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特許7530365レシニフェラトキシンを投与することによって変形性関節症疼痛を処置するための方法
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  • 特許-レシニフェラトキシンを投与することによって変形性関節症疼痛を処置するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】レシニフェラトキシンを投与することによって変形性関節症疼痛を処置するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/357 20060101AFI20240731BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240731BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240731BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240731BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240731BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240731BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240731BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240731BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240731BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240731BHJP
   A61K 31/36 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
A61K31/357
A61P19/02
A61P29/00
A61K9/08
A61K47/34
A61K47/10
A61K47/26
A61K47/02
A61P43/00 171
A61P25/04
A61K31/36
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2021541622
(86)(22)【出願日】2020-01-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 US2020014361
(87)【国際公開番号】W WO2020154261
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】62/795,530
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/915,802
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514291864
【氏名又は名称】ソレント・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Sorrento Therapeutics, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ナハマ, アレクシス
(72)【発明者】
【氏名】ジ, ヘンリー ホンジュン
【審査官】井上 政志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/087803(WO,A1)
【文献】Long-term pain relief in canine osteoarthritis by a single intra-articular injection of resiniferatoxin, a potent TRPV1 agonist,Pain,2018年,159(10),2105-2114
【文献】The effects of intra-articular resiniferatoxin on monosodium iodoacetate-induced osteoarthritic pain in rats,Korean J Physiol Pharmacol,2016年,20(1):,129-136
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00-31/327
A61K31/33-31/80
A61K33/00-33/44
A61K 47/00-47/69
A61K 9/00- 9/72
A61P 1/00-43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形性関節症(OA)疼痛を処置する方法における使用のための、レシニフェラトキシン(RTX)を含む組成物であって、前記方法が、治療有効量のRTXを、それを必要とするヒト対象に投与するステップを含み、前記投与するステップが、罹患関節への関節内注射によって行われ、前記組成物は、RTXおよび薬学的に許容される担体を含む医薬製剤であり、前記医薬製剤中の前記RTXは、1μg/mL~50μg/mLの濃度である、組成物。
【請求項2】
前記RTXの用量が、約1μg~約100μgである、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
前記RTXの用量が、1~2μg、2~5μg、5~10μg、10~20μg、20~30μg、30~40μg、40~50μg、50~60μg、60~70μg、70~80μg、80~90μg、または90~100μgの範囲である、請求項2に記載の使用のための組成物。
【請求項4】
前記RTXの用量が、約5μg~約40μg、約10μg~約30μg、約15μg~約25μgである、請求項2に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
前記RTXの用量が、約12.5μgである、請求項2に記載の使用のための組成物。
【請求項6】
前記RTXの用量が、約20μgである、請求項2に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
前記RTXの用量が、約5μg、約12.5μg、約20μgまたは約30μgであり、前記用量が、約2.5ml~約15mlの体積である、請求項1から2のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項8】
前記罹患関節が、膝関節、股関節、手関節、肩関節、足首関節、足関節、肘関節、手首関節、仙腸関節もしくは脊椎関節、またはそれらの組合せである、請求項に記載の使用のための組成物。
【請求項9】
前記罹患関節が、大関節である、請求項に記載の使用のための組成物。
【請求項10】
前記RTXが、単一部位に投与される、請求項1から9のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項11】
前記RTXが、複数部位に投与される、請求項1から9のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項12】
前記方法が、前記RTXおよび薬学的に許容される担体を含む医薬製剤を投与するステップを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項13】
前記薬学的に許容される担体が、水を含む、請求項12に記載の使用のための組成物。
【請求項14】
前記薬学的に許容される担体が、ポリソルベート(登録商標)80を含む、請求項12または13に記載の使用のための組成物。
【請求項15】
前記薬学的に許容される担体が、ポリエチレングリコールを含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項16】
前記薬学的に許容される担体が、糖または糖アルコールを含む、請求項12から15のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項17】
前記薬学的に許容される担体が、マンニトールを含む、請求項16に記載の使用のための組成物。
【請求項18】
前記薬学的に許容される担体が、デキストロースを含む、請求項16または17に記載の使用のための組成物。
【請求項19】
前記薬学的に許容される担体が、薬学的に許容される緩衝液を含む、請求項12から18のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項20】
前記薬学的に許容される担体が、リン酸緩衝液を含む、請求項19に記載の使用のための組成物。
【請求項21】
前記医薬製剤が、6~7.6の範囲のpHを有する、請求項12から20のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項22】
前記医薬製剤が、6~6.4、6.3~6.7、6.4~6.8、6.8~7.2、7~7.4、または7.2~7.6の範囲のpHを有する、請求項21に記載の使用のための組成物。
【請求項23】
前記医薬製剤が、6.5または7.2のpHを有する、請求項21に記載の使用のための組成物。
【請求項24】
前記薬学的に許容される担体が、薬学的に許容される塩を含む、請求項12から23のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項25】
前記薬学的に許容される塩が、NaClである、請求項24に記載の使用のための組成物。
【請求項26】
前記医薬製剤におけるRTXの濃度が、1~5μg/ml、5~10μg/ml、10~20μg/ml、20~50μg/mlの範囲である、請求項に記載の使用のための組成物。
【請求項27】
RTXが、周期的に投与される、請求項1から26のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項28】
RTXが、1年当たり約1回、約2回、約3回、約4回、約5回、約6回、約7回、約8回、約9回、約10回、約11回もしくは約12回、1カ月当たり約1回、約2回もしくは約3回、または1週間当たり約1回もしくは約2回、周期的に投与される、請求項27に記載の使用のための組成物。
【請求項29】
前記周期的投与の持続期間が、約1週~約12カ月もしくはそれを超える、約1週~約6カ月、約1カ月~4カ月、または約3カ月である、請求項27に記載の使用のための組成物。
【請求項30】
前記周期的投与の持続期間が、少なくとも2週間である、請求項27から29のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項31】
前記周期的投与の持続期間が、少なくとも1カ月である、請求項30に記載の使用のための組成物。
【請求項32】
前記周期的投与の持続期間が、少なくとも2カ月である、請求項30または31に記載の使用のための組成物。
【請求項33】
前記周期的投与の持続期間が、少なくとも3カ月である、請求項27から29のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項34】
前記周期的投与の持続期間が、少なくとも4カ月である、請求項33に記載の使用のための組成物。
【請求項35】
前記周期的投与の持続期間が、少なくとも6カ月である、請求項33または34に記載の使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
I.関連出願の相互参照
本願は、2019年1月22日出願の米国仮出願第62/795,530号および2019年10月16日出願の米国仮出願第62/915,802号に基づく優先権を主張し、それら両方の内容は、あらゆる目的でそれら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
II.序論および概要
本開示は、レシニフェラトキシンを投与するステップを含む、変形性関節症(OA)を処置する方法、およびこのような方法における使用のためのレシニフェラトキシンを提供する。
【背景技術】
【0003】
レシニフェラトキシン(RTX)は、赤トウガラシの辛味主成分であるカプサイシンの非常に強力なアナログとして作用する。RTXは、ユーフォルビア(Euphorbia)のある特定種から単離された三環式ジテルペンである。ホモバニリル基は、カプサイシンの重要な構造的特色であり、RTXを典型的なホルボール関連化合物と区別する、最も顕著な特色である。天然RTXは、以下の構造を有する。
【化1】
【0004】
RTXおよびアナログ化合物、例えばチニアトキシンおよび他の化合物(ジテルペンの20-ホモバニリルエステル、例えば12-デオキシホルボール13-フェニルアセテート20-ホモバニレートおよびメゼレイン20-ホモバニレート)は、米国特許第4,939,194号、同第5,021,450号および同第5,232,684号に記載されている。他のレシニフェラトキシン型ホルボイドバニロイドも特定されている(Szallasi et al. (1999) Brit. J. Pharmacol. 128:428-434)。
【0005】
RTXは、TrpV1アゴニストとして公知である。一過性の受容体電位カチオンチャネルサブファミリーVメンバー1であるTrpV1(バニロイド受容体-1(VR1)としても公知)は、侵害受容一次求心性ニューロンにおいて顕著に発現される多量体のカチオンチャネルである(Caterina et al. (1997) Nature 389:816-824;Tominaga et al. (1998) Neuron 21:531-543)。TrpV1の活性化は、典型的には、疼痛性熱の適用によって神経末端において生じ、ある特定のタイプの炎症性刺激中に上方調節される。化学的アゴニストによる末梢組織におけるTrpV1の活性化は、カルシウムチャネルの開口および疼痛感覚の伝達をもたらす(Szalllasi et al. (1999) Mol. Pharmacol. 56:581-587)。しかし、TrpV1を発現するニューロンの細胞体(神経節)への、ある特定のTrpV1アゴニストの直接的な適用は、カルシウムチャネルを開口させ、プログラム細胞死(「アポトーシス」)に至る事象のカスケードを誘発する(Karai et al. (2004) J. of Clin. Invest. 113:1344-1352)。
【0006】
関節痛は、大型市場において3千万人を超える患者に影響を及ぼし、その半分が、膝変形性関節症疼痛に罹患している。変形性関節症(OA)は、関節軟骨の崩壊および侵食が原因で生じる変形性関節疾患である。OAは、大部分は55歳またはそれを超える人々に影響を及ぼし、これは大体アメリカ人12人に1人に上る。軟骨への損傷は、炎症と関連し、進行性である。OAは、移動を制限するおそれがある体液貯留および構造変化、例えば骨の過成長と関連する。OAは主に、体重がかかる膝関節、股関節および脊椎関節、ならびに手首、指および足の関節に影響を及ぼす。ほぼ普遍的で優勢な症候は、疼痛であり、これは後期には、患者が関節置換の候補となる程度まで重症化するおそれがある。OA疼痛は、ライフスタイルの変化(例えば、体重減少、運動)、局所クリーム、ゲルおよびパッチ、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)およびオピオイドを含む全身薬物、ならびに関節内処置を含む多種多様な手法によって管理される。それにもかかわらず、OA疼痛は、しばしば、ほとんどの患者において依然として解決困難な問題であり、一般に処方される鎮痛薬の多くが、十分な緩和をもたらすことができていない。関節置換(例えば、股関節または膝関節)は、重症の症候性OAで適応となる。疾病管理センターは、毎年、合計700,000を上回る膝置換(TKR)外科手術が実施されていると推定している。外科手術の成功率は高い(約90%)が、置換は、15~20年の間の有限寿命を有する。再置換は、合併症および出費の増大と関連する。疼痛を医学的に管理することによって外科手術を遅延または排除することは、より若年の患者において、または外科手術の良い候補になり得ないより高齢の患者において、特に有利となり得る。
関節内(IA)注射は、OA疼痛の一連の管理において1つの処置様式を提供するが、コルチコステロイドのIA注射しか鎮痛有効性を一貫して示していない。残念ながら、ステロイド注射後の症候改善は短い(2~4週)。骨の悪化および進行性軟骨損傷への懸念があるため、同じ関節が1年当たり3回以下の注射を受けることが、通常は推奨される。近年、トリアムシノロンアセトニドの持続放出注射が、プラセボを上回る優位性が観察されたことに基づいて米国食品医薬局(US FDA)によって単回注射として承認された。しかし、二次的探索的分析では、Zilrettaと活性対照(即時放出トリアムシノロンアセトニド)との間で統計的有意性が実証されなかったので、トリアムシノロンアセトニドの持続放出注射が即時放出製剤をどれ程上回る利点をもたらすかは不明である。
経口薬剤、例えばNSAIDおよびオピオイド含有剤は、中程度から重症の疼痛の処置に承認されている。しかし、これらの薬剤には、オピオイド依存性のリスクを含む関連有害効果に関する欠点がある。OAのための治療の引き出しにおけるこれらの選択肢の制限は、ステロイド注射および経口鎮痛薬を上回る安全で有効な長期間疼痛緩和を提供するIA注射剤への必要性が、まだ到底満たされていないことを強調している。したがって当技術分野では、変形性関節症のための改善された処置が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第4,939,194号明細書
【文献】米国特許第5,021,450号明細書
【文献】米国特許第5,232,684号明細書
【非特許文献】
【0008】
【文献】Szallasi et al. (1999) Brit. J. Pharmacol. 128:428-434
【文献】Caterina et al. (1997) Nature 389:816-824
【文献】Tominaga et al. (1998) Neuron 21:531-543
【文献】Szalllasi et al. (1999) Mol. Pharmacol. 56:581-587
【文献】Karai et al. (2004) J. of Clin. Invest. 113:1344-1352
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、以下の例示的な実施形態が提供される。
【0010】
実施形態1は、(OA)疼痛を処置する方法であって、治療有効量のレシニフェラトキシン(RTX)を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法である。
【0011】
実施形態2は、変形性関節症(OA)疼痛を処置する方法における使用のための、レシニフェラトキシン(RTX)を含む組成物であって、方法が、治療有効量のRTXを、それを必要とする対象に投与するステップを含む、組成物である。
【0012】
実施形態3は、RTXの用量が、約1μg~約100μgである、実施形態1または2に記載の使用のための方法または組成物である。
【0013】
実施形態4は、RTXの用量が、0.1~1μg、1~2μg、2~5μg、5~10μg、10~20μg、20~30μg、30~40μg、40~50μg、50~60μg、60~70μg、70~80μg、80~90μg、または90~100μgの範囲である、実施形態3に記載の使用のための方法または組成物である。
【0014】
実施形態5は、RTXの用量が、約5μg~約40μg、約10μg~約30μg、約15μg~約25μgである、実施形態3に記載の使用のための方法または組成物である。
【0015】
実施形態6は、RTXの用量が、約12.5μgである、実施形態3に記載の使用のための方法または組成物である。
【0016】
実施形態7は、RTXの用量が、約20μgである、実施形態3に記載の使用のための方法または組成物である。
【0017】
実施形態8は、RTXの用量が、約5μg、約12.5μg、約20μgまたは約30μgであり、必要に応じて用量が、約2.5ml~約15mlの体積であり、例えば体積が、約5mlまたは10mlである、前述の実施形態のいずれか1つに記載の使用のための方法または組成物である。
【0018】
実施形態9は、投与するステップが、罹患関節への関節内注射によって行われる、前述の実施形態のいずれか1つに記載の使用のための方法または組成物である。
【0019】
実施形態10は、罹患関節が、膝関節、股関節、手関節、肩関節、足首関節、足関節、肘関節、手首関節、仙腸関節もしくは脊椎関節、またはそれらの組合せである、実施形態9に記載の使用のための方法または組成物である。
【0020】
実施形態11は、罹患関節が、大関節である、実施形態9に記載の使用のための方法または組成物である。
【0021】
実施形態12は、RTXが、単一部位に投与される、実施形態9~11のいずれか1つに記載の使用のための方法または組成物である。
【0022】
実施形態13は、RTXが、複数部位に投与される、実施形態9~11のいずれか1つに記載の使用のための方法または組成物である。
【0023】
実施形態14は、方法が、RTXおよび薬学的に許容される担体を含む医薬製剤を投与するステップを含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載の使用のための方法または組成物である。
【0024】
実施形態15は、薬学的に許容される担体が、水を含む、実施形態14に記載の使用のための方法または組成物である。
【0025】
実施形態16は、薬学的に許容される担体が、ポリソルベート(登録商標)80を含む、実施形態14または15に記載の使用のための方法または組成物である。
【0026】
実施形態17は、薬学的に許容される担体が、ポリエチレングリコールを含む、実施形態14~16のいずれか1つに記載の使用のための方法または組成物である。
【0027】
実施形態18は、薬学的に許容される担体が、糖または糖アルコールを含む、実施形態14~17のいずれか1つに記載の使用のための方法または組成物である。
【0028】
実施形態19は、薬学的に許容される担体が、マンニトールを含む、実施形態18に記載の使用のための方法または組成物である。
【0029】
実施形態20は、薬学的に許容される担体が、デキストロースを含む、実施形態18または19に記載の使用のための方法または組成物である。
【0030】
実施形態21は、薬学的に許容される担体が、薬学的に許容される緩衝液を含む、実施形態14~20のいずれか1つに記載の使用のための方法または組成物である。
【0031】
実施形態22は、薬学的に許容される担体が、リン酸緩衝液を含む、実施形態21に記載の使用のための方法または組成物である。
【0032】
実施形態23は、医薬製剤が、6~7.6の範囲のpHを有する、実施形態14~22のいずれか1つに記載の使用のための方法または組成物である。
【0033】
実施形態24は、医薬製剤が、6~6.4、6.3~6.7、6.4~6.8、6.8~7.2、7~7.4、または7.2~7.6の範囲のpHを有する、実施形態23に記載の使用のための方法または組成物である。
【0034】
実施形態25は、医薬製剤が、6.5または7.2のpHを有する、実施形態23に記載の使用のための方法または組成物である。
【0035】
実施形態26は、薬学的に許容される担体が、薬学的に許容される塩を含む、実施形態14~25のいずれか1つに記載の使用のための方法または組成物である。
【0036】
実施形態27は、薬学的に許容される塩が、NaClである、実施形態26に記載の使用のための方法または組成物である。
【0037】
実施形態28は、医薬製剤におけるRTXの濃度が、0.1~300μg/mlの範囲である、実施形態14~27のいずれか1つに記載の使用のための方法または組成物である。
【0038】
実施形態29は、医薬製剤におけるRTXの濃度が、0.1~1μg/ml、1~5μg/ml、5~10μg/ml、10~20μg/ml、20~50μg/ml、50~100μg/ml、100~150μg/ml、150~200μg/ml、200~250μg/ml、または250~300μg/mlの範囲である、実施形態28に記載の使用のための方法または組成物である。
【0039】
実施形態30は、医薬製剤におけるRTXの濃度が、150~250μg/mlの範囲、または200μg/mlである、実施形態28または29に記載の使用のための方法または組成物である。
【0040】
実施形態31は、対象が、哺乳動物である、前述の実施形態のいずれか1つに記載の使用のための方法または組成物である。
【0041】
実施形態32は、対象が、ネコ、イヌ、ウマ、ブタ、反芻動物、ウシ、ヒツジ、ヤギ、または家畜化哺乳動物である、実施形態31に記載の使用のための方法または組成物である。
【0042】
実施形態33は、対象が、ヒトである、実施形態31に記載の使用のための方法または組成物である。
【0043】
実施形態34は、RTXが、周期的に投与される、前述の実施形態のいずれか1つに記載の使用のための方法または組成物である。
【0044】
実施形態35は、RTXが、1年当たり約1回、約2回、約3回、約4回、約5回、約6回、約7回、約8回、約9回、約10回、約11回もしくは約12回、1カ月当たり約1回、約2回もしくは約3回、または1週間当たり約1回もしくは約2回、周期的に投与される、実施形態34に記載の使用のための方法または組成物である。
【0045】
実施形態36は、周期的投与の持続期間が、約1週~約12カ月もしくはそれを超える、約1週~約6カ月、約1カ月~4カ月、または約3カ月である、実施形態34に記載の使用のための方法または組成物である。
【0046】
実施形態37は、周期的投与の持続期間が、少なくとも2週間であり、必要に応じて、周期的投与の持続期間が、少なくとも1カ月であり、さらに必要に応じて、周期的投与の持続期間が、少なくとも2カ月である、実施形態34~36のいずれか1つに記載の使用のための方法または組成物である。
【0047】
実施形態38は、周期的投与の持続期間が、少なくとも3カ月であり、必要に応じて、周期的投与の持続期間が、少なくとも4カ月であり、さらに必要に応じて、周期的投与の持続期間が、少なくとも6カ月である、実施形態34~36のいずれか1つに記載の使用のための方法または組成物である。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
変形性関節症(OA)疼痛を処置するための方法であって、治療有効量のレシニフェラトキシン(RTX)を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法。
(項目2)
変形性関節症(OA)疼痛を処置する方法における使用のための、レシニフェラトキシン(RTX)を含む組成物であって、前記方法が、治療有効量のRTXを、それを必要とする対象に投与するステップを含む、組成物。
(項目3)
前記RTXの用量が、約1μg~約100μgである、項目1または2に記載の使用のための方法または組成物。
(項目4)
前記RTXの用量が、0.1~1μg、1~2μg、2~5μg、5~10μg、10~20μg、20~30μg、30~40μg、40~50μg、50~60μg、60~70μg、70~80μg、80~90μg、または90~100μgの範囲である、項目3に記載の使用のための方法または組成物。
(項目5)
前記RTXの用量が、約5μg~約40μg、約10μg~約30μg、約15μg~約25μgである、項目3に記載の使用のための方法または組成物。
(項目6)
前記RTXの用量が、約12.5μgである、項目3に記載の使用のための方法または組成物。
(項目7)
前記RTXの用量が、約20μgである、項目3に記載の使用のための方法または組成物。
(項目8)
前記RTXの用量が、約5μg、約12.5μg、約20μgまたは約30μgであり、必要に応じて前記用量が、約2.5ml~約15mlの体積であり、例えば前記体積が、約5mlまたは10mlである、項目1から3のいずれか一項に記載の使用のための方法または組成物。
(項目9)
前記投与するステップが、罹患関節への関節内注射によって行われる、項目1から8のいずれか一項に記載の使用のための方法または組成物。
(項目10)
前記罹患関節が、膝関節、股関節、手関節、肩関節、足首関節、足関節、肘関節、手首関節、仙腸関節もしくは脊椎関節、またはそれらの組合せである、項目9に記載の使用のための方法または組成物。
(項目11)
前記罹患関節が、大関節である、項目9に記載の使用のための方法または組成物。
(項目12)
前記RTXが、単一部位に投与される、項目9から11のいずれか一項に記載の使用のための方法または組成物。
(項目13)
前記RTXが、複数部位に投与される、項目9から11のいずれか一項に記載の使用のための方法または組成物。
(項目14)
前記方法が、前記RTXおよび薬学的に許容される担体を含む医薬製剤を投与するステップを含む、項目1から13のいずれか一項に記載の使用のための方法または組成物。
(項目15)
前記薬学的に許容される担体が、水を含む、項目14に記載の使用のための方法または組成物。
(項目16)
前記薬学的に許容される担体が、ポリソルベート(登録商標)80を含む、項目14または15に記載の使用のための方法または組成物。
(項目17)
前記薬学的に許容される担体が、ポリエチレングリコールを含む、項目14から16のいずれか一項に記載の使用のための方法または組成物。
(項目18)
前記薬学的に許容される担体が、糖または糖アルコールを含む、項目14から17のいずれか一項に記載の使用のための方法または組成物。
(項目19)
前記薬学的に許容される担体が、マンニトールを含む、項目18に記載の使用のための方法または組成物。
(項目20)
前記薬学的に許容される担体が、デキストロースを含む、項目18または19に記載の使用のための方法または組成物。
(項目21)
前記薬学的に許容される担体が、薬学的に許容される緩衝液を含む、項目14から20のいずれか一項に記載の使用のための方法または組成物。
(項目22)
前記薬学的に許容される担体が、リン酸緩衝液を含む、項目21に記載の使用のための方法または組成物。
(項目23)
前記医薬製剤が、6~7.6の範囲のpHを有する、項目14から22のいずれか一項に記載の使用のための方法または組成物。
(項目24)
前記医薬製剤が、6~6.4、6.3~6.7、6.4~6.8、6.8~7.2、7~7.4、または7.2~7.6の範囲のpHを有する、項目23に記載の使用のための方法または組成物。
(項目25)
前記医薬製剤が、6.5または7.2のpHを有する、項目23に記載の使用のための方法または組成物。
(項目26)
前記薬学的に許容される担体が、薬学的に許容される塩を含む、項目14から25のいずれか一項に記載の使用のための方法または組成物。
(項目27)
前記薬学的に許容される塩が、NaClである、項目26に記載の使用のための方法または組成物。
(項目28)
前記医薬製剤におけるRTXの濃度が、0.1~300μg/mlの範囲である、項目14から27のいずれか一項に記載の使用のための方法または組成物。
(項目29)
前記医薬製剤におけるRTXの濃度が、0.1~1μg/ml、1~5μg/ml、5~10μg/ml、10~20μg/ml、20~50μg/ml、50~100μg/ml、100~150μg/ml、150~200μg/ml、200~250μg/ml、または250~300μg/mlの範囲である、項目28に記載の使用のための方法または組成物。
(項目30)
前記医薬製剤におけるRTXの濃度が、150~250μg/mlの範囲、または200μg/mlである、項目28または29に記載の使用のための方法または組成物。
(項目31)
前記対象が、哺乳動物である、項目1から30のいずれか一項に記載の使用のための方法または組成物。
(項目32)
前記対象が、ネコ、イヌ、ウマ、ブタ、反芻動物、ウシ、ヒツジ、ヤギ、または家畜化哺乳動物である、項目31に記載の使用のための方法または組成物。
(項目33)
前記対象が、ヒトである、項目31に記載の使用のための方法または組成物。
(項目34)
RTXが、周期的に投与される、項目1から34のいずれか一項に記載の使用のための方法または組成物。
(項目35)
RTXが、1年当たり約1回、約2回、約3回、約4回、約5回、約6回、約7回、約8回、約9回、約10回、約11回もしくは約12回、1カ月当たり約1回、約2回もしくは約3回、または1週間当たり約1回もしくは約2回、周期的に投与される、項目34に記載の使用のための方法または組成物。
(項目36)
前記周期的投与の持続期間が、約1週~約12カ月もしくはそれを超える、約1週~約6カ月、約1カ月~4カ月、または約3カ月である、項目34に記載の使用のための方法または組成物。
(項目37)
前記周期的投与の持続期間が、少なくとも2週間であり、必要に応じて、前記周期的投与の持続期間が、少なくとも1カ月であり、さらに必要に応じて、前記周期的投与の持続期間が、少なくとも2カ月である、項目34から36のいずれか一項に記載の使用のための方法または組成物。
(項目38)
前記周期的投与の持続期間が、少なくとも3カ月であり、必要に応じて、前記周期的投与の持続期間が、少なくとも4カ月であり、さらに必要に応じて、前記周期的投与の持続期間が、少なくとも6カ月である、項目34から36のいずれか一項に記載の使用のための方法または組成物。
III.図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1は、RTX処置を受けた患者とプラセボ対照患者との間の大きい疼痛スコア差を実証する実施例1からのデータを示すグラフである。
【0049】
図2図2は、RTX処置を受けた患者とプラセボ対照患者との間の数値疼痛評定スケール(NPRS)スコア差を実証する実施例3からのデータを示すグラフである。
【0050】
図3図3は、RTX処置を受けた患者とプラセボ対照患者との間の西オンタリオ大学およびマクマスター大学変形性関節症指数(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index:WOMAC)スコア差を実証する実施例3からのデータを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
IV.詳細な説明
ここで、本発明のある特定の実施形態に詳細に言及し、その例を添付の図に例示する。本発明は、例示される実施形態と共に記載されるが、例示される実施形態は、本発明をそれらの実施形態に限定することを企図しないことが理解されよう。それとは対照的に、本発明は、あらゆる代替形態、改変形態、および等価形態を網羅することが企図され、それらは添付の特許請求の範囲によって定義される通り、本発明に含まれ得る。
【0052】
本発明の教示を詳細に記載する前に、本開示は、具体的な組成物またはプロセスステップに限定されず、したがって変わり得ると理解されるべきである。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、状況によって別段明示されない限り、複数の参照物を含むことに留意すべきである。したがって、例えば「1つのコンジュゲート」への言及は、複数のコンジュゲートを含み、「1個の細胞」への言及は、複数の細胞などを含む。
【0053】
数値範囲は、その範囲を規定する数の両端を含む。測定された測定可能な値は、有効桁およびその測定と関連する誤差を考慮して近似であると理解される。また、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含有する(contain)」、「含有する(contains)」、「含有する(containing)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含む(including)」の使用は、制限することを企図されない。前述の概要および詳細な説明は、共に、単に例示的および説明的であり、本発明の教示を制限しないと理解されるべきである。
【0054】
前述の明細書において具体的に記載されない限り、様々な構成成分を「含む(comprising)」ものとして列挙している本明細書の実施形態は、列挙された構成成分「からなる(consisting of)」または「から本質的になる(consisting essentially of)」ことも意図され、様々な構成成分「からなる(consisting of)」ものとして列挙している本明細書の実施形態は、列挙された構成成分を「含む(comprising)」またはそれ「から本質的になる(consisting essentially of)」ことも意図され、様々な構成成分「から本質的になる(consisting essentially of)」ものとして列挙している本明細書の実施形態は、列挙された構成成分「からなる(consisting of)」またはそれを「含む(comprising)」ことも意図される(この互換性は、特許請求の範囲におけるこれらの用語の使用には適用されない)。
【0055】
本明細書で使用されるセクションの見出しは、単に構成目的のものであり、いかなる方式でも望ましい主題を制限するものと解釈されるべきではない。参照により組み込まれる任意の文献が、本明細書において定義された任意の用語と矛盾する場合には、本明細書が優先する。本発明の教示は、様々な実施形態と共に記載されるが、本発明の教示をこのような実施形態に限定することは企図されない。それとは対照的に、本発明の教示は、当業者によって認識される通り、様々な代替形態、改変形態、および等価形態を包含する。
A.定義
【0056】
「変形性関節症疼痛」(または「OA疼痛」)は、哺乳動物の関節の変形性関節症(OA)によって引き起こされた疼痛を指す。罹患関節およびその関節を取り囲む組織から生じる疼痛は、哺乳動物によって知覚される。
【0057】
「罹患関節」は、変形性関節症を有する哺乳動物(ヒトまたは非ヒト哺乳動物)の骨関節を指し、軟骨が存在する体内の任意の骨関節を含むことができる。罹患関節の非限定的な例として、肩関節、脊椎、手の関節、足首を含む足の関節、および大きい体重がかかる関節、例えば膝もしくは股関節、または脊椎が挙げられる。
【0058】
本明細書で使用される場合、「大関節」は、ヒト(例えば、思春期ヒト、例えば10歳もしくはそれを超えるヒト、または成人ヒト、例えば18歳もしくはそれを超えるヒト)の膝、足首、肩、股関節または肘、および他の哺乳動物(例えば、25kgまたはそれを超える体重の哺乳動物)の相当する関節を指す。
【0059】
「関節内注射」(または「IA注射」もしくは「関節内投与」)は、本明細書で使用される場合、罹患関節、例えば大関節、例えば膝または肘への、水溶液中の化合物の注射である。例えば、ヒト成人の膝への関節内投与のための体積は、3~10mlの体積およびRTX5~50μgであり得る。小児ヒトまたは動物対象(例えばイヌまたはネコ)の膝は、体積がより小さく、各種の膝の相対的サイズに比例する。
【0060】
「周期的投与」または「周期的に投与される」は、本明細書で使用される場合、組成物の初期投与に続いて所定時間が設けられ、次に、それぞれおよそ同じ所定時間によって隔てられ得る1回または複数回のさらなる投与を含む、複数時点における投与を指す。所定時間は、例えば、約4時間~約24時間であり得る。
【0061】
用語「またはそれらの組合せ(or a combination thereof)」および「またはそれらの組合せ(or combinations thereof)」は、本明細書で使用される場合、その用語に先行して列挙される用語のありとあらゆる並び替えおよび組合せを指す。例えば、「A、B、C、またはそれらの組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC、またはABCの少なくとも1つを含むことが企図され、特定の文脈において順序が重要である場合には、BA、CA、CB、ACB、CBA、BCA、BAC、またはCABを含むことも企図される。この例に続いて、BB、AAA、AAB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどの1つまたは複数の項目または用語の反復を含有する組合せは、明らかに含まれる。当業者は、文脈から別段明らかでない限り、任意の組合せの項目または用語の数には典型的に制限がないことを理解されよう。
【0062】
「または」は、包含的な意味で使用され、すなわち文脈により別段必要とされない限り、「および/または」と等価である。
B.使用のための方法および組成物
【0063】
本明細書では、変形性関節症(OA)疼痛を処置するための方法であって、治療有効量のレシニフェラトキシン(RTX)を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法が提供される。また、OA疼痛を処置する方法における使用のための、レシニフェラトキシン(RTX)を含む組成物であって、方法が、治療有効量のRTXを、OA疼痛の処置を必要とする対象に投与するステップを含む、組成物が提供される。
【0064】
いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、本明細書で開示される通り関節内注射によって変形性関節症疼痛を処置するためのRTXの投与は、それぞれ様々なNSAID副作用(例えば、胃痛、胃潰瘍、出血の増大/凝血の低減等)およびオピオイド依存性のリスクを含む関連有害効果に関して欠点を有するステロイド注射、ならびに経口鎮痛薬、例えばNSAIDおよびオピオイドを含有する薬剤を上回る安全で有効な長期間の疼痛緩和を可能にするなどの利益を提供することができる。
1.対象
【0065】
本明細書に記載される組成物および方法は、RTXが有効であり、例えばTrpV1またはそのホモログに結合し、それを活性化することができ、変形性関節症疼痛のための処置を必要とする任意の対象に使用するためのものである。一部の実施形態では、対象は、哺乳動物である。一部の実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。一部の実施形態では、哺乳動物は、ネコである。一部の実施形態では、哺乳動物は、イヌである。一部の実施形態では、哺乳動物は、反芻動物である。一部の実施形態では、哺乳動物は、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、またはヤギである。
【0066】
一部の実施形態では、対象は、変形性関節症疼痛に罹患している。例えば、変形性関節症疼痛は、軟骨が存在する体内の任意の骨関節で生じ得る。罹患関節の非限定的な例として、肩関節、脊椎、手の関節、足首を含む足の関節、および大きい体重がかかる関節、例えば膝もしくは股関節、または脊椎が挙げられる。
【0067】
一部の実施形態では、対象は、処置の前に変形性関節症の1つまたは複数の症状を有しており、処置は、1つまたは複数の症状を低減または排除する。例えば、変形性関節症の症状には、こわばり感、関節腫脹、運動範囲の低下、ならびに背中が罹患している場合には腕および脚の脱力感またはしびれ感が含まれる。
2.投与部位
【0068】
一部の実施形態では、RTXは、関節内注射によって投与される。注射は、例えば、1ccシリンジであり得る投薬量体積に適したシリンジサイズを使用して実施され得る。
【0069】
RTXは、変形性関節症疼痛の原因となっている関節に応じて、1つまたは2つ以上の部位に関節内注射することによって投与され得る。一部の実施形態では、RTXは、単一部位に関節内注射することによって投与される。一部の実施形態では、RTXは、複数部位に関節内注射することによって投与される。
【0070】
一部の実施形態では、RTXは、膝関節に投与される。一部の実施形態では、RTXは、股関節に投与される。一部の実施形態では、RTXは、手関節に投与される。一部の実施形態では、RTXは、肩関節に投与される。一部の実施形態では、RTXは、足首関節に投与される。一部の実施形態では、RTXは、足関節に投与される。一部の実施形態では、RTXは、肘関節に投与される。一部の実施形態では、RTXは、手首関節に投与される。一部の実施形態では、RTXは、仙腸関節に投与される。一部の実施形態では、RTXは、脊椎関節に投与される。
3.投薬量
【0071】
一部の実施形態では、RTXは、0.1~100μgの用量で投与される。一部の実施形態では、RTXの用量は、0.1~0.5μg、0.5~1μg、1~2μg、2~5μg、5~10μg、10~20μg、20~30μg、30~40μg、40~50μg、50~60μg、60~70μg、70~80μg、80~90μg、または90~100μgの範囲である。
【0072】
投薬量および体積は、罹患関節への投与部位の近接、および関節のサイズに応じて調整することができる。特に、RTXは、TRPV1受容体に特異的であり、したがって、RTXに対して感受性を示すのに十分なTRPV1受容体を有していない運動ニューロンなどの非標的神経には、影響を及ぼさない。
【0073】
投薬量および体積は、罹患関節のサイズに応じて調整することができる。成人ヒトの大関節では、より高い用量および体積を使用することができる。
【0074】
先の用量は、個々の対象の関節およびサイズに応じて、2.5~15mlの体積で関節内に投与される。一部の実施形態では、RTXは、2.5~15ml中5μgで投与される。一部の実施形態では、RTXは、2.5~15ml中12.5μgで投与される。一部の実施形態では、RTXは、2.5~15ml中20μgで投与される。一部の実施形態では、RTXは、2.5ml中12.5μgで投与される。一部の実施形態では、RTXは、5ml中12.5μgで投与される。一部の実施形態では、RTXは、10ml中12.5μgで投与される。一部の実施形態では、RTXは、15ml中12.5μgで投与される。一部の実施形態では、RTXは、2.5ml中20μgで投与される。一部の実施形態では、RTXは、5ml中20μgで投与される。一部の実施形態では、RTXは、10ml中20μgで投与される。一部の実施形態では、RTXは、15ml中20μgで投与される。
【0075】
RTXの関節内注射の濃度は、投与されるべきRTXの選択された用量を達成するように、RTXの用量、および注射されるべき体積に従って調整される。一部の実施形態では、RTXの用量は、約1μg/ml~約100μg/mlである。一部の実施形態では、RTXの用量は、約5μg/ml~約40μg/mlである。一部の実施形態では、RTXの用量は、約20μg/mlである。
【0076】
一部の実施形態では、RTXは、一度の単回投与として投与され得る。一部の実施形態では、RTXは、周期的に投与される。一部の実施形態では、RTXは、疼痛の重症度を低減し、かつ/または疼痛を軽減する必要に応じて、変形性関節症疼痛の処置を必要とする対象に、罹患関節への関節内注射によって周期的に投与される。一部の実施形態では、RTXは、1日1回(例えば、約24時間ごとに)投与される。一部の実施形態では、RTXは、1年当たり1~12回、1カ月当たり1~3回、または1週間当たり1~2回投与される。周期的投与のための具体的な期間は、疼痛を軽減もしくは実質的に緩和し、かつ/または疼痛を軽減し、緩和を維持するのに必要な限り長い期間になることが企図される。一部の実施形態では、周期的投与期間は、約1週間~約12カ月もしくはそれよりも長く、1週間~約6カ月、約1カ月~4カ月、約1カ月~2カ月、約2~3カ月、または約3~4カ月(例えば、約2カ月、または約3カ月)である。一部の実施形態では、周期的投与期間は、少なくとも2週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、または少なくとも6カ月である。
4.製剤
【0077】
RTXの製剤の複数の例が、文献で入手可能である。例えば、Ueda et al. (2008) J. of Cardiovasc. Pharmacol. 51:513-520および米国特許出願公開第2015/0190509A1号を参照されたい。非経口投与(例えば、注射)のためのRTXの任意の適切な製剤が使用され得る。
【0078】
一部の実施形態では、先に論じた投薬量で存在し得るRTXは、薬学的に許容される担体と共に投与される。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、水を含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、ポリソルベート(登録商標)80を含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、ポリエチレングリコールを含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、糖または糖アルコールを含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、マンニトールを含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、デキストロースを含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、薬学的に許容される緩衝液を含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、リン酸緩衝液を含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、NaClを含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、例えば、RTXを主に水性の組成物で希釈する前に溶解する助剤として使用される少数または残留構成成分として、エタノールまたはDMSOなどの有機溶媒を含む。他の実施形態では、RTXは、前述の薬学的に許容される担体のいずれかを含み得る2つまたはそれよりも多い薬学的に許容される担体の組合せを含む製剤に調製される。
【0079】
製剤におけるRTXの濃度は、企図された用量の送達に適した任意の値であり得る。一部の実施形態では、製剤におけるRTXの濃度は、0.1~300μg/mlの範囲である。一部の実施形態では、医薬製剤におけるRTXの濃度は、0.1~1μg/ml、1~5μg/ml、5~10μg/ml、10~20μg/ml、10~30μg/ml、20~30μg/ml、20~50μg/ml、50~100μg/ml、100~150μg/ml、150~200μg/ml、200~250μg/ml、または250~300μg/mlの範囲である。一部の実施形態では、医薬製剤におけるRTXの濃度は、150~250μg/mlの範囲、または200μg/mlである。
【0080】
製剤は、関節内投与に適した任意のpHを有することができる。一部の実施形態では、RTXおよび薬学的に許容される担体を含む医薬製剤は、6~7.6の範囲のpHを有する。一部の実施形態では、RTXおよび薬学的に許容される担体を含む医薬製剤は、6~6.4、6.3~6.7、6.4~6.8、6.8~7.2、7~7.4、または7.2~7.6の範囲のpHを有する。一部の実施形態では、RTXおよび薬学的に許容される担体を含む医薬製剤は、6.5または7.2のpHを有する。
【0081】
一部の実施形態では、製剤は、ポリソルベート(登録商標)80およびデキストロースを含む。一部の実施形態では、ポリソルベート(登録商標)80の濃度は、2~4%w/vであり、および/またはデキストロースの濃度は、4~6%w/vである。一部の実施形態では、ポリソルベート(登録商標)80の濃度は、3%w/vであり、および/またはデキストロースの濃度は、5%w/vである。一部の実施形態では、前述の製剤のいずれかにおいて、RTXの濃度は、10~30μg/ml、例えば10μg/mlまたは25μg/mlであり得る。一部の実施形態では、製剤はさらに、例えば表1のリン酸緩衝液について示される濃度およびpHのリン酸緩衝液を含む。一部の実施形態では、製剤はさらに、例えば表1のNaClについて示される濃度のNaClを含む。リン酸緩衝液およびNaClは、共に存在する場合には、個々の製剤について示される濃度およびリン酸緩衝液のpHの組合せで存在し得る(ただし必ずしも存在するとは限らない)。
【0082】
RTXの例示的な製剤は、以下の表に示される。
【0083】
【表1】
【0084】
一部の実施形態では、表1に示される製剤におけるRTXの濃度は、本明細書で開示されるRTX濃度または濃度範囲のいずれかに調整される。例えば、一部の実施形態では、表1に示される製剤におけるRTXの濃度は、10~50μg/mlの範囲の値に調整される。別の例として、一部の実施形態では、表1に示される製剤におけるRTXの濃度は、10~30μg/mlの範囲の値に調整される。別の例として、一部の実施形態では、表1に示される製剤におけるRTXの濃度は、20~30μg/mlの範囲の値に調整される。別の例として、一部の実施形態では、表1に示される製剤におけるRTXの濃度は、25μg/mlに調整される。
【0085】
表1の製剤は、以下の例示的な方法(製剤3および5のために提供されるが、その他の製剤にも、当業者によって適合され得る)に従って調製され得る。製剤3は、pH7.2の30mMリン酸緩衝液を調製することによって作成され得る。次に、1.43%w/vポリソルベート(登録商標)80および0.86%w/vNaClを混合して、水性構成成分を形成する。20mgのRTXを、定容フラスコ中、水性構成成分100mLに添加する。次に、30mLのPEG300を添加し、溶液を超音波処理して、固体を溶解させる。水性構成成分を、約80%体積まで添加し、次にそれを超音波処理して混合する。RTXは時として、最初に水溶液およびPEGの界面に沈殿するが、超音波処理時に溶液に戻ることに留意すべきである。フラスコ中の全混合物を、水性構成成分で希釈して体積を合わせ、これを反転プロセスによって混合する。全製剤を、0.2μmポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターを介して濾過する。
【0086】
製剤5は、pH7.2の30mMリン酸緩衝液を調製することによって作成され得る。次に、3.0%w/vポリソルベート(登録商標)80、0.8%w/vデキストロース、および0.54%w/vNaClを一緒に混合して、水性構成成分を形成する。20mgのRTXを、定容フラスコ中、水性構成成分100mLに添加する。水性構成成分を、約80%体積まで添加し、次にそれを超音波処理して、すべての固体を溶解させる。(あるいは、RTXを、最初に少量のエタノールまたはDMSOに完全に溶解させることができ、次にこの溶液を水性構成成分に添加することができる)。フラスコ中の全混合物を、水性構成成分で希釈して体積を合わせ、これを反転プロセスによって混合する。全製剤を、0.2μmPTFEフィルターを介して濾過する。
【0087】
製剤11による製剤を、200μgのRTX、20mgのポリソルベート(登録商標)80(商業的に入手可能なポリソルベート(登録商標)80を使用する)、5.4mgの塩化ナトリウム、50mgのデキストロース、および30mM水性リン酸緩衝液、1mLまでの水(WFI)を使用して調製する。
【0088】
一部の実施形態では、医薬製剤は、単位剤形である。このような形態では、調製物は、適切な量の活性構成成分を含有する単位用量に分割される。単位剤形は、パッケージされた調製物であってもよく、そのパッケージは、バイアル、アンプルまたは予め充填されたシリンジなどに別個の量の製剤を含有する。また、単位剤形は、例えば、復元のための溶液または凍結乾燥させた組成物であってもよい。
【0089】
製剤および投与のための技術に関するさらなる詳細は、Gennaro, A., Ed., Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. (1990) (Mack Publishing Co., Easton, Pa.)に見出され得る。
【実施例
【0090】
V.実施例
(実施例1)
方法
「第1b相二重盲検研究により、膝の中程度から重度の変形性関節症に起因する疼痛の処置に関するレシニフェラトキシン対プラセボの関節内投与の安全性および予備的有効性をアセスメントする」と記載された研究を実施した。
【0091】
ACR診断基準およびX線イメージングに基づいて診断された中程度から重度の変形性関節症を有する対象が、膝の変形性関節症に起因する中程度から重度の疼痛の処置に関するレシニフェラトキシンまたはプラセボの関節内投与の安全性、認容性および予備的有効性をアセスメントするための第1b相二重盲検研究に登録された。患者は、以下の基準を満たしていた。(1)登録前の4週間の間に、膝指数のベースライン疼痛スコア(WOMAC疼痛サブスケールの質問A1)が≧5、ただし≦9であること、(2)登録前の8~10日間の間に平均NPRSスコアが≧5、ただし≦9であること、および(3)疼痛が、登録前に少なくとも6カ月間継続していたこと。
【0092】
2019年8月時点で、予定されたすべての用量レベルのコホートの登録が完了した。患者40人が、これらの用量漸増コホートに登録し、30人がRTXを受け、10人がプラセボを受けた(多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照)。各コホートにおいて、6人の患者が関節内RTXを受け、2人が生理食塩水対照を受けた(プラセボアーム)。患者の人口統計情報は、表2に示される。69%が女性であり、31%が男性である。年齢中央値は、62歳(44~83歳の範囲)であり、ベースラインNPRS A1スコアは、平均6.5であった(S.D.1.5)。
【0093】
患者は、用量漸増コホートにおいて、5mLまたは10mL中5μg、12.5μg、20μgおよび30μgの漸増用量レベルコホートで一度の関節内用量のレシニフェラトキシン(RTX)または生理食塩水のプラセボで処置された。患者8人のコホートごとに、第1の患者が指標(sentinel)患者とみなされ、オープンラベル薬を受けた。指標患者における安全性を確認したら、コホートの残りの7人の患者が、盲検方式で登録され、患者2人がプラセボを受け、患者5人がRTXを受けた。各用量レベルにおける安全性を確認した後、次に高い用量レベルを、登録のためにオープンした。患者は、安全性および有効性について12週間にわたって追跡調査を受けた。患者には、52週までさらなる追跡調査を受ける選択肢があった。患者によるWOMAC疼痛スコアおよびNPRS疼痛スコアの報告を使用して、有効性をアセスメントした。プロトコールの通りに、処置の割当ては12週目に盲検で行うことができた。
【0094】
【表2】

(実施例2)
【0095】
この実施例は、実施例1に記載される通り、RTXの用量漸増を用いて進行中の臨床試験からの結果を提供する。
【0096】
研究の初期結果では、(1)試験された最低用量において、急速な疼痛緩和の開始(注射の翌日)および持続的な臨床的利益(84日目に決定された)があったこと、(2)84日目の歩行時の疼痛(10ポイントのWOMAC(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index、(西オンタリオ大学およびマクマスター大学変形性関節症指数))スケール)が、対照に対して4.7ポイント低下したこと、ならびに(3)いずれの用量群についても、用量制限毒性(DLT)も目的の有害事象も認められなかったことが見出された。
【0097】
結果は、表3にまとめられている。
【表3】
【0098】
現在まで、いかなる用量群でも、用量制限毒性は観察されておらず(表3を参照)、活性薬で処置された患者の大部分では、疼痛の低減においてプラスの臨床的利益が報告された。
【0099】
最低用量コホートの対象は、膝関節への単回注射(RTX5μgを用いる)で処置され、コホートは、プロトコールごとに認可された通り、12週間の観察の後は非盲検であった。RTX処置を受けた患者は、84日目に対照よりも4.7ポイント低い平均疼痛スコアを有していた(10ポイントのWOMAC疼痛スケールで)(図1参照)。疼痛低減の開始は、早くも薬物投与翌日に生じ、経時的に持続した。また、すべての用量群の患者が、急速で持続可能な改善を示している。したがって、これらのデータは、RTXの安全性および有効用量を決定することができる。
【0100】
用量漸増コホート(N=40)から得られた結果を、さらに分析した。
【0101】
用量制限毒性は報告されず、最大耐用量は特定されなかった(すなわち、投与された最高用量30μgは、耐容性を示した)。最も頻繁に報告された、処置により発現した有害事象は、手順関連疼痛(手順後疼痛および注射部位疼痛)であり、これはプラセボ患者の62%(プールされた)において、RTX患者の100%において報告された。この手順関連疼痛は、すべてのプラセボ患者において軽度の重症度と報告され、RTX処置を受けた患者において、疼痛は、55%で軽度と報告され、45%で中程度と報告された。RTX処置を受けた患者における手順関連疼痛は、典型的には、RTX注射後2~3時間継続し、フェンタニルおよび他の鎮痛薬を用いて管理した。報告頻度がより低かった他の有害事象(少なくとも対象2人で報告された)は、悪心、嘔吐、高血圧、関節痛、および頭痛であった。すべての患者が、注射当日に帰宅することができた。有害事象と用量との間に明らかな関係はなかった。腓骨および脛骨の骨折の1つのSAEは、無関係とみなされた。
【0102】
利用可能な非盲検データに基づく有効性に関して、患者によって報告されたWOMAC A1およびNPRS疼痛スコアの低減が、すべての用量レベルで観察された。この分析時に非盲検であったプールされたプラセボ患者とRTX処置を受けた患者(プラセボ9人、RTX28人)との間の、12週目のWOMACの質問A1(平坦表面上を歩行する際の疼痛)の平均疼痛スコアの差は、プラセボに対するベースラインからの変化の最小二乗平均差として表され、用量レベルコホートに応じて-0.38~-2.70ポイントの範囲であった。ベースラインから12週目までの週平均NPRS疼痛スコアの変化として分析すると、プールされたプラセボ患者とRTX処置を受けた患者との間の差は、用量レベルコホートに応じて-0.34~-2.29の範囲であった。ベースライン疼痛と比較して、疼痛の>70%の低減が、WOMAC A1スコアに基づくと、プールされたRTX処置を受けた患者の54%において、NPRSスコアに基づくと患者の41%において達成された。混合モデル反復測定(MMRM)分析によって、最大の疼痛低減は、12.5μgの用量で観察された(12週目の最小二乗平均差対プラセボは、NPRSスコアで-2.29(p=0.051、N=6)、WOMAC A1スコアで-2.70(p=0.029、N=6)、WOMAC A~C疼痛指数で-14.20であった(p=0.016、N=6))。
【0103】
したがって、レシニフェラトキシンは、一度の関節内注射として与えられた場合、予定された30μgの最高用量まで安全性および予備的有効性を示した。
【0104】
すべてのコホートからの結果を、さらに分析した。用量漸増コホートに加えて、異なる体積におけるコホート1つおよび用量拡大コホート4つ(手順による疼痛を制御するために2つの鎮痛薬投与を試験した)が含まれていた。
【0105】
用量制限毒性は報告されず、最大耐用量は特定されなかった。最も頻繁に報告された、処置により発現した有害事象は、手順関連疼痛(手順後疼痛および注射部位疼痛)であり、これはプラセボ患者の70%(プールされた)において、RTX患者の91%において報告された。この手順関連疼痛は、すべてのプラセボ患者において軽度の重症度と報告され、RTX処置を受けた患者において、疼痛は、65%で軽度と報告され、26%で中程度と報告された。RTX処置を受けた患者における手順関連疼痛は、典型的には、RTX注射後2~3時間継続し、フェンタニルおよび他の鎮痛薬を用いて管理した。報告頻度がより低かった他の有害事象(少なくとも対象2人で報告された)は、表4に詳細に示される通り、悪心、嘔吐、高血圧、関節痛、知覚鈍麻(hypoaesthesia)、反射消失、EOG QTc延長、および頭痛であった。すべての患者が、注射当日に帰宅することができた。有害事象と用量との間に明らかな関係はなかった。腓骨および脛骨の骨折の1つのSAEは、無関係とみなされた。
【0106】
表4は、RTX処置を受けた対象における処置により発現した有害事象の頻度を示す。
【表4】
【0107】
有効性に関して、患者によって報告されたWOMAC A1およびNPRS疼痛スコアの低減が、すべての用量レベルで観察された。
【0108】
図2に示される通り、ベースラインから12週目までの週平均NPRS疼痛スコアの変化として分析すると、用量/体積12.5μg/5mlを用いるRTX処置を受けたコホート4の患者における平均変化(標準偏差)は、プールされたプラセボ患者の-2.14の平均変化(1.92)と比較して、-5.30(1.94)であった。図3に示される通り、ベースラインから12週目までの週平均WOMACの質問A1(平坦表面上を歩行する際の疼痛)の変化として分析すると、RTX処置を受けたコホート4の患者における平均変化(標準偏差)は、プールされたプラセボ患者の-2.33の平均変化(2.88)と比較して、-5.67(1.51)であった。
【0109】
以下の表5にまとめられる通り、薬物動態データは、RTXがほとんどの患者において検出不可能であることを示す。
【表5】
図1
図2
図3