(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】ニードルバルブ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
F16K 1/36 20060101AFI20240731BHJP
F16K 7/12 20060101ALI20240731BHJP
F16K 1/00 20060101ALI20240731BHJP
F16J 3/02 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
F16K1/36 Z
F16K7/12 A
F16K1/00 G
F16J3/02 A
F16J3/02 D
(21)【出願番号】P 2023118777
(22)【出願日】2023-07-21
【審査請求日】2023-10-25
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000117102
【氏名又は名称】旭有機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【氏名又は名称】小島 清路
(72)【発明者】
【氏名】隈元 康太
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-034749(JP,A)
【文献】特許第7265197(JP,B2)
【文献】特開2018-035234(JP,A)
【文献】特開2022-123855(JP,A)
【文献】特開平11-037329(JP,A)
【文献】特開平04-159337(JP,A)
【文献】再公表特許第2006/121119(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 3/00- 3/06
F16K 1/00- 1/54
7/00- 7/20
13/00-15/20
25/00-25/04
29/00-29/02
31/12-31/165
31/36-31/42
33/00
39/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニードル部及び前記ニードル部の外方に延びて移動軸線方向に変形可能な膜部を有するダイヤフラムと、弁室が形成され且つ前記弁室に開口する筒状の流路部を有するボディと、を備え、前記流路部は前記ニードル部と軸心が一致し、前記膜部の変形による前記ニードル部の前記移動軸線方向への往復移動により前記流路部の開口面積を調整することができるニードルバルブにおいて、
前記ニードル部及び前記流路部のそれぞれは、一端から他端までが架橋PFA
(但し、未架橋含フッ素エラストマーおよび架橋パーフルオロ樹脂を含有する含フッ素エラストマー組成物を除く)からなり、各軸心方向における一端の第三級炭素濃度をM
1(モル%)とし、前記各軸心方向における他端の第三級炭素濃度をM
2(モル%)とした場合に、M
1≧0.01、M
2≧0.01、且つ、0.8≦M
1/M
2≦1.2を満たし、
前記ダイヤフラムは、非架橋フッ素樹脂からなる基部と、
前記基部に対して一体化され、前記ニードル部を備えるとともに前記架橋PFAからなる端部と、を有することを特徴とするニードルバルブ。
【請求項2】
前記ボディは、非架橋フッ素樹脂からなる基部と、
前記基部に対して一体化され、前記流路部を備えるとともに前記架橋PFAからなる端部と、を有する請求項1に記載のニードルバルブ。
【請求項3】
前記一端と前記他端との間の距離が250μm以上である請求項1に記載のニードルバルブ。
【請求項4】
前記ニードル部及び前記流路部は、第三級炭素濃度が0.01モル%以上となるように架橋された架橋PFAフィルムの裁断片の再成形物からなる請求項1に記載のニードルバルブ。
【請求項5】
前記ダイヤフラム及び前記ボディは、前記基部となる非架橋フッ素樹脂からなる中間材と、第三級炭素濃度が0.01モル%以上となるように架橋された架橋PFAフィルムの裁断片の再成形物と、を一体化した複合体から切削されてなる請求項1に記載のニードルバルブ。
【請求項6】
請求項1に記載のニードルバルブの製造方法であって、
第三級炭素濃度が0.01モル%以上となるように架橋した架橋PFAフィルムの裁断片を得る裁断工程と、
前記裁断片を再成形して再成形物を得る再成形工程と、
前記再成形物から前記ニードル部及び前記流路部を得る形成工程と、を備えることを特徴とするニードルバルブの製造方法。
【請求項7】
非架橋フッ素樹脂からなる中間材と、前記再成形物と、を一体化した複合材を得る一体化工程を備える請求項6に記載のニードルバルブの製造方法。
【請求項8】
前記一体化工程は、前記中間材に設けられたキャビティに、前記裁断片を収容する裁断片収容工程と、
前記キャビティ内で前記裁断片を溶融し、前記再成形物を得るとともに前記中間材と前記再成形物とを一体化する焼成工程と、を含む請求項7に記載のニードルバルブの製造方法。
【請求項9】
前記一体化工程は、前記中間材に設けられたキャビティに、前記裁断片の溶融物を射出して、前記キャビティ内で前記再成形物を得るとともに前記中間材と前記再成形物とを一体化する射出工程、を含む請求項7に記載のニードルバルブの製造方法。
【請求項10】
前記一体化工程は、前記中間材に設けられたキャビティに、前記裁断片を収容する裁断片収容工程と、
前記キャビティ内で前記裁断片を圧縮し、前記再成形物を得るとともに前記中間材と前記再成形物とを一体化する圧縮成形工程と、を含む請求項7に記載のニードルバルブの製造方法。
【請求項11】
非架橋フッ素樹脂からなる中間材と、予め得られた前記再成形物と、を溶着した複合材を得る溶着工程を備える請求項6に記載のニードルバルブの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニードルバルブ及びその製造方法に関する。更に詳しくは、流体制御に用いられるダイヤフラムを備えたニードルバルブ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニードルバルブは様々な状況において各種流体の制御に用いることができるが、例えば、半導体製造に用いられる薬液の流通及び流量の制御等に利用される。この場合、ニードルバルブは、耐薬品性や屈曲耐久性に優れることからポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)等のフッ素樹脂から形成されたボディとダイヤフラムとを備える。ボディは、複数の流路に連通された弁室を備え、ダイヤフラムは、弁室内で移動軸線方向に往復動可能にされる。従って、ダイヤフラムの下端に配置されたニードル部と流路部との間隙の大きさが変化されることとなり、流量の変更を実現する仕組みとされている。
【0003】
このようなニードルバルブでは、ニードル部と流路部との接触に伴うパーティクル発生を防ぐ必要がある。パーティクルは、ニードルバルブを構成する材料が微細化された粒子である。ニードル部と流路部とは、必ずしも接触するように設計されるわけではないが、流量制御を目的とするため、両者の間隙量を小さくできるよう設計される。このため、間隙が小さくなればなるほど、組立時のばらつきや、部品の寸法公差によるばらつき等に起因して、両者が接触する確率が高まってしまう。そして、ニードル部及び流路部は、接液領域にあるため、これらの箇所でパーティクルを生じると、流通する薬液中に混入されるおそれがある。上述した薬液が、例えば、半導体製造時の洗浄液である場合、パーティクルが混入された洗浄液が流通することとなり、洗浄による清浄性が低下してしまうことが問題となる。この問題に対しては、下記特許文献1の技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1は、ニードル弁体が環状弁座に対して片当たりした場合でも、摩耗の発生を抑えることを目的として、ニードル弁体に連動されたロッドの外周面に環状の弾性体を備え、弾性体を支点にロッドが傾斜可能な自由度を備えた流量制御弁が開示されている。この構成によれば、ニードル弁体が環状弁座に片当たりした場合に、ロッドが傾斜し、ニードル弁体に負荷される接触圧を緩和して摩耗を抑えるものとされる。しかしながら、自由度は際限なく大きくすることができない一方、薬液の温度は200℃前後の高温となる場合もあり、温度変化に伴う膨張・収縮等の寸法変化を考慮すると、自由度のみによって耐摩耗性を十分なものにできるとは考えられない。また、特許文献1では、ニードル弁体や環状弁座の材質をフッ素樹脂(例えば、PFA又はPTFE)とすることについて記載([0040]、[0024])があるものの、架橋フッ素樹脂については記載も示唆もない。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、パーティクルの発生を抑制することができるニードルバルブ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明には、以下が含まれる。
[1]ニードル部及び前記ニードル部の外方に延びて移動軸線方向に変形可能な膜部を有するダイヤフラムと、弁室が形成され且つ前記弁室に開口する筒状の流路部を有するボディと、を備え、前記流路部は前記ニードル部と軸心が一致し、前記膜部の変形による前記ニードル部の前記移動軸線方向への往復移動により前記流路部の開口面積を調整することができるニードルバルブにおいて、
前記ニードル部及び前記流路部のそれぞれは、各軸心方向における一端の第三級炭素濃度をM1(モル%)とし、前記各軸心方向における他端の第三級炭素濃度をM2(モル%)とした場合に、M1≧0.01、M2≧0.01、且つ、0.8≦M1/M2≦1.2を満たすことを特徴とするニードルバルブ。
[2]前記ダイヤフラムは、非架橋フッ素樹脂からなる基部と、
前記基部に対して一体化され、前記ニードル部を備えるとともに前記架橋PFAからなる端部と、を有する上記[1]に記載のニードルバルブ。
[3]前記ボディは、非架橋フッ素樹脂からなる基部と、
前記基部に対して一体化され、前記流路部を備えるとともに前記架橋PFAからなる端部と、を有する上記[1]又は上記[2]に記載のニードルバルブ。
[4]前記一端と前記他端との間の距離が250μm以上である上記[1]乃至上記[3]のうちのいずれかに記載のニードルバルブ。
[5]前記ニードル部及び前記流路部は、第三級炭素濃度が0.01モル%以上となるように架橋された架橋PFAフィルムの裁断片の再成形物からなる上記[1]乃至上記[4]のうちのいずれかに記載のニードルバルブ。
[6]前記ダイヤフラム及び前記ボディは、前記基部となる非架橋フッ素樹脂からなる中間材と、第三級炭素濃度が0.01モル%以上となるように架橋された架橋PFAフィルムの裁断片の再成形物と、を一体化した複合体から切削されてなる上記[2]に記載のニードルバルブ。
[7]上記[1]乃至上記[6]のうちのいずれかに記載のニードルバルブの製造方法であって、
第三級炭素濃度が0.01モル%以上となるように架橋した架橋PFAフィルムの裁断片を得る裁断工程と、
前記裁断片を再成形して再成形物を得る再成形工程と、
前記再成形物から前記ニードル部及び前記流路部を得る形成工程と、を備えることを特徴とするニードルバルブの製造方法。
[8]非架橋フッ素樹脂からなる中間材と、前記再成形物と、を一体化した複合材を得る一体化工程を備える上記[7]に記載のニードルバルブの製造方法。
[9]前記一体化工程は、前記中間材に設けられたキャビティに、前記裁断片を収容する裁断片収容工程と、
前記キャビティ内で前記裁断片を溶融し、前記再成形物を得るとともに前記中間材と前記再成形物とを一体化する焼成工程と、を含む上記[8]に記載のニードルバルブの製造方法。
[10]前記一体化工程は、前記中間材に設けられたキャビティに、前記裁断片の溶融物を射出して、前記キャビティ内で前記再成形物を得るとともに前記中間材と前記再成形物とを一体化する射出工程、を含む上記[8]又は上記[9]に記載のニードルバルブの製造方法。
[11]前記一体化工程は、前記中間材に設けられたキャビティに、前記裁断片を収容する裁断片収容工程と、
前記キャビティ内で前記裁断片を圧縮し、前記再成形物を得るとともに前記中間材と前記再成形物とを一体化する圧縮成形工程と、を含む上記[8]乃至上記[10]のうちのいずれかに記載のニードルバルブの製造方法。
[12]非架橋フッ素樹脂からなる中間材と、予め得られた前記再成形物と、を溶着した複合材を得る溶着工程を備える上記[7]に記載のニードルバルブの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明のニードルバルブによれば、パーティクルの発生を抑制することができる。
【0009】
即ち、ニードル部及び流路部のそれぞれが、各軸心方向における一端の第三級炭素濃度M1(モル%)、各軸心方向における他端の第三級炭素濃度M2(モル%)が、M1≧0.01、M2≧0.01、且つ、0.8≦M1/M2≦1.2を満たすニードルバルブでは、ニードル部の軸心方向における一端から他端まで、また、流路部の軸心方向における一端から他端までが十分に架橋された架橋PFAから形成されているため、これらの箇所からのパーティクル発生を抑制することができる。そのため、上記M1及びM2の関係を充足しないニードルバルブと比較して、本発明のニードルバルブはパーティクルの発生を抑制することができる。
【0010】
上記ニードルバルブでは、ダイヤフラムは、非架橋フッ素樹脂からなる基部と、基部に対して一体化され、ニードル部を備えるとともに架橋PFAからなる端部と、を有することができる。この場合、基部として、架橋PFAに比べて屈曲耐久性においてより優れた非架橋フッ素樹脂を採用できるため、特にダイヤフラムが備える膜部の屈曲耐久性を優れたものとすることができる。また、ダイヤフラムの全体を架橋PFAから形成する必要がないため、ニードルバルブの製造コストを低減することができる。
【0011】
上記ニードルバルブでは、ボディは、非架橋フッ素樹脂からなる基部と、基部に対して一体化され、流路部を備えるとともに架橋PFAからなる端部と、を有することができる。この場合、基部として、架橋PFAに比べて屈曲耐久性においてより優れた非架橋フッ素樹脂を採用できるため、特にダイヤフラムが備える膜部の屈曲耐久性を優れたものとすることができる。また、ボディの全体を架橋PFAから形成する必要がないため、ニードルバルブの製造コストを低減することができる。
【0012】
上記ニードルバルブでは、一端と他端との間の距離を250μm以上にすることができる。通常、厚さの厚い非架橋PFAを表裏にわたって架橋させることは、放射線透過率の観点から困難であるが、後述するニードルバルブの製造方法によって実現することができる。そして、当該距離が250μm以上のニードル部及び流路部を備えることで、当該距離が250μm未満である場合に比べて、ニードル部及び流路部の摩耗を抑制することができるため、より長期にわたって正確な流動制御を行うことができる。
【0013】
上記ニードルバルブでは、ニードル部及び流路部は、第三級炭素濃度が0.01モル%以上となるように架橋された架橋PFAフィルムの裁断片の再成形物からなるものとすることができる。即ち、厚さの厚い非架橋PFAフィルムを表裏全体にわたって、第三級炭素濃度が0.01モル%以上となるように架橋させることは、放射線透過率の観点から困難であるが、それが可能な厚さの非架橋PFAフィルムに対して、放射線照射を行い、表裏にわたって第三級炭素濃度を0.01モル%以上にした架橋PFAフィルムを得ることはできる。そのうえで、この架橋PFAフィルムを裁断した裁断片から再成形物した架橋PFAからなる部材であれば、その厚さに関わらず、全体が均一に架橋された架橋PFA部材とすることができる。このような全体が均一な架橋度にされた架橋PFA部材からニードル部及び流路部を形成することにより、ニードル部及び流路部の接触に伴うパーティクル発生を顕著に抑制することができる。
【0014】
上記ニードルバルブでは、ダイヤフラム及びボディは、基部となる非架橋フッ素樹脂からなる中間材と、第三級炭素濃度が0.01モル%以上となるように架橋された架橋PFAフィルムの裁断片の再成形物と、を一体化した複合材から切削されてなるものとすることができる。この場合、基部として、架橋PFAに比べて屈曲耐久性においてより優れた非架橋フッ素樹脂を採用できるため、特にダイヤフラムが備える膜部の屈曲耐久性を優れたものとすることができる。また、ダイヤフラム又はボディの全体を架橋PFAから形成する必要がないため、ニードルバルブの製造コストを低減することができる。
【0015】
本発明のニードルバルブの製造方法によれば、パーティクルの発生を抑制することができるニードルバルブの製造方法することができる。
【0016】
即ち、第三級炭素濃度が0.01モル%以上となるように架橋した架橋PFAフィルムの裁断片を得る裁断工程と、裁断片を再成形して再成形物を得る再成形工程と、再成形物からニードル部及び流路部を得る形成工程と、を備える場合には、第三級炭素濃度を0.01モル%以上となるように均一に架橋された架橋PFAフィルムを得ることできる。そして、この均一に架橋された架橋PFAフィルムの裁断片を再成形することにより、その全体が第三級炭素濃度を0.01モル%以上となるように均一に架橋された架橋PFAからなる再成形物(架橋PFA部材)を得ることができる。このような全体が均一な架橋度にされた架橋PFA部材からニードル部及び流路部を形成することにより、ニードル部及び流路部の接触に伴うパーティクル発生を顕著に抑制することができる。
【0017】
上記ニードルバルブの製造方法では、非架橋フッ素樹脂からなる中間材と、再成形物と、を一体化した複合材を得る一体化工程を備えることができる。この場合、架橋PFAに比べて屈曲耐久性においてより優れた非架橋フッ素樹脂を採用できるため、複合材のうちの中間材部分によってダイヤフラムが備える膜部を形成することができ、膜部の屈曲耐久性を優れたものとすることができる。また、ダイヤフラム又はボディの全体を架橋PFAから形成する必要がないため、ニードルバルブの製造コストを低減することができる。上記ニードルバルブの製造方法では、一体化工程は、中間材に設けられたキャビティに、裁断片を収容する裁断片収容工程と、キャビティ内で裁断片を溶融し、再成形物を得るとともに中間材と再成形物とを一体化する焼成工程と、を含むことができる。また、上記ニードルバルブの製造方法では、一体化工程は、中間材に設けられたキャビティに、裁断片の溶融物を射出して、キャビティ内で再成形物を得るとともに中間材と再成形物とを一体化する射出工程、を含むことができる。また、上記ニードルバルブの製造方法では、一体化工程は、中間材に設けられたキャビティに、裁断片を収容する裁断片収容工程と、キャビティ内で裁断片を圧縮し、再成形物を得るとともに中間材と再成形物とを一体化する圧縮成形工程と、を含むことができる。また、上記ニードルバルブの製造方法では、一体化工程は、中間材に設けられたキャビティに、裁断片を収容する裁断片収容工程と、キャビティ内で裁断片を圧縮し、再成形物を得るとともに中間材と再成形物とを一体化する圧縮成形工程と、を含むことができる。また、上記ニードルバルブの製造方法では、非架橋フッ素樹脂からなる中間材と、予め得られた再成形物と、を溶着した複合材を得る溶着工程を備えることができる。これらの工程を備えることにより、非架橋フッ素樹脂からなる中間材と、再成形物と、を一体化した複合材を得ることができるため、前述の通り、均一に架橋された架橋PFAからのその全体が形成されたニードル部及び流路部を備えながら、屈曲耐久性に優れた膜部も備えたダイヤフラムを得ることができる。また、ダイヤフラム又はボディの全体を架橋PFAから形成する必要がないため、ニードルバルブの製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【0019】
【
図2】ニードルバルブを構成するダイヤフラムの縦断面図である。
【
図3】ニードルバルブを構成するボディの縦断面図である。
【
図4】ニードルバルブの作用説明図であり、(a)は全閉状態を示し、(b)は全開状態を示す。
【
図5】ニードルバルブの製造方法を説明するための説明図であり、(a)は架橋PFAフィルムを示し、(b)は架橋PFAフィルムの裁断工程を示し、(c)は架橋PFAフィルムの裁断片の再成形工程を示す。
【
図6】ニードルバルブの製造方法(中間材と再成形物の一体化工程)を説明するための説明図であり、(a)は中間材と再成形物の斜視図を示し、(b)は中間材の収容部に再成形物を収容したものの縦断面図を示す。
【
図7】ニードルバルブの製造方法(ニードル部の形成工程)を説明するための説明図であり、(a)は複合材の縦断面図を示し、(b)は複合材を切削して得られたダイヤフラムの縦断面図を示す。
【
図8】他の形態のニードルバルブの製造方法(ニードル部の形成工程)を説明するための説明図であり、(a)は複合材の縦断面図を示し、(b)は複合材を切削して得られたダイヤフラムの縦断面図を示す。
【
図9】更なる他の形態のニードルバルブの製造方法(ニードル部の形成工程)を説明するための説明図であり、(a)は複合材の縦断面図を示し、(b)は複合材を切削して得られたダイヤフラムの縦断面図を示す。
【
図10】ニードルバルブの製造方法(中間材と再成形物の一体化工程)を説明するための説明図であり、(a)は中間材と再成形物の斜視図を示し、(b)は中間材の収容部に再成形物を収容したものの縦断面図を示す。
【
図11】ニードルバルブの製造方法(流路部の形成工程)を説明するための説明図であり、(a)は複合材の縦断面図を示し、(b)は複合材を切削して得られたボディの縦断面図を示す。
【
図12】他の形態のニードルバルブの製造方法(中間材と再成形物の一体化工程)を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0021】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。
【0022】
本実施例のニードルバルブ1は、
図1に示すように、ニードル部3a及びニードル部3aの外方に延びて移動軸線C方向に変形可能な膜部3bを有するダイヤフラム3と、弁室6が形成され且つ弁室6に開口する筒状の流路部5aを有するボディ5と、を備えている。また、ニードルバルブ1は、流路部5aがニードル部3aと軸心が一致し、膜部3bの変形によるニードル部3aの移動軸線C方向への往復移動により流路部5aの開口面積を調整することができる。さらに、ニードルバルブ1は、ダイヤフラム3を駆動する駆動部15を備えている。
【0023】
ダイヤフラム3は、弁室6の上方の開口を塞ぐように配置され、ボディ5に固定されている。また、ダイヤフラム3は、中央に設けられたニードル部3aと、屈曲が容易となるように薄肉に形成され且つニードル部3aを支持する環状の膜部3bと、膜部3bの外周側に設けられた外周縁部3cと、を有している(
図2参照)。また、ダイヤフラム3は、ニードル部3aを囲むように配置される弁体部3dを有している。さらに、ダイヤフラム3は、ニードル部3aの上部に設けられ且つ駆動部15のステム16に接続される接続部3eを有している。そして、ダイヤフラム3は、膜部3bを介して弁室11内にニードル部3a及び弁体部3dを支持した状態で弁室6と駆動部15との間を区画している。
【0024】
また、ニードル部3aは、弁体部3dの先端(具体的にリブ4の先端)を越えて流路部5aに向かって突出している。また、ニードル部3aは、流路部5aに向かって先細りとなるテーパ形状を有している。また、軸心方向に直交する断面(横断面)における流路部5a(流路部5aの内周によって区画された流路)の形状と、同横断面におけるニードル部3aの形状と、が対応した形状(例えば、両方とも円形等)にされる。更に、同横断面における流路部5aの中心は、同横断面におけるニードル部3aの中心と、略一致するように各部は形成され、組付けられる。よって、流路部5aに対するニードル部3aの挿入位置を調節することで、流路部5aの内周面とニードル部3aの外周面とで区画される流路の大きさが調節されることとなり、流路部5aの流量が調節される。
【0025】
また、膜部3bは、ニードル部3aの径方向外方に拡がるように設けられている。より具体的には、接続部3eの下端部の外周部から半径方向外方に延びるように形成されている。また、膜部3bの外周は概略円形状を有している。また、外周縁部3cは断面L字形状を有している。また、外周縁部3cは、少なくとも一部がボディ5と押え部材21との間に挟持されている。また、弁体部3dには、流路部5aに向かって突出する環状のリブ4が設けられている。リブ4が弁座面5bに圧接することで流路部5aの流路を全閉状態とする。また、接続部3eの外周面とステム16の下端部の内周面とのそれぞれには互いに噛み合うネジ部26が形成されている。そして、接続部3eを介してダイヤフラム3とステム16とが接続されており、駆動部15によりステム16を介してダイヤフラム3を昇降させることで、流路部5aに対するニードル部3aの挿入位置が調整される。
【0026】
なお、本実施例では、ダイヤフラム3として弁体部3dを備える形態を例示したが、これに限定されず、弁体部3dを備えない形態(
図9参照)を採用してもよい。この場合、例えば、駆動部筐体17側などにステム16と係止するストッパー部を設けることで、ダイヤフラム3のニードル部3aの下降端位置を規制することができる。
【0027】
ダイヤフラム3は、
図2に示すように、非架橋フッ素樹脂からなる基部33aと、基部33aに対して一体化され、ニードル部3aを備えるとともに架橋PFAからなる端部33bと、を有している。すなわち、膜部3bを含む基部33aは、架橋PFAよりも安価で屈曲耐久性の高い非架橋フッ素樹脂から形成されている。また、ニードル部3aを含む端部33bは、耐摩耗性及び強度の高い架橋PFAから形成されている。さらに、ダイヤフラム3は、基部33aとなる非架橋フッ素樹脂からなる中間材44と、第三級炭素濃度が0.01モル%以上となるように架橋された架橋PFAフィルムの裁断片42の再成形物43(端部33bとなる再成形物43)と、を一体化した複合材45から切削されてなる(
図7~
図9参照)。
【0028】
上記非架橋フッ素樹脂をなすフッ素樹脂の種類は限定されず、テトラフルオロエチレン〔F2C=CF2〕、ヘキサフルオロプロペン〔F2C=CF2-CF3〕、ジフルオロエチレン〔H2C=CF2〕、クロロトリフルオロエチレン〔F2C=CFCl〕、パーフルオロアルコキシエチレン(パーフルオロメトキシエチレン〔F2C=CF-O-CF3〕、パーフルオロエトキシエチレン〔F2C=CF-O-CF2-CF2〕等)などのフッ素置換された重合可能な化合物をモノマーとして用いた重合体(単独重合体、又は、共重合体)を用いることができる。このうち、共重合体用モノマーとしてエチレン(フッ素置換されていないエチレン)を用いることができる。具体的には、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロペン共重合樹脂)、ETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン共重合樹脂)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド、ジフルオロエチレン重合体)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、ECTFE(エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合樹脂)等を採用できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。このうち、基部33aとしては、加熱による溶融が抑制され、ゲル化によって形状を維持できるという観点、材料コストを低減できるという観点などから非架橋PTFEが好ましい。
【0029】
また、フッ素樹脂における架橋は、フッ素樹脂を構成している異なる重合体分子同士が炭素-炭素間の結合を形成することを意味する。従って、非架橋PFAには、通常、第三級炭素は存在しないが、架橋PFAには、第三級炭素が存在することになる。このため、第三級炭素の有無が、PFA内の架橋の有無と対応することになり、第三級炭素濃度が高くなるほど、PFA内の架橋も多くなることが分かる。本発明では、第三級炭素濃度が0.01モル%以上である場合に架橋されているものとする。この第三級炭素濃度の上限は限定されないが、通常、0.7モル%以下である。第三級炭素濃度を0.7モル%以下に維持することで、架橋PFAの機械的強度を高く維持できる。
【0030】
第三級炭素濃度は、架橋PFAの19F-NMR測定(測定装置:固体19F-NMR(BrukerBiospin AVANCE III-400WB)、測定条件:376MHz、回転数27kHz)により、下記表1に示すA~Gの各ピークの積分値を測定したうえで、下記計算式(1)を用いて(ピークCに基づいて)算出される。
尚、第三級炭素の存在は、ピークC及び/又はピークGの存在により把握できるが、上述の通り、基本的にはピークCのピーク強度を用いて計算式(1)に従い第三級炭素濃度を算出する。但し、ピークCが検出されず、ピークGのみが検出される場合には、下記計算式(2)を用いて第三級炭素濃度を算出するものとする。計算式(1)により算出される第三級炭素濃度と計算式(2)により算出される第三級炭素濃度とは、通常、実質的に同等の値となるからである。
【0031】
また、下記計算式に示す[IA/3]、[IB/5]、[IC/6]、[ID/4]、[IE/2]、[IF/1]及び[IG/1]は、各々以下の通りである。
[IA/3]:表1の「A」の構造に含まれる等価なF*は3つである為、「A」に基づくピーク強度を「IA」とすると、「A」に含まれる1つのF*に対するピーク強度は「IA/3」であり、この値を[IA/3]と記載する。
[IB/5]:表1の「B」の構造に含まれる等価なF*は5つある為、「B」に基づくピーク強度を「IB」とすると、「B」に含まれる1つのF*に対するピーク強度は「IB/5」であり、この値を[IB/5]と記載する。
[IC/6]:表1の「C」の構造に含まれる等価なF*は6つである為、「C」に基づくピーク強度を「IC」とすると、「C」に含まれる1つのF*に対するピーク強度は「IC/6」であり、この値を[IC/6]と記載する。
[ID/4]:表1の「D」の構造に含まれる等価なF*は4つである為、「D」に基づくピーク強度を「ID」とすると、「D」に含まれる1つのF*に対するピーク強度は「ID/4」であり、この値を[ID/4]と記載する。
[IE/2]:表1の「E」の構造に含まれる等価なF*は2つである為、「E」に基づくピーク強度を「IE」とすると、「E」に含まれる1つのF*に対するピーク強度は「IE/2」であり、この値を[IE/2]と記載する。
[IF/1]:表1の「F」の構造に含まれる等価なF*は1つである為、「F」に基づくピーク強度を「IF」とすると、「F」に含まれる1つのF*に対するピーク強度は「IF/1」であり、この値を[IF/1]と記載する。
[IG/1]:表1の「G」の構造に含まれる等価なF*は1つである為、「G」に基づくピーク強度を「IG」とすると、「G」に含まれる1つのF*に対するピーク強度は「IG/1」であり、この値を[IG/1]と記載する。
【0032】
[計算式(1)]IC/6に基づく第三級炭素濃度
第三級炭素濃度(モル%)=[IC/6]/{[IA/3]+[IB/5]+[ID/4]+[IE/2]+[IF/1]+[IG/1]}×100
[計算式(2)]IG/1に基づく第三級炭素濃度
第三級炭素濃度(モル%)={[IG/1]-[IA/3]}/{[IB/5]+[IC/6]+[ID/4]+[IE/2]+[IF/1]}×100
【0033】
【0034】
ニードル部3aは、その一端から他端までが架橋PFAからなり、一端における第三級炭素濃度をM
1(モル%)とし、他端における第三級炭素濃度をM
2(モル%)とした場合に、M
1>0.01、M
2>0.01、且つ、0.8≦M
1/M
2≦1.2を満たす。即ち、ニードル部3aは、その一端における第三級炭素濃度M
1が0.01モル%を超えており、同時に、その他端における第三級炭素濃度M
2も0.01モル%を超えるものである。加えて、これらM
1とM
2との比(M
1/M
2)は0.8以上1.2以下であり、M
1とM
2とが近い値を示すものである。従って、ニードル部3aは、その一端から他端までが均一に架橋された架橋PFAから形成されている。また、ニードル部3aは、一端と他端との間の距離D
1が約250~6000μmであり(
図2参照)、250μm以上とされている。なお、ニードル部3aは、端部33bのうち、流路部5aに挿入可能であり、且つ、一定角度のテーパ形状とされた部位である(
図2参照)。
【0035】
このような一端から他端までが均一に架橋された架橋PFAからなるニードル部3aは、どのように形成してもよいが、第三級炭素濃度が0.01モル%以上となるように架橋した架橋PFAフィルム41の裁断片42の再成形物43から形成できる(
図5参照)。
即ち、例えば、250μm未満の薄いフィルム状の非架橋PFAであれば、フィルムの表裏に行きわたるように放射線を照射することができる。その一方、例えば、250μm以上の厚いフィルム状の非架橋PFAになると、放射線を透過させることが難しくなり、表裏の架橋度が異なる架橋PFAフィルムが形成されてしまうことになる。また、放射線の出力を上げて、非架橋PFAフィルムの表裏を透過させることもできるが、結果的に透過時の減衰によって表裏の架橋度が異なるものとなる場合があり、また、出力の高い放射線の利用はコストの急激な増加に繋がり採用が難しくなってしまう。そこで、確実に架橋させつつ、低コストで、形状の自由度が高い架橋PFAを得るため、250μm未満の薄いフィルム状の非架橋PFAに対して、フィルムの表裏に行きわたるように放射線を照射して、当該フィルムを均一に架橋させてから、このフィルムを裁断した裁断片42を再成形することにより、均一に架橋された所望の形状を有する架橋PFAを得ることができるようになる。更に、例えば、フッ素樹脂のなかでも、PTFEは架橋の有無に関わらず、溶融形成が難しい。対して、PFAは架橋後であっても溶融形成が可能であるため、架橋PFAフィルム41の裁断片42から、再成形によってブロック状の架橋PFA43を得ることも可能である。
【0036】
ボディ5には、上部中央に弁室6が形成されていると共に、弁室6に連通する第1の流路及び第2の流路が形成されている。また、ボディ5には、第1の流路から弁室6への開口部にニードル部3aが臨む流路部5aが形成されている。また、ボディ5の流路部5aの上端面は、弁体部3dのリブ4が接離する弁座面5bを構成している(
図2及び
図3参照)。本実施例では、第1の流路として、ボディ5の対向する側面の一方に形成された流入口7から延び且つ弁室6の底部中央に開口する入口流路8が形成されている。入口流路8から弁室6への開口の周囲に弁座面5bが形成されている。また、第2の流路として、ボディ5の対向する側面の他方に形成された流出口9から延び且つ弁室6の底部外側に開口する出口流路10が形成されている。出口流路10は、弁室6の底部外側に開口するとともに、入口流路8との位置高さが一致するように形成されている。
【0037】
ボディ5の上部には、押え部材21の嵌合部21bを受容する凹部12が設けられている。また、ボディ5の上方には駆動部筐体17が配置され、ボディ5の下方にはベースプレート13が配置されている。駆動部筐体17は中空筒形状を有し、ベースプレート13はフランジ形状を有している。駆動部筐体17、ボディ5、およびベースプレート13は、ボルトおよびナット(図示せず)によって一体的に締結されている。ボディ5は、駆動部筐体17とベースプレート13との間に挟持固定されている。
【0038】
ボディ5は、非架橋フッ素樹脂からなる基部35aと、基部35aに対して一体化され、流路部5aを備えるとともに架橋PFAからなる端部35bと、を有している(
図11参照)。すなわち、基部35a(具体的にボディ5において端部35bよりも体積が大きな部分)は、架橋PFAよりも安価な非架橋フッ素樹脂から形成されている。また、流路部5aを含む端部35bは、耐摩耗性及び強度の高い架橋PFAから形成されている。さらに、ボディ5は、基部35aとなる非架橋フッ素樹脂からなる中間材44と、第三級炭素濃度が0.01モル%以上となるように架橋された架橋PFAフィルムの裁断片42の再成形物43(即ち端部35bとなる再成形物43)と、を一体化した複合材45から切削されてなる(
図5、
図10及び
図11参照)。
【0039】
上記非架橋フッ素樹脂をなすフッ素樹脂の種類は限定されず、先にダイヤフラム3の説明において述べた通り、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、ジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシエチレン(パーフルオロメトキシエチレン、パーフルオロエトキシエチレンなどのフッ素置換された重合可能な化合物をモノマーとして用いた重合体(単独重合体、又は、共重合体)を用いることができる。このうち、共重合体用モノマーとしてエチレン(フッ素置換されていないエチレン)を用いることができる。具体的には、例えば、PTFE、PFA、FEP、ETFE、PVDF、PCTFE、ECTFE等を採用できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。このうち、基部35aとしては、加熱による溶融が抑制され、ゲル化によって形状を維持できるという観点、材料コストを低減できるという観点などから非架橋PTFEが好ましい。
また、フッ素樹脂における架橋についても、先にダイヤフラム3の説明において述べた通りである。
【0040】
流路部5aは、軸心方向の一端における第三級炭素濃度をM
1(モル%)とし、軸心方向の他端における第三級炭素濃度をM
2(モル%)とした場合に、M
1>0.01、M
2>0.01、且つ、0.8≦M
1/M
2≦1.2を満たす。よって、流路部5aは、軸心方向にわたって均一に架橋された架橋PFAから形成されており、高い耐摩耗性及び強度を有している。さらに、流路部5aは、第三級炭素濃度が0.01モル%以上となるように架橋された架橋PFAフィルムの裁断片42の再成形物43から形成されている。流路部5aは、一端と他端との間の距離D
2が約250~6000μmであり(
図2参照)、250μm以上とされている。また、流路部5aの厚みD
3も約250~12000μmであり(
図2参照)、250μm以上とされている。
【0041】
このような一端から他端までが均一に架橋された架橋PFAからなる流路部5aは、どのように形成してもよいが、第三級炭素濃度が0.01モル%以上となるように架橋した架橋PFAフィルム41の裁断片42の再成形物43から形成できる(
図5参照)。
即ち、例えば、250μm未満の薄いフィルム状の非架橋PFAであれば、フィルムの表裏に行きわたるように放射線を照射することができる。その一方、例えば、250μm以上の厚いフィルム状の非架橋PFAになると、放射線を透過させることが難しくなり、表裏の架橋度が異なる架橋PFAフィルムが形成されてしまうことになる。また、放射線の出力を上げて、非架橋PFAフィルムの表裏を透過させることもできるが、結果的に透過時の減衰によって表裏の架橋度が異なるものとなる場合があり、また、出力の高い放射線の利用はコストの急激な増加に繋がり採用が難しくなってしまう。そこで、確実に架橋させつつ、低コストで、形状の自由度が高い架橋PFAを得るため、250μm未満の薄いフィルム状の非架橋PFAに対して、フィルムの表裏に行きわたるように放射線を照射して、当該フィルムを均一に架橋させてから、このフィルムを裁断した裁断片42を再成形することにより、均一に架橋された所望の形状を有する架橋PFAを得ることができるようになる。更に、例えば、フッ素樹脂のなかでも、PTFEは架橋の有無に関わらず、溶融形成が難しい。対して、PFAは架橋後であっても溶融形成が可能であるため、架橋PFAフィルム41の裁断片42から、再成形によってブロック状の架橋PFA43を得ることも可能である。
【0042】
また、前述した駆動部15は、手動操作によって、ステム16とともにダイヤフラム3を軸方向に進退移動させて流路部5aに対するニードル部3aの位置を調節する。駆動部15は、ねじの噛み合いを利用するねじ式によってステム16を移動させている。具体的に、駆動部15は、駆動部筐体17の通孔24の内周面と第1ステム16aの外周面とのそれぞれに互いに噛み合うように設けられたネジ部27、および第1ステム16aの内周面と第2ステム16bの外周面とのそれぞれに互いに噛み合うように設けられたネジ部28から構成されている。ただし、駆動部15としては手動操作によるネジ式に限定されず、例えば、流体圧(空気圧など)を利用してダイヤフラム3を駆動したり、モータ、ソレノイド等を備える電動アクチュエータを利用してダイヤフラム3を駆動したりする形態を採用してもよい。
【0043】
ステム16は、ダイヤフラム3の接続部3eに接続され且つ流路部5aとは反対側に向かって延びている。ステム16は、第1ステム16aと、第1ステム16aにネジ部28を介して接続される第2ステム16bと、を有している。第2ステム16bの下端部にネジ部26を介してダイヤフラム3の接続部3eが接続されている。第1ステム16aはPVDF製である。第1ステム16aは、下端部が開口された中空筒形状を有している。また、第1ステム16aの下端部には、径方向外方に拡がるストッパー部18が設けられている。また、第1ステム16aの上端部には、第1ステム16aを回動させるハンドル19が取り付けられている。また、第2ステム16bはPVDF製である。また、第2ステム16bの下部の外周は六角形状に形成されている。
【0044】
駆動部筐体17はPVDF製である。また、駆動部筐体17の上端部には、第1ステム16aが挿通される通孔24が形成されている。また、駆動部筐体17の下部には、内周面が六角形状に形成された段差部17aが設けられている。また、押え部材21はPVDF製である。また、押え部材21は、段差部21aと、段差部21aの下部外周側に設けられる筒状の嵌合部21bと、を有している。段差部及21aおよび嵌合部21bは、いずれも外周が六角形状を有している。押え部材21の中央部には、内周面が六角形状を有する貫通孔22が形成されている。貫通孔22には、第2ステム16bの下部が回動不能に挿通される。また、押え部材21の段差部21aは、駆動部筐体17の段差部17aに回動不能に嵌り合っている。また、押え部材21の嵌合部21bは、ボディ5の凹部12に回動不能に嵌り合っている。これによって、押え部材21は、第2ステム16bを上下移動自在かつ回動不能に支持する。
【0045】
次に、上記構成のニードルバルブ1の製造方法について説明する。
まず、非架橋フッ素樹脂から、筒状のキャビティ44aを有した中間材44を作製する。この非架橋フッ素樹脂としては、PTFEを採用できる。
本実施形態では、
図6(ダイヤフラム3の製造)及び
図10(ボディ5の製造)に示されるような、上端部にキャビティ44aとして機能する凹部を有したカップ形状の中間材44を作製する。中間材44は、どのような方法により形成してもよいが、例えば、フリーベーキング法やホットモールディング法などによって金型を用いて非架橋フッ素樹脂から圧縮成形された棒状体又はプレートの上端部に切削加工により凹部を設けること等により作製することができる。同様にフリーベーキング法やホットモールディング法などによって金型を用いて非架橋フッ素樹脂から上端部に凹部を有したカップ形状の棒状体又はプレートを圧縮成形することによって作製してもよい。
また、中間材44は、一体的に構成される必要はなく、例えば、筒状の管状体とこれの下部に隣接して配置される中実棒状体又は板状体(シート状のものを含む。)とを組み合わせて作製することができる。この場合、管状体と棒状体又は板状体とは螺合や凹凸の嵌合により結合されていてもよい。さらに、管状体と棒状体又は板状体(シート状のものを含む。)とを一体的に構成する場合は、個別に作製された後に溶着により接合されてもよい。溶着は、例えば、レーザ溶着、熱板溶着、熱風溶着、ヒーティングブロック溶着、拡散接合、焼成などによって行うことができる。中間材44を非架橋フッ素樹脂の棒状体から作製する場合には、非架橋フッ素樹脂の棒状体を押出成形により作製してもよい。
【0046】
一方、架橋PFAから、
図6及び
図10に示されるような、中間材44のキャビティ44a(凹部)内に収容可能な形状及び大きさを有した再成形物43を作製する(再成形工程)。再成形物43は、キャビティ44a以外の場所において再成形してもよいし、キャビティ44aの内部で再成形してもよい。
キャビティ44a以外の場所で再成形する場合、外周形状が筒状のキャビティ44aの内周面と相補的形状となった棒状体を、前述した中間材44と同様にして、架橋PFAから再成形することができる。この際、架橋PFAの原料としては、第三級炭素濃度が0.01モル%以上となるように架橋された架橋PFAフィルムの裁断片42を用いることができる。即ち、例えば、
図5(a)に示すように、非架橋PFAからなるフィルム(非架橋PFAフィルム)に対して放射線を照射することによって架橋PFAフィルム41を形成することができる。即ち、フィルム状に薄く形成した非架橋PFAに対して放射線を照射することにより、その表裏にわたって均一に架橋させた架橋PFAフィルムを得ることができる。より具体的には、未架橋PFAの融点以上の温度環境において、照射対象である未架橋PFAフィルムの厚みに対して、照射面の裏面における吸収線量が表面の吸収線量の20%以上(好ましくは60%以上)となる加速電圧で放射線を照射することにより、フィルムの表裏にわたって第三級炭素濃度が0.01モル%以上である架橋PFAフィルムを得ることができる。
【0047】
その後、
図5(b)に示すように、その表裏にわたって均一に架橋させた架橋PFAフィルムを裁断して裁断片42を得ることにより、より形状自由度の高い架橋PFA材料を得ることができる。更に、
図5(c)に示すように、所定の形状を有する金型46のキャビティ内に架橋PFAフィルムの裁断片42を収容し、加熱溶融した後、固化させることにより再成形物43を得ることができる。この再成形物43は、中間材44のキャビティ44aに収容可能なように切削等により整形を行ったうえで、キャビティ44aに収容することができる。また、例えば、再成形物43の高さは、これを加熱溶融できるという観点から、加熱溶融時にキャビティ44aからあふれでなければ、キャビティ44aの深さと概略等しくてもよく、キャビティ44aの深さよりも短くてもよい。再成形物43は、例えば、架橋PFAから、押出成形や金型を用いた射出成形などにより直接作製することもできる。
【0048】
他方、キャビティ44aの内部で再成形物43を再成形する場合、
図12に示すように、前述した架橋PFAフィルムの裁断片42をキャビティ44a内に収容し(裁断片収容工程)、キャビティ44a内で加熱溶融することによって、キャビティ44aの内周面と相補的形状を有する架橋PFAからなる再成形物43を得ることができる。
この場合、キャビティ44a内に収容した架橋PFAフィルムの裁断片42のみを加熱溶融することもできるが、キャビティ44aを含むように加熱することができる。即ち、例えば、中間材44の全体を加熱することができる。この方法は、中間材44が、非架橋PTFEからなる場合に好適に利用できる。非架橋PTFEは、架橋PFAが加熱溶融される温度においてもゲル化され、溶融されない。このため、中間材44及びキャビティ44aとしての概形を維持することができる。そして、架橋PFAフィルムの裁断片42が加熱溶融された後、キャビティ44aに対応する形状に再成形され、その後、冷却・固化されると、同時にキャビティ44aも冷却・固化され、その際に両者(中間材44及び再成形物43)は一体化されて、これらの複合材45が得られることになる(焼成工程)。
【0049】
このように、キャビティ44aの内部で再成形物43を再成形すると、再成形物43の作製と、得られた再成形物43と中間材44との一体化と、を1回の加熱溶融・冷却固化により実現できるため、優れた製造効率を達することができる。また、再成形物43を得るための金型を不要とすることができるため、ニードルバルブを低コストに製造できる。更に、中間材44の全体を加熱しながらキャビティ44a内で再成形物43を得る場合は、ひずみや残留応力の発生を抑制できるため、両者間で優れた接合強度を得ることができる。その効果は、非加圧下(加圧を特に行わない状態)で加熱を行うことでより顕著に得ることができる。また、キャビティ44aの内部で再成形物43を再成形すると、キャビティ44a及び再成形物43の両者の接触面の全体にわたって接合できるため、例えば、レーザ溶着のように選択的な接合箇所を有する複合材と比較して、中間材44と再成形物43とをより強固に接合できる。また、複合材45に外力が作用した場合であっても両者間に隙間が生じることを防止できる。
上述のように、キャビティ44aの内部で再成形物43を再成形して得た棒状の複合材45をテストピースとして用い、中間材44と再成形物43とを引き離すようにセットして引張試験を行ったところ、中間材44と再成形物43との接合部は破断されず、接合部以外の箇所において破断することが確認された。
【0050】
なお、架橋PFAを得る際に、非架橋PFAフィルムを利用せず、例えば、非架橋PFA粉末等を出発材料として選択することもできる。しかしながら、非架橋PFA粉末から架橋PFA粉末を得た場合、架橋PFA粉末を再成形することになるが、加熱溶融した際に、溶融物が気体を含みやすくなるという問題がある。即ち、架橋されていないPFAよりも架橋されたPFAのような溶融粘度は高くなり、更に、架橋度は高い程、溶融粘度は高くなる。従って、耐摩耗性を優先して得ようとする場合、脱気に手間とコストを要することになるため、加熱溶融時の脱気性に優れるという観点から架橋PFAフィルムの裁断片を利用することが好ましい。また、架橋PFAフィルムは、例えば、粉末状や微粒状に粉砕することもできるが、裁断片とする方が低コストである。更に、架橋により得られた機械強度をより効果的に維持するという観点からも裁断片として利用することが好ましい。
【0051】
また、前述の通り、中間材44全体を加熱して、キャビティ44a内に収容した裁断片42を加熱溶融して再成形物43を得る(焼成工程)場合、その冷却・固化に伴い、一体化工程が同時に行うことができるが、その他にも、下記のような方法により同等の効果を得ることができる。即ち、例えば、中間材44に設けられたキャビティ44aに、架橋PFAフィルムの裁断片42の溶融物を射出して、キャビティ44a内で再成形物43を得るとともに、中間材44と再成形物43とを一体化する射出工程を用いて一体化することができる。また、中間材44に設けられたキャビティ44aに、架橋PFAフィルムの裁断片42を収容(裁断片収容工程)した後、キャビティ44a内で裁断片42を圧縮し、再成形物43を得るとともに中間材44と再成形物43とを一体化する(圧縮成形工程)こともできる。この圧縮時には、同時に加熱を行うことができる。加熱は、必要に応じた温度とすることができ、例えば、架橋PFAの融点より低い温度の加熱でもよいし、架橋PFAの融点より高い温度の加熱でもよい。
【0052】
一方、再成形物43を別途に得た場合、中間材44と、そのキャビティ44a(凹部)内に収容された再成形物43と、を一体化した複合材45を得る一体化工程を行う。一体化は、どのような方法で行ってもよいが、例えば、中間材44を構成する非架橋フッ素樹脂の融点と、再成形物43を構成する架橋PFAの融点と、のうちのより高い方の融点以上の温度にまで両者を同時に加熱することにより、一体化することができる。即ち、中間材44と再成形物43との少なくとも一方のみが、少なくともその表面において溶融することにより両者を接合することができる。
【0053】
また、中間材44と再成形物43との接合は、溶着によって達することもできる。即ち、中間材44と再成形物43とを溶着した複合材を得る溶着工程を備えることにより達することができる。この溶着は、例えば、レーザ溶着、熱板溶着、熱風溶着、ヒーティングブロック溶着、拡散接合などによって行うことができる。なお、これらの各方法は、中間材44と再成形物43との接触領域の少なくとも一部を溶融させて、両者を溶着する方法といえる。
【0054】
図7(a)~
図7(b)は、複合材45からダイヤフラム3を作製する方法を示している。
図7(a)に破線で示されているように複合材45を切削加工することにより、
図7(b)に示されているようなダイヤフラム3を作製することができる。
図7(b)に示されているダイヤフラム3は、
図1に示されているニードルバルブ1において使用されているものである。ダイヤフラム3において、基部33aを中央部に有した膜部3bは、複合材45において非架橋フッ素樹脂から形成される中間材44から作製されている、なお、中間材44を構成する非架橋フッ素樹脂は、屈曲耐久性が高いという観点からPTFEから形成される。
【0055】
また、ダイヤフラム3の端部33bは、発塵性が低いという観点から架橋PFAから形成されている。また、複合材45において、中間材44と再成形物43とは焼成(一体溶融成形)により一体的に接合されている。このため、ダイヤフラム3の基部33aと端部33bとの境界面(接合面)はその全面が一体的に接合されている。したがって、衝撃を受けても基部33aと端部33bとの境界面に隙間が生じることがなく、弁室6内の液体が隙間に侵入したことによる強度の低下も防止することができる。また、中間材44と再成形物43とは共に全体的に加熱された後に冷却されているので、熱ひずみの発生が抑制され、熱ひずみによる強度の低下も抑制されている。
【0056】
なお、複合材45から作製する部品は、適宜の位置から切り出すことによって、部品のどの範囲を異なるフッ素樹脂から形成するかを変えることができる。即ち、
図7(a)~
図7(b)では、膜部3bよりも先端側を、発塵性の低い架橋PFAから作製しているが、例えば、
図8(a)~
図8(b)に示すように、切削位置を変えることにより、架橋PFAから作製された端部33bをより小さく取り、非架橋フッ素樹脂から作製された基部33aをより大きく取ることもできる。この場合、実質、ニードル部3aのみを架橋PFAから作製することができ、よりコストを抑えながら発塵性の低いニードルバルブ1を得ることができる。
【0057】
次に、上記構成のニードルバルブ1の作用効果について説明する。ニードルバルブ1の全閉状態(
図4(a)参照)において、入口流路8から流入してきた流体は、弁体部3dのリブ4が弁座面5bに圧接することで閉止される。全閉状態よりハンドル19を開弁方向に回動させると、第1ステム16aが回動し上昇し、第1ステム16aの回動が第2ステム16bに伝わって第2ステム16bが上昇し、第2ステム16bに接続されたダイヤフラム3が上昇し、弁体部3dのリブ4が弁座面5bから離間する。さらにハンドル19を回動してダイヤフラム3を上昇させると、ニードル部3aが上昇し半開状態となる。このとき、ニードル部3aの一部は流路部5bに挿入された状態である。流路部5bからニードル部3aを差し引いた開口面積が通路の面積となり、その通路の面積を調節することによって流路部5bの流量が調節される。流量を調節するときは、所望の流量になるように、ハンドル19を操作して開度を調節する。半開状態から、さらにハンドル19を回動させると、第1ステム16aのストッパー部18が駆動部筐体17の天井面に圧接し、第1ステム16aの回動が停止されてニードルバルブ1が全開状態(
図4(b)参照)となる。
【0058】
上述のようにニードルバルブ1が全閉時には、弁体部3dのリブ4が弁座面5bに圧接して全閉シールを行う。開度を大きくすると、ダイヤフラム3は上昇し、ニードル部3aおよび弁体部3dはダイヤフラム3の上昇に伴って全開まで上昇する。全開時においてもニードル部3aが流路部5bから抜けることはなく、全閉から全開まで流量調節が行われる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、流体制御に用いられるダイヤフラムを備えたニードルバルブ及びその製造方法として広く利用される。
【符号の説明】
【0060】
1;ニードルバルブ、
3;ダイヤフラム、
3a;ニードル部、3b;膜部、3c;外周縁部、
5;ボディ、5a;流路部、5b;弁座面、
6;弁室、
7;流入口、
8;入口流路、
9;流出口、
10;出口流路、
12;凹部、
13;ベースプレート、
15;駆動部、
16;ステム、16a;第1ステム、16b;第2ステム、
17;駆動部筐体、17a;段差部、
18;ストッパー部、
19;ハンドル、
21;押え部材、21a;段差部、21b;嵌合部、
22;貫通孔、
24;通孔、
26、27、28;ネジ部、
33a;基部、33b;端部、
35a;基部、35b;端部、
41;架橋PFAフィルム、
42;架橋PFAフィルムの裁断片、
43;再成形物、
44;中間材、44a;キャビティ、
45;複合材、
46;金型、
C;移動軸線。
【要約】
【課題】パーティクルの発生を抑制するニードルバルブ及び製法を提供する。
【解決手段】ニードルバルブ1は、ニードル部3a及びその外方に延びて変形可能な膜部3bを有するダイヤフラム3と、弁室6が形成され且つ弁室に開口する筒状の流路部5aを有するボディ5と、を備え、ニードル部の移動軸線C方向への往復移動により流路部の開口面積を調整でき、ニードル部及び流路部のそれぞれは、各軸心方向における一端の第三級炭素濃度M
1(モル%)、他端の第三級炭素濃度M
2(モル%)が、M
1≧0.01、M
2≧0.01、且つ、0.8≦M
1/M
2≦1.2を満たす。製造方法は、第三級炭素濃度が0.01モル%以上となるように架橋した架橋PFAフィルムの裁断片を得る工程、裁断片を再成形して再成形物を得る工程、再成形物からニードル部及び流路部を得る工程、を備える。
【選択図】
図1