(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/52 20060101AFI20240731BHJP
B65G 1/06 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
B65G47/52 B
B65G1/06 511C
(21)【出願番号】P 2020154779
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000141886
【氏名又は名称】株式会社京都製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 正徳
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩朗
(72)【発明者】
【氏名】山田 一憲
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-193731(JP,A)
【文献】特開平05-201529(JP,A)
【文献】特開平05-278825(JP,A)
【文献】特開2004-269162(JP,A)
【文献】特開2019-006597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/52
B65G 1/00 - 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワークを、上下方向に間隔を隔てて積層した状態で、上下移動可能に支持するバッファ装置と、
搬送ラインに沿って搬送される前記ワークを、前記バッファ装置における所定の上下位置に供給する供給装置と、
少なくとも前記バッファ装置の上端部と下端部との間で上下移動可能に構成され、任意の上下位置において、前記バッファ装置に支持されている前記ワークを前記バッファ装置から排出可能な排出装置とを備える、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記バッファ装置は、
前記供給装置から前記バッファ装置への前記ワークの供給方向と直交する方向に間隔を隔てて配置され、上下方向に沿って駆動される一対の無端状チェーンと、
前記無端状チェーンに、前記無端状チェーンの駆動方向に間隔を隔てて支持される複数のガイド部材とを有し、
前記無端状チェーンは、一方の無端状チェーンのガイド部材と、他方の無端状チェーンのガイド部材とが対向する姿勢に配置され、
一方の無端状チェーンのガイド部材と、他方の無端状チェーンのガイド部材とで、前記バッファ装置に供給された前記ワークを支持する、
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記排出装置は、
前記ワークの供給方向へ移動可能に構成され、前記バッファ装置に支持されている前記ワークを把持して、前記バッファ装置から引き出す引出部と、
前記引出部により引き出した前記ワークを保持する保持部と、
前記引出部および前記保持部を上下移動可能に支持する支持部とを有する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記排出装置により前記バッファ装置から排出された前記ワークを、前記搬送ラインの下流側へ搬送する搬送部を備え、
前記供給装置は、前記バッファ装置の上端部において前記ワークを供給し、
前記排出装置は、前記バッファ装置から排出した前記ワークを前記バッファ装置の下端部において前記搬送部へ移載する、
ことを特徴とする請求項1~請求項3の何れか一項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記ワークは、複数の物品が載置されたトレイである、
ことを特徴とする請求項1~請求項4の何れか一項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のワークを貯えるバッファ装置を備えた搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のワークを貯えるバッファ装置を、ワークが搬送される搬送ラインの途中に設けた搬送装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ワークを支持可能な多数のトレーが設けられ上下方向沿って駆動されるチェーンを有するバッファ装置と、ワークをトレーに投入する投入プッシャと、トレーに支持されているワークを排出する排出プッシャとを備えた搬送装置が開示されている。
【0004】
特許文献1に開示される搬送装置においては、バッファ装置の一側に投入プッシャを配置するとともに他側に排出プッシャを配置して、投入プッシャによりトレーに投入したワークを、チェーンの駆動により搬送して反転させた後に、排出プッシャによりトレーから排出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示される搬送装置においては、投入プッシャと排出プッシャとの上下位置が共に固定されているため、トレーに投入されるワークが搬送される上流側搬送ラインの上下位置と、トレーから排出されたワークが搬送される下流側搬送ラインの上下位置とを変更することができず、搬送ラインの設置位置の自由度が低かった。また、上流側搬送ラインに沿って搬送されるワークの数量が大きく変動した場合には柔軟に対応することが困難であった。
【0007】
そこで、本発明においては、バッファ装置に供給されるワークの数量が大きく変動した場合でも柔軟に対応することができるとともに、ワークが搬送される搬送ラインの設置位置の自由度が大きい、汎用性の高い搬送装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、搬送装置は、複数のワークを、上下方向に間隔を隔てて積層した状態で、上下移動可能に支持するバッファ装置と、搬送ラインに沿って搬送される前記ワークを、前記バッファ装置における所定の上下位置に供給する供給装置と、少なくとも前記バッファ装置の上端部と下端部との間で上下移動可能に構成され、任意の上下位置において、前記バッファ装置に支持されている前記ワークを前記バッファ装置から排出可能な排出装置とを備える。
【0010】
これにより、バッファ装置に供給されるワークの数量が大きく変動した場合でも柔軟に対応することができるとともに、ワークが搬送される搬送ラインの設置位置の自由度が大きい、汎用性の高い搬送装置を提供することができる。
【0011】
また、前記バッファ装置は、前記供給装置から前記バッファ装置への前記ワークの供給方向と直交する方向に間隔を隔てて配置され、上下方向に沿って駆動される一対の無端状チェーンと、前記無端状チェーンに、前記無端状チェーンの駆動方向に間隔を隔てて支持される複数のガイド部材とを有し、前記無端状チェーンは、一方の無端状チェーンのガイド部材と、他方の無端状チェーンのガイド部材とが対向する姿勢に配置され、一方の無端状チェーンのガイド部材と、他方の無端状チェーンのガイド部材とで、前記バッファ装置に供給された前記ワークを支持する。
【0012】
これにより、バッファ装置に支持されるワークを反転させることなく、バッファ装置に供給されたときの姿勢を保持した状態で、バッファ装置から容易に排出することができる。
【0013】
また、前記排出装置は、前記ワークの供給方向へ移動可能に構成され、前記バッファ装置に支持されている前記ワークを把持して、前記バッファ装置から引き出す引出部と、前記引出部により引き出した前記ワークを保持する保持部と、前記引出部および前記保持部を上下移動可能に支持する支持部とを有する。
【0014】
これにより、ワークをバッファ装置から排出する際に、排出装置が他のワークに干渉することなく、任意の高さ位置のワークをバッファ装置から容易に排出することができる。
【0015】
また、前記排出装置により前記バッファ装置から排出された前記ワークを、前記搬送ラインの下流側へ搬送する搬送部を備え、前記供給装置は、前記バッファ装置の上端部において前記ワークを供給し、前記排出装置は、前記バッファ装置から排出した前記ワークを前記バッファ装置の下端部において前記搬送部へ移載する。
【0016】
これにより、バッファ装置において先に供給されたワークが下段に位置するようにワークを積層するとともに、バッファ装置に支持されたワークを供給された順に排出する場合に、ワークを保持した排出装置を下方に移動させることで、ワークを容易にバッファ装置に供給された順に下流側搬送装置へ移載することができる。
【0017】
また、前記ワークは、複数の物品が載置されたトレイである。
【0018】
これにより、ワークが複数の物品が載置されたトレイであっても、トレイに載置された物品の姿勢を崩すことなく、ワークをバッファ装置から排出して搬送することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、バッファ装置に供給されるワークの数量が大きく変動した場合でも柔軟に対応することができるとともに、ワークが搬送される搬送ラインの設置位置の自由度が大きい、汎用性の高い搬送装置を構成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】搬送装置におけるバッファ装置を示す背面図である。
【
図4】搬送装置における排出装置を示す背面図である。
【
図5】(a)はワークを示す平面図であり、(b)はワークを示す側面図である。
【
図6】(a)は供給装置を示す拡大側面図であり、(b)は供給装置を示す拡大平面図である。
【
図9】ワークを排出装置から下流側搬送装置に移載する様子を示す背面図である。
【
図10】第2実施形態に係る搬送装置を示す平面図である。
【
図11】第3実施形態に係る搬送装置を示す側面図である。
【
図12】第3実施形態に係る搬送装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
【0022】
図1~
図4に示す搬送装置1は、ワークWを搬送ラインCL(
図2参照)に沿って搬送する装置であり、上流側搬送装置2と、供給装置3と、バッファ装置5と、排出装置6と、下流側搬送装置7とを備えている。
【0023】
搬送装置1においては、上流側搬送装置2により搬送ラインCLに沿って搬送されるワークWを供給装置3によってバッファ装置5に供給し、供給された複数のワークWをバッファ装置5に一時的に貯えることが可能である。バッファ装置5に貯えられたワークWは、排出装置6によりバッファ装置5から排出され、下流側搬送装置7によって搬送ラインCLの下流側へ搬送される。
【0024】
図5に示すように、搬送装置1により搬送されるワークWは、平板状のトレイTに複数の物品Gが載置されたものである。トレイTは、例えば矩形状の板状部材にて形成されている。物品Gは、例えば四角錐台のような平面視において矩形状となる立体形状を有しており、行列方向に整列した状態で載置されている。
【0025】
以下の説明においては、
図2における左右方向をX方向と規定し、上下方向をY方向と規定する。また、
図1における上下方向をZ方向と規定する。X方向は、搬送装置1における水平面に沿った所定の方向であり、Y方向は、搬送装置1における水平面に沿うとともにX方向と直交する方向であり、Z方向は、搬送装置1における上下方向であってX方向およびY方向と直交する方向である。
【0026】
上流側搬送装置2は、ワークWを搬送するベルトコンベア21を有しており、ワークWをベルトコンベア21によって供給装置3へ向けて搬送可能に構成されている。ベルトコンベア21は、ワークWをY方向に沿って搬送する。本実施形態においては、ベルトコンベア21は、ワークWを
図2における下方から上方に向けて搬送している。なお、搬送ラインCLのうち、ワークWが上流側搬送装置2によって搬送される領域を上流側搬送ラインCLuと称呼する。
【0027】
供給装置3は、上流側搬送装置2により上流側搬送ラインCLuに沿って搬送されるワークWを、バッファ装置5に供給する。本実施形態においては、上流側搬送装置2および供給装置3は、上下方向においてバッファ装置5の上端部に位置しており、供給装置3は、バッファ装置5の上端部においてワークWを供給するように構成されている。供給装置3は、昇降部31と、ガイド部32と、供給部33とを備えている。
【0028】
図6に示すように、昇降部31は、ワークWを支持可能な昇降板31aと、昇降板31aを昇降させるアクチュエータ31bとを有している。昇降板31aは、アクチュエータ31bによって下降位置(
図6(a)において実線で示す位置)と上昇位置(
図6(a)において2点鎖線で示す位置)との間で昇降可能に構成されており、下降位置にある昇降板31aは、上流側搬送装置2によって搬送されるワークWの下方に位置している。
【0029】
つまり、下降位置にある昇降板31aは、ベルトコンベア21におけるワークWの支持面よりも下方に位置している。また、上昇位置にある昇降板31aは、ベルトコンベア21におけるワークWの支持面よりも上方に位置する。
【0030】
ガイド部32は、Y方向に間隔を有して配置される一対のガイド部材32aと、ガイド部材32aをY方向に移動させるアクチュエータ32bとを有している。ガイド部材32aは、X方向に延びる長尺部材であり、ワークWを支持可能に構成されている。
【0031】
一対のガイド部材32aは、Y方向において互いに近接離間するように移動可能であり、アクチュエータ32bによって互いに離間する離間位置(
図6(b)において実線で示す位置)と、離間位置よりも互いに近接する近接位置(
図6(b)において2点鎖線で示す位置)との間で移動される。
【0032】
離間位置にあるガイド部材32aのY方向における離間寸法はL1であり、近接位置にあるガイド部材32aのY方向における離間寸法は離間寸法L1よりも小さなL2である。離間寸法L1はワークWのY方向における寸法Wyよりも大きく、離間寸法L2は寸法Wyよりも小さい。
【0033】
従って、ガイド部材32aが離間位置にあるときには、ワークWはガイド部材32aとガイド部材32aとの間を上下方向に通過可能であり、ガイド部材32aが近接位置にあるときには、ワークWのY方向における両端部をガイド部材32aとガイド部材32aとによって支持することが可能である。
【0034】
供給部33は、押出片33aと、スライドガイド33bと、アクチュエータ33cとを有している。押出片33aは、
図1においてスライドガイド33bの左端部に位置する基端位置(
図1において実線で示す位置)と、
図1においてスライドガイド33bの右端部に位置する押出位置(
図1において2点鎖線で示す位置)との間でX方向へ移動可能に構成されている。
【0035】
押出片33aは、上昇位置にある昇降板31aに支持された状態のワークWに当接可能であり、ワークWに当接しながら基端位置側から押出位置側へ移動することで、ワークWをバッファ装置5に向けて押し出すことが可能である。スライドガイド33bは、X方向へ延出するガイド部材であり、ワークWをX方向へ摺動可能に支持している。アクチュエータ33cはスライドガイド33bに取り付けられており、押出片33aはアクチュエータ33cによりX方向へ移動される。
【0036】
供給装置3においては、昇降板31aが下降位置にあるときに、ワークWが上流側搬送装置2によって上下方向から見て昇降板31aと重なる位置にまで搬送されてくると、昇降板31aがアクチュエータ31bによって上昇位置まで上昇される。昇降板31aが上昇位置まで上昇されると、ワークWが昇降板31aによって支持されベルトコンベア21よりも上方に持ち上げられた状態となる。
【0037】
昇降板31aが下降位置から上昇位置へ上昇するときには、ガイド部材32aは離間位置にあり、昇降板31aが上昇位置に達した後にガイド部材32aが近接位置に移動する。ガイド部材32aが近接位置に移動した後に昇降板31aが下降位置まで下降することで、ワークWがガイド部材32aに支持された状態となる。そして、ワークWがガイド部材32aに支持された状態において、基端位置にある押出片33aが押出位置側へ移動される。
【0038】
押出片33aが押出位置側へ移動することにより、ワークWが押出片33aによりバッファ装置5へ向けて押し出される。この場合、供給装置3はバッファ装置5の上端部に位置しているため、押出片33aにより押し出されたワークWは、バッファ装置5の上端部に供給される。なお、本実施形態においては、供給装置3からバッファ装置5へのワークWの供給方向は、X方向である。また、本実施形態においては、ワークWは、供給装置3からバッファ装置5の上端部に供給されるが、これに限るものではなく、バッファ装置5における所定の上下位置に供給することが可能である。
【0039】
バッファ装置5は、供給装置3よりも搬送ラインCLの下流側に位置しており、供給装置3から供給された複数のワークWを、上下方向に間隔を隔てて積層した状態で、上下移動可能に支持することが可能である。
図1、
図3、
図7に示すように、バッファ装置5は、複数の無端状チェーン51と、ガイド部材52と、アクチュエータ55とを有している。
【0040】
複数の無端状チェーン51は、互いにY方向に間隔を隔てて配置される無端状チェーン51と無端状チェーン51とで一対の無端状チェーン51を成している。本実施形態においては、一対の無端状チェーン51は、X方向に沿って2組設けられている。
【0041】
無端状チェーン51は、スプロケット53とスプロケット53の下方に位置するスプロケット54とに巻回されており、上下方向に沿って回転可能に構成されている。また、無端状チェーン51は、アクチュエータ55によって上下方向に沿って駆動される。無端状チェーン51には、複数のガイド部材52が支持されている。複数のガイド部材52は、無端状チェーン51の駆動方向に間隔を隔てて配置されている。
【0042】
一対の無端状チェーン51は、一方の無端状チェーン51のガイド部材52と、他方の無端状チェーン51のガイド部材52とが対向する姿勢に配置されている。つまり、無端状チェーン51は、スプロケット53、54の回転軸心がX方向に沿う姿勢に配置されている。
【0043】
ワークWは、一対の無端状チェーン51における一方の無端状チェーン51のガイド部材52と、一方の無端状チェーン51のガイド部材52に対応する他方の無端状チェーン51のガイド部材52とによって支持される。ここで、一方の無端状チェーン51のガイド部材52に対応する他方の無端状チェーン51のガイド部材52とは、他方の無端状チェーン51のガイド部材52のうち、一方の無端状チェーン51のガイド部材52と対向するとともに、一方の無端状チェーン51のガイド部材52と同じ高さに位置しているガイド部材52のことをいう。
【0044】
つまり、バッファ装置5においては、一対の無端状チェーン51における一方の無端状チェーン51と他方の無端状チェーン51との間にワークWが供給され、一方の無端状チェーン51のガイド部材52と、他方の無端状チェーン51のガイド部材52とによって、ワークWにおけるY方向の両端部を支持する。
【0045】
このように、ワークWをガイド部材52によってワークWの供給方向と直交するY方向の両側から支持することにより、ガイド部材52によって支持されたワークWを供給方向であるX方向にスライドさせることが可能である。従って、X方向において供給装置3と排出装置6とをバッファ装置5を挟んで反対側に配置した場合でも、バッファ装置5に支持されるワークWを反転させることなく、バッファ装置5に供給されたときの姿勢を保持した状態で、バッファ装置5から容易に排出することが可能となっている。特に、ワークWが複数の物品Gが載置されたトレイTであっても、トレイTに載置された物品Gの姿勢を崩すことなく、ワークWをバッファ装置5から排出して搬送することができる。
【0046】
一対の無端状チェーン51における一方の無端状チェーン51のガイド部材52と他方の無端状チェーン51のガイド部材52とは、無端状チェーン51がアクチュエータ55により駆動されることで、上下方向に移動する。従って、ガイド部材52により支持されたワークWは、無端状チェーン51をアクチュエータ55によって駆動することで、上下方向に移動させることが可能である。
【0047】
バッファ装置5においては、供給装置3によってX方向に押し出されたワークWが、一対の無端状チェーン51における一方の無端状チェーン51と他方の無端状チェーン51との間に供給されると、供給されたワークWに対応した高さ位置にあるガイド部材52によって支持される。
【0048】
ワークWがガイド部材52によって支持された後、対向するガイド部材52が下降する方向に無端状チェーン51を駆動する。この場合、前回に供給されたワークWを支持するガイド部材52よりも一段上方に位置するガイド部材の高さが、次回に供給されるワークWの高さ位置に対応するように無端状チェーン51を駆動する。その後、供給装置3からバッファ装置5にワークWが供給されると、供給されたワークWが、前回供給されたワークWを支持するガイド部材52よりも一段上方のガイド部材52に支持される。
【0049】
このように、供給装置3からバッファ装置5にワークWを供給する毎に、無端状チェーン51を駆動してガイド部材52を上下方向に移動させることで、複数のワークWを上下方向に積層した状態で支持することが可能である。複数のワークWを積層した状態で支持することで、搬送ラインCLに沿って搬送される複数のワークWを、一時的にバッファ装置5に貯えることが可能となっている。また、バッファ装置5にワークWを供給する毎に、バッファ装置5に支持されるワークWが下降するように無端状チェーン51を駆動することで、先に供給されたワークWが後から供給されたワークWよりも下方の段に位置するように、ワークWを積層させることが可能である。
【0050】
排出装置6は、バッファ装置5よりも搬送ラインCLの下流側に位置しており、バッファ装置5に支持されているワークWを、バッファ装置5から排出可能に構成されている。
図1、
図4、
図8に示すように、排出装置6は、引出部61と、保持部62と、支持部63とを備えている。
【0051】
引出部61は、ワークWの供給方向となるX方向へ移動可能であり、バッファ装置5に支持されているワークWを把持して、バッファ装置5から引き出すように構成されている。引出部61は、バッファ装置5に支持されているワークWを把持可能なチャック部61aと、チャック部61aを支持するブラケット61bと、ブラケット61bをX方向へ移動可能に支持するスライドガイド61cと、ブラケット61bを駆動するアクチュエータ61dとを有している。
【0052】
ブラケット61bは、
図1においてスライドガイド61cの左端部に位置するチャック位置(
図1において実線で示す位置)と、
図1においてスライドガイド61cの右端部に位置する引出位置(
図1において2点鎖線で示す位置)との間で移動可能に構成されている。ブラケット61bは、アクチュエータ61dにより駆動されることで、チャック位置と引出位置との間で移動する。
【0053】
チャック部61aは、ブラケット61bがチャック位置にあるときに、ワークWのX方向における供給装置3側とは反対側の端部を把持可能に構成されている。チャック部61aは、上下方向に複数段設けられており、チャック部61aにより複数段のワークWを同時に把持することが可能となっている。本実施形態においては、上下方向において3段のチャック部61aが設けられている。
【0054】
チャック部61aがワークWを把持した状態で、ブラケット61bがチャック位置から引出位置へ移動することで、チャック部61aに把持されたワークWがバッファ装置5から引き出される。
【0055】
保持部62は、引出部61により引き出したワークWを保持可能であり、ワークWを保持するガイド部材62aと、ガイド部材62aを支持するブラケット62bとを有している。ワークWを支持するガイド部材62aは、Y方向に間隔を有して配置されたガイド部材62aとガイド部材62aとで、一対のガイド部材62cを成している。そして、一対のガイド部材62aによってワークWのY方向における両端部を保持するように構成されている。
【0056】
一対のガイド部材62aは、上下方向に複数段設けられている。この場合、一対のガイド部材62aは、チャック部61aの段数に対応した段数だけ設けられている。従って、チャック部61aに把持されて引き出された複数段のワークWを全てガイド部材62aにより保持することが可能となっている。本実施形態においては、一対のガイド部材62aは、上下方向において3段設けられている。
【0057】
支持部63は、引出部61および保持部62を上下移動可能に支持する。支持部63は、引出部61のスライドガイド61cと保持部62のブラケット62bとを支持する支持部材63aと、上下方向に延出するガイドレール63bと、支持部材63aに固定されるとともに、ガイドレール63bに上下摺動可能に支持されるスライダ63cと、支持部材63aを駆動するアクチュエータ63dとを有している。
【0058】
支持部材63aは、アクチュエータ63dにより駆動されることで、ガイドレール63bの上端部と下端部との間を上下方向に移動する。これにより、支持部材63aに支持されるスライドガイド61cおよびブラケット62bが、一体的に上下移動する。この場合、スライドガイド61cおよびブラケット62bは、少なくともバッファ装置5の上端部と下端部との間で上下移動可能に構成されている。
【0059】
排出装置6においては、チャック部61aがワークWを把持した状態で、ブラケット61bがチャック位置から引出位置へ移動することで、チャック部61aに把持されたワークWが、ガイド部材52に支持された状態から引き出される。ワークWは、引出部61により引き出されることで、バッファ装置5から排出される。
【0060】
このように、ワークWをバッファ装置5から排出する際に、排出装置6によってワークWをバッファ装置5から引き出すように構成することで、排出装置6が他のワークWに干渉することなく、任意の高さ位置のワークWをバッファ装置5から容易に排出することが可能となっている。
【0061】
ブラケット61bが引出位置へ移動した後にチャック部61aによるワークWの把持状態が解除され、ワークWがガイド部材62aにより保持された状態となる。その後、ガイド部材62aによりワークWを保持した状態の保持部62が支持部63により下方へ移動され、保持部62に保持されたワークWが下流側搬送装置7に移載される。
【0062】
なお、本実施形態においては、バッファ装置5に支持されるワークWが4段積層された状態となったときに、下方の3段のワークWを排出装置6により排出するようにしているが、これに限るものではなく、任意の段数のワークWが積層された状態のときに、任意の高さ位置のワークWをバッファ装置5から排出することが可能である。
【0063】
例えば、バッファ装置5に10段のワークWが積層されているときに、4~6段目の3段のワークWを排出することができ、最も下方の8~10段目の3段のワークWを排出することもできる。また、ワークWをバッファ装置5から排出するときには、3段のワークWを必ずしも同時に引き出す必要はなく、1段または2段のワークWを引き出すように構成することもできる。このように、引出部61および保持部62は上下移動可能に構成されており、バッファ装置5に支持されているワークWを、任意の上下位置においてバッファ装置5から排出可能に構成されている。
【0064】
下流側搬送装置7は、排出装置6の下方に位置しており、排出装置6によりバッファ装置5から排出されたワークWを、搬送ラインCLの下流側へ搬送する。下流側搬送装置7は、排出装置によりバッファ装置から排出されたワークを、搬送ラインの下流側へ搬送する搬送部の一例である。本実施形態においては、下流側搬送装置7は、上下方向において、バッファ装置5の下端部に位置している。下流側搬送装置7はベルトコンベア71を有しており、ベルトコンベア71はX方向に沿ってワークWを搬送することが可能である。
【0065】
図9(a)に示すように、ワークWを保持した排出装置6の保持部62は、支持部63により下方へ移動されると、ベルトコンベア71に上方から近接する。保持部62が
図9(a)に示した状態からさらに下方へ移動すると、保持部62が保持する最下段のワークWがベルトコンベア71に当接する。
【0066】
図9(b)に示すように、保持部62は、さらに下方へ移動して、ベルトコンベア71に当接した最下段のワークWが、当該ワークWを保持するガイド部材62aから離間する。これにより、ベルトコンベア71に当接したワークWの保持部62による保持状態が解除され、保持部62からベルトコンベア71にワークWが移載されることとなる。ベルトコンベア71に移載されたワークWは、ベルトコンベア71によって搬送ラインCLの下流側に搬送される。なお、搬送ラインCLのうち、ワークWが下流側搬送装置7によって搬送される領域を下流側搬送ラインCLdと称呼する。
【0067】
保持部62が保持する最下段のワークWがベルトコンベア71により搬送された後、下方から2段目のワークWがベルトコンベア71に移載されるまで保持部62が下方に移動する。これにより、下方から2段目のワークWがベルトコンベア71によって搬送ラインCLの下流側に搬送される。このようにして、保持部62が保持するワークWのベルトコンベア71への移載を繰り返し、保持部62が保持する全てのワークWが移載されると、保持部62は上方へ移動して、再度バッファ装置5からワークWを排出する。
【0068】
このように、搬送装置1においては、上流側搬送装置2により上流側搬送ラインCLuに沿って搬送されるワークWを供給装置3によりバッファ装置5に供給することで、複数のワークWをバッファ装置5に積層状態で貯えることができる。また、バッファ装置5に貯えられたワークWを、排出装置6によってバッファ装置5から排出するとともに、下流側搬送装置7に移載することができる。下流側搬送装置7に移載されたワークWは、下流側搬送装置7により下流側搬送ラインCLdに沿って搬送される。
【0069】
これにより、上流側搬送ラインCLuに沿って搬送されるワークWの数量に変動が生じた場合でも、ワークWをバッファ装置5に貯えることで、ワークWを下流側搬送ラインCLdに沿って安定して搬送することができ、上流側搬送ラインCLuに沿って搬送されるワークWの数量の増減に応じて柔軟に対応することが可能である。
【0070】
この場合、バッファ装置5からワークWを排出するときには、排出装置6の引出部61および保持部62は上下移動可能に構成されているため、バッファ装置5に支持されているワークWの数量に応じて排出装置6を上下移動させることで、バッファ装置5に支持されているワークWの数量にかかわらず、最も先にバッファ装置5に供給されたワークW(本実施形態においては、最も下方の段に支持されているワークW)から順に排出することが可能となっている。
【0071】
また、排出装置6の引出部61および保持部62が上下移動可能であるため、バッファ装置5に供給されるワークWが搬送される上流側搬送ラインCLuの上下位置と、バッファ装置5から排出されたワークWが搬送される下流側搬送ラインCLdの上下位置とを異なる上下位置に設定することが可能である。つまり、上流側搬送ラインCLuと下流側搬送ラインCLdとの上下位置が異なっていたとしても、バッファ装置5から排出したワークWを、下流側搬送ラインCLdが配置される上下位置まで移動させて、搬送することが可能である。
【0072】
従って、バッファ装置5に供給されるワークWの数量が大きく変動した場合でも柔軟に対応することができるとともに、ワークWが搬送される搬送ラインCLの設置位置の自由度を高めることができ、汎用性の高い搬送装置1を構成することが可能となっている。
【0073】
また、本実施形態においては、下流側搬送装置7がバッファ装置5の下端部に位置しており、バッファ装置5から排出したワークWをバッファ装置5の下端部において下流側搬送装置7へ移載するように構成されている。このような構成により、バッファ装置5において先に供給されたワークWが下段に位置するようにワークWを積層するとともに、バッファ装置5に支持されたワークWを供給された順に排出する場合に、ワークWを保持した排出装置6を下方に移動させることで、ワークWを容易にバッファ装置5に供給された順に下流側搬送装置7へ移載することができる。
【0074】
ワークWを搬送ラインCLに沿って搬送する搬送装置は、
図10に示す第2実施形態に係る搬送装置101のように、ワークWを上流側搬送ラインCLuの複数個所からバッファ装置5に供給するように構成することができる。
【0075】
図10に示す搬送装置101においては、上流側搬送装置102はベルトコンベア21-1とベルトコンベア21-2とを有している。ベルトコンベア21-1とベルトコンベア21-2とは、上流側搬送ラインCLuに沿って所定距離を隔てて配置されている。ベルトコンベア21-1は、ベルトコンベア21-2よりも上流側搬送ラインCLuの上流側に位置している。
【0076】
ベルトコンベア21-1とベルトコンベア21-2との間にはベルトコンベア22が配置されており、ベルトコンベア21-1により搬送されるワークWを、ベルトコンベア22を介してベルトコンベア21-2に搬送することが可能となっている。
【0077】
搬送装置101は、ベルトコンベア21-1に対応する供給装置3-1、バッファ装置5-1、排出装置6-1、および下流側搬送装置7-1を備えている。また、搬送装置101は、ベルトコンベア21-2に対応する供給装置3-2、バッファ装置5-2、排出装置6-2、および下流側搬送装置7-2を備えている。
【0078】
搬送装置101においては、例えばベルトコンベア21-1により搬送されるワークWを、一つおきに供給装置3-1によりバッファ装置5-1に供給するとともに、ベルトコンベア22を介してベルトコンベア21-2に搬送するように構成することができる。この場合、ベルトコンベア21-2に搬送されたワークWは、供給装置3-2によりバッファ装置5-2に供給される。
【0079】
供給装置3-1によりバッファ装置5-1に供給されたワークWは、バッファ装置5-1に貯えられた後に、排出装置6-1によってバッファ装置5-1から排出されて、下流側搬送装置7-1により下流側搬送ラインCLd-1に沿って搬送される。また、供給装置3-2によりバッファ装置5-2に供給されたワークWは、バッファ装置5-2に貯えられた後に、排出装置6-2によってバッファ装置5-2から排出されて、下流側搬送装置7-2により下流側搬送ラインCLd-2に沿って搬送される。
【0080】
搬送装置101をこのような構成とすることで、上流側搬送装置2により上流側搬送ラインCLuに沿って搬送されるワークWの数量が、下流側搬送装置7により下流側搬送ラインCLdに沿って搬送されるワークWの数量よりも大幅に大きい場合に、上流側搬送ラインCLuに沿って搬送されるワークWを、バッファ装置5-1およびバッファ装置5-2に振り分けて貯えた後に、下流側搬送装置7-1により下流側搬送ラインCLd-1に沿って搬送するとともに、下流側搬送装置7-2により下流側搬送ラインCLd-2に沿って搬送することができる。
【0081】
また、上流側搬送装置2により上流側搬送ラインCLuに沿って搬送されるワークWの数量が、下流側搬送装置7により下流側搬送ラインCLdに沿って搬送されるワークWの数量に対して同等または少し大きい場合には、上流側搬送ラインCLuに沿って搬送されるワークWを、バッファ装置5-1およびバッファ装置5-2の何れか一方に供給するように構成することができる。
【0082】
搬送装置101のように、ワークWを上流側搬送ラインCLuの複数個所からバッファ装置5に供給するように構成することで、上流側搬送ラインCLuに沿って搬送されるワークWの数量の増減に応じて、より柔軟に対応することが可能となる。
【0083】
ワークWを搬送ラインCLに沿って搬送する搬送装置は、
図11に示す第3実施形態に係る搬送装置201のように、バッファ装置5に支持されているワークWを、複数のワークWを貯溜することが可能なストッカ8に移載するように構成することもできる。
【0084】
図11に示す搬送装置201においては、上流側搬送装置202は、ワークWを上流側搬送ラインCLuに沿って搬送するベルトコンベア23を有しており、ベルトコンベア23により搬送されるワークWを、供給装置3によってバッファ装置5に供給するように構成されている。なお、
図11においては、搬送装置201は、ベルトコンベア23によるワークWの搬送方向、および供給装置3によるワークWのバッファ装置5への供給方向が、ともにY方向となるように構成されている。
【0085】
また、搬送装置201においては、Y方向におけるバッファ装置5を挟んだ供給装置3とは反対側に、搬送装置1における排出装置6および下流側搬送装置7の代わりにストッカ8が配置されており、バッファ装置5に支持されているワークWをストッカ8に移載することが可能となっている。ストッカ8は、複数のワークWを積層状態で収容することが可能なストック棚81を有している。
【0086】
搬送装置201は、バッファ装置5に支持されているワークWをストック棚81に移載するための移載装置9を有している。移載装置9は、Y方向におけるバッファ装置5を挟んだストック棚81とは反対側に配置されている。移載装置9は、バッファ装置5に支持されているワークWをストック棚81へ向けて押し出す押出板91と、押出板91をY方向に沿って駆動するアクチュエータ92とを有している。
【0087】
押出板91をアクチュエータ92によりストック棚81側へ向けて駆動することで、バッファ装置5に支持されているワークWが押出板91によってストック棚81側へ押し出され、ストック棚81に移載される。この場合、バッファ装置5において、ワークWはガイド部材52によりX方向の両端部を支持されているため、X方向におけるガイド部材52とガイド部材52との間の部分に押出板91を当接させて押し出すことで、ワークWをストック棚81へ移載することができる。
【0088】
図12に示すように、第3実施形態に係る搬送装置201は、上流側搬送装置202が、上流側搬送ラインCLuの途中部に位置するベルトコンベア21-3と、上流側搬送ラインCLuの終端部に位置するベルトコンベア23とを有する構成とすることができる。搬送装置201は、ベルトコンベア21-3に対応する供給装置3-3、バッファ装置5-3、排出装置6-3、および下流側搬送装置7-3を備えている。また、搬送装置201は、ベルトコンベア23に対応する供給装置3-4、バッファ装置5-4、およびストッカ8を備えている。
【0089】
このように構成した場合、上流側搬送ラインCLuに沿って搬送されるワークWを、ベルトコンベア21-3からバッファ装置5-3に供給した後に、下流側搬送装置7-3により下流側搬送ラインCLd-3に沿って搬送する一方で、ベルトコンベア23からバッファ装置5-4を介してストッカ8に移載することができる。
【0090】
このような構成により、例えば、下流側搬送ラインCLd-3に接続される下流側工程が停止して、下流側搬送装置7-3によるワークWの搬送がなされなくなった場合に、ワークWを貯えるバッファ装置5-3が満載状態となったとしても、上流側搬送ラインCLuに沿って搬送されるワークWをストッカ8に移載することで、ワークWの上流側搬送ラインCLuに沿った搬送を継続することが可能となる。
【0091】
なお、ストッカ8は、複数のストック棚81を有する構成として、一つのストック棚81が満載になると、満載になったストック棚81を移動させて他のストック棚81にワークWを移載するように構成することができる。この場合ストック棚81の移動は、自動または手動により行うことが可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 搬送装置
2 上流側搬送装置
3 供給装置
5 バッファ装置
6 排出装置
7 下流側搬送装置
51 無端状チェーン
52 ガイド部材
61 引出部
62 保持部
63 支持部
CL 搬送ライン
CLd 下流側搬送ライン
CLu 上流側搬送ライン
G 物品
T トレイ
W ワーク