(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置及びそのための加熱チャンバ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20240731BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240731BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
(21)【出願番号】P 2022508514
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(86)【国際出願番号】 EP2020074850
(87)【国際公開番号】W WO2021044023
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-06-13
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】リーベル,トニー
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-533513(JP,A)
【文献】特表2019-521656(JP,A)
【文献】特開2022-001042(JP,A)
【文献】特表2021-532755(JP,A)
【文献】特開2020-188783(JP,A)
【文献】米国特許第05878752(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0191769(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107080292(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108451028(CN,A)
【文献】国際公開第2020/074602(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/194763(WO,A2)
【文献】国際公開第2018/050735(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/186455(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置(100)のための加熱チャンバ(108)であって、
エアロゾル基質(134)を含む基質担体(132)が前記加熱チャンバ(108)の長さに沿った方向に挿入可能である第1の開放端部(110)と、
前記加熱チャンバ(108)の内部容積を画定する側壁(114)と、
前記基質担体(132)に接触して熱を提供するための複数の熱係合要素(120)であって、各熱係合要素(120)が前記側壁(114)の周りの異なる位置において前記側壁(114)の内面から前記内部容積内に内向きに延びている、複数の熱係合要素(120)と、
前記側壁(114)の長さに沿って前記熱係合要素(120)から離間された複数の把持要素(122)であって、各把持要素(122)が前記側壁(114)の周りの異なる位置において前記側壁(114)の前記内面から前記内部容積内に内向きに延びている、複数の把持要素(122)と、を備え、
前記把持要素(122)が、前記熱係合要素(120)よりも前記第1の開放端部(110)の近くに配置されている、加熱チャンバ(108)。
【請求項2】
前記熱係合要素(120)が、前記側壁(114)の変形部分を含む、請求項1に記載の加熱チャンバ。
【請求項3】
前記側壁(114)が、実質的に一定の厚さを有する、請求項1又は2に記載の加熱チャンバ。
【請求項4】
前記実質的に一定の厚さが、1.2mm未満である、請求項3に記載の加熱チャンバ。
【請求項5】
前記側壁(114)が、金属で形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の加熱チャンバ。
【請求項6】
前記熱係合要素(120)が、前記側壁(114)のエンボス加工された部分を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の加熱チャンバ。
【請求項7】
前記加熱チャンバ(108)が、前記基質担体(132)が挿入可能な中心軸(E)を有し、
前記把持要素(122)が各々、前記中心軸(E)から第1の半径方向距離(R
1)に位置する前記基質担体(132)を把持するための最内側の部分を有し、前記熱係合要素(120)が各々、前記中心軸(E)から第2の半径方向距離(R
2)に位置する前記基質担体(132)と接触するための最内側の部分を有し、前記第1の半径方向距離(R
1)が前記第2の半径方向距離(R
2)よりも大きい、請求項1~6のいずれか一項に記載の加熱チャンバ。
【請求項8】
前記第1の半径方向距離(R
1)が、前記第2の半径方向距離(R
2)よりも少なくとも0.05mm大きく、好ましくは0.1~0.5mm大きい、請求項7に記載の加熱チャンバ。
【請求項9】
前記熱係合要素(120)及び前記把持要素(122)が、前記側壁(114)の単一の一体部分として形成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の加熱チャンバ(108)。
【請求項10】
前記熱係合要素(120)が、前記加熱チャンバ(108)の前記長さに平行な平面内の前記把持要素(122)の輪郭とは異なる、前記加熱チャンバ(108)の前記長さに平行な平面内の輪郭を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の加熱チャンバ(108)。
【請求項11】
前記熱係合要素(120)が、互いに同じ形状を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の加熱チャンバ(108)。
【請求項12】
前記把持要素(122)が、互いに同じ形状を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の加熱チャンバ(108)。
【請求項13】
前記熱係合要素(120)の数が、前記把持要素(122)の数と同じである、請求項1~12のいずれか一項に記載の加熱チャンバ(108)。
【請求項14】
前記熱係合要素(120)が、前記側壁(114)の前記長さに沿って第1の距離だけ延び、前記把持要素(122)が、前記側壁(114)の前記長さに沿って第2の距離だけ延びており、前記第1の距離が前記第2の距離よりも大きい、請求項1~13のいずれか一項に記載の加熱チャンバ(108)。
【請求項15】
前記把持要素(122)の少なくとも1つが、前記内部容積内に内向きに突出している尖った又は丸みを帯びた輪郭を有し、好ましくは、前記尖った輪郭が三角形であるか、又は前記丸みを帯びた輪郭が球形の一部である、請求項1~14のいずれか一項に記載の加熱チャンバ(108)。
【請求項16】
前記基質担体(132)に熱を提供するように構成された熱発生器を更に備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の加熱チャンバ(108)。
【請求項17】
前記熱発生器が、前記熱発生器の少なくとも一部が前記熱係合要素(120)の位置に対応する前記側壁(114)の一部の少なくとも一部に隣接して位置するように、前記側壁(114)に沿って第5の距離だけ延びるように配置されている、請求項16に記載の加熱チャンバ(108)。
【請求項18】
前記熱発生器が、前記熱発生器が前記把持要素(122)の前記位置に対応する前記側壁(114)の一部のどの部分にも隣接して位置しないように配置されている、請求項17に記載の加熱チャンバ(108)。
【請求項19】
前記第1の開放端部(110)の反対側の、前記側壁(114)の第2の端部において底部(112)を更に備える、請求項1~18のいずれか一項に記載の加熱チャンバ(108)。
【請求項20】
前記加熱チャンバ(108)は前記基質担体(132)を更に備え、前記基質担体(132)は第1の部分及び第2の部分を有し、前記第1の部分は、前記基質担体(132)が前記加熱チャンバ(108)内に挿入されるときに、前記第2の部分よりも前記第1の開放端部(110)から更に離れて位置し、前記第1の部分がエアロゾル基質(134)を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の加熱チャンバ(108)。
【請求項21】
前記熱係合要素(120)が、前記基質担体(132)の前記第1の部分に接触するように構成されている、請求項20に記載の加熱チャンバ(108)。
【請求項22】
前記把持要素(122)が、前記基質担体(132)の前記第2の部分を把持するように構成されている、請求項20又は21に記載の加熱チャンバ(108)。
【請求項23】
前記第2の部分が、エアロゾル基質(134)を含まない、請求項20~22のいずれか一項に記載の加熱チャンバ(108)。
【請求項24】
エアロゾル発生装置(100)であって、
電源(126)と、
請求項1~23のいずれか一項に記載の加熱チャンバ(108)と、
前記加熱チャンバ(108)に熱を供給するように構成された熱発生器(130)と、
前記電源(126)から前記熱発生器(130)への電力の供給を制御するように構成された制御回路(128)と、
前記電源(126)、前記加熱チャンバ(108)、前記熱発生器(130)、及び前記制御回路(128)を囲む外側ハウジング(102)であって、前記加熱チャンバ(108)の前記内部容積にアクセスするために形成された開口部を有する、外側ハウジング(102)と、を備える、エアロゾル発生装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生装置及びそのための加熱チャンバに関する。本開示は特に、自己完結型且つ低温であり得る携帯型エアロゾル発生装置に適用可能である。そのような装置は、タバコ又は他の好適な材料を、燃焼させるのではなく伝導、対流、及び/又は放射により加熱して、吸入用のエアロゾルを発生させることができる。
【背景技術】
【0002】
(気化器としても知られる)リスク低減装置又はリスク修正装置の人気と使用は、紙巻きタバコ、葉巻、シガリロ、及びローリングタバコなどの従来のタバコ製品の喫煙を止めようと望む常習的喫煙者を支援するための手助けとして、ここ数年で急速に成長してきた。従来のタバコ製品においてタバコを燃焼させるのとは対照的に、エアロゾル化可能物質を加熱又は加温する様々な装置及びシステムが利用可能である。
【0003】
一般に利用可能なリスク低減装置又はリスク修正装置は、加熱式基質エアロゾル発生装置又は加熱非燃焼式(heat-not-burn)装置である。このタイプの装置は、湿った葉タバコ又は他の好適なエアロゾル化可能材料を典型的に含むエアロゾル基質を、典型的には100℃~300℃の範囲の温度に加熱することによってエアロゾル又は蒸気を発生する。エアロゾル基質を燃焼させたり、又は燃やしたりするのではなく加熱することにより、ユーザが求める成分は含むが、燃焼及び燃やすことによる発がん性副産物は少ないか又は全くないエアロゾルが放出される。
【0004】
一般的に、エアロゾル基質から燃やすことなくエアロゾルが放出され得る温度までエアロゾル基質を急速に加熱すること、及びその温度にエアロゾル基質を維持することが望ましい。エアロゾルは、エアロゾル基質を通過する空気流がある場合に、エアロゾル基質から加熱チャンバに放出されてユーザに提供されることは明らかであろう。
【0005】
このタイプのエアロゾル発生装置は携帯型装置であるため、エネルギー消費は重要な設計上の考慮事項である。本発明は、既存の装置に関する問題に対処すること、並びに改善されたエアロゾル発生装置及びそのための加熱チャンバを提供することを目的とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様によれば、エアロゾル発生装置のための加熱チャンバが提供され、加熱チャンバは、エアロゾル基質を含む基質担体が加熱チャンバの長さに沿った方向に挿入可能である第1の開放端部と、加熱チャンバの内部容積を画定する側壁と、基質担体に接触して熱を提供するための複数の熱係合要素であって、各熱係合要素が側壁の周りの異なる位置において側壁の内面から内部容積内に内向きに延びている、複数の熱係合要素と、側壁の長さに沿って熱係合要素から離間された複数の把持要素であって、各把持要素が側壁の周りの異なる位置において側壁の内面から内部容積内に内向きに延びている、複数の把持要素と、を備え、把持要素は、熱係合要素よりも第1の開放端部の近くに配置されている。
【0007】
エアロゾル基質が加熱されると、エアロゾル基質は熱係合要素から離れて収縮し、加熱チャンバ内に基質担体を維持してそれが脱落するのを防ぐための圧縮力はもはや最適ではないことが見出された。したがって、この問題を軽減し、基質担体の追加の把持を提供するために、複数の把持要素が設けられる。
【0008】
任意選択で、熱係合要素及び/又は把持要素は、側壁の変形部分を含む。
【0009】
任意選択で、熱係合要素及び/又は把持要素は、側壁のエンボス加工された部分を含む。
【0010】
任意選択で、側壁、熱係合要素、及び把持要素は、単一の一体部品として形成される。
【0011】
任意選択で、側壁は、1.2mm未満、好ましくは1.0mm以下、最も好ましくは0.9(+/-0.01)~0.7(+/-0.01)mmの実質的に一定の厚さを有する。
【0012】
任意選択で、側壁は、金属で形成される。
【0013】
任意選択で、加熱チャンバは、基質担体が挿入可能な中心軸を有し、各把持要素は、基質担体と接触するための最内側の部分を有し、最内側の部分は全て、中心軸から実質的に同じ半径方向距離に配置されている。
【0014】
任意選択で、加熱チャンバは、基質担体が挿入可能な中心軸を有し、把持要素は各々、中心軸から第1の半径方向距離に位置する基質担体を把持するための最内側の部分を有し、熱係合要素は各々、中心軸から第2の半径方向距離に位置する基質担体と接触するための最内側の部分を有し、第1の半径方向距離は第2の半径方向距離よりも大きい。
【0015】
換言すれば、把持要素及び熱係合要素は、それぞれ、加熱チャンバの第1の制限直径及び第2の制限直径を画定し得、第1の制限直径は第2の制限直径よりも大きい。特に、把持要素によって画定される第1の制限直径は、熱係合要素によって画定される制限直径よりも少なくとも0.05mm大きく、好ましくは0.1~0.5mm大きく、最も好ましくは0.1~0.3mm大きい。例えば、第1の制限直径は、6.4(+/-0.05)mmであり、第2の制限直径は、6.2(+/-0.05)mmである。そのような制限直径の違いにより、要素が基質担体と係合している領域における基質担体の剛性の違いを補償する。特に、熱係合要素は、好ましくは、エアロゾル基質、例えばタバコベースの基質が存在する基質担体の領域内に配置される。この領域では、エアロゾル基質の圧縮性により、基質担体は、非常に容易に変形することができる。把持要素は、例えば、基質担体の管又はフィルタに対して、エアロゾル基質を含まない、基質担体のより剛性の高い領域に配置される。このゾーンの材料の剛性により、基質担体は変形しにくく、したがって、把持要素は、好ましくは、基質担体の過度の抵抗又は変形を与えることなく十分な把持を提供するようなサイズである。
【0016】
換言すれば、任意選択で、第1の半径方向距離は、第2の半径方向距離よりも少なくとも0.05mm大きく、好ましくは0.1~0.5mm大きく、最も好ましくは0.1~0.3mm大きい。
【0017】
任意選択で、熱係合要素は一般に、加熱チャンバの軸方向長さに沿って延びる細長い形状を有する。熱係合要素は、好ましくは、互いに同じ形状を有する。細長い熱係合要素は、好ましくは、加熱チャンバの内面上に細長い隆起部を形成し、且つ細長い隆起部に対応する加熱チャンバの外面上に相補的な溝を形成する。任意選択で、熱係合要素は、加熱チャンバの長さに平行な平面内の把持要素の輪郭とは異なる、加熱チャンバの長さに平行な平面内の輪郭を有する。
【0018】
任意選択で、熱係合要素は、隣接する直線エッジが角部で交わる複数の直線エッジを有する多角形に基づいて、加熱チャンバの長さに平行な平面内に輪郭を有する。任意選択で、熱係合要素の1つ以上の角部は、丸みを帯びている。
【0019】
任意選択で、把持要素は一般に、互いに同じ形状を有する。
【0020】
任意選択で、把持要素は、熱係合要素とは異なる形状である。
【0021】
任意選択で、熱係合要素の数は、把持要素の数と同じである。
【0022】
任意選択で、熱係合要素は、側壁の長さに沿って第1の距離だけ延び、把持要素は、側壁の長さに沿って第2の距離だけ延び、第1の距離は第2の距離よりも大きい。
【0023】
好ましくは、把持要素は、熱係合要素の長さよりも短い長さを有する。長さとは、加熱チャンバの側壁の長さに沿った軸方向範囲である。
【0024】
好ましくは、把持要素は、それらの長さに実質的に等しい幅を有する。幅とは、側壁の内面の周りの範囲である。円形の側壁の場合、幅は、円周幅と呼ばれ得る。幅は、長さに対して横断方向である。
【0025】
熱係合要素は、好ましくは、熱伝達のための拡張された表面積を可能にするように細長いが、把持要素には、基質担体を機械的に把持する必要があるだけであり、したがって、熱係合要素よりも短くされ得る。把持要素が長すぎる場合、いくらかの熱は、把持要素を介して、好ましくはユーザの口に近接しているために加熱されない基質担体のゾーンに提供される可能性がある。
【0026】
任意選択で、熱係合要素は、側壁の周りの横断方向のそれらの範囲の少なくとも3倍の長さを有する。本明細書で使用される場合、横断方向は、側壁の周りの幅である。好ましくは、熱係合要素は、側壁の周りの横断方向(すなわち幅)におけるそれらの範囲の20~30倍の長さである。例えば、熱係合要素は、12.5mmなどの8~15mmの長さ、及び0.5mmなどの0.3mm~1mmの幅を有する。
【0027】
任意選択で、把持要素は、側壁の周りの横断方向のそれらの範囲の2倍未満の長さを有する。例えば、把持要素は、側壁の周りの横断方向(すなわち、幅)におけるそれらの範囲と実質的に同じ長さである長さを有する。例えば、把持要素は、0.5mmなどの0.3~1mmの長さ、及び0.5mmなどの0.3~1mmの幅を有する。そのような寸法により、挿入又は除去中の過度の抵抗を回避し、並びに加熱された側壁から、基質担体の口端により近い基質担体の上部ゾーンへの熱伝達を低減しながら、基質担体の十分な把持を提供する。
【0028】
任意選択で、熱係合要素及び/又は把持要素は、凸状である加熱チャンバの長さに平行な平面内の輪郭を有する。
【0029】
任意選択で、把持要素の少なくとも1つは、内部容積内に内向きに突出している尖った又は丸みを帯びた輪郭を有し、好ましくは、尖った輪郭が三角形であるか、又は丸みを帯びた輪郭が球形の一部である。
【0030】
任意選択で、把持要素は、第1の開放端部から加熱チャンバの中心軸に向かって傾斜している、第1の開放端部に向かって面する表面を有する。
【0031】
把持要素は、加熱チャンバの外壁に形成されたエンボス加工されたディンプルとして形成され得る。そのような設計により、熱伝達は制限されるが、強固な把持動作を提供する。把持ディンプルは、実質的に円形、楕円形、正方形、又は長方形である円周において、側壁を接合する湾曲した最内側の部分であり得る。把持要素の先端(最内側の内部部分)は、好ましくは、基質担体(例えば、チップ紙)の表面を引き裂くことを回避するために、丸みを帯びているか又は平坦である。例えば、ディンプルは、その最内側の部分で加熱チャンバの長さに平行な平面内に、部分的に楕円形、半球形、又は台形である輪郭を形成することができる。ディンプルは、加熱チャンバの外面に形成され、実質的に半球形の最内側の部分、及び管状の側壁を接合する環状の最外側の部分を含む空洞を有し得る。環状の最外側の部分は、例えば約0.1mmの半径を有する、わずかに湾曲した部分によって側壁に接続され得る。例えば、最外側の部分の直径は、0.3~1mm、好ましくは、0.4~0.7mm、例えば0.6mmであり得、球形の最内側の部分の半径は、例えば約0.15mmであり得る。
【0032】
任意選択で、熱係合要素は、分散圧縮に対して成形された平坦な輪郭、好ましくは台形の輪郭を有する。特に、熱係合要素は、接触している表面積を最大化することによって、基質担体への熱伝達に適合された表面を有する。例えば、この接触面は、基質担体の形状を補完することができる。接触面は、加熱チャンバの内部容積内に最も遠くまで延びる熱係合要素の表面であり得る。
【0033】
任意選択で、側壁に対して、熱係合要素は、加熱チャンバの内部容積内に第3の距離だけ突出し、把持要素は、加熱チャンバの内部容積内に第4の距離だけ延びる。好ましくは、第3の距離は、第4の距離よりも大きい。このようにして、熱係合要素は、把持要素よりも加熱チャンバの内部容積内に更に突出している。
【0034】
任意選択で、均一な熱分布のために、複数の熱係合要素は、側壁の周りで互いに等間隔に離間される。基質担体上の均一な把持力分布、及び加熱チャンバ内の中央基質担体での軸方向の整列のために、複数の把持要素はまた、側壁の周りで互いに等間隔に離間され得る。
【0035】
任意選択で、加熱チャンバは、基質担体に熱を提供するように構成された熱発生器を更に備える。
【0036】
任意選択で、熱発生器はヒータである。任意選択で、熱発生器は電気ヒータである。好ましくは、熱発生器は、裏打ちフィルム上に金属加熱トラックを有する薄膜ヒータなどの抵抗性電気ヒータである。
【0037】
任意選択で、熱発生器は、電気絶縁性裏打ち層上に金属加熱トラックを含む電気熱発生器である。
【0038】
任意選択で、熱発生器は、側壁の外面の一部上に配置される。
【0039】
任意選択で、熱発生器は、熱発生器の少なくとも一部が熱係合要素の位置に対応する側壁の一部の少なくとも一部に隣接して位置するように、側壁に沿って第5の距離だけ延びるように配置される。
【0040】
任意選択で、熱発生器は、熱発生器が把持要素の位置に対応する側壁の一部のどの部分にも隣接して位置しないように配置される。
【0041】
任意選択で、熱発生器は、側壁の一部のみに沿って延びる。
【0042】
任意選択で、熱発生器は、第1の開放端部から離間された側壁の一部に沿って延びる。
【0043】
任意選択で、熱発生器は、第1の開放端部から第6の距離だけ離間され、且つ第1の開放端部の反対側の第2の端部から第7の距離だけ離間され、第6及び第7の距離は異なる。
【0044】
任意選択で、加熱チャンバは、熱発生器と側壁との間に金属層を更に備える。
【0045】
任意選択で、金属層は、熱発生器よりも加熱チャンバの長さに沿って更に延びる。
【0046】
任意選択で、金属層は、電気めっきされた層、好ましくは電気めっきされた銅層である。
【0047】
任意選択で、熱発生器は、金属トラック及び電気絶縁性裏打ち層を有する電気熱発生器を含む。
【0048】
任意選択で、熱発生器は、張力下の熱収縮層によって側壁に対して圧縮される。
【0049】
任意選択で、加熱チャンバは、第1の開放端部においてフランジを更に備える。
【0050】
任意選択で、加熱チャンバは、第1の開放端部の反対側の、側壁の第2の端部において底部を更に備える。そうでなければ、底部は、基部と呼ばれ得る。
【0051】
任意選択で、側壁は、第1の厚さを有し、底部は、第2の厚さを有し、第2の厚さは第1の厚さよりも大きい。
【0052】
任意選択で、底部は、底部の内面から第1の開放端部に向かって底部の一部から延びるプラットフォームを含む。
【0053】
任意選択で、プラットフォームは、底部の一部から形成される。
【0054】
任意選択で、プラットフォームは、底部の変形部分を含む。
【0055】
任意選択で、側壁は、管状の側壁である。任意選択で、側壁は、円筒形の側壁である。
【0056】
任意選択で、加熱チャンバは基質担体を更に備え、基質担体は第1の部分及び第2の部分を有し、第1の部分は、基質担体が加熱チャンバ内に挿入されるときに、第2の部分よりも第1の開放端部から更に離れて位置し、第1の部分はエアロゾル基質を含む。
【0057】
好ましくは、熱係合要素は、基質担体の第1の部分に接触するように配置される。したがって、熱は、熱係合要素による接触を介して、第1の部分に含まれるエアロゾル基質に向かって集中することができる。担体の第1の部分に対する要素の局所的な係合の結果として、隣接する熱係合要素と基質担体との間にエアギャップが提供されて、空気が第1の開放端部から加熱チャンバの第2の端部又は底部に向かって引き込まれることを可能にする。
【0058】
任意選択で、把持要素は、基質担体の第2の部分を把持するように配置される。
【0059】
基質担体の第2の部分は、好ましくは、エアロゾル基質を含まない。
【0060】
任意選択で、基質担体の第2の部分は、中空管である。
【0061】
基質担体の第2の部分は、フィルタ及び/又は冷却管であり得る。フィルタ及び/又は冷却管は、紙及び/又はフィルム(例えば、プラグラップ、チップ紙、及び/又は金属化若しくは金属フィルム)で包まれ得る。
【0062】
任意選択で、第1の開放端部に最も近い熱係合要素の長手方向端部は、基質担体が加熱チャンバに挿入されると、基質担体の第1の部分と第2の部分との間の境界と整列される。
【0063】
任意選択で、熱係合要素は、基質担体が加熱チャンバに挿入されると、基質担体と接触するように内部容積内に延びる。
【0064】
任意選択で、把持要素は、基質担体が加熱チャンバに挿入されると、基質担体を把持するように内部容積内に延びる。
【0065】
本開示の第2の態様によれば、エアロゾル発生装置が提供され、エアロゾル発生装置は、電源と、本明細書に開示される加熱チャンバと、加熱チャンバに熱を供給するように構成された熱発生器と、電源から熱発生器への電力の供給を制御するように構成された制御回路と、電源、加熱チャンバ、熱発生器、及び制御回路を囲む外側ハウジングであって、加熱チャンバの内部容積にアクセスするために形成された開口部を有する、外側ハウジングと、を備える。
【0066】
任意選択で、エアロゾル発生装置は、加熱チャンバを取り囲む絶縁部材を更に備える。
【0067】
任意選択で、絶縁部材は、真空絶縁部材である。例えば、真空絶縁部材は、壁間に真空が含まれる二重壁の金属管又はカップを含む。
【0068】
任意選択で、絶縁部材は、熱絶縁材料を含む。例えば、断熱材には、ゴム(シリコーン、シリコーン発泡体、ポリウレタン発泡体など)、エアロゲル、又はガラス繊維絶縁体が含まれる。
【0069】
本開示の実施形態を、あくまで一例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】エアロゾル基質を含む基質担体がエアロゾル発生装置内に装填されつつある、本開示によるエアロゾル発生装置の概略斜視図である。
【
図2】エアロゾル基質を含む基質担体がエアロゾル発生装置内に装填されつつある、
図1のエアロゾル発生装置の側面からの概略断面図である。
【
図3】エアロゾル基質を含む基質担体がエアロゾル発生装置内に装填された、
図1のエアロゾル発生装置の概略斜視図である。
【
図4】エアロゾル基質を含む基質担体がエアロゾル発生装置内に装填された、
図1のエアロゾル発生装置の側面からの概略断面図である。
【
図5A】絶縁部材並びに上部及び下部支持部材と組み合わせられた、本開示による加熱チャンバの斜視図及び断面図である。
【
図5B】本開示による加熱チャンバの側面からの概略断面図である。
【
図6A】
図5Bの加熱チャンバの上方から見た概略平面図である。
【
図6B】
図5Bの加熱チャンバの平面B-Bにおける断面図である。
【
図6C】
図5Bの加熱チャンバの平面A-Aにおける断面図である。
【
図6D】加熱チャンバの把持要素を示す、
図6Bの部分Pの図の詳細図である。
【
図8】エアロゾル基質を含む基質担体が加熱チャンバ内に装填された、
図5Bの加熱チャンバの側面からの概略断面図である。
【
図9】熱発生器が加熱チャンバの外面に取り付けられた、
図5Bの加熱チャンバの斜視図である。
【
図10】把持要素が熱係合要素と整列されていない、本開示による代替の加熱チャンバの斜視図である。
【
図11】
図10の加熱チャンバの上方から見た概略平面図である。
【
図12】把持要素が三角形の横断輪郭を有する、本開示による、更なる代替の加熱チャンバ内の把持要素を通る概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1~
図4を参照すると、エアロゾル発生装置100が提供されている。エアロゾル発生装置100は、エアロゾル基質134を含む基質担体132を受け入れるように配置され、その中に挿入されたエアロゾル基質134を加熱して、ユーザによる吸入用のエアロゾルを形成するように構成されている。エアロゾル発生装置100は、パーソナル吸引装置、電子シガレット(又はeシガレット)、気化器又はベイピング装置として説明される場合がある。図示される実施例では、エアロゾル発生装置100は、加熱非燃焼(HnB)式装置である。しかしながら、本開示において想定されるエアロゾル発生装置100は、従来のタバコ製品のようにタバコを燃焼させるのではなく、エアロゾル化可能な物質をより一般的に加熱又は撹拌して吸入用エアロゾルを発生させる。
【0072】
図1を参照すると、エアロゾル発生装置100は、エアロゾル発生装置100の様々な構成要素を収容する外側ケース102を備える。外側ケース102は、任意の好適な材料、又は実際には材料の層で形成することができる。例えば、金属の内層は、熱伝導率の低いプラスチック又は他の材料の外層で取り囲まれ得る。これにより、外側ケース102は、ユーザが快適に保持できるようになる。
【0073】
示されている実施例では、細長いエアロゾル発生装置100は、第1の端部104と、第1の端部104の反対側にある第2の端部106と、を有する。
図1~
図4の底部に向かって示されている第1の端部104は、便宜上、エアロゾル発生装置100の底部、基部、又は下端として説明されている。
図1~
図4の上部に向かって示されている第2の端部106は、便宜上、エアロゾル発生装置100の上部又は上端として説明されている。使用中、ユーザは、典型的には、エアロゾル発生装置100を、第1の端部104を下向きに且つ/又はユーザの口に対して遠位位置に、そして第2の端部106を上向きに且つ/又はユーザの口に対して近接位置に向ける。
【0074】
外側ケース102は、外側ケース102内側の加熱チャンバ内で加熱される基質担体132を受け入れるための開口部124を有する。この例では、開口部124は、第2の端部106に向かって示されている。エアロゾル発生装置100は、開口部124を覆うための蓋125を有する。蓋125は、開口部124のドアと見なすことができる。蓋125は、蓋125の位置に応じて開口部124が実質的に閉じたり開いたりするように、選択的に開口部124を覆ったり覆いを取ったりするように構成されている。閉じた構成では、これにより、ほこりや湿気が開口部124に入るのを防ぐことができる。
図1は、基質担体132の挿入のために開口部124を露出させている、開いた構成の蓋125を示している。蓋125はまた、ユーザ操作可能なボタンとして機能し得る。蓋125は、開いた構成にあるときに、エアロゾル発生装置100を作動させ、加熱チャンバ108内のエアロゾル基質134を加熱してエアロゾルを生成するために押し下げ可能である。
【0075】
図2を参照すると、エアロゾル発生装置100は、エアロゾル発生装置100の第2の端部106に向かって配置された加熱チャンバ108を備えている。加熱チャンバ108は、第2の端部106に隣接するエアロゾル発生装置100内の開口部124に向かって配置されている。他の例では、加熱チャンバ108は、エアロゾル発生装置100内の他の場所に配置されている。加熱チャンバ108は、外側ケース102によって囲まれるように、エアロゾル発生装置100内に配置されている。
【0076】
加熱チャンバ108は一般に、カップ形状である。加熱チャンバ108は、加熱チャンバ108の軸方向長さが中心軸Eと実質的に整列するように、中心軸Eに沿って延びる。加熱チャンバ108は、エアロゾル発生装置100の第2の端部106に向かって配置された開放端部110を備える。
図1では、開放端部110は、エアロゾル発生装置100の第2の端部106において開口部124と整列されている。加熱チャンバ108は、開放端部110の反対側の端部において閉じられている。換言すれば、加熱チャンバ108は、開放端部110の反対側にある基部112を備える。そうでなければ、基部112は、加熱チャンバ108の底部と呼ばれ得る。
【0077】
加熱チャンバ108はまた、側壁114を備える。側壁114は、好ましくは80~100μmの厚さを有する、薄い壁であるように構成される。この例では、側壁114は管状であり、ほぼ円形の断面を有する。これに関して、側壁114は一般に、加熱チャンバ108の管状壁と呼ばれ得る。したがって、加熱チャンバ108は一般に、円筒形である。しかしながら、他の形状が想定されており、加熱チャンバ108は、例えば楕円形又は多角形の断面を有する広く管状の形状を有し得る。他の例では、側壁114は、その長さに対して垂直な側壁114によって画定される断面積が、開放端部110において基部112におけるものと異なるように、その長さに沿って先細になる。加熱チャンバ108は、エアロゾル発生装置100の軸方向長さと実質的に整列されたほぼ管状の形状を有する。
【0078】
この例では、中心軸Eは、側壁114の円形断面の重心と整列されており、円筒形側壁114の幾何学的中心軸である。側壁114の長さは、中心軸Eに平行である。側壁114の長さは、基部112と開放端部110との間の寸法として画定される。
【0079】
本明細書で使用される場合、「直径」は幅を指し、側壁114が円形の断面を有しない場合、「直径」は断面の幅、特に、断面の重心を通る(すなわち、中心軸Eを通る)断面の最小の幅を指すことを理解されたい。例えば、側壁114が正方形の断面を有する場合、側壁114は、2つの対向する面に対して垂直に測定された正方形の2つの対向する面の間の距離である幅を有する。
【0080】
本明細書で使用される場合、「円周」は周囲を指し、側壁114が円形の断面を有しない場合、「円周」は断面の外周を指すことを理解されたい。
【0081】
基部112は、円筒形の加熱チャンバ108の端面を形成する。加熱チャンバ108は、側壁114及び基部112によって画定される内部容積を有する。側壁114は、基部112を開放端部110に接続して、加熱チャンバ108のカップ形状を形成する。他の例では、加熱チャンバ108は、1つ以上の穴を有するか、又はそうでなければ、基部112において穴が開けられている。なおも更なる実施例では、加熱チャンバ108は、基部112なしで提供されてもよく、両端において開いた管である。そのような場合、加熱チャンバ108の長さは、開放端部間の側壁114に沿った最短距離である。
【0082】
加熱チャンバ108はまた、開放端部110におけるフランジ116と、基部112内のプラットフォーム118と、を備える。側壁114は、複数の熱係合要素120と、別個の複数の把持要素122と、を備える。加熱チャンバ108を、以下の
図5~
図9を参照してより詳細に説明する。
【0083】
加熱チャンバ108は、エアロゾル基質134を含む基質担体132を受け入れるように構成されている。例えば、エアロゾル基質134は、タバコ及び保湿剤の混合物を含み得る。加熱チャンバ108は、以下に説明されるように、基質担体132内でエアロゾル基質134を加熱して、吸入用のエアロゾルを発生するように構成されている。
【0084】
図2を参照すると、エアロゾル発生装置100は、電源126を備える。したがって、エアロゾル発生装置100は、電動式である。すなわち、電力を使用してエアロゾル基質134を加熱するように構成されている。この例では、電源126は、電池である。電源126は、制御回路128に結合されている。次いで、制御回路128は、熱発生器130に結合される。例えば、熱発生器130は、電気熱発生器であり得る。より具体的には、熱発生器130は、裏打ちフィルム上の金属トラックの形態の加熱要素を有する抵抗性電気熱発生器であり得る。例えば、熱発生器130は、ポリイミドなどの電気絶縁フィルムに包まれた抵抗加熱トラックなどの、薄膜ヒータであり得る。発熱要素に電流を流すと、発熱要素が熱くなり、温度が上昇する。別の例では、熱発生器130は、誘導加熱器であり得る。この場合、熱発生器130は、誘導加熱源、サセプタ、又はその両方を指し得る。
【0085】
蓋125のユーザ操作可能なボタンは、制御回路128を介して電源126を熱発生器130に結合及びそれから分離させるように構成されている。他の実施例では、加熱チャンバ108は、他の方法で、例えば、可燃性ガスを燃やすことによって加熱される。
【0086】
熱発生器130は、加熱チャンバ108の外面に取り付けられ、側壁114の外面と熱的に接触して、熱発生器130から加熱チャンバ108への熱の良好な伝達を可能にする。熱発生器130は、加熱チャンバ108の周りに延びている。特に、熱発生器130は、側壁114の外面と接触している。より詳細には、熱発生器130は、側壁114の周りに延びるが、基部112の周りには延びていない。
【0087】
以下でより詳細に説明されるように、加熱チャンバ108は、
図2の側壁114にくぼみとして示されている複数の熱係合要素120を備える。本明細書で使用される場合、熱発生器130が側壁114全体の周りに接触していると説明されるとき、これは、熱発生器130が側壁114の周囲全体の周りに延びることを意味するが、全ての点において、特に熱係合要素120のくぼみの内側で、側壁114と完全に接触しなくてもよいことを理解すべきである。
【0088】
図1では、熱発生器130は、側壁114の長さの一部にわたって延びている。熱発生器130は、側壁114全体の長さにわたって延びることはできないが、熱発生器130は好ましくは、側壁114の周り全体に延びている。この文脈における長さは、基部112から開放端部110までと理解される。熱発生器130は、必ずしも側壁114の1つ以上の端部まで延びなくてもよい。特に、熱発生器130は、開放端部110に隣接する側壁114の端部まで延びなくてもよく、及び/又は熱発生器130は、基部112に隣接する側壁114の端部まで延びていない。この例では、熱発生器130は、側壁114の高さに沿ってほぼ中央に取り付けられている。すなわち、熱発生器130は、側壁114のいずれかの端部まで延びていない。換言すれば、熱発生器130は、開放端部110に隣接する側壁114の端部から、及び基部112に隣接する側壁114の端部から離間されている。
【0089】
基質担体132が加熱チャンバ108内に挿入されると、熱発生器130は、エアロゾル基質134の領域と実質的に重なるように構成されている。好ましくは、エアロゾル基質134は、開放端部110に向かって加熱チャンバ108の上部が、挿入されたときに、エアロゾル基質134を含まない基質担体132の部分と重なるように配置されるように、加熱チャンバ108内に完全に挿入される。換言すれば、エアロゾル基質134を含まない基質担体132の部分は、開放端部110と整列している。エアロゾル基質134上に加熱を集中させることによって加熱効率を改善するために、これらの構成要素の加熱を制限することが好ましい。熱発生器130を開放端部110に向かって側壁114の一部と重ならないことにより、熱発生器130によって発生された熱が局所化される。側壁114は、好ましくは、薄い側壁114に沿った熱伝達を制限することによってこの目標を支援するために、非常に薄い(通常は100μm未満)。これにより、熱発生器130によって覆われていない部品への熱伝達を低減することができる。更に、基部112への加熱を抑制することにより、これが、基質担体132の先端の燃焼を防ぐ。このようにして、熱係合要素120及び把持要素122によって提供される役割間で更なる区別がなされる。より具体的には、熱係合要素120は、熱発生器130によって発生された熱を受け取り、その熱をエアロゾル基質134に伝達するように構成されている。逆に、加熱チャンバ108は、全体として、把持要素122の(例えば、基質担体132との小さな接触面積を有するように配置された)形状の、及び加熱チャンバ108に沿った熱伝達を防ぐ側壁114の薄い設計である、熱発生器130の局在化の複合効果によって、把持要素122への及び/又はその後の把持要素122の領域内におけるエアロゾル基質134への熱流を抑制するように構成されている。いくつかの例では、加熱すべきもの(例えば、銅でコーティングされ得る熱係合要素120)を、加熱することを意図されていないものから(例えば、コーティングされるべきではない把持要素122)境界付けるための金属(例えば、銅)層などの追加の特徴部が提供され得る。このようにして、本明細書に記載の加熱チャンバ108の様々な特徴は、個別に、又は組み合わせて動作して、熱係合要素120及び把持要素122にそれらの異なる機能を提供する。
【0090】
代替例では、熱発生器130は、側壁114の全長にわたって延びることができる。
【0091】
加熱チャンバ108の断熱を高めるために、加熱チャンバ108は、断熱材によって取り囲まれている。この例では、絶縁部材146は、絶縁管である。絶縁部材146は、内部空間によって分離された内壁及び外壁を有する二重壁であり得る。絶縁部材146の管の上部及び底部は、内部空間が絶縁部材146内に囲まれるように、内壁及び外壁を接続するように密封されている。断熱部材146は、断熱を更に改善するために内部空間内に真空を含み、他の実施形態では、ヒドロゲル又は発泡体などの断熱材料を含み得る。
【0092】
この例では、加熱チャンバ108は、フランジ116によってエアロゾル発生装置100に固定されている。加熱チャンバ108は、少なくとも1つの支持部材150、152によってエアロゾル発生装置100に取り付けられている。
図2では、エアロゾル発生装置100は、上部支持部材150及び下部支持部材152を備える。
図5Aを参照すると、取り付けられた加熱チャンバ108が、より詳細に示されている。上部支持部材150は、加熱チャンバ108のフランジ116に固定されるように構成されている。代替の実施形態では、上部支持部材150は、例えば、フランジ116が提供されていない例では、開放端部110に向かって側壁114の外面を取り囲む。上部支持部材150は、加熱チャンバ108と絶縁部材146との間を係合する。下部支持部材152は、加熱チャンバ108の基部112を固定するように構成されている。したがって、加熱チャンバ108は、各端部において保持され、絶縁部材146に対して所定の位置に固定される。好ましくは、支持部材150、152は、加熱チャンバ108と断熱部材146との間の断熱を改善するために断熱材料から作製される。次いで、支持部材150、152によって結合された加熱チャンバ108及び絶縁部材146のアセンブリは、例えば、外側ケース102内に封入されたフレームに取り付けることによって、エアロゾル発生装置100に取り付けられる。
【0093】
この構成は、加熱チャンバ108からエアロゾル発生装置100の外側ケース102への熱の伝導が、支持部材150、152の断熱特性によって制限されることを意味する。支持部材150、152を通してのみ取り付けられた加熱チャンバ108を提供することにより、例えば、外側ケース102と接触する側壁114から熱を直接逃がすことを可能にする代わりに、熱が移動するための十分に絶縁された熱伝導経路を提供する。これにより、外側ケース102をユーザにとって快適な温度に保持するのに役立ち、加熱効率を改善する。
【0094】
いくつかの例では、熱発生器130は、外部から加熱チャンバ108上に保持される。すなわち、熱発生器130は、熱発生器130と加熱チャンバ108との間からではなく、熱発生器130の外部で加熱チャンバ108上に保持される。例えば、これにより、熱発生器130と加熱チャンバ108の側壁114の外面との間の接着剤の使用を回避する。熱発生器130と加熱チャンバ108との間の層を除去することにより、熱伝達を改善し、加熱効率を改善することができる。
【0095】
いくつかの例では、熱発生器130は、熱発生器130の外面上に内向きに、且つ加熱チャンバ108上に圧力を加える熱収縮材料によって取り囲まれ得る。これにより、熱発生器130を加熱チャンバ108の外面上に圧縮し、熱接触を促進する。熱収縮材料を熱発生器130の周りに巻き付け、加熱して、圧縮力を提供することができる。
【0096】
エアロゾル発生装置100の加熱チャンバ108は、基質担体132を受け入れるように構成されている。典型的には、基質担体132は、タバコ、又は吸入用のエアロゾルを発生させるために加熱することができる別の好適なエアロゾル化可能材料などの、エアロゾル基質134を含む。この例では、加熱チャンバ108は、例えば、
図1~
図4に示されるように、「消耗品」としても知られる基質担体132の形態で、エアロゾル基質134の一服分を収容するように寸法決めされている。しかしながら、これは必須ではなく、他の実施例では、加熱チャンバ108は、緩いタバコ又は他の方法でパッケージ化されたタバコなどの他の形態のエアロゾル基質134を収容するように構成される。
【0097】
基質担体132は、ほぼ管状で細長い形状である。この例では、基質担体132は、円筒形であり、紙巻きタバコの形状を模倣している。この例では、基質担体132の長さは、55mmである。基質担体132の直径は7mmである。基質担体132は、エアロゾル基質134の領域と、エアロゾル基質134の領域に隣接するエアロゾル収集領域136と、を含む。エアロゾル収集領域136は、エアロゾル基質134よりも圧縮性が低い、紙又はボール紙の管であり得る。基質担体132は、第1の端部138と、第1の端部138の反対側にある第2の端部140と、を有する。第1の端部138及び第2の端部140は、基質担体132の細長い円筒形の端部を画定する。エアロゾル基質134は、第1の端部138に向かって配置されている。第1の端部138は、加熱チャンバ108内に挿入されるように構成されている。第2の端部140は、エアロゾル基質134を加熱することによって発生されたエアロゾルを吸入するために、ユーザが自身の口に挿入するためのマウスピースとして構成されている。
【0098】
一般に、エアロゾル基質134は、第1の端部138に配置され、第1の端部138と第2の端部140との間の基質担体132の長さに沿って途中まで延びている。この例では、エアロゾル基質134は、20mmの長さを有する。エアロゾル収集領域136は、エアロゾル基質134に隣接し、エアロゾル基質134と第2の端部140との間に配置されている。この例では、エアロゾル収集領域136は、第2の端部140まで完全には延びていない。
【0099】
フィルタが提供される場合、それは通常、第2の端部140に向かって設けられる。エアロゾル収集領域136の長さは、約20mmである。エアロゾル基質の長さもまた、約20mmである。基質担体132は、基質担体132の構成要素を包む外層146を更に含む。例えば、外層146は(例えば、約40~100gsmのベース重量の)紙である。
【0100】
図1及び2を参照すると、エアロゾル発生装置100に装填される前の基質担体132が示されている。ユーザがエアロゾル発生装置100を使用することを望んだ場合、ユーザは最初にエアロゾル発生装置100に基質担体132を装填する。これは、基質担体132を加熱チャンバ108内へと挿入することを伴う。基質担体132は、基質担体132の第1の端部138が加熱チャンバ108に入るように方向付けされた加熱チャンバ108内に挿入される。したがって、基質担体132は、第1の端部138が基部112に向けられた状態で加熱チャンバ108内に挿入される。
図4に示されるように、基質担体132は、第1の端部138が基部112に隣接するまで、特に、基部112の上方に隆起したプラットフォーム118に隣接するまでそれが進める限り挿入される。
【0101】
図3及び
図4から、基質担体132が加熱チャンバ108内へと可能な限り深く挿入された場合、基質担体132の長さの一部分のみが加熱チャンバ108の内側にあることがわかるであろう。特に、エアロゾル基質134の全体及びエアロゾル収集領域136の大部分は、加熱チャンバ108の内側に配置されている。基質担体132の長さの残りは、加熱チャンバ108から突出し、エアロゾル発生装置100の第2の端部106を超えて突出している。これにより、ユーザが基質担体132上に口を配置し、エアロゾルを吸入するための場所を提供する。
【0102】
熱発生器130は、加熱チャンバ108を通って熱を伝導させて、基質担体132のエアロゾル基質134を加熱する。加熱チャンバ108の側壁114の少なくとも一部は、基質担体132と接触して配置されて、
図5~
図9を参照して以下でより詳細に説明されるように、加熱チャンバ108から基質担体132への熱の伝導を可能にし、例えば、熱は熱係合部材120を介して伝導される。熱はまた、周囲の空気を加熱することによる対流によって伝達され、その後、基質担体132内に引き込まれる。
【0103】
熱発生器130は、エアロゾル基質134を、それが蒸気を放出し始めることができる温度に加熱する。蒸気が放出され始め得る温度にいったん加熱されると、ユーザは、ユーザの口において吸入される基質担体132の長さに沿って蒸気を引き込むことができる。基質担体132を通るエアロゾルの流れの方向は、
図4の矢印Aによって示されている。
【0104】
ユーザが
図4の矢印Aの方向に空気及び/又は蒸気を吸引すると、空気又は空気と蒸気との混合物が、加熱チャンバ108内のエアロゾル基質134の近傍から基質担体132を通って流れることが理解されよう。この動作によりまた、エアロゾル発生装置100を取り囲む、基質担体132と側壁114との間の環境から(
図4の矢印Bによって示される流路を介して)周囲空気を加熱チャンバ108内に引き込む。次いで、加熱チャンバ108に引き込まれた空気は加熱され、基質担体132内に引き込まれる。加熱された空気は、エアロゾル基質134を加熱して、エアロゾルを発生させる。より具体的には、この例では、空気は、加熱チャンバ108の側壁114と基質担体132の外層146との間に設けられた空間を通って加熱チャンバ108に入る。この目的のために、基質担体132の外径は、加熱チャンバ108の内径よりも小さい。より具体的には、この例では、加熱チャンバ108は、10mm以下、好ましくは8mm以下、最も好ましくは約7.6mmの内径を有する。これにより、基質担体132は、約7.0mm(±0.1mm)の直径を有することが可能になる。これは、21mm~22mmの基質担体132の外周に対応する。換言すれば、基質担体132と加熱チャンバ108の側壁114との間の空間は、最も好ましくは約0.3mmである。他の変形例では、空間は、少なくとも0.2mmであり、いくつかの例では、最大0.4mmである。
【0105】
ここで、エアロゾル基質134を加熱してエアロゾルを生成する加熱チャンバ108の動作を、
図5~
図9を参照してより詳細に説明する。
【0106】
図5~
図9を参照すると、本開示のエアロゾル発生装置100と共に使用するための加熱チャンバ108が、詳細に示されている。例えば、
図5~
図9の加熱チャンバ108は、
図1~
図4に関連して上述のエアロゾル発生装置100内に提供され得る。上記のように、加熱チャンバ108は、一般に、吸入用のエアロゾルを生成するために、加熱チャンバ108の外面に配置された熱発生器130から、加熱チャンバ108内に受け入れられた基質担体134に熱を伝達するために提供される。
【0107】
加熱チャンバ108は、開放端部110に配置されたフランジ116を備える。フランジ116は、加熱チャンバ108の側壁114から約1mmの距離だけ外向きに延びて、環状構造体を形成する。この例では、フランジ116は、加熱チャンバ108が垂直に配置されたときにフランジ116が水平に延びるように、側壁114の高さに対して垂直に延びている。代替例では、フランジ116は、例えば、斜めの、フレアした、又は傾斜したフランジ116を提供するように、ある角度で延び得る。いくつかの実施例では、フランジ116は、環状である代わりに、側壁114の周縁部の周囲の一部分のみに位置している。
【0108】
加熱チャンバ108の基部112は、基部112の残りの部分に対して開放端部110に向かって隆起しているプラットフォーム118を備える。プラットフォーム118は、基部112全体にわたって延びていない。プラットフォーム118は、基部112の中心に向かって配置され、プラットフォーム118と側壁114との間にプラットフォーム118の周りの空間を提供する。プラットフォーム118は、基質担体132が加熱チャンバ108内に受け入れられたときに、基質担体132を基部112の一部から離れて配置するように構成されている。これにより、加熱チャンバ108の、基質担体132の第1の端部138との接触面積が低減され、燃焼を防止する。加えて、基質担体132の第1の端部138の一部を露出させることによって、基質担体132の第1の端部138への空気流を促進する。
【0109】
この例では、プラットフォーム118は一般に円形であり、プラットフォーム118と側壁114との間に基部112に向かって環状の空間を提供する。これにより、エアロゾル基質134の均一な加熱を提供し得る基質担体132内への空気流さえも可能にし、より効率的な加熱及びより楽しい経験をユーザに提供する。更に、プラットフォーム118と側壁114との間の空間は、第1の端部138において基質担体132から落下する、任意のエアロゾル基質134を収集することができる領域を提供する。この例では、プラットフォーム118は円形であり、約4mmの直径を有する。この例では、プラットフォーム118は、基部112の残りの部分より約1mmだけ上方に隆起している。
【0110】
側壁114は、薄い壁になるように構成されている。典型的には、側壁114は、100μm未満の厚さ、例えば約90μm、又は更には約80μmの厚さである。場合によっては、側壁114が約50μmの厚さである可能性があり得る。全体として、50μm~100μmの範囲が通常は最適である。製造公差は、約±10μmである。
【0111】
側壁114にそのような厚さを提供することにより、加熱チャンバ108の熱特性は著しく変化する。側壁114が非常に薄いため、側壁114の厚さを通る熱の伝達は無視できる程度の抵抗しか示さず、その結果、熱発生器130から加熱すべき基質担体132への熱伝導が改善される。しかしながら、側壁114に沿った(すなわち、中心軸Eに平行な側壁114の長さに沿った、又は側壁114の円周の周りの)熱伝達は、伝導が生じ得る薄いチャネルを有するため、加熱チャンバ108の外面に位置する熱発生器130によって生成される熱は、開放端部110において側壁114から半径方向外向きの方向に熱発生器130の近くに局所化されたままであるが、迅速に、加熱チャンバ108の内面の加熱をもたらす。加えて、薄い側壁114は、加熱チャンバ108の熱質量を低減させるのに役立ち、その結果、エアロゾル発生装置100の全体的な効率が改善される。なぜなら、側壁114の加熱に使用されるエネルギーはより少ないからである。
【0112】
いくつかの例では、加熱チャンバ108は、上述のように熱の局所化を可能にする材料から形成される。例えば、加熱チャンバ108、具体的には加熱チャンバ108の側壁114は、50W/mK以下の熱伝導率を有する材料を含む。この例では、加熱チャンバ108は、金属、好ましくはステンレス鋼である。ステンレス鋼は約15~40W/mKの熱伝導率を有し、厳密な値は具体的な合金によって異なる。更なる例として、この用途に適した300シリーズのステンレス鋼は、約16W/mKの熱伝導率を有する。好適な例は、304、316、及び321ステンレス鋼を含み、これは、医療用途で承認されており、強度が高く、本明細書で説明する熱の局所化を可能にするように熱伝導率は十分に低い。
【0113】
この例では、深絞りのプロセスを使用して、その幅よりも大きい深さを有するカップ形状の加熱チャンバ108を提供している。これは、非常に薄い側壁114を備えた加熱チャンバ108を形成するための非常に効果的な方法である。深絞りプロセスは、金属薄板ブランクをパンチツールで加圧成形して成形ダイの中へと押し込むことを伴う。一連の徐々に小さくなるパンチツール及びダイを使用することにより、管状構造が形成され、管状構造は一端に基部112を有し、管を備え、管は、管を横切る距離よりも深い(幅よりも相対的に大きい長さを有する管から、「深絞り」という用語になっている)。このように形成されていることに起因して、この方法で形成された管の側壁114は、元の金属薄板と同じ厚さである。同様に、この方法で形成された基部112は、最初の金属薄板ブランクと同じ厚さである。フランジ116、熱係合要素120、及び把持要素122は、ハイドロフォーミングによって形成することができる。この操作は、金属の硬度を低減させ、変形を容易にするための予備的なアニールステップを含み得る。ハイドロフォーミング操作は、管状カップ内に高圧下で水を注入して、外部型に対して側壁114を形成することによって操作され得る。フランジ116は、型の環状溝に形成され、次いで、その最終形状に切断され得る。熱係合要素120及び把持要素122は、外部型の表面に提供される相補的な突起を設けることによって形成され得る。型は、いったん成形段階が発生した後、開くことができるように、いくつかの部品で成形され得、その結果、加熱チャンバ108を型から取り外すことができる。
【0114】
加熱チャンバ108の開放端部110におけるフランジ116によって、更なる構造的支持が提供され得る。フランジ116は、側壁114上の曲げ力及び剪断力に対して抵抗する。この例では、フランジ116は、側壁114と同じ厚さであるが、他の実施例では、変形に対する抵抗力を改善するために、フランジ116は側壁114よりも厚い。エアロゾル発生装置100が全体として強固であるが効率的なままであるように、強度のために特定部分の厚さを任意に増大させることが、導入される熱質量の増大と比較検討される。
【0115】
具体的には、この例では、加熱チャンバ108は、約31mmの長さを有する。すなわち、側壁114は、約31mmの長さを有する。加熱チャンバ108は、直径約7mmの基質担体132を受け入れるためにサイズ決めされた約7.6mmの内径を有する。側壁114は80μmの厚さであるが、基部は、追加の支持を提供するために0.4mmの厚さである。
【0116】
基質担体を受け入れるための本明細書に記載の機能を提供するために、代替の適切な寸法が容易に想定されよう。
【0117】
加熱チャンバ108は、複数の熱係合要素120を備える。熱係合要素120は、側壁114の内面上に形成された突起である。実際、「熱係合要素」及び「突起」という用語は、本明細書では交換可能に使用され得る。側壁114の周囲の熱係合要素120の幅は、側壁114の長さに平行なそれらの長さに対して小さい。この例では、4つの熱係合要素120が存在する。
【0118】
この例では、熱係合要素120は、側壁114のくぼみとして形成されている。把持要素122は、同じ方法で、くぼみとして形成され得る。これらは、側壁114を側面に向かって変形させて側壁114の内面上にくぼみを形成し、側壁114の外面上にくぼみを形成することによって形成される。したがって、「くぼみ」という用語はまた、「突起」という用語と交換可能に使用される。側壁114をくぼませることによって熱係合要素120を形成することにより、それらが側壁114と一体であり、したがって熱流への影響が最小限になるという利点を有する。加えて、くぼませた熱係合要素120及び把持要素122は、加熱チャンバ108の側壁114の内面に余分な要素が加えられる場合のように、いかなる熱質量も追加させない。最後に、説明したように側壁114をくぼませることにより、側壁114を横切って延びる部分を導入することによって側壁114の強度を増大させるため、側壁114の曲げに対して抵抗力を提供する。
【0119】
熱係合要素120は、熱発生器130からエアロゾル基質134内への熱伝達を促進するために提供される。エアロゾル発生装置100は、基質担体132の外層142に対して係合する熱係合要素120の表面から熱を伝導することによって機能する。したがって、側壁114の内面上の熱係合要素120は、加熱チャンバ108内に挿入されるときに、基質担体132に接触する。これにより、エアロゾル基質134が伝導によって加熱される。したがって、本明細書で使用される場合、熱係合要素120は、「熱伝達要素」又は「伝導要素」と呼ばれ得る。
【0120】
エアロゾル発生装置100はまた、側壁114の内面と基質担体132の外層142との間のエアギャップ内の空気を加熱することによって機能する。すなわち、ユーザがエアロゾル発生装置100を吸引すると、加熱された空気がエアロゾル基質134を通って引き込まれるので、エアロゾル基質134の対流加熱が存在する。幅及び高さ(すなわち、各熱係合要素120が加熱チャンバ108に沿って延びる距離)は、熱を空気に伝える側壁114の表面積を増大させるため、エアロゾル発生装置100がより早く有効温度に到達することが可能になる。更に、熱係合要素120は基質担体132と接触するように内部容積内に延びるため、複数の空気流路が、隣接する熱係合要素120間に画定される。空気が開放端部110において加熱チャンバ108に入ると、空気は、側壁114と基質担体134との間を通過し、隣接する熱係合要素120間に強制される。熱係合要素120の数及びサイズは、十分且つ均一な加熱及び引き込み抵抗を確保するために、適切な空気供給が提供されることを確実にするように選択されなければならない。エアロゾル基質134の十分に均一な加熱を提供し、且つ適切なサイズの空気流路を提供するために、4つが、熱係合要素120の適切な数であることが見出された。
【0121】
エアロゾル基質134内に熱を伝導するために、熱係合要素120の表面は、基質担体132の外層142と相互に係合しなければならないことは明らかであろう。しかしながら、製造公差が、基質担体132の直径に小さな変動をもたらす場合がある。加えて、基質担体132の外層142及びその中に保持されたエアロゾル基質134の比較的柔らかく圧縮可能な性質に起因して、基質担体132への何らかの損傷又は乱暴な取り扱いの結果、外層142が熱係合要素120の表面と相互に係合することが意図されている領域において、直径が減少するか、又は形状が卵形若しくは楕円形の断面に変化する場合がある。それに応じて、基質担体132の直径のいかなる任意の変動も、基質担体132の外層142と熱係合要素120の表面との間の熱係合を低減させる結果となり得、これにより、熱係合要素120から基質担体132の外層142を通ってエアロゾル基質134内への熱伝導に対して悪影響を及ぼす。製造公差又は損傷に起因する基質担体132の直径のいかなる変動の影響をも軽減させるために、熱係合要素120は、好ましくは、加熱チャンバ108内へと十分に延びるように寸法決めされて基質担体132の圧縮を引き起こし、それによって、熱係合要素120の表面と基質担体132の外層142との間の締まり嵌めを確実にする。基質担体132のこの圧縮はまた、基質担体132の外層142の長手方向のマーキングを生じさせ、基質担体132が使用されたことの視覚的指標を提供し得る。更に、熱係合要素120による圧縮はまた、エアロゾル基質134の密度の任意の変動を低減し、基質担体132の幅全体にわたってエアロゾル基質134のより一貫した均一な分布を提供し得る。これにより、より効率的で均一な加熱を提供することができる。
【0122】
熱係合要素120は、エアロゾル基質134に熱を伝導するために提供されているため、熱係合要素120は、基質担体132が加熱チャンバ108内に挿入されるときに、エアロゾル基質134を含む基質担体132の領域と整列されることが好ましい。
図8に示されるように、熱係合要素120は、エアロゾル基質134と整列されている。
【0123】
加熱効果が均等に分散されるように、熱係合要素120の数及び配置は等間隔に離間されることが好ましい。これにより、基質担体132上の中心軸Eに向かうセンタリング力を提供するという追加の効果を有する。例えば、この例では、4つの熱係合要素120は、加熱効果を提供すると共に、基質担体132を加熱チャンバ108内の中央に配置して保持するためのいくらかのセンタリング効果も提供する。これにより、また、基質担体132の周りの空気流の均一性を改善し、加熱の均一性を更に改善することができる。
【0124】
エアロゾル基質134が加熱されると、エアロゾル基質134は熱係合要素120から離れて収縮し、加熱チャンバ108内に基質担体132を維持してそれが脱落するのを防ぐための圧縮力は、もはや最適ではないことが見出された。したがって、以下でより詳細に説明されるように、本開示に従って、複数の把持要素122が提供される。
【0125】
この例では、側壁114の内径は7.6mmである。加熱チャンバ108は直径7.0mmの基質担体132での使用に適合されているため、これは、側壁114から基質担体132のいずれかの側に約0.3mmのクリアランスを提供する。各熱係合要素120は、約0.6mmだけ内部容積内に延び、エアロゾル基質134を基質担体132内に、いずれかの側で約0.3mmだけ接触して圧縮する。
【0126】
各熱係合要素120が基質担体132に接触することを確信するために(エアロゾル基質の伝導加熱、圧縮、及び変形を生じさせるために接触が必要である)、熱係合要素120、加熱チャンバ108、及び基質担体132の各々の製造公差が考慮される。例えば、加熱チャンバ108の内径は7.6±0.1mmであってもよく、基質担体132は7.0±0.1mmの外径を有してもよく、熱係合要素120は±0.1mmの製造公差を有してもよい。この例では、基質担体132が加熱チャンバ108内の中央に取り付けられている(すなわち、基質担体132の外側の周囲に均一なギャップが残っている)と仮定すると、基質担体132に接触するために、各熱係合要素120がまたがらなければならないギャップは0.2mm~0.4mmの範囲にわたる。換言すれば、各熱係合要素120は半径方向距離にまたがるので、この例における可能な最小値は、加熱チャンバ108の可能な最小直径と、基質担体132の可能な最大直径との差の半分、又は[(7.6-0.1)-(7.0+0.1)]/2=0.2mmである。この例における範囲の上限は、(同様の理由で)加熱チャンバ108の可能な最大直径と基質担体132の可能な最小直径との差の半分、すなわち[(7.6+0.1)-(7.0-0.1)]/2=0.4mmである。熱係合要素120が確かに基質担体132に接触することを確実にするために、この例では、熱係合要素120は各々、加熱チャンバ108内へと少なくとも0.4mm延びている必要があることが明らかである。しかしながら、これは熱係合要素120自体の製造公差を考慮していない。0.4mmの熱係合要素120が望まれる場合、実際に生成される範囲は0.4±0.1mmであり、又は0.3mm~0.5mmの間で変動する。熱係合要素120のいくつかは、加熱チャンバ108と基質担体132との間の可能な最大ギャップにまたがらない。したがって、この例の熱係合要素120は、0.5mmの公称突出距離で製作されるべきであり、結果として、0.4mm~0.6mmの値の範囲となる。この値は、熱係合要素120が常に基質担体132に接触することを確実にするのに十分である。
【0127】
一般に、加熱チャンバ108の内径をH±δ
H、基質担体132の外径をS±δ
S、そして熱係合要素120が加熱チャンバ108内に延びる距離をT±δ
Tと書くと、熱係合要素120が加熱チャンバ108内に延びることが意図される距離は、以下のように選択されるべきである。
【数1】
ここで|δ
H|は、加熱チャンバ108の内径の製造公差の大きさを指し、|δ
S|は、基質担体132の外径の製造公差の大きさを指し、|δ
T|は、熱係合要素120が加熱チャンバ108内に延びる距離の製造公差の大きさを指す。誤解を避けるために、加熱チャンバ108の内径がH±δ
H=7.6±0.1mmである場合、|δ
H|=0.1mmである。
【0128】
いくつかの例では、熱係合要素122が基質担体132に接触するだけでなく、基質担体132のある程度の圧縮を提供してそれをしっかりと保持し、例えばエアロゾル基質134が加熱されると収縮する場合であっても接触を維持することも確実にするために、追加の拡張を適用することができ、これは以下の式でΔによって表すことができる。
【数2】
【0129】
Δの加算が適切に適用され得ることは明らかであり、上記の例では、約0.1mmの距離に対応し得る。例えば、少なくとも0.1mmの圧縮を確実にするために、把持要素122は、0.6mmの公称深さで製造され得、その結果、0.5mm~0.7mmの範囲となる。この距離は、所望の圧縮を確実にするために、したがって、たとえエアロゾル基質が加熱されたときに収縮する場合でも熱係合要素による接触を確実にするために、選択され得ることは明らかであろう。
【0130】
更には、製造公差が、基質担体132内のエアロゾル基質134の密度に僅かな変動をもたらす場合がある。エアロゾル基質134の密度における、そのようなばらつきは、単一の基質担体132内で、又は同じバッチで製造された異なる基質担体132間で、軸方向及び半径方向の両方に存在し得る。それに応じて、特定の基質担体132内のエアロゾル基質134中での比較的均一な熱伝導を確実にするために、エアロゾル基質134の密度も比較的一定であることを確実にすることが重要であることも明らかであろう。エアロゾル基質134の密度のいかなる不整合の影響をも軽減させるために、熱係合要素120は、加熱チャンバ108内へと十分に延びて、基質担体132内のエアロゾル基質134の圧縮を引き起こすように寸法決めされてもよく、それにより、エアギャップが排除されることによって、エアロゾル基質134を通る熱伝導を改善することができる。図示された例では、加熱チャンバ108内に約0.4mmだけ延びる熱係合要素120が適切である。他の例では、熱係合要素120が加熱チャンバ108内へと延びる距離は、加熱チャンバ108を横切る距離の百分率として画定され得る。例えば、熱係合要素120は、加熱チャンバ108を横切る距離の3%~7%、例えば約5%の距離だけ延びてもよい。
【0131】
熱係合要素120に関して、幅は、側壁126の外周の周囲における距離に対応する。同様に、その長さ方向は、その幅に対して直角に伸び、基部112から加熱チャンバ108の開放端部まで、又はフランジ138まで広範囲に走り、その深さは、熱係合要素120が側壁126から延びている距離に対応する。隣接する熱係合要素120、側壁126、及び基質担体132の外層142の間の空間は、空気流のために利用可能な領域を画定することに留意されたい。これにより、隣接する熱係合要素120間の距離及び/又は熱係合要素120の深さ(すなわち、熱係合要素120が加熱チャンバ108内へと延びる距離)が小さいほど、エアロゾル発生装置100を通して空気を引き込むために、ユーザはより強く吸引しなければならないという効果(引き込み抵抗の増大として知られている)がもたらされる。(熱係合要素120が基質担体132の外層142に接触していると想定すると)、側壁114と基質担体132との間の空気流チャネルの減少を画定するのは熱係合要素120の幅であることが明らかであろう。
【0132】
逆に(ここでも、熱係合要素120が基質担体132の外層142に接触しているという想定下で)、熱係合要素120の長さを増大させると、エアロゾル基質134はより圧縮される結果となり、それによりエアロゾル基質134内のエアギャップが除去され、これもまた引き込み抵抗を増大させる。
【0133】
これらの2つのパラメータを調整して、低過ぎることも高過ぎることもない満足できる引き込み抵抗をもたらすことができる。側壁114と基質担体132との間の空気流チャネルを増大させるために加熱チャンバ108をより大きくすることもできるが、これには、ギャップが大き過ぎて熱発生器130が有効でなくなり始める前に実用上の制限がある。典型的には、基質担体132の外面の周りの0.2mm~0.3mmのギャップは良好な妥協点であり、これにより、熱係合要素120の寸法を変更することによって、引き込み抵抗を許容値内で微調整することが可能になる。
【0134】
基質担体132の外側の周囲のエアギャップは、熱係合要素120の数を変更することによっても変えることができる。いかなる数(1つ以上)の熱係合要素120も、本明細書で述べられる利点の少なくともいくつか(加熱領域の増大、圧縮の提供、エアロゾル基質134の伝導加熱の提供、エアギャップの調整など)を提供する。基質担体132を、中央で(すなわち同軸で)加熱チャンバ108と整列して確実に保持する最小の数は4である。熱係合要素120が4つ未満である設計では、基質担体132が、熱係合要素120のうちの2つの間で側壁114の一部分に押し付けられる状況が可能になる傾向がある。制限された空間では、非常に多くの数(例えば、30個以上)の熱係合要素120を設けることにより、明らかに、それらの間にギャップが殆どないか又は全くない状況に向かう傾向があり、それにより、基質担体132の外面と側壁114の内面との間の空気流路が完全に閉鎖されて、エアロゾル発生装置100が対流加熱を提供する能力が大幅に低下する可能性がある。しかしながら、空気流チャネルを画定するために、基部112の中央に穴を設ける可能性に関連して、そのような設計は依然として使用され得る。通常、熱係合要素120は、側壁126の外周の周囲に等間隔で配置されて、均等な圧縮及び加熱を提供するのに役立ち得るが、いくつかの変形例では、所望の厳密な効果に応じて非対称な配置を有する場合がある。
【0135】
熱係合要素120のサイズ及び数はまた、伝導加熱と対流加熱との間のバランスを調整することを可能にすることが明らかであろう。基質担体132に接触する熱係合要素120の幅(熱係合要素120が側壁114の外周の周囲に延びる距離)を増加させることにより、空気流チャネルとして機能する、側壁114の利用可能な外周は低減されるので、エアロゾル発生装置100によって提供される対流加熱は減少する。しかしながら、より広い熱係合要素120が、外周のより大きな部分にわたって基質担体132に接触するため、これがエアロゾル発生装置100によって提供される伝導加熱は増大する。より多くの熱係合要素120が追加された場合に同様の効果が見られるが、それは、対流のために利用可能な側壁114の外周が減少する一方で、熱係合要素120と基質担体132との間の総接触表面積が増大することによって導電チャネルは増加するという点による。熱係合要素120の長さを増大させると、熱発生器130によって加熱される加熱チャンバ108内の空気の容積も減少し、対流加熱が減少する一方で、熱係合要素120と基質担体132との間の接触表面積は増大し、伝導加熱が増大することに留意されたい。各熱係合要素120が加熱チャンバ108内へと延びる距離を増大させることにより、対流加熱を著しく低下させることなく、伝導加熱を改善することに役立ち得る。
【0136】
したがって、エアロゾル発生装置100は、上述したように熱係合要素120の数とサイズを変更することにより、伝導加熱と対流加熱とのタイプのバランスをとるように設計することができる。比較的薄い側壁114と、熱伝導率が比較的低い材料(例えば、ステンレス鋼)の使用とに起因する熱局在化効果により、熱を基質担体132に、続いてエアロゾル基質134に伝達させる手段として伝導加熱が適切な手段となることが確保される。なぜなら、加熱される側壁114の部分は、熱係合要素120の場所に概ね対応する可能性があり、このことは、発生した熱は、熱係合要素120によって基質担体132に伝導されるが、基質担体から伝導して去ることはないことを意味する。加熱されるが熱係合要素120に対応しない場所では、側壁114の加熱は、対流加熱につながる。
【0137】
この例では、熱係合要素120は、細長い、すなわち、それらの幅よりも大きい長さにわたって延びている。場合によっては、熱係合要素120は、その幅の5倍、10倍、又は25倍でさえある長さを有し得る。例えば、上述したように、熱係合要素120は、加熱チャンバ108内へと0.4mm延びていてもよく、一例では更に、幅が0.5mm、長さが12mmであってもよい。これらの寸法は、30mm~40mmの間、好ましくは31mmの長さの加熱チャンバ108に適している。熱係合要素120は、加熱チャンバ108の全長にわたって延びず、側壁114の長さよりも短い長さを有する。したがって、熱係合要素120は各々、上部エッジ及び底部エッジを有する。上部エッジは、加熱チャンバ108の開放端部110に最も接近して、またフランジ116に最も接近して位置する熱係合要素120の一部である。底部エッジは、基部112に最も接近して位置する熱係合要素120の端部である。上部エッジより上方(上部エッジよりも開放端部に近く)及び底部エッジより下方(底部エッジよりも基部112に近く)で、側壁114には熱係合要素120がないことがわかり得る。いくつかの例では、熱係合要素120はより長く、基部112に隣接する側壁114の底部まで完全に延びる。実際、そのような場合、底部エッジは存在しない場合さえあり得る。熱係合要素120は、開放端部110まで延びず、開放端部110から離間されている。熱係合要素120と開放端部110との間には、以下でより詳細に説明するように、複数の把持要素122が配置されている。好ましくは、
図5Bに示されるように、熱係合要素120と把持要素122との間にくぼみがない。
【0138】
上端において、熱係合要素120の上部エッジは、ユーザが基質担体132をエアロゾル発生装置100内に過度に挿入しないことを確実にするための指標として使用され得る。同様に、加熱チャンバ108内へと挿入された基質担体132の第1の端部138におけるエアロゾル基質134の圧縮により、エアロゾル基質134の一部が基質担体132から落ちて加熱チャンバ108を汚すことにつながる可能性がある。したがって、熱係合要素120の下側エッジを、基質担体132の第1の端部138の予想される位置よりも基部112から更に離れて配置することが有利であり得る。
【0139】
いくつかの例では、熱係合要素120は、細長くなく、その長さとほぼ同じ幅を有する。例えば、突出部はその高さと同じくらいの幅を有してもよく(例えば、半径方向から見た時に正方形又は円形の輪郭を有する)、又は突出部はその長さが幅の2倍~5倍であってもよい。熱係合要素120が提供するセンタリング効果は、たとえ熱係合要素120が細長くない場合でも達成できることに留意されたい。しかしながら、本明細書で望まれる熱係合機能を達成するために、熱係合要素120は、熱伝達を促進するために、基質担体132と接触している大きな表面積を提供することが好ましい。これは、熱係合要素120を細長い形状に形成することによって最適に提供される。
【0140】
図5Bに示されるように、側面図では、熱係合要素120は、台形の輪郭を有するものとして示されている。すなわち、上側エッジは概ね平面であり、先細になっていて、加熱チャンバ108の開放端部110に向かって側壁114と一緒になっている。換言すれば、上側エッジは、輪郭が面取りされた形状である。同様に、下側エッジは概ね平面であり、先細になっていて、加熱チャンバ108の基部112に近い側壁114と一緒になっている。すなわち、下側エッジは、輪郭が面取りされた形状である。他の例では、上側エッジ及び/又は下側エッジは、側壁114に向かって先細ではなく、代わりに、側壁114から約90°の角度で延びている。更に他の例では、上側エッジ及び/又は下側エッジは、湾曲した又は丸みを帯びた形状を有する。上側エッジと下側エッジを橋渡ししているのは、基質担体132に接触する及び/又は基質担体132を圧縮する概ね平面の領域である。平面接触部分は、均等な圧縮及び伝導加熱を提供することに役立ち得る。他の例では、平面部分は、代わりに、例えば多角形の又は湾曲した輪郭(例えば、円のセクション)を有する、外向きに曲がって基質担体に接触する湾曲した部分であってもよい。
【0141】
熱係合要素120の上部エッジは、基質担体132の過剰挿入を防ぐように機能し得る。
図4に最も明確に示されるように、基質担体132は、基質担体132に沿って途中で終わるエアロゾル基質134を含む下部を有する。エアロゾル基質134は、通常、エアロゾル収集領域136などの基質担体132の他の領域よりも圧縮性が高い。したがって、基質担体132の他の領域の圧縮性が低減したことに起因して、基質担体132を挿入しているユーザは、熱係合要素120の上側エッジがエアロゾル基質134の境界と整列した時に抵抗の増加を感じる。これを実現するために、基質担体132が接触する基部112のプラットフォーム118は、熱係合要素120の上部エッジから、エアロゾル基質134が占める基質担体132の長さと同じ距離だけ離間されるべきである。いくつかの例では、エアロゾル基質134は基質担体132の約20mmを占めるため、熱係合要素120の上部エッジと、基質担体132が加熱チャンバ108内に挿入されたときに基質担体132が接触する基部の部分との間の間隔もまた約20mmである。上部エッジは、挿入を支援し、挿入される際の基質担体132への損傷を防ぎ、通常は紙から作製されている外層142の引き裂きを防ぐために傾斜され得る。
【0142】
加熱チャンバ108は、複数の把持要素122を備える。把持要素122は、側壁114の内面上に形成されている。把持要素122は、側壁114の内面から、中心軸Eに向かって加熱チャンバ108の内部容積内に内向きに延びる。把持要素122は、基質担体132が加熱チャンバ108内に挿入されるときに基質担体132を把持するように構成されている。
【0143】
把持要素122は、熱係合要素120とは異なる機能を実行する。熱係合要素120が基質担体132に接触してエアロゾル基質134に熱を伝導する一方で、把持要素122は、基質担体132を把持するために提供され、基質担体への熱伝達効果を低減するように寸法決め及び成形されている。
【0144】
把持要素122は、加熱チャンバ108内に挿入されると基質担体132と接触し、且つ好ましくは把持するのに十分なように加熱チャンバ108内に延びている。上記のように、熱係合要素120は、エアロゾル基質134を含む領域において基質担体132を圧縮するために内部容積内に延びている。これにより、熱発生器130からエアロゾル基質134内に熱を伝導するための良好な熱接触を提供する。しかしながら、本発明者らは、エアロゾル基質134が加熱されると、エアロゾル基質134が基質担体132内で収縮する傾向があることを発見した。特に、エアロゾル基質134は、側壁114から離れて収縮し、その直径を効果的に減少させる。これは、熱係合要素120との接触の一貫性を低下させ、安全性を低下させる可能性がある。最初に、熱係合要素120は、内部容積内に延び、且つエアロゾル基質134を圧縮して、熱伝達を促進するのに十分な接触を維持するように配置され得る。しかしながら、エアロゾル基質134の収縮により、基質担体132が最適に所定の位置に保持されないように、その係合の有効性を低下させ得る。例えば、エアロゾル発生装置100が逆さまに保持されている場合、又は基質担体がユーザの唇に付着している場合、これは、基質担体132が意図せずに除去され、又はエアロゾル基質134が加熱構成要素とずれてしまうことを可能にし得る。
【0145】
これを補償するために内部容積内に更に延びる熱係合要素120を提供することは、加熱チャンバ108内への空気流を更に制限し、また、加熱及び収縮の前に基質担体132を挿入するための領域の低減を提示するため、好ましくない。したがって、空気流が制限されないことを確実にするために、熱係合要素122の加熱チャンバ108の内部容積内への拡張に制限を課すことが好ましい。更に、基質担体132がこの構成で挿入されると、エアロゾル基質134は、拡張された熱係合要素120によって設定された減少した直径に圧縮され、いったん加熱されるともう一度、更に収縮することになる。エアロゾル基質134の過圧縮は、エアロゾル基質134を通る空気流を可能にするために回避されるべきである。
【0146】
本開示に従って複数の別個の把持要素122を提供することにより、基質担体132が、熱係合要素120とは独立して所定の位置にしっかりと保持され得ることが見出された。特に、把持要素122は、空気流を妨げることなく追加の把持を提供する。以下に説明するように、この効果は、把持要素122が、熱安定性であり基質担体132が加熱されるときに収縮しない基質担体132の領域と重なるように配置されるときに、特に達成される。加熱チャンバ108内の把持要素122の正確な位置は、それらが熱安定正であり収縮しない基質担体132の部分、例えばエアロゾル収集領域136と整列している限り、重要ではない。
【0147】
この例では、側壁114は、31mmの長さを有する。把持要素122は、側壁114の長さに沿って4mmの距離だけ、加熱チャンバ108の開放端部110から離間されている。把持要素122は、熱係合要素120から約5mmだけ離間されている。側壁114が薄く、把持要素の接触面積が小さいため、側壁114に沿った熱伝達が制限され、これは、開放端部110に向かって把持要素122にほとんど熱が伝達されないことを意味する。これにより、エアロゾル基質134を含まない基質担体132の部分と通常接触している把持要素122による熱伝達を低減し、把持要素122の望ましくない加熱を低減する。
【0148】
把持要素122は、側壁114の長さに平行な長さを有し、広く、基部112から加熱チャンバ108の開放端部110までの方向にある。把持要素122は、側壁114の周囲の周りに幅を有する。把持要素122は、それらが加熱チャンバ108の内部容積内に半径方向内向きに延びる程度の深さを有する。
【0149】
把持要素122は、加熱チャンバ108の内部容積内に延びる。把持要素122は、熱係合要素120が延びるよりも少なく内部容積内に延びる。これは、これらの要素が押す、異なる領域での基質担体の剛性の違いに適応するためである。
【0150】
図5Bから、各熱係合要素120の最内側の部分が、中心軸Eから半径方向距離R
2に位置していることがわかり得る。同様に、各把持要素122は、中心軸Eから半径方向距離R
1に位置している。この例では、把持要素122は、熱係合要素120よりも短い半径方向距離だけ内部容積内に延びている。換言すれば、R
1>R
2である。
【0151】
これを見る別の方法は、加熱チャンバ108の円周(すなわち、中心軸Eに対して垂直な平面内の周囲長)を考慮することである。把持要素122又は熱係合要素120が存在しない領域における加熱チャンバ108の円周は、ベースライン円周として機能する。ベースライン円周は、本明細書では直径と呼ばれる特徴的な寸法を有し、これは、中心軸Eを通って延びる加熱チャンバ108を横切る最短距離である。円筒形の加熱チャンバ108の場合、円周は円であり、直径は、円に関する通常の意味を有する。楕円形の断面を有する加熱チャンバ108の場合、直径は、短半径の2倍である。正方形又は長方形の断面を有する加熱チャンバ108の場合、直径は、対向する(最も長い)側面間の側壁114に対して垂直な加熱チャンバ108を横切る距離である。他の形状も可能であり、この説明と一致する円周及び直径の画定を有する。
【0152】
側壁114が内向きに変形して把持要素122又は熱係合要素120を作成した場合、壁の周囲はもはや単純な形状ではなく、変形によってもたらされる湾曲のために一般に長くなる。しかしながら、第1の制限円周は、把持要素122と整列した領域の長さに沿って加熱チャンバ108内に適合することができるベースライン円周と同様の最大の形状(すなわち、同じ形状及び向きであるが、サイズが異なる)として画定され得、その結果、第1の制限円周が把持要素122の最内側の部分にちょうど接触する。そのような第1の制限円周は、
図6Bに破線で示されている。同様に、第2の制限円周は、熱係合要素120と整列した領域の長さに沿って加熱チャンバ108内に適合することができるベースライン円周と同様の最大の形状(すなわち、同じ形状及び向きであるが、サイズが異なる)として画定され得、その結果、第2の制限円周が熱係合要素120の最内側の部分にちょうど接触する。そのような第2の制限円周は、
図6Cに破線で示されている。
【0153】
第1及び第2の制限円周は、対応する第1及び第2の制限直径を有し、上記のベースライン円周の直径と同様に画定される。したがって、円筒形の加熱チャンバ108は、円形の第1及び第2の制限円周と、円に関して通常の意味を有する第1及び第2の制限直径と、を有する。楕円形の断面を有する加熱チャンバ108の場合、第1及び第2の制限直径もまた、(同じ程度の偏心を有する)楕円形であり、第1及び第2の制限直径は、それぞれの楕円の短半径の2倍の直径である。正方形又は長方形の断面を有する加熱チャンバ108の場合、各制限円周もまた(それぞれ)同じ相対的な側面の長さ及び向きの正方形又は長方形である。第1及び第2の制限直径は、それぞれの制限円周に対して、対向する(最も長い)側面間の側壁114に対して垂直な加熱チャンバ108を横切る距離である。他の形状は、この一般的なパターンに準拠していることがわかり得る。
【0154】
一例が、
図5B、
図6B、及び
図6Cに示されており、ベースライン直径は、単に加熱チャンバ108を横切る、例えば熱係合要素120の下方の(又は熱係合要素120と把持要素122との間の)距離である。中心軸Eと、把持要素122の最内側の部分との間の半径方向距離R
1は、第1の制限直径の半分に対応することがわかる。換言すれば、第1の制限直径は、2×R
1である。同様に、中心軸Eと、熱係合要素122の最内側の部分との間の半径方向距離R
2は、第2の制限直径の半分に対応することがわかる。換言すれば、第2の制限直径は、2×R
2である。
【0155】
この例では、加熱チャンバ108は円筒形であるため、ベースライン円周並びに第1及び第2の制限円周は全て円である。これらの後者の2つの円は、それぞれ、R1及びR2の半径を有する。上述したように、熱係合要素120は、把持要素122よりも加熱チャンバ108の内部容積内に更に延びる。これは、第1の制限直径が第2の制限直径よりも大きいことを意味する。換言すれば、第1の制限円周は、第2の制限円周の円よりも大きい円(周囲がより長く、より大きい領域を囲む)である。これらの観察は、様々な断面形状の管状加熱チャンバ108に対して当てはまり、把持要素122は、熱係合要素120よりも加熱チャンバ108の内部容積内に深く延びていないことがわかるであろう。
【0156】
理想的には、熱係合要素120は、把持要素122よりも加熱チャンバ108の内部容積内に更に約0.1mm~0.2mmだけ延びる。これを別の方法で見ると、第1の制限直径は64mmであり得、一方、基質担体132は70mmの外径を有するため、把持要素122は、基質担体を各側面上で3mmだけ圧縮する。対照的に、第2の制限直径は、70mmの基質担体132の外径に対して62mmであり得、熱係合要素によって各側面上で4mmだけ圧縮を与える。この増大した圧縮により、エアロゾル基質134が加熱されたときに収縮する場合に、熱係合要素120と基質担体132の外面との間の接触を維持するのに役立つことができる。
【0157】
これは、把持要素122が、加熱チャンバ108の断面を制限せず、したがって、熱係合要素120を超える空気流を制限しないことを意味する。場合によっては、側壁114の長さに対して垂直な平面内の内部容積の一部を遮断する把持要素122の輪郭は、熱係合要素120の輪郭に等しい。換言すれば、各把持要素122は、基質担体132と接触するための最内側の部分を有し、最内側の部分は全て、加熱チャンバ108の中心軸Eから同じ半径方向距離に位置する。
【0158】
把持要素122は、好ましくは、ボール紙管の形態のエアロゾル収集領域136などの、エアロゾル基質134ではない基質担体132の構成要素と整列するように配置されるため、把持要素122は、エアロゾル基質134よりも固体で圧縮性が低く、且つ加熱中に収縮しない構成要素と接触している。したがって、より良好な接触を維持することができ、把持要素122は、熱係合要素120のように内部容積内まで延びる必要はない。いくつかの例では、エアロゾル収集領域136は、例えば、所定の位置にクリックすることによって、ユーザが加熱チャンバ108内に基質担体132を配置するのを助けるために、把持要素122と係合するための適切なノッチを含み得る。
【0159】
7.0mmの直径及び7.6mmの側壁の内径を有する基質担体132の上記の例を使用すると、側壁114に対するクリアランスは、基質担体132のいずれかの側面上で約0.3mmである。基質担体132と接触するために、把持要素122の深さは、少なくとも0.3mmであるように選択される。すなわち、把持要素122は、中心軸Eに向かって少なくとも0.3mmだけ内部容積内に延びる。
【0160】
熱係合要素120と同様に、製造公差を考慮に入れるべきである。例えば、加熱チャンバ108の内径は、7.6±0.1mmであり得、基質担体132は、7.0±0.1mmの外径を有し得、熱係合要素120は、±0.1mmの製造公差を有し得る。上記と同様に、把持要素122の深さの最小値は0.2mmであり、最大値は0.4mmである。したがって、加熱チャンバ108及び基質担体132の変動を考慮する際の接触を保証するために、把持要素122の深さは、少なくとも0.4mmでなければならない。把持要素122自体の公差を考慮する場合、範囲は、0.4mm±0.1mm(すなわち、0.3mm~0.5mm)である。接触を確実にするために、把持要素122は、0.5mmの公称深さで製造されなければならず、その結果、0.4mm~0.6mmの間の値の範囲が得られる。この値は、把持要素122が常に基質担体132に接触することを確実にするのに十分である。
【0161】
上記のように、加熱チャンバ108の内径をH±δ
H、基質担体132の外径をS±δ
S、そして把持要素122が加熱チャンバ108内に延びる距離をG±δ
Gと書くと、把持要素122が加熱チャンバ108内に延びることが意図される距離は、以下のように選択されるべきである。
【数3】
ここで|δ
H|は、加熱チャンバ108の内径の製造公差の大きさを指し、|δ
S|は、基質担体132の外径の製造公差の大きさを指し、|δ
G|は、把持要素122が加熱チャンバ108内に延びる距離の製造公差の大きさを指す。誤解を避けるために、加熱チャンバ108の内径は、H±δ
H=7.6±0.1mmである場合、|δ
H|=0.1mmである。
【0162】
把持要素122は、5mm未満、好ましくは3mm未満、より好ましくは2mm未満、更により好ましくは1mm未満の、側壁114の長さに沿って延びる長さを有する。側壁114の長さと比較して、把持要素122の長さは、側壁114の長さの好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、更により好ましくは5%未満である。一般に、把持要素122は、加熱する必要のない基質担体132の部分に熱を伝達しないが、把持するように構成されている。これは、接触表面積を最小限に抑えるために、より小さな把持要素で最良に達成される。
【0163】
把持要素122は、加熱チャンバ108の外壁に形成されたエンボス加工されたディンプルとして形成され得る。
図6Dは、
図6Bの部分Pとして強調表示されたそのような把持要素122の詳細図を示している。この設計は、制限された熱伝達を提供するが、強固な把持動作を提供する。把持要素122は、実質的に円形、楕円形、正方形、又は長方形である円周において側壁を結合する湾曲した最内側の部分であり得る。把持要素の先端(最内側の内部部分)は、好ましくは、基質担体(例えば、チップ紙)の表面の引き裂きを回避するために、丸みを帯びているか又は平坦である。例えば、ディンプル122は、その最内側の部分で加熱チャンバの長さに平行な平面内に、部分的に楕円形、半球形、又は台形である輪郭を形成し得る。ディンプル122は、加熱チャンバの外面に形成され、実質的に半球形の最内側の部分、及び管状の側壁を接合する環状の最外側の部分を含む空洞を有し得る。環状の最外側の部分は、例えば約0.1mmの半径を有する、わずかに湾曲した部分によって側壁に接続され得る。例えば、最外側の部分の直径は、0.3~1mm、好ましくは0.4~0.7mm、例えば0.6mmであり得、球形の最内側の部分の半径は、例えば約0.15mmであり得る。
【0164】
熱係合要素120は、把持要素122の長さよりも大きい長さを有する。特に、熱係合要素120は、把持要素122の長さの少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍の大きさ、より好ましくは少なくとも5倍の大きさ、なおもより好ましくは少なくとも10倍の大きさの長さを有する。エアロゾル基質134への熱伝達を促進するために、エアロゾル基質134と接触している表面がより長くなるように、熱係合要素120をより長くすることが好ましく、エアロゾル基質134を含まない領域への熱伝達を低減するために、基質担体132と接触している把持要素122の表面を低減することが好ましい。
【0165】
図5B、
図6A、及び
図6Bを参照すると、把持要素122は、側壁114の周囲の周りに配置されている。複数の把持要素122は、個々の把持要素122が側壁114の周囲の異なる位置に位置するように配置されている。
図6A及び
図6Bを参照すると、4つの把持要素122が示されているが、他の適切な数の把持要素122が想定される。4つの把持要素122は、側壁114の周囲の周りに等間隔に配置されている。これにより、基質担体132を、把持要素122によって加熱チャンバ108内にしっかりと保持することが可能になる。把持要素122を等間隔に配置することはまた、特に把持要素122が互いに同じサイズ及び形状である場合、加熱チャンバ108内で基質担体132をセンタリングするのを助け得る。熱係合要素120のセンタリング効果と同様に、4つの把持要素122は、加熱チャンバ108との中央(すなわち、同軸)整列で基質担体132を確実に保持する最小の数である。把持要素122が4つ未満の設計では、基質担体132が2つの隣接する把持要素122間の側壁114の一部に押し付けられる状況を可能にする傾向があり、これが、基質担体132を熱係合要素120の一部に向かって他から離れるように押して、不均一な加熱及び不均一な空気流路を引き起こし得る。他の場合では、2つの把持要素122を提供することで十分であり得るが、これは、基質担体132を所定の位置に支持するのを支援するための熱係合要素120からの接触の程度に依存する。
【0166】
把持要素122は各々、側壁114の内周に沿って途中まで延びる。この例では、側壁114は円形であるため、把持要素122は各々、側壁114の内周に沿って途中まで延びている。
図6A及び
図6Bを参照すると、各把持要素122は、側壁114の周りの小さなセクションのみに延びている。特に、各把持要素122は、側壁114の円周の周りに約1mmだけ延びている。この例では、加熱チャンバ108の内径が7.6mmの場合、4つの把持要素122は、23.9mmの円周に沿って合計で4mmだけ重なっている。好ましくは、把持要素122によって覆われる周囲の総比率は、20%以下、より好ましくは10%以下である。これにより、把持要素122が、基質担体132と側壁114との間の加熱チャンバ108内への空気流を過度に制限することを防ぐ。いくつかの例では、把持要素122は、それらの高さとほぼ同じ長さを有する。いずれの場合でも、把持要素122の円周方向範囲は熱係合要素120の円周方向範囲より大きくなってはならず、その結果、把持要素122は、熱係合要素120によってすでに制限されている以上には空気流を制限しない。このため、把持要素122は、好ましくは、熱係合要素120と角度的に整列され、同じ幅である。
【0167】
好ましくは、把持要素122は、側壁114の周囲の周りに等間隔に離間されて、それによって基質担体132を加熱チャンバ108内の中央に配置し、基質担体132の周りに均等な空気流路を可能にすることができる。
【0168】
この例では、把持要素122は、側壁114の長さに沿って熱係合要素120と整列されている。把持要素122は、熱係合要素120と整列した位置に配置されているが、側壁114の長さに沿って熱係合要素120から離間されている。把持要素122は、熱係合要素120を超えない範囲で内部容積内に延びている。加えて、把持要素122は、熱係合要素120を超えない範囲で周囲の周りに延びている。これは、把持要素122が、熱係合要素120よりも内部容積内に更に突出せず、加熱チャンバ108内への空気流を妨害しないことを意味する。
【0169】
図10に示されるような代替例では、把持要素122は、熱係合要素120を通過する空気流を強制するために、側壁114の長さに沿って熱係合要素120と整列されなくてもよい。
【0170】
しかしながら、一部の例では、要素の各セットをその特定の機能に対して調整するために、異なる輪郭を有することが好ましい。例えば、この例では、把持要素122は、基質担体132を把持するために、側壁114の長さに対して垂直な平面内に丸みを帯びた輪郭を有し、一方、熱係合要素120は、平坦化された表面が内部容積の中心軸Eに向かって最内側を面して、基質担体132と接触するためのより大きな表面積を提供する台形形状を有する。
【0171】
把持要素122は、側壁114の長さに対して垂直な断面において凸状の輪郭を有する。換言すれば、把持要素122は、側壁114から内部容積内に延びて、加熱チャンバ108の有効断面積を減少させる。
【0172】
概して、把持要素122は、加熱チャンバ108の内部容積に向かって減少した面積部分を有する。すなわち、把持要素122は、側壁114から内部容積に向かって、中心軸Eに向かって狭くなる。この例では、把持要素122は、側壁114の長さに対して垂直な平面内にほぼ丸みを帯びた断面を有する。
図6A及び
図6Bに示されるように、把持要素122は、側壁114から延びる丸みを帯びた輪郭を有する。更に、この例では、把持要素122は、
図5Bに示されるように、側壁114の長さに平行な平面内にほぼ丸みを帯びた断面を有する。すなわち、この例の把持要素122は、球形の一部を形成し、特に、側壁114から延びる半球形である。この場合、把持要素122は、加熱チャンバ108の内部容積内に、側壁114の長さに沿ったそれらの長さ、及び側壁114の周囲のそれらの幅と実質的に同じ距離だけ延びる。他の形状も可能であり、長さは幅と同じである必要はなく、長さも幅も深さと同じである必要はないことが理解されよう。
【0173】
この球形形状は、基質担体132を把持するために内部容積に必要な拡張を提供するが、過剰な表面積が提示されないことを確実にするために内部容積に向かって面積を低減し、基質担体132に対するいかなる望ましくない熱伝達の可能性も低減させる。したがって、把持要素122は、把持要素122の最内側の点において丸みを帯びたエッジを有することが好ましい(最内側の点は、内部容積に面し、基質担体132に接触するように構成された把持要素122の部分である)。代替例では、把持要素122は、
図12に示されるように、接触面積を更に減少させ、より多くのピンチング効果を提供するための尖ったエッジを有し得る。
【0174】
把持要素122は、側壁114から中心軸Eに向かって傾斜する開放端部110に面する上面を提供する。換言すれば、把持要素122は、開放端部110に最も近い側壁114から内部容積に向かって先細である。これは、把持要素122が、開放端部110から基部112に向かう方向に沿って側壁114の直径を効果的に減少させることを意味する。これにより、基質担体132が加熱チャンバ108内で最初に接触する傾斜を提供して、ユーザが基質担体132を挿入することを容易にし、基質担体132の損傷又は引き裂きを防ぐことができる。この例では、傾斜は、把持要素122の球面によって提供される。傾斜は、三角形、台形、又は他の傾斜した又は丸みを帯びた形状などの他の形状で提供され得ることが理解されよう。
【0175】
把持要素122はまた、ユーザが加熱チャンバ108内に基質担体132を配置するのを助けるために使用され得る。エアロゾル基質134とエアロゾル収集領域136との境界が熱係合要素120の上部エッジと整列している
図8に示される例を考慮すると、ユーザが基質担体132を挿入すると、エアロゾル基質134は、一般に、エアロゾル収集領域136よりも圧縮性が高いため、把持要素122の周りで変形する。基質担体132が更に挿入されると、ユーザは、把持要素122に隣接するエアロゾル収集領域136の抵抗を感じる。把持要素122の上面の傾斜は、ユーザに実体的な抵抗を提供しながら、挿入をガイドするのに役立つ。ユーザは、エアロゾル収集領域136が熱係合要素120の上部エッジに隣接するまで基質担体132を挿入し続けることができ、その時点で、ユーザは第2の抵抗を感じる。これにより、基質担体132が基部112又はプラットフォーム118を強く押し過ぎることなく完全に挿入されていることをユーザに通知し、損傷を防ぐのに役立ち得る。
【0176】
把持要素122は、これが加熱チャンバ108内の基質担体132の均一な把持及びセンタリングを提供するのを助けることができるような、一般に互いに同じ形状である。しかしながら、異なる形状の把持要素122が提供され得ること、及び異なる形状の個々の把持要素122が同じ加熱チャンバ108内で使用され得ることが理解されよう。加えて、把持要素122は一般に、互いに同じサイズであり得る。例えば、各把持要素122は、同じ長さ及び/又は幅及び/又は深さを有し得る。
【0177】
この例では、熱係合要素120の数と同じ数(すなわち4つ)の把持要素122が存在する。他の例では、熱係合要素120の数とは異なる数の把持要素122が存在し得る。
【0178】
いくつかの例では、把持要素122は、熱係合要素120に関連して上記の特徴のうちのいずれかを備え得る。特に、把持要素122は、熱係合要素120と同じ方法で側壁114から変形され得るため、同様の形状が提供され得るが、前述のように、異なる機能のために異なるサイズを有することが好ましい。更なる例として、把持要素122の上部エッジを使用して、熱係合要素120に関して上述したのと同じ方法で、基質担体132の挿入をガイドすることができる。
【0179】
把持要素122は、側壁114の一部から形成される。換言すれば、把持要素122は、加熱チャンバ108の側壁114と一体である。この例では、把持要素122は、側壁114の変形部分から形成されている。例えば、把持要素122は、側壁114からエンボス加工され得る。把持要素122は、側壁114の一部を加熱チャンバ108の内部容積内に変形させることによって形成されるくぼみである。したがって、把持要素は、好ましくは、側壁114に取り付けられた追加の要素によって形成されない。したがって、側壁114に不必要な厚さが追加されることはない。これにより、加熱チャンバ108の熱質量を増大させることなく、把持要素122の所望の機能を提供する。熱係合要素120もまた同じように変形される場合、このプロセスは、同じステップ又は隣接するステップで実行され得る。
【0180】
図8を参照すると、基質担体132に対する把持要素122の配置が、より詳細に示されている。この例では、把持要素122は、エアロゾル基質134を含まない基質担体132の一部と整列するように構成されている。特に、把持要素122は、基質担体132が挿入されると、エアロゾル収集領域136と整列する。エアロゾル収集領域136は、典型的には、ボール紙又はアセテートなどの材料から作製された中空管である。エアロゾル収集領域136は、エアロゾルがいったんエアロゾル基質134から放出されるとエアロゾルが集まるのを可能にし、且つユーザによって吸入される前に蒸気が冷却されて空気と混合されることを可能にする領域を提供する。エアロゾル収集領域136は、典型的には、エアロゾル基質134よりも圧縮性が低く、したがって、把持要素122は、エアロゾル基質134に対してよりも大きな把持力を提供することができる。更に、エアロゾル収集領域136が加熱中に収縮しないため、把持要素122は、加熱後でも把持を維持することができる。
【0181】
図9を参照すると、加熱チャンバ108は、熱発生器130が巻き付けられた状態で示されている。この例では、熱発生器130は、電気熱発生器である。熱発生器130は、銅トラックなどの導電性加熱要素156を備えた、電気絶縁裏打ち層154、例えばポリイミドフィルムの形態にある。加熱要素156の材料は、所望の抵抗、したがって所望の電力出力を有するように選択され得る。本明細書で使用される場合、「熱発生器」、例えば熱発生器130は、加熱構成要素全体(加熱要素156及び裏打ち層154)を指し、一方、「熱発生器」は、加熱トラック又は加熱要素156を指す。上述のように、熱発生器130は、側壁114の中央部分と重なるように配置され、開放端部110に向かう端部及び基部112に向かう端部において重なっていない。特に、熱発生器130は、熱係合要素120の全長と重なるように配置されている。これにより、熱係合要素120の近傍の加熱チャンバ108の側壁114に直接熱を提供する。したがって、熱係合要素120は、エアロゾル基質132に効果的に熱を伝導することができる。
【0182】
熱発生器130は、把持要素122と重なるように配置されていない。換言すれば、熱発生器130は、把持要素122が配置されている側壁114の位置の上方に配置されていない。すなわち、側壁114の長さに沿って、把持要素122の位置と、熱発生器130が配置されている位置との間にギャップが存在する。したがって、把持要素122は、熱発生器130と接触していない。上記のように、これにより、熱が熱係合要素120に向けられてエアロゾル基質134に熱を伝導することを確実にし、把持要素120の加熱を防いで加熱効率を改善する。
【0183】
上記のように、任意選択で、側壁114の外面と熱発生器130との間に金属層が存在し得る。例えば、これは、熱伝達効率を改善するための銅などの、高熱伝導率金属の電気めっき層であり得る。
【0184】
いくつかの例では、裏打ち層154は、加熱要素156よりも広い面積にわたって延び得る。例えば、熱発生器130は、加熱要素156が熱係合要素120の長さを実質的に覆うように側壁に沿って配置され得るが、裏打ち層154は更に延びて、実際には把持要素122と重なり得る。これは、把持要素122の実質的な加熱効果を提供せず、熱発生器130が把持要素122と重なるシナリオと見なされるべきではない。換言すれば、熱発生器130が把持要素122と重ならないように配置される場合、これは、加熱要素156が把持要素122から離間していることを意味するが、場合によっては、熱発生器130の裏打ち層154は、把持要素122と重なり得る。機能的には、加熱効率を改善するために、把持要素122が熱発生器130によって加熱されないことが望ましい。
【0185】
代替例では、熱発生器130は、把持要素122と少なくとも部分的に重なり得る。例えば、熱発生器要素156は、把持要素122を覆うことができる。これは、熱発生器要素156が把持要素122を通ってエアロゾル収集領域136に加熱効果を提供することができるため、環境によっては有益であり得る。この熱伝達は、エアロゾル収集領域136におけるエアロゾルの凝縮を防ぐことができる。いくつかの例では、エアロゾル基質134を含む基質担体132の領域だけでなく、他の領域も加熱することが有用であり得る。これは、いったんエアロゾルが発生したら、その温度を高く(室温より高く、ただしユーザを火傷させるほどは高くなく)維持して、ユーザ体験を損なう再凝結を防ぐことが有益だからである。
【0186】
図8を参照すると、基質担体132が加熱チャンバ108に挿入されると、基質担体132は、熱係合要素120によって接触される。熱係合要素120は、主に、加熱チャンバ108と基質担体132との間に熱接触を提供し、熱発生器130から基質担体132に熱を効率的に伝導するように構成されている。これを達成するために、熱係合要素120が、基質担体132内のエアロゾル基質132の少なくとも一部と実質的に整列されることが好ましい。例えば、
図8を参照すると、基質担体132が加熱チャンバ108内に挿入されると、エアロゾル基質134を含む基質担体132の部分は、熱係合要素120と接触する。
【0187】
他の例では、基部112に隣接する基質担体132の第1の端部138におけるエアロゾル基質134の部分は、第1の端部138における基質の加熱を低減又は抑制するために熱係合要素120と整列されなくてもよい。基質担体132は、加熱チャンバ108の基部112内のプラットフォーム118上に載ることによって、第1の端部138において支持される。上述のように、プラットフォーム118は、基質担体132が基部112から離間されているプラットフォーム118の周りに空間を提供する中央領域において、基部112より上方に隆起している。これにより、第1の端部138の直接加熱を低減する。これはまた、第1の端部138内への空気流を促進する。
【0188】
この例では、基質担体132が挿入されると、エアロゾル基質134とエアロゾル収集領域136との間の境界は、熱係合要素120の上面と実質的に整列するように配置されている。これにより、熱及び蒸気を保持し、エアロゾルが生成されていないエアロゾル収集領域106の加熱を防ぐためのシールを提供し得る。
【0189】
基質担体132が加熱チャンバ108内に挿入されると、把持要素122は、エアロゾル基質134と第2の端部140との間の点において基質担体132と接触するように構成されている。換言すれば、把持要素122は、エアロゾル基質134と重ならない位置において基質担体132と接触するように配置されている。この例では、把持要素122は、エアロゾル収集領域136において基質担体132と接触するように配置されている。このようにして、把持要素122は、エアロゾル基質134の加熱を妨害しない位置においてエアロゾル基質134を把持することができる。更に、エアロゾル基質134が加熱されると、エアロゾル基質134は収縮し始め、熱係合要素120との接触を減少させる。これは、エアロゾル基質134を加熱する熱係合要素120の能力に大きな影響を及ぼさず、対流による熱はいかなる場合でも妨げられないが、エアロゾル基質134が熱係合要素120から離れて収縮するため、熱係合要素120とエアロゾル基質134との間のより確実でない係合につながり得る。このように、エアロゾル基質134から離れた位置において把持要素122を提供することによって、加熱中のエアロゾル基質134のいかなる収縮にも関係なく、基質担体132を所定の位置に固定することができる。
【0190】
したがって、エアロゾル発生装置100のための加熱チャンバ108が提供され、加熱チャンバ108は、エアロゾル基質134を含む基質担体132が加熱チャンバ108の長さに沿った方向に挿入可能である第1の開放端部110と、加熱チャンバ108の内部容積を画定する側壁114と、基質担体132に接触して熱を提供するための複数の熱係合要素120であって、各熱係合要素120が側壁114の周りの異なる位置において側壁114の内面から内部容積内に内向きに延びている、複数の熱係合要素120と、側壁114の長さに沿って熱係合要素120から離間された複数の把持要素122であって、各把持要素122が側壁114の周りの異なる位置において側壁114の内面から内部容積内に内向きに延びている、複数の把持要素122と、を備え、把持要素122が、熱係合要素120よりも第1の開放端部110の近くに配置されている、ことが理解されよう。
【0191】
図10及び
図11を参照すると、加熱チャンバ108の別の例が示されており、ここで、把持要素122は、側壁114の長さに沿って熱係合要素120と整列されていない。それにもかかわらず、把持要素122及び熱係合要素120の向きをこのように配置することにより、十分に機能する装置100をもたらすことは明らかであろう。
【0192】
図12を参照すると、加熱チャンバ108の更なる例が、把持要素122を通る断面図で示されている。ここで、把持要素122は、側壁114の長さに対して垂直な平面内に三角形の輪郭を有するように示されている。この輪郭は、基質担体132と装置100との間の相対的な動きを防ぐために、基質担体132を把持するように特に適合され得る。ここで示される把持要素122は、側壁114の変形から形成され、その結果、側壁114と同じ厚さを有する。