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  • 特許-タワークレーンの設置構造 図1
  • 特許-タワークレーンの設置構造 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】タワークレーンの設置構造
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/32 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
B66C23/32 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020182006
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022072523
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】田中 良幸
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】友行 英二
(72)【発明者】
【氏名】内藤 克哉
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊介
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-217108(JP,A)
【文献】特開2018-135190(JP,A)
【文献】登録実用新案第3069945(JP,U)
【文献】特開2003-41667(JP,A)
【文献】米国特許第5445487(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 19/00-23/94
E02D 27/00-27/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーン基礎上にタワークレーンを設置するタワークレーンの設置構造において、
前記クレーン基礎として、既存コンクリート基礎を用い、
その既存コンクリート基礎の両側面には、水平方向に沿う水平姿勢のアンカーボルト、及び、そのアンカーボルトに固定されたブラケットが備えられ、
前記タワークレーンの基礎架台を支持する受け部を、前記既存コンクリート基礎の上部に載置させて、前記既存コンクリート基礎の両側面に備えられたブラケットに架設させる状態で固定して、前記既存コンクリート基礎上に前記タワークレーンを設置しているタワークレーンの設置構造。
【請求項2】
前記既存コンクリート基礎の側面における前記アンカーボルトの設置位置は、前記既存コンクリート基礎の上端筋よりも下方側に設定されている請求項1に記載のタワークレーンの設置構造。
【請求項3】
前記アンカーボルトは、前記既存コンクリート基礎の一方側の側面に配設される一方側アンカーボルトと、前記既存コンクリート基礎の他方側の側面に配設される他方側アンカーボルトとに分割されている請求項1又は2に記載のタワークレーンの設置構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン基礎上にタワークレーンを設置するタワークレーンの設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のタワークレーンの設置構造では、クレーン基礎として、新しくコンクリート基礎を構築している。そして、コンクリート基礎に対して、上下方向に沿う鉛直姿勢でアンカーボルトを植設(埋設)しておき、そのアンカーボルトにてコンクリート基礎とタワークレーンの基礎架台を支持する受け部とを固着している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平05-027147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のタワークレーンの設置構造では、クレーン基礎として、新しくコンクリート基礎を構築しているので、コンクリート基礎の構築工事を行う必要がある。コンクリート基礎を構築する箇所に、既存コンクリート基礎が存在すれば、その既存コンクリート基礎を撤去する撤去工事も行わなければならない。よって、特許文献1に記載のタワークレーンの設置構造では、クレーン基礎上にタワークレーンを設置する際に、工事の複雑化、及び、コストアップを招くものとなっている。
【0005】
また、特許文献1に記載のタワークレーンの設置構造では、コンクリート基礎にアンカーボルトを植設(埋設)させて、上下方向に沿う鉛直姿勢のアンカーボルトにて、コンクリート基礎と受け部とを定着している。このように、新しくコンクリート基礎を構築する場合には、鉛直姿勢のアンカーボルトを植設(埋設)させる状態でコンクリート基礎を構築することができるので、アンカーボルトの引き抜き耐力を十分な所望の耐力とすることができる。よって、受け部のコンクリート基礎からの引き抜き力を、アンカーボルトの引き抜き耐力にて負担しても、タワークレーンを安定して設置することができる。
【0006】
しかしながら、例えば、クレーン基礎として、既存コンクリート基礎を用いる場合には、アンカーボルトの引き抜き耐力として、どのような耐力を有しているのかを把握することが難しい。既存コンクリート基礎を用いる場合には、既存コンクリート基礎に孔部を空けて、その孔部にアンカーボルトを挿入して固定する、あと施工アンカーにて、既存コンクリート基礎にアンカーボルトを固定することが考えられる。あと施工アンカーでは、孔部の壁部に対してアンカーボルトを固定しているので、孔部の壁部の状況や施工状況等によって、その固定力が異なっており、アンカーボルトの引き抜き耐力として、どのような耐力を有しているのかを把握することが難しい。よって、タワークレーンを安定して設置するための設計作業や施工作業を行う際に、余分な作業や手間が生じやすく、煩わしいものとなる。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、クレーン基礎上にタワークレーンを設置する際の工事の簡素化、及び、設計作業や施工作業の簡素化を図りながら、タワークレーンを安定して設置することができるタワークレーンの設置構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、クレーン基礎上にタワークレーンを設置するタワークレーンの設置構造において、
前記クレーン基礎として、既存コンクリート基礎を用い、
その既存コンクリート基礎の両側面には、水平方向に沿う水平姿勢のアンカーボルト、及び、そのアンカーボルトに固定されたブラケットが備えられ、
前記タワークレーンの基礎架台を支持する受け部を、前記既存コンクリート基礎の上部に載置させて、前記既存コンクリート基礎の両側面に備えられたブラケットに架設させる状態で固定して、前記既存コンクリート基礎上に前記タワークレーンを設置している点にある。
【0009】
本構成によれば、クレーン基礎として、既存コンクリート基礎を用いるので、既存コンクリート基礎をそのまま利用したり、或いは、既存コンクリート基礎の一部を撤去して利用する等、既存コンクリート基礎の撤去工事の簡素化を図ることができる。しかも、クレーン基礎を新たに構築しなくてもよく、この点からも、工事の簡素化を図り、省人化及びコストの低減を図ることができる。
【0010】
既存コンクリート基礎上にタワークレーンを設置するために、タワークレーンの基礎架台を支持する受け部を既存コンクリート基礎に固定している。その受け部の固定については、既存コンクリート基礎の両側面に、アンカーボルトとブラケットとが備えられているので、受け部を、既存コンクリート基礎の上部に載置させて、ブラケットに架設させる状態で固定している。アンカーボルトは、水平姿勢で備えられているので、受け部の既存コンクリート基礎からの引き抜き力を、既存コンクリート基礎の両側面に備えられるアンカーボルトのせん断力にて負担することができる。よって、容易に把握できるアンカーボルトのせん断力を用いて、設計作業や施工作業を行うことができるので、設計作業や施工作業の簡素化を図りながら、タワークレーンを安定して設置することができる。
【0011】
本発明の第2特徴構成は、前記既存コンクリート基礎の側面における前記アンカーボルトの設置位置は、前記既存コンクリート基礎の上端筋よりも下方側に設定されている点にある。
【0012】
本構成によれば、既存コンクリート基礎の上端筋と干渉することなく、アンカーボルトを設置することができるとともに、既存コンクリート基礎において、上端筋にて補強された部位よりも下方側にアンカーボルトを設置することができる。よって、アンカーボルトの設置箇所よりも上方側部位の引張による損傷を防止しながら、アンカーボルトを設置することができる。
【0013】
本発明の第3特徴構成は、前記アンカーボルトは、前記既存コンクリート基礎の一方側の側面に配設される一方側アンカーボルトと、前記既存コンクリート基礎の他方側の側面に配設される他方側アンカーボルトとに分割されている点にある。
【0014】
アンカーボルトとして、例えば、既存コンクリート基礎の一方側の側面から他方側の側面に亘る1本のアンカーボルトを用いることも可能である。しかしながら、この場合には、長さの長いアンカーボルトを施工しなければならず、その施工作業の複雑化を招くことになる。
そこで、本構成では、アンカーボルトとして、一方側アンカーボルトと他方側アンカーボルトとに分割されたものを用いている。これにより、一方側アンカーボルトと他方側アンカーボルトとの夫々の長さが短くなるので、その施工作業の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】クレーン基礎上にタワークレーンを設置した状態を示す図
図2】タワークレーンの設置構造を示す斜視図
図3】タワークレーンの設置構造を示す平面図
図4図3のIV-IVにおける側面図
図5図3のV-Vにおける側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るタワークレーンの設置構造の実施形態を図面に基づいて説明する。
このタワークレーンの設置構造は、図1に示すように、クレーン基礎2上にタワークレーン1を設置するためのものである。
【0017】
クレーン基礎2として、図1及び図2に示すように、既存コンクリート基礎21を用いている。既存コンクリート基礎21は、図3図5に示すように、複数の既存杭22と、複数の既存杭22の頭部に配設された既存基礎23と、既存基礎梁24とが備えられている。既存基礎梁24は、その一部が撤去されている。既存コンクリート基礎21は、平面視において、図3に示すように、矩形状の既存基礎23と、その既存基礎23の一端側部位(図3中左右方向の右側部位)から斜め両横側方(図3中上下方向)に延びる既存基礎梁24とを有する形状に形成されている。
【0018】
クレーン基礎2として既存コンクリート基礎21を用いるために、図3図5に示すように、アンカーボルト3とブラケット4とを用いて、タワークレーン1の基礎架台11を支持する仮設受梁12を既存コンクリート基礎21に固定している。
【0019】
アンカーボルト3は、既存コンクリート基礎21の側面において、水平方向に沿う水平姿勢にて備えられている。アンカーボルト3は、既存コンクリート基礎21の側面に孔部を空けて、その孔部にアンカーボルトを挿入して固定する、あと施工アンカーにて、既存コンクリート基礎21の側面に水平姿勢にて固定されている。あと施工アンカーとしては、例えば、接着剤の硬化によりアンカーボルトを固着する接着系アンカーや、孔の中で拡張部が開くことでアンカーボルトを孔壁に固着する金属系アンカー等、各種のあと施工アンカーを適用することができる。
【0020】
アンカーボルト3を設置する側面は、図4に示すように、既存基礎23において平行な両側面23a(図3中上下方向の両側面)、及び、図5に示すように、既存基礎梁24において傾斜状の両側面24a(図3中上下方向の両側面)としており、図4に示すように、既存基礎23の側面23aに設置されたアンカーボルト3を第1アンカーボルト31とし、図5に示すように、既存基礎梁24の側面24aに設置されたアンカーボルト3を第2アンカーボルト32としている。
【0021】
アンカーボルト3の長さは、図4及び図5に示すように、所定長さよりも長く、且つ、既存コンクリート基礎21の長さよりも短い長さに設定されており、アンカーボルト3が、既存コンクリート基礎21の一方側の側面に配設される一方側アンカーボルトと、既存コンクリート基礎21の他方側の側面に配設される他方側アンカーボルトとに分割されている。
【0022】
既存基礎23の一方側の側面には、図4に示すように、一方側第1アンカーボルト31aが、上下方向に間隔を隔てた複数(例えば、3つ)の上下列が左右方向に間隔を隔てて複数列(例えば、2列、図2参照)並ぶ状態で備えられ、既存基礎23の他方側の側面には、他方側第1アンカーボルト31bが、上下方向に間隔を隔てた複数(例えば、3つ)の上下列が左右方向に間隔を隔てて複数列(例えば、2列、図2参照)並ぶ状態で備えられている。同様に、既存基礎梁24の一方側の側面には、図5に示すように、一方側第2アンカーボルト32aが、上下方向に間隔を隔てた複数(例えば、3つ)の上下列が左右方向に間隔を隔てて複数列(例えば、2列、図2参照)並ぶ状態で備えられ、既存基礎梁24の他方側の側面には、他方側第2アンカーボルト32bが、上下方向に間隔を隔てた複数(例えば、3つ)の上下列が左右方向に間隔を隔てて複数列(例えば、2列、図2参照)並ぶ状態で備えられている。
【0023】
アンカーボルト3の上下方向での設置位置は、図4及び図5に示すように、既存コンクリート基礎21(既存基礎23及び既存基礎梁24)の上端筋25(図4及び図5中点線にて示している)よりも下方側に設定されている。これにより、既存コンクリート基礎21の上端筋25と干渉することなく、既存コンクリート基礎21において、上端筋25にて補強された部位よりも下方側にアンカーボルト3を設置することができる。よって、アンカーボルト3の設置箇所よりも上方側部位の引張による損傷を防止しながら、アンカーボルト3を設置することができる。
【0024】
ブラケット4は、図4及び図5に示すように、第1アンカーボルト31に固定されたブラケット4を第1ブラケット41とし、第2アンカーボルト32に固定されたブラケット4を第2ブラケット42としている。ブラケット4は、図2に示すように、上下方向に延びる板状のベースプレート43と水平方向に延びるH形の形鋼44とを組み合わせて構成されている。ブラケット4は、ベースプレート43が既存コンクリート基礎21の側面21aに沿う姿勢で、アンカーボルト3にて既存コンクリート基礎21の側面に固定されている。図示は省略するが、ベースプレート43と既存コンクリート基礎21の側面21aとの間に、所定厚みの無収縮モルタル等の充填剤を介在させることで、ベースプレート43と既存コンクリート基礎21の側面21aとの間の間隔調整を適切に行いながら、既存コンクリート基礎21の側面21aに対して、ベースプレート43の全体を適切に当接させることができる。
【0025】
仮設受梁12は、図2に示すように、例えば、H形鋼にて構成され、その下部フランジを既存コンクリート基礎21の上面21bに載置させている。仮設受梁12は、図4及び図5に示すように、既存コンクリート基礎21の上部に載置させて、既存コンクリート基礎21の両側面21aに備えられたブラケット4に架設させる状態で固定されている。仮設受梁12は、図3に示すように、水平方向に間隔を隔てて平行に並ぶ状態で一対備えられている。一方側の仮設受梁12は、図4に示すように、その長手方向の両端部が既存基礎23の両側面23aに備えられた第1ブラケット41に架設させる状態で固定され、他方側の仮設受梁12は、図5に示すように、その長手方向の両端部が既存基礎梁24の両側面24aに備えられた第2ブラケット42に架設させる状態で固定されている。第2ブラケット42同士の間隔が、第1ブラケット41同士の間隔よりも大きいので、図3に示すように、他方側の仮設受梁12が、一方側の仮設受梁12よりも長尺に構成されている。
【0026】
仮設受梁12とブラケット4とは、図4及び図5に示すように、連結ボルト等の連結具13により連結されており、その連結箇所に相当する部位には、仮設受梁12及びブラケット4の夫々に補強プレート12a、45が備えられている。ちなみに、図1では、タワークレーン1を含めた全体概略を示しており、補強プレート12a、45を省略して図示している。ブラケット4におけるH形の形鋼44の上部に、H形の形鋼である仮設受梁12の下部が当接する状態で載置されており、ブラケット4における形鋼44の上部フランジと仮設受梁12の下部フランジとが連結具13により連結されている。
【0027】
一対の仮設受梁12は、図3に示すように、溝形鋼等の複数のつなぎ材14にて連結されている。つなぎ材14は、一対の仮設受梁12の長手方向の両端部位の夫々において、間隔を隔てて複数(例えば、2つ)備えられている。図4及び図5に示すように、一対の仮設受梁12とつなぎ材14とは、連結ボルト等の連結具15にて連結されている。
【0028】
タワークレーン1の基礎架台11は、図4及び図5に示すように、一対の仮設受梁12にて受け止め支持される状態で備えられ、連結ボルト等の連結具16により一対の仮設受梁12に連結されている。ちなみに、図1では、タワークレーン1を含めた全体概略を示しており、図2では、タワークレーン1の基礎架台11を含めた設置構造の全体概略を示しており、図1及び図2では、基礎架台11と仮設受梁12との連結箇所については省略して図示している。
【0029】
このタワークレーンの設置構造では、図3図5に示すように、クレーン基礎2として、既存コンクリート基礎21を用いているので、あと施工アンカーにてアンカーボルト3を設置することになる。そこで、既存コンクリート基礎21の両側面21aに対して、アンカーボルト3を水平姿勢にて設置し、既存コンクリート基礎21の両側面21aのブラケット4に架設させる状態で仮設受梁12を固定している。このような設置構造を取ることで、仮設受梁12の既存コンクリート基礎21からの引き抜き力を、既存コンクリート基礎21の両側面21aに備えられるアンカーボルト3のせん断力にて負担することができる。よって、容易に把握できるアンカーボルト3のせん断力を用いて、設計作業や施工作業を行うことができるので、設計作業や施工作業の簡素化を図りながら、タワークレーン1を安定して設置することができる。
【0030】
また、見方を変えると、一対の仮設受梁12の夫々において、その長手方向の両端部に下方側に延びる状態でブラケット4を連結し、その左右両側のブラケット4を、水平姿勢のアンカーボルト3にて既存コンクリート基礎21の両側面21aに固定している。
【0031】
この実施形態では、図4及び図5に示すように、水平姿勢のアンカーボルト3に加えて、上下方向に沿う鉛直姿勢の追加アンカーボルト5が備えられている。追加アンカーボルト5は、あと施工アンカーにより、鉛直姿勢で既存コンクリート基礎21の上面に備えられている。追加アンカーボルト5は、図2に示すように、仮設受梁12の長手方向の複数箇所(例えば、2箇所)において、仮設受梁12の左右の夫々に分散させる状態で1つずつ備えられている。左右の追加アンカーボルト5には、図2図4及び図5に示すように、仮設受梁用ブラケット6が固定され、左右の追加アンカーボルト5に亘る仮設受梁用ブラケット6の下部が仮設受梁12の上部に当接する状態で備えられている。これにより、左右の追加アンカーボルト5及び仮設受梁用ブラケット6にて、仮設受梁12の既存コンクリート基礎21からの浮き上がりを防止することができる。また、追加アンカーボルト5でも仮設受梁12の既存コンクリート基礎21からの引き抜き力を負担することができるので、仮設受梁12の既存コンクリート基礎21からの引き抜き力に対して、既存コンクリート基礎21の両側面における水平姿勢のアンカーボルト3と、既存コンクリート基礎21の上面における鉛直姿勢の追加アンカーボルト5との2重で負担することができ、引き抜き耐力の向上を効果的に図ることができる。
【0032】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。
尚、以下に説明する各実施形態の構成は、夫々単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0033】
(1)上記実施形態では、追加アンカーボルト5及び仮設受梁用ブラケット6を備えているが、これら追加アンカーボルト5及び仮設受梁用ブラケット6を備えずに実施することもできる。
【0034】
(2)上記実施形態では、第1アンカーボルト31及び第2アンカーボルト32を、一方側アンカーボルト31a、32aと他方側アンカーボルト31b、32bとに分割しているが、例えば、第1アンカーボルト31及び第2アンカーボルト32を、分割せずに、既存コンクリート基礎21の全長に亘る長さを有する1本のアンカーボルトとすることもできる。
【0035】
(3)上記実施形態では、既存コンクリート基礎21として、既存杭22、既存基礎23、及び、既存基礎梁24を有するものを用いているが、これに限らず、各種の既存コンクリート基礎を用いることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 タワークレーン
2 クレーン基礎
3 アンカーボルト
4 ブラケット
11 基礎架台
12 仮設受梁(受け部)
21 既存コンクリート基礎
25 上端筋
31a 一方側第1アンカーボルト
31b 他方側第1アンカーボルト
32a 一方側第2アンカーボルト
32b 他方側第2アンカーボルト

図1
図2
図3
図4
図5