁120bの上部に載置されることにより、蒸具410は鍋120に装着される。
【0061】
具体的には、蒸具410は鍋120の内部に配置される。詳細には、底壁421と底壁120aとの間の距離が第1距離LAであり、側壁422と側壁120bとの間の距離が第2距離LBであるように、蒸具410は鍋120の内部に配置される。
【0062】
続けて、炊飯器100で、蒸し物を蒸すことと、レトルトパウチ食品を調理することとを同時に行う調理方法について説明する。
【0063】
鍋120にはレトルトパウチ食品及び水が入れられる。蒸具410には、複数の蒸し物が入れられる。蒸具410は鍋120の内部に配置される。蓋114は本体部112に対して閉められる。加熱部130が鍋120を加熱することにより、鍋120の内部で水蒸気WSが発生する。
【0064】
レトルトパウチ食品が底壁421と接触しない場合には、水蒸気WSは、上方に向かって移動する。水蒸気WSは、複数の貫通孔440を介して鍋120の内部から蒸具410の内部に移動する。蒸し物は、水蒸気WSで蒸される。鍋120の内部の蒸気圧が所定値以上になると、水蒸気WSは、排出孔114aを介して外部に排出される。
【0065】
一方、レトルトパウチ食品が膨張し水に浮き、底壁421と接触した場合には、水蒸気WSは、レトルトパウチ食品と突出部431との間を通過し、複数の貫通孔440を介して鍋120の内部から蒸具410の内部に移動する。蒸し物は、水蒸気WSで蒸される。鍋120の内部の蒸気圧が所定値以上になると、水蒸気WSは、排出孔114aを介して外部に排出される。換言すれば、水蒸気WSが鍋120の内部から蒸具410の内部に移動することが妨げられない。よって、複数の蒸し物の調理が不充分であることを抑制できる。
【0066】
更に詳細には、第3連結突出部433cは、底壁421に沿って側壁422まで延びる。その結果、水蒸気WSは、側壁422と側壁120bとの間を通過し、突出部431に移動できる。よって、水蒸気WSが鍋120の内部から蒸具410の内部に移動することが、より妨げられない。
【0067】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、加熱調理器の分野に有用である。
【符号の説明】
【0069】
100 炊飯器(加熱調理器)
120 鍋
130 加熱部
210 蒸具
220 容器本体
230 連通部
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9