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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】管理システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20240731BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20240731BHJP
   G06Q 10/083 20240101ALI20240731BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
G06Q10/083
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020163753
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022055997
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石黒 久栄
(72)【発明者】
【氏名】小森 幸徳
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-346295(JP,A)
【文献】特開2013-108860(JP,A)
【文献】特開2015-085901(JP,A)
【文献】特開2020-134408(JP,A)
【文献】特開2001-101281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/0969
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミキサドラムを搭載するミキサ車の管理システムであって、
外気温を取得する情報取得部と、
前記ミキサ車の現在地と前記ミキサ車の目的地とに基づいて前記ミキサ車の走行ルートを作成するルート作成部と、を備え、
前記ルート作成部は、前記外気温に基づいて、前記走行ルートを作成することを特徴とする管理システム。
【請求項2】
前記情報取得部は、前記ミキサドラムの内容物の温度を取得し、
前記ルート作成部は、
前記目的地までの走行時間に基づいて作成される時間優先ルートと、
前記目的地への到着時における前記内容物の推定された温度が予め定められる範囲となるように作成される遮熱優先ルートと、を作成可能であることを特徴とする請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記情報取得部が取得する前記外気温に基づいて、前記ミキサ車の周辺地域の温度分布を示す外気温マップを生成するマップ生成部をさらに有し、
前記ルート作成部は、前記外気温マップに基づいて前記目的地への到着時における前記内容物の温度を推定し、前記遮熱優先ルートを作成することを特徴とする請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記情報取得部は、複数の観測地点の気温データを取得し、
前記マップ生成部は、
前記情報取得部が取得した前記気温データと当該気温データが取得された前記観測地点の位置情報とを対応付け、
前記複数の観測地点の間にある非観測地点の気温を前記気温データから推定し、
推定した前記気温データと前記非観測地点の位置情報とを対応付けて前記外気温マップを生成することを特徴とする請求項3に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミキサ車の管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、生コンクリートを所定の打設場所まで運搬する複数のミキサ車の運行管理を行う管理システムが開示されている。この管理システムでは、車両の現在位置から離れた位置にある仮想ゲートを通過した時刻を取得し、この時刻と、仮想ゲートから出荷位置までの車両の走行時間とに基づいて、各車両が出荷位置に到着する到着予測時刻を予測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-210087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるように、従来から、ミキサ車の配車及び運行を管理するシステムが知られている。しかしながら、従来のシステムによるミキサ車の運行管理は、現場へのミキサ車の到着時間(ミキサ車の運行時間)の観点からなされるものであって、ミキサ車が運搬するミキサ車の内容物の状態に基づいてミキサ車の運行を管理するものではなかった。このため、従来のシステムには、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ミキサドラムの内容物の状態に基づいてミキサ車の運行を適切に管理することができる管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ミキサドラムを搭載するミキサ車の管理システムであって、外気温を取得する情報取得部と、ミキサ車の現在地とミキサ車の目的地とに基づいてミキサ車の走行ルートを作成するルート作成部と、を備え、ルート作成部は、外気温に基づいて、走行ルートを作成することを特徴とする。
【0007】
本発明では、外気温に基づいた走行ルートを作成することで、到着時における内容物への温度影響が少ないルートを選定できる。このため、内容物の品質を損なうことなくミキサ車を作業現場へと運行させることができ、適切な配車を実現できる。
【0008】
また、本発明は、情報取得部は、ミキサドラムの内容物の温度を取得し、ルート作成部は、目的地までの走行時間に基づいて作成される時間優先ルートと、目的地への到着時における内容部の推定された温度が予め定められる範囲となるように作成される遮熱優先ルートと、を作成可能であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、情報取得部が取得する外気温に基づいて、ミキサ車の周辺地域の温度分布を示す外気温マップを生成するマップ生成部をさらに有し、ルート作成部は、外気温マップに基づいて目的地への到着時における内容物の温度を推定し、遮熱優先ルートを作成することを特徴とする。
【0010】
これらの発明では、目的地への到着時における内容物の温度に基づく遮熱優先ルートも作成されるため、内容物の品質をより高い精度で維持して、より適切な配車を実現できる。
【0011】
また、本発明は、情報取得部が、複数の観測地点の気温データを取得し、マップ生成部は、情報取得部が取得した気温データと当該気温データが取得された観測地点の位置情報とを対応付け、複数の観測地点の間にある非観測地点の気温を気温データから推定し、推定した気温データと非観測地点の位置情報とを対応付けて外気温マップを生成することを特徴とする。
【0012】
この発明では、観測地点の間にある非観測地点の気温を推定し、推定された非観測地点の気温を含む外気温マップが作成されるため、外気温マップに基づくことで目的地への到着時における生コンの温度の推定精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ミキサドラムの内容物の状態に基づいてミキサ車の運行を適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るミキサ車の側面図である。
図2】本発明の実施形態に係るミキサ車の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る管理システムの構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係る管理システムによるミキサ車の配車方法を示すフローチャート図である。
図5】本発明の実施形態に係る管理システムによるルート作成方法を示すフローチャート図である。
図6】本発明の実施形態に係る管理システムによる外婚マップ作成方法を示すフローチャート図である。
図7】本発明の実施形態に係る管理システムが作成する外気温マップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るミキサ車1の管理システム100について説明する。
【0016】
まず、ミキサ車1の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0017】
ミキサ車1は、図1に示すように、モルタルやレディミクストコンクリート等(以下、「生コン」と称する。)を架台2に搭載されたミキサドラム3にて運搬するものである。
【0018】
ミキサ車1は、図1及び図2に示すように、架台2に搭載されて生コンを搭載可能なミキサドラム3と、ミキサドラム3を回転駆動するミキサドラム駆動装置10(以下、単に「駆動装置10」と称する。)と、ミキサドラム3の駆動を制御するECU15と、運転室1a内に設けられる室内表示器18と、を備える。
【0019】
ミキサドラム3は、図1に示すように、架台2に回転可能に搭載される有底円筒形の容器であり、その後端に開口部(図示省略)を有する。ミキサドラム3は、その回転軸が車両の前部から後部に向かって徐々に高くなるように傾斜して搭載される。
【0020】
ミキサドラム3の開口部の後方上部には、ホッパ4が設けられる。開口部へ投入される生コンは、ホッパ4によって開口部へと導かれる。ミキサドラム3の開口部の後方下部には、フローガイド5及びシュート6が設けられる。開口部から排出される生コンは、フローガイド5によってシュート6に導かれ、シュート6によって所定の方向に排出される。
【0021】
ミキサドラム3は、図2に示すように、ミキサ車1に搭載された走行用のエンジン7を駆動源として回転駆動される。駆動装置10は、エンジン7の回転によって駆動され、作動流体の流体圧によってミキサドラム3を回転駆動するものである。
【0022】
エンジン7におけるクランクシャフト(図示省略)の回転運動は、エンジン7から動力を常時取り出すための動力取り出し機構8(PTO:Power take-off)と、動力取り出し機構8と駆動装置10とを連結するドライブシャフト(図示省略)と、によって駆動装置10に伝達される。
【0023】
駆動装置10では、作動流体として作動油が用いられる。なお、駆動装置10では、作動流体として作動油ではなく、他の非圧縮性流体を用いてもよい。
【0024】
駆動装置10は、エンジン7によって駆動されて作動流体を吐出する流体圧ポンプとしての油圧ポンプ11と、油圧ポンプ11によって駆動されてミキサドラム3を回転駆動する2速式の流体圧モータとしての油圧モータ12と、油圧ポンプ11から油圧モータ12に供給される作動油の流れを制御する電磁比例弁13と、を備える。駆動装置10は、ミキサドラム3を正逆転及び増減速させることが可能である。
【0025】
油圧ポンプ11は、動力取り出し機構8を介してエンジン7から常時取り出される動力によって回転駆動される。そのため、油圧ポンプ11の回転数は、車両の走行状態に伴うエンジン7の回転数の変化に、大きく影響を受ける。そこで、ミキサ車1では、エンジン7の回転数に応じてミキサドラム3が目標回転状態となるように、ECU15によって油圧モータ12の回転数を制御している。
【0026】
油圧ポンプ11は、容量が可変な斜板型アキシャルピストンポンプである。油圧ポンプ11から吐出された作動油は油圧モータ12に供給され、油圧モータ12が回転する。油圧モータ12の回転は、減速機9を介してミキサドラム3に伝達される。油圧ポンプ11は、ポンプ吐出圧が導かれるアクチュエータ(図示省略)の作動により、アクチュエータに導かれるポンプ吐出圧が上昇するほど、斜板を付勢する傾転スプリングに抗してポンプ吐出量が小さくなるように制御される。アクチュエータに導かれるポンプ吐出圧は、ロードセンシング弁(図示省略)によって調整される。ロードセンシング弁は、油圧ポンプ11の吐出圧と油圧モータ12に供給される圧力(負荷圧)との差圧が所定値となるようにアクチュエータに導かれるポンプ吐出圧を調整する。
【0027】
油圧ポンプ11によってミキサドラム3が正転運転されるときには、ミキサドラム3内の生コンが攪拌される。一方、油圧ポンプ11によってミキサドラム3が逆転運転されるときには、ミキサドラム3内の生コンが後端の開口部からフローガイド5及びシュート6を介して外部へと排出される。
【0028】
油圧モータ12は、容量が可変な斜板型アキシャルピストンモータである。油圧モータ12は、油圧ポンプ11から吐出された作動油の供給を受けて回転駆動される。油圧モータ12は、ECU15からの二速切換信号を受信して斜板(図示省略)の傾転角を調整する電磁弁(図示省略)を備える。油圧モータ12の容量は、電磁弁が切り換えられることによって、高速回転用の小容量(2速)と通常回転用の大容量(1速)との二段階に切り換えられる。
【0029】
油圧モータ12には、回転数検知器としての回転センサ12aが設けられる。回転センサ12aは、その出力軸(図示省略)の回転方向と出力軸の回転数を検知し、ECU15に回転方向信号と回転数信号とを出力する。
【0030】
油圧ポンプ11と油圧モータ12の間には、閉回路Lが設けられ、この閉回路Lを作動油が循環するようになっている。この閉回路L中に電磁比例弁13が設けられる。電磁比例弁13は、一対のソレノイド13a,13bを有しており、ECU15からの制御信号によって一対のソレノイド13a,13bへの通電を制御することによって、油圧ポンプ11から油圧モータ12に導かれる作動油の流れを制御する。このようにして電磁比例弁13を制御することで、油圧モータ12の回転方向及び回転速度が制御される。
【0031】
ECU15は、駆動装置10の制御を行うものであり、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)などを備えたマイクロコンピュータで構成される。RAMはCPUの処理におけるデータを記憶し、ROMはCPUの制御プログラムなどを予め記憶し、I/Oインターフェースは接続された機器との情報の入出力に使用される。CPUやRAMなどをROMに格納されたプログラムに従って動作させることによって駆動装置10の制御が実現される。
【0032】
ECU15は、例えば運転室1a内に設けられる。ECU15には、作業者が運転室1a内のイグニッションスイッチ(図示省略)を操作することによってエンジン7が始動すると、イグニッション電源が入力される。これにより、ECU15が駆動される。
【0033】
ECU15は、ネットワークNW(図3参照)を通じて管理システム100と通信可能な通信部16と、ミキサ車1の現在位置を取得するGPS装置(Global Positioning System)17と、を備える。GPS装置17が取得するミキサ車1の現在位置は、ネットワークNWを通じてECU15から管理システム100に定期的に送信される。
【0034】
室内表示器18は、ミキサ車1及びミキサドラム3の作動状態を表示可能に構成されると共に、ミキサ車1の走行ルートを示す地図を表示可能に構成される。室内表示器18は、例えば、情報を表示する表示部として機能すると共に、作業者の操作入力を受け付ける入力部としても機能するタッチパネル式のディスプレイである。
【0035】
次に、図3を参照して、管理システム100について説明する。管理システム100は、例えば、生コンプラントの管理センタによって利用される。管理システム100は、対象地域内のミキサ車1の配車・運行を管理するものであり、打設現場からの生コンの注文に応じて、ミキサ車1による生コンの運搬を管理する。なお、以下では、管理システム100を利用する作業者(生コンプラントの作業者)を、ミキサ車1を実際に作業する作業者と区別して「管理者」と称する。また、対象地域とは、生コンプラント及び生コンプラントに生コンを注文する作業現場とを含む地域である。
【0036】
ミキサ車1の運行管理(配車)では、ミキサ車1が作業現場の要望よりも早く作業現場に到着すると、作業現場での待機が生じてミキサ車1の運行効率が悪化し、待機中に生コンの品質が低下するおそれがある。一方、ミキサ車1の走行時間が長くなり、作業現場への到着が遅延すると、作業現場での作業が遅延する上に、ミキサ車1の品質が低下するおそれも高くなる。
【0037】
このように、ミキサ車1の配車では、ミキサ車1の作業現場での待機や作業現場での作業遅延といった作業効率上の観点に加えて、ミキサドラム3内の生コンの品質の観点からも配車を最適化することが求められる。つまり、ミキサドラム3に搭載した初期状態から生コンの品質を低下させずに、ミキサ車1が作業現場の要求するタイミングで作業現場に到着すること(精度の高い配車)が望まれている。管理システム100は、高い精度での配車を実現するためのシステムである。
【0038】
管理システム100は、図3に示すように、管理サーバ50と、管理者による入力を受け付ける入力装置60と、管理サーバ50からの指令信号に基づいて各種情報を表示する表示装置61と、を備える。
【0039】
管理サーバ50は、CPU等の演算処理装置、記憶装置、通信装置等を備えるコンピュータにより構成される。記憶装置には予めプログラム、アプリケーション等が記憶されており、CPUがこれを実行することにより、本明細書に記載の各種処理を実行する。
【0040】
管理サーバ50は、記憶部51と、外部からの情報を取得する情報取得部52と、外気温に対応する生コンの状態を記憶部51から読み出して、ミキサ車1の運行開始時における生コンの初期状態を決定する決定部53と、ミキサ車1の走行ルートを作成するルート作成部54と、対象地域の温度分布を示す外気温マップを生成するマップ生成部55と、を有する。なお、図3に示す管理サーバ50が備える各構成は、管理サーバ50の機能的構成を示すものであり、物理的構成を示すものではない。
【0041】
記憶部51には、気温とその気温に適した生コンの状態とが関連付けて予め記憶される。気温と生コンの状態について具体的に説明すると、日平均気温が25℃を超える場合には生コンの状態はいわゆる暑中コンクリートとされ、日平均気温が4度以下の場合には生コンの状態はいわゆる寒中コンクリートとされる。日平均気温が4℃超で25℃以下の場合には、通常の生コンの状態とされる。本明細書における暑中コンクリート及び寒中コンクリートとは、建築工事標準仕様書・同解説JASS5鉄筋コンクリート工事(2018)に基づくものである。
【0042】
また、記憶部51には、管理システム100の対象地域を含む地図データが予め記憶されている。地図データには、道路や建造物の設備データが含まれており、地図データに基づいて現在地から目的地までの走行距離及び走行時間を算出可能である。
【0043】
また、記憶部51には、走行するミキサ車1が運搬する生コン(厳密にはミキサドラム3)に対して、熱影響を与える要素の情報が記憶される。具体的には、ミキサ車1への日光を遮断するビルや森林などの要素に対して、ミキサ車1に対する熱影響の度合いが数値化されて記憶される。この熱影響の度合いにより、後述する遮熱優先ルートが生成される。
【0044】
情報取得部52は、後述するルート作成部54によるルート作成及びマップ生成部55による外気温マップの生成に必要な情報をネットワークNWを通じて外部サーバ20から取得する。情報取得部52が取得する情報には、対象地域内の外気温の情報と、対象地域内における渋滞や工事などの情報を含む交通情報と、が含まれる。よって、外部サーバ20は、例えば、気象庁のデータサーバや、一般財団法人道路交通情報通信システムセンターのデータサーバなどが含まれる。
【0045】
また、情報取得部52は、入力装置60を通じて入力される生コンの温度を含む状態量を取得する。情報取得部52が取得した情報は、記憶部51に記憶されると共に、ルート作成部54及びマップ生成部55に入力される。
【0046】
決定部53は、情報取得部52が取得した外気温から、当該外気温に対応する生コンの状態を記憶部51から読み出す。そして、決定部53は、記憶部51から読み出した生コンの状態をミキサ車1の運行開始時における生コンの状態(初期状態)として決定して、表示装置61に表示させる。
【0047】
ルート作成部54は、ミキサ車1の現在地から目的地までの走行ルートを作成する。生コンを作業現場に運搬する往路の場合には、現在地は、主に生コンプラントであり、目的地は作業現場である。作業現場への生コンの運搬が完了し生コンプラントに帰還する場合には、現在地は主に作業現場であり、目的地は生コンプラントとなる。
【0048】
ミキサ車1の現在地には、ミキサ車1に搭載されるGPS装置17(図2参照)が取得し、ネットワークNWを介して管理サーバ50に入力される位置情報が利用される。目的地には、例えば、記憶部51に記憶されたデータベースに登録される作業現場及び生コンプラントの位置情報が利用される。
【0049】
ルート作成部54は、目的地までの走行距離、交通情報、及びミキサドラム3に対する熱影響を考慮して、現在地から目的地まで複数の走行ルートを作成する。本実施形態では、ルート作成部54は、生コンの運搬時(生コンプラントから作業現場への運行)では、走行時間が短くなるように生成される時間優先ルートと、目的地の到着時の生コンの温度が所定範囲となるように生成される遮熱優先ルートと、を生成する。なお、作業現場から生コンプラントへの帰還時では、ルート作成部54は、時間優先ルートのみを生成する。ルート作成部54によるルート作成は、後に詳細に説明する。
【0050】
また、ルート作成部54は、入力部である室内表示器18を通じて入力されるミキサ車1の作業者の操作に基づいて、走行ルートを変更するように構成される。また、ルート作成部54は、室内表示器18を通じた作業者の操作入力と、外気温と、に基づいて、走行ルートを変更するようにしてもよい。室内表示器18により変更された走行ルートの情報は、ネットワークNWを介して管理サーバ50に送信されて、管理サーバ50の記憶部51に記憶される。また、作業者の操作入力と外気温とに基づいて変更された走行ルートの情報も記憶部51に記憶することが望ましい。
【0051】
このように、ミキサ車1の作業者による走行ルートの変更(手動変更)を可能に構成することで、作業者が有する作業現場周辺の地理情報や交通情報、ミキサ車1の個体差などの情報を走行ルートに反映させることができ、より精度の高い配車を実現できる。また、作業者によって変更された走行ルートの情報が記憶部51に記憶されることで、この情報を以降の走行ルートの作成に利用することができるため、作業者がルート変更する作業を抑制でき、作業効率を向上させることができる。なお、ルート作成部54は、室内表示器18を通じた操作入力に基づいてルート変更する構成に限定されず、例えば、入力装置60を通じた操作入力に基づいて走行ルートを変更してもよい。
【0052】
マップ生成部55は、記憶部51に記憶される地図データに基づいて、表示装置61に表示させる地図を生成する。また、マップ生成部55は、対象地域内のミキサ車1の位置情報を取得し、ミキサ車1の現在位置を示す画像(アイコン)を地図上に重畳して表示する。また、マップ生成部55は、ルート作成部54が生成した走行ルートを地図上に重畳して表示する。さらに、マップ生成部55は、情報取得部52が取得した外気温情報に基づいて、対象地域内の温度分布(温度情報)を地図上に重畳して表示する。以下では、対象地域内の温度分布が表示された地図を「外気温マップ」とも称する。
【0053】
次に、図4図7を参照して、管理システム100によるミキサ車1の配車方法について説明する。図4は、管理システム100によって実行されるミキサ車1の配車方法を示すフローチャートである。管理システム100が起動されると、管理サーバ50は、図4に示す処理を実行する。以下では、ミキサ車1が生コンをミキサドラム3に搭載して生コンプラントから作業現場へ運搬する場合を例に説明する。
【0054】
管理システム100が起動されると、まず、ステップS10において、現時点の対象地域内の外気温情報が取得される。外気温情報は、上述のように、例えば、気象庁などの外部サーバ20から取得される。
【0055】
次に、ステップS11において、取得した外気温に対応する生コンの状態を記憶部51から読み出して、生コンの初期状態を決定する。例えば、外気温が30℃であれば、生コンの初期状態は、暑中コンクリートに決定される。
【0056】
ステップS12では、ステップS11で決定した生コンの初期状態を表示装置61に表示させて管理者に報知する。例えば、外気温が30℃超であれば、「本日の予想平均気温は、30℃です。暑中コンクリートに対応した施工が必要です。」といった内容の表示が表示装置61に表示される。
【0057】
このように、ステップS10~S12では、外気温に基づいて生コンの初期状態が決定され、管理者に報知される。これにより、管理者は、報知された情報に基づいて、外気温に対応した適切な状態(温度)の生コンを製造し、生コンをミキサドラム3に積載させて、ミキサ車1を運行させることができる。よって、ミキサドラム3に搭載される生コンに対する外気温の影響を考慮したミキサ車1の運行を実現できる。
【0058】
次に、ステップS13では、作業現場(目的地)の情報(具体的には位置情報)の設定入力を受け付ける。作業現場の情報の設定は、作業現場から生コンプラントへの注文内容に基づき、管理者によって入力装置60を通じて入力される。作業現場の情報が設定されると、ステップS14に進む。なお、作業現場の情報の設定は、作業現場から管理システム100の管理サーバ50に送信される注文内容の情報を含む信号に基づいて、自動で設定されるものでもよい。
【0059】
次に、ステップ14において、ミキサドラム3に投入される生コンの状態量(具体的には温度情報)の設定入力を受け付ける。生コンの状態量の設定は、管理者によって入力装置60を通じて入力される。生コンの状態量が設定されると、ステップS15に進む。なお、生コンの状態量の設定は、生コンを製造するプラント設備を制御する制御装置(図示省略)から自動で取得され設定されるものであってもよい。
【0060】
次に、ステップS15において、現在地(生コンプラント)から目的地(作業現場)までのミキサ車1の走行ルートを作成するルート作成が行われる。ルート作成では、目的地までの走行時間が最も短くなる時間優先ルートと、目的地への到着時における生コンが所定の温度範囲となるような遮熱優先ルートと、が作成される。ルート作成については、後に詳細に説明する。
【0061】
ステップS16では、ステップS15で作成された時間優先ルートと遮熱優先ルートとを重畳的に表示した地図を表示装置61に表示して、ステップS17において、いずれのルートを利用するかのルート設定入力を受け付ける。
【0062】
入力装置60を通じて管理者が時間優先ルート又は遮熱優先ルートを選択すると、ステップS18において、選択されたルートがミキサ車1の走行ルートとして設定される。設定された走行ルートは、ステップS19において、表示装置61に表示されると共に、ネットワークNWを通じてミキサ車1のECU15に送信され、ミキサ車1の室内表示器18にも表示される。
【0063】
以上のように走行ルートが作成されると、ミキサ車1の作業者は、作成された走行ルートに基づいてミキサ車1により作業現場まで生コンを運搬する。
【0064】
次に、図5を参照して、図4のステップS15で示すルート作成について説明する。図5に示す処理は、管理サーバ50のルート作成部54によって実行される。
【0065】
ルート作成では、ステップS30及びS31において時間優先ルートが生成され、ステップS32~S38において遮熱優先ルートが生成される。
【0066】
ステップS30では、記憶部51から地図情報を取得すると共に、ミキサ車1のGPS装置17(図2参照)から現在位置を取得する。さらに、ステップS30では、外部サーバ20を通じて交通情報を取得する。ステップS31では、地図情報と交通情報とに基づいて、現在地から目的地までの走行時間が最も短くなるような時間優先ルートを生成する。なお、時間優先ルートの生成は、公知の技術を採用することができるため、詳細な説明は省略する。
【0067】
遮熱優先ルートの生成では、まず、ステップS32において、対象地域内の温度分布を示す外気温マップを作成する(図7参照)。外気温マップの作成については、後に詳細に説明する。
【0068】
次に、ステップS33では、地図情報に基づいて、任意の走行ルート(初期ルート)を作成する。初期ルートは、予め定められた条件により生成される走行ルートであり、例えば、目的地までの走行距離が最も短くなる走行ルートである。
【0069】
ステップS34では、初期ルートにおける目的地までの走行時間と、目的地への到着時における生コンの温度と、を演算する。走行時間は、地図情報に含まれる距離と、記憶部51に予め記憶される標準走行速度と、に基づいて演算される。目的地への到着時の生コンの温度は、現在の生コンの温度情報と、その走行ルートの走行時間と、外気温マップに含まれる各地点の外気温と、走行ルート上に存在する熱影響を及ぼす因子の影響度と、に基づいて推定される。目的地への到着時の温度の推定は、公知の手法を採用することができるため、詳細な説明は省略する。
【0070】
ステップS35では、ステップS33で探索した初期ルートの走行時間が、目的地に応じて予め設定される所定時間以内であるかを判定する。初期ルートの走行時間が所定時間以内であればステップS36に進み、所定時間を超える場合にはステップS37に進む。ステップS35における所定時間は、現在地から目的地までの許容される走行時間の上限を示すものである。
【0071】
ステップS36では、ステップS34で推定した生コンの温度が、規定の温度範囲内であるかを判定する。推定された生コンの温度が規定範囲内であれば、ステップS38において当該ルートを遮熱優先ルートとして設定して、処理を終了する。推定した生コンの温度が規定の温度範囲外であれば、ステップS37に進む。なお、規定の温度範囲とは、作業現場での生コンの打設作業において要求される温度範囲である。
【0072】
走行時間が所定時間の範囲外であると判定された場合(ステップS35)や、作業現場への到着時での温度が規定温度範囲外であると判定された場合(ステップS36)には、ステップS33で生成した初期ルートは適切なルートではないとしてステップS37に進む。ステップS37では、初期ルートとは別の走行ルートを生成し、再びステップS34に進む。以降、ステップS36で規定の温度範囲内にあると判定されるルートが見つかる(ステップS38に進む)まで、ステップS34~S37を繰り返す。なお、所定の回数だけステップS34~S37を繰り返してもステップS38に進むような走行ルートが見つからなければ、ステップS34~S37のループを抜け出して、エラー情報を表示装置61に表示したうえで、処理を終了するように構成してもよい。
【0073】
以上のようにして、ミキサ車1の時間優先ルート及び遮熱優先ルートが生成される。
【0074】
次に、図6及び図7を参照して、図5のステップS32で示す外気温マップ生成について説明する。図6に示す処理は、管理サーバ50のマップ生成部55によって実行される。
【0075】
外気温マップの生成では、予め定められる対象地域内にある複数の観測地点の気温データを取得する。複数の観測地点とは、例えば、気象庁が気温情報を発表する地点(気象庁が気温を測定する地点)である。外気温マップの生成で利用する気温データの取得は、図4に示すステップS10における気温データの取得と同時に行われる。
【0076】
図6に示すように、ステップS50では、ステップS10で取得した気温データと観測地点の位置情報とを地図上で対応付ける(図7参照)。図7では、3つの観測地点A,B,Cの地図上の位置に丸形のアイコンを表示し、アイコン内の数字によってその地点の温度を表示している。
【0077】
ステップS51では、複数の観測地点A~Cの間に存在し、気象庁等によって気温が観測されていない非観測地点の温度を推定する。具体的には、まず、2つの観測地点を1組とし、観測地点の位置情報から2地点間の任意の点(例えば、2つの観測地点間を3等分するように配置される2地点)を非観測地点として設定する。そして、2つの観測地点間の気温は、比例的に(線形的に)変化するものとして、各非観測地点の温度を2つの観測地点の温度から推定する。例えば、図7に示すように、気温が20℃である観測地点(A地点)と気温が24度である観測地点(B地点)との間にある非観測地点は、A地点側から21.3℃(AB1地点)、22.7℃(AB2地点)と推定する。この処理を各観測地点のすべての組み合わせで実行し、複数の非観測地点の温度を推定する。なお、図7では、非観測地点の地図上の位置に四角形のアイコンを表示し、アイコン内の数字によってその地点の温度を表示している。また、このようにして設定された非観測地点を「第1非観測地点」と称する。
【0078】
次に、ステップS53では、ステップS52で設定された第1非観測地点間でさらに非観測地点(以下、「第2非観測地点」と称する。)を設定し、当該第2非観測地点の温度をステップS52と同様の方法により推定する。例えば、図7に示すように、A地点とB地点の間の第1非観測地点AB2と、その他の第1非観測地点との間に第2非観測地点D1~D4を設定する。そして、ステップS52と同様に、第2非観測地点D1~D4の温度を推定する。この処理を各第1非観測地点について実行する。なお、図7では、第1非観測地点AB2に対する処理のみの場合を図示しており、その他の第1非観測地点に対する第2非観測地点については図示を省略している。
【0079】
そして、ステップS54において、ステップS52及びS53で推定した第1非観測地点及び第2非観測地点の気温を地図上に反映させて、外気温マップの生成が完了する(ステップS55)。
【0080】
なお、外気温マップの作成では、観測地点又は非観測地点が所定の距離範囲内にある場合には、1つの地点に統合してもよい。この場合、統合された地点は、例えば、所定の距離範囲内の各地点の温度を平均した温度が関連付けられる。
【0081】
以上のようにして、管理システム100では、外気温マップを作成し、外気温マップに基づいて遮熱優先ルートを作成する。これにより、生コンの品質も考慮したミキサ車1の配車を実現することができる。つまり、本実施形態では、ミキサ車1の走行ルートは、時間優先ルートに加えて、遮熱優先ルートも作成されるため、生コンの品質を損なうことなくミキサ車1を作業現場へと運行させることができ、適切な配車を実現できる。
【0082】
なお、上記実施形態では、一つの作業現場に対して一台のミキサ車1が配車される場合について説明したが、管理システム100は、一つの作業現場に対して複数のミキサ車1を配車するものでもよい。この場合には、ミキサ車1が作業現場で作業する時間分だけ時差を持たせて、複数のミキサ車1を配車すればよい。
【0083】
また、一台のミキサ車1が、同一の作業現場に対して繰り返し生コンを運搬するような場合には、生コンプラントに帰還した時点で図4図6に示す処理を再度実行して、改めて走行ルートを設定するようにすればよい。
【0084】
また、ルート作成部54は、ミキサ車1が作業現場まで生コンを運搬している途中にルート変更を行ってもよい。この場合には、図4に示すステップS15~S19までの処理を再び実行すればよい。これにより、運搬途中のミキサ車1の現在位置から作業現場までの時間優先ルートと遮熱優先ルートが再び生成され、いずれかを走行ルートとして設定することができる。
【0085】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0086】
管理システム100では、外気温に基づいてミキサドラム3に搭載する生コンの初期状態が決定され、管理者に報知される。これにより、管理者は、報知された情報に基づいて、外気温に対応した適切な状態(温度)の生コンを製造し、生コンをミキサドラム3に積載させて、ミキサ車1を運行させることができる。よって、ミキサドラム3に搭載される生コンに対する外気温の影響を考慮したミキサ車1の運行を実現できる。
【0087】
また、管理システム100では、目的地に到着した際の生コンの温度が規定温度範囲になるような遮熱優先ルートが生成される。よって、遮熱優先ルートによりミキサ車1の運行を管理することで、生コンの品質を低下させずに適切な配車を実現することができる。
【0088】
また、管理システム100では、外部サーバ20から複数の観測地点の気温を取得し、取得した外気温から、観測地点の間にある複数の非観測地点の温度を推定して外気温マップを作成する。このようにして作成された外気温マップに基づいて、遮熱優先ルートが作成される。これにより、対象地域内のより詳細な気温情報に基づいて遮熱優先ルートを作成できるため、到着時における生コンの温度の推定精度が向上し、より適切な配車を実現することができる。
【0089】
次に、本実施形態の変形例について説明する。以下のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
【0090】
上記実施形態では、外部サーバ20から取得した気温情報に基づき、外気温マップを作成する。これに対し、上記実施形態の構成に代えて、又は、加えて、対象地域内で走行するミキサ車1が取得する気温データに基づいて、外気温マップを作成してもよい。例えば、対象地域内を走行する一又は複数のミキサ車1に搭載される気温センサが周囲の気温を測定し、管理サーバ50に送信する。管理サーバ50は、ミキサ車1の現在位置を観測地点とし、観測地点の位置情報と気温情報とを関連付けて地図上に表示する。さらに、複数のミキサ車1の間に非観測地点を設定し、非観測地点の気温を観測地点の気温から推定する。このような方法によれば、対象地域でミキサ車1が実際に測定した気温に基づいた外気温マップが作成されるため、その対象地域に適した外気温マップを作成でき、ミキサドラム3内の生コンの品質をより一層向上させることができる。なお、この方法で作成された外気温マップには、ミキサ車1が気温を測定した日時を関連付けておくことが望ましい。
【0091】
また、初めに上記実施形態のように外部サーバ20から取得した気温によって外気温マップを作成し、その後対象地域内のミキサ車1が測定した気温情報によって当該外気温マップを補正(更新)するようにしてもよい。また、その反対に、対象地域内のミキサ車1が測定した気温情報によって外気温マップを作成し、外部サーバ20から取得した気温によって当該外気温マップを補正してもよい。また、気温以外にも、外部サーバ20から天候、日照量、日照時間、日時等の情報を取得し、取得した情報に基づいて外気温マップを補正してもよい。これによれば、精度が高い外気温マップを得ることができる。
【0092】
また、外気温マップの作成には、例えば過去の気象データを学習させた人工知能を利用して、現在の気象データから対象地域内の温度を推定させて外気温マップを作成してもよい。
【0093】
また、管理サーバ50は、交通渋滞など、局所的に気温に影響を与える情報を外部サーバ20から取得して、気温に影響を与える情報に基づいて外気温マップを補正するようにしてもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、生コンの初期状態は、表示装置61にテキストデータとして表示されることで、管理者に報知される。これに対し、例えば、報知部としてスピーカーを設けて、決定部53により決定された生コンの初期状態をスピーカーを通じて音声によって管理者に報知してもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、作業現場への到着時における生コンの温度を推定し、その温度が規定温度範囲内に含まれるように遮熱優先ルートを作成する。これに対し、管理システム100では、作業現場への到着時における生コンの温度が、規定温度範囲外となるまでに要する走行時間を推定し、この走行時間を管理者に放置するように構成してもよい。
【0096】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0097】
また、ミキサドラム3を搭載するミキサ車1の管理システム100は、外気温を取得する情報取得部52と、ミキサ車1の現在地とミキサ車1の目的地とに基づいてミキサ車1の走行ルートを作成するルート作成部54と、を備え、ルート作成部54は、外気温に基づいて、走行ルートを作成する。
【0098】
この構成では、外気温に基づいた走行ルートを作成することで、到着時における生コンへの温度影響が少ないルートを選定できる。このため、生コンの品質を損なうことなくミキサ車1を作業現場へと運行させることができ、適切な配車を実現できる。このようにして、ミキサドラム3の内容物の状態に基づいてミキサ車1の運行が適切に管理される。
【0099】
また、管理システム100は、情報取得部52は、ミキサドラム3の生コンの状態量(温度)を取得し、ルート作成部54は、情報取得部52が取得した現在の状態量に基づいて目的地への到着時における状態量を推定し、推定された到着時における内容物の状態量が、予め定められる範囲となるように走行ルート(遮熱優先ルート)を作成する。
【0100】
また、管理システム100では、情報取得部52が取得する状態量には、内容物の温度が含まれ、ルート作成部54は、目的地までの走行時間に基づいて作成される時間優先ルートと、目的地への到着時における生コンの推定された温度が所定範囲内となるように作成される遮熱優先ルートと、を作成可能である。
【0101】
また、管理システム100は、情報取得部52が取得する外気温に基づいて、ミキサ車1の周辺地域の温度分布を示す外気温マップを生成するマップ生成部55をさらに有し、ルート作成部54は、外気温マップに基づいて目的地への到着時における内容物の温度を推定し、遮熱優先ルートを作成する。
【0102】
これらの構成では、目的地への到着時における生コンの温度に基づく遮熱優先ルートも作成されるため、内容物の品質をより高い精度で維持して、より適切な配車を実現できる。
【0103】
また、管理システム100では、情報取得部52は、複数の観測地点の気温データを取得し、マップ生成部55は、情報取得部52が取得した気温データと当該気温データが取得された観測地点の位置情報とを対応付け、複数の観測地点の間にある非観測地点の気温を気温データから推定し、推定した気温データと非観測地点の位置情報とを対応付けて外気温マップを生成する。
【0104】
この構成では、観測地点の間にある非観測地点の気温を推定し、推定された非観測地点の気温を含む外気温マップが作成されるため、外気温マップに基づくことで目的地への到着時における生コンの温度の推定精度を向上させることができる。
【0105】
また、管理システム100では、ルート作成部54は、ミキサ車1の室内表示器18を通じた作業者による操作入力に基づいて、作成した走行ルート変更する。
【0106】
この構成では、作業者による操作によって走行ルートを変更することで、現場への到着時間の微調整などを行うことができるため、配車の精度を向上させることができる。
【0107】
また、管理システム100は、気温と当該気温に適したミキサドラム3の生コンの状態とを関連付けて記憶する記憶部51と、情報取得部52が取得した外気温に対応する生コンの状態を記憶部51から読み出して、ミキサ車1の運行開始時における生コンの初期状態を決定する決定部53と、をさらに備える。
【0108】
この構成では、決定部53によって決定される外気温に対応した適切な状態の生コンをミキサドラム3に積載させて、ミキサ車1を運行させることができる。これにより、ミキサドラム3の生コンに対する外気温の影響を考慮したミキサ車1の運行を実現できる。
【0109】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0110】
100…管理システム、1…ミキサ車、3…ミキサドラム、15…ECU、18…室内表示器(入力部)、50…管理サーバ、51…記憶部、52…情報取得部、53…決定部、54…ルート作成部、55…マップ生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7