(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】二酸化炭素スカベンジャーを有する亜鉛空気電気化学セル
(51)【国際特許分類】
H01M 12/06 20060101AFI20240731BHJP
H01M 4/06 20060101ALI20240731BHJP
H01M 4/86 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
H01M12/06 Z
H01M12/06 A
H01M12/06 D
H01M12/06 F
H01M4/06 T
H01M4/86 B
(21)【出願番号】P 2021534173
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(86)【国際出願番号】 US2019066402
(87)【国際公開番号】W WO2020124051
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-11-16
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516268286
【氏名又は名称】エナジャイザー ブランズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】ポズドル イアン
(72)【発明者】
【氏名】シヴェルトセン マーク
(72)【発明者】
【氏名】ラブサム トニー
(72)【発明者】
【氏名】シュネッツ コキー
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】実開昭47-018718(JP,U)
【文献】実公昭49-031370(JP,Y1)
【文献】実公昭49-031371(JP,Y1)
【文献】実開昭47-025912(JP,U)
【文献】特開2007-141745(JP,A)
【文献】特開昭62-272478(JP,A)
【文献】特開2000-003735(JP,A)
【文献】特開2003-151647(JP,A)
【文献】特公昭49-005534(JP,B1)
【文献】特開2015-079692(JP,A)
【文献】特表2002-532857(JP,A)
【文献】特開昭59-098479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 12/00-12/08
H01M 4/06
H01M 4/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気カソード、亜鉛アノード、電解質、及びハウジングを備える亜鉛空気バッテリであって、
前記ハウジングは、アノード缶及びカソード缶であって前記アノード缶と前記カソード缶との間に絶縁ガスケットを有する前記アノード缶と前記カソード缶を備え、
前記カソード缶は、複数の空気ポートを備え、
前記アノード缶は、アノードキャビティを定め、
前記亜鉛空気バッテリは、前記カソード缶と前記アノードキャビティとの間にセルロース空気拡散層を備え、
空気リザーバが、前記カソード缶と前記セルロース空気拡散層により定められ、前記セルロース空気拡散層は、前記空気リザーバに近接する第1の面と、多孔質拡散層に近接する反対側の第2の面とを有し、
前記空気リザーバと前記セルロース空気拡散層とが、水酸化リチウムのフィルム又は粉末を含む二酸化炭素スクラビング剤を含み、前記二酸化炭素スクラビング剤はポリビニルアルコールを含む吸湿材料と組み合わせられる、
亜鉛空気バッテリ。
【請求項2】
前記二酸化炭素スクラビング剤は、塩基性水酸化物塩、ソーダ石灰、重炭酸ナトリウム、過酸化リチウム、酸化リチウム、アミン含有化合物、かんらん石、又はこれらの何れか2又は3以上の組み合わせを含む、請求項1に記載の亜鉛空気バッテリ。
【請求項3】
前記二酸化炭素スクラビング剤は、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、ソーダ石灰、重炭酸ナトリウム、過酸化リチウム、酸化リチウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、かんらん石、又はこれらの何れか2又は3以上の組み合わせを含む、請求項1に記載の亜鉛空気バッテリ。
【請求項4】
前記吸湿材料は、
さらに、ポリアクリル酸、カルボキシルメチルセルロース、又はこれらの何れか2又は3以上の組み合わせを含む、請求項
1に記載の亜鉛空気バッテリ。
【請求項5】
前記二酸化炭素スクラビング剤は、前記空気カソードの表面に埋込まれる、請求項1から3の何れか1項に記載の亜鉛空気バッテリ。
【請求項6】
前記空気カソードは、前記二酸化炭素スクラビング剤を含む、又は前記二酸化炭素スクラビング剤から成る、請求項1から3の何れか1項に記載の亜鉛空気バッテリ。
【請求項7】
前記吸湿材料は、さらに、レーヨン繊維を含む、請求項1に記載の亜鉛空気バッテリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年12月14日出願の米国仮出願第62/780,158号の利益及び優先権を主張し、引用により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、一般に、亜鉛空気バッテリ及びその使用方法の分野に関する。
【発明の概要】
【0003】
1つの態様では、亜鉛空気バッテリは、空気カソード、亜鉛アノード、電解質、及びハウジングを含み、亜鉛空気バッテリは二酸化炭素スクラビング剤を含む。
【0004】
別の態様では、亜鉛空気バッテリのためのパッケージングは、二酸化炭素スクラビング剤を含むチャンバを備え、チャンバは、貯蔵中に亜鉛空気バッテリを収容するように構成される。
【0005】
上述の概要は例示に過ぎず、限定を意図するものではない。上述した例示の態様、実施形態及び特徴に加えて、更なる態様、実施形態及び特徴は、以下の図面及び詳細な説明を参照すると明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】例示の電気化学セルを示す断面概略図である。
【
図2】実施例による、本技術の亜鉛空気バッテリ(5重量%のLiOH溶液で処理してその後乾燥したポリビニルアルコール及びレーヨン繊維で作られた拡散パッドを含む)、並びに未処理の拡散パッドを含む同様の亜鉛空気バッテリ(「対照」(Control))を補聴器標準試験に供した結果を示す図であり、二酸化炭素(CO
2)の濃度は2,500ppmであった。
【
図3】実施例による、本技術の亜鉛空気バッテリ(10重量%のLiOH溶液で処理してその後乾燥したポリビニルアルコール及びレーヨン繊維で作られた拡散パッドを含む)、並びに未処理の拡散パッドを含む同様の亜鉛空気バッテリ(「対照」)を補聴器標準試験に供した結果を示す図であり、CO
2の濃度は2,500ppmであった。
【
図4】実施例による、本技術の亜鉛空気バッテリ(10重量%のLiOH溶液で処理して乾燥して
いないポリビニルアルコール及びレーヨン繊維で作られた拡散パッドを含む)、並びに未処理の拡散パッドを含む同様の亜鉛空気バッテリ(「対照」)を補聴器標準試験に供した結果を示す図であり、CO
2の濃度は2,500ppmであった。
【
図5】実施例による、CO
2の濃度が2,500ppmである補聴器標準試験にバッテリを供したときの、未処理の拡散パッドを含む同様の亜鉛空気バッテリ(「対照」)と比較した本技術の亜鉛空気バッテリの種々の実施形態についての容量に対する影響を示す図である。
【
図6】実施例による、CO
2の濃度が1,500ppmである補聴器標準試験にバッテリを供したときの、未処理の拡散パッドを含む同様の亜鉛空気バッテリ(「対照」)と比較した本技術の亜鉛空気バッテリの種々の実施形態についての容量に対する影響を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
種々の実施形態について以下で説明される。具体的な実施形態は、網羅的な記載として又は本明細書で検討するより広範な態様への限定として意図するものではない点に留意されたい。特定の実施形態と併せて説明する1つの態様は、必ずしも当該実施形態に限定されるものではなく、他の何れかの実施形態と共に実施することができる。
【0008】
本明細書で用いられる場合、「約」は、当業者によって理解され、使用される文脈に応じてある程度変化することになる。当業者には明らかではない用語が使用される場合、使用される文脈を考慮すると、「約」は、特定の用語の最大±10%を意味することになり、例えば、「約10重量%」は、「9重量%~11重量%」を意味すると理解される。「約」が用語に先行する場合、当該用語は、その用語の「約」並びに「約」による修飾なしの用語と解釈すべきであり、例えば、「約10重量%」は、「9重量%~11重量%」を開示すると同時に「10重量%」を開示することを理解されたい。
【0009】
要素を説明する文脈における(具体的には、以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「a」及び「an」並びに「the」及び同様の指示対象の使用は、本明細書で別段の指示がなく又は明確に文脈によって矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方をカバーすると解釈すべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書で別段の指示がない限り、範囲内に含まれる各別個の値を個々に参照する簡潔な方法として機能することのみ意図されており、各別個の値は、それが本明細書で個々に記載されたかのように本明細書に組込まれる。本明細書で記載される全ての方法は、本明細書で別段の指示がない限り又は文脈によって明確に別段の矛盾がない限り、あらゆる適切な順序で実行することができる。本明細書で提供されるあらゆる及び全ての実施例又は例示的な表現(例えば、など)は、実施形態をより良く明らかにすることが単に意図され、別段の定めがない限り特許請求の範囲に限定を課すものではない。本明細書におけるいかなる表現も、特許請求の範囲に記載されていない要素が本質的であることを示していると解釈してはならない。
【0010】
本明細書で用いられる場合の用語「アミン」(又は「アミノ」)は、-NR100R101基を指し、R100及びR101は、本明細書で定義するように、独立して、水素、或いは置換又は非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリル、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル又はヘテロシクリル基である。一部の実施形態では、アミンは、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリルアミノ、又はアルキルアリルアミノである。他の実施形態では、アミンは、NH2、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、フェニルアミノ、又はベンジルアミノである。
【0011】
本明細書で用いられる場合、用語「亜鉛アノード」は、アノード活物質として亜鉛を含むアノードを指す。
【0012】
本明細書で用いられる場合、用語「ppm」は、そうでないことを明示的に表記されない限り、重量で100万分の1を意味する。
【0013】
亜鉛空気セルは、電流を発生させる反応を大気酸素に依存する。しかしながら、理解されるように、これは、大気中の二酸化炭素にセルを暴露し、セルのアルカリ性電解質と反応してしまう。このような反応は、電解質の導電性を低下させ及び/又は空気との反応が起こる空気拡散膜のカソード細孔の閉塞によってカソード性能を阻害することによりセル放電性能を低下させる。不十分な室内換気、ヒトの活動の増大、及び他の要因に起因する大気中の二酸化炭素の濃度の上昇は、影響の重大性を悪化させ、亜鉛空気セルのセル寿命を短縮する。これは、本開示の実施例9、表1に例示される。
【0014】
ここで、二酸化炭素と反応する材料、すなわち、「二酸化炭素スクラビング剤」(本明細書では「二酸化炭素スクラバー」とも呼ばれる)を用いたセルのシード処理は、セルの性能及び寿命を改善するのに役立つことが分かっている。空気がセルに入ると、二酸化炭素は、二酸化炭素スクラバーと反応し、電解質中又は空気拡散膜の表面におけるアルカリ成分と二酸化炭素の反応を阻止又は少なくとも最小限にする。スクラバーは、電解質の導電性及びカソード多孔度を長期間にわたって維持することを可能にする。或いは、電解質中に存在しているアルカリ性水酸化物と反応する前に、溶解した二酸化炭素と優先的に反応する材料で、電解質をシード処理することができる。
【0015】
例示の二酸化炭素スクラバーは、限定ではないが、塩基性水酸化物塩、ソーダ石灰、重炭酸ナトリウム、過酸化リチウム、酸化リチウム、アミン含有化合物、かんらん石、又はこれらの何れか2又は3以上の組み合わせを含む。例えば、本明細書で開示するあらゆる実施形態では、二酸化炭素スクラバーは、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、ソーダ石灰、重炭酸ナトリウム、過酸化リチウム、酸化リチウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、かんらん石、又はこれらの何れか2又は3以上の組み合わせを含む二酸化炭素スクラビング剤とすることができる。
【0016】
本明細書の何れかの実施形態では、二酸化炭素スクラビング剤は、吸湿材料と組み合わせられるのがよい。例示の吸湿材料は、限定ではないが、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシルメチルセルロース、又はこれらの類似の化合物、及びこれらの何れか2又は3以上の組み合わせを含む。理論に拘束されることなく、多くの二酸化炭素スクラビング剤の反応機構は、二酸化炭素の水への溶解に依存すると考えられ、吸湿材料と二酸化炭素スクラビング剤の組み合わせは、二酸化炭素スクラビング剤の水へのアクセスを増大させると考えられる。本明細書の何れかの実施形態では、二酸化炭素スクラビング剤は、水と組み合わせられるのがよい。本明細書の何れかの実施形態では、二酸化炭素スクラビング剤は、吸湿材料及び水と組み合わせられるのがよい。本明細書の何れかの実施形態では、二酸化炭素スクラビング剤対水の重量比は、約0.001:1~約1:0.01、すなわち、二酸化炭素スクラビング剤対水の重量比は、約0.001:1、約0.01:1、約0.05:1、0.1:1、約0.2:1、約0.3:1、約0.4:1、約0.5:1、約0.6:1、約0.7:1、約0.8:1、約0.9:1、約1:1、約1:0.9、約1:0.8、約1:0.7、約1:0.6、約1:0.5、約1:0.4、約1:0.3、約1:0.2、約1:0.1、約1:0.05、約1:0.01、又はこれらの値の何れか2つを含む及び/又は何れか2つの中間のあらゆる範囲とすることができる。
【0017】
一実施形態によれば、流入空気が電解質及びアノード活物質(すなわち亜鉛)と接触する前にスクラビング剤に遭遇する可能性がある空間において、二酸化炭素スクラビング剤を用いてカソード缶の内側を被覆するのがよい。例えば、
図1に示すように、空気リザーバ55は、バッテリセル内の空スペースである。セルは、空気が拡散層32に接触する前に空気ポート54を通ってセルに入るように構成される。従って、二酸化炭素スクラビング剤は、空気リザーバ55内のセルの内部表面に適用されて、空気ポート54を通ってセルに入るときに二酸化炭素を除去又は少なくとも低減することができる。スクラビング剤はまた、セルロース空気拡散層32、カソード42、又は多孔質拡散層57の何れかの内部に埋込まれ又は付着することができる。スクラビング剤は、粉末として、又は後で除去される溶媒を通して適用することによってフィルムとして、又は他の実用的手段によって付着することができる。
【0018】
別の実施形態では、二酸化炭素スクラビング剤は、アルカリ性電解質に加えることができる。このような実施形態では、スクラビング剤は、材料が最初に二酸化炭素と反応するように選択され、電解質中に存在するNaOH又はKOHを保護する。理論に拘束されることなく、CO2が亜鉛空気セルに入ると、CO2は、水性電解質に溶解し、これにより炭酸を形成できると考えられる。次いで、炭酸は、電解質中に存在するNaOH又はKOHと反応する前にスクラバーと反応することができ、その結果、電解質の所望のアルカリ性が維持されるようになる。
【0019】
別の実施形態では、二酸化炭素スクラビング剤は、セルの使用前に、二酸化炭素暴露に起因する保管ダメージを最小にするように、補聴器セルを収容するパッケージングに加えられる。例えば、パッケージングは、保管又は販売のために、補聴器バッテリなどの亜鉛空気セルを保持することが意図されたチャンバを収容することができる。パッケージングは、粉末、パッケージング材料の被覆、又はパッケージング及びチャンバ形成材料を構成するプラスチック又は紙の内部に埋込まれたものとしての二酸化炭素スクラビング剤の何れかを含むことができる。本明細書の何れかの実施形態では、二酸化炭素スクラビング剤は、吸湿材料と組み合わせられることができる。例示の吸湿材料は、限定ではないが、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシルメチルセルロース、又はこれらの類似化合物、及びこれらの何れか2又は3以上の組み合わせを含む。
【0020】
本明細書で開示する何れかの実施形態では、亜鉛空気バッテリは、亜鉛/酸化銀バッテリ、亜鉛/二酸化マンガンバッテリなどの亜鉛空気バッテリセル設計に従って又はこれらと一致するように構成することができる。例えば、種々の実施形態では、亜鉛空気バッテリは、亜鉛空気ボタンサイズバッテリに適した仕様に設計することができる。一部の実施形態では、亜鉛空気バッテリの形状は、アノードが幾らか平坦又は鍋形位置に保持されるようなものである。本開示の亜鉛空気バッテリセルの例示的な実施形態は、
図1に示されるようなものとすることができる。
【0021】
亜鉛空気バッテリのセル10を具体的に参照すると、負極は、アノード缶24を含むアノード缶組立体22を収容し、アノード缶24は、その中に収容された電気化学反応アノード26及び絶縁ガスケット60を含む。アノード缶24は、基部壁28と、円周方向下方に垂下する側壁30とを有する。側壁30は、円周方向缶足部36で終端する。基部壁及び側壁30は、一般に、アノード26を収容するアノード缶24内にアノードキャビティ38を定める。
【0022】
アノードは、銅及びアルミニウム、シリコン、コバルト、スズ、クロム、亜鉛、及びこれらの何れか2又は3以上の混合物などの金属を含む、銅合金を含むことができる。一実施形態では、アノード全体は、銅合金を含むことができる。
【0023】
カソード42は、セパレータ74の下方からカソード缶44までの領域を含む。このカソード42領域は、多孔質拡散層57、セルロース空気拡散層及びカソード活性層72を含む。カソード缶44は、底部46及び円周方向直立側壁47を有する。底部46は、略平坦な内面48、略平坦な外面50、及び平坦な外面50に定められた外周52を有する。複数の空気ポート54は、カソード缶44の底部46を通って延び、底部46を通って隣接するカソード缶組立体40へ酸素を通過させるための通路を提供する。空気リザーバ55は、底部46及び対応する空気ポート54からカソード缶組立体40を離間させる。多孔質拡散層57及びセルロース空気拡散層32は、空気リザーバ55を充填する。カソード缶の側壁47は、内面56及び外面58を有する。
【0024】
アノード缶組立体22は、絶縁ガスケット60によってカソード缶組立体40から電気的に絶縁される。絶縁ガスケット60は、カソード缶の直立側壁47とアノード缶の下方に垂下する側壁30との間に配置された円周方向側壁62を含む。絶縁ガスケット足部64は、アノード缶の缶足部36とカソード缶組立体40との間に概ね配置される。絶縁ガスケット上部66は、絶縁ガスケット60の側壁62が、セルの上部に隣接する側壁30、47の間から延びる軌跡で位置決めされる。
【0025】
従って、セル10の外面68は、アノード缶24の上部の外面、カソード缶44の側壁47の外面58、カソード缶44の底部の外面50、及び絶縁ガスケット60の上部66の一部分によって定められる。
【0026】
絶縁ガスケットはまた、電気絶縁を提供し、アノード缶24とカソード缶44との間の全ての有効な直接電気接触を阻止することができる。従って、絶縁ガスケットの側壁62は、一般的に側壁47の上部から側壁30の底部まで、外面と内面56との間のバッテリの周囲全体を囲み、この周りに電気絶縁特性を提供する必要がある。同様に、絶縁ガスケットの足部64は、側壁30の足部36、側壁47の下側部分とカソード缶組立体40の外周部分との間のセルの周囲全体を囲み、この周りに電気絶縁特性を提供する必要がある。良好な液体シール特性及び良好な電気絶縁特性の組み合わせは、典型的には、所望の構成で既知のバッテリグレードのナイロンポリマー材料を成形することによって達成される。
【0027】
電気絶縁要件を満たすために、絶縁ガスケットは、良好な誘電体絶縁特性を有するのがよく、側壁62周りに最小厚みを有するのがよく、及び側壁30、47間の電流の伝達を許容する可能性があるいかなるピンホール又は他の欠陥も含まないのがよい。約200~約250ミクロンの絶縁ガスケット側壁62の厚みは、従来の電気化学セルでは一般的である。100ミクロンほどの薄さの厚みは、従来技術のより厚い絶縁ガスケットと同じ弾性変形可能な熱可塑性ナイロン材料を用いて、本開示のセルにおいて許容可能である。
【0028】
絶縁ガスケットが適用されることになるバッテリの構造に応じて、例えば、150ミクロン、140ミクロン、127ミクロン、又は同様のものなどの中間の厚みは、一部のセルに対して選択することができる。しかしながら、セル体積効率が駆動考慮事項(driving consideration)である場合、好ましい厚みは、より小さく、例えば120ミクロン又は110ミクロン~100ミクロンほどの薄さである。従って、本開示のセル10で使用するのに好ましい絶縁ガスケット60の厚みの範囲は、約100ミクロンの下端を有する。
【0029】
実施形態では、多孔質拡散層57は、約25~約100ミクロン厚のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜などの微孔性疎水性ポリマー材料であり、これにより空気の通過が許容され、バッテリ電解質に対してほぼ不浸透性である。一実施形態では、多孔質拡散層57は、テフロン(登録商標)である。一部の実施形態では、空気ポート54と組み合わせた多孔質拡散層57は、カソード組立体の活性反応表面積に酸素を効率的に輸送するのに用いられる。
【0030】
実施形態では、セルロース空気拡散層32は、多孔質拡散層57の下に位置付けられ、保護側面空気拡散層として働く。具体的には、セルが活性化されると、アノードは、セパレータ74を押下し、セルロース空気拡散層32は、空気ポート54が完全に覆われるのを保護するのに役立つ。
【0031】
実施形態では、活性層72は更に、接続基層、つまり、集電体としてカソード缶と相互接続することができる導電性織成ニッケル線層(図示せず)を含む。一実施形態では、炭素は、ニッケル線の導電層を取り囲むマトリックスを形成する。一実施形態では、ニッケルは、亜鉛空気セルの環境においてほとんど又は全く腐食を示さず、またニッケルは優れた導電体であるので、導電層に使用される。一実施形態では、セパレータ74と多孔質拡散層57との間のカソード組立体の厚みは、可能な限り小さい。
【0032】
上で検討したように、亜鉛空気セルの電解質は、NaOH又はKOHなどの水性電解質及び塩基を含むことができる。種々の実施形態によれば、電解質は、界面活性剤系、腐食防止剤(すなわち、水酸化インジウム、ポリアニリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又は水酸化リチウム)、ゲル化剤(すなわち、ポリアクリル酸ポリマー)、ガス抑制添加剤(すなわち、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、又は臭化カルシウム)、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、スズ酸ナトリウム、スズ酸カリウム、又はこれらの何れか2又は3以上の組み合わせを更に含むことができる。
【0033】
一実施形態では、電解質は更に、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸、ジエチレントリアミン、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、化学式(III)の化合物、1つの化合物、又はこれらの何れか2又は3以上の組み合わせを含む、界面活性剤を含むことができる。
【0034】
化学式(III)の化合物は以下を含む:
式中R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、及びR
21は、各々独立して水素、アルキル、アルケニル、又はシクロアルキル基であり、X
2はO又はSであり、X
3はOH又はSHであり、wは5-50である。一部の実施形態では、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、及びR21は、各々水素である。一部の実施形態では、X
2はOである。一部の実施形態では、X
3はOHである。一部の実施形態では、wは5-15である。一部の実施形態では、wは5-10である。一部の実施形態では、R
13はC
1-C
12アルキル基であり、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、及びR
21は、各々水素であり、X
2はOであり、X
3はOHであり、wは5-15である。一部の実施形態では、R
13はオクチルであってwは5-10である。別の実施形態では、R
13は1,1,3,3-テトラメチルブチルであって、wは5-10である。
【0035】
実施形態では、電解質は、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸及び少なくとも1つの両性フッ素系界面活性剤の組み合わせを含む。別の実施形態では、電解質は、ジエチレントリアミン及び少なくとも1つの両性フッ素系界面活性剤の組み合わせを含む。別の実施形態では、電解質は、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール及び少なくとも1つの両性フッ素系界面活性剤の組み合わせを含む。
【0036】
実施態様では、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤は、電圧抑制を低減する。一実施形態では、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤は、約9.0~約10.0ポンド/ガロン(約1078~1198kg/m3)の密度を有する。別の実施形態では、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤は、約9.8ポンド/ガロン(約1174kg/m3)の密度を有する。一実施形態では、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤はまた、約2.0未満のpHを有することができる。別の実施形態では、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤は、水中で約50%の溶解度を有することができる。
【0037】
実施形態では、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤は、スルホン化ベンゼン、1,1’-オキシビス-sec-ヘキシル誘導体を約70重量%~約75重量%で含む。別の実施形態では、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤は、硫酸を約0重量%~約5重量%又は約2重量%~約4重量%含むことができる。別の実施形態では、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤は、水を約20重量%~約30重量%又は約22重量%~約28重量%含むことができる。例示的な実施形態では、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤は、米国オハイオ州のシンシナティ45241の2744East Kemper RoadのPilot Chemical Companyから入手可能なCalfax(登録商標)6LA-70である。一実施形態では、Calfax(登録商標)6LA-70は界面活性剤であるが、本開示の他の実施形態では結合剤及び/又はHLB調整剤として作用することができる。従って、用語「界面活性剤」は、Calfax(登録商標)6LA-70に対する限定的な意味で見られるべきでなく、むしろ、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸が提供することができる機能のうちの1つの説明である。
【0038】
実施形態では、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤は、約500ppm~約5,000ppmの量で存在する。これは、約1,000ppm~約4,000ppm又は約2,000ppm~約3,000ppmを含むことができる。別の実施形態では、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤は、約1,000ppm、約2,000ppm、約3,000ppm、約4,000ppm、又は約5,000ppm、或いは(終端点を含む)これらの値の何れか2つの間の範囲の量で存在する。一実施形態では、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤は、約3,000ppmの量で存在する。別の実施形態では、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤は、約4,500ppmの量で存在する。
【0039】
電解質は、腐食防止剤を含むことができる。一部の実施形態では、腐食防止剤を用いて、クリーンな亜鉛表面を維持するのに役立ち、これによりセル電圧及び効率が増大する。一部の実施形態では、腐食防止剤及びフッ素系界面活性剤の両方は、セル電圧及びセル性能を改善することができる。別の実施形態では、腐食防止剤は、導電性を高めることができる。
【0040】
腐食防止剤は、約100ppm~約15,000ppmの電解質中に存在することができる。これは、約200ppm~約300ppmを含むことができる。別の実施形態では、腐食防止剤は、約150ppm、約200ppm、約250ppm、約300ppm、約350ppm、又は(終端点を含む)これらの値の何れか2つの間の範囲の量で存在する。別の実施形態では、腐食防止剤は、約250ppmの量で存在する。腐食防止剤のみに関して、ppm量は、腐食防止剤が室温で液体であるとき電解質の総重量に基づき、或いは、腐食防止剤が室温で固体であるときにアノード中の亜鉛重量に基づいている。
【0041】
実施形態では、腐食防止剤は、芳香族アミンポリマー、水酸化インジウム、ポリアニリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、水酸化リチウム、又はこれら何れか2又は3以上の組み合わせである。一部の実施形態では、腐食防止剤は、化学式(II)の化合物である。
式中R
9、R
10、R
11、及びR
12は、各々独立して水素、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルケニル、或いは置換又は非置換シクロアルキル基であり、tは100-500である。一部の実施形態では、R
9、R
10、R
11、及びR
12は、各々水素である。一部の実施形態では、tは100-200である。一部の実施形態では、R
9、R
10、R
11、及びR
12は、各々水素であり、mは100~200である。
【0042】
別の実施形態では、腐食防止剤はポリアニリンである。一部の実施形態では、ポリアニリン腐食防止剤はエメラルジンポリアニリンである。別の実施形態では、ポリアニリンはポリアニリンの非酸性ドープ形であり、ポリアニリンの導電形ではない。一部の実施形態では、ポリアニリンのエメラルジン形は中性であり、室温で高い安定性を有する。一部の実施形態では、ポリアニリンは、腐食防止剤としてとして作用することができる。一部の実施形態では、ポリアニリンは、ポリアニリンが単に腐食防止剤として作用することに限定されない他の利点を提供することができる。従って、ポリアニリンを「腐食防止剤」と呼んでも、ポリアニリンは特定の機能に限定されない。例えば、一部の実施形態では、ポリアニリンは導電性を高める。
【0043】
一実施形態では、腐食防止剤は、水酸化インジウムである。一部の実施形態では、水酸化インジウムは、アノード中の亜鉛の総重量に基づいて約2,000ppm~約4,000ppmの量で存在することができる。これは、約2,500ppm~約3,500ppm、又は約2,750ppm~約3,250ppmを含むことができる。別の実施形態では、水酸化インジウムは、約2,000ppm、約2,500ppm、約3,000ppm、約3,500ppm、約4,000ppm、又は(終端点を含む)これらの値の何れか2つの間の範囲の量で存在することができる。別の実施形態では、水酸化インジウムは、アノード中の亜鉛の総重量に基づいて約3,000ppmの量で存在することができる。
【0044】
電解質は、ゲル化剤を含むことができる。当技術分野におけるあらゆる適切なゲル化剤は、それが本開示の範囲から逸脱しない限り用いることができる。一実施形態では、ゲル化剤は、電解質の総重量に基づいて、約500ppm~約1,500ppm、約750ppm~約1,250、又は約900ppm~約1,100ppmの量で存在することができる。別の実施形態では、ゲル化剤は、約500ppm、約600ppm、約700ppm、約800ppm、約900ppm、約1,000ppm、約1,100ppm、約1,200ppm、約1,300ppm、約1,400ppm、又は約1,500ppm、又は(終端点を含む)これらの値の何れか2つの間の範囲の量で存在することができる。別の実施形態では、ゲル化剤は、約1,000ppmの量で存在する。一実施形態では、適切なゲル化剤は、ポリアクリル酸ポリマーである。一実施形態では、ポリアクリル酸は、架橋ポリアクリル酸ポリマーである。
【0045】
電解質は、ポリアクリレートポリマーを含むことができる。ポリアクリレートポリマーは、約1,000ppm~約5,000ppmの量で存在することができる。これは、約2,000ppm~約4,000ppm、又は約2,500ppm~約3,500ppmを含むことができる。別の実施形態では、ポリアクリレートポリマーは、約2,000ppm、約2,500ppm、約3,000ppm、約3,500ppm、約4,000ppm、又は(終端点を含む)これらの値の何れか2つの間の範囲の量で存在することができる。別の実施形態では、ポリアクリレートポリマーは、約2,000ppmの量で存在することができる。一部の実施形態では、適切なポリアクリレートポリマーは、架橋ポリアクリレートポリマーである。
【0046】
電解質は、ガス抑制添加剤を含むことができる。一実施形態では、電解質は、約500ppm~約20,000ppmのガス抑制添加剤を含むことができる。一実施形態では、ガス抑制添加剤は酸化亜鉛である。
【0047】
酸化亜鉛は、電解質の約1重量%~約10重量%の量で存在することができる。これは、電解質の約1重量%~約8重量%、1重量%~約5重量%、約1.5~約5重量%、又は約2~約5重量%を含むことができる。一実施形態では、酸化亜鉛は、電解質の重量約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、又は約4重量%、又は(終端点を含む)これらの値の何れか2つの間の範囲の量で存在することができる。一実施形態では、酸化亜鉛は、電解質の約2重量%の量で存在することができる。一部の実施形態では、酸化亜鉛は、単にガス抑制添加剤として作用することに酸化亜鉛を限定しない他の利点を提供することができる。従って、酸化亜鉛を「ガス抑制添加剤」と呼ぶことは、酸化亜鉛をその特定の機能のみに限定するものではない。例えば、一部の実施形態では、酸化亜鉛は、亜鉛表面パッシベーションを調節する。
【0048】
電解質は、水酸化カリウムを含むことができる。一実施形態では、水酸化カリウムは、電解質の約20重量%~約45重量%の量で存在する。これは、電解質の約25重量%~約40重量%又は約30重量%~約35重量%を含むことができる。一実施形態では、水酸化カリウムは、電解質の約45重量%、約30重量%、約25重量%、又は約20重量%、又は(終端点を含む)これらの値の何れか2つの間の範囲の量で存在することができる。別の実施形態では、水酸化カリウムは、電解質の約33重量%の量で存在する。
【0049】
電解質は、水酸化ナトリウムを含むことができる。一実施形態では、水酸化ナトリウムは、約20%~約45%の量で存在する。これは、電解質の約25重量%~約40重量%又は約30重量%~約35重量%を含むことができる。一実施形態では、水酸化ナトリウムは、電解質の、約45重量%、約30重量%、約25重量%、又は約20重量%、又は(終端点を含む)これらの値の何れか2つの間の範囲の量で存在することができる。別の実施形態では、水酸化ナトリウムは、電解液の約33重量%の量で存在する。
【0050】
実施形態では、亜鉛空気バッテリは電解質を含み、電解質は、界面活性剤系及び腐食防止剤を含む。一部の実施形態では、界面活性剤系は、両性フッ素系界面活性剤を含む。別の実施形態では、界面活性剤系は、ガス抑制添加剤を更に含む。別の実施形態では、界面活性剤系は、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸、ジエチレントリアミン、又はオクチルフェノキシポリエトキシエタノール、化学式(III)の化合物、又はこれらの何れか2又は3以上の組み合わせを更に含む。
【0051】
実施形態では、負極は、アノード、アノード活物質、及び活物質を取り囲むアノード缶組立体を含む。一部の実施形態では、アノード活物質は亜鉛を含み、「亜鉛アノード」と呼ばれる。この点に関して、本明細書で用いられる場合、アノード「活物質」は、不純物及びその中に存在する場合がある少量の他の部分を含む、セルのアノードにおける放電反応の一部であってセル放電容量に寄与する、単一化学化合物を指すことができる点に留意されたい。アノード「活物質」は、亜鉛活物質を含有又は支持することができる、集電体、電極リード線、その他を含まない。
【0052】
電解質成分の組み合わせを含むアノードが提供され得る。一部の実施形態では、電解質は、腐食防止剤、ゲル化剤、ガス抑制添加剤、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、臭化カルシウム、水酸化セシウム、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、スズ酸ナトリウム、スズ酸カリウム、及び少なくとも1つの両性フッ素系界面活性剤のうちの1又は2以上に加えて、少なくとも1つの両性フッ素系界面活性剤を含む。例示の両性フッ素系界面活性剤は、限定ではないが、CHEMGUARD(登録商標)S-111、CHEMGUARD(登録商標)S-500、CAPSTONE(登録商標)FS-50、CAPSTONE(登録商標)FS-51、APFS-14、DYNAX DX3001、ZONYL(登録商標)FSK、ZONYL(登録商標)FS-500、又はこれらの何れか2又は3以上の組み合わせを含む。一部の実施形態では、アノード中の成分の組み合わせは、セル電圧及びセル性能における強化改善を提供する。
【0053】
アノードに対する物理的改良はまた、単独で又は上述の化学改良と組み合わせてセル耐用年数を改善することができる。例えば、水酸化物イオンに対する拡散抵抗を低減することによって、従来のセルに比べて電解質中の水酸化物イオンの濃度が有利に低いセルを効率的に放電することができる。これは、例えば、アノード内に類似の亜鉛粒度の狭い分布を与えるように亜鉛粒度分布を調整し、これにより、水酸化物イオンに対する多孔度(拡散経路)を高めることによって達成することができる。拡散特性を改善するのに加えて、本開示の粒度分布はまた、ZnOの沈殿のために多孔度部位を提供し、これにより、アノードパッシベーションを遅らせる。この手法は、亜鉛空気バッテリセルのアノードに使用するために有効であり、本明細書で開示する他の改良と組み合わせて用いることができる。
【0054】
適切な亜鉛粒度分布は、粒子の少なくとも70%が100ミクロンサイズの範囲内の標準的なメッシュふるい粒度を有し、分布のモードが約100~約300ミクロンの間にあるものである。一実施形態では、適切な亜鉛粒度分布は、上記のテストを満たし、100ミクロン、150ミクロン、又は200ミクロンプラス又はマイナス約10%のモードを有する粒度分布を含む。一実施形態では、粒子の約70%は、約100ミクロンより狭いサイズ分布範囲、例えば約50ミクロン、又は約40ミクロン又はそれ未満で分配される。
【0055】
正極は、カソード缶44及びカソード42を含むカソード缶組立体40を含むことができる。カソード42の例示的な実施形態は、
図1に最もよく示されている。カソード42の活性層72は、セパレータ74と多孔質拡散層57との間に置かれる。活性層72は、好ましくは、約50ミクロン~約1,250ミクロン厚の範囲で、電解質中のヒドロキシルイオンと空気のカソード酸素との間の反応を促進する。セパレータ74は、微孔性プラスチック膜及び微孔性セルロース紙の一方又は両方を含むことができる。このような微孔性プラスチック膜は、約25ミクロン厚であり、典型的にはポリプロピレンを含む。例示的な微孔性セルロース紙は、厚さ80~85ミクロン厚、坪量20~25g/m
2であり、典型的には、ポリビニルアルコール及びセルロース系材料で構成される。セパレータは、アノード亜鉛粒子がカソード42の残りの要素と物理的接触状態になるのを阻止する主要な機能を有する。しかしながら、セパレータ74は、それを通してヒドロキシルイオン及び水がカソード組立体へ通過することを許容する。ここで、カソードは空気カソードであり、カソード活性層は炭素を含む。
【0056】
カソード缶44の側壁47は、中間要素80によって缶の底部46に接合される。中間要素80の外面は、底部46の外面50の外周52にある下端から、略垂直方向に側壁47の外面58を接合するその上端まで延びる。存在する場合、中間要素80の内面は、底部46の内面48及び側壁47の内面56の接合にて表される。一部の実施形態では、内面48及び56は鋭いコーナーで一緒になり、その結果、中間要素の内面は、公称寸法のものになる。一部の実施形態では、コーナー材料がコーナーを形成する上で加工される範囲で、コーナーは加工硬化され、これにより、コーナー構造が中間要素80に形成されると、コーナー構造は、底部46及び側壁47に対して強化される。
【0057】
実施形態では、カソードは、選択された材料から十分な強度及び延性が得られる限り、(缶のめっき又はクラッディングとは対照的に)カソードと同様の水素過電圧を有する金属又は合金で全体を形成することができる。このような水素過電圧特性を有するニッケルに加えて材料は、例えば、限定ではなく、コバルト及び金を含む。一部の実施形態では、このような材料は、例えば、めっき、クラッディング、又は他の適用プロセスによってコア層上に1又は2以上の被覆層として被覆することができる。十分な強度及び延性を提供する材料はまた、複合構造の代わりに単層材料として用いることができる。単層材料は、コア層としてCRS又は他の適切な材料を包含する。
【0058】
実施形態では、コスト考慮のために、及び一般的にめっき後処理を必要としないプレめっき鋼帯が商業的に入手可能であるので、ニッケル及びニッケル合金でめっきされた鋼帯を用いることができる。缶の金属は、好ましくは、引き抜き加工に耐えるのに十分な延性があり、セルクリンプ及び閉鎖プロセスを許容及び他の方法で耐えると同時に、主要な全体の構造強度をセルに提供するのに十分な強度及び剛性がある。
【0059】
実施形態では、カソード缶は、ニッケルめっきステンレス鋼から作ることができる。別の実施形態では、カソード缶のための材料は、Huntington Alloysから全て入手可能なニッケルクラッディングステンレス鋼、ニッケルでめっきされた冷延鋼、INCONEL(登録商標)(ニッケルの非磁性合金)、微量合金化元素を有する純粋ニッケル(例えば、ニッケル200及びニッケル201、その他などのニッケル200合金の関連群)、又はSpecial Metalsから入手可能なDURANICKEL(登録商標)301を含む。一実施形態では、一部の貴金属はまた、ニッケルでめっきされた被覆鋼帯、及び缶を作製した後ニッケルでその後めっきされた軟鋼帯を含む、缶金属のためのめっき、クラッディング、又は他の被覆として使用することができる。
【0060】
ニッケルで反対側に被覆された複数の層が用いられる(例えば、CRS)実施形態では、本開示は、ニッケルとCRSとの間、又はCRSと追加層との間のニッケル層の何れかに、追加の(例えば、第4、第5などの)層を企図している。例えば、金、コバルト、又は他の優れた導電体は、缶が引き込まれ、又は引き込まれてアイロンをかけられた後、カソード缶の外面(ニッケル層の外側)の一部又は全てに付着することができる。代替形態として、このような第4などの層は、例えば、CRSとニッケルとの間の結合強化層とすることができる。
【0061】
缶が、シート構造としてニッケル/ステンレス鋼(SST)/ニッケル/NI/SST/NIの典型的な原料構造を用いて作製される実施例では、このようなシート構造は、約0.002インチ(0.051mm)~約0.012インチ(0.305mm)である。これは、約0.003(0.076mm)インチ~約0.010インチ(0.254mm)又は約0.004(0.102mm)インチ~約0.006インチ(0.152mm)を含むことができる。一部の実施形態では、厚みは、約0.002インチ(0.051mm)、約0.003インチ(0.076mm)、約0.004インチ(0.102mm)、約0.005インチ(0.127mm)、又は約0.006インチ(0.152mm)である。一部の実施形態では、厚みは、約0.005インチ(0.127mm)である。一部の実施形態では、ニッケル層の各々は、このような3層構造における金属シートの全体の厚みの約1%~約10%を表す。これは、このような3層構造における金属シートの全体の厚みの約1.5%~約9%、約2%~約8%、約2.5%~約7%、又は約3%~約6.5%を含むことができる。一部の実施形態では、ニッケル層の各々は、このような3層構造における金属シートの全体の厚みの約2%~約4%を表す。一部の実施形態では、ニッケル層の各々は、このような3層構造における金属シートの全体の厚みの約2%を表す。
【0062】
[実施例]
本明細書の実施例は、本技術の利点を例示し、本技術の調製及び/又は使用により当業者を更に支援するように提供される。本明細書の実施例はまた、本技術の好ましい態様をより完全に例示するために提示される。実施例は、本技術の範囲を限定するものと解釈すべきではない。実施例は、上で説明した本技術の変形形態、態様、又は実施形態の何れかを含み又は組み込むことができる。上で説明した変形形態、態様、又は実施形態はまた、本技術の一部又は全ての他の変形形態、態様又は実施形態の変形形態を更に各々含み又は組み込むことができる。
【0063】
以下の実施例では、亜鉛空気セルが準備されて試験された。
【0064】
実施例1:(重量比)5%の水酸化リチウム溶液の調整
250mLのポリプロピレンボトルは、100gの水で満たされた。11.1gの水酸化リチウム一水和物は、ビーカーに加えられて溶液が完全に溶解するまで磁気撹拌プレートで混合された。
【0065】
実施例2:(重量比)10%の水酸化リチウム溶液の調整
250mLのポリプロピレンボトルは、100gの水で満たされた。22.2gの水酸化リチウム一水和物は、ビーカーに加えられて溶液が完全に溶解するまで磁気撹拌プレートで混合された。
【0066】
実施例3:対照拡散パッドの調整
拡散パッドは、ポリビニルアルコール及びレーヨン繊維で作られたストリップからディスクを打ち抜くことによって調整された。このディスクは、カソード缶キャビティの内部に接着された。
【0067】
実施例4:5%LiOH事前浸漬拡散パッドの調整-方法1
ポリビニルアルコール及びレーヨン繊維で作られたストリップは、(実施例1で説明した)5%の水酸化リチウムの磁気撹拌溶液に浸漬された。PVA-レーヨンストリップは、溶液中に室温(21℃)で16時間浸漬された。次いで、ストリップは、溶液から取り出され、ステンレス鋼パンに設置されて、30℃で1時間オーブンに設置されて乾燥した。乾燥すると、ストリップは、手袋をはめた手で軽くたたかれて、ストリップの縁部においてあらゆる余分な水酸化リチウム結晶を除去した。拡散パッドは、このストリップからディスクを打ち抜くことによって作製された。このディスクは、カソード缶キャビティの内部に接着された。
【0068】
実施例5:10%LiOH事前浸漬の拡散パッドの調整-方法2
ポリビニルアルコール及びレーヨン繊維で作られたストリップは、(実施例2で説明した)10%の水酸化リチウムの磁気撹拌溶液に浸漬された。PVA-レーヨンストリップは、溶液中に室温(21℃)で16時間浸漬された。次いで、ストリップは、溶液から取り出され、ステンレス鋼パンに設置されて、30℃で1時間オーブンに設置されて乾燥した。乾燥すると、ストリップは、手袋をはめた手で軽くたたかれて、ストリップの縁部においてあらゆる余分な水酸化リチウム結晶を除去した。拡散パッドは、このストリップからディスクを打ち抜くことによって作製された。このディスクは、カソード缶キャビティの内部に接着された。
【0069】
実施例6:10%LiOH液滴浸漬拡散パッドの調整-方法3
拡散パッドは、ポリビニルアルコール及びレーヨン繊維で作られたストリップからディスクを打ち抜くことによって作製された。このディスクは、カソード缶キャビティの内部に接着された。次いで、拡散パッドは、精密流体ディスペンサーを用いて(実施例2で説明した)、パッドを完全に浸漬するのに十分な10%の水酸化リチウム溶液により湿潤された。
【0070】
実施例7:対照バッテリセルの調整
実施例3で説明したような缶及び拡散パッドを有する、対照セルが作製された。
【0071】
実施例8:二酸化炭素スクラビング拡散パッドを有するバッテリセルの調製
説明したような亜鉛アノード及び実施例4~6で説明したような缶及び拡散パッドを有する、セルが調製された。
【0072】
実施例9:バッテリ試験
電気化学セルは、American National Standards Institute(ANSI)試験規格の下でいくつかの方法に従って試験することができる。水性電解質を用いる主要な補聴器バッテリに対して、補聴器標準試験として既知のANSI試験を用いて、セル性能及び寿命を決定する。本技術による例示的な亜鉛空気セル(実施例8で説明した調製)並びに対照亜鉛空気セル(実施例7)は、以下の試験プロトコルを用いて補聴器標準放電試験の下で試験された。
【0073】
補聴器標準試験は、100ミリ秒間の10mAの一定電流負荷に続いて119分59秒900ミリ秒間の2mAの負荷を与えることを6回繰り返し、その後続いて12時間の休息期間を適用する。毎日のサイクルは、負荷12時間とその後の非負荷(又は休息期間)12時間である。サイクルは、セル動作電圧が1.05V以下になるまで繰り返される。補聴器標準試験は、二酸化炭素の濃度が制御されることを可能にするチャンバで行われた。
【0074】
最初の一連の実験は、大気中の二酸化炭素の濃度の上昇が標準亜鉛空気セル(すなわち、二酸化炭素スクラビング剤なし:実施例7)のセル寿命にどのように影響を与える可能性があるか評価した。表1に示すように、より高いCO2濃度を標準化するためのベンチマークとして、CO2濃度450ppmを用いた。表1は、補聴器の標準試験後の容量の大幅な減少を通じて、CO2が亜鉛空気セル寿命に及ぼす著しい悪影響を示している。
【0075】
表1:[CO
2]の影響を受けた、補聴器標準パルス
2における亜鉛空気セル
1容量
1-全ての容量は312セルのサイズに対するものである
2-10/2mA 2時間 100ミリ秒 12時間/日
【0076】
図2から6は、補聴器標準試験における、二酸化炭素スクラビング剤(実施例8で説明した調整)でシード処理した拡散パッドを収容するセルの性能試験を、標準拡散パッド(実施例7)を収容する従来のセルの性能試験と比較している。二酸化炭素スクラビング剤でシード処理した拡散パッドを収容するセルは、二酸化炭素濃度の上昇時に優れた放電能力を明らかに示す。二酸化炭素スクラビング剤でシード処理した拡散パッドを収容するセルはまた、大気二酸化炭素濃度(約400-500ppmCO
2;データは示さず)で優れた放電能力を示す。
図5を
図3及び4と比較することによって更に示すように、同時に
図5及び6に示すように、二酸化炭素スクラビング剤と共に水を含めることで、二酸化炭素スクラビング剤の有利な効果を更に高める。このような水の含有は、本技術の亜鉛空気バッテリの拡散パッドを通常の大気条件へ晒す際に起こると予想されるものである。従って、本技術は、著しく強化されたセル寿命及び放電能力を亜鉛空気セルに付与する。
【0077】
特定の実施形態が図示して説明されているが、変更及び修正は、以下の特許請求の範囲で定義するようにそのより広い態様における技術から逸脱することなく、当業者に従って行うことができると理解すべきである。
【0078】
本明細書で例として説明する実施形態は、本明細書で具体的に開示していないあらゆる1つの要素又は複数の要素、1つの限定又は複数の限定がない場合に適切に実施することができる。従って、例えば、用語「構成する」、「含む」、「収容する」などは、限定ではなく拡張的に読み取られるものとする。加えて、本明細書で使用される用語及び表現は、説明の用語として用いられていて限定するものでなく、図示され説明された特徴のあらゆる均等物を除外するこのような用語及び表現又はその一部の使用における意図はないが、種々の修正は、特許請求する技術の範囲内で可能であると認識される。加えて、語句「~から本質的に成る」は、特許請求される技術の基本的及び新規の特性に実質的に影響を与えない、具体的に記載されたこれらの要素及びこれらの追加の要素を含むものと理解されるであろう。語句「~から成る」は、指定されていないあらゆる要素を除外する。
【0079】
本開示は、本出願で説明する特定の実施形態の観点から限定されるものではない。多くの修正及び変形形態は、当業者には明らかなように、その精神及び範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に記載するものに加えて、開示の範囲内で機能的に同等の方法及び組成物は、上述の説明から当業者には明らかであろう。このような修正及び変形形態は、添付された特許請求の範囲に含まれることが意図される。本開示は、このような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲と共に、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきである。本開示は、当然ながら変化する可能性がある、特定の方法、試薬、化合物組成物又は生物系に限定されないことを理解すべきである。本明細書で用いる専門用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、限定することを意図するものではないことをまた理解すべきである。
【0080】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュグループの観点から記載される場合、当業者は、本開示がまた、これによりマーカッシュグループの要素のあらゆる個々の要素又はサブグループの観点から記載されることを認識するであろう。
【0081】
当業者が理解するように、あらゆる及び全ての目的のために、特に明細書を提供する観点で、本明細書にて開示される全ての範囲はまた、一部及び全ての可能な部分範囲及びその部分範囲の組み合わせを包含する。あらゆる記載した範囲は、同じ範囲が半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに少なくとも等しく分解されることを十分に記載し可能にするものと容易に認識することができる。非限定的な実施例として、本明細書で検討する各範囲は、より低い3分の1、中央3分の1及び上部3分の1などに容易に分解することができる。当業者がまた理解するように、「最大」、「少なくとも」、「以上」、「未満」、及び同様のものなどの全ての表現は、上で検討したように、記載した数を含み、部分範囲に実質的に分解することができる範囲を指す。最終的に、当業者が理解するように、範囲は各個々の要素を含む。
【0082】
本明細書で参照される全ての出版物、特許出願、交付済み特許、及び他の文書は、各個々の出版物、特許出願、交付済み特許、又は他の文書が、その全体が引用により組み込むことを具体的且つ個々に指示されたかのように、引用により本明細書に組み込まれる。引用によって組込まれた文章に含まれる定義は、これらが本開示の定義と矛盾する限り除外される。
【0083】
本技術は、限定ではないが、以下の文字が付けられた段落で記載される特徴及び特徴の組み合わせを含むことができ、以下の段落は、本明細書に添付される特許請求の範囲を限定し、又は全てのこのような特徴がこのような特許請求の範囲に必ず含まれる必要があると規定するものと解釈すべきではないことは理解される。
A.空気カソード、亜鉛アノード、電解質、及びハウジングを含む亜鉛空気バッテリであって、亜鉛空気バッテリは二酸化炭素スクラビング剤を含む、亜鉛空気バッテリ。
B.二酸化炭素スクラビング剤は、塩基性水酸化物塩、ソーダ石灰、重炭酸ナトリウム、過酸化リチウム、酸化リチウム、アミン含有化合物、かんらん石、又はこれらの何れか2又は3以上の組み合わせを含む、段落Aの亜鉛空気バッテリ。
C.二酸化炭素スクラビング剤は、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、ソーダ石灰、重炭酸ナトリウム、過酸化リチウム、酸化リチウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、かんらん石、又はこれらの何れか2又は3以上の組み合わせを含む、段落A又は段落Bの亜鉛空気バッテリ。
D.二酸化炭素スクラビング剤は、吸湿材料と組み合わせられる、段落A-Cの何れか1つの亜鉛空気バッテリ。
E.吸湿材料は、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシルメチルセルロース、又はこれらの何れか2又は3以上の組み合わせを含む、段落Dの亜鉛空気バッテリ。
F.吸湿材料は、水への二酸化炭素スクラビング剤のアクセスを増大させる、段落D又は段落Eの亜鉛空気バッテリ。
G.水は二酸化炭素スクラビング剤と関連付けられる、段落A-Fの何れか1つの亜鉛空気バッテリ。
H.二酸化炭素スクラビング剤は水に溶解される、段落A-Gの何れか1つの亜鉛空気バッテリ。
I.亜鉛空気バッテリは拡散パッドを更に含み、空気拡散パッドは二酸化炭素スクラビング剤を含む、段落A-Hの何れか1つの亜鉛空気バッテリ。
J.ハウジングの内部表面は二酸化炭素スクラビング剤のコーティングを含む、段落A-Iの何れか1つの亜鉛空気バッテリ。
K.バッテリは、セル内のハウジング及び空気拡散層によって定められた空気リザーバを含み、二酸化炭素スクラビング剤は、粉末又はフィルムとして空気リザーバの表面に付着される、段落A-Jの何れか1つの亜鉛空気バッテリ。
L.二酸化炭素スクラビング剤は空気カソードの表面に埋込まれる、段落A-Kの何れか1つの亜鉛空気バッテリ。
M.空気カソードは、二酸化炭素スクラビング剤を含む、又は二酸化炭素スクラビング剤から成る、段落A-Kの何れか1つの亜鉛空気バッテリ。
N.二酸化炭素スクラビング剤は電解質に溶解又は懸濁される、段落A-Mの何れか1つの亜鉛空気バッテリ。
O.二酸化炭素スクラビング剤は、亜鉛アノード内に混合され又はその上に被覆される、段落A-Nの何れか1つの亜鉛空気バッテリ。
P.亜鉛空気バッテリのためのパッケージングであって、パッケージングは、二酸化炭素スクラビング剤を含むチャンバを含み、チャンバは、貯蔵中に亜鉛空気バッテリを収容するように構成される、パッケージング。
Q.タブ接着剤は二酸化炭素スクラビング剤を含む、段落Pのパッケージング。
R.二酸化炭素スクラビング剤は、塩基性水酸化物塩、ソーダ石灰、重炭酸ナトリウム、過酸化リチウム、酸化リチウム、アミン含有化合物、かんらん石、又はこれらの何れか2又は3以上の組み合わせを含む、段落P又は段落Qのパッケージング。
S.二酸化炭素スクラビング剤は、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、ソーダ石灰、重炭酸ナトリウム、過酸化リチウム、酸化リチウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、かんらん石、又はこれらの何れか2又は3以上の組み合わせを含む、段落P-Rの何れか1つのパッケージング。
T.二酸化炭素スクラビング剤は吸湿材料と組み合わせられる、段落P-S何れか1つのパッケージング。
U.吸湿材料は、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシルメチルセルロース、又はこれらの何れか2又は3以上の組み合わせを含む、段落Tのパッケージング。
V.吸湿材料は、水への二酸化炭素スクラビング剤のアクセスを増大させる、段落T又は段落Uのパッケージング。
W.水は二酸化炭素スクラビング剤と関連付けられる、段落P-Vの何れか1つのパッケージング。
X.二酸化炭素スクラビング剤は水に溶解される、段落P-Wの何れか1つのパッケージング。
【0084】
他の実施形態は以下の特許請求の範囲に記載される。