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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】燃料電池スタック
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/2485 20160101AFI20240731BHJP
   H01M 8/2465 20160101ALI20240731BHJP
   H01M 8/2484 20160101ALI20240731BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20240731BHJP
【FI】
H01M8/2485
H01M8/2465
H01M8/2484
H01M8/10 101
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021045090
(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公開番号】P2022144192
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕磨
(72)【発明者】
【氏名】菊池 勇
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-192372(JP,U)
【文献】特開2015-210984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/24
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に積層された複数の単セル電池を含み、前記第1方向の一側を向く第1面と、前記第1方向と直交する第2方向の一側を向く第2面と、前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向の一側を向く第3面と、を有する積層体と、
前記第1面に対面して配置された集電板と、
前記第1方向における前記集電板の一側に配置された絶縁板と、
第1ガスを収容するための第1内部空間を有する第1マニホールドであって、前記第2面に前記第1内部空間が第1開口部を通じて開口し、前記第1内部空間の前記第1ガスを前記第1開口部を通じて前記積層体に供給する、または、前記積層体から排出された前記第1ガスを前記第1開口部を通じて前記第1内部空間に収容する第1マニホールドと、
前記第1マニホールドと前記積層体との間に、前記第2方向に見て前記第1開口部の周囲に周状に配置された第1シール材と、
前記第1ガスとは異なる第2ガスを収容するための第2内部空間を有する第2マニホールドであって、前記第3面に前記第2内部空間が第2開口部を通じて開口し、前記第2内部空間の前記第2ガスを前記第2開口部を通じて前記積層体に供給する、または、前記積層体から排出された前記第2ガスを前記第2開口部を通じて前記第2内部空間に収容する第2マニホールドと、
前記第2マニホールドと前記積層体との間に、前記第3方向に見て前記第2開口部の周囲に周状に配置された第2シール材と、
を備え、
前記集電板は、前記積層体に対面する本体部と、前記本体部の縁部から前記第1方向の一側に立ち上がる立上部と、を有し、
前記第1シール材の前記第3方向に延びる部分及び前記第2シール材の前記第2方向に延びる部分は、前記集電板の前記立上部と密着し、
前記集電板の端縁は、前記第2方向に見て前記第1シール材で囲まれた領域の外側に位置し、且つ、前記第3方向に見て、前記第2シール材で囲まれた領域の外側に位置する、燃料電池スタック。
【請求項2】
冷却水を収容するための第3内部空間を有する第3マニホールドであって、前記第2面に前記第3内部空間が第3開口部を通じて開口し、前記第3内部空間の前記冷却水を前記第3開口部を通じて前記積層体に供給する、または、前記積層体から排出された前記冷却水を前記第3開口部を通じて前記第3内部空間に収容する第3マニホールドと、
前記第3マニホールドと前記積層体との間に、前記第2方向に見て前記第3開口部の周囲に周状に配置された第3シール材と、
をさらに備え、
前記第3シール材の前記第3方向に延びる部分は、前記集電板の前記立上部と密着し、
前記集電板の端縁は、前記第2方向に見て、前記第3シール材で囲まれた領域の外側に位置する、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項3】
前記絶縁板は、前記集電板の形状と相補的な形状を有し、前記本体部及び前記立上部に前記第1方向の一側から当接し、且つ、前記立上部に前記第2方向の他側及び前記第3方向の他側から当接する、請求項1または2に記載の燃料電池スタック。
【請求項4】
前記立上部は、周状に形成されており、
前記絶縁板は、前記立上部と前記本体部とによって形成された凹部に受容される凸部を有している、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の燃料電池スタック。
【請求項5】
前記第2方向に見て少なくとも前記第1シール材で囲まれた領域内及び前記第3方向に見て少なくとも前記第2シール材で囲まれた領域内に、前記本体部の縁部と前記積層体の第1面の縁部との間を封止する第4シール材をさらに備えた、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の燃料電池スタック。
【請求項6】
前記第2方向に見て少なくとも前記第1シール材で囲まれた領域内及び第3シール材で囲まれた領域内、並びに、前記第3方向に見て少なくとも前記第2シール材で囲まれた領域内に、前記本体部の縁部と前記積層体の第1面の縁部との間を封止する第4シール材をさらに備えた、請求項2に記載の燃料電池スタック。
【請求項7】
前記立上部に前記積層体で発電された電流を取り出すための電力線が接続される突起が形成されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の燃料電池スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、燃料電池スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池スタックは、複数の単セル電池を積層した積層体を備えている。積層体には、燃料ガス、酸化剤ガス及び冷却水の流路がそれぞれ形成されている。燃料電池スタックは、積層体に導入された燃料ガス及び酸化剤ガスの電気化学反応により発電する。積層体には、発熱した積層体を冷却するための冷却水も導入される。
【0003】
積層体に燃料ガス、酸化剤ガス及び冷却水を導入・回収する方式として、外部マニホールド方式と内部マニホールド方式がある。外部マニホールド方式では、マニホールドは単セル電池とは別に設けられるため、単セル電池をコンパクトにすることができる。また、外部マニホールド方式では、マニホールドを形成する材料として絶縁性を有した安価なプラスチック等を採用可能である。このため、外部マニホールド方式では、燃料電池スタックの製造コストを抑えることができる。
【0004】
特許文献1に示すように、外部マニホールド方式では、マニホールドは積層された複数の単セル電池の端面に対面して配置される。マニホールドは上記ガスまたは冷却水を収容する内部空間を有する。内部空間は、開口部を通じて上記複数の単セル電池の端面に開放されている。マニホールドと積層体との間から上記ガスや冷却水が外部に漏れ出ることを抑制するため、マニホールドの開口部の周囲には、シール材が配置されている。マニホールドと積層体との間から上記ガスや冷却水が外部に漏れ出ること効果的に防止するため、シール材の一部を比較的厚みのある絶縁板に密着させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-150961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、シール材の一部が絶縁板に密着するように配置される場合、集電板と絶縁板とが対面する位置は、シール材で囲まれた領域の内側に位置することとなる。この場合、集電板と絶縁板との間の微小な隙間を通じて上記ガスや冷却水が互いの流路に進入する虞がある。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、外部マニホールド方式の燃料電池スタックにおいて、集電板と絶縁板との間の微小な隙間を通じて上記ガスや冷却水が互いの流路に進入する虞を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による燃料電池スタックは、
第1方向に積層された複数の単セル電池を含み、前記第1方向の一側を向く第1面と、前記第1方向と直交する第2方向の一側を向く第2面と、前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向の一側を向く第3面と、を有する積層体と、
前記第1面に対面して配置された集電板と、
前記第1方向における前記集電板の一側に配置された絶縁板と、
第1ガスを収容するための第1内部空間を有する第1マニホールドであって、前記第2面に前記第1内部空間が第1開口部を通じて開口し、前記第1内部空間の前記第1ガスを前記第1開口部を通じて前記積層体に供給する、または、前記積層体から排出された前記第1ガスを前記第1開口部を通じて前記第1内部空間に収容する第1マニホールドと、
前記第1マニホールドと前記積層体との間に、前記第2方向に見て前記第1開口部の周囲に周状に配置された第1シール材と、
前記第1ガスとは異なる第2ガスを収容するための第2内部空間を有する第2マニホールドであって、前記第3面に前記第2内部空間が第2開口部を通じて開口し、前記第2内部空間の前記第2ガスを前記第2開口部を通じて前記積層体に供給する、または、前記積層体から排出された前記第2ガスを前記第2開口部を通じて前記第2内部空間に収容する第2マニホールドと、
前記第2マニホールドと前記積層体との間に、前記第3方向に見て前記第2開口部の周囲に周状に配置された第2シール材と、
を備え、
前記集電板は、前記積層体に対面する本体部と、前記本体部の縁部から前記第1方向の一側に立ち上がる立上部と、を有し、
前記集電板の端縁は、前記第2方向に見て前記第1シール材で囲まれた領域の外側に位置し、且つ、前記第3方向に見て、前記第2シール材で囲まれた領域の外側に位置する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外部マニホールド方式の燃料電池スタックにおいて、集電板と絶縁板との間の微小な隙間を通じて上記ガスや冷却水が互いの流路に進入する虞を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施の形態による燃料電池スタックの外観を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す燃料電池スタックの内部構造を説明するための分解斜視図である。
図3図3は、図1に示す燃料電池スタックのマニホールドを示す斜視図である。
図4図4は、図1に示す燃料電池スタック内部の流体の流れを説明する概略横方向断面図である。
図5図5は、図1に示す燃料電池スタックの集電板を示す斜視図である。
図6図6は、図1に示す燃料電池スタックの絶縁板を示す斜視図である。
図7図7は、図1に示す燃料電池スタックの積層体、集電板および絶縁板とシール材との位置関係を示す斜視図である。
図8図8は、図1に示す燃料電池スタックの第1方向に沿った断面を概略的に示す図である。
図9図9は、図7に対応する図であって、燃料電池スタックの変形例を説明するための図である。
図10図10は、図8に対応する図であって、燃料電池スタックの他の変形例を説明するための図である。
図11図11は、図5に対応する図であって、燃料電池スタックのさらに他の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、図1乃至図3を参照して、燃料電池スタックの全体構成について説明する。
【0012】
図1乃至図3に示す例では、燃料電池スタック1は固体高分子型燃料電池スタックである。燃料電池スタック1は、複数の単セル電池10と、積層体の両側に配置された集電板20a,20b、絶縁板30a,30b及び締付板40a,40bと、マニホールド50,55,60,65,70,75とを備えている。
【0013】
複数の単セル電池10は、第1方向D1に積層されて積層体2を構成する。図1乃至図3には、第1方向D1に直交する第2方向D2と、第1方向D1及び第2方向D2に直交する第3方向D3が示されている。積層体2は、全体として直方体の形状である。積層体2は、第1方向D1の一側を向く第1面2aと、第2方向D2の一側を向く第2面2bと、第3方向の一側を向く第3面2cとを有する。また、積層体2は、第1方向D1の他側を向く第4面2dと、第2方向D2の他側を向く第5面2eと、第3方向の他側を向く第6面2fとを有する。
【0014】
各単セル電池10は、膜電極複合体(MEA)11と、膜電極複合体11の両側に配置された酸化剤セパレータ12及び燃料セパレータ13とから構成されている。膜電極複合体11は、高分子電解質膜と、高分子電解質膜の両側に配置された一対の電極(燃料極及び酸化剤極)とから構成されている。
【0015】
酸化剤セパレータ12の表面には酸化剤ガス流路14が設けられている。酸化剤ガス流路14の一端は、積層体2の第2面2bに開口している。酸化剤ガス流路14の他端は、積層体の第5面2eに開口している。
【0016】
燃料セパレータ13の膜電極複合体11と接する側の表面には燃料ガス流路15が設けられている。燃料ガス流路15の一端は、積層体2の第6面2fに開口している。燃料ガス流路15の他端は、積層体2の第3面2cに開口している。
【0017】
酸化剤セパレータ12のもう一方の表面または燃料セパレータ13のもう一方の表面には、冷却水流路16が設けられている。図示された例では、冷却水流路16は、燃料セパレータ13の表面に設けられている。冷却水流路16の一端は、積層体2の第5面2eに開口している。冷却水流路16の他端は、積層体2の第2面2bに開口している。
【0018】
第1集電板20aは、積層体2の第1面2aに対面して配置されている。第2集電板20bは、積層体2の第4面2dに対面して配置されている。集電板20a,20bは、例えばステンレスやチタン等の金属板や、カーボン板を用いて形成されている。積層体2により発電された電力は、集電板20a,20bに接続した電力線(図示せず)を介して外部に取り出される。
【0019】
第1絶縁板30aは、第1方向D1における第1集電板20aの一側に配置されている。第2絶縁板30bは、第1方向D2における第2集電板20bの他側に配置されている。絶縁板は、例えばエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂などの耐熱性樹脂材料からなる。絶縁板30a,30bは、集電板20a,20bと締付板40a,40bとを電気的に絶縁する。
【0020】
第1締付板40aは、第1方向D1における第1絶縁板30aの一側に配置されている。第2締付板40bは、第1方向D1における第2絶縁板30bの他側に配置されている。各締付板40a,40bの四隅には、突起41が設けられている。突起41に設けられた孔に通された締付スタッド3により、締付板40a,40bが締め付けられ、締付板40a,40bの間にある積層体2が締め付けられる。
【0021】
各締付板40a,40bの中央には開口部43が形成されている。上記電力線は、開口部43を通じて集電板20a,20bに接続される。また、各締付板40a,40bには、マニホールド固定用のネジ孔44が複数設けられている。
【0022】
酸化剤ガス入口マニホールド50は、積層体2の第2面2bに対面して設けられている。酸化剤ガス入口マニホールド50は、酸化剤ガスを一時的に収容するための内部空間51と、内部空間51に接続された酸化剤ガス入口配管52とを有している。内部空間51は、開口部53を通じて積層体2の第2面2bに向けて開放されている。内部空間51は、酸化剤ガス流路14の一端に連通している。
【0023】
酸化剤ガス出口マニホールド55は、積層体2の第5面2eに対面して設けられている。酸化剤ガス出口マニホールド55は、酸化剤ガスを一時的に収容するための内部空間56と、内部空間56に接続された酸化剤ガス入口配管57とを有している。内部空間56は、開口部58を通じて積層体2の第5面2eに向けて開放されている。内部空間56は、酸化剤ガス流路14の他端に連通している。
【0024】
燃料ガス入口マニホールド60は、積層体2の第6面2fに対面して設けられている。燃料ガス入口マニホールド60は、燃料ガスを一時的に収容するための内部空間61と、内部空間61に接続された燃料ガス入口配管62とを有している。内部空間61は、開口部63を通じて積層体2の第6面2fに向けて開放されている。内部空間61は、燃料ガス流路15の一端に連通している。
【0025】
燃料ガス出口マニホールド65は、積層体2の第3面2cに対面して設けられている。燃料ガス出口マニホールド65は、燃料ガスを一時的に収容するための内部空間66と、内部空間66に接続された燃料ガス出口配管67とを有している。内部空間66は、開口部68を通じて積層体2の第3面2cに向けて開放されている。内部空間66は、燃料ガス流路15の他端に連通している。
【0026】
冷却水入口マニホールド70は、積層体2の第5面2eに対面して設けられている。冷却水入口マニホールド70は、冷却水を一時的に収容するための内部空間71と、内部空間71に接続された冷却水入口配管72とを有している。内部空間71は、開口部73を通じて積層体2の第5面2eに向けて開放されている。内部空間71は、冷却水流路16の一端に連通している。図示された例では、冷却水入口マニホールド70は、酸化剤ガス出口マニホールド55と一体に形成されている。
【0027】
冷却水出口マニホールド75は、積層体2の第2面2bに対面して設けられている。冷却水出口マニホールド75は、冷却水を一時的に収容するための内部空間76と、内部空間76に接続された冷却水入口配管77とを有している。内部空間76は、開口部78を通じて積層体2の第2面2bに向けて開放されている。内部空間76は、冷却水流路16の他端に連通している。図示された例では、冷却水出口マニホールド75は、酸化剤ガス入口マニホールド50と一体に形成されている。
【0028】
図4に、燃料電池スタック1における燃料ガス、酸化剤ガス及び冷却水の流れを、それぞれ破線矢印、一点鎖線矢印及び実線矢印で示す。図4に示すように、燃料ガスは、燃料ガス入口配管62を通じて燃料ガス入口マニホールド60の内部空間61に収容され、開口部63を通じて積層体2に供給される。積層体2に供給された燃料ガスは、各単セル電池10の燃料ガス流路15に導入される。酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口配管52を通じて酸化剤ガス入口マニホールド50の内部空間51に収容され、開口部53を通じて積層体2に供給される。積層体2に供給された酸化剤ガスは、各単セル電池10の酸化剤ガス流路14に導入される。そして、燃料ガス中の水素と空気中の酸素が単セル電池10で反応し、電気と水が生成される。燃料ガス流路15から排出された燃料ガスは、燃料ガス出口マニホールド65の開口部68を通じて内部空間66に収容され、燃料ガス出口配管67を通じて排出される。酸化剤ガス流路14から排出された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口マニホールド55の開口部58を通じて内部空間56に収容され、酸化剤ガス出口配管57を通じて排出される。
【0029】
冷却水は、冷却水入口配管72を通じて冷却水入口マニホールド70の内部空間71に収容され、開口部73を通じて積層体2に供給される。積層体2に供給された冷却水は、各単セル電池10の冷却水流路16に導入され、単セル電池10を冷却するために使用される。冷却水流路16から排出された冷却水は、冷却水出口マニホールド75の開口部78を通じて内部空間76に収容され、冷却水出口配管77を通じて排出される。
【0030】
マニホールド50,55,60,65,70,75の内部空間51,56,61,65,71,76内の上記ガスや冷却水が、マニホールド50,55,60,65,70,75と積層体2との間から漏れ出ることを防止するため、各マニホールド50,55,60,65,70,75と積層体2との間には、シール材81,82,83,84,85,86が配置されている。
【0031】
図3及び図4から理解されるように、酸化剤ガス入口側シール材81は、酸化剤ガス入口マニホールド50と積層体2との間に配置されている。酸化剤ガス入口側シール材81は、第2方向D2に見て、酸化剤ガス入口マニホールド50の開口部53の周囲に周状に配置されている。
【0032】
図3及び図4から理解されるように、酸化剤ガス出口側シール材82は、酸化剤ガス出口マニホールド55と積層体2との間に配置されている。酸化剤ガス出口側シール材82は、第2方向D2に見て、酸化剤ガス出口マニホールド55の開口部58の周囲に周状に配置されている。
【0033】
図3及び図4から理解されるように、燃料ガス入口側シール材83は、燃料ガス入口マニホールド60と積層体2との間に配置されている。燃料ガス入口側シール材83は、第3方向D3に見て、燃料ガス入口マニホールド60の開口部63の周囲に周状に配置されている。
【0034】
図3及び図4から理解されるように、燃料ガス出口側シール材84は、燃料ガス出口マニホールド65と積層体2との間に配置されている。燃料ガス出口側シール材84は、第3方向D2に見て、燃料ガス出口マニホールド65の開口部68の周囲に周状に配置されている。
【0035】
図3及び図4から理解されるように、冷却水入口側シール材85は、冷却水入口マニホールド70と積層体2との間に配置されている。冷却水入口側シール材85は、第2方向D2に見て、冷却水入口マニホールド70の開口部73の周囲に周状に配置されている。
【0036】
図3及び図4から理解されるように、冷却水出口側シール材86は、冷却水出口マニホールド75と積層体2との間に配置されている。冷却水出口側シール材86は、第2方向D2に見て、冷却水出口マニホールド75の開口部78の周囲に周状に配置されている。
【0037】
図示された例では、酸化剤ガス入口側シール材81及び冷却水出口側シール材86の互いに隣り合う部分は、一体に形成されている。また、酸化剤ガス出口側シール材82及び冷却水入口側シール材85の互いに隣り合う部分は、一体に形成されている。
【0038】
各シール材81,82,83,84,85,86は、第1方向D1に延びる部分を有する。シール材81,82,85,86は、第3方向D3に延びる部分を有する。シール材81,82,85,86の第3方向D3に延びる部分は、シール材81,82,85,86の第1方向D1に延びる部分の両端部の間を延びている。シール材83,84は、第2方向に延びる部分を有する。シール材83,84の第2方向に延びる部分は、シール材83,84の第1方向D1に延びる部分の両端部の間を延びている。
【0039】
ところで、従来、外部マニホールド方式の燃料電池スタックでは、マニホールドと積層体との間から上記ガスや冷却水が外部に漏れ出ること効果的に防止するため、シール材の第2方向に延びる部分および第3方向に延びる部分を、比較的厚みのある絶縁板に密着させていた。しかしながらこの場合、集電板の縁部と絶縁板の縁部とが対面する位置がシール材で囲まれた領域の内側に位置することとなり、集電板と絶縁板との間の微小な隙間を通じて上記ガスや冷却水が互いの流路に進入する虞がある。とりわけ冷却水が燃料ガスまたは酸化剤ガスの流路に流入したり、燃料ガスまたは酸化剤ガスが冷却水の流路に流入したりすると、燃料電池スタックの安全性を損なう虞がある。
【0040】
このような点を踏まえ、本実施の形態の燃料電池スタックは、集電板と絶縁板との間の微小な隙間を通じて上記ガスや冷却水が互いの流路に進入する虞を抑制するための工夫がなされている。
【0041】
具体的には、図5に示すように、各集電板20a,20bは、積層体2に対面する本体部21と、本体部21の縁部から立ち上がる立上部22とを有している。図2図7及び図8に示すように、第1集電板20aの立上部22は、第1方向D1の一方の側に立ち上がっている。また、第2集電板20bは、第1方向D2の他方の側に立ち上がっている。図示された例では、立上部22は、周状に形成されている。
【0042】
図7に示すように、立上部22は、本体部21の第3方向D3に沿って延びる縁部から立ち上がる第2面側部分23及び第5面側部分24と、本体部21の第2方向に沿って延びる縁部から立ち上がる第3面側部分25及び第6面側部分26と、を有する。第2面側部分23、第5面側部分24、第3面側部分25及び第6面側部分26は、それぞれ、積層体2の第2面2b、第5面2e、第3面2c及び第6面2fと同一面上に配置される。集電板20a,20bには、本体部21と立上部22とによって凹部27が形成されている。
【0043】
また、図6に示すように、絶縁板30a,30bは、集電板20a,20bの形状と相補的な形状を有する。図示された例では、各絶縁板30a,30bは、基部31と、基部31から突出する凸部32を有する。第1絶縁板30aの凸部32は、基部31から第1方向D1の他側に突出し、図8に示すように、第1集電板20aの凹部27に受容される。また、第2絶縁板30bの凸部32は、基部31から第1方向D1の一側に突出し、図8に示すように、第2集電板20bの凹部27に受容される。第1絶縁板30aの基部31は、第1集電板20aの立上部22に第1方向D1の一側から当接する。第1絶縁板30aの凸部32は、第1集電板20aの本体部21に第1方向D1の一側から当接する。また、第1絶縁板30aの凸部32は、第1集電板20aの立上部22の各部分23,24,25,26に、第2方向D2の他側及び一側並びに第3方向D3の他側及び一側から当接する。
【0044】
さらに、図7に示すように、酸化剤ガス入口側シール材81の第3方向D3に延びる部分は、対応する集電板20a,20bの立上部22の第2面側部分23に密着している。そして、第2方向D2に見て、集電板20a,20bの縁部28は、酸化剤ガス入口側シール材81で囲まれた領域の外側に位置する。言い換えると、集電板20a,20bの縁部28と絶縁板30a,30bの縁部33とが対面する位置が、第2方向D2に見て、酸化剤ガス入口側シール材81で囲まれた領域の外側に位置する。この結果、集電板20a,20bと絶縁板30a,30bとの間を通じて酸化剤ガス入口マニホールド50に収容された酸化剤ガスが燃料ガスや冷却水の流路に進入する、ということが防止される。
【0045】
同様に、酸化剤ガス出口側シール材82の第3方向D3に延びる部分は、対応する集電板20a,20bの立上部22の第5面側部分24に密着している。そして、第2方向D2に見て、集電板20a,20bの縁部28は、酸化剤ガス出口側シール材82で囲まれた領域の外側に位置する。言い換えると、集電板20a,20bの縁部28と絶縁板30a,30bの縁部33とが対面する位置が、第2方向D2に見て、酸化剤ガス出口側シール材82で囲まれた領域の外側に位置する。この結果、集電板20a,20bと絶縁板30a,30bとの間を通じて酸化剤出口マニホールド55に収容された酸化剤ガスが燃料ガスや冷却水の流路に進入する、ということが防止される。
【0046】
また、図7に示すように、燃料ガス出口側シール材84の第2方向D2に延びる部分は、対応する集電板20a,20bの立上部22の第3面側部分25に密着している。そして、第3方向D3に見て、集電板20a,20bの縁部28は、燃料ガス出口側シール材84で囲まれた領域の外側に位置する。言い換えると、集電板20a,20bの縁部28と絶縁板30a,30bの縁部33とが対面する位置が、第3方向D3に見て、燃料ガス出口側シール材84で囲まれた領域の外側に位置する。この結果、集電板20a,20bと絶縁板30a,30bとの間を通じて燃料ガス出口マニホールド65に収容された燃料ガスが酸化剤ガスや冷却水の流路に進入する、ということが防止される。
【0047】
同様に、燃料ガス入口側シール材83の第2方向D2に延びる部分は、対応する集電板20a,20bの立上部22の第6面側部分26に密着している。そして、第3方向D3に見て、集電板20a,20bの縁部28は、燃料ガス入口側シール材83で囲まれた領域の外側に位置する。言い換えると、集電板20a,20bの縁部28と絶縁板30a,30bの縁部33とが対面する位置が、第3方向D3に見て、燃料ガス入口側シール材83で囲まれた領域の外側に位置する。この結果、集電板20a,20bと絶縁板30a,30bとの間を通じて燃料ガス入口マニホールド60に収容された燃料ガスが酸化剤ガスや冷却水の流路に進入する、ということが防止される。
【0048】
また、図7に示すように、冷却水出口側シール材86の第3方向D3に延びる部分は、対応する集電板20a,20bの立上部22の第2面側部分23に密着している。そして、第2方向D2に見て、集電板20a,20bの縁部28は、冷却水出口側シール材86で囲まれた領域の外側に位置する。言い換えると、集電板20a,20bの縁部28と絶縁板30a,30bの縁部33とが対面する位置が、第2方向D2に見て、冷却水出口側シール材86で囲まれた領域の外側に位置する。この結果、集電板20a,20bと絶縁板30a,30bとの間を通じて冷却水出口マニホールド75に収容された冷却水が酸化剤ガスや燃料ガスの流路に進入する、ということが防止される。
【0049】
同様に、冷却水入口側シール材85の第3方向D3に延びる部分は、対応する集電板20a,20bの立上部22の第5面側部分24に密着している。そして、第2方向D2に見て、集電板20a,20bの縁部28は、冷却水入口側シール材85で囲まれた領域の外側に位置する。言い換えると、集電板20a,20bの縁部28と絶縁板30a,30bの縁部22とが対面する位置が、第2方向D2に見て、冷却水入口側シール材85で囲まれた領域の外側に位置する。この結果、集電板20a,20bと絶縁板30a,30bとの間を通じて冷却水入口マニホールド70に収容された冷却水が酸化剤ガスや燃料ガスの流路に進入する、ということが防止される。
【0050】
なお、集電板に立上部を設ける代わりに、集電板の厚みを大きくすることも考えられる。しかしながら、上述したような材料で形成される集電板の厚みを大きくすると、集電板の重量や製造コスト(したがって燃料電池スタックの重量や製造コスト)が著しく増大する。この点、集電板に立上部を設ける方法によれば、集電板の厚みを大きくする方法と比較して、燃料電池スタックの重量や製造コストの増大を効果的に抑制しつつ、上記ガスや冷却水が互いの流路に進入する虞を抑制することができる。
【0051】
また、集電板に立上部を設ける代わりに、集電板と絶縁板との間に上記ガスや冷却水の進入を防止するシール部材を配置することも考えられる。しかしながら、この場合、シール部材を配置するために、集電板及び絶縁板をより高い寸法精度で加工する必要がある。このことは、集電板及び絶縁板の加工コスト(したがって燃料電池スタックの製造コスト)を著しく増大させる。この点、集電板に立上部を設ける方法によれば、集電板と絶縁板との間にシール部材を配置する方法と比較して、燃料電池スタックの製造コストの増大を効果的に抑制しつつ、上記ガスや冷却水が互いの流路に進入する虞を抑制することができる。
【0052】
なお、上述した集電板20a,20bを作製する方法としては、任意の方法を採用可能である。例えば、集電板20a,20bは、鋳型等の成形型に溶融金属を充填し、これを凝固させることにより作製されてもよい。また、集電板20a,20bは、板状の部材を折り曲げることにより作製されてもよい。
【0053】
また、積層体2に対するマニホールド50,55,60,65,70,75の配置は、図示された例に限られない。例えば、積層体2の第2面2bに酸化剤ガス出口マニホールド55及び冷却水入口マニホールド70が設けられ、積層体2の第5面2eに酸化剤ガス入口マニホールド50及び冷却水出口マニホールド75が設けられてもよい。また、積層体2の第3面2cに燃料ガス入口マニホールド60が設けられ、積層体2の第6面2fに燃料ガス出口マニホールド65が設けられてもよい。
【0054】
<変形例1>
次に、図9を参照して、上述の実施形態による燃料電池スタックの変形例について説明する。図9に示す変形例1の燃料電池スタック1は、集電板20a,20bの立上部22は周状に形成されていない点で異なっている。他の構成は、図1乃至図8に示す燃料電池スタック1と略同一である。図9に示す変形例1において、図1乃至図8に示す実施形態と同一の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0055】
上述したように、図9に示す例では、集電板20a,20bの立上部22は周状に形成されていない。立上部22の第2面側部分23は、第6面側部分26に接続しているが、第3面側部分25には接続していない。また、立上部22の第5面側部分24は、第3面側部分25に接続しているが、第6面側部分26には接続していない。また、冷却水出口側シール材86の第3方向D3に延びる部分は、対応する絶縁板30a,30bに密着している。そして、第2方向D2に見て、集電板20a,20bの縁部28は、冷却水出口側シール材86で囲まれた領域の内側に位置する。言い換えると、集電板20a,20bの縁部28と絶縁板30a,30bの縁部33とが対面する位置が、第2方向D2に見て、冷却水出口側シール材86で囲まれた領域の内側に位置する。同様に、冷却水入口側シール材85の第3方向D3に延びる部分は、対応する絶縁板30a,30bに密着している。そして、第2方向D2に見て、集電板20a,20bの縁部28は、冷却水入口側シール材85で囲まれた領域の内側に位置する。言い換えると、集電板20a,20bの縁部28と絶縁板30a,30bの縁部33とが対面する位置が、第2方向D2に見て、冷却水入口側シール材85で囲まれた領域の内側に位置する。
【0056】
その一方で、第2方向D2に見て、集電板20a,20bの縁部28は、酸化剤ガス入口側シール材81で囲まれた領域の外側に位置する。また、第2方向D2に見て、集電板20a,20bの縁部28は、酸化剤ガス出口側シール材82で囲まれた領域の外側に位置する。また、第3方向D3に見て、集電板20a,20bの縁部28は、燃料ガス入口側シール材83で囲まれた領域の外側に位置する。また、第3方向D3に見て、集電板20a,20bの縁部28は、燃料ガス出口側シール材84で囲まれた領域の外側に位置する。
【0057】
図9に示す例では、集電板20a,20bと絶縁板30a,30bとの間に冷却水入口マニホールド70または冷却水出口マニホールド75に収容された冷却水が進入する虞がある。しかしながら、集電板20a,20bと絶縁板30a,30bとの間に進入した冷却水は、図9に矢印で示すように、立上部22によって冷却水出口マニホールド75または冷却水入口マニホールド70に向けて案内される。したがって、冷却水が燃料ガスや酸化剤ガスの流路に流入することが防止されている。このような集電板20a,20bによっても、上記ガスや冷却水が互いの流路に進入する虞を防止することができる。
【0058】
また、図9に示す例では、図7に示す例と同様に、集電板20a,20bの縁部28と絶縁板30a,30bの縁部33とが対面する位置が、第2方向D2に見て、酸化剤ガス入口側シール材81で囲まれた領域の外側に位置する。また、集電板20a,20bの縁部28と絶縁板30a,30bの縁部22とが対面する位置が、第2方向D2に見て、酸化剤ガス出口側シール材82で囲まれた領域の外側に位置する。また、集電板20a,20bの縁部28と絶縁板30a,30bの縁部33とが対面する位置が、第3方向D3に見て、燃料ガス入口側シール材83で囲まれた領域の外側に位置する。また、集電板20a,20bの縁部28と絶縁板30a,30bの縁部33とが対面する位置が、第3方向D3に見て、燃料ガス出口側シール材84で囲まれた領域の外側に位置する。したがって、集電板20a,20bと絶縁板30a,30bとの間に酸化剤ガス及び燃料ガスが進入する、ということが防止される。
【0059】
なお、図9に示す例においても、絶縁板30a,30bは、対応する集電板20a,20bの形状と相補的な形状を有している。そして、絶縁板30a,30bは、それぞれ、対応する集電板20a,20bの本体部21に第1方向D1の一側及び他側から当接する。また、絶縁板30a,30bは、それぞれ、対応する集電板20a,20bの立上部22に第1方向D1の一側及び他側から当接する。また、絶縁板30a,30bは、それぞれ、対応する集電板20a,20bの立上部22の各部分23,24,25,26に、第2方向D2の他側及び一側並びに第3方向D3の他側及び一側から当接する。
【0060】
<変形例2>
次に、図10を参照して、上述の実施形態による燃料電池スタックの変形例2について説明する。図10に示す変形例2の燃料電池スタック1は、シール材90,91をさらに備えている点で異なっている。他の構成は、図1乃至図8に示す燃料電池スタック1と略同一である。図10に示す変形例2において、図1乃至図8に示す実施形態と同一の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0061】
上述したように、図10に示す例では、燃料電池スタック1は、第1集電板20aの本体部21の縁部と積層体2の第1面2aの縁部との間を封止する第1面側シール材90を備えている。第1面側シール材90は、第1集電板20aの本体部21の縁部及び積層体2の第1面2aの縁部に沿って、周状に配置されている。したがって、第1面側シール材90は、第2方向D2に見てシール材81,82,85,86で囲まれた領域内において、第1集電板20aの本体部21の縁部と積層体2の第1面2aの縁部との間を封止している。また、第1面側シール材90は、第3方向D3に見てシール材83,84で囲まれた領域内において、第1集電板20aの本体部21の縁部と積層体2の第1面2aの縁部との間を封止している。
【0062】
また、図10に示す例では、燃料電池スタック1は、第2集電板20bの本体部21の縁部と積層体2の第4面2dの縁部との間を封止する第4面側シール材91を備えている。第4面側シール材91は、第2集電板20bの本体部21の縁部及び積層体2の第4面2dの縁部に沿って、周状に配置されている。第4面側シール材91は、第2方向D2に見てシール材81,82,85,86で囲まれた領域内において、第2集電板20bの本体部21の縁部と積層体2の第4面2dの縁部との間を封止している。また、第4面側シール材91は、第3方向D3に見てシール材83,84で囲まれた領域内において、第2集電板20bの本体部21の縁部と積層体2の第4面2dの縁部との間を封止している。
【0063】
このようなシール材91によって、集電板20a,20bの本体部21と積層体2の第1面2a及び第4面2dとの間に、上記ガスや冷却水が進入する虞が抑制される。とりわけ、図10に示すように、集電板20a,20bの本体部21と立上部22との接続部が丸みを帯びている場合、集電板20a,20bの本体部21の縁部と積層体2の第1面2aまたは第4面2dの縁部との間に、上記ガスや冷却水が進入可能な隙間93が形成される。このような場合、シール材90,91によって上記隙間93を封止することにより、本体部21と積層体2の第1面2a及び第4面2dとの間に上記ガスや冷却水が進入する虞を、効果的に抑制することができる。この結果、集電板20a,20bと積層体2との間を通じて上記ガスや冷却水が互いの流路に進入する、ということが抑制される。
【0064】
なお、シール材90,91は、第2方向D2に見て少なくともシール材81,82で囲まれた領域内において集電板20a,20bの本体部21の縁部と積層体2の第1面2aまたは第2面2bの縁部との間を封止する、というように設けられていればよい。また、シール材90,91は、第3方向D3に見て少なくともシール材83,84で囲まれた領域内において集電板20a,20bの本体部21の縁部と積層体2の第1面2aまたは第2面2bの縁部との間を封止する、というように設けられていればよい。言い換えると、シール材90,91は、集電板20a,20bと積層体2との間に冷却水が進入することを許容するように設けられてもよい。この場合であっても、集電板20a,20bと積層体2との間を通じて上記ガスや冷却水が互いの流路に進入する、ということが抑制される。
【0065】
<変形例3>
次に、図11を参照して、上述の実施形態による燃料電池スタックの変形例3について説明する。図11に示す変形例3の燃料電池スタック1は、集電板20a,20bの立上部22に突起95が形成されている点で異なっている。他の構成は、図1乃至図8に示す燃料電池スタック1と略同一である。図11に示す変形例3において、図1乃至図8に示す実施形態と同一の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0066】
上述したように、図11に示す例では、集電板20a,20bの立上部22に突起95が形成されている。突起95には、積層体2で発電された電流を取り出すための電力線が接続される。立上部22に突起95が形成されている場合、集電板20a,20bに電力線を接続することが容易である。また、この場合、締付板40a,40bに通すための開口部43を設ける必要がない。図示された例では、突起95に電力線を固定するための開口部96が形成されている。
【0067】
以上のように、本実施の形態およびその変形例による燃料電池スタック1は、積層体2と、集電板20aと、絶縁板30aと、第1マニホールド50,55と、第1シール材81,82と、第2マニホールド60,65と、第2シール材83,84と、を備えている。積層体2は、第1方向D1に積層された複数の単セル電池10を含んでいる。積層体2は、第1方向D1の一側を向く第1面2aと、第1方向D1と直交する第2方向D2の一側を向く第2面2bと、第1方向D1及び第2方向D2と直交する第3方向D3の一側を向く第3面2cと、を有している。集電板20aは、積層体2の第1面2aに対面して配置されている。絶縁板30aは、第1方向D1における集電板20aの一側に配置されている。第1マニホールド50,55は、第1ガス(図示された例では酸化剤ガス)を収容するための第1内部空間51,56を有している。第1内部空間51,56は、第1開口部53,58を通じて、積層体2の第2面2bに開口している。そして、第1マニホールド50,55は、第1内部空間51,56の第1ガスを、第1開口部53,58を通じて積層体2に供給する。または、第1マニホールド50,55は、積層体2から排出された第1ガスを、第1開口部53,58を通じて第1内部空間51,56に収容する。第1シール材81,82は、第1マニホールド50,55と積層体2との間に配置されている。第1シール材81,82は、第2方向D2に見て、第1開口部53,58の周囲に周状に配置されている。第2マニホールド60,65は、第1ガスとは異なる第2ガス(図示された例では燃料ガス)を収容するための第2内部空間61,66を有する。第2内部空間61,66は、第2開口部63,68を通じて、積層体2の第3面2cに開口している。そして、第2マニホールド60,65は、第2内部空間61,66の第2ガスを、第2開口部63,68を通じて積層体2に供給する。または、第2マニホールド60,65は、積層体2から排出された第2ガスを、第2開口部63,68を通じて第2内部空間61,66に収容する。第2シール材83,84は、第2マニホールド60,65と積層体2との間に配置されている。第2シール材83,84は、第3方向D3に見て、第2開口部63,68の周囲に周状に配置されている。集電板20aは、積層体2に対面する本体部21と、本体部21の縁部から第1方向D1の一側に立ち上がる立上部22と、を有する。集電板20aの端縁28は、第2方向D2に見て、第1シール材81,82で囲まれた領域の外側に位置する。また、集電板20aの端縁28は、第3方向D3に見て、第2シール材83,84で囲まれた領域の外側に位置する。
【0068】
このような燃料電池スタック1によれば、第1ガスや第2ガスが集電板20aと絶縁板30aの間に進入することを防止することができる。この結果、第1ガスや第2ガス並びに冷却水が互いの流路に進入する、ということを防止することができる。
【0069】
また、本実施の形態による燃料電池スタック1は、第3マニホールド70,75及び第3シール材85,86を備えている。第3マニホールド70,75は、冷却水を収容するための第3内部空間71,76を有している。第3内部空間71,76は、第3開口部73,78を通じて、積層体2の第2面2bに開口している。そして、第3マニホールド70,75は、第3内部空間71,76の冷却水を、第3開口部73,78を通じて積層体2に供給する。または、第3マニホールド70,75は、積層体2から排出された冷却水を、第3開口部73,78を通じて第3内部空間71,76に収容する。第3シール材85,86は、第3マニホールド70,75と積層体2との間に配置されている。第3シール材85,86は、第2方向D2に見て、第3開口部73,78の周囲に周状に配置されている。集電板20aの端縁28は、第2方向D2に見て、第3シール材85,86で囲まれた領域の外側に位置する。
【0070】
このような燃料電池スタック1によれば、冷却水が集電板20aと絶縁板30aの間に進入することを防止することができる。この結果、第1ガスや第2ガス並びに冷却水が互いの流路に進入する、ということを防止することができる。
【0071】
また、本実施の形態による燃料電池スタック1において、集電板20aの立上部22は、周状に形成されている。また、絶縁板30aは、集電板20aの本体部21と立上部22とによって形成された凹部27に受容される凸部32を有している。この場合、集電板20aおよび絶縁板30aを容易に作製することができる。
【0072】
また、本実施の形態の変形例による燃料電池スタック1は、第2方向D2に見て少なくとも第1シール材81,82で囲まれた領域内及び第3方向D3に見て少なくとも第2シール材83,84で囲まれた領域内に、集電板20aの本体部21の縁部と積層体2の第1面2aの縁部との間を封止する第4シール材90,91をさらに備えている。このような燃料電池スタック1によれば、集電板20aと積層体2との間に第1ガスや第2ガスが進入して、第1ガスや第2ガス並びに冷却水が互いの流路に進入する、という虞を抑制することができる。
【0073】
また、本実施の形態の変形例による燃料電池スタック1は、第2方向D2に見て少なくとも第1シール材81,82で囲まれた領域内及び第3シール材85,86で囲まれた領域内、並びに、第3方向D3に見て少なくとも第2シール材83,84で囲まれた領域内に、集電板20aの本体部21の縁部と積層体2の第1面2aの縁部との間を封止する第4シール材90,91をさらに備えている。このような燃料電池スタック1によれば、集電板20aと積層体2との間に第1ガスや第2ガス並びに冷却水が進入して、第1ガスや第2ガス並びに冷却水が互いの流路に進入する、という虞を抑制することができる。
【0074】
また、本実施の形態の変形例による燃料電池スタック1では、集電板20aの立上部22に、積層体2で発電された電流を取り出すための電力線が接続される突起95が形成されている。この場合、集電板20aに電力線を接続することが容易である。
【0075】
上述した実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、上述した実施の形態やその変形を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0076】
1:燃料電池スタック、2:積層体、2a:第1面、2b:第2面、2c:第3面、2d:第4面、2e:第5面、2f:第6面、10:単セル電池、20a:第1集電板、20b:第2集電板、30a:第1絶縁板、30b:第2絶縁板、40a:第1締付板、40b:第2締付板、50:酸化剤ガス入口マニホールド、55:酸化剤ガス出口マニホールド、60:燃料ガス入口マニホールド、65:燃料ガス出口マニホールド、70:冷却水入口マニホールド、75:冷却水出口マニホールド、81:酸化剤ガス入口側シール材、82:酸化剤ガス出口側シール材、83:燃料ガス入口側シール材、84:燃料ガス出口側シール材、85:冷却水入口側シール材、86:冷却水出口側シール材、90:第1面側シール材、91:第4面側シール材、95:突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11