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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/00 20060101AFI20240731BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20240731BHJP
   B61D 37/00 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
G08B25/00 510M
G08B21/00 U
B61D37/00 G
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022065912
(22)【出願日】2022-04-12
(65)【公開番号】P2023156191
(43)【公開日】2023-10-24
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 徹弥
(72)【発明者】
【氏名】川上 夏実
(72)【発明者】
【氏名】工藤 剛史
(72)【発明者】
【氏名】加藤 慶
(72)【発明者】
【氏名】弓削 考史
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-045189(JP,A)
【文献】国際公開第2009/157227(WO,A1)
【文献】特開平09-295575(JP,A)
【文献】特開平03-224099(JP,A)
【文献】国際公開第2018/180311(WO,A1)
【文献】特開平09-050586(JP,A)
【文献】国際公開第2018/055774(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 37/00
G08B 21/00,25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体として編成されている車両に設置される検出手段、および、前記車両に設置される1または複数の撮影手段と通信可能である情報処理装置であって、
前記検出手段により検出された情報に基づく電気信号を受信する受信部と、
前記電気信号に基づいて、前記撮影手段のうち、指定された撮影手段により撮影された映像を、利用者に提供される提供情報として取得する取得部と
を有し、
前記移動体との間で無線による情報の送受信が可能な状態で、前記移動体から離れた位置に設置される、
情報処理装置。
【請求項2】
移動体として編成されている車両に設置される検出手段、および、前記車両に設置される1または複数の撮影手段と通信可能である情報処理装置であって、
前記検出手段により検出された情報に基づく電気信号を受信する受信部と、
前記電気信号に基づいて、アラート対象の所定の事態が前記車両で発生したか否かを判定する判定部と、
前記車両に設置される撮影手段のうち、指定された撮影手段により撮影された映像を、前記アラート対象の所定の事態が発生したと判定された場合において利用者に提供される提供情報として取得するとともに、前記アラート対象の所定の事態の内容に応じたアラートが利用者に通知されるよう制御する取得部と
を有する情報処理装置。
【請求項3】
移動体として編成されている車両に設置される検出手段、および、前記車両に設置される1または複数の撮影手段と通信可能である情報処理装置であって、
前記検出手段は、前記車両内に備えられた非常通報装置であり、前記検出手段と前記情報処理装置との間での通信を実現する制御装置が接続され、
前記検出手段により検出された情報として、前記非常通報装置が入力を受け付けたことを示す情報に基づき前記制御装置により生成された電気信号を受信する受信部と、
前記電気信号に基づいて、前記撮影手段のうち、指定された撮影手段により撮影された映像を、利用者に提供される提供情報として取得する取得部と
を有し、
前記非常通報装置は、音声出力部をさらに有し、
前記制御装置は、前記車両内に設置され、音声入力部をさらに有し、
前記音声出力部は、前記非常通報装置が入力を受け付けた場合に音声を出力し、
前記音声入力部は、前記音声出力部が出力した音声の入力を受け付け、
前記制御装置は、前記音声入力部が音声の入力を受け付けたことに応じて、前記電気信号を生成する、
情報処理装置。
【請求項4】
前記音声出力部が出力する音声の周波数は、前記音声入力部が受け付ける音声の周波数帯域に含まれる、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
移動体として編成されている車両に設置される検出手段、および、前記車両に設置される1または複数の撮影手段と通信可能である情報処理装置であって、
前記撮影手段を指定する指定情報を受け付ける受付部と、
前記検出手段により検出された情報に基づく電気信号を受信する受信部と、
前記電気信号に基づいて、前記撮影手段のうち、指定された撮影手段により撮影された映像を、利用者に提供される提供情報として取得する取得部と
を有し、
前記受付部は、前記撮影手段を指定する指定情報として、前記指定される撮影手段により撮影された映像のうち、前記提供情報となる範囲を指定する範囲情報であって、アラート対象の事態が発生した場合の発生時点を基準とする所定の時間範囲分の映像を前記提供情報として指定する範囲情報を、前記アラート対象の事態が発生する前にさらに受け付ける、
情報処理装置。
【請求項6】
前記受付部は、前記範囲情報として、前記発生時点に対して所定の時間遡った時点から、前記発生時点までの間に撮影された映像を前記提供情報として指定する範囲情報を、前記アラート対象の事態が発生する前に受け付ける、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
移動体として編成されている車両に設置される検出手段、および、前記車両に設置される1または複数の撮影手段と通信可能である情報処理装置であって、
前記撮影手段を指定する指定情報を受け付ける受付部と、
前記検出手段により検出された情報に基づく電気信号を受信する受信部と、
前記電気信号に基づいて、前記撮影手段のうち、指定された撮影手段により撮影された映像を、利用者に提供される提供情報として取得する取得部と
を有し、
前記受付部は、前記提供情報として取得された映像を利用する利用者を指定する利用者情報として、アラート対象の所定の事態が前記車両で発生したと判定された場合において、当該車両が編成されている前記移動体との間で所定の関係性が満たされている他の移動体に関係する利用者を指定する利用者情報をさらに受け付ける、
情報処理装置。
【請求項8】
移動体として編成されている車両に設置される検出手段、および、前記車両に設置される1または複数の撮影手段と通信可能である情報処理装置であって、
前記撮影手段を指定する指定情報を受け付ける受付部と、
前記検出手段により検出された情報に基づく電気信号を受信する受信部と、
前記電気信号に基づいて、前記撮影手段のうち、指定された撮影手段により撮影された映像を、利用者に提供される提供情報として取得する取得部と
を有し、
前記受付部は、前記提供情報として取得された映像を利用する利用者を指定する利用者情報をさらに受け付け、
前記取得部は、前記指定された利用者から映像の閲覧要求が受け付けられた場合に、前記受付部により受け付けられている指定情報のうち、前記指定された利用者に対応する指定情報に基づき特定される映像を、前記指定された利用者に提供される提供情報として取得する、
情報処理装置。
【請求項9】
前記指定された利用者に提供される提供情報が取得された場合に、提供情報として取得された映像が前記指定された利用者に提供されるよう所定の情報を当該利用者に通知する通知部をさらに有する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記通知部は、前記所定の情報として、前記提供情報として取得された映像の所在場所を示すリンク情報を通知し、前記リンク情報が前記指定された利用者により選択された場合には、前記提供情報として取得された映像を提供する、
請求項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電車等の顧客用車両内で緊急事態が発生したことを乗務員等に迅速に通報する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-50586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、上記の従来技術では、緊急事態の発生に応じて、車内カメラによって撮像された車内映像が乗務員等の利用者に提供されるため、利用者は緊急事態の発生に伴う車内の状況を把握できるようになる。
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、車内の安全対策においてユーザビリティの向上を実現することができるとは限らない。
【0006】
例えば、鉄道車内において緊急事態が発生した場合、乗務員等の利用者は、迅速な判断を求められるが、上記の従来技術によれば、利用者は、緊急事態の発生に伴う鉄道車内の状況を的確にとらえた映像を見つけ出す作業が必要となる場合がある。
【0007】
このように、上記の従来技術には、車内の緊急事態対応において煩雑さが残されており、ユーザビリティが高いものとはいい難い。
【0008】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、車内の安全対策においてユーザビリティの向上を実現することのできる情報処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に係る情報処理装置は、移動体として編成されている車両に設置される検出手段、および、前記車両に設置される1または複数の撮影手段と通信可能である情報処理装置であって、前記検出手段により検出された情報に基づく電気信号を受信する受信部と、前記電気信号に基づいて、前記撮影手段のうち、指定された撮影手段により撮影された映像を、利用者に提供される提供情報として取得する取得部とを有する。
【発明の効果】
【0010】
実施形態の一態様によれば、例えば、車内の安全対策においてユーザビリティの向上を実現することができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。
図2図2は、車両の構成例を説明する説明図である。
図3図3は、実施形態に係る情報処理の全体像を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る制御装置の構成例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る設置位置情報記憶部の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る利用者装置の構成例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る受け付けTOP画面の一例を示す図である。
図9図9は、利用対象のカメラを指定する際に用いられるインターフェイスの一例を示す図である。
図10図10は、映像範囲を指定する際に用いられるインターフェイスの一例を示す図である。
図11図11は、提供先の利用者を指定する際に用いられるインターフェイスの一例を示す図である。
図12図12は、実施形態に係る車内非常事態対応システムで実現される情報処理手順を示すシーケンス図である。
図13図13は、情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、移動体および端末装置を実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、移動体および端末装置が限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
〔1.システム構成〕
まず、図1を用いて、実施形態に係る情報処理システムの構成を説明する。図1は、実施形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。図1には、実施形態に係る情報処理システムの一例として、車内非常事態対応システム1が示される。
【0014】
図1に示すように、車内非常事態対応システム1は、移動体TRxと、利用者装置60と、情報処理装置200とを含む。また、移動体TRxには、制御装置100が具備される。この結果、移動体TRxと、情報処理装置200とは、ネットワークNを介して、有線または無線により通信可能に接続される。また、利用者装置60と情報処理装置200も、ネットワークNを介して、有線または無線により通信可能に接続される。なお、以下の実施形態では、各装置は、ネットワークNと無線で接続されることで、各装置間で情報の送受信が行われるものとする。なお、情報処理装置200は、移動体TRxとネットワークを介して接続されてさえいれば、移動体TRxから離れた位置に設置されてもよいし、移動体TRxの中に設置されてもよい。ネットワークNは、例えば、移動体通信網であってよい。
【0015】
また、図1では、装置間の物理的な接続を示す導線が実線で示され、ネットワーク接続が点線で示されている。
【0016】
まず、移動体TRxについて説明する。例えば、移動体TRxは、顧客や荷物を運ぶ輸送手段すなわち鉄道車両であってよい。ここで、交通機関である鉄道は、「鉄道」、「軌道」、「策動」という3種に大きく分類することができる。また、「鉄道」は、「普通鉄道」、「鋼索鉄道」、「懸垂式鉄道」、「跨座式鉄道」、「案内軌条式鉄働」、「無軌条鉄道」に細分することができる。「軌道」については、「軌道」、「懸垂式モノレール」、「跨座式モノレール」、「案内軌条式」、「浮上式」に細分することができる。「策動」については、「普通策動」、「特殊策動」に細分することができる。
【0017】
以上のことから、実施形態に係る移動体TRxが活用される交通機関は、我々が最も使用頻度の高い一般鉄道をはじめとして、新幹線、路面電車、モノレール、ロープウェイ、リニア鉄道等のいずれであってもよいものとする。ただし、本実施形態では、移動体TRxは、全国に路線網が展開されることで目的地に向けて2本のレール上を走行する一般鉄道における鉄道車両であるものとして説明する。また、このようなことから、移動体TRxは、基本的には、複数の鉄道車両が編成される電車(列車)といえる。もちろんこの例に限らず、移動体TRxは、一両編成であってもよい。また、以下では、移動体TRxを「電車TRx」と言い換えて説明する。
【0018】
ここで、図1には、電車TRxの一例として電車TR11が示される。図1の例によれば、電車TRxは、車両C111、車両C112等が編成された列車である。そこで、車両C111の例を用いて、実施形態に係る電車TRxの車両における内部構成の具体例を説明する。車両C111単独でも移動体といえる。
【0019】
まず、車両C111には、灯具10(例えば、Light Emitting Diode蛍光灯、以下「LED蛍光灯」)と、カメラ20(撮影手段の一例)とが備えられる。図1の例によれば、灯具10とカメラ20とが接続されている。このようなことから、カメラ20は、LED蛍光灯一体型の防犯カメラといえる。また、灯具10とカメラ20は、ネットワークに接続されるとIoT(Internet Of Things)化されたカメラ付きLED蛍光灯といえる。
【0020】
例えば、カメラ20は、車両C111内の車内映像を常時又は車両C111が鉄道として運行サービスを提供する間、撮影していてよく、また、撮影で得られた映像を撮り溜めておく記憶部を有していてよい。また、カメラ20は、無線によるデータ通信機能も有していてよく、これにより、例えば、情報処理装置200からの要求に応じた映像を記憶部から抽出し、抽出した映像を情報処理装置200に提供することができる。
【0021】
なお、図1の例では、車両C111には、1組の灯具10およびカメラ20が示されているが、車両C111には、複数組の灯具10およびカメラ20が備えられていてよい。
【0022】
非常通報装置30(検出手段の一例)は、車内で非常事態が発生したことを乗務員等に知らせるための装置であり、例えば、乗客によって利用される。非常通報装置30は、車内非常ボタン、連絡ボタンあるいは非常通報装置等とも呼ばれることがある。非常通報装置30は、例えば、ドア横の車椅子スペースに設置される場合が多いが、近年はより小型化/スリム化が進み、1つの列車においてより多くの車両に設置される場合もある。このようなことから、非常通報装置30は、例えば、図1の例では、車両C111だけでなく車両C111に連結される隣の車両C112にも設置されていてよい。なお、非常通報装置30は、同一車両内に複数設置してもよい。
【0023】
ここで、車両C111の外部には、警報灯LTが設置されている。警報灯LTは、車側灯とも呼ばれ、車両内で非常事態が発生したことを車外へ知らせるため、非常通報装置30が押下される等の入力を受け付けたことに応じて点灯する。後に図2を用いてより詳細に説明するが、非常通報装置30と警報灯LTとは、導線で接続されており、非常通報装置30は、ボタンが押下される等の操作に応じて入力を受け付けた場合には、この導線を介して、警報灯LTへと電圧を印加する。警報灯LTは、電圧印加を受けて点灯する。
【0024】
なお、非常通報装置30は、音声出力部をさらに有してもよい。例えば、音声出力部は、非常通報装置30が入力を受け付けた場合には、所定の周波数の音声を出力してよい。例えば、制御装置100が特定の周波数帯域の音声を認識可能である場合には、音声出力部は、この特定の周波数帯域に含まれる周波数の音声(例えば、ブザー音)を出力してよい。これにより、制御装置100は、音声出力部が音声を出力した場合には、出力された音声の入力を受け付けることができるようになる。
【0025】
センサ40(検出手段の一例)は、車内の保全システムとして設置される各種センサである。例えば、センサ40は、火災の発生、異臭の発生、地震の発生、ドアの故障、戸袋への異物挟み込み等の各種の異常事態を検出(検知)するための装置である。なお、センサ40は、カメラ20と同様に無線によるデータ通信機能も有していてよく、この場合、検出したセンサ情報を無線により情報処理装置200に送信することができる。また、カメラ20も映像により車内の状況を検出する点でセンサ40と解することができる。
【0026】
図1の例では、センサ40は、車両C111につき1つ設置されているが、複数設置されていてもよい。
【0027】
ここで、従来の非常通報装置30は、例えば、乗務員室に警報やブザー音を通知するだけの機能しか有しておらず、非常通報信号を終端する。従って、乗務員室に乗員が常に在室していなければ非常通報に応じることができず、非常事態への対応が不十分である。
【0028】
このようなことから、非常通報装置30と情報処理装置200とをネットワークにより仲介する制御装置100が導入される。図1の例であれば、制御装置100は、例えば、電車TR11が有する配線構造を利用して後付けされるものであってよく、非常通報装置30による非常通報信号を受けて、車外の利用者、又は車内にはいるが乗務員室に在室していない乗員へ非常事態への効率的な対応を促す役割を有する。
【0029】
例えば、制御装置100は、非常通報装置30が入力を受け付けた場合には、入力を受け付けたことを示す情報に基づいて、所定の電気信号を生成し、生成した電気信号を無線により情報処理装置200に送信する。
【0030】
また、制御装置100は、センサ40が異常事態を検出した場合には、検出したセンサ情報に基づいて、所定の電気信号を生成し、生成した電気信号を無線により情報処理装置200に送信する。なお、センサ40は、無線によるデータ通信機能を有している場合には、制御装置100を仲介することなく、直接センサ情報を情報処理装置200に送信してもよい。例えば、センサ40が無線によるデータ通信機能を有しない場合には、図1に示すように、制御装置100と、センサ40とが導線で接続されてよい。
【0031】
非常通報装置30を例に挙げて、制御装置100の接続方式を簡単に説明する。詳細については図2で説明する。
【0032】
上述したように、非常通報装置30と警報灯LTとは、導線で接続される。これは、非常通報装置30による入力の受け付けに応じて、警報灯LTを作動させるための電圧を印加するための配線に相当し、電車TR11をはじめとする多くの車両が有する配線構造である。制御装置100は、この導線から分岐(ブランチ)された分岐線の先に接続された状態で、例えば、車両C111の天井等に設置されてよい。
【0033】
このように、制御装置100は、非常通報装置30および警報灯LTを有する車両が有する配線構造を活用して設置することができるため、例えば、設置における複雑な工事が不要であるし、制御装置100が有する機能が導入された新車両の製造といった大掛かり工程も不要である。このため、外部の情報処理装置200と連携する車内非常事態対応システム1を車内に簡単に構築することができるようになる。また、このように制御装置100は、既存車両を活用した後付けにおいて有効なメリットを有するため、例えば、鉄道会社における業務効率化に貢献することができるようになる。
【0034】
なお、制御装置100は、例えば、情報処理装置200を管理する事業者(以下、「事業者X」とする)によって提供されるものであってよい。例えば、事業者Xは、ネットワークNに関するインターネット通信事業を展開している通信事業者であってよく、制御装置100を用いた車内非常事態対応システム1の構築をサービスとして提供している。係るサービスを利用する組織としては、例えば、各種の鉄道会社が挙げられる。よって本実施形態でいう利用者とは、鉄道会社に所属する乗務員(運転手)や、鉄道会社の指令室で走行を管理する指令室職員等といった鉄道関係者であってよい。
【0035】
利用者装置60は、実施形態に係る端末装置に相当する。例えば、利用者装置60は、上記の利用者によって利用される情報処理端末であってよい。このような情報処理端末としては、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PC(Personal Computer)や、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)等が挙げられる。
【0036】
例えば、利用者装置60には、制御装置100や情報処理装置200との間で情報の送受信を実現する所定のアプリケーションソフトウェアが導入されてよい。また、係るアプリケーションソフトウェアは、ウェブブラウザ等の汎用的なアプリケーションソフトウェアであってもよいし、実施形態に係る車内非常事態対応システム1に対応する専用のアプリケーションソフトウェアとして実装されてもよい。
【0037】
また、利用者は、利用者装置60を用いて、情報処理装置200に対して各種の情報設定を行うことができる。例えば、情報処理装置200は、制御装置100から送信された電気信号に基づき、アラート対象の所定の事態が車両で発生したか否かを判定する機能を有する。このため利用者は、利用者装置60を用いて、「アラート対象の所定の事態が発生した場合には、〇〇の位置のカメラ20がこれまでに撮影している映像のうち、××の期間に撮影された映像を提供して欲しい」といった内容を指定することができる。このような情報設定の一例については、図8図11で詳細に説明する。
【0038】
なお、ここでいうアラート対象の所定の事態(非常事態)とは、非常通報装置30を操作すべき緊急事態(例えば、殺傷事件、乗客同士の揉め事、犯罪行為)や、センサ40が反応する緊急事態(例えば、火災発生、異臭発生、車両と車外の物体との衝突、車両の脱線)である。
【0039】
また、利用者は、上記の非常事態が発生したことを示すアラートを通知する通知先の利用者や、予め指定されている映像が提供される提供先の利用者(映像の閲覧権限が付与される利用者)も利用者装置60を用いて指定することができる。例えば、車外の指令室職員は、現場の乗務員が車両の乗員室に設置される又は乗務員が車内で携帯する利用者装置60(例えば、タブレット型端末)から緊急事態発生時の映像を確認したり、警察等の事故・事件対応関係者が所定の端末ですぐに映像を確認することができるよう、この利用者装置60に対して閲覧権限を付与する旨の指定を行うことができる。
【0040】
情報処理装置200は、移動体として編成されている車両(図1の例では、車両C111、車両C112等)に設置される検出手段(例えば、非常通報装置30、センサ40)、および、カメラ20と通信可能に接続されるサーバ装置であってよい。なお、これまで説明したように、制御装置100が通信の仲介役を担うことで、このような接続が実現される。
【0041】
例えば、情報処理装置200は、実施形態に係る情報処理(例えば、車内非常事態対応システム1で実現される主要な情報処理)を行う。例えば、情報処理装置200は、制御装置100が非常事態の発生に応じて生成した電気信号を受信する。そして、情報処理装置200は、受信した電気信号に基づいて、車両C111等に設置されるカメラ20のうち、予め利用者により指定されたカメラ20により撮影された映像を、利用者に提供される提供情報として取得する。
【0042】
〔2.車両の構成〕
続いて、図2を用いて、実施形態に係る電車TRxに編成される車両の構成について説明する。図2は、車両の構成例を説明する説明図である。図2では、図1の電車TR11に編成されている1号車に相当する車両C111を例に挙げて、その構成例を説明する。図2(a)は、図1の車両C111を上方向から見た上面図である。一方、図2(b)は、図1の車両C111を横方向から見た側面図である。
【0043】
まず、図2(a)について説明する。図2(a)の例によれば、図1の車両C111には、IoT化されたLED蛍光灯である灯具10として、灯具10a、灯具10b、灯具10c、灯具10dが設置されている。また、図2(a)に例によれば、灯具10aには通信機能を有する防犯カメラであるカメラ20aが一体化されている。同様にして、灯具10bにはカメラ20bが一体化され、灯具10cにはカメラ20cが一体化され、灯具10dにはカメラ20dが一体化されている。このように、カメラ20は、1車両において具備されている灯具10の数に応じて、複数台設置されてよい。なお、カメラ20と灯具10とは必ずしも一体化されておらずともよく、例えば、カメラ20は、灯具10とは関係なく個別に複数台設置されていてもよい。
【0044】
また、図2(a)の例によれば、非常通報装置30は、車両C111の扉4付近に設置され、また、車両C111の外側(扉4付近)には警報灯LTが設置されている。非常通報装置30及び警報灯LTは、一車両にそれぞれ複数設置してもよい。係る場合、非常通報装置30と、警報灯LTは、電圧印加のための導線である信号線LN1(実線)によって結線される。例えば、非常通報装置30は、ボタンが押下された場合には、ボタン押下に応じて発生した電圧を、信号線LN1を介して警報灯LTへと印加する。このようなことから、信号線LN1は、ボタンの押下に応じて警報灯LTを作動させるための電圧を印加するために配線される導線である。非常通報装置30と警報灯LTとが備えられている車両であれば、必ずこのような配線が成されている。
【0045】
そこで、制御装置100は、信号線LN1から分岐された導線である分岐線LN2(点線)によって非常通報装置30と物理的に接続される。このように分岐線LN2を用いるだけで、容易に非常通報装置30と制御装置100を結線することができるため、制御装置100を用いた係る接続方式は、車内非常事態対応システム1を構築するうえで、工事や手間を削減することができる効果的な手法といえる。
【0046】
なお、図2では不図示であるが、センサ40も何らかの配線によって結線されている場合には、制御装置100は、この配線に用いられている導線から分岐された他の分岐線によってセンサ40と物理的に接続されてよい。
【0047】
続いて、図2(b)について説明する。図2(b)の例によれば、制御装置100は、例えば、車両C111の天井に設置されてよい。なお、制御装置100は、天井内部に空きスペースが存在する場合には、そこに積載されてもよい。また、分岐線LN2は、乗客スペースに露出してしまわないよう、図2(b)に示すように、天井内部を添わすように配線されることが好ましい。
【0048】
なお、図2(b)では不図示であるが、天井内部には、灯具10へと電源を供給する電源装置が設けられている。そこで、制御装置100は、この電源装置から電力を取得できるよう別の導線で電源装置とも接続されてよい。
【0049】
また、これまでは、制御装置100の後付けを簡単にする接続方式について説明したが、例えば、非常通報装置30に対して制御装置100の機能が導入されてもよい。具体的には、制御装置100の機能を有する新たな非常通報装置30が実装されてもよいし、そのような非常通報装置30が導入された新たな車両が製造される可能性もある。
【0050】
〔3.実施形態に係る情報処理の概要〕
次に、図3を用いて、車内非常事態対応システム1で実現される情報処理の概要を説明する。図3は、実施形態に係る情報処理の全体像を示す図である。図3には、車両C111でアラート対象の所定の事態、すなわち非常事態が発生したことに応じて、電車TR11の乗務員である利用者U11が有する利用者装置60へと通知が行われる場面が示される。
【0051】
また、図3では、利用者U11が、車両C111を含めて電車TR11のどのような位置に設置されたカメラ20か、当該カメラ20が撮影した映像のうちどのような期間分の映像を欲するか等を情報処理装置200に対して予め指定しているものとする。つまり、情報処理装置200は、利用者U11から指定情報を受け付けているものとする。
【0052】
また、図3では、非常通報装置30は、入力を受け付けるためのボタンを有しているものとする。
【0053】
例えば、車両C111の乗客が車内で非常事態が起きたと判断し、非常通報装置30のボタンを押下したとする。ボタンが押下されると、装置内に特定の電圧が発生する。このため、非常通報装置30は、電圧の発生に応じて、ボタンが押下されたことを検出するとともに、警報灯LTへと電圧を印加する(ステップS1)。例えば、電圧は、信号線LN1(不図示)を通じて警報灯LTへと印加される。
【0054】
また、信号線LN1に印加された電圧は、分岐線LN2にも印加されるため、制御装置100は、分岐線LN2を介して、印加電圧を検知し、検知した印加電圧からデジタル信号を生成する(ステップS2)。例えば、制御装置100は、印加電圧を検知したことで、非常通報装置30が押下されたと判断し、非常通報装置30が押下されたことを示す情報に基づき、デジタル信号を生成する。
【0055】
また、制御装置100は、ネットワークNを介した無線通信により、ステップS2で生成したデジタル信号を情報処理装置200に送信する(ステップS3)。
【0056】
情報処理装置200は、制御装置100から受信したデジタル信号に基づいて、車両C111で非常事態が発生したことを認識する(ステップS4)。
【0057】
続いて、情報処理装置200は、電車TR11で非常事態が発生した場合に提供する映像に関して上述した指定情報が存在するか否かを判定してよい。図3の例では、情報処理装置200は、非常事態が発生した場合に提供する映像に関して指定する指定情報の設定を利用者U11から予め受付けているため、指定情報ありと判定してよい。また、この結果、情報処理装置200は、利用者U11から受け付けている指定情報の内容を特定する(ステップS5)。
【0058】
次に、情報処理装置200は、ステップS5で特定した指定内容に応じた映像をカメラ20に内蔵された記録媒体から取得する(ステップS6)。例えば、情報処理装置200は、電車TR11の編成車両に設置されるカメラ20のうち、指定内容に応じたカメラ20にアクセスする。そして、情報処理装置200は、アクセス先のカメラ20がこれまでに撮影している映像であって、指定内容に応じた期間分の映像をこのカメラ20に内蔵された記録媒体から取得する。
【0059】
例えば、情報処理装置200は、電車TR11の編成車両の1つである車両C111に設置されるカメラ20aが撮影した映像のうち、今回の非常事態が発生した発生時刻に対して前後10分間の映像を提供するよう指定する指定情報を利用者U11から受け付けていたとする。係る場合、情報処理装置200は、この指定情報に基づいて、非常事態が発生した発生時刻に対して前後10分間の映像を送信するよう指示する送信命令をカメラ20aへと出力する。そうすると、カメラ20aは、送信命令に対応する期間分の映像を記憶部か抽出し、抽出した映像を情報処理装置200に送信する。このようにして情報処理装置200は、映像を取得することができる。なお、非常事態の発生時刻は、非常通報装置30のボタンが押下された時刻でもよいし、非常通報装置30のボタンが押下された時刻から所定の時間を遡った時刻に設定してもよい。
【0060】
なお、各カメラ20による撮影映像は、制御装置100が有する記憶部に蓄積される構成が採用されてもよく、係る場合には、情報処理装置200は、制御装置100へと送信命令を送ることで、カメラ20aによる上記期間分の映像を制御装置100から取得してよい。
【0061】
また、各カメラ20は、映像を定期的に情報処理装置200へと送っていてもよく、係る場合には、各カメラ20による撮影映像は、情報処理装置200が有する記憶部に蓄積されてよい。係る構成が採用される場合、情報処理装置200は、カメラ20や制御装置100に送信命令を送ることなく、自装置が有する記憶部からカメラ20aによる上記期間分の映像を取得すればよい。映像の定期的送信は、一定周期で所定時間の映像をバッチ処理で送信してもよいし、撮影中の映像をリアルタイムで送信してもよい。
【0062】
情報処理装置200は、指定情報に応じた映像を取得できると、取得した映像を利用者U11に提供する提供情報として例えばバッファ等で一時保存してよい。このような状態で、情報処理装置200は、まず、車両C111で非常事態が発生した旨を利用者U11にアラートする(ステップS7)。例えば、情報処理装置200は、車両C111で緊急事態が発生したことを示すアラート情報を利用者装置60に通知する。ここで、情報処理装置200は、ステップS6において、利用者U11に提供する提供情報として取得している映像の所在場所(格納場所、アドレス)を示すリンク情報を生成し、このリンク情報もアラート情報とともに通知してよい。なお、アラートを通知するステップS7は、必ずしもステップS6の映像取得が完了した後に行う必要はなく、ステップS6の映像取得が完了する前にステップS7のアラート通知が実行されてもよい。
【0063】
利用者U11は、利用者装置60から出力されたアラートによって非常事態発生を把握し、また、車内状況を確認するためにリンク情報から映像の所在場所にアクセスするユーザ操作を行ったとする。そうすると、利用者装置60は、映像の閲覧要求を情報処理装置200に送信する。情報処理装置200は、閲覧要求を受け付けると、リンク情報に対応する映像(利用者U11に提供する提供情報として取得している映像)をバッファから抽出し、抽出した映像を利用者U11に提供する。つまり、情報処理装置200は、抽出した映像を利用者装置60に送信する(ステップS8)。
【0064】
ここまで図3を用いて、情報処理装置200が行う実施形態に係る情報処理の全体像を説明した。このような情報処理によれば、利用者は、例えば、目的に応じたシーンが的確に映された映像を容易に入手できるようになるため、膨大な映像の中から目的に応じた映像を見付けだす作業等を行う必要がなくなる。さらに、利用者の端末装置には、事前に指定された映像のみが送信されるため、利用者は短時間で車内状況を把握することも可能となり、非常事態対応の行動に迅速に移ることができる。このようなことから、実施形態に係る情報処理では、車内の非常事態対応においてユーザビリティの向上を実現することができるようになる。
【0065】
〔4.制御装置の構成〕
次に、図4を用いて、実施形態に係る制御装置100について説明する。図4は、実施形態に係る制御装置100の構成例を示す図である。図4に示すように、制御装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0066】
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。例えば、通信部110は、ネットワークNと無線で接続され、例えば、情報処理装置200との間で情報の送受信を行う。
【0067】
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、例えば、カメラ20によって撮影された映像や、利用者による指定情報を記憶してよい。
【0068】
(制御部130について)
制御部130は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、制御装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0069】
図4に示すように、制御部130は、検知部131は、生成部132と、送信部133と、音声入力部134とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、図4に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、図4に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0070】
(検知部131について)
検知部131は、所定の情報を検知する。例えば、検知部131は、非常通報装置30に対して入力操作が行われた場合には、入力を受け付けるとともに、入力を受け付けたことを示す情報を生成部132に出力する。一例として、検知部131は、非常通報装置30のボタンが押下された場合には、ボタン押下に伴う入力を受け付けるとともに、押下に応じて発生した電圧を検知する。そして、検知部131は、入力を受け付けたこと示す情報を生成部132に出力する。
【0071】
また、検知部131は、センサ40が反応した場合には、反応に応じて発生した電圧を検知する。そして、検知部131は、反応に応じた情報を生成部132に出力する。例えば、センサ40が火災装置であるとすると、検知部131は、火気に応じて発生した電圧を検知するとともに、火気発生を示すセンサ情報を生成部132に出力する。他の例として、例えば、センサ40が臭気装置であるとすると、検知部131は、異臭に応じて発生した電圧を検知するとともに、異臭発生を示すセンサ情報を生成部132に出力する。
【0072】
(生成部132について)
生成部132は、非常通報装置30やセンサ40等の検出手段により検出された情報に基づいて、電気信号(例えば、デジタル信号)を生成する。また、生成部132は、生成したデジタル信号を送信部133に出力してよい。
【0073】
例えば、検知部131が、非常通報装置30が押下された(非常通報装置30が入力を受け付けた)ことに応じて、押下を示す情報(入力を受け付けたことを示す情報)を生成部132に出力したとする。係る場合、生成部132は、押下されたこと示す情報に基づいて、利用者の設定に応じたデジタル信号を生成してよい。例えば、利用者は、押下されたことを示すデジタル信号として、どのような数値集合の信号を生成させるか、生成対象の数値集合を予め指定することができる。一例として、利用者は、利用者装置60を用いて情報処理装置200へとアクセスし、情報処理装置200を仲介して、生成対象の数値集合を制御装置100に入力することができる。また、入力された指定情報は、制御装置100が有する記憶部に記憶されてよい。この場合、生成部132は、記憶部を参照し、押下されたこと示す情報に対応付けられる数値集合を認識し、認識した数値集合によるデジタル信号を生成してよい。
【0074】
また、検知部131が、センサ40が反応したことに応じて、火気発生を示すセンサ情報を生成部132に出力したとする。係る場合、生成部132は、火気発生を示すセンサ情報に基づいて、利用者の設定に応じたデジタル信号を生成してよい。例えば、利用者は、火気発生を示すデジタル信号として、どのような数値集合の信号を生成させるか、生成対象の数値集合を予め指定することができる。一例として、利用者は、利用者装置60を用いて情報処理装置200へとアクセスし、情報処理装置200を仲介して、生成対象の数値集合を制御装置100に入力することができる。また、入力された指定情報は、制御装置100は有する記憶部に記憶されてよい。この場合、生成部132は、記憶部を参照し、火気発生を示すセンサ情報に対応付けられる数値集合を認識し、認識した数値集合によるデジタル信号を生成してよい。
【0075】
また、検知部131が、センサ40が反応したことに応じて、異臭発生を示すセンサ情報を生成部132に出力したとする。係る場合、生成部132は、異臭発生を示すセンサ情報に基づいて、利用者の設定に応じたデジタル信号を生成してよい。例えば、利用者は、異臭発生を示すデジタル信号として、どのような数値集合の信号を生成させるか、生成対象の数値集合を予め指定することができる。一例として、利用者は、利用者装置60を用いて情報処理装置200へとアクセスし、情報処理装置200を仲介して、生成対象の数値集合を制御装置100に入力することができる。また、入力された指定情報は、制御装置100は有する記憶部に記憶されてよい。この場合、生成部132は、記憶部を参照し、異臭発生を示すセンサ情報に対応付けられる数値集合を認識し、認識した数値集合によるデジタル信号を生成してよい。
【0076】
(送信部133について)
送信部133は、生成部132により生成された電気信号を情報処理装置200に送信する。
【0077】
また、送信部133は、情報処理装置200がどの車両に設置されるどの非常通報装置30が押下したかを把握できるよう、押下された非常通報装置30を識別可能な識別情報も送信してよい。さらに、送信部133は、押下された非常通報装置30に対して最も近い位置に設置されるカメラ20を識別可能な識別情報も送信してよい。
【0078】
他の例として、送信部133は、情報処理装置200がどの車両に設置されるどのセンサ40が反応したかを把握できるよう、反応したセンサ40を識別可能な識別情報も送信してよい。さらに、送信部133は、反応したセンサ40に対して最も近い位置に設置されるカメラ20を識別可能な識別情報も送信してよい。
【0079】
なお、制御装置100は、カメラ20により撮影された映像を情報処理装置200に送信する第2の送信部としての機能をさらに有してよい。また、ここでいう映像とは、電気信号に基づきアラート対象の所定の事態が車両で発生したと判定されたことに応じて、カメラ20のうち、指定されたカメラ20により撮影された映像の提供要求が受け付けられる場合に、この提供要求に対応する映像を含んでいてよい。
【0080】
また、カメラ20のそれぞれが、自装置が撮影した映像を情報処理装置200に送信する第2の送信部としての機能を有してよい。また、係る例では、情報処理装置200との間で通信を実現する制御部は、カメラ20であるハードウェアと、カメラ20上で実現されるソフトウェアによる情報処理とを組み合わせたものであってよい。
【0081】
また、第2の送信部(制御装置100、あるいは、カメラ20)は、自装置が有する記憶部に映像を蓄積しておき、情報処理装置200から映像の送信命令を受け付けた場合に、蓄積している映像のうち、送信命令に対応する分の映像を情報処理装置200に送信してよい。
【0082】
一方、第2の送信部(制御装置100、あるいは、カメラ20)は、映像が撮影されるたびに撮影された映像を逐一、情報処理装置200に送信してもよい。この場合、情報処理装置200は、制御装置100あるいはカメラ20に送信命令を送ることなく、自装置が有する記憶部に蓄積されている映像のうち、例えば、指定情報に応じた映像を取得してよい。
【0083】
(音声入力部134について)
上記の通り、非常通報装置30が有する音声出力部(例えば、スピーカー)は、非常通報装置30が入力を受け付けた場合には、音声入力部134が認識可能な特定の周波数帯域(例えば、20~20,000Hz)に含まれる周波数(例えば、2,000~4,000Hz)の音声を出力してよい。このため、音声入力部134は、非常通報装置30が有する音声出力部が特定の周波数帯域に含まれる周波数の音声を出力した場合には、音声出力部によって音声が出力されたことを認識し、結果、音声入力を受け付ける。なお、音声出力部が出力する音声を可聴領域である20~20,000Hzに設定すれば、車両内の乗客にも非常事態が発生したことを音声により通知することができる。
【0084】
また、上記例では、生成部132が、非常通報装置30が入力を受け付けた場合には、入力を受け付けたこと示す情報に基づき電気信号を生成する例を示した。しかしながら、生成部132は、非常通報装置30が入力を受け付けたことに応じて、音声出力部が特定の周波数帯域に含まれる周波数の音声を出力し、そして、音声入力部134が音声入力を受け付けた場合には、電気信号を生成してよい。例えば、生成部132は、入力を受け付けたこと示す電気信号を生成してよい。
【0085】
また、音声入力の受け付けにより電気信号を生成する制御装置は、設置工事の際に車両が有する既存の配線構造を把握することが不要なため、配線に印加された電圧により電気信号を生成する制御装置と比較して、設置作業の手間を更に減らすことができる。
【0086】
〔5.情報処理装置の構成〕
次に、図5を用いて、実施形態に係る情報処理装置200について説明する。図5は、実施形態に係る情報処理装置200の構成例を示す図である。図5に示すように、情報処理装置200は、通信部210と、記憶部220と、制御部230とを有する。
【0087】
(通信部210について)
通信部210は、例えば、NIC等によって実現される。例えば、通信部210は、ネットワークNと無線で接続され、例えば、カメラ20、センサ40、制御装置100との間で情報の送受信を行う。
【0088】
(記憶部220について)
記憶部220は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部220は、設置位置情報記憶部221と、指定情報記憶部222と、映像データ記憶部223とを有する。
【0089】
(設置位置情報記憶部221について)
設置位置情報記憶部221は、車両においてカメラ20が設置されている位置である設置位置に関する情報を記憶する。これまで説明してきたように、カメラ20は、灯具10と一体化される。このため、カメラ20の設置位置は、灯具10が設置されている位置を用いて定義されてよい。ここで、図6に、実施形態に係る設置位置情報記憶部221の一例を示す。図6の例では、設置位置情報記憶部221は、「組織ID」、「路線名」、「電車ID」、「車両ID」、「灯具管理番号」、「カメラID」といった項目を有する。
【0090】
「組織ID」は、「路線名」で示される路線を管轄する組織すなわち鉄道会社を識別する識別情報である。「路線名」は、「組織ID」で識別される鉄道会社が管理する路線の名称を示す。「電車ID」は、「路線名」が示す路線で使用されている電車を識別する識別情報である。「車両ID」は、「電車ID」で識別される電車として編成される車両を識別する識別情報を示す。
【0091】
例えば、図6には、組織ID「G1」と、路線名「AA線」と、電車ID「TR11」と、車両ID「C111」とが対応付けられる例が示される。係る例は、組織G1は、AA線を管理しており、また、AA線で使用される電車TR11には、車両C111、車両C112、車両C113等が編成される例を示す。
【0092】
「灯具管理番号」は、「車両ID」で識別される車両の天井に設けられている灯具設置用のポートを管理する番号であるポート番号を用いて、灯具10を識別する情報である。なお、ポート番号には、ポートの位置(例えば、N列の左からM番目)を示す情報が含まれていてよい。
【0093】
例えば、図6には、車両ID「C111」と、灯具管理番号(ポート番号)「10a」とが対応付けられる例を示す。係る例は、車両C111の天井において、ポート番号「10a」で示される位置には、灯具10が接続され、この灯具10が灯具10aとして識別されている例を示す。
【0094】
「カメラID」は、カメラ20を識別する識別情報を示す。カメラ20は、灯具10と一体化されるため、「カメラID」で識別されるカメラ20が設置されている設置位置は、「灯具管理番号」を用いて定義することができる。
【0095】
例えば、図6には、車両ID「C111」と、灯具管理番号「10a」と、カメラID「20a」とが対応付けられる例を示す。係る例は、車両C111の天井において、ポート番号「10a」で示される位置にある灯具10(灯具10a)には、カメラ20aが接続されているため、カメラ20aの設置位置も、ポート番号「10a」で示される位置に対応する例を示す。このようなことから、灯具管理番号「10a」は、カメラ20aが設置されている設置位置情報といえる。
【0096】
(指定情報記憶部222について)
指定情報記憶部222は、アラート対象体の事態(非常事態)が発生した場合に情報処理装置200から提供させる映像に関して、利用者が指定した指定情報を記憶する。指定情報記憶部222では、例えば、図6の「組織ID」、「電車ID」、「車両ID」等を用いて、指定情報が管理されてよい。
【0097】
(映像データ記憶部223について)
映像データ記憶部223は、カメラ20により撮影された映像を記憶する。例えば、映像データ記憶部223は、利用者により指定されたカメラ20により撮影された映像を、利用者に提供される提供情報として記憶する。映像データ記憶部223では、例えば、図6の「組織ID」、「電車ID」、「車両ID」等を用いて、提供情報として取得された映像が管理されてよい。
【0098】
(制御部230について)
制御部230は、CPUやMPU等によって、情報処理装置200内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(例えば、情報処理プログラム)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部230は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
【0099】
図5に示すように、制御部230は、受付部231と、受信部232と、判定部233と、特定部234と、取得部235と、通知部236とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部230の内部構成は、図5に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部230が有する各処理部の接続関係は、図5に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0100】
(受付部231について)
受付部231は、車両に設置されるカメラ20のうちのいずれのカメラ20により撮影された映像を提供させるか、カメラ20に関して指定する指定情報を受け付ける。
【0101】
例えば、受付部231は、車両に設置されるカメラ20のうち、いずれのカメラ20により撮影された映像を提供させるか、そのカメラ20を利用対象のカメラとして指定する指定情報を受け付ける。
【0102】
また、例えば、受付部231は、カメラ20が設置されている位置に応じて設定された指定情報も受け付けてもよい。なお、ここでいう指定情報には、利用対象として指定されたカメラ20が設置されている位置から導き特定することが可能な他のカメラ20(例えば、カメラ20が設置された位置の隣に設置された他のカメラ等)を示す指定情報も含まれてよい。例えば、受付部231は、このような指定情報として、車両において利用対象のカメラが設置されている位置を示す設置位置情報を受け付けてよい。
【0103】
例えば、受付部231は、設置位置情報として、検出手段(例えば、非常通報装置30)のうちいずれかの検出手段を示す情報を用いて利用対象のカメラが設置されている位置が規定された設置位置情報を受け付けてよい。
【0104】
他の例として、受付部231は、設置位置情報として、編成されている車両のうちいずれの車両のどの部位(例えば、灯具10)に設置されているカメラ20を利用対象のカメラとするか、対象の車両を示す情報と、当該対象の車両における対象の部位を識別する情報(例えば、図6の「灯具管理番号」(ポート番号)とを用いて利用対象のカメラが設置されている位置が規定された設置位置情報を受け付けてもよい。
【0105】
また、受付部231は、指定情報として、利用対象のカメラにより撮影された映像のうち、提供情報となる範囲を指定する範囲情報をさらに受け付けてよい。例えば、受付部231は、範囲情報として、アラート対象の所定の事態が発生した場合の発生時点を基準とする所定の時間範囲分の映像を提供情報として指定する範囲情報を受け付けてよい。
【0106】
例えば、受付部231は、範囲情報として、発生時点に対して所定の時間遡った時点から、発生時点までの期間に撮影された映像を提供情報として指定する範囲情報を受け付けてよい。
【0107】
また、受付部231は、範囲情報として、発生時点から、発生時点に対して所定の時間経過した時点までの期間に撮影された映像を提供情報として指定する範囲情報を受け付けてよい。
【0108】
また、受付部231は、提供情報として取得された映像が提供される提供先の利用者を指定する利用者情報をさらに受け付けてよい。
【0109】
例えば、受付部231は、アラート対象の所定の事態が前記車両で発生したと判定された場合において、当該車両が編成されている電車TRxとの間で所定の関係性が満たされている他の電車TRxに関係する利用者を提供先の利用者として指定する利用者情報を受け付けてよい。例えば、受付部231は、利用者情報として、この所定の関係性について条件付ける条件情報を受け付けてよい。
【0110】
例えば、受付部231は、アラート対象の所定の事態が発生するよりも前に、上記の指定情報や利用者情報を受け付けておくことができる。換言すると、例えば、利用者は、一日の運行が開始される前に予め指定情報や利用者情報を情報処理装置200に対して設定しておくことで、非常事態が発生した後に慌てて所望の映像を探したり、その指定情報を検討する必要がなくなり、アラート対象の所定の事態が発生した場合に備えることができる。
【0111】
(受信部232について)
受信部232は、検出手段により検出された情報に基づく電気信号を受信する。例えば、受信部232は、電気信号として、検出手段により検出された情報に基づき制御装置100により生成された電気信号を受信する。
【0112】
例えば、受信部232は、検出手段が非常通報装置30である場合には、非常通報装置30が入力を受け付けたことを示す情報に基づき制御装置100により生成された電気信号を受信する。また、受信部232は、電気信号として、非常通報装置30のうち入力を受け付けた非常通報装置30を識別する情報、または、カメラ20のうち入力を受け付けた非常通報装置30に対して最も近い位置に設置されるカメラ20を識別する情報のいずれかを含む電気信号を受信してよい。
【0113】
また、受信部232は、検出手段がセンサ40である場合には、センサが検出した情報に基づき制御装置により生成された電気信号を受信してよい。
【0114】
(判定部233について)
判定部233は、受信部232により受信された電気信号に基づいて、アラート対象の所定の事態が車両で発生したか否かを判定する。例えば、判定部233は、電気信号に含まれる数値集合が特定の数値集合であれば、その数値集合に対応する非常事態が発生したと判定することができる。
【0115】
(特定部234について)
特定部234は、判定部233によりアラート対象の所定の事態が車両で発生したと判定された場合には、利用者により予め設定されている指定情報(受付部231により受け付けられている指定情報)のうち、今回の非常事態が発生した車両に対応する指定情報を抽出する。そして、特定部234は、抽出した指定情報によって指定されている内容を特定する。
【0116】
(取得部235について)
取得部235は、車両に設置されるカメラ20のうち、指定されたカメラ20により撮影された映像を、利用者に提供される提供情報として取得する。例えば、取得部235は、利用者により指定されたカメラ20により撮影された映像を、利用者に提供される提供情報として取得する。例えば、取得部235は、アラート対象の所定の事態が車両で発生したと判定されたことで、この車両に対応する指定情報の内容が特定された場合には、特定された内容に応じた映像を取得する。
【0117】
また、取得部235は、利用者から映像の閲覧要求が受け付けられた場合に、受付部231により受け付けられている指定情報のうち、利用者に対応する指定情報によって指定されている内容の映像を、利用者に提供される提供情報として取得する。
【0118】
また、取得部235は、アラート対象の所定の事態が車両で発生したと判定された場合には、アラート対象の所定の事態の内容に応じたアラートが利用者に通知されるよう制御もしてよい。
【0119】
(通知部236について)
通知部236は、取得部235により利用者に提供される提供情報としなる映像が取得された場合には、この映像が利用者に提供されるよう所定の情報を当該利用者に通知する。例えば、通知部236は提供情報として取得された映像の所在場所を示すリンク情報を通知し、リンク情報が利用者により選択された場合には、提供情報として取得された映像を提供する。
【0120】
〔6.利用者装置の構成〕
次に、図7を用いて、実施形態に係る利用者装置60について説明する。図7は、実施形態に係る利用者装置60の構成例を示す図である。利用者装置60は、実施形態に係る端末装置の一例に相当する。図7に示すように、利用者装置60は、通信部61と、記憶部62と、制御部63とを有する。
【0121】
なお、利用者装置60には、情報処理装置200との間で情報の送受信を実現するアプリケーションソフトウェア(以下、「アプリAP」と表記する)が導入されてよい。アプリAPは、汎用的なアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ)であってもよいし、実施形態に係る情報処理に対応する専用のアプリケーションとして実装されてもよい。汎用的なアプリケーションソフトウェアは、利用者装置60にプリインストールされていることが多いため、専用アプリケーションソフトウェアと比較して、利用者が利用する前に各利用者装置60にインストールする手間を省略することができる。
【0122】
(通信部61について)
通信部61は、例えば、NIC等によって実現される。例えば、通信部61は、ネットワークNと無線で接続され、例えば、情報処理装置200との間で情報の送受信を行う。
(記憶部62について)
記憶部62は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部62は、例えば、後述する入力受付部63aが受け付けた情報を記憶してよい。
【0123】
(制御部63について)
制御部63は、CPUやMPU等によって、利用者装置60内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(例えば、アプリAP)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部63は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
【0124】
図7に示すように、制御部63は、入力受付部63aと、送信部63bと、出力制御部63cと、要求部63dとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、入力受付部63a、送信部63b、出力制御部63c、要求部63dは、利用者装置60においてアプリAPが実行されることに応じて生成される処理部であってよい。
【0125】
また、制御部230の内部構成は、図7に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部63が有する各処理部の接続関係は、図7に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0126】
(入力受付部63aについて)
入力受付部63aは、車両に設置されるカメラ20のうちのいずれのカメラ20により撮影された映像を提供させるか、カメラ20に関して指定する指定情報の入力を受け付ける。例えば、入力受付部63aは、指定情報として、上述した設置位置情報や範囲情報の入力を受け付けてよい。また、入力受付部63aは、利用者を指定する利用者情報の入力も受け付けてよい。
【0127】
(送信部63b)
送信部63bは、入力受付部63aにより受け付けられた情報を情報処理装置200に送信する出力部に相当する処理部である。例えば、情報処理装置の受付部231は、送信部63bにより送信された情報を受け受ける。
【0128】
(出力制御部63cについて)
出力制御部63cは、情報処理装置200から通知された情報が出力されるよう制御する。例えば、出力制御部63cは、情報処理装置200の通知部236により通知された情報(リンク情報や、リンク情報の選択に応じて提供された映像等)が出力される制御する。
【0129】
(要求部63dについて)
要求部63dは、映像の閲覧要求を情報処理装置200に送信する。例えば、要求部63dは、映像の所在場所を示すリンク情報が利用者によって選択された場合には、リンク情報に対応する閲覧要求を情報処理装置200に送信してよい。
【0130】
なお、図には示されていないが、利用者装置60は上述の通り例えばスマートフォンであるので、同一の映像を参照しながら関係者間で通話ができる機能を更に備えてもよい。
【0131】
〔7.利用者による各種指定の一例〕
ここからは、図8図11を用いて、アラート対象の所定の事態が発生した場合に提供させる映像に関して指定する指定情報を利用者から受け付ける処理の具体例を説明する。より具体的には、図8図11では、組織G1(鉄道会社G1)に属する利用者U12(例えば、指令室職員)によって指定される場面を用いて、指定態様のバリエーションを説明する。また、図8図11で説明する受付処理は、利用者装置60の入力受付部63aと、情報処理装置200の受付部231との間で行われてよい。
【0132】
〔7-1.受付画面について〕
まず、図8を用いて、受付のTOP画面の一例を説明する。図8は、実施形態に係る受け付けTOP画面の一例を示す図である。例えば、TOP画面T1は、アプリAP内で表示される画面の一つであってよい。また、TOP画面T1で入力された情報は、入力受付部63aによって受け付けられ、受け付けられた情報は送信部63bから情報処理装置200へと送信されてよい。
【0133】
図8に示す利用者装置60は、利用者U12によって利用される情報処理端末であり、アプリAPが導入されている。利用者U12は、アプリAPを介して、情報処理装置200にログインすることができる。
【0134】
例えば、情報処理装置200の受付部231は、利用者U12がログイン認証された場合には、図8に示すような、TOP画面T1を利用者装置60に表示させてよい。
【0135】
図8の例によれば、TOP画面T1には、利用者U12が所属する会社名「G1電鉄」、設定対象の路線情報「AA線」、設定対象の列車情報「TR11」等がログイン情報として表示されてよい。
【0136】
設定対象の路線情報とは、利用者U12がどの路線を対象として情報指定しようとしているかを示す情報である。利用者U12は、目的に応じて設定対象の路線情報を変更することができる。
【0137】
設定対象の列車情報とは、利用者U12がどの電車を対象として情報指定しようとしているかを示す情報である。利用者U12は、目的に応じて設定対象の列車情報を変更することができる。
【0138】
また、TOP画面T1には、図8に示すように、利用対象のカメラを指定するための画面へと遷移させるボタンBT1が設けられてよい。利用者U12は、ボタンBT1を押下して遷移される受付画面T11において、利用対象のカメラを指定することができる。図8の例によれば、利用者U12は、電車TR11として編成される車両に設置されるカメラ20のうちの、いずれのカメラ20によって撮影された映像を提供させるか、利用対象のカメラを受付画面T11で指定することができる。
【0139】
〔7-2.利用対象のカメラの指定〕
続いて、図9を用いて、利用対象のカメラを指定するためのインターフェイスの一例を説明する。図9は、利用対象のカメラを指定する際に用いられるインターフェイスの一例を示す図である。
【0140】
例えば、受付部231は、TOP画面T1に設けられるボタンBT1が押下された場合には、利用対象のカメラを指定するためのインターフェイスとして、受付画面T11を利用者装置60に表示させてよい。例えば、受付画面T11は、アプリAP内で表示される画面の一つであってよい。また、受付画面T11で入力された情報は、入力受付部63aによって受け付けられ、受け付けられた情報は送信部63bから情報処理装置200へと送信されてよい。
【0141】
例えば、受付部231は、利用対象のカメラを指定する指定情報として、利用対象のカメラが設置されている位置を示す設置位置情報を、受付画面T11を介して受け付けることができる。より具体的には、受付部231は、設置位置情報として、いずれの車両のどの部位(例えば、灯具10)に設置されているカメラ20を利用対象のカメラとするか、対象の車両を識別する車両IDと、当該対象の車両における灯具10の位置を指し示す灯具管理番号(ポート番号)とを用いて利用対象のカメラが設置されている位置が規定された設置位置情報を受け付けることができる。
【0142】
ここで、利用者U12は、図8のボタンBT1を押下するとともに、電車TR11の1号車に相当する車両C111のカメラ20の中から利用対象のカメラを指定するための受付画面T11を要求したとする。係る場合、受付部231は、例えば、図2(a)に倣って、車両C111の上面図が示される受付画面T11を利用者装置60に表示させてよい。
【0143】
受付画面T11は、図9に示すように、車両C111におけるどの位置のカメラ20を利用対象のカメラとして指定するかを感覚的に行えるような構成となっている。具体的には、受付画面T11には、カメラ20aが一体化された灯具10aの設置位置に対応付けるようにチェックボックスCKaが設けられ、カメラ20bが一体化された灯具10bの設置位置に対応付けるようにチェックボックスCKbが設けられてよい。また、受付画面T11には、カメラ20cが一体化された灯具10cの設置位置に対応付けるようにチェックボックスCKcが設けられ、カメラ20dが一体化された灯具10dの設置位置に対応付けるようにチェックボックスCKdが設けられてよい。
【0144】
例えば、利用者U12は、カメラ20aおよび20bを利用対象のカメラとして指定したい場合には、図9に示すように、チェックボックスCKaおよびCKbにチェックマークを入力したうえで、OKボタンを押下する。
【0145】
係る場合、送信部63bは、例えば、車両ID「C111」と、灯具管理番号「20a」とを紐付けた設置位置情報PTaを情報処理装置200に送信する。また、送信部63bは、車両ID「C111」と、灯具管理番号「20b」とを紐付けた設置位置情報PTbを情報処理装置200に送信する。受付部231は、設置位置情報PTaおよび設置位置情報PTbを受け付けると、これらの情報を指定情報記憶部222に格納する。
【0146】
なお、受付部231は、設置位置情報として、非常通報装置30を用いて利用対象のカメラが設置されている位置が規定された設置位置情報を受け付けることもできる。例えば、利用者U12は、車両C111に設置される非常通報装置30が押下された場合には、カメラ20aおよび20bの映像を提供させたいとする。係る場合、利用者U12は、チェックボックスCKaおよびCKbにチェックマークを入力するとともに、受付画面T11において非常通報装置30も選択すればよい。
【0147】
また、利用者U12は、チェックボックスを用いることなく非常通報装置30の選択だけで、利用対象のカメラを指定することもできる。例えば、受付部231は、非常通報装置30が選択されただけでOKボタンが押下された場合には、この非常通報装置30に対して最も近い位置に設置されるカメラ20aを利用対象のカメラとして自動認識してよい。他の例として、受付部231は、非常通報装置30が選択されだけでOKボタンが押下された場合には、車両C111に設置される全てのカメラ20を利用対象のカメラとして自動認識してもよい。
【0148】
〔7-3.映像範囲の指定〕
続いて、図10を用いて、利用対象のカメラにより撮影された映像のうち、どのような範囲の映像を提供させるか、提供情報となる映像の範囲を指定するためのインターフェイスの一例を説明する。図10は、映像範囲を指定する際に用いられるインターフェイスの一例を示す図である。
【0149】
例えば、受付部231は、図9の受付画面T11を介して、利用対象のカメラの指定を受け付けた後には、指定された利用対象のカメラによる映像を対象として映像範囲を指定するためのインターフェイスとして、受付画面T12を利用者装置60に表示させてよい。例えば、受付画面T12は、アプリAP内で表示される画面の一つであってよい。また、受付画面T12で入力された情報は、入力受付部63aによって受け付けられ、受け付けられた情報は送信部63bから情報処理装置200へと送信されてよい。
【0150】
例えば、受付部231は、アラート対象の所定の事態が発生したと判定された場合において、この所定の事態が発生したタイミングである発生時点を基準とする所定の時間範囲分の映像を提供するよう指定する範囲情報を、受付画面T12を介して受け付けることができる。
【0151】
例えば、受付部231は、発生時点に対して所定の時間遡った時点から、発生時点までの間に撮影された映像を提供情報として指定する範囲情報を受け付けてよい。また、受付部231は、発生時点から、発生時点に対して所定の時間経過した時点までの間に撮影された映像を提供情報として指定する範囲情報を受け付けてもよい。
【0152】
例えば、受付部231は、受付画面T11で指定された利用対象のカメラの情報に応じた受付画面T12を利用者装置60に表示させることができる。例えば、利用者U12が受付画面T11においてカメラ20aおよび20bを利用対象のカメラとして指定したとすると、受付部231は、図10に示すように、カメラ20aおよび20bそれぞれについて映像範囲を指定可能に加工された受付画面T12を利用者装置60に表示させることができる。
【0153】
例えば、受付画面T12には、図10に示すように、車両C111に設置されるカメラ20aにより撮影された映像のうち、非常事態が発生した発生時点からどれだけの期間遡った分の映像を提供させるか指定する上下ボタンBTa1が設けられてよい。
【0154】
また、受付画面T12には、車両C111に設置されるカメラ20aにより撮影された映像のうち、非常事態が発生した発生時点からどれだけの期間経過した分の映像を提供させるか指定する上下ボタンBTa2が設けられてよい。
【0155】
また、受付画面T12には、車両C111に設置されるカメラ20bにより撮影された映像のうち、非常事態が発生した発生時点からどれだけの期間経遡った分の映像を提供させるか指定する上下ボタンBTb1が設けられてよい。
【0156】
また、受付画面T12には、車両C111に設置されるカメラ20bにより撮影された映像のうち、非常事態が発生した発生時点からどれだけの期間経過した分の映像を提供させるか指定する上下ボタンBTb2が設けられてよい。
【0157】
例えば、利用者U12は、映像範囲の期間を10分で統一したい場合には、図10に示すように、上下ボタンBTa1、上下ボタンBTa2、上下ボタンBTb1、上下ボタンBTb2それぞれで「10」を入力したうえで、OKボタンを押下する。
【0158】
係る場合、送信部63bは、例えば、車両ID「C111」と、カメラ20aに対応する映像範囲の期間を示す数値♯20aとを紐付けた範囲情報RNaを情報処理装置200に送信する。また、送信部63bは、車両ID「C111」と、カメラ20bに対応する映像範囲の期間を示す数値♯20bとを紐付けた範囲情報RNbを情報処理装置200に送信する。受付部231は、範囲情報RNaおよび範囲情報RNbを受け付けると、これらの情報を指定情報記憶部222に格納する。
【0159】
〔7-4.提供先の利用者の指定〕
続いて、図11を用いて、映像が提供される提供先の利用者を指定するためのインターフェイスの一例を説明する。図11は、提供先の利用者を指定する際に用いられるインターフェイスの一例を示す図である。
【0160】
例えば、受付部231は、TOP画面T1に設けられるボタンBT2が押下された場合には、提供先の利用者を指定するためのインターフェイスとして、受付画面T13を利用者装置60に表示させてよい。例えば、受付画面T13は、アプリAP内で表示される画面の一つであってよい。また、受付画面T13で入力された情報は、入力受付部63aによって受け付けられ、受け付けられた情報は送信部63bから情報処理装置200へと送信されてよい。
【0161】
例えば、受付部231は、アラート対象の所定の事態が電車TR11の車両で発生したと判定された場合において、電車TR11との間で所定の関係性が満たされている他の電車TRxに関係する利用者にも発生車両の映像を提供するよう指定する利用者情報を、受付画面T13を介して受け付けることができる。
【0162】
ここで、利用者U12は、アプリAPにおける特定の画面において、提供先の利用者として例えば利用者U11を指定する利用者情報を入力することができる。
【0163】
また、利用者U12は、非常事態が電車TR11の車両で発生した場合には、電車TR11と所定の関係にある他の電車TRxの乗務員も非常事態が発生した車両の映像を確認できるよう設定したいとする。係る場合、利用者U12は、図8のボタンBT2を押下することで、受付画面T13を要求することができる。係る場合、受付部231は、受付画面T13を利用者装置60に表示させてよい。
【0164】
図11の例によれば、受付部231は、電車TR11との間でどのような関係性が満たされる他電車TRxの利用者が、非常事態が発生した車両の映像を確認できるようにするか、関係性について条件設定するか否かを問い合わせる受付画面13aを始めに表示させてよい。
【0165】
そして、受付部231は、受付画面T13aの「はい」ボタンを押下された場合には、関係性についての条件設定を受け付けるための受付画面13bを利用者装置60に表示させる。
【0166】
受付画面T13bには、図11に示すように、路線条件を指定するための入力欄IF131と、1つ目の位置条件を指定するための入力欄IF132と、2つ目の位置条件を指定するための入力欄IF133とが設けられてよい。
【0167】
ここで、路線条件とは、電車TR11で非常事態が発生した場合には、どのような路線を走行している他電車TRxの乗務員にも、発生車両の映像を共有させるか路線ベースで条件指定させるものである。例えば、利用者U12は、電車TR11で緊急事態が発生した場合、「AA線」を走行中の他電車TRの乗務員に発生車両の映像を共有させたいとすると、図11に示すように、「AA線」を入力欄IF131に入力すればよい。
【0168】
また、位置条件(1)とは、電車TR11で非常事態が発生した場合には、発生車両を中心としたどれだけのエリア内の他電車TRxの乗務員にも、発生車両の映像を共有させるかエリアベースで条件指定させるものである。例えば、利用者U12は、電車TR11で非常事態が発生した場合、発生車両を中心とする半径「5,000m」のエリア内を走行中の他電車TRxの乗務員に発生車両の映像を共有させたいとすると、図11に示すように、「5,000」を入力欄IF132に入力すればよい。
【0169】
また、位置条件(2)とは、電車TR11で非常事態が発生した場合には、発生車両に対してどのような位置関係にある他電車TRxの乗務員にも、発生車両の映像を共有させるか位置種別ベースで条件指定させるものである。例えば、利用者U12は、電車TR11で非常事態が発生した場合、発生車両に対して「すれ違う」位置関係にある他電車TRxの乗務員に発生車両の映像を共有させたいとすると、図11に示すように、「すれ違う」を入力欄IF132に入力すればよい。なお、利用者U12は、「すれ違う」以外にも「前走する」あるいは「後続する」等を入力することができる。
【0170】
例えば、上記例のように入力されたうえで、OKボタンが押下された場合には、送信部63bは、路線条件としての入力内容♯1を示す条件情報CD1を情報処理装置200に送信する。また、送信部63bは、位置条件(1)としての入力内容♯21を示す条件情報CD21を情報処理装置200に送信する。また、送信部63bは、位置条件(2)としての入力内容♯22を示す条件情報CD22を情報処理装置200に送信する。受付部231は、条件情報CD1、条件情報CD21および条件情報CD22を受け付けると、これらの情報を指定情報記憶部222に格納する。
【0171】
さて、これまで、図8図11を用いて、アラート対象の所定の事態が発生した場合に提供させる映像に関して、利用者が行うことができる指定内容のバリエーションについて説明した。図8図11で説明した受付処理によれば、利用者は、アラート対象の所定の事態が発生した場合に提供させる映像をどのような映像にするか、また、この映像を誰が閲覧できるようにするか等といった設定を例えば目的や用途に応じて柔軟に行うことができるようになるため、利用者にとってユーザビリティの高いインターフェイスといえる。
【0172】
なお、図8図11で説明したインターフェイスは、一例に過ぎず、図8図11に示される態様に限定されるものではない。
【0173】
〔8.処理手順〕
ここからは、図12を用いて、車内非常事態対応システム1で実現される情報処理の手順を説明する。図12は、実施形態に係る車内非常事態対応システム1で実現される情報処理手順を示すシーケンス図である。図12では、図3の例と同様に、車両C111でアラート対象の所定の事態(緊急事態)が発生したことに応じて、電車TR11の乗務員である利用者U11が有する利用者装置60へと通知が行われる場面を例に挙げて、情報処理手順を説明する。
【0174】
また、図12の例では、電車TR11の車両において非常事態が発生した場合に提供させる映像に関して指定する指定情報を、利用者U12が事前に情報処理装置200に対して設定しているものとする。例えば、利用者U12は、図8図11で説明した手法に従って指定情報を設定したことで、情報処理装置200の受付部231は、利用者U12からこの指定情報を受け付けているものとする。
【0175】
図12には、電車TR11における編成車両の一例として車両C111が示される。ここで、車両C111の乗客が車内で非常事態が起きたと判断し、非常通報装置30のボタンを押下したとする。
【0176】
この場合、非常通報装置30は、装置内に電圧が発生したことに応じて、ボタンが押下されたことを検出する(ステップS11)。そして、非常通報装置30は、発生した電圧が警報灯LTへと印加されるよう制御する(ステップS12)。電圧は、信号線LN1を介して警報灯LTに印加される。
【0177】
また、この電圧は、分岐線LN2にも伝わり制御装置100にも印加される。例えば、制御装置100の検知部131は、分岐線LN2に電圧が発生したか否かを判定していてよく、分岐線LN2を通じて電圧が印加された場合にはその電圧を検知し、また、生成部132は、印加電圧に基づいて、デジタル信号を生成する(ステップS13)。例えば、生成部132は、非常通報装置30が押下されたこと示す情報として、利用者の設定に応じたデジタル信号を生成してよい。
【0178】
送信部133は、ステップS13で生成されたデジタル信号を情報処理装置200に送信する(ステップS14)。このとき送信部133は、押下された非常通報装置30が、車両C111に設置される非常通報装置30であることを識別可能な識別情報や、この非常通報装置30に対して最も近い位置に設置されるカメラ20を識別可能な識別情報を含むデジタル信号を送信してよい。
【0179】
情報処理装置200の受信部232は、ステップS14で送信されたデジタル信号を受信する(ステップS15)。
【0180】
また、判定部233は、非常事態が発生したか否かを判定していてよく、ステップS15でデジタル信号が受信された場合には、非常事態が発生したと判定するとともに、この非常事態の内容を認識する(ステップS16)。例えば、判定部233は、デジタル信号で定義される情報に基づき、非常事態の内容を認識することができる。図12の例では、判定部233は、非常通報装置30が押下されたことによる重大な非常事態が発生したと判定してよい。
【0181】
次に、特定部234は、電車TR11(もしくは車両C111)で非常事態が発生した場合に提供する映像に関して指定する指定情報が例えば指定情報記憶部222に登録されている場合には、この指定情報の内容を特定する(ステップS17)。
【0182】
次に、取得部235は、ステップS17で特定された指定内容に応じたカメラ20に対して、この指定内容に応じた映像を要求する送信命令を出力する(ステップS18)。
【0183】
例えば、受付部231は、車両C111に設置されるカメラ20aが撮影した映像のうち、非常事態が発生した発生時点に対して前後10分間の映像を提供するよう指定する指定情報を利用者U12から受け付けていたとする。係る場合、取得部235は、今回の非常事態が発生した発生時刻に対して前後10分間の映像を送信するよう指示する送信命令をカメラ20aへと出力する。また、係る例を用いると、カメラ20aは、送信命令を受け付ける(ステップS19)。そして、カメラ20aは、送信命令に応じて、指定内容に応じた期間分の映像を記憶部から抽出し、抽出した映像を情報処理装置200に送信する(ステップS20)。
【0184】
取得部235は、ステップS20で送信された映像を取得し、取得した映像を利用者U11への提供情報として映像データ記憶部223に格納する(ステップS21)。ここで、取得部235は、利用者U12から受け付けられている指定情報によって、提供先の利用者として利用者U11が指定されているとすると、利用者U11の利用者装置60に対して、提供情報の映像への閲覧権限を付与する処理も行ってよい。
【0185】
次に、通知部236は、車両C111で非常事態が発生したことを示すアラート情報と、利用者U11に提供する提供情報として取得している映像の所在場所(格納場所)を示すリンク情報とを、利用者U11の利用者装置60に通知する(ステップS22)。
【0186】
利用者装置60の出力制御部63cは、通知が受け付けられると通知内容を出力する(ステップS23)。具体的には、出力制御部63cは、所定の出力手段(例えば、表示画面やスピーカー)からアラートを出力させるとともに、リンク情報を表示画面に表示させる。
【0187】
ここで、利用者U11のリンク情報を踏むユーザ操作を行ったとする。係る場合、利用者装置60の要求部63dは、リンク情報が押下されたことを検知し、閲覧要求を情報処理装置200に送信する(ステップS24)。
【0188】
通知部236は、ステップS24で送信された閲覧要求を受け付ける(ステップS25)。そして、通知部26は、閲覧要求に対応する映像(利用者U11に提供する提供情報として取得している映像)を抽出し、抽出した映像を利用者装置60に送信することで、利用者U11に提供する(ステップS26)。
【0189】
出力制御部63cは、映像を受け付けると、受け付けた映像を出力する(ステップS227)。例えば、利用者装置60は、受け付けた映像を表示画面に表示させる。
【0190】
〔9.ハードウェア構成〕
また、上記実施形態に係る情報処理装置200は、例えば図13に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。図13は、情報処理装置200の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0191】
CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0192】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、および、係るプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、通信網50を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを、通信網50を介して他の機器へ送信する。
【0193】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを、入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0194】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、係るプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0195】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る情報処理装置200として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラム(例えば、実施形態に係る情報処理プログラム)を実行することにより、制御部230の機能を実現する。また、HDD1400には、記憶部220内のデータが格納される。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを、記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から、通信網50を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0196】
〔10.その他〕
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0197】
〔11.まとめ〕
以上、本願の実施形態をいくつかの図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。また、本発明は、交通機関における車内の安全性を向上させることに寄与するので、SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」の達成に貢献できる。
【符号の説明】
【0198】
1 車内防犯システム
10 灯具
20 カメラ
30 非常通報装置
40 センサ
60 利用者装置
100 制御装置
130 制御部
131 検知部
132 生成部
133 送信部
200 情報処理装置
220 記憶部
221 設置位置情報記憶部
222 指定情報記憶部
223 映像データ記憶部
230 制御部
231 受付部
232 受信部
233 判定部
234 特定部
235 取得部
236 通知部
図1
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