(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】複合発泡材物品
(51)【国際特許分類】
B29C 44/58 20060101AFI20240731BHJP
B29C 39/26 20060101ALI20240731BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20240731BHJP
A47C 27/22 20060101ALN20240731BHJP
B29K 75/00 20060101ALN20240731BHJP
B29L 31/58 20060101ALN20240731BHJP
【FI】
B29C44/58
B29C39/26
B29C44/00 A
A47C27/22 B
B29K75:00
B29L31:58
(21)【出願番号】P 2021549104
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(86)【国際出願番号】 IB2020051389
(87)【国際公開番号】W WO2020170163
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2023-02-14
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511122651
【氏名又は名称】プロプライアテクト・エル.ピー.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】カンガス,ケヴィン・ジー.
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-063630(JP,A)
【文献】特開2006-069080(JP,A)
【文献】実開昭57-138626(JP,U)
【文献】実公昭47-007438(JP,Y1)
【文献】特開2017-094584(JP,A)
【文献】米国特許第05997783(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/00-44/60;67/20
B29C 39/00-39/24;39/38-39/44
B29C 33/00-33/76;39/26-39/36;41/38-41/44;43/36-43/42;43/50;45/26-45/44;45/64-45/68;45/73;49/48-49/56;49/70;51/30-51/40;51/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡材コアおよびその上の層を備える複合物品を成形するためのアセンブリであって、
内部表面を有し、少なくとも部分的に空洞を画定する型であって、前記型が1つまたは複数のガス吐出ポートを含み、前記1つまたは複数のガス吐出ポートの各々が前記型の前記空洞と流体連絡している通路開口を有し、前記型が1つまたは複数の保持要素を有する型と、
前記型と移動可能に係合した1つまたは複数の密閉要素であって、前記1つまたは複数の密閉要素の各々が前記1つまたは複数のガス吐出ポートの各々と対応し、前記1つまたは複数の密閉要素の各々がヘッド
とリテーナとを備え、
前記リテーナが通気位置において前記型の上の前記1つまたは複数の保持要素の各々と係合するように形状化される、1つまたは複数の密閉要素と、
前記発泡材コアを形成するためのポリウレタンシステムと、
前記型の前記空洞に挿入された前記層と
を備え、
前記層をその上に有する前記ポリウレタンシステムが前記型の中で膨張し、前記1つまたは複数の密閉要素の各々を前記通気位置から閉位置まで押し付け、
前記閉位置において、前記リテーナが前記保持要素との係合を解除され、前記密閉要素の前記ヘッドが前記通路開口を気密密閉し、前記複合物品を形成している間、前記ガス吐出ポートを閉
じ、
前記ガス吐出ポートが、前記型の中の側壁によって画定され、前記保持要素は前記ガス突出ポートの中へ突出し、前記通気位置において前記リテーナは前記ガス突出ポート内で前記保持要素と係合している、アセンブリ。
【請求項2】
前記1つまたは複数の密閉要素の各々が、前記ヘッド
と前記リテーナとの間に展開
したステムをさらに含み、前記ステムが前記ガス吐出ポート内で摺動可能に係合されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記ステムが、より小さい直径を前記ヘッドに隣接する近位端に有
するように形状化され、
前記リテーナはより大きい直径を遠位端に有す
る、請求項
2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記ヘッドの外部表面が、前記層と解放可能に接続するように構成されたフックファスナーを含む、請求項1~
3のいずれか一つに記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記密閉要素が前記通気位置において重力を介して所定の位置に保持される、請求項1~
4のいずれか一つに記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記密閉要素が前記通気位置においてバイアス化要素を介して所定の位置に保持される、請求項1~
5のいずれか一つに記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記密閉要素が約1gより重い重量及び/又は0.25mmより分厚い厚さを有する、請求項1~
6のいずれか一つに記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記型の側壁の中に凹まされ、前記ガス吐出ポートの前記通路開口と流体連絡しているくぼみをさらに備える、請求項1~
7のいずれか一つに記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記ガス吐出ポートが、前記型の側壁中のねじが切られたインサートを使用して形成される、請求項1~
8のいずれか一つに記載のアセンブリ。
【請求項10】
1つまたは複数のガス吐出ポートと、前記1つまたは複数のガス吐出ポートに対応する1つまたは複数の密閉要素とを有する型を含むアセンブリを使用して、発泡材コアおよびその上の層を備える複合物品を成形する方法であって、
内部表面を有し、少なくとも部分的に空洞を画定する前記型を用意するステップであって、前記型が前記1つまたは複数のガス吐出ポートおよび1つまたは複数の保持要素を含む、ステップと、
前記1つまたは複数の密閉要素を用意するステップであって、前記1つまたは複数の密閉要素の各々がヘッド
とリテーナとを備える、ステップと、
前記1つまたは複数の密閉要素の各々
の前記リテーナを
通気位置において前記1つまたは複数の保持要素の各々と係合させそれにより前記密閉要素を
前記通気位置で前記型の中に保持するステップと、
前記層を前記型の中に挿入するステップと、
ポリウレタンシステムを前記型の中に注入するステップと、
前記発泡材コアを形成するべく前記ポリウレタンシステムを反応させるステップであって、前記空洞内における前記ポリウレタンシステムの発熱反応および膨張により、前記層を前記1つまたは複数の密閉要素の中へ押し込み、
閉位置において、前記リテーナが前記保持要素との係合を解除され、前記密閉要素の前記ヘッドが前記
ガス吐出ポートを気密密閉してさらなる通気を防止し、前記複合物品を形成するよう、前記1つまたは複数の密閉要素を
前記通気位置から
前記閉位置へ移動させる、ステップと
、
を含
み、
前記1つまたは複数のガス吐出ポートの各々が、前記型の中の側壁によって画定され、前記保持要素は前記ガス突出ポートの中へ突出し、前記通気位置において前記リテーナが前記ガス突出ポート内で前記保持要素と係合している、
方法。
【請求項11】
請求項
10に記載の方法を使用して形成された複合物品であって、層が見切り線の5mm以内まで展開する、複合物品。
【請求項12】
発泡材コアおよびその上の層を備える複合物品を成形するためのアセンブリであって、
内部表面を有し、少なくとも部分的に空洞を画定する型であって、前記型が1つまたは複数のガス吐出ポートを含み、前記1つまたは複数のガス吐出ポートの各々が前記型の前記空洞と流体連絡している通路開口を有し、前記型が1つまたは複数の保持要素を有する型と、
前記型と移動可能に係合した1つまたは複数の密閉要素であって、前記1つまたは複数の密閉要素の各々が前記1つまたは複数のガス吐出ポートの各々と対応し、前記1つまたは複数の密閉要素の各々がヘッドとリテーナとを備え、前記リテーナが通気位置において前記型の上の前記1つまたは複数の保持要素の各々と係合するように形状化される、1つまたは複数の密閉要素と、
前記発泡材コアを形成するためのポリウレタンシステムと、
前記型の前記空洞に挿入された前記層と
を備え、
前記層をその上に有する前記ポリウレタンシステムが前記型の中で膨張し、前記1つまたは複数の密閉要素の各々を前記通気位置から閉位置まで押し付け、前記閉位置において、前記リテーナが前記保持要素との係合を解除され、前記密閉要素の前記ヘッドが前記通路開口を気密密閉し、前記複合物品を形成している間、前記ガス吐出ポートを閉じ、
前記1つまたは複数の保持要素が、前記通路開口の外側の前記型の前記内部表面に開口を画定する1つまたは複数の係合スロットを備え、前記1つまたは複数の密閉要素の各々が、前記1つまたは複数の係合スロットと協働する、前記ヘッド
と前記リテーナとの間に展開している1つまたは複数のステムを備える
、アセンブリ。
【請求項13】
前記保持要素が前記型の前記内部表面に取り付けられた丁番を備える、請求項
12に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2019年2月19日に出願された米国仮特許出願第62/807,292号の優先権およびあらゆる利益を主張するものであり、その開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、一般に、発泡材コアおよび層を含む複合物品を成形するためのアセンブリ、ならびに型を使用して複合発泡材物品を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリウレタン発泡材から形成された成形物品は、輸送、家具、スポーツ用商品、建築物および建築、ならびに、多くの他の産業で使用されている。例えば自動車産業では、自動車シートは、通常、形に成形され、カバーを掛けられるポリウレタンクッションを使用して製造されている。
【0004】
当技術分野で知られているように、ポリウレタン発泡材は、発泡剤の存在下におけるイソシアネート反応性樹脂組成とイソシアネートとの発熱反応によって形成される。イソシアネート反応性樹脂組成、イソシアネートおよび発泡剤は、ポリウレタンシステムとして集合的に知られている。
【0005】
シートクッションを製造するためには、ポリウレタンシステムが混合され、型、例えばクラムシェル型の中に分配され、ポリウレタンシステムが反応し、膨張してその型の形を帯び、これにより、成形されたシートクッションを形成する。成形プロセスの間、ポリウレタンシステムが反応して膨張する際に、発熱反応によって生成された過剰な二酸化炭素(CO2)および他のガス、ならびに型の中に存在している空気を型から追い出すことができるよう、型を適切に通気しなければならない。適切な通気がない場合、型は、しばしば、品質が悪いシートクッションをもたらし、そのために再加工する必要があるか、さらには廃棄する必要がある。さらに、不適切な通気は、しばしば、製造中断時間の原因になる。したがって、型の適切な通気は、高い品質の成形シートクッションを効率的に製造するための重要な要因である。
【0006】
時が経つにつれて、シートクッションなどのポリウレタン発泡材物品を効率的に製造することができる型のための通気解決法が開発されている。例えば自動車産業のためのシートクッションの製造に使用されているようなクラムシェル型は、型の上側の部分に様々な通気孔を使用して設計されており(典型的には空気圧シリンダを使用して開閉される)、また、型の上側の部分と下側の部分との間の見切り線に様々な通気孔を使用して設計されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、新しい課題が生じている。産業が進歩するにつれて、自動車シートクッションは、補強を提供し、ポリウレタン発泡材とシートフレーム/シートサスペンションとの間の界面における軋み音を小さくするために、今では、層、例えば布地層と共成形される(co-molded)ことがよりしばしばである。
【0008】
ガスは、通気孔へ向かう途中、型の中の様々な場所から布地に入り、布地を通って、または布地の裏側を移動することができるため、成形プロセスの間、層は通気補助として使用することができる。しかしながら、布地の裏側に配置された通気孔は、空洞が満たされ、圧力が高くなり始めると、閉じなければならず、さもなければポリウレタン発泡材が布地に侵入して、以下の問題の何らかの組合せをもたらすことになり得る。
・ ポリウレタンは、通気孔に入って通気孔を詰まらせ、それにより通気孔の故障および製造中断時間の原因になり得る。
・ ポリウレタンは、シートの中に組み込まれると、シートクッションが軋む原因になり得る。
・ ポリウレタンは、シートクッションの上に望ましくない尖った部分すなわち突起を形成し得る。
・ ポリウレタンは、密度が高くなって、クッション材料として作用しなくなり得る。
・ 通気孔が閉じ損ねると、布地中への発泡材の移動の遅れにより、気泡構造のムラおよび発泡材密度の変動の原因になり、さらにはポリウレタン発泡材が崩壊する原因になり得る。
【0009】
このため、通気孔、とりわけ型の上側の部分における通気孔をタイミング良く閉じることが、高い品質のシートクッションの効果的な製造を維持するためには重要である。様々な方法を使用して、通気孔を閉じるタイミングが見計られている。最も単純な方法は、型に流し込まれ、または、型が閉じられた後に、決まった時間に通気孔を閉じることである。しかしながら、発泡材プロセスの変動のため、時間要件を変更し、また、閉じる時間を周期的に調整する必要が強いられることになり得る。型を知覚し、閉じるためのセンサ、例えば温度センサ、圧力センサまたは近接センサを利用している、もっと複雑なアセンブリおよび方法もまた使用されている。しかしながら、このような複雑な知覚システムは信頼することができない。さらに、通気孔が見切り線に沿って利用される場合、層の使用に対する設計限界が付いて回る。すなわち層は見切り線通気孔を塞ぎ、発泡材品質を低下させ、さらには製造中断時間の原因になるため、層をシートクッションの縁まで展開させることができない。
【0010】
したがって、自動車シートのために使用されているような層およびポリウレタン発泡材を含む成形複合発泡材物品を製造することができる、適切な通気を提供する成形アセンブリが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、発泡材コアおよび層を含む複合物品を成形するためのアセンブリを提供する。アセンブリは型を含む。型は内部表面を有しており、また、少なくとも部分的に、空洞ならびに1つまたは複数のガス吐出ポートを画定し、1つまたは複数のガス吐出ポートの各々は、型の内部表面の近くに通路開口を有している。また、型は、1つまたは複数の保持要素をも有している。アセンブリは、型と移動可能に係合した1つまたは複数の密閉要素をさらに含む。1つまたは複数の密閉要素の各々はヘッドを含み、通気位置において、型の上の保持要素と係合するように形状化されている。さらに、1つまたは複数の密閉要素の各々は、1つまたは複数のガス吐出ポートの各々と対応している。型を使用している間、層をその上に有する発泡材コアが型の中で膨張し、1つまたは複数の密閉要素の各々を通気位置から閉位置まで押し付け、密閉要素のヘッドが対応する通路開口を密閉し、また、対応するガス吐出ポートを閉じる。有利には、このアセンブリによれば設計柔軟性を増すことができ、また、複合物品を効率的に、かつ、一貫して製造することができる。
【0012】
本開示の利点は、以下の詳細な説明を参照することによってより良好に理解されるため、添付の図面に関連して考察すれば容易に認識されるであろう。図面は単に例証的なものにすぎず、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】複合物品を成形するためのアセンブリの例の横断面図である。
【
図2】
図1のアセンブリに含まれている密閉要素の拡大斜視図である。
【
図3】アセンブリの通気を図解している通気位置における
図1の密閉要素の拡大隔離横断面図である。
【
図4A】密閉要素および保持要素の例の拡大横断面図である。
【
図4B】密閉要素および保持要素の例の拡大横断面図である。
【
図4C】密閉要素および保持要素の例の拡大横断面図である。
【
図4D】密閉要素および保持要素の例の拡大横断面図である。
【
図4E】密閉要素および保持要素の例の拡大横断面図である。
【
図4F】密閉要素および保持要素の例の拡大横断面図である。
【
図4G】密閉要素および保持要素の例の拡大横断面図である。
【
図4H】密閉要素および保持要素の例の拡大横断面図である。
【
図4I】密閉要素および保持要素の例の拡大横断面図である。
【
図4J】密閉要素および保持要素の例の拡大横断面図である。
【
図4K】密閉要素および保持要素の例の拡大横断面図である。
【
図4L】密閉要素および保持要素の例の拡大横断面図である。
【
図4M】密閉要素および保持要素の例の拡大横断面図である。
【
図5A】特定の密閉要素および対応する保持要素の例の拡大横断面図である。
【
図6】本明細書において開示されるアセンブリおよび方法を使用して形成された複合物品の例の斜視図である。
【
図7】線6-6に沿って示された
図6の複合物品の横断面図である。
【
図8A】ガス吐出ポート内で移動可能に係合した密閉要素の拡大隔離横断面図を示す略図であり、本明細書において開示される方法の例の態様を説明している。
【
図8B】ガス吐出ポート内で移動可能に係合した密閉要素の拡大隔離横断面図を示す略図であり、本明細書において開示される方法の例の態様を説明している。
【
図8C】ガス吐出ポート内で移動可能に係合した密閉要素の拡大隔離横断面図を示す略図であり、本明細書において開示される方法の例の態様を説明している。
【
図8D】ガス吐出ポート内で移動可能に係合した密閉要素の拡大隔離横断面図を示す略図であり、本明細書において開示される方法の例の態様を説明している。
【
図9A】厚さが1mmのヘッドを有する密閉要素の拡大斜視図である。
【
図9B】厚さが2mmのヘッドを有する密閉要素の拡大斜視図である。
【
図9C】厚さが3mmのヘッドを有する密閉要素の拡大斜視図である。
【
図9D】厚さが4mmのヘッドを有する密閉要素の拡大斜視図である。
【
図10】密閉要素のヘッドに押し付けている複合物品の層の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書においては複合物品が開示され、図全体にわたって一括して10で示されている。複合物品10は、第1の表面14および第1の表面14の反対側に面している第2の表面16を提供する発泡材コア12(典型的にはポリウレタンを含む)を含む。複合物品10は、発泡材コア12の第1の表面14および/または第2の表面16に配置されている層18を含む。複合物品10は、シートなどの自動車内装構成要素に使用するためにとりわけ適している。
【0015】
本開示全体にわたって使用される場合、含むおよび含んだは、備えるおよび備えたと同じであることを認識されたい。
【0016】
本開示の複合物品10は、自動車産業において、例えば上で説明したシートクッションとして使用するためにとりわけ有用であるが、本開示の複合物品10は、自動車産業における使用に限定されない。例えば複合物品10は、飛行機などの航空宇宙産業、家具産業およびスポーツ用商品産業における使用に適している。
【0017】
当技術分野で知られているように、ポリウレタン発泡材は、発泡剤の存在下におけるイソシアネート反応性樹脂組成とイソシアネートとの発熱反応によって形成される。イソシアネート反応性樹脂組成、イソシアネートおよび発泡剤は、ポリウレタンシステムとして集合的に知られている。
【0018】
発泡材コア12は、典型的には、発泡剤の存在下における、イソシアネートとイソシアネート反応性成分、例えば多価アルコールなどの活性水素含有化合物との反応生成物を含む。より詳細には、発泡材コア12は、発泡剤の存在下における、イソシアネート反応性樹脂組成(イソシアネート反応性成分を含む)とイソシアネートとの発熱反応によって形成される。イソシアネート反応性樹脂組成、イソシアネートおよび発泡剤は、ポリウレタンシステムとして集合的に知られている。発泡材コア12は、ポリウレタン、尿素改変ポリウレタンおよびカルボジイミド改変ポリウレタンのグループから選択されるイソシアネート系重合体であってもよい。「改変」という用語は、ポリウレタンと関連して使用される場合、リンケージを形成している重合体骨格の最大50%が置換されていることを意味している。適切なポリウレタン発泡材およびシステムは、オンタリオ州ウッドブリッジのThe Woodbridge Groupから市販されている。
【0019】
発泡材コア12は、ポリウレタンシステムから形成されるポリウレタン発泡材を含むものとして説明されている。しかしながら、本開示の範囲は、ポリウレタン発泡材を含む発泡材コア12を含む複合発泡材物品、およびこのような複合発泡材物品を成形するための方法に限定されないことを認識されたい。本開示は、それらに限定されないが、ラテックス発泡材、ネオプレン発泡材、ポリ塩化ビニル(PVC)発泡材を含む発泡材コア12を含む他のタイプの発泡材化学、およびそれらを用いる方法に適用することができることは当業者には明らかであろう。
【0020】
本開示は、発泡材コア12および層18を含む複合物品10を成形するためのアセンブリ100を提供する。アセンブリ100は型102を含む。型102は内部表面104を有しており、また、少なくとも部分的に、型空洞106ならびに1つまたは複数のガス吐出ポート108を画定し、1つまたは複数のガス吐出ポート108の各々は、型102の型空洞106と流体連絡している通路開口110を有している。通路開口110は、型102の内部表面104の近くに存在している。アセンブリ100は、型102と移動可能に係合した1つまたは複数の密閉要素112をさらに含む。1つまたは複数の密閉要素112の各々はヘッド114を含み、型102の上の保持要素118と係合するように形状化されている。保持要素118は係合要素118と呼ぶことも可能である。さらに、1つまたは複数の密閉要素112の各々は、1つまたは複数のガス吐出ポート108の各々と対応している。型102を使用している間、層18をその上に有する発泡材コア12が型102の中で膨張し、1つまたは複数の密閉要素112の各々を通気位置から閉位置まで押し付け、密閉要素112のヘッド114が対応する通路開口110を気密密閉し、また、対応するガス吐出ポート108を閉じる。
【0021】
1つまたは複数の密閉要素112は、典型的には重合体を含む。様々な例では、重合体はエラストマーまたは熱可塑性エラストマーである。多くのこのような例では、エラストマーまたは熱可塑性エラストマーは、十分な弾性、柔軟性および他のゴム様物理特性を示しており、1つまたは複数の密閉要素112の各々のヘッド114による対応する通路開口110の気密密閉を許容している。他の例では、重合体は熱可塑性プラスチックである。
【0022】
いくつかの例では、1つまたは複数の密閉要素112は、剛直な重合体(例えば熱可塑性プラスチック)または金属を含み、また、密閉材(例えばO-リング)が密閉要素112と協働して使用されており、それにより気密密閉を達成している。
【0023】
多くの例では、密閉要素112は重合体を含む。適切な重合体のいくつかの非制限の例には、エポキシ、ポリウレタン、ポリウレア、フェノール、ポリアクリレート、シリコーン、多硫化物、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ラテックス、スチレン-ブタジエン重合体、ニトリル-ブタジエン重合体、フッ素重合体、それらの混合物、それらの共重合体およびそれらの相互侵入ネットワークがある。多くの例では、密閉要素112はシリコーンを含む。さらに、多くのこのような例では、密閉要素112は、一体構造であり、射出成形によって形成される。
【0024】
図1には、複合物品を成形するためのアセンブリの例の横断面図が図解されている。より詳細には、本開示の型102の例が図解されている。図解されている特定の二部型構成は、時によっては、当業者によって「クラムシェル」型102と呼ばれることがある。第1の部分120(当技術分野では「ボウル」としても知られている)および第2の部分122(当技術分野では「蓋」としても知られている)は、互いに係合するように形状化されており、また、従来の丁番または他の手段(図示せず)を介して結合されている。より詳細には、型102は、開位置と閉位置との間で解放的に係合させることができる第1の部分120および第2の部分122を含む。
図1に示されている閉位置では、第1の部分120および第2の部分122は、閉じると、所望の形、例えば自動車のシートクッションの形に対応する型空洞106を画定する。
【0025】
図1では、第1の部分および第2の部分120、122は、係合して、第1の部分および第2の部分120、122が合致する見切り線124を形成している。いくつかの例では、型102は、1つまたは複数の見切り線通気孔(図示せず)を含み、個々の見切り線通気孔は、ガスを逃がすための通路を提供している。いくつかのこのような例では、見切り線通気孔は、型102の内部表面104の周りに配置された、複数の相互接続された溝と流体連絡している(ネットワーク通気)。このような通気孔の非制限の例は米国特許第7,481,637号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0026】
多くの例では、型102には見切り線通気孔がない。本明細書において開示される本開示の通気システム(一般に、本明細書において開示される密閉要素112およびガス吐出ポート108の様々な例の使用を参照している)は、見切り線通気孔がなくても適切に通気することができる。したがって、設計限界がより少なく、また、シートクッションの縁まで層18を展開させることができる。
【0027】
さらに
図1を参照すると、型102は、前記型102の中の側壁126によって画定された1つのガス吐出ポート108を含む。図解されているように、ガス吐出ポート108は、型102の型空洞106と流体連絡している通路開口110を画定している。保持要素118はガス吐出ポート108(またはガス吐出ポート108の通路)の中へ突出している。
図1の例では、ガス吐出ポート108の側壁126は、棚(shelf)118aの形態の保持要素118をその上に有している。
【0028】
図2は、
図1のアセンブリ100の密閉要素112の拡大斜視図である。
図3に示されているように、ガス吐出ポート108は、近位端に、ガス吐出ポートの遠位端における直径D
DMより小さい直径D
PMを有するように形状化されている。参考までに、ガス吐出ポート108の近位端は、型102の内部表面104の近くに配置されており、また、ガス吐出ポートの遠位端は、型102の外部表面の近くに配置されている。このようなガス吐出ポート108は、前記ヘッド114に隣接する近位端により小さい直径D
Pを有し、また、より大きい直径D
Dを遠位端に有するように形状化されるステム116を有する密閉要素112と共に使用することができる。
【0029】
もう一度
図2を参照すると、密閉要素112は、ヘッド114と、型102の上の保持要素118をクリスマスツリー状リテーナ128aと係合させるように形状化されたステム116とを含む。
【0030】
図1~
図3の例では、クリスマスツリー状リテーナ128aは、4つの部分を含む単一の不連続スカートを有している。しかしながら、本明細書においては、ステム116の周りを半径方向に連続的に展開している連続スカート、
図2に示されているように4つの部分を有する不連続スカート、または3つの部分を有する不連続スカート、等々を有するクリスマスツリー状リテーナ128aを含むクリスマスツリー形であるリテーナの様々な非制限の例が企図されている。様々な例では、密閉要素112のクリスマスツリー状リテーナ128aは、1つから5つの部分、および1つから10個、別法としては2つから7つの円錐スカートを有することができる。しかしながら、多くの例では、クリスマスツリー状リテーナ128aは、その構成に無関係に、ガス吐出ポート108内で保持要素/棚118aと協働して、通気システムの機能を可能にしている。
【0031】
当然、
図1の例ではクリスマスツリー形であるリテーナ128を説明している、「係合するように形状化された」という言語は、様々な他の形状化された構成を説明することができることを認識すべきであり、そのうちのいくつかは
図4の例示的通気孔に示されている。リテーナ128をその上に有するステム116は、ガス吐出ポート108内で摺動可能に係合し、かつ、保持要素118、例えば棚118aと協働する。大まかに言えば、ステム116は、型102の上の保持要素118と係合するように形状化され、また、ステムは、ガス吐出ポート108内で摺動可能に係合し、また、保持要素118とも摺動可能に係合する(かつ、保持要素118と協働する)。
図1および
図2に図解されているように、通気位置ではクリスマスツリー形であるリテーナ128aの台は棚118の上に載っており、また、ヘッド114は、通路開口110の下方にぶら下がっており、ポリウレタンシステムが反応して膨張する際に、発熱反応によって生成された過剰なCO
2および他のガス、ならびに型102の中に存在している空気をガス吐出ポート108を介して型102から追い出すことができる。
【0032】
ポリウレタンシステムが型空洞106の中で反応して膨張すると、ポリウレタンシステムは、層18を型102の内部表面104に向かって押し付ける。層18は、密閉要素112のヘッド114を型102の内部表面104に押し付け、かつ、通路開口110に押し込み、密閉要素112のヘッド114が対応する通路開口110を気密密閉し、また、対応するガス吐出ポート108を閉じる。
【0033】
型102を使用している間、層18をその上に有する発泡材コア12が型102の中で膨張し、1つまたは複数の密閉要素112の各々を通気位置から閉位置まで押し付け、密閉要素112のヘッド114が対応する通路開口110を気密密閉し、また、対応するガス吐出ポート108を閉じる。したがって、ヘッド114は、ガス吐出ポート108の通路開口110(くぼみが付けられた、あるいはくぼみが付けられていない)の周囲より大きい周囲すなわち輪郭を有していなければならない。
【0034】
図3は、通気位置に位置している
図1の密閉要素112の拡大隔離横断面図であり、矢印は、型102から出る空気流、すなわち型102の通気を表している。言い換えると、密閉要素112が通気位置に位置している場合、型空洞106は、ガス吐出ポート108を介して型102の外部の空気と流体連絡しており、型102の型空洞106の通気が進行する。複合物品10が形成され、密閉要素112が通路開口110に押し込まれて、対応するガス吐出ポート108を気密密閉して閉じると、流体連絡が停止され、型102の通気が止まる。
【0035】
さらに
図3を参照すると、
図3の例ではクリスマスツリー状リテーナ128aを参照している「係合するように形状化された」という言語は、様々な他の形状化された構成をも参照することができ、クリスマスツリー状リテーナ128aに限定されないことを認識されたい。同様に、
図3の例では棚118aを参照している「保持要素」118という言語は、様々な他の形状化された構成をも参照することができ、棚118aに限定されない。本アセンブリ100の多くの例は密閉要素112を含み、ステム116は、より小さい直径D
Pを近位端に有し、また、より大きい直径D
Dを遠位端に有するように形状化され、ガス吐出ポート108は保持要素118と一体であり、また、近位端では、密閉要素112の近位端の直径D
Pより大きい直径D
PMを有するように形状化されている。ガス吐出ポート108は、前記ヘッド114に隣接する近位端により小さい直径を有し、また、より大きい直径を遠位端に有するように形状化されるステム116を有する密閉要素112と共に使用することができる。
【0036】
次に
図10を参照すると、密閉要素112の隔離横断面図が図解されており、層18がヘッド114の外部表面142に当接し、それにより密閉要素112をガス吐出ポート108に押し込み、流体連絡を遮断して型102の通気を止めている。
図10では、ガス吐出ポート108は、
図3と全く同様に、ねじが切られたインサート(番号は振られていない)を使用して形成されている。また、
図10では、ガス吐出ポート108の通路開口110は、密閉要素112のヘッド114が型102の内部表面104から「突き出て立つ」深さまでくぼみが付けられている。
【0037】
密閉要素112および保持要素118の様々な非制限の例が
図4A~
図4Mの例に図解されている。より詳細には、
図4A~
図4Mは、任意の組合せで混合し、かつ、整合させて、本開示の通気解決法に到達することができる、密閉要素112および保持要素118の様々な例の部分横断面図である。
【0038】
典型的な例では、ガス吐出ポート108は円形の横断面輪郭を有している。言い換えると、ガス吐出ポート108は、型102の中で形成される円形の横断面輪郭を有する管状空洞である。当然、ガス吐出ポート108は、円形の横断面輪郭(または管状空洞)に限定されない。様々な例では、ガス吐出ポート108は、楕円、矩形または三角形の横断面輪郭を有している。いくつかの例では、ガス吐出ポート108は、異なる形を有する部分を含む(例えば円形の横断面輪郭を有する第1の部分、および矩形の横断面輪郭を有する第2の部分を有するガス吐出ポート108)。いくつかの例では、ガス吐出ポート108は、異なるサイズを有する部分を含む(例えば第1の直径を有する円形の横断面輪郭を有する第1の部分、および第1の直径とは異なる(第1の直径より大きいか、または第1の直径より小さい)第2の直径を有する円形の横断面輪郭を有する第2の部分を有するガス吐出ポート108)。
【0039】
図1の例などの多くの例では、ガス吐出ポート108は円形の横断面輪郭および変化する直径を有している。例えば
図3を参照すると、ガス吐出ポート108は保持要素118aと対応しており、また、近位端では、ガス吐出ポート108の遠位端の直径D
DMより小さい直径D
PMを有するように形状化されている。すなわち
図1の例のガス吐出ポート108は、狭い部分および広い部分を有している。
図1の例などのいくつかの例では、直径が異なる部分をガス吐出ポート108が含んでいる場合、直径が異なる2つまたはそれ以上の部分の間の移行は、90°の角度で階段化されて、ガス吐出ポート108の側壁126に対して直角の棚または階段を画定する。他の例では、直径が異なる部分間の移行は漸進的であり、例えばガス吐出ポート108の側壁126に対して45°のテーパが付けられている。通気位置では、当然、密閉要素112の保持要素118aは棚の上に位置している。
【0040】
いくつかの例では、ガス吐出ポート108は、通路開口110におけるサイズまたは形が変化しない。他の例では、型102の内部表面104にくぼみが彫られており、前記ガス吐出ポート108の通路開口110と流体連絡している。
図3、
図4Aおよび
図4Bは、通路開口110におけるサイズまたは形が変化しないガス吐出ポート108の例を図解したものであり、ガス吐出ポート108の通路開口110にはくぼみが付けられていない。しかしながら、
図4C~
図4Mに図解されている例などの他の例では、ガス吐出ポート108の通路開口110にはくぼみが付けられている。くぼみは、異なる形およびサイズで形成することができ、また、ガス吐出ポート108の縦方向の軸に沿って、様々な深さ、例えば0.1mmから4mmの深さで、型102の第2の部分122の中へ展開することができる。くぼみが付けられた通路開口110には傾斜を付けることができ、例えば
図4Cに図解されているように、ガス吐出ポート108の縦方向の軸に対して45°の角度の壁を使用して形成することができる。くぼみは、
図4D~
図4Lに図解されているように、ガス吐出ポート108の縦方向の軸に対して実質的に平行の壁を使用して形成することができる。
図3、
図4Aおよび
図4Bの例は、くぼみが付けられていない通路開口110を図解したものである。
【0041】
図4Aは、丁番で動作する密閉要素112と、通路開口110から縦方向に、型102の外部に向かって開いているその近位端まで展開している一様な円形の横断面輪郭を有するガス吐出ポート108とを含む、アセンブリ100の例の拡大横断面図を図解したものである。
図4Aは、
図1~
図3に図解されているクリスマスツリー状リテーナ128aおよび棚118aではなく、丁番118bを有する密閉要素112を図解したものである。この例の保持要素118は、ガス吐出ポート108の通路開口110の近くに配置された型102の内部表面104の丁番118bである。当然、密閉要素112は、型102の上の丁番118bを適切なリテーナ128bと係合させるように形状化されている。
【0042】
図4Aの密閉要素112はヘッド114を含み、丁番118bと係合するように形状化されている。密閉要素112は型102と移動可能に係合されている。型102を使用している間、層18をその上に有する発泡材コア12が型102の中で膨張して、丁番で動作する密閉要素112の各々を通気位置(重力を介してぶら下がっている)から閉位置へ押し付け、密閉要素112のヘッド114が上に向かって押し上げられて通路開口110を気密密閉し、ガス吐出ポート108を閉じる。当然、通気位置では密閉要素112のヘッド114は通路開口110の下方にぶら下がっており、ポリウレタンシステムが反応して膨張する際に、発熱反応によって生成された過剰なCO
2および他のガス、ならびに型102の中に存在している空気をガス吐出ポート108を介して型102から追い出すことができるが、タイミング良く上に向かって押し上げられ、型102を密閉して、高い品質の複合物品10を製造する。
【0043】
いくつかの例では、1つまたは複数の係合スロット118が通路開口の外側の型102の内部表面104に開口を画定しており、前記1つまたは複数の密閉要素112の各々は、1つまたは複数の係合スロット118と協働する1つまたは複数のステム116を備えている。このような実施形態では、1つまたは複数のガス吐出ポート108の各々は、型102の第2の部分122の内部表面104に開口を画定している係合スロット118cを含む1つまたは複数の保持要素118の近くに配置される。1つまたは複数の密閉要素112の各々は、1つまたは複数の係合スロット118cと協働する1つまたは複数のステム116を含む。
図4Bの例などのいくつかの例では、1つまたは複数の係合スロット118cの各々は、型102の外部まで展開していない開口を型102の内部表面104に画定している。図には示されていない他の例では、1つまたは複数の係合スロット118cは、型102の内部表面104に開口を画定し、また、型102の外部まで展開している空洞を画定している。
【0044】
図4Bは、ヘッド114と、複数の係合スロット118cと協働する複数のステム116とを含む密閉要素112を含むアセンブリ100の1つのこのような例を図解したものである。この例のガス吐出ポート108は係合スロット118cに対して近位であり、また、ヘッド114に対して概ね中央に位置している(ヘッド114は、ガス吐出ポート108の縦方向の軸上を概ね中心にして配置されている)。この例では、ステム116はフック128cを有しており、したがって保持要素118/くぼみが付けられた係合スロット118cと係合するように形状化され、また、係合スロット118c中のくぼみと協働するように設計されている。この例では、ガス吐出ポート108は、通路開口110から縦方向に、型102の外部に向かって開いているその近位端に向かって展開している一様な円形の横断面輪郭を有している。保持要素118は、ガス吐出ポート108の通路開口110の近くの型102の内部表面104に配置された、くぼみが付けられた係合スロット118cである。
図4Aと同様に、また、
図1の例とは対照的に、
図4Bは、ガス吐出ポート108と一体ではない係合スロット118cを図解している。
【0045】
さらに
図4Bを参照すると、密閉要素112は型102と移動可能に係合されている。型102を使用している間、層18をその上に有する発泡材コア12が型102の中で膨張して、密閉要素112を通気位置(重力を介してぶら下がり、かぎ形に曲がったステムが係合スロット118c中のくぼみの底部で静止している)から閉位置へ押し付け、密閉要素112のヘッド114が押し上げられて(かぎ形に曲がったステムが上に向かって、係合スロット118c中のくぼみの頂部へ付勢される)、通路開口110を気密密閉し、ガス吐出ポート108を閉じる。当然、通気位置では密閉要素112のヘッド114は通路開口110の下方にぶら下がっており、ポリウレタンシステムが反応して膨張する際に、発熱反応によって生成された過剰なCO
2および他のガス、ならびに型102の中に存在している空気をガス吐出ポート108を介して型102から追い出すことができるが、通路開口110中にタイミング良く上に向かって押し上げられ、型102を密閉して、高い品質の複合物品10を製造する。
【0046】
次に
図5Aおよび
図5Bを参照すると、本開示の通気システムの例が示されており、この例は
図4Bの例と類似しているが、複数の係合スロット118cと協働する複数のステム116を含む密閉要素112の代わりに、この例の密閉要素112のヘッド114は、型表面を型102の内部表面104の半径方向のスロット118dと協働する半径方向のリテーナ128eと「係合させるように形状化されて」いる。この例のガス吐出ポート108の通路開口110は、半径方向のスロット118dによって縁取りされている。さらに、この例のガス吐出ポート108の通路開口110は、ヘッド114に対して概ね中央に位置している(ヘッド114は、ガス吐出ポート108の縦方向の軸上を概ね中心にして配置されている)。さらに、ヘッド114は1つまたは複数の開口130を含み、それらは通路開口110と重ならないように配置されている。密閉要素112が通気位置に位置している場合、半径方向のリテーナ128eのフックは、半径方向のスロット118dの棚の上に載っており、また、ヘッド114は通路開口110の下方にぶら下がっており、ポリウレタンシステムの発熱反応によって生成された過剰のCO
2および他のガス、ならびに型102の中に存在している空気は、1つまたは複数の開口130の中に入り、型102の内部表面104とヘッド114の内部表面136との間を流れて、ガス吐出ポート108を通って型102から出ることができる。ポリウレタンシステムが型空洞106の中で反応して膨張すると、ポリウレタンシステムは、層18を型102の内部表面104に向かって押し付ける。層18は、密閉要素112のヘッド114を型102の内部表面104に押し付け、開口130が密閉され/塞がれ、したがって通路開口110が密閉され/塞がれ、密閉要素112のヘッド114が係合して通気孔システムが閉ざされる。
【0047】
図4Cは、棚付き118aガス吐出ポート108と、円形の輪郭を単一ステム116の近位端に有し、また、クリスマスツリー状リテーナ128aをそのステム116の遠位端に有するヘッド114を含む密閉要素112とを有するアセンブリ100の例のクローズアップ横断面図である。
図1の例と同様、クリスマスツリー状リテーナ128aは、ガス吐出ポート108内で保持要素/棚118aと協働し、すなわちその近位端でガス吐出ポート108の直径D
PMが小さくなっている。この例では、ガス吐出ポート108の通路開口110には、傾斜が付けられた縁を使用してくぼみが付けられている。さらに、円形の輪郭を有するヘッド114は、ガス吐出ポート108のくぼみが付けられた通路開口110の傾斜が付けられた縁と合致するように輪郭化される外縁を有している。当然、本開示は、くぼみが付けられた通路開口110の縁が密閉要素112のヘッド114の外部輪郭と合致する様々なこのような例を企図している。
【0048】
さらに
図4Cを参照すると、密閉要素112は、型102の中のガス吐出ポート108内で移動可能に係合されている。型102を使用している間、層18をその上に有する発泡材コア12が膨張して、密閉要素112を通気位置(重力を介してぶら下がり、クリスマスツリー状リテーナ128aの円錐スカートの底部がガス吐出ポート108内の保持要素/棚118aの上で静止している)から閉位置へ押し付け、密閉要素112のヘッド114、ステム116およびクリスマスツリー状リテーナ128aが、密閉要素112のヘッド114が通路開口110を気密密閉して、ガス吐出ポート108を閉じるよう、上に向かって付勢される。
【0049】
次に
図4Dを参照すると、棚付き118aガス吐出ポート108と、円形の輪郭を単一ステム116の近位端に有し、また、弓形リテーナ128dをそのステム116の遠位端に有するヘッド114を含む密閉要素112とを有するアセンブリ100の例のクローズアップ横断面図が図解されている。
図4Cの例と同様、弓形リテーナ128dは、ガス吐出ポート108内で保持要素/棚118aと協働する。この例では、ガス吐出ポート108の通路開口110にはくぼみが付けられており、くぼみは、縁が直角の円形の輪郭を有している。ヘッド114は円形の輪郭を有しており、この輪郭は、くぼみが付けられた通路開口110の円形の周囲を越えて展開している。本開示は、ヘッド114が通路開口110(くぼみが付けられている、あるいはくぼみが付けられていない)の周囲と合致せず、通路開口110を超えて展開し、約0.1mmから約10mmまで、別法としては約1mmから約5mmの距離だけ通路開口110の周囲を越えて展開している様々な例を企図している。
【0050】
さらに
図4Dを参照すると、密閉要素112は、型102の中のガス吐出ポート108内で移動可能に係合されている。型102を使用している間、層18をその上に有する発泡材コア12が膨張して、密閉要素112を通気位置(重力を介してぶら下がり、弓形リテーナ128dの底部がガス吐出ポート108内の保持要素/棚118aの上で静止している)から閉位置へ押し付け、密閉要素112のヘッド114、ステム116および弓形リテーナ128dが、密閉要素112のヘッド114が通路開口110を気密密閉して、ガス吐出ポート108を閉じるよう、上に向かって付勢される。
【0051】
次に
図4Eを参照すると、棚付き118aガス吐出ポート108と、円形の輪郭を単一ステム116の近位端に有し、また、弓形リテーナ128dをそのステム116の遠位端に有するヘッド114を含む密閉要素112とを有するアセンブリ100の例のクローズアップ横断面図が図解されている。
図4Eは、
図4Dの例と全く同様であるが、密閉要素112は、より剛直な重合体(したがって
図4Dとは異なるハッシング)から形成されており、また、ヘッド114は、閉位置に位置している場合、密閉材(O-リング132)と協働して通路開口110を密閉し、ガス吐出ポート108を閉じる。
図4Eに示されているO-リング132は、
図4Eに示されているように型102の内部表面104に配置されるのではなく、ヘッド114の内部表面136に配置されることが可能であることを認識されたい。
【0052】
次に
図4Fを参照すると、棚付き118aガス吐出ポート108と、円形の輪郭を単一ステム116の近位端に有し、また、クリスマスツリー状リテーナ128aをそのステム116の遠位端に有するヘッド114を含む密閉要素112とを有するアセンブリ100の例のクローズアップ横断面図が図解されている。この例では、クリスマスツリー状リテーナ128aは、6つの円錐スカートを有している(
図4Cの密閉要素112のクリスマスツリー状リテーナ128aの3つの円錐スカートとは対照的に)。クリスマスツリー状リテーナ128aは、ガス吐出ポート108内で保持要素/棚118aと協働している。さらに、ガス吐出ポート108の通路開口110にはくぼみが付けられており、くぼみは、縁が直角の円形の輪郭を有している。ヘッド114は円形の輪郭を有しており、この輪郭は、くぼみが付けられた通路開口110の円形の周囲を越えて展開している。
【0053】
さらに
図4Fを参照すると、密閉要素112は、型102の中のガス吐出ポート108内で移動可能に係合されている。密閉要素112は、通気位置において重力を介して所定の位置に保持されている。型102を使用している間、層18をその上に有する発泡材コア12が膨張して、密閉要素112を通気位置(重力を介してぶら下がり、クリスマスツリー状リテーナ128aの円錐スカートの底部がガス吐出ポート108内の保持要素/棚118aの上で静止している)から閉位置へ押し付け、密閉要素112のヘッド114、ステム116およびクリスマスツリー状リテーナ128aが、密閉要素112のヘッド114が通路開口110を気密密閉して、ガス吐出ポート108を閉じるよう、上に向かって付勢される。
【0054】
次に
図4Gを参照すると、棚付き118aガス吐出ポート108と、円形の輪郭を単一ステム116の近位端に有し、また、クリスマスツリー状リテーナ128aをそのステム116の遠位端に有するヘッド114を含む密閉要素112とを有するアセンブリ100の例のクローズアップ横断面図が図解されている。この例では、クリスマスツリー状リテーナ128aは、2つの円錐スカートを有している(
図4Fの密閉要素112のクリスマスツリー状リテーナ128aの6つの円錐スカートとは対照的に)。
図4Fの例と同様、クリスマスツリー状リテーナ128aは、ガス吐出ポート108内で保持要素/棚118aと協働している。この例では、ガス吐出ポート108の通路開口110にはくぼみが付けられており、くぼみは、縁が直角の円形の輪郭を有している。さらに、ヘッド114は円形の周囲を有しており、この周囲は、くぼみが付けられた通路開口110の円形の周囲を越えて展開している。
【0055】
さらに
図4Gを参照すると、密閉要素112は、型102の中のガス吐出ポート108内で移動可能に係合されている。型102を使用している間、層18をその上に有する発泡材コア12が膨張して、密閉要素112を通気位置(重力を介してぶら下がり、クリスマスツリー状リテーナ128aの円錐スカートの底部がガス吐出ポート108内の保持要素/棚118aの上で静止している)から閉位置へ押し付け、密閉要素112のヘッド114、ステム116およびクリスマスツリー状リテーナ128aが、密閉要素112のヘッド114が通路開口110を気密密閉して、ガス吐出ポート108を閉じるよう、上に向かって付勢される。
【0056】
図4Hの例のアセンブリ100は、棚付き118aガス吐出ポート108と、円形の輪郭を単一ステム116の近位端に有し、また、クリスマスツリー状リテーナ128aをそのステム116の遠位端に有するヘッド114を含む密閉要素112とを含む。
図4Hのアセンブリ100は、O-リング132が通路開口110の周囲の周りの、型102の内部表面104に埋め込まれている点を除き、
図4Fのアセンブリ100と全く同様である。
図4Hは、また同様にO-リング132を利用している。閉位置では、密閉要素112のヘッド114がO-リング132に寄りかかり、密閉要素112のヘッド114が閉位置に位置した際の気密密閉を容易にする。いくつかの例では、密閉要素112は、ばねなどのバイアス化要素134を介して通気位置に保持されるか、あるいはバイアスされる。
図4Iの例のアセンブリ100は、棚付き118aガス吐出ポート108と、円形の輪郭を単一ステム116の近位端に有し、また、クリスマスツリー状リテーナ128aをそのステム116の遠位端に有するヘッド114を含む密閉要素112とを含む。
図4Iのアセンブリ100は、通気位置では、ヘッド114の内部表面136と、くぼみが付けられた通路開口110の底部表面138との間に配置されているばね134を使用して、密閉要素112にばね荷重が掛けられる(重力荷重が掛けられるのではなく)点を除き、
図4Hのアセンブリ100と全く同様である。
図4Jのアセンブリ100は、
図4Jのクリスマスツリー状リテーナ128aが
図4Iのクリスマスツリー状リテーナ128aに含まれている6つの円錐スカートではなく、3つの円錐スカートしか含んでいない点を除き、
図4Iのアセンブリ100と全く同様である。
【0057】
図4A~
図4Mの例の任意の要素を混合し、かつ、整合させて、本開示のアセンブリ100に到達することができることを認識されたい。そのために、本明細書において開示され、また、企図されている様々な密閉要素112に、重力荷重またはばね荷重を掛けることができる。いずれにせよ、とりわけ密閉要素112に重力荷重が掛けられる例では、密閉要素112の重量を変えることができる。
【0058】
様々な例では、密閉要素112の重量は、約0.2グラムより重く、約0.3グラムより重く、約0.4グラムより重く、約0.5グラムより重く、約0.2グラムから約30グラム、約0.4グラムから約15グラム、または約0.5グラムから約10グラムである。様々な非制限の例において、上で説明した値およびそれらの間の値を含むすべての値および値の範囲は、ここにおいて、本明細書における使用が明確に企図されている。
【0059】
図4Kのアセンブリ100は、密閉要素112がファスナー(fastener)140、例えばフック(ヘッド114の上にループを有するフック)、付着材、等々をそのヘッド114の外部表面に含む点を除き、
図4Hのアセンブリ100と全く同様である。ファスナー140は、層18と解放可能に接続するように構成されている。したがって、ファスナー140は、アセンブリ100を使用している間、複合物品10の層18と密閉要素112との間の接触を容易にしている。言い換えると、この例では、ファスナー140(またはそのフック)は層18に取り付けられ、したがって型の蓋が開き/係合が解除されると、層18によってフックが引っ張られ、それにより、密閉要素112のヘッド114が通路開口110から引っ張り離され、型102の次の使用のための準備として通気が開かれるよう、密閉要素112がガス吐出ポート108から引っ張り下ろされることになる。
【0060】
層と解放可能に接続するように構成されるヘッド114の外部表面142にフックファスナー(例えばVelcro(登録商標)様表面)を含むこの概念は、本明細書において説明されている任意の例示的密閉要素112に使用することができることを認識されたい。
【0061】
図4Lのアセンブリ100は、
図4Lの密閉要素112が、直線ではなく、曲線が付けられた、すなわち弓のように曲げられたヘッド114を含む点を除き、
図4Hのアセンブリ100と全く同様である。弓のように曲げられたヘッド114は、ヘッド114から圧力が解放されると密閉を破壊することになる。アセンブリ100を使用している間、ヘッド114のこの例は、曲線を介してヘッド114に付与される弾性を介して、ヘッド114の内部表面136と型102の内部表面104との間の接触および頑丈な気密密閉を容易にする。
図4Lのアセンブリ100は、
図4Mのクリスマスツリー状リテーナ128aが
図4Lのクリスマスツリー状リテーナ128aに含まれている6つの円錐スカートではなく、3つの円錐スカートしか含んでいない点を除き、
図4Mのアセンブリ100と全く同様である。本明細書において開示され、また、企図されている様々な密閉要素112は、様々な厚さを有するヘッド114を有する密閉要素112を有することができることを認識されたい。密閉要素112の重量は、型102圧力に鑑みて、密閉要素112が機能するためには重要であるため、厚さは性能に影響を及ぼす。重合体の密閉要素(例えばシリコーンを含む)に関して、1mmの厚さを有するヘッド114は軽すぎて、通気孔が早期に閉じる原因になり、その結果、型空洞106が過少充填になり、そのため品質が悪い複合物品10(例えばシートクッション)がもたらされ、さらには複合物品10の廃棄をもたらすことになり得る。しかしながら、厚さが2mm、3mmまたは4mmのシリコーンを有するヘッド114は、良好に働いて高い品質の複合物品10を製造する。
【0062】
ヘッド114は、典型的には0.25mmより分厚い厚さを有している。しかしながら、様々な例では、ヘッド114は、約0.25mmから約6mm、約0.5mmから約4mm、約1.5mmから約4mm、約0.75mmから約3mm、約1.5mmから約3mmの厚さを有している。次に
図9A~
図9Dを参照すると、1mmの厚さ(9A)、2mmの厚さ(9B)、3mmの厚さ(9C)および4mmの厚さ(9D)を有するヘッド114を有する密閉要素112が図解されている。様々な非制限の例において、上で説明した厚さの値およびそれらの間の厚さの値を含むすべての値およびその範囲は、ここにおいて、本明細書における使用が明確に企図されている。
【0063】
問題解決法の観点から、重力起動である密閉要素112、保持要素118およびガス吐出ポート108の実施形態(密閉要素112は重力を介して通気位置に保持される)は、十分な重量を有しており、また、問題になりがちな型上の電気時限通気の必要性を除去するシリコーンなどのエラストマーを含む。さらに、このような密閉要素112は、長期間にわたる使用を容易にするシリコーンなどのエラストマーと関連した摩擦係数および表面エネルギーなどの表面特性を示し、そのため、密閉要素112のこのような実施形態は、ガス吐出ポート108と移動可能に係合した状態を維持し、また、複数の使用サイクルにわたって有効に機能する。単純に言えば、このような係合要素は、べとべとになることなく、また、通気問題の原因、延いては複合物品10の品質問題の原因になることなく、長い期間にわたって有効に働く。
【0064】
次に
図6を参照すると、アセンブリ100を使用して形成された複合物品10がまた、本明細書において開示されている。
図7は、線6-6に沿って示された
図6の複合物品10の横断面図である。複合物品10は、第1の表面14および第1の表面14の反対側に面している第2の表面16を提供する発泡材コア12を含む。複合物品10の発泡材コア12は、典型的にはポリウレタンを含み、ポリウレタン発泡材コア12と呼ぶことも可能である。したがって、様々なポリウレタン発泡材およびシステムが上述されている。
【0065】
次に
図6を参照すると、複合物品10はまた、層18を含む。層18は、天然繊維および/または合成繊維から構成される布地および単片重合材料を含む様々な材料を含むことができる。層18は、透過性膜または不透過性(非透過性)膜、織られた、または織られていない膜、あるいは重合膜であってもよい。
【0066】
当然、層18は複数の副層を含むことができる。副層が含まれる場合、副層は、組成的に同じであっても、あるいは組成的に異なっていてもよい。さらに、副層は、透過性であっても、あるいは不透過性であってもよい。当然、副層は、織られていても、あるいは織られていなくてもよい。
【0067】
いくつかの例では、層18は透過性である。すなわち層18は、ガスを通過させることができる。形成が必要である場合、織られた透過性層18が好ましい。
【0068】
他の例では、層18は不透過性である。不透過性層を利用して、シート通気システムと協働して空気を含有することができる。このような不透過性層は、しばしば二重積層物(2つの副層を含む)または三重積層物(3つの副層を含む)である。当然、副層は、織られていても、あるいは織られていなくてもよい。
【0069】
層18が不透過性であるいくつかの例では、層18は、ガスの適切な流出および型102の適切な通気を提供するための様々なスリット、孔および切欠きを含むことができる。他の例では、層18の縁で空気の流れが生じる。さらに、ガスの流出および型102の通気をさらに容易にするために、縁通気およびネットワーク通気(既に説明した)などの様々な通気特徴を型102に組み込むことができる。
【0070】
織られた層および織られていない層は、いずれも典型的には透過性である。層または副層を形成している材料の膜すなわち薄い固体シートは不透過性である。不透過性である層18の例は、典型的には、重合膜層を含む複数の層を含む積層物を備えている。いくつかの例では、重合膜層は、2つの織られていない層の間に挟まれている。型表面と接触している織られていない層を使用して、ガスを通気孔に伝達することができ、一方、発泡材コア側の織られていない層は、発泡材コア12への層18の結合を強化することになる。
【0071】
不透過性である場合、1つまたは複数の膜であってもよい層18は様々な目的で働く。1つの目的は、層18を発泡材コア12に良好に付着させ、その一方でシートフレーム全体にわたる層18の静かな摺動を可能にすることであってもよい。層18が膜を含んでおり(したがって不透過性であり)、また、織られた、または織られていない副層を含んでいない場合、通気には、ガスを通気孔へ移送することが必要になる。ネットワーク通気孔が存在していない場合、層18は、発泡材コア12が型102を加圧すると、型102の内部表面104を封じ込めることになり、ガス移送/通気を停止する。
【0072】
様々な例では、層18の面積当たりの重量は、約100g/m
2(gsm)から約800g/m
2(gsm)、約140g/m
2(gsm)から約650g/m
2(gsm)、または約140g/m
2(gsm)から450g/m
2(gsm)である。層18は、様々な剛性を有することができ、また、典型的には
図10に図解されているように幾分か硬い。様々な非制限の例において、上で説明した値およびそれらの間の値を含む、層18の面積当たりの重量に対するすべての値および値の範囲は、ここにおいて、本明細書における使用が明確に企図されている。
【0073】
発泡材コア12および層18を含む複合物品10をアセンブリ100を使用して成形する方法が、また、本明細書において開示される。アセンブリ100および複合物品10は上で説明した通りである。
【0074】
方法は、型102(上で説明した通り)を用意するステップと、1つまたは複数の密閉要素112(上で説明した通り)を用意するステップと、1つまたは複数の密閉要素112の各々を1つまたは複数の保持要素118の各々と係合させ、それにより密閉要素を通気位置で型の中に保持するステップと、層18を型102の中に挿入するステップと、ポリウレタンシステムを型102の中に注入するステップと、発泡材コア12を形成するべくポリウレタンシステムを反応させるステップであって、型空洞106内におけるポリウレタンシステムの成分の発熱反応および膨張により、層18を1つまたは複数の密閉要素112の中へ押し込み、密閉要素112のヘッド114がガス吐出ポート108を気密密閉してさらなる通気を防止し、複合物品10を形成するよう、1つまたは複数の密閉要素112を通気位置から閉位置へ移動させる、ステップとを含む。
【0075】
いくつかの例では、方法は、第1の部分および第2の部分の係合を解除し、第1の部分および第2の部分120、122を開位置へ移動させ、それにより型102の内部表面104を露出するステップを含む。開くと、層18(および任意の追加層)が型102の中に挿入される。本開示の通気システムによれば、層18の範囲全体を通して通気することができる。有利には、本複合物品10の多くの例は、複合物品10の周囲全体または一部にわたって、見切り線124から約10mm、9mm、8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mm、2mmの範囲内で展開している層18を含む。
【0076】
さらに、1つまたは複数の密閉要素112およびガス吐出ポート108により、本開示の通気システムは、一切の追加の縁部通気および/またはネットワーク通気を必要とすることなく、型を完全に通気することができる。このような例では、見切り線124を層18から離れる方向に移動させることができ、また、型102の側壁126の内部表面104で低くすることができる。型空洞106の下側の部分の負の通風を除去することができるため、これは有利な処理である。見切り線124が従来の通気孔(リボン)を含んでいる場合、これらの通気孔を高くして、通気ロールの働きをさせなければならない。見切り線124を型102の側壁の内部表面104で下方に移動させると、見切り線124はまた層18の縁から離れる方向に移動する。層18の縁が見切り線124に引っ掛かると、ばりまたはスクラップが結果として生じる。
【0077】
様々な例では、層18の縁と見切り線124との間の最短距離は、層18のタイプ(例えば布地のタイプ)および層18の寸法品質(成形、例えばダイ切断によって生じる)で決まる。単位面積当たりの重量がより重い層18には「より硬くなる」傾向があり、また、形成された状態および形成されていない状態の両方で、寸法的によりばらつきがない傾向がある。織られた布地または点結合布地などの層18には、織られていない布地などの層18より寸法的によりばらつきがない傾向があるが、それと同時に(複合物品10の外部表面の曲線に対応するための)より深い引抜きの形成において不良である。膜を含んだ追加層は、成形プロセスの間、寸法的安定性の提供を促進するため、積層された膜などの追加層と共に使用される布地などの層18(例えば二重積層物または三重積層物)は寸法的にばらつきがない。上記にもかかわらず、寸法の変化によって層18が見切り線124の中まで展開し、成形プロセスを損ない得るため、層18は、典型的には見切り線124までは展開していない。
【0078】
複合物品10および複合物品10の寸法的完全性は、自動車シートなどの用途における適合および機能に対して重大であることを認識されたい。したがって、成形中に見切り線124が存在した部分で必要な複合物品10のいかなるトリミングも、複合物品10または製品、例えば複合物品10が含まれているシートの重大な品質問題をもたらす可能性を有する変化をもたらす。本開示の通気システムにより、見切り線124通気を除去することができ、したがって見切り線124通気およびリボン通気孔、またはそれらと共に広く使用されている溝に関連する品質問題を除去することができる。
【0079】
ポリウレタンシステムを反応させるステップに先立って型102を閉じること、すなわち第1の部分および第2の部分120、122を係合させることができる。当然のことながら、本明細書における方法を使用して形成される複合物品10は、上で説明したようにしてもたらされ、また、開示される。
【0080】
図8A~
図8Dは、ガス吐出ポート108内で移動可能に係合した密閉要素112の拡大隔離横断面図を示す一連の略図であり、図の各々は、本明細書において開示される方法の例の様々な態様を説明している。
図8Aでは、密閉要素112は、通気位置において型102の中のガス吐出ポート108内で移動可能に係合されている。より詳細には、リテーナ128a(クリスマスツリー状)は棚118a(保持要素118)と係合され、また、ヘッド114はガス吐出ポート108の通路開口110との係合が解除されている。ヘッド114の弓形の形は、ヘッド114によるガス吐出ポート108の通路開口110の早すぎる密閉/係合を防止している。
【0081】
図8Aでは、密閉要素112は重力を介してぶら下がっており、クリスマスツリー状リテーナ128aの円錐スカートの底部は、ガス吐出ポート108内の棚118aの上で静止している。
図8Bは、密閉要素112が通気位置に位置している場合の、ガス吐出ポート108を通るガスの流れをダッシュ線で示したものである。
図8Cは、閉位置における密閉要素112を図解したものである。すなわち
図8Cは、発泡材コア12が反応し/膨張した後を図解したものであり、発泡材コア12の上の層18は、密閉要素112のヘッド114が閉位置に位置して通路開口110を気密密閉し、ガス吐出ポート108を閉じて、ガス吐出ポート108を通るガスの流れを防止するよう、密閉要素112のヘッド114、ステム116およびクリスマスツリー状リテーナ128aを上に向かって押し上げている。
図8Cでは、通路開口110には、型102の内部表面104の中へくぼみ(すなわち凹み、切欠き)が付けられている。したがって、ガス吐出ポート108への入口は、密閉要素112のヘッド114がくぼみ/凹みの中に位置して、複合物品10の表面の欠陥を防止する、すなわち複合物品10の層18における沈んだスポットの生成を回避するよう、型102の内部表面104の中へ凹まされている。
図8Dでは、複合物品10は型102から除去されており、密閉要素112は通気位置に位置し、型102はいつでも使用することができる。
【0082】
本明細書において説明されている方法ステップの多くは、米国特許第7,481,637号に含まれており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0083】
添付の特許請求の範囲は、発明を実施するための形態の中で説明された、明示された任意の特定の化合物、組成または方法に限定されず、それらが添付の特許請求の範囲の範疇である特定の例同士の間で変化し得ることを理解されたい。特定の要素または様々な例の態様を説明するために本明細書において利用されている何らかのMarkushグループに関して、すべての他のMarkush部材に無関係に、それぞれのMarkushグループの個々の部材から、異なる結果、特殊な結果および/または予期しない結果を得ることができることを認識されたい。Markushグループの個々の部材は、個別に、および/または組み合わせて利用して、添付の特許請求の範囲内の特定の例のための適切な支持を提供することができる。
【0084】
また、本開示の様々な例を説明するために利用されている何らかの範囲および副範囲は、独立して、また、集合的に添付の特許請求の範囲の範疇であり、また、それらは、その中に存在している全体の値および/または一部の値が本明細書において明確に書かれていない場合であっても、このような値を含むすべての範囲を記述し、かつ、企図するべく理解されることをも理解されたい。当業者は、列挙されている範囲および副範囲は、本開示の様々な例を十分に説明し、かつ、それらを可能にしており、また、このような範囲および副範囲は、関連する二分の一、三分の一、四分の一、五分の一、等々にさらに細分することができることを容易に認識する。単なる一例として、「0.1から0.9の」範囲は、下側の三分の一、すなわち0.1から0.3、中間の三分の一、すなわち0.4から0.6、および上側の三分の一、すなわち0.7から0.9にさらに細分することができ、これらは、個別に、また、集合的に添付の特許請求の範囲内であり、また、個別に、および/または集合的に利用して、添付の特許請求の範囲内の特定の例のための適切な支持を提供することができる。さらに、範囲を定義し、あるいは修飾している、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」、「以下」、等々などの言語に関しては、副範囲および/または上限あるいは下限を含むことを理解されたい。別の例として、「少なくとも10」の範囲は、少なくとも10から35の副範囲、少なくとも10から25の副範囲、25から35の副範囲、等々を固有に含み、また、個々の副範囲を個別に、および/または集合的に利用して、添付の特許請求の範囲内の特定の例のための適切な支持を提供することができる。最後に、開示されている範囲内の個別の数字を利用して、添付の特許請求の範囲内の特定の例のための適切な支持を提供することができる。例えば「1から9の」範囲は、3などの様々な個別の整数、ならびに4.1などの小数点(または端数)を含む個別の数字を含み、これらを利用して、添付の特許請求の範囲内の特定の例のための適切な支持を提供することができる。
【0085】
以上、本開示について、例証的方法で説明したが、使用された専門用語には、制限のための語の性質ではなく、説明のための語の性質であることが意図されていることを理解されたい。上記の教示に鑑みて、本開示の多くの変更態様および変形形態が可能であることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲内で、明確に説明されている以外の方法で本開示を実践することができることを理解されたい。