(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】肛門直腸疾患の治療のための局所的なアムロジピン塩
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4422 20060101AFI20240731BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20240731BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240731BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240731BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240731BHJP
【FI】
A61K31/4422
A61K31/167
A61K9/06
A61K47/38
A61K47/10
(21)【出願番号】P 2021517118
(86)(22)【出願日】2019-05-29
(86)【国際出願番号】 IB2019000689
(87)【国際公開番号】W WO2019229535
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-05-20
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520472686
【氏名又は名称】タバンタ セラピューティクス ハンガリー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】ラースロー リッター
(72)【発明者】
【氏名】ラースロー ホルノーク
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル マチェス
(72)【発明者】
【氏名】ロマーナ ジェルコ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア ウイヘイ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード カールパーティ
(72)【発明者】
【氏名】タマーシ ソリュモシ
(72)【発明者】
【氏名】ハリストス グラビナス
【審査官】金子 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-256216(JP,A)
【文献】特表2008-540508(JP,A)
【文献】特開平02-003613(JP,A)
【文献】特開2009-035545(JP,A)
【文献】特表2010-502598(JP,A)
【文献】特表2001-517210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/4422
A61K 31/167
A61K 9/06
A61K 47/38
A61K 47/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離塩基として測定される場合、約0.01~1%w/wのアムロジピンベシル酸塩、ここで、前記アムロジピンベシル酸塩は、ゲル中に溶解状態において存在し、かつ、前記アムロジピンベシル酸塩の分解不純物は、約2~8℃の温度で少なくとも24カ月の貯蔵期間で、約2.5%未満である
、
約5~
49%w/wの少なくとも一つのグリコール溶媒
、
約0.1~10%w/wのヒドロキシエチルセルロース
、
約30~50%w/wのグリセリン
、
約5~15%w/wのエタノール
、及び
約15~35%w/wの水
、
を含むアムロジピン塩の安定な局所的な医薬的なゲル組成物。
【請求項2】
前記少なくとも一つのグリコール溶媒が、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサリレングリコール、及びそれらの混合物より選択される、請求項1に記載の安定な局所的な医薬的なゲル組成物。
【請求項3】
前記グリコール溶媒がプロピレングリコールである、請求項2に記載の安定な局所的な医薬的なゲル組成物。
【請求項4】
前記安定な局所的な医薬的なゲル組成物が、メチルパラベン、プロピルパラベン、パラオキシ安息香酸メチル、クロロクレゾール、チメロサール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム及びそれらの混合物より選択される少なくとも一つの保存剤をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の安定な局所的な医薬的なゲル組成物。
【請求項5】
前記保存剤がパラオキシ安息香酸メチルである、請求項4に記載の安定な局所的な医薬的なゲル組成物。
【請求項6】
前記安定な局所的な医薬的なゲル組成物が、
遊離塩基として測定される場合、0.01~1%w/wの前記アムロジピンベシル酸
塩、
5~49%w/wの前記少なくとも一つのグリコール溶媒、
ここで、前記少なくとも一つのグリコール溶媒がプロピレングリコールであ
る、
0.1~10%w/wの前記ヒドロキシエチルセルロー
ス、
30~50%w/wの前記グリセリ
ン、
5~15%w/wの前記エタノー
ル、及び
15~35%w/wの前記水
、
を含み、前記安定な局所的な医薬的なゲル組成物が、パラオキシ安息香酸メチルをさらに含み、かつ、前記パラオキシ安息香酸メチルが、0.001~5%w/wの濃度で存在する、請求項1に記載の安定な局所的な医薬的なゲル組成物。
【請求項7】
前記安定な局所的な医薬的なゲル組成物がさらに少なくとも一つの抗酸化剤を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の安定な局所的な医薬的なゲル組成物。
【請求項8】
前記安定な局所的な医薬的なゲル組成物が、5%w/w以下の前記少なくとも一つの抗酸化剤
を含む、請求項7に記載の安定な局所的な医薬的なゲル組成物。
【請求項9】
前記抗酸化剤が、エデト酸二ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、エデト酸三ナトリウム、トコフェロール誘導体、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7又は8に記載の安定な局所的な医薬的なゲル組成物。
【請求項10】
前記安定な局所的な医薬的なゲル組成物が、遊離塩基として測定される場合、約0.1~1%w/wの前記アムロジピンベシル酸塩
を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の安定な局所的な医薬的なゲル組成物。
【請求項11】
前記アムロジピンベシル酸塩の分解不純物が、約2~8℃の温度で少なくとも24カ月の貯蔵期間で、2.5%未満である、請求項1から10のいずれか一項に記載の安定な局所的な医薬的なゲル組成物。
【請求項12】
前記安定な局所的な医薬的なゲル組成物が局所麻酔薬をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の安定な局所的な医薬的なゲル組成物。
【請求項13】
前記局所麻酔薬がリドカインである、請求項12に記載の安定な局所的な医薬的なゲル組成物。
【請求項14】
前記安定な局所的な医薬的なゲル組成物が抗炎症薬をさらに含み、前記抗炎症薬が、COX-1又はCOX-2阻害薬、あるいはこれらの混合物である、請求項1から13のいずれか一項に記載の安定な局所的な医薬的なゲル組成物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の安定な局所的な医薬的なゲル組成物
を含む、肛門直腸疾患の治療のための医薬組成物であって、前記医薬組成物が、それを必要とする患者の皮膚表面に局所的に適用
される、医薬組成物。
【請求項16】
前記肛門直腸疾患が、痔疾患、肛門裂傷(急性及び慢性)、直腸肛門手術後の疼痛状態、肛門周囲膿瘍、脱出性の血栓性外痔核、肛門周囲血種、括約筋浸潤癌(肛門直腸癌)、肛門ヘルペス、肛門疣贅、肛門のかゆみ、一過性直腸痛、便秘、肛門出血、及びクローン病又は肛門直腸疾患に関連する別の炎症性大腸炎より選択される、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記肛門直腸疾患が急性肛門裂傷である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記肛門直腸疾患が慢性肛門裂傷である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記前記安定な局所的な医薬的なゲル組成物が、紅斑、浮腫、炎症、過敏症、感染、バイオフィルム形成、虚血、ネクローシス、丹毒、又は皮膚表面における蜂窩織炎を引き起こさない、請求項15~18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アムロジピン塩を含む局所的な医薬的なゲル組成物に関する。アムロジピン塩を含む局所的な医薬的なゲル組成物は肛門直腸疾患、例えば、痔疾患、肛門裂傷(急性及び慢性)、直腸肛門手術後の疼痛状態、肛門周囲膿瘍、脱出性の血栓性外痔核、肛門周囲血種、括約筋浸潤癌(肛門直腸癌)、肛門ヘルペス、肛門疣贅、肛門のかゆみ、一過性直腸痛、便秘、肛門出血、及びクローン病又は肛門直腸疾患に関連する別の炎症性大腸炎を治療することにおける使用について適当である。
【0002】
肛門直腸疾患は肛門及び/又は直腸の病気に関する。最も共通する状態は、痔疾患、肛門疣贅、肛門裂傷、肛門直腸膿瘍及び痔瘻を含む。
【0003】
痔疾患は直腸及び肛門の組織が腫脹及び炎症した場合に発生する。痔疾患は肛門内(内痔核)又は肛門を取り囲む領域(外部)に位置しうる。症状は、疼痛、炎症及びかゆみを含む。
【0004】
痔疾患の軽症例のための治療は、腰湯、冷湿布、鎮痛剤及びOTCの局所的な薬剤を含みうる。慢性の痔疾患のための、痔核結紮、注射及びレーザー凝固法のようないくつかの選択がある。外科的な選択、例えば痔核切除及びステープリングは最も重症の患者のために取っておかれる。
【0005】
コンジローマ、又は肛門疣贅は、ヒトパピローマウイルス(HPV)によりもたらされ、肛門周辺の皮膚上に形成する。多くの型のパピローマウイルスがある。ある型は手及び足に疣贅を発生し、一方で他の型は生殖器疣贅及び肛門疣贅をもたらす。多くの人々は、肛門疣贅由来の任意の合併症の症状を訴えない。他の人は肛門領域のかゆみ、出血、滲出液他の症状を訴える。
【0006】
肛門疣贅の治療は焼灼、軟膏又は特別な種類の酸(ポドフィリン又はビクロロ酢酸)を含む。いくつかの治療は肛門疣贅の治療に必要である。たとえその疣贅が取り除かれても、前記ウイルスが皮膚組織に残存しうる。フォローアップ訪問が数カ月間必要である。
【0007】
肛門裂傷は肛門の裏層の小さな裂傷である。これらの裂傷は、固く、乾いた便通、下痢及び炎症によってもたらされうる。症状はかゆみ、疼痛及び出血を含む。
【0008】
その肛門裂傷は4~8週間の保存治療によって治癒する場合、急性である。この治療が失敗した場合に、その裂傷が慢性化する(S.Schlichtemeier,A.Engle,Aust Prescr,2016,39,pp14)。
【0009】
肛門裂傷の全発生率は、年間1000人あたり1.1であり、7.8の平均生涯リスクにつながる。約40%の患者は慢性的な肛門裂傷を発生する。
【0010】
肛門裂傷の病態生理学は全体的にはっきりと理解されていない。広く許容される科学的な例(M.H.Madalinski,World J Gastrointest Pharmacol Ther,2011,2(2),pp9;M.M.van Meegdenburg,M.Trzpis,E Heineman,P.M.A.Broens,Medical Hypotheses,2016,94,pp25;M.van Outryve,Acta Chirurgica Belgica,2006,106(5),pp517)は、急性損傷が内肛門括約筋の局所的な疼痛及びけいれんに繋がることである。このけいれん及び結果として生じる高い安静時の肛門括約筋圧は、減少した血流及び虚血及び治癒不良に繋がる。このサイクルが破壊されなければ、その裂傷は存続し、又は慢性裂傷になるだろう。
【0011】
臨床医は肛門括約筋の一貫して高い安静時の圧が肛門裂傷の発病において極めて重要な役割を果たすことを認める。Shouten et.al.(W.R.Schouten,J.W.Briel,J.J.Auwerda,Dis Colon Rectum,1994,37,pp664)では、レーザードップラー流速計及び肛門直腸内圧測定のそれぞれによって測定した肛門管上皮の血流速度と肛門の安静時の圧が反比例して相関したことを示した。その増加した圧は血流の低下をもたらした。裂傷を有する患者は高い安静時の圧、そしてまた低い灌流速度を有した。この低い灌流速度は左及び右の背側への下直腸動脈の末端枝間の小動脈の吻合の欠乏に起因する。安静時の括約筋の圧が小動脈内の圧よりも十分に高い場合にこの領域において裂傷は発生する。慢性的な肛門裂傷はそれゆえ虚血性潰瘍として考慮されうる。さらに、Maria et.al.(G.Maria,D.Brisinda,M.P.Ruggieru,et al.Surgery,1999,126,pp535)は、肛門裂傷を有する患者の抗内皮細胞抗体を明示し、それはコントロールにおいては無かった。これらの抗体は内皮を活性化し、血管収縮及び凝血促進活性を生じる。また、このメカニズムは肛門管上皮の虚血及び裂傷の形成を誘導する。虚血性潰瘍としての裂傷の末期は、随伴性の肥大乳頭及びセンチネルの軟性線維腫を有する繊維性病変である。線維症は治癒の重要な障害であり、無力性潰瘍をもたらしうる。また、裂傷の慢性炎症は、局所的な膿瘍及び瘻管形成を誘発しうる。
【0012】
急性の裂傷の大多数は、局所的な局所麻酔及び便柔軟剤の治療によって改善する。さらに、一部は、慢性的になり続ける。それらの原因がいかなるものであっても、それらが増加した安静時の緊張と関連していることは既知である。裂傷のための治療はそれゆえ、安静時の肛門の圧を減少することを標的化し、それが順番に後交連への減少した血流及び裂傷の治癒をもたらした。
【0013】
肛門括約筋の緊張を減少する慣習の治療法は全身深麻酔下で肛門内に4本指を段階的に挿入し、穏やかに分離し、続いて放射状に内括約筋の繊維を破壊する肛門拡張である。この手法のコンチネンスのリスクは明らかであり、一時的な失禁の30%及び永続的な便失禁の最大で10%のリスクで見積もられている。好ましい過程は、開放術又は閉鎖術のいずれかによって実施されうる内括約筋側方切開術である。
【0014】
側方切開術は肛門裂傷の治療についてゴールドスタンダードになっているが、これらの合併症が、肛門圧を減少する他の方法における探索を駆り立てている。研究は薬理学的に肛門圧を減少する一方で、内肛門括約筋輪を保存する方法を発見することに向かっている。
【0015】
化学的な括約筋切開術は、典型的なGTN、ニフェジピン又はジルチアゼムのようなカルシウムチャネル阻害薬、及びボツリヌス毒素を含む様々な新規物質を用いて試行されている。これらの物質のいくつかは、とるに足らない副作用を有するが、慢性的な肛門裂傷を治癒することにおいて効果的であり、今や慢性的な肛門裂傷の第一選択治療として考えられる。
【0016】
三硝酸グリセリン(GTN)軟膏のみを、慢性的な肛門裂傷と関連する中等度から重篤な疼痛の治療に適応した。実施し、世界の規制機関へ提出した第三相試験において、Rectogesic 4mg/g Rectal Ointmentによって治療した患者の肛門裂傷の治癒はプラセボから統計学的に差異はなかった(公開医薬品審査報告書、UK/H/0823/001/MR)。GTNの適用により引き起こされる激しい頭痛は30%の患者にもたらされ、その使用を中止した。GTNの様々な濃度を試験したが、0.2%の投与量(×2~3回/日)はより高い濃度と同じ治癒率であるが、より低い頭痛の発生率を提供する。頭痛を最小化する及び/又は排除する最適な方法は肛門部に臥位においてGTNを適用することである。即時ののぼせ又はほてりを頭に感じるが、大脳血管の血管拡張によって生じうり、すぐに収まる。続けて患者は、起き上がり、通常の活動を再開することができる。(狭心症の治療のためのnitropasteのように)その作用機序は皮膚からの吸収を通じるので、肛門管内のGTNの適用は不必要であり、過度の痛みをもたらす。急いで、座って又は立って頓服する、GTNの適用は頭痛の発生を増加し(6%対56%)、早い段階での治療の中止の結果をもたらす(A.M.Abcarian,H.Abcarian,Internal Medicine Review,2018,4(1),pp1)。
【0017】
CCBsは、カルシウムチャネルの遮断が細動脈壁内の平滑筋の弛緩をもたらすので冠動脈心疾患において長年、用いられている。いくつかの研究では、局所的なCCBsはGTNと同等の効果であること及びより少ない副作用を有することを示す(K.N.Zaghiyan and P.Fleshner,Clin Colon Rectal Surg.2011,24,pp.22)。慢性的な肛門裂傷の治療におけるCCBsの使用にもかかわらず、CCBsを含む承認された製品は商用利用可能である。他の場合において、CCBsを含む調合されたクリーム又は軟膏のみが治療に用いられうる。調合された薬剤は、例えば、限られた数の調剤薬局、薬剤師が調合されたCCBsのための「レシピ」を書かなければならないこと(適応外使用)、及び調合された薬剤の濃度が薬局、処方及びそれらの束において非常にばらつきがあること、償還の欠如、などのいくつかの欠点を有する。
【0018】
CCBsは心臓及び血管の壁の細胞に入るカルシウムの量を減らす。カルシウムはイオンチャネルを通じてこれらの細胞内に通過する。これらのチャネルはCCBsにより阻害され、それによって、心臓及び血管壁の細胞に入るカルシウムの量を減少させる。結果として、その血管は弛緩し、そしてその心筋はより酸素を豊富に含んだ血液を受け取り、それはCCBsがより低い血圧を可能にし、狭心症を治療する方法である。また、いくつかのCCBsは心臓内の導管細胞内に行くカルシウムを阻害し、心拍数を下げる追加効果を有する。
【0019】
CCBsの二つの異なる化学的分類がある:(ニフェジピン及びアムロジピンのような)ジヒドロピリジン系並びに(ジルチアゼム及びベラパミルのような)非ジヒドロピリジン系。二つの分類の両方は弛緩に役立ち、動脈を広くするが、非ジヒドロピリジン系は心臓の伝達系に付加的な効果を有し、そしてある程度の早い心臓の律動(例えば心房性細動)を制御することに役立つ。また、これは非ジヒドロピリジン系が心臓内の導管細胞内に行くカルシウムを阻害するためであり、それは心拍数を下げる効果を有する。
【0020】
局所的に適用されるアムロジピン塩によって内肛門括約筋を標的にすることは、原薬の効果的な経皮フラックスに依存している。
【0021】
肛門直腸疾患を治療する局所的に適用されうる物質を特定するための、重要な及び非常に長期にわたる需要があり、それはリスクを制限する好ましい利点を有する。好ましくは、このような薬剤は主に局所的に作用すべきであり、そして全身的な吸収は、全身的な効果又は毒性の原因になる十分に高い血中濃度をもたらすべきでない。
【発明の概要】
【0022】
提供されるものは、肛門直腸疾患の局所的な治療のための組成物であり、アムロジピン塩のような、カルシウムチャネル阻害薬の治療量を含む。
【0023】
また、提供されるものは、局所投与のための適当な調製において、アムロジピン塩のようなカルシウムチャネル阻害薬を溶解すること又は懸濁することを含む方法によって調製される肛門直腸疾患の局所的な治療のための組成物である。また、提供されるものは、アムロジピン塩及び担体を含む局所的な医薬的なゲル組成物である。
【0024】
また、提供されるものは、現在承認されている治療法によってもたらされる著しい全身的作用を制限する及び有害事象の発生を減少する肛門直腸疾患の局所的な治療のための方法及び組成物である。
【0025】
また、提供されるものは、肛門直腸疾患、例えば痔疾患、肛門裂傷(急性及び慢性)、直腸肛門手術後の疼痛状態、肛門周囲膿瘍、脱出性の血栓性外痔核、肛門周囲血種、括約筋浸潤癌(肛門直腸癌)、肛門ヘルペス、肛門疣贅、肛門のかゆみ、一過性直腸痛、便秘、肛門出血、及びクローン病又は肛門直腸疾患に関連する別の炎症性大腸炎を治療するための局所的な医薬的なゲル組成物である。
【0026】
また、提供されるものは、
遊離塩基として測定される、約0.01~1%w/wのアムロジピン塩;
約5~75%w/wの少なくとも一つのグリコール溶媒;
約0.1~10%w/wの少なくとも一つのゲル化剤;
約0.001~5%w/wの少なくとも一つの保存剤;
約5~75w/wのグリセリン;
約1~20w/wのエタノール;及び
約10~40w/wの水:
を含むアムロジピン塩の局所的な医薬的なゲル組成物である。
【0027】
また、提供されるものは、
遊離塩基として測定される、約0.01~1%w/wのアムロジピンベシル酸塩、
約5~75%w/wの少なくとも一つのグリコール溶媒;
約0.1~10%w/wのヒドロキシエチルセルロース;
約5~75%w/wのグリセリン;
約1~20%w/wのエタノール;及び
約10~40%w/wの水:
を含むアムロジピンベシル酸塩の局所的な医薬的なゲル組成物である。
【0028】
また、提供されるものは、
遊離塩基として測定される、約0.01~1%w/wのアムロジピンベシル酸塩、
約5~75%w/wのプロピレングリコール;
約0.1~10%w/wの少なくとも一つのゲル化剤;
約5~75%w/wのグリセリン;
約1~20%w/wのエタノール;及び
約10~40%w/wの水:
を含むアムロジピンベシル酸塩の局所的な医薬的なゲル組成物である。
【0029】
また、提供されるものは、
遊離塩基として測定される、約0.01~1%w/wのアムロジピンベシル酸塩;
約5~75%w/wのプロピレングリコール;
約0.1~10%w/wのヒドロキシエチルセルロース;
約0.01~5%w/wのパラオキシ安息香酸メチル;
約5~75%w/wのグリセリン;
約1~20%w/wのエタノール;及び
約10~40%w/wの水:
を含むアムロジピンベシル酸塩の局所的な医薬的なゲル組成物である。
【0030】
また、提供されるものは、本明細書で記載される局所的な医薬的なゲル組成物をそれを必要とする患者の皮膚表面に局所的に適用することを含む肛門直腸疾患の治療のための方法である。
【0031】
本発明のこれらの及び他の側面は、以下の詳細な説明に参照により示される。この目的で、本明細書に述べられる全ての公開公報、特許、特許出願は、その個々の公開公報、特許、又は特許出願が参照によって取り込まれることを個別具体的に明示するのと同程度に、参照によって本明細書に取り込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の新規特徴は付加される請求項において詳細によって説明される。本発明のその特徴及び利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される、例示的実施形態、そしてその図面(または本明細書の「図」及び「FIG」)を説明する以下の詳細な説明に参照によって得られるだろう:
【0033】
【
図1】
図1は経口投与(経口)又は0.2%の局所的な医薬的なゲル(局所)の場合、28日目のメスゲッチンゲンミニピッグにおけるアムロジピンについての平均±SDの血漿濃度の曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の好ましい態様は本明細書に示され、記載されている一方で、そのような態様は例示のみの方法で提供されることが当業者に明白であるだろう。多数の変化、変更、及び置換は本明細書から逸脱することなく当業者にすぐに生じるだろう。本発明の態様への様々な代替物は、本発明を実施することにおいて用いられうることを理解されるべきである。以下の請求項は本発明の範囲を定義し、これらの請求の範囲内の方法及び構造並びにそれらの同等のものが、それによって包含されることを意図している。
【0035】
以下の記載において、ある特定の詳細は様々な態様の理解を通じて提供されるために説明される。しかしながら、当業者は本発明がこれらの詳細なく実施されうることを理解するだろう。他の例において、周知の構造はその態様の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために詳細に示されない又は記載されない。文脈上別段の必要がない限り、続く明細書及び特許請求の範囲を通じて、「含む(comprise)」という用語及びその変形、例えば「comprises」及び「comprising」はオープンで、包括的な意味で、つまり、「含むが、これらに限定されない」として解釈されるべきである。さらに、本明細書で提供される見出しは便宜上のものであり、請求される発明の範囲又は意味を説明しない。
【0036】
「一の態様」又は「ある態様」への本明細書を通じた参照は、その態様と関連して記載される特定の特徴、構造又は特性が少なくとも一つの態様において含まれることを意味する。それゆえ、本明細書を通じて様々な場所において、「一の態様」又は「ある態様」という語句の出現は、全ての同じ態様を意味するものに必要でない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性は一以上の態様において任意の適当な方法において組み合わされうる。
【0037】
アムロジピンは、血管平滑筋及び心筋内へのカルシウムイオンの膜貫通流入を阻害するジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬である。実験データはアムロジピンがジヒドロピリジン及び非ジヒドロピリジンの結合部位の両方に結合することを示す。心筋及び血管平滑筋の収縮過程は、特定のイオンチャネルを通じてこれらの細胞内への細胞外カルシウムイオンの移動に依存する。アムロジピンは、細胞膜を横切るカルシウムイオン流入を選択的に阻害し、そして心筋細胞よりもより大きな効果を血管平滑筋にもたらす。負の心筋収縮力に影響を与える効果は、in vitroで検出されうるが、そのような効果は治療量で無処置の動物においてはみられない。血漿のカルシウム濃度はアムロジピンによって影響しない。生理学的なpHの範囲内で、アムロジピンはイオン化した化合物(pKa=8.6)であり、そしてカルシウムチャネル受容体とのその動力学的相互作用は受容体結合部位との会合及び分離の段階的な比によって特徴づけられ、効果の段階的な開始をもたらす。
【0038】
アムロジピンは血管平滑筋に直接的に作用し、末梢血管抵抗の減少及び血圧の減少をもたらす末梢血管拡張薬である。
【0039】
高血圧の患者への治療量の投与後、アムロジピンは血管拡張を引き起こし、仰臥位及び起立時の血圧の減少をもたらす。血圧におけるこれらの減少は、慢性投与による心拍数又はカテコールアミンの濃度における著しい変化に付随しない。慢性的な安定狭心症を有する患者の血行動態の研究においてアムロジピンの急性の静脈内投与は動脈圧を下げ、心拍数を上げるが、臨床試験におけるアムロジピンの慢性的な経口投与は、狭心症を有する正常血圧の患者の心拍数又は血圧における臨床的に有意な変化を導かない。
【0040】
慢性的な毎日の経口投与によって、抗高血圧薬の有効性は少なくとも24時間維持される。血漿濃度は若い及び年配の患者の両方における効果と相関する。また、アムロジピンによる血圧の減少の大きさは、治療前の上昇の高さと相関する;それゆえ、中等症高血圧症を有する個人(拡張期血圧 105~114 mmHg)は、軽い高血圧症(拡張期血圧 90~104 mmHg)を有する患者よりも約50%増大した応答を有した。正常血圧の対象は血圧の臨床的に有意な変化を経験しなかった(+1/-2 mmHg)。
【0041】
アムロジピンは、無処置の動物又はヒトにおいて洞結節機能又は房室伝導を変化しない。慢性的な安定狭心症を有する患者において、10mgの静脈内の投与は、有意にA-H及びH-V伝導及びペーシング後の洞結節回復時間を変化しなかった。アムロジピン及び随伴性のβ阻害薬を投与した患者において同様の結果を得た。アムロジピンがβ阻害薬との組み合わせで高血圧又は狭心症のいずれかを有する患者に投与される臨床試験において、心電図のパラメータ上、有害事象は見られなかった。狭心症のみを有する患者の臨床試験において、アムロジピン治療は心電図の間隔を変化せず、又は高度な房室ブロックを引き起こさなかった。
【0042】
アムロジピンの治療量の経口投与後、吸収により6から12時間の間で血漿中濃度にピークを生じる。絶対的なバイオアベイラビリティは64から90%の間であると見積もられている。アムロジピンのバイオアベイラビリティは食物の存在によって変化しない。
【0043】
アムロジピンは大規模に(約90%)、10%の親化合物及び60%の尿中に排出される代謝物による肝臓の代謝を介して不活化の代謝物へと変換される。ex vivoの試験では、約93%の循環薬物が高血圧患者において血漿タンパク質に結合することを示した。血漿からの排除は約30~50時間の消失半減期を有する二相性である。7~8日の連続する毎日の投与後にアムロジピンの定常状態の血漿濃度に到達する。
【0044】
アムロジピンの薬物動態は腎機能障害によって有意に影響されない。腎機能障害を有する患者はそれゆえ通常の初回投与量を投与されうる。
【0045】
年配の患者及び肝不全を有する患者は、結果として生じるAUCの約40~60%の増加によって、アムロジピンのクリアランスを減少し、そしてより低い初期投与量を必要としうる。AUCの同様の増加は中程度から深刻な心不全を有する患者に見られた。
【0046】
アムロジピンは、血圧を下げる高血圧の治療、慢性的な安定狭心症、確認される又は疑われる血管攣縮性狭心症の症状の治療、及び狭心症のための入院のリスクを下げること、及び冠血行再建術の過程のリスクを下げることのために示される。
【0047】
アムロジピンの通常の初期の抗高血圧性の経口投与量は一日あたり5mgであり、そして一日あたり最大投与量は10mgである。慢性の安定狭心症又は血管攣縮性狭心症について推奨される投与量は5~10mgであり、そしてより低用量が高齢者及び肝不全の患者において示唆された。大部分の患者は十分な効果について10mgを必要とするだろう。6~17歳の小児患者において効果的な抗高血圧性の経口投与量は一日あたり2.5mgから5mgである。一日あたり5mgを超える投与量は小児患者において研究されていない。
【0048】
本明細書で用いられるように、「アムロジピン塩」はアムロジピンの酸付加塩を意味する。酸付加塩は当業者に周知の方法によって調製されうり、そして有機及び無機酸によって形成されうる。適当な酸は1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、(L)-アスコルビン酸、(L)-アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、(+)-カンファー酸、(+)-10-カンファースルホン酸、カプリン酸(デカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、(D)-グルコヘプトン酸、(D)-グルコン酸、(D)-グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イソ酪酸、(D,L)-乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、(L)-(-)-リンゴ酸、マロン酸、(D,L)-マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、(L)-(-)-ピログルタミン酸、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、(L)-(+)-酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、及びウンデシレン酸を含む。
【0049】
また、本明細書及び添付の請求項に用いられるように、単数形「a」、「an」及び「the」は、内容に他に明確な指示がない場合に、複数の指示対象を含む。
【0050】
本明細書に用いられるように、「アムロジピンベシル酸塩」は3-エチル-5-メチル-(±)-2-[(2-アミノエトキシ)メチル]-4-(2-クロロフェニル)-1,4-ジヒドロ-6-メチル-3,5-ピリジンカルボン酸塩、モノベンゼンスルホン酸塩を意味する。その実験式はC
20H
25ClN
2O
5・C
6H
6O
3S、及びその構造式は:
【化1】
【0051】
アムロジピンベシル酸塩は567.1の分子量を有する白色結晶性粉末である。それは、水に溶けにくく、エタノールにやや溶けにくい。アムロジピンベシル酸錠剤は、経口投与のための2.5、5、及び10mgのアムロジピン当量の白色錠剤として製剤化される。有効成分であるアムロジピンベシル酸塩に加えて、それぞれの錠剤は、以下の添加物を含む:微結晶性セルロース、無水リン酸水素カルシウム、デンプングリコール酸ナトリウム、及びステアリン酸マグネシウム。アムロジピンベシル酸塩は水溶液中で不安定である。経口的に利用可能な液剤を開発するために様々な試みが行われ(M.Friciu et al.CJHP,2016,69(4),pp.327:I.Kasagic Vujanovic,et.al.,Contemporary Materials,2014,V-2(2014),pp.214;Z.Z.Stoiljkovi et.al.,Chem.Ind.Chem.Eng.Q.,2014,20(2)pp295;C.Milap et.al.,Nahata,J Am Pharm Assoc.,1999,39,pp375;A.Abdoh et.al.,Pharm.Dev.Tecnol.,2004,9(1),pp.15)、しかしながら安定的な液体に基づく製剤は現在までに開発されていない。
【0052】
カルシウムチャネル拮抗薬のための経皮システムの開発に取り組んできた(Zeng,et al.,Drug Development and Industrial Pharmacy,2010,36(6),pp.724;Y.Jiang,et.al.,Pjharmazie,2008,63,pp356;Patel,et al.,Asian Journal of Pharmaceutical and Clinical Research,2010,3(1),pp31)。McDaid et.al.(International Journal of Pharmaceutics,1996,133,pp71)では、アムロジピンベシル酸塩の局所的な吸収を調査し、その化合物は、浸透促進剤の使用及びエタノールによるさまざまな律速調整膜(rate-controlling membranes)にわたる熱力学的な勾配の増加にもかかわらず、親水性があまりに高く、都合の良い領域のデバイスを用いて、適切な経皮送達を行うことができなかったことを確認した。無毛マウスの皮膚を通じて、親水性及び疎水性基剤の範囲からのアムロジピンの浸透は研究され、3%のカルボキシメチルセルロースナトリウムのゲル基剤における、浸透促進剤、1%のラウリル硫酸ナトリウム、20%のプロピレングリコールの影響を試験した。ウサギを用いたin vivoの研究では、リザーバータイプのデバイスの適合性の評価を実施した。使用するデータは、ヒトの腹部皮膚を含むin vitroの研究から入手され、ヒトの皮膚の同様のデバイスの1週間にわたる適用より生じる血漿プロファイルを予測することができ、臨床使用に不適切であると分かった。経皮デバイスの適用から生じる動物モデルにおける局所的な有害事象は見られなかった。アムロジピンの治療的な血漿濃度は3~10ng/mLの範囲である。時間当たり1.24μg/cm2の平均的な吸収率は、20cm2の曝露領域を用いて送達した0.59mgのアムロジピンの一日当たりの投与量をもたらすと考えられる。この投与量は~3.2mgの所望される水準を下回っている。デバイスを3日間装着した後、ウサギの全ての適用部位を、局所刺激の徴候について視覚的に検査した。いずれの適用部位で、局所刺激は見られず、そのデバイスが装着の数日後ですらも皮膚適用に十分に耐えられることを確認した。これらの結果は、広く知られる用量依存性における炎症の急性及び慢性モデルにおいて、Ca2+拮抗阻害活性として驚くべきことではない。
【0053】
対象の発明は肛門直腸疾患が、アムロジピン塩のような、カルシウムチャネル阻害薬を含む局所製剤によって治療されうる発見に基づく。さらに、この治療は、著しい同様の全身的な影響なく適用部位及びすぐ近くの領域に向けられうる。
【0054】
提供されるものは、アムロジピン塩及び担体を含む局所的な医薬的なゲル組成物である。
【0055】
一の側面において、その局所的な医薬的なゲル組成物はアムロジピン塩及び担体であり、そしてアムロジピン塩は、遊離塩基として測定されるように、約1%w/w、約0.5%w/w、約0.2%w/w、約0.1%w/w、約0.05%w/w及び0.01%w/wより選択される濃度で存在する。
【0056】
一の態様において、その担体は少なくとも一つのグリコール溶媒、少なくとも一つのゲル化剤、及び少なくとも一つの希釈剤を含む。
【0057】
一の態様において、その担体はさらに、保存剤及び抗酸化剤より選択される一以上の成分を含む。
【0058】
一の態様において、その担体は、ヒドロキシエチルセルロース、パラオキシ安息香酸メチル、エタノール、水、プロピレングリコール、及びグリセリンより選択される一以上の成分を含む。
【0059】
また、提供されるものは、
遊離塩基として測定される、約0.01~1%w/wのアムロジピン塩;
約5~75%w/wの少なくとも一つのグリコール溶媒;
約0.1~10%w/wの少なくとも一つのゲル化剤;及び
約0.001~5%w/wの少なくとも一つの保存剤
を含むアムロジピン塩の局所的な医薬的なゲル組成物である。
【0060】
また、提供されるものは、
遊離塩基として測定される、約0.01~1%w/wのアムロジピン塩;
約5~75%w/wの少なくとも一つのグリコール溶媒;
約0.1~10%w/wの少なくとも一つのゲル化剤;
約0.001~5%w/wの少なくとも一つの保存剤;及び
少なくとも一つの希釈剤
を含むアムロジピン塩の局所的な医薬的なゲル組成物である。
【0061】
ある態様において、そのアムロジピン塩は、アムロジピンベシル酸塩、アムロジピンマレイン酸塩、アムロジピンメシル酸塩、アムロジピンアジピン酸塩、アムロジピンカンシル酸塩及びアムロジピンニコチン酸塩より選択される。ある態様において、そのアムロジピン塩はアムロジピンベシル酸塩、アムロジピンマレイン酸塩、及びアムロジピンメシル酸塩より選択される。ある態様において、そのアムロジピン塩はアムロジピンベシル酸塩より選択される。
【0062】
ある態様において、そのアムロジピン塩は遊離塩基として測定されるように、約0.01%w/wから約1%w/wより選択される濃度で存在する。ある態様において、そのアムロジピン塩は、遊離塩基として測定されるように、約1%w/w、約0.5%w/w、約0.2%w/w、約0.1%w/w、約0.05w/w及び約0.01w/wより選択される濃度で存在する。
【0063】
ある態様において、少なくとも一つのグリコール溶媒はプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサリレングリコール、及びそれらの混合物より選択される。
【0064】
ある態様において、少なくとも一つのグリコール溶媒はポリエチレングリコールである。
【0065】
ある態様において、その少なくとも一つのグリコール溶媒は約5~75%w/wの量で存在する。ある態様において、その少なくとも一つのグリコール溶媒は、約5~50%w/wの量で存在する。ある態様において、その少なくとも一つのグリコール溶媒は約10~40%w/wの量で存在する。ある態様において、その少なくとも一つのグリコール溶媒は約15~30%w/wの量、例えば約20~30%w/w、例えば約25%w/wで存在する。
【0066】
ある態様において、その少なくとも一つのゲル化剤は、カルボマー、キサンタンガム、アカシア、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、加工デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルセルロース、無水マレイン酸とメチルビニールエーテルとの間で形成される共重合体、メタクリル酸塩誘導体、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体、ポリビニルアルコール及びそれらの混合物より選択される。
【0067】
ある態様において、その少なくとも一つのゲル化剤は、カルボマー、キサンタンガム、アカシア、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、加工デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、無水マレイン酸とメチルビニールエーテルとの間で形成される共重合体、メタクリル酸塩誘導体、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体、ポリビニルアルコール及びそれらの混合物より選択される。
【0068】
ある態様において、そのゲル化剤はヒドロキシエチルセルロースである。
【0069】
ある態様において、その少なくとも一つのゲル化剤は約0.1~10%w/wの量で存在する。ある態様において、その少なくとも一つのゲル化剤は約0.1~5%w/wの量で存在する。ある態様において、その少なくとも一つのゲル化剤は約1~5%w/wの量で存在する。ある態様において、その少なくとも一つのゲル化剤は約1~4%w/wの量で存在する。ある態様において、その少なくとも一つのゲル化剤は約1、約2、約3、又は約4%w/wの量で存在する。
【0070】
ある態様において、その少なくとも一つの保存剤は、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロクレゾール、チメロサール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸メチル及びそれらの混合物より選択される。
【0071】
ある態様において、その保存剤はパラオキシ安息香酸メチルである。
【0072】
ある態様において、その保存剤は約0.001~5%w/wの量で存在する。ある態様において、その保存剤は0.001~1%w/wの量で存在する。ある態様において、その保存剤は約0.001~0.005%w/w、例えば約0.001、約0.002、約0.003、約0.004、又は約0.005%w/wの量で存在する。
【0073】
ある態様において、その局所的な医薬的なゲル組成物はさらに少なくとも一つの希釈剤を含む。
【0074】
ある態様において、その少なくとも一つの希釈剤は、エタノール、プロパノール、2-プロパノール、水、グリセリン、及びそれらの混合物より選択される。
【0075】
ある態様において、その少なくとも一つの希釈剤は、約5~75%w/wのグリセリン、例えば約5~70%w/w、約5~65%w/w、約5~60%w/w、約5~55%w/w、約5~50%w/w、約5~45%w/w、又は約4~40%w/wを含む。
【0076】
ある態様において、その少なくとも一つの希釈剤は、約1~20%w/wのエタノール、例えば約1~15%w/w、又は約5~15%w/w、例えば約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、又は約15%w/wを含む。
【0077】
ある態様において、その少なくとも一つの希釈剤は約10~40%w/wの水、例えば約10~35%w/w又は15~30%w/w、例えば約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、又は約30%w/wを含む。
【0078】
ある態様において、その少なくとも一つの希釈剤はグリセリン、エタノール、及び水の混合物である。ある態様において、その少なくとも一つの希釈剤は約5~75%w/wのグリセリン;約1~20%w/wのエタノール;及び約10~40%w/wの水の混合物である。ある態様において、その少なくとも一つの希釈剤は約30~50w/wのグリセリン、約5~15%w/wのエタノール、及び約15~35%w/wの水の混合物である。ある態様において、その少なくとも一つの希釈剤は約20~30%w/wのグリセリン、約5~15%w/wのエタノール、及び約15~35%w/wの水の混合物である。ある態様において、その少なくとも一つの希釈剤は約40%w/wのグリセリン、約9~10%w/wのエタノール、約20~25%w/wの水の混合物である。
【0079】
ある態様において、その局所的なゲル組成物はさらに局所麻酔剤、例えば、リドカイン又はCOX、COX-1若しくはCOX-2阻害薬のような抗炎症薬又はそれらの混合物を含む。
【0080】
ある態様において、その局所的なゲル組成物はさらに、抗酸化剤、アルカリ化剤又はアルカリ化物質、緩衝剤、保湿剤、界面活性剤、中和剤、キレート剤、及び皮膚軟化剤より選択される少なくとも一以上の追加の成分又は賦形剤を含む。ある態様において、その局所的なゲル組成物はさらに、緩衝剤、保湿剤、界面活性剤、中和剤、キレート剤、及び皮膚軟化剤より選択される少なくとも一以上の追加の成分又は賦形剤を含みうる。
【0081】
ある態様において、その局所的な医薬的なゲル組成物は少なくとも一つの抗酸化剤を含む。ある態様において、その少なくとも一つの抗酸化剤はエデト酸二ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、エデト酸三ナトリウム、トコフェロール誘導体、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、及びそれらの混合物をさらに含む。
【0082】
ある態様において、その少なくとも一つの抗酸化剤は5%w/w以下の量で存在する。ある態様において、その医薬的なゲル組成物は少なくとも一つの抗酸化剤を含まない。
【0083】
ある態様において、その局所的なゲル組成物はさらに少なくとも一つのアルカリ化剤、又はアルカリ化物質を含む。
【0084】
ある態様において、その少なくとも一つのアルカリ化剤又はアルカリ化物質は有機及び無機の塩基性化合物を含む。無機の塩基性塩の例は、水酸化アンモニウム、アルカリ金属塩、及びアルカリ土類金属塩、例えば酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アルミニウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム及びそれらの組み合わせを含む。
【0085】
ある態様において、そのアルカリ化剤又はアルカリ化物質は水性の水酸化ナトリウム溶液である。
【0086】
ある態様において、その局所的な医薬的なゲル組成物は、プレドニゾロン、ブデソニド若しくはヒドロコルチゾンのようなステロイド、アセチルサリチル酸、局所的に作用するリグノカインのような麻酔薬、及び鎮静剤をさらに含む又は同時投与される。
【0087】
ある態様において、その局所的な医薬的なゲル組成物はさらに、既存の裂傷又は痔核の治療において用いられる局所的な成分、例えば酸化亜鉛、安息香酸ベンジル、酸化ビスマス、次没食子酸ビスマス又はペルーバムサルを含む。
【0088】
一の側面において、その局所的な医薬的なゲル組成物は、アムロジピン塩、ヒドロキシエチルセルロース、パラオキシ安息香酸メチル、エタノール、水、プロピレングリコール、及びグリセリンを含み、そしてアムロジピン塩は、遊離塩基として測定されるように、約1%w/w、約0.5%w/w、約0.2%w/w、約0.1%w/w、約0.05%w/w及び0.01%w/wより選択される濃度で存在する。
【0089】
一の側面において、その局所的な医薬的なゲル組成物は、本質的にアムロジピン塩、ヒドロキシエチルセルロース、パラオキシ安息香酸メチル、エタノール、水、プロピレングリコール、及びグリシンからなり、そしてアムロジピン塩は、遊離塩基として測定されるように、約1%w/w、約0.5%w/w、約0.2w/w、約0.1%w/w、約0.05%w/w及び0.01%w/wより選択される濃度で存在する。
【0090】
また提供されるものは、
遊離塩基として測定される約0.01~1%w/wのアムロジピン塩、
約5~75%w/wの少なくとも一つのグリコール溶媒;
約0.1~10%w/wの少なくとも一つのゲル化剤;
約0.001~5%w/wの少なくとも一つの保存剤;
約5~75%w/wのグリセリン;
約1~20%w/wのエタノール;及び
約10~40%w/wの水:
を含むアムロジピン塩の局所的な医薬的なゲル組成物である。
【0091】
また、提供されるものは、
遊離塩基として測定される約0.01~1%w/wのアムロジピンベシル酸塩;
約5~75%w/wの少なくとも一つのグリコール溶媒;
約0.1~10%w/wの少なくとも一つのゲル化剤;
約0.001~5%w/wの少なくとも一つの保存剤;
約5~75%w/wのグリセリン;
約1~20%w/wのエタノール;及び
約10~40%w/wの水:
を含むアムロジピン塩の局所的な医薬的なゲル組成物である。
【0092】
また、提供されるものは、
遊離塩基として測定される約0.01~1%w/wのアムロジピン塩、
約5~75%w/wのプロピレングリコール;
約0.1~10%w/wの少なくとも一つのゲル化剤;
約5~75%w/wのグリセリン;
約1~20%w/wのエタノール;及び
約10~40%w/wの水:
を含むアムロジピン塩の局所的な医薬的なゲル組成物である。
【0093】
また、提供されるものは、
遊離塩基として測定される約0.01~1%w/wのアムロジピンベシル酸塩、
約5~75%w/wのプロピレングリコール;
約0.1~10%w/wの少なくとも一つのゲル化剤;
約5~75%w/wのグリセリン;
約1~20%w/wのエタノール;及び
約10~40%w/wの水:
を含むアムロジピン塩の局所的な医薬的なゲル組成物である。
【0094】
また、提供されるものは、
遊離塩基として測定される約0.01~1%w/wのアムロジピン塩;
約5~75%w/wのプロピレングリコール;
約0.1~10%w/wのヒドロキシエチルセルロース、カルボマー、カルボキシメチルセルロース、又はそれらの混合物;
約0.01~5%w/wのパラオキシ安息香酸メチル;
約5~75%w/wのグリセリン;
約1~20%w/wのエタノール;及び
約10~40%w/wの水:
を含むアムロジピン塩の局所的な医薬的なゲル組成物である。
【0095】
また、提供されるものは、
遊離塩基として測定される約0.01~1%w/wのアムロジピンベシル酸塩;
約5~75%w/wのプロピレングリコール;
約0.1~10%w/wのヒドロキシエチルセルロース、カルボマー、カルボキシメチルセルロース、又はそれらの混合物;
約0.01~5%w/wのパラオキシ安息香酸メチル;
約5~75%w/wのグリセリン;
約1~20%w/wのエタノール;及び
約10~40%w/wの水:
を含むアムロジピン塩の局所的な医薬的なゲル組成物である。
【0096】
また、提供されるものは、
遊離塩基として測定される約0.01~1%w/wのアムロジピン塩、
約5~75%w/wのプロピレングリコール;
約0.1~10%w/wのヒドロキシエチルセルロース;
約0.01~5%w/wのパラオキシ安息香酸メチル;
約5~75%w/wのグリセリン;
約1~20%w/wのエタノール;及び
約10~40%w/wの水:
を含むアムロジピン塩の局所的な医薬的なゲル組成物である。
【0097】
また、提供されるものは、
遊離塩基として測定される約0.01~1%w/wのアムロジピンベシル塩、
約5~75%w/wのプロピレングリコール;
約0.1~10%w/wのヒドロキシエチルセルロース;
約0.01~5%w/wのパラオキシ安息香酸メチル;
約5~75%w/wのグリセリン;
約1~20%w/wのエタノール;及び
約10~40%w/wの水:
を含むアムロジピン塩の局所的な医薬的なゲル組成物である。
【0098】
また、提供されるものは、
遊離塩基として測定される約0.01~1%w/wのアムロジピン塩、
約5~75%w/wの少なくとも一つのグリコール溶媒;
約0.1~10%w/wのヒドロキシエチルセルロース;
約5~75%w/wのグリセリン;
約1~20%w/wのエタノール;及び
約10~40%w/wの水:
を含むアムロジピン塩の局所的な医薬的なゲル組成物である。
【0099】
また、提供されるものは、
遊離塩基として測定される約0.01~1%w/wのアムロジピンベシル酸塩、
約5~75%w/wの少なくとも一つのグリコール溶媒;
約0.1~10%w/wのヒドロキシエチルセルロース;
約5~75%w/wのグリセリン;
約1~20%w/wのエタノール;及び
約10~40%w/wの水
を含むアムロジピン塩の局所的な医薬的なゲル組成物である。
【0100】
ある態様において、アムロジピン塩の局所的なゲル製剤は95~105%の試験の判定基準の限界によって室温で少なくとも24カ月の期間、貯蔵安定性を有する。
【0101】
ある態様において、アムロジピン塩の局所的なゲル製剤は95~105%の試験の判定基準の限界によって2~8℃で少なくとも24カ月の期間、貯蔵安定性を有する。
【0102】
別の側面において、局所的な医薬的なゲル製剤のアムロジピン塩の分解不純物(関連物質)は室温で少なくとも24カ月の貯蔵期間で、約2.5%未満である。
【0103】
別の側面において、局所的な医薬的なゲル製剤のアムロジピン塩の分解不純物(関連物質)は約2~8℃の温度で少なくとも24カ月の貯蔵期間で、約2.5%未満である。
【0104】
別の側面において、局所的な医薬的なゲル製剤の局所的に適用されるアムロジピン塩の相対バイオアベイラビリティは経口投与と比較して、10%未満である。28日間の医薬的なゲル製剤の局所投与は局所耐性の組織病理学的な所見をもたらさない。
【0105】
ある態様において、局所的な医薬的なゲル組成物のせん断粘度は、Kinexus Pro rheometer(Malvern Instruments Ltd.)による10s-1のせん断率で測定される5~30Pasの範囲内である。
【0106】
ある態様において、局所的な医薬的なゲル組成物のpHは約4.0~8.0の範囲内である。
【0107】
ある態様において、局所的な医薬的なゲル組成物の密度は約0.9~1.5g/mLの範囲内である。
【0108】
ある態様において、局所的な医薬的なゲル組成物は軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、噴霧剤、気泡、油、エアロゾル、坐薬又は浣腸として製剤化される。
【0109】
ある態様において、局所的な医薬的なゲル組成物は肛門直腸疾患、例えば痔疾患、肛門裂傷及び直腸肛門手術後の疼痛状態に苦しむ患者の皮膚患部へ適用される。
【0110】
本明細書で開示されるものは、肛門直腸疾患、例えば痔疾患、肛門裂傷(急性及び慢性)、直腸肛門手術後の疼痛状態、肛門周囲膿瘍、脱出性の血栓性外痔核、肛門周囲血種、括約筋浸潤癌(肛門直腸癌)、肛門ヘルペス、肛門疣贅、肛門のかゆみ、一過性直腸痛、便秘、肛門出血、及びクローン病又は肛門直腸疾患に関連する別の炎症性大腸炎を治療することにおける使用のための局所的なゲル組成物である。
【0111】
また提供されるものは、請求項1~15のいずれか一項の局所的な医薬的なゲル組成物をそれを必要とする患者の皮膚表面に局所的に適用する肛門直腸疾患の治療のための方法である。
【0112】
ある態様において、その肛門直腸疾患は、痔疾患、肛門裂傷(急性及び慢性)、直腸肛門手術後の疼痛状態、肛門周囲膿瘍、脱出性の血栓性外痔核、肛門周囲血種、括約筋浸潤癌(肛門直腸癌)、肛門ヘルペス、肛門疣贅、肛門のかゆみ、一過性直腸痛、便秘、肛門出血、及びクローン病又は肛門直腸疾患に関連する別の炎症性大腸炎より選択される。
【0113】
また、本明細書で開示されるものは、アムロジピン塩の局所的なゲル製剤の製造のための方法である。製造方法は以下の工程を含む:
少なくとも一つの希釈剤、少なくとも一つのグリコール溶媒、アムロジピン塩、少なくとも一つの保存剤及びゲルを形成するための少なくとも一つのゲル化剤を撹拌すること;並びに所望される総質量/容量まで水を加えること。
【0114】
ある態様において、製造方法は以下の工程を含む:
エタノール、グリコール溶媒及び水を混合すること及びホモジナイズすること;
エタノール、グリコール溶媒及び水においてアムロジピン塩及び保存剤を溶解すること;
その溶解した溶液にゲル化剤を加えること;
その溶液を混合及びホモジナイズし、ゲルを得ること;
連続撹拌下でグリセリンをゲルに加えること;
所望される総質量/容量まで水を加えること。
【0115】
ある態様において、アムロジピン塩の局所的なゲル製剤の製造のための方法は以下の工程を含む:
エタノール、グリコール溶媒及び水を混合すること及びホモジナイズすること;
エタノール、グリコール溶媒及び水において、アムロジピン塩及びパラオキシ安息香酸メチルを溶解すること;
完全に溶解した(b)溶液にヒドロキシエチルセルロースを加えること;
その溶液を混合及びホモジナイズし、ゲルを得ること;
連続撹拌下でグリセリンをゲルに加えること;
所望される総質量/容量まで水を加えること。
【0116】
以下の実施例は本発明の範囲を制限することを意図しないが、詳細化した及び一般的な上記の記載と併せて読み、本発明のさらなる理解及び本発明の前記組成物を調製するための工程の概要を提供する。
【実施例】
【0117】
実施例1
カルボマーを用いたアムロジピンベシル酸塩の局所的な医薬的なゲル組成物の調製
アムロジピンベシル酸塩の局所的な医薬的なゲル組成物をゲル化剤としてカルボマーを用いて調製した。調製したゲルの組成物を表1に要約した。
【表1】
【0118】
例#1の工程:9.8gのエタノールに0.2~0.4gのアムロジピンベシル酸塩を溶解した。87.8~87.6gの水をその溶液に加え、十分に混合した。2gのカルボマーをその調製した溶液に加え、完全に溶解するまで十分に撹拌した。これとは別に、0.828gの水酸化ナトリウムを107.2gの水に溶解し、2mLの0.2%パラオキシ安息香酸メチル溶液を加えた。その二つの溶液を一緒に混合しゲルを形成した。10gのグリセロールをゲルに加え、十分にホモジナイズした。
【0119】
例#2の工程:9.8gのエタノールに0.2~0.4gのアムロジピンベシル酸塩を溶解した。87.8~87.6gの水をその溶液に加え、十分に混合した。2gのカルボマーをその調製した溶液に加え、完全に溶解するまで十分に撹拌した。これとは別に、0.540gの水酸化ナトリウムを107.5gの水に溶解し、2mLの0.2%パラオキシ安息香酸メチル溶液を加えた。その二つの溶液を一緒に混合しゲルを形成した。10gのグリセロールをゲルに加え、十分にホモジナイズした。
【0120】
例#3の工程:100gの水に0.2gのカルボマーを溶解した。0.25gの水酸化ナトリウムを86gの水に溶解した。その二つの溶液を一緒に混合しゲルを形成した。2mLの0.2%パラオキシ安息香酸メチルのエタノール性溶液及び9.9~10gの2~4%のアムロジピンベシル酸塩のエタノール性溶液をゲルに加え、十分にホモジナイズした。
実施例2
カルボキシルメチルセルロースを用いたアムロジピンベシル酸塩の局所的な医薬的なゲル組成物の調製
【0121】
アムロジピンベシル酸塩の局所的な医薬的なゲル組成を、ゲル化剤としてカルボキシメチルセルロースを用いて調製した。その調製したゲルの組成物を表2に要約した。
【表2】
【0122】
例#4の工程:4.9gのエタノールに0.1~0.2のアムロジピンベシル酸塩を溶解し、続いて5gの0.2%パラオキシ安息香酸メチルのエタノール性の溶液及び87.8~87.9gの水をその溶液に加えた。2gのカルボキシメチルセルロースを溶液に加えゲルを形成した。5gのグリセロールをゲル中でホモジナイズした。
実施例3
ヒドロキシエチルセルロースを用いたアムロジピンベシル酸塩の局所的な医薬的なゲル組成物の調製
【0123】
ゲル化剤としてヒドロキシエチルセルロースを用いてアムロジピンベシルの局所的な医薬的なゲル組成物を調製した。調製したゲルの組成物を表3に要約した。
【表3】
【0124】
例#5の工程:9.8gのエタノールに0.2~0.4gのアムロジピンベシル酸塩を溶解し、続いて2gの0.2%パラオキシ安息香酸メチルのエタノール性の溶液及び173.6~173.8gの水をその溶液に溶解した。4gヒドロキシエチルセルロースを調製した溶液に加え、十分に混合しゲルを形成した。10gのグリセロールをゲル中でホモジナイズした。
【0125】
例#6の工程:9.86gのエタノールに0.14~0.28gのアムロジピンベシル酸塩を溶解し、続いて1gの0.2%パラオキシ安息香酸メチルのエタノール性の溶液及び46.95~47.00gの水をその溶液に加えた。2gのヒドロキシエチルセルロースをその溶液に加え、十分に混合しゲルを形成した。40gのグリセロールをゲル中でホモジナイズした。
【0126】
例#7の工程:9.6gのエタノール、25gのプロピレングリコール及び23.02~23.16gの水を十分に混合した。0.14~0.28gのアムロジピンベシル酸塩及び0.1gのパラオキシ安息香酸メチルを溶液混合物内で溶解した。その溶液混合物に2gのヒドロキシエチルセルロースを加えて、十分に混合しゲルを形成した。40gのグリセロールをゲル中でホモジナイズした。
実施例4
ヒドロキシエチルセルロースを用いたアムロジピンマレイン酸塩及びアムロジピンメシル酸塩の局所的な医薬的なゲル組成物の調製
【0127】
アムロジピンマレイン酸塩及びアムロジピンメシル塩の局所的な医薬的なゲル組成物をゲル化剤としてヒドロキシエチルセルロースを用いて調製した。その調製したゲルの組成物を表4に要約した。
【表4】
【0128】
例#8の工程:9.6gのエタノール、25gのプロピレングリコール及び23.14~23.27gの水を十分に混合した。0.13~0.26gのアムロジピンマレイン酸塩及び0.004gのパラオキシ安息香酸メチルを溶液混合物中で溶解した。2gのヒドロキシエチルセルロースをその溶液混合物に加え、そして十分に混合しゲルを形成した。40gのグリセロールをそのゲル中でホモジナイズした。
【0129】
例#9の工程:9.6gのエタノール、25gのプロピレングリコール及び23.15~23.27gの水を十分に混合した。0.12~0.258gのアムロジピンメシル酸塩及び0.004gのパラオキシ安息香酸メチルを溶液混合物中で溶解した。2gのヒドロキシエチルセルロースをその溶液混合物に加え、十分に混合してゲルを形成した。40gのグリセロールをゲル中でホモジナイズした。
実施例5
【0130】
実施例1~4に従って調製したアムロジピンベシル酸塩の局所的な医薬的なゲル組成物をRT及び4℃で密閉したバイアル内で貯蔵し、安定性を調査した。異なる時点で関連物質の試験をRP-HPLC法によって実施した。ヒドロキシエチルセルロースを用いて調製したアムロジピンベシル酸塩の局所的な医薬的なゲル組成物は、カルボマーを用いて調製した組成物と比較してより安定的であった。ヒドロキシエチルセルロースを用いて調製した異なるアムロジピン塩の局所的な医薬的なゲルは4℃及びRTで1カ月貯蔵した後に異なる分解特性を示した。ヒドロキシエチルセルロースを用いて調製したアムロジピンベシル塩のゲルのみが、両方の貯蔵条件において分解特性を有した(表5)。
【表5】
実施例6
in vitroのアムロジピンベシル塩の局所的な医薬的なゲル組成物の透過性
【0131】
In vitroのアムロジピンベシル塩、アムロジピンマレイン酸塩及びアムロジピンメシル酸塩のゲルの透過性を、透析測定を用いて調査した。そのドナーコンパートメントは4000mgの局所的な医薬的なゲル組成物を含み、一方でレシーバー培養液はリン酸緩衝液、pH7.4(100mL)だった。その測定を37℃±0.5℃で実施した。その透析膜はSnakeSkin Dialysis Tubing,3.5K MWCO(35mm dry I.D.)だった。ヒドロキシエチルセルロースを用いて調製したアムロジピンベシル酸塩の局所的な医薬的なゲル組成物は、異なるアムロジピン塩によって調製した組成物又はゲル化剤としてカルボマーを用いることと比較して、in vitroの透過性において有意により高かった。レシーバーコンパートメントのアムロジピン含量は、他のゲルのものと比較して、ヒドロキシエチルセルロースを用いて調製したアムロジピンベシル塩の局所的な医薬的なゲル組成物について1.7倍高かった(表6)。
【表6】
実施例7
ミニピッグでの方法における28日間の皮膚耐性研究、続く8日間の回復期間
【0132】
本研究の目的は、28日間にわたって1日に2回局所(皮膚)投与し、8日間の回復期間後の任意の効果の逆転を評価したミニピッグにおいて、皮膚の局所的な耐性及び0.2%w/wのアムロジピンの局所的な医薬的なゲル組成物の皮膚の刺激の情報を入手することであった。加えて、全身的にさらされる薬物動態特性を調査した。
【0133】
アムロジピンゲル又はプラセボをプラスチック製のスパーテル上で測定し、左及び右の治療箇所(治療領域:約20cm2)で均質にスメア化した。その適用部位は閉塞していなかった。
【0134】
薬物動態的な調査:約3mLの血液を最後の治療後の以下の時点で抗凝固薬としてK3-EDTAを含むプラスチック製バイアルに回収した:治療後0分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間、24時間、36時間及び48時間(11試料/動物)。アムロジピンをATRCにおいて開発された信頼できるLC-MS/MS法を用いてミニピッグの血漿で定量化した。アムロジピンの重水素化したアナログ(Amlodipine-d4)は内部標準(IS)として寄与した。その血漿タンパク質をメタノールによって沈殿し、そしてその上清を勾配溶出によって逆相クロマトグラフで分離した。ポジティブモードのエレクトロスプレーイオン化法に続いて、その分析物を以下の移行でMRMモードにおいて検出した:アムロジピン:409.10→238.15 m/z,IS:413.10→238.15 m/z,キャリブレーション範囲:50 pg/mL~50ng/mL、LLOQ:50 pg/mL。薬物動態的な分析をバリデートしたPhoenix WinNonlin(登録商標)software version 6.3(Pharsight Corporation,USA)を用いて実施した。ノンコンパートメント法を用いて時間曲線に対する個々の及び平均の血漿濃度を評価した。その結果を
図1及び表7に示す。0.2%のアムロジピンゲルの28日間の反復した局所的な投与は非常に低い総全身曝露量をもたらした。反復投与の終了時点で、全ての測定した血漿濃度は300pg/mLを下回ったままであり、そして平均のC
max及びAUC
0-24時間値は両方とも同じ用量で繰り返し経口投与した後に得られたそれらの約5%だった。
【表7】
【0135】
生存率、死亡率及び臨床的徴候:生存率、死亡率及び臨床的徴候を治療日に1日あたり3回(第一の治療の前に1回、そして後に2回)、治療のない日に2回記録した。研究の過程で死亡は発生しなかった。研究期間中アムロジピンゲルに関連する臨床的な徴候は見られなかった。
【0136】
体重:順化期間及び続く投与前の処置日に体重測定を2回実施した。プラセボ及びアムロジピンゲルによって治療した動物の間で体重増加の試験項目に関連した差異はなかった。
【0137】
局所耐性:動物の治療した(両側の)皮膚領域を(治療前に)治療期間及び回復期間中1日2回観察し、特に紅斑、浮腫、炎症、過敏症、感染、バイオフィルム形成、虚血、ネクローシス、丹毒、及び蜂窩織炎に関して局所耐性を評価した。アムロジピンゲル又はプラセボに関する局所耐性の所見は全研究期間において治療部位で見られなかった。
【0138】
部検:回復期間終了時(研究37日目)。アムロジピンゲル又はプラセボに関する肉眼での初見は部検時に任意の動物において見られなかった。
【0139】
病理組織診断:全ての動物由来の治療部位からの試料の全ての病理組織学的な試験。治療に関連した効果又は毒性をプラセボ又はアムロジピンゲルによる28日間の皮膚曝露及び8日間の回復後に確認した。
【0140】
結論として、28日間にわたるミニピッグへの2mg/動物/治療の投与レベルでの1日2回の局所的な(皮膚の)アムロジピンゲルによる皮膚耐性の研究は有害事象をもたらさなかった。本研究に従い、2mg/動物/治療量は全ての動物に耐用性がよかった。
【0141】
前述の記載より、当業者は容易に本発明の必要な特性を確認でき、そしてその精神及び範囲に逸脱することなく、様々な使用及び状況に適応させる本発明の様々な変化及び修飾を行うことができる。