(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】制御回路および電源装置
(51)【国際特許分類】
H05K 1/18 20060101AFI20240731BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
H05K1/18 S
H05K1/02 J
(21)【出願番号】P 2022123644
(22)【出願日】2022-08-03
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】塩見 竹史
(72)【発明者】
【氏名】岸良 健太郎
【審査官】沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/092833(WO,A1)
【文献】特開2019-121652(JP,A)
【文献】特開2013-120894(JP,A)
【文献】特開2003-297963(JP,A)
【文献】特開2010-226033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/18
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PCB上に構成した制御回路であって、
上記制御回路はICと3端子コンデンサと第1部品とを備え、
上記ICは4つ以上の端子が上記ICの一辺に整列した構造を備え、
上記3端子コンデンサは貫通電極と基準電極とを備え、
上記第1部品は一端と他端とを備え、
上記3端子コンデンサと上記第1部品とは表面実装部品であり、
上記PCBは第1配線を備え、
上記第1配線は上記ICの一辺に沿った方向に配線されており、
上記3端子コンデンサは、
上記貫通電極の一端が上記ICの任意の端子に接続され、且つ、
上記基準電極が上記第1配線に接続されており、
上記第1部品は一端が上記ICの任意の端子に接続されており、
上記第1部品
は「上記第1配線を他端に接続」
し、
上記第1配線は上記ICに接続される電源又はGNDであり、
上記制御回路は上記PCBの表面又は裏面のどちらか一方に構成され、
上記3端子コンデンサと上記第1部品は、上記ICの1辺から上記3端子コンデンサ長辺の長さの10倍の範囲に配置され、
上記制御回路は第2部品を更に備え、
上記第2部品は一端と他端とを備え、
上記第2部品の一端は上記ICの任意の端子に接続され、
上記第2部品は上記第1配線を跨ぐ、制御回路。
【請求項2】
請求項1に記載の制御回路を備えた電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、制御回路および電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電源回路に接続される制御回路は、配線レイアウトの簡略化が求められている。特許文献1にその一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
但し、このような制御回路を用いても、なおも改良の余地がある。
【0005】
本開示の一態様では、従来よりも配線レイアウトが簡略された制御回路および電源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る制御回路は、PCB上に構成した制御回路である。
上記制御回路はICと3端子コンデンサと第1部品とを備え、上記ICは4つ以上の端子が上記ICの一辺に整列した構造を備え、上記3端子コンデンサは貫通電極と基準電極とを備え、上記第1部品は一端と他端とを備え、上記3端子コンデンサと上記第1部品とは表面実装部品である。
上記PCBは第1配線を備え、上記第1配線は上記ICの一辺に沿った方向に配線されている。
上記3端子コンデンサは、上記貫通電極の一端が上記ICの任意の端子に接続され、且つ、上記基準電極が上記第1配線に接続されている。
上記第1部品は一端が上記ICの任意の端子に接続されている。
上記第1部品は「上記第1配線を跨ぐ」又は「上記第1配線を他端に接続」している。
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る電源装置は、上記制御回路を備える電源装置である。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、従来よりも配線レイアウトが簡略された制御回路および電源装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る制御回路の構成を示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る2種類の3端子コンデンサを示す図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る電源回路に接続される制御回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
本明細書では、文書の簡潔化のために、例えば「制御回路CNT1」を、単に「CNT1」とも表記する。使用する略語は、次のように定めている。PCBはプリント基板(Printed Circuit Board)を示す。ICは集積回路(Integrated Circuit)を示す。
3端子コンデンサは、3端子貫通コンデンサ(3-terminal Feedthrough Capacitor)を示す。3端子コンデンサの素材には、積層セラミックコンデンサ(MLCC(Multilayer Ceramic Capacitors))を用いているが、これに限定されない。
【0011】
制御回路の配線数の増加は、配線の整列順序の入替(交差)を困難にする。ピン数が4ピン以上のICにおいて、課題になることが多い。一般的には、PCBの層数追加とスルーホール追加とによって、交差させる配線を別層に移動して配線の交差を実現する。本実施形態では、3端子コンデンサと後述の配線によりレイアウトを簡略できる制御回路を開示する。
【0012】
(3端子コンデンサの構造例)
3端子コンデンサには貫通電極と基準電極とが備わっている。基準電極はGND端子とも呼ばれるが、電源などのGND以外に接続して使用することもできる。3端子コンデンサは、貫通電極と基準電極との間に静電容量を備えたコンデンサである。
図2には2種類の3端子コンデンサを示す。3端子コンデンサFTC1には、貫通電極の一端FTC1T11と貫通電極の他端FTC1T12とが備わっており、それぞれは3端子コンデンサの内部を通して電気的に両端が接続されている。基準電極にも、一端のFTC1T21と他端のFTC1T22とが備わっている。この両端においても、貫通電極の両端と同様に内部で接続されている。
【0013】
3端子コンデンサは、同一貫通構造である貫通電極と基準電極とを入れ替えて使用することもできる。
他には、FTC1T21とFTC1T22とは外部で接続して使用することもできる。
【0014】
もう一方の3端子コンデンサFTC2には、貫通電極の一端FTC2T11と貫通電極の他端FTC2T12とが備わっている。基準電極としてFTC2CTが備わっている。
FTC1とFTC2とは、いずれも表面実装部品である。
【0015】
(配線レイアウトを簡略できる制御回路の構成例)
図1は、PCB上(PCBの表面PCBT1)に構成された制御回路CNT1を示している。IC(集積回路)IC1には、6つの端子TM1~6が備わっている。TM1は3.3V電源端子、TM2はGND端子、TM3は内部電源端子、TM4はセンシング端子、TM5は制御端子、TM6は信号出力端子である。TM1~6は、IC1の1辺に整列して並んでいる。詳細には、IC1の一辺に面が揃うように配列されている。TM1~6は、IC1の下に位置することを示すために点線で記載している。
【0016】
電源配線VCC1は、TM1に接続されている。GND配線GND1はTM2に接続されている。VCC1とGND1は、PCB上に形成された導電性の配線パターン(トレース)である。GND1は、IC1の一辺に沿った方向で配線されている。IC1の端子の仕様に応じて、電源配線をGND1にGND配線をVCC1に入替することもできる。
入力コンデンサCAP1は、VCC1とGND1を介してTM1とTM2へ接続されている。内部電源コンデンサCAP2は、一端がTM3に他端がGND1に接続されている。
【0017】
CAP2の一端は配線を介してTM3に接続されているが、直接TM3に接続でも良い。この「配線を介して接続」または「直接に接続」は回路構成に関係しないので、単に「接続」と説明する。TM4~6への接続、及び、第1抵抗RES1とFTC1T12との接続についても同様に「接続」と説明する。
【0018】
センス信号線SENS1は、直列接続されたRES1とFTC1の貫通電極(FTC1T11とFTC1T12)とを介して、TM4へ接続されている。
FTC1T21とFTC1T22は、GND1へ接続されている。
図2のFTC1と
図1のFTC1は同じ素子である。
GND1は、FTC1の下を通過しているため図面上で点線表記している。この点線部分のGND1は、配線がなくても回路としては同じである。FTC1T21とFTC1T22とは、FTC1内部で繋がっているためである。CNT1は、FTC1をFTC2に置き換えることもできる。
【0019】
第2抵抗RES2は、一端がTM5へ他端がGND1へ接続されている。
第3抵抗RES3は、一端がTM6へ他端が信号線OUT1へ接続されている。
RES3はGND1を跨いでいるため、RES3の下のGND1は図面上点線で表記している。跨いでいるため、いずれの端子にも非接続である。
【0020】
CAP1、CAP2、RES1、RES2、RES3は、一端と他端を備える表面実装部品である。これらの抵抗またはコンデンサは、CNT1またはIC1の仕様によって、コンデンサ、抵抗、インダクタンス、ダイオードなどの種類に適宜変更することが出来る。種類を問わず変更できるこれらの部品は、本開示では総じて部品とも呼ぶ。
また、この部品、FTC1、IC1及び配線は、全てPCBの表面に構成されている。必要に応じて、全てを裏面に構成することも可能である。
【0021】
(制御回路の主要構成)
CNT1はPCB上に構成している。
CNT1はIC1とFTC1と第1部品であるRES2またはRES3とを備えている。
IC1は4つ以上の端子がIC1の一辺に整列した構造を備えている。
FTC1は貫通電極と基準電極とを備えている。
第1部品は一端と他端とを備えている。
FTC1と第1部品とは表面実装部品である。
PCBは第1配線であるGND1を備えている。
第1配線は上記ICの一辺に沿った方向で配線されている。
【0022】
第1配線はPCB上の任意の部品端子を避け、且つ、任意部品の端子に接続する必要がある。この避けると接続するとを両立化させるために、一直線ではなく曲折した配線となっているが、全体としてIC1の一辺に沿った方向で配線されている。第1配線は、FTC1と第1部品とが実装されている面と同一面上に配線されている。IC1の一辺に沿った方向とは、全体としてIC1の一辺と略並行とも言い換えることが出来る。略並行とは角度が、例えば、0度から45度までであり、例えば、45度を超えると配線レイアウトが複雑になる。
【0023】
FTC1は、貫通電極の一端がIC1の任意の端子に接続され、且つ、基準電極が第1配線に接続されている。
第1部品は一端がIC1の任意の端子に接続されており、
第1部品は「第1配線を跨ぐ」又は「第1配線を他端に接続」している。
【0024】
このようなCNT1では、FTC1及び又は第1部品を、IC1の1辺に沿った方向に配線された第1配線へ接続することが可能となる。このため、配線レイアウトが簡略化できる。
【0025】
(制御回路の追加構成)
第1配線はIC1に接続される電源又はGNDである。CNT1はPCBの表面又は裏面のどちらか一方に構成されている。
【0026】
第1配線が電源又はGNDといった安定電位である場合には、その配線を使ってIC1の回路の制御を安定化させることができる。
CNT1を構成する回路が、PCBの表面または裏面のどちらか一方に構成されていることで、配線レイアウトの簡略化が容易になる。
【0027】
FTC1と第1部品は、IC1の1辺からFTC1の長辺の長さの10倍の範囲に配置されている。
【0028】
FTC1の長辺は、例えば、1mmである。FTC1と「RES2又はRES3」は、例えば、IC1の1辺から矢印DIS1の1.6mm以内に配置されている。FTC1と「RES2又はRES3」は、FTC1の長辺の長さの10倍の範囲に配置され、配線レイアウトの簡略化が容易になる。
【0029】
CNT1は第2部品を更に備えている。第2部品は一端と他端とを備えている。
第2部品の一端はIC1の任意の端子に接続されている。第2部品は第1配線を跨いでいる。第1部品は第1配線を他端に接続している。
【0030】
具体的には、第2部品はRES3であってGND1を跨いでおり、且つ、一端がIC1へ接続されている。第1部品はRES2であって、一端がIC1へ接続されており、他端がGND1へ接続されている。
【0031】
〔実施形態2〕
図3はCNT1を電源回路と接続した例を示している。
補助電源回路PW1は、CNT1に電力を供給するために接続されている。CNT1は、主電源回路PW2を制御するために接続されている。電源装置PU1は、CNT1、PW1及びPW2を備えている。
【0032】
PU1は簡略化されたレイアウトを備えたCNT1を搭載できる。
【0033】
以上で述べた各数値は、単なる一例であることに留意されたい。回路動作の調整のために、配線に抵抗を挿入、配線間にコンデンサの追加なども、適宜実施可能である。
【0034】
〔付記事項〕
本開示の一態様は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本開示の一態様の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成できる。
【符号の説明】
【0035】
CNT1 制御回路
PCBT1 PCBの表面
IC1 IC(集積回路)
TM1 3.3V電源端子
TM2 GND端子
TM3 内部電源端子
TM4 センシング端子
TM5 制御端子
TM6 信号出力端子
VCC1 電源配線
GND1 GND配線
SENS1 センス信号線
OUT1 信号配線
CAP1 入力コンデンサ
CAP2 内部電源コンデンサ
FTC1 3端子コンデンサ
FTC1T11 3端子コンデンサの貫通電極の一端
FTC1T12 3端子コンデンサの貫通電極の他端
FTC1T21 3端子コンデンサの基準電極の一端
FTC1T22 3端子コンデンサの基準電極の他端
RES1 第1抵抗
RES2 第2抵抗
RES3 第3抵抗
DIS1 矢印