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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】合金粉末、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 38/00 20060101AFI20240731BHJP
   H01F 1/057 20060101ALI20240731BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20240731BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20240731BHJP
   B22F 1/05 20220101ALI20240731BHJP
   B22F 1/105 20220101ALI20240731BHJP
   B22F 3/00 20210101ALI20240731BHJP
   B22F 9/04 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
C22C38/00 303D
H01F1/057 110
H01F1/057 180
H01F41/02 G
B22F1/00 Y
B22F1/05
B22F1/105
B22F3/00 C
B22F9/04 C
B22F9/04 E
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021577955
(86)(22)【出願日】2020-04-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-01
(86)【国際出願番号】 SG2020050225
(87)【国際公開番号】W WO2021194415
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】202010217586.2
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520408755
【氏名又は名称】ネオ・パフォーマンス・マテリアルズ(シンガポール)プライヴェト・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NEO PERFORMANCE MATERIALS (SINGAPORE) PTE. LTD.
【住所又は居所原語表記】61 Science Park Road, #01-19 The Galen, Singapore Science Park II, Singapore 117525, Singapore
(73)【特許権者】
【識別番号】521568029
【氏名又は名称】マグネクエンチ・ティアンジン・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MAGNEQUENCH TIANJIN CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 19 Quanzhou Road, Wuqing Development Area, Tianjin 301700, China
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】リム、ヨン・キート
(72)【発明者】
【氏名】ウ、ジェンシェン
(72)【発明者】
【氏名】グ、ミンチー
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ジョンミン
【審査官】河野 一夫
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104625079(CN,A)
【文献】特開平03-066105(JP,A)
【文献】特表2007-524986(JP,A)
【文献】特開昭61-270314(JP,A)
【文献】特開2002-170728(JP,A)
【文献】国際公開第2013/035628(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0076974(US,A1)
【文献】特表2012-533879(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105321646(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103151161(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101894646(CN,A)
【文献】特開2000-234151(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108133800(CN,A)
【文献】Optimization of melt spun RE-Fe-B powder composition for fully dense, high energy magnets,Journal of Applied Physics,2011年04月11日,109
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 38/00
H01F 1/057
H01F 41/02
B22F 1/00
B22F 1/05
B22F 1/105
B22F 3/00
B22F 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
RE-M-B-Fe 式(I)
(式中、
REは、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、イットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、及びイッテルビウム(Yb)からなる群から選択される1つ以上の希土類金属であり、
Mは、ガリウム(Ga)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、及びコバルト(Co)からなる群から選択される1つ以上の金属であり、
Bは、ホウ素(B)であり、かつ、
Feは、鉄(Fe)である)を有し、かつ0.9重量%未満の酸素含有量を有する合金粉末であって、
REは、29.0重量%~33.0重量%の範囲で存在し、
Mは、0.25重量%~1.0重量%の範囲で存在し、
Bは、0.8重量%~1.1重量%の範囲で存在し、かつ、
Feは、残部を構成し、
前記合金粉末が異方性磁性粉末であり、かつ前記異方性磁性粉末が14kOe~20kOeの範囲の保磁力(Hci)値で12kGを超える残留磁気(Br)値を示す、合金粉末。
【請求項2】
前記酸素含有量が0.5重量%~0.6重量%の範囲である、請求項1に記載の合金粉末。
【請求項3】
粒子の最大30%が-325メッシュである、請求項1又は2に記載の合金粉末。
【請求項4】
粒子の30%が-325メッシュであり、かつ粒子の70%が-80メッシュ~-325メッシュである、請求項1~3のいずれか一項に記載の合金粉末。
【請求項5】
前記異方性磁性粉末が15kOeの保磁力(Hci)値で13kGを超える残留磁気(Br)値を示し、17kOeで13kG、19kOeで12.7kG、及び19.5kOeで12.5kGを示す、請求項1~4のいずれか一項に記載の合金粉末。
【請求項6】
REが30.0重量%~32.5重量%の範囲で存在し、Mが0.50重量%~0.75重量%の範囲で存在し、Bが0.9重量%~1.0重量%の範囲で存在し、かつFeが残部を構成する、請求項1~のいずれか一項に記載の合金粉末。
【請求項7】
REが30.40重量%~32.45重量%の範囲で存在し、Mが0.45重量%~0.55重量%の範囲で存在し、Bが0.885重量%~0.945重量%の範囲で存在し、かつFeが残部を構成する、請求項1~5のいずれか一項に記載の合金粉末。
【請求項8】
REが、以下:
(i)Nd、
(ii)Nd、Pr、
(iii)Nd、Pr、La、
(iv)Nd、Pr、Ce、
(v)Nd、Pr、La、Ce、
(vi)Nd、La、
(vii)Nd、Ce、
(viii)Nd、Ce、La、
(ix)Pr、
(x)Pr、La、
(xi)Pr、Ce、及び、
(xii)Pr、La、Ce、
からなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の合金粉末。
【請求項9】
式(I)が、以下:
(i)Nd-Ga-Fe-B、
(ii)Pr-Ga-Fe-B、
(iii)(NdPr)-Ga-Fe-B、
(iv)Nd-Al-Fe-B、
(v)Pr-Al-Fe-B、及び、
(vi)(NdPr)-Al-Fe-B、
からなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の合金粉末。
【請求項10】
合金組成物が、以下:
NdPr-Ga-B-Fe(式中、REが30.45重量%であり、Gaが0.53重量%であり、Bが0.94重量%であり、かつFeが68.08重量%である)、
NdPr-Ga-B-Fe(式中、REが31.45重量%であり、Gaが0.53重量%であり、Bが0.93重量%であり、かつFeが67.09重量%である)、
NdPr-Ga-B-Fe(式中、REが31.9重量%であり、Gaが0.63重量%であり、Bが0.92重量%であり、かつFeが66.55重量%である)、及び、
NdPr-Ga-B-Fe(式中、REが32.4重量%であり、Gaが0.78重量%であり、Bが0.91重量%であり、かつFeが65.91重量%である)、
からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の合金粉末。
【請求項11】
コバルト(Co)が存在しない、請求項1~のいずれか一項に記載の合金粉末。
【請求項12】
ジスプロシウム(Dy)が存在しない、請求項1~7のいずれか一項に記載の合金粉末。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の合金粉末と、エポキシ、ポリアミド、及びポリフェニレンスルフィドからなる群から選択される少なくとも1つのバインダーとを含むボンド磁石。
【請求項14】
RE-M-Fe-B磁性粉末:
(式中、
REはランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、イットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、及びイッテルビウム(Yb)からなる群から選択される1つ以上の希土類金属であり、
Mはガリウム(Ga)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、銅(Cu)、及びアルミニウム(Al)、及びコバルトからなる群から選択される1つ以上の金属であり、
Bはホウ素(B)であり、かつ、
Feは鉄(Fe)であり、
REは、29.0重量%~33.0重量%の範囲で存在し、
Mは、0.25重量%~1.0重量%の範囲で存在し、
Bは、0.8重量%~1.1重量%の範囲で存在し、かつ、
Feは、残部を構成し、
前記磁性粉末が異方性磁性粉末であり、かつ前記異方性磁性粉末が14kOe~20kOeの範囲の保磁力(Hci)値で12kGを超える残留磁気(Br)値を示す)を製造する方法であって、
該方法は、
(a)RE-M-Fe-B合金組成物を溶融紡糸して、溶融紡糸粉末を得る工程と、
(b)工程(a)の前記溶融紡糸粉末をプレスして、圧密体を得る工程と、
(c)工程(b)の前記圧密体を熱間変形して、ダイアップセット磁石を得る工程と、
(d)工程(c)の前記ダイアップセット磁石を破砕して、粉末を得る工程と、
(e)工程(d)の前記粉末を粉砕及び篩別する工程と、
(f)工程(e)の前記粉末を不動態化して、磁性粉末を得る工程と、
を含み、ここで、
工程(d)~工程(f)のそれぞれが低酸素環境下で実施され、かつ工程(d)~工程(f)のそれぞれの間の移送が密封移送であり、
前記低酸素環境の雰囲気の酸素含有量及び各密封移送中の雰囲気の酸素含有量が0.5重量%未満であり、かつ、
前記密封移送が、工程(d)~工程(f)において使用される機器と密封接続する手段と、各工程後に容器から密封収集及び密封放出する手段と、容器中に不活性ガスを供給する手段とを備える容器を使用して実施される、方法。
【請求項15】
工程(c)~工程(f)のそれぞれが低酸素環境下で実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程(e)が、篩別ユニットにおける粉末の滞留時間を引き延ばす手段を備えた前記篩別ユニットにおいて前記粉末を篩別することを含むか、又は
工程(f)が、前記粉末を少なくとも0.25重量%の濃度のリン酸で不動態化することを含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記不活性ガスが、アルゴン、窒素、ヘリウム、及びそれらの混合物からなる群から選択されてよい、請求項1416のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
工程(b)が、
(bi)工程(a)の前記溶融紡糸粉末を冷間プレスする工程と、
(bii)工程(bi)の冷間プレスされた粉末を熱間プレスして、圧密体を形成する工程と、
を含む、請求項1417のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記RE-M-Fe-B磁性粉末の前記酸素含有量が0.9重量%未満であるか、又は
前記RE-M-Fe-B磁性粉末の前記酸素含有量が0.5重量%~0.6重量%の範囲である、請求項1418のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記RE-M-Fe-B磁性粉末が、請求項12のいずれか一項に記載の合金粉末である、請求項1419のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、合金粉末、及び合金粉末を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
希土類磁性合金粉末及びポリマーバインダーから作製された希土類ボンド磁石は、コンピュータハードウェア、自動車、消費者向けエレクトロニクス製品、モーター、及び家電製品を含む非常に多くの用途において使用されている。技術の進歩に伴って、磁気性能が向上した磁石を製造する必要性がますます高まっている。そのため、向上した磁気性能を有し、それを高温で維持することができる希土類磁性合金粉末及びそれらのボンド磁石を製造するプロセスを達成することが望ましい。固有保磁力(Hci)は、磁石の減磁に対する耐性の尺度である。高いHciを有する磁石は、高温及び減磁応力下でその磁気性能を維持することができる。例えば、120℃で磁石の磁気性能を維持するには、概して、17kOeの最小Hciが必要とされる。それにもかかわらず、磁性粉末を製造する現在の方法は十分に高いHci値を達成することができない場合がある。
【0003】
従来、ジスプロシウム(Dy)等の重希土類金属を磁性合金粉末に含めることでHciを向上させているが、Dyのコストが高いため、特に大規模な磁性粉末の製造においてDyを使用することは現実的ではない。
【0004】
水素化-不均化-脱水素-再結合(HDDR)法を使用して、重希土類金属を使用せず、その代わりに特別な粒界拡散熱処理工程を使用することに頼って磁性合金粉末を製造することができる。しかしながら、所望の耐熱性を示す磁性合金粉末を製造するには、そのような方法は依然として不十分である。
【0005】
他方で、磁性合金粉末に軽希土類金属分をより多く配合するほど、より高いHciを得ることができることが知られているが、より高い軽希土類金属分は得られる磁性合金粉末の化学的安定性を低下させる場合もある。この理由は、軽希土類金属が、特に微粉末では酸化されやすいからである。さらに、磁性合金粉末における軽希土類金属の割合を増やすと粉末の可燃性も高まることから、その使用は安全ではない。これは磁性粉末の輸送及び取り扱いに際してのリスクも増大させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、上述した欠点の1つ以上を克服するか、又は少なくとも改善する磁性合金粉末、及び磁性合金粉末を形成する方法を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によれば、本開示は、式(I):
RE-M-B-Fe 式(I)
(式中、
REは、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、イットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、及びイッテルビウム(Yb)からなる群から選択される1つ以上の希土類金属であり、
Mは、ガリウム(Ga)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、及びコバルト(Co)からなる群から選択される1つ以上の金属であり、
Bは、ホウ素(B)であり、かつ、
Feは、鉄(Fe)である)を有し、かつ0.9重量%未満の酸素含有量を有する合金粉末であって、
REは、29.0重量%~33.0重量%の範囲で存在し、
Mは、0.25重量%~1.0重量%の範囲で存在し、
Bは、0.8重量%~1.1重量%の範囲で存在し、かつ、
Feは、残部を構成する、合金粉末に関する。
【0008】
有利なことには、合金粉末は低い酸素含有量を有し、それにより合金粉末の磁気特性が向上し、例えば、高い残留磁気(Br)値及びHci値を有する合金粉末が得られる。
【0009】
有利なことには、合金粉末は、約14kOe~約20kOeの範囲のHci値で12kGを超えるBr値を示してよい。
【0010】
更に有利なことには、合金粉末にコバルト(Co)及び/又はジスプロシウム(Dy)が存在しないことが可能である。これは、Hciを向上させるコストのかかるコバルト(Co)及び/又はジスプロシウム(Dy)等の重希土類金属の配合に頼る他の合金粉末からの脱却である。したがって、本開示の合金粉末は、実質的により費用効果が高くなり得る。
【0011】
第2の態様によれば、本開示は、本明細書中で開示した合金粉末と、エポキシ、ポリアミド、及びポリフェニレンスルフィドからなる群から選択される少なくとも1つのバインダーとを含むボンド磁石に関する。
【0012】
第3の態様によれば、本開示は、RE-M-Fe-B磁性粉末:
(式中、
REはランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、イットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、及びイッテルビウム(Yb)からなる群から選択される1つ以上の希土類金属であり、
Mはガリウム(Ga)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、銅(Cu)、及びアルミニウム(Al)、及びコバルトからなる群から選択される1つ以上の金属であり、
Bはホウ素(B)であり、かつ、
Feは鉄(Fe)である)を製造する方法であって、
該方法は、
(a)RE-M-Fe-B合金組成物を溶融紡糸(melt-spinning:メルトスピニング)して、溶融紡糸粉末を得る工程と、
(b)工程(a)の溶融紡糸粉末をプレスして、圧密体を得る工程と、
(c)工程(b)の圧密体を熱間変形して、ダイアップセット磁石を得る工程と、
(d)工程(c)のダイアップセット磁石を破砕して、粉末を得る工程と、
(e)工程(d)の粉末を粉砕及び篩別する工程と、
(f)工程(e)の粉末を不動態化して、磁性粉末を得る工程と、
を含み、ここで、
工程(d)~工程(f)のそれぞれが低酸素環境下で実施され、かつ工程(d)~工程(f)のそれぞれの間の移送が密封移送であり、かつ、
低酸素環境の酸素含有量及び各密封移送中の酸素含有量が0.5重量%未満である、方法に関する。
【0013】
本明細書中で開示した方法により、有利なことには、0.9重量%未満等の低い酸素含有量を有する合金粉末を得ることができ、その低い酸素含有量は、金属酸化による磁気特性の損失を低減し、ひいては磁性粉末のHci及びBr等の磁気特性が向上するので望ましい。
【0014】
有利なことには、本明細書中で開示した方法により、有利なことには、微粉末(例えば、-325メッシュ粉末)の割合が減少した磁性粉末を得ることもできる。磁性粉末中に微粉末が存在すると、より不良な磁気特性がもたらされるため、微粉末の割合を減らすことは有利である。
【0015】
また、有利なことには、本明細書中で開示した方法により、より酸化されにくく、危険でなく、輸送及び取り扱いに対して安全であることを可能にする磁性粉末を得ることができる。
【0016】
定義
本明細書中で使用する以下の用語は、以下の意味を有するものとする。
【0017】
用語「実質的に」は、「完全に」を除外するものではなく、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まなくてもよい。必要に応じて、用語「実質的に」は、本発明の定義から除外することができる。
【0018】
特段の指示のない限り、用語「含んでいる(comprising)」及び「含む(comprise)」、並びにその文法的変化形は、列挙した要素を含むだけでなく、追加の、非列挙の要素を含むことも許容するような「開放的」又は「包含的」な言葉を表すことを意図している。
【0019】
配合物の成分の濃度と関連して本明細書中で使用する用語「約」は、典型的には言及した値の+/-5%、より典型的には言及した値の+/-4%、より典型的には言及した値の+/-3%、より典型的には言及した値の+/-2%、更に典型的には言及した値の+/-1%、更に典型的には言及した値の+/-0.5%を意味する。
【0020】
本開示を通して、或る特定の実施形態が、範囲の形式で開示される場合がある。範囲の形式での記載は、単に便宜及び簡略のためであり、開示された範囲において変更できない限界値として解釈するべきではないと理解される。したがって、範囲の記載は、具体的に開示された全ての可能な下位範囲と、その範囲内の個々の数値とを有すると考えるべきである。例えば、1~6という範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等の具体的に開示された下位範囲と、その範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、4、5、及び6とを有すると考えるべきである。これは、範囲の幅に関わらず、適用される。
【0021】
或る特定の実施形態は、本明細書に広く一般的に記載されてもよい。一般的開示に含まれるより狭い種及び亜属群(subgeneric groupings)のそれぞれも本開示の一部を形成する。これは、削除される事柄が本明細書で具体的に挙げられているか否かに関わらず、その属から任意の対象を除く条件又は否定的な限定を伴う実施形態の一般的記載を含む。
【0022】
実施形態の詳細な開示
本発明は、式(I):
RE-M-B-Fe 式(I)
(式中、
REは、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、イットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、及びイッテルビウム(Yb)からなる群から選択される1つ以上の希土類金属であり、
Mは、ガリウム(Ga)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、及びコバルト(Co)からなる群から選択される1つ以上の金属であり、
Bは、ホウ素(B)であり、かつ、
Feは、鉄(Fe)である)を有し、かつ0.9重量%未満の酸素含有量を有する合金粉末であって、
REは、29.0重量%~33.0重量%の範囲で存在し、
Mは、0.25重量%~1.0重量%の範囲で存在し、
Bは、0.8重量%~1.1重量%の範囲で存在し、かつ、
Feは、残部を構成する、合金粉末を提供する。
【0023】
開示した合金粉末は、約0.9重量%未満、約0.8重量%未満、約0.7重量%未満、約0.6重量%未満、約0.5重量%未満、約0.4重量%未満、約0.3重量%未満、約0.2重量%、又は約0.1重量%未満の酸素含有量を有してよい。開示した合金粉末は、約0.5重量%~約0.6重量%、約0.51重量%~約0.6重量%、約0.52重量%~約0.6重量%、約0.53重量%~約0.6重量%、約0.54重量%~約0.6重量%、約0.55重量%~約0.6重量%、約0.56重量%~約0.6重量%、約0.57重量%~約0.6重量%、約0.58重量%~約0.6重量%、約0.59重量%~約0.6重量%、約0.5重量%~約0.59重量%、約0.5重量%~約0.58重量%、約0.5重量%~約0.57重量%、約0.5重量%~約0.56重量%、約0.5重量%~約0.55重量%、約0.5重量%~約0.54重量%、約0.5重量%~約0.53重量%、約0.5重量%~約0.52重量%、約0.5重量%~約0.51重量%の範囲、約0.5重量%、約0.51重量%、約0.52重量%、約0.53重量%、約0.54重量%、約0.55重量%、約0.56重量%、約0.57重量%、約0.58重量%、約0.59重量%、約0.6重量%、約0.61重量%、約0.62重量%、約0.63重量%、約0.64重量%、約0.65重量%、約0.66重量%、約0.67重量%、約0.68重量%、約0.69重量%、約0.7重量%、約0.71重量%、約0.72重量%、約0.73重量%、約0.74重量%、約0.75重量%、約0.76重量%、約0.77重量%、約0.78重量%、約0.79重量%、約0.8重量%、約0.81重量%、約0.82重量%、約0.83重量%、約0.84重量%、約0.85重量%、約0.86重量%、約0.87重量%、約0.88重量%、約0.89重量%、又は約0.9重量%の酸素含有量を有してよい。上記範囲は、指定された範囲(複数の場合もある)内のあらゆる下位範囲又は離散値(整数(whole number)である場合もそうでない場合もある)を含み、対応するものとして解釈されるべきであることを理解されたい。
【0024】
合金粉末中のRE、すなわち希土類金属含有量は、約29.0重量%~約33.0重量%、約29.5重量%~約33.0重量%、約30.0重量%~約33.0重量%、約30.5重量%~約33.0重量%、約31.0重量%~約33.0重量%、約31.5重量%~約33.0重量%、約32.0重量%~約33.0重量%、約32.5重量%~約33.0重量%、約29.0重量%~約32.5重量%、約29.0重量%~約32.0重量%、約29.0重量%~約31.5重量%、約29.0重量%~約31.0重量%、約29.0重量%~約30.5重量%、約29.0重量%~約30.0重量%、約29.0重量%~約29.5重量%、約30.0重量%~約32.5重量%、約30.40重量%~約32.45重量%、約30.5重量%~約32.5重量%、約31.0重量%~約32.5重量%、約31.5重量%~約32.5重量%、約32.0重量%~約32.5重量%、約30.0重量%~約32.0重量%、約30.0重量%~約31.5重量%、約30.0重量%~約31.0重量%、約30.6重量%~約31.8重量%、約30.7重量%~約31.8重量%、約30.8重量%~約31.8重量%、約30.9重量%~約31.8重量%、約31.0重量%~約31.8重量%、約31.1重量%~約31.8重量%、約31.2重量%~約31.8重量%、約31.3重量%~約31.8重量%、約31.4重量%~約31.8重量%、約31.5重量%~約31.8重量%、約31.6重量%~約31.8重量%、約31.7重量%~約31.8重量%、約30.6重量%~約31.7重量%、約30.6重量%~約31.6重量%、約30.6重量%~約31.5重量%、約30.6重量%~約31.4重量%、約30.6重量%~約31.3重量%、約30.6重量%~約31.2重量%、約30.6重量%~約31.1重量%、約30.6重量%~約31.0重量%、約30.6重量%~約30.9重量%、約29.0重量%~約29.5重量%の範囲、約29.0重量%、約29.5重量%、約30.0重量%、約30.45重量%、約30.5重量%、約30.6重量%、約30.7重量%、約30.8重量%、約30.9重量%、約31.0重量%、約31.1重量%、約31.2重量%、約31.3重量%、約31.4重量%、約31.45重量%、約31.5重量%、約31.6重量%、約31.7重量%、約31.8重量%、約31.9重量%、約32.0重量%、約32.4重量%、約32.5重量%、又は約33.0重量%であってよい。上記範囲は、指定された範囲(複数の場合もある)内のあらゆる下位範囲又は離散値(整数である場合もそうでない場合もある)を含み、対応するものとして解釈されるべきであることを理解されたい。
【0025】
合金粉末中のMは、約0.25重量%~約1.0重量%、約0.3重量%~約1.0重量%、約0.35重量%~約1.0重量%、約0.4重量%~約1.0重量%、約0.45重量%~約1.0重量%、約0.5重量%~約1.0重量%、約0.55重量%~約1.0重量%、約0.6重量%~約1.0重量%、約0.65重量%~約1.0重量%、約0.7重量%~約1.0重量%、約0.75重量%~約1.0重量%、約0.8重量%~約1.0重量%、約0.85重量%~約1.0重量%、約0.9重量%~約1.0重量%、約0.95重量%~約1.0重量%、約0.25重量%~約0.95重量%、約0.25重量%~約0.90重量%、約0.25重量%~約0.85重量%、約0.25重量%~約0.80重量%、約0.25重量%~約0.75重量%、約0.25重量%~約0.70重量%、約0.25重量%~約0.65重量%、約0.25重量%~約0.60重量%、約0.25重量%~約0.55重量%、約0.25重量%~約0.50重量%、約0.25重量%~約0.45重量%、約0.25重量%~約0.40重量%、約0.25重量%~約0.35重量%、約0.25重量%~約0.30重量%、約0.50重量%~約0.75重量%、約0.55重量%~約0.75重量%、約0.60重量%~約0.75重量%、約0.65重量%~約0.75重量%、約0.70重量%~約0.75重量%、約0.50重量%~約0.70重量%、約0.50重量%~約0.65重量%、約0.50重量%~約0.60重量%、約0.50重量%~約0.55重量%、約0.45重量%~約0.55重量%、約0.46重量%~約0.55重量%、約0.47重量%~約0.55重量%、約0.48重量%~約0.55重量%、約0.49重量%~約0.55重量%、約0.50重量%~約0.55重量%、約0.51重量%~約0.55重量%、約0.52重量%~約0.55重量%、約0.53重量%~約0.55重量%、約0.54重量%~約0.55重量%、約0.45重量%~約0.54重量%、約0.45重量%~約0.53重量%、約0.45重量%~約0.52重量%、約0.45重量%~約0.51重量%、約0.45重量%~約0.50重量%、約0.45重量%~約0.49重量%の範囲、約0.25重量%、約0.30重量%、約0.35重量%、約0.40重量%、約0.45重量%、約0.46重量%、約0.47重量%、約0.48重量%、約0.49重量%、約0.50重量%、約0.51重量%、約0.52重量%、約0.53重量%、約0.54重量%、約0.55重量%、約0.60重量%、約0.63重量%、約0.65重量%、約0.70重量%、約0.75重量%、約0.78重量%、約0.80重量%、約0.85重量%、約0.90重量%、約0.95重量%、又は約1.0重量%で存在してよい。上記範囲は、指定された範囲(複数の場合もある)内のあらゆる下位範囲又は離散値(整数である場合もそうでない場合もある)を含み、対応するものとして解釈されるべきであることを理解されたい。
【0026】
開示した合金粉末は、約0.8重量%~約1.1重量%、0.85重量%~約1.1重量%、0.9重量%~約1.1重量%、0.95重量%~約1.1重量%、1.0重量%~約1.1重量%、1.05重量%~約1.1重量%、約0.8重量%~約1.05重量%、約0.8重量%~約1.0重量%、約0.8重量%~約0.95重量%、約0.8重量%~約0.9重量%、約0.8重量%~約0.85重量%、約0.9重量%~約1.0重量%、約0.91重量%~約1.0重量%、約0.92重量%~約1.0重量%、約0.93重量%~約1.0重量%、約0.94重量%~約1.0重量%、約0.95重量%~約1.0重量%、約0.96重量%~約1.0重量%、約0.97重量%~約1.0重量%、約0.98重量%~約1.0重量%、約0.99重量%~約1.0重量%、約0.9重量%~約0.99重量%、約0.9重量%~約0.98重量%、約0.9重量%~約0.97重量%、約0.9重量%~約0.96重量%、約0.9重量%~約0.95重量%、約0.9重量%~約0.94重量%、約0.9重量%~約0.93重量%、約0.9重量%~約0.92重量%、約0.9重量%~約0.91重量%、約0.885重量%~約0.945重量%、約0.890重量%~約0.945重量%、約0.895重量%~約0.945重量%、約0.900重量%~約0.945重量%、約0.905重量%~約0.945重量%、約0.910重量%~約0.945重量%、約0.915重量%~約0.945重量%、約0.920重量%~約0.945重量%、約0.925重量%~約0.945重量%、約0.930重量%~約0.945重量%、約0.935重量%~約0.945重量%、約0.940重量%~約0.945重量%、約0.885重量%~約0.940重量%、約0.885重量%~約0.935重量%、約0.885重量%~約0.930重量%、約0.885重量%~約0.925重量%、約0.885重量%~約0.920重量%、約0.885重量%~約0.915重量%、約0.885重量%~約0.910重量%、約0.885重量%~約0.905重量%、約0.885重量%~約0.900重量%、約0.885重量%~約0.895重量%、約0.885重量%~約0.890重量%の範囲、約0.8重量%、約0.85重量%、約0.885重量%、約0.890重量%、約0.895重量%、約0.900重量%、約0.905重量%、約0.910重量%、約0.915重量%、約0.920重量%、約0.925重量%、約0.930重量%、約0.935重量%、約0.940重量%、又は約0.945重量%、約0.95重量%、約0.96重量%、約0.97重量%、約0.98重量%、約0.99重量%、約1.0重量%、約1.05重量%、又は約1.1重量%の対応するB又はホウ素元素含有量を有してよい。上記範囲は、指定された範囲(複数の場合もある)内のあらゆる下位範囲又は離散値(整数である場合もそうでない場合もある)を含み、対応するものとして解釈されるべきであることを理解されたい。
【0027】
式(I)において、REは30.0重量%~32.5重量%の範囲で存在してよく、Mは0.50重量%~0.75重量%の範囲で存在してよく、Bは0.9重量%~1.0重量%の範囲で存在してよく、かつFeは残部を構成してよい。
【0028】
式(I)において、REは30.45重量%~32.45重量%の範囲で存在してよく、Mは0.45重量%~0.55重量%の範囲で存在してよく、Bは0.885重量%~0.945重量%の範囲で存在してよく、かつFeは残部を構成してよい。
【0029】
コバルト(Co)又はジスプロシウム(Dy)は、式(I)に存在しない場合がある。Co及びDyはコストがかかり、したがってこれらを磁性粉末で使用するのは、特に大量生産の場合には現実的ではないため、これは有利である。
【0030】
REは、以下:
(i)Nd、
(ii)Nd、Pr、
(iii)Nd、Pr、La、
(iv)Nd、Pr、Ce、
(v)Nd、Pr、La、Ce、
(vi)Nd、La、
(vii)Nd、Ce、
(viii)Nd、Ce、La、
(ix)Pr、
(x)Pr、La、
(xi)Pr、Ce、及び、
(xii)Pr、La、Ce、
からなる群から選択されてよい。
【0031】
式(I)は、以下:
(i)Nd-Ga-Fe-B、
(ii)Pr-Ga-Fe-B、
(iii)(NdPr)-Ga-Fe-B、
(iv)Nd-Cu-Fe-B、
(v)Pr-Cu-Fe-B、
(vi)(NdPr)-Cu-Fe-B、
(vii)Nd-Al-Fe-B、
(viii)Pr-Al-Fe-B、及び、
(ix)(NdPr)-Al-Fe-B、
からなる群から選択されてよい。
【0032】
合金組成物は、以下:
NdPr-Ga-B-Fe(式中、REが30.45重量%であり、Gaが0.53重量%であり、Bが0.94重量%であり、かつFeが68.08重量%である)、
NdPr-Ga-B-Fe(式中、REが31.45重量%であり、Gaが0.53重量%であり、Bが0.93重量%であり、かつFeが67.09重量%である)、
NdPr-Ga-B-Fe(式中、REが31.9重量%であり、Gaが0.63重量%であり、Bが0.92重量%であり、かつFeが66.55重量%である)、及び、
NdPr-Ga-B-Fe(式中、REが32.4重量%であり、Gaが0.78重量%であり、Bが0.91重量%であり、かつFeが65.91重量%である)、
からなる群から選択されてよい。
【0033】
開示した合金粉末において、-325メッシュ(45ミクロン)の粒子のパーセンテージは、粒子の最大約30%、粒子の最大約25%、粒子の最大約20%、粒子の最大約15%、粒子の最大約10%、最大約5%、又は約0%であってよい。-325メッシュの粒子のパーセンテージは、約0%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約1%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、又は約30%であってよい。残りの粒子は、-80メッシュ(180ミクロン)~-325メッシュであってよい。上記範囲は、指定された範囲(複数の場合もある)内のあらゆる下位範囲又は離散値(整数である場合もそうでない場合もある)を含み、対応するものとして解釈されるべきであることを理解されたい。
【0034】
開示した合金粉末において、-325メッシュの粒子のパーセンテージは30%であってよく、-80メッシュ~-325メッシュの粒子のパーセンテージは70%であってよい。
【0035】
開示した合金粉末は、異方性磁性粉末であってよい。
【0036】
本発明者らは、驚くべきことに、高価であるため生産のコストを増加させるコバルト(Co)又はジスプロシウム(Dy)が存在しなくても、開示した異方性磁性粉末が高い残留磁気(Br)値及び高い保磁力(Hci)値を示し得ることを見出した。高いBr値を有することは、磁石からのより大きな利用可能な磁束出力が示されるため有利である。また、高いHci値を有することは、その磁石が減磁に対して非常に耐性があることが示されているため有利である。
【0037】
開示した異方性磁性粉末は、約14kOe~約20kOeの範囲の保磁力(Hci)値で12kGを超える残留磁気(Br)値を示してよい。
【0038】
異方性磁性粉末の残留磁気(Br)値は、約12kG~約14kG、約12.1kG~約14kG、約12.2kG~約14kG、約12.3kG~約14kG、約12.4kG~約14kG、約12.5kG~約14kG、約12.6kG~約14kG、約12.7kG~約14kG、約12.8kG~約14kG、約12.9kG~約14kG、約13.0kG~約14kG、約13.1kG~約14kG、約13.2kG~約14kG、約13.3kG~約14kG、約13.4kG~約14kG、約13.5kG~約14kG、約13.6kG~約14kG、約13.7kG~約14kG、約13.8kG~約14kG、約13.9kG~約14kG、約12kG~約13.9kG、約12kG~約13.8kG、約12kG~約13.7kG、約12kG~約13.6kG、約12kG~約13.5kG、約12kG~約13.4kG、約12kG~約13.3kG、約12kG~約13.2kG、約12kG~約13.1kG、約12kG~約13.0kG、約12kG~約12.9kG、約12kG~約12.8kG、約12kG~約12.7kG、約12kG~約12.6kG、約12kG~約12.5kG、約12kG~約12.4kG、約12kG~約12.3kG、約12kG~約12.2kG、約12kG~約12.1kGの範囲、又は約12kG、約12.1kG、約12.2kG、約12.3kG、約12.4kG、約12.5kG、約12.6kG、約12.7kG、約12.8kG、約12.9kG、約13.0kG、約13.1kG、約13.2kG、約13.3kG、約13.4kG、約13.5kG、約13.6kG、約13.7kG、約13.8kG、約13.9kG、若しくは約14.0kGであってよい。上記範囲は、指定された範囲(複数の場合もある)内のあらゆる下位範囲又は離散値(整数である場合もそうでない場合もある)を含み、対応するものとして解釈されるべきであることを理解されたい。
【0039】
異方性磁性粉末の保磁力(Hci)値は、約14kOe~約20kOe、約15kOe~約20kOe、約16kOe~約20kOe、約17kOe~約20kOe、約18kOe~約20kOe、約19kOe~約20kOe、約15kOe~約20kOe、約16kOe~約20kOe、約17kOe~約20kOe、約18kOe~約20kOe、約19kOe~約20kOeの範囲、約14kOe、約14.5kOe、約15kOe、約15.5kOe、約16kOe、約16.5kOe、約17kOe、約17.5kOe、約18kOe、約18.5kOe、約19kOe、約19.5kOe、又は約20kOeであってよい。上記範囲は、指定された範囲(複数の場合もある)内のあらゆる下位範囲又は離散値(整数である場合もそうでない場合もある)を含み、対応するものとして解釈されるべきであることを理解されたい。
【0040】
開示した異方性磁性粉末は、15kOeの保磁力(Hci)値で13kGを超える残留磁気(Br)値を示し、17kOeで約13kG、19kOeで約12.7kG、及び/又は19.5kOeで約12.5kGを示してよい。
【0041】
本発明者らは、驚くべきことに、他に類を見ないほど高いHci値を有する磁性粉末を作製した。これらの高いHci値は、高価なCo及びDyを含まない磁性粉末においても示される。
【0042】
本発明は更に、本明細書中で開示した合金粉末を含むボンド磁石を提供する。ボンド磁石は少なくとも1つのバインダーを含んでよい。バインダーは、エポキシ、ポリアミド、及びポリフェニレンスルフィドからなる群から選択されてよい。
【0043】
本発明は、RE-M-Fe-B磁性粉末:
(式中、
REはランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、イットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、及びイッテルビウム(Yb)からなる群から選択される1つ以上の希土類金属であり、
Mはガリウム(Ga)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、銅(Cu)、及びアルミニウム(Al)、及びコバルトからなる群から選択される1つ以上の金属であり、
Bはホウ素(B)であり、かつ、
Feは鉄(Fe)である)を製造する方法であって、
該方法は、
(a)RE-M-Fe-B合金組成物を溶融紡糸して、溶融紡糸粉末を得る工程と、
(b)工程(a)の溶融紡糸粉末をプレスして、圧密体を得る工程と、
(c)工程(b)の圧密体を熱間変形して、ダイアップセット磁石を得る工程と、
(d)工程(c)のダイアップセット磁石を破砕して、粉末を得る工程と、
(e)工程(d)の粉末を粉砕及び篩別する工程と、
(f)工程(e)の粉末を不動態化して、磁性粉末を得る工程と、
を含み、ここで、
工程(d)~工程(f)のそれぞれが低酸素環境下で実施され、かつ工程(d)~工程(f)のそれぞれの間の移送が密封移送であり、かつ、
低酸素環境の酸素含有量及び各密封移送中の酸素含有量が0.5重量%未満である、方法を提供する。
【0044】
開示した方法において、工程(d)~工程(f)のそれぞれは、低酸素環境下で実施されてよい。工程(d)~工程(f)のそれぞれの間の移送は密封移送であってよい。開示した方法において、工程(c)~工程(f)のそれぞれも低酸素環境下で実施されてよい。工程(c)~工程(f)のそれぞれの間の移送も密封移送であってよい。
【0045】
開示した方法における低酸素環境の酸素含有量及びそれぞれの密封移送中の酸素含有量は、約0.5重量%未満、約0.45重量%未満、約0.4重量%未満、約0.35重量%未満、約0.3重量%未満、約0.25重量%未満、約0.2重量%未満、約0.15重量%未満、約0.1重量%未満、又は約0.05重量%未満であってよい。上記範囲は、指定された範囲(複数の場合もある)内のあらゆる下位範囲又は離散値(整数である場合もそうでない場合もある)を含み、対応するものとして解釈されるべきであることを理解されたい。低酸素環境の酸素含有量及びそれぞれの密封移送中の酸素含有量は、約0.1重量%未満、約0.09重量%未満、約0.08重量%未満、約0.07重量%未満、約0.06重量%未満、約0.05重量%未満、約0.04重量%未満、約0.03重量%未満、約0.02重量%未満、又は約0.01重量%未満であってよい。上記範囲は、指定された範囲(複数の場合もある)内のあらゆる下位範囲又は離散値(整数である場合もそうでない場合もある)を含み、対応するものとして解釈されるべきであることを理解されたい。
【0046】
本発明者らは、驚くべきことに、工程(d)~工程(f)のそれぞれを、低酸素環境下で、工程(d)~工程(f)のそれぞれの間で密封移送を使用して実施することにより、得られる磁性粉末の酸素含有量が低下することを見出した。磁性粉末中のFe及びNd等の磁性金属元素は、酸素の存在下で酸化して非磁性の金属酸化物を形成する。この酸化プロセスは、磁性粉末の磁気性能を低下させる。磁性粉末中の低い酸素含有量を有することは、磁性粉末中の金属元素(例えば、Fe及びNd)の不所望な酸化が減少するので有利である。
【0047】
得られる磁性粉末は、約0.9重量%未満、約0.8重量%未満、約0.7重量%未満、約0.6重量%未満、約0.5重量%未満、約0.4重量%未満、約0.3重量%未満、約0.2重量%未満、又は約0.1重量%未満の酸素含有量を有してよい。開示した合金粉末は、約0.5重量%~約0.6重量%、約0.51重量%~約0.6重量%、約0.52重量%~約0.6重量%、約0.53重量%~約0.6重量%、約0.54重量%~約0.6重量%、約0.55重量%~約0.6重量%、約0.56重量%~約0.6重量%、約0.57重量%~約0.6重量%、約0.58重量%~約0.6重量%、約0.59重量%~約0.6重量%、約0.5重量%~約0.59重量%、約0.5重量%~約0.58重量%、約0.5重量%~約0.57重量%、約0.5重量%~約0.56重量%、約0.5重量%~約0.55重量%、約0.5重量%~約0.54重量%、約0.5重量%~約0.53重量%、約0.5重量%~約0.52重量%、約0.5重量%~約0.51重量%の範囲、約0.5重量%、約0.51重量%、約0.52重量%、約0.53重量%、約0.54重量%、約0.55重量%、約0.56重量%、約0.57重量%、約0.58重量%、約0.59重量%、約0.6重量%、約0.61重量%、約0.62重量%、約0.63重量%、約0.64重量%、約0.65重量%、約0.66重量%、約0.67重量%、約0.68重量%、約0.69重量%、約0.7重量%、約0.71重量%、約0.72重量%、約0.73重量%、約0.74重量%、約0.75重量%、約0.76重量%、約0.77重量%、約0.78重量%、約0.79重量%、約0.8重量%、約0.81重量%、約0.82重量%、約0.83重量%、約0.84重量%、約0.85重量%、約0.86重量%、約0.87重量%、約0.88重量%、約0.89重量%、又は約0.9重量%の酸素含有量を有してよい。上記範囲は、指定された範囲(複数の場合もある)内のあらゆる下位範囲又は離散値(整数である場合もそうでない場合もある)を含み、対応するものとして解釈されるべきであることを理解されたい。
【0048】
工程(a)において、RE-M-Fe-B合金組成物を溶融紡糸して、溶融紡糸粉末を得ることができる。RE-M-Fe-B合金組成物は、インゴットの形態であってよい。RE-M-Fe-B合金組成物(又はインゴット)は、組成式に従って適切な量の原材料(例えば、Nd、Fe、Ga、Fe-B)を秤量し、原材料を溶融炉に入れ、それぞれの原材料を不活性雰囲気(例えば、アルゴン雰囲気)下で溶融し、それを冷却してインゴットを得ることによって製造されてよい。引き続き、インゴットを砕いて破片にし、溶融紡糸装置に投入することができる。次いで、不活性雰囲気(例えば、アルゴン雰囲気)中で、合金インゴットを加熱して再溶融し、回転金属ホイール上に吐出して、リボンを形成することができる。次いで、溶融紡糸されたリボンを破砕して粉末にし、溶融紡糸粉末を形成することができる。
【0049】
工程(b)において、工程(a)の溶融紡糸粉末をプレスして、緻密な圧密体を得ることができる。プレスする前に、潤滑剤(例えば、Li-St)を工程(a)の溶融紡糸粉末と混合することができる。
【0050】
工程(b)は、冷間プレス及び/又は熱間プレスを含んでよい。工程(b)は、
(bi)工程(a)の溶融紡糸粉末を冷間プレスする工程と、
(bii)工程(bi)の冷間プレスされた粉末を熱間プレスして、圧密体を形成する工程と、
を含んでよい。
【0051】
工程(bi)において、工程(a)の溶融紡糸体を、低密度プラットフォームへと押し入れて、低密度圧密体を形成することができる。工程(bi)は、室温及び標準大気で実施されてよい。液圧式冷間プレスを使用して、潤滑された溶融紡糸粉末をプレスして、冷間プレスされた粉末にすることができる。
【0052】
工程b(i)の冷間プレスされた粉末は、熱間プレスの前に潤滑されてよい。黒鉛、窒化ホウ素、及びアルコールから製造されたアルコール混合物を、冷間プレスされた粉末へと噴霧して蒸発させることができる。
【0053】
工程(bii)において、冷間プレスされた圧密体を、熱間プレスダイへと押し入れて、真密度(full density)圧密体を形成することができる。工程(bii)は、アルゴン、ヘリウム、又はそれらの混合物を含む不活性雰囲気中で実施されてよい。
【0054】
工程(c)において、工程(b)の真密度圧密体をより大きな直径のダイキャビティへと押し入れて、高温でより大きなダイへと熱間変形することができる。このプロセスにより、バルクの側方塑性流動が発生し、リボンの厚さが減少し、ナノスケールのNdFe14B粒の制御された伸びが引き起こされ得る。得られたダイアップセット磁石は、熱間プレスされた圧密体のように真密度であるが、磁気性能において強い異方性がある。磁気性能及び変形能は、リボンの組成、並びに歪み速度、作業温度、及び変形の程度等のプロセスパラメーターに依存する。ダイアップセット磁石は、熱間プレスされた圧密体と比較して60%~80%の高さの減少を伴い得る。
【0055】
工程(c)は、アルゴン、ヘリウム、又はそれらの混合物を含む不活性雰囲気中で実施されてよい。
【0056】
工程(bii)及び工程(c)は両者とも、アルゴン、ヘリウム、又はそれらの混合物を含む不活性雰囲気中で実施されてよい。驚くべきことに、不活性ガス保護下でこれらの工程を実施することにより、合金中の金属は酸化されにくくなることが見出された。これにより非磁性の金属酸化物の形成が減少するため、磁性粉末の磁気特性が向上する。
【0057】
工程(d)において、工程(e)へとより良好に供給するのに、工程(c)のダイアップセット磁石を破砕して、ダイアップセット磁石をより小さな破片へと砕く。破砕工程はジョークラッシャー破砕工程であってよい。ジョークラッシャー破砕は、不活性ガス保護下にてジョープレート間で実施されてよい。
【0058】
ジョークラッシャー破砕の前に、工程(c)のダイアップセット磁石をサンドブラスト処理して、表面の汚れ及び潤滑剤を取り除くことができる。工程(c)のダイアップセット磁石は、密封移送窒素環境下でジョークラッシャー工程(d)に移送されてよい。破砕工程中に、ダイアップセット磁石の大きな破片を窒素保護下でより小さな破片へと砕くことができる。得られた破砕されたダイアップセット磁石は、密封移送容器中に収集されて、篩別及び粉砕をする工程(e)に移送されてよい。
【0059】
工程(e)において、工程(d)のジョークラッシャー破砕された粉末を、0.5%未満の酸素含有量を含む不活性ガス保護下で粉砕及び篩別に供することができる。粉砕工程はジョークラッシャー破砕された粉末のサイズを更に縮小し、篩別工程は粒子を所望のサイズに篩い分けする。
【0060】
工程(e)は、上記粉末の滞留時間を引き延ばす手段を備えた篩別ユニットにおいて粉末を篩別することを含んでよい。上記粉末の滞留時間を引き延ばす手段は、篩別プロセス中にスクリーン上に配置され得る篩棒(sieve bar)であってよい。該手段は、篩別ユニット上に配置されて篩別ユニットにおける粉末粒子の移動経路を変更及び延長するように構成され、したがって上記粉末の滞留時間を引き延ばす細長い可撓性の材料であってよい。該手段は、S字形の篩棒、若しくは同心形の篩棒、又はS字形と同心形との組合せを有する篩棒であってよい。
【0061】
篩棒の存在により、篩別ユニットにおける粉末の滞留時間は、篩棒を備えていない篩別ユニットにおいて粉末を篩別する場合と比較して約1.8倍~約2.2倍引き延ばされてよい。篩別ユニットにおける粉末の滞留時間は、約1.9倍~約2.2倍、約2.0倍~約2.2倍、約2.1倍~約2.2倍、約1.8倍~約2.1倍、約1.8倍~約2.0倍、約1.8倍~約1.9倍、約1.8倍、約1.9倍、約2.0倍、約2.1倍、又は約2.2倍だけ引き延ばされてよい。上記範囲は、指定された範囲(複数の場合もある)内のあらゆる下位範囲又は離散値(整数である場合もそうでない場合もある)を含み、対応するものとして解釈されるべきであることを理解されたい。
【0062】
篩別ユニットにおいて粉末が移動する距離は、篩棒を備えていない篩別ユニットにおいて粉末を篩別する場合と比較して、約1.3倍~約1.5倍だけ増加してよい。篩別ユニットにおいて粉末が移動する距離は、約1.35倍~約1.5倍、約1.4倍~約1.5倍、約1.45倍~約1.5倍、約1.3倍~約1.45倍、約1.3倍~約1.4倍、約1.3倍~約1.35倍、約1.3倍、約1.35倍、約1.4倍、又は約1.45倍だけ増加してよい。上記範囲は、指定された範囲(複数の場合もある)内のあらゆる下位範囲又は離散値(整数である場合もそうでない場合もある)を含み、対応するものとして解釈されるべきであることを理解されたい。
【0063】
本発明者らは、驚くべきことに、篩別ユニットにおける粉末の滞留時間を引き延ばすと、磁性粉末中の微粉の割合の減少がもたらされることを見出した。これは、篩別されるはずのフレークの再粉砕が回避されるように達成されてよい。微粉は不良な磁気特性を示すことが知られている。粉末中の微粉分を削減することは、Br及びHci等の磁性粉末の全体的な磁気性能が向上するので有利である。
【0064】
工程(f)において、工程(e)の粉末を、シャフトの回転及び不活性ガス保護の下でリン酸による不動態化に供することができる。
【0065】
開示した方法は、方法の工程(f)において、粉末を少なくとも0.25重量%の濃度のリン酸で不動態化することを含んでもよい。開示した方法におけるリン酸の濃度は、少なくとも約0.25重量%、少なくとも約0.26重量%、少なくとも約0.27重量%、少なくとも約0.28重量%、少なくとも約0.29重量%、少なくとも約0.30重量%、少なくとも約0.31重量%、少なくとも約0.32重量%、少なくとも約0.33重量%、少なくとも約0.34重量%、少なくとも約0.35重量%、少なくとも約0.36重量%、少なくとも約0.37重量%、少なくとも約0.38重量%、少なくとも約0.39重量%、少なくとも約0.40重量%、少なくとも約0.41重量%、少なくとも約0.42重量%、少なくとも約0.43重量%、少なくとも約0.44重量%、少なくとも約0.45重量%、少なくとも約0.46重量%、少なくとも約0.47重量%、少なくとも約0.48重量%、少なくとも約0.49重量%、少なくとも約0.50重量%、少なくとも約0.51重量%、少なくとも約0.52重量%、少なくとも約0.53重量%、少なくとも約0.54重量%、少なくとも約0.55重量%、少なくとも約0.56重量%、少なくとも約0.57重量%、少なくとも約0.58重量%、少なくとも約0.59重量%、又は少なくとも約0.60重量%であってよい。上記範囲は、指定された範囲(複数の場合もある)内のあらゆる下位範囲又は離散値(整数である場合もそうでない場合もある)を含み、対応するものとして解釈されるべきであることを理解されたい。
【0066】
本発明者らは、驚くべきことに、少なくとも0.25重量%のリン酸が、磁性粉末を酸化から保護するのに効果的かつ十分であることを見出した。金属酸化物は金属とは異なり磁気特性を示さないため、金属の酸化は望ましくない。慣例的に、リン酸処理工程は、磁性粉末中の鉄が酸化鉄に酸化するのを防ぐ。不動態化に0.25重量%のリン酸を使用することは、磁性粉末が不所望な酸化鉄を形成するのを防ぐだけでなく、磁性粉末が酸化ネオジムを形成するのも防ぐ。ネオジム及び鉄の両方の酸化を低減することは、磁性粉末の磁気性能が向上するので有益である。また、有利なことには、少なくとも0.25重量%のリン酸を使用することにより、粒子を腐食させることなく、各金属粒子の周りにリン酸塩保護層を形成することが可能となる。
【0067】
開示した方法は、粉末を0.4重量%の濃度のリン酸で不動態化することを含んでもよい。本発明者らは、驚くべきことに、磁性粉末を0.4重量%のリン酸中で不動態化することにより、得られた磁性粉末が危険でないものとなり得るため、安全な取り扱い及び輸送が可能となることを見出した。
【0068】
開示した方法の密封移送は、工程(d)~工程(f)において使用される機器と密封接続する手段と、各工程後に容器から密封収集及び密封放出する手段と、容器中に不活性ガスを供給する手段とを備える容器を使用して実施されてよい。密封移送容器は、気密シールをもたらす任意の筐体であってよい。密封移送容器はステンレス鋼容器であってよい。機器と密封接続する手段、又は容器中に不活性ガスを供給する手段は、弁、スイッチ、又は調整によって開閉することができる容器における任意の他の形の開口部であってよい。密封接続する手段はステンレス鋼の弁であってよい。密封移送弁と機器又はガス供給部との間の接続の種類はフランジ接続、ネジ接続、又は溶接端接続であってよい。
【0069】
開示した方法の不活性ガスは、アルゴン、窒素、ヘリウム、及びそれらの混合物からなる群から選択されてよい。
【0070】
開示した方法を使用して、本明細書中で開示した合金粉末のRE-M-Fe-B磁性粉末を製造することができる。
【0071】
添付の図面は、本開示の実施形態を示すものであり、本開示の実施形態の原理を説明するのに役立つ。しかしながら、図面は説明のみを目的として描かれており、本発明の限界を定義するものではないと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1】磁性粉末を製造する開示した方法に含まれる工程のプロセスフローチャートを示す図である。
図2】密封移送容器と、(a)破砕装置、(b)粉砕及び篩別装置、並びに(c)不動態化装置との接続の概略図である。
図3】比較磁性粉末(1a、1b、1c、1d)のBrと、実施例1に開示した方法を使用して製造された磁性粉末(2a、2b、2c、2d)のBrとの間の比較を示す図である。
図4a】篩棒の実施形態の概略図である。
図4b】篩棒の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1を参照すると、図1(a)は、開示した方法の工程(a)を示している。図1(a)は、合金組成物から溶融紡糸粉末を得る溶融紡糸プロセスを示し、合金組成物の溶融物2がノズル3を通って回転ホイール3a上に流れてリボンを形成し、これらのリボンがホイールから放出された(3b)後に、破砕されて粉末を形成することを示している。図1(b)は、工程(a)の溶融紡糸粉末を冷間プレスに供して(4)、プレスされた粉末9を形成する、開示した方法の工程(bi)を示している。図1(c)は、工程b(i)からのプレスされた粉末9を最初に投入し(6)、粉末を熱間プレスし(7)、圧密化された粉末を取り出す(8)ことによって、工程(bi)のプレスされた粉末9を加熱し、熱間プレスに供して、圧密体10を形成する、開示した方法の工程(bii)を示している。図1(d)は、工程b(ii)の圧密体を最初に投入し(12)、圧密体を熱間変形して(13)、ダイアップセット磁石15を得て、それを取り出す(14)ことによって、工程(bii)の圧密体10を熱間変形に供する、開示した方法の工程(c)を示している。図1(e)は、工程(d)のダイアップセット磁石15の破砕により粉末16が得られる、開示した方法の工程(d)を示している。図1(f)は、工程(d)の粉末16の粉砕及び篩別により粉砕され篩別された粉末17が得られる、開示した方法の工程(e)を示している。図1(g)は、工程(e)の粉末17を不動態化して磁性粉末18を得る、開示した方法の工程(f)を示している。
【0074】
図2は、密封移送容器と、(a)破砕装置、(b)粉砕及び篩別装置、並びに(c)不動態化装置との接続の概略図を示している。
【0075】
図2(a)は、工程(c)から工程(d)への密封移送の概略図を示している。磁石供給部19は、遮断弁21aを介して破砕装置22に接続されている。磁石供給部19は、不活性ガス入口20を通る不活性ガスでパージされ、不活性ガスはガス出口24aを通って排出される。工程(c)のダイアップセット磁石は、遮断弁21aを開くことにより、外部環境に曝されることなく破砕装置22中に放出される。移送後に、遮断弁21aを閉じることにより、破砕装置22は磁石供給部1から切り離される。破砕装置22は、ガス入口23及びガス出口24bを使用して装置全体に不活性ガスを流すことにより、不活性ガス下で更にパージされる。破砕工程が完了したら、第2の遮断弁21bが開かれ、破砕された粉末が容器25中に放出される。該容器は、不活性ガス入口26を通る不活性ガスでパージされ、不活性ガスはガス出口24cを通って排出される。パージされたガスは、ガス出口24a、24b、24cから水タンク27aに流れる。
【0076】
図2(b)は、工程(d)から工程(e)への密封移送の概略図を示している。工程(d)からの破砕された粉末が入った粉末容器25は、遮断弁21cを介して粉砕及び篩別装置30に接続されている。粉末容器25は、不活性ガス入口29を通る不活性ガスでパージされ、不活性ガスはガス出口24dを通って排出される。工程(d)の破砕された粉末は、遮断弁21cを開くことにより、外部環境に曝されることなく粉砕及び篩別装置30中に放出される。移送後に、遮断弁21cを閉じることにより、粉砕及び篩別装置30は粉末容器25から切り離される。粉砕及び篩別装置30は、ガス入口31及びガス出口24eを使用して装置全体に不活性ガスを流すことにより、不活性ガス下で更にパージされる。粉砕及び篩別工程が完了したら、第2の遮断弁21dが開かれ、破砕された粉末が容器32中に放出される。該容器は、不活性ガス入口33を通る不活性ガスでパージされ、不活性ガスはガス出口24fを通って排出される。パージされたガスは、ガス出口24d、24e、24fから水タンク27bに流れる。
【0077】
図2(c)は、工程(e)から工程(f)への密封移送の概略図を示している。工程(e)からの篩別された粉末が入った粉末容器32は、遮断弁21eを介して不動態化装置36に接続されている。不動態化剤が入った容器35は、別の遮断弁21fを介して不動態化装置36に接続されている。工程(e)の篩別された粉末32及び不動態化剤35は、遮断弁21e、21fを開くことにより、外部環境に曝されることなく不動態化装置36中に放出される。移送後に、遮断弁21e、21fを閉じることにより、不動態化装置36は粉末容器32及び不動態化剤容器35から切り離される。不動態化装置36は、ガス入口37及びガス出口24gを使用して真空ポンプ38によって装置全体に不活性ガスを流すことにより、不活性ガス下で更にパージされる。不動態化工程が完了したら、磁性粉末は容器39中に放出される。
【実施例
【0078】
具体的な実施例を参照して、本発明の非限定的な例及び比較例をより詳細に更に説明するが、これらの例は本発明の範囲を何ら限定するものではないと解釈されるべきである。
【0079】
材料
NdPrはGanzhou Rare Earth Metals Ltd.から入手した。
FeBはLioyang International Penghejin Limited Companyから入手した。
Fe及びGaはAlfa Aesarから入手した。
Li-StはValtris Specialty Chemicals Limitedから入手した。
【0080】
実施例1:合金磁性粉末の製造
溶融紡糸粉末(工程(a))
本明細書中で開示した式(I)による適切な量の原材料(Nd、Fe、Ga、Fe-B)を秤量することにより、急速に凝固する合金組成物を製造する。原材料をアルゴン雰囲気下で溶融する溶融炉に入れ、引き続き冷却してインゴットを得る。その後、インゴットを砕いて破片にし、溶融紡糸装置に投入する。インゴットをアルゴン雰囲気下で加熱して再溶融した後に、回転金属ホイール上に吐出して、リボンを形成する。その後、溶融紡糸されたリボンを破砕して、粉末形にする。
【0081】
冷間プレス(工程bi))
冷間プレスの前に、潤滑剤(LiSt)を溶融紡糸粉末と混合する。
【0082】
液圧式冷間プレスを使用して、内部潤滑された溶融紡糸粉末をプレスして、冷間プレスされた粉末にする。冷間プレスは、室温でかつ標準大気下で実施される。
【0083】
熱間プレス(工程b(ii))
冷間プレスされた粉末をアルコール混合物で潤滑した後に、熱間プレスのダイキャビティに入れる。アルコール混合物は、黒鉛、窒化ホウ素、及びアルコールから製造される。アルコール混合物を冷間プレスされた粉末へと噴霧し、粉末を換気キャビネットに曝すことによってアルコールを蒸発させる。
【0084】
熱間プレスをアルゴン保護(すなわち、不活性雰囲気)下で実施して、真密度磁石を得る。熱間プレス段階は、熱間プレスプロセス中の酸化を最小限に抑えるためにアルゴンガスによってパージされる。
【0085】
熱間変形(工程(c))
熱間プレス後に、熱間プレスされた圧密体を直ちに熱間変形供給装置へと供給して、約60%~約80%のダイアップセット熱間変形を行う。熱間変形工程は、不活性雰囲気下で実施される。
【0086】
サンドブラスト処理
ダイアップセット磁石を最初にサンドブラスト処理して、表面の汚れ及び潤滑剤を取り除いた後に破砕する。
【0087】
密封移送
破砕から不動態化までの工程(工程(d)~工程(f))のそれぞれは、低酸素環境(0.5重量%未満の酸素)下で実施され、工程(d)~工程(f)のそれぞれの間の移送は密封移送である。使用される不活性ガスは窒素である。低酸素環境の酸素含有量及び各密封移送中の酸素含有量は、0.5重量%未満である。
【0088】
破砕(工程(d))
ジョークラッシャー破砕工程中に、ダイアップセット磁石の大きな破片を窒素保護下でより小さな破片に砕く。磁石のより小さな破片は、粉砕工程にとってより優れた供給物である。
【0089】
篩別及び粉砕(工程(e))
窒素パージ及び0.5%未満の酸素含有量での密封移送の下に、破砕されたダイアップセット磁石を粉砕した後に、篩別ユニットにおける粒子の滞留時間を引き延ばす手段を使用することによって(例えば、図4a又は図4bに示される篩棒を使用することによって)所望の粒子サイズに篩別する。
【0090】
不動態化(工程(f))
磁性粉末を、劣化防止効果及び不動態化効果のために混合機中においてリン酸で処理する。不動態化する混合機を、繰り返し真空及び窒素パージに供して、酸素レベルを下げる。次に、粉末及びリン酸を混合機チャンバーへと供給し、混合して加熱する。
【0091】
実施例2:磁性合金粉末の特性
実施例1の方法によって形成された合金粉末及びそれらの磁気特性を表1に示す:
【0092】
【表1】
【0093】
実施例3:磁性粉末の危険性評価に対するリン酸処理の影響
工程(f)において、工程(e)の粉末をリン酸での不動態化に供することができる。
【0094】
本発明者らは、驚くべきことに、少なくとも0.25重量%のリン酸が、磁性粉末を酸化から保護するのに効果的かつ十分であることを見出した。金属酸化物は金属とは異なり磁気特性を示さないため、金属の酸化は望ましくない。慣例的に、リン酸処理工程は、磁性粉末中の鉄が酸化鉄に酸化するのを防ぐ。不動態化に0.25重量%のリン酸を使用することは、磁性粉末が不所望な酸化鉄を形成するのを防ぐだけでなく、磁性粉末が酸化ネオジムを形成するのも防ぐ。ネオジム及び鉄の両方の酸化を低減することは、磁性粉末の磁気性能が向上するので有益である。また、有利なことには、少なくとも0.25重量%のリン酸を使用することにより、粒子をそのように腐食させることなく、各金属粒子の周りにリン酸塩保護層を形成することが可能となる。
【0095】
開示した方法は、粉末を0.4重量%の濃度のリン酸で不動態化することを含んでもよい。本発明者らは、驚くべきことに、磁性粉末を0.4重量%のリン酸中で不動態化することにより、得られた磁性粉末が危険でないものとなり得るため、安全な取り扱い及び輸送が可能となることを見出した(表2)。
【0096】
磁性粉末に対して実施された危険性試験の試験基準は、国連危険物輸送勧告(第19改訂版)、国連化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(第6改訂版)、並びに2015年3月9日に国家安全生産監督管理総局(SAWS)によって発行され、2015年5月1日に発効した中国の危険化学物質カタログ(CHC)を基礎とした。
【0097】
危険性試験の結果は、以下の表2において確認することができる。
【0098】
【表2】
【0099】
比較例
比較例1:比較磁性粉末の製造方法
比較サンプル1a、比較サンプル1b、比較サンプル1c、及び比較サンプル1dを、以下の表3に示される工程に従って製造した。サンプル1a、サンプル1b、サンプル1c、及びサンプル1dの製造方法と、サンプル2a、サンプル2b、サンプル2c、及びサンプル2dの製造方法との間の違いも表3に示されている。
【0100】
【表3】
【0101】
【表4】
【0102】
【表5】
【0103】
サンプル2a~サンプル2dを、低酸素環境下である実施例1に示されるように、工程(d)~工程(f)の間で密封移送を使用し、かつ工程(e)において篩別ユニットにおける粒子の滞留時間を引き延ばす手段を使用して製造した。その結果、サンプル2a~サンプル2dは、比較サンプル1a~比較サンプル1dよりも低い酸素含有量を有する。
【0104】
有利なことには、Dy及びCoがサンプル2a~サンプル2dの磁性粉末には存在しなくても、これらは比較サンプル1a~比較サンプル1dと比較して同等又は更に良好なHciを達成する(表4)。例えば、サンプル2dはジスプロシウムを使用せずに19kOeを超える高いHciを示し、これは比較サンプル1b及び比較サンプル1cと比較して高い。
【0105】
さらに、サンプル2cは、比較サンプル1cと比較して約0.4kGのBrの磁気性能の向上を示している。サンプル2b及び比較サンプル1dは同じ組成を共有しているけれども、サンプル2bは、驚くべきことに、比較サンプル1dと比較して約0.5kGのBrの磁気性能の向上も示している。
【0106】
【表6】
【0107】
比較例2:低酸素密封移送プロセス
サンプル2bを、粉砕工程の間の低酸素密封移送によって製造したのに対して、同じ組成の比較サンプル1dを、粉砕中に粉末を空気に曝す標準的な移送プロセスの下で製造した。
【0108】
表5及び図3から、サンプル2bがサンプル1dと比較して0.4重量%低い酸素含有量及び0.5kG高いBrを示すことが分かる。これは磁性粉末の酸化を低減するためBrが向上する低酸素密封移送プロセスに起因し得る。
【0109】
本発明の磁性粉末(実施例1)における酸素低減は主に、粉砕の間の酸素不含の密封移送に起因する。表5から分かるように、磁性粉末における総酸素含有量は低酸素密封移送を使用することにより0.92重量%から0.45重量%に減少する。
【0110】
【表7】
【0111】
比較例3:磁性粉末の粒子サイズ
表6は、-80メッシュと-80メッシュ~-325メッシュとの磁性粉末の異なる粒子サイズ間の磁気特性の違いを示している。-80メッシュの場合は、より広い粒子サイズが見られる。表6から、微粉末(-325メッシュ、45μm未満)がより不良な磁気性能及びより高い酸素含有量を示すことが分かる。
【0112】
【表8】
【0113】
得られる粒子サイズの範囲は、篩別の程度を制御することによって達成されてよい。特に、篩別ユニットにおける粒子の滞留時間を引き延ばす手段を含めることによって、より微細な粒子(すなわち、-325メッシュ)を得ることができる。
【0114】
篩別ユニットにおける粒子の滞留時間を引き延ばすそのような手段の1つは、篩別プラットフォームの上部に巻き付いて粒子の移動経路を延長する細長い可撓性の部材を利用することによるものである。そのような部材の実施形態は図4a及び図4bに示されている(篩棒)。
【0115】
このような手段を使用することにより、表7から分かるように、微粒子(すなわち、-325メッシュ)分の35%から30%への削減を達成することができる。磁性粉末中の微粒子分の削減は、下記の表7から分かるように磁性粉末の全体的な磁気特性を向上させるのに役立つ。
【0116】
【表9】
【産業上の利用可能性】
【0117】
開示した合金粉末は、有利なことには、磁気特性の向上、例えば、高B値、及びHci値を示してよい。該合金粉末は、高性能ボンド磁石に使用されてよい。
【0118】
有利なことには、開示した合金粉末は、高価な希土類金属、例えば、Dy又はCoの使用を必要としない場合があり、これはコスト削減につながる。
【0119】
有利なことには、本開示の開示した合金を作製する方法により、より低い酸素含有量並びに高いHci及びBr等の磁気特性の向上を伴う合金が製造されてよい。
【0120】
より有利なことには、本開示の方法により、微粉分の削減及び磁気特性の向上を伴う合金が製造されてよい。
【0121】
更に有利なことには、本開示の方法は、劣化することなく合金のより効果的なリン酸塩処理を可能にすることから、より良好な酸化防止特性及び危険でない特性がもたらされる。
【0122】
優れた磁気特性を有する開示した合金、磁性材料、又はボンド磁石は、コンピュータハードウェア、自動車、消費者向けエレクトロニクス製品、モーター、及び家電製品を含む非常に多くの用途において使用されてよい。
【0123】
本発明の趣旨及び範囲を逸脱しない範囲において、本発明の様々な他の変型例及び適応例は、上述の開示を読めば当業者にとって明らかであり、このような変型例及び適用例の全ては、添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。
図1
図2
図3
図4a
図4b