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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】パンツ型使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/551 20060101AFI20240731BHJP
   A61F 13/58 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
A61F13/551 100
A61F13/58
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020166531
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057987
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一萬田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】福田 優子
(72)【発明者】
【氏名】奥田 泰之
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-121931(JP,A)
【文献】特開2016-000116(JP,A)
【文献】特開2010-162277(JP,A)
【文献】特開2019-030634(JP,A)
【文献】特開2017-075440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/551
A61F 13/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部を有し、着用状態において着用者の腹側に配される腹側部及び背側に配される背側部を備えたパンツ型使い捨ておむつであって、
前記使い捨ておむつの本体部分の外面に、該使い捨ておむつの廃棄形態を維持するための廃棄用テープが設けられており、
前記廃棄用テープは、前記本体部分の外面に固定されている固定部と、伸長部と、止着部とが、この順で該廃棄用テープの長辺方向に沿って配置されているとともに、折り畳まれた状態で前記本体部分の外面に固定されており、
折り畳まれた状態の前記廃棄用テープは、前記固定部、前記伸長部及び前記止着部のうちの相対向する部分どうしが剥離可能に接合されており、
前記伸長部及び前記止着部を夫々に伸長させる第1の引張試験において、
前記伸長部が伸長を開始する引張強度が、前記止着部が伸長を開始する引張強度よりも低く、前記伸長部の弾性係数が0.5N/mmよりも大きく、
第1の引張試験で求められる前記伸長部が伸長を開始する引張強度が、層間剥離試験により求められる、前記伸長部が前記固定部と剥離する強度よりも高く、
折り畳まれた状態を解除した前記廃棄用テープについて、前記本体部分に対する前記固定部の固定状態を維持し且つ前記止着部側の端部を把持して行う、前記本体部分の変形量を含めた引張長さと引張荷重との関係を求める第2の引張試験において、
引張荷重0.5N時と4N時の引張長さから求められる弾性係数が1N/mm以下であり、
第1引張試験で求められる前記伸長部の弾性係数と第2引張試験で求められる前記廃棄用テープの破断強度[N]の関係が、前記破断強度[N]>4×前記弾性係数+9を満たす、パンツ型使い捨ておむつ。
【請求項2】
第1の引張試験において、前記伸長部は、0.5N時と4N時の伸長率から求められる単独での弾性係数が3N/mm以下である、請求項1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項3】
第1の引張試験において、前記伸長部は、該伸長部が伸長を開始する引張強度が5N以上10N以下である、請求項1又は2に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記伸長部は、伸縮性を有し、第1の引張試験において、300%伸長後の残留歪みが150%以内である、請求項1~3の何れか一項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記本体部分は、前記外面よりも肌対向面側に吸収性コアを含む吸収体を備えており、前記本体部分が、前記廃棄用テープの引張に伴い変形する緩衝構造を有し、
前記緩衝構造は、折り畳まれた状態を解除した前記廃棄用テープを、該廃棄用テープが固定されている前記外面と垂直な方向に引っ張ったときに、前記伸長部が伸長を開始する引張荷重よりも弱い力で、該廃棄用テープの前記固定部と前記伸長部の接続部と、前記吸収性コアとの間の距離が増大する構造である、請求項1~の何れか1項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記緩衝構造として、前記廃棄用テープが固定されている前記外面における前記固定部の側方に位置する部分にスリットが形成されている、請求項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記緩衝構造における、前記廃棄用テープにおける前記接続部と前記吸収性コアとの間の距離の増大が、前記外面が不織布で形成されている場合の該不織布の層内、又は前記外面から前記吸収性コアに至る層の層間の廃棄用テープの長手方向におけるズリ変形により発現する、請求項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項8】
前記廃棄用テープが固定されている前記外面が、不織布から構成されており、該不織布の厚みが0.75mm以上である、請求項1~7の何れか一項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項9】
前記廃棄用テープが固定されている前記外面が、不織布から構成されており、該不織布の繊維間距離が75μm以上である、請求項1~8の何れか一項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項10】
前記廃棄用テープが固定されている前記外面が、伸長性シートから構成されており、
前記伸長性シートは、折り畳まれた状態の前記廃棄用テープの長辺方向と同方向に伸長させたとき、5N/50mmの引張荷重時の伸度が5%以上である、請求項1~9の何れか一項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項11】
前記廃棄用テープが固定されている前記外面が、折り畳まれた状態の前記廃棄用テープの長辺方向と交差する方向に伸縮する不織布から形成されている、請求項1~10の何れか一項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項12】
前記廃棄用テープは、前記固定部を形成する固定部用シート片が折り返されて、前記伸長部を形成する伸長部用シート片に接合されている接合部を有し、前記伸長部用シート片は、前記接合部から延出する延出部を有し、該延出部においても前記本体部分の外面に固定されている、請求項1~11の何れか一項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項13】
第1の引張試験において、前記伸長部は、0.5N時と4N時の伸長率から求められる単独での弾性係数が0.5N/mm以上である、請求項2に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄用テープを備えたパンツ型使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
使用後の廃棄を容易に且つ衛生的に行えるようにする観点から、使い捨ておむつを丸めた状態に維持し得る廃棄用テープを備えたパンツ型使い捨ておむつが知られている。例えば、本出願人は、先に、使い捨ておむつの外面に固定されている固定部と、伸長部と、止着部とを該廃棄用テープの長辺方向に沿って配置し、この順で三つ折り状態に保持された廃棄用テープを備えたパンツ型使い捨ておむつを提案している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-30634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、廃棄用テープが、伸長部の伸長に起因して長さが増加するため、丸めたおむつの周囲に広く配することができ、そのおむつを丸めた状態に維持し易い。しかしながら、人が手で廃棄用テープを引っ張る際の伸び始めるまで力を込める加減が難しく、また、手で勢いよく引っ張った際の慣性により想定以上の荷重が廃棄用テープにかかってしまうこともある。伸長部は、伸長可能な引張強度(破断限界伸度ともいう)を超えると破断してしまうため、破損を抑制する観点からは引張強度を高めることが好ましいが、高めすぎると強い力で引っ張らないと伸長部が延びないことから廃棄操作がやり難くなる。
【0005】
本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得るパンツ型使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部を有し、着用状態において着用者の腹側に配される腹側部及び背側に配される背側部を備えたパンツ型使い捨ておむつを提供するものである。
前記使い捨ておむつの本体部分の外面に、該使い捨ておむつの廃棄形態を維持するための廃棄用テープが設けられている。前記廃棄用テープは、前記本体部分の外面に固定されている固定部と、伸長部と、止着部とが、この順で該廃棄用テープの長辺方向に沿って配置されているとともに、折り畳まれた状態で前記本体部分の外面に固定されている。折り畳まれた状態の前記廃棄用テープは、前記固定部、前記伸長部及び前記止着部のうちの相対向する部分のどうしが剥離可能に接合されている。
前記廃棄用テープは、前記伸長部及び前記止着部を夫々に伸長させる第1の引張試験において、前記伸長部が伸長を開始する引張強度が、前記止着部が伸長を開始する引張強度よりも低く、前記伸長部の弾性係数が0.5N/mmよりも大きい。
前記廃棄用テープは、第1の引張試験で求められる前記伸長部が伸長を開始する引張強度が、層間剥離試験により求められる、前記伸長部が前記固定部と剥離する強度よりも高い。
折り畳まれた状態を解除した前記廃棄用テープについて、前記本体部分に対する前記固定部の固定状態を維持し且つ前記止着部側の端部を把持して行う、前記本体部分の変形量を含めた引張長さと引張荷重との関係を求める第2の引張試験において、引張荷重0.5N時と4N時の引張長さから求められる弾性係数が1N/mm以下である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、廃棄時の操作性を損なうことなく、廃棄用テープを過度に伸長させることによる破断を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの一実施形態を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すパンツ型使い捨ておむつの展開且つ伸長状態における肌対向面側を模式的に示す展開平面図である。
図3図3は、図2のI-I線模式断面図である。
図4図4(a)及び(b)は、図1に示すパンツ型使い捨ておむつの廃棄用テープを伸長させる様子を示す斜視図である。
図5図5は、図1に示すパンツ型使い捨ておむつの廃棄形態を示す斜視図である。
図6図6(a)及び(b)は、第1の引張試験により得られる、弾性係数が異なる伸長部の伸長率(伸び)と引張荷重との関係を示すグラフである。
図7図7は、廃棄用テープ全体の引張強度の試験を行う第2の引張試験を説明するための図であり、(a)は試験対象のおむつから採取した試験片を乗せる治具を示す斜視図、(b)は試験対象となるおむつから試験片を切出す範囲を説明する図、(c)は引張試験装置の構成と廃棄用テープを引き延ばした状態を模式的に示す斜視図、(d)は(c)を矢視A方向からの見た時の正面図である。
図8図8(a)は、第2の引張試験により得られる、おむつの本体部分の変形量を含めた引張長さと引張荷重との関係を示すグラフであり、図8(b)は、廃棄用テープの弾性係数の算出方法を説明する図8(a)の一部の拡大図である。
図9図9は、第1の引張試験により得られる伸長部(又は止着部)の伸長率又は引張長さと引張荷重との関係を模式的に示すグラフであり、図9(a)は、測定部の長さを伸長率300%まで伸長させる伸長過程の変化と、その測定部を、チャック間距離を伸長率300%から初期長まで戻して収縮させる収縮過程の変化とを示すグラフであり、図9(b)は、測定部を破断するまで伸長させたときの変化を示すグラフである。
図10図10(a)~(c)は、パンツ型使い捨ておむつが備える緩衝機構の構成と、廃棄用テープを徐々に引き伸ばしたときの本体部分の構造の変化を模式的に示す模式断面図である。
図11図11(a)~(c)は、パンツ型使い捨ておむつが備える緩衝機構の他の例の構成と、廃棄用テープを徐々に引き伸ばしたときの本体部分の構造の変化を模式的に示す模式断面図である。
図12図12(a)~(c)は、パンツ型使い捨ておむつが備える緩衝機構の他の例の構成と、廃棄用テープを徐々に引き伸ばしたときの本体部分の構造の変化を模式的に示す模式断面図である。
図13図13は、緩衝機構を備えたパンツ型使い捨ておむつの他の例を示す模式図である。
図14図14は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの他の実施形態を示す図3相当図である。
図15図15は、廃棄用テープの伸長部の弾性係数[N/mm]と破断強度[N]の関係を示すグラブである。
図16図16は、おむつの本体部分の変形量を含めた伸長率と引張荷重との関係の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明に係るパンツ型使い捨ておむつの一実施形態が示されている。同図に示すパンツ型使い捨ておむつ1(以下、単に「おむつ1」とも言う。)は、着用者の胴が通されるウエスト開口部1W、及び着用者の下肢が通される一対のレッグ開口部1L,1Lを有する。おむつ1は、表面シート2、裏面シート3及び吸収体40を有する吸収性本体4と、吸収性本体4の非肌対向面側に配された外装体5とを備えている。外装体5は、おむつ1の非肌対向面、即ちおむつ1の外面を形成している。
【0010】
本明細書において、「肌対向面」は、おむつ又はその構成部材(例えば表面シート)における、着用時に着用者の肌側に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌に近い側に配される面であり、「非肌対向面」は、おむつ又はその構成部材における、着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌から遠い側に配される面である。尚、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置、即ち当該おむつ1の正しい着用位置が維持された状態を意味する。
【0011】
おむつ1は、着用状態において着用者の腹側に配される腹側部A、股間部に配される股下部C、及び着用者の背側に配される背側部Bを備えている。おむつ1は、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける外装体5の縦方向Xに沿う両側縁部どうしが、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。これにより、前述のウエスト開口部1W、及び一対のレッグ開口部1L,1Lが形成されている。
【0012】
図2に、展開且つ伸長状態のおむつ1を示す。おむつ1の「展開且つ伸長状態」とは、腹側部A及び背側部Bそれぞれの外装体5の縦方向Xに沿う両側縁部を互いに接合した状態から切り離して展開状態とし、その展開状態のおむつ1を各部の弾性部材を伸長させて設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に拡げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態をいう。
【0013】
おむつ1は、腹側部Aから股下部Cを介して背側部Bに延びる方向に対応する縦方向Xと、該おむつ1を図2に示すように平面状に拡げた状態において、該縦方向Xと直交する横方向Yとを有している。縦方向Xは、吸収性本体4の長手方向と一致している。おむつ1は、図2に示すように、縦方向Xに延びる、該おむつ1を横方向Yに2等分する縦方向中心線CLに対して左右対称に形成されている。
【0014】
外装体5は、図2及び図3に示すように、外層シート55と、外層シート55よりも肌対向面側に配された内層シート56と、これら両シート55,56間に伸長状態で配された複数本の弾性部材53,54とを有している。外層シート55は、おむつ1の外面を形成し、外層シート55と内層シート56とは隣接している。
外装体5は、弾性部材53,54の伸縮によって幅方向Yに伸縮する伸縮領域Gを有している。より具体的には、伸縮領域Gとして、吸収性本体4よりも縦方向Xの外方に形成されたウエスト伸縮領域G1と、該ウエスト伸縮領域G1よりも股下部C側に形成された下部伸縮領域G2とを有している。
おむつ1は、ウエスト伸縮領域G1として、腹側部A側に位置する腹側ウエスト伸縮領域FG1及び背側部B側に位置する背側ウエスト伸縮領域BG1を有しており、下部伸縮領域G2として、腹側部A側に位置する腹側下部伸縮領域FG2及び背側部B側に位置する背側下部伸縮領域BG2を有している。図2おいて、符号53はウエスト伸縮領域G1に配された弾性部材53であり、符号54は胴回り下部伸縮領域G2に配された弾性部材54である。
【0015】
ウエスト伸縮領域G1は、吸収性本体4の長手方向Xの両端4a,4bそれぞれの外方に形成されている。ウエスト伸縮領域G1は、着用状態下に着用者のウエスト部に配される。
下部伸縮領域G2は、腹側部A及び背側部Bのそれぞれの縦方向Xにおいて、吸収性本体4の長手方向Xの端4a,4bの位置とサイドシール部7の下端の位置との間に形成されている。下部伸縮領域G2では、弾性部材54が、少なくとも、サイドシール部7と吸収性本体4の幅方向Yの側縁との間に延びて配されている。また下部伸縮領域G2では、吸収性本体4の幅方向Yの両側縁の間に、弾性部材54が配されていないか、或いは、弾性部材54が、弾性伸縮性を発現しないように細かく分断される等の処理を施された状態で配されている。
【0016】
本実施形態のおむつ1における吸収体40は、図3に示すように、液保持性の吸収性コア41と該吸収性コア41の肌対向面及び非肌対向面を被覆するコアラップシート42とを含んで構成されている。吸収性コア41は、吸水性ポリマーと親水性繊維とを含んで構成されている。コアラップシート42は、一枚で、吸収性コア41の全周を被覆していても良いし、2枚以上で、吸収性コア41の全周を被覆していても良い。
【0017】
おむつ1は、図2に示すように、縦方向Xに沿う吸収性本体4の両側部それぞれに、該縦方向Xに沿って延びる防漏カフ6,6を備えている。防漏カフ6,6は、吸収性本体4の縦方向Xの全長に亘って連続する撥水性のカフ形成用シート61と、カフ形成用シート61の横方向Yの内方側に縦方向Xに伸長状態で固定された1本又は複数本のカフ弾性部材62とを含んで構成されている。防漏カフ6,6は、カフ弾性部材62を有することで、肌対向面側に起立する。
【0018】
外装体5、吸収性本体4に含まれる表面シート2、裏面シート3及び吸収体40、並びに防漏カフ6,6等の構成部材に用いられる材料としては、当該技術分野において、従来用いられてきたものと同様のもの等を特に制限なく用いることができる。
【0019】
本実施形態のおむつ1は、外装体5に廃棄用テープが設けられている。具体的には、図1に示すように、背側部Bにおける外装体5の外面5Aに廃棄用テープ10が設けられている。廃棄用テープ10は、おむつ1の廃棄形態を維持するために用いられるものである。廃棄用テープ10は、おむつ1の背側部Bにおける横方向Yの略中央部に位置している。また本実施形態の廃棄用テープ10は、三つ折り状態において、その長辺方向がおむつ1の縦方向Xに一致するように設けられている。
ここで、三つ折り状態の廃棄用テープ10について長辺方向とは、おむつの外面5Aをその法線方向から視たときに長方形状である三つ折り状態の廃棄用テープの長辺に沿う方向であり、展開状態の長辺方向とは、廃棄用テープ10の伸長部及び止着部をおむつの外面5Aと同一面に展開してその法線方向から視たときに長方形状となる展開状態での廃棄テープの長辺に沿う方向である。
【0020】
図3は、図2のI-I線模式断面図である。図3には、三つ折り状態になっている廃棄用テープ10の断面構造が示されている。廃棄用テープ10は、主として3つの部位から構成されている。具体的には、廃棄用テープ10は、固定部12と、伸長部15と、止着部18とから構成されている。これら固定部12、伸長部15、及び止着部18は、この順で廃棄用テープ10の長辺方向X1に沿って配置されている。本実施形態の廃棄用テープ10は、固定部12、伸長部15、及び止着部18の順で積層された三つ折り状態になっている。
【0021】
廃棄用テープ10は、折り畳まれた状態で、おむつの本体部分の外面に設けられているが、その「折り畳まれた状態」は、上述した三つ折り状態に限定されるものではなく、固定部12と、伸長部15及び止着部18とが折り重なっている2つ折り状態であってもよい。例えば、固定部12と伸長部15の間のみで折り返されて、固定部12の上に伸長部15及び止着部18が重なっている状態が一例として挙げられる。しかしながら、展開状態する使用前の廃棄用テープ10は、三つ折り状態とされて、固定部12、伸長部15及び止着部18がこの順に重なった構造を有することが、コンパクトであるとともに、止着部18を廃棄用テープ10の引張方向へ引き出し易く、廃棄操作が容易となる点等から好ましい。
【0022】
折り畳まれた状態の廃棄用テープ10は、固定部12と伸長部15及び止着部18とが折り重なっているか、又は固定部12と伸長部15と止着部18とが折り重なっていることが好ましい。また固定部12、伸長部15及び止着部18が、そのような状態に折り重なっている廃棄用テープ10においては、厚み方向において相対向している面同士が剥離可能に接合されていることが好ましい。他の態様で折り畳まれている廃棄用テープにおいても、厚み方向において相対向している面同士が剥離可能に接合されていることが好ましい。ここでいう、厚み方向は、廃棄用テープ10が固定されている本体部分の外面に垂直な方向であり、固定部12と伸長部15及び止着部18とが重なっている方向又は固定部12と伸長部15と止着部18とが重なっている方向である。
【0023】
廃棄用テープ10における固定部12は、固定部用シート片13を有している。固定部用シート片13は、第1面13a及び第2面13bを有している。三つ折り状態になっている廃棄用テープ10において固定部用シート片13は、後述する折り返し部13’を除いて、第1面13aが伸長部15と対向し、第2面13bがおむつ1の外面と対向している。また固定部12は固定部用粘着部14を有している。固定部用粘着部14は、固定部用シート片13の第2面13bに設けられている。固定部12は、固定部用粘着部14によって、おむつ1における背側部Bの外面に固定されている。この固定部用粘着部14を介して、廃棄用テープ10は、おむつ1における背側部Bの外面に着脱不能に固定されている。廃棄用テープ10をおむつ1の外面に固定する方法としては、ホットメルト型接着剤等の接着剤、融着等の公知の方法を用いることができる。
【0024】
伸長部15は、伸長部用シート片16を有している。伸長部用シート片16は、先に述べた固定部用シート片13と同じ長さであってもよく、異なる長さであってもよい。また、伸長部用シート片16は、固定部用シート片13と同じ幅であってもよく、異なる幅であってもよい。伸長部用シート片16は、第1面16a及び第2面16bを有している。三つ折り状態になっている廃棄用テープ10において伸長部用シート片16は、後述する折り返し部16’、及び折り返し部13’と重なる部分を除いて、第1面16aが止着部18と対向し、第2面16bが固定部12と対向している。
伸長部15は、伸長部用粘着部17を有している。伸長部用粘着部17は、伸長部用シート片16の第2面16bに設けられている。伸長部用粘着部17は、三つ折り状態になっている廃棄用テープ10における伸長部15と固定部12との間を剥離可能に接合するものである。したがって伸長部用粘着部17は、低粘着性の粘着剤から構成されていることが好ましい。
【0025】
先に述べた固定部12は、図3に示すように、固定部用シート片13が、廃棄用テープ10の長辺方向X1における一端に伸長部15側に折り返された折り返し部13’を有している。そして折り返し部13’が、伸長部15における伸長部用シート片16の一端と第2面16bの側で接合されている。これによって、固定部12と伸長部15とは直接に連設されている。固定部12と伸長部15とを連設する方法としては、ホットメルト型接着剤等の接着剤、融着等の公知の方法を用いることができる。
【0026】
廃棄用テープ10における止着部18は、おむつ1の外面(外装体5の外面5A)における任意の位置に止着可能になっており、おむつ1の廃棄形態を廃棄用テープ10で維持するときに、おむつ1の外面5Aに止着される部位である。止着部18は廃棄用テープ10の先端域を形成しており、止着部用シート片19を有している。止着部用シート片19は、固定部用シート片13又は伸長部用シート片16と同じ長さであってもよく、異なる長さであってもよい。止着部用シート片19は、固定部用シート片13又は伸長部用シート片16と同じ幅であってもよく、異なる幅であってもよい。止着部用シート片19は、第1面19a及び第2面19bを有している。本実施形態の三つ折り状態になっている廃棄用テープ10において止着部用シート片19は、第2面19bが伸長部15と対向している。
止着部18は止着部用粘着部20を有している。止着部用粘着部20は、止着部用シート片19の第2面19bに設けられている。止着部用粘着部20は、三つ折り状態になっている廃棄用テープ10における止着部18と伸長部15との間を剥離可能に接合し、且つ止着部18をおむつ1の外面における任意の位置に確実に止着するものである。この観点から止着部用粘着部20の粘着性の程度が決定されることが好ましい。
【0027】
先に述べた伸長部15における伸長部用シート片16は、その長辺方向X1における一端が止着部18側に折り返された折り返し部16’が形成されている。そして折り返し部16’が、止着部18における止着部用シート片19の一端と第2面19bの側で接合されている。これによって、伸長部15と止着部18とは直接に連設されている。伸長部15と止着部18とを連設する方法としては、ホットメルト型接着剤等の接着剤、融着等の公知の方法を用いることができる。止着部18における止着部用シート片19の他端には、第2面19b側に摘まみ片21が接合されている。摘まみ片21は、止着部用シート片19とは別体のシート片である。
【0028】
本実施形態における固定部12、伸長部15、及び止着部18の3つの部位から構成される廃棄用テープ10は、Z字状に三つ折りされている。この三つ折り状態になっている廃棄用テープ10における自由端、すなわち止着部18における摘まみ片21の取り付け部位が、おむつ1におけるウエスト開口部1W側を向くように、廃棄用テープ10は、おむつ1の背側部Bに取り付けられている。
【0029】
廃棄用テープ10における伸長部15及び止着部18は、該廃棄用テープ10の長辺方向X1に伸縮可能である。本実施形態では、長辺方向X1のうちの廃棄用テープ10が伸長する方向を伸長方向X1Aとし、収縮する方向を収縮方向X1Bとする。図4(a)に示すように、三つ折りされている状態の廃棄用テープ10を、三つ折り状態を解除して展開状態とし、止着部18を人が手で持ってテープの伸長方向X1Aに引っ張る。すると廃棄用テープ10に引張力が加わったときに図4(b)に示すように、伸長部15及び止着部18それぞれが伸長して、廃棄用テープ10の長さを増加させる。本実施形態において伸長部15及び止着部18は、三つ折り状態を解除した展開状態において廃棄用テープ10の伸長方向X1Aに伸長可能である。ここで、三つ折り状態を解除した展開状態とは、廃棄用テープ10の伸長部15と固定部12との間を剥離し、且つ伸長部15と止着部18との間を剥離して、三つ折り状態の廃棄用テープ10を直線状に展開した状態を意味する。前記展開状態において、廃棄用テープ10は、人の力によって引き伸ばすことができ、その際、伸長部15及び止着部18を伸長させることができる。
【0030】
図5には、廃棄するときのおむつ1の廃棄形態が示されている。おむつ1を廃棄するときには、図1に示すおむつ1において腹側部Aが内向きになるように、おむつ1を股下部Cからウエスト開口部1Wに向けて巻き上げていき、図5に示す巻き上げ形態を作る。巻き上げ形態のおむつ1では、背側部Bに設けられている廃棄用テープ10が、巻き上げたおむつ1の外側に露出している。この状態で、図4(b)に示すように、廃棄用テープ10を伸長させて巻き上げられて廃棄形態となったおむつ1の外周に巻き付けて止着部18を外面5Aに止着させることで、おむつ1を廃棄形態に維持することができる。
本実施形態のおむつ1は、廃棄用テープ10と、廃棄用テープ10が外面に固定されている本体部分1Aとを備えている。本実施形態において、廃棄用テープ10は吸収体40の吸収性コア41と対向する位置に配されている。以下、使い捨ておむつの本体部分を、おむつ本体又はおむつ本体部分ともいう。
【0031】
本実施形態においては、廃棄用テープ10は、該廃棄用テープ10をその長辺方向X1に沿って引っ張った場合に、伸長部15が伸長を開始する引張強度が、止着部18が伸長を開始する引張強度よりも低くなっている。また、伸長部15の弾性係数は0.5N/mmよりも大きく設定されている。これら引張強度及び弾性係数は、伸長部15及び止着部18を夫々に伸長させる第1の引張試験において測定された計測値である。これによって廃棄用テープ10における摘まみ片21を指で把持して廃棄用テープ10を引っ張ったときに、止着部18よりも先に伸長部15が伸長するようになる。
【0032】
伸長部15が伸長を開始する引張荷重、止着部18が伸長を開始する引張荷重、伸長部の弾性係数等を求めるための第1の引張試験について説明する。
第1の引張試験では、廃棄用テープ10を構成する固定部12、伸長部15及び止着部18の内、伸長部15と止着部18とをそれぞれ廃棄用テープ10から取り外して試験片とし、個別に引張試験を行った。引張試験に用いる試験片は、廃棄用テープ10からの採取ではなく、伸長部15及び止着部18と同様の構成の試験片を作成して用いてもよい。
第1の引張試験は、伸長部15及び止着部18の両端を引っ張り試験機の上下のチャックで把持し、チャックが離れる方向(垂直方向)に引っ張ることで引張荷重(垂直応力)を加えて、伸長部15及び止着部18それぞれの伸び(垂直歪み)を計測した。伸長部15の試験片における測定部は、伸長部用シート片16に接合されている固定部用シート片13の止着部18側端縁と、伸長部用シート片16に接合されている止着部用シート片19の固定部12側の端縁との間(図3中のR5で示す範囲)とし、それぞれの端縁に合わせて引張試験機のチャック部の縁を合わせて挟持する。同様に止着部18の試験片における測定部は、止着部用シート片19に接合されている伸長部用シート片16の摘まみ片21側端縁と、止着部用シート片19に接合されている摘まみ片21の伸長部15側端縁との間(図3中のR8で示す範囲)とする。測定の際には、各測定部の長辺方向X1における長さも計測しておく。試験片の幅は、おむつ1に貼り付けられている廃棄用テープ10の幅でそのまま測定する。
【0033】
図9(a)には、第1の引張試験を行った結果で得られた、チャック間距離(引張距離)の増大に伴って変化する引張荷重の変化を示したグラフであり、伸長部についての結果が示されている。伸長部が伸長を開始する引張荷重は、測定された第一極大点の荷重とする。第一極大点は、測定される引張荷重の曲線において、最初に現れる極大点である。第一極大点が明確に判らない場合、また、観察されない場合は、伸長率0%から50%間の伸長時の最大荷重を第一極大点強度とみなした。止着部が伸長を開始する引張荷重も同様にして求める。伸長部の伸長率50%は、伸長部の前記測定片が、その自然長(図3中のR5で示す範囲の長さ)から該自然長の1.5倍の長さとなるまで伸長した状態である。止着部の伸長率についても同様であり、例えば止着部の伸長率10%は、止着部の前記測定片が、その自然長(図3中のR8で示す範囲の長さ)から該自然長の1.1倍の長さとなるまで伸長した状態である。
伸長部15の弾性係数は、図9(a)に示すように、引張荷重0.5N時及び4N時それぞれの引張長さから求める。具体的には、弾性係数(N/mm)は、引張荷重4Nと引張荷重0.5Nの差(3.5N)を、引張荷重4Nの引張長さ(mm)と引張荷重0.5Nの引張長さ(mm)との差(mm)で除して求めた。
【0034】
図6(a)は弾性係数が高い場合、図6(b)は弾性係数が低い場合の伸長部15単独での第1の引張試験による試験結果である応力ひずみ線図(SSカーブ)を模式的に示したものである。図6(a)及び図6(b)において、縦軸は垂直応力となる引張荷重Nを示し、横軸は材料(伸長部15)の垂直歪みとなる伸び率を示す。伸長部15及び止着部18の試験片の双方ともに引張試験時の引張速度は300mm/minとした。
図6(a)に示すように、伸長部15の弾性係数が高い場合、反力が比較的大きいことから伸ばすときに作業者が力んでしまう。このため、伸長部15が延び始めるまで引張力を与えると、伸長を開始する引張強度(破断限界伸度)を過ぎると、一気に破壊点まで到達するまで引張力が作用するため、破断し易くなる。
これに対し、図6(b)に示すように、弾性係数が比較的弱い場合、反力が小さいため、伸ばすときに力まずに伸長部15を引っ張れる。このため、引張荷重を調整しながら引っ張ることができるため、一気に破壊点まで到達するまで引張力が作用することを抑えられる。このため、廃棄時の操作性を損なうことなく、廃棄用テープ10を過度に伸長させることによる破断を抑制することができる。
【0035】
つまり、本実施形態のように、伸長部15の伸長を開始する引張強度に至るまでの弾性係数を小さくしていくことで、テープを伸ばすときの勢いを軽減していくことが、廃棄用テープ10の破損を防止する観点からは有効である。
このように、伸長部自体の弾性係数を低く設定することは、廃棄用テープ10の引張初期に、勢いよく引っ張ることによって伸長部に破断が生じることを防止するために有効である。
【0036】
伸長部15を引っ張ったときに伸びる長さについては、伸長部15は、破断せずに伸長する長さが150mm以上である伸長性を有していることが、おむつ1の廃棄形態を、伸長した廃棄用テープ10によって確実に維持し得る点から好ましい。この観点から、伸長部15は、破断せずに伸長する長さが200mm以上である伸長性を有していることが更に好ましい。また、同様の観点から、破断せずに伸長する長さは300mm以下であることが好ましい。破断せずに伸長する長さは、伸長部15の長手方向の両端部を引張試験機のチャックに取り付け、300mm/minの速度で引っ張ったときの破断時の長さのことであり、伸長する長さは、伸長前の長さを含んだ長さである。
【0037】
伸長部15と止着部18の伸長を開始する引張荷重や伸長部15の伸び量を有するためには、伸長部15を構成する伸長部用シート片16として、適切な材料を選択すればよい。具体的には、伸長部用シート片16の構成材料として、例えば伸長可能なフィルムを用いることができる。そのようなフィルムとしては、例えば単一層フィルム、及び共押出しフィルムのような多層フィルムが挙げられる。また、伸長可能なフィルムを構成する材料としては、例えば線状低密度ポリエチレンなどのポリオレフィンが好ましい。また、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びポリビニルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種の材料も好ましい。更に、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%の永久変形を有する材料を用いることも有利である。
【0038】
本実施形態においては、伸長部15が伸長を開始する引張強度が、伸長部15が固定部12と剥離する強度(以下「剥離強度」と記す)よりも高くなっている。伸長部15が伸長を開始する引張強度は、第1の引張試験において測定された計測値であり、前記剥離強度は、以下に説明する層間剥離試験により測定された計測値である。
廃棄用テープ10を使用する際には、伸長部15及び止着部18を直線状に展開した後、伸長部15を伸長させるが、伸長部15が固定部12から剥離する途中で伸長部15が伸びてしまうと、剥離させる際に使用者が止着部18をつまんで引っ張る時の動作量(引っ張り長さ)を大きくしなければならず、これに伴って伸長部用粘着部17や止着部用粘着部20が不用意に周囲の物に貼りついてしまったり、自着してしまう場合がある等、ハンドリングがしにくくなる場合がある。
これに対して、伸長部15が伸長を開始する引張強度を、前記剥離強度より高くすると、廃棄用テープ10をその長手方向X1に沿って引っ張ったときに、伸長部15が伸長を開始するのに先立って、伸長部15と固定部12との間で剥離が生じ、廃棄用テープ10が展開状態になりやすい。この観点から、伸長部15と固定部12との間の剥離強度は、伸長部15が伸長を開始する引張強度の95%以下であることが好ましく、90%以下であることが更に好ましく、85%以下であることが一層好ましい。また、引き伸ばす必要がないときに意図せず剥離が生じないようにする観点から、剥離強度は40%以上であることが好ましい。
【0039】
伸長部15と固定部12との間の剥離強度の値そのものは、伸長部15が伸長を開始する引張強度よりも低いことを条件として、5.5N以下であることが好ましく、5.0N以下であることが更に好ましく、4.5N以下であることが一層好ましい。剥離強度の下限値は、廃棄用テープ10の三つ折り状態を維持する観点から、0.3N以上であることが好ましく、0.5N以上であることが更に好ましく、1.0N以上であることが一層好ましい。なお、伸長部15と固定部12との間の剥離強度は、廃棄用テープ10の幅に依存せずに決定される値である。
【0040】
伸長部15と固定部12とを剥離可能に接合する伸長部用粘着部17としては、例えばゴム系粘着剤及びアクリル系粘着剤が一般的に使用され、好ましくはゴム系粘着剤が使用される。ゴム系粘着剤としては、例えばスチレン-ブタジエンブロック共重合体や水添スチレン-ブタジエンブロック共重合体等の合成ゴム、又はこれら合成ゴムと樹脂とのブレンド等が挙げられる。また、ヒートシール、ホットメルト系粘着剤、メルトブロー状又は繊維状の粘着剤若しくは接着剤等からなる粘着剤を用いることも好ましい。
【0041】
なお、上述した伸長部15と固定部12との間の剥離強度は次の方法で測定される。先ず、三つ折り状態の廃棄用テープ10における固定部12をアクリル板に固定する。次いで止着部18を伸長部15から剥離し、止着部18の止着部用粘着部20に補助紙を貼り付ける。補助紙の幅は、止着部用シート片19の幅と同様とする。廃棄用テープ10を固定したアクリル板を引張試験機のチャックに固定し、補助紙を反対側のチャックに取り付ける。チャックを、廃棄用テープ10の展開方向(180°方向)に沿って300mm/minの速度で移動させ、伸長部15と固定部12とを剥離させる。このときに観察される力の最大値を、伸長部15と固定部12との間の剥離強度と定義する。
【0042】
廃棄用テープ10の引張初期に、勢いよく引っ張ることによって伸長部に破断が生じることを防止するためには、第1の試験結果から得られる伸長部の弾性係数を小さくすることに加えて、本体部分の変形量を含めた引張長さと引張荷重との関係を求める第2の引張試験において、引張荷重0.5N時と4N時の引張長さから求められる廃棄用テープ10の弾性係数が1N/mm以下であることが有効である。
【0043】
本実施形態においては、引張荷重0.5N時と4N時の引張長さから求められる廃棄用テープ10の弾性係数を1N/mm以下としている。弾性係数1N/mmは、三つ折り状態を解除した廃棄用テープ10について、おむつ1の本体部分に対する固定部12の固定状態を維持し且つ止着部18側の端部を引張試験機のチャックで把持して行い、おむつ本体部分1Aの変形量を含めた伸長率と引張荷重との関係を求める、後述する第2の引張試験において計測した数値から求められたものである。第2の引張試験において、廃棄用テープ10の弾性係数1N/mmは、引張荷重0.5N時と4N時の引張長さを計測し、双方の計測された引張長さから求めた値である。
【0044】
第2の引張試験から求められる廃棄用テープ10の弾性係数を低くするためには、廃棄用テープ10が固定されている本体部分1Aが、以下に示す各種の緩衝構造を有することが好ましい。但し、本発明の使い捨ておむつは、本体部分が、緩衝構造を有するものに制限されない。
【0045】
引張初期に勢いよく引っ張る事象を少なくする別な手法としては、廃棄用テープ10のおむつ本体との接合部に緩衝構造を備えることである。緩衝構造とは、おむつ1に廃棄用テープ10の固定部12が固定された状態において、廃棄用テープ10を引っ張る際に、伸長部15が伸び始める前に廃棄用テープ10以外の別な部位であるおむつ1の本体部分が変形するようにするものである。緩衝構造を備えると、廃棄用テープしては、伸び始める時期を早められるが伸長部15などの伸長可能部位の伸長開始時期を遅らせるようになる。このような緩衝機構を備えることで、廃棄用テープ10の引っ張り初めに廃棄用テープ10だけでなくおむつ本体も変形させることで、廃棄用テープ10の引っ張り初めの引張荷重Nに対する廃棄用テープ10の伸びを抑制することができるので好ましい。おむつ本体とは、少なくとも固定部12が固定された外装体5を指す。緩衝構造の構成は、外装体5の変形に限定するものではなく、固定部12が固定された外装体5の外面5Aに対して廃棄用テープ10を垂直方向に引っ張った際に、その引張に伴い変形する部位が含まれる。すなわち、固定部12を固定する位置に応じて緩衝構造やその形成される位置は任意に設定することができる。緩衝構造の個別な構成については後述する。
【0046】
第2の引張試験について説明する。
第2の引張試験は、折り畳まれた状態を解除した廃棄用テープ10について、おむつの本体部分(外装体5)に対する固定部12の固定状態を維持し且つ止着部18側の端部を把持して行い、おむつ本体部分の変形量を含めた伸長率と引張荷重との関係を求めるものである。図7(a)~図7(d)を用いて第2の引張試験の工程と引張試験機について説明する。第1の引張試験で用いた試験片は、廃棄用テープ10を構成する伸長部15及び止着部18であったが、第2の引張試験で用いる試験片は、廃棄用テープ10とこれが装着されたおむつ1の部分を切り出したものである。
【0047】
図7(a)は、第2の引張試験で用いる試験片を装着するT型の治具201を示す。T型の治具201の上面201aには試験片203が載置される。図7(b)は試験片の採取工程を示す。図7(c)及び図7(d)は、試験片203を引張試験機に装着した状態と引張試験機200の構成を示す。
本実施形態において、試験片203は、図1及び図2で説明したおむつ1において、図7(b)に示すように、廃棄用テープ10が設けられている周囲を例えば破線で示す切出領域で切断して採取したものを用いる。具体的には、廃棄用テープ10が固定されたおむつ1から、固定部12が固定された部位を含めた周囲を治具201の上面201aの寸法に合わせて切り出して作製する。治具201の上面201aの幅方向の寸法をW1、幅方向と直交する長手方向の寸法をW2としたとき、少なくとも試験片203の幅方向への寸法も寸法W1よりも広くなるように切り出す。寸法W1は、固定部12の同方向の幅よりも15mm広くしておき、引張試験機200による把持領域を固定部12の周囲に形成できるようにしておく(固定部12の幅が15mmの場合は寸法W1は30mmとする)。試験片203の長手方向への長さは、固定部12の同方向への寸法よりも広ければよく、寸法W2と同じであってもよいし、それ以上であってもよい。
【0048】
試験片203としておむつ1を切り出す場合、固定部102が固定された外面5Aを備える外層シート55だけを切り出すのではなく、破線で示す切出領域に位置するおむつ1を断面方向にすべて切り出す。つまり、おむつ1から試験片203を切り出す場合、断面方向に分解することなく、吸収性コア41を有する吸収体40や外層シート55や内層シート56を含めた状態で固定部12の周囲を切り出してした方が、おむつ1に廃棄用テープ10が装着された実装状態での引張試験を行えるので好ましい。なお、本実施形態において、廃棄用テープ10は、吸収体40と重なる外面5A上に配設されているため、切出した試験片203には、吸収体40(吸収性コア41)や横方向Yに延びる弾性部材53が含まれている。また、おむつ1の種類によっては、廃棄用テープ10が吸収体40と重ならず、弾性部材53,54と対向する場合もあり、この場合、試験片203には吸収体40(吸収性コア41)はなく、弾性部材53又は弾性部材54を有する試験片203となる。
【0049】
第2の引張試験で用いる引張試験機200は、治具201と、治具201の上面201Aとの間で試験片203を挟持する押さえ板205と、治具201と押さえ板205とを圧接状態とする複数のクランプ装置206と、T型の治具201の長辺部201Bの端部と廃棄用テープ10の伸長部15の端部を把持するチャック部207,208を備えている。本実施形態において、チャック部207は、治具201を保持した位置に固定され、チャック部208が上面201Aに対して垂直方向に移動しておむつ1と廃棄用テープ10とに引張荷重(N)が付与されるようになっている。治具201はチャック部207に保持された状態においては、上面201Aが水平状態となるように保持される。また、チャック部208は、その下縁が伸長部用シート片16に接合されている止着部用シート片19の固定部12側の端縁と一致する様にして廃棄用テープ10の伸長部15を把持する。
試験片203に対する引張試験による計測の精度の観点から、切り出した試験片203に弾性部材などでギャザーやシャーリングが形成されている場合は、これらをすべて伸長状態として上面201Aと押さえ板205の間にセットし、複数のクランプ装置206で伸長を保持した状態でクランプするのが好ましい。
【0050】
このような構成の引張試験機200においては、チャック部208を上面201Aに対して垂直方向に引き上げて、試験片203に対する引張長さ[mm]と引張荷重〔N〕を計測する。図8(a)及び図8(b)はともに第2の引張試験により得られた本実施形態の応力歪み線図であり、図8(b)は、図8(a)における引っ張り初期の部分を拡大したものである。図8(a)に示すように、本実施形態において、第2の引張試験時における0.5N荷重点と4N荷重点の2点を通る直線の傾きを、第2の引張試験から求められる弾性係数としている。
この第2の引張試験から求められる弾性係数は、廃棄用テープ10を伸ばすときに力まずに伸長部15を引っ張れて、一気に破壊点まで到達するまで引張力が作用することを抑えられるという観点からは小さい方が優れており、好ましくは1N/mm以下、より好ましくは0.75N/mm以下である。本実施形態においては、このような第2の引張試験から求められる弾性係数が1N/mm以下である、おむつ1としている。
【0051】
一方でこの第2の引張試験から求められる弾性係数が小さすぎるのは、引き伸ばす必要がないときに意図せず延びてしまうことを防止する観点と、引張荷重がかかった時の初期の伸長部15の応答性の向上させる観点から好ましくなく、好ましくは0.1N/mm以上、より好ましくは0.2N/mm以上である。
以上の観点から、第2の引張試験から求められる弾性係数は、好ましくは0.1N/mm以上1N/mm以下、より好ましくは0.2N/mm以上0.75N/mm以下である。第2の引張試験から求められる弾性係数の最低値を0.1N/mm以上としたのは、これ以上低い値であると、伸長部15を固定部12から剥離する操作を行う際に、廃棄用テープ10が取り付けられているおむつ本体が容易に変形してしまい、テープを引っ張る際のハンドリングがし難いためである。
【0052】
また、本実施形態においては、第1の引張試験において、伸長部15は、0.5N時と4N時の引張長さから求められる単独での弾性係数が3N/mm以下としている。
さらに、本実施形態においては、第1の引張試験において、伸長部15は、該伸長部が伸長を開始する引張強度が5N以上10N以下としている。この点について図9を用いて説明する。図9(a)は、第1の引張試験における伸長部15の物性である伸長率[%]並びに引張長さ[mm]と引張荷重(応力)[N]の関係を示したグラフである。なお、この図9に示された本実施形態の伸長部15の試験片における測定部の長さ、即ち、伸長部用シート片16に接合されている固定部用シート片13の止着部18側端縁と、伸長部用シート片16に接合されている止着部用シート片19の固定部12側の端縁との間の長さは、45mmとなっている。図9(a)の横軸には、引張試験機のチャック間に配した測定部の初期長(45mm)からの増分の長さを示した「引張長さ」と、初期長(45mm)に対する増分の長さを初期長で除した後に百分率で示した「伸長率」を併記してある。
また、図9(a)は伸長率300%まで引っ張ったのちに折り返したサイクル試験の結果を示しており、図9(b)は伸長部15が破断するまで引っ張った時の試験結果となる。
【0053】
伸長部15に求められる物性特性として、第1の引張試験において、伸長部15は、0.5N時と4N時の引張長さから求められる単独での弾性係数が3N/mm以下としている。伸長部15の弾性係数は廃棄用テープ10を伸ばすときに力まずに伸長部15を引っ張れて、一気に破壊点まで到達するまで引張力が作用することを抑えられるという観点からは小さい方が優れており、好ましくは3N/mm以下、より好ましくは2N/mm以下である。また、第1の引張試験における伸長部15の弾性係数の上限を3N/mmとしているが、その理由は、伸長部15の弾性係数が3N/mmを超えると、仮に伸長部15と廃棄用テープ10が取り付けられた本体部分の変形の双方が加味される第2の引張試験での弾性係数が1N/mm以下となったとしても、その場合には廃棄用テープ10が取り付けられているおむつ本体の変形量が大きくなりすぎてしまい、廃棄用テープ10の取付部で本体の破損を招く恐れがあるためである。一方で第1の引張試験における弾性係数が小さすぎると、折り畳み状態にある廃棄用テープ10を展開する時、固定部12から伸長部15を剥がす過程で伸長部15が不用意に延びてしまうといったハンドリングの不具合が生じる。この観点から第1の引張試験における伸長部15の弾性係数は、好ましくは0.5N/mm以上、より好ましくは1.0N/mm以上である。以上の観点から、第1の引張試験における伸長部15の弾性係数は、好ましくは0.5N/mm以上3N/mm以下、より好ましくは1.0N/mm以上2N/mm以下である。
【0054】
本実施形態において、伸長部15の伸長を開始する引張強度(応力)〔N〕を過ぎてから伸長率200%に至るまでの強度の変化が±20%以内、より好ましくは±10%以内、とした。これは、引き延ばすときに「伸長を開始する」ポイントを過ぎてからの引張荷重[N]の変化が少ない方が伸ばしやすいと、人が感じるためである。
第1の引張試験において、伸長部15は伸長率200%までの間での引張強度(応力)の変化は概ね少ないが、伸長率200%を過ぎてから引張強度(応力)[N]が暫時増加している。例えば、図9の場合、伸長率100%を過ぎてから伸長率200%に至るまでに引張強度が暫時増加していくその増加の割合が伸長率1%増加するにあたり0.01[N]、同様に伸長率200%を過ぎてから伸長率300%に至るまでの引張強度の割合は伸長率1%増加するにあたり0.015[N]、伸長率300%を過ぎてから伸長率400%に至るまでの引張強度の増加割合は伸長率1%増加するにあたり0.04[N]となっている。
このため、伸長部15の伸長を開始する引張強度(引張荷重)を過ぎてから伸長率200%に至るまでの強度の変化が±20%以内のプラトー領域から暫時強度が増加することで、廃棄用テープ10を手で引っ張る際の「伸びどまり感」を感じ、破断するポイントまで引き延ばしてしまうのを防ぐ効果がある。
この観点から、伸長率100%を過ぎてから伸長率200%に至るまでに引張強度が暫時増加していくその増加の割合が伸長率1%増加するにあたり、好ましくは0.02[N]、より好ましくは0.015[N]以下、伸長率300%を過ぎてから伸長率400%に至るまでの引張強度の増加割合は伸長率1%増加するにあたり0.03[N]以上、より好ましくは0.035[N]以上である。また、伸長率300%を過ぎてから伸長率400%に至るまでの引張強度の増加割合は、伸長率100%を過ぎてから伸長率200%に至るまでの引張強度の増加割合に比べて、好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上である。
【0055】
本実施形態では、伸長部15の伸長を開始する強度を、廃棄用テープ10の破断する強度の1/2以下、より好ましくは1/3以下としている。これは、このような設定とすることで、引き延ばしやすさと破断にくさを両立することができる。
第1の引張試験における、伸長部15の伸長特性と収縮特性を示す図9(a)に示すように、本実施形態において、伸長部15は伸縮性を有し、300%の伸度まで伸長した後に戻した時の残留歪みが150%以下、好ましくは100%以下としている。使い勝手として伸縮性がある方が、使用者が留め位置を自在に決められるあるいは、留めた後のまとまりやすさといった点で優れるためである。また、伸長部15は、300%伸長後の残留歪みが150%以内であると、伸縮性に吸収力による緩衝作用が生じるため、伸長部15の破断し難くなる。
【0056】
次に緩衝機構について説明する。
図10は、緩衝機構の一形態を示す図である。
緩衝構造は、おむつ1の本体部分に形成されている。おむつ1は、緩衝構造として、図10(a)に示すように三つ折り状態を解除し、図10(b)に示すように廃棄用テープ10を、廃棄用テープ10が固定されている外面5Aと垂直な方向に引っ張ったときに、伸長部15が伸長を開始する引張荷重よりも弱い力で、廃棄用テープ10の固定部12と伸長部15の接続部Pが廃棄用テープ10を引っ張った方向へ移動するとともに、外面5A(外層シート55)と外面5Aに隣接して内方に位置する内層シート56との間に隙間Sが形成される構造を備える。
伸長部15が伸長を開始する引張荷重よりも弱い力で、接続部Pと吸収性コア41との間の距離に増大が生じた否かは、第2の引張試験と同様の引張試験を行い、第1の引張試験の結果から求められる伸長部15が伸長を開始する引張荷重より低い引張荷重で、接続部Pと吸収性コア41との間の距離に、2mm以上、好ましくは5mm以上の増大が生じるか否かで判定する。
【0057】
このような緩衝構造を備えると、廃棄用テープ10全体しては、伸び始める時期を早められるが、その伸びは外面5A(外層シート55)が上方に引っ張り上げられた変形によるものであるため、伸長部15などの伸長可能部位の実質的な伸長開始時期を遅らせるようになる。つまり、図10(c)に示すように、図10(b)の状態から更に引っ張った場合でも、緩衝機構を備えることで、廃棄用テープ10の引っ張り初めに廃棄用テープ10だけでなく、おむつ本体(外面5A)も変形させることで、廃棄用テープ10の引っ張り初めの引張荷重Nに対する廃棄用テープ10の伸びを抑制することができるので好ましい。
【0058】
図10に示した緩衝構造においては、試験片203と同様のものを用いているため、外層シート55よりも内包(下方)に吸収性コア41が配置されている。この場合、廃棄用テープ10の固定部12と伸長部15の接続部Pと吸収性コア41との間の距離が廃棄用テープ10を引っ張った方向へ増大するとともに、外面5A(外層シート55)と吸収性コア41との間に隙間Sが形成される構造となる。このような構成の場合でも、廃棄用テープ10を引っ張った際に、外面5A(外層シート55)が上方に引っ張り上げられて変形するので、伸長部15などの伸長可能部位の実質的な伸長開始時期を遅らせることになる。このため、廃棄用テープ10の引っ張り初めに廃棄用テープ10だけでなく、おむつ本体(外面5A)も変形させることで、廃棄用テープ10の引っ張り初めの引張荷重Nに対する廃棄用テープ10の伸びを抑制することができるので好ましい。
【0059】
本実施形態において、廃棄用テープ10が固定されている外面5Aは、伸長性シートである外層シート55から形成されていることが好ましく、外層シート55を構成する伸長性シートは、三つ折り状態の廃棄用テープ10の長辺方向X1と同方向に伸長させたとき、5N/50mmの引張荷重時の伸度が5%以上であることが更に好ましい。これにより、廃棄用テープ10を外面5Aと垂直な方向に引っ張って外面5A(外層シート55)と外面5Aに隣接して内方に位置する内層シート56とが剥離したのちに、廃棄用テープ10を引っ張るに応じて、剥離した外層シート55が廃棄用テープ10の固定部12の周辺部において変形することで、廃棄用テープ10の引っ張り初めの引張荷重に対する廃棄用テープ10の伸びを抑制する効果を更に増すことができるので好ましい。
本実施形態において、廃棄用テープ10が固定されている外面5Aが、不織布から構成されており、該不織布における繊維の配向方向が、三つ折り状態の廃棄用テープ10の長辺方向X1と直交していることが好ましい。これにより、廃棄用テープ10を外面5Aと垂直な方向に引っ張って外面5A(外層シート55)と外面5Aに隣接して内方に位置する内層シート56とが剥離したのちに、廃棄用テープ10を引っ張るに応じて、剥離した外層シート55が廃棄用テープ10の固定部12の周辺部において変形しやすくなり、廃棄用テープ10の引っ張り初めの引張荷重に対する廃棄用テープ10の伸びを抑制する効果を更に増すことができるので好ましい。
【0060】
緩衝構造としては、上記の形態に限定するものではない。
図11は、緩衝機構の一形態を示す図である。
緩衝構造は、おむつ1の本体部分に形成されている。おむつ1は、緩衝構造として、図11(a)に示すように三つ折り状態を解除し、廃棄用テープ10が固定されている外面5Aと垂直な方向に引っ張ったときに、図11(b)に示すように、廃棄用テープ10を伸長部15が伸長を開始する引張荷重よりも弱い力で、廃棄用テープ10の固定部12と伸長部15の接続部Pが廃棄用テープ10を引っ張った方向へ移動し、外面5Aを構成するシート(外層シート55)自身の厚みが変化する構造、具体的には、外面5Aを構成するシート(外層シート55)を廃棄用テープの長辺方向X1の断面を見た時に、外面5Aを構成するシート(外層シート55)自身が、廃棄用テープ10の固定部12と伸長部15の接続部Pと対向する部分を頂部とした山型となるように厚みが変化する構造を備える。
このような緩衝構造を備えると、廃棄用テープ10全体しては、伸び始める時期を早められるが、その伸びは外面5Aを構成するシート(外層シート55)が上方に引っ張り上げられた変形によるものであるため、伸長部15などの伸長可能部位の実質的な伸長開始時期を遅らせるようになる。つまり、図11(c)に示すように、図11(b)の状態から更に引っ張った場合でも、緩衝機構を備えることで、廃棄用テープ10の引っ張り初めに廃棄用テープ10だけでなく、おむつ本体1Aの外面5Aも変形させることで、廃棄用テープ10の引っ張り初めの引張荷重Nに対する廃棄用テープ10の伸びを抑制することができるので好ましい。
【0061】
図11に示した緩衝構造においては、試験片203と同様のものを用いているため、外層シート55よりも内包(下方)に吸収性コア41が配置されている。この場合、廃棄用テープ10の固定部12と伸長部15の接続部Pと吸収性コア41との間の距離が廃棄用テープ10を引っ張った方向へ増大するとともに、外面5Aを構成するシート(外層シート55)自身の厚みが変化して、廃棄用テープ10の固定部12と伸長部15の接続部Pを頂部とした山型に変形する構造となる。このような構成の場合でも、廃棄用テープ10を引っ張った際に、外面5Aを構成するシート(外層シート55)が上方に引っ張り上げられて変形するので、伸長部15などの伸長可能部位の実質的な伸長開始時期を遅らせることになる。このため、廃棄用テープ10の引っ張り初めに廃棄用テープ10だけでなく、おむつ本体(外面5A)も変形させることで、廃棄用テープ10の引っ張り初めの引張荷重Nに対する廃棄用テープ10の伸びを抑制することができるので好ましい。
【0062】
図11に示す緩衝構造においては、廃棄用テープ10における接続部Pと吸収性コア41との間の距離の増大が、廃棄用テープ10が固定されている外面5Aを構成するシート(外層シート)内に生じたズリ変形により発現している。
外面5Aを構成するシート内にズリ変形が生じやすくするためには、廃棄用テープ10が固定されている外面5Aを形成するシートは、不織布から形成されていることが好ましく、該不織布の厚みは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.75mm以上であり、また好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.0mm以下であり、また好ましくは0.5mm以上3.0mm以下、より好ましくは0.75mm以上2.0mm以下である。
外面5Aを構成するシート内にズリ変形が生じやすくするためには、廃棄用テープ10が固定されている外面5Aを形成するシートが、不織布から形成されていることが好ましく、該不織布の繊維間距離は、好ましくは50μm以上、より好ましくは75μm以上であり、また好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下であり、また好ましくは50μm以上200μm以下、より好ましくは75μm以上150μm以下である。
このように、外面5Aを構成するシートを不織布で構成し、その不織布が、上述した厚み及び上述した繊維間距離のいずれか一方、より好ましくは双方を有することで、外層シート55を構成する繊維の自由度が増すことになり、廃棄用テープ10を外面5Aと垂直な方向に引っ張ったときに外面5A(外層シート55)自身の厚みが変化しやすくなる。なお、これらの場合に、外層シート55に用いられる不織布の製法に制限はないが、好ましいのは、エアスルー不織布である。
【0063】
<厚み、並びに繊維間距離の測定方法>
不織布、紙等の繊維集合体の繊維間距離は、Wrotnowskiの仮定に基づく下記式(1)により求められる。下記式(1)は一般に、繊維集合体の繊維間距離を求める際に用いられる。Wrotnowskiの仮定の下では、繊維は円柱状であり、それぞれの繊維は交わることなく規則正しく並んでいる。測定対象のシートが単層構造の場合、その単層構造のシートの繊維間距離は下記式(1)で求められる。測定対象のシートがSMS不織布の如き多層構造の場合、その多層構造の繊維層における繊維間距離は以下の手順に従って求められる。
まず、下記式(1)により、多層構造を構成する各繊維層の繊維間距離を算出する。その際、下記式(1)で用いる厚みt、坪量W、繊維の樹脂密度ρ及び繊維径Dは、それぞれ、測定対象の層についてのものを用いる。厚みt、坪量W及び繊維径Dは、それぞれ、複数の測定点における測定値の平均値である。
厚みt(mm)は以下の方法にて測定する。まず、測定対象のシートを長手方向50mmX幅方向50mmに切断し該シートの切断片を作製する。ただし、小さな吸収性物品からシートを採取する場合など、測定対象のシートとしてこの大きさの切断片を作製できない場合は、可能な限り大きな切断片を作製する。次に、この切断片を平板上に載せ、その上に平板上のガラス板を載せ、ガラス板を含めた荷重が49Paになるようにガラス板上に重りを均等に載せた上で、該切断片の厚みを測定する。測定環境は温度20±2℃、相対湿度65+5%、測定機器にはマイクロスコーフ(株式会社キーエンス製、VHX-l000)を用いる。切断片の厚みの測定は、まず、該切断片の切断面の拡大写真を得る。この拡大写真には、既知の寸法のものを同時に写しこむ。次に、前記切断片の切断面の拡大写真にスケールを合わせ、該切断片の厚み即ち測定対象のシートの厚みを測定する。以上の操作を3回行い、3回の平均値を、測定対象のシートの厚みtとする。尚、測定対象のシートが積層品の場合は、繊維径からその境界を判別し、厚みを算出する。
坪量W(g/m)は、測定対象のシートを所定の大きさ(例えば12cmX6cmなど)にカットし、質量測定後に、その質量測定値を、該所定の大きさから求まる面積で除することで求められる(「坪量W(g/m)=質量÷所定の大きさから求められる面積」)。4回測定し、その平均値を坪量とする。
繊維の樹脂密度ρ(g/cm)は、密度勾配管を使用して、JIS L1015化学繊維ステープル試験方法に記載の密度勾配管法の測定方法に準じて測定する。
繊維径D(μm)は、日立製作所株式会社製S-4000型電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、カッ卜した繊維の繊維断面を10本測定し、その平均値を繊維径とする。繊維径Dの測定方法は後述する<繊維径の測定方法>に従う。
【0064】
【数1】
【0065】
<繊維径の測定方法>
測定対象(繊維層、積層不織布)を剃万(例えばフェザ一安全剃刃株式会社製片刃)で切断し、平面視四角形形状(8mmX4mm)の測定片を得る。この測定対象の切断の際には、その切断によって形成される測定片の切断面の構造が、切断時の圧力などによって破壊されないように注意する。好ましい測定対象の切断方法として、測定対象の切断に先立って、測定対象を液体窒素中に入れて十分に凍結させ、しかる後切断する方法が挙げられる。紙両面テープ(ニチバン株式会社製ナイスタックNW-15)を用いて、測定片を試料台に貼り付ける。次いで測定片を白金コーティングする。コーティングには日立那珂精器株式会社製イオンスバッタ装置E-1030型(商品名)を用い、スバッタ時聞は30秒とする。測定片の切断面を、日立製作所株式会社製S-4000型電界放射型走査電子顕微鏡を用いて倍率1000倍で観察する。
【0066】
おむつの本体部分に設ける緩衝構造は、上述した緩衝構造に限定されない。
例えば、図12に示す緩衝構造は、試験片203と同様に、外層シート55と内層シート56の間に、廃棄用テープ10の長辺方向と交差する方向となる横方向Yに延びる複数の弾性部材53が配されている。そして、複数の弾性部材53が配置されている領域の外面5Aに廃棄用テープ10の固定部12が固定されている。
この場合、複数の弾性部材53が外層シート55側に固定されていなければ、図10に示す緩衝構造と同様に、廃棄用テープ10を引っ張った際に、外面5A(外層シート55)が上方に引っ張り上げられて変形するので、伸長部15などの伸長可能部位の実質的な伸長開始時期を遅らせることになる。このため、廃棄用テープ10の引っ張り初めに廃棄用テープ10だけでなく、おむつ本体(外面5A)も変形させることで、廃棄用テープ10の引っ張り初めの引張荷重に対する廃棄用テープ10の伸びを抑制することができるので好ましい。
【0067】
また、複数の弾性部材53のうち、少なくとも1つの弾性部材53が外層シート55と一体的に移動可能に設けられている場合、廃棄用テープ10を引っ張った際に、外層シート55と内層シート56の間に隙間Sが生じるとともに、弾性部材53の少なくとも1本が、外面5Aと一体的に変位する。このように弾性部材の少なくとも1本が外面5A側に位置する部分と一体的に変位すると、廃棄用テープ10を引っ張るときの抵抗となるので、廃棄用テープ10の引っ張り初めの引張荷重Nに対する廃棄用テープ10の伸びを抑制することができるので好ましい。
更に、本実施形態において、廃棄用テープ10が固定されている外面5Aが、三つ折り状態の廃棄用テープ10と重なり且つ該廃棄用テープ10の長辺方向X1と交差する方向(横方向Y)に伸縮する不織布から形成することも可能である。これにより、上述と同様の効果を発揮できるので好ましい。
【0068】
緩衝構造としては、例えば図13に示すように、廃棄用テープ10が固定されている外面5Aにおける、固定部12の側方に位置する部分にスリット85を形成して、緩衝構造としてもよい。このようにスリット85をすると、廃棄用テープ10を引っ張るときの外面5Aの剛性が低くなり、変形しやすくなるので、廃棄用テープ10の引っ張り初めの引張荷重Nに対する廃棄用テープ10の伸びを抑制することができる。
廃棄用テープ10は、図14に示すように、固定部12を形成する固定部用シート片13が折り返されて、伸長部15を形成する伸長部用シート片16に接合されている折り返し部13’(接合部)を有し、伸長部用シート片16が、折り返し部13’(接合部)から延出する延出部16Aを有していてもよい。そして、伸長部用シート片16の延出部16Aが、固定部12とともに、おむつ1の本体部分の外面5Aに固定されていてもよい。
伸長部用シート片16に外面5Aに固定された延出部16Aを設けると、廃棄用テープ10を引っ張った際に、より外面5Aから持ち上がり易くなるとともに、延出部16Aも伸びるので、より緩衝効果を高めることができる。
【0069】
本実施形態においては、第1の引張試験における伸長部15の弾性係数と第2の引張試験における廃棄用テープ10の破断強度[N]の関係が、破断強度[N]>4×弾性係数+9を満たしていることが好ましい。
この点について説明する。本出願人は、伸長部15の弾性係数と破断強度を変更した廃棄用テープ10を同一構成のおむつ1の外面5Aに固定してモニターによる引張試験を実施した。表1は、この結果を示す。
【0070】
【表1】
【0071】
図15は、縦軸が破断強度〔N〕を示し、横軸が弾性係数〔N/mm〕を示す。モニターに用いたおむつは、例1-1~1-3、例2-1~2-3及び例3の7つのタイプのサンプルを用意した。7タイプの違いは伸長部15単独での弾性係数と破断強度がそれぞれ異なっている。また、緩衝構造を含む廃棄用テープ10の伸長部の弾性係数を違えている。
【0072】
このようなサンプルを任意に選んだモニターに渡し、廃棄用テープ10を伸ばしておむつ1を廃棄する動作を5枚分してもらったところ、例2-2、2-3及び例3において廃棄用テープ10が1枚のおむつで発生したが、他の例では発生しなかった。この結果から 本実施形態においては、第1の引張試験における伸長部15の弾性係数と第2の引張試験における廃棄用テープ10の破断強度[N]の関係が、破断強度[N]>4×弾性係数+9を満たすことで、廃棄用テープ10が破損しなくなることを確認できた。
【0073】
図16は、廃棄用テープ10とおむつ外面5Aとの取付部(緩衝構造)単独での弾性係数の計測を説明する図である。
実際に測定したのは、図15に示すように、各構成の外層シート55に伸びない廃棄用テープ10Aを貼り付けて、廃棄用テープ10とおむつ外面5Aとの取付部のみの弾性係数を測定した。計測は、第2の引張試験と同様に行った。この時の弾性率は、下記式(2)によって算出した。
すなわち、
廃棄用テープとおむつ外面との取付部のみの弾性係数:k1、
廃棄用テープ伸長部のみの弾性係数:k2、
廃棄用テープとおむつ外面5Aとの取付部と廃棄用テープ伸長部の双方を加味した弾性係数:kとしたとき、
下記式(2)によって算出することができる。
【数2】
【0074】
本出願人は、比較例と実施例1-3の4つの異なるパターンのおむつのパターンを作成し、モニターテストを実施した。その際の内容を表2に示す。比較例と実施例1-3において、実施例1は、緩衝構造を備えているが、それ以外は緩衝構造を備えていない。
比較例1~実施例1-3の4つのパターンに実施例及び比較例で得られたおむつを対象として、20人のモニターに5枚ずつサンプルおむつを配布し、おむつを巻き上げて丸め、廃棄用テープ10で固定する操作してもらった。そのときの廃棄用テープ10の切れの発生状況を表2に集計した。
【0075】
【表2】
【0076】
表2に記載の集計結果によると、比較例では、切れの発生した人の割合は30%で、5枚配布中2枚以上の切れてしまった事例もあり、不適と判定した。実施例1、3は切れの発生は無く、適と判定した。実施例2では、5%(1人/20人)切れが発生し、許容範囲とした。
このように、緩衝構造を備えている場合と緩衝構造を備えていない場合とでは、廃棄用テープ10の切れ方に明らかな違いがあり、緩衝構造を備えている方が、廃棄用テープ10が切れ難いといえる。このため、実施例1のおむつは、その例に比べて、おむつを丸めて廃棄するときの操作性に優れることが判る。
【0077】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態では、廃棄用テープ10がおむつ1の背側部Bに設けられていたが、廃棄用テープ10を設ける部位はこれに限られず、例えば腹側部Aや股下部Cであってもよい。また、前記実施形態では、廃棄用テープ10は、おむつ1の幅方向Yにおける略中央部に設けられていたが、廃棄用テープ10を設ける部位はこれに限られず、例えばおむつ1の左右どちらかの側部域に設けられていてもよい。更に前記実施形態では、廃棄用テープ10は、その長辺方向X1がおむつ1の長辺方向Xに一致するように設けられていたが、廃棄用テープ10の向きはこれに限られず、例えば廃棄用テープ10を、その長辺方向X1が、おむつ1の幅方向Yに一致するように設けてもよい。
【0078】
また、本発明のパンツ型着用物品は、図1に示す形態のパンツ型使い捨ておむつに限られず、着用者の下腹部に装着されて使用されるものである限り、他の形態を有していてもよい。
【0079】
本発明は更に以下の付記を開示する。
<1>
ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部を有し、着用状態において着用者の腹側に配される腹側部及び背側に配される背側部を備えたパンツ型使い捨ておむつであって、
前記使い捨ておむつの本体部分の外面に、該使い捨ておむつの廃棄形態を維持するための廃棄用テープが設けられており、
前記廃棄用テープは、前記本体部分の外面に固定されている固定部と、伸長部と、止着部とが、この順で該廃棄用テープの長辺方向に沿って配置されているとともに、折り畳まれた状態で前記本体部分の外面に固定されており、
折り畳まれた状態の前記廃棄用テープは、前記固定部、前記伸長部及び前記止着部のうちの相対向する部分のどうしが剥離可能に接合されており、
前記伸長部及び前記止着部を夫々に伸長させる第1の引張試験において、
前記伸長部が伸長を開始する引張強度が、前記止着部が伸長を開始する引張強度よりも低く、前記伸長部の弾性係数が0.5N/mmよりも大きく、
第1の引張試験で求められる前記伸長部が伸長を開始する引張強度が、層間剥離試験により求められる、前記伸長部が前記固定部と剥離する強度よりも高く、
折り畳まれた状態を解除した前記廃棄用テープについて、前記本体部分に対する前記固定部の固定状態を維持し且つ前記止着部側の端部を把持して行う、前記本体部分の変形量を含めた引張長さと引張荷重との関係を求める第2の引張試験において、
引張荷重0.5N時と4N時の引張長さから求められる弾性係数が1N/mm以下、好ましくは0.1N/mm以上1N/mm以下、より好ましくは0.2N/mm以上0.75N/mm以下である、パンツ型使い捨ておむつ。
【0080】
<2>
第1の引張試験において、前記伸長部は、0.5N時と4N時の伸長率から求められる単独での弾性係数が3N/mm以下、好ましくは0.5N/mm以上3N/mm以下、より好ましくは1.0N/mm以上2N/mm以下である、前記<1>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<3>
第1の引張試験において、前記伸長部は、該伸長部が伸長を開始する引張強度が5N以上10N以下である、前記<1>又は<2>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<4>
前記伸長部は、伸縮性を有し、第1の引張試験において、300%伸長後の残留歪みが150%以内である、前記<1>~<3>の何れか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<5>
第1引張試験で求められる前記伸長部の弾性係数と第2引張試験で求められる前記廃棄用テープの破断強度[N]の関係が、前記破断強度[N]>4×前記弾性係数+9を満たす、前記<1>~<4>の何れか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【0081】
<6>
前記本体部分は、前記外面よりも肌対向面側に吸収性コアを含む吸収体を備えており、前記本体部分が、前記廃棄用テープの引張に伴い変形する緩衝構造を有し、
前記緩衝構造は、折り畳まれた状態を解除した前記廃棄用テープを、該廃棄用テープが固定されている前記外面と垂直な方向に引っ張ったときに、前記伸長部が伸長を開始する引張荷重よりも弱い力で、該廃棄用テープの前記固定部と前記伸長部の接続部と、前記吸収性コアとの間の距離が増大する構造である、前記<1>~<5>の何れか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<7>
前記緩衝構造における、前記廃棄用テープにおける前記接続部と前記吸収性コアとの間の距離の増大が、前記外面が不織布で形成されている場合の該不織布の層内、又は前記外面から前記吸収性コアに至る層の層間の廃棄用テープの長手方向におけるズリ変形により発現する、前記<6>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<8>
前記廃棄用テープが固定されている前記外面が、不織布から構成されており、該不織布の厚みが0.5mm以上、好ましくは0.5mm以上3.0mm以下、より好ましくは0.75mm以上2.0mm以下である、前記<1>~<7>の何れか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<9>
前記廃棄用テープが固定されている前記外面が、不織布から構成されており、該不織布の繊維間距離が50m以上、好ましくは50μm以上200μm以下、より好ましくは75μm以上150μm以下である、前記<1>~<9>の何れか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<10>
前記廃棄用テープが固定されている前記外面が、伸長性シートから構成されており、
前記伸長性シートは、折り畳まれた状態の前記廃棄用テープの長辺方向と同方向に伸長させたとき、5N/50mmの引張荷重時の伸度が5%以上である、前記<1>~<9>の何れか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【0082】
<11>
前記緩衝構造として、前記廃棄用テープが固定されている前記外面における前記固定部の側方に位置する部分にスリットが形成されている、前記<1>~<10>の何れか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<12>
前記廃棄用テープが固定されている前記外面が、折り畳まれた状態の前記廃棄用テープの長辺方向と交差する方向に伸縮する不織布から形成されている、前記<1>~<11>の何れか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<13>
前記廃棄用テープは、前記固定部を形成する固定部用シート片が折り返されて、前記伸長部を形成する伸長部用シート片に接合されている接合部を有し、前記伸長部用シート片は、前記接合部から延出する延出部を有し、該延出部においても前記本体部分の外面に固定されている、前記<1>~<12>の何れか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<14>
前記伸長部と前記固定部の間の剥離強度は、前記伸長部が伸長を開始する引張強度の40%以上95%以下、好ましくは40%以上90%以下、より好ましくは40%以上85%以下である、前記<1>~<13>の何れか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<15>
前記伸長部の伸長を開始する強度が、前記廃棄用テープの破断する強度の1/2以下、好ましくは1/3以下である、前記<1>~<14>の何れか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【符号の説明】
【0083】
1 パンツ型使い捨ておむつ
1L レッグ開口部
1W ウエスト開口部
4 吸収体
5 外装体
5A 外面
10 廃棄用テープ
12 固定部
13 固定部用シート片
14 固定部用粘着部
15 伸長部
16 伸長部用シート片
17 伸長部用粘着部
18 止着部
19 止着部用シート片
41 吸収性コア
20 止着部用粘着部
21 摘まみ片
A 腹側部
B 背側部
C 股下部
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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