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特許7530269ホーニング加工における目詰まり防止方法
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  • 特許-ホーニング加工における目詰まり防止方法 図1A
  • 特許-ホーニング加工における目詰まり防止方法 図1B
  • 特許-ホーニング加工における目詰まり防止方法 図2
  • 特許-ホーニング加工における目詰まり防止方法 図3
  • 特許-ホーニング加工における目詰まり防止方法 図4
  • 特許-ホーニング加工における目詰まり防止方法 図5
  • 特許-ホーニング加工における目詰まり防止方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】ホーニング加工における目詰まり防止方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 53/00 20060101AFI20240731BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20240731BHJP
   B24B 33/06 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
B24B53/00 L
B24B49/10
B24B33/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020181490
(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公開番号】P2022072181
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】391003668
【氏名又は名称】トーヨーエイテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木邑 達男
(72)【発明者】
【氏名】澤井 健太
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-088756(JP,A)
【文献】実開昭55-098561(JP,U)
【文献】特開2003-027182(JP,A)
【文献】実開平04-063328(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0069313(KR,A)
【文献】特開昭64-051266(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0231752(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 53/00 - 53/14
B24B 33/00 - 33/10
B24B 5/06
B24B 5/40
B24B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤモンド砥粒を接着剤で固めたホーニング加工用砥石を用いたホーニング加工における目詰まり防止方法であって、
加工ワークの下方に該加工ワークよりも靱性を持ち炭素含有量の少ない材料よりなるダミーワークを配置し、
上記加工ワークをホーニング加工中に上記ホーニング加工用砥石を回転させるモータの動力変動及び加工時間を管理して目詰まりを判定し、
上記ホーニング加工用砥石に目詰まりがあると判定したときに、該ホーニング加工用砥石を下方に移動させて上記ダミーワークの加工を行いながら、上記ホーニング加工用砥石を回転させるモータの動力変動から上記ホーニング加工用砥石が前記ダミーワークに接触した時点の負荷をダミーワークのしきい値として管理して、前記負荷がピークを過ぎて、前記しきい値よりも低くなることで、目詰まりが解消されたと判定して第1の目詰まりの解消の判断を行い、
上記ダミーワークの加工後、上方に移動して上記加工ワークの加工を行いながら、再び上記モータの動力変動及び加工時間を管理して第2の目詰まりを判定する
ことを特徴とするホーニング加工における目詰まり防止方法。
【請求項2】
請求項1に記載のホーニング加工における目詰まり防止方法であって、
上記加工ワークは、鋳鉄であり、上記ダミーワークは、鋼である
ことを特徴とするホーニング加工における目詰まり防止方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のホーニング加工における目詰まり防止方法であって、
上記ダミーワークは、複数に分割され、外径が上方に向かって拡大するテーパ状外周面を有しており、上記ホーニング加工用砥石による研削で内径が大きくなると、手動で又は自動で下方から外周面を押されて半径方向内側に向かって移動可能に構成されている
ことを特徴とするホーニング加工における目詰まり防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホーニング加工におけるホーニング加工用砥石の目詰まりを防止する目詰まり防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加工物が鋳鉄材の場合のホーニング加工用砥石には、ダイヤモンド砥粒を接着剤(メタルボンド)で固めた砥石が用いられる。その仕上げ工程では、非常に小さい粗さの砥石が用いられるので、加工物の鋳鉄材を粉的に除去することになる。
【0003】
砥石は、面状にワークに対して接触するので、生成される粉状の除去物を外部に排出することが非常に困難である。
【0004】
そのため、粉状となった鋳鉄材の切り粉が、砥石の突き出し部と接着剤との間に入り込み、溜まっていく。これにより、「目詰まり」と呼ばれる現象が発生する。
【0005】
目詰まりを起こすと、砥粒の突き出し部が存在しない状態にあるので、加工負荷だけが上がってくる現象となり、加工物の除去ができない。
【0006】
図6(a)に鋳鉄材を数カ所加工した後の砥石の状況を示す。褐色した部分が鋳鉄材から出た切り粉であり、砥石の上側から下側までほぼ満遍なく詰まっていることが分かる。鋳鉄材を加工すると、この状況は避けて通れない。この状況を打開するためには、高負荷を砥石に掛け、砥石共々脱落させる方法があるが、良好に終了させることが非常に難しく、数回繰り返すことでようやく目詰まりを解消できる。
【0007】
また、例えば、特許文献1のように、円筒状加工孔を有するワークの上部にセットされた加工孔と同心状の凹状円弧面を有するダミーワークに対し、砥石を支持するホーニングヘッドを進入させ、ツルーイングにより研削面が鋭利となった状態の砥石により凹状円弧面を研削して砥石の研削面を滑らかにした後、さらにホーニングヘッドをワークに進入させて円筒状加工孔を研削する、ホーニング加工方法ホーニング加工における目詰まり防止方法は知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平7-88756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1のホーニング加工における目詰まり防止方法では、ダミーワークは、ワークと同じ材質であり、単にダミーワークを研削しただけでは、目詰まりをさらに促進してしまう。研削条件を上げて目詰まりに対し対処できたとしても、十分な解消には至らず、さらに解消のための動作を数回繰り返すこととなる。また、ダミーワークがワークの上方にあるので、ダミーワークの切り粉や砥石に目詰まりしていた強靭な切り粉、さらには、砥石の粉がワークにかかってしまい、後から実施するワークの加工に悪影響を及ぼす問題がある。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ホーニング加工砥石の目詰まりを容易かつ確実に解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、この発明では、ホーニング加工用砥石が目詰まりしたときに加工ワークよりも炭素含有量の少ない鉄又は鋼よりなるダミーワークを研削するようにした。
【0012】
具体的には、第1の発明では、ダイヤモンド砥粒を接着剤で固めたホーニング加工用砥石を用いたホーニング加工における目詰まり防止方法を対象とする。
【0013】
そして、上記目詰まり防止方法では、
加工ワークの下方に該加工ワークよりも靱性を持ち炭素含有量の少ない材料よりなるダミーワークを配置し、
上記加工ワークをホーニング加工中に上記ホーニング加工用砥石を回転させるモータの動力変動及び加工時間を管理して目詰まりを判定し、
上記ホーニング加工用砥石に目詰まりがあると判定したときに、該ホーニング加工用砥石を下方に移動させて上記ダミーワークの加工を行いながら、上記ホーニング加工用砥石を回転させるモータの動力変動から上記ダミーワークのしきい値を管理して、第1の目詰まりの解消の判断を行い、
上記ダミーワークの加工後、上方に移動して上記加工ワークの加工を行いながら、再び上記モータの動力変動及び加工時間を管理して第2の目詰まりを判定する構成とする。
【0014】
ここで、「目詰まり」とは、研削により除去された、例えば、鋳鉄加工物が粉状になり、砥石の表面(気孔)に堆積し、これを繰り返すことで、砥石上に堆積した、鋳鉄の粉が圧縮され、砥石を埋め尽くした状態にあることを指す。これは、例えば鋳鉄材などの脆い材料を研削した場合に起こる特徴的現象とも言える。鋼は、炭素をおよそ0.02%~2%程度含む鉄の合金であり、鉄は、炭素を0.02%未満含む。炭素量が多い方が、硬く強くなるという傾向がある。例えば、鋳鉄材で目詰まりした砥石で研削を続けると、それを回転させるモータの動力が高くなるので、目詰まりが発生したことが分かる。加工ワークを加工して鋳鉄材で目詰まりしたホーニング加工用砥石を用い、それよりも炭素含有量の高い鋼材を研削すると、砥石に目詰まりしていた鋳鉄材の切り粉が除去される。ダミーワークの加工中に第1の目詰まりの判定を行い、また、ダミーワークの加工後、加工ワークを加工しながら第2の目詰まりの判定を行う。これにより、ダミーワークの加工後に目詰まりが解消されていることを2段階で確認することができ、ホーニング加工用砥石の目詰まりを確実に防ぐことができる。
【0015】
第2の発明では、第1の発明において、
上記加工ワークは、鋳鉄であり、上記ダミーワークは、鋼である。
【0016】
ここで、ダミーワークは、加工ワークよりも硬く靱性があって、高温時に炭素間反応を誘発しやすくするために、加工ワークよりも炭素含有量を小さいことが重要である。鋳鉄は、炭素を2.14~6.67%、ケイ素を約1~3%%の範囲で含む。鋼は、炭素をおよそ0.02%~2%程度含む。上記の構成によると、加工ワークとダミーワークとの間で炭素含有量の差が大きく、このため、ホーニング加工用砥石に付着していた目詰まりが効果的に解消される。
【0017】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
上記ダミーワークは、複数に分割され、外径が上方に向かって拡大するテーパ状外周面を有しており、上記ホーニング加工用砥石による研削で内径が大きくなると、手動で又は自動で下方から外周面を押されて半径方向内側に向かって移動可能に構成されている。
【0018】
上記の構成によると、分割されたダミーワークの外周を下方から押し上げることで、その内径を小さくすることができるので、ホーニング加工用砥石がダミーワークの内周面に届く。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、加工ワークの研削で目詰まりしたホーニング加工砥石で、加工ワークよりも炭素含有率の低いダミーワークを研削することで、ホーニング加工用砥石に付着した材料を取り除くようにしたことにより、ホーニング加工用砥石の目詰まりを容易かつ確実に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】ホーニング加工における目詰まり防止方法に係る装置の概要を示す斜視図である。
図1B】ホーニング加工における目詰まり防止方法に係る装置を一部切断して示す斜視図である。
図2】ホーニング加工における目詰まり防止方法に係るフローチャートである。
図3】切込軸の負荷の変動を示すグラフである。
図4】切込指令と切込軸動力値(負荷値)の変動を示すグラフである。
図5】(a)が切込速度とクロスハッチの発生について示す表であり、(b)が溶着発生状況を示す拡大図である。
図6】砥石面状態の変化を示す拡大図であり、(a)が鋳鉄を研削して目詰まりが発生した状態を示し、(b)がダミーワークを加工した後の状態を示し、(c)が鋳鉄を再び研削した後、ホーニング加工における目詰まり防止方法を繰り返し実施した後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1A及び図1Bに、本発明の実施形態のホーニング加工における目詰まり防止方法を行う目詰まり防止装置を示す。この目詰まり防止装置12は、研削装置(全体図省略)のワーク支持台1の下方に設けられる。
【0023】
図1Bに例えば、円筒状のワークWを示すように、このワークWは、ワーク支持台1とその上の上側ワーク支持部2とで、挟持されている。ワークWは、例えば鋳鉄材よりなる。
【0024】
本実施形態のホーニング加工用砥石3は、図示しないモータの回転軸5に回転可能に支持されたツール4に複数設けられ、半径方向に移動して拡径及び縮径可能に構成されている。ホーニング加工用砥石3は、ダイヤモンド砥粒をメタルボンドで固めたものである。メタルボンドは、合金で砥粒を焼結したものよりなり、砥粒を強靭に保持し、耐熱性や耐摩耗性にも優れ、長寿命で形状の維持性が高い。
【0025】
目詰まり防止装置12は、加工ワークよりも靱性を持ち炭素含有量の少ない材料で、鉄又は鋼よりなるダミーワーク10を備え、このダミーワーク10は、複数に分割され、円筒状の押上部材11の内部に並べられた状態で、断面円形の内周面と、外径が上方に向かって拡大するテーパ状外周面を有している。押上部材11は、上方に向かって内径が大きくなるテーパ状内周面を有している。ダミーワーク10は、炭素鋼鋳鋼品(SC材)、クロムモリブデン鋼(SCM440)などの鋼材が例示されるが、特に限定されない。
【0026】
ダミーワーク10は、ホーニング加工用砥石3による研削を繰り返すことで、その内径が大きくなると、押上部材11によって下方から外周面を押され、半径方向内側に向かって移動可能に構成されている。押上部材11は、手動で移動させても良いし、シリンダ、電動モータなどを用いて自動で移動させるようにしても良い。
【0027】
次に、本実施形態に係るホーニング加工における目詰まり防止方法の作動について、目詰まりの発生を確認する目詰まり発生試験に基づいて説明する。
【0028】
まず、3枚のホーニング加工用砥石3を有するツール4を用意した。このホーニング加工用砥石3は、例えば、1100番手でツール4全体の直径が17.9mmであるが、これに限定されず、枚数は何枚でも良く、粗さや直径も限定されない。
【0029】
このツール4を用いて鋳鉄をホーニング加工した。このとき、図4に示すように、例えば、2400Nで負荷のピークがあることが分かる。
【0030】
図2で示すステップS01の第1しきい値セット工程において、この値+αを第1しきい値としてセットする。
【0031】
次いで、ホーニング加工を続け、モータの負荷をモニタリングする。
【0032】
そして、ステップS02でモータの負荷がしきい値よりも大きくなるかどうかを判定する。
【0033】
ホーニング加工を続けていると、図6(a)に示すように、目詰まりが発生する。そして、このピーク負荷を超える負荷が検出されると、次のステップS04のドレス移動工程に移り、ホーニング加工用砥石3を下方に移動させる。
【0034】
次いで、ステップS05でドレスサイクルを開始する。このときの切込軸の負荷を図3に示す。図3は、ドレス切込軸のトルク波形の移り変わりを示し、A点がステップS04のドレス移動工程のスタート時点を示し、B点は、ホーニング加工用砥石3がダミーワーク10に接触した時点を示す。このときの負荷をステップS06の第2しきい値セット工程で第2しきい値としてセットし、ドレス時目詰まり解消判定を行う。
【0035】
そして、ステップS07において、負荷が第2しきい値を超えるかどうかの第1の目詰まり解消判断を行う。
【0036】
具体的には、砥石がダミーワークに接触する点Bを過ぎると、負荷が急激に上昇する。ピークを過ぎると急激にトルクが低くなり、C点で第2しきい値よりも低くなり、目詰まりが解消されたと判定される。そして、D点からしばらくダミーワーク10の加工が継続され、点Eで切込を縮小し、ドレスサイクルを終了する。ドレスサイクルが終了すると、図6(b)に示すように、褐色の溶着部分がなくなり、目詰まりが解消されたことが分かる。目詰まりが解消されていない場合には、ステップS05に戻ってドレスを再開するようにしても良い。
【0037】
次いで、ステップS08の通常加工復帰工程において、ツール4を上昇させ、目詰まりが解消されたホーニング加工用砥石3でワークWの研削が再開される。
【0038】
ワークWの加工が再開されると、再びステップS02から繰り返される。本実施形態の目詰まり防止方法が繰り返し実施されると、図6(c)に示すように、目詰まりが発生することはない。
【0039】
ホーニング加工用砥石3による研削を繰り返すことで、ダミーワーク10の内径が大きくなると、ホーニング加工用砥石3を下方に移動させてダミーワーク10の加工を行うことができなくなる。
【0040】
そうなった場合に、手動で、又は、自動で押上部材11を押し上げ、下方から外周面を押ささえる。
【0041】
すると、各ダミーワーク10が半径方向内側に向かって移動して、その内径が小さくなる。
【0042】
押上部材11を自動で移動させる場合、ホーニング加工用砥石3を下方に移動させても、ホーニング加工用砥石3がダミーワーク10の研削を始めることができないことを、モータの負荷の変動から検知して、自動で押上部材11を押し上げるようにすると良い。
【0043】
分割されたダミーワーク10の外周を下方から押し上げることで、その内径を小さくすることができるので、ダミーワーク10がすり減っても、ホーニング加工用砥石3がダミーワーク10の内周面に確実に届く。
【0044】
次に、ホーニング加工用砥石3の目詰まりが解消された理由について説明する。鋼と鋳鉄は、炭素含有量の差から、溶融点に違いがある。炭素含有量の少ない、鋼の融点は1000℃を超えてくるのに対し、炭素含有量の多い鋳鉄は、約700℃を超えたときから溶解してくるものもある。
【0045】
砥石が目詰まりを起こすと、加工物共々、凸凹のない表面が接触し合うこととなる。この状況は、大きな接触面同士が当たった状況になることから、かなり高い圧力が、この接触面に生じ、高温になっていることを予測できる。
【0046】
今回の加工結果では、鋼側に損傷がないこと及び鋳鉄溶着物の付着が生じていないことから700℃以上になっていないと推察できる。
【0047】
ホーニング加工用砥石3と加工ワークWの接触時には、高温下にある。回転軸5がストロークすると、加工ワークWから抜けたホーニング加工用砥石3は、冷却水により急激に冷やされる。これにより、砥石表面に目詰まりした鋳鉄材は、炭化物を晶出してくるチル化が促進される。また、温度によっては、脱炭を誘発する。これらの現象により、目詰まりしている鋳鉄材は、表面で硬く、炭素膨張を起こし、割れを伴うことで脱落していくと判断する。さらに、ダミーワーク10に鋼を用いることで、炭素含有量に差が生じている。これにより、炭素の表面移動が活発化し、炭素含有量の少ない鋼側(ダミーワーク10)を交えた拡散現象が起こる場合もある。そのため、加工後の双方の表面(砥石、加工物の鋼)に異常な状態が出ていないことから、上記現象によるものではないかと予測できる。
【0048】
したがって、本実施形態に係るホーニング加工における目詰まり防止方法によると、ホーニング加工用砥石3の目詰まりを容易かつ確実に解消することができる。
【0049】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としても良い。
【0050】
すなわち、上記実施形態では、加工ワークWが鋳鉄材で、ダミーワーク10が鋼としたが、これに限定されず、ダミーワーク10は、加工ワークWよりも炭素含有量の少ない鉄又は鋼よりなるものであれば良い。
【0051】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0052】
1 ワーク支持台
2 上側ワーク支持部
3 ホーニング加工用砥石
4 ツール
5 回転軸
10 ダミーワーク
11 押上部材
12 防止装置
W 加工ワーク
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6