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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】制御モジュールおよび半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240731BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20240731BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240731BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H02M7/48 Z
H02M3/155 Y
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021540741
(86)(22)【出願日】2020-08-11
(86)【国際出願番号】 JP2020030611
(87)【国際公開番号】W WO2021033600
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】P 2019151092
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】柴田 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】澤田 秀喜
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-133520(JP,A)
【文献】特開2018-57139(JP,A)
【文献】特開2004-63604(JP,A)
【文献】特開平6-21323(JP,A)
【文献】特開2016-82110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H02M 7/48
H02M 3/155
H01L 25/18
H01L 23/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部および電源端子を備えるパワーモジュールを制御する複数の電子部品と、
第1方向において前記パワーモジュールの上に配置され、かつ、前記複数の電子部品が実装された回路基板と、
前記電源端子に導通し、前記回路基板に形成された接続端子と、
を備えており、
前記電源端子は、外部電源から電源電圧が印加され、
前記回路基板は、前記第1方向に見て前記本体部よりも突き出た突出部を含んでおり、
前記接続端子は、前記突出部に配置されている、制御モジュール。
【請求項2】
前記電源端子は、前記本体部の前記第1方向に直交する第2方向側に配置され、かつ、前記第1方向に見て前記回路基板よりも前記第2方向に突き出ており、
前記突出部は、前記第1方向および前記第2方向に直交する第3方向に突き出ている、請求項1に記載の制御モジュール。
【請求項3】
前記電源端子は、前記外部電源の高電位側の端子に接続される第1端子部と、前記外部電源の低電位側の端子に接続される第2端子部とを含んでおり、
前記接続端子は、前記第1端子部に接続されている、請求項2に記載の制御モジュール。
【請求項4】
前記第1端子部と前記第2端子部とは、前記第3方向に並んでおり、
前記突出部は、前記第3方向において、前記第2端子部に対して前記第1端子部が位置する方向に突き出ている、請求項3に記載の制御モジュール。
【請求項5】
前記パワーモジュールは、上アームのスイッチング素子および下アームのスイッチング素子を備えており、
前記複数の電子部品は、前記上アームのスイッチング素子および前記下アームのスイッチング素子の各スイッチング動作を制御する、請求項2ないし請求項4のいずれか1つに記載の制御モジュール。
【請求項6】
前記パワーモジュールは、前記各スイッチング動作によって前記電源電圧から変換された電圧を出力する出力端子をさらに備えており、
前記出力端子は、前記第2方向において、前記電源端子が突き出た方向と反対方向に前記回路基板から突き出ている、請求項5に記載の制御モジュール。
【請求項7】
前記接続端子は、前記第2方向において、前記出力端子よりも前記電源端子に近い、請求項6に記載の制御モジュール。
【請求項8】
前記回路基板は、前記第1方向に見て、互いに離間する第1配線パターン、第2配線パターン、および、第3配線パターンを含んでおり、
前記複数の電子部品の各々は、前記第1配線パターン、前記第2配線パターン、および、前記第3配線パターンのいずれかに接続されている、請求項5ないし請求項7のいずれか1つに記載の制御モジュール。
【請求項9】
前記パワーモジュールは、前記上アームのスイッチング素子に導通する第1信号端子と、前記下アームのスイッチング素子に導通する第2信号端子とを備えており、
前記第1配線パターンは、前記第1信号端子に導通し、
前記第2配線パターンは、前記第2信号端子に導通する、請求項8に記載の制御モジュール。
【請求項10】
前記第1信号端子および前記第2信号端子は、前記第1方向に延びる棒状であり、
前記回路基板は、各々が前記第1方向に前記回路基板を貫通する第1端子接続部および第2端子接続部を含んでおり、
前記第1端子接続部は、前記第1信号端子が挿通され、
前記第2端子接続部は、前記第2信号端子が挿通され、
前記第1端子接続部と前記第2端子接続部とは、前記第2方向に並んでいる、請求項9に記載の制御モジュール。
【請求項11】
前記第1端子接続部と前記第2端子接続部とは、前記第1方向に見て、前記パワーモジュールに重なり、かつ、前記第3方向において、前記回路基板の中央よりも、前記突出部が位置する側に配置されている、請求項10に記載の制御モジュール。
【請求項12】
前記第1配線パターンと前記第2配線パターンとは、前記第2方向に並んでおり、
前記第3配線パターンは、前記第1配線パターンおよび前記第2配線パターンのそれぞれと、前記第3方向に並んでいる、請求項8ないし請求項11のいずれか1つに記載の制御モジュール。
【請求項13】
前記回路基板は、前記第1配線パターンと前記第2配線パターンとの間に配置された第1絶縁領域と、前記第1配線パターンと前記第3配線パターンとの間に配置された第2絶縁領域と、前記第2配線パターンと前記第3配線パターンとの間に配置され第3絶縁領域と、をさらに含む、請求項8ないし請求項12のいずれか1つに記載の制御モジュール。
【請求項14】
前記複数の電子部品は、前記各スイッチング動作を制御するための信号が入力されるコネクタを含んでおり、当該コネクタは、前記第3配線パターンに接合されている、請求項13に記載の制御モジュール。
【請求項15】
前記第1方向に見て、前記コネクタと前記第1絶縁領域とは、前記第3方向に並んでいる、請求項14に記載の制御モジュール。
【請求項16】
前記複数の電子部品は、前記上アームのスイッチング素子のスイッチング動作を制御する第1部品群に属する電子部品と、前記下アームのスイッチング素子のスイッチング動作を制御する第2部品群に属する電子部品と、を含んでおり、
前記第1部品群に属する少なくとも1つの電子部品は、前記第1配線パターンに接続されており、前記第2部品群に属する少なくとも1つの電子部品は、前記第2配線パターンに接続されている、請求項13ないし請求項15のいずれか1つに記載の制御モジュール。
【請求項17】
前記第1部品群は、前記上アームのスイッチング素子の短絡保護検知回路用の第1ダイオードを含んでおり、
前記回路基板は、前記第1方向に見て、前記接続端子の周囲に配置された第4絶縁領域をさらに含んでおり、
前記第1ダイオードは、前記第4絶縁領域に配置されている、請求項16に記載の制御モジュール。
【請求項18】
前記第2部品群は、前記下アームのスイッチング素子の短絡保護検知回路用の第2ダイオードを含んでおり、
前記第2ダイオードは、前記第1絶縁領域に配置されている、請求項16または請求項17に記載の制御モジュール。
【請求項19】
前記第1部品群は、前記上アームのスイッチング素子に駆動信号を出力する第1トランジスタを含み、
前記第2部品群は、前記下アームのスイッチング素子に駆動信号を出力する第2トランジスタを含み、
前記第1方向に見て、前記第1トランジスタの向きと前記第2トランジスタの向きとが異なっている、請求項16ないし請求項18のいずれか1つに記載の制御モジュール。
【請求項20】
前記回路基板は、複数の絶縁層と、これら絶縁層を介して互いに離間し且つ互いに積層された複数の配線層とを有しており、
前記第1絶縁領域、前記第2絶縁領域、および、前記第3絶縁領域は、前記複数の配線層の各々に形成されており、
前記複数の配線層の各々に形成された前記第1絶縁領域は、前記第1方向に見て、互いに重なり、
前記複数の配線層の各々に形成された前記第2絶縁領域は、前記第1方向に見て、互いに重なり、
前記複数の配線層の各々に形成された前記第3絶縁領域は、前記第1方向に見て、互いに重なる、請求項13ないし請求項19のいずれか1つに記載の制御モジュール。
【請求項21】
前記接続端子は、ネジ端子である、請求項1ないし請求項20のいずれか1つに記載の制御モジュール。
【請求項22】
請求項1ないし請求項21のいずれか1つに記載の制御モジュールと、
前記パワーモジュールと、を備える半導体装置。
【請求項23】
前記接続端子と前記電源端子とを接続するワイヤハーネスをさらに備える、請求項22に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御モジュールおよび当該制御モジュールを備える半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの複数のスイッチング素子を備えるパワーモジュールが知られている。これらのスイッチング素子は、制御モジュールからその制御信号端子(MOSFETの場合、ゲート端子)に制御信号が入力されて、オン(導通状態)とオフ(遮断状態)とが切り替えられる。たとえば、特許文献1には、パワーモジュールおよび制御モジュールを備える電力装置が開示されている。この電力装置において、パワーモジュールは、パワー半導体素子(スイッチング素子)と、パワー半導体素子を収納したケースを備えている。制御モジュールは、パワーモジュールの上に搭載され、パワー半導体素子のスイッチング動作を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-33200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、パワーモジュールを制御する上で、より好ましい制御モジュールを提供することを一の課題とする。また本開示は、このような制御モジュールを備える半導体装置を提供することを別の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の側面によって提供される制御モジュールは、本体部および電源端子を備えるパワーモジュールを制御する複数の電子部品と、第1方向において前記パワーモジュールの上に配置され、かつ、前記複数の電子部品が実装された回路基板と、前記電源端子に導通し、前記回路基板に形成された接続端子と、を備えている。前記電源端子は、外部電源から電源電圧が印加されており、前記回路基板は、前記第1方向に見て前記本体部よりも突き出た突出部を含んでおり、前記接続端子は、前記突出部に配置されている。
【0006】
本開示の第2の側面によって提供される半導体装置は、第1の側面によって提供される制御モジュールと、前記パワーモジュールと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、パワーモジュールを制御する上で、より好ましい制御モジュールを提供できる。また、このような制御モジュールを備える半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】半導体装置の回路構成を示す概要図である。
図2】上アーム駆動回路の回路図である。
図3】下アーム駆動回路の回路図である。
図4】共通回路の回路図である。
図5】パワーモジュールのデバイス構造を示す平面図である。
図6】パワーモジュールのデバイス構造を示す正面図である。
図7】パワーモジュールのデバイス構造を示す側面図である。
図8】制御モジュールのデバイス構造を示す平面図である。
図9】回路基板の複数の配線層の1つ(第1層)を示す平面図である。
図10】回路基板の複数の配線層の1つ(第2層)を示す平面図である。
図11】回路基板の複数の配線層の1つ(第3層)を示す平面図である。
図12】回路基板の複数の配線層の1つ(第4層)を示す平面図である。
図13】回路基板の複数の配線層の1つ(第5層)を示す平面図である。
図14】回路基板の複数の配線層の1つ(第6層)を示す平面図である。
図15】回路基板上の部品レイアウト図である。
図16】回路基板上の配線レイアウト図である。
図17】半導体装置A1のデバイス構造を示す平面図である。
図18】パワーモジュールの使用例を示す回路図である。
図19】パワーモジュールの使用例を示す回路図である。
図20】パワーモジュールの使用例を示す回路図である。
図21】パワーモジュールの使用例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の制御モジュールおよび半導体装置の好ましい実施の形態について、図面を参照して以下に説明する。本開示の制御モジュールは、たとえばインバータやコンバータなどの電力変換器に用いられるパワーモジュールを制御する。以下の説明においては、パワーモジュールと制御モジュールとを備えた半導体装置を例に説明する。
【0010】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単にラベルとして用いたものであり、必ずしもそれらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0011】
本開示の半導体装置A1について、図1図17を参照して説明する。
【0012】
まず、半導体装置A1の回路構成について図1図4を参照して説明する。
【0013】
図1は、半導体装置A1の回路構成を示す概要図である。図1に示すように、半導体装置A1は、パワーモジュールPMおよび制御モジュールCM1を備えている。
【0014】
パワーモジュールPMは、制御モジュールCM1によって制御され、入力電圧を所定の出力電圧に変換する。半導体装置A1においては、パワーモジュールPMは、直流電源からの直流電圧が入力され、この直流電圧を交流電圧に変換して出力する。パワーモジュールPMは、図1に示すように、その回路構成において、スイッチング回路SWを備えている。図1に示すパワーモジュールPMの回路構成は、一例であり、本開示がこれに限定されるわけではない。
【0015】
スイッチング回路SWは、図1に示すように、2つのスイッチング素子Q1,Q2を備えている。各スイッチング素子Q1,Q2には、ダイオード(図示略)が逆並列に接続されている。他の例においては、これらのダイオードは、なくてもよい。
【0016】
スイッチング素子Q1,Q2は、図1に示すように、たとえばMOSFETである。各スイッチング素子Q1,Q2は、MOSFETに限定されず、IGBTやバイポーラトランジスタなど他のトランジスタであってもよい。各スイッチング素子Q1,Q2の主要構成材料は、たとえばSiC(炭化ケイ素)である。当該構成材料は、SiCに限定されず、Si(ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)、あるいは、GaAs(ヒ化ガリウム)などであってもよい。
【0017】
スイッチング素子Q1,Q2はそれぞれ、ドレイン端子、ソース端子およびゲート端子を含んでいる。各スイッチング素子Q1,Q2が、IGBTの場合は、ドレイン端子の代わりにコレクタ端子、ソース端子の代わりにエミッタ端子を含んでいる。図1に示す例においては、各スイッチング素子Q1,Q2は、さらに電流センス端子を含んでいるが、本開示がこれに限定されるわけではない。
【0018】
スイッチング素子Q1のドレイン端子は、端子Pに接続されている。端子Pは、外部の直流電源(図示略)の高電位側の接続線に接続される。スイッチング素子Q1のソース端子は、スイッチング素子Q2のドレイン端子に接続されている。スイッチング素子Q1のソース端子とスイッチング素子Q2のドレイン端子との接続点は、2つの端子O1,O2に接続されている。別の例として、2つの端子O1,O2に代えて端子は1つのみであってもよいし、3つ以上の端子を設けてもよい。スイッチング素子Q2のソース端子は、端子Nに接続されている。端子Nは、外部の直流電源の低電位側の接続線に接続される。スイッチング回路SWにおいては、スイッチング素子Q1を上アームとして、スイッチング素子Q2を下アームとして、2つのスイッチング素子Q1,Q2が直列に接続されている。スイッチング素子Q1,Q2の各ゲート端子は、制御モジュールCM1に接続されている。
【0019】
制御モジュールCM1は、パワーモジュールPM(特に、スイッチング素子Q1,Q2)の駆動を制御する。制御モジュールCM1は、図1に示す直流電源DCから供給される電力によって動作する。制御モジュールCM1に制御されたパワーモジュールPMは、2つの端子P,Nに接続された上記外部の直流電源からの入力電圧(電源電圧)を所定の電圧に変換し、変換後の電圧を2つの端子O1,O2から出力する。制御モジュールCM1は、図1に示すように、上アーム駆動回路10A、下アーム駆動回路20A、および、共通回路30Aを含んでいる。
【0020】
上アーム駆動回路10Aは、上アームであるスイッチング素子Q1の駆動を制御する。上アーム駆動回路10Aは、スイッチング素子Q1のゲート端子に駆動信号を入力することで、スイッチング素子Q1のオン(導通状態)とオフ(遮断状態)とを切り替える。
【0021】
下アーム駆動回路20Aは、下アームであるスイッチング素子Q2の駆動を制御する。下アーム駆動回路20Aは、スイッチング素子Q2のゲート端子に駆動信号を入力することで、スイッチング素子Q2のオン(導通状態)とオフ(遮断状態)とを切り替える。
【0022】
図2は、上アーム駆動回路10Aの詳細な回路構成を示している。同図に示すように、上アーム駆動回路10Aは、絶縁電源部11、ゲートドライバ部12、プリドライバ部13、サージ保護部14、短絡保護部15、二次側電源部16および電圧保護部17を含んでいる。図3は、下アーム駆動回路20Aの詳細な回路構成を示している。同図に示すように、下アーム駆動回路20Aは、絶縁電源部21、ゲートドライバ部22、プリドライバ部23、サージ保護部24、短絡保護部25、二次側電源部26および電圧保護部27を含んでいる。
【0023】
絶縁電源部11,21はそれぞれ、上アーム駆動回路10Aおよび下アーム駆動回路20Aの各駆動電力を生じさせる。絶縁電源部11は、絶縁トランス111および電源IC112を含んでおり、絶縁電源部21は、絶縁トランス211および電源IC212を含んでいる。絶縁トランス111,211はそれぞれ、変圧を行うとともに、入力側と出力側とを絶縁する。電源IC112,212はそれぞれ、絶縁トランス111,211の入力側(図2,3の左側)に配置され、絶縁電源部11,21において、絶縁トランス111,211に入力する電圧の制御を行う。
【0024】
ゲートドライバ部12,22はそれぞれ、上アームのスイッチング素子Q1および下アームのスイッチング素子Q2の各駆動を制御するための制御信号を発生させる。ゲートドライバ部12は、制御IC121を含んでおり、ゲートドライバ部22は、制御IC221を含んでいる。制御IC121,221はそれぞれ、各スイッチング素子Q1,Q2の駆動を制御するための専用ICである。制御IC121,221はそれぞれ、たとえば絶縁型ゲートドライバICであり、その内部において絶縁されている。制御IC121,221はそれぞれ、ミラークランプ回路を内蔵している。これに代えて、制御IC121,221の外部にミラークランプ回路を設けてもよい。
【0025】
プリドライバ部13,23はそれぞれ、ゲートドライバ部12,22によって発生された制御信号を、スイッチング素子Q1,Q2の各ゲート端子に入力するのに適した信号(駆動信号)に変換する。そして、当該変換した信号(駆動信号)をスイッチング素子Q1,Q2に出力する。プリドライバ部13は、電流制限回路131、トランジスタ132,133および複数のバイアスコンデンサ134,135を含んでおり、プリドライバ部23は、電流制限回路231、トランジスタ232,233および複数のバイアスコンデンサ234,235を含んでいる。
【0026】
電流制限回路131,231は、スイッチング素子Q1,Q2のゲート端子に接続される。電流制限回路131,231はともに、図2および図3に示すように、複数のダイオードと複数の抵抗器との組み合わせで構成されている。電流制限回路131,231は、複数の抵抗器の抵抗値を調整することで、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング速度を調整する。本実施形態においては、図2および図3に示すように、ダイオードを用いることで、スイッチング素子Q1,Q2のオン時とオフ時とにおける各スイッチング速度を個別に調整できるように構成されている。電流制限回路131,231はそれぞれ、複数のダイオードと複数の抵抗器とを組み合わせた構成に限定されず、複数の抵抗器のみあるいは単体の抵抗器のみによって構成されていてもよい。
【0027】
トランジスタ132,133は、スイッチング素子Q1のオンとオフとを切り替えるための素子である。トランジスタ132,133は、制御IC121によって、オンとオフとの切り替えが制御される。トランジスタ132,133は、たとえば、図2に示すように、バイポーラトランジスタであるが、他のトランジスタであってもよい。トランジスタ132がオンで、トランジスタ133がオフであるとき、スイッチング素子Q1のゲート端子の電位を上げて、ゲート電圧を高くする。これにより、スイッチング素子Q1がオンになる。一方、トランジスタ132がオフで、トランジスタ133がオンであるとき、スイッチング素子Q1のゲート端子の電位を下げて、ゲート電圧を低くする。これにより、スイッチング素子Q1がオフになる。
【0028】
トランジスタ232,233は、スイッチング素子Q2のオンとオフとを切り替えるための素子である。トランジスタ232,233は、制御IC221によって、オンとオフとの切り替えが制御される。トランジスタ232,233は、たとえば、図3に示すように、バイポーラトランジスタであるが、これに限定されず、他のトランジスタであってもよい。トランジスタ232がオンで、トランジスタ233がオフであるとき、スイッチング素子Q2のゲート端子の電位を上げて、ゲート電圧を高くする。これにより、スイッチング素子Q2がオンになる。一方、トランジスタ232がオフで、トランジスタ233がオンであるとき、スイッチング素子Q2のゲート端子の電位を下げて、ゲート電圧を低くする。これにより、スイッチング素子Q2がオフになる。
【0029】
バイアスコンデンサ134,234はそれぞれ、正バイアス側の電流を供給するものである。バイアスコンデンサ135,235はそれぞれ、負バイアス側の電流を供給するものである。各バイアスコンデンサ135,235の代わりに、抵抗器を用いてもよい。
【0030】
プリドライバ部13において、スイッチング素子Q1がオンのとき、トランジスタ132がオンであり、トランジスタ133がオフである。このとき、スイッチング素子Q1のソース端子からバイアスコンデンサ134、トランジスタ132、そして、電流制限回路131(図2の上側のダイオードと複数の抵抗器)を通って、スイッチング素子Q1のゲート端子に電流が流れる。一方、スイッチング素子Q1がオフのとき、トランジスタ132がオフであり、トランジスタ133がオンである。このとき、スイッチング素子Q1のゲート端子から電流制限回路131(図2の下側のダイオードと複数の抵抗器)、トランジスタ133、そして、バイアスコンデンサ135を通って、スイッチング素子Q1のソース端子に電流が流れる。なお、プリドライバ部23においても同様である。
【0031】
サージ保護部14,24はそれぞれ、スイッチング素子Q1,Q2のゲート端子をサージ電圧から保護するためのものである。
【0032】
短絡保護部15,25はそれぞれ、スイッチング素子Q1,Q2における短絡保護のためのものである。短絡保護部15は、図2に示すように、2つのダイオード151を含んでおり、短絡保護部25は、図3に示すように、2つのダイオード251を含んでいる。各短絡保護部15,25において、各ダイオード151,251の数はそれぞれ、2つに限定されず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。2つのダイオード151のアノード側の端子電圧が2つの抵抗R1によって分圧され、この分圧された電圧が、制御IC121のSCPIN端子に入力される。同様に、2つのダイオード251のアノード側の端子電圧が2つの抵抗R2によって分圧され、この分圧された電圧が、制御IC221のSCPIN端子に入力される。各制御IC121,221は、SCPIN端子に入力される電圧によって短絡を検出する。たとえば、スイッチング素子Q1,Q2において、短絡が発生すると、スイッチング素子Q1,Q2に大きな電流が流れる。このとき、短絡保護部15,25のアノード側の端子電圧が上昇する。よって、制御IC121,221は、SCPIN端子に入力される電圧の値を監視することで、スイッチング素子Q1,Q2の過電流、つまり、短絡を検出できる。
【0033】
二次側電源部16,26はそれぞれ、絶縁電源部11,21の後段(図2,3の右側)に設けられている。二次側電源部16,26はそれぞれ、絶縁電源部11,21の出力を適当な電圧に変換する。二次側電源部16は、図2に示すように、LDO161を含んでおり、二次側電源部26は、図3に示すように、LDO261を含んでいる。LDO161,261はそれぞれ、低ドロップアウトリニアレギュレータである。
【0034】
電圧保護部17,27はそれぞれ、電源保護のために、過電圧および低電圧などを監視する。電圧保護部17,27は、過電圧および低電圧が発生すると、制御IC121,221を強制的にシャットダウンさせる。電圧保護部17は、図2に示すように、複数のコンパレータ171を含んでおり、電圧保護部27は、図3に示すように、複数のコンパレータ271を含んでいる。
【0035】
共通回路30Aは、制御モジュールCM1において、上アーム駆動回路10Aおよび下アーム駆動回路20Aに共通して用いられる回路部分である。図4は、共通回路30Aの詳細な回路構成を示している。共通回路30Aは、図4に示すように、入力フィルタ部31、一次側電源部32および論理回路部33を含んでいる。
【0036】
入力フィルタ部31は、直流電源DCから供給される直流電圧VCCを安定させる。
【0037】
一次側電源部32は、入力フィルタ部31の後段(図4の右側)に配置されている。一次側電源部32は、入力フィルタ部31の出力を適当な電圧に変換する。一次側電源部32は、図4に示すように、LDO321を含んでいる。LDO321は、低ドロップアウトリニアレギュレータである。一次側電源部32は、論理回路部33などの電源として機能する。
【0038】
論理回路部33は、イネーブル信号、上アーム駆動回路10Aからのフォールト信号、および、下アーム駆動回路20Aからのフォールト信号などが入力される。論理回路部33は、入力される信号に基づいて、たとえば、上アーム駆動回路10Aが異常状態となった場合に、下アーム駆動回路20Aを停止させる。逆もまた同様である。
【0039】
図2図4において、複数の端子CPは、制御モジュールCM1に、その動作電力および入力信号を入力するための外部端子である。複数の端子CPは、後述するコネクタCNT1の一部である。
【0040】
次に、半導体装置A1のデバイス構造について、図5図17を参照して、説明する。
【0041】
図5図17において、便宜上、互いに直交する3つの方向(x方向、y方向、z方向)を参照して説明する。必要に応じて、x方向の一方をx1方向、x方向の他方をx2方向とする。y方向およびz方向についても同様である。z方向は、半導体装置A1における厚さ方向に対応する。z方向視を平面視ともいう。
【0042】
半導体装置A1は、そのデバイス構造において、図1に示す回路構成と同様に、パワーモジュールPMと制御モジュールCM1とを備えている。以下の説明では、パワーモジュールPMおよび制御モジュールCM1の各デバイス構造を説明した後、半導体装置A1のデバイス構造を説明する。
【0043】
図5図7は、パワーモジュールPMのデバイス構造を示している。図5は、パワーモジュールPMを示す平面図である。図6は、パワーモジュールPMを示す正面図である。図7は、パワーモジュールPMを示す側面図(右側面図)である。パワーモジュールPMは、図5図7に示すように、複数の電力端子511~514、複数の信号端子52、ケース53および天板54を備えている。パワーモジュールPMには、スイッチング素子Q1,Q2が内蔵されている。
【0044】
2つの電力端子511,512は、たとえば電源電圧が入力される電源端子である。本実施形態においては、2つの電力端子511,512には、外部電源(図示略)が接続され、電力端子511と電力端子512との間に、外部電源からの電源電圧が印加される。電力端子511は、外部電源の高電位側の接続端子に接続され、電力端子512は、外部電源の低電位側の接続端子に接続される。電力端子511は、パワーモジュールPMの内部において、スイッチング素子Q1のドレイン端子に接続され、電力端子512は、パワーモジュールPMの内部において、スイッチング素子Q2のソース端子に接続されている。電力端子511は、パワーモジュールPMの正極(P端子)であり、電力端子512は、パワーモジュールPMの負極(N端子)である。電力端子511は、図1に示す回路構成における端子Pに相当し、電力端子512は、図1に示す回路構成における端子Nに相当する。
【0045】
2つの電力端子511,512は、ケース53に支持されている。各電力端子511,512の構成材料はそれぞれ、たとえば銅の金属薄板である。この金属薄板の表面には、ニッケルめっきが施されてもよい。
【0046】
2つの電力端子511,512は、図5に示すように、y方向において互いに離間しており、かつy方向に並んでいる(y方向に沿って互いに位置合わせされている)。各電力端子511,512は、同一形状(あるいは略同一形状。以下同様)である。各電力端子511,512は、外部に露出し、かつ、z方向に貫通する接続孔が設けられている。接続孔には、ボルトなどの締結部材が挿入される。
【0047】
2つの電力端子513,514は、たとえば所定の電圧が出力される出力端子である。本実施形態においては、2つの電力端子513,514には、半導体装置A1の外部の負荷(モータなど)が接続される。2つの電力端子513,514は、スイッチング素子Q1,Q2によって変換された電源電圧(出力電圧)を出力する。2つの電力端子513,514はそれぞれ、スイッチング素子Q1のソース端子とスイッチング素子Q2のドレイン端子との接続点に導通している。電力端子513は、図1に示す回路構成における端子O1に相当し、電力端子514は、図1に示す回路構成における端子O2に相当する。
【0048】
2つの電力端子513,514は、ケース53に支持されている。各電力端子513,514の構成材料はそれぞれ、電力端子511,512と同一の金属薄板である。この金属薄板の表面には、ニッケルめっきが施されていてもよい。
【0049】
2つの電力端子513,514は、図5に示すように、補助線AL1を基準とし、x方向において電力端子511,512の反対側に位置する。2つの電力端子513,514は、y方向において互いに離間して、y方向に並んでいる。2つの電力端子513,514は、同一形状である。各電力端子513,514は、外部に露出し、かつ、z方向に貫通する接続孔が設けられている。当該接続孔には、ボルトなどの締結部材が挿入される。図5に示す例においては、パワーモジュールPMは、2つの電力端子513,514を備えているが、これらに対応するものとして1つの電力端子のみを設けてもよい。
【0050】
複数の信号端子52は、パワーモジュールPMのスイッチング素子Q1,Q2を制御するための各種信号の入力端子あるいは出力端子である。複数の信号端子52は、一対のゲート信号端子521A,521B、一対のソースセンス信号端子522A,522B、および、一対の電流センス信号端子523A,523Bを含んでいる。
【0051】
一対のゲート信号端子521A,521Bは、パワーモジュールPMの外部接続端子の一要素である。一対のゲート信号端子521A,521Bは、制御モジュールCM1に接続される。一対のゲート信号端子521A,521Bは、ケース53に支持されている。一対のゲート信号端子521A,521Bはそれぞれ、図6および図7に示すように、その一部がパワーモジュールPMの外部に露出しており、当該露出した部分は、天板54からz2方向に突出している。一対のゲート信号端子521A,521Bは、たとえば銅製の金属棒である。この金属棒の表面には、スズめっきが施されている。この金属棒の表面とスズめっきとの間に、ニッケルめっきが施されていてもよい。ゲー ト信号端子521Aは、スイッチング素子Q1のゲート端子に導通しており、ゲート信号端子521Bは、スイッチング素子Q2のゲート端子に導通している。ゲート信号端子521Aは、図1に示す回路構成における端子G1に相当し、ゲート信号端子521Bは、図1に示す回路構成における端子G2に相当する。
【0052】
一対のソースセンス信号端子522A,522Bは、パワーモジュールPMの外部接続端子の一要素である。一対のソースセンス信号端子522A,522Bは、制御モジュールCM1に接続される。一対のソースセンス信号端子522A,522Bは、ケース53に支持されている。一対のソースセンス信号端子522A,522Bはそれぞれ、図6および図7に示すように、z方向において、一対のゲート信号端子521A,521Bと同様に突出している。一対のソースセンス信号端子522A,522Bはともに、一対のゲート信号端子521A,521Bと同一の構成材料に基づく金属棒から構成される。一対のソースセンス信号端子522A,522Bの形状はともに、一対のゲート信号端子521A,521Bの形状と同一である。ソースセンス信号端子522Aは、スイッチング素子Q1のソース端子に導通しており、ソースセンス信号端子522Bは、スイッチング素子Q2のソース端子に導通している。ソースセンス信号端子522Aは、図1に示す回路構成における端子SS1に相当し、ソースセンス信号端子522Bは、図1に示す回路構成における端子SS2に相当する。
【0053】
一対の電流センス信号端子523A,523Bは、パワーモジュールPMの外部接続端子の一要素である。一対の電流センス信号端子523A,523Bは、制御モジュールCM1に接続される。一対の電流センス信号端子523A,523Bは、ケース53に支持されている。一対の電流センス信号端子523A,523Bはそれぞれ、図6および図7に示すように、z方向において、一対のゲート信号端子521A,521Bと同様に突出している。一対の電流センス信号端子523A,523Bはともに、一対のゲート信号端子521A,521Bと同一の構成材料に基づく金属棒から構成される。一対の電流センス信号端子523A,523Bの形状はともに、一対のゲート信号端子521A,521Bの形状と同一である。電流センス信号端子523Aは、スイッチング素子Q1の電流センス端子に導通しており、電流センス信号端子523Bは、スイッチング素子Q2の電流センス端子に導通している。電流センス信号端子523Aは、図1に示す回路構成における端子S1に相当し、電流センス信号端子523Bは、図1に示す回路構成における端子S2に相当する。なお、各スイッチング素子Q1,Q2に電流センス端子がない場合、電流センス信号端子523A,523Bはそれぞれ、各スイッチング素子Q1,Q2に導通しないノンコネクション端子(NC端子)となる。あるいは、スイッチング素子Q1に電流センス端子がない場合、電流センス信号端子523A,523Bを設けなくてもよい。
【0054】
ゲート信号端子521A、ソースセンス信号端子522Aおよび電流センス信号端子523Aは、図6(および図5)に示すように、x方向に互いに離間し、かつ互いに平行に延びている。平面視において(図5参照)、ゲート信号端子521A、ソースセンス信号端子522Aおよび電流センス信号端子523Aは、パワーモジュールPMのy2方向側の端縁付近に配置されている。これらは、ケース53のx方向中央(図5の補助線AL1参照)よりもx2方向側に位置する。
【0055】
ゲート信号端子521B、ソースセンス信号端子522Bおよび電流センス信号端子523Bは、図6(および図5)に示すように、x方向に互いに離間し、かつ互いに平行に延びている。平面視において(図5参照)、ゲート信号端子521B、ソースセンス信号端子522Bおよび電流センス信号端子523Bは、パワーモジュールPMのy2方向側の端縁付近に配置されている。これらは、ケース53のx方向中央(図5の補助線AL1参照)よりも、x1方向側に位置する。
【0056】
一対のゲート信号端子521A,521B、一対のソースセンス信号端子522A,522Bおよび一対の電流センス信号端子523A,523Bは、x方向に見て、互いに重なる。
【0057】
ケース53は、電気絶縁部材であって、たとえばPPS(ポリフェニレンサルファイド)など、電気絶縁性を有し、かつ耐熱性に優れた合成樹脂から構成される。ケース53は、本体部531および複数の端子台532を含んでいる。
【0058】
本体部531は、スイッチング素子Q1,Q2を囲う容器である。本体部531は、平面視において、矩形状である。本体部531は、複数の信号端子52を支持する。
【0059】
複数の端子台532は、複数の電力端子511~514を支持する。各電力端子51は、各端子台532の上に載置されている。図5に示すように、電力端子511を支持する端子台532と電力端子512を支持する端子台532とは、本体部531のx2方向側の端縁からx2方向に延び出ている。図5に示すように、電力端子513を支持する端子台532と電力端子514を支持する端子台532とは、本体部531のx1方向側の端縁からx1方向に延び出ている。各端子台532の内方には、図6に示すように、たとえばナットNTが配置されている。各ナットNTのネジ穴は、各電力端子51に形成された接続孔に繋がっている。各電力端子511~514の接続孔に挿通される締結部材は、各ナットNTに嵌合されることで固定される。
【0060】
ケース53には、図5に示すように、複数の取付孔533および複数の取付孔534が形成されている。複数の取付孔533は、制御モジュールCM1をパワーモジュールPMに取り付ける際に用いられる。複数の取付孔533は、図5に示すように、本体部531の四隅にそれぞれ1つずつ形成されている。複数の取付孔534は、パワーモジュールPMを支持部材あるいは放熱部材に取り付ける際に用いられる。複数の取付孔534は、図5に示すように、電力端子511を支持する端子台532と電力端子512を支持する端子台532との間、および、電力端子513を支持する端子台532と電力端子514を支持する端子台532との間に、それぞれ1つずつ形成されている。
【0061】
天板54は、ケース53によって形成されたパワーモジュールPMの内部領域を塞いでいる。天板54は、ケース53と同様に、電気絶縁性を有する合成樹脂から構成される。制御モジュールCM1は、天板54上に搭載される。
【0062】
図8図16は、制御モジュールCM1のデバイス構造を示している。図8は、制御モジュールCM1のデバイス構造を示す平面図である。制御モジュールCM1は、図8に示すように、そのデバイス構造において、接続端子TMと、回路基板60と、複数の電子部品と、を備えている。図8においては、回路基板60に形成される配線(後述の配線パターン61~63)を、黒色で塗りつぶして示したものと、外形線で示したものとが混在している。
【0063】
接続端子TMは、回路基板60に形成されている。接続端子TMは、たとえばワイヤハーネスなどの電力線が接続され、この電力線を介して、パワーモジュールPMの電力端子511に導通する。接続端子TMは、たとえば回路基板60上に形成された(載置された)ネジ端子である。図8に示すように、接続端子TMは、回路基板60のx2方向側かつy2方向側に位置する。接続端子TMは、ネジ端子に限定されず、回路基板60を貫通するスルーホール、あるいは、回路基板60上の電極パッド(たとえばはんだ製)などであってもよい。
【0064】
回路基板60は、図8に示すように、平面視矩形状である。回路基板60は、平面視において、各々がx方向に延びる一対の第1端縁60aと、各々がy方向に延びる一対の第2端縁60bとを有している。各第1端縁60aは、各第2端縁60bよりも長い。回路基板60は、平面視において、各第2端縁60bからそれぞれ内方に窪んだ凹部60cを含んでいる。図8に示す例においては、各凹部60cは、平面視において、円弧状の縁によって規定される窪みである。
【0065】
回路基板60は、多層基板である。回路基板60の層数は、特に限定されないが、本例においては6層である。回路基板60は、互いに絶縁層を介して積層された複数の配線層Ly1~Ly6を含んでいる。各配線層Ly1~Ly6にはそれぞれ、平面視において、互いに離間した複数の配線パターン61~63を含む。
【0066】
図9図14は、配線層Ly1~Ly6それぞれの平面図を示している。配線層Ly1は、回路基板60における最上層である。図8に示す平面図においては、配線層Ly1が表れている。配線層Ly6は、回路基板60における最下層である。配線層Ly2、配線層Ly3、配線層Ly4および配線層Ly5は、回路基板60における中間層である。配線層Ly2、配線層Ly3、配線層Ly4および配線層Ly5は、配線層Ly1から配線層Ly6に向かって、この順で積層されている。各配線層Ly1~Ly6は、図9図14にそれぞれ示すように、複数の配線パターン61~63を含んでいる。図9図14において、各配線パターン61~63を黒色で塗りつぶして示している。ただし、図9においては、図8と同様に、各配線パターン61~63を、黒色で塗りつぶして示したものと、外形線で示したものとが混在している。
【0067】
複数の配線パターン61~63は、複数の電子部品の導通経路である。複数の配線パターン61~63は、互いに離間して配置されている。各配線パターン61~63は、図9図14に示すように、複数の配線層Ly1~Ly6に跨って形成されている。複数の配線層Ly1~Ly6のそれぞれに形成された各配線パターン61~63は、たとえば上記絶縁層を貫通するビア電極によって導通している。複数の配線層Ly1~Ly6のいくつか(たとえば配線層Ly3,Ly5,Ly6)において、各配線パターン61~63は、ベタパターンである。ベタパターンは、たとえばグラウンドに接続され、電磁シールドとして機能させることが可能である。
【0068】
図9図14に示すように、配線パターン61と配線パターン62とは、平面視において、x方向に並んでいる。配線パターン61は、配線パターン62のx2方向側に位置する。配線パターン63は、平面視において、配線パターン61および配線パターン62のそれぞれとy方向に並んでいる。配線パターン61および配線パターン62はそれぞれ、配線パターン63のy2方向側に位置する。配線パターン63は、平面視において、一対の第2端縁60bの一方から他方までy方向に繋がっている。配線パターン63は、平面視において、y方向に長い矩形状である。
【0069】
複数の配線層Ly1~Ly6のそれぞれに形成された配線パターン61~63は、平面視において、各配線パターンごとに略同じ領域に形成されている。具体的には、配線層Ly1~Ly6にそれぞれ形成された配線パターン61(6つの配線パターン61)は、平面視において、略同じ領域(「第1パターン領域F1」)に形成されている。同様に、6つの配線パターン62は、平面視において、別の略同じ領域(「第2パターン領域F2」)に形成されており、6つの配線パターン63は、平面視において、さらに別の略同じ領域(「第3パターン領域F3」)に形成されている。図9図14において、第1パターン領域F1、第2パターン領域F2および第3パターン領域F3をそれぞれ太い破線で示している。
【0070】
回路基板60は、図9図14に示すように、平面視において、複数の絶縁領域65~68を含んでいる。複数の絶縁領域65~68は、各配線パターン61~63が互いに離間することで形成される領域である。
【0071】
図9図14に示すように、絶縁領域65は、配線パターン61と配線パターン62との間に配置されている。絶縁領域66は、配線パターン61と配線パターン63との間に配置されている。絶縁領域67は、配線パターン62と配線パターン63との間に配置されている。絶縁領域68は、平面視において、接続端子TMの周囲に配置されている。絶縁領域68は、平面視において、少なくとも、接続端子TMの中心を基準に半径9mm程度の範囲に形成されている。各絶縁領域65~68は、各配線層Ly1~Ly6に形成されている。複数の配線層Ly1~Ly6における各絶縁領域65~68はそれぞれ、平面視において、互いに重なる。
【0072】
絶縁領域65、絶縁領域66および絶縁領域67は、互いに繋がっている。絶縁領域66と絶縁領域67とで形成される複合領域は、回路基板60の一対の第2端縁60bの一方から他方まで、x方向に繋がっている。絶縁領域65は、回路基板60のx2方向側の第1端縁60aから上記複合領域までy方向に繋がる。絶縁領域65は、平面視において、y方に延びている。絶縁領域65は、その一部が屈曲している。
【0073】
回路基板60は、図8図14に示すように、複数の端子接続部70が形成されている。複数の端子接続部70はそれぞれ、回路基板60をz方向に貫通した貫通孔を含む。この貫通孔にはパワーモジュールPMの各信号端子52が挿通される。複数の端子接続部70は、一対のゲート接続部71A,71B、一対のソースセンス接続部72A,72B、および、一対の電流センス接続部73A,73Bを含んでいる。ゲート接続部71A、ソースセンス接続部72Aおよび電流センス接続部73Aを合わせて、上アーム端子接続部70Aといい、ゲート接続部71B、ソースセンス接続部72Bおよび電流センス接続部73Bを合わせて、下アーム端子接続部70Bという。図9図14に示すように、回路基板60のうち、上アーム端子接続部70Aおよび下アーム端子接続部70Bよりもy2方向側の領域で、絶縁領域65が屈曲している。
【0074】
ゲート接続部71Aは、ゲート信号端子521Aが挿通され、スイッチング素子Q1のゲート端子に導通する。ゲート接続部71Aは、配線パターン61に導通する。ゲート接続部71Bは、ゲート信号端子521Bが挿通され、スイッチング素子Q2のゲート端子に導通する。ゲート接続部71Bは、配線パターン62に導通する。
【0075】
ソースセンス接続部72Aは、ソースセンス信号端子522Aが挿通され、スイッチング素子Q1のソース端子に導通する。ソースセンス接続部72Aは、配線パターン61に導通する。ソースセンス接続部72Bは、ソースセンス信号端子522Bが挿通され、スイッチング素子Q2のソース端子に導通する。ソースセンス接続部72Bは、配線パターン62に導通する。
【0076】
電流センス接続部73Aは、電流センス信号端子523Aが挿通され、スイッチング素子Q1の電流センス端子に導通する。電流センス接続部73Aは、配線パターン61に導通する。電流センス接続部73Bは、電流センス信号端子523Bが挿通され、スイッチング素子Q2の電流センス端子に導通する。電流センス接続部73Bは、配線パターン62に導通する。
【0077】
ゲート接続部71A、ソースセンス接続部72Aおよび電流センス接続部73Aは、x 方向に並んでいる。ゲート接続部71Aと電流センス接続部73Aとは、ソースセンス接続部72Aを挟んで、反対側に位置する。ゲート接続部71Aは、ソースセンス接続部72Aよりもx2方向側に位置し、電流センス接続部73Aは、ソースセンス接続部72Aよりもx1方向側に位置する。
【0078】
ゲート接続部71B、ソースセンス接続部72Bおよび電流センス接続部73Bは、x方向に並んでいる。ゲート接続部71Bと電流センス接続部73Bとは、ソースセンス接続部72Bを挟んで、反対側に位置する。ゲート接続部71Bは、ソースセンス接続部72Bよりもx1方向側に位置し、電流センス接続部73Bは、ソースセンス接続部72Bよりもx2方向側に位置する。
【0079】
上アーム端子接続部70Aは、回路基板60のx方向中央(図8の補助線AL2参照)よりも、x2方向側に位置している。下アーム端子接続部70Bは、回路基板60のx方向中央(図8の補助線AL2参照)よりも、x1方向側に位置している。上アーム端子接続部70Aおよび下アーム端子接続部70Bは、回路基板60のy方向中央(図8の補助線AL3参照)よりも、y2方向側に位置している。
【0080】
複数の電子部品は、回路基板60に実装されている。図15は、回路基板60上の部品レイアウトを示している。図15においては、各配線パターン61~63を省略している。図16は、部品レイアウトと配線レイアウトとの関係を示している。図16においては、複数の電子部品を想像線(破線)で示している。
【0081】
複数の電子部品は、コネクタCNT1と、第1部品群と、第2部品群と、第3部品群と、を含んでいる。
【0082】
コネクタCNT1は、各電子部品の動作に必要な電力および入力信号を制御モジュールCM1に入力するためのハードウェアインタフェースである。コネクタCNT1は、回路基板60のz2方向側に搭載されている。コネクタCNT1は、直方体であり、平面視において、x方向に延びる矩形状である。コネクタCNT1は、図15および図16に示すように、その長辺方向が、回路基板60の長辺方向と同じとなるように、配置されている。コネクタCNT1の挿入口は、たとえば上方(z2方向)を向いている。
【0083】
コネクタCNT1は、第3パターン領域F3上に配置され、配線パターン63に接合されている。平面視において、図16に示すように、コネクタCNT1と絶縁領域65とは、y方向に並んでいる。
【0084】
第1部品群は、図2に示す上アーム駆動回路10Aを構成する複数の電子部品の集まりである。第1部品群の一部の電子部品は、図15および図16に示すように、第1パターン領域F1に配置され、配線パターン61に導通する。
【0085】
第2部品群は、図3に示す下アーム駆動回路20Aを構成する複数の電子部品の集まりである。第2部品群の一部は、図15および図16に示すように、第2パターン領域F2に配置され、配線パターン62に導通する。
【0086】
第3部品群は、図4に示す共通回路30Aを構成する複数の電子部品の集まりである。第3部品群は、図15および図16に示すように、第1部品群の一部および第2部品群の一部とともに、第3パターン領域F3に配置され、配線パターン63に導通する。
【0087】
サージ保護部14は、図15に示すように、上アーム端子接続部70Aの近くに配置されている。また、サージ保護部24は、図15に示すように、下アーム端子接続部70Bの近くに配置されている。
【0088】
プリドライバ部13は、図15に示すように、ゲートドライバ部12よりも、上アーム端子接続部70Aの近くに配置されている。また、プリドライバ部23は、図15に示すように、ゲートドライバ部22よりも、下アーム端子接続部70Bの近くに配置されている。
【0089】
絶縁トランス111および制御IC121はそれぞれ、図16に示すように、平面視において、配線パターン61、配線パターン63および絶縁領域66に重なっている。絶縁トランス111および制御IC121はそれぞれ、その内部の絶縁された部分を挟んで、一方側が配線パターン61に接続され、他方側が配線パターン63に接続されている。また、絶縁トランス211および制御IC221はそれぞれ、図16に示すように、平面視において、配線パターン62、配線パターン63および絶縁領域67に重なっている。絶縁トランス211および制御IC221はそれぞれ、その内部の絶縁された部分を挟んで、一方側が配線パターン62に接続され、他方側が配線パターン63に接続されている。
【0090】
電流制限回路131の複数の抵抗器は、たとえばチップ抵抗器で構成されている。電流制限回路231の複数の抵抗器は、たとえばチップ抵抗器で構成されている。
【0091】
各トランジスタ132,133と各トランジスタ232,233とは、異なる向きで配置されている。たとえば、図17に示すように、各トランジスタ232,233に対して、各トランジスタ132,133が横向きに(およそ90°傾けて)配置されている。具体的には、各トランジスタ132,133において封止樹脂から複数のリード端子が突き出る方向と、各トランジスタ232,233において封止樹脂から複数のリード端子が突き出る方向とが、およそ90°ずれている。これにより、回路基板60の平面視面積を小型化することが可能となる。
【0092】
各ダイオード151は、図16に示すように、絶縁領域68に配置されている。各ダイオード251は、図16に示すように、絶縁領域65に配置されている。各ダイオード251は、平面視において、下アーム端子接続部70Bよりも、y2方向側に配置されている。図16に示す例においては、特に、各ダイオード251と下アーム端子接続部70Bとが、y方向に並んでいる。
【0093】
図17は、半導体装置A1のデバイス構造を示している。図17は、半導体装置A1のデバイス構造を示す平面図である。図17に示すように、半導体装置A1において、制御モジュールCM1は、パワーモジュールPMの上に取り付けられている。図17は、制御モジュールCM1をパワーモジュールPMに取り付けた状態を示す平面図である。
【0094】
半導体装置A1において、制御モジュールCM1は、図17に示すように、パワーモジュールPMの本体部531よりも、y2方向に突き出ている。制御モジュールCM1は、パワーモジュールPMの本体部531よりも、y1方向にほとんど突き出ていない。平面視において、制御モジュールCM1のy1方向側の端縁と、パワーモジュールPMの本体部531のy1方向側の端縁とは略一致している。
【0095】
図17に示すように、回路基板60は、本体部531よりもy2方向に突き出た突出部69を含んでいる。突出部69のy方向の寸法は、たとえば10mm程度である。突出部69には、接続端子TMが配置されている。突出部69に位置する絶縁領域68には、複数のダイオード151が配置されており、突出部69に位置する絶縁領域65には、複数のダイオード251が配置されている。
【0096】
半導体装置A1において、パワーモジュールPMの電力端子511,512は、図17に示すように、制御モジュールCM1の回路基板60よりもx2方向に突き出ている。パワーモジュールPMの電力端子513,514は、図17に示すように、制御モジュールCM1の回路基板60よりも、x1方向に突き出ている。各端子台532は、制御モジュールCM1の回路基板60よりもx方向に突き出ている。
【0097】
図17に示すように、制御モジュールCM1の接続端子TMと、パワーモジュールPMの電力端子511とは、たとえばワイヤハーネスWHによって、接続されている。これにより、接続端子TMが、電力端子511に導通する。接続端子TMと電力端子511との導通は、ワイヤハーネスWHに限定されない。接続端子TMは、電力端子511に接続されるため、図17に示すように、x方向において、各電力端子513,514よりも各電力端子511,512の近くに配置されている。上記の通り、電力端子511は、スイッチング素子Q1のドレイン端子に導通している。スイッチング素子Q1がオンのとき、回路基板60側の電流が、各ダイオード151および接続端子TMを介して、パワーモジュールPM(スイッチング素子Q1のドレイン端子)に流れる。一方、スイッチング素子Q1がオフのとき、各ダイオード151があるため、回路基板60側には、電流は流れない。ただし、各ダイオード151には、高電圧が印加される。
【0098】
本開示の制御モジュールCM1および半導体装置A1の作用効果は、次の通りである。
【0099】
制御モジュールCM1は、電力端子511に導通する接続端子TMを備えている。電力端子511には、たとえば外部の直流電源に接続され、この外部の直流電源から電源電圧が印加されている。この構成によると、電源電流を検出するための専用の端子を備えないパワーモジュールPMであっても、接続端子TMによって、制御モジュールCM1に電源電流信号(ドレインセンス信号)を入力することができる。よって、制御モジュールCM1は、パワーモジュールPMを制御する上で好ましい構成にすることが可能となる。
【0100】
制御モジュールCM1では、接続端子TMが突出部69に配置されている。突出部69は、平面視において、パワーモジュールPMの本体部531よりも突き出ている。接続端子TMは、上記のとおり、電力端子511に導通する。そのため、接続端子TMには、半導体装置A1において比較的大きな電圧が印加されるので、この大きな電圧による影響(たとえば電磁ノイズ)も比較的大きい。そこで、接続端子TMを突出部69に配置することで、接続端子TMの下方にはパワーモジュールPMが配置されない。これにより、接続端子TMに印加される電圧によるパワーモジュールPMへの悪影響を抑制することができる。よって、制御モジュールCM1は、パワーモジュールPMを制御する上で好ましい構成にすることが可能となる。
【0101】
制御モジュールCM1は、スイッチング素子Q1の短絡保護検知回路用の各ダイオード151を備えている。各ダイオード151は、接続端子TMの周囲に配置された絶縁領域68に配置されている。つまり、接続端子TMのために設けられた絶縁領域68に各ダイオード151が配置されている。スイッチング素子Q1がオフのときに、各ダイオード151に高電圧が印加される。そのため、他の配線(各配線パターン61~63)に悪影響が生じないように、各ダイオード151の周囲は、配線パターン61~63を形成せず、絶縁領域にすることが好ましい。制御モジュールCM1は、各ダイオード151を絶縁領域68に配置しているため、各ダイオード151のための絶縁領域を別途設ける必要がなく、絶縁領域68を有効に活用した部品配置にすることが可能となる。
【0102】
制御モジュールCM1は、スイッチング素子Q2の短絡保護検知回路用の各ダイオード251を備えている。各ダイオード251は、配線パターン61と配線パターン62とを 絶縁する絶縁領域65に配置されている。つまり、配線パターン61と配線パターン62とを絶縁するための絶縁領域65に各ダイオード251が配置されている。スイッチング素子Q2がオフのときに、各ダイオード251に高電圧が印加される。そのため、他の配線(各配線パターン61~63)に悪影響が生じないように、各ダイオード251の周囲は、配線パターン61~63を形成せず、絶縁領域にすることが好ましい。制御モジュールCM1は、各ダイオード251を絶縁領域65に配置しているため、各ダイオード251のための絶縁領域を別途設ける必要がなく、絶縁領域65を有効に活用した部品配置にすることが可能となる。
【0103】
制御モジュールCM1では、プリドライバ部13が上アーム端子接続部70Aの近くに配置されている。これにより、スイッチング素子Q1がオンであるときの、プリドライバ部13を通る電流経路と、スイッチング素子Q1がオフであるときの、プリドライバ部13を通る電流経路と、をそれぞれ短くすることができる。よって、上アーム駆動回路10Aにおいて、スイッチング素子Q1のスイッチング動作の遅延を抑制することができる。特に、スイッチング素子Q1として、SiCのMOSFETを用いた場合、スイッチング動作の応答性が高い。それ故、上記電流経路が長いと、スイッチング素子Q1の応答性の高さを有効に活用できない。したがって、制御モジュールCM1は、スイッチング素子Q1をSiCのMOSFETで構成する上で、好ましい部品配置となる。
【0104】
制御モジュールCM1では、プリドライバ部23が下アーム端子接続部70Bの近くに配置されている。これにより、スイッチング素子Q2がオンであるときの、プリドライバ部23を通る電流経路と、スイッチング素子Q2がオフであるときの、プリドライバ部23を通る電流経路と、をそれぞれ短くすることができる。よって、下アーム駆動回路20Aにおいて、スイッチング素子Q2のスイッチング動作の遅延を抑制することができる。特に、スイッチング素子Q2として、SiCのMOSFETを用いた場合、スイッチング動作の応答性が高い。それ故、上記電流経路が長いと、スイッチング素子Q2の応答性の高さを有効に活用できない。したがって、制御モジュールCM1は、スイッチング素子Q2をSiCのMOSFETで構成する上で、好ましい部品配置となる。
【0105】
制御モジュールCM1では、サージ保護部14が上アーム端子接続部70Aの近くに配置されている。この構成によると、サージ保護部14と上アーム端子接続部70Aとの配線距離を短くすることが可能となる。サージ保護部14によるサージ電圧の保護にはサージ保護部14とスイッチング素子Q1との配線距離を短くすることが好ましい。したがって、制御モジュールCM1は、スイッチング素子Q1をサージ電圧から保護する上で好ましい部品配置にすることが可能となる。
【0106】
制御モジュールCM1では、サージ保護部24が下アーム端子接続部70Bの近くに配置されている。この構成によると、サージ保護部24と下アーム端子接続部70Bとの配線距離を短くすることが可能となる。サージ保護部24によるサージ電圧の保護にはサージ保護部24とスイッチング素子Q2との配線距離を短くすることが好ましい。したがって、制御モジュールCM1は、スイッチング素子Q2をサージ電圧から保護する上で好ましい部品配置にすることが可能となる。
【0107】
制御モジュールCM1では、コネクタCNT1と絶縁領域65とがy方向に並んでいる。絶縁領域65は、配線パターン61と配線パターン62との間に位置する。この構成によると、上アーム駆動回路10Aから上アーム端子接続部70Aまでの配線距離と、下アーム駆動回路20Aから下アーム端子接続部70Bまでの配線距離との、距離差を小さくできる。したがって、上アーム駆動回路10Aと下アーム駆動回路20Aとにおける配線インピーダンスの偏りを抑制することができる。よって、制御モジュールCM1は、パワーモジュールPMを制御する上で好ましい構成にすることが可能となる。
【0108】
制御モジュールCM1では、絶縁領域65の一部が屈曲している。本開示の制御モジュールと異なり、絶縁領域65が屈曲していない場合、配線パターン61の平面視面積と配線パターン62の平面視面積との差が大きくなりうる。これは、絶縁領域68が形成されているためである。一方、制御モジュールCM1では、絶縁領域65の一部を屈曲させることで、配線パターン61の平面視面積と配線パターン62の平面視面積との差を小さくすることができる。よって、制御モジュールCM1は、パワーモジュールPMを制御する上で好ましい構成にすることが可能となる。
【0109】
半導体装置A1は、制御モジュールCM1を備えている。したがって、半導体装置A1は、パワーモジュールPMにとって好ましい制御が可能となる。
【0110】
本実施形態においては、半導体装置A1のパワーモジュールPMが、2つのスイッチング素子Q1,Q2を備えている場合を示したが、スイッチング素子Q1の代わりに、ダイオード(たとえばSiC-ショットキーバリアダイオード)を備えていてもよい。ダイオードは、たとえばアノードがスイッチング素子Q2のドレイン端子に接続され、カソードが端子Pに接続される。この場合、ソースセンス信号端子522Aの代わりに、カソード信号端子が設けられる。また、ゲート信号端子521Aが不要となるため、ゲート信号端子521Aを設けなくてもよいし、ゲート信号端子521Aの代わりに、アノード信号端子が設けられてもよい。
【0111】
本実施形態においては、電力端子511,512が電源端子、電力端子513,514が出力端子である場合を示したが、これに限定されず、電力端子513,514が電源端子、電力端子511,512が出力端子であってもよい。図18図21は、パワーモジュールPM(半導体装置A1)の使用例を示している。図18図21に示す例は、一例であって、これらに限定されない。図18は、パワーモジュールPMをDC/ACインバータに用いた場合を示す回路図である。図19は、パワーモジュールPMをAC/DCコンバータ(整流回路)に用いた場合を示す回路図である。図20は、パワーモジュールPMを降圧型のDC/DCコンバータに用いた場合を示す回路図である。図21は、パワーモジュールPMを昇圧型のDC/DCコンバータに用いた場合を示す回路図である。図18および図19においては、2つのパワーモジュールPMを用いたフルブリッジ型である場合を示すが、1つのパワーモジュールPMを用いたハーフブリッジ型であってもよい。
【0112】
図18および図20の各例示では、電力端子511,512は電源端子として外部電源PSが接続され、電力端子513,514は出力端子として負荷LOが接続される。一方、図19および図21の各例示では、電力端子513,514は電源端子として外部電源PSが接続され、電力端子511,512は出力端子として負荷LOが接続される。また、図19の例示では、外部電源PSは交流電源であり、図18,20,21の各例示では、外部電源PSは直流電源である。以上のように、半導体装置A1において、電力端子511,512を電源端子、電力端子513,514を出力端子としてもよいし、電力端子513,514を電源端子、電力端子511,512を出力端子としてもよい。また、電源端子に接続される外部電源は、直流電源であってもよいし、交流電源であってもよい。
【0113】
本開示にかかる制御モジュールおよび半導体装置は、上記した実施形態に限定されるものではない。本開示の制御モジュールおよび半導体装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0114】
本開示にかかる制御モジュールおよび半導体装置は、以下の付記に関する実施形態を含む。
付記1.
本体部および電源端子を備えるパワーモジュールを制御する複数の電子部品と、
第1方向において前記パワーモジュールの上に配置され、かつ、前記複数の電子部品が実装された回路基板と、
前記電源端子に導通し、前記回路基板に形成された接続端子と、
を備えており、
前記電源端子は、外部電源から電源電圧が印加され、
前記回路基板は、前記第1方向に見て前記本体部よりも突き出た突出部を含んでおり、
前記接続端子は、前記突出部に配置されている、制御モジュール。
付記2.
前記電源端子は、前記本体部の前記第1方向に直交する第2方向側に配置され、かつ、前記第1方向に見て前記回路基板よりも前記第2方向に突き出ており、
前記突出部は、前記第1方向および前記第2方向に直交する第3方向に突き出ている、付記1に記載の制御モジュール。
付記3.
前記電源端子は、前記外部電源の高電位側の端子に接続される第1端子部と、前記外部電源の低電位側の端子に接続される第2端子部とを含んでおり、
前記接続端子は、前記第1端子部に接続されている、付記2に記載の制御モジュール。
付記4.
前記第1端子部と前記第2端子部とは、前記第3方向に並んでおり、
前記突出部は、前記第3方向において、前記第2端子部に対して前記第1端子部が位置する方向に突き出ている、付記3に記載の制御モジュール。
付記5.
前記パワーモジュールは、上アームのスイッチング素子および下アームのスイッチング素子を備えており、
前記複数の電子部品は、前記上アームのスイッチング素子および前記下アームのスイッチング素子の各スイッチング動作を制御する、付記2ないし付記4のいずれか1つに記載の制御モジュール。
付記6.
前記パワーモジュールは、前記各スイッチング動作によって前記電源電圧から変換された電圧を出力する出力端子をさらに備えており、
前記出力端子は、前記第2方向において、前記電源端子が突き出た方向と反対方向に前記回路基板から突き出ている、付記5に記載の制御モジュール。
付記7.
前記接続端子は、前記第2方向において、前記出力端子よりも前記電源端子に近い、付記6に記載の制御モジュール。
付記8.
前記回路基板は、前記第1方向に見て、互いに離間する第1配線パターン、第2配線パターン、および、第3配線パターンを含んでおり、
前記複数の電子部品の各々は、前記第1配線パターン、前記第2配線パターン、および、前記第3配線パターンのいずれかに接続されている、付記5ないし付記7のいずれか1つに記載の制御モジュール。
付記9.
前記パワーモジュールは、前記上アームのスイッチング素子に導通する第1信号端子と、前記下アームのスイッチング素子に導通する第2信号端子とを備えており、
前記第1配線パターンは、前記第1信号端子に導通し、
前記第2配線パターンは、前記第2信号端子に導通する、付記8に記載の制御モジュール。
付記10.
前記第1信号端子および前記第2信号端子は、前記第1方向に延びる棒状であり、
前記回路基板は、各々が前記第1方向に前記回路基板を貫通する第1端子接続部および第2端子接続部を含んでおり、
前記第1端子接続部は、前記第1信号端子が挿通され、
前記第2端子接続部は、前記第2信号端子が挿通され、
前記第1端子接続部と前記第2端子接続部とは、前記第2方向に並んでいる、付記9に記載の制御モジュール。
付記11.
前記第1端子接続部と前記第2端子接続部とは、前記第1方向に見て、前記パワーモジュールに重なり、かつ、前記第3方向において、前記回路基板の中央よりも、前記突出部が位置する側に配置されている、付記10に記載の制御モジュール。
付記12.
前記第1配線パターンと前記第2配線パターンとは、前記第2方向に並んでおり、
前記第3配線パターンは、前記第1配線パターンおよび前記第2配線パターンのそれぞれと、前記第3方向に並んでいる、付記8ないし付記11のいずれか1つに記載の制御モジュール。
付記13.
前記回路基板は、前記第1配線パターンと前記第2配線パターンとの間に配置された第1絶縁領域と、前記第1配線パターンと前記第3配線パターンとの間に配置された第2絶縁領域と、前記第2配線パターンと前記第3配線パターンとの間に配置され第3絶縁領域と、をさらに含む、付記8ないし付記12のいずれか1つに記載の制御モジュール。
付記14.
前記複数の電子部品は、前記各スイッチング動作を制御するための信号が入力されるコネクタを含んでおり、当該コネクタは、前記第3配線パターンに接合されている、付記13に記載の制御モジュール。
付記15.
前記第1方向に見て、前記コネクタと前記第1絶縁領域とは、前記第3方向に並んでいる、付記14に記載の制御モジュール。
付記16.
前記複数の電子部品は、前記上アームのスイッチング素子のスイッチング動作を制御する第1部品群に属する電子部品と、前記下アームのスイッチング素子のスイッチング動作を制御する第2部品群に属する電子部品と、を含んでおり、
前記第1部品群に属する少なくとも1つの電子部品は、前記第1配線パターンに接続されており、前記第2部品群に属する少なくとも1つの電子部品は、前記第2配線パターンに接続されている、付記13ないし付記15のいずれか1つに記載の制御モジュール。
付記17.
前記第1部品群は、前記上アームのスイッチング素子の短絡保護検知回路用の第1ダイオードを含んでおり、
前記回路基板は、前記第1方向に見て、前記接続端子の周囲に配置された第4絶縁領域をさらに含んでおり、
前記第1ダイオードは、前記第4絶縁領域に配置されている、付記16に記載の制御モジュール。
付記18.
前記第2部品群は、前記下アームのスイッチング素子の短絡保護検知回路用の第2ダイオードを含んでおり、
前記第2ダイオードは、前記第1絶縁領域に配置されている、付記16または付記17に記載の制御モジュール。
付記19.
前記第1部品群は、前記上アームのスイッチング素子に駆動信号を出力する第1トランジスタを含み、
前記第2部品群は、前記下アームのスイッチング素子に駆動信号を出力する第2トランジスタを含み、
前記第1方向に見て、前記第1トランジスタの向きと前記第2トランジスタの向きとが異なっている、付記16ないし付記18のいずれか1つに記載の制御モジュール。
付記20.
前記回路基板は、複数の絶縁層と、これら絶縁層を介して互いに離間し且つ互いに積層された複数の配線層とを有しており、
前記第1絶縁領域、前記第2絶縁領域、および、前記第3絶縁領域は、前記複数の配線層の各々に形成されており、
前記複数の配線層の各々に形成された前記第1絶縁領域は、前記第1方向に見て、互いに重なり、
前記複数の配線層の各々に形成された前記第2絶縁領域は、前記第1方向に見て、互いに重なり、
前記複数の配線層の各々に形成された前記第3絶縁領域は、前記第1方向に見て、互いに重なる、付記13ないし付記19のいずれか1つに記載の制御モジュール。
付記21.
前記接続端子は、ネジ端子である、付記1ないし付記20のいずれか1つに記載の制御モジュール。
付記22.
付記1ないし付記21のいずれか1つに記載の制御モジュールと、
前記パワーモジュールと、を備える半導体装置。
付記23.
前記接続端子と前記電源端子とを接続するワイヤハーネスをさらに備える、付記22に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0115】
A1 :半導体装置
CM1 :制御モジュール
10A :上アーム駆動回路
20A :下アーム駆動回路
11,21 :絶縁電源部
111,211:絶縁トランス
112,212:電源IC
12,22 :ゲートドライバ部
121,221:制御IC
13,23 :プリドライバ部
131,231:電流制限回路
132,133,232,233:トランジスタ
134,135,234,235:バイアスコンデンサ
14,24 :サージ保護部
15,25 :短絡保護部
151,251:ダイオード
16,26 :二次側電源部
17,27 :電圧保護部
171,271:コンパレータ
R1,R2 :抵抗
30A :共通回路
31 :入力フィルタ部
32 :一次側電源部
33 :論理回路部
60 :回路基板
60a :第1端縁
60b :第2端縁
60c :凹部
Ly1~Ly6:配線層
F1 :第1パターン領域
F2 :第2パターン領域
F3 :第3パターン領域
61,62,63:配線パターン
65~68 :絶縁領域
69 :突出部
70 :端子接続部
70A :上アーム端子接続部
70B :下アーム端子接続部
71A,71B:ゲート接続部
72A,72B:ソースセンス接続部
73A、73B:電流センス接続部
TM :接続端子
CNT1 :コネクタ
PM :パワーモジュール
SW :スイッチング回路
Q1,Q2 :スイッチング素子
NT :ナット
511~514:電力端子
52 :信号端子
521A,521B:ゲート信号端子
522A,522B:ソースセンス信号端子
523A,523B:電流センス信号端子
53 :ケース
531 :本体部
532 :端子台
533,534:取付孔
54 :天板
WH :ワイヤハーネス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21