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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20240731BHJP
   B65D 5/66 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
B65D5/54 311B
B65D5/66 311G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020183928
(22)【出願日】2020-11-02
(65)【公開番号】P2022073750
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】307013857
【氏名又は名称】株式会社ロッテ
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野木 淳
(72)【発明者】
【氏名】坂東 陽子
(72)【発明者】
【氏名】柴田 由華
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-164129(JP,U)
【文献】特開2006-151502(JP,A)
【文献】特開昭52-096178(JP,A)
【文献】実開平04-115121(JP,U)
【文献】特開2004-091014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/54
B65D 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視が矩形の底面板、前記底面板の左右両縁から立ち上がる左右側面板、前記底面板の前縁から立ち上がる正面板、及び前記底面板の後縁から立ち上がる背面板を含む容器本体と、
前記背面板の上縁から前方へ延び出し、前記容器本体の上面を蓋う上面板、前記上面板の左右両縁から垂下する左右上側面板、及び前記上面板の前縁から垂下する上正面板を含む容器蓋体とを備え、
前記左右上側面板及び前記上正面板は、前記容器本体の前記左右側面板及び前記正面板の外側に被さるものであり、
前記左右上側面板及び前記上正面板の上下方向寸法は、前記容器本体の前記左右側面板及び前記正面板の上下方向寸法よりも小さくされており、
前記上正面板の下縁の少なくとも一部には、下方へ延び出た封緘用突部が形成されており、
前記封緘用突部と前記上正面板との境界部には、前記封緘用突部を前記上正面板から分離するための切断線が形成されており、
前記容器蓋体が閉じられた状態において、前記封緘用突部と前記容器本体の前記正面板との対向面間が接着剤で接着され、前記容器本体は前記容器蓋体によって封緘されており、
前記容器蓋体の前記上面板の後方寄りの部位には、前記背面板の上縁に平行に左右方向に延びる開成用切り込みが形成されており、
前記左右上側面板の後方寄りの部位には、分離用切断線が形成されており、
前記左右上側面板の後端部は、前記左右側面板の外側に接着固定されており、
封緘された前記容器蓋体を開封する際には、前記封緘用突部が前記上正面板から分離され、前記容器蓋体は前記上面板に形成された前記開成用切り込みに沿って上方へ開かれることを特徴とする、包装容器。
【請求項2】
平面視が矩形の底面板、前記底面板の左右両縁から立ち上がる左右側面板、前記底面板の前縁から立ち上がる正面板、及び前記底面板の後縁から立ち上がる背面板を含む容器本体と、
前記背面板の上縁から前方へ延び出し、前記容器本体の上面を蓋う上面板、前記上面板の左右両縁から垂下する左右上側面板、及び前記上面板の前縁から垂下する上正面板を含む容器蓋体とを備え、
前記左右上側面板及び前記上正面板は、前記容器本体の前記左右側面板及び前記正面板の外側に被さるものであり、
前記左右上側面板及び前記上正面板の上下方向寸法は、前記容器本体の前記左右側面板及び前記正面板の上下方向寸法よりも小さくされており、
前記上正面板の下縁の少なくとも一部には、下方へ延び出た封緘用突部が形成されており、
前記封緘用突部と前記上正面板との境界部には、前記封緘用突部の一部をなす特定部を前記上正面板及び前記封緘用突部から分離するための切断線が形成され、かつ、前記特定部を除く前記封緘用突部には、再閉(リクローズ)用の舌片が形成されており、
前記容器蓋体が閉じられた状態において、前記封緘用突部の前記特定部と前記容器本体の前記正面板との対向面間が接着剤で接着され、前記容器本体は前記容器蓋体によって封緘されており、
前記容器蓋体の前記上面板の後方寄りの部位には、前記背面板の上縁に平行に左右方向に延びる開成用切り込みが形成されており、
前記左右上側面板の後方寄りの部位には、分離用切断線が形成されており、
前記左右上側面板の後端部は、前記左右側面板の外側に接着固定されており、
封緘された前記容器蓋体を開封する際には、前記封緘用突部の前記特定部が前記上正面板及び前記封緘用突部から分離され、前記容器蓋体は前記上面板に形成された前記開成用切り込みに沿って上方へ開かれることを特徴とする、包装容器。
【請求項3】
前記容器本体の前記正面板には、前記容器蓋体が閉じられた状態において、少なくとも前記舌片に対応する位置に、前記舌片を受け止める受け止め用切り込みが形成されていることを特徴とする、請求項に記載の包装容器。
【請求項4】
前記容器蓋体の前記上面板には、前記開成用切り込みの左右両端と前記上面板の後辺の両端との間に、それぞれ、斜めに延びる全開用分離線が形成されており、
前記容器蓋体は、前記開成用切り込みに沿って開成した状態から、さらに、前記容器蓋体を後方へ開くように引き上げると、前記左右上側面板の各後端部の上部が前記上面板の後方部と分離し、かつ、前記全開用分離線が開いて、前記容器蓋体を全開状態にできることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器に関し、例えば紙製シート等によって形成された例えば菓子箱、化粧箱等の箱状の包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の包装容器において、容器を開封するためのジッパーと呼ばれる鉤状をした不連続な切込線が帯状に形成されたものがある(例えば、特許文献1又は特許文献2)。ジッパー型の開封構造が採用された包装容器の場合、包装容器を開封する際には、帯状のジッパーを包装容器から引きちぎるため、開封時にジッパーがゴミとして生じるという課題がある。
【0003】
また、包装容器から帯状のジッパーを完全に引きちぎらず、包装容器からジッパーが分離することなく開封できる包装容器が提案されている(例えば、特許文献3)。しかし、開封時に引き裂いた帯状のジッパーが包装容器から分離しない構造とした場合、開封後に包装容器を再閉(リクローズ)して一時保管したい場合等に、包装容器の再閉(リクローズ)を良好に行えず、また、包装容器から分離しない帯状ジッパーが邪魔になる等の別の課題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-36340号公報
【文献】特開2016-37295号公報
【文献】特開2016-137940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来のジッパー型の開封構造が採用された包装容器における課題を解消し、開封時にゴミが生じることのない新たな開封構造を有する包装容器を提供することを主たる目的とする。
また、本発明は、開封性が向上し、かつ、再閉(リクローズ)も容易に行える包装容器を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一局面からみると、平面視が矩形の底面板、前記底面板の左右両縁から立ち上がる左右側面板、前記底面板の前縁から立ち上がる正面板、及び前記底面板の後縁から立ち上がる背面板を含む容器本体と、前記背面板の上縁から前方へ延び出し、前記容器本体の上面を蓋う上面板、前記上面板の左右両縁から垂下する左右上側面板、及び前記上面板の前縁から垂下する上正面板を含む容器蓋体とを備え、前記左右上側面板及び前記上正面板は、前記容器本体の前記左右側面板及び前記正面板の外側に被さるものであり、前記左右上側面板及び前記上正面板の上下方向寸法は、前記容器本体の前記左右側面板及び前記正面板の上下方向寸法よりも小さくされており、前記上正面板の下縁の少なくとも一部には、下方へ延び出た封緘用突部が形成されており、前記封緘用突部と前記上正面板との境界部には、前記封緘用突部を前記上正面板から分離するための切断線が形成されている包装容器である。
【0007】
本発明において、前記容器蓋体が閉じられた状態において、前記封緘用突部と前記容器本体の前記正面板との対向面間が接着剤で接着され、前記容器本体は前記容器蓋体によって封緘されていてもよい。
本発明において、封緘された前記容器蓋体を開封する際には、前記封緘用突部が前記上正面板から分離されて、前記容器蓋体は前記背面板の上縁に沿って上方へ開かれる構造であってもよい。
【0008】
本発明は、他の局面からみると、平面視が矩形の底面板、前記底面板の左右両縁から立ち上がる左右側面板、前記底面板の前縁から立ち上がる正面板、及び前記底面板の後縁から立ち上がる背面板を含む容器本体と、前記背面板の上縁から前方へ延び出し、前記容器本体の上面を蓋う上面板、前記上面板の左右両縁から垂下する左右上側面板、及び前記上面板の前縁から垂下する上正面板を含む容器蓋体とを備え、前記左右上側面板及び前記上正面板は、前記容器本体の前記左右側面板及び前記正面板の外側に被さるものであり、前記左右上側面板及び前記上正面板の上下方向寸法は、前記容器本体の前記左右側面板及び前記正面板の上下方向寸法よりも小さくされており、前記上正面板の下縁の少なくとも一部には、下方へ延び出た封緘用突部が形成されており、前記封緘用突部と前記上正面板との境界部には、前記封緘用突部の一部をなす特定部を前記上正面板及び前記封緘用突部から分離するための切断線が形成され、かつ、前記特定部を除く前記封緘用突部には、再閉(リクローズ)用の舌片が形成されている包装容器である。
【0009】
本発明において、前記容器本体の前記正面板には、前記容器蓋体が閉じられた状態において、少なくとも前記舌片に対応する位置に、前記舌片を受け止める受け止め用切り込みが形成されていてもよい。
本発明において、前記容器蓋体が閉じられた状態において、前記封緘用突部の前記特定部と前記容器本体の前記正面板との対向面間が接着剤で接着され、前記容器本体は前記容器蓋体によって封緘されていてもよい。
【0010】
本発明において、封緘された前記容器蓋体を開封する際には、前記封緘用突部の前記特定部が前記上正面板及び前記封緘用突部から分離され、前記容器蓋体は、前記背面板の上縁に沿って上方へ開かれる構造であってもよい。
本発明において、前記容器蓋体の前記上面板の後方寄りの部位には、前記背面板の上縁に平行に左右方向に延びる開成用切り込みが形成されており、前記左右上側面板の後方寄りの部位には、分離用切断線が形成されており、前記左右上側面板の後端部は、前記左右側面板の外側に接着固定されており、封緘された前記容器蓋体を開封する際には、前記封緘用突部又は前記封緘用突部の前記特定部が前記上正面板又は前記上正面板及び前記封緘用突部から分離され、前記容器蓋体は前記上面板に形成された前記開成用切り込みに沿って上方へ開かれる構造であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、容器蓋体の上正面板の下縁から延び出て容器本体の正面板に接着されている封緘用突部を手指で押して容器蓋体の上正面板から分離させることで、容器本体から容器蓋体を開くことができる。よって、包装容器の開封性が向上し、又、開封時にゴミが生じない。さらに、容器蓋体が開封されたことを知覚しやすいという効果もある。
封緘用突部の一部である特定部だけを正面板に接着する構造とした場合は、特定部を手指で押して容器蓋体の上正面板から分離させることで、容器本体から容器蓋体を開くことができる。また、上正面板から分離せずに残った封緘用突部を用いて、再閉(リクローズ)用の舌片を形成することにより、容器蓋体の再閉(リクローズ)を容易に行え、再閉時の固定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る包装容器1を正面斜め上方から見た斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る包装容器1の正面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る包装容器1の展開図である。
図4図4は、包装容器1を開封する仕方を説明するための図である。
図5図5は、容器本体2から容器蓋体3が開いた状態の正面斜め上から見た斜視図である。
図6図6は、容器本体2から容器蓋体3が開いた状態の右側面図である。
図7図7は、容器蓋体3を再閉(リクローズ)する場合の説明図であり、(A)は、容器本体2に容器蓋体3が再閉(リクローズ)された状態の包装容器1の正面図である。(B),(C)は、再閉(リクローズ)の操作の仕方を説明するための図解的な側面断面図である。
図8図8は、この種の包装容器の従前の構成を示す参考正面図である。
図9図9は、本実施形態に係る包装容器1において、容器蓋体3を全開にした状態の図解的な平面図である。
図10図10は、本発明の他の実施形態に係る包装容器5の封緘状態の正面図である。
図11図11は、本発明の他の実施形態に係る包装容器6の開封状態を図解的に示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明をする。
図1は、本発明の一実施形態に係る包装容器1を正面斜め上方から見た斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係る包装容器1の正面図である。また、図3は、本発明の一実施形態に係る包装容器1の展開図である。
図1~3を参照して、包装容器1は、一例として、紙製のブランクシート10(図3参照)が組み立てて作られる。
【0014】
紙製のブランクシート10には、平面視が矩形の底面板11と、底面板11の左辺11Lに連設された縦長矩形の左側面板12と、底面板11の右辺11Rに連設された縦長矩形の右側面板13と、底面板11の前辺11Fに連設された横長矩形の正面板14と、底面板の後辺11Bに連設された横長矩形の背面板15とが含まれている。
正面板14には、後述する舌片を受け止めるための受け止め用切り込み20が形成されていてもよい。そして、正面板14の左辺14Lには、連結用の左フラップ16が連設されており、正面板14の右辺14Rには、連結用の右フラップ17が連設されている。また、背面板15の左辺15Lには、連結用の左フラップ18が連設されており、背面板15の右辺15Rには、連結用の右フラップ19が連設されている。
【0015】
ブランクシート10の底面板11、左側面板12、右側面板13、正面板14及び背面板15が、それぞれ、底面板11の左辺11L、右辺11R、前辺11F及び後辺11Bに沿って折り曲げられ、底面板11に対して垂直に立ち上げられる。
また、正面板14の左辺14Lに沿って左フラップ16が折り曲げられ、左側面板12の内面に接着され、正面板14の右辺14Rに沿って右フラップ17が折り曲げられ、右側面板13の内面に接着される。
【0016】
さらに、背面板15の右辺15Lに沿って左フラップ18が折り曲げられ、左側面板12の内面に接着され、背面板15の右辺15Rに沿って右フラップ19が折り曲げられ、右側面板13の内面に接着される。
上記の処理によって、平面視が矩形の底面板11、底面板11の左右両縁から立ち上がる左右側面板12,13、底面板11の前縁から立ち上がる正面板14、及び底面板11の後縁から立ち上がる背面板15を含む上面が開放した舟型の容器本体2が形成される。
【0017】
紙製のブランクシート10には、さらに、平面視が矩形の上面板21と、上面板21の左辺21Lに連設された縦長矩形状の左上側面板22と、上面板21の右辺21Rに連設された縦長矩形の右上側面板23と、上面板21の前辺21Fに連設された横長矩形の上正面板24とが含まれている。
上面板21の後辺21Bは、背面板15の上辺15Uとつながっている。また、上面板21の後方寄りの部位には、後辺21Bと平行に左右方向に延びる開成用切り込み25が形成されていてもよい。開成用切り込み25は、一例として、弧状の切り込みが交互に向きを逆にして断続的に配列されたものでもよい。また、左右上側面板22,23には、それぞれ、後端寄りの位置(図3においては、左右上側面板22,23の下方寄りの位置)に分離用の切断線22C,23Cが形成されていてもよい。これにより、左上側面板22は、主部22Aと、後端部22Bとに区画され、右上側面板23も、主部23Aと、後端部23Bとに区画されていてもよい。図3に示すように、分離用の切断線22C,23Cは、開成用切り込み25の左右両端と一定の間隔をあけ、上面板21にまで切り込まれていてもよい。さらに、上面板21には、開成用切り込み25の左右両端と、上面板21の後辺21Bの両端(すなわち上面板21の後端左右角部)との間に、それぞれ、斜めに延びる全開用分離線26L,26Rが形成されていてもよい。
【0018】
上正面板24の左辺24Lには連結用の左フラップ27が連設されており、上正面板24の右辺24Rには、連結用の右フラップ28が連設されている。さらに、上正面板24の下辺24Dから突出するように延び出た封緘用突部30が設けられている。封緘用突部30と上正面板24との境界部には、封緘用突部30の少なくとも一部(以下、これを「特定部」33という。)を上正面板24から分離するための切断線31が形成されている。さらに、封緘用突部30の上正面板24から分離されない部位(即ち、特定部33を除く部位)には、再閉(リクローズ)用の舌片32が形成されていてもよい。
【0019】
ブランクシート10の上面板21、左上側面板22、右上側面板23及び上正面板24が、それぞれ、上面板21の左辺21L、右辺21R及び前辺21Fに沿って折り曲げられ、上面板21に対して垂直に垂下される。また、上正面板24の左辺24Lに沿って左フラップ27が折り曲げられ、左上側面板22の内面に接着され、上正面板24の右辺24Rに沿って右フラップ28が折り曲げられ、右上側面板23の内面に接着される。
【0020】
上記の処理によって、容器本体2の上面を蓋う上面板21、上面板21の左右両縁から垂下する左右上側面板、及び上面板21の前縁から垂下する上正面板24を含む容器蓋体3が形成される。
また、本実施形態においては、容器本体2の左右側面板、正面板及び背面板の上下方向の寸法(高さ)H1は、例えば47mmであるのに対し、容器蓋体3の左右上側面板及び上正面板の上下方向の寸法(高さ)H2は、例えば23mmとされ、H1>H2、好ましくは、H1≒2H2の関係にされている。容器本体2の側面板12,13及び正面板14と、容器蓋体3の上側面板22,23及び上正面板24とを、係る寸法関係にすることにより、開封時の容器蓋体3の開封性が向上するという利点がある。また、容器蓋体3の材料費を節約できるという利点もある。
【0021】
図1及び図2に示すように、容器本体2に対して容器蓋体3が閉じられた状態においては、容器本体2の開放した上面が容器蓋体3の上面板21で被われ、かつ、容器本体2の左右側面板12,13及び正面板14の外側上方部に容器蓋体3の左右上側面板22,23及び上正面板24が被さった状態となる。
この状態において、上正面板24から下方へ延び出た封緘用突部30の特定部33の内面(正面板14に対向する面)と正面板14との間が接着剤で接着され、容器蓋体3は容器本体2に封緘される。また、容器蓋体3の左右上側面板22,23の各後端部22B,23Bの内面(左右側面板12,13に対向する面)と左右側面板12,13との間が接着剤で接着される。なお、図1及び図2では、接着部を明確にするため、接着部がグレーで示されている。
【0022】
次に、図4を参照して、本実施形態に係る包装容器1を開封する場合には、包装容器1の正面の特定部33を、例えば親指等の手指で押す。特定部33に押圧力が加わり、切断線31に沿って特定部33が上正面板24から分離されると、容器蓋体3は前方側が軽く持ち上がるように開封される。
より具体的に説明すると、例えば親指で特定部33を例えばプチッと音がするまで押すと、容器本体2の正面板14に接着された封緘用突部30の特定部33が容器蓋体3の上正面板24から分離して、容器蓋体3の封緘部が容器蓋体3から外れる。よって、容器蓋体3は、容器本体2から上方へ軽く持ち上がって開封される。
【0023】
図5は、容器本体2から容器蓋体3が開いた状態を正面斜め上から見た斜視図である。図6は、容器本体2から容器蓋体3が開いた状態の右側面図である。
図5及び図6を参照して、容器蓋体3は、上面板21に形成された開成用切り込み25(図1参照)を中心に、容器蓋体3の後方部が上方へ折れ曲がる。その際、図6に示すように、容器蓋体3の左右上側面板22,23のうちの容器本体2の左右側面板12,13に接着された各後端部22B,23Bは、左右側面板12,13の外面に残り、各切断線22C,23Cによって左右上側面板22,23の各主部22A,23Aが分離されて上方へ開く。
【0024】
図7は、容器蓋体3を再閉(リクローズ)する場合の説明図であり、(A)は、容器本体2に容器蓋体3が再閉(リクローズ)された状態の包装容器1の正面図である。(B)、(C)は、再閉(リクローズ)の操作の仕方を説明するための図解的な側面断面図である。
図7(B)に示すように、容器蓋体3を閉状態に保持するために、例えば親指F1で封緘用突部30の先端縁を支え、例えば人差し指F2で封緘用突部30に形成された山形の舌片32を軽く正面側から押す。すると山形の舌片32が内方に突出するので、そのまま封緘用突部30を容器本体2の正面板14側に押さえることにより、図7(C)に示すように、山形の舌片32が正面板14に形成された受け止め用切り込み20に進入し、容器蓋体3は容器本体2に対して閉じた状態に保持される。その際、容器蓋体3には矢印A1で示すような開く方向の軽い応力が作用したとしても、この応力に抗して容器蓋体3は閉じた状態に保持される。なお、受け止め用切り込み20の形状は、図3に示された円弧状に限らず、例えば直線状やジグザグ状、また複数個の切れ込みなどとしても良い。
【0025】
図8は、この種の包装容器の従前の構成を示す参考正面図である。図8に示すように、従前の包装容器1′は、封緘状態において、容器本体2′の正面板14′に対して容器蓋体3′の上正面板24′がオーバーラップしていた。つまり、容器本体2′の正面板14′と容器蓋体3′の上正面板24′とは、上下方向の寸法が等しくされていた。そして、上正面板24′の上下方向中央部に、左右方向に延びるジッパー40が設けられていて、ジッパー40の下側の上正面板24′Dは、正面板14′に接着された構成であった。この包装容器1′を開封する場合は、例えば左側から右側に向けてジッパー40を引き上げるように破り取るものであった。
【0026】
このため、開封時に、ジッパー40がゴミとして生じるという課題があった。さらに、細かなことではあるが、上正面板24′が正面板14′と同じ大きさに形成されており、ジッパー40を引き破った後、上正面板24′の下方部24′Dが正面板14′に接着状態で残る。よって、下方部24′Dの材料費(紙代)の無駄があった。
本実施形態に係る包装容器1では、上記従前の包装容器1′のゴミが生じる課題や無駄な材料費が生じるという欠点が完全に解消できる。
【0027】
図9は、本実施形態に係る包装容器1において、容器蓋体3を全開にした状態の図解的な平面図である。容器蓋体3は、開成用切り込み25に沿って開成した状態から、さらに、容器蓋体3を後方へ開くように引き上げると、左右上側面板22,23の各後端部22B,23Bの上部が上面板21の後方部と分離し、かつ、左右の全開用分離線26L,26Rが開いて、上面板21の後方部は、後辺21Bに沿って開き、容器蓋体3を全開状態にできる。
【0028】
図10は、本発明の他の実施形態に係る包装容器5の封緘状態の正面図である。この包装容器5が、先に説明した包装容器1と異なる点は、封緘用突部30全体が上正面板24から分離する構成とされている点である。このため、封緘用突部30と上正面板24との境界部に、封緘用突部30を上正面板24から分離するための切断線31Aが形成されている。なお、本実施形態の場合は、封緘用突部30の裏面全体が正面板14に接着される。そこで、図10では、封緘用突部30の接着部(容器本体2の正面板14に接着される部位)を明確にするため、接着部がグレーで示されている。
【0029】
また、本実施形態において、容器蓋体3を再閉(リクローズ)した際に、容器蓋体3の閉鎖状態を保持するために、例えば、舌片35が設けられた構成とし、正面板14に舌片35を受け入れる切り込み36が形成してもよい。
図11は、本発明の他の実施形態に係る包装容器6の開封状態を図解的に示す右側面図である。包装容器6は、上面板21の後方に開成用切り込み25を形成せず、上面板21が容器本体2の背面板15の上縁に沿って開くようにしてもよい。
【0030】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0031】
1、5、6 包装容器
2 容器本体
3 容器蓋体
10 ブランクシート
11 底面板
11L 左辺、 11R 右辺、 11F 前辺、 11B 後辺
12 左側面板
13 右側面板
14 正面板
14L 左辺、 14R 右辺
15 背面板
15L 左辺、 15R 右辺、 15U 上辺
16、18、27 左フラップ
17、19、28 右フラップ
20 受け止め用切り込み
21 上面板
21L 左辺、 21R 右辺、 21F 前辺、 21B 後辺
22 左上側面板
23 右上側面板
24 上正面板
25 開成用切り込み
26、26L、26R 全開用分離線
30 封緘用突部
22C、23C、31、31A 切断線
32、35 舌片
33 特定部
40 ジッパー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11