(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】チュービングマーカー
(51)【国際特許分類】
A61M 5/14 20060101AFI20240731BHJP
A61M 39/12 20060101ALI20240731BHJP
F16L 11/12 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
A61M5/14 500
A61M39/12
F16L11/12 J
(21)【出願番号】P 2021545416
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(86)【国際出願番号】 US2019068810
(87)【国際公開番号】W WO2020163024
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-12-05
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スウィトー、ワンテュイナリョ
(72)【発明者】
【氏名】ジェドルゼジュースキー、クリストファー カジミエルツ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、アーロン エン - ユー
(72)【発明者】
【氏名】クリステンセン、コーリー マーク
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-530191(JP,A)
【文献】特開平10-332068(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0056130(US,A1)
【文献】特開2002-213654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/14
A61M 39/12
F16L 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液構成要素と、
前記輸液構成要素に結合されたチューブであって、
流体流路を画定する本体と、
第1のチューブ端部と、
第2のチューブ端部と、
前記第1のチューブ端部の近くに配置されたチューブマーカーであって、前記チューブマーカーの前縁と前記第1のチューブ端部の最外面との間の距離が、前記輸液構成要素の流体ポートの外縁とハードストップとの間の距離と略等しくなるように位置する、チューブマーカーと、
前記輸血構成要素の前記流体ポート
内に配置される
接合ポケットであって、接着剤と溶剤の一つを含む
接合ポケットと
を備える、チューブと
を備え
、
前記チューブマーカーは、チューブスリーブを備え、
前記チューブスリーブは、前記流体ポートの一部分の内側に嵌合するように構成されたテーパー状の挿入部分を備え、前記テーパー状の挿入部分が、前記接合ポケット内に過剰な接着剤又は溶剤を移動させるように構成される、輸液セット組立体。
【請求項2】
前記チューブマーカーは、パッド印刷インクを
更に備える、請求項1に記載の輸液セット組立体。
【請求項3】
前記チューブマーカーは、レーザーエッチングを
更に備える、請求項1に記載の輸液セット組立体。
【請求項4】
前記チューブスリーブは、前記輸液構成要素の剛性から前記チューブの低い剛性への応力緩和移行部として構成される、請求項
1に記載の輸液セット組立体。
【請求項5】
前記第1のチューブ端部は、前記輸液構成要素の流体出口ポートに挿入される流体導入端部、及び、前記輸液構成要素の流体入口ポートに挿入される流体排出端部のうちの1つである、請求項1に記載の輸液セット組立体。
【請求項6】
前記チューブマーカーは、少なくとも1つの円筒状の帯体を
更に備える、請求項1に記載の輸液セット組立体。
【請求項7】
第2の輸液構成要素と、
前記第2のチューブ端部の近くに配置された第2のチューブマーカーであって、前記第2のチューブマーカーの前縁と前記第2のチューブ端部の最外面との間の距離が、前記第2の輸液構成要素の流体ポートの外縁とハードストップとの間の距離と略等しくなるように位置する、第2のチューブマーカーと
を更に備える、請求項1に記載の輸液セット組立体。
【請求項8】
前記第1のチューブ端部は、前記第1の輸液構成要素の流体出口ポートに挿入されるように構成された流体導入端部であり、前記第2のチューブ端部は、前記第2の輸液構成要素の流体入口ポートに挿入されるように構成された流体排出端部である、請求項
7に記載の輸液セット組立体。
【請求項9】
前記第1のチューブ端部は、前記第1の輸液構成要素の流体入口ポートに挿入されるように構成された流体排出端部であり、前記第2のチューブ端部は、前記第2の輸液構成要素の流体出口ポートに挿入されるように構成された流体導入端部である、請求項
7に記載の輸液セット組立体。
【請求項10】
請求項1に記載の輸液セット組立体を製造する方法であって、
流体ポートを有する輸液構成要素を提供するステップと、
チューブの第1のチューブ端部の近くに
テーパー状の挿入部分を有するチューブスリーブを前記チューブに連結することによってチューブマーカーを配置するステップであって、前記チューブは、流体流路、前記第1のチューブ端部、及び第2のチューブ端部を画定する、チューブマーカーを配置するステップと、
前記チューブマーカーの前縁と前記第1のチューブ端部の最外面との間の距離が、前記輸液構成要素の前記流体ポートの外縁とハードストップとの間の距離と略等しくなるように前記チューブマーカーを位置するステップと、
前記輸液構成要素の
前記流体ポート内の接合ポケットに接着剤又は溶剤を適用するステップと、
前記第1のチューブ端部を前記輸血構成要素の前記流体ポートに連結するステップと
、
前記チューブスリーブの前記テーパー状の挿入部分によって、前記接合ポケット内の過剰な接着剤又は溶剤を移動させるステップと
を有する、方法。
【請求項11】
前記チューブの前記第1のチューブ端部の近くに前記チューブマーカーを配置するステップは、前記チューブマーカーをパッド印刷インクにプリントするステップを
更に含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記チューブの前記第1のチューブ端部の近くに前記チューブマーカーを配置するステップは、前記チューブマーカーをレーザーにエッチングするステップを
更に含む、請求項
10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年2月4日に出願された米国特許出願第16/266,877号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
輸液セットは、複数の半透明の重合体のチュービングセグメントを、半透明又は不透明のいずれかである複数の重合体の構成要素に連結することによって構築される。連結は、典型的には、一方又は両方の接触面に溶剤又は接着剤の薄い層を塗布し、それから2つの面が合わせられることによって形成される。チュービングの接触面は、一方の端部からある一定の長さまでの、内径、外径、又は両方の径のいずれかにあり得る。溶剤/接着剤は、内部、外部、又は両方のいずれかに塗布される。所与の径に対する接合面積又は接合長さは重要なパラメータであり、制御されなければ、輸液セットの漏れ又は容易な分離を引き起こし得る。接合パラメータは、設計上の欠陥、組立プロセスの欠陥、及びプロセスのドリフトによって大きく変動し得る。
【0003】
この重要な接合長さの検査は、溶剤/接着剤で湿潤された領域を接触面に沿って目視検査することによって行われ得る。別の方法は、構成要素内のチュービング端部とハードストップとの間の隙間を検査することである。どちらも、半透明の構成要素を通した検査が必要である。しかしながら、構成要素が波状である、テクスチャー付けされている、又は不透明である場合、目視検査は実行が困難であるか、全く実行することができない。構成要素の半透明性に関わらず、漏れ、分離、及び、輸液セットの全長のばらつきを最小限にするために、全ての輸液セットの構築に対し、信頼できる目視検査を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、輸液チューブと輸液セット構成要素との間の嵌合に関する外面的な視覚的指標を提供するための、輸液セットで使用されるチュービングのためのチューブマーカーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つ又は複数の実施例では、輸液セットで使用するためのチューブが提供される。チューブは、流体流路を画定する本体と、第1のチューブ端部と、第2のチューブ端部とを含む。チューブマーカーが、第1のチューブ端部の近くに配置される。チューブマーカーは、チューブマーカーの前縁と第1のチューブ端部の最外面との間の距離が、輸液セット構成要素の流体ポートの最外面と流体ポートのハードストップとの間の距離と略等しくなるように位置する。
【0006】
1つ又は複数の態様では、第1のチューブ端部は、輸液セット構成要素の流体出口ポートに挿入されるように構成された流体導入端部である。1つ又は複数の態様では、第1のチューブ端部は、輸液セット構成要素の流体入口ポートに挿入されるように構成された流体排出端部である。1つ又は複数の態様では、チューブマーカーは、1つ又は複数の円筒状の帯体を含む。1つ又は複数の態様では、チューブマーカーは、パッド印刷インク、レーザーエッチング、又はチューブスリーブである。1つ又は複数の態様では、チューブスリーブは、流体ポートの一部分の内側に嵌合するように構成されたテーパー状の挿入部分を含む。1つ又は複数の態様では、テーパー状の挿入部分は、過剰な溶剤を移動させるように構成される。1つ又は複数の態様では、チューブスリーブは、輸液セット構成要素の剛性からチューブの低い剛性への応力緩和移行部(stress relief transition)として構成される。
【0007】
1つ又は複数の態様では、チューブは、第2のチューブ端部の近くに配置された第2のチューブマーカーを含み、第2のチューブマーカーは、第2のチューブマーカーの前縁と第2のチューブ端部の最外面との間の距離が、第2の輸液セット構成要素の流体ポートの最外面と第2の輸液セット構成要素の流体ポートのハードストップとの間の距離と略等しくなるように位置する。1つ又は複数の態様では、第1のチューブ端部は、第1の輸液セット構成要素の流体出口ポートに挿入されるように構成された流体導入端部であり、第2のチューブ端部は、第2の輸液セット構成要素の流体入口ポートに挿入されるように構成された流体排出端部である。1つ又は複数の態様では、第1のチューブ端部は、第1の輸液セット構成要素の流体入口ポートに挿入されるように構成された流体排出端部であり、第2のチューブ端部は、第2の輸液セット構成要素の流体出口ポートに挿入されるように構成された流体導入端部である。
【0008】
1つ又は複数の実施例では、輸液セット組立体が提供される。輸液セット組立体は、輸液構成要素と、輸液構成要素に結合されたチューブとを含む。チューブは、流体流路を画定する本体と、第1のチューブ端部と、第2のチューブ端部と、チューブマーカーとを含む。チューブマーカーは、チューブマーカーの前縁と第1のチューブ端部の最外面との間の距離が、輸液構成要素の流体ポートの外縁とハードストップとの間の距離と略等しくなるように、第1のチューブ端部の近くに位置する。
【0009】
1つ又は複数の態様では、チューブマーカーは、パッド印刷インク、レーザーエッチング、及びチューブスリーブのうちの1つを含む。1つ又は複数の態様では、チューブスリーブは、流体ポートの一部分の内側に嵌合するように構成されたテーパー状の挿入部分であって、チューブと流体ポートとの間に形成された接合ポケットの体積の一部分を置換するように構成されたテーパー状の挿入部分と、止まり部分であって、流体ポートの内側への止まり部分の挿入を防止するように構成された止まり部分とを含む。1つ又は複数の態様では、第1のチューブ端部は、輸液構成要素の流体出口ポートに挿入される流体導入端部、及び、輸液構成要素の流体入口ポートに挿入される流体排出端部のうちの1つである。1つ又は複数の態様では、チューブマーカーは、少なくとも1つの円筒状の帯体を含む。1つ又は複数の態様では、輸液セット組立体は、第2の輸液構成要素と、第2のチューブ端部の近くに配置された第2のチューブマーカーとを含む。第2のチューブマーカーは、第2のチューブマーカーの前縁と第2のチューブ端部の最外面との間の距離が、第2の輸液構成要素の流体ポートの外縁とハードストップとの間の距離と略等しくなるように位置する。
【0010】
本開示の追加の特徴及び有利性は、以下の説明に記載され、部分的に説明から明らかとなるか、又は、本開示を実行することによって知り得る。本開示の目的及び他の有利性は、記述、特許請求の範囲、及び添付の図面に詳細に示された構造によって実現され、達成される。
【0011】
前述の概略的な説明及び以下の詳細な説明の両方は、例示的且つ説明的であり、特許請求された本開示の更なる説明を提供することが意図されていると理解されたい。
【0012】
本開示の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本開示の実施例を例証し、説明と共に本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】組み立てられた典型的な輸液セットの概略図である。
【
図2】組立前の典型的な輸液セット構成要素及びチュービングの概略図である。
【
図4】組立後の
図2の輸液セット構成要素及びチュービングの概略図である。
【
図5】
図4の輸液セット構成要素及びチュービングの断面図である。
【
図6】組み立てられた輸液セット構成要素及びマーカーを有するチュービングの、1つ又は複数の実施例の概略図である。
【
図8】マーカーを有するチュービングセグメントの1つ又は複数の実施例の概略図である。
【
図9】チュービングセグメントと連結された典型的な輸液セット構成要素の断面図である。
【
図10】スリーブを有するチュービングセグメントの1つ又は複数の実施例の概略図である。
【
図11】
図10のチュービングセグメントと連結された輸液セット構成要素の1つ又は複数の実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に記載される詳細な説明は、本発明の主題の技術の様々な構成を記載するものであり、本発明の主題の技術が実施され得る唯一の構成を表すことを意図するものではない。詳細な説明には、本発明の主題の技術の完全な理解を提供することを目的とした特定の詳細が含まれる。従って、寸法は、非限定的な実例として特定の態様に関して与えられる。しかしながら、当業者には、本発明の主題の技術が、これらの特定の詳細なしに実施され得ることが明らかであろう。いくつかの事例では、本発明の主題の技術の概念を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造及び構成要素がブロック図の形式で示される。
【0015】
本開示は本発明の主題の技術の実例を含むものであり、添付の特許請求の範囲を限定するものではないことを理解されたい。ここで、本発明の主題の技術の様々な態様を、特定的であるが非限定的な実例に従って開示する。本開示に記載された様々な実施例は、異なる方法及び変形形態で、並びに、所望の用途又は実装形態に従って実行され得る。
【0016】
輸液セットは、輸液構成要素及びチュービングの任意の組み合わせから形成され得る。典型的には、輸液構成要素及びチュービングは、一度使用されると廃棄される使い捨て製品である。輸液構成要素及びチュービングは、任意の適する材料(例えば、プラスチック、シリコーン、ゴム)から形成され得る。輸液セットを製造する上での重要な点は、所望の流体の流れを備えた確実な及び/又は漏れのない連結を得るために、チュービングと輸液構成要素とを一貫して連結することである。連結は、チュービングの内径又は外径のいずれかに形成され得る。場合によっては、連結は、連結強度を強めるためにチュービングの内径及び外径を構成要素に接合することによって、両方に形成され得る。
【0017】
従来技術によるアプローチは、輸液構成要素を半透明にすることで部分的な解決策を提供する。しかしながら、テクスチャー付けされた把持面など、外面が滑らかではない場合、又は、追加の材料層が存在する場合は、半透明の本体を通した検査でも困難であり得る。場合によっては、輸液構成要素は不透明にされ、流体の流れの方向を示すために異なる色が付けられる(例えば、逆止弁)。不透明の素材を通して確認することは困難か、不可能であるため、別の従来技術によるアプローチでは、典型的には、チュービングの内径で連結させる。この場合、連結箇所では開口部がチュービングの内径よりも小さくなるため、流体の流れを制限する。加えて、チュービングの内側に溶剤/接着剤を塗布すると、チューブを挿入して連結を形成する際に溶剤/接着剤が押し込まれるため、閉塞する傾向が高くなる。
【0018】
図1に示されるように、典型的な輸液セット30は、点滴チャンバ40と、逆止弁50と、ローラクランプ60と、Y字管70とを含むことができ、全てがチュービング20によって共に接続される。典型的な輸液セット30は、追加的な輸液構成要素を含むことができ、構成要素及びチュービング20の任意の組み合わせから形成され得る。
【0019】
図2に示されるように、典型的なY字管70は、入口ポート72、74と、出口ポート76とを有し、各入口ポート72、74は入口チューブ22、24に接続され、出口ポート76は出口チューブ26に接続される。
図3に示されるように、入口ポート72は、入口チューブ22が入口ポート72に挿入される、内部連結77を有する。同様に、出口ポート76は、出口チューブ26が出口ポート76に挿入される、内部連結78を有する。対照的に、入口ポート74は、入口チューブ24が入口ポート74上を滑動して被さる、外部連結79を有する。
【0020】
図4及び5は、組立後のY字管70及び入口/出口チューブ22、24、26を示す。入口チューブ22と入口ポート72との連結が不完全であると、入口チューブ22の端面22aと入口ポート72の係合面72aとの間に隙間71が残る。同様に、出口チューブ26と出口ポート76との連結が不完全であると、出口チューブ26の端面26aと出口ポート76の係合面76aとの間に隙間73が残る。更に、入口チューブ24と入口ポート74との連結が不完全であると、入口チューブ24の端面24aと入口ポート74の係合面74aとの間に隙間75が残る。上述したように、隙間71、73、75は、漏れ、又は、入口/出口チューブ22、24、26がY字管70から分離することのいずれかにより、それぞれの内部/外部連結77、78、79が機能しなくなる恐れを高める。
【0021】
良好なコントラストを有するはっきりとした縁に対する、遮るものがない目視検査は、良好な反復性及び再現性(R&R)の役に立つ。自動化されたコンピュータビジョン検査には、このことが良く当てはまる。接合された連結面積/長さの場合など、重要なパラメータの測定には、許容可能なゲージR&Rが要求される。この重要なパラメータは、今のところ、構成要素内のチュービング端部と挿入ハードストップとの間の隙間を測定することによって測定される。この方法は、場合によっては実行が困難であり、不可能な場合もあることがわかっている。
【0022】
高いコントラストの帯状マーカーをチュービングに沿って追加することで、良好な距離測定を行うために必要な要素が提供される。輸液構成要素は、典型的には、優れた寸法精度で射出成形される。ハードストップと外縁との間の距離は、一般的には図面から推測され得る。従って、帯状マーカーとこの外縁との間の距離は、接合長さを推測するために使用され得る。
【0023】
良好なコントラストのマーカーが作製される限り、マーカーの帯体又はマーカーは、パッド印刷法、レーザーマーキング、又は任意の他の適する方法で作製され得る。マーカーは、高コントラストの途切れのない帯体とすることができる。帯体は、チュービングの外径における2つ以上の断片的な斑点でもよい。形状は、帯状であるか、又は、裸眼若しくはコンピュータビジョンで容易に確認し分析することができ、流体の流れの検査を妨害しない任意の他の適する形状とすることができる。半透明のチュービングへのマーカー及びその他の追加は、チュービングの表面積全体の40%以下とすることができる。
【0024】
図6及び7に示されるように、Y字連結具70は、入口チューブ122、124、及び出口チューブ126と共に連結され得る。入口チューブ122は、入口チューブ122の特定の位置に配置されたチューブマーカー123を含む。従って、チューブマーク123の前縁123aが、入口ポート122の上面72bと整列する(例えば接する)とき、内部連結77内の入口チューブ122の端面122aと入口ポート72の係合面72aとの間には隙間がない。別の実例として、入口チューブ122の端面122aと入口ポート72の係合面72aとの間に隙間71がある場合、チューブマーク123の前縁123aと入口ポート72の上面72bとの間の距離x
1は、隙間71の距離y
1と一致する又は略等しい。
【0025】
同様に、出口チューブ126及び出口ポート76によって形成された内部連結78については、出口チューブ126は、出口チューブ126の特定の位置に配置されたチューブマーカー123を含む。この場合は、チューブマーク123の前縁123aが、出口ポート76の底面76bと整列する(例えば接する)とき、出口チューブ126の端面126aと出口ポート76の係合面76aとの間には隙間がない。出口チューブ126の端面126aと出口ポート76の係合面76aとの間に隙間73がある場合、チューブマーク123の前縁123aと出口ポート76の底面76bとの間の距離x2は、隙間73の距離y2と一致する又は略等しい。
【0026】
入口チューブ124及び入口ポート74によって形成された外部連結79については、入口チューブ124は、入口チューブ124の特定の位置に配置されたチューブマーカー123を含む。チューブマーク123の前縁123aが、出口ポート74の上面74bと整列する(例えば接する)とき、入口チューブ124の端面124aと入口ポート74の係合面74aとの間には隙間がない。入口チューブ124の端面124aと入口ポート74の係合面74aとの間に隙間75がある場合、チューブマーク123の前縁123aと入口ポート74の上面74bとの間の距離x3は、隙間75の距離y3と一致する又は略等しい。
【0027】
図8に示されるように、チューブ222は、輸液セット構成要素へのチューブ222の連結中に視覚的案内(visual guidance)を提供するために、両端にマーカー223、224を含むことができる。マーカー223、224は、チューブ端部からの異なるマーカーの距離に基き、異なる特徴又は見た目を有することができる。例えば、マーカー223は、マーカー223の前縁223aと第1のチューブ端部222aとの間の距離z
1に関連した単一の途切れのない帯体とすることができる。別の実例として、マーカー224は、マーカー224の前縁224aと第2のチューブ端部222bとの間の距離z
2に関連した2つの異なる大きさの途切れのない帯体とすることができる。チューブ222は、ロゴ225、部品番号/固有のデバイス識別子226、シンボル227、及び日付けコード228などの1つ又は複数の情報提供マーキングを含むこともできる。マーカー223、224を使い易くするために、マーカーの前縁223a、224aからチューブ端部222a、222bまでのチューブ222の部分はマーキングがない状態のままとなるように、情報提供マーキングは、マーカー223と224との間に配置され得る。情報提供マーキングは、チュービング222、輸液セット構成要素、及び/又は輸液セットについての関連情報を提供することができる。従って、関連情報は、通常は廃棄される付随するパッケージから特定される必要がなく、チュービング222から容易に確認され得る。
【0028】
本開示の別の関連する態様は、いつどこでマーカーを追加するかを決定することである。輸液セットのチュービングは、典型的には押出成形法を使用して作製され、巻かれる。巻かれたチュービングは、それから所望の長さに切断され、切断されたチュービングは、次いで輸液セット構成要素に連結され、輸液セットとなる。本開示は、切断ステーションに配置されるマーキングツール(例えば、パッド印刷機、レーザー)を提供し、切断ステーションでは、同じ切断マーキング機械/ステーションで、チュービングが精密な長さに切断され得、マーカーが付けられ得る。従って、材料を移動し、材料を供給し、別の機械/ステーションでマーカーを追加することによる追加の工程時間を発生させない。
【0029】
図9は、溶剤/接着剤を使用して典型的なチューブ322に連結又は接合された入口ポート372を有する、Y字連結具370を示す。入口ポート372は、止まり部材374を含み、止まり部材374は、入口ポート372へのチューブ322の挿入中に、チューブ端部322aが止まり部材374に突き当たる際のハードストップを提供する。溶剤/接着剤溜まり310が、接合ポケット375の引込用面取り部の内側に生じ得る。溶剤/接着剤溜まり310は、溶剤/接着剤が硬化する際にチューブ322を劣化させる恐れがある。
【0030】
図10及び11に示されるように、チューブスリーブ450は、チューブスリーブ450の前縁450aがチューブ端部322aから特定の距離d
1にあるように、チューブ322の上に追加され得る。チューブスリーブ450は、挿入部分452が、Y字管470の入口ポート472などの輸液セット構成要素の一部の内側に嵌合するような大きさ及び形状となるように、テーパー部を有することができる。チューブスリーブ450の止まり部分454は、輸液セット構成要素(例えば、入口ポート472)の中に入り込まないような大きさ及び形状とすることができ、従って、この実例では、チューブスリーブの一部分が入口ポート472の中に滑り込むことを防止する。チューブスリーブ450は、チューブ322が、入口ポート472の中に正確な距離で挿入されることを確実にしながら、輸液セット構成要素の内側に機械的な止まり(例えば、Y字管370の止まり部材374)を有する必要性を排除することができる。
【0031】
チューブスリーブ450は、オーバーモールド成形又は熱収縮などの任意の適する方法で、チューブ322に所定の位置で接続され得る。チューブスリーブ450は、堅いプラスチック製構成要素(例えば、Y字管470)から柔らかいチュービング(例えば、チューブ322)への応力緩和移行部を提供することができる。チューブスリーブ450は、チューブがパッケージに入れられているときに、チューブ322に耐キンク性も提供することができる。チューブスリーブ450の挿入部分452は、接合ポケット475の体積の一部分の置換を更に提供することができ、従って、過剰な溶剤/接着剤が溜まることを防止する。
【0032】
開示されたプロセスの方法におけるブロックのあらゆる特定の順序又は階層は、例示的なアプローチの例証であることが理解される。設計又は実装の選好に基づき、プロセスのブロックの特定の順序又は階層が再構成され得、又は、例証された全てのブロックが実行され得ることが理解される。いくつかの実装形態では、任意のブロックが同時に実行され得る。
【0033】
本開示は、当業者が、本明細書に記載された様々な態様を実施することができるように提供される。本開示は、本発明の主題の技術の様々な実例を提供し、本発明の主題の技術は、これらの実例に限定されない。これらの態様に対する様々な修正が、当業者には容易に明らかとなり、本明細書で定義される一般的な原理は、他の態様に適用され得る。
【0034】
単数形の要素への言及は、特に記載のない限り「1つ及び1つだけ」を意味することは意図しておらず、むしろ「1つ又は複数」を意味する。特に記載のない限り、「いくつか」という用語は1つ又は複数を指す。男性系の代名詞(例えば、彼の)には、女性及び中性の性別(例えば、彼女の及びその)が含まれ、逆もまた同様である。見出し及び小見出しは、存在する場合、便宜的にのみ使用され、本発明を限定するものではない。
【0035】
「例示的」という言葉は、本明細書においては「実例又は例証としての役割を果たす」ことを意味するために使用される。本明細書で「例示的」と記載されている任意の態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計に対して好ましい又は有利であると解釈されるものとは限らない。1つの態様では、本明細書に記載される様々な代替の構成及び動作は、少なくとも同等であると考えられ得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、項目のいずれかを分離する「又は」という用語を伴う、一連の項目に先行する「少なくとも1つの」という語句は、リストの各項目ではなく、リスト全体を修飾する。「少なくとも1つの」という語句は、少なくとも1つの項目の選択を必要とせず、むしろ、この語句は、項目の任意の1つの少なくとも1つ、及び/又は項目の任意の組み合わせの少なくとも1つ、及び/又は各々の項目の少なくとも1つを含む意味を可能にする。例として、語句「A、B、又はCの少なくとも1つ」は、Aのみ、Bのみ、若しくはCのみ、又はA、B、及びCの任意の組み合わせを指すことができる。
【0037】
「態様」などの語句は、そのような態様が本発明の主題の技術に必須であること、又は、そのような態様が本発明の主題の技術の全ての構成に適用されることを意味するものではない。一態様に関連する開示は、全ての構成、又は1つ若しくは複数の構成に適用され得る。一態様は、1つ又は複数の実例を提供することができる。一態様などの語句は、1つ又は複数の態様を指すことができ、逆もまた同様である。「実施例」などの語句は、そのような実施例が本発明の主題の技術に必須であること、又は、そのような実施例が本発明の主題の技術の全ての構成に適用されることを意味するものではない。一実施例に関連する開示は、全ての実施例、又は1つ若しくは複数の実施例に適用され得る。一実施例は、1つ又は複数の実例を提供することができる。一実施例などの語句は、1つ又は複数の実施例を指すことができ、逆もまた同様である。「構成」などの語句は、そのような構成が本発明の主題の技術に必須であること、又は、そのような構成が本発明の主題の技術の全ての構成に適用されることを意味するものではない。一構成に関連する開示は、全ての構成、又は1つ若しくは複数の構成に適用され得る。一構成は、1つ又は複数の実例を提供することができる。一構成などの語句は、1つ又は複数の構成を指すことができ、逆もまた同様である。
【0038】
1つの態様では、特に記載のない限り、以下の特許請求の範囲を含め本明細書に記載されている全ての測定値、値、格付け、位置、大きさ、サイズ、及び他の仕様は正確ではなく、近似である。1つの態様において、それらは、それらが関連する機能、及び、それらが属する技術分野において慣習的であるものと一致する合理的な範囲を有することが意図される。
【0039】
開示されたステップ、動作、若しくはプロセスの特定の順序又は階層は、例示的なアプローチの例証であることが理解される。設計の選好に基づき、ステップ、動作、若しくはプロセスの特定の順序又は階層が再構成され得ることが理解される。ステップ、動作、又はプロセスのいくつかは、同時に実行され得る。ステップ、動作、又はプロセスのいくつか又は全ては、ユーザの介入なしに自動的に実行され得る。添付の方法の請求項は、存在する場合、見本となる順序における様々なステップ、動作、又はプロセスの要素を提示し、提示された特定の順序又は階層に限定されることを意味しない。
【0040】
当業者に知られているか又は後に知られる、本開示全体を通じて記載される様々な態様の要素に対する全ての構造的及び機能的均等物は、参照により明白に本明細書に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されることが意図される。更に、本明細書に開示されたものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているかどうかにかかわらず、公衆に捧げられるようには意図されていない。特許請求の範囲の要素は、要素が「するための手段」という語句を用いて明白に列挙されているか、又は、方法の請求項の場合は、要素が「するためのステップ」という語句を使用して列挙されているものでない限り、米国特許法第112条(f)項の規定に基づいて解釈されるべきではない。更に、用語「含む(include)」、「有する(have)」などが使用される限り、そのような用語は、特許請求の範囲において移行語として利用されるときに解釈されるような、用語「備える(comprise)」と同様の様式で包括的であることが意図される。
【0041】
本開示の発明の名称、背景技術、発明の概要、図面の簡単な説明、及び要約は、本開示に組み込まれ、制限的な説明としてではなく、本開示の例証的な実例として提供される。本開示は、それらが特許請求の範囲又は意味を限定するために使用されないとの理解に基づいて提出される。加えて、発明を実施するための形態では、説明は例証的な実例を提供し、様々な特徴は、本開示を合理化する目的で様々な実施例において共にグループ化されることが理解され得る。この開示の方法は、特許請求されている本発明の主題が、各請求項に明白に列挙されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の主題は、単一の開示された構成又は動作の全ての特徴よりも少ないものである。以下の特許請求の範囲は、発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は別個に特許請求される主題としてそれ自体で独立している。
【0042】
特許請求の範囲は、本明細書に記載される態様に限定されることは意図されず、言語による特許請求の範囲と一致する全範囲に与えられ、全ての法的均等物を包含する。それにもかかわらず、請求項のいずれも米国特許法第101条、第102条、又は第103条の要件を満たさない主題を包含することは意図されず、そのように解釈されるべきでもない。