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特許7530500溶接工具の自動化のための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】溶接工具の自動化のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B22C 7/02 20060101AFI20240731BHJP
   B22C 9/04 20060101ALI20240731BHJP
   B22C 9/08 20060101ALI20240731BHJP
   B22C 11/00 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
B22C7/02 103
B22C9/04 A
B22C9/08 102
B22C11/00 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023501520
(86)(22)【出願日】2021-07-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 US2021040890
(87)【国際公開番号】W WO2022011139
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】63/049,366
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520449345
【氏名又は名称】キヤノンバージニア, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Canon Virginia, Inc.
【住所又は居所原語表記】12000 Canon Blvd., Newport News, Virginia, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィフェルスキ サード, フランシス
【審査官】和瀬田 芳正
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103963296(CN,A)
【文献】英国特許出願公告第00565514(GB,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0272452(US,A1)
【文献】特開平04-266446(JP,A)
【文献】特開2003-001375(JP,A)
【文献】特表2013-538696(JP,A)
【文献】特開2017-019012(JP,A)
【文献】特開平11-221670(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109483002(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 7/02
B22C 9/04
B22C 9/08
B22C 11/00
B29C 65/18
B23K 3/00-3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端と、所定の工具を取り外し可能に設けられたクイックチェンジツールを備える遠位端とを有するロボットアームを提供することと、
ハンドル、刃搭載フォーク、およびナイフチップを備える前記所定の工具としてのホットナイフであって、前記クイックチェンジツールに取り外し可能に挿入されたホットナイフを提供することと、
前記ナイフチップを目的の温度に加熱することと、
前記ナイフチップが目的の溶接位置に接触するように前記ロボットアームを動かすことと、
あらかじめ決められた時間の間、前記目的の溶接位置で前記ナイフチップを保持ことと、を備える
ワックス鋳型を溶接する自動化された方法。
【請求項2】
前記ロボットアームは、連続するワックス鋳型上に、前記目的の溶接位置を溶接するために、前記ナイフチップを同じ位置に移動するようにプログラムされている、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ロボットアームは、単一のワックス鋳型上に、1つより多くの目的の溶接位置を連続的に溶接するようにプログラムされている、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記目的の溶接位置は、連続するワックス鋳型間で一貫した溶接継手サイズを有する、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記刃搭載フォークは、前記ナイフの刃を目的の深さを有する所定の位置にロックする、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ホットナイフが前記クイックチェンジツール内で移動可能である、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ホットナイフが前記クイックチェンジツール内で回転可能である、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記クイックチェンジツールによって前記ホットナイフが所定の位置にロックされる、
請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項9】
近位端と、所定の工具を取り外し可能に設けられたクイックチェンジツールを備える遠位端とを有するロボットアームと、
ハンドル、刃搭載フォーク、およびナイフチップを備える前記所定の工具としてのホットナイフであって、前記クイックチェンジツールに取り外し可能に挿入されたホットナイフを備える
溶接装置。
【請求項10】
前記刃搭載フォークは、前記ナイフチップを目的の深さの所定の位置にロックする、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記クイックチェンジツールはピンチクランプ型マウントである、
請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記ピンチクランプ型マウントはX軸に沿った前記ホットナイフハンドルの移動を可能にする、
請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記ピンチクランプ型マウントは前記ホットナイフハンドルの回転移動を可能にする、
請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記ロボットアームは、あらかじめ決められた時間の間、前記ナイフチップを目的の位置に移動させるように構成する、
請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接工具の自動化のための方法および装置に関する。
【0002】
優先権および、参照による組み込み
本出願は、2020年7月8日に出願された米国仮特許出願第63/049366号の優先権を主張しており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0003】
技術分野
【0004】
本開示は、ロストワックス鋳造で使用可能なワックス鋳型の自動化された組立および/または調製に使用するための方法および装置に関する。
【0005】
背景技術
【0006】
ロストワックス法を用いた金属製品の鋳造は、古くからよく知られた方法であり、宝飾品の製造、歯科、芸術、産業などを含む分野で現在でも広く使用されている。産業用に使用される場合、ロストワックス鋳造は焼流し精密鋳造とも呼ばれ、精密金属部品を作成するためのエンジニアリングおよび製造用途で一般的に使用される。
【0007】
伝統的に、ロストワックス鋳造は手作業で行われるプロセスであり、ワックス鋳型は手作業で組み立てるため、手間と時間とがかかり、部品の配置にも大きなばらつきの度合いを許す。作業者は必要な部品を全て集めてから、組み立て工程を開始する。テンプレート、焼き鏝、溶融したワックスおよび他の方法を使って、特定のワックス鋳型の作業標準に従ってワックス鋳型の複数の部品を組み立てる。組み立て工程中、作業者は各部品をその特定の位置に配置し、複数の部品をサイズに合わせてトリミングしたり溶かしたりしてフィットさせるためにカスタマイズしてから、目的の位置に配置する必要がある。
【0008】
ワックス鋳型の各部品が完成品の品質要件を満たしていることを検証するために、ワックス鋳型は次に検査ステーションに移される。検査ステーションでは、作業者が各部品およびその支持構造物の位置を手動で検証するために、1つずつに各部品/構造物の上にテンプレートをスライドさせ、組み立てられたワックス鋳型を回転させて各位置を検証する。
【0009】
ロストワックス鋳造の工程には、図4に示した工程、すなわち、ワックスの注入、パターンの組み立て、シェルの製造、脱ワックス、金属の注入、シェルの除去が含まれ、完成品が得られる。この工程では、セラミックシェルを形成する(シェル製造)ように硬化するセラミックスラリーにワックス鋳型を浸す。ワックス鋳型は、ワックスの部品を溶接物の形に組み立てることで作成される。これらの部品は、射出成形、3D印刷、またはその他の(通常は付加的な)製造方法で作成される。これらの固形ワックス部分は、焼き鏝、溶融した液体ワックス、またはその両方の組み合わせを使用して、手作業で溶接(融合)される。
【0010】
その後、シェルが加熱され、ワックスが除去される(脱ワックス)。プロセスの次のステップは、通常、金属注入であるが、時々金属注入の前にシェルの追加の準備(シェル準備)を行う必要がある場合があり、これにはセラミックシェルの一部の意図的な破砕や除去が含まれる場合がある。
【0011】
このプロセスを自動化する試みは、鋳型の部品の配置および溶接だけでなく、鋳型の測定および検査も含む、その構成パーツおよびそのプロセスの各ステップの正確な精度を必要とする。
【0012】
より具体的には、ワックス鋳型の組み立てには、一般的に、チップサイズおよび形状が異なる市販のはんだ付け用ナイフが使用される。これらのさまざまな溶接ナイフは、特定の場所でワックス片を加熱して互いに溶かし合わせ、鋳造のためのマスターパーツを形成するために使用される。このプロセスは手作業で行われ、通常は市販または自家製のハンドヘルドはんだ付け用ナイフを使用する。
【0013】
自動化でのワックスパターンを組み立てることは、通常、新しいエンドオブアームツーリング(EOAT)ブラケットを備えた従来の手動工具を採用する。自動化における交換またはクラッシュ回復プロセスは一貫性がなく、多くの不整合を有し得る。さらに、様々な溶接を行い、様々な領域に到達するために、複数のホットナイフチップサイズまたはエクステンションが一般的に利用される。ナイフがパーツに接触する方向は、キーイング機能や反復可能な延長長さを持たない手動工具の適応により、依然として変化し得る。
【0014】
自動化への移行が完了しても、EOAT/自動化におけるホットナイフの方向付け機能の不足を補うために、ホットナイフチップの向きを変えてロボットを正しい位置に再プログラムするための余分な労働力および技術的スキルは依然として必要とされる。
【0015】
開示の概要
本開示の態様によれば、ナイフ接合作業を実行するために特別に設計されたナイフの刃またはチップを備えるホットナイフが提供される。ナイフはロボットアームの端に接続するクイックチェンジツールに実装され、ロボットアームは自動鋳型溶接のための利点を提供するようにプログラムされる。
【0016】
本開示の他の態様によれば、取り外し可能な刃を有するホットナイフに接続されたロボットアームを提供することを備える、ナイフ接合作業を実行する自動化された方法が提供される。
本開示のさらに他の態様によれば、ホットナイフが取り外し可能に取り付けられたロボットアームを備える溶接装置が提供される。
【0017】
本開示のこれらおよびその他の実施形態、対象、特徴、および利点は、添付の図面と関連する以下の本開示の例示的な実施形態の詳細な説明、ならびに提供する特許請求の範囲を読めば、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本明細書に組み込まれ、明細書の一部を形成する添付の図面は、本開示の様々な実施形態、対象、特徴および利点を例示する。
【0019】
図1は、クイックチェンジ搭載フォークに取り付けられた例示的な交換可能なナイフチップを示す。
【0020】
図2は、クイックチェンジ搭載フォークに取り付けられた例示的な交換可能なナイフチップの側面図である。
【0021】
図3は、クイックチェンジ搭載フォークに取り付けられた例示的な交換可能なナイフチップの上面図である。
【0022】
図4は、焼流し精密鋳造法のプロセス図である。
【0023】
これらの図を通して、特に明記しない限り、示された実施形態の同様の特徴、要素、構成部分または部分には、同じ参照番号および符号が使用されている。さらに、本開示は、これらの図を参照して詳細に説明されるが、その説明は、例示的な実施形態に関連してなされる。添付の請求項によって定義されるこの本開示の真の範囲および趣旨から免脱することなく、記載された例示的な実施形態に変更および改変を加えることができることが意図されている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の例示的な実施形態について、添付の図面を参照して以下に詳細に説明される。なお、以下の例示的な実施形態は、本開示を実施するための一例に過ぎず、本開示が適用される装置の個々の構成や様々な条件に応じて適切に改変または変更することができる。このように、本開示は、決して以下の例示的な実施形態に限定されるものではない。ここで明示的に組み合わせて提供されていない場合でも、記載されたいずれの実施形態も他の実施形態と組み合わせることができることに特に留意されたい。
【0025】
本開示は、いくつかの例示的な実施形態を有しており、当業者に既知の詳細については、特許、特許出願、および他の参考文献に依存する。したがって、本明細書において、特許、特許出願、または他の参考文献が引用される、または繰り返されるとき、それらは、記載されている提案だけではなくあらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれることを理解されたい。
【0026】
本開示は、ワックス鋳型組立工程で使用されるようなナイフ接合作業を自動化するのに有用である。本開示は、このようなナイフ接合作業を使用するあらゆるプロセスに広く適用できるにもかかわらず、本開示は、例示的な実施形態としてワックス鋳型の組み立てを使用する。ワックス鋳型組み立てプロセスの自動化には、1つ以上のロボットを使用して、完成した鋳型を形成するためにワックス鋳型の構成部分を取得、配置、および溶接することが含まれることが可能である。このような自動化には、1つ以上のロボットのアームの遠位端が鋳型組み立てプロセスで使用する1つ以上の工具を受け入れるように構成される、End of Arm Tooling(EOAT)の使用が含まれることが可能である。いくつかの実施形態では、そのような構成は、ロボットアームの遠位端に取り外し可能に取り付けられたクイックチェンジ搭載フォークのようなクイックチェンジツールを含むことができる。本開示全体を通して、「クイックチェンジ搭載フォーク」が使用されるが、このような項目は、本開示によって利用されることができるクイックチェンジツールの非限定的な例であるし、他の同様のツールを代替において使用することができる。上記のクイックチェンジ搭載フォークは、例えば、ねじまたは他の類似の留め具を緩めることによって、クイックチェンジ搭載フォークが開かれたり緩められたりされる、迅速かつ簡単な工具交換を容易にすることができ、現在の工具をクイックチェンジ搭載からスライド可能に取り外すことが可能となる。取り外し時に、次に目的の工具はクイックチェンジ搭載フォークにスライド可能に挿入され、ねじまたはその他の留め具が締め付けられたり閉じられたりされることで目的の工具が所定の位置に保持される。一つの実施形態では、目的の工具をクイックチェンジ搭載フォーク内の目的の深さまで挿入され、および/または工具をロボットアームに対して目的の角度に配置するため、クイックチェンジ搭載フォーク内で回転させられる。特定の実施形態では、目的の工具およびクイックチェンジ搭載フォークは、位置合わせを支援するために、例えば、ガイドまたは溝の形で、位置決めガイドを含むことができる。他の実施形態では、自動化されたロボットシステムは、例えば、事前にプログラムされた座標または光学的フィードバックに基づいて、クイックチェンジ搭載フォークおよび目的の工具を位置合わせてもよい。
【0027】
特定の実施形態では、目的の工具はホットナイフであり得る。ホットナイフは、刃とハンドルとを備えることができ、ここで、ナイフは刃を所望の温度に加熱するように構成される。このような実施形態では、ハンドルは近位端と遠位端とを有することができ、ここで、近位端はロボットアームの遠位端のクイックチェンジ搭載フォークに挿入されるように構成される。このようなホットナイフは、電源装置に電気的に接続することもできるし、その電気的接続や電源装置自体をロボットアームに組み込むこともできる。特定の実施形態では、ホットナイフのハンドルの近位端は、ロボットアームのクイックチェンジ搭載フォークに挿入されるように構成される。挿入される時、ハンドルの近位端がロボットアームのクイックチェンジ搭載フォークに取り外し可能に嵌合するまたはかみ合うように、ハンドルの近位端は、任意の適切な形状にすることができる。特定の実施形態では、ハンドルの近位端は、クイックチェンジ搭載フォーク内での回転を可能にするよう形成されている。このような回転は,360度にわたって自由に行うことができ、または、このような回転は特定の制限された構成を有することができる。回転を自由に行うことができるそれらの事例では、例えば、ハンドルの近位端を円筒形にし、クイックチェンジ搭載フォークにハンドルが挿入された後に回転が発生できるように、一致する円筒形のアイテムを受け入れるようにクイックチェンジ搭載フォークを構成することができる。別の非限定的な実施形態では、ハンドルの近位端およびクイックチェンジ搭載フォークは、それぞれ、例えば、三角形、正方形、多角形などのように形状することができ、そのため、ハンドルの近位端は、クイックチェンジ搭載フォークに挿入する前に回転させることができるが、回転は、クイックチェンジ搭載フォークの対応する形状に一致しなければならない(例えば、ハンドルが四角い形状で、クイックチェンジ搭載フォークが対応する四角い開口部を有するように構成されている場合、ハンドルは90度、180度、270度、360度のように設定された量だけ回転させることができる)。さらなる実施形態では、ハンドルの近位端は、ロボットアームの遠位端のクイックチェンジ搭載フォークにハンドルを挿入することが刃を加熱するための電気的接続を提供するように構成することができる。特定の実施形態では、刃の加熱はユーザーが直接制御することができる。他の実施形態では、刃の加熱は、ロボットによって、またはそのようなロボットを備えるシステムによって、実行される事前にプログラムされた命令により制御することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、ホットナイフは交換可能な刃を有するハンドルを備えることができ、これによりユーザーは、目的の用途に適用できる刃を選択することができる。ハンドルの遠位端は、目的の刃を受け入れて保持するように構成された搭載フォークを備えることができる。特定の実施形態では、刃搭載フォークは、ピンチクランプまたは他の適切なタイプのものであってもよい。刃搭載フォークは、選択した刃の周囲にねじまたは他の類似ハードウェアにより固定できる。刃搭載フォークは、スリット開口部、長方形開口部、またはその他の適切な形状など、目的の刃を受け取るのに適した開口部を有することができる。いくつかの実施形態では、刃搭載フォークの開口部は、刃上の対応する突起に接合する溝、チャネル、または凹みを有することができ(またはその逆)、刃搭載フォーク内の刃の特定の位置合わせを保証する。本開示で使用するための例示的な刃は、目的の用途に応じて、異なる幅、形状、サイズを有することができ、または異なる材料で作ることができる。特定の実施形態では、刃は中実の材料片とすることもできるし、刃は中心が開いている目的の形状の輪郭であるように形成することもできる。
【0029】
ワックス鋳型の組み立て工程中に、溶接ジョイントを作成することで、鋳型の断片を結合することができる。基本的には、ホットナイフの刃やチップなどの加熱されたコンポーネントが、目的の時間の間、ワックスに接触し、目的の溶融の度合いを引き起こし、溶融したワックスは鋳型の構成部分間に溶接ジョイントを作成する。特定の実施形態では、加熱されたコンポーネントがワックスに触れる時間の長さは、ロボットによって、または1つ以上のロボットを備えるシステムによって実行される事前にプログラムされた命令により決定される。他の実施形態では、加熱されたコンポーネントがワックスに触れる時間の長さは、使用時にユーザーにより決定される。加熱されたコンポーネントがワックスに触れる特定の位置は、ロボットによって、または1つ以上のロボットを備えるシステムによって実行される事前にプログラムされた命令により決定することができる。代わりに、または、さらに、ユーザーは直接的にロボットアームを、加熱されたコンポーネントがワックス鋳型の目的の位置に触れるようにさせることができる。現在開示されているホットナイフを使用してワックス接合プロセスを自動化することにより、溶接継手の一貫性が提供され、自動化されたプロセスの固有の再現性により、より高品質な部品が作成される。自動化されたプロセスによって可能になったこの繰り返し可能な品質および/または再現性は、プロセスが異なる技術者によって実行された場合でも留まることとなる。
【0030】
現在開示されている、ロボットアームを備えたアーム先端工具として使用するためのホットナイフは、ワックス鋳型を作るプロセスに対して、および結果として得られる鋳型自体に対してさらなる改善をも提供する。本開示の使用は、ナイフハンドルをクイックチェンジ搭載フォーク内の位置にロックしたままにすることで、刃の向きを維持しながら交換可能な刃を素早く交換することができるため、保全および停止時間を短縮することによって、プロセスを合理化することができる。刃の長さは、ロックされたナイフハンドルによって、および、刃を挿入する特定の深さを有する刃搭載フォークの設計によっても維持される。
【0031】
さらに、クイックチェンジ搭載フォークを容易に取り外して代替バージョンに置き換えることができるし、クイックチェンジ搭載フォークが任意の目的のナイフ構成を受け入れて可能にすることは、本開示の範囲内である。クイックチェンジ搭載フォークは、工具自体に変更を加えても工具座標位置を保持する。
【0032】
別の実施形態では、本開示は、ホットナイフおよびロボットアーム自体の全長の伸縮などの自動化機能を可能にし、組み立てられている部分の限定空間の中へホットナイフが到達する能力を提供する。さらに、本開示によって提供される自動化は、ホットナイフが基板(すなわちワックス鋳型)に触れる時の特定のタイミングを提供し、それによって、接触時間が短すぎたり長すぎたりすることから起こりうる欠陥を削減する。別の実施形態では、クイックチェンジ搭載フォークのモジュラー性により、自動化されたシステムは、(必要に応じて異なるナイフの刃またはチップで)すべての目的の溶接を実行するために普遍的に機能することができる。
【0033】
したがって、本開示の一実施形態として、近位端と取り外し可能に取り付けられたクイックチェンジツールを備える遠位端とを有するロボットアームを提供することと、ハンドル、刃搭載フォーク、およびナイフチップを備え、クイックチェンジツールに取り外し可能に挿入されたホットナイフを提供することと、ナイフチップを目的の温度に加熱することと、ナイフチップが目的の溶接位置に接触するようにロボットアームを動かすことと、あらかじめ決められた時間の間に、目的の溶接位置でナイフチップを保持することと、を備えるワックス鋳型を溶接する自動化された方法が提供される。
【0034】
さらなる実施形態では、ロボットアームは、連続するワックス鋳型上の目的の溶接位置を溶接するために、ナイフチップを同じ位置に移動するようにプログラムされる。ロボットアームは、1つのワックス鋳型上に複数の目的の溶接位置を連続的に溶接するようにプログラムすることもできる。別の実施形態では、目的の溶接位置は、連続するワックス鋳型間に一貫した溶接継手サイズを有する。
【0035】
別の実施形態では、刃搭載フォークは、ナイフの刃を目的の深さの所定の位置にロックする。ホットナイフは、クイックチェンジツール内で横方向に移動可能でることは可能であり、および/またはクイックチェンジツール内で回転可能であることは可能である。位置が決まったら、ホットナイフはクイックチェンジツールによって所定の位置にロックされる。
【0036】
さらに、近位端と取り外し可能なクイックチェンジツールが取り付けられている遠位端とを有するロボットアームと、ホットナイフがハンドル、刃搭載フォーク、およびナイフチップを有する、クイックチェンジツールに取り外し可能に挿入されたホットナイフと、を備える溶接装置が提供される。
【0037】
特定の実施形態では、刃搭載フォークは、ナイフチップを目的の深さの所定の位置にロックする。別の実施形態では、クイックチェンジツールは、ピンチクランプ式マウントである。ピンチクランプマウントは、X軸に沿ったホットナイフハンドルの移動(横方向の移動)を可能にし、ピンチクランプ式マウントは、ホットナイフハンドルの回転移動を可能にする。ロボットアームは、あらかじめ決められた時間の間、ナイフチップを目的の位置に移動させるように構成することができる。
【0038】
さらに、ハンドル、刃搭載フォーク、および刃またはチップを備えるホットナイフが提供される。刃搭載フォークに刃を取り外し可能に取り付けることができる。さらに、ホットナイフは、ロボットアームに取り外し可能に取り付けるように構成することができる。
【0039】
図1を参照すると、(ハンドル10、刃搭載フォーク3、ナイフの刃またはチップ5、およびオプションで電気接続部12を備える)自動化されたホットナイフ11は、例えば、ワックス鋳型を作成するプロセスで、ナイフの接合作業を行うように特別に設計されている。ホットナイフ11は、クイックチェンジツール2との組み合わせで、エンドオフアームツーリング1を構成する。ホットナイフ11は、ロボットアームの先端に接続するクイックチェンジツール2(クイックチェンジ搭載フォークであってもよい)に取り付けられている。溶接継手ごとにナイフが同じ位置までに移動するように、ロボットアームがプログラムされている。ナイフがワックスに接触する時間は溶接継手ごとに特別に設定されており、繰り返し性を得ている。
【0040】
クイックチェンジツール2は、ナイフハンドル10を受け入れ、クイックチェンジツール2内のハンドル10をX軸7に沿って広範囲に調整することができるため、ユーザーは(自動化されたシステムを介することを含む)目的の使用方法に基づいてナイフ11をクイックチェンジツール2内に正確に配置することができる。ナイフ11はX軸を中心に回転することもできる。所定の位置に収まったら、ロックファスナー4を使用してナイフハンドル10を所定の位置にロックする。ナイフ11をクイックチェンジツール2にロックすることで、ナイフ11の向きを失うことなく、ナイフの刃またはチップ5を交換することができる。
【0041】
同様に、刃搭載フォーク3は、ナイフハンドル10の遠位端に取り付けられ、ナイフの刃またはチップ5を受け入れる。ナイフの刃やチップ5は、必要に応じて、刃搭載フォーク3内で簡単に交換できる。ナイフの刃またはチップ5を変更または交換して、実行される接合に基づいて異なる幅6または異なるプロファイルを有するナイフの刃またはチップ5を提供することができる。ホットナイフ11を使用する各用途は、使用するナイフの刃またはチップ5の特定の幅を決定することによって最適化することができる。溶接ナイフの刃またはチップ5の幅6は、一度に目的の溶接継手の表面全体を加熱するように設計できる。これにより、部品間の接触面を一定に保て、安定した溶接継手および接着を実現できる。
【0042】
刃搭載フォーク3はナイフの刃またはチップ5の交換を以前の刃と正確に同じ位置で行うことを可能にするので、刃搭載フォーク3は向きを失うことなくこのようなナイフの刃またはチップ5の交換を可能にする。
【0043】
図2は、ホットナイフ11の側面図を提供する。刃搭載フォーク3は、交換可能なナイフ刃またはチップ5の深さが正の位置特徴9として機能するように、ナイフ刃またはチップ5を受け入れ、続いて変更される各刃が以前の刃と同じ位置に配置されるようにする。ナイフハンドル10は、クイックチェンジツール2内で横方向に動かすことも、クイックチェンジツール内で回転させることもできる。目的の位置に収まったら、ナイフハンドル10の周りのクイックチェンジ搭載フォーク2の側面を閉じ、所定の位置にロックするよう、ロックファスナー4を締めることができる。このように、ナイフの刃またはチップ5の交換が、ホットナイフ11の位置決めを変えることはなく、指定された位置が確立されると、例えば、保全の切り替え時を含めて、ナイフの刃またはチップ5の位置/向きが維持される。
【0044】
図3は、ホットナイフ11の上面図を示しており、特に、ロックファスナー4によって所定の位置に保持またはロックされた状態のナイフの刃またはチップ5が刃搭載フォーク3内の配置を示している。刃搭載フォーク3は、ナイフハンドル10の遠位端に取り付けられ、これがクイックチェンジ搭載フォーク2に受け取られ、追加のロックファスナー4によって所定の位置に保持またはロックされる。
【0045】
本開示の実施形態は、上記の1つ以上の実施形態の機能を実行するために、(より完全に「一時的でないコンピュータ可読記憶媒体」と呼ばれることもできる)記憶媒体に記録されたコンピュータ実行可能命令(例:1つ以上のプログラム)を読み出して実行するシステムや装置のコンピュータによって実現することもでき、および/または、上記の1つ以上の実施形態の機能を実行するために、回路(例:特定用途向け集積回路(ASIC))を1つ以上含むシステムや装置のコンピュータによって実現することもできる。本開示の実施形態はまた、例えば、上記の1つ以上の実施形態の機能を実行するために、記憶媒体からコンピュータ実行可能命令を読み出して実行すること、および/または上記の1つ以上の実施形態の機能を実行するために、1つ以上の回路を制御することによって、システムや装置のコンピータによって実行される方法によっても実現することができる。コンピュータは、1つ以上のプロセッサ(例:中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッシングユニット(MPU))を備えることができ、コンピュータ実行可能命令を読み出して実行するための個別のコンピュータや個別のプロセッサのネットワークを含むことができる。コンピュータ実行可能な命令は、例えば、ネットワークや記憶媒体からコンピュータに提供されることができる。記憶媒体は、例えば、1つ以上のハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、分散コンピューティングシステムのストレージ、光ディスク(コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、Blu-ray Disc(BD)TMなど)、フラッシュメモリ装置、メモリカードなどを含むことが出来る。I/Oインターフェイスを使用して、キーボード、ディスプレイ、マウス、タッチスクリーン、タッチレスインターフェイス(例えば、ジェスチャー認識装置)、印刷装置、ライトペン、光記憶装置、スキャナー、マイク、カメラ、ドライブ、通信ケーブル、およびネットワーク(有線または無線のいずれか)などを含むことができる入出力装置に通信インターフェイスを提供できる。
【0046】
定義
説明においては、開示する実施例が完全に理解されるように、具体的な詳細を記載している。他の例では、周知の方法、手順、構成要素、および回路については、本開示を不要に長くすることを避けるために、詳細には説明していない。
【0047】
本明細書では、ある要素または部分が、別の要素または部分「の上にある」、「に接している」、「に接続されている」、または「に結合されている」と言及される場合、それは、直接にその別の要素または部分「の上にある」、「に接している」、「に接続されている」、または「に結合されている」こともあるし、あるいは介在する要素または部分が存在することもあることを理解されたい。これに対して、ある要素が、別の要素または部分「の上に直接にある」、「に直接に接続されている」、または「に直接に結合されている」と言及される場合には、介在する要素または部分は存在しない。「および/または」という用語を用いるときには、関連して列挙されている項目があれば、そのうちの1つまたは複数のあらゆる組合せを含む。
【0048】
本明細書では、「の下(under)」、「の真下(beneath)」、「の下方(below)」、「の下側(lower)」、「の上方(above)」、「の上側(upper)」、「近位(proximal)」、「遠位(distal)」等の空間的に相対的な用語を、様々な図面に示すある要素または特徴の別の(1つまたは複数の)要素または特徴に対する関係を記述する際に、説明を容易にするために用いることがある。しかし、これらの空間的に相対的な用語は、図面に示す配向に加えて、使用時または動作時における装置の様々な配向をも包含することを意図するものと理解されたい。例えば、図中の装置を反転した場合には、別の要素または特徴の「下方(below)」または「真下(beneath)」と記述された要素が、それらの別の要素または特徴の「上方(above)」に配向されることになる。したがって、「の下方(below)」等の相対的な空間用語は、上および下の両方の配向を包含することができる。装置は、その他の配向にすることもでき(90度またはその他の配向に回転させることもでき)、本明細書で用いる空間的に相対的な記述語は、それに応じて解釈されるものとする。同様に、「近位(proximal)」および「遠位(distal)」という相対的な空間用語も、適用可能な場合には、入れ換えることができることもある。
【0049】
本明細書で用いる「約」という用語は、例えば、10%以内、5%以内、またはそれ未満を意味する。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、測定誤差内を意味することもある。
【0050】
本明細書では、第1、第2、第3等の用語を、様々な要素、構成要素、領域、部分、および/または区画を説明するために用いることがある。これらの要素、構成要素、領域、部分、および/または区画は、これらの用語によって限定されないものと理解されたい。これらの用語は、単にある要素、構成要素、領域、部分、または区画を、別の領域、部分、または区画と区別するために用いているに過ぎない。したがって、以下に論じる第1の要素、構成要素、領域、部分、または区画は、本明細書の教示を逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、部分、または区画と呼ぶこともできる。
【0051】
本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することは意図していない。本開示を説明する文脈における(中でも、添付の特許請求の範囲の文脈における)「1つの(a,an)」および「前記/その(the)」という用語ならびに類似の指示語の使用は、本明細書で別段の指示がない限り、またはそうでないことが文脈から明らかでない限り、単数形および複数形の両方を含むと解釈されるものとする。「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」および「含有する(containing)」という用語は、別段の言及がない限り、非限定用語(すなわち、「含むが、それに限定されない」を意味する)と解釈されるものとする。具体的には、本明細書でこれらの用語を用いるとき、記載する特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを指定するが、明示的には述べられていない1つまたは複数のその他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループが存在すること、あるいは追加されることを排除するものではない。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書で別段の指示がない限り、単にその範囲に該当する各別個の値について個々に言及する簡略表記法として機能するよう意図するものに過ぎず、各別個の値は、それが本明細書においては個々に記載されたかのごとく本明細書に組み込まれる。例えば、10~15の範囲を開示する場合には、11、12、13および14もまた開示される。本明細書に記載する全ての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、またはそうでないことが文脈から明らかでない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書に提示するあらゆる例または例示的な言葉(例えば、「等の(such as)」)の使用は、単に本開示をより明確にすることを意図するものに過ぎず、別段に特許請求の範囲に記載がない限り、本開示の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉も、特許請求の範囲に記載のない任意の要素が、本開示の実施に必須であることを示すものではないと解釈されたい。
【0052】
本開示の方法および構成は、様々な実施形態の形で組み込むことができ、そのほんの一部が本明細書に開示されているに過ぎないことを理解されたい。それらの実施形態の変形形態は、上述の説明を読めば、当業者には明白であろう。本発明者らは、当業者がそのような変形形態を必要に応じて採用するものと想定しており、また、本開示が、本明細書に具体的に記載されたものとは別様に実施されることを意図している。したがって、本開示は、適用法により許容されるように、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される主題の全ての修正形態および均等物を含む。さらに、本明細書で別段の指示がない限り、またはそうでないことが文脈から明らかでない限り、その全ての可能な変形形態における上記要素の任意の組み合わせが、本開示に包含される。
図1
図2
図3
図4