(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20240731BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
B25J13/08 A
B25J13/00 Z
(21)【出願番号】P 2020150648
(22)【出願日】2020-09-08
【審査請求日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2020130677
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝俣 翠
(72)【発明者】
【氏名】川崎 栄嗣
(72)【発明者】
【氏名】石毛 隆晴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 朋紀
(72)【発明者】
【氏名】瀬畑 麻美
(72)【発明者】
【氏名】清澤 大地
(72)【発明者】
【氏名】小澤 航太朗
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-118129(JP,A)
【文献】特開2016-115257(JP,A)
【文献】特開2004-114178(JP,A)
【文献】特開2012-198717(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0252078(US,A1)
【文献】特開2010-257451(JP,A)
【文献】国際公開第2019/102619(WO,A1)
【文献】特開2016-157178(JP,A)
【文献】特開2006-301924(JP,A)
【文献】特開2014-014899(JP,A)
【文献】特開2011-194507(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108748172(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自機との相対的な位置により通行人を
自機に隣接する所定距離範囲のエリアである対話エリアにいる通行人、自機からみて該対話エリアの外側に隣接する所定距離範囲のエリアである集客エリアにいる通行人、及び自機からみて該集客エリアの外側に隣接する所定距離範囲のエリアである挨拶エリアにいる通行人のいずれかに分類し、該通行人に対して該分類に応じた行動をするロボット。
【請求項2】
前記通行人の動作と前記位置との組合せに応じて該通行人を複数に分類する
請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記通行人の動作に、自機を見る動作が含まれるか否かに応じて該通行人を分類する
請求項2に記載のロボット。
【請求項4】
前記通行人の動作に、自機に向かって移動する動作が含まれるか否かに応じて該通行人を分類する
請求項2又は3に記載のロボット。
【請求項5】
前記通行人の動作に、自機を利用した後で自機から離れて移動する動作が含まれるか否かに応じて該通行人を分類する
請求項2から4のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項6】
前記対話エリアにいる通行人と対話し、前記集客エリアにいる通行人に自機の機能を提示し、前記挨拶エリアにいる通行人に自機の存在を通知する
請求項
1に記載のロボット。
【請求項7】
複数に分類された前記通行人のそれぞれに対する行動を、該通行人と自機との距離が近いものほど優先する
請求項1から6のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項8】
前記通行人を識別し、該通行人に対して識別した結果に応じた行動をする
請求項1から7のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項9】
面会の予定を管理する予定管理サーバに、前記通行人を識別した前記結果を送信して対応する前記予定を要求し、該通行人に前記面会の予定がある場合に、該面会に関する担当者に通知する
請求項8に記載のロボット。
【請求項10】
感染症の陽性者の識別情報を管理する陽性者管理サーバに、前記通行人を識別した前記結果を送信して該通行人が前記陽性者であるか否かの判断を要求し、該判断の結果に応じた行動をする
請求項8又は9に記載のロボット。
【請求項11】
前記通行人の顔を示す画像を用いて、該通行人を識別する
請求項8から10のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項12】
前記通行人が所持する端末から受信した信号を用いて、該通行人を識別する
請求項8から11のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項13】
前記通行人の状態を診断し、該通行人に対して診断した結果に応じた行動をする
請求項1から12のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項14】
前記通行人の体温を測定し、該体温に基づいて前記状態を診断する
請求項13に記載のロボット。
【請求項15】
前記通行人の顔を示す画像を解析して、該通行人のマスクの着用の有無を示す前記状態を診断する
請求項13又は14に記載のロボット。
【請求項16】
前記通行人と接触せずに、該通行人からの指示を受付ける
請求項1から15のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項17】
複数の前記通行人どうしの距離を測定し、該距離が閾値未満である場合に警告する
請求項1から16のいずれか1項に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者を案内するロボットの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者を案内するロボットの技術が開発されている。特許文献1は、利用者の行動を検知するためのセンサ部と、センサ部の出力情報を参照し、利用者がロボットに働きかける意志があるか否かを判断する判断部と、判断部により利用者がロボットに働きかける意志があると判断された第1の場合と、判断部により利用者がロボットに働きかけを行っていないと判断され且つロボットが利用者に注意喚起を行う第2の場合とで、異なる制御態様でロボットの駆動部の制御を行う制御部と、を備えるロボット制御装置を開示している。
【0003】
また、特許文献2は、ユーザに対する案内データを記憶し、時系列に連続した複数のフレーム画像を取得して、取得したそれらフレーム画像を分析して、ユーザの見ている向きと、移動方向とを特定して、それらに基づいて、案内を行う案内ロボット制御システムを開示している。
【0004】
また、特許文献3は、設定された特定範囲となる視聴エリアに集まる視聴者の人数を監視し、その人数の増減に基づきコンテンツを評価して、その結果に基づきロボットが実行するコンテンツを決定するロボット制御装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-193149号公報
【文献】特開2017-159410号公報
【文献】特開2018-51648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来のロボットは、公共の空間における通行人を、自機との相対的な位置により分類して、そのそれぞれに対する働きかけを変えることがなかった。
【0007】
本発明の目的の一つは、駅や街頭といった公共の空間で不特定多数の通行人の中から、自機との相対的な位置により興味を示す人と興味を示さない人とを区別して対応するロボットを提供すること、である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明は、自機との相対的な位置により通行人を複数に分類し、該通行人に対して該分類に応じた行動をするロボットを、第1の態様として提供する。
【0009】
第1の態様のロボットによれば、駅や街頭といった公共の空間で不特定多数の通行人の中から、興味を示す人と興味を示さない人とを、その人の自機との相対的な位置により区別して対応することができる。
【0010】
第1の態様のロボットにおいて、前記通行人の動作と前記位置との組合せに応じて該通行人を複数に分類する、という構成が第2の態様として採用されてもよい。
【0011】
第2の態様のロボットによれば、公共の空間で不特定多数の通行人の中から、興味を示す人と興味を示さない人とを、その人の位置と動作との組合せにより区別して対応することができる。
【0012】
第2の態様のロボットにおいて、前記通行人の動作に、自機を見る動作が含まれるか否かに応じて該通行人を分類する、という構成が第3の態様として採用されてもよい。
【0013】
第3の態様のロボットによれば、自機を見るか否かにより、不特定多数の通行人を、自機に興味を示す人と興味を示さない人とに区別することができる。
【0014】
第2又は第3の態様のロボットにおいて、前記通行人の動作に、自機に向かって移動する動作が含まれるか否かに応じて該通行人を分類する、という構成が第4の態様として採用されてもよい。
【0015】
第4の態様のロボットによれば、自機に向かって移動するか否かにより、不特定多数の通行人を、自機に興味を示す人と興味を示さない人とに区別することができる。
することができる。
【0016】
第2から第4のいずれか1の態様のロボットにおいて、前記通行人の動作に、自機を利用した後で自機から離れて移動する動作が含まれるか否かに応じて該通行人を分類する、という構成が第5の態様として採用されてもよい。
【0017】
第5の態様のロボットによれば、自機を利用した後で自機から離れて移動する通行人に対して、他の通行人と区別することができる。
【0018】
第1から第5のいずれか1の態様のロボットにおいて、前記通行人を、自機に隣接する所定距離範囲のエリアである対話エリアにいる通行人、自機からみて該対話エリアの外側に隣接する所定距離範囲のエリアである集客エリアにいる通行人、及び自機からみて該集客エリアの外側に隣接する所定距離範囲のエリアである挨拶エリアにいる通行人のいずれかに分類する、という構成が第6の態様として採用されてもよい。
【0019】
第6の態様のロボットによれば、対話エリア、集客エリア、挨拶エリアのそれぞれにいる通行人を区別することができる。
【0020】
第6の態様のロボットにおいて、前記対話エリアにいる通行人と対話し、前記集客エリアにいる通行人に自機の機能を提示し、前記挨拶エリアにいる通行人に自機の存在を通知する、という構成が第7の態様として採用されてもよい。
【0021】
第7の態様のロボットによれば、対話エリア、集客エリア、挨拶エリアのそれぞれにいる通行人に対して、その通行人に応じた行動をすることができる。
【0022】
第1から第7のいずれか1の態様のロボットにおいて、複数に分類された前記通行人のそれぞれに対する行動を、該通行人と自機との距離が近いものほど優先する、という構成が第8の態様として採用されてもよい。
【0023】
第8の態様のロボットによれば、自機との距離が近い通行人ほど優先して応対することができる。
第1から第8のいずれか1の態様のロボットにおいて、前記通行人を識別し、該通行人に対して識別した結果に応じた行動をする、という構成が第9の態様として採用されてもよい。
第9の態様のロボットによれば、公共の空間で不特定多数の通行人を識別し、その識別の結果に応じて行動をすることができる。
第9の態様のロボットにおいて、面会の予定を管理する予定管理サーバに、前記通行人を識別した前記結果を送信して対応する前記予定を要求し、該通行人に前記面会の予定がある場合に、該面会に関する担当者に通知する、という構成が第10の態様として採用されてもよい。
第10の態様のロボットによれば、通行人に面会の予定がある担当者に、通行人が来たことを通知することができる。
第9又は第10の態様のロボットにおいて、感染症の陽性者の識別情報を管理する陽性者管理サーバに、前記通行人を識別した前記結果を送信して該通行人が前記陽性者であるか否かの判断を要求し、該判断の結果に応じた行動をする、という構成が第11の態様として採用されてもよい。
第11の態様のロボットによれば、識別された通行人が感染症の陽性者であるか否かに応じた行動をすることができる。
第9から第11のいずれか1の態様のロボットにおいて、前記通行人の顔を示す画像を用いて、該通行人を識別する、という構成が第12の態様として採用されてもよい。
第12の態様のロボットによれば、通行人の顔を示す画像により、その通行人を識別することができる。
第9から第12のいずれか1の態様のロボットにおいて、前記通行人が所持する端末から受信した信号を用いて、該通行人を識別する、という構成が第13の態様として採用されてもよい。
第13の態様のロボットによれば、通行人が所持する端末から受信した信号により、その通行人を識別することができる。
第1から第13のいずれか1の態様のロボットにおいて、前記通行人の状態を診断し、該通行人に対して診断した結果に応じた行動をする、という構成が第14の態様として採用されてもよい。
第14の態様のロボットによれば、通行人の状態に応じた行動をすることができる。
第14の態様のロボットにおいて、前記通行人の体温を測定し、該体温に基づいて前記状態を診断する、という構成が第15の態様として採用されてもよい。
第15の態様のロボットによれば、通行人の体温により、その通行人の状態を診断することができる。
第14又は第15の態様のロボットにおいて、前記通行人の顔を示す画像を解析して、該通行人のマスクの着用の有無を示す前記状態を診断する、という構成が第16の態様として採用されてもよい。
第16の態様のロボットによれば、通行人がマスクを着用しているか否かを診断することができる。
第1から第16のいずれか1の態様のロボットにおいて、前記通行人と接触せずに、該通行人からの指示を受付ける、という構成が第17の態様として採用されてもよい。
第17の態様のロボットによれば、通行人からの接触を避けつつ、その通行人から指示を受付けることができる。
第1から第17のいずれか1の態様のロボットにおいて、複数の前記通行人どうしの距離を測定し、該距離が閾値未満である場合に警告する、という構成が第18の態様として採用されてもよい。
第18の態様のロボットによれば、通行人どうしの距離が閾値未満にならないよう、それら通行人に警告することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係るロボット1の外観を示す図。
【
図4】エリア定義表121により定義されるエリアの例を示す図。
【
図9】プロセッサ11が行う動作の流れの例を示すフロー図。
【
図10】変形例に係る案内システム9の全体構成の例を示す図。
【
図11】変形例に係るロボット1aの構成の例を示す図。
【
図12】ロボット1aのメモリ12が記憶する行動DB123aの例を示す図。
【
図13】変形例における予定管理サーバ2の構成の例を示す図。
【
図16】変形例におけるロボット1aの機能的構成の例を示す図。
【
図17】変形例に係るロボット1aのプロセッサ11が行う動作の流れの例を示すフロー図。
【
図18】変形例に係る案内システム9bの全体構成の例を示す図。
【
図22】変形例における陽性者管理サーバ5の構成の例を示す図。
【
図24】変形例に係るロボット1bのプロセッサ11が行う動作の流れの例を示すフロー図。
【
図25】変形例におけるロボット1cの機能的構成の例を示す図。
【
図26】変形例におけるロボット1dの機能的構成の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<実施形態>
<ロボットの構成>
図1は、本発明の実施形態に係るロボット1の外観を示す図である。また、
図2は、ロボット1の構成の例を示す図である。本発明の実施形態に係るロボット1は、駅や街頭等の公共の空間に設置され、近づく人等に各種の案内をするロボットである。
【0026】
図2に示すロボット1は、プロセッサ11、メモリ12、インタフェース13、操作部14、及び表示部15を有する。これらの構成は、例えばバスで、互いに通信可能に接続されている。
【0027】
プロセッサ11は、メモリ12に記憶されているプログラムを読出して実行することによりロボット1の各部を制御する。プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0028】
インタフェース13は、有線又は無線により、各種のデバイスと通信可能に接続するインタフェースである。
図2に示すインタフェース13は、これらのデバイスとして、カメラ131、スピーカ132、センサ133、及びマイク134を有する。
【0029】
なお、このインタフェース13は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、又はこれらの組合せである通信回線(図示せず)を介して、上述したデバイスをロボット1に通信可能に接続してもよい。この場合、上述した通信回線は、公衆交換通信網(PSTN:Public Switched Telephone Networks)やサービス統合デジタル網(ISDN:Integrated Services Digital Network)等を含むものでもよい。
【0030】
カメラ131は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサや、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の撮像素子等を備え、ロボット1の周囲を撮像し、撮像した画像を示す画像データをプロセッサ11に供給する。カメラ131は、例えば、デジタルスチルカメラや、デジタルビデオカメラである。
図1に示すカメラ131は、ロボット1の筐体のうち、頭を模した球体の内部に設置され、この球体の壁面の一部に設けられたガラス越しに周囲を撮像する。
【0031】
スピーカ132は、プロセッサ11の制御の下、音声を出力する。
図1に示すスピーカ132は、ロボット1の筐体のうち、上述した球体の下部で、首を模した筒体の内部に設置されている。
【0032】
センサ133は、赤外線等により、ロボット1の周囲に存在する人を検知する。また、センサ133は、ロボット1の周囲に存在する人と自機との相対的な距離を計測する。センサ133は、例えば、人感センサや三次元距離センサである。
図1に示すセンサ133は、人感センサ、及び三次元距離センサの両方を含み、ロボット1の筐体のうち、上述の筒体の内部に設置されている。
【0033】
マイク134は、ロボット1の周囲の音を収集し、その音を示す音データをプロセッサ11に供給する。
図1に示すマイク134は、ロボット1の筐体のうち、上述の筒体の内部に設置されている。
【0034】
操作部14は、各種の指示をするための操作ボタン、キーボード、タッチパネル、マウス等の操作子を備えており、操作を受付けてその操作内容に応じた信号をプロセッサ11に送る。
【0035】
表示部15は、液晶ディスプレイ等の表示画面を有しており、プロセッサ11の制御の下、画像を表示する。
図1に示す表示部15は、上述の筒体の下方であって、胴体を模した箱に設置されている。この表示部15の表示画面の上には、操作部14の透明のタッチパネルが重ねて配置されている。なお、ロボット1は、操作部14及び表示部15を有しなくてもよい。
【0036】
メモリ12は、プロセッサ11に読み込まれるオペレーティングシステム、各種のプログラム、データ等を記憶する記憶手段である。メモリ12は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を有する。なお、メモリ12は、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等を有してもよい。
【0037】
また、メモリ12は、エリア定義表121、動作定義表122、行動DB123、及び発話DB124を記憶する。
【0038】
図3は、エリア定義表121の例を示す図である。エリア定義表121は、ロボット1が設置されている公共の空間を、ロボット1との相対的な位置により複数のエリアに区画して、それぞれを定義する条件を記憶する表である。エリア定義表121のエリアIDの欄は、エリアを識別する識別情報であるエリアIDを記述する欄である。エリア名の欄は、対応するエリアIDで識別されるエリアの名称であるエリア名を記述する欄である。相対位置条件の欄は、対応するエリアIDで識別されるエリアに含まれる範囲を、ロボット1との相対的な位置により定めた条件を記述する欄である。
【0039】
図4は、エリア定義表121により定義されるエリアの例を示す図である。例えば、
図4(a)には、四方を壁で囲まれ、それらの壁のうち、一方に出入口R0が設けられた部屋において、定義される3つのエリアR1、R2、R3が示されている。
【0040】
図4(a)に示すエリアR1は、自機であるロボット1との相対的な距離が他のエリアよりも遠く、出入口R0との相対的な距離が他のエリアよりも近い。このエリアR1は、「挨拶エリア」と呼ばれる。ロボット1は、このエリアR1に存在する人に対して挨拶をするように構成される。
【0041】
また、
図4(a)に示すエリアR2は、エリアR1よりも相対的にロボット1に近く、エリアR3よりも相対的にロボット1から遠い位置に存在する。このエリアR2は「集客エリア」と呼ばれる。ロボット1は、このエリアR2に存在する人に対して、自機の機能を説明し、利用を促す働きかけをするように構成される。
【0042】
図4(a)に示すエリアR3は、エリアR1、及びエリアR2のいずれよりも相対的にロボット1に近い位置に存在する。このエリアR3は「対話エリア」と呼ばれる。
【0043】
また、例えば、
図4(b)には、図中の左右方向に伸びる通路において、定義されるエリアR1、R2、R3が示されている。
図4(b)に示すエリアR1、R2、R3も、それぞれ「挨拶エリア」、「集客エリア」、「対話エリア」と呼ばれる。
図4(a)に示すエリアR1は、一か所の出入口R0に沿って一か所だけ存在していたが、
図4(b)に示すエリアR1は、通路に存在するため、ロボット1からみて、この通路の図示しない両端側にそれぞれ一か所ずつ、計二か所に存在している。
【0044】
なお、
図4に示すエリアR3は、いずれもロボット1に隣接する所定距離範囲のエリアである。また、
図4に示すエリアR2は、いずれもロボット1からみてエリアR3の外側に隣接する所定距離範囲のエリアである。そして、
図4に示すエリアR1は、いずれもロボット1からみてエリアR2の外側に隣接する所定距離範囲のエリアである。
【0045】
ロボット1は、センサ133やカメラ131を用いて周囲の通行人の自機に対する相対的な位置を計測する。そして、ロボット1は、周囲の通行人がどこに存在するかを特定し、特定した位置に応じて、
図3に示すエリア定義表121に沿って通行人をそれぞれ分類する。
【0046】
つまり、このロボット1は、通行人を、自機に隣接する所定距離範囲のエリアである対話エリアにいる通行人、自機からみて対話エリアの外側に隣接する所定距離範囲のエリアである集客エリアにいる通行人、及び自機からみて集客エリアの外側に隣接する所定距離範囲のエリアである挨拶エリアにいる通行人のいずれかに分類する。
【0047】
図5は、動作定義表122の例を示す図である。動作定義表122は、ロボット1の周囲に存在する通行人の動作を定義する表である。
図5に示す動作定義表122のうち、動作IDの欄は、動作を識別する識別情報である動作IDを記述する欄である。また、
図5に示す動作名の欄は、対応する動作IDで識別される動作の名称(動作名という)を記述する欄である。
【0048】
図5に示す条件の欄は、対応する動作IDで識別される動作を通行人がしていると判断する場合に、その通行人について計測された値が満たすべき条件を記述する欄である。
【0049】
ロボット1は、センサ133やカメラ131を用いて周囲の通行人の移動する方向や顔・目線の動き等を解析し、これによりこの通行人の動作を特定する。そしてロボット1は、通行人の動作と位置との組合せに応じて、その通行人を分類する。
【0050】
例えば、動作ID「M1」は、動作名「見つめる」に対応付けられており、通行人がロボット1を見つめる動作をしているときに、その通行人に割当てられる。なお、この「見つめる動作」は、自機を見る動作である。つまり、このロボット1のプロセッサ11は、通行人の動作に、自機を見る動作が含まれるか否かに応じてその通行人を分類する。
【0051】
また、動作ID「M2」は、動作名「近づく」に対応付けられており、通行人がロボット1に向かって近づく動作をしているときに、その通行人に割当てられる。なお、この「近づく動作」は、自機に向かって移動する動作である。つまり、このロボット1のプロセッサ11は、通行人の動作に、自機に向かって移動する動作が含まれるか否かに応じてその通行人を分類する。
【0052】
また、動作ID「M3」は、動作名「離れる」に対応付けられており、通行人がロボット1に向かって離れる動作をしているときに、その通行人に割当てられる。なお、この「離れる動作」は、自機から遠ざかる方向に移動する動作である。つまり、このロボット1のプロセッサ11は、通行人の動作に、自機から遠ざかる方向に移動する動作が含まれるか否かに応じてその通行人を分類する。
【0053】
ロボット1のプロセッサ11は、例えば、カメラ131で撮像された周囲の画像から通行人の輪郭を切り出し、その輪郭の内側から足や顔の形状を検出する。そして、プロセッサ11は、検出した足や顔の動きから、通行人の歩容や目線を特定する。
【0054】
プロセッサ11は、特定した歩容や目線の情報が、
図5に示す動作定義表122の条件を満たすか否かを、逐次判断して、通行人の動作を特定すればよい。なお、プロセッサ11は、輪郭の切り出しに、例えば、ソーベル法やキャニー法等のエッジ抽出アルゴリズムや、畳み込みニューラルネットワーク等を利用してもよい。
【0055】
図6は、行動DB123の例を示す図である。行動DB123は、分類された通行人に対してロボット1が実行する行動を定めたデータベースである。
図7は、発話DB124の例を示す図である。発話DB124は、ロボット1が通行人に対して実行する行動のうち、発話に関するデータを定めたデータベースである。
【0056】
図6に示す行動DB123のうち、行動IDの欄は、ロボット1が実行する行動をそれぞれ識別する識別情報である行動IDを記述する欄である。エリアIDの欄は、対応する行動IDで識別される行動をロボット1が通行人に対して実行するときに、その通行人が存在するエリアを識別するエリアIDを記述する欄である。動作IDの欄は、対応する行動IDで識別される行動をロボット1が通行人に対して実行するときに、その通行人がしている動作を識別する動作ID、又はその動作IDの組合せ(論理和、論理積等)を記述する欄である。行動情報の欄は、対応する行動IDで識別される行動の具体的な内容を記述する欄である。
【0057】
図7に示す発話DB124は、定型発話表1241、対話テンプレート表1242、及び案内情報表1243を有する。定型発話表1241は、ロボット1が予め定められた発話(定型発話という)をするときの、その内容を定義した表である。定型発話表1241のうち、発話IDの欄は、発話をそれぞれ識別する識別情報である発話IDを記述する欄である。発話データの欄は、対応する発話IDで識別される発話の内容そのものを記述する欄である。
【0058】
例えば、発話ID「U11」で識別される発話は、「いらっしゃいませ」という挨拶文であり、発話ID「U12」で識別される発話は、「案内ロボットの〇〇です」という、挨拶文である。これら挨拶文は、ロボット1が通行人に挨拶することによって、その通行人に自機の存在を通知するものである。
【0059】
また、発話ID「U21」で識別される発話は、「駅の中や周辺施設への行き方を案内できます」という、自機の機能を提示する集客用の文であり、発話ID「U22」で識別される発話は、「どうぞ話しかけて下さい」という利用を促す集客用の文である。
【0060】
例えば、ロボット1のプロセッサ11は、
図6に示す行動DB123を参照し、対象とする通行人がエリアR1に存在し、且つ、動作ID「M1」で示す動作をしているとき、行動ID「B011」で示す行動を実行する。この行動は発話ID「U11」で識別される内容を発話することである。つまり、ロボット1は、「挨拶エリア」であるエリアR1にいる通行人に挨拶することにより、自機の存在を通知する。
【0061】
また、例えば、ロボット1のプロセッサ11は、
図6に示す行動DB123を参照し、対象とする通行人がエリアR2に存在し、且つ、動作ID「M1」で示す動作をしているとき、行動ID「B021」で示す行動を実行する。この行動は発話ID「U21」で識別される内容を発話することである。つまり、ロボット1は、「集客エリア」であるエリアR2にいる通行人に向けて「駅の中や周辺施設への行き方を案内できます」と発話して、自機の機能を提示する。
【0062】
また、例えば、ロボット1のプロセッサ11は、
図6に示す行動DB123を参照し、対象とする通行人がエリアR3に存在し、且つ、動作ID「M1」で示す動作をしているとき、行動ID「B031」で示す行動を実行する。この行動は「対話」である。つまり、ロボット1は、「対話エリア」であるエリアR3にいる通行人と対話する。
【0063】
ロボット1のプロセッサ11は、例えば、発話DB124のうち、対話テンプレート表1242、及び案内情報表1243を用いて通行人との対話を実行する。
【0064】
図7に示す発話DB124のうち、対話テンプレート表1242は、通行人の発言に応じて対話するときにロボット1が利用する文言の雛形(つまり、テンプレート)を定めた表である。また、案内情報表1243は、通行人がした質問に応じて提供すべき案内の情報(案内情報という)を記憶する表である。
【0065】
図7に示す対話テンプレート表1242のうち、解析結果情報の欄は、マイク134で収集した音声に含まれる通行人の発言を、自然言語解析し、意図解釈をした結果を記述する欄である。また、この対話テンプレート表1242のうち、対話テンプレートの欄は、対応する解析結果情報に応じてロボット1が通行人にする対話のテンプレート(対話テンプレートという)を記述する欄である。
【0066】
図7に示す案内情報表1243のうち、キーワードの欄は、通行人の発言に含まれるキーワードを記述する欄である。また、この案内情報表1243のうち、案内情報の欄は、対応するキーワードを含む発言を通行人がしたときに、通行人が求めている案内情報を記述する欄である。
【0067】
ロボット1のプロセッサ11は、通行人との対話を実行する場合、マイク134で収集した音声に含まれる通行人の発言を自然言語解析し、その意図を解釈して解析結果情報を得る。また、プロセッサ11は、上述した通行人の発言からキーワードを抽出する。
【0068】
そして、プロセッサ11は、対話テンプレート表1242から、得られた解析結果情報に応じた対話テンプレートを読み出し、案内情報表1243から、抽出したキーワードに対応する案内情報を読み出して、これらを組合せる。これにより、プロセッサ11は、通行人の発言に対して応答すべき内容を生成し、その内容をスピーカ132から出力する。
【0069】
<ロボットの機能的構成>
図8は、ロボット1の機能的構成の例を示す図である。
図8に示すロボット1のプロセッサ11は、メモリ12に記憶されたプログラムを実行することにより、位置計測部111、動作特定部112、分類部113、及び実行部114として機能する。
【0070】
位置計測部111は、センサ133の赤外線人感センサが通行人を検知すると、センサ133の三次元距離センサから、通行人までの距離と方向とを取得する。そして、位置計測部111は、取得した通行人までの距離及び方向に基づいて通行人の自機に対する相対的な位置を計測し、エリア定義表121を参照して、その通行人の存在するエリアを特定する。
【0071】
動作特定部112は、位置計測部111から通行人の自機に対する相対的な位置を取得する。また、動作特定部112は、カメラ131が撮像した画像と、マイク134が収集した音声と、を取得する。そして、動作特定部112は、取得したこれらの情報を、動作定義表122と比較して、通行人の動作を特定する。
【0072】
分類部113は、少なくとも位置計測部111により計測された通行人の、自機との相対的な位置により、その通行人を分類する。
図8に示す分類部113は、さらに、動作特定部112により特定された通行人の動作と、上述した位置と、の組合せにより、その通行人を複数に分類する。このとき、分類部113は、行動DB123を参照して、通行人を分類する。
【0073】
実行部114は、分類部113で分類された通行人のそれぞれに対し、その分類に応じた行動をする。実行部114は、発話(対話を含む)する場合、発話DB124を参照して、発話の内容を決定する。実行部114は、決定した内容をスピーカ132に出力することにより、通行人への発話を実行する。なお、実行部114は、通行人に対して表示部15により画像を表示してもよい。また、実行部114は、操作部14を介して通行人からの操作を受付けてもよい。
【0074】
したがって、このプロセッサ11は、自機との相対的な位置により通行人を複数に分類し、その通行人に対して分類に応じた行動をする。また、このプロセッサ11は、通行人の動作と位置との組合せに応じて通行人を複数に分類し、その通行人に対して分類に応じた行動をする。
【0075】
<ロボットの動作>
図9は、プロセッサ11が行う動作の流れの例を示すフロー図である。プロセッサ11は、センサ133のうち、赤外線を用いた人感センサが人を検知したか否かを判断する(ステップS101)。人を検知していない、と判断する間(ステップS101;NO)、プロセッサ11は、このステップS101の判断を続ける。一方、人を検知した、と判断する場合(ステップS101;YES)、プロセッサ11は、センサ133のうち、三次元距離センサを用いて、検知した人の自機に対する相対的な位置を計測する(ステップS102)。
【0076】
プロセッサ11は、カメラ131が撮像した画像を示す画像データを取得して、その画像データを解析することで、上述した人(すなわち、通行人)の動作を特定する(ステップS103)。そして、プロセッサ11は、この通行人の動作、及び自機に対する相対的な位置に応じて、この通行人を分類し(ステップS104)、その分類に応じた行動をする(ステップS105)。
【0077】
プロセッサ11は、終了条件を満たしたか否か判断する(ステップS106)。ここで、この終了条件は、例えば、操作部14を介してロボット1の管理者から停止する旨の指示を示す操作が受付けられた場合や、予め定められた時間にわたって通行人を検知していない場合、予め定められた時刻になった場合等に満たされる。
【0078】
終了条件を満たしていない、と判断する場合(ステップS106;NO)、プロセッサ11は、処理をステップS101に戻す。一方、終了条件を満たした、と判断する場合
(ステップS106;YES)、プロセッサ11は、処理を終了する。
【0079】
上述した動作を行うことにより、ロボット1は、駅や街頭といった公共の空間で不特定多数の通行人の中から、興味を示す人と興味を示さない人とを区別して、それぞれに対し行動する。
【0080】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさ及び配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。したがって、本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【0081】
<変形例>
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例は組み合わされてもよい。
【0082】
<1>
上述した実施形態において、プロセッサ11は、少なくとも自機との相対的な位置により通行人を分類して、その分類に応じた行動をしていたが、通行人の自機との相対的な位置の変化に応じて、その通行人を分類してもよい。つまり、プロセッサ11は、通行人が自機から遠ざかる方向に移動しているか、自機に向かって移動しているかに応じて、その通行人を分類してもよい。さらに、プロセッサ11は、自機を利用する前の通行人の移動や、自機を利用した後の通行人の移動に応じて、その通行人を分類してもよい。
【0083】
例えば、ロボット1のプロセッサ11は、通行人が自機を利用した後で、自機から離れて移動しているか否かに応じて、異なる行動をしてもよい。この場合、プロセッサ11は、自機を利用した通行人が、その後に、自機から離れて移動しているとき、「ありがとうございました」や「次回もよろしくお願いします」といった、別れの挨拶をスピーカ132から出力してもよい。この場合、このロボット1は、通行人の動作に、自機を利用した後で自機から離れて移動する動作が含まれるか否かに応じてその通行人を分類する。
【0084】
<2>
上述した実施形態において、ロボット1のプロセッサ11は、自機との相対的な位置により通行人を分類して、通行人それぞれに対し、その分類に応じた行動をしていたが、自機との相対的な位置により、通行人に対する行動の優先順位を決めてもよい。例えば、プロセッサ11は、挨拶エリアにいる通行人よりも、自機に近い集客エリアにいる通行人に対する発話等の行動を優先してもよく、集客エリアにいる通行人よりも、自機に近い対話エリアにいる通行人に対する行動を優先してもよい。この場合、このロボット1は、複数に分類された通行人のそれぞれに対する行動を、その通行人と自機との距離が近いものほど優先する。
【0085】
<3>
上述した実施形態において、ロボット1のプロセッサ11が実行するプログラムは、ロボット1に、自機との相対的な位置により通行人を複数に分類させるステップと、その通行人に対してその分類に応じた行動をさせるステップと、を実行させるプログラムである。このプログラムは、磁気テープ及び磁気ディスク等の磁気記録媒体、光ディスク等の光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリ等の、コンピュータ装置が読取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムは、インターネット等の通信回線経由でダウンロードされてもよい。なお、上述したプロセッサ11によって例示した制御手段としてはCPU以外にも種々の装置が適用される場合があり、例えば、専用のプロセッサ等が用いられる。
【0086】
<4>
上述した実施形態において、ロボット1は、自機との相対的な位置により通行人を複数に分類し、それらの通行人に対してその分類に応じた行動をしていたが、この分類に代えて、又は加えて、通行人を識別してもよい。この場合、ロボット1は、識別した結果に応じて、その通行人に対する行動をしてもよい。
【0087】
図10は、変形例に係る案内システム9の全体構成の例を示す図である。この案内システム9は、ロボット1a、予定管理サーバ2、通信回線3、及び端末4を有する。ロボット1aは、上述したロボット1に通信機能を持たせたものである。
【0088】
予定管理サーバ2は、ロボット1aが通行人を案内する部屋等で行われる面会の予定を管理するサーバ装置である。予定管理サーバ2は、ロボット1aの要求に応じて、面会の予定に関する情報を提供する。
【0089】
端末4は、通行人が所持する端末装置であり、例えば、スマートフォン等である。端末4は、自身を識別するための識別情報を含む信号を無線により周囲に発信する機能を有する。この信号は、ロボット1aにより受信される。
【0090】
通信回線3は、ロボット1a、予定管理サーバ2、及び端末4を通信可能に接続する回線である。通信回線3は、例えばLANのほか、WANであってもよいし、インターネットであってもよいし、これらの組合せであってもよい。また、通信回線3は、公衆交換通信網やサービス統合デジタル網等を含むものでもよい。
【0091】
なお、案内システム9におけるロボット1a、予定管理サーバ2、通信回線3、及び端末4の、それぞれの数は
図1に示したものに限られない。
【0092】
図11は、変形例に係るロボット1aの構成の例を示す図である。
図11に示すロボット1aは、上述したロボット1に加えて、通信部16を有する点、及び、メモリ12が行動DB123aを記憶する点が異なる。
【0093】
図11に示す通信部16は、有線又は無線により通信回線3に接続するインタフェースを有する。また、通信部16は、近距離無線通信(Near Field Communication、NFC)の規格に準拠した方式で他の装置と相互に接続する機能を有する。近距離無線通信の規格は、例えばISO/IEC18092(NFCIP-1)、ISO/IEC14443、ISO/IEC15693、又はIEEE802.15等である。なお、通信部16の近距離無線通信の機能は、端末4にも備わっており、端末4が発信する信号は、通信部16により受信され、プロセッサ11に伝えられる。
【0094】
図12は、ロボット1aのメモリ12が記憶する行動DB123aの例を示す図である。上述した通り、
図6に示す行動DB123において、対象とする通行人がエリアR3に存在し、且つ、動作ID「M1」で示す動作をしているとき、ロボット1は、行動ID「B031」で示す行動を実行するように定められていた。この変形例において、ロボット1aは、対象とする通行人がエリアR3に存在し、且つ、動作ID「M1」で示す動作をしているとき、識別処理を実行する。つまり、ロボット1aは、「対話エリア」であるエリアR3にいて、自身を見つめている通行人に対して識別処理を実行し、この通行人の識別を試みる。
【0095】
図13は、変形例における予定管理サーバ2の構成の例を示す図である。
図13に示す予定管理サーバ2は、プロセッサ21、メモリ22、及び通信部26を有する。
【0096】
プロセッサ21は、メモリ22に記憶されているプログラムを読出して実行することにより予定管理サーバ2の各部を制御する。プロセッサ21は、例えばCPUである。
【0097】
通信部26は、有線又は無線により予定管理サーバ2を、他の装置に通信可能に接続する通信回路である。
図13に示す通信部26は、
図10に示す通信回線3を介して、予定管理サーバ2を、ロボット1a、及び端末4に通信可能に接続する。
【0098】
メモリ22は、プロセッサ21に読み込まれるオペレーティングシステム、各種のプログラム、データ等を記憶する記憶手段である。メモリ22は、RAMやROMを有する。なお、メモリ22は、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等を有してもよい。
【0099】
また、
図13に示すメモリ22は、ユーザDB221、及び予定表222を記憶する。
図14は、ユーザDB221の例を示す図である。ユーザDB221は、予定管理サーバ2のユーザと、その連絡先、及びそのユーザが所持する端末を、対応付けて記憶するデータベースである。
図14に示すユーザDB221において、ユーザIDの欄は、予定管理サーバ2のユーザを識別する識別情報を記憶する欄である。
【0100】
また、このユーザDB221において、連絡先の欄は、対応するユーザIDで識別されるユーザの連絡先を記憶する欄である。連絡先は、例えば、ユーザが所持するスマートフォンの電話番号やメールアドレス等である。
【0101】
また、このユーザDB221において、端末IDの欄は、対応するユーザIDで識別されるユーザが所持するスマートフォン等の端末を識別する識別情報を記憶する欄である。
【0102】
なお、このユーザDB221は、ユーザを識別する識別処理に用いる情報として、ユーザの生体に関する情報である生体情報を記憶してもよい。この生体情報は、例えば、ユーザの顔、声、歩容、虹彩、指紋の特徴等である。
【0103】
図15は、予定表222の例を示す図である。予定表222は、予定管理サーバ2のユーザが参加する面会の予定を記憶する表である。
図15に示す予定表222において、開始及び終了の欄は、それぞれ面会の開始時刻及び終了時刻を記憶する欄である。
【0104】
また、この予定表222において、担当者の欄は、面会を開催する側の担当者のユーザIDを記憶する欄である。
【0105】
また、この予定表222において、面会予定者の欄は、担当者から面会に招待された人物(面会予定者という)のユーザIDを記憶する欄である。
【0106】
また、この予定表222において、部屋IDの欄は、面会に使用する部屋を識別する識別情報を記憶する欄である。
【0107】
図16は、変形例におけるロボット1aの機能的構成の例を示す図である。
図16に示すロボット1aにおいてプロセッサ11は、識別部115としても機能する点が、上述したロボット1のプロセッサ11と異なる。
図16に示す識別部115は、分類部113において通行人を分類した結果に応じて、その通行人に対して識別処理を行う。
【0108】
例えば、通行人は、所在するエリアと動作とが決められた組合せのときに分類部113によって識別処理の対象として分類される。
図16に示す識別部115は、このとき、通信部16を介して、近距離無線通信により通行人の所持している端末4と接続し、その端末4から発信されている信号を受信する。そして、識別部115は、その信号に含まれる端末4の識別情報である端末IDを特定する。
【0109】
ここで、通行人は1つの端末4を所持しており、端末4の所有者は、その通行人のみである。つまり、通行人と端末4とは一対一で対応しているので、端末IDを特定することで、ロボット1aは、通行人を識別する。つまり、このロボット1aは、通行人が所持する端末から受信した信号を用いて、この通行人を識別するロボットの例である。
【0110】
なお、識別部115は、カメラ131から通行人を撮像した画像を示す画像データを取得して、これを解析し、通行人の顔の特徴からこの通行人を識別してもよい。つまり、このロボット1aは、通行人の顔を示す画像を用いて、該通行人を識別するロボットの例である。また、識別部115は、画像を解析して通行人の体格や歩容等の特徴からこの通行人を識別してもよい。
【0111】
また、識別部115は、マイク134から通行人の音声を示す音声データを取得して、これを解析し、この通行人を識別してもよい。これらの場合、識別部115は、予定管理サーバ2に対して、ユーザDB221に記憶されている生体情報を要求してもよい。また、識別部115は、上述した画像データや音声データ等、通行人を識別するためのデータを予定管理サーバ2に送信し、識別処理を代行させてもよい。
【0112】
識別部115は、通信部16を介して、特定した端末IDを予定管理サーバ2に送信し、端末IDを所持する通行人の予定を要求する。
【0113】
予定管理サーバ2は、この要求を受付けると、ユーザDB221を参照して、端末IDに対応付けられたユーザIDを特定し、予定表222を参照して、特定したユーザIDを含む面会の予定を検索する。このユーザIDを含む面会の予定が見つかった場合、予定管理サーバ2は、その面会の予定の情報をロボット1aに応答する。
【0114】
ロボット1aの実行部114は、識別部115が通行人に対して識別処理を行った場合、その識別した結果に応じた行動をする。つまり、このロボット1aは、通行人を識別し、この通行人に対して識別した結果に応じた行動をするロボットの例である。
【0115】
例えば、この実行部114は、識別部115が要求した予定が存在して、その面会の予定の情報を予定管理サーバ2から取得した場合、その情報に応じた行動をする。この実行部114は、上述した通行人に対して、スピーカ132、又は表示部15を用いて、担当者を呼んでいる旨を通知する。また、この実行部114は、予定管理サーバ2に、上述した通行人が来訪した旨を、この予約された面会の担当者に通知するよう指示してもよい。また、この実行部114は、担当者の連絡先を予定管理サーバ2から取得して、その連絡先を用いて担当者に面会の通知をしてもよい。つまり、このロボット1aは、面会の予定を管理する予定管理サーバに、通行人を識別した結果を送信して対応する予定を要求し、この通行人に面会の予定がある場合に、この面会に関する担当者に通知するロボットの例である。
【0116】
図17は、変形例に係るロボット1aのプロセッサ11が行う動作の流れの例を示すフロー図である。ステップS101からステップS103まで、及びステップS106の
動作は
図9に示したフロー図と共通であるため、説明を省く。
【0117】
ロボット1aのプロセッサ11は、通行人の動作、及び自機に対する相対的な位置に応じて、この通行人を分類し(ステップS104)、通行人の識別が必要であるか否かを判断する(ステップS201)。
識別が必要でない、と判断する場合(ステップS201;NO)、プロセッサ11は、識別されず、特定されていない人(不特定人という)に対する行動をして(ステップS105a)、処理をステップS106に進める。
【0118】
一方、識別が必要である、と判断する場合(ステップS201;YES)、プロセッサ11は、通行人の識別処理を行い(ステップS202)、その識別に成功したか否かを判断する(ステップS203)。識別に成功していない、と判断する場合(ステップS203;NO)、プロセッサ11は、上述したステップS105aに処理を進める。
【0119】
一方、識別に成功した、と判断する場合(ステップS203;YES)、プロセッサ11は、識別の結果を予定管理サーバ2に送付して、識別された通行人が招待されている面会の予定を要求する(ステップS204)。そして、プロセッサ11は、予定管理サーバ2からの応答を受けて要求した予定があるか否かを判断する(ステップS205)。
【0120】
予定管理サーバ2に要求した予定がない、と判断する場合(ステップS205;NO)、プロセッサ11は、通行人に対して対話を行い(ステップS206)、対話が終了すると処理をステップS106に進める。
【0121】
一方、上述した予定がある、と判断する場合(ステップS205;YES)、プロセッサ11は、その予定された面会の担当者に通行人が来訪していることを通知し(ステップS207)、通行人に対して担当者に通知したことを報告して(ステップS208)、処理をステップS106に進める。
【0122】
上述した動作を行うことにより、ロボット1aは、公共の空間で不特定多数の通行人の中のうち、例えば、動作と位置との組合せが決められた条件を満たした者に対して識別処理を行う。そして、通行人を識別できた場合、ロボット1aは、その通行人に面会の予定があるか否かを確認し、面会の予定があれば、担当者に通知する。これにより、ロボット1aは、不特定多数の通行人に対する案内に加えて、それら通行人の中にいる特定可能(識別可能)な者に対して、識別結果に応じた案内等の行動をすることができる。また、これにより、ロボット1aは、通行人に、面会予定があるか否かを判断して対応することができる。
【0123】
<5>
上述した変形例において、ロボット1aは通行人を識別し、その識別の結果を用いてその通行人の面会の予定を要求して、面会の有無に応じた行動をしていたが、他の行動をしてもよい。例えば、ロボット1aは、通行人の識別の結果を用いて、その通行人が感染症の陽性者であるか否かを判断してもよい。
【0124】
図18は、変形例に係る案内システム9bの全体構成の例を示す図である。この案内システム9bは、ロボット1b、陽性者管理サーバ5、通信回線3、及び端末4bを有する。ロボット1b、及び端末4bは、上述した変形例におけるロボット1a、及び端末4に接触を確認するアプリケーションプログラム(接触確認アプリともいう)を実行する機能を持たせたものである。この接触確認アプリは、例えば、新型コロナウイルス接触確認アプリ等である。陽性者管理サーバ5は、保健所等により感染症に罹患していると判断された者(陽性者という)を、その陽性者が所持する端末4bが生成するデータに基づいて管理するサーバ装置である。
【0125】
図19は、端末4bの構成の例を示す図である。この端末4bは、プロセッサ41、メモリ42、操作部44、表示部45、及び通信部46を有する。
【0126】
プロセッサ41は、メモリ42に記憶されているプログラムを読出して実行することにより端末4bの各部を制御する。プロセッサ41は、例えばCPUである。
【0127】
操作部44は、各種の指示をするための操作ボタン、タッチパネル等の操作子を備えており、操作を受付けてその操作内容に応じた信号をプロセッサ41に送る。
【0128】
表示部45は、液晶ディスプレイ等の表示画面を有しており、プロセッサ41の制御の下、画像を表示する。この表示部45の表示画面の上には、操作部44の透明のタッチパネルが重ねて配置されていてもよい。
【0129】
通信部46は、有線又は無線により通信回線3に接続するインタフェースを有する。また、通信部46は、近距離無線通信の規格に準拠した方式で他の装置と相互に接続する機能を有する。端末4が発信する信号は、ロボット1bに伝えられる。
【0130】
メモリ42は、プロセッサ41に読み込まれるオペレーティングシステム、各種のプログラム、データ等を記憶する記憶手段である。メモリ42は、RAMやROMを有する。なお、メモリ42は、ソリッドステートドライブ等を有してもよい。
【0131】
また、メモリ42は、接触符号DB421、及び接触履歴表422を記憶する。
【0132】
図20は、接触符号DB421の例を示す図である。接触符号DB421は、上述した接触確認アプリにより、端末4bにおいて生成される日次鍵、及び接触符号を記憶するデータベースである。この接触符号DB421は、日次鍵リスト4211と、接触符号リスト4212と、を有する。
【0133】
図20に示す日次鍵リスト4211は、例えば、14日間分の日次鍵を記憶するリストである。この日次鍵とは、プロセッサ41が一日に一回、ランダムに生成するデータであって、端末4bと一対一の対応関係を持つデータである。日次鍵は、プロセッサ41により、24時間単位で変更される。
【0134】
図20に示す日次鍵リスト4211において、経過日の欄は、現在までに経過した日数によって、日次鍵が生成された日(経過日という)を記憶する欄である。日次鍵の欄は、対応する経過日に生成された日次鍵を記憶する欄である。日次鍵リスト4211に列挙された経過日と日次鍵との組は14日分あり、そのそれぞれに1つずつ接触符号リスト4212が対応付けられている。
【0135】
図20に示す接触符号リスト4212は、経過日「0」に生成された日次鍵「K0」と、一日を10分ごとに区切った期間と、に基づいて生成される符号(接触符号という)を、対応する期間に対応付けて記憶するリストである。例えば、日次鍵「K0」が生成された経過日「0」の「0:00」から「0:10」までの期間には、接触符号「H01」が生成される。
【0136】
この接触符号は、日次鍵と上述した期間とを基に、予め決められたハッシュ関数で一方向に生成される。そのため、この接触符号から、日次鍵を特定することはできず、日次鍵を生成した端末4bを特定することもできない。
【0137】
なお、端末4bは、例えば14日間等、決められた日数分を超える日次鍵を日次鍵リスト4211から順次、削除する。そのため、この決められた日数を超えた過去に生成した接触符号は無効になる。
【0138】
図21は、接触履歴表422の例を示す図である。接触履歴表422は、上述した接触確認アプリにより、接触した可能性のある他者を、特定せずに記憶する表である。この接触履歴表422の経過日の欄は、現在までに経過した日数を記憶する欄である。接触符号の欄は、決められた時間以上にわたって、決められた距離以内に近づいた他の端末4bから受信した接触符号を記憶する欄である。陽性者符号の欄は、交換した接触符号のうち、陽性者が所持する端末4bから発信されたものと判明した接触符号を記憶する欄である。
【0139】
なお、端末4bは、例えば14日間等、決められた日数分を超えるデータを接触履歴表422から削除する。
【0140】
端末4bは、例えば、上述した期間である10分ごとに接触符号を更新し、近距離無線通信で決められた距離以内に接続している他の端末4bと、互いの接触符号を交換する。そして、端末4bは、例えば、5分単位で交換した相手の接触符号の時間を計測し、決められた時間を超えて相手が接続している場合に、その接触符号を接触履歴表422に記憶する。
【0141】
また、端末4bは、陽性者と判断されたユーザが所持する他の端末4bが過去に生成した日次鍵と、そのユーザが感染症に罹患していた期間(罹患期間という)の情報とを取得した場合、この日次鍵と罹患期間とを用いて、上述したハッシュ関数により接触符号を生成する。そして、端末4bは、生成したそのユーザの接触符号を、接触履歴表422の接触符号の欄の中から検索する。そして、生成した接触符号が接触履歴表422の接触符号の欄に記憶されていると判断する場合、端末4bは、この接触符号を陽性者符号の欄に移動させる。これにより、接触履歴表422は、例えば、14日間等の決められた期間に、陽性者が近接していたことを記憶する。
【0142】
なお、ロボット1bのプロセッサ11は、端末4bのプロセッサ41と共通の接触確認アプリを実行する。そのため、ロボット1bのメモリ12は、メモリ42が記憶する接触符号DB421、及び接触履歴表422に相当するデータを記憶する。
【0143】
図22は、変形例における陽性者管理サーバ5の構成の例を示す図である。
図22に示す陽性者管理サーバ5は、プロセッサ51、メモリ52、及び通信部56を有する。
【0144】
プロセッサ51は、メモリ52に記憶されているプログラムを読出して実行することにより陽性者管理サーバ5の各部を制御する。プロセッサ51は、例えばCPUである。
【0145】
通信部56は、有線又は無線により陽性者管理サーバ5を、他の装置に通信可能に接続する通信回路である。
図22に示す通信部56は、
図18に示す通信回線3を介して、陽性者管理サーバ5を、ロボット1b、及び端末4bに通信可能に接続する。
【0146】
メモリ52は、プロセッサ51に読み込まれるオペレーティングシステム、各種のプログラム、データ等を記憶する記憶手段である。メモリ52は、RAMやROMを有する。なお、メモリ52は、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等を有してもよい。
【0147】
また、
図22に示すメモリ52は、陽性者DB521を記憶する。
図23は、陽性者DB521の例を示す図である。この陽性者DB521は、陽性者の日次鍵を記憶するデータベースである。
図23に示す陽性者DB521は、処理番号、連絡先、陽性者日次鍵の欄を対応付けて記憶する。
【0148】
例えば、ユーザが受けた感染症の検診の結果、そのユーザがその感染症の陽性者であることが判明したとき、保健所は、そのユーザの連絡先に、成りすまし等を防止するための処理番号を通知する。この通知は、ユーザが検診の際に登録した電話番号や電子メールアドレス等を用いて行われる。この処理番号は、ユーザが陽性者と判明したときに保健所で生成するランダム・無意・一時的な番号である。
【0149】
保健所は、ユーザへこの処理番号を通知する際に、この処理番号とユーザの連絡先とを、陽性者管理サーバ5に送信する。陽性者管理サーバ5は、保健所から送信された処理番号と連絡先とを、陽性者DB521に記憶する。つまり、
図23に示す陽性者DB521において、処理番号の欄は、陽性者と判断されたユーザに通知した処理番号である。
【0150】
処理番号の通知を受けたユーザが、所持する端末4bの操作部44を介して、その処理番号を入力すると、端末4bは、入力されたその処理番号を陽性者管理サーバ5に送信する。陽性者管理サーバ5は、端末4bから処理番号が送信されると、陽性者DB521を参照して、その処理番号が記憶されているか否かにより、その処理番号が真正のものであるか否かを確認する。送信された処理番号が真正のものであると確認した場合、陽性者管理サーバ5は、端末4bから日次鍵を取得して、陽性者DB521の陽性者日次鍵の欄に記憶する。また、陽性者管理サーバ5は、陽性者の所持する端末4bから取得した日次鍵を用いて生成した診断鍵を、全ての接触確認アプリを実行する端末4b(及び、ロボット1b)に配布する。
【0151】
端末4b、及びロボット1bは、陽性者の端末4bから取得した日次鍵から生成された診断鍵を受信すると、この診断鍵を用いて陽性者が罹患していた期間の接触符号を生成し、生成した接触符号を、自身の接触履歴表422の中から検索する。この検索結果により、端末4b、及びロボット1bは、14日間等、過去の決められた期間にわたって、自身が感染症の陽性者と接触したか否かを判断する。
【0152】
また、ロボット1bは、不特定の通行人が所持する端末4bから接触符号を受信したときに、この接触符号が陽性者の端末4bで生成されたものであるか否かの判断を、陽性者管理サーバ5に要求してもよい。そして、この判断の結果に応じて、ロボット1bは、通行人に対する行動を変えてもよい。
【0153】
図24は、変形例に係るロボット1bのプロセッサ11が行う動作の流れの例を示すフロー図である。ステップS101からステップS103まで、及びステップS106の
動作は
図9に示したフロー図と共通であるため、説明を省く。
【0154】
ロボット1bのプロセッサ11は、通行人の動作、及び自機に対する相対的な位置に応じて、この通行人を分類し(ステップS104)、この通行人と接触しているか否かを判断する(ステップS301)。
【0155】
この通行人と接触していない、と判断する場合(ステップS301;NO)、プロセッサ11は、ステップS104の分類に応じて、不特定人に対する行動を行い(ステップS105a)、処理をステップS106に進める。
【0156】
一方、この通行人と接触している、と判断する場合(ステップS301;YES)、プロセッサ11は、接触符号を記憶し(ステップS302)、陽性者管理サーバ5に、この接触符号を送信して、この通行人が陽性者であるか否かの判断を要求する(ステップS303)。
【0157】
陽性者管理サーバ5は、ロボット1bから接触符号とともに、上述した判断の要求を受信すると、陽性者DB521を参照して、受信したその接触符号を生成した日次鍵が、陽性者日次鍵であるか否かを判断し、判断結果をロボット1bに応答する。
【0158】
ロボット1bのプロセッサ11は、陽性者管理サーバ5からの応答を受取ると、その応答の内容に基づいて、上述した通行人が陽性者であるか否かを判断する(ステップS304)。この通行人が陽性者でない、と判断する場合(ステップS304;NO)、プロセッサ11は、この通行人との対話を行い(ステップS305)、処理をステップS106に進める。
【0159】
一方、この通行人が陽性者である、と判断する場合(ステップS304;YES)、プロセッサ11は、陽性者に対する行動を行い(ステップS306)、処理をステップS106に進める。
【0160】
つまり、このロボット1bは、感染症の陽性者の識別情報を管理する陽性者管理サーバに、通行人を識別した結果を送信してこの通行人が陽性者であるか否かの判断を要求し、この判断の結果に応じた行動をするロボットの例である。
【0161】
上述した動作を行うことにより、ロボット1bは、公共の空間で不特定多数の通行人の中のうち、決められた時間以上にわたって決められた距離内にいた者が、感染症の陽性者であるか否かを判断する。そして、ロボット1bは、その通行人が陽性者であると判断した場合に、陽性者に対する行動を行う。これにより、ロボット1bは、不特定多数の通行人に対する案内に加えて、それら通行人の中にいる特定可能(識別可能)な者に対して、感染症の罹患の有無を判断し、判断結果に応じた行動により、感染予防対策をすることができる。
【0162】
<6>
上述した実施形態において、ロボット1は、通行人に対して分類に応じた行動をしていたが、この分類に代えて、又は加えて、通行人の状態を診断してもよい。この場合、ロボット1は、診断した結果に応じて、その通行人に対する行動をしてもよい。
【0163】
図25は、変形例におけるロボット1cの機能的構成の例を示す図である。
図25に示すロボット1cにおいてプロセッサ11は、診断部116としても機能する点が、上述したロボット1のプロセッサ11と異なる。
図25に示す診断部116は、分類部113において通行人を分類した結果に応じて、その通行人を診断する。
【0164】
例えば、診断部116は、カメラ131から通行人を撮像した画像を示す画像データを取得して、これを解析し、通行人が顔にマスクを着用している状態であるか否かを診断してもよい。つまり、このロボット1cは通行人の顔を示す画像を解析して、この通行人のマスクの着用の有無を示す状態を診断するロボットの例である。
【0165】
また、カメラ131やセンサ133が、通行人が発する赤外線を感知する場合、診断部116は、これらの赤外線を用いてこの通行人の体温を測定し、測定した体温に基づく診断をしてもよい。つまり、このロボット1cは、通行人の体温を測定し、この体温に基づいてこの通行人の状態を診断するロボットの例である。
【0166】
図25に示す実行部114は、診断部116が通行人の状態を診断した場合、通行人に対して診断した結果に応じた行動をする。つまり、このロボット1cは、通行人の状態を診断し、この通行人に対して診断した結果に応じた行動をするロボットの例である。
【0167】
例えば、通行人の顔にマスクが着用されていないと診断部116が診断した場合、この実行部114は、この通行人に対し、マスクの着用を促してもよい。また、例えば、通行人の体温が、37.5度等、決められた温度以上であると診断部116が診断した場合、実行部114は、この通行人に対し、帰宅を促してもよい。
【0168】
<7>
上述した実施形態において、ロボット1の操作部14は、操作子として、操作ボタン、キーボード、タッチパネル、マウス等を備えていたが、非接触で操作を受付ける操作子を備えていてもよい。例えば、ロボット1の操作部14は、赤外線センサやレーザ光の照射装置と受光装置の組、撮像装置、静電容量の計測装置等を備え、通行人の手指や四肢によるジェスチャーを解析することにより、その通行人から操作を受付けてもよい。この場合、ロボット1は、通行人と接触せずに、その通行人からの指示を受付けるロボットの例である。
【0169】
<8>
上述した実施形態において、ロボット1は、センサ133やカメラ131を用いて周囲の通行人の自機に対する相対的な位置を計測していたが、通行人が複数いる場合、それら通行人どうしの距離を測定してもよい。通行人どうしの距離は、通行人それぞれのロボット1に対する相対的な位置に基づいて算出されてもよい。
【0170】
図26は、変形例におけるロボット1dの機能的構成の例を示す図である。
図26に示すロボット1dにおいて、プロセッサ11は、距離判定部117としても機能する点が、上述したロボット1のプロセッサ11と異なる。なお、
図26において、プロセッサ11は、ロボット1、1a、1b、1cの図示しない機能を有してもよい。
【0171】
図26に示す通り、ロボット1dのプロセッサ11により実現する距離判定部117は、複数の通行人が存在しているとき、位置計測部111により計測された各通行人の自機に対する相対的な位置を用いて、これら通行人どうしの距離を測定する。そして、距離判定部117は、測定した距離が決められた閾値未満であるか否かを判定し、判定の結果を実行部114に伝える。
【0172】
図26に示す実行部114は、距離判定部117により、通行人どうしの距離が決められた閾値未満であると判定された場合、それらの通行人に対して、例えば、互いに離れるように警告する。この場合、このロボット1dは、複数の通行人どうしの距離を測定し、この距離が閾値未満である場合に警告するロボットの例である。これにより、ロボット1dは、通行人どうしが密集しないよう促して、通行人の中に陽性者がいた場合であっても、ウイルスが感染することを予防することができる。
【符号の説明】
【0173】
1、1a、1b、1c、1d…ロボット、11…プロセッサ、111…位置計測部、112…動作特定部、113…分類部、114…実行部、115…識別部、116…診断部、12…メモリ、121…エリア定義表、122…動作定義表、123、123a…行動DB、124…発話DB、1241…定型発話表、1242…対話テンプレート表、1243…案内情報表、13…インタフェース、131…カメラ、132…スピーカ、133…センサ、134…マイク、14…操作部、15…表示部、16…通信部、2…予定管理サーバ、21…プロセッサ、22…メモリ、221…ユーザDB、222…予定表、26…通信部、3…通信回線、4、4b…端末、41…プロセッサ、42…メモリ、421…接触符号DB、4211…日次鍵リスト、4212…接触符号リスト、422…接触履歴表、44…操作部、45…表示部、46…通信部、5…陽性者管理サーバ、51…プロセッサ、52…メモリ、521…陽性者DB、56…通信部、9、9b…案内システム、R0…出入口、R1…エリア(挨拶エリア)、R2…エリア(集客エリア)、R3…エリア(対話エリア)。