(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】灯具ユニット
(51)【国際特許分類】
F21S 41/24 20180101AFI20240731BHJP
F21S 41/255 20180101ALI20240731BHJP
F21S 41/32 20180101ALI20240731BHJP
F21S 41/663 20180101ALI20240731BHJP
F21W 102/135 20180101ALN20240731BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240731BHJP
【FI】
F21S41/24
F21S41/255
F21S41/32
F21S41/663
F21W102:135
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020207632
(22)【出願日】2020-12-15
【審査請求日】2023-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099999
【氏名又は名称】森山 隆
(72)【発明者】
【氏名】村松 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】宇賀神 佑太
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第212132312(CN,U)
【文献】特開2017-199660(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0226142(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/24
F21S 41/255
F21S 41/32
F21S 41/663
F21W 102/135
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を、投影レンズを介してユニット前方へ向けて照射するように構成された灯具ユニットにおいて、
上記光源と上記投影レンズとの間に、上記光源からの出射光を導光して上記投影レンズに入射させるように構成された導光体が配置されており、
上記光源として、ロービーム用配光パターンを形成するための第1光源と、上記第1光源との同時点灯によってハイビーム用配光パターンを形成するための第2光源とを備えており、
上記導光体は、上記ロービーム用配光パターン用の光を出射するための第1出射面と、上記ハイビーム用配光パターンを形成する際に上記ロービーム用配光パターンに対して付加される付加配光パターン用の光を出射するための第2出射面とを備えており、
上記第2出射面は、上記第1出射面の下方側において上記第1出射面に対してユニット後方側に変位した位置に形成されており、
上記導光体は、上記第1出射面の下端縁から上記第2出射面の上端縁までユニット後方へ向けて延びる接続面を備えており、
上記接続面に鏡面部が設けられて
おり、
上記接続面は、上記接続面の前端縁近傍領域が光透過部として構成されており、
上記前端縁近傍領域の前後幅は、上記接続面の前後幅に対して1/3以下の値に設定されている、ことを特徴とする灯具ユニット。
【請求項2】
上記導光体は樹脂製部材で構成されている、ことを特徴とする請求項1記載の灯具ユニット。
【請求項3】
上記第1光源を複数個備えており、
上記導光体は、上記複数の第1光源の各々からの出射光を入射させるための複数の入射部を備えている、ことを特徴とする請求項1または2記載の灯具ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、投影レンズを備えた灯具ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光源からの光を、投影レンズを介してユニット前方へ向けて照射するように構成された灯具ユニットが知られている。
【0003】
「特許文献1」には、このような灯具ユニットの構成として、光源と投影レンズとの間に、光源からの出射光を導光して投影レンズに入射させるように構成された導光体が配置されたものが記載されている。
【0004】
この「特許文献1」に記載された灯具ユニットは、その光源として、ロービーム用配光パターンを形成するための第1光源と、この第1光源との同時点灯によってハイビーム用配光パターンを形成するための第2光源とを備えた構成となっており、また、その導光体として、第1光源からの出射光を導光するための第1導光体と、第2光源からの出射光を導光するための第2導光体とを備えた構成となっている。
【0005】
この「特許文献1」に記載された灯具ユニットにおいては、第1導光体の出射面の下端縁形状によってロービーム用配光パターンのカットオフラインを形成するように構成されており、その際、第1導光体に入射した第1光源からの光の一部をその下面で全反射させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような灯具ユニットにおいて、その導光体を単一部材で構成すれば、灯具ユニットの部品点数を削減することができ、これにより灯具ユニットのコスト低減を図ることが可能となる。
【0008】
その際、導光体として、ロービーム用配光パターン用の光を出射するための第1出射面と、ハイビーム用配光パターンを形成する際にロービーム用配光パターンに対して付加される付加配光パターン用の光を出射するための第2出射面とを備えた構成とした上で、第1出射面に対して第2出射面がユニット後方側に変位した位置に形成された構成とすれば、第1出射面の下端縁によってロービーム用配光パターンのカットオフラインを形成することが可能となる。
【0009】
一方、このような構成を採用した場合、導光体には第1出射面の下端縁から第2出射面の上端縁までユニット後方へ向けて延びる接続面が形成されることとなるが、第2出射面から出射して接続面に到達した第2光源からの光は、この接続面から導光体に再入射してしまうので、第2光源からの出射光に対する光束利用率が低下してしまう。そしてこれにより付加配光パターンの明るさが低下してしまうので、ハイビーム用配光パターンを所期の光度分布で形成することができなくなってしまう。
【0010】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、投影レンズを備えた灯具ユニットにおいて、その部品点数の削減によるコスト低減を図った上で、ロービーム用配光パターンおよびハイビーム用配光パターンの各々を適切に形成することができる灯具ユニットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は、光源と投影レンズとの間に配置された導光体の構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0012】
すなわち、本願発明に係る灯具ユニットは、
光源からの光を、投影レンズを介してユニット前方へ向けて照射するように構成された灯具ユニットにおいて、
上記光源と上記投影レンズとの間に、上記光源からの出射光を導光して上記投影レンズに入射させるように構成された導光体が配置されており、
上記光源として、ロービーム用配光パターンを形成するための第1光源と、上記第1光源との同時点灯によってハイビーム用配光パターンを形成するための第2光源とを備えており、
上記導光体は、上記ロービーム用配光パターン用の光を出射するための第1出射面と、上記ハイビーム用配光パターンを形成する際に上記ロービーム用配光パターンに対して付加される付加配光パターン用の光を出射するための第2出射面とを備えており、
上記第2出射面は、上記第1出射面の下方側において上記第1出射面に対してユニット後方側に変位した位置に形成されており、
上記導光体は、上記第1出射面の下端縁から上記第2出射面の上端縁までユニット後方へ向けて延びる接続面を備えており、
上記接続面に鏡面部が設けられており、
上記接続面は、上記接続面の前端縁近傍領域が光透過部として構成されており、
上記前端縁近傍領域の前後幅は、上記接続面の前後幅に対して1/3以下の値に設定されている、ことを特徴とするものである。
【0013】
上記「接続面」は、第1出射面の下端縁から第2出射面の上端縁までユニット後方へ向けて延びるように形成されていれば、その具体的な配置や表面形状等は特に限定されるものではない。
【0014】
上記「鏡面部」は、接続面の全領域に設けられていてもよいし、その一部領域にのみ設けられていてもよい。
【0015】
上記「鏡面部」の具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えばアルミニウムの真空蒸着を施すことにより形成されたものやアルミニウム箔を貼付することにより形成されたもの等が採用可能である。
【発明の効果】
【0016】
本願発明に係る灯具ユニットは、光源からの光を、投影レンズを介してユニット前方へ向けて照射する構成となっているが、光源と投影レンズとの間には、光源からの出射光を導光して投影レンズに入射させるように構成された導光体が配置されているので、この導光体によって投影レンズへの入射光を制御することにより所望する形状の配光パターンを形成することができる。
【0017】
具体的には、上記光源は、ロービーム用配光パターンを形成するための第1光源と、この第1光源との同時点灯によってハイビーム用配光パターンを形成するための第2光源とを備えており、また、導光体は、ロービーム用配光パターン用の光を出射するための第1出射面と、ハイビーム用配光パターンを形成する際にロービーム用配光パターンに対して付加される付加配光パターン用の光を出射するための第2出射面とを備えているので、ロービーム用配光パターンおよびハイビーム用配光パターンを選択的に形成することができる。
【0018】
その際、導光体は、第2出射面が第1出射面の下方側において第1出射面に対してユニット後方側に変位しているので、第1出射面の下端縁形状によってロービーム用配光パターンのカットオフラインを形成することができる。
【0019】
その上で、導光体は、第1出射面の下端縁から第2出射面の上端縁までユニット後方へ向けて延びる接続面を備えており、この接続面には鏡面部が設けられているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0020】
すなわち、第2出射面から出射して接続面に到達した第2光源からの光が接続面から導光体に再入射してしまうと、第2光源からの出射光に対する光束利用率が低下してしまい、これにより付加配光パターンの明るさが低下してしまうので、ハイビーム用配光パターンを所期の光度分布で形成することができなくなってしまう。
【0021】
しかしながら本願発明においては、導光体の接続面に鏡面部が設けられているので、第2出射面から出射して接続面に到達した第2光源からの光が接続面から導光体に再入射してしまうのを未然に防止することまたは抑制することができ、これによりハイビーム用配光パターンを所期の光度分布で形成することが可能となる。
【0022】
しかも、導光体は単一部材で構成されているので、灯具ユニットの部品点数の削減によるコスト低減を図った上で、上記作用効果を得ることができる。
【0023】
このように本願発明によれば、投影レンズを備えた灯具ユニットにおいて、その部品点数の削減によるコスト低減を図った上で、ロービーム用配光パターンおよびハイビーム用配光パターンの各々を適切に形成することができる。
【0024】
上記構成において、さらに、導光体の接続面として、投影レンズの後側焦点の近傍に位置する領域が光透過部として構成されたものとすれば、次のような作用効果を得ることができる。
【0025】
すなわち、導光体において投影レンズの後側焦点の近傍に位置する焦点近傍部位は、灯具ユニットの外部から投影レンズを介して入射する太陽光等が集光して高温となってしまうことがあり、このような場合には導光体の材質によっては溶損しやすくなってしまう。その際、導光体の接続面の全領域に鏡面部が設けられていると、導光体の焦点近傍部位に熱が籠りやすくなるので溶損が一層発生しやすくなってしまう。
【0026】
これに対し、導光体として、その接続面における投影レンズの後側焦点の近傍に位置する領域が光透過部として構成されたものとすれば、導光体の焦点近傍部位に入射した太陽光等の一部を接続面で反射させずに下方側空間へ出射させることができ、これにより焦点近傍部位に熱が籠りにくくすることができるので、溶損の発生を効果的に抑制することができる。
【0027】
上記構成において、さらに、導光体の接続面として、その前端縁近傍領域が光透過部として構成されたものとすれば、次のような作用効果を得ることができる。
【0028】
すなわち、第2出射面から出射して接続面の前端縁近傍領域に到達した第2出射面からの光は、この前端縁近傍領域の光透過部から導光体に再入射して、その第1出射面の下端縁近傍領域からユニット前方へ向けて出射することとなる。そして、この出射光が投影レンズを介してユニット前方へ向けて照射されることにより、付加配光パターンとして、その下端縁部がロービーム用配光パターンのカットオフライン近傍領域と部分的に重複した状態で形成されるようにすることができる。したがってハイビーム用配光パターンを、ロービーム用配光パターンと付加配光パターンとが滑らかに繋がった略均一な配光パターンとして形成することができる。
【0029】
上記構成において、さらに、前端縁近傍領域の前後幅が接続面の前後幅に対して1/3以下の値に設定された構成とすれば、ハイビーム用配光パターンをより好ましい光度分布で形成することができる。
【0030】
上記構成において、さらに、導光体が樹脂製部材で構成されている場合には、その焦点近傍部位が灯具ユニットの外部から投影レンズを介して入射する太陽光等によって溶損しやすいので、接続面における投影レンズの後側焦点の近傍に位置する領域を光透過部として構成することが特に効果的である。
【0031】
上記構成において、さらに、第1光源を複数個備えた構成とした上で、導光体として、複数の第1光源の各々からの出射光を入射させるための複数の入射部を備えた構成とすれば、ロービーム用配光パターンを所望する形状で鮮明に形成することが容易に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本願発明の一実施形態に係る灯具ユニットを備えた車両用灯具を示す側断面図
【
図7】上記灯具ユニットを斜め前方から見て示す分解斜視図
【
図8】上記灯具ユニットを斜め後方から見て示す分解斜視図
【
図11】(a)は、
図10のXIa-XIa線断面図、(b)、(c)および(d)は、上記実施形態の第1、第2および第3変形例を示す、(a)と同様の図
【
図12】上記灯具ユニットからの照射光によって形成される配光パターンを示す図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0034】
図1は、本願発明の一実施形態に係る灯具ユニット10を備えた車両用灯具100を示す側断面図である。また、
図2は、
図1のII方向矢視図である。
【0035】
これらの図において、Xで示す方向が「ユニット前方」であり、Yで示す方向が「ユニット前方」と直交する「左方向」(ユニット正面視では「右方向」)であり、Zで示す方向が「上方向」である。これら以外の図においても同様である。
【0036】
車両用灯具100は、車両の前端部に設けられるヘッドランプであって、ランプボディ102と透光カバー104とで形成される灯室内に、灯具ユニット10がその前後方向(すなわちユニット前後方向)を車両前後方向と略一致させるように光軸調整が行われた状態で収容された構成となっている。
【0037】
灯具ユニット10は、プロジェクタ型の灯具ユニットであって、光源20からの光を、投影レンズ30を介してユニット前方へ向けて照射することにより、ロービーム用配光パターンおよびハイビーム用配光パターン(これについては後述する)を形成し得る構成となっている。
【0038】
投影レンズ30は、ユニット前後方向に延びる光軸Axを有しており、その後側焦点面上に形成される投影用画像を反転投影することにより上記配光パターンを形成するようになっている。
【0039】
投影レンズ30とそのユニット後方側に配置された光源20との間には、光源20からの出射光を導光して投影レンズ30に入射させるように構成された導光体40が配置されている。そして、この導光体40において上記投影用画像を形成するようになっている。
【0040】
図3は、灯具ユニット10を単品で示す側断面図である。また、
図4は、
図3のIV-IV線断面図であり、
図5は、
図3のV-V線断面図であり、
図6は、
図3のVI-VI線断面図である。さらに、
図7は、灯具ユニット10を斜め前方から見て示す分解斜視図であり、
図8は、灯具ユニット10を斜め後方から見て示す分解斜視図である。
【0041】
これらの図に示すように、投影レンズ30は、外周フランジ部32を有する両凸非球面レンズであって、無色透明のアクリル樹脂製部材で構成されている。この投影レンズ30は、その外周フランジ部32においてレンズホルダ50に支持されている。
【0042】
レンズホルダ50は、ユニット前後方向に延びる筒状部材であって、不透明のポリカーボネート樹脂製部材で構成されており、その前端部には環状のレンズ支持部52が形成されている。
【0043】
投影レンズ30は、その外周フランジ部32がレンズホルダ50のレンズ支持部52に対してユニット前方側から押し当てられた状態で、レーザー溶着によってレンズホルダ50に固定されている。
【0044】
その際、レンズホルダ50のレンズ支持部52に形成された上下1対の位置決めピン52a、52bに、投影レンズ30の外周フランジ部32の上部および下部に形成された位置決め孔32aおよび位置決め溝32bが係合することにより、レンズホルダ50に対して投影レンズ30がユニット前後方向と直交する方向に関して位置決めされるようになっている。
【0045】
光源20は、共通の基板24に搭載された4つの発光素子22A、22B、22C、22Dで構成されている。4つの発光素子22A~22Dは、いずれも横長矩形状の発光面を有する白色発光ダイオードであって、その発光面をユニット前方へ向けた状態で配置されている。
【0046】
4つの発光素子22A~22Dのうち、3つの発光素子22A~22Cはロービーム用配光パターンを形成する際に点灯するようになっており、残り1つの発光素子22Dはハイビーム用配光パターンを形成する際に追加点灯するようになっている。
【0047】
3つの発光素子22A~22Cは、投影レンズ30の光軸Axの真上の位置およびその左右両側に一定量離れた位置に配置されており、発光素子22Dは光軸Axの真下の位置に配置されている。
【0048】
基板24は、投影レンズ30の光軸Axと直交する鉛直面に沿って延びるように配置された状態で、レンズホルダ50に支持されている(これについては後述する)。
【0049】
基板24の前面における下端中央部には、4つの発光素子22A~22Dと導電パターン(図示せず)を介して電気的に接続されたコネクタ26が搭載されている。そして、このコネクタ26に電源側コネクタ(図示せず)が装着されることによって、4つの発光素子22A~22Dに対して電力が供給されるようになっている。
【0050】
導光体40は、無色透明のポリカーボネート樹脂製部材で構成されている。
【0051】
導光体40は、ロービーム用配光パターン用の光を出射するための第1出射面42Aと、ハイビーム用配光パターンを形成する際にロービーム用配光パターンに対して付加される付加配光パターン用の光を出射するための第2出射面42Bとを備えている。
【0052】
第1出射面42Aは、導光体40の前面の上部に位置しており、投影レンズ30の後側焦点面に沿って延びるように形成されている。この第1出射面42Aは、
図7に示すように、左右の上部コーナー部が面取りされた略横長矩形状の外形形状を有している。そして、この第1出射面42Aの下端縁42Aaは、
図2、3に示すように、投影レンズ30の後側焦点Fの上方近傍を通るようにして、左右段違いで水平方向に延びるように形成されている。
【0053】
第2出射面42Bは、導光体40の前面の下部に位置しており、投影レンズ30の後側焦点面よりもユニット後方側に一定量離れた位置において、投影レンズ30の光軸Axと直交する鉛直面に対して多少後傾した平面に沿って延びるように形成されている。この第2出射面42Bは、光軸Axの真下に位置しており、上部が欠けた略横長楕円形の外形形状を有している。
【0054】
導光体40は、第1出射面42Aの外形形状を略維持したままユニット後方へ向けて延びるブロック部42を備えている。このブロック部42の下面は、第1出射面42Aの下端縁42Aaから第2出射面42Bの上端縁42Baまでユニット後方へ向けて水平方向に延びる接続面42Cとして形成されている。そして、この接続面42Cには鏡面部42C1が設けられている(これについては後述する)。
【0055】
また、導光体40は、4つの発光素子22A、22B、22C、22Dの各々からの出射光を入射させるための4つの入射部44A、44B、44C、44Dを備えている。その際、3つの入射部44A~44Cは、3つの発光素子22A~22Cの各々に対してユニット前方側で、かつ、ブロック部42に対してユニット後方側に位置するように形成されている。一方、残り1つの入射部44Dは、発光素子22Dに対してユニット前方側で、かつ、第2出射面42Bに対してユニット後方側に位置するように形成されている。
【0056】
3つの入射部44A~44Cは、3つの発光素子22A~22Cの各々からの出射光を入射させた後、直接または全反射させてからブロック部42内に導くように構成されている。ブロック部42は、3つの入射部44A~44Cからの入射光を第1出射面42Aに導くように構成されており、その際、接続面42Cに到達した光については接続面42Cで全反射させた後、第1出射面42Aに導くように構成されている。入射部44Dは、発光素子22Dからの出射光を入射させた後、直接または全反射させてから第2出射面42Bに導くように構成されている。
【0057】
図1に示すように、光軸Axの真上に位置する入射部44Bから導光体40に入射した発光素子22Bからの光は、第1出射面42Aから投影レンズ30へ向けて出射し、投影レンズ30から略下向きの光としてユニット前方へ向けて照射される。右側および左側に位置する入射部44A、44Cから導光体40に入射した発光素子22A、22Cからの光についても同様である。一方、入射部44Dから導光体40に入射した発光素子22Dからの光は、第2出射面42Bから投影レンズ30へ向けて出射し、投影レンズ30から略上向きの光としてユニット前方へ向けて照射される。
【0058】
図7、8に示すように、導光体40において、ブロック部42の後端部における上部および左右両側部には、光軸Axと直交する鉛直面に沿って延びる外周フランジ部46が形成されている。そして、導光体40は、レンズホルダ50の内部空間に収容された状態で、その外周フランジ部46においてレンズホルダ50に支持されている。
【0059】
レンズホルダ50には、導光体40の外周フランジ部46に沿って延びる導光体支持部54が形成されている。
【0060】
そして、導光体40は、その外周フランジ部46がレンズホルダ50の導光体支持部54の後面に対してユニット後方側から押し当てられた状態で、レーザー溶着によってレンズホルダ50に固定されている。
【0061】
その際、レンズホルダ50の導光体支持部54に形成された左右1対の位置決めピン54aに、導光体40の外周フランジ部46に形成された左右1対の位置決め孔46aが係合することにより、レンズホルダ50に対して導光体40がユニット前後方向と直交する方向に関して位置決めされるようになっている。
【0062】
灯具ユニット10は、4つの発光素子22A、22B、22C、22Dで発生した熱を放散させるための金属製(例えばアルミニウム製)のヒートシンク70を備えている。
【0063】
このヒートシンク70は、投影レンズ30の光軸Axと直交する鉛直面に沿って延びる本体部72と、この本体部72からユニット後方へ向けて鉛直面に沿って延びる複数の放熱フィン74とを備えている。そして、このヒートシンク70は、その本体部72の前面において基板24の後面と面接触した状態で基板24と共にレンズホルダ50に支持されている。
【0064】
レンズホルダ50に対する基板24およびヒートシンク70の支持は機械的締結によって行われている。具体的には、レンズホルダ50に対して基板24およびヒートシンク70がその左右2箇所においてネジ締めされることによってレンズホルダ50に固定されている。
【0065】
レンズホルダ50には左右1対のネジ締め用ボス56が形成されており、基板24およびヒートシンク70の本体部72には、共締め用のネジ76を挿通させるための左右1対のネジ挿通孔24a、72aがそれぞれ形成されている。
【0066】
レンズホルダ50には、その中央上端部および左右下端部の3箇所にユニット後方へ向けて延びる段付き位置決めピン58が形成されている。また、基板24には、その中央上端部および左右下端部の3箇所に位置決め孔24bが形成されている。そして、各段付き位置決めピン58の先端小径部58aが基板24の各位置決め孔24bに挿入され、各段付き位置決めピン58の先端平面部58bに基板24が当接することにより、レンズホルダ50に対して基板24がユニット前後方向およびこれと直交する方向に関して位置決めされるようになっている。
【0067】
レンズホルダ50の上壁部には、段付き位置決めピン58の基端部に繋がるようにして略U字形に形成された補強リブ60が形成されている。
【0068】
また、レンズホルダ50には、ヒートシンク70をユニット前後方向と直交する方向に関して位置決めするための左右1対の位置決め部62が形成されている。これらの位置決め部62は、ヒートシンク70の本体部72の左右両端面に近接する位置において本体部72の上下両端面側に回り込んだ形状でユニット後方へ向けて延びるように形成されている。
【0069】
さらに、左右1対の位置決め部62の上下両端部にはL字形の切欠き部62aが形成されている。そしてこれにより、レンズホルダ50に対して基板24およびヒートシンク70が固定される際、4箇所の切欠き部62aに基板24が当接し、そのユニット前後方向の位置決めがなされるようになっている。
【0070】
【0071】
図11(a)に示すように、導光体40におけるブロック部42の下面を構成する接続面42Cには、その全領域にわたって鏡面部42C1が設けられている。この鏡面部42C1は、接続面42Cの表面にアルミニウムの真空蒸着を施すこと等によって形成されている。
【0072】
図9、10に示すように、光軸Axの真上に位置する入射部44Bから導光体40に入射した発光素子22Bからの光の大半は、第1出射面42Aに直接到達し、この第1出射面42Aから斜め下向きの光として投影レンズ30へ向けて出射するが、一部の光は、接続面42Cで全反射した後に第1出射面42Aに到達し、この第1出射面42Aから斜め上向きの光として投影レンズ30へ向けて出射する。
【0073】
一方、入射部44Dから導光体40に入射した発光素子22Dからの光は、第2出射面42Bから投影レンズ30へ向けて出射した後、大半の光はそのまま投影レンズ30に到達するが、一部の光は接続面42Cに到達する。その際、仮に、接続面42Cに鏡面部42C1が設けられていないとした場合には、接続面42Cに到達した光は、図中2点鎖線で示すように、接続面42Cからブロック部42に再入射した後、第1出射面42Aから斜め上向きの光として投影レンズ30から外れた方向へ向けて出射してしまう。しかしながら実際には、接続面42Cにはその全域にわたって鏡面部42C1が設けられているので、接続面42Cに到達した光は、その鏡面部42C1で反射し、斜め下向きの光として投影レンズ30に到達する。
【0074】
図12は、車両用灯具100の灯具ユニット10からユニット前方へ向けて照射される光により、車両前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンを透視的に示す図であって、
図12(a)はロービーム用配光パターンPLを示す図であり、
図12(b)はハイビーム用配光パターンPH1を示す図である。
【0075】
図12(a)に示すように、ロービーム用配光パターンPLは、左配光のロービーム用配光パターンであって、その上端縁に左右段違いのカットオフラインCL1、CL2を有している。このカットオフラインCL1、CL2は、灯具正面方向の消点であるH-Vを鉛直方向に通るV-V線を境にして左右段違いで水平方向に延びており、V-V線よりも右側の対向車線側部分が下段カットオフラインCL1として形成されるとともに、V-V線よりも左側の自車線側部分が、この下段カットオフラインCL1から傾斜部を介して段上がりになった上段カットオフラインCL2として形成されている。ロービーム用配光パターンPLにおいて、下段カットオフラインCL1とV-V線との交点であるエルボ点Eは、H-Vの0.5~0.6°程度下方に位置している。
【0076】
ロービーム用配光パターンPLは、3つの配光パターンPA、PB、PCの合成配光パターンとして形成されている。
【0077】
各配光パターンPA、PB、PCは、各発光素子22A、22B、22Cからの出射光によって導光体40の第1出射面42Aに形成される投影用画像の反転投影像として形成される配光パターンである。そして、これらの合成配光パターンとして形成されるロービーム用配光パターンPLは、導光体40の第1出射面42Aの外形形状に略対応した外形形状で形成されている。
【0078】
その際、導光体40は、その第1出射面42Aが投影レンズ30の後側焦点面に位置するように配置されているので、ロービーム用配光パターンPLは、そのカットオフラインCL1、CL2が鮮明に形成されたものとなっている。
【0079】
図12(b)に示すように、ハイビーム用配光パターンPH1は、ロービーム用配光パターンPLに対して、カットオフラインCL1、CL2の上方側に拡がる付加配光パターンPD1が付加されたものとなっている。
【0080】
この付加配光パターンPD1は、導光体40の第2出射面42Bから出射した発光素子22Dからの光によって投影レンズ30の後側焦点面上に形成される投影用画像の反転投影像として形成される配光パターンである。その際、この投影用画像は、その上端位置が第1出射面42Aの下端縁42Aaによって規定されるので、付加配光パターンPD1は、その下端位置がカットオフラインCL1、CL2によって規定されたものとなる。したがって、ハイビーム用配光パターンPH1は、ロービーム用配光パターンPLと付加配光パターンPD1とが隙間なく繋がったものとなる。
【0081】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0082】
本実施形態に係る灯具ユニット10は、光源20からの光を、投影レンズ30を介してユニット前方へ向けて照射する構成となっているが、光源20と投影レンズ30との間には、光源20からの出射光を導光して投影レンズ30に入射させるように構成された導光体40が配置されているので、この導光体40によって投影レンズ30への入射光を制御することにより所望する形状の配光パターンを形成することができる。
【0083】
具体的には、光源20は、ロービーム用配光パターンPLを形成するための3つの発光素子22A、22B、22C(第1光源)と、これら発光素子22A~22Cとの同時点灯によってハイビーム用配光パターンPH1を形成するための発光素子22D(第2光源)とを備えており、また、導光体40は、ロービーム用配光パターンPL用の光を出射するための第1出射面42Aと、ハイビーム用配光パターンPH1を形成する際にロービーム用配光パターンPLに対して付加される付加配光パターンPD1用の光を出射するための第2出射面42Bとを備えているので、ロービーム用配光パターンPLおよびハイビーム用配光パターンPH1を選択的に形成することができる。
【0084】
その際、導光体40は、第2出射面42Bが第1出射面42Aの下方側において第1出射面42Aに対してユニット後方側に変位しているので、第1出射面42Aの下端縁42Aaの形状によってロービーム用配光パターンPLのカットオフラインCL1、CL2を形成することができる。
【0085】
その上で、導光体40は、第1出射面42Aの下端縁42Aaから第2出射面42Bの上端縁42Baまでユニット後方へ向けて延びる接続面42Cを備えており、この接続面42Cには鏡面部42C1が設けられているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0086】
すなわち、第2出射面42Bから出射して接続面42Cに到達した発光素子22Dからの光が接続面42Cから導光体40に再入射してしまうと、発光素子22Dからの出射光に対する光束利用率が低下してしまい、これにより付加配光パターンPD1の明るさが低下してしまうので、ハイビーム用配光パターンPH1を所期の光度分布で形成することができなくなってしまう。
【0087】
しかしながら本実施形態においては、導光体40の接続面42Cの全領域に鏡面部42C1が設けられているので、第2出射面42Bから出射して接続面42Cに到達した発光素子22Dからの光が接続面42Cから導光体40に再入射してしまうのを未然に防止することができる。そして、この接続面42Cに到達した発光素子22Dからの光を鏡面部42C1で反射させて、これを付加配光パターンPD1を形成するための光として利用することができ、これによりハイビーム用配光パターンPH1を所期の光度分布で形成することができる。
【0088】
しかも、導光体40は単一部材で構成されているので、灯具ユニット10の部品点数の削減によるコスト低減を図った上で、上記作用効果を得ることができる。
【0089】
このように本実施形態によれば、投影レンズ30を備えた灯具ユニット10において、その部品点数の削減によるコスト低減を図った上で、ロービーム用配光パターンPLおよびハイビーム用配光パターンPH1の各々を適切に形成することができる。
【0090】
また、本実施形態に係る灯具ユニット10は、ロービーム用配光パターンPLを形成するための第1光源として3つの発光素子22A、22B、22Cを備えており、導光体40として、3つの発光素子22A、22B、22Cの各々からの出射光を入射させるための3つの入射部44A~44Cを備えているので、ロービーム用配光パターンPLを所望する形状で鮮明に形成することができる。
【0091】
上記実施形態においては、導光体40が、無色透明のポリカーボネート樹脂製部材で構成されているものとして説明したが、無色透明のアクリル樹脂製部材や無色透明のガラス製部材等で構成されたものとすることも可能である。
【0092】
上記実施形態においては、導光体40の構成として、その接続面42Cの全領域にわたって鏡面部42C1が設けられているものとして説明したが、部分的に鏡面部42C1が設けられていない領域を備えた構成とすることも可能である。
【0093】
上記実施形態においては、4つの発光素子22A~22Dが、いずれも横長矩形状の発光面を有しているものとして説明したが、これ以外の外形形状(例えば正方形や縦長矩形状等)を有する構成とすることも可能である。
【0094】
上記実施形態においては、第1光源が3つの発光素子22A、22B、22Cで構成されており、第2光源が1つの発光素子22Dで構成されているものとして説明したが、第1および第2光源の各々の個数を上記実施形態とは異なる個数に設定することも可能である。
【0095】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0096】
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
【0097】
図11(b)は、本変形例に係る灯具ユニットの要部を示す、
図11(a)と同様の図である。
【0098】
図11(b)に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、導光体140の構成の一部が上記実施形態の場合と異なっている。
【0099】
すなわち、本変形例の導光体140も、そのブロック部142の下面を構成する接続面142Cに鏡面部142C1が設けられた構成となっているが、接続面142Cの一部領域が光透過部142C2として構成されている点で、上記実施形態の場合と異なっている。
【0100】
具体的には、接続面142Cにおいて投影レンズ30(
図1参照)の後側焦点Fの近傍に位置する領域は、鏡面部142C1が設けられていない(すなわちアルミニウムの真空蒸着等が施されていない)素通し面状の光透過部142C2として構成されている。
【0101】
この光透過部142C2は、平面視において投影レンズ30の後側焦点Fを中心とする半径Rの半円形領域として設定されている。その際、半径Rの値は、接続面142Cの前後幅(すなわち第1出射面142Aの下端縁142Aaから第2出射面142Bの上端縁142Baまでの幅)Dに対して1/3以下(例えば1/10~1/4程度)の値に設定されている。この半径Rの具体的な値としては、R=4~10mm程度の値に設定することが好ましい。
【0102】
本変形例の構成を採用することにより、次のような作用効果を得ることができる。
【0103】
すなわち、導光体140のブロック部142において投影レンズ30の後側焦点Fの近傍に位置する焦点近傍部位は、灯具ユニットの外部から投影レンズ30を介して入射する太陽光等が集光して高温となってしまうことがある。
【0104】
本変形例の導光体140は樹脂製部材で構成されているので、太陽光等の集光作用によって溶損しやすく、その際、仮に、導光体140の接続面142Cの全領域に鏡面部142Cが設けられていたとすると、導光体140の焦点近傍部位に熱が籠りやすくなるので溶損が一層発生しやすくなってしまう。
【0105】
しかしながら、本変形例の導光体140は、その接続面142Cにおける投影レンズ30の後側焦点Fの近傍に位置する領域が光透過部142C2として構成されているので、導光体140のブロック部142における焦点近傍部位に入射した太陽光等の一部を接続面142Cで反射させずに下方側空間へ出射させることができる。そしてこれにより焦点近傍部位に熱が籠りにくくすることができるので、溶損の発生を効果的に抑制することができる。
【0106】
上記第1変形例においては、光透過部142C2が半円形領域として設定されているものとして説明したが、これ以外の形状を有する領域として設定された構成とすることも可能である。
【0107】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
【0108】
図13は、本変形例に係る灯具ユニット210を示す、
図9と同様の図であり、
図14は、
図13のXIV 部詳細図である。また、
図11(c)は、
図14のXIc-XIc線断面図(すなわち
図11(a)と同様の図)である。
【0109】
図13、14に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、導光体240の構成の一部が上記実施形態の場合と異なっている。
【0110】
すなわち、本変形例の導光体240も、そのブロック部242の下面を構成する接続面242Cに素通し面状の鏡面部242C1が設けられた構成となっているが、接続面242Cの前端縁近傍領域が光透過部242C2として構成されている点で、上記実施形態の場合と異なっている。
【0111】
具体的には、接続面242Cは、
図11(c)に示すように、第1出射面242Aの下端縁242Aaから一定の前後幅を有する帯状領域が、鏡面部242C1が設けられていない(すなわちアルミニウムの真空蒸着等が施されていない)素通し面状の光透過部242C2として構成されている。
【0112】
この光透過部242C2の前後幅D1の値は、接続面242Cの前後幅(すなわち第1出射面242Aの下端縁242Aaから第2出射面242Bの上端縁242Baまでの幅)Dに対して1/3以下(例えば1/10~1/4程度)の値に設定されている。その際、前後幅D1の具体的な値としては、D1=4~10mm程度の値に設定することが好ましい。
【0113】
図15は、本変形例に係る灯具ユニット210からの照射光により形成される配光パターンを示す、
図12と同様の図である。
【0114】
図15(a)に示すロービーム用配光パターンPLは上記実施形態の場合と同様であるが、
図15(b)に示すハイビーム用配光パターンPH2が上記実施形態の場合と異なっている。
【0115】
すなわち、ハイビーム用配光パターンPH2は、ロービーム用配光パターンPLに対して付加配光パターンPD2が付加されたものとなっているが、この付加配光パターンPD2は、その下端縁部PD2aがロービーム用配光パターンPLにおけるカットオフラインCL1、CL2の近傍領域と部分的に重複した状態で形成されている。
【0116】
これは、導光体40の第2出射面242Bから出射して接続面242Cの前端縁近傍領域に到達した第2出射面242Bからの光が、この前端縁近傍領域の光透過部242C2から導光体240に再入射して、その第1出射面242Aの下端縁近傍領域からユニット前方へ向けて出射し、これにより投影レンズ30の後側焦点面上に形成される投影用画像が上方側に多少拡張するためである。
【0117】
本変形例の構成を採用することにより、次のような作用効果を得ることができる。
【0118】
本変形例に係る灯具ユニット210においては、付加配光パターンPD2として、その下端縁部PD2aがロービーム用配光パターンPLにおけるカットオフラインCL1、CL2の近傍領域と部分的に重複した状態で形成されるようにすることができるので、ハイビーム用配光パターンPH2を、ロービーム用配光パターンPLと付加配光パターンPD2とが滑らかに繋がった略均一な配光パターンとして形成することができる。
【0119】
その際、本変形例の導光体240は、光透過部242C2の前後幅D2が接続面42Cの前後幅Dに対して1/3以下の値に設定されているので、ハイビーム用配光パターンPH2をより好ましい光度分布で形成することができる。
【0120】
また本変形例においても、導光体240の接続面242Cは、投影レンズ30の後側焦点Fの近傍に位置する領域が光透過部242C2として構成されているので、導光体240のブロック部242における焦点近傍部位に入射した太陽光等の一部を接続面242Cで反射させずに下方側空間へ出射させることができる。そしてこれにより焦点近傍部位に熱が籠りにくくすることができるので、溶損の発生を効果的に抑制することができる。
【0121】
上記第2変形例においては、接続面242Cの光透過部242C2が、第1出射面242Aの下端縁242Aaから一定の前後幅D1を有する帯状領域として構成されているものとして説明したが、これ以外にも例えば、光透過部242C2の左右方向の位置によって前後幅が変化する帯状領域として構成されたものや、第1出射面242Aの下端縁242Aaからユニット後方側に少し離れた位置を前端縁として一定の前後幅を有する帯状領域として構成されたもの等が採用可能である。
【0122】
次に、上記実施形態の第3変形例について説明する。
【0123】
図11(d)は、本変形例に係る灯具ユニットの要部を示す、
図11(a)と同様の図である。
【0124】
図11(d)に示すように、本変形例の基本的な構成は上記第2変形例の場合と同様であるが、光透過部342C2の構成の一部が上記第2変形例の場合と異なっている。
【0125】
すなわち、本変形例の導光体340も、そのブロック部342の下面を構成する接続面342Cの前端縁近傍領域は光透過部342C2として構成されているが、この光透過部342C2が素通し面ではなく半透過面で構成されている点で、上記第2変形例の場合と異なっている。
【0126】
本変形例の光透過部342C2は、上記第2変形例の光透過部242C2と同一形状の帯状領域として設定されているが、この帯状領域にアルミニウムのハーフ蒸着が施された構成となっている。これにより、光透過部342C2は、接続面342Cに到達した光をすべて透過させるのではなく、その何割かを反射させるように構成されている。
【0127】
具体的には、鏡面部342C1は、その反射率が90%以上の値に設定されているのに対して、光透過部342C2の反射率は50%以下の値(例えば30~40%程度の値)に設定されている。
【0128】
本変形例の構成を採用することにより、次のような作用効果を得ることができる。
【0129】
すなわち、本変形例に係る灯具ユニットからの照射光により形成される付加配光パターンは、
図15に示す付加配光パターンPD2に対して、その下端縁部PD2aにおけるカットオフラインCL1、CL2の下方近傍領域の明るさが多少減少したものとなるが、その分だけカットオフラインCL1、CL2の上方近傍領域の明るさが増大したものとなる。したがって、ハイビーム用配光パターンとして、ロービーム用配光パターンPLと付加配光パターンとが滑らかに繋がった略均一な配光パターンとして形成された状態を維持した上で、ハイビーム用配光パターンPH2よりも遠方視認性に優れたものとすることができる。
【0130】
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0131】
また本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0132】
10、210 灯具ユニット
20 光源
22A、22B、22C 発光素子(第1光源)
22D 発光素子(第2光源)
24 基板
24a、72a ネジ挿通孔
24b、32a、46a 位置決め孔
26 コネクタ
30 投影レンズ
32 外周フランジ部
32b 位置決め溝
40、140、240、340 導光体
42、142、242、342 ブロック部
42A、142A、242A 第1出射面
42Aa、142Aa、242Aa 下端縁
42B、142B 第2出射面
42Ba、142Ba 上端縁
42C、142C、242C、342C 接続面
42C1、142C1、242C1、342C1 鏡面部
44A、44B、44C、44D 入射部
46 外周フランジ部
50 レンズホルダ
52 レンズ支持部
52a、52b、54a 位置決めピン
54 導光体支持部
56 ネジ締め用ボス
58 段付き位置決めピン
58a 先端小径部
58b 先端平面部
60 補強リブ
62 位置決め部
62a 切欠き部
70 ヒートシンク
72 本体部
74 放熱フィン
76 ネジ
100 車両用灯具
102 ランプボディ
104 透光カバー
142C2、242C2、342C2 光透過部
Ax 光軸
CL1 下段カットオフライン
CL2 上段カットオフライン
D 接続面の前後幅
D1 光透過部の前後幅
E エルボ点
F 後側焦点
PA、PB、PC 配光パターン
PD1、PD2 付加配光パターン
PD2a 下端縁部
PH1、PH2 ハイビーム用配光パターン
PL ロービーム用配光パターン
R 光透過部の半径