(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】太陽光発電装置、太陽光発電装置の支持構造
(51)【国際特許分類】
H01L 31/048 20140101AFI20240731BHJP
H02S 20/22 20140101ALI20240731BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20240731BHJP
E04D 13/18 20180101ALI20240731BHJP
H10K 39/10 20230101ALN20240731BHJP
H10K 30/40 20230101ALN20240731BHJP
H10K 30/88 20230101ALN20240731BHJP
【FI】
H01L31/04 560
H02S20/22
E04F13/08 Z ETD
E04D13/18
H10K39/10
H10K30/40
H10K30/88
(21)【出願番号】P 2023179698
(22)【出願日】2023-10-18
(62)【分割の表示】P 2023162884の分割
【原出願日】2023-09-26
【審査請求日】2023-10-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇野 智仁
(72)【発明者】
【氏名】横田 生吹樹
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-146978(JP,A)
【文献】特開2012-102587(JP,A)
【文献】特開平06-291350(JP,A)
【文献】実開平02-002852(JP,U)
【文献】特開2011-061068(JP,A)
【文献】実開昭58-193646(JP,U)
【文献】国際公開第2022/053458(WO,A2)
【文献】特開2012-191124(JP,A)
【文献】特開2005-282124(JP,A)
【文献】特開2012-160631(JP,A)
【文献】実開平06-016557(JP,U)
【文献】特開2006-210613(JP,A)
【文献】特開2013-187478(JP,A)
【文献】特開2017-150239(JP,A)
【文献】特開2023-143602(JP,A)
【文献】特開2010-171069(JP,A)
【文献】特開2017-108015(JP,A)
【文献】特開2008-103652(JP,A)
【文献】特開2018-98818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/056
H10K 30/00-99/00
H02S 20/22-20/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を構成するバリアシートと裏面を構成するバックシートとの間に発電部が配置された本体部と、
単一の部材から構成されて、前記バリアシートの一部及び前記バックシートの一部を少なくとも含む被挟持部を挟持することで、前記本体部に連結される硬質部材とを備え、
建設材に支持された被支持部材に前記硬質部材が取り付けられることで、前記建設材に支持され、
前記本体部の曲げ弾性率は、10000MPa以下であり、
前記硬質部材は、前記被挟持部によって構成された前記本体部の長手方向の端部に連結され、前記被挟持部は、前記硬質部材の挟持により圧縮された状態にある太陽光発電装置。
【請求項2】
表面を構成するバリアシートと裏面を構成するバックシートとの間に発電部が配置された本体部と、
前記バリアシートの一部及び前記バックシートの一部を少なくとも含む被挟持部を挟持することで、前記本体部に連結される硬質部材とを備え、
建設材に支持された被支持部材に前記硬質部材が取り付けられることで、前記建設材に支持され、
前記本体部の曲げ弾性率は、10000MPa以下であり、
前記硬質部材は、前記被挟持部によって構成された前記本体部の長手方向の端部に連結され、前記被挟持部は、前記硬質部材の挟持により圧縮された状態にある太陽光発電装置(前記本体部の凸部を前記硬質部材の空間に位置させて、前記本体部の前記凸部を除く端部平坦部が前記硬質部材に挟み込まれる場合と、前記本体部の幅方向の中央部にレールが貼着されていて、当該レールが、前記本体部を取付ける被取付け部に固定された固定具に支持固定される場合とを除く)。
【請求項3】
前記本体部は、前記バリアシートの外周縁と前記バックシートの外周縁との間を封じる封止縁材を備え、
前記被挟持部には、前記封止縁材の一部が含まれる請求項1に記載の太陽光発電装置。
【請求項4】
前記バックシートは、前記裏面を構成するバックシート本体と、前記バックシート本体の外周縁の一部から延びて前記バックシート本体の外周縁の一部と前記バリアシートの外周縁の一部との間を封じるバックシート封止部と、前記バックシート封止部の先端から延びて前記バリアシートに重ね合わされるバックシート重合部とを備え、
前記バックシートの一部には、前記バックシート本体の一部、前記バックシート封止部の全部、前記バックシート重合部の一部又は全部が含まれる請求項1に記載の太陽光発電装置。
【請求項5】
前記バリアシートは、前記表面を構成するバリアシート本体と、前記バリアシート本体の外周縁の一部から延びて前記バリアシート本体の外周縁の一部と前記バックシートの外周縁の一部との間を封じるバリアシート封止部と、前記バリアシート封止部の先端から延びて前記バックシートに重ね合わされるバリアシート重合部とを備え、
前記バリアシートの一部には、前記バリアシート本体の一部、前記バリアシート封止部の全部、及び前記バリアシート重合部の一部又は全部が含まれる請求項1に記載の太陽光発電装置。
【請求項6】
前記被挟持部には、金属或いは硬質樹脂から形成された芯材が含まれ、
前記被挟持部は、前記芯材が前記バリアシートの一部と前記バックシートの一部との間に配置された状態で、前記芯材以外の部分が圧縮されている請求項1に記載の太陽光発電装置。
【請求項7】
前記本体部の長手方向の一方側及び他方側の端部がそれぞれ前記被挟持部によって構成されて、各前記被挟持部が前記硬質部材に挟持されることで、前記本体部の長手方向の一方側及び他方側の端部に前記硬質部材が連結され、
前記本体部の長手方向の一方側の端部に連結された前記硬質部材は、第一の前記被支持部材に取り付けられ、前記本体部の長手方向の他方側の端部に連結された前記硬質部材は、前記第一の被支持部材よりも下側に配置される第二の前記被支持部材に取り付けられる請求項1に記載の太陽光発電装置。
【請求項8】
前記本体部は、厚肉部と、前記厚肉部よりも厚さの薄い薄肉部とが、長手方向に交互に形成されたものであり、
前記発電部は、前記厚肉部に設けられている請求項1に記載の太陽光発電装置。
【請求項9】
請求項1乃至
8のいずれかに記載の太陽光発電装置と、
前記建設材に支持される被支持部材とを備え、
前記硬質部材が前記被支持部材に取り付けられることで、前記太陽光発電装置が前記建設材に支持される太陽光発電装置の支持構造。
【請求項10】
第一の前記被支持部材と、
前記第一の被支持部材よりも下側に配置される第二の前記被支持部材とを備え、
前記太陽光発電装置は、請求項
7に記載の太陽光発電装置であり、
前記本体部の長手方向の一方側の端部に連結された前記硬質部材は、前記第一の被支持部材に取り付けられ、
前記本体部の長手方向の他方側の端部に連結された前記硬質部材は、前記第二の被支持部材に取り付けられ、
上下方向における前記第一の被支持部材と前記第二の被支持部材との間の距離を変更可能である請求項
9に記載の太陽光発電装置の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置、及び太陽光発電装置の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、2つのシートの間に発電部が配置された太陽光発電装置が使用されている。この種の太陽光発電装置は棒材によって建設材に吊るすことが行われており、棒材を通す穴として、太陽光発電装置そのものに形成した孔、或いは、太陽光発電装置の孔に嵌めたハトメの孔が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら太陽光発電装置そのものに形成した孔を使って太陽光発電装置を吊るす場合には、太陽光発電装置の重量で孔が拡大することで、孔を通じて太陽光発電装置の内部に水分が侵入し易くなる。またハトメを使用する場合には、風によって太陽光発電装置がバタついた際に大きな外力がハトメに負荷されることで、ハトメを嵌めた太陽光発電装置の孔が拡大して太陽光発電装置の孔とハトメとの間に隙間が生じ、この隙間を介して太陽光発電装置の内部に水分が侵入し易くなる。上述の問題は、太陽光発電装置が大面積である場合に顕著に生じ得る。
【0005】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであって、その目的は、止水性を維持しつつ、建設材に支持させることの可能な可能な太陽光発電装置、及び当該太陽光発電装置の支持構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、次の項に記載の主題を包含する。
【0007】
項1.表面を構成するバリアシートと裏面を構成するバックシートとの間に発電部が配置された本体部と、
前記バリアシートの一部及び前記バックシートの一部を少なくとも含む被挟持部を挟持することで、前記本体部に連結される硬質部材とを備え、
建設材に支持された被支持部材に前記硬質部材が取り付けられることで、前記建設材に支持される太陽光発電装置。
【0008】
項2.前記本体部は、前記バリアシートの外周縁と前記バックシートの外周縁との間を封じる封止縁材を備え、
前記被挟持部には、前記封止縁材の一部が含まれる項1に記載の太陽光発電装置。
【0009】
項3.前記バックシートは、前記裏面を構成するバックシート本体と、前記バックシート本体の外周縁の一部から延びて前記バックシート本体の外周縁の一部と前記バリアシートの前記バックシートの外周縁の一部との間を封じるバックシート封止部と、前記バックシート封止部の先端から延びて前記バリアシートに重ね合わされるバックシート重合部とを備え、
前記バックシートの一部には、前記バックシート本体の一部、前記バックシート封止部
の全部、前記バックシート重合部の一部又は全部が含まれる項1に記載の太陽光発電装置。
【0010】
項4.前記バリアシートは、前記表面を構成するバリアシート本体と、前記バリアシート本体の外周縁の一部から延びて前記バリアシート本体の外周縁の一部と前記バックシートの外周縁の一部との間を封じるバリアシート封止部と、前記バリアシート封止部の先端から延びて前記バックシートに重ね合わされるバリアシート重合部とを備え、
前記バリアシートの一部には、前記バリアシート本体の一部、前記バリアシート封止部の全部、及び前記バリアシート重合部の一部又は全部が含まれる項1に記載の太陽光発電装置。
【0011】
項5.前記被挟持部は、前記硬質部材の挟持により圧縮された状態にある項1乃至4のいずれかに記載の太陽光発電装置。
【0012】
項6.前記被挟持部の厚さは、前記硬質部材に挟持されていない前記本体部の残部の厚さの80%以上である項5に記載の太陽光発電装置。
【0013】
項7.前記被挟持部には、金属或いは硬質樹脂から形成された芯材が含まれ、
前記被挟持部は、前記芯材が前記バリアシートの一部と前記バックシートの一部との間に配置された状態で、前記芯材以外の部分が圧縮されている項1乃至4のいずれかに記載の太陽光発電装置。
【0014】
項8.前記本体部の長手方向の一方側及び他方側の端部がそれぞれ前記被挟持部によって構成されて、各前記被挟持部が前記硬質部材に挟持されることで、前記本体部の長手方向の一方側及び他方側の端部に前記硬質部材が連結され、
前記本体部の長手方向の一方側の端部に連結された前記硬質部材は、第一の前記被支持部材に取り付けられ、前記本体部の長手方向の他方側の端部に連結された前記硬質部材は、前記第一の被支持部材よりも下側に配置される第二の前記被支持部材に取り付けられる項1乃至7のいずれかに記載の太陽光発電装置。
【0015】
項9.前記本体部は、厚肉部と、前記厚肉部よりも厚さの薄い薄肉部とが、長手方向に交互に形成されたものであり、
前記発電部は、前記厚肉部に設けられている項1乃至8のいずれかに記載の太陽光発電装置。
【0016】
項10.請求項8を引用する場合の項9に記載の太陽光発電装置であり、
前記太陽光発電装置は、前記長手方向の一方側に設けられる第一の前記厚肉部と、前記長手方向の他方側に設けられる第二の前記厚肉部との間に、前記薄肉部が形成されて、前記第一及び第二の厚肉部にそれぞれ前記発電部が設けられたものであり、
前記第一の厚肉部に前記第一の被挟持部が形成され、前記第二の厚肉部に前記第二の被挟持部が形成される太陽光発電装置。
【0017】
項11.前記被支持部材が前記硬質部材の貫通孔に通されることで、前記硬質部材が前記被支持部材に取り付けられる項1乃至10のいずれかに記載の太陽光発電装置。
【0018】
項12.前記被支持部材のスリットに前記硬質部材が嵌められることで、前記硬質部材が前記被支持部材に取り付けられる項1乃至10のいずれかに記載の太陽光発電装置。
【0019】
項13.項1乃至12のいずれかに記載の太陽光発電装置と、
前記建設材に支持される被支持部材とを備え、
前記硬質部材が前記被支持部材に取り付けられることで、前記太陽光発電装置が前記建設材に支持される太陽光発電装置の支持構造。
【0020】
項14.第一の前記被支持部材と、
前記第一の被支持部材よりも下側に配置される第二の前記被支持部材とを備え、
前記太陽光発電装置は、項8に記載の太陽光発電装置であり、
前記本体部の長手方向の一端部に連結された前記硬質部材は、前記第一の被支持部材に取り付けられ、
前記本体部の長手方向の他端部に連結された前記硬質部材は、前記第二の被支持部材に取り付けられ。
上下方向における前記第一の被支持部材と前記第二の被支持部材との間の距離を変更可能である項13に記載の太陽光発電装置の支持構造。
【0021】
項15.前記建設材には、上下方向に間隔をあけて形成された複数の孔が形成されており、
前記第一及び前記第二の被支持部材の一方又は双方は、前記建設材の孔に通されることで、前記建設材に支持される棒材であり、
前記第一及び前記第二の被支持部材の一方又は双方を通す前記建設材の孔を変えることで、上下方向における前記第一の被支持部材と前記第二の被支持部材との間の距離が変更される項14に記載の太陽光発電装置の支持構造。
【0022】
項16.前記第一及び前記第二の被支持部材の一方又は双方は、前記建設材に形成された螺子孔にねじ込まれるボルトであり、
前記第一及び前記第二の被支持部材の一方又は双方が前記螺子孔にねじ込まれる長さを変えることで、上下方向における前記第一の被支持部材と前記第二の被支持部材との間の距離が変更される項14に記載の太陽光発電装置の支持構造。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、太陽光発電装置の止水性を維持しつつ、太陽光発電装置を建設材に支持させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】(A)は、本発明の第一実施形態に係る太陽光発電装置の支持構造を示す正面図である。(B)は、(A)のA-A線に沿って第一実施形態に係る支持構造を切断した状態を示す断面図である。
【
図2】(A)は、
図1(A)のB-B線に沿って太陽光発電装置の本体部を切断した状態を示す断面図である。(B)は、(A)のa部分の拡大図である。(C)は、(A)のC-C線に沿って発電部を切断した状態を示す断面図である。
【
図3】(A)及び(B)は、それぞれ、
図1(B)に対応する断面図であって、第一実施形態に係る太陽光発電装置の支持構造の変形例を示す。
【
図4】(A)及び(B)は、それぞれ、
図1(B)に対応する断面図であって、第一実施形態に係る太陽光発電装置の支持構造の変形例を示す。
【
図5】(A)は、本発明の第一実施形態に係る太陽光発電装置の支持構造の変形例を示す正面図である。(B)は、(A)のD-D線に沿って第一実施形態に係る支持構造の変形例を切断した状態を示す断面図である。
【
図6】(A)は、本発明の第二実施形態に係る太陽光発電装置の支持構造を示す正面図である。(B)は、(A)のE-E線に沿って第二実施形態に係る支持構造を切断した状態を示す断面図である。
【
図7】(A)及び(B)は、それぞれ、
図6(B)に対応する断面図であって、第二実施形態に係る太陽光発電装置の支持構造の変形例を示す。
【
図8】(A)及び(B)は、それぞれ、
図6(B)に対応する断面図であって、第二実施形態に係る太陽光発電装置の支持構造の変形例を示す。
【
図9】(A)及び(B)は、それぞれ、
図6(B)に対応する断面図であって、第二実施形態に係る太陽光発電装置の支持構造の変形例を示す。
【
図10】(A)は、第一実施形態に係る太陽光発電装置の支持構造の変形例を示す正面図である。(B)は、(A)のF-F線に沿って第一実施形態に係る支持構造の変形例を切断した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1(A)は、本発明の第一実施形態に係る支持構造1を示す正面図である。
図1(B)は、
図1(A)のA-A線に沿って支持構造1を切断した状態を示す断面図である。
【0026】
第一実施形態に係る支持構造1は、太陽光発電装置2と、建設材100に支持される複数の被支持部材3とを備える。建設材100として、例えば、壁材(金属系サイディング材、窯業系サイディング材、サンドイッチパネル等)、屋根材、間仕切り、扉材、フェンス材、床材等が挙げられる。屋根材としては、例えば、折板屋根、スレート屋根、ルーフデッキ、瓦棒葺き、立平葺き等に用いられる屋根材が挙げられる。屋根は、縦葺きであってもよいし、横葺きであってもよい。
【0027】
太陽光発電装置2は、本体部4と、本体部4に連結される硬質部材5とを備え、硬質部材5の幅方向(
図1(A)の左右方向)の複数の位置が被支持部材3に取り付けられることで、建設材100に支持される。本発明において、「硬質部材」とは、ヤング率が25Mpa以上の部材を意味する。ヤング率はJIS K 7161の方法によって計測される。硬質部材5の幅は、例えば、本体部4の幅の60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上とされる。
【0028】
(太陽光発電装置2)
図2(A)は、
図1のB-B線に沿って太陽光発電装置2の本体部4を切断した状態を示す断面図である。
図2(B)は、
図2(A)のa部分の拡大図である。
図2(C)は、
図2(A)のC-C線に沿って発電部を切断した状態を示す断面図である。
【0029】
太陽光発電装置2の本体部4は、表面6を構成するバリアシート7と裏面8を構成するバックシート9との間に発電部10及び封止剤11が配置されたものであり、封止剤11はシート7.9の間における発電部10の周囲に充填される。本体部4は、表面6に照射された光が発電部10に入射することで、発電部10で発電を行う。硬質部材5は、本体部4の長手方向の一端部をなす被挟持部12を挟持することで、本体部4に連結される。硬質部材5が連結されている本体部4の外周縁の範囲では、硬質部材5によってバリアシート7とバックシート9との間が封止される。硬質部材5が連結されていない本体部4の外周縁の範囲では、バリアシート7とバックシート9との間を封止する封止縁材13が設けられる。
【0030】
本体部4は、シート状を呈する。本明細書でいう「シート状」は、その物体の厚さが、平面視における外縁の間の最大長さに対して、10%以下である形状を意味する。例えば平面視における形状が矩形状である場合、「平面視における外縁の間の最大長さ」は、対角線の長さを意味する。また、例えば平面視における形状が円形状である場合、「平面視における外縁の間の最大長さ」は、直径の長さを意味する。本明細書では、膜状、箔状、フィルム状等も、「シート状」に含まれる。
【0031】
本体部4は、正面視略矩形状に形成されている。ただし、本発明は、本体部4の形状を、特に限定するものではなく、本体部4は、例えば、平面視略円形状、平面視楕円形状、平面視多角形状等であってもよい。
【0032】
本体部4は、可撓性(対象物が撓み得る性質)を有する。本発明において、本体部4が可撓性を有するとは、本体部4が10MPa以上の曲げ強さを有すること、或いは、本体部4が100MPa以上の曲げ弾性率を有することを意味する。本体部4の曲げ強さは、より好ましくは20MPa以上であり、より好ましくは50MPa以上である。また本体部4の曲げ強さは、好ましくは200MPa以下であり、より好ましくは150MPa以下であり、より好ましくは50MPa以下である。また、本体部4の曲げ弾性率は、より好ましくは500MPa以上である。また、本体部4の曲げ弾性率は、好ましくは10000MPa以下であり、より好ましくは5000MPa以下である。本体部4の可撓性を曲げ強さで評価する場合、曲げ弾性率は上記の範囲に含まれなくてもよい。本体部4の可撓性を曲げ弾性率で評価する場合、曲げ強さは上記の範囲に含まれなくてもよい。本体部4の曲げ強さ及び曲げ弾性率の測定方法は、JIS K 7171に準拠して測定される。
【0033】
(バックシート9)
バックシート9は、水蒸気に対するバリア性能、及び外力に対する保護性能を有する。バックシート9は、透光性があってもよいが、必ずしも透光性は必要ではない。本明細書でいう「透光性がある」とは、光の透過率が、入射前の光のピーク波長に対して、15%よりも大きいことを意味する。バックシート9の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、汎用プラスチック、エンジニアリングプラスチック、ビニル樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル)等の合成樹脂、天然樹脂、ゴム、金属、カーボン、パルプ等があげられる。
【0034】
バックシート9の縦弾性係数は、2400MPa以上であることが好ましく、より好ましくは3000MPa以上である。また、バックシート9の縦弾性係数は、4200MPa以下であることが好ましく、より好ましくは3100MPa以下である。バックシート9の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、汎用プラスチック、エンジニアリングプラスチック、ビニル樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル)等の合成樹脂が挙げられる。また、バックシート9の材料としては、合成樹脂のほか、例えば、天然樹脂、ゴム、金属、カーボン、パルプ等が用いられてもよい。
【0035】
バックシート9の厚さは、50μm以上であることが好ましく、より好ましくは、100μm以上である。また、バックシート9の厚さは、2000μm以下であることが好ましく、より好ましくは、1000μm以下である。
【0036】
(発電部10)
発電部10は、光起電力効果を利用した光電変換素子である発電セル20(
図2(A))を備える。本実施形態では、発電部10は、複数の発電セル20が太陽光発電装置2の面方向(例えば太陽光発電装置2の長手方向或い幅方向)に配置された光電変換ユニットから構成される。なお、発電部10は一つの発電セル20によって構成されてもよい。
【0037】
(発電セル20)
発電セル20は、透光性基材21と、透光性導電層22と、発電層23と、電極24と、を備える。透光性基材21、透光性導電層22、発電層23、及び電極24は、バリアシート7からバックシート9に向かう方向に沿って、この順で積層されている。すなわち、透光性基材21がバリアシート7に対向し、電極24がバックシート9に対向するように配置される。
【0038】
(透光性基材21)
透光性基材21は、透光性導電層22、発電層23、及び電極24を支持する。透光性基材21は、透光性を有する。透光性基材21の透光性は、光の透過率が、入射前の光のピーク波長に対して、15%よりも大きければよいが、好ましくは、50%以上であり、より好ましくは、80%以上である。本明細書では、光の透過率が、入射前の光のピーク波長に対して、80%以上であることを、「透明」であるとする。
【0039】
透光性基材21の材料としては、例えば、無機材料、有機材料、金属材料等が挙げられる。無機材料としては、例えば、石英ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。有機材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET; polyethylene terephthalate
)、ポリエチレンナフタレート(PEN; polyethylene naphthalene)、ポリエチレン、ポ
リイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、液晶ポリマー、シクロオレフィンポリマー等のプラスチック、高分子フィルム等が挙げられる。金属材料としては、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、シリコン等が挙げられる。
【0040】
透光性基材21の厚さは、透光性導電層22、発電層23、及び電極24を支持することができれば、特に制限はなく、例えば、10μm以上300μm以下が挙げられる。
【0041】
透光性基材21は、発電セル20の製造過程で必要になる基材であり、必ずしも必要な構成ではない。透光性基材21は、例えば、太陽光発電装置2の製造途中にだけ利用されてもよく、製造後又は製造途中に取り除かれてもよい。なお、取り除かれる場合、透光性基材21に代えて、透光性を有さない基材を用いてもよい。
【0042】
(透光性導電層22)
透光性導電層22は、導電性を有する層であり、カソードとして機能する。透光性導電層22は、透光性を有する。透光性導電層22は、透明であることが好ましい。
【0043】
透光性導電層22としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO; Indium Tin Oxide)
、フッ素ドープ酸化スズ(FTO; F-doped Tin Oxide)、ネサ膜等の透明な材料が挙げられる。透光性導電層22は、透光性基板の表面に対して、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法等により形成される。
【0044】
また、透光性導電層22としては、不透光性材料を用いつつ、光を透過可能なパターンを形成することで、透光性を有するように構成してもよい。不透光性材料としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、チタン、ニッケル、スズ、亜鉛、又はこれらを含む合金等が挙げられる。光を透過可能なパターンとしては、例えば、格子状、線状、波線状、ハニカム状、丸穴状等が挙げられる。
【0045】
透光性導電層22の厚さは、例えば、30nm以上300nm以下であることが好ましい。透光性導電層22が、30nm以上300nm以下であると、可撓性を高く保ちながら、良好な導電性を得ることができる。
【0046】
(発電層23)
発電層23は、光の照射によって光電変換を生じさせる層であり、光を吸収することで生成された励起子から、電子と正孔とを生じさせる。
図2(B)に示すように、発電層23は、正孔輸送層30と、光電変換層31と、電子輸送層32と、を備える。正孔輸送層30、光電変換層31、及び電子輸送層32は、透光性導電層22から電極24に向かう方向に沿って、この順で積層されている。
【0047】
(正孔輸送層30)
正孔輸送層30は、光電変換層31で発生した正孔を、透光性導電層22へ抽出し、かつ光電変換層31で発生した電子が、透光性導電層22へ移動するのを妨げる。正孔輸送層30の材料としては、例えば、金属酸化物を用いることができる。金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化リチウム、酸化カルシウム、酸化セシウム、酸化アルミニウム等が挙げられる。また、その他、デラフォサイト型化合物半導体(CuGaO2)、酸化銅、チオシアン酸銅(CuSCN)
、五酸化バナジウム(V2O5)、酸化グラフェン等が用いられてもよい。また、正孔輸送
層30の材料として、p型有機半導体又はp型無機半導体を用いることもできる。
【0048】
正孔輸送層30の厚さは、例えば、1nm以上1000nm以下であることが好ましく、より好ましくは、10nm以上500nm以下であり、更に好ましくは、10nm以上50nm以下である。正孔輸送層30の厚さが、1nm以上1000nm以下であれば、正孔の輸送が実現できる。
【0049】
(光電変換層31)
光電変換層31(光活性層)は、吸収した光を光電変換する層である。光電変換層31の材料としては、吸収した光を光電変換することができれば特に制限はなく、例えば、アモルファスシリコン、ペロブスカイト、非シリコン系材料(半導体材料CIGS)等が用いられる。また、光電変換層31は、これらを複合したタンデム型の積層構造としてもよい。非シリコン系材料が用いられた光電変換層31は、銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)を含む半導体材料CIGSが用いられており、光電変換層の厚さを薄くしやすい。
【0050】
以下では、発電部10に有機成分が含まれる場合の例として、有機成分を含有するペロブスカイト化合物が発電部10の光電変換層31に含まれる場合を説明する。ペロブスカイト化合物を含む光電変換層31は、入射光の角度に対する発電効率の依存性(以下、入射角依存性という場合がある)が比較的低いという利点がある。これにより、本実施形態では、より高い発電効率を得ることができる。
【0051】
ペロブスカイト化合物は、ペロブスカイト結晶構造体及びこれに類似する結晶を有する構造体である。ペロブスカイト結晶構造体は、組成式 ABX3で表される。この組成式において、例えば、Aは有機カチオン、Bは金属カチオン、Xはハロゲンアニオンを示す。ただし、Aサイト、Bサイト及びXサイトはこれに限定されない。
【0052】
Aサイトを構成する有機カチオンの有機基としては、特に制限はなく、例えば、アルキルアンモニウム誘導体、ホルムアミジニウム誘導体等が挙げられる。Aサイトを構成する有機カチオンは、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0053】
Bサイトを構成する金属カチオンの金属としては、特に制限はなく、例えば、Cu、Ni、Mn、Fe、Co、Pd、Ge、Sn、Pb、Eu等が挙げられる。Bサイトを構成する金属カチオンは、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0054】
Xサイトを構成するハロゲンアニオンのハロゲンには、特に制限はなく、例えば、F、Cl、Br、I等が挙げられる。Xサイトを構成するハロゲンアニオンは、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0055】
光電変換層31の厚さは、例えば、1nm以上1000000nm以下が好ましく、より好ましくは、100nm以上50000nm以下であり、更に好ましくは、300nm以上1000nm以下である。光電変換層31の厚さが、1nm以上1000000nm以下であると、光電変換効率が向上する。
【0056】
(電子輸送層32)
電子輸送層32は、光電変換層31で発生した電子を電極24へ抽出し、かつ光電変換層31で発生した正孔が、電極24へ移動するのを妨げる。電子輸送層32としては、例えば、ハロゲン化合物又は金属酸化物のいずれかを含むことが好ましい。
【0057】
ハロゲン化合物としては、例えば、ハロゲン化リチウム(LiF、LiCl、LiBr、LiI)、ハロゲン化ナトリウム(NaF、NaCl、NaBr、NaI)等が挙げられる。金属酸化物を構成する元素としては、チタン、モリブデン、バナジウム、亜鉛、ニッケル、リチウム、カリウム、セシウム、アルミニウム、ニオブ、スズ、バリウム等が挙げられる。また、電子輸送層32の材料として、n型有機半導体又はn型無機半導体を用いることもできる。
【0058】
電子輸送層32の厚さは、例えば、1nm以上1000nm以下であることが好ましく、より好ましくは、10nm以上500nm以下であり、更に好ましくは、10nm以上50nm以下である。電子輸送層32の厚さが、1nm以上1000nm以下であれば、電子の輸送が実現できる。
【0059】
(電極24)
電極24は、導電性を有しており、アノードとして機能する。電極24は、光電変換層31によって生じた光電変換に応じて、光電変換層31から電子を取り出すことができる。電極24は、透光性材料で形成されてもよいし、不透光性材料で形成されてもよいが、電極24を不透光性材料で形成すれば、太陽光発電装置の遮光性をより一層向上させることができる(すなわち、表面6の反対側からの光が発電部10に入射することをより一層抑制できる)。電極24の材料としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、チタン、ニッケル、スズ、亜鉛、又はこれらを含む合金等が挙げられる。
【0060】
(バリアシート7)
バリアシート7は、透光性を有するものであって、上述したように本体部4の表面6を構成する。バリアシート7は、透明であることが好ましい。バリアシート7は、水蒸気に対するバリア性能、及び外力に対する保護性能を有する。
【0061】
バリアシート7は、可撓性を有する。バリアシート7に用いられる材料としては、縦弾性係数が100Pa以上10000MPa以下であることが好ましく、より好ましくは、1000MPa以上5000MPa以下である。バリアシート7の材料として、具体的には、例えば、プラスチックフィルム、ビニルフィルム等が挙げられる。
【0062】
バリアシート7の厚さは、50μm以上であることが好ましく、より好ましくは、100μm以上である。また、バリアシート7の厚さは、2000μm以下であることが好ましく、より好ましくは、1000μm以下である。バリアシート7の厚さが50μm以上2000μm以下であることにより、太陽光発電装置2の曲げ強さを、50MPa以上150MPa以下に設定しやすい。
【0063】
(封止剤11)
封止剤11は、発電層23に対して、発電層23の周囲から浸水するのを妨げる。封止剤11は、透光性を有しており、好ましくは、透明である。なお、封止剤11は、必ずしも発電部10の全てを覆う必要はない。例えば、発電部10の一部が封止剤11から露出した場合、当該露出した部分を封止縁材13等で覆ってもよい。
【0064】
封止剤11の材料としては、例えば、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリオレフィン、ブチルゴム、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂、ポリイソブチレン樹脂、SBS樹脂、SIBS樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0065】
封止剤11の横弾性率は、好ましくは0.01以上500MPa以下であり,より好ましくは0.05以上250MPa以下であり、更に好ましくは0.1以上100MPa以下である。このようにすることで、バックシート9とバリアシート7の温度差で生じる熱伸縮に追随して、封止剤11が面方向に変形する。これにより、バックシート9とバリアシート7とが、熱伸縮により発生するせん断応力により、封止剤11から剥離することを抑制できる。本願でいう「横弾性率」は、例えば、引張り試験法により得た縦弾性係数及びポアソン比から算出した値である。
【0066】
また封止剤11は、別の観点から、粘度で規定することもできる。封止剤11の粘度は、11000mPa・S以上700000mPa・S以下であることが好ましく、より好ましくは、26000mPa・S以上450000mPa・S以下であり、更に好ましくは、40000mPa・S以上110000mPa・S以下である。
【0067】
この場合の封止剤11の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ブチルゴム、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂、ポリイソブチレン樹脂等が挙げられる。本明細書でいう「粘度」は、JIS Z8803の回転粘度計法に準拠し、環境温度23℃で測
定を行った値である。
【0068】
封止剤11を介してバックシート9とバリアシート7は接着されているが、その接着強度はピール試験にて、0.1N/10mm以上10N/10mm以下であることが好ましい。特に、曲げた状態で施工される場合は、太陽光発電装置2に生じるせん断応力はより大きくなるため、ピール試験における上記範囲の接着強度を採用することで、長期間剥離を効果的に抑制することができる。ピール試験は、JIS Z 0237に準拠して行われる。
【0069】
剥離抑制の効果を高める観点より、封止剤11の厚さとしては、10μm以上が好ましく、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは50μm以上が挙げられる。一方、封止剤11の厚さとしては、300μm以下が好ましく、より好ましくは200μm以下であり、更に好ましくは100μm以下である。封止剤11の厚さを10μm以上とすることで、熱伸縮時のせん断応力の逃げしろを十分に確保することができる。封止剤11の厚さを、300μm以下とすることで、太陽光発電装置2の重量を軽量化できるため、施工性・作業性を向上することができる。
【0070】
(封止縁材13)
封止縁材13は、「表面6を構成するバリアシート7の面」に接着される第1接着部40と、バリアシート7とバックシート9との間を封止する封止部41と、「裏面8を構成するバックシート9の面」に接着される第2接着部42とが順次連なった構造を有する。
【0071】
封止縁材13の材料としては、例えば、ブチルゴム、シリコーンゴム等からなるテープ材が挙げられる。
【0072】
(太陽光発電装置2の本体部4の作用)
上記の本体部4によれば、表面6に照射された光が発電部10に入射すると、発電層23の光電変換層31が光を吸収して光電変換を行うことで、光電変換層31で電子と正孔とが生じる。当該電子が電子輸送層32を介して電極24(アノード)へ抽出され、正孔が正孔輸送層30を介して透光性導電層22(カソード)へ抽出されることで、透光性導電層22から電極24へと電流が流れる(すなわち発電が行われる)。
【0073】
また、バックシート9、電極24、及び電子輸送層32を透光性を有する材料から形成することで、裏面8側からの光(建設材の反射光等)を発電部10に入射させて光電変換層31に吸収させることができるので、光電変換層31での光電変換をより活性化させることができる。
【0074】
発電部10を構成する光電変換ユニットでは、各発電セル20の電極24(アノード)に延長部24aが設けられる(
図2(C))。当該電極24の延長部24aは透光性導電層22(カソード)側へ延びる。隣り合う2つの発電セル20,20では、一方のセル20の電極24の延長部24aが、他方のセル20の透光性導電層22に接合される。この接合により、太陽光発電装置2に光が照射される間では、発電部10(光電変換ユニット)の一方側端にある透光性導電層22Aから、発電部10の他方側端にある電極24Aへと電流が流れる(
図2(C)では電流の流れを矢印で示している)。当該電流は、図示しない配電線を介して取り出される。
【0075】
発電部10を上記の光電変換ユニットから構成することで、一部の発電セル20で不具合が生じても、発電部10からの電気取り出し量を安定化させることができる。
【0076】
なお各発電セル20の電極24(アノード)に延長部24aを設けることの代わりに、各発電セル20の透光性導電層22(カソード)に、電極24(アノード)側へ延びる延長部を設けてもよい。この場合、隣り合う2つの発電セル20,20では、一方のセル20の透光性導電層22の延長部が、他方のセル20の電極24に接合される。このようにしても上記と同様の効果が得られる。
【0077】
また発電部10に透光性基材21を設ける場合には、発電部10の製造を容易にする観点から、
図2(C)に示すように、各発電セル20の透光性導電層22、発電層23及び電極24を、共通の透光性基材21に支持させることが好ましい。
【0078】
また発電部10が一つの発電セル20によって構成される場合には、電極24から透光性導電層22へと流れる電流が配電線を介して取り出される。
【0079】
なお太陽光発電装置2には、複数の発電部10が含まれていてもよい。この場合、複数の発電部10は、太陽光発電装置2の面方向に配置されて、直列又は並列に電気的に接続される。
【0080】
発電部10が光電変換ユニットから構成される場合には、複数の発電部10を直列に接続するために、隣り合う2つの発電部10,10において、一方の発電部10の端にある透光性導電層22Aと、他方の発電部10の端にある電極24Aとを、配電線を介して接続することが行われる。複数の発電部10を並列に接続する場合には、隣り合う2つの発電部10,10の端にある透光性導電層22A,22A同士と、上記隣り合う2つの発電部10,10の端にある電極24A,24A同士とを、それぞれ配電線を介して接続することが行われる。
【0081】
また発電部10が一つの発電セル20から構成される場合には、複数の発電部10を直列に接続するために、隣り合う2つの発電部10,10において、一方の発電部10の透光性導電層22と、他方の発電部10の電極24とを配電線を介して接続することが行われる。複数の発電部10を並列に接続する場合には、隣り合う2つの発電部10,10の透光性導電層22,22同士と、上記隣り合う2つの発電部10,10の電極24,24同士とを、それぞれ配電線を介して接続することが行われる。
【0082】
なお発電部10が、上記の光電変換ユニット及び一つの発電セル20のいずれから構成好ましくは2mm以上であり、より好ましくは10mm以上であり、更に好ましくは、1される場合においても、隣り合う発電部10,10の間の距離は、0mm超であればよく、5mm以上である。また、隣り合う発電部10,10の間の距離は、100mm以下が好ましく、より好ましくは50mm以下であり、更に好ましくは、20mm以下である。
【0083】
(硬質部材5)
硬質部材5は、硬質樹脂或いは金属から形成される。硬質部材5を形成するための硬質樹脂として、例えば、ポリ塩化ビニル、PP、PE、PPS、PC、PEEK等が挙げられ、ゴムであ
るNBR等、フッ素樹脂であるETFE、PVDF、PTFE等を使用できる。硬質部材5を形成するた
めの金属として、例えばステンレス、アルミ等を使用できる。
【0084】
硬質部材5の幅方向(
図1(A)の左右方向)の複数の位置には貫通孔50が形成されており、各貫通孔50に棒状の被支持部材3が通されることで、硬質部材5の幅方向(
図1(A)の左右方向)の複数の位置が被支持部材3に取り付けられて、太陽光発電装置2が上下方向に延びた状態で建設材100に支持される。
【0085】
図示例では、被支持部材3が建設材100から水平方向に延びているが、被支持部材3は建設材100から上向き或いは下向きに延びていてもよい。被支持部材3が下向きに延びる場合には、例えば、被支持部材3の先端側を上向きに湾曲させることで、被支持部材3によって硬質部材5を支持できる。また本発明は、被支持部材3の断面形状を特に限定するものではなく、被支持部材3の断面形状は、円形、多角形など様々な形状とされ得る。
【0086】
また第一実施形態に係る支持構造1は、建設材100に支持される一つの被支持部材3を備えるものであってもよい。この場合、例えば、硬質部材5の幅中央位置が被支持部材3に取り付けられることで、太陽光発電装置2が建設材100に支持される。
【0087】
硬質部材5は、被支持部材3に取り付けられた状態で、下方に開口するスリット51を有しており、当該被挟持部12がスリット51に嵌め込まれることで被挟持部12が硬質部材5に挟持されて、硬質部材5が本体部4に連結される。被挟持部12には、バリアシートの一部7a、封止剤の一部11a、及びバックシートの一部9aが含まれる。
【0088】
なお硬質部材5と被挟持部12との間の止水性を高める観点から、硬質部材5の挟持により被挟持部12が圧縮されていることが好ましい。
【0089】
上述のように被挟持部12が圧縮された状態は、例えば、太陽光発電装置2の厚さがスリット51の幅よりも大きくなるように太陽光発電装置2を製造した後、被挟持部12をスリット51に押し込むことで実現できる。
【0090】
また硬質部材5が金属から形成される場合には、例えば、被挟持部12をスリット51に挿入した状態で、スリット51の幅が狭まるように硬質部材5を圧縮することによっても、上記のように被挟持部12が圧縮された状態を実現できる。
【0091】
また硬質部材5が樹脂から形成される場合には、硬質部材5を加熱した状態で被挟持部12をスリット51に挿入し、この後、硬質部材5を冷却して固化及び収縮させることでも、上記のように被挟持部12が圧縮された状態を実現できる。
【0092】
上述の方法で被挟持部12を圧縮した場合には、
図3(A)に示すように、太陽光発電装置2は、硬質部材5に挟持された被挟持部12の厚さT1が、硬質部材5に挟持されて
いない本体部4の残部14の厚さT2よりも小さい特徴を有する。被挟持部12の圧縮に抗する反力によって硬質部材5が破壊されることを防止する観点から、被挟持部12の厚さT1が、本体部4の残部14の厚さT2(太陽光発電装置2の製造時の厚さに相当)の80%以上になるように、被挟持部12が圧縮されることが好ましい。
【0093】
また
図3(B)に示すように、被挟持部12において、金属或いは硬質樹脂から形成された芯材15を、バリアシート7の一部7aとバックシート9の一部9aとの間に配置した状態で、芯材15以外の被挟持部12の部分が圧縮されてもよい。このようにすれば芯材15の押圧でシート7,9の一部7a,9aを硬質部材5(スリットの内面)に強く押し付けることができるので、被挟持部12の止水性を向上させることができる。
【0094】
なお被挟持部12を圧縮させることは必ずしも必要ではない。例えば、太陽光発電装置2の厚さがスリット51の幅と等しくなるように太陽光発電装置2を製造した後、被挟持部12の表面に接着剤を塗布した状態で、被挟持部12をスリット51に押し込んで硬質部材5(詳細にはスリット51の内面)に接着させることで、被挟持部12が圧縮していない状態で被挟持部12を硬質部材5に挟持させてもよい。
【0095】
また硬質部材5を樹脂から形成する場合には、スリット51への被挟持部12の挿入を許容する一方で、被挟持部12がスリット51から抜けることを阻止する抜け止め手段を硬質部材5に設けることが好ましい。当該抜け止め手段は、例えば、スリット51の奥側になるにつれてスリット51の中心側に傾斜するテーパー面を有した手段とされる。
【0096】
(作用効果)
本実施形態によれば、「被挟持部3に取り付ける部材」として硬質部材5を用いていることで、被挟持部3から加えられる外力によって、「被挟持部3に取り付ける部材(硬質部材5)」に生じる変形及び損傷を小さく抑えることができる。このため太陽光発電装置2の止水性を維持しつつ、太陽光発電装置2を建設材100に支持させることが可能である。
【0097】
なお第1実施形態の支持構造1は、被挟持部12における止水性を高めるために、
図4及び
図5に示すように変更できる。
【0098】
図4(A)に示す例では、バックシート9が、バックシート本体17と、バックシート封止部18と、バックシート重合部19とを備える。バックシート本体17は、太陽光発電装置2の裏面8を構成する。バックシート封止部18は、バックシート本体17の外周縁の一部から延びて、当該バックシート本体17の外周縁の一部とバリアシート7の外周縁の一部との間を封じる。バックシート重合部19は、バックシート封止部18の先端から延びて、バリアシート7に重ね合わされる。
図4(A)に示す例では、被挟持部12に、バリアシート7の一部7a、封止剤11の一部11a、及びバックシート9の一部9aが含まれており、当該バックシート9の一部9aとして、バックシート本体17の一部、バックシート封止部18の全部、バックシート重合部19の一部又は全部が含まれる。
【0099】
また
図4(B)に示す例では、バリアシート7は、バリアシート本体52と、バリアシート封止部53と、バリアシート重合部54とを備える。バリアシート本体52は、太陽光発電装置2の表面6を構成する。バリアシート封止部53は、バリアシート本体52の外周縁の一部から延びて、当該バリアシート本体52の外周縁の一部とバックシート9の外周縁の一部との間を封じる。バリアシート重合部54は、バリアシート封止部53の先端から延びて、バックシート9に重ね合わされる。
図4(B)に示す例では、被挟持部12に、バリアシート7の一部7a、封止剤11の一部11a、及びバックシート9の一部9aが含まれており、上記のバリアシート7の一部7aには、バリアシート本体52の一
部、バリアシート封止部53の全部、及びバリアシート重合部54の一部又は全部が含まれる。
【0100】
図5に示す例では、本体部4は、その全周において、バリアシート7の外周縁とバックシート9の外周縁との間を封じる封止縁材13を備えており、被挟持部12には、バリアシート7の一部7a、封止剤11の一部11a、バックシート9の一部9aに加えて、封止縁材13の一部13aが含まれる。
【0101】
以下、本発明の他の実施形態について説明する。以下の説明では、第一実施形態と相違する点について説明し、第一実施形態と共通する点については同一の符号を付して説明を省略する。
【0102】
<第二実施形態>
図6(A)は、本発明の第二実施形態に係る太陽光発電装置2の支持構造60を示す正面図である。
図6(B)は、
図6(A)のE-E線に沿って第二実施形態に係る支持構造60を切断した状態を示す断面図である。
【0103】
第二実施形態に係る支持構造60は、太陽光発電装置2と、第一の被支持部材3Aと、第一の被支持部材3Aよりも下側に配置される第二の被支持部材3Bとを備える。第一及び第二の被支持部材3A,3Bは、第一実施形態の被支持部材3(
図1~
図5)と同様の特徴を有する棒材である。
【0104】
太陽光発電装置2は、本体部4と、第一の硬質部材5Aと、第二の硬質部材5Bとを備えており、本体部4の長手方向(
図6(A),
図6(B)の上下方向)の一方側の端部が第一の被挟持部12Aによって構成され、本体部4の長手方向の他方側の端部が第二の被挟持部12Bによって構成される。第一及び第二の硬質部材5A,5Bは、第一実施形態の硬質部材5(
図1,
図3~
図5)と同様の特徴を有するものとされる。第一及び第二の被挟持部12A,12Bは、第一実施形態の被挟持部12(
図1,
図3~
図5)と同様の特徴を有するものとされ、第一の被挟持部12Aが第一の硬質部材5Aに挟持され、第二の被挟持部12Bが第二の硬質部材5Bに挟持されることで、本体部4の長手方向の一方側の端部に第一の硬質部材5Aが連結され、本体部4の長手方向の他方側の端部に第二の硬質部材5Bが連結される(
図6は、第一及び第二の硬質部材5A,5Bが
図1に示す硬質部材5と同様の特徴を有し、第一及び第二の被挟持部12A,12Bが
図1に示す被挟持部12と同様の特徴を有する場合を示しているが、第一及び第二の硬質部材5A,5Bは、
図3~
図5に示す硬質部材5と同様の特徴を有するものとされ得て、第一及び第二の被挟持部12A,12Bは
図1に示す被挟持部12と同様の特徴を有するものとされ得る)。
【0105】
第二実施形態に係る支持構造60では、第一の硬質部材5Aが第一の被支持部材3Aに
取り付けられ、第二の硬質部材5Bが第二の被支持部材3Bに取り付けられることで、太
陽光発電装置2が上下方向に延びた状態で建設材100に支持される。
【0106】
本実施形態によれば、太陽光発電装置2が2つの被支持部材3A,3Bに取り付けられることで、太陽光発電装置2が建設材100に支持された状態を安定して維持できる。
【0107】
また第一及び第二の被支持部材3A,3Bの設置位置を適宜調整することで、太陽光発電装置2の本体部4に生じる張力を調整できる。すなわち、上下方向における被支持部材3A,3Bの間の距離が短くなるように被支持部材3A,3Bを設置すれば、本体部4に生じる張力を小さくすることができ、上下方向における被支持部材3A,3Bの間の距離が大きくなるように被支持部材3A,3Bを設置すれば、本体部4に生じる張力を大きく
することができる。なお本体部4の破損を抑制し、本体部4を適切に固定する観点から、本体部4に生じる張力を好ましくは10N/cm以上、より好ましくは25N/cm以上、さらに好ましくは50N/cm以上にすることが好ましく、100N/cm以下、より好ましくは250N/cm以下、さらに好ましくは500N/cm以下にすることが好ましい。上記の張力とすることで、風等によるバタつきを適切に抑制することができ、過剰な張力による太陽光発電シートの破損も抑制することができる。
【0108】
第2実施形態の支持構造60は、
図7及び
図8に示すように変形できる。
【0109】
図7に示す支持構造60の変形例は、太陽光発電装置2と、第一の被支持部材3Cと、第二の被支持部材3Dとを備える。第一及び第二の被支持部材3C,3Dは、建設材100に支持される棒材であり、第一の被支持部材3Cは、第二の被支持部材3Dよりも上側に配置される。建設材100には、上下方向に間隔をあけて複数の孔101が形成されており、第一及び第二の被支持部材3C,3Dの双方は孔101に通されることで建設材100に支持される。そして第一の硬質部材5Aが第一の被支持部材3Cに取り付けられ、
第二の硬質部材5Bが第二の被支持部材3Dに取り付けられることで、太陽光発電装置2が上下方向に延びた状態で建設材100に支持される。
【0110】
図7に示す変形例では、第一及び第二の被支持部材3C,3Dを通す孔101を変更することで、上下方向における第一の被支持部材3Cと第二の被支持部材3Dとの間の距離を変更できるので、本体部4に生じる張力を調整できる(
図7(A)は、硬質部材5A,Bの間の距離が短いことで本体部4が弛んだ状態を示し、
図7(B)は、硬質部材5A,Bの間の距離が長いことで本体部4が張った状態を示す)。
【0111】
なお
図7に示す変形例では、第一及び第二の被支持部材3C,3Dのうち、一方の被支持部材を孔101に通すことで建設材100に支持される棒材とし、他方の被支持部材については、
図1,
図3~
図5に示す被支持部材3と同様に建設材100の所定位置に固定される棒材としてもよい。この場合、上記一方の被支持部材を通す孔101を変更することで、上下方向における第一の被支持部材3Cと第二の被支持部材3Dとの間の距離を変更できるので、本体部4に生じる張力を調整できる。
【0112】
図8に示す支持構造60の変形例は、太陽光発電装置2と、建設材100に支持される第一及び第二の被支持部材3E,3Fとを備える。
【0113】
第一の被支持部材3Eは、建設材100に形成された螺子孔102にねじ込まれるボルトであり、第二の被支持部材3Dよりも上側に配置される。第二の被支持部材3Dは、
図1,
図3~
図5に示す被支持部材3と同様、建設材100に固定される棒材である。
図8に示す変形例では、第一の被挟持部12Aを挟持する第一の硬質部材5Cが第一の被支持部材3Eに取り付けられ、第二の被挟持部12Bを挟持する第二の硬質部材5Dが第二の被支持部材3Fに取り付けられることで、太陽光発電装置2が上下方向に延びた状態で建設材100に支持される。第二の硬質部材5Dは、
図6に示す硬質部材5A,5Bと同様の特徴を有する。
【0114】
第一の硬質部材5Cを第一の被支持部材3Eに取り付け可能であれば、第一の硬質部材5C及び第一の被支持部材3Eの構造は特に限定されないが、図示例では、第一の被支持部材3Eは、頭部61と、頭部61よりも径が小さい軸部62とを有しており、軸部62の外面に螺子溝が形成される。第一の硬質部材5Cは、第一の被挟持部12Aを嵌め込むスリット51と、スリット51の反対側に形成されるスリット63と、スリット51とスリット63の間に形成される空洞64とを有しており、スリット63は空洞64に連通する。当該第一の硬質部材5Cは、軸部62がスリット63から延び出るように頭部61を
空洞64に収容して、頭部61の表面を空洞64の内面に当接させた状態にすることで、第一の被支持部材3Eに取り付けられる。
【0115】
図8の変形例では、第一の被支持部材3Eが螺子孔102にねじ込まれる長さを変えることで、上下方向における第一の被支持部材3Eと第二の被支持部材3Fとの間の距離を変更できるので、本体部4に生じる張力を調整できる(
図8(A)は、被支持部材3E,3Fの間の距離が短いことで本体部4が弛んだ状態を示し、
図8(B)は、被支持部材3E,3Fの間の距離が長いことで本体部4が張った状態を示す)。
【0116】
なお図示例とは逆に、第一の被支持部材3Eが、
図1,
図3~
図5に示す被支持部材3と同様、建設材100に固定される棒材とされ、第二の被支持部材3Fが、建設材100に形成された螺子孔102にねじ込まれるボルトとされてもよい。この場合、第二の被支持部材3Fが螺子孔102にねじ込まれる長さを変えることで、上下方向における被支持部材3E,3Fの間の距離の間の距離を変更できる。また第一及び第二の被支持部材3E,3Fの双方が、建設材100に形成された螺子孔102にねじ込まれるボルトとされてもよい。この場合、被支持部材3E,3Fの一方又は双方が螺子孔102にねじ込まれる長さを変えることで、上下方向における被支持部材3E,3Fの距離を変更できる。
【0117】
<第一及び第二実施形態の変形例>
また第一及び第二実施形態に係る太陽光発電装置2の本体部4(
図1~
図8)は、
図9に示すように、厚肉部71と、厚肉部71よりも厚さの薄い薄肉部72とが、本体部4の長手方向に交互に形成されて、発電部10が厚肉部71に設けられたものであってもよい(
図9は、
図8の支持構造60を変形した例を示しているが、
図1,
図3~
図7に示す支持構造1,60も、上記の特徴を有するものに変形され得る)。このようにすれば、本体部4に生じる応力が薄肉部72に局所的に集中して、厚肉部71での応力を抑制できるので、当該厚肉部71に設けられる発電部10が応力によって損傷することを防止できる。
【0118】
なお
図9に示す支持構造60の変形例は、以下の特徴1~3を有することで、2つの厚肉部71と、1つの薄肉部72と、2つの発電部10を有するものとされているが、厚肉部71、薄肉部72、及び発電部10の数は、任意の数に設定可能である。
【0119】
特徴1:太陽光発電装置2の本体部4は、長手方向の一方側に設けられる第一の厚肉部71Aと、長手方向の他方側に設けられる第二の厚肉部71Bとの間に、薄肉部72が形成されたものとされて、第一及び第二の厚肉部71A,71Bにそれぞれ発電部10が設けられる。
特徴2:第一の厚肉部71Aに形成された第一の被挟持部12Aが第一の硬質部材5Cに挟持され、第二の厚肉部71Bに形成された第二の被挟持部12Bが第二の硬質部材5Dに挟持されることで、第一及び第二の硬質部材5C,5Dが本体部4に連結される。
特徴3:建設材100に支持された第一及び第二の被支持部材3E,3Fにそれぞれ第一及び第二の硬質部材5C,5Dが取り付けられることで、太陽光発電装置2が建設材100に支持される。
【0120】
また第一及び第二実施形態に係る支持構造1,60が備える被支持部材3,3A,3B,3C,3D,3E,3F(
図1,
図3~
図9)は、
図10に示す被支持部材3Gのように、建設材100に支持されて、硬質部材5,5A,5B,5C,5D(
図1,
図3~
図9)を嵌め込むスリット80が形成されたスリット部材81を有したものに変更され得る(
図10は、
図1の支持構造1を変形した例を示しているが、
図3~
図9に示す支持構造1,60も、上記の特徴を有するものに変形され得る)。この場合、スリット80に硬質部材を嵌めることで、硬質部材が被支持部材に取り付けられて、太陽光発電装置2が建設材100に支持される。なお上記のようにスリット80に硬質部材を嵌めることは、例え
ば、スリット部材81の幅方向の端にあるスリット80の開口から、硬質部材をスリット80に挿入することで実現される。
【0121】
また第一及び第二実施形態に係る太陽光発電装置2の本体部4は、封止剤11を備えないものであってもよい。この場合、本体部4は、例えば、バリアシート7とバックシート9との間に発電部10のみが配置されて、バリアシート7及びバックシート9がそれぞれ発電部10に接着されたものとされ、
図1,
図3~
図10に示す被挟持部12,12A,
12Bは、封止剤11の一部11aが省略されたものとされる。
【0122】
また
図1~
図10では、もっぱら、太陽光発電装置2を建設材100の鉛直面に支持させる例を示したが、本発明は、太陽光発電装置2を支持させる支持対象を、上記の建設材100の鉛直面に限定するものではなく、鉛直方向に対して傾斜した建造物の面に太陽光発電装置2を支持させてもよい。また
図1~
図10には、太陽光発電装置2が鉛直方向に延びた状態で太陽光発電装置2を建設材100に支持させる例を示しているが、建造物に支持された太陽光発電装置2が延びる方向も、上記の鉛直方向に限定されず、建造物の構造等に応じて適宜調整され得る。鉛直方向に対して傾斜した建造物の面に太陽光発電装置2を支持させる場合や、建造物に支持された太陽光発電装置2が延びる方向が鉛直方向ではない場合も、太陽光発電装置2及び支持構造を上述した特徴を有するものとすることで、上記と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0123】
1,60 支持構造
2 太陽光発電装置
3,3A,3B,3C,3D,3E,3F,3G 被支持部材
4 太陽光発電装置の本体部
5,5A,5B,5C,5D 硬質部材
6 本体部の表面
7 バリアシート
7a バリアシートの一部
8 本体部の裏面
9 バックシート
9a バックシートの一部
10 発電部
11 封止剤、
12,12A,12B 被挟持部
13 封止縁材
14 本体部の残部
15 芯材
16 封止縁材
17 バックシート本体
18 バックシート封止部
19 バックシート重合部
50 硬質部材の貫通孔
51 硬質部材のスリット
52 バリアシート本体
53 バリアシート封止部
54 バリアシート重合部
71,71A,71B 厚肉部
72 薄肉部
80 被支持部材のスリット
100 建設材
101 建設材の孔
102 建設材の螺子孔
【要約】
【課題】止水性を維持しつつ、建設材に支持させることの可能な可能な太陽光発電装置を提供する。
【解決手段】本発明の太陽光発電装置2は、表面6を構成するバリアシート7と裏面8を構成するバックシート9との間に発電部10が配置された本体部4と、バリアシート7の一部7a、及びバックシート9の一部9aを含む被挟持部12を挟持することで、本体部4に連結される硬質部材5とを備える。太陽光発電装置2は、建設材100に支持された被支持部材3に硬質部材5が取り付けられることで、建設材100に支持される。
【選択図】
図1