(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】透明ステージ上のジェムストーンの蛍光撮像
(51)【国際特許分類】
G01N 21/87 20060101AFI20240731BHJP
G01N 21/88 20060101ALI20240731BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
G01N21/87
G01N21/88 K
G01N21/64 Z
(21)【出願番号】P 2022530213
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(86)【国際出願番号】 US2020062249
(87)【国際公開番号】W WO2021108567
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-11-06
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517340921
【氏名又は名称】ジェモロジカル インスティテュート オブ アメリカ インコーポレイテッド(ジーアイエー)
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,ツン-ハン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ウーイ
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-500354(JP,A)
【文献】特開2013-105087(JP,A)
【文献】特表平09-505663(JP,A)
【文献】国際公開第2016/021006(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108956576(CN,A)
【文献】特開2015-225071(JP,A)
【文献】米国特許第6014208(US,A)
【文献】国際公開第2019/185993(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/87
G01N 21/88
G01N 21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルジェムストーンの蛍光画像を捕捉して解析する方法であって、
蛍光励起ビームを生成するステップと、
前記蛍光励起ビームをフィルタを通じてダイクロイックビームスプリッタへ方向付けるステップであって、前記ダイクロイックビームスプリッタが、前記蛍光励起ビームの波長を反射して前記サンプルジェムストーンからの励起蛍光の波長を通過させるように構成される、ステップと、
コンピュータプロセッサ及びメモリを伴うカメラで、サファイアステージ上にテーブル側を下にして置かれる前記サンプルジェムストーンから励起蛍光画像を受信するステップであって、前記励起蛍光画像が前記ダイクロイックビームスプリッタを通過してしまっている、ステップと、
前記カメラコンピュータによって、前記サンプルジェムストーンの前記受信した蛍光画像をデジタル化するステップと、
前記カメラコンピュータによって、前記サンプルジェムストーンテーブルの前記デジタル化画像をコンピュータデータ記憶装置に送信するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
プロセッサ及びメモリを伴うバックエンドコンピュータによって、第2のデジタル化画像を前記記憶されたデジタル化画像と比較して、識別のために一致を判定するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
プロセッサ及びメモリを伴うバックエンドコンピュータによって、前記サンプルジェムストーンが天然又は合成ダイヤモンドであるかどうかを判定するために前記記憶されたデジタル化画像を解析するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方向付けられてフィルタリングされたビームが200nm~250nmの波長を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方向付けられてフィルタリングされたビームが約224nmの波長を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
蛍光ビームの前記生成がキセノンフラッシュランプによるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
サファイアステージ上にテーブル側を下にして置かれる前記サンプルジェムストーンからの前記励起蛍光画像が400nm~700nmの波長を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のデジタル化画像を前記記憶されたデジタル化画像と比較して、識別のために一致を判定する前記ステップは、前記完全なデジタル化画像におけるピクセルのサブセットの比較である、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
サファイアステージ上にテーブル側を下にして置かれる前記サンプルジェムストーンからの前記励起蛍光画像は、前記カメラで受信される前で且つ前記ダイクロイックビームスプリッタを通過した後にミラーに反射される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ダイクロイックビームスプリッタは、300nm未満の波長を反射して300nmを超える波長を通過させるように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記蛍光励起ビームを通過させてフィルタリングする前記フィルタが偏光感応フィルタを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記サンプルジェムストーンは、反射を低減するために光吸収材料によって裏打ちされる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
プロセッサ及びメモリを伴うバックエンドコンピュータによって、色変動及び境界色の検出のために前記デジタル化画像を解析して合成過成長を識別するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
サンプルジェムストーンの蛍光画像を解析するシステムであって、
ジェムストーンにおいて蛍光を励起できるビームを生成するための光発生器と、
前記光発生器からの波長を反射して前記サンプルジェムストーンの蛍光励起からの波長を通過させるように構成されるダイクロイックビームスプリッタであって、レンズ及びフィルタが、前記ダイクロイックビームスプリッタに向けられる前記光発生器からの前記ビームを集束してフィルタリングするように構成される、ダイクロイックビームスプリッタと、
紫外光及び可視光の両方を透過できる平坦ステージであって、前記サンプルジェムストーンのテーブルを支持して前記ダイクロイックビームスプリッタからの反射ビームを受けるように構成される、平坦ステージと、
前記サンプルジェムストーンの前記テーブルと前記平坦ステージとの界面に焦点を合わせるとともに、前記ダイクロイックビームスプリッタを介して前記サンプルジェムストーンテーブルから励起蛍光画像を受けて前記サンプルジェムストーンテーブルのデジタル化画像を生成するように構成されるカメラと、
を備える、システム。
【請求項15】
前記光発生器によって生成される前記ビームが200nm~250nmの波長を有する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記光発生器によって生成される前記ビームが約224nmの波長を有する、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記カメラと通信するコンピュータシステムを更に備え、前記コンピュータシステムは、前記サンプルジェムストーンテーブルの前記デジタル化画像を受信して記憶するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記コンピュータシステムは、前記デジタル化画像に基づいて前記サンプルジェムストーンテーブルが天然であるか合成であるかを判定するように更に構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記コンピュータシステムは、前記サンプルジェムストーンテーブルの前記デジタル化画像を他のジェムストーンテーブルの前記記憶されたデジタル化画像と比較して、前記画像内の比較されたピクセルに基づいて識別のための一致を判定するように更に構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記カメラと前記ダイクロイックビームスプリッタとの間に構成されるミラーを更に備え、前記ミラーは、前記励起蛍光画像を前記カメラへと反射するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項21】
前記ダイクロイックビームスプリッタは、300nm未満の波長を反射し、300nmを超える波長を通過させるように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項22】
前記光発生器からの前記光ビームをフィルタリングするように構成される偏光感応フィルタを更に備える、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、その全体が参照により本願に組み入れられる2019年11月26日に出願された米国仮出願第62/940,871号の優先権を主張する。
【0002】
この分野は、ステージ上に位置されるダイヤモンド又は他のジェムストーンを解析するために蛍光画像捕捉を利用することを含む。
【背景技術】
【0003】
ジェムストーンには、体系的で容易に再現可能な解析方法のニーズが必要とされる。現在の技術は、ダイヤモンド又はストーンパビリオンへの照準照明に依存している。この方法は、石のサイズ及び形状に応じて異なり得る石の一部に対する照明源の面倒な照準を必要とする。この方法は、照準制約及びパラメータに起因して、容易に再現又は複製されない場合がある。更に、この方法を使用すると、撮像又は照明源をジェムストーンに照準合わせする、調整する、又は、焦点合わせるために更なるハードウェアが必要になる場合がある。それは、ジェムストーンへのオートフォーカスが難しいからである。研磨された宝石ファセットは、カメラ及びソフトウェアが解析及び焦点合わせするための定義できる識別可能な特徴を表面が欠いているため、オートフォーカスが困難である。
【0004】
システムの他の例は、評価中のジェムストーンを特定の角度に位置決めしてそれをそこで撮像されている間に保持するのに必要なジェムストーンホルダを利用する。
【0005】
システムの他の例は、コンパクトなユニットへと構成され得ない分散した構成要素を必要とするコンポーネントを利用する。
【0006】
ここでのシステム及び方法は、ユーザが石ごとの調整を最小限にして石を配置及び解析できるようにする容易に再現可能なセットアップを使用して、この技術的課題に対する技術的解決策を提供する。
【発明の概要】
【0007】
ここでのシステム及び方法は、標的石間の調整を最小限に抑えながら信頼できる結果をもたらす容易に再現可能な構成で、ジェムストーン、具体的にはダイヤモンドなどの蛍光画像を解析する方法を提供するために使用され得る。
【0008】
幾つかの例では、これに代えて又は加えて、サンプルジェムストーンの蛍光画像を捕捉して解析するシステム及び方法は、蛍光励起ビームを生成するステップと、蛍光励起ビームをフィルタを通じてダイクロイックビームスプリッタへ方向付けるステップであって、ダイクロイックビームスプリッタが、蛍光励起ビームの波長を反射してサンプルジェムストーンからの励起蛍光の波長を通過させるように構成される、ステップと、コンピュータプロセッサ及びメモリを伴うカメラで、サファイアステージ上にテーブル側を下にして置かれるサンプルジェムストーンから励起蛍光画像を受信するステップであって、励起蛍光画像がダイクロイックビームスプリッタを通過してしまっている、ステップと、カメラコンピュータによって、サンプルジェムストーンの受信した蛍光画像をデジタル化するステップと、カメラコンピュータによって、サンプルジェムストーンテーブルのデジタル化画像をコンピュータデータ記憶装置に送信するステップとを含む。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、プロセッサ及びメモリを伴うバックエンドコンピュータによって、第2のデジタル化画像を記憶されたデジタル化画像と比較して、識別のために一致を判定するステップを更に含む。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、プロセッサ及びメモリを伴うバックエンドコンピュータによって、サンプルジェムストーンが天然又は合成ダイヤモンドであるかどうかを判定するために記憶されたデジタル化画像を解析するステップを更に含む。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、方向付けられてフィルタリングされたビームが200nm~250nmの波長を有する。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、方向付けられてフィルタリングされたビームが約224nmの波長を有する。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、蛍光ビームの生成がXeフラッシュランプによるものである。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、サファイアステージ上にテーブル側を下にして置かれるサンプルジェムストーンからの励起蛍光画像が400nm~700nmの波長を有する。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、第2のデジタル化画像を記憶されたデジタル化画像と比較して、識別のために一致を判定するステップは、完全なデジタル化画像におけるピクセルのサブセットの比較である。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、サファイアステージ上にテーブル側を下にして置かれるサンプルジェムストーンからの励起蛍光画像は、カメラで受信される前で且つダイクロイックビームスプリッタを通過した後にミラーにも反射される。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、ダイクロイックビームスプリッタは、300nm未満の波長を反射して300nmを超える波長を通過させるように構成される。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、蛍光励起ビームを通過させてフィルタリングするフィルタが偏光感応フィルタを含む。
【0009】
ここでのシステム及び方法は、サンプルジェムストーンの蛍光画像を解析することを含んでもよく、ジェムストーンにおいて蛍光を励起できるビームを生成するための光発生器と、光発生器からの波長を反射してサンプルジェムストーンの蛍光励起からの波長を通過させるように構成されるダイクロイックビームスプリッタであって、レンズ及びフィルタが、ダイクロイックビームスプリッタに向けられる光発生器からのビームを集束してフィルタリングするように構成される、ダイクロイックビームスプリッタと、紫外光及び可視光の両方を透過できる平坦ステージであって、サンプルジェムストーンのテーブルを支持してダイクロイックビームスプリッタからの反射ビームを受けるように構成される、平坦ステージと、サンプルジェムストーンのテーブルと平坦ステージとの界面に焦点を合わせるとともに、ダイクロイックビームスプリッタを介してサンプルジェムストーンテーブルから励起蛍光画像を受けてサンプルジェムストーンテーブルのデジタル化画像を生成するように構成されるカメラとを含む。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、光発生器によって生成されるビームが200nm~250nmの波長を有する。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、光発生器によって生成されるビームが約224nmの波長を有する。幾つかの更なる例では、カメラと通信するコンピュータシステムであって、コンピュータシステムは、サンプルジェムストーンテーブルのデジタル化画像を受信して記憶するように構成される。幾つかの例では、コンピュータシステムは、デジタル化画像に基づいてサンプルジェムストーンテーブルが天然であるか合成であるかを判定するように更に構成される。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、コンピュータシステムは、サンプルジェムストーンテーブルのデジタル化画像を他のジェムストーンテーブルの記憶されたデジタル化画像と比較して、画像内の比較されたピクセルに基づいて識別のための一致を判定するように更に構成される。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、カメラとダイクロイックビームスプリッタとの間に構成されるミラーであって、ミラーは、励起蛍光画像をカメラへと反射するように構成される。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、ダイクロイックビームスプリッタは、300nm未満の波長を反射して300nmを超える波長を通過させるように構成される。幾つかの更なる例では、光発生器からの光ビームをフィルタリングするように構成される偏光感応フィルタ。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、サンプルジェムストーンは、反射を低減するために光吸収材料によって裏打ちされる。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、コンピュータは、合成過成長を識別するべく色変動及び境界色の検出のためにデジタル化画像を解析するように使用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
この出願に記載される実施形態のより良い理解のために、以下の図面と併せて、以下の詳細な説明を参照するべきであり、図面中、同様の参照番号は、図の全体を通して対応する部分を指す。
【0011】
【
図1】本明細書中に記載される特定の態様に係るフロー図の一例の例図である。
【0012】
【
図2A】本明細書中に記載される特定の態様に係る解析システムの一例の例図である。
【0013】
【
図2B】本明細書中に記載される特定の態様にしたがって撮られた画像の写真例である。
【0014】
【
図3】本明細書中に記載される特定の態様に係るジェムストーンの一例の例図である。
【0015】
【
図4】本明細書中に記載される特定の態様に従って撮られた画像の写真例である。
【0016】
【
図5】本明細書中に記載される特定の態様に係るネットワークシステムの一例の例図である。
【0017】
【
図6】本明細書中に記載される特定の態様に係るコンピュータシステムの一例の例図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、実施形態について詳細に言及し、実施形態の例が添付図面に示される。以下の詳細な説明では、本明細書で提示される主題の十分な理解を与えるために、多数の具体的な詳細が記載される。しかし、当業者であれば分かるように、これらの特定の詳細を伴うことなく主題を実施できる。更に、本明細書中に記載される特定の実施形態は、一例として与えられおり、特定の実施形態の範囲を限定するために使用されるべきではない。他の例では、本明細書中の実施形態の態様を不必要に不明瞭にしないように、周知のデータ構造、タイミングプロトコル、ソフトウェア動作、手順、及び、構成要素が詳細に説明されていない。
【0019】
概要
【0020】
ここでのシステム及び方法は、平坦ステージ上に配置されるダイヤモンドなどのジェムストーンの蛍光画像捕捉のセットアップのために使用され得る。幾つかの例は、ジェムストーンに向かう10nm~400nmの紫外線(UV)光を通過させて励起蛍光画像をダイクロイックビームスプリッタを通じて解析のために捕捉することによって光を送ってジェムストーンのテーブル側からの画像を捕捉するセットアップを利用する。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、ダイクロイックビームスプリッタの波長カットオフが300nmである。ダイクロイックビームスプリッタ装置は、使用を容易にするために且つ異なるサンプルに関して機器を移動、変更、又は、調整することなく、カメラがステージとジェムストーンとの同じ界面に何度も焦点を合わせることができるようにする。
【0021】
方法ステップの例
【0022】
図1は、本明細書中に記載されるシステム及び方法が解析のために励起されたジェムストーン蛍光画像をどのように捕捉できるかの例を詳述するフローチャートの一例を示す。
図1に示されるステップの第1の例は、UVから可視光を透過できるステージ上にサンプルジェムストーンを配置すること(110)である。ステージは、以下に説明するように、励起光源の波長及び蛍光画像を透過することができなければならない。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、UV透過ステージがサファイアから形成される。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、UV透過ステージが石英から形成される。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、ジェムストーンがテーブル側を下にしてステージ上に配置されてもよい。(カットされたジェムストーンテーブル378を示す例については
図3の説明を参照されたい)
【0023】
カットされたジェムストーンの最大の平坦部として、テーブルは、ステージなどの平坦な表面に配置すべきジェムストーンの最も簡単で最も安定した部分となり得る。この構成では、ステージ以外のホルダ又は支持体は必要とされない。異なるサイズのジェムストーンは全て、同じ場所に、調整なしで、ユーザによる準備を伴うことなくセットされ得る。ステージは平坦であり、ジェムストーンテーブルは平坦であるため、ユーザは、サンプルを容易に交換及び移動し、位置ずれ又は誤った焦点合わせのリスクを何ら伴うことなくプロセスを繰り返すことができる。そのような構成は、解析が実行されるたびに、ジェムストーンテーブルが同じ方法で同時にステージと界面を成すインタフェースをもたらす。
【0024】
ジェムストーン「テーブル」は、ここでは、それがステージなどの別の平坦な表面上に載置できるジェムストーンの平坦で安定した部分を表わすために使用されることに留意すべきである。しかしながら、幾つかの例では、これに代えて又は加えて、ジェムストーンは、別の平坦部が使用され得るようにカットされてもよい。したがって、この説明では、「テーブル」という用語は、限定を意図するものではなく、検討及び解析しているジェムストーンの任意の平坦部となり得る。
【0025】
次に、120において、光源によって光が生成される。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、光源は、キセノンフラッシュランプ、重水素ランプ、又は、224.3nm HeAgレーザ、或いは、225nm未満の波長を生成できる任意の他の種類のレーザ又は光源となり得る。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、光源は、ビームスポットを集光するために最初にレンズを通じて送られる。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、光が深UVフィルタを通じて送られる。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、更なる偏光感応(偏光子と波長板との組み合わせ)フィルタが使用されてもよい。光の波長は、光が光源/レンズ/フィルタを出てダイクロイックビームスプリッタに向けて送られるので、224nm未満であってもよい。ダイクロイックビームスプリッタは、特定の波長帯域の光を反射して異なる波長帯域の光を通過させるように構成される。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、ダイクロイックビームスプリッタが10nm~400nmの波長の光を反射してもよい。この224nm未満の光は、ダイクロイックビームスプリッタに反射して、ステージ上に位置されるジェムストーンテーブルに向かう。
【0026】
次に、130において、光ビームは、サファイアステージ上に載置するジェムストーンテーブルに当たり、400nm~700nmの蛍光を励起する。ジェムストーンからのその蛍光画像は、ダイクロイックビームスプリッタへ向けて戻ってステージを通過する。
【0027】
次に、140において、ダイクロイックビームスプリッタは、ジェムストーンからの励起蛍光画像を通過させるように位置される。励起された蛍光の波長は400nm~700nmであるため、蛍光は、最初に生成された深UV光からの深UV光がそうであったように、反射するのではなくダイクロイックビームスプリッタを通過することができる。この励起された蛍光画像は、任意選択的に、カメラなどの撮像システムに向かってミラーに反射されてもよい。
【0028】
最後に、150において、励起蛍光画像を捕捉するために撮像システムが使用されてもよい。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、撮像システムが感光性デジタルカラーカメラである。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、カメラは、パターン検出を強化するために使用され得るモノクロカメラであってもよい。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、カメラが感光性カラーカメラである。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、励起蛍光画像のビームスポットを集光するためにカメラの前にレンズが使用される。幾つかの例では、ミラーと撮像レンズとの間にフィルタが使用されてもよい。そのような例では、フィルタを使用して、ジェムストーン蛍光画像のコントラストパターン又は特徴を強調することができる。そのような例において、フィルタは、ロングパスフィルタ、バンドパスフィルタ、ショートパスフィルタ、又は、偏光感応フィルタ(偏光子と波長板との組み合わせ)であってもよい。上記のカメラ特徴及び/又はフィルタ特徴の任意の組み合わせ又は順列を使用することができる。
【0029】
そのような構成において、カメラは、ステージ/ジェムストーンテーブル界面に焦点を合わせて蛍光画像を捕捉できる。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、この焦点は、ステージ上に載置されるジェムストーンテーブルであってもよい。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、カメラがステージの界面に焦点を合わせるのに役立つべく、微細印刷された又はリソグラフィパターニングされたプレートがステージ上に配置されてもよく、カメラが微細パターニングされたプレートに焦点を合わせてもよい。そのようなパターニングされたプレートは、ガラス、プラスチック、又は、金属などの任意の材料から形成されてもよい。そのようなプレートは、透明なテーブルステージ上に焦点を合わせようとするのではなく、カメラ装置がプレートに焦点を合わせることができるように、中実であってもよい又は光を反射してもよいプレート上に記号、パターン、又は、書き込みを含んでもよい。カメラ焦点が設定された時点で、プレートが取り外されてもよく、また、この同じ焦点は、その後、多くのサンプルに関して、何度も調整することなく、解析中のジェムストーンに使用されてもよい。そのような例において、蛍光画像の視野角は、ジェムストーンテーブルがステージの平坦面上に載置されているため、それが常に同じ角度になるように配置され得る。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、これは画像ビームからジェムストーンテーブルまで垂直角度であってもよい。
【0030】
この構成を使用すると、そのような方法は、ジェムストーンの最も平坦な部分、すなわち、テーブルをステージ上に配置するだけで済むオペレータにとって、使い易さと共に再現性が高い。これにより、界面上の固定された焦点面が可能になる。それぞれのサンプルごとに、ジェムストーンテーブルとステージとの間の同じ界面が常に使用されるため、オペレータはシステムを再合焦する必要がない。
【0031】
ハードウェアセットアップ例
【0032】
図2Aは、
図1或いはさもなければ本明細書に記載される方法を使用するために利用され得る機器のハードウェアセットアップの一例を示す。
図2Aの例では、光源202が光ビーム210を放射するように位置される。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、光源202がキセノン(Xe)フラッシュランプである。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、光源202がレーザ駆動光源(LDLS)である。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、光源202が重水素ランプであってもよい。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、光源202が224.3nmHeAgレーザであってもよい。ここで又はそれ以外で説明される光源の任意の組み合わせ又は順列が使用されてもよい。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、本方法の照明目標を満たすのに十分な強度の集束ビームへと放射光を集束させるためにレンズ204が光源202と隣り合って位置されてもよい。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、フィルタ205が光源202及びレンズ204と隣り合って位置されてもよい。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、このフィルタ205は、深UV光のみが通過できるようにする深UVフィルタであってもよい。幾つかの例示的な実施形態では、レンズ及びUVフィルタ後の光ビーム210の波長が224nm未満である。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、フィルタ205の後に任意選択的な更なるフィルタが利用されてもよく、そのような場合、そのような更なるフィルタ207が偏光感応フィルタであってもよい。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、偏光フィルタ207が偏光子と波長板との組み合わせであってもよい。そのような更なるフィルタ207は、ジェムストーン蛍光画像におけるパターン又は特徴のコントラストを高めることができる。
【0033】
幾つかの例では、これに代えて又は加えて、図示のように、光源202から放射された光ビーム210は、ダイクロイックビームスプリッタ230に向けられる。特定の光波長帯域を反射して他の光波長帯域が通過できるようにするためにダイクロイックビームスプリッタ230が使用されてもよい。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、ダイクロイックビームスプリッタ230は、300nm未満の波長を有する光を反射し、300 nmを超える波長を有する光が通過できるようにしてもよい。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、励起波長が10nm~400nmである。
【0034】
図2Aの例において、放射された光ビーム210は、ダイクロイックビームスプリッタ230に反射されてステージ208へ向かう。ステージ208は、サファイア又は石英であってもよく、或いは、紫外線(UV)及び可視光の両方を透過する任意の他の材料であってもよく、ジェムストーン内の蛍光を励起する光源とそのようなジェムストーンから来る蛍光画像との間の範囲を含んでもよい。ステージ208は、サンプルジェムストーン206をその上に配置できるようにするために平坦であってもよい。この例において、ステージ208は、サンプル又は標的ジェムストーン206が配置される表面である。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、ジェムストーン206は、テーブル側278を下にしてステージ208上に配置されてもよい(カットされたジェムストーン部分及びテーブル378の説明については
図3を参照されたい)。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、ステージ208は、カメラ242の視野が設定される予め配置された領域を含んでもよい。ステージ208上のこの予め配置された領域には、解析用のサンプル206を配置することができ、それにより、サンプルがカメラ242の視野に含まれる。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、ステージ208上のこの領域は、オペレータによる使用を容易にするために視覚的にマークされてもよい。例えば、可視円がステージ208上にエッチング、塗装、又は、他の方法でラベル付けされてもよく、この可視円内にカメラ242の視野が位置する。
【0035】
ジェムストーン306の一例の全体図を示す
図3を参照する。ジェムストーンは、宝石において一般的であるように、特定の例示的な部分を含むようにカットされてもよい。例えば、ジェムストーン306は、カレット370、パビリオン372、ガードル374、クラウン376、及び、テーブル378を含むことができる。テーブル278は、ジェムストーン306が安定して載置され得る平坦部であってもよい。本明細書に記載される照明及び撮像セットアップによって解析されるべく、ジェムストーンをステージ(
図2Aの208)上に配置することができるのは、このテーブル378上である。
【0036】
図2Aに戻って参照すると、放射ビーム210における焦点は、ステージ208とジェムストーン206のテーブル278との間の界面である。オペレータは、新たなサンプルジェムストーン206を解析のためにテーブル側278を下にしてステージ208上に単に配置するだけでよいため、ジェムストーン206がどのように解析されても、この界面は常に焦点となる。
図2Aの構成は、サンプルジェムストーン206が単にステージ208の平坦な表面上に配置されるため、サンプルジェムストーンのための他の種類のホルダ、支持体、又は調整可能なブレースを利用しない。したがって、オペレータは、焦点を調整し、任意の撮像システムを操作し、照明202を調整し、又は、新たなサンプルジェムストーンを解析するための任意の他の調整を行なう必要がない。
図2Aの構成は、サンプル間の迅速且つ容易な移動を可能にし、そうでなければ新しい焦点を見つけてそれぞれの異なる石サンプルの解析のためにハードウェアを調整しなければならないオペレータにおけるプロセスを大幅に単純化することができる。
【0037】
本明細書中に記載されるシステムにおいてダイクロイックビームスプリッタを使用する1つの利点は、そのような構成が使用されなかった場合よりもシステム全体がよりコンパクトになり得ることである。ダイクロイックビームスプリッタを使用することにより、ジェムストーンテーブル278へのインバウンドビーム210及びジェムストーンテーブル278からの励起画像220が同じ構成部品230を通過でき、それにより、そのような構成が実験台上に占めるスペースの大きさが最小になる。更に、この構成は、広げられたシステムよりも容易にコンパクトなシステムを操作、運搬、操縦、及び/又、は再配置することができるオペレータによる使用を容易にする。
【0038】
図2 Aを続けると、放射されたビーム210がステージ208を通過してジェムストーンテーブル278と相互作用すると、ビームは、ジェムストーン206テーブル278から蛍光画像を励起する。その後、その画像は、ステージ材料208を通過して下行220し、ダイクロイックビームスプリッタ230に戻る。ダイクロイックビームスプリッタ230は、異なる方向に偏光された光に関して異なる吸収係数を有することができ、他を波長範囲を反射しながら狭い波長範囲の光を選択的に通過させるために使用することができる。例えば、この励起蛍光は波長が400~700nmであってもよい。ジェムストーン206のテーブル278からの励起蛍光は、特定の波長(400nm~700nm)のものであるため、元の深UVビーム210が反射したようにダイクロイックビームスプリッタ230を反射する代わりに通過することができる。これにより、ジェムストーンテーブル278の励起ビーム220は、任意選択的なミラー232に続くことができ、そこでカメラ242のレンズ240に向かって再び反射され得る。カメラレンズ240は、より良好な解析のために励起光220のビームスポットを狭めるのに役立ち得る。カメラ242は、光感度カラーカメラであってもよい。幾つかの実施形態の例では、カメラ242のレンズ240の前に更なるフィルタ241を配置することができる。そのような例において、更なるフィルタ241は、ジェムストーン蛍光画像のパターン又は特徴のコントラストを高めることができる。更なるフィルタ241は、ロングパスフィルタ、バンドパスフィルタ、ショートパスフィルタ、及び、偏光感応(偏光子と波長板との組み合わせ)フィルタのうちのいずれか1つ又は組み合わせであってもよい。
【0039】
その後、このカメラ242は、本明細書中に記載される解析のためにジェムストーン206の放出された蛍光画像をデジタル的に捕捉することができる。そのような画像は、本明細書中に記載されるジェムストーン蛍光画像を表わすピクセル化データを含むことができる。カメラ242は、コンピュータ構成要素を含むことができるとともに、ピクセル化デジタル画像を処理するため、ジェムストーンテーブルのピクセル化デジタル画像を保存、記憶、送信、或いはさもなければ、解析又は操作するために、本明細書中に記載される他のコンピュータ構成要素と通信することもできる。
【0040】
画像捕捉セットアップ例
【0041】
図2Aは、画像ステージが画像捕捉と干渉し得る背景を有する物理的環境に配置され得る例を示す。そのような物理的環境は、明るすぎてもよく、間違った色、又は、画像捕捉にとって最良な背景を提供しない他の物理的特性を有してもよい。これを改善し、より良好な画像捕捉背景を提供するのに役立つべく、ダイヤモンドなどの標的石206の裏面に吸収材料250を配置して、撮像を向上させるためにダイヤモンドの成長パターンのコントラストを改善することができる。吸収材料250は、黒色であってもよく、吸収材料は、パテ、クレイ、ポリマー、成形可能なプラスチック、成形可能な発泡体、接着剤、接着剤、及び/又は、他の材料から形成されてもよい。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、吸収材料は、不透明な品質をまだ有していない場合、黒色塗料と混合されてもよい。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、黒色塗料が黒鉛塗料であってもよい。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、この材料は、パビリオン(
図3の372を参照されたい)又は空隙のないジェムストーンの背面に塗布されてもよい。これに代えて又は加えて、そのような材料は、ジェムストーン成長パターンの画像をぼかす場合がある反射低下を成すサンプルジェムストーンテーブルの画像を撮ることができるようにするべく、バブル、バックドロップ、シェード、キャノピー、又は、他の構成上のテーブル278以外のサンプルジェムストーン206の上又は背後に配置されてもよい。この構成は、背景吸収材料250を伴うことなく撮影されたものよりも良好な画像解析及び比較を可能にすることができ、その後、材料を解析後に除去することができる。
【0042】
図2Bは、ジェムストーンの画像捕捉における反射低下を助けるために
図2Aの材料250を利用した結果の写真例を示す。このような材料をジェムストーンに塗布して、ダイヤモンドと黒色材料との間の空気を遮断することによって反射を低下し、ジェムストーンの既存のパターンをより鮮明にすることができる。
図2Bにおいて、
図2Aの材料250が塗布されていないサンプルジェムストーン280,282の画像は、
図2Aの材料250が塗布された状態で撮影された画像290,292よりも多くの反射を画像中に示す。図から分かるように、材料が塗布された画像290,292内の反射は、多くのより少ない反射を示し、示されている反射はそれほど明確ではなく又は目立たない。これにより、ジェムストーン及び内部特徴のより良好な解析が可能になり得る。
【0043】
幾つかの例では、空間ピンホールをプレートに配置して、ジェムストーンテーブルからのものではない蛍光信号を遮断する共焦点構成を成すことができる。そのような構成は、画像の輝度を低下させる可能性があるが、特定の例では有用であり得る。
【0044】
応用例
【0045】
様々な目的を達成するために、
図2Aに本明細書で説明するようなセットアップを使用する様々な方法を用いることができる。方法の1つの例は、ダイヤモンドなどの標的ジェムストーンをスクリーニングしてダイヤモンドが合成であるかどうかを判定するために本明細書に記載されるセットアップを使用することができる。本明細書中に記載されるセットアップは、捕捉されてデジタル化されたピクセル化蛍光画像を解析するために使用され得る。そのような解析は、天然ダイヤモンド上のダイヤモンド過成長を検出し、合成ダイヤモンド上のそのような過成長の欠如を検出するために使用され得る。そのような例では、蛍光画像の色を使用して過成長を検出することができる。例えば、実験室で成長させたダイヤモンド層は、天然ダイヤモンドから青色ではなく赤色蛍光を発生させることができる。また、そのような層は、天然ダイヤモンド部分の成長パターンを遮断する場合がある。画像のそのようなピクセル解析には、コンピュータアルゴリズムを使用することができる。また、そのような解析は、保存画像と捕捉画像との間の比較解析を含むことができる。
【0046】
図4は、本明細書中のシステム及び方法を使用して撮られた画像の例を示す。第1の画像410は、天然ダイヤモンド上にわたる合成成長の例を示す。そのような合成成長は、合成過成長が検出されない場合、ダイヤモンドをより大きくする、重量を増加させる、色を変更する、形状を変更する、或いはそうでなければ、ジェムストーンの値を増加させるために天然ダイヤモンドの上に成長された、化学蒸着(CVD)、実験室成長、又は、任意の他の種類の合成ダイヤモンドであり得る。画像410に見られるように、本明細書中に記載されるシステム及び方法に供された場合、ジェムストーンは完全には青色を示していない。代わりに、合成過成長は、青色ではなく赤色又は類似の色として現れるが、下地の天然ダイヤモンドは青色に見える。更に、幾つかの例では、境界は、実験室によって追加された過成長したジェムストーンの色の線として検出され得る。そのような境界線は、
図4の410に示されるように、色の変化、バリエーション、又は、色の線として現れる場合がある。実験室の過成長を含むジェムストーンには、それが本明細書中に記載されるシステム及び/又は方法に供される場合、他の種類の境界における色の不整合、変動、異常、又は、変化が現れる場合がある。天然の青色及び合成の赤色の例は限定的ではない。
【0047】
ジェムストーンの合成過成長の解析は、コンピュータアルゴリズムを含む画像解析によって達成することができる。幾つかの例において、人工知能、機械学習、及び/又は、ニューラルネットワークは、ジェムストーンの画像における色の異常、変動、及び/又は、境界を検出するために、システムから撮られたピクセル化画像でトレーニングされてもよい。そのようなアルゴリズムに多くの複数の例を供給するとともに、そのような検出を支援するようにアルゴリズムを調整することにより、適応されたアルゴリズムを使用して、新たな画像の合成過成長を検出することができる。
【0048】
また、
図4は、本明細書中に記載されるシステム及び/又は方法に供された天然ダイヤモンド420を示す。そのような天然ダイヤモンド420は、実験室過成長を示す色変化を伴うことなく、天然のジェムストーンに起因する色、例えばここではダイヤモンドにおける青色の外観を含む。更に、他の方法例は、本明細書中に記載されるシステム及び方法を利用して、捕捉されてデジタル及び/又はピクセル化された画像内の天然ダイヤモンドの成長パターンを解析することができる。そのような画像捕捉の例は、ジェムストーンの後の比較及び識別のためにデータベースに保存することができる。指紋解析及び比較とは異なり、一致判定のためにジェムストーンテーブルの捕捉画像のピクセルを解析して画像の基準セットと比較することができる。そのような判定は、標的石のテーブルの蛍光画像の保存されたピクセル化デジタル画像を用いて達成することができ、また、コンピューティングシステムを使用することによって、捕捉画像の所定の領域内のピクセルを以前に記憶又は保存されたピクセル化画像の基準セットと比較することができる。比較計算アルゴリズムを使用して、ピクセル化基準セット画像と捕捉されたピクセル化画像との間の一致を判定して、標的石が既に識別されて以前に撮像されているかどうかを判定することができる。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、画像はピクセル化されず、基準画像と捕捉画像のオーバーレイが比較ステップに利用されてもよい。
【0049】
天然に存在するジェムストーンにおけるこれらの成長パターンの比較は、コンピュータアルゴリズムを含む画像解析によって達成することができる。幾つかの例では、人工知能、機械学習、及び/又はニューラルネットワークは、成長パターンを検出し、新たな画像を既に撮像されたジェムストーンの記憶された画像と比較するために、システムから撮られたピクセル化画像でトレーニングすることができる。そのようなアルゴリズムに多くの複数の例を供給するとともに、アルゴリズムを調整してマッチングを支援することにより、適合されたアルゴリズムを使用して新たな画像を一致させることができる。このようにして、一致を判定するために、新たなジェムストーンを以前に解析及び保存されたジェムストーン画像と照合することができる。そのような一致は、格付け又は評価サービスが、異なる時間に複数回提出されたジェムストーンを認識できるようにする。幾つかの例では、研磨又は切断後であっても、ジェムストーンは、内部に配置されているため、その自然な成長パターンによって識別され得る。
【0050】
識別の他の例は、ジェムストーンの切断特徴をマッピングして比較することであり得る。切断特徴は、ジェムストーンの任意の部分で切り取られたファセットを含むことができ、幾つかの例では、これに代えて又は加えて、そこで2つのそのようなファセット特徴が交わる(meet)。そのような例は、本明細書中に記載される他の識別方法の代わりに又はそれと併せて使用することができる。そのような例では、ファセット接合部間の境界を撮像し、記憶し、比較に使用することができる。幾つかの例では、そのようなファセット接合部は、交わり(meet)と呼ばれることがある。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、ファセット接合部の反射パターンを同様の態様で使用して、以前に保存された画像を撮像、保存、及び、比較することができる。
【0051】
ネットワーク例
【0052】
ネットワークコンピューティング構成の一例が
図5に示される。
図5において、カメラからの画像を処理するために使用されるコンピュータ502(
図2Aの242)は、捕捉された蛍光画像のピクセルデータを含むデータを生成することができる。コンピュータ502は、カメラ自体に含まれるものなどの任意の種類のコンピュータ、及び/又は、ラップトップ、デスクトップ、タブレット、ファブレット、スマートフォン、又は、デジタル化データを処理及び送信するために使用される任意の他の種類のデバイスを含むがこれらに限定されないカメラコンピュータ構成要素と通信する別のコンピュータ装置となり得る。更なる例が
図5に記載される。
【0053】
図5に戻って参照すると、どのコンピュータ502からのピクセル化画像について捕捉されたデータも、保存及び解析のためにバックエンドコンピュータ530及び関連するデータストレージ532に送信することができる。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、送信は、関連するルータ及びハブを用いたセルラ又はWiFi送信による無線510であってもよい。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、送信が有線接続512を介してもよい。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、送信は、インターネット520などのネットワークを介してバックエンドサーバコンピュータ530及び関連するデータストレージ532に送信されてもよい。バックエンドサーバコンピュータ530及び関連データ記憶装置532では、マッチング又は任意の他の種類の画像データ解析のために、ピクセル化画像データが記憶され、解析され、既に記憶された画像データと比較されてもよい。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、画像データの記憶、解析、及び/又は、処理は、元の画像捕捉に関与するコンピュータ502で達成されてもよい。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、データの記憶、解析、及び/又は、処理は、ローカルコンピュータ502とバックエンドコンピューティングシステム530との間で分割されてもよい。ネットワークコンピュータリソース530は、そうでなければローカルコンピュータ502において利用可能であり得るよりも多くのデータ処理能力を利用できるようにし得る。このようにして、画像データの処理及び/又は記憶は、利用可能な計算リソースにオフロードすることができる。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、ネットワーク化されたコンピュータリソース530は、クラウドインフラストラクチャ内の仮想マシンであってもよい。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、ネットワーク化されたコンピュータリソース530は、クラウドインフラストラクチャによって多くの複数のコンピュータリソースにわたって分散されてもよい。単一のコンピュータサーバ530の例は、限定することを意図するものではなく、本明細書中に記載されるシステム及び方法によって利用され得る計算リソースの一例にすぎない。
【0054】
コンピュータデバイスの例
【0055】
図6は、本明細書中に記載されるシステム及び方法で使用することができるコンピューティングデバイス600の一例を示す。コンピュータ600の例では、CPU又はプロセッサ610が、バス又は他の通信612によってユーザインタフェース614と通信している。ユーザインタフェースは、キーボード、マウス、タッチスクリーン、ボタン、ジョイスティック、又は、他のユーザ入力装置などの入力装置の例を含む。ユーザインタフェース614は、画面などの表示デバイス618も含む。
図6に示されるコンピューティングデバイス600は、CPU620及び他の構成要素と通信するネットワークインタフェース620も含む。ネットワークインタフェース620は、コンピューティングデバイス600が他のコンピュータ、データベース、ネットワーク、ユーザデバイス、又は、任意の他のコンピューティング可能なデバイスと通信できるようにし得る。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、通信の方法は、WiFi、セルラ、Bluetooth Low Energy、有線通信、又は任意の他の種類の通信を介してもよい。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、コンピューティングデバイス600の例は、プロセッサ610とも通信する周辺機器624を含む。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、周辺機器は、通信に使用されるアンテナ626を含む。幾つかの例では、周辺機器624は、カメラ機器628を含むことができる。幾つかのコンピューティングデバイス600の例では、メモリ622がプロセッサ610と通信している。幾つかの例では、これに代えて又は加えて、このメモリ622は、オペレーティングシステム632、ネットワーク通信モジュール634、他の命令636、アプリケーション638、画像をデジタル化するアプリケーション640、画像ピクセルを処理するアプリケーション642、データ記憶装置658、データテーブル660などのデータ、トランザクションログ662、サンプルデータ664、暗号化データ670、又は任意の他の種類のデータなどのソフトウェアを実行する命令を含むことができる。
【0056】
結論
【0057】
本明細書に開示されるように、本実施形態と一致する特徴は、コンピュータハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアを介して実装され得る。例えば、本明細書で開示されるシステム及び方法は、例えば、データベース、デジタル電子回路、ファームウェア、ソフトウェア、コンピュータネットワーク、サーバも含むコンピュータなどのデータプロセッサを含む様々な形態で、又はそれらの組み合わせで具現化され得る。更に、開示された実装の幾つかは特定のハードウェア構成要素を記載するが、本明細書の技術革新と一致するシステム及び方法は、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又は、ファームウェアの任意の組み合わせで実装することができる。更に、本明細書の革新の上記の特徴並びに他の態様及び原理は、様々な環境で実施することができる。そのような環境及び関連用途は、実施形態に係る様々なルーチン、プロセス及び/又は動作を実行するために特別に構築されてもよく、又は、それらは、必要な機能を提供するためにコードによって選択的に起動又は再構成される汎用コンピュータ又はコンピューティングプラットフォームを含んでもよい。本明細書で開示されるプロセスは、いかなる特定のコンピュータ、ネットワーク、アーキテクチャ、環境、又は他の装置にも本質的に関連せず、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアの適切な組み合わせによって実施され得る。例えば、様々な汎用機械を、実施形態の教示に従って書かれたプログラムと共に使用することができ、或いは必要な方法及び技術を実行するための専用の装置又はシステムを構築することがより便利であり得る。
【0058】
ロジックなどの本明細書に記載の方法及びシステムの態様は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)などのプログラマブルロジックデバイス(「PLD」)、プログラマブルアレイロジック(「PAL」)デバイス、電気プログラマブルロジック及びメモリデバイス、並びに標準セルベースのデバイス、並びに特定用途向け集積回路を含む、様々な回路のいずれかにプログラムされた機能として実装されてもよい。態様を実装するための幾つかの他の可能性としては、メモリデバイス、メモリ付きマイクロコントローラ(EEPROMなど)、組み込みマイクロプロセッサ、ファームウェア、ソフトウェアなどが挙げられる。更に、態様は、ソフトウェアベースの回路エミュレーション、ディスクリートロジック(シーケンシャル及び組み合わせ)、カスタムデバイス、ファジー(ニューラル)ロジック、量子デバイス、及び上記のデバイスタイプのいずれかのハイブリッドを有するマイクロプロセッサにおいて具現化されてもよい。基礎となるデバイス技術は、例えば、相補型金属酸化膜半導体(「CMOS」)のような金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(「MOSFET」)技術、エミッタ結合ロジック(「ECL」)のようなバイポーラ技術、ポリマー技術(例えば、ケイ素共役ポリマー及び金属共役ポリマー-金属構造)、アナログとデジタルの混合など、様々なコンポーネントタイプで提供され得る。
【0059】
本明細書で開示される様々な論理及び/又は機能は、それらの挙動、レジスタ転送、論理コンポーネント、及び/又は他の特性に関して、ハードウェア、ファームウェアの任意の数の組み合わせを使用して、及び/又は様々な機械可読媒体又はコンピュータ可読媒体で具現化されるデータ及び/又は命令として可能にされ得ることにも留意されたい。そのようなフォーマットされたデータ及び/又は命令を具現化することができるコンピュータ可読媒体は、これらに限定されるものではないが、様々な形態の不揮発性記憶媒体(例えば、光学、磁気又は半導体記憶媒体)、並びに無線、光、もしくは有線の信号媒体又はそれらの任意の組み合わせを介してそのようなフォーマットされたデータ及び/又は命令を転送するために使用することができる搬送波を含む。搬送波によるそのようなフォーマットされたデータ及び/又は命令の転送の例としては、1つ以上のデータ転送プロトコル(例えば、HTTP、FTP、SMTPなど)を介したインターネット及び/又は他のコンピュータネットワークを介した転送(アップロード、ダウンロード、電子メールなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
文脈が明らかにそうでないことを要求しない限り、明細書及び特許請求の範囲を通して、「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」 などの単語は、排他的又は網羅的な意味とは対照的に包括的な意味で解釈されるべきである。すなわち、「限定されないが、」という意味である。単数又は複数を使用する単語はまた、それぞれ複数又は単数を含む。更に、「本明細書において(herein)」、「下記において(hereunder)」、「上記(above)」、「以下(below)」という単語、及び同様の意味の単語は、本出願全体を指し、本出願の特定の部分を指すものではない。単語「又は」が2つ以上の項目のリストを参照して使用される場合、その単語は、その単語の以下の解釈、すなわち、リスト内の項目のいずれか、リスト内の項目の全て、及びリスト内の項目の任意の組み合わせの全てを網羅する。
【0061】
本明細書では、説明の特定の現在好ましい実施態様を具体的に説明したが、本明細書に示され説明された様々な実施態様の変形及び修正が、実施形態の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われ得ることは、説明が関係する当業者には明らかである。したがって、実施形態は、適用される法規によって要求される範囲にのみ限定されることが意図されている。
【0062】
本実施形態は、これらの方法を実施するための方法及び装置の形態で実施することができる。また、本実施形態は、フロッピーディスケット、CD-ROM、ハードドライブ、又は任意の他の機械可読記憶媒体などの有形媒体で具現化されたプログラムコードの形態で具現化することもでき、プログラムコードがコンピュータなどの機械にロードされて実行されると、機械は実施形態を実施するための装置になる。また、本実施形態は、例えば、記憶媒体に記憶されているか、機械にロードされている及び/もしくは機械によって実行されているか、又は電気配線もしくはケーブル配線などの何らかの伝送媒体を介して、光ファイバを介して、もしくは電磁放射線を介して伝送されているかにかかわらず、プログラムコードの形態であってもよく、プログラムコードがコンピュータなどの機械にロードされて実行されると、機械は実施形態を実施するための装置になる。汎用プロセッサ上に実装されると、プログラムコードセグメントはプロセッサと結合して、特定の論理回路と同様に動作する独自のデバイスを提供する。
【0063】
ソフトウェアは、有形の記憶媒体、搬送波媒体、又は物理的な伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態をとることができる機械可読媒体に記憶される。不揮発性記憶媒体は、例えば、任意のコンピュータなどの記憶装置のいずれかなどの光ディスク又は磁気ディスクを含む。揮発性記憶媒体は、そのようなコンピュータプラットフォームのメインメモリなどのダイナミックメモリを含む。有形伝送媒体は、同軸ケーブル;コンピュータシステム内にバスを備えるワイヤを含む、銅ワイヤ及び光ファイバを含む。搬送波伝送媒体は、電気信号もしくは電磁信号、又は無線周波数(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に生成されるような音波もしくは光波の形態をとることができる。したがって、コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、例えば、ディスク(例えば、硬質、軟質、可撓性)もしくは任意の他の磁気媒体、CD-ROM、DVDもしくはDVD-ROM、任意の他の光学媒体、任意の他の物理的記憶媒体、RAM、PROM及びEPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップ、データもしくは命令を搬送する搬送波、そのような搬送波を搬送するケーブルもしくはリンク、又はコンピュータがプログラミングコード及び/もしくはデータを読み取ることができる任意の他の媒体を含む。これらの形態のコンピュータ可読媒体の多くは、実行のために1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスをプロセッサに搬送することに関与することができる。
【0064】
以上の記載は、説明目的で、特定の実施形態に関連して説明してきた。しかしながら、上記の例示的な説明は、網羅的であること又は実施形態を開示された正にその形態に限定することを意図するものではない。上記の教示内容を考慮して、多くの修正及び変形が可能である。実施形態は、実施形態の原理及びその実際の用途を最もよく説明し、それにより、他の当業者が企図される特定の用途に適した様々な変更を伴う様々な実施形態を最もよく利用できるようにするために選択されて説明された。