IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社神戸製鋼所の特許一覧

特許7530336染色浸透探傷検査装置および染色浸透探傷検査方法
<>
  • 特許-染色浸透探傷検査装置および染色浸透探傷検査方法 図1
  • 特許-染色浸透探傷検査装置および染色浸透探傷検査方法 図2
  • 特許-染色浸透探傷検査装置および染色浸透探傷検査方法 図3
  • 特許-染色浸透探傷検査装置および染色浸透探傷検査方法 図4
  • 特許-染色浸透探傷検査装置および染色浸透探傷検査方法 図5
  • 特許-染色浸透探傷検査装置および染色浸透探傷検査方法 図6
  • 特許-染色浸透探傷検査装置および染色浸透探傷検査方法 図7
  • 特許-染色浸透探傷検査装置および染色浸透探傷検査方法 図8
  • 特許-染色浸透探傷検査装置および染色浸透探傷検査方法 図9
  • 特許-染色浸透探傷検査装置および染色浸透探傷検査方法 図10
  • 特許-染色浸透探傷検査装置および染色浸透探傷検査方法 図11
  • 特許-染色浸透探傷検査装置および染色浸透探傷検査方法 図12
  • 特許-染色浸透探傷検査装置および染色浸透探傷検査方法 図13
  • 特許-染色浸透探傷検査装置および染色浸透探傷検査方法 図14
  • 特許-染色浸透探傷検査装置および染色浸透探傷検査方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】染色浸透探傷検査装置および染色浸透探傷検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/91 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
G01N21/91 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021099598
(22)【出願日】2021-06-15
(65)【公開番号】P2022191004
(43)【公開日】2022-12-27
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100218132
【弁理士】
【氏名又は名称】近田 暢朗
(72)【発明者】
【氏名】森田 啓
(72)【発明者】
【氏名】荒木 要
(72)【発明者】
【氏名】西田 吉晴
(72)【発明者】
【氏名】大上 暁
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-091244(JP,A)
【文献】実開昭58-071156(JP,U)
【文献】特開2009-066702(JP,A)
【文献】国際公開第2014/184337(WO,A1)
【文献】特開平7-063704(JP,A)
【文献】特開2008-309603(JP,A)
【文献】特開2021-085683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/61
G01B 11/00-11/30
G06T 7/00- 7/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と側面を有する検査対象部品を固定する置台と、
前記上面と前記側面を有する前記検査対象部品の形状を自動的に認識する形状認識ユニットと、
前記検査対象部品に染色用の浸透液を塗布する第1塗布ユニットと、
前記検査対象部品から浸透液を拭き取る拭き取りユニットと、
前記検査対象部品に現像液を塗布する第2塗布ユニットと、
前記形状認識ユニット、前記第1塗布ユニット、前記拭き取りユニット、および前記第2塗布ユニットを順に動作させる制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記形状認識ユニットで認識した前記上面と前記側面を有する前記検査対象部品の形状に応じて前記検査対象部品の前記上面および前記側面を拭き取るように前記拭き取りユニットを制御し、
前記形状認識ユニットは、前記検査対象部品の輪郭を認識するための撮像装置を有し、
前記撮像装置は、前記検査対象部品を上方から撮像するように配置されたToFカメラである、染色浸透探傷検査装置。
【請求項2】
前記検査対象部品の厚みは、前記撮像装置の撮像分解能よりも小さく、
前記置台は、前記撮像分解能よりも大きな高さを有し、平面視において前記検査対象部品に隠れるように配置される、請求項に記載の染色浸透探傷検査装置。
【請求項3】
前記形状認識ユニットは、前記検査対象部品ごとに用意された形状コードを読み取るための読取装置を有している、請求項1または請求項2に記載の染色浸透探傷検査装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記形状認識ユニットで認識した前記検査対象部品の形状を包含する領域に前記拭き取りユニットの拭き取りパスを設定する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の染色浸透探傷検査装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記上面と前記側面を有する前記検査対象部品の前記上面および前記上面と隣接する前記側面の一部のみを拭き取るように前記拭き取りユニットを制御する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の染色浸透探傷検査装置。
【請求項6】
上面と側面を有する検査対象部品を固定する置台と、
前記上面と前記側面を有する前記検査対象部品の形状を自動的に認識する形状認識ユニットと、
前記検査対象部品に染色用の浸透液を塗布する第1塗布ユニットと、
前記検査対象部品から浸透液を拭き取る拭き取りユニットと、
前記検査対象部品に現像液を塗布する第2塗布ユニットと、
を備える染色浸透探傷検査装置において、
前記形状認識ユニット、前記第1塗布ユニット、前記拭き取りユニット、および前記第2塗布ユニットを順に自動的に動作させるとともに、前記形状認識ユニットで認識した前記上面と前記側面を有する前記検査対象部品の形状に応じて前記上面と前記側面を拭き取るように前記拭き取りユニットの拭き取りパスを生成することを含み、
前記形状認識ユニットは、前記検査対象部品の輪郭を認識するための撮像装置を有し、
前記撮像装置は、前記検査対象部品を上方から撮像するように配置されたToFカメラである、染色浸透探傷検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染色浸透探傷検査装置および染色浸透探傷検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象部品の表面の傷を検査する浸透探傷検査が知られている。浸透探傷検査では、検査対象部品の表面に浸透液を塗布し、傷に浸透液を浸透させる。次いで、傷の中の浸透液を残してそれ以外の浸透液(余剰浸透液)を除去する。そして、傷の中の浸透液を検出することで、検査対象部品の表面の傷の有無を検査する。
【0003】
特許文献1には、紫外線に反応する蛍光性を有する浸透液を使用した蛍光浸透探傷検査が開示されている。蛍光浸透探傷検査では、傷の中の浸透液を検出する際に紫外線を照射し、蛍光性を有する浸透液を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-158408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記蛍光浸透探傷検査では、装置の構造上、検査対象部品の大きさに制限があり、大型の検査対象部品の検査には適さない。これに対し、検査対象部品の大きさの制限が緩和された他の浸透探傷検査として、染色性を有する浸透液を使用する染色浸透探傷検査が知られている。染色浸透探傷検査では、検査対象部品の表面に浸透液を塗布し、傷に浸透液を浸透させる。次いで、検査対象部品の表面に現像液を塗布し、現像液によって傷の中の浸透液を吸い出す。傷がある場合には浸透液によって指示模様が形成される。
【0006】
染色浸透探傷検査では、傷の中の浸透液を残してそれ以外の浸透液(余剰浸透液)を拭き取ることが必要である。一般に、余剰浸透液の拭き取り作業はウエスを用いて人の手によって行われる。しかし、検査対象部品ごとに形状は異なり、拭き取りの力加減も難しく、熟練したスキルが必要であり、素人が行うと検査品質にばらつきが生じる。また、浸透液が傷に浸透するまでの待機時間や現像液が浸透液を吸い出すまでの待機時間が必要であるため、熟練したスキルをもつ人員が待機時間中拘束される非効率な現状となっている。
【0007】
本発明は、安定した検査品質の自動化された染色浸透探傷検査装置および染色浸透探傷検査方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は
検査対象部品を固定する置台と、
前記検査対象部品の形状を自動的に認識する形状認識ユニットと、
前記検査対象部品に染色用の浸透液を塗布する第1塗布ユニットと、
前記検査対象部品から浸透液を拭き取る拭き取りユニットと、
前記検査対象部品に現像液を塗布する第2塗布ユニットと、
前記形状認識ユニット、前記第1塗布ユニット、前記拭き取りユニット、および前記第2塗布ユニットを順に動作させる制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記形状認識ユニットで認識した前記検査対象部品の形状に応じて前記検査対象部品の上面および側面を拭き取るように前記拭き取りユニットを制御する、染色浸透探傷検査装置を提供する。
【0009】
この構成によれば、制御装置によって、形状認識ユニット、第1塗布ユニット、拭き取りユニット、および第2塗布ユニットの動作を制御しているため、染色浸透探傷検査を自動的に実行できる。従って、人手を要することなく、染色浸透探傷検査を効率的に実現できる。また、検査対象部品が変更された場合でも形状認識ユニットによって検査対象部品の形状を自動的に認識できるため、検査対象部品が変更された場合でも安定した検査品質を確保できる。浸透液の拭き取りでは、上面だけでなく側面も拭き取るので、傷の誤検出を抑制できる。特に、検査対象部品の側面を拭き取る場合には、平面視における検査対象部品の輪郭を認識する必要があるため、形状認識ユニットが有効に機能する。また、人手を要する場合に比べて浸透液の拭き取り加減を安定させることができるため、検査品質を安定させることができる。なお、上記染色浸透探傷検査は、完全に自動化される必要はなく、一部の工程は人手によって行われてもよい。例えば、浸透液の検出工程などは目視で判断されてもよい。
【0010】
前記形状認識ユニットは、前記検査対象部品の輪郭を認識するための撮像装置を有してもよい。
【0011】
この構成によれば、未知の検査対象部品を検査対象としても正確にその輪郭を認識できる。換言すれば、検査対象部品の形状情報を取得する際に、予め用意した情報によらずに効率的に輪郭を認識できる。従って、当該輪郭に沿って特に側面を正確に拭き取ることができる。
【0012】
前記撮像装置は、前記検査対象部品を上方から撮像するように配置されたToF(Time of Flight)カメラであってもよく、
前記検査対象部品の厚みは、前記撮像装置の撮像分解能よりも小さくてもよく、
前記置台は、前記撮像分解能よりも大きな高さを有し、平面視において前記検査対象部品に隠れるように配置されてもよい。
【0013】
この構成によれば、厚みの薄い検査対象部品に対する正確な形状認識を実現できる。具体的には、置台は、撮像分解能よりも大きな高さを有し、平面視において検査対象部品に隠れるように配置されるため、ToFカメラによる撮像によって置台は撮像されずに検査対象部品の輪郭を正確に撮像できる。ここで、ToFカメラの撮像分解能とは、検査対象部品の厚み方向に関する分解能であり、ToFカメラで検査対象部品の輪郭を明確に認識できる最小値である。例えば、ToFカメラの撮像分解能(距離分解能)は一般に10mm程度であるため、検査対象部品の厚みが10mm未満の場合に上記構成が有効に機能する。
【0014】
前記形状認識ユニットは、前記検査対象部品ごとに用意された形状コードを読み取るための読取装置を有してもよい。
【0015】
この構成によれば、検査対象部品の形状を正確かつ容易に取得できる。ここで、形状コードは、例えば検査対象部品の形状を示すバーコードまたはQRコード(登録商標)などであり得る。
【0016】
前記制御装置は、前記形状認識ユニットで認識した前記検査対象部品の形状を包含する領域に前記拭き取りユニットの拭き取りパスを設定してもよい。
【0017】
この構成によれば、拭き取りユニットによる浸透液の拭き取り漏れを抑制できる。特に、検査対象部品が複雑な形状を有する場合に有効である。検査対象部品の形状を包含する領域は、簡易な形状にすることが好ましい。例えば、当該領域は、矩形または円形などに設定されてもよい。
【0018】
本発明の第2の態様は、
検査対象部品を固定する置台と、
前記検査対象部品の形状を自動的に認識する形状認識ユニットと、
前記検査対象部品に染色用の浸透液を塗布する第1塗布ユニットと、
前記検査対象部品から浸透液を拭き取る拭き取りユニットと、
前記検査対象部品に現像液を塗布する第2塗布ユニットと、
を備える染色浸透探傷検査装置において、
前記形状認識ユニット、前記第1塗布ユニット、前記拭き取りユニット、および前記第2塗布ユニットを順に自動的に動作させるとともに、前記形状認識ユニットで認識した前記検査対象部品の形状に応じて前記拭き取りユニットの拭き取りパスを生成することを含む、染色浸透探傷検査方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、安定した検査品質の自動化された染色浸透探傷検査装置および染色浸透探傷検査方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】置台に配置された検査対象部品の平面図。
図2】本発明の一実施形態に係る染色浸透探傷検査装置の模式的な第1側面図。
図3】本発明の一実施形態に係る染色浸透探傷検査装置の模式的な第2側面図。
図4】本発明の一実施形態に係る染色浸透探傷検査装置の模式的な第3側面図。
図5】本発明の一実施形態に係る染色浸透探傷検査装置の模式的な第4側面図。
図6】本発明の一実施形態に係る染色浸透探傷検査装置の模式的な第5側面図。
図7】制御装置のブロック図。
図8】浸透液が塗布された検査対象部品の斜視図。
図9】拭き取りパスを示す検査対象部品の平面図。
図10図9の領域Xの拭き取りパスを示す模式図。
図11】浸透液が拭き取られた検査対象部品の斜視図。
図12】本発明の一実施形態に係る染色浸透探傷検査方法のフローチャート。
図13】第1変形例における染色浸透探傷検査装置の模式的な側面図。
図14】第2変形例における染色浸透探傷検査装置の模式的な側面図。
図15】第2変形例における置台に配置された検査対象部品の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0022】
図1は、置台10に配置された検査対象部品2の平面図である。
【0023】
本実施形態では、検査対象部品2の表面の傷の有無を検査する染色浸透探傷検査装置1について説明する。
【0024】
本実施形態における検査対象部品2は、軸受などに使用されるウェアリングである。検査対象部品2は、滑らかな表面を有する環状の金属部材である。ただし、検査対象部品2の態様は特に限定されず、本実施形態の染色浸透探傷検査装置1は任意の部品を対象とし得る。
【0025】
図2~6は、本発明の一実施形態に係る染色浸透探傷検査装置1の模式的な第1~5側面図である。
【0026】
染色浸透探傷検査装置1は、6軸駆動可能な多関節型のアーム5を有している。アーム5は、先端のユニットを交換可能に構成されている。図2では、アーム5の先端に形状認識ユニット20が取り付けられている。図3では、アーム5の先端に第1塗布ユニット30が取り付けられている。図4,5では、アーム5の先端に拭き取りユニット40が取り付けられている。図6では、アーム5の先端に第2塗布ユニット50が取り付けられている。形状認識ユニット20、第1塗布ユニット30、拭き取りユニット40、および第2塗布ユニット50は、自動的に交換されてもよいし、人手によって交換されてもよい。
【0027】
また、染色浸透探傷検査装置1は、置台10と、形状認識ユニット20と、第1塗布ユニット30と、拭き取りユニット40と、第2塗布ユニット50と、制御装置60とを有している。
【0028】
置台10は、検査対象部品2を固定する機能を有している。本実施形態では、置台10は、平坦な上面11と、上面11に載置された検査対象部品2の水平方向の移動を規制する第1固定クランプ12および3つの第2固定クランプ13とを有している。第1固定クランプ12は、平面視において置台10の中心に向かってV字形に開いた形状を有している。3つの第2固定クランプ13は、第1固定クランプ12とともに検査対象部品2を挟み込むように配置されている。3つの第2固定クランプ13は、磁性を有し、所定の金属を吸着できるようになっている。
【0029】
置台10の上記構造は一例であり、当該構造に限定されるものではない。代替的な構造については後述する変形例にて説明する。
【0030】
図2を参照して、形状認識ユニット20は、検査対象部品2の形状を自動的に認識する。本実施形態では、形状認識ユニット20は、検査対象部品2の輪郭を認識するための撮像装置21を有している。撮像装置21は、検査対象部品2を上方から撮像するように配置される。また、必要に応じてアーム5を動かして撮影方向を変更してもよい。なお、検査対象部品2を置台10に固定するのではなく、検査対象部品2を動かすことにより撮影方向を変更してもよい。また、撮像装置21は、アーム5に代えて一般的な三脚によって固定されてもよい。
【0031】
本実施形態では、撮像装置21は、ToF(Time of Flight)カメラである。ToFカメラは、光パルスを出力し、その光パルスを受けた検査対象部品2からの散乱光を受光し、光パルスの発生時刻と受光時刻の時間差を算出することで、検査対象部品2までの距離を計測する。このような計測処理を画素単位で行う形状認識処理プログラムにより、検査対象部品2の形状(輪郭)を取得できる。
【0032】
また、上記形状認識処理プログラムにおいて、より鮮明に検査対象部品2の形状を認識できるように、メディアンフィルタまたは膨張収縮処理などのノイズ除去処理が実行されてもよい。また、ソーベルフィルタなどの輪郭検出処理を実行することで輪郭のみを強調して抽出してもよい。さらに、得られた輪郭が強調された画像に対して、二値化処理と重心計算処理を行い、検査対象部品2の輪郭を精度よく検出してもよい。
【0033】
なお、撮像装置21は、ToFカメラに限らず、検査対象部品2を撮像できる任意の装置であり得る。いずれの場合でも撮像装置21によって撮像した画像から公知の形状認識処理プログラムにより検査対象部品2の形状を取得できる。
【0034】
図3を参照して、第1塗布ユニット30は、検査対象部品2に染色用の浸透液を塗布する。浸透液は、検出しやすい色(例えば赤色)の染色液である。本実施形態では、第1塗布ユニット30は、浸透液を噴霧するスプレー缶31を有している。代替的には、スプレー缶31のように使い切った後に交換を要するものではなく、詳細を図示しないが、浸透液を貯留するタンクを設け、当該タンクの浸透液を噴霧するディスペンサー型であってもよい。ディスペンサー型の場合、内部で浸透液が固着するのを防ぐため、浸透液の塗布作業以外の時間帯においても浸透液を所定の時間間隔で所定流量を吐出させるようにしてもよい。また、検査対象部品2に塗布する直前に所定流量を吐出させてもよい。これは以降のディスペンサー型のものにおいても同様である。
【0035】
染色液は、形状認識ユニット20によって形状認識された検査対象部品2の検査面(例えば上面)の全体に塗布される。染色液の塗布漏れのないように、染色液の塗布領域は、平面視において形状認識ユニット20によって形状認識された領域よりも広い領域に設定されてもよい。
【0036】
図4,5を参照して、拭き取りユニット40は、検査対象部品2の上面2aおよび側面2bから浸透液を拭き取る。本実施形態では、拭き取りユニット40は、粗拭きユニット41と、仕上げ拭きユニット42とを有している。
【0037】
図4に示す粗拭きユニット41は、浸透液を相対的に粗く拭き取る。本実施形態では、粗拭きユニット41は、浸透液を拭き取る撥水性部材41aを有している。撥水性部材41aは、浸透液を吸収し難い材質からなり、例えば自動車のワイパーに使用される弾性部材(樹脂製シート)などであり得る。粗拭きユニット41による拭き取りでは、撥水性部材41aの弾性を利用して検査対象部品2の表面に対して押し付け力を付与した状態で浸透液を拭き取る。
【0038】
図5に示す仕上げ拭きユニット42は、浸透液を相対的に細かく拭き取る。本実施形態では、仕上げ拭きユニット42は、浸透液を拭き取る吸水性部材42aを有している。吸水性部材42aは、浸透液を吸収し易い材質からなり、例えばいわゆるウエスと称される布などであり得る。また、仕上げ拭きユニット42は、吸水性部材42aを固定するための樹脂製の弾性部材42bを有している。弾性部材42bによって、仕上げ拭きユニット42による拭き取りにおいても粗拭きユニット41による拭き取りと同様に、検査対象部品2の表面に対して押し付け力を付与した状態で浸透液を拭き取ることができる。
【0039】
図6を参照して、第2塗布ユニット50は、検査対象部品2に現像液を塗布する。現像液は、浸透液を傷から吸い出し、指示模様を形成する性質を有している。本実施形態では、第2塗布ユニット50は、現像液を噴霧するスプレー缶51を有している。代替的には、第2塗布ユニット50もまたディスペンサー型であってもよい。
【0040】
現像液は、染色液と同様に形状認識ユニット20によって形状認識された検査対象部品2の検査面の全体に塗布される。現像液の塗布領域は、平面視おいて形状認識ユニット20によって形状認識された領域よりも広い領域に設定されてもよい。
【0041】
図7は、制御装置60のブロック図である。
【0042】
制御装置60は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)等のハードウェアと、それらに実装されたソフトウェアとにより構成されている。制御装置60は、入力部61と、記憶部62と、制御部63とを有している。
【0043】
入力部61は、染色浸透探傷検査装置1に対する入力データを取得する部分である。入力データは、入力部61で生成されてもよいし、入力部61外から受け取られてもよい。入力部61は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等によって構成される。本実施形態では、入力部61によって、染色浸透探傷検査における必要な設定を取得する。
【0044】
記憶部62は、制御部63で稼働するプログラムや染色浸透探傷検査に必要なパラメータデータ等が記録されている。
【0045】
制御部63は、例えば、ソフトウェアと協働して所定の機能を実現するCPUまたはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部63は、記憶部62に格納されたデータやプログラムを読み出して種々の演算処理を行うことで、所定の機能を実現する。制御部63によって実行されるプログラムは、所定の通信規格にしたがい通信を行う通信部等から提供されてもよいし、可搬性を有する記録媒体に格納されていてもよい。
【0046】
制御部63は、演算処理および装置全体の制御を行う。制御部63は、機能的構成として、形状認識ユニット制御部63aと、第1塗布ユニット制御部63bと、拭き取りユニット制御部63cと、第2塗布ユニット制御部63dとを有している。
【0047】
形状認識ユニット制御部63aは、形状認識ユニット20の動作を制御する。形状認識ユニット20は、当該制御によって、検査対象部品2の形状を認識する。本実施形態では、平面視における検査対象部品2の輪郭を取得する。
【0048】
第1塗布ユニット制御部63bは、第1塗布ユニット30の動作を制御する。第1塗布ユニット30は、当該制御によって、検査対象部品2の所定範囲に浸透液を塗布する。本実施形態では、検査対象部品2の上面2aを検査面とし、少なくとも上面2aの全体に浸透液を塗布する。
【0049】
図8は、浸透液が塗布された検査対象部品2の斜視図である。
【0050】
図8において、斜線で示される部分が浸透液の付着した部分を示している。検査対象部品2の上面2aの全体に浸透液を塗布した場合、検査対象部品2の側面2bにも部分的に浸透液が付着する。
【0051】
拭き取りユニット制御部63cは、粗拭きユニット41および仕上げ拭きユニット42の動作を制御する。拭き取りユニット制御部63cは、粗拭きユニット41の拭き取りを実行した後に仕上げ拭きユニット42の拭き取りを実行する。粗拭きユニット41および仕上げ拭きユニット42は、当該制御によって、設定されたパスに従って検査対象部品2の表面の浸透液を拭き取る。ここで、「パス」とは、拭き取りの軌跡のことをいう。
【0052】
図9は、拭き取りパスを示す検査対象部品2の平面図である。
【0053】
拭き取りパスは、検査対象部品2の形状に応じて設定される。
【0054】
本実施形態では、検査対象部品2が環状であるため、径方向のパスP1を設定してもよい。径方向のパスP1は周方向に等間隔に設定され、隣接するパスが重複するように設定される。好ましくは、パスP1は径方向の内側から外側へ拭き取るように設定される。また、周方向のパスP2を設定してもよい。径方向のパスP2は径方向に等間隔に設定され、隣接するパスが重複するように設定される。好ましくは、パスP2は径方向の内側から外側へ拭き取るように設定される。
【0055】
代替的には、検査対象部品2の縦方向のパスP3を設定してもよいし、横方向のパスP4を設定してもよい。
【0056】
図10は、図9の領域Xの拭き取りパスを模式的に示している。なお、拭き取りパスを明瞭に示すために検査対象部品2の図示を省略している。
【0057】
図10では、検査対象部品2の拭き取り領域Xが設定されている。拭き取り領域Xは、形状認識ユニット20で認識した検査対象部品2の形状を包含する領域として設定される。図示の例では、領域Xは矩形に設定されている。
【0058】
領域Xにて検査対象部品2の上面2aをまず拭き取る。拭き取りでは粗拭きを例に説明する。図10では、粗拭きユニット41の撥水性部材41aが、複数の縦パスP31~P33および複数の横パスP41~P44とともに図示されている。いずれのパスにおいても、現在のパスは次のパスへ向かって浸透液を掃き出すように粗拭きユニット41は制御されている。
【0059】
具体的には、パスP31,P32,P33の順に領域Xの矩形の縦方向に沿って拭き取る際に、パスP31からパスP32へ向かって浸透液を掃き出すように撥水性部材41aがパスP31に対して傾斜して配置されている。同様に、パスP32からパスP33へ向かって浸透液を掃き出すように撥水性部材41aがパスP32に対して傾斜して配置されている。
【0060】
また、パスP41,P42,P43,P44の順に領域Xの矩形の横方向に沿って拭き取る際に、パスP41からパスP42へ向かって浸透液を掃き出すように撥水性部材41aがパスP41に対して傾斜して配置されている。同様に、パスP42からパスP43へ向かって浸透液を掃き出すように撥水性部材41aがパスP42に対して傾斜して配置されている。同様に、パスP43からパスP44へ向かって浸透液を掃き出すように撥水性部材41aがパスP43に対して傾斜して配置されている。
【0061】
上記のようにして検査対象部品2の上面2aを拭き取った後、検査対象部品2の側面2bを拭き取る。本実施形態のように環状の検査対象部品2の場合、側面2bは内側面と外側面の両方を含む。当該側面2bの拭き取りでは、検査対象部品2の輪郭に沿って拭き取りパスが設定される。本実施形態では、検査対象部品2の側面2bに沿って円形に拭き取りパスが設定される。また詳細を後述するが、本実施形態では、側面2bの上部を拭き取る。このようにして、上面2aおよび側面2bの拭き取りを完了する。
【0062】
上記では、粗拭きユニット41を例に拭き取りパスを説明しているが、これは仕上げ拭きユニット42に対しても同様に適用できる。即ち、仕上げ拭きユニット42においても上面2aおよび側面2bを同様に拭き取ることができる。
【0063】
また、粗拭きユニット41と仕上げ拭きユニット42のパスは同一である必要はない。例えば、仕上げ拭きユニット42による拭き取りでは、タクトタイムを短縮できるように、一筆書きのパスや往復経路のパスが設定されてもよい。
【0064】
図11は、浸透液が拭き取られた検査対象部品2の斜視図である。
【0065】
本実施形態では、検査対象部品2の上面(検査面)2aの全体において浸透液が拭き取られるとともに、上面2aと隣接する側面2bの上部においても浸透液が拭き取られている。好ましくは、上面(検査面)2aと隣接する側面2bの一部を拭き取る場合、拭き取る範囲は上面2aと側面2bとの境界2cから数mm程度である。例えば、図示の例では、上面2aと側面2bとの境界2cから5mm程度拭き取られている(D=5mm)。代替的には、側面2bの全体を拭き取ってもよい。
【0066】
第2塗布ユニット制御部63dは、第2塗布ユニット50の動作を制御する。第2塗布ユニット50は、当該制御によって、検査対象部品2の所定範囲に現像液を塗布する。本実施形態では、検査対象部品2の上面2aを検査面とし、少なくとも上面2aの全体に現像液を塗布する。
【0067】
図11は、本実施形態に係る染色浸透探傷検査方法のフローチャートである。
【0068】
染色浸透探傷検査装置1は、図10に示すフローチャートに従って動作する。
【0069】
染色浸透探傷検査を開始すると(ステップS1)、検査対象部品2を置台10に固定する(ステップS2)。そして、検査対象部品2の形状を自動的に認識する(ステップS3)。
【0070】
検査対象部品2を洗浄する(ステップS4)。詳細には、検査対象部品2に塗布装置を用いて洗浄液を吹き付け、表面に付着した油膜や埃等を除去する。塗布装置は、スプレー缶型またはディスペンサー型などであり得る。吹き付け後、清掃拭きユニット(図示せず)をアーム5に装着し、検査対象部品2の表面に付着した洗浄液を拭き取る。なお、清掃拭きユニットとして仕上げ拭きユニット42が使用されてもよい。
【0071】
検査対象部品2の表面が乾燥するまで所定時間待機する(ステップS5)。代替的には、エアブローなどにより強制的に乾燥させてもよい。
【0072】
第1塗布ユニット30によって検査対象部品2に浸透液を塗布し、浸透液が浸透するまで所定時間待機する(ステップS6)。
【0073】
粗拭きユニット41によって検査対象部品2に塗布された浸透液(余剰浸透液)を拭き取る(ステップS7)。このとき、検査対象部品2の面粗度または加工痕状態によって、多少の拭き残し(拭き取りパスに沿って模様が残る程度)があってもよい。また、粗拭きユニット41による拭き取りでは、パス毎に撥水性部材41aに付着した浸透液を清掃する。このとき、図示しない清掃機などを利用して自動的に清掃することで拭き取り後の浸透液の液溜まり(拭き残し)を抑制できる。
【0074】
仕上げ拭きユニット42によって拭き残しの浸透液(余剰浸透液)を拭き取る(ステップS8)。仕上げ拭きユニット42によって浸透液を拭き取ることで、検査対象部品2に付着した余剰浸透液が完全に除去される。なお、仕上げ拭きユニット42による拭き取りはウエスなどの吸水性部材42aを使用するため、1回ごとに吸水性部材42aを交換することが好ましい。
【0075】
第2塗布ユニット50によって現像液を塗布し、所定時間待機する(ステップS9)。検査対象部品2の表面に傷が存在する場合、傷内部に存在する浸透液が現像液へ染み出ることとなる。従って、浸透液が現像液へ染み出るまで待機する。
【0076】
浸透液が現像液へ染み出るか否かを確認し、浸透液を検出する(ステップS10)。浸透液の検出は、目視で判断してもよい。代替的には、撮像装置(図示せず)によって検査対象部品2を撮像し、撮像した画像から浸透液の指示模様を検出するように画像認識を行ってもよい。浸透液が検出された場合(ステップS10:YES)、傷があるものと判断する(ステップS11)。また、浸透液が検出されない場合(ステップS10:NO)、傷がないものと判断する(ステップS12)。そして、これらの判断の後に検査を終了する(ステップS13)。
【0077】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0078】
制御装置60によって、形状認識ユニット20、第1塗布ユニット30、拭き取りユニット40、および第2塗布ユニット50の動作を制御しているため、染色浸透探傷検査を自動的に実行できる。従って、人手を要することなく、染色浸透探傷検査を効率的に実現できる。また、検査対象部品2が変更された場合でも形状認識ユニット20によって検査対象部品2の形状を自動的に認識できるため、検査対象部品2が変更された場合でも安定した検査品質を確保できる。浸透液の拭き取りでは、上面2aだけでなく側面2bも拭き取るので、傷の誤検出を抑制できる。特に、検査対象部品2の側面2bを拭き取る場合には、平面視における検査対象部品2の輪郭を認識する必要があるため、形状認識ユニット20が有効に機能する。また、人手を要する場合に比べて浸透液の拭き取り加減を安定させることができるため、検査品質を安定させることができる。
【0079】
また、形状認識ユニット20が撮像装置21を有しているため、未知の検査対象部品2を検査対象としても正確にその輪郭を認識できる。換言すれば、検査対象部品2の形状情報を取得する際に、予め用意した情報によらずに効率的に輪郭を認識できる。従って、当該輪郭に沿って特に側面2bを正確に拭き取ることができる。
【0080】
また、拭き取り領域として検査対象部品2よりも大きな領域Xを設定しているため、拭き取りユニット40による浸透液の拭き取り漏れを抑制できる。特に、検査対象部品2が複雑な形状を有する場合に有効である。なお、検査対象部品2の形状を包含する領域Xは、簡易な形状にすることが好ましい。例えば、当該領域Xは、矩形以外にも多角形または円形などに設定されてもよい。
【0081】
また、粗拭きユニット41の拭き残しを仕上げ拭きユニット42で拭き取ることができるため、余剰浸透液の拭き残しを抑制することができる。特に、染色浸透探傷検査の自動化に際しては浸透液の拭き取り加減の設定が難しいが、上記のように粗拭きと仕上げ拭きの2段階で拭き取ることにより拭き取り加減を細かく設定できる。このようにして自動化を容易にしている。
【0082】
また、粗拭きユニット41の撥水性部材41aは検査ごとに交換することなく複数回連続して使用可能であるため、検査効率を向上させることができる。
【0083】
また、仕上げ拭きユニット42が吸水性部材42aを有しているため、吸水性部材42aによって余剰浸透液をより確実に拭き取ることができる。
【0084】
また、検査対象部品2を複数のパスで拭き取り、現在のパスは次のパスへ向かって浸透液を掃き出すように拭き取りユニット40が制御されているため、既に拭き取りした部分に余剰浸透液が流れることを抑制でき、余剰浸透液の拭き残しを抑制できる。従って、浸透液の誤検出を抑制でき、検査精度を向上できる。
【0085】
また、検査対象部品2の上面(検査面)2aだけでなく、上面2aと隣接する側面2bにおいても浸透液を拭き取るように拭き取りユニット40が制御されているため、現像液を上面(検査面)2aに塗布した際に上面(検査面)2aと隣接する側面2bから浸透液が染み出てくることを抑制できるため、浸透液の誤検出を抑制できる。
【0086】
(第1変形例)
図13に示すように、上記実施形態の第1変形例では、形状認識ユニット20は、検査対象部品2ごとに用意された形状コードを読み取るための読取装置22を有している。これにより、検査対象部品2ごとに用意された形状コードを読取装置22によって読み取ることで記憶部62に格納されたデータベース上の形状情報を取得してもよい。例えば、形状コードは、バーコードまたはQRコード(登録商標)などであり得る。なお、仮に検査対象部品2の形状認識を自動で行わない場合には、作業員が検査対象部品2を計測した形状情報を入力部61から入力することとなる。
【0087】
本変形例によれば、検査対象部品2の形状を正確かつ容易に取得できる。
【0088】
(第2変形例)
図14に示すように、上記実施形態の第2変形例では、撮像装置21の撮像分解能dよりも小さい厚みt(t<d)を有する検査対象部品2を検査対象とするときは、置台10は、撮像分解能dよりも大きな高さhを有している(h>d)。ここで、撮像分解能dとは、検査対象部品2の厚み方向に関する分解能であり、撮像装置21で検査対象部品2の輪郭を明確に認識できる最小値である。例えば、撮像装置21としてToFカメラを使用すると、ToFカメラの撮像分解能d(距離分解能)は一般に10mm程度である。従って、検査対象部品2の厚みtが10mm未満の場合に置台10の高さを10mm以上にしてもよい。
【0089】
また、図15に平面図を示すように、第2変形例では、置台10は、第1固定クランプ12(図1参照)および3つの第2固定クランプ13を有しておらず、検査対象部品2の側面2bには当接しない。さらに、置台10は、円筒形であり、平面視において、検査対象部品2の下に隠れて見えないように配置されている(破線参照)。このように、形状認識ユニット20の撮像装置21によって、置台10は撮像されずに検査対象部品2の輪郭(内形および外形)が認識できるようにされている。
【0090】
本変形例では、置台10は、検査対象部品2の固定のために、上面11において磁性を有してもよい。この場合、置台10は、電磁チャックのように磁性の強弱を調整できるようにしてもよい。なお、置台10に対する検査対象部品2の固定方法は、磁性を利用した方法に限らず、任意の方法が採用され得る。
【0091】
本変形によれば、厚みの薄い検査対象部品2に対する正確な形状認識を実現できる。即ち、撮像装置21による撮像によって検査対象部品2の輪郭を正確に取得できる。
【0092】
以上より、本発明の具体的な実施形態およびその変形例について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0093】
例えば、形状認識ユニット20、第1塗布ユニット30、拭き取りユニット40、および第2塗布ユニット50は交換されるのではなく、それぞれを有する4つのアーム5を用意してもよい。また、粗拭きユニット41による拭き取りと仕上げ拭きユニット42による拭き取りは必ずしも1回ずつでなくてもよい。例えば、検査対象部品2の形状または大きさによっては、粗拭きユニット41による拭き取りは省略されてもよい。即ち、仕上げ拭きユニット42による拭き取りのみが実行されてもよい。また、粗拭きユニット41による拭き取りを1回実行した後に仕上げ拭きユニット42による拭き取りを2回実行するなど、3回以上の拭き取りを実行してもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 染色浸透探傷検査装置
2 検査対象部品
2a 上面(検査面)
2b 側面
2c 境界
5 アーム
10 置台
11 上面
12 第1固定クランプ
13 第2固定クランプ
20 形状認識ユニット
21 撮像装置
22 読取装置
30 第1塗布ユニット
31 スプレー缶
40 拭き取りユニット
41 粗拭きユニット
41a 撥水性部材
42 仕上げ拭きユニット
42a 吸水性部材
42b 弾性部材
50 第2塗布ユニット
51 スプレー缶
60 制御装置
61 入力部
62 記憶部
63 制御部
63a 形状認識ユニット制御部
63b 第1塗布ユニット制御部
63c 拭き取りユニット制御部
63d 第2塗布ユニット制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15