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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】保温部材及び保温継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 59/18 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
F16L59/18
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021055464
(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公開番号】P2022152625
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】村上 優介
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】実公昭38-026988(JP,Y1)
【文献】特開昭55-107186(JP,A)
【文献】特開2008-095917(JP,A)
【文献】特開2007-263314(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02041482(GB,A)
【文献】特開2010-014134(JP,A)
【文献】特開2018-141505(JP,A)
【文献】実開昭61-190097(JP,U)
【文献】特開2016-070375(JP,A)
【文献】実開昭60-142391(JP,U)
【文献】実開平04-087096(JP,U)
【文献】実開平03-075397(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第109027521(CN,A)
【文献】英国特許出願公開第02186338(GB,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0245452(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1458537(KR,B1)
【文献】特開2019-007494(JP,A)
【文献】実開昭62-099668(JP,U)
【文献】実開昭51-083013(JP,U)
【文献】特表2016-534303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 59/00-59/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
継手本体、及び前記継手本体の端部に設けられた複数の接続部を有する管継手を収容する保温部材であって、
複数の部材からなり、前記複数の部材の分割境界部同士を連結して形成した空間に管継手を、前記管継手との間に空気層を形成して収容する継手収容部材と、
前記複数の部材の前記分割境界部同士を機械的に連結させる連結手段と、
を備え、
前記連結手段は、
前記複数の部材のうちの少なくとも1に設けられた第1係合部と、
前記複数の部材のうちの他に設けられ、前記第1係合部と係合する第2係合部と、
を有し、
前記第2係合部は、前記複数の部材のうちの他の外面から外方に離間した位置に設けられた係止壁部を有し、
前記第1係合部は、
前記複数の部材のうちの他と前記係止壁部との間を通過可能な係合爪部と、
前記係合爪部の基端側に形成され、前記複数の部材のうちの少なくとも1に連なるアーム部と、
を有し、
前記係合爪部と前記アーム部との間には、前記係合爪部が前記アーム部よりも外方に突出することで引掛り段差部が形成され、
前記引掛り段差部が前記係止壁部に係合し、
前記複数の部材のうちの少なくとも1に、前記アーム部に対して前記分割境界部に沿って位置をずらして配置され、前記複数の部材のうちの他の外面に接触する第1重なり部を備え、
前記複数の部材の前記分割境界部同士を連結するときに、前記係合爪部が前記係止壁部に接触するよりも先に、前記第1重なり部が前記複数の部材のうちの他の外面に接触する、保温部材。
【請求項2】
継手本体、及び前記継手本体の端部に設けられた複数の接続部を有する管継手を収容する保温部材であって、
複数の部材からなり、前記複数の部材の分割境界部同士を連結して形成した空間に管継手を、前記管継手との間に空気層を形成して収容する継手収容部材と、
前記複数の部材の前記分割境界部同士を機械的に連結させる連結手段と、
を備え、
前記連結手段は、
前記複数の部材のうちの少なくとも1に設けられた第1係合部と、
前記複数の部材のうちの他に設けられ、前記第1係合部と係合する第2係合部と、
を有し、
前記第2係合部は、前記複数の部材のうちの他の外面に設けられた突部であり、
前記第1係合部は、
係合爪部と、
前記係合爪部の基端側に形成され、前記複数の部材のうちの少なくとも1に連なるアーム部と、
を有し、
前記係合爪部と前記アーム部との間には、前記係合爪部が前記アーム部よりも内方に突出することで引掛り段差部が形成され、
前記引掛り段差部が、前記突部に係合する
る、保温部材。
【請求項3】
前記複数の部材のうちの少なくとも1に、前記アーム部に対して前記分割境界部に沿って位置をずらして配置され、前記複数の部材のうちの他の外面に接触する第2重なり部を有する、請求項2に記載の保温部材。
【請求項4】
継手本体、及び前記継手本体の端部に設けられた複数の接続部を有する管継手を収容する保温部材であって、
複数の部材からなり、前記複数の部材の分割境界部同士を連結して形成した空間に管継手を、前記管継手との間に空気層を形成して収容する継手収容部材と、
前記複数の部材の前記分割境界部同士を機械的に連結させる連結手段と、
を備え、
前記連結手段は、
前記複数の部材のうちの少なくとも1に設けられた第1係合部と、
前記複数の部材のうちの他に設けられ、前記第1係合部と係合する第2係合部と、
を有し、
前記第2係合部は、前記複数の部材のうちの他の外面から外方に離間した位置に設けられた係止壁部を有し、
前記第1係合部は、
前記複数の部材のうちの他と前記係止壁部との間を通過可能な係合爪部と、
前記係合爪部の基端側に形成され、前記複数の部材のうちの少なくとも1に連なるアーム部と、
を有し、
前記係合爪部と前記アーム部との間には、前記係合爪部が前記アーム部よりも外方に突出することで引掛り段差部が形成され、
前記引掛り段差部が前記係止壁部に係合し、
前記複数の部材のうちの少なくとも1に設けられ、前記複数の部材のうちの他を前記アーム部とともに挟む挟み部を備える、保温部材。
【請求項5】
継手本体、及び前記継手本体の端部に設けられた複数の接続部を有する管継手を収容する保温部材であって、
複数の部材からなり、前記複数の部材の分割境界部同士を連結して形成した空間に管継手を、前記管継手との間に空気層を形成して収容する継手収容部材と、
前記複数の部材の前記分割境界部同士を機械的に連結させる連結手段と、
を備え、
前記分割境界部同士を連結した前記複数の部材の端部は、筒状であり、
前記連結手段は、
前記分割境界部同士を連結した前記複数の部材の端部の外面に、前記端部の周方向に延びるように形成された溝と、
前記分割境界部同士を連結した前記複数の部材の端部を、前記端部の径方向外側から覆う筒状部材と、
前記筒状部材の内周面に設けられ、前記溝に係合可能な突起と、
を有し、
前記分割境界部同士を連結した前記複数の部材において、前記複数の部材の軸線に沿う前記端部から中央部に向かうに従い、前記溝の底面は、前記軸線から離間する、保温部材。
【請求項6】
継手本体、及び前記継手本体の端部に設けられた複数の接続部を有する管継手を収容する保温部材であって、
複数の部材からなり、前記複数の部材の分割境界部同士を連結して形成した空間に管継手を、前記管継手との間に空気層を形成して収容する継手収容部材と、
前記複数の部材の前記分割境界部同士を機械的に連結させる連結手段と、
を備え、
前記分割境界部同士を連結した前記複数の部材の端部は、筒状であり、
前記連結手段は、
前記分割境界部同士を連結した前記複数の部材の端部の外面に、前記端部の周方向に延びるように形成された溝と、
前記分割境界部同士を連結した前記複数の部材の端部を、前記端部の径方向外側から覆う筒状部材と、
前記筒状部材の内周面に設けられ、前記溝に係合可能な突起と、
を有し、
前記連結手段は、前記複数の部材と前記管継手との間を封止する封止部材を有する、保温部材。
【請求項7】
前記分割境界部同士を連結した前記複数の部材の端部は、筒状であり、
前記連結手段は、
前記複数の部材のうちの少なくとも1に設けられた第3係合部と、
前記分割境界部同士を連結した前記複数の部材の端部を、前記端部の径方向外側から覆う筒状部材と、
前記筒状部材に設けられ、前記第3係合部に対して、前記分割境界部同士を連結した前記複数の部材の軸線方向に係合可能な第4係合部と、
を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の保温部材。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の保温部材と、
前記管継手と、
を備える、保温継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保温部材及び保温継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管継手の周囲に空気層に形成して、管継手の周囲を保温する保温部材が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この保温部材では、管継手を覆うカバー部材(継手収容部材)により、管継手とカバー部材との間に空気層を形成する。
カバー部材は、第1分割カバー(部材)と、第2分割カバー(部材)とから構成される。両分割カバーは、溶剤型接着剤により互いに接着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-141505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、分割カバー同士の連結に接着を用いると、接着剤が固まるまで分割カバー同士が連結されない。このため、分割カバー同士を連結させ難いという問題がある。また、例えば、分割カバーがポリプロピレン樹脂等のオレフィン系樹脂で形成されている場合には、分割カバー同士を接着し難い。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、部材が形成されている材料によらず、部材同士を容易に連結できる保温部材、及びこの保温部材を備える保温継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の保温部材は、継手本体、及び前記継手本体の端部に設けられた複数の接続部を有する管継手を収容する保温部材であって、複数の部材からなり、前記複数の部材の分割境界部同士を連結して形成した空間に管継手を、前記管継手との間に空気層を形成して収容する継手収容部材と、前記複数の部材の前記分割境界部同士を機械的に連結させる連結手段と、を備えることを特徴としている。
ここで言う分割境界部とは、それぞれの部材を構成する外形の端部(縁部)である境界部のうち、物理的に離間可能である境界部を意味する。例えば、ヒンジ等で接続されて互いに分離できない部材の境界部同士は、分割境界部に含まれない。機械的に連結させるとは、力学の法則に復帰できる方式で連結させることを意味する。
【0007】
この発明では、継手収容部材が、分割境界部で離間及び連結可能な複数の部材からなるため、分割境界部同士が互いに離間したときに部材間に形成される開口部を通して、継手収容部材の空間に管継手を容易に収容させることができる。
複数の部材の分割境界部同士を、例えば係合等を用いる連結手段により機械的に連結させるため、部材が形成されている材料によらず、部材同士を容易に連結することができる。
なお、例えば保温部材は、管継手の接続部に配管を接続して用いられる。
【0008】
また、前記保温部材において、前記連結手段は、前記複数の部材のうちの少なくとも1に設けられた第1係合部と、前記複数の部材のうちの他に設けられ、前記第1係合部と係合する第2係合部と、を有してもよい。
ここで言う複数の部材のうちの他とは、複数の部材のうちの、少なくとも1以外の部材全てのことを意味する。
この発明では、第1係合部と第2係合部とを互いに係合させることにより、複数の部材の分割境界部同士を、容易に機械的に連結させることができる。
【0009】
また、前記保温部材において、前記第2係合部は、前記複数の部材のうちの他の外面から外方に離間した位置に設けられた係止壁部を有し、前記第1係合部は、前記複数の部材のうちの他と前記係止壁部との間を通過可能な係合爪部と、前記係合爪部の基端側に形成され、前記複数の部材のうちの少なくとも1に連なるアーム部と、を有し、前記係合爪部と前記アーム部との間には、前記係合爪部が前記アーム部よりも外方に突出することで引掛り段差部が形成され、前記引掛り段差部が前記係止壁部に係合してもよい。
この発明では、アーム部を内方に向かって弾性的に変形させることにより、係止壁部と引掛り段差部との係合を解除することができる。そして、係合爪部が複数の部材のうちの他と係止壁部との間を通過することにより、複数の部材のうちの少なくとも1と、複数の部材のうちの他とを分離させることができる。
一方で、アーム部を内方に向かって弾性的に変形させた状態で、係合爪部に複数の部材のうちの他と係止壁部との間を通過させ、アーム部の変形を解除すると、アーム部が外方に向かって復元変形し、引掛り段差部が係止壁部に係合する。
従って、係止壁部、係合爪部、及びアーム部という簡単な構成で、複数の部材の分割境界部同士を機械的に連結させることができる。
【0010】
また、前記保温部材において、前記複数の部材のうちの少なくとも1に、前記アーム部に対して前記分割境界部に沿って位置をずらして配置され、前記複数の部材のうちの他の外面に接触する第1重なり部を備え、前記複数の部材の前記分割境界部同士を連結するときに、前記係合爪部が前記係止壁部に接触するよりも先に、前記第1重なり部が前記複数の部材のうちの他の外面に接触してもよい。
【0011】
例えば、複数の部材の分割境界部同士を連結するときに、第1重なり部が複数の部材のうちの他の外面に接触するよりも先に、係合爪部が係止壁部に接触すると仮定する。この場合、係合爪部が係止壁部に接触することによりアーム部が内方に向かって弾性的に変形するのに連動して、アーム部に対して分割境界部に沿って位置をずらして配置された第1重なり部も内方に向かって移動する。移動した第1重なり部が複数の部材のうちの他に突き当たる等して、第1重なり部を複数の部材のうちの他の外面に接触させ難くなる。
一方で、この発明では、複数の部材の分割境界部同士を連結するときに、係合爪部が係止壁部に接触するよりも先に、第1重なり部が複数の部材のうちの他の外面に接触する。このため、第1重なり部が複数の部材のうちの他の外面に接触してから、係合爪部が係止壁部に接触することによりアーム部が内方に向かって弾性的に変形するのに連動して、第1重なり部も内方に向かって移動しようとする。
従って、複数の部材の分割境界部同士を連結するときに、第1重なり部を複数の部材のうちの他の外面に、容易に接触させることができる。そして、この第1重なり部により、複数の部材の分割境界部間を通した、空気層と保温部材の外部の空気との間の流れを抑制することができる。
【0012】
また、前記保温部材において、前記第2係合部は、前記複数の部材のうちの他の外面に設けられた突部であり、前記第1係合部は、係合爪部と、前記係合爪部の基端側に形成され、前記複数の部材のうちの少なくとも1に連なるアーム部と、を有し、前記係合爪部と前記アーム部との間には、前記係合爪部が前記アーム部よりも内方に突出することで引掛り段差部が形成され、前記引掛り段差部が、前記突部に係合してもよい。
この発明では、アーム部を外方に向かって弾性的に変形させることにより、突部と引掛り段差部との係合を解除することができる。そして、複数の部材のうちの少なくとも1と、複数の部材のうちの他とを分離させることができる。
一方で、アーム部を外方に向かって弾性的に変形させた状態で、係合爪部に突部を乗り越えさせ、アーム部の変形を解除すると、アーム部が内方に向かって復元変形し、引掛り段差部が突部に係合する。
従って、突部、係合爪部、及びアーム部という簡単な構成で、複数の部材の分割境界部同士を機械的に連結させることができる。
【0013】
また、前記保温部材において、前記複数の部材のうちの少なくとも1に、前記アーム部に対して前記分割境界部に沿って位置をずらして配置され、前記複数の部材のうちの他の外面に接触する第2重なり部を有してもよい。
この発明では、第2重なり部により、複数の部材の分割境界部間を通した、空気層と保温部材の外部の空気との間の流れを抑制することができる。
そして、複数の部材の分割境界部同士を連結するときに、アーム部を外方に向かって弾性的に変形するのに連動して、アーム部に対して分割境界部に沿って位置をずらして配置された第2重なり部も外方に向かって移動する。移動した第2重なり部は複数の部材のうちの他に、より突き当たり難くすることができる。
【0014】
また、前記保温部材において、前記複数の部材のうちの少なくとも1に設けられ、前記複数の部材のうちの他を前記アーム部とともに挟む挟み部を備えてもよい。
この発明では、アーム部及び挟み部により、複数の部材の分割境界部間を通した、空気層と保温部材の外部の空気との間の流れを、より確実に抑制することができる。
【0015】
また、前記保温部材において、前記分割境界部同士を連結した前記複数の部材の端部は、筒状であり、前記連結手段は、前記分割境界部同士を連結した前記複数の部材の端部の外面に、前記端部の周方向に延びるように形成された溝と、前記分割境界部同士を連結した前記複数の部材の端部を、前記端部の径方向外側から覆う環状部材と、前記環状部材の内周面に設けられ、前記溝に係合可能な突起と、を有してもよい。
この発明では、分割境界部同士を連結した複数の部材の端部を、筒状部材により径方向外側から覆うとともに、複数の部材の端部に形成された溝に突起を係合させる。これにより、複数の部材の端部に対して筒状部材が、複数の部材の軸線に沿う方向に移動し難くなり、複数の部材の分割境界部同士を、容易に機械的に連結させることができる。
【0016】
また、前記保温部材において、前記分割境界部同士を連結した前記複数の部材において、前記複数の部材の軸線に沿う前記端部から中央部に向かうに従い、前記溝の底面は、前記軸線から離間してもよい。
この発明では、端部から中央部に突起が向かうに従い、溝の底面に突起がより強く接触する。従って、突起が中央部に向かうように筒状部材を軸線回りに締め付けるのに従い、突起が設けられた筒状部材を、溝が形成された複数の部材の端部により強く固定することができる。
【0017】
また、前記保温部材において、前記分割境界部同士を連結した前記複数の部材の端部は、筒状であり、前記連結手段は、前記複数の部材のうちの少なくとも1に設けられた第3係合部と、前記分割境界部同士を連結した前記複数の部材の端部を、前記端部の径方向外側から覆う環状部材と、前記環状部材に設けられ、前記第3係合部に対して、前記分割境界部同士を連結した前記複数の部材の軸線方向に係合可能な第4係合部と、を有してもよい。
この発明では、分割境界部同士を連結した複数の部材の端部を、筒状部材により径方向外側から覆うとともに、複数の部材のうちの少なくとも1に設けられた第3係合部に筒状部材に設けられた第4係合部を軸線方向に係合させる。これにより、複数の部材の端部に対して筒状部材が軸線方向に移動し難くなり、複数の部材の分割境界部同士を、容易に機械的に連結させることができる。
【0018】
また、前記保温部材において、前記連結手段は、前記複数の部材と前記管継手との間を封止する封止部材を有してもよい。
この発明では、封止部材により、複数の部材と管継手との間を通した、空気層と保温部材の外部の空気との間の流れを抑制することができる。
【0019】
また、本発明の保温継手は、前記のいずれかに記載の保温部材と、前記管継手と、を備えることを特徴としている。
この発明では、部材が形成されている材料によらず、部材同士を容易に連結することができる保温部材を用いて保温継手を構成することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の保温部材及び保温継手では、部材が形成されている材料によらず、部材同士を容易に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態の保温継手を用いた配管構造の側面図である。
図2】同配管構造の断面図である。
図3】同保温継手の保温部材を分解した斜視図である。
図4図2中の切断線A1-A1の断面図である。
図5】本発明の第1実施形態の第1変形例における保温部材を分解した斜視図である。
図6】同保温部材における要部の断面図である。
図7】同保温部材において、継手収容部材片同士を連結する工程を説明する要部の断面図である。
図8】同保温部材において、継手収容部材片同士を連結する工程を説明する要部の断面図である。
図9】本発明の第1実施形態の第2変形例における保温部材において、継手収容部材片同士を連結する工程を説明する要部の断面図である。
図10】本発明の第1実施形態の第3変形例における保温部材の要部の断面図である。
図11】同保温部材において、継手収容部材片同士を連結する工程を説明する要部の断面図である。
図12】本発明の第1実施形態の第4変形例における保温部材を分解した斜視図である。
図13】同保温部材の要部の断面図である。
図14】本発明の第2実施形態の保温部材における要部の断面図である。
図15図14におけるA3方向矢視図である。
図16】本発明の第2実施形態の第1変形例における保温部材の要部の断面図である。
図17】本発明の第3実施形態の保温部材における要部の断面図である。
図18図17におけるA5方向矢視図である。
図19】本発明の第3実施形態の第1変形例における保温部材の要部の断面図である。
図20】本発明の実施形態の変形例における保温継手の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る保温継手の第1実施形態を、図1から図13を参照しながら説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の保温継手10は、配管構造1に用いられる。配管構造1は、例えば空気調和装置や、プラント設備等の使用により発生するドレン水の排水に好適に用いられる。
配管構造1は、保温継手10と、第1配管55Aと、第2配管55Bと、を備える。
以下では、まず、配管55A,55Bについて説明する。
【0023】
例えば、第1配管55Aは、発泡樹脂層を有する配管である。
第1配管55Aは、非発泡樹脂層と、発泡樹脂層と、を備えている。非発泡樹脂層及び発泡樹脂層は、それぞれ円筒状に形成され、非発泡樹脂層は、発泡樹脂層内に発泡樹脂層と同軸に配置されている。
非発泡樹脂層を形成する樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂が好ましく、耐薬品性や成形性の観点から、ポリ塩化ビニル樹脂がもっとも好ましい。
【0024】
発泡樹脂層は、発泡性樹脂組成物を発泡し成形してなる。発泡樹脂層は、非発泡樹脂層よりも断熱性に優れている。発泡樹脂層における発泡倍率は、1.0倍以上8.0倍以下が好ましい。発泡性樹脂組成物は、エチレン・プロピレン・ジエンゴムやクロロプレン等のゴム、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂が好ましく、耐薬品性や成形性の観点から、ポリ塩化ビニル樹脂がもっとも好ましい。
第1配管55Aは、発泡樹脂層の外側に非発泡樹脂層を備える3層構造でもよい。また、第1配管55Aは、発泡樹脂層が非発泡状態となったスキン層を発泡樹脂層の外側に備える3層構造でもよい。
【0025】
なお、第1配管55Aは、発泡樹脂層を有さない配管であってもよく、例えば、同心円状に配置された二重壁構造をなして直線状に延びた二重壁配管としてもよい。内管の内側はドレン水が流される流路をなし、内管と外管との間は断熱空間になっており、内管と外管との間を複数の仕切壁で連絡してもよい。この場合、第1配管55Aは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂等により形成される。
第2配管55Bは、第1配管55Aと同様に構成される。
【0026】
保温継手10は、管継手11と、保温部材21と、を備える。
管継手11は、いわゆるエルボ型の継手である。管継手11は、継手本体12と、複数の受口(接続部)13A,13Bと、を有する。
継手本体12は、第1直管部16Aと、湾曲部17と、第2直管部16Bと、を有する。直管部16A,16Bは、それぞれ直管状である。湾曲部17は、中心角が約90°に湾曲した曲管状である。第1直管部16Aは、湾曲部17における第1端部に、この第1端部と同軸に連なる。第2直管部16Bは、湾曲部17における第1端部とは反対の第2端部に、この第2端部と同軸に連なる。
【0027】
受口13A,13Bは、それぞれ筒状である。受口13Aの内径は、第1直管部16Aの内径よりも大きい。受口13Aは、第1直管部16Aにおける、湾曲部17に連なる端部とは反対の端部に設けられる。受口13A内には、第1配管55Aの端部が配置される。
受口13Bの内径は、第2直管部16Bの内径よりも大きい。受口13Bは、第2直管部16Bにおける、湾曲部17に連なる端部とは反対の端部に設けられる。すなわち、受口13A,13Bは、継手本体12の端部に設けられる。
受口13B内には、第2配管55Bの端部が配置される。
なお、接続部は受口13A,13Bであるとしたが、差口、フランジ等でもよい。
【0028】
以下では、第1直管部16Aの軸線(中心軸線)を、軸線O1と言う。第2直管部16Bの軸線を、軸線O2と言う。軸線O1,O2、及び湾曲部17の軸線(中心軸線)を含む軸線を、軸線Oと言う。
また、軸線Oに直交する方向を径方向と言い、軸線O回りに周回する方向を周方向と言う。軸線O1に沿った、第1直管部16Aに対する受口13A側を一端側F1と言い、受口13Aに対する第1直管部16A側を他端側R1と言う。軸線O2に沿った、第2直管部16Bに対する受口13B側を一端側F2と言い、受口13Bに対する第2直管部16B側を他端側R2と言う。
【0029】
図2及び図3に示すように、保温部材21は、管継手11を収容する。保温部材21は、継手収容部材22と、連結手段23と、重なり部24と、挟み部25と、を備える。
継手収容部材22の形状は、特に限定されない。本実施形態では、継手収容部材22は、例えば、エルボ部材収容部26と、第1保持筒部28Aと、第2保持筒部28Bと、を備えている。
エルボ部材収容部26は、図2に示すように、例えば、管継手11の継手本体12の外形よりも大径に形成される。エルボ部材収容部26は、継手本体12の外形形状と略相似に形成された湾曲する筒状とされる。エルボ部材収容部26(後述する分割境界部35Lb,35Rb同士を連結した継手収容部材片35L,35Rの一端側F1の端部)は、筒状である。
【0030】
第1保持筒部28Aは、環状部材31Aと、筒状部材32Aと、を有する。
環状部材31A及び筒状部材32Aは、軸線O1と同軸に配置される。環状部材31Aは、接続部材収容部27における一端側F1の端部から径方向内側(内方)に延びる。筒状部材32Aは、環状部材31Aにおける径方向内側の端部から一端側F1に延びる。
筒状部材32A内には、管継手11の受口13Aが配置される。筒状部材32Aと受口13Aとの間は、気密に保持される。
【0031】
第2保持筒部28Bは、環状部材31Bと、筒状部材32Bと、を有する。
環状部材31B及び筒状部材32Bは、軸線O2と同軸に配置される。環状部材31Bは、エルボ部材収容部26における一端側F2の端部から径方向内側に延びる。筒状部材32Bは、環状部材31Bにおける径方向内側の端部から一端側F2に延びる。
筒状部材32B内には、管継手11の受口13Bが配置される。筒状部材32Bと受口13Bとの間は、気密に保持される。
継手収容部材22と管継手11との間に、空気層S1が形成される。空気層S1には、空気が収容される。空気層S1は、継手本体12における周方向の全周にわたって形成される。
【0032】
図2及び図3に示すように、継手収容部材22は、例えば、軸線Oを含む分割面S6により分割される第1継手収容部材片(部材、複数の部材のうちの他)35Lと、第2継手収容部材片(部材、複数の部材のうちの少なくとも1)35Rとからなる。すなわち、継手収容部材22は、複数(本実施形態では2つ)の継手収容部材片35L,35Rからなる。なお、継手収容部材22は、3つ以上の継手収容部材片からなってもよい。
第1継手収容部材片35Lは、継手収容部材22の分割面S6に対する一方側(例えば左側)半分を構成する。第2継手収容部材片35Rは、継手収容部材22の分割面S6に対する他方側(例えば右側)半分を構成する。
ここで、図3に示すように、継手収容部材片35L,35Rそれぞれを構成する外形の端部(縁部)を、境界部35La,35Raと言う。境界部35La,35Raのうち、継手収容部材22から継手収容部材片35L,35Rが分離される際に互いに離間する部分を、分割境界部35Lb,35Rbと言う。分割境界部35Lb,35Rbは、互いに突き合わせ可能な端部である。
【0033】
継手収容部材片35L,35Rの分割境界部35Lb,35Rb同士を連結して継手収容部材22を構成することにより、継手収容部材22内に図2に示す空間S2が形成される。管継手11は、空間S2に収容される。
継手収容部材片35L,35Rが離間、分割されると、管継手11が通過可能な開口部(符号省略)が形成される。
【0034】
連結手段23は、継手収容部材片35L,35Rの分割境界部35Lb,35R同士を機械的に連結させる。図3に示すように、連結手段23は、第1係合部40と、第2係合部41と、を有する。
保温部材21が備える連結手段23の数に制限は無いが、本実施形態では、継手収容部材片35L,35Rには複数(本実施形態では3つ)の係合部41,40が設けられる。なお、第2継手収容部材片35Rに設けられる第1係合部40の数、及び第1継手収容部材片35Lに設けられる第2係合部41の数は、互いに等しい。
係合部40,41は、接続部材収容部27における継手本体12が湾曲する外側(以下では、湾曲の外側と言う)の部分、内側(以下では、湾曲の内側と言う)の部分にそれぞれ設けられる。係合部40,41は、エルボ部材収容部26における湾曲の外側の部分であって一端側F2の端部に設けられる。
【0035】
第1係合部40は、第2継手収容部材片35Rの分割境界部35Rbにおける湾曲の内側の部分、及び第1継手収容部材片35Lの分割境界部35Lbにおける湾曲の外側の部分にそれぞれ設けられる。第2係合部41は、第1継手収容部材片35Lの分割境界部35Lbにおける湾曲の内側の部分、及び第2継手収容部材片35Rの分割境界部35Rbにおける湾曲の外側の部分にそれぞれ設けられる。
第2係合部41は、第1係合部40と周方向に係合する。
【0036】
図4に示すように、例えば、第1係合部40は、係合爪部44と、アーム部45と、を有する。
ここで、周方向の一方であって、第1係合部40が設けられる第2継手収容部材片35Rの分割境界部35Rbが向く側を、先端側F4と言う。周方向のうち、先端側F4とは反対側を基端側R4と言う。
係合爪部44は、第2継手収容部材片35Rの分割境界部35Rbよりも先端側F4に配置される。係合爪部44における径方向外側(外方)の面は、基端側R4に向かうに従い径方向外側に向かうように傾斜したテーパ面44Tである。
アーム部45は、係合爪部44の基端側R4に形成される。アーム部45は、第2継手収容部材片35Rの外面(径方向外側の面)に連なる。係合爪部44とアーム部45との間には、係合爪部44がアーム部45よりも径方向外側に向かって突出することで引掛り段差部40Lが形成される。
【0037】
第2係合部41は、係止壁部48と、一対の脚部49と、を有する。
係止壁部48は、第1継手収容部材片35Lの外面から径方向外側に離間した位置に設けられる。一対の脚部49は、係止壁部48における軸線O1方向の各端部から、径方向内側に第1継手収容部材片35Lまで延びる。係止壁部48及び一対の脚部49により、第2係合部41を周方向に貫く貫通孔41aが形成される。
なお、第2係合部は、脚部49を一方だけ備えてもよい。この場合、第2係合部に貫通孔41aが形成されず、第2係合部は片持ち構造となる。
前記係合爪部44は、第2係合部41の貫通孔41a(第1継手収容部材片35Lと係止壁部48との間)を通過可能である。
引掛り段差部40Lは、係止壁部48に対して周方向に係合する。
【0038】
図3に示すように、重なり部24は、板状である。重なり部24は、第2継手収容部材片35Rにおける湾曲の内側となる分割境界部35Rbの外面に、第1係合部40を避けるように設けられる。さらに、重なり部24は、第1継手収容部材片35Lにおける湾曲の外側となる分割境界部35Lbの外面に、第1係合部40を避けるように設けられる。
図4に示すように、挟み部25は、板状である。挟み部25は、第2継手収容部材片35Rの内面に、第1係合部40のアーム部45に対して径方向に対向するように設けられる。挟み部25は、分割境界部35Rbよりも先端側F4に突出する。挟み部25は、第1継手収容部材片35Lの分割境界部35Lbを、アーム部45とともに径方向に挟む。
【0039】
第1継手収容部材片35L、及び第1継手収容部材片35Lに設けられる重なり部24、挟み部25、係合部40,41は、塩化ビニル樹脂、オレフィン系樹脂、ABS等の合成樹脂等で、一体に形成される。この合成樹脂は、弾性を有する材料である。この合成樹脂の色は、透明でもよいし、不透明でもよい。
第2継手収容部材片35Rについても、第1継手収容部材片35Lと同様である。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の保温部材21では、継手収容部材22が、分割境界部35Lb,35Rbで離間及び連結可能な継手収容部材片35L,35Rからなるため、分割境界部35Lb,35Rb同士が互いに離間したときに継手収容部材片35L,35R間に形成される開口部を通して、継手収容部材22の空間S2に管継手11を容易に収容させることができる。
継手収容部材片35L,35Rの分割境界部35Lb,35Rb同士を、係合部40,41を有する連結手段23により機械的に連結させるため、継手収容部材片35L,35Rが形成されている材料によらず、継手収容部材片35L,35R同士を容易に連結することができる。
【0041】
連結手段23は、第1係合部40と第2係合部41とを有する。このため、第1係合部40と第2係合部41とを互いに係合させることにより、継手収容部材片35L,35Rの分割境界部35Lb,35Rb同士を、容易に機械的に連結させることができる。
第2係合部41は係止壁部48を有し、第1係合部40は係合爪部44とアーム部45とを有する。アーム部45を径方向内側に向かって弾性的に変形させることにより、係止壁部48と引掛り段差部40Lとの係合を解除することができる。そして、係合爪部44が第1継手収容部材片35Lと係止壁部48との間を通過することにより、第2継手収容部材片35Rと第1継手収容部材片35Lとを分離させることができる。
一方で、アーム部45を径方向内側に向かって弾性的に変形させた状態で、係合爪部44に第1継手収容部材片35Lと係止壁部48との間を通過させ、アーム部45の変形を解除すると、アーム部45が径方向外側に向かって復元変形し、引掛り段差部40Lが係止壁部48に係合する。
従って、係止壁部48、係合爪部44、及びアーム部45という簡単な構成で、継手収容部材片35L,35Rの分割境界部35Lb,35Rb同士を機械的に連結させることができる。このため、保温部材21の製造が容易になる。
【0042】
係合爪部44にテーパ面44Tが形成されているため、第2係合部41の貫通孔41aに係合爪部44を挿入しやすくなる。
保温部材21が、挟み部25を備える。アーム部45及び挟み部25により、継手収容部材片35L,35Rの分割境界部35Lb,35Rb間を通した、空気層S1と保温部材21の外部の空気との間の流れを、より確実に抑制することができる。
【0043】
本実施形態の保温継手は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図5及び図6に示す第1変形例の保温部材21Aのように、保温部材21の重なり部24及び挟み部25に代えて、第1重なり部60を備えてもよい。
例えば、第1重なり部60は板状に形成され、第2継手収容部材片35Rの外面に配置される。第1重なり部60は、アーム部45(第1係合部40)に対して、第2継手収容部材片35Rの分割境界部35Rbに沿って位置をずらして配置される。第1重なり部60は、第1継手収容部材片35Lの外面に接触する。第1重なり部60が分割境界部35Rbから先端側F4に向かって延びる長さについては、第1係合部40と第2係合部41とを係合させる工程で説明する。
【0044】
第1重なり部60及びアーム部45は、第2継手収容部材片35Rの分割境界部35Rbに、分割境界部35Rbに沿って位置をずらして配置される。このため、アーム部45が径方向に向かって弾性的に変形すると、その変形に連動して第1重なり部60が径方向に向かって移動する。
【0045】
図7に示すように、保温部材21Aにおいて、継手収容部材片35L,35Rが分離した状態から、第1係合部40と第2係合部41とを係合させて継手収容部材片35L,35Rの分割境界部35Lb,35Rb同士を連結するときには、係合爪部44が係止壁部48に接触するよりも先に、第1重なり部60が第1継手収容部材片35Lの外面に接触する。これにより、第1重なり部60が第1継手収容部材片35Lの外面に乗り上げる。
【0046】
第1変形例の保温部材21Aでは、第1重なり部60が第1継手収容部材片35Lの外面に接触してから、係合爪部44が係止壁部48に接触することによりアーム部45が径方向内側に向かって弾性的に変形するのに連動して、第1重なり部60も径方向内側に向かって移動しようとする。ただし、第1重なり部60の移動は、第1継手収容部材片35Lの外面に規制される。
その後、図8に示すように、係合爪部44が貫通孔41aを通過する際に、アーム部45が径方向内側に向かって弾性的に変形するが、第1重なり部60の径方向内側に向かう移動は、第1継手収容部材片35Lの外面に規制される。
従って、継手収容部材片35L,35Rの分割境界部35Lb,35Rb同士を連結するときに、第1重なり部60を第1継手収容部材片35Lの外面に、容易に接触させることができる。そして、この第1重なり部60により、継手収容部材片35L,35Rの分割境界部35Lb,35Rb間を通した、空気層S1と保温部材21Aの外部の空気との間の流れを抑制することができる。
【0047】
なお、図9に示す第2変形例の保温部材21Bでは、継手収容部材片35L,35Rの分割境界部35Lb,35Rb同士を連結するときには、係合爪部44が係止壁部48に接触してから、第1重なり部60が第1継手収容部材片35Lの外面に接触する。このため、係合爪部44が係止壁部48に接触することによりアーム部45が径方向内側に向かって弾性的に変形するのに連動して、第1重なり部60も径方向内側に向かって移動する。移動した第1重なり部60が第1継手収容部材片35Lに突き当たる等して、第1重なり部60を第1継手収容部材片35Lの外面に接触させ難くなる。
【0048】
図10に示す第3変形例の保温部材21Cのように、保温部材21Aの第1係合部40、第2係合部41、及び重なり部24に代えて、第1係合部65、突部(第2係合部)66、及び第2重なり部67を備えてもよい。
突部66は、第1継手収容部材片35Lの外面に設けられている。突部66は、第1継手収容部材片35Lの外面から径方向外側に向かって突出する。
第1係合部65において、係合爪部44とアーム部45との間には、係合爪部44がアーム部45よりも径方向内側に向かって突出することで引掛り段差部65Lが形成される。引掛り段差部65Lは、突部66に対して周方向に係合する。
【0049】
第2重なり部67は、第2継手収容部材片35Rに、アーム部45に対して、第2継手収容部材片35Rの分割境界部35Rbに沿って位置をずらして配置される。第2重なり部67は、第2継手収容部材片35Rの分割境界部35Rbよりも先端側F4に突出する。第2重なり部67は、第1継手収容部材片35Lの外面に接触する。
【0050】
第3変形例の保温部材21Cでは、アーム部45を径方向外側に向かって弾性的に変形させることにより、突部66と引掛り段差部65Lとの係合を解除することができる。そして、第2継手収容部材片35Rと第1継手収容部材片35Lとを分離させることができる。
一方で、保温部材21Cにおいて、継手収容部材片35L,35Rが分離した状態から、第1係合部65と突部66とを係合させて継手収容部材片35L,35Rの分割境界部35Lb,35Rb同士を連結するときには、以下の工程を行う。すなわち、図11に示すように、アーム部45を径方向外側に向かって弾性的に変形させた状態で、係合爪部44に突部66を乗り越えさせ、アーム部45の変形を解除すると、アーム部45が径方向内側に向かって復元変形し、引掛り段差部65Lが突部66に対して周方向に係合する。
従って、突部66、係合爪部44、及びアーム部45という簡単な構成で、継手収容部材片35L,35Rの分割境界部35Lb,35Rb同士を機械的に連結させることができる。
【0051】
図12及び図13に示す第4変形例の保温部材21Dでは、第3変形例の保温部材21Cの第1係合部65及び突部66に代えて、突条70及び係合条部71を備える。
突条70は、第2継手収容部材片35Rの分割境界部35Rbにおける外面に設けられる。突条70は、分割境界部35Rbの全長にわたって設けられることが好ましい。
係合条部71は、本体74と、係合条75と、を有する。本体74は、第1継手収容部材片35Lの分割境界部35Lbにおける外面に設けられる。本体74は、分割境界部35Lbよりも先端側に突出する。係合条75は、本体74における先端側の端部から、径方向内側に突出する。係合条部71は、分割境界部35Lbの全長にわたって設けられることが好ましい。
突条70、及び係合条部71の係合条75は、周方向に係合する。
このように構成された第4変形例の保温部材21Dでは、継手収容部材片35L,35R同士を、分割境界部35Lb,35Rbの全長にわたって係合させることができる。
なお、突条70が第1継手収容部材片35Lに設けられ、係合条部71が第2継手収容部材片35Rに設けられてもよい。
【0052】
例えば、継手収容部材片35L,35Rにおける湾曲の外側は、係合部40,41を有する連結手段23に代えて、ヒンジにより連結されてもよい。
【0053】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図14から図16を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図14及び図15に示すように、本実施形態の保温部材80は、第1実施形態の保温部材21における連結手段23に代えて、連結手段81を備える。連結手段81は、保温部材80における、受口13A,13Bを保持する各端部に設けられることが好ましい。
以下では、受口13Aを保持する連結手段81について説明する。
【0054】
連結手段81は、分割境界部35Lb,35Rb同士を連結した継手収容部材片35L,35Rの一端側F1の端部の外面に形成された溝82と、継手収容部材片35L,35R同士を連結する袋ナット83と、を有する。
溝82は、周方向に延びる。本実施形態では、溝82は、継手収容部材片35L,35Rに跨って軸線O1周りに螺旋状に形成されることが好ましい。螺旋状に形成された溝82により、雌ネジ85が形成される。
図14に示すように、分割境界部35Lb,35Rb同士を連結した継手収容部材片35L,35Rにおいて、軸線O1に沿う一端側F1から他端側R1(端部から中央部)に向かうに従い、溝82の底面は、軸線O1から離間することが好ましい。
なお、溝82は、継手収容部材片35L,35Rの一方のみに形成されてもよい。
【0055】
袋ナット83は、筒状部材87と、突起88と、を有する。筒状部材87は、側壁89と、底壁90と、を有する。
側壁89は、筒状に形成され分割境界部35Lb,35Rb同士を連結した継手収容部材片35L,35Rの一端側F1の端部を、径方向外側から覆う。
底壁90は、環状に形成され、側壁89における一端側F1の端部に設けられる。底壁90は、側壁89の端部から径方向内側に向かって突出する。
突起88は、側壁89の内周面に設けられる。突起88は、雌ネジ85(溝82)に係合可能である。突起88は、軸線O1周りに螺旋状に形成されることが好ましい。螺旋状に形成された突起88により、雄ネジ91が形成される。
【0056】
以上のように構成された本実施形態の保温部材80では、分割境界部35Lb,35Rb同士を連結した継手収容部材片35L,35Rの端部を、筒状部材87により径方向外側から覆うとともに、継手収容部材片35L,35Rの端部に形成された溝82に突起88を係合させる。これにより、継手収容部材片35L,35Rの端部に対して筒状部材87が、軸線O1に沿う方向に移動し難くなり、継手収容部材片35L,35Rの分割境界部35Lb,35Rb同士を、容易に機械的に連結させることができる。
一端側F1から他端側R1に突起88が向かうに従い、溝82の底面に突起88がより強く接触する。従って、突起88が他端側R1に向かうように筒状部材87を軸線O1回りに締め付けるのに従い、突起88が設けられた筒状部材87を、溝82が形成された継手収容部材片35L,35Rの端部により強く固定することができる。
【0057】
なお、図16に示す第1変形例の保温部材80Aのように、第2実施形態の保温部材80の連結手段81に代えて、連結手段81Aを備えてもよい。連結手段81Aは、連結手段81の各構成に加えて、封止部材94を有する。
封止部材94は、合成樹脂等の弾性を有する材料で環状に形成される。封止部材94は、継手収容部材片35L,35Rの一端側F1の端面と、底壁90との間に配置される。封止部材94の内周縁は、受口13Aの外面に接触する。封止部材94は、継手収容部材片35L,35R(継手収容部材22)と管継手11との間を封止する。
【0058】
このように構成された第1変形例の保温部材80Aでは、封止部材94により、継手収容部材片35L,35Rと管継手11との間を通した、空気層S1と保温部材80Aの外部の空気との間の流れを抑制することができる。
また、溝は、いわゆるバヨネット溝であってもよい。
【0059】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図17から図19を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図17及び図18に示すように、本実施形態の保温部材100は、第1実施形態の保温部材21における連結手段23に代えて、連結手段101を備える。
連結手段101は、継手収容部材片35L,35Rに設けられた第3係合部103と、キャップ104と、を有する。
第3係合部103は、継手収容部材片35L,35Rの外面に設けられた突起である。第3係合部103は、継手収容部材片35L,35Rの外面に、周方向の全周にわたって設けられていることが好ましい。
キャップ104は、前記筒状部材87と、第4係合部107と、を有する。
第4係合部107は、側壁89(筒状部材87)の内面に設けられた突起である。第4係合部107は、側壁89に、周方向の全周にわたって設けられていることが好ましい。
第4係合部107は、第3係合部103に対して軸線O1方向に係合可能である。
【0060】
以上のように構成された本実施形態の保温部材100では、分割境界部35Lb,35Rb同士を連結した継手収容部材片35L,35Rの端部を、筒状部材87により径方向外側から覆うとともに、継手収容部材片35L,35Rに設けられた第3係合部103に筒状部材87に設けられた第4係合部107を軸線O1方向に係合させる。これにより、継手収容部材片35L,35Rの端部に対して筒状部材87が軸線O1方向に移動し難くなり、継手収容部材片35L,35Rの分割境界部35Lb,35Rb同士を、容易に機械的に連結させることができる。
【0061】
なお、図19に示す第1変形例の保温部材100Aのように、第3実施形態の連結手段101に代えて、連結手段101Aを備えてもよい。連結手段101Aは、連結手段101の各構成に加えて、前記封止部材94を有する。
第1変形例の保温部材100Aによっても、前記実施形態の第1変形例の保温部材80Aと同様の効果を奏することができる。
【0062】
以上、本発明の第1実施形態から第3実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記第1実施形態では、図20に示す保温継手10Eのように、管継手11Aは、3つの受口を有する、いわゆるチーズ型の継手でもよい。前記第2実施形態及び第3実施形態についても、同様である。
保温部材が、第1実施形態の連結手段23及び第2実施形態の連結手段81を備えてもよい。保温部材が、第1実施形態の連結手段23及び第3実施形態の連結手段101を備えてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10,10E 保温継手
11,11A 管継手
12 継手本体
13A 受口(接続部)
13B 受口(接続部)
21,21A,21B,21C,21D,80,80A,100,100A 保温部材
22 継手収容部材
23,81,81A,101,101A 連結手段
35L 第1継手収容部材片(部材、複数の部材のうちの他)
35Lb,35Rb 分割境界部
35R 第2継手収容部材片(部材、複数の部材のうちの少なくとも1)
40,65 第1係合部
40L,65L 引掛り段差部
41 第2係合部
44 係合爪部
45 アーム部
48 係止壁部
66 突部(第2係合部)
67 第2重なり部
82 溝
87 筒状部材
94 封止部材
103 第3係合部
107 第4係合部
O1 軸線
R4 基端側
S1 空気層
S2 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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図17
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図19
図20