(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0207 20230101AFI20240731BHJP
G06Q 20/38 20120101ALI20240731BHJP
【FI】
G06Q30/0207
G06Q20/38 310
(21)【出願番号】P 2023169534
(22)【出願日】2023-09-29
【審査請求日】2023-12-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 高志
(72)【発明者】
【氏名】竹内 創
(72)【発明者】
【氏名】梶岡 ゆき
(72)【発明者】
【氏名】武 恒宏
(72)【発明者】
【氏名】西分 嗣美
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特許第7282228(JP,B1)
【文献】特開2022-167752(JP,A)
【文献】特開2023-121550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のサービスにおいて決済をした実績であって、前記決済の対象となる取引をした販売事業者
と、前記決済における決済金額又は決済回数と、を少なくとも含む決済実績を記憶する記憶部と、
前記第1のサービスと異なるサービスであって、電子商取引をするためのサービスである第2のサービスにおいて商品を販売する要求である販売要求を前記販売事業者から受付ける受付部と、
前記第1のサービスにおける前記販売事業者の決済実績に基づいて、前記第2のサービスにおいて前記販売事業者から受付けた販売要求が示す前記商品の販売条件を決定する決定部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記第2のサービスにおいて前記商品の購入を希望する購入希望者が使用する端末の表示部に前記商品に関する情報を表示する表示位置又は表示態様を定めるための表示制御情報を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記記憶部は、決済サービスである前記第1のサービスの決済実績であって、実店舗における前記販売事業者の決済実績を記憶し、
前記第2のサービスは、非代替性のトークンを前記商品として販売するためのオンライン上のマーケットプレースであり、
前記決定部は、前記第1のサービスにおける前記販売事業者の決済実績に基づいて、前記マーケットプレースにおいて前記販売事業者から受付けた販売要求が示す前記トークンの販売条件を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1のサービスにおいては、取引のために電子マネー又は法定通貨による決済を受け付け、
前記第2のサービスにおいては、前記商品の購入のために暗号資産による決済を受付ける、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記商品は前記販売事業者が指定するコンテンツである指定コンテンツに関する権利を示す非代替性のトークンであり、
前記受付部は、前記指定コンテンツを含む前記販売要求を取得し、
前記情報処理装置は、前記指定コンテンツと関連付けた前記トークンを発行する発行部をさらに有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記販売事業者の決済実績に基づいて、前記販売条件として前記トークンを発行する際の手数料を決定する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記決定部は、前記販売事業者の決済実績に基づいて、前記販売条件として前記第2のサービスにおいて前記商品を販売する際の手数料を決定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第2のサービスは、前記第1のサービスを運営する事業者が運営するサービスである、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記決定部は、前記販売条件として前記第1のサービスを用いて決済するための決済手数料を算出する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
ブロックチェーンに記録された、第2のサービスにおいて商品が販売される際の販売条件を決定するための決定条件を取得し、第1のサービスにおいて決済をした実績であって、前記決済の対象となる取引をした販売事業者
と、前記決済における決済金額又は決済回数と、を少なくとも含む決済実績を取得する取得部と、
前記第1のサービスと異なるサービスであって、電子商取引をするためのサービスである前記第2のサービスにおいて商品を販売する要求である販売要求を前記販売事業者から受付ける受付部と、
前記販売要求を受け付けたことを契機として、前記第1のサービスにおける前記販売事業者の決済実績と、前記決定条件と、に基づいて、前記第2のサービスにおいて前記販売事業者から受付けた販売要求が示す前記商品の販売条件をスマートコントラクトにより決定する決定部と、
を有する情報処理装置。
【請求項11】
前記決定条件は、非代替性のトークンである前記商品を、オンライン上のマーケットプレースである前記第2のサービスおいて販売する際の前記販売条件を、スマートコントラクトにより決定するための条件である、
請求項1
0に記載の情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータが実行する、
第1のサービスと異なるサービスであって、電子商取引をするためのサービスである第2のサービスにおいて商品を販売する要求である販売要求を販売事業者から受付けるステップと、
前記第1のサービスにおいて決済をした実績であって、前記決済の対象となる取引をした前記販売事業者
と、前記決済における決済金額又は決済回数と、を少なくとも含む決済実績を記憶する記憶部を参照し、
前記第1のサービスにおける前記販売事業者の決済実績に基づいて、前記第2のサービスにおいて前記販売事業者から受付けた販売要求が示す前記商品の販売条件を決定するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータに、
第1のサービスと異なるサービスであって、電子商取引をするためのサービスである第2のサービスにおいて商品を販売する要求である販売要求を販売事業者から受付けるステップと、
前記第1のサービスにおいて決済をした実績であって、前記決済の対象となる取引をした前記販売事業者
と、前記決済における決済金額又は決済回数と、を少なくとも含む決済実績を記憶する記憶部を参照し、
前記第1のサービスにおける前記販売事業者の決済実績に基づいて、前記第2のサービスにおいて前記販売事業者から受付けた販売要求が示す前記商品の販売条件を決定するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子商取引にかかるマーケットプレースにおいて出品者が出品した商品に適用される販売促進費等の条件を実績に基づいて変更する取引システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術においては、マーケットプレースにおいて過去に販促が実施された割合に応じて販売時に適用される条件を変更するが、マーケットプレースと異なる場での取引実績が考慮されていない。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、マーケットプレースにおいて販売される商品に適用される条件を、マーケットプレース外部の実績に基づいて調整できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置においては、第1のサービスにおいて決済をした実績であって、前記決済の対象となる取引をした販売事業者と、前記決済における決済金額又は決済回数と、を少なくとも含む決済実績を記憶する記憶部と、前記第1のサービスと異なるサービスであって、電子商取引をするためのサービスである第2のサービスにおいて商品を販売する要求である販売要求を前記販売事業者から受付ける受付部と、前記第1のサービスにおける前記販売事業者の決済実績に基づいて、前記第2のサービスにおいて前記販売事業者から受付けた販売要求が示す前記商品の販売条件を決定する決定部と、を有する。
【0007】
前記決定部は、前記第2のサービスにおいて前記商品の購入を希望する購入希望者が使用する端末の表示部に前記商品に関する情報を表示する表示位置又は表示態様を定めるための表示制御情報を決定してもよい。
【0008】
前記記憶部は、決済サービスである前記第1のサービスの決済実績であって、実店舗における前記販売事業者の決済実績を記憶し、前記第2のサービスは、非代替性のトークンを前記商品として販売するためのオンライン上のマーケットプレースであり、前記決定部は、前記第1のサービスにおける前記販売事業者の決済実績に基づいて、前記マーケットプレースにおいて前記販売事業者から受付けた販売要求が示す前記トークンの販売条件を決定してもよい。
【0009】
前記第1のサービスにおいては、取引のために電子マネー又は法定通貨による決済を受け付け、前記第2のサービスにおいては、前記商品の購入のために暗号資産による決済を受付けてもよい。
【0010】
前記商品は前記販売事業者が指定するコンテンツである指定コンテンツに関する権利を示す非代替性のトークンであり、前記受付部は、前記指定コンテンツを含む前記販売要求を取得し、前記情報処理装置は、前記指定コンテンツと関連付けた前記トークンを発行する発行部をさらに有していてもよい。
【0011】
決定部は、前記販売事業者の決済実績に基づいて、前記販売条件として前記トークンを発行する際の手数料を決定してもよい。
【0012】
決定部は、前記販売事業者の決済実績に基づいて、前記販売条件として前記第2のサービスにおいて前記商品を販売する際の手数料を決定してもよい。
【0013】
前記第2のサービスは、前記第1のサービスを運営する事業者が運営するサービスであってもよい。
【0014】
前記決定部は、前記販売条件として前記第1のサービスを用いて決済するための決済手数料を算出してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様の情報処理装置においては、ブロックチェーンに記録された、第2のサービスにおいて商品が販売される際の販売条件を決定するための決定条件を取得し、第1のサービスにおいて決済をした実績であって、前記決済の対象となる取引をした販売事業者と、前記決済における決済金額又は決済回数と、を少なくとも含む決済実績を取得する取得部と、前記第1のサービスと異なるサービスであって、電子商取引をするためのサービスである前記第2のサービスにおいて商品を販売する要求である販売要求を前記販売事業者から受付ける受付部と、前記販売要求を受け付けたことを契機として、前記第1のサービスにおける前記販売事業者の決済実績に基づいて、前記第2のサービスにおいて前記販売事業者から受付けた販売要求が示す前記商品の販売条件をスマートコントラクトにより決定する決定部と、を有する。
【0016】
前記決定条件は、非代替性のトークンである前記商品を、オンライン上のマーケットプレースである前記第2のサービスおいて販売する際の前記販売条件を、スマートコントラクトにより決定するための条件であってもよい。
【0017】
本発明の第3の態様の情報処理方法においては、コンピュータが実行する、第1のサービスと異なるサービスであって、電子商取引をするためのサービスである第2のサービスにおいて商品を販売する要求である販売要求を販売事業者から受付けるステップと、前記第1のサービスにおいて決済をした実績であって、前記決済の対象となる取引をした前記販売事業者と、前記決済における決済金額又は決済回数と、を少なくとも含む決済実績を記憶する記憶部を参照し、前記第1のサービスにおける前記販売事業者の決済実績に基づいて、前記第2のサービスにおいて前記販売事業者から受付けた販売要求が示す前記商品の販売条件を決定するステップと、を有する。
【0018】
本発明の第4の態様のプログラムにおいては、コンピュータに、第1のサービスと異なるサービスであって、電子商取引をするためのサービスである第2のサービスにおいて商品を販売する要求である販売要求を販売事業者から受付けるステップと、前記第1のサービスにおいて決済をした実績であって、前記決済の対象となる取引をした前記販売事業者と、前記決済における決済金額又は決済回数と、を少なくとも含む決済実績を記憶する記憶部を参照し、前記第1のサービスにおける前記販売事業者の決済実績に基づいて、前記第2のサービスにおいて前記販売事業者から受付けた販売要求が示す前記商品の販売条件を決定するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、マーケットプレースにおいて適用される条件を、マーケットプレース外部の実績に基づいて調整できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態にかかる情報処理システムSの概要を説明するための図である。
【
図2】情報処理装置1の構成を示すブロック図である。
【
図3】記憶部12が記憶する決済実績情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】表示制御部134が表示させる画面の一例を示す図である。
【
図5】記憶部12が記憶する発行手数料決定テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】変形例に係る情報処理装置1Aの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[情報処理システムSの概要]
図1は、情報処理システムSの概要を説明するための図である。情報処理システムSは、オンライン上で電子商取引をするためのマーケットプレースを提供するためのシステムである。情報処理システムSは、情報処理装置1、事業者端末2、ユーザ端末3及び決済サーバ4を有する。
【0022】
情報処理装置1は、マーケットプレースを提供するサーバである。情報処理装置1は、事業者の所定の決済サービス(以下、「第1のサービス」と言う場合がある)における決済実績に基づいて、販売条件を決定する。販売条件は、マーケットプレース(以下、「第2のサービス」と言う場合がある)において事業者が販売する商品を販売する際に適用される条件である。販売条件は、例えば、マーケットプレースであるウェブサイトにおいて事業者が販売する商品が表示される位置や表示態様である。また、販売条件はユーザ同士の交流や商取引を目的とする仮想空間上において、事業者が販売する商品が表示される位置や表示態様であってもよい。また、販売条件はマーケットプレースにおける種々の手数料であってもよい。
【0023】
マーケットプレースにおいて販売される商品は販売事業者が指定するコンテンツ(以下、「指定コンテンツ」と言う場合がある)に関する権利を示す非代替性のトークンである。マーケットプレースは、所定の決済サービスを運営する事業者が運営するサービスであってもよい。
【0024】
事業者端末2は、マーケットプレースにおいて商品を販売する事業者(以下、「販売事業者」と言う)が利用する情報端末である。販売事業者のユーザは事業者端末2を操作し、マーケットプレースにおいて自社の商品を販売できるようにする。販売事業者のユーザは事業者端末2において例えばマーケットプレースに商品を登録するための操作をする。事業者端末2は、商品をマーケットプレースにおいて販売するための操作がされた場合、販売要求を情報処理装置1に送信する。
【0025】
ユーザ端末3は、マーケットプレースのユーザが使用する情報端末である。ユーザ端末3は、例えばスマートフォン、タブレット又はパーソナルコンピュータである。ユーザはユーザ端末3を操作し、マーケットプレース上で商品を購入する。
【0026】
決済サーバ4は、所定の決済サービスにおける決済を処理するための装置である。所定の決済サービスは、一例としてQR(Quick Response)コード決済による決済サービスであるがこれに限られない。所定の決済サービスは、例えば、電子マネーによる決済サービスであってもよいし、クレジットカード決済、又は暗号資産による決済サービスであってもよい。なお、暗号資産は、デジタル通貨を含む。決済サーバ4は、所定の決済サービスにおける決済の実績を集計し、決済実績情報を生成する。決済サーバ4は、生成した決済実績情報を情報処理装置1に送信する。
【0027】
情報処理システムSにおける処理について説明する。情報処理装置1は、決済サーバ4から決済実績情報を取得する(
図1における(1))。情報処理装置1は、事業者端末2から販売要求を取得する(
図1における(2))。販売要求は、マーケットプレース上で商品を販売することを要求するための情報である。販売要求は、一例として、商品の販売を要求する事業者ID(IDentification)と、販売される商品を示す情報と、を含む。事業者IDは、事業者を識別するための識別情報である。販売される商品を示す情報は、例えば商品の名前、価格、販売開始時期等である。販売される商品を示す情報は、さらに商品の制作者や制作時期、商品の説明等のメタデータが含まれていてもよい。
【0028】
情報処理装置1は、取得した決済実績情報に基づいて、販売要求が示す商品の販売条件を決定する(
図1における(3))。一例として、情報処理装置1は、販売条件として、販売要求が示す商品がマーケットプレースにおいて表示される位置又は表示態様を決定する。情報処理装置1は、ユーザ端末3からの要求に応じて、販売要求が示す商品を表示させる画面をユーザ端末3に表示させる(
図1における(4))。
【0029】
情報処理システムSがこのように構成されることで、マーケットプレースにおいて適用される条件を、マーケットプレースの外部の実績に基づいて調整できるようにすることができる。
【0030】
[情報処理装置1の構成]
図2は、情報処理装置1の構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。制御部13は、受付部131、決定部132、発行部133、表示制御部134及び販売処理部135を有する。
【0031】
通信部11は、ネットワークを介して他の装置とデータの送受信をするための通信インターフェースである。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。
【0032】
記憶部12は、第1のサービスにおいて決済をした実績であって、決済の対象となる取引をした販売事業者と、決済における決済金額又は決済回数と、を少なくとも含む決済実績情報を記憶する。
図3は、記憶部12が記憶する決済実績情報のデータ構造の一例を示す図である。
図3に示す決済実績情報においては、「対象事業者」、「対象期間」、「決済金額」及び「決済頻度」を有する。「対象事業者」は、当該レコードが対象とする決済を受付けた事業者を示す。「対象期間」は、当該レコードが対象とする決済金額を集計した期間である。「決済金額」は、「対象期間」が示す期間における当該事業者について集計された決済金額である。「決済金額」は対象期間における決済金額の合計額である。決済実績情報においては、例えば決済実績の平均額が含まれていてもよい。「決済頻度」は、「対象期間」が示す期間において「事業者」が示す事業者に対して行われた決済の回数を示す。決済実績情報は、一例として、決済サービスである第1のサービスの決済実績であって、実店舗における販売事業者の決済実績を示す。すなわち、決済実績情報は実店舗において行われた決済を集計した決済金額や決済頻度を示してもよい。
【0033】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、受付部131、決定部132、発行部133、表示制御部134及び販売処理部135として機能する。
【0034】
受付部131は、第2のサービスにおいて商品を販売する要求である販売要求を販売事業者から受付ける。受付部131は、事業者端末2から販売要求を取得する。販売要求においては、第2のサービスにおいて販売することを要求する商品に関する情報及び販売事業者の事業者IDを含む。
【0035】
決定部132は、第1のサービスにおける販売事業者の決済実績に基づいて、第2のサービスにおいて販売事業者から受付けた販売要求が示す商品の販売条件を決定する。決定部132は、記憶部12を参照し、販売要求に含まれる事業者IDに関連付けられた決済実績情報を取得する。決定部132は、取得した決済実績情報に基づいて、販売条件を決定する。決定部132は、第1のサービスにおける販売事業者の決済実績に基づいて、マーケットプレースにおいて販売事業者から受付けた販売要求が示すトークンの販売条件を決定する。一例として、決定部132は、決済実績情報に基づいて販売条件を決定するためのテーブルを参照して、販売条件を決定してもよいし、他の事業者の決済実績と、販売要求に含まれる事業者IDが示す販売事業者の決済実績との関係に基づいて販売条件を決定してもよい。決定部132は、決定した販売条件を、商品と関連付けて記憶部12に記憶させてもよい。なお、販売処理部135は、決定された販売条件に基づいて、商品を販売する処理をする。
【0036】
情報処理装置1がこのように構成されることで、マーケットプレースにおいて適用される条件を、マーケットプレースの外部の実績に基づいて調整できるようにすることができる。
【0037】
決定部132が決定する販売条件は、一例として、マーケットプレースにおいて販売されるトークンに関連付けられたコンテンツが表示される位置又は表示態様であってもよい。決定部132は、第2のサービスにおいて商品の購入を希望する購入希望者が使用する端末の表示部に商品に関する情報を表示する表示位置又は表示態様を定めるための表示制御情報を決定する。
図4は、表示制御部134が表示させる画面の一例を示す図である。
図4は、情報処理装置1が提供するマーケットプレースにおいて販売されている商品を表示する画面を示す。
図4に示す画面においては、販売される商品の画像と、販売される商品に関する情報と、が表示されており、ユーザは商品に関連付けられた購入ボタンを押すことで、選択した商品を購入することができる。一例として、マーケットプレースにおいては商品の画像として商品であるトークンに関連付けられたコンテンツを示す画像が表示される。
図4に示す画面においては、ユーザが商品を選択することにより、選択した商品の詳細な情報を表示するための詳細画面に遷移するよう構成されてもよい。
【0038】
一例として、決定部132は、決済実績情報に基づいて、マーケットプレースの画面において商品を掲載する位置を決定する。例えば決定部132は、販売要求を取得した場合に、販売要求を送信した事業者の決済実績情報と、マーケットプレースにおいて商品を販売する複数の事業者それぞれの決済実績情報と、を取得する。決定部132は、取得したそれぞれの事業者の決済実績情報に基づいてマーケットプレースにおいてそれぞれの事業者の商品を表示する位置を決定する。例えば、決定部132は、決済実績情報が示す決済実績額が多いほど、ユーザが視認しやすい位置に商品を表示するよう商品の表示位置を決定する。具体的には、決定部132は、決済実績情報が示す決済実績額が多いほど、画面内の上部に表示されるよう表示位置を決定してもよい。また、決定部132は、画面上に配置される複数のサイズの異なる表示欄のうち、決済実績情報が示す決済実績額が多いほど、サイズが大きい表示欄に表示されるよう商品の表示位置を決定してもよい。
【0039】
決定部132は、例えば、決済実績情報が示す決済実績額が所定の決済額以上である場合に、商品の名前、製作者の氏名等のメタデータを商品の画像と関連付けて表示させるよう販売条件として表示態様を決定する。なお、商品の名前、製作者の氏名等のメタデータはトークンと関連付けられていてもよい。また、決定部132は、決済実績情報が示す決済実績額が所定の決済額未満である場合、商品の画像と値段のみを表示させ、ユーザが当該商品を選択した場合に表示される詳細画面に遷移した場合に、商品の名前や制作者の氏名等のメタデータが表示されるよう、販売条件として表示態様を決定してもよい。なお、決定部132は、決済実績額に基づいて文字の大きさや色等の表示態様を決定してもよい。
【0040】
決定部132は、表示位置又は表示態様を決定した場合、マーケットプレースにおいて商品を表示する位置又は表示態様を示す表示制御情報を生成する。表示制御部134は、ユーザ端末3からマーケットプレースの表示要求を取得した場合、生成した表示制御情報に基づいて、画面をユーザ端末3に表示させるよう制御する。
【0041】
決定部132が決定する販売条件は、一例として、マーケットプレースにおいてトークンを販売する際の販売手数料であってもよい。決定部132は、販売事業者の決済実績に基づいて、第2のサービスにおいて商品を販売する際の手数料を販売条件として決定する。一例として、記憶部12においては、販売手数料を決定するために参照される販売手数料決定テーブルを記憶している。
図5(a)は、記憶部12が記憶する販売手数料テーブルのデータ構造の一例を示す図である。販売手数料テーブルにおいては、「決済金額」と「販売手数料」とが関連付けられている。「決済金額」においては、販売手数料を決定するための条件を示す。販売手数料を決定するための条件は、決済金額で与えられる場合に限られず決済頻度で与えられてもよいし、これらの組み合わせで与えられてもよい。「販売手数料」は、当該販売事業者の決済実績が「決済金額」が示す決済金額に合致する場合に販売事業者に適用される販売手数料を示す。一例として、マーケットプレースにおける販売手数料は販売価格に決済実績が示す決済金額に基づいて決定された手数料率を乗じて算出される。
【0042】
決定部132は、決済実績事業者が示す販売事業者の決済金額に販売手数料決定テーブルにおいて対応する販売手数料を当該販売事業者に適用される販売手数料として決定する。販売処理部135は、商品を販売した場合に、記憶部12を参照し、商品について決定された販売手数料を取得し、取得した商品についての販売手数料を加算した金額を、当該商品を購入するユーザに請求するための処理をする。
【0043】
なお、上記の例においては、マーケットプレースにおける販売価格に基づいて販売手数料率が決定される例について説明したが、これに限られない。決定部132は、決済実績情報が示す決済実績額と商品の販売価格とに基づいて販売手数料が決定されてもよい。
図5(b)に示す手数料決定テーブルには、「決済金額」と、「商品価格」と、「販売手数料」とが関連付けられている。一例として、決定部132は、決済実績情報が示す販売要求を送信した販売事業者の決済金額が、100万円以上500万円未満である場合、(1)「商品価格が1万円未満」の場合、販売手数料は「300円」であり、(2)「商品価格が1万円以上、10万円未満」の場合、販売手数料は「600円」であり、(3)「商品価格が10万円以上」の場合、販売手数料は「1,000円」とするよう販売条件を決定する。
【0044】
なお、上記の説明においてはマーケットプレースにおいて法定通貨によって決済される例を説明したがこれに限られない。すなわち、マーケットプレースにおいては暗号資産を用いて取引されてもよく、マーケットプレースにおける手数料や販売価格が暗号資産によって取り決められてもよい。
【0045】
このように構成されることで、マーケットプレースの外部の実績に基づいて販売手数料を決定することができる。
【0046】
決定部132が決定する販売条件は、マーケットプレースにおいて販売される販売事業者のトークンを発行する際の発行手数料であってもよい。すなわち、決定部132は、販売事業者の決済実績に基づいて、販売条件としてトークンを発行する際の手数料を決定する。一例として、記憶部12においては、発行手数料を決定するために参照される発行手数料決定テーブルを記憶している。
【0047】
図5(c)は、記憶部12が記憶する発行手数料テーブルのデータ構造の一例を示す図である。発行手数料テーブルにおいては、「決済金額」と「発行手数料」とが関連付けられている。「決済金額」は、発行手数料を決定するための条件を示す。発行手数料を決定するための条件は、決済金額又は決済頻度で与えられてもよいし、これらの組み合わせで与えられてもよい。「発行手数料」は、「決済金額」が示す内容に決済実績が合致する場合に販売事業者に適用される発行手数料を示す。決定部132は、決済実績事業者が示す販売事業者の決済金額に発行手数料テーブルにおいて対応する発行手数料を当該販売事業者に適用される発行手数料として決定する。
【0048】
このように構成されることで、マーケットプレースの外部の実績に基づいて発行手数料を決定することができる。
【0049】
決定部132は、販売要求を取得した場合に販売事業者の決済金額に基づいて、発行手数料テーブルから販売事業者の決済サービスにおける決済手数料を決定してもよい。
【0050】
決定部132は、販売条件として第1のサービスを用いて決済するための決済手数料を算出する。
図5(d)は、記憶部12が記憶する決済手数料テーブルのデータ構造の一例を示す図である。決済手数料テーブルにおいては、「決済金額」と「決済手数料」とが関連付けられている。「決済金額」は、決済手数料を決定するための条件を示す。決済手数料を決定するための条件は、決済金額又は決済頻度で与えられてもよいし、これらの組み合わせで与えられてもよい。「決済手数料」は、「決済金額」が示す内容に決済実績が合致する場合に販売事業者に適用される決済手数料を示す。決定部132は、決済実績事業者が示す販売事業者の決済金額に決済手数料テーブルにおいて対応する決済手数料を当該販売事業者に適用される発行手数料として決定する。決定部132は、決定した決定手数料を決済サーバ4に通知する。
【0051】
マーケットプレースで販売されるトークンを発行するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0052】
受付部131は、指定コンテンツを含む販売要求を取得する。販売要求においては、指定コンテンツにアクセスするためのURI(Universal Resource Identifier)が含まれていてもよいし、指定コンテンツのデータが含まれていてもよい。販売要求を取得した場合、発行部133は、販売要求が示す指定コンテンツと関連付けたトークンを発行する。すなわち、指定コンテンツを目的とする権利を保有していることを示すトークンをブロックチェーンに記録し、NFTを発行する。発行部133は、トークンを発行した場合に販売条件としてNFTを発行した販売事業者について決定された発行手数料を参照し、当該販売事業者に請求する発行手数料を決定してもよい。
【0053】
[情報処理装置1における処理の流れ]
図6は、情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
図6に示すフローチャートは、販売要求を取得した時点から開始している。
【0054】
受付部131は、販売要求を取得する(S01)。決定部132は、記憶部12を参照し、販売要求に含まれる事業者IDに対応する事業者の決済実績を取得する(S02)。
【0055】
決定部132は、取得した決済実績に基づいて販売条件を決定する(S03)。決定部132は、一例として、マーケットプレースにおける商品の表示位置又は表示態様を示す表示制御情報と、手数料と、を決定する。
【0056】
受付部131は、表示要求を取得する(S04)。表示制御部134は、決定した販売条件に基づいて画面を表示させる(S05)。具体的には、表示制御部134は、決定部132が決定した表示制御情報に基づいて、表示要求に対応してトークンを販売する画面を表示させる。また、表示制御部134は、商品の価格と、決定された販売条件と、に基づいてトークンを販売する画面に表示される商品の決済手数料又は販売手数料を決定し、ユーザ端末3に決定した決済手数料又は販売手数料を表示させる。
【0057】
受付部131は、購入要求を取得する(S06)。購入要求は、トークンの購入を要求する情報であり、購入対象のトークンのIDを含む。販売処理部135は、販売条件に基づいて販売処理を実行する(S07)。そして情報処理装置1は処理を終了する。
【0058】
[情報処理装置1による効果]
以上説明したように情報処理装置1が構成されることで、マーケットプレースにおいて適用される条件を、マーケットプレースの外部の実績に基づいて調整できるようにすることができる。
【0059】
<変形例>
上記の実施例においては、ブロックチェーンに記録された条件に基づいて販売条件を決定するよう情報処理装置1が構成されてもよい。この場合、決定条件がブロックチェーンに記録されている。決定条件は、マーケットプレースにおいて商品が販売される際の販売条件を決定するための条件である。決定条件は、販売条件を、スマートコントラクトにより決定するための条件であってもよい。なお、ブロックチェーンにおいては、ブロックチェーン上で実行される、決定条件に基づいて販売条件を決定するためのコードが決定条件と関連付けられて記録されている。決定条件は、一例として、マーケットプレースを提供する事業者のアドレスに関連付けてブロックチェーン上に記録されている。情報処理装置1Aは、決定条件が記録されたブロックチェーンにアクセス可能なノードである。
【0060】
変形例にかかる情報処理装置1Aの構成を
図7に示す。変形例にかかる情報処理装置1Aは、取得部136をさらに有する。取得部136は、ブロックチェーンに記録された、マーケットプレースにおいて商品が販売される際の販売条件を決定するための決定条件を取得する。決定条件においては、販売条件を決定するための条件と、当該条件を満たした場合に決定される販売条件とが関連付けられている。
図8は、決定条件の一例を示す図である。決定条件においては、決済金額の条件と、当該条件を満たした場合に販売事業者に適用される販売手数料と、が関連付けられている。決定条件においては、トークンの発行手数料を決定するための条件が含まれていてもよいし決済手数料を決定するための条件が含まれていてもよい。取得部136は、受付部131が販売要求を取得した場合、決定条件を取得する。
【0061】
決定部132は、販売要求を受け付けたことを契機として、取得部136が取得した第1のサービスにおける販売事業者の決済実績に基づいて、第2のサービスにおいて販売事業者から受付けた販売要求が示す商品の販売条件をスマートコントラクトにより決定する。一例として、決定部132は、販売要求を取得した場合に、販売要求に含まれる決済実績情報を取得し、決済実績情報と、取得した決定条件と、に基づいてスマートコントラクトにより販売条件を決定する。
【0062】
このように構成されることで、変形例にかかる情報処理装置1Aは、マーケットプレースの外部の実績に基づいてスマートコントラクトにより商品を販売する条件を決定することができる。
【0063】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0064】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0065】
1 情報処理装置
2 事業者端末
3 ユーザ端末
4 決済サーバ
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 受付部
132 決定部
133 発行部
134 表示制御部
135 販売処理部
136 取得部
【要約】
【課題】マーケットプレースにおいて適用される条件を、マーケットプレース外部の実績に基づいて調整できるようにする。
【解決手段】第1のサービスにおいて決済をした実績であって、決済の対象となる取引をした販売事業者と、決済における決済金額又は決済回数と、を少なくとも含む決済実績を記憶する記憶部12と、第1のサービスと異なるサービスであって、電子商取引をするためのサービスである第2のサービスにおいて商品を販売する要求である販売要求を販売事業者から受付ける受付部131と、第1のサービスにおける販売事業者の決済実績に基づいて、第2のサービスにおいて販売事業者から受付けた販売要求が示す商品の販売条件を決定する決定部132と、を有する情報処理装置1である。
【選択図】
図2