(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】工具搬送システム、制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/155 20060101AFI20240731BHJP
B23Q 3/157 20060101ALI20240731BHJP
B23Q 7/04 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
B23Q3/155 E
B23Q3/157 B
B23Q3/157 J
B23Q7/04 M
(21)【出願番号】P 2023529204
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 JP2021023365
(87)【国際公開番号】W WO2022269673
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2024-06-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【氏名又は名称】北原 悠樹
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【氏名又は名称】藤原 賢司
(72)【発明者】
【氏名】安木 詠介
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特許第6860735(JP,B1)
【文献】特開昭59-166437(JP,A)
【文献】特許第4927228(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/155-3/157,7/04,41/02;
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具搬送システムであって、
工作機械と、
複数の工具ホルダーを収納可能に構成される工具収納部とを備え、前記複数の工具ホルダーの各々は、工具を保持可能に構成されており、
前記工具搬送システムは、さらに、
作業者が工具ホルダーに対する作業を行うための作業ステーションと、
前記工作機械内にある工具ホルダーと、前記工具収納部内にある工具ホルダーと、前記作業ステーション内にある工具ホルダーとの内の指定された工具ホルダーを、前記工作機械と、前記工具収納部と、前記作業ステーションとの内の指定された搬送先に搬送するための搬送装置と、
前記工具搬送システムを制御するための制御部とを備え、
前記制御部は、
前記工作機械からの搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが含まれているか否かを判断する処理と、
前記搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが含まれている場合、前記搬出対象の工具ホルダーを前記工作機械から前記作業ステーションに搬送するように前記搬送装置を制御する処理とを実行する、工具搬送システム。
【請求項2】
前記制御部は、さらに、前記搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが含まれていない場合、前記搬出対象の工具ホルダーを前記工作機械から前記工具収納部に搬送するように前記搬送装置を制御する処理を実行する、請求項1に記載の工具搬送システム。
【請求項3】
前記制御部は、さらに、前記工作機械が保持している複数の工具ホルダーの内から、前記搬出対象の工具ホルダーを決定する処理を実行し、
前記決定する処理では、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが、使用可能状態の工具を保持している工具ホルダーよりも優先して、前記搬出対象の工具ホルダーとして決定される、請求項1または2に記載の工具搬送システム。
【請求項4】
前記制御部は、さらに、前記搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーと、使用可能状態の工具を保持している工具ホルダーとが含まれている場合、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーを前記作業ステーションに搬送した後に、使用可能状態の工具を保持している工具ホルダーを前記工具収納部に搬送するように前記搬送装置を制御する処理を実行する、請求項1~3のいずれか1項に記載の工具搬送システム。
【請求項5】
前記作業ステーションは、複数の工具ホルダーを収納可能に構成され、
前記作業ステーションに収納可能な工具ホルダーの数は、前記工具収納部に収納可能な工具ホルダーの数よりも少ない、請求項1~4のいずれか1項に記載の工具搬送システム。
【請求項6】
前記制御部は、さらに、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーを前記工作機械から前記作業ステーションに搬送した場合において、前記作業ステーション内における工具ホルダーの収納スペースに空きが無いときには、前記作業ステーション内に収納されている工具ホルダーの内で、新品の工具を保持している工具ホルダーを前記作業ステーションから搬出させるように前記搬送装置を制御する処理を実行する、請求項5に記載の工具搬送システム。
【請求項7】
工具搬送システムの制御方法であって、
前記工具搬送システムは、
工作機械と、
複数の工具ホルダーを収納可能に構成される工具収納部とを備え、前記複数の工具ホルダーの各々は、工具を保持可能に構成されており、
前記工具搬送システムは、さらに、
作業者が工具ホルダーに対する作業を行うための作業ステーションと、
前記工作機械内、前記工具収納部内、および前記作業ステーション内にある工具ホルダーの内の指定された工具ホルダーを、前記工作機械、前記工具収納部、および前記作業ステーションの内の指定された搬送先に搬送するための搬送装置とを備え、
前記制御方法は、
前記工作機械からの搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが含まれているか否かを判断するステップと、
前記搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが含まれている場合、前記搬出対象の工具ホルダーを前記工作機械から前記作業ステーションに搬送するように前記搬送装置を制御するステップとを備える、制御方法。
【請求項8】
工具搬送システムの制御プログラムであって、
前記工具搬送システムは、
工作機械と、
複数の工具ホルダーを収納可能に構成される工具収納部とを備え、前記複数の工具ホルダーの各々は、工具を保持可能に構成されており、
前記工具搬送システムは、さらに、
作業者が工具ホルダーに対する作業を行うための作業ステーションと、
前記工作機械内、前記工具収納部内、および前記作業ステーション内にある工具ホルダーの内の指定された工具ホルダーを、前記工作機械、前記工具収納部、および前記作業ステーションの内の指定された搬送先に搬送するための搬送装置とを備え、
前記制御プログラムは、前記工具搬送システムに、
前記工作機械からの搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが含まれているか否かを判断するステップと、
前記搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが含まれている場合、前記搬出対象の工具ホルダーを前記工作機械から前記作業ステーションに搬送するように前記搬送装置を制御するステップとを実行させる、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作機械に工具を自動搬送するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第6793278号公報(特許文献1)は、加工に使用される工具を工作機械に自動で搬送する工具搬送システムを開示している。当該工具搬送システムは、複数の工具ホルダーを収納可能な工具収納部を有し、指定された工具ホルダーを工作機械に搬送する。また、当該工具搬送システムは、不要な工具を保持している工具ホルダーを工作機械から搬出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される工具搬送システムは、工作機械から搬出された工具を工具収納部に搬送する。工作機械から搬出された工具には、使用可能状態の工具だけでなく、使用不能状態の工具も含まれ得る。使用不能状態の工具が工具収納部に搬送される場合、使用不能状態の工具が工具収納部に残る。その結果、工具収納部における工具ホルダーの収納スペースが無駄に使用されることになる。このような無駄を防ぐために、工具収納部内において工具ホルダーの収納スペースを確保することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一例では、工具搬送システムは、工作機械と、複数の工具ホルダーを収納可能に構成される工具収納部とを備える。上記複数の工具ホルダーの各々は、工具を保持可能に構成されている。上記工具搬送システムは、さらに、作業者が工具ホルダーに対する作業を行うための作業ステーションと、上記工作機械内にある工具ホルダーと、上記工具収納部内にある工具ホルダーと、上記作業ステーション内にある工具ホルダーとの内の指定された工具ホルダーを、上記工作機械と、上記工具収納部と、上記作業ステーションとの内の指定された搬送先に搬送するための搬送装置と、上記工具搬送システムを制御するための制御部とを備える。上記制御部は、上記工作機械からの搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが含まれているか否かを判断する処理と、上記搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが含まれている場合、上記搬出対象の工具ホルダーを上記工作機械から上記作業ステーションに搬送するように上記搬送装置を制御する処理とを実行する。
【0006】
本開示の一例では、上記制御部は、さらに、上記搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが含まれていない場合、上記搬出対象の工具ホルダーを上記工作機械から上記工具収納部に搬送するように上記搬送装置を制御する処理を実行する。
【0007】
本開示の一例では、上記制御部は、さらに、上記工作機械が保持している複数の工具ホルダーの内から、上記搬出対象の工具ホルダーを決定する処理を実行する。上記決定する処理では、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが、使用可能状態の工具を保持している工具ホルダーよりも優先して、上記搬出対象の工具ホルダーとして決定される。
【0008】
本開示の一例では、上記制御部は、さらに、上記搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーと、使用可能状態の工具を保持している工具ホルダーとが含まれている場合、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーを上記作業ステーションに搬送した後に、使用可能状態の工具を保持している工具ホルダーを上記工具収納部に搬送するように上記搬送装置を制御する処理を実行する。
【0009】
本開示の一例では、上記作業ステーションは、複数の工具ホルダーを収納可能に構成される。上記作業ステーションに収納可能な工具ホルダーの数は、上記工具収納部に収納可能な工具ホルダーの数よりも少ない。
【0010】
本開示の一例では、上記制御部は、さらに、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーを上記工作機械から上記作業ステーションに搬送した場合において、上記作業ステーション内における工具ホルダーの収納スペースに空きが無いときには、上記作業ステーション内に収納されている工具ホルダーの内で、新品の工具を保持している工具ホルダーを上記作業ステーションから搬出させるように上記搬送装置を制御する処理を実行する。
【0011】
本開示の他の例では、工具搬送システムの制御方法が提供される。上記工具搬送システムは、工作機械と、複数の工具ホルダーを収納可能に構成される工具収納部とを備える。上記複数の工具ホルダーの各々は、工具を保持可能に構成されている。上記工具搬送システムは、さらに、作業者が工具ホルダーに対する作業を行うための作業ステーションと、上記工作機械内、上記工具収納部内、および上記作業ステーション内にある工具ホルダーの内の指定された工具ホルダーを、上記工作機械、上記工具収納部、および上記作業ステーションの内の指定された搬送先に搬送するための搬送装置とを備える。上記制御方法は、上記工作機械からの搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが含まれているか否かを判断するステップと、上記搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが含まれている場合、上記搬出対象の工具ホルダーを上記工作機械から上記作業ステーションに搬送するように上記搬送装置を制御するステップとを備える。
【0012】
本開示の他の例では、工具搬送システムの制御プログラムが提供される。上記工具搬送システムは、工作機械と、複数の工具ホルダーを収納可能に構成される工具収納部とを備える。上記複数の工具ホルダーの各々は、工具を保持可能に構成されている。上記工具搬送システムは、さらに、作業者が工具ホルダーに対する作業を行うための作業ステーションと、上記工作機械内、上記工具収納部内、および上記作業ステーション内にある工具ホルダーの内の指定された工具ホルダーを、上記工作機械、上記工具収納部、および上記作業ステーションの内の指定された搬送先に搬送するための搬送装置とを備える。上記制御プログラムは、上記工具搬送システムに、上記工作機械からの搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが含まれているか否かを判断するステップと、上記搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが含まれている場合、上記搬出対象の工具ホルダーを上記工作機械から上記作業ステーションに搬送するように上記搬送装置を制御するステップとを実行させる。
【0013】
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】工具搬送システムの駆動機構の構成例を示す図である。
【
図3】工具搬送システムにおける工具ホルダーの搬出態様の一例を概略的に示す図である。
【
図4】工具搬送システムの機能構成の一例を示す図である。
【
図5】工具情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】搬送制御部への入力と、当該入力に対する搬送制御部の出力との一例を示す図である。
【
図7】搬送制御部への入力と、当該入力に対する搬送制御部の出力との一例を示す図である。
【
図8】判断部への入力と、当該入力に対する判断部の出力との一例を示す図である。
【
図9】工具搬送システムにおける工具ホルダーの搬出態様の一例を概略的に示す図である。
【
図10】作業ステーションから工具収納部への工具ホルダーの搬入工程の流れを概略的に示す図である。
【
図11】工具収納部から工作機械への工具ホルダーの搬入工程の流れを概略的に示す図である。
【
図12】工作機械から作業ステーションへの工具ホルダーの搬出工程の流れを概略的に示す図である。
【
図13】管理装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【
図14】PLC(Programmable Logic Controller)の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図15】操作端末のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【
図16】工作機械からの工具ホルダーの搬出処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0016】
<A.工具搬送システム10の外観>
図1を参照して、工具搬送システム10について説明する。
図1は、工具搬送システム10の外観を示す図である。
【0017】
図1に示されるように、工具搬送システム10は、作業ステーション200と、工具収納部250と、搬送装置300と、工作機械400とを含む。
【0018】
作業ステーション200は、作業者が工具ホルダーに対する作業を行うための場所である。工具ホルダーは、工具を保持可能に構成されるポットである。作業者は、たとえば、作業ステーション200において、工具ホルダーのセット作業、または工具ホルダーの回収作業を行う。
【0019】
作業ステーション200は、操作端末200Aを含む。操作端末200Aは、工具搬送システム10に対する各種の操作を受け付ける。
【0020】
工具収納部250には、複数の工具ホルダーが収納され得る。工具収納部250は、工具ホルダーの一時置き場として機能する。
【0021】
搬送装置300は、作業ステーション200内にある工具ホルダーと、工具収納部250内にある工具ホルダーと、工作機械400内にある工具ホルダーとの内の指定された工具ホルダーを、作業ステーション200と、工具収納部250と、工作機械400との内の指定された搬送先に搬送する。
【0022】
以下では、搬送装置300が作業ステーション200から工具収納部250若しくは工作機械400に工具ホルダーを運ぶ搬送態様、または、搬送装置300が工具収納部250から工作機械400に工具ホルダーを運ぶ搬送態様を「搬入」とも言う。
【0023】
また、搬送装置300が工具収納部250若しくは工作機械400から作業ステーション200に工具ホルダーを運ぶ搬送態様、または、搬送装置300が工作機械400から工具収納部250に工具ホルダーを運ぶ搬送態様を「搬出」とも言う。
【0024】
また、本明細書でいう「搬送装置」とは、工具ホルダーを搬送する機能を備えた種々の装置を包含する概念である。以下では、搬送装置300の一例として、4~7軸駆動の多関節ロボットを例に挙げて説明を行うが、搬送装置300は、多関節ロボットに限定されない。一例として、搬送装置300は、2~3軸駆動の直交ロボット(オートローダ)であってもよい。あるいは、搬送装置300は、自走式のロボットであってもよい。
【0025】
搬送装置300は、アームロボット330と、レール331と、台車332とを含む。アームロボット330は、台車332の上に固定されている。台車332は、レール331上を移動可能に構成される。工具収納部250および工作機械400は、レール331を挟むように、かつ、レール331に沿って平行に配置される。
【0026】
工作機械400は、搬送装置300による工具ホルダーの搬送先の1つである。
図1には、工作機械400として、6台の工作機械400A~400Fが示されているが、工具搬送システム10に備えられる工作機械400の数は、1台以上であればよい。工作機械400は、予め設計された加工プログラムに従って、指定された工具を用いてワークを加工する。
【0027】
本明細書でいう「工作機械」とは、ワークを加工する機能を備えた種々の装置を包含する概念である。工作機械400は、横形のマシニングセンタであってもよいし、縦形のマシニングセンタであってもよい。あるいは、工作機械400は、旋盤であってもよいし、付加加工機であってもよいし、その他の切削機械や研削機械であってもよい。
【0028】
なお、工具搬送システム10は、パレット搬送システム(図示しない)をさらに備えてもよい。パレット搬送システムは、予め定められた加工スケジュールに従って、ワークを載せたパレットを工作機械400に搬送するためのシステムである。これにより、工具搬送システム10は、工具の自動搬送機能だけでなく、ワークの自動搬送機能を備える。
【0029】
<B.工具搬送システム10の駆動機構>
次に、
図2を参照して、工具搬送システム10における各種の駆動機構について説明する。
図2は、工具搬送システム10の駆動機構の構成例を示す図である。
【0030】
図2に示されるように、工具搬送システム10は、制御部50と、リモートI/O(Input/Output)ユニット71~73と、作業ステーション200と、搬送装置300と、工作機械400とを含む。
【0031】
本明細書でいう「制御部50」とは、工具搬送システム10を制御する装置を意味する。制御部50の装置構成は、任意である。制御部50は、単体の制御ユニットで構成されてもよいし、複数の制御ユニットで構成されてもよい。
図2の例では、制御部50は、管理装置100と、PLC150と、上述の操作端末200Aとで構成されている。また、制御部50は、CNC(Computer Numerical Control)401を含んでもよい。
【0032】
管理装置100は、工具搬送システム10を管理するメインコンピュータである。管理装置100は、1つのコンピュータで構成されてもよいし、複数のコンピュータで構成されてもよい。PLC150は、加工工程を自動化するための種々の産業用機器と通信可能に構成され、当該産業用機器を制御する。操作端末200Aは、工具ホルダーの搬出入に関する各種の操作を受け付けるための端末である。
【0033】
管理装置100、PLC150、および操作端末200Aは、ネットワークNW1に接続される。管理装置100、PLC150、および操作端末200Aは、有線で通信接続されてもよいし、無線で通信接続されてもよい。ネットワークNW1には、EtherNET(登録商標)などが採用される。管理装置100および操作端末200Aは、ネットワークNW1を介して、PLC150に制御指令を送る。当該制御指令によって、搬送対象の工具ホルダー、当該工具ホルダーの搬送先、当該工具ホルダーの搬送開始/停止などが指定される。
【0034】
リモートI/Oユニット71~73およびPLC150は、ネットワークNW2に接続されている。ネットワークNW2には、データの到達時間が保証される、定周期通信を行うフィールドネットワークを採用することが好ましい。このような定周期通信を行うフィールドネットワークとして、EtherCAT(登録商標)、EtherNet/IP(登録商標)、CC-Link(登録商標)、またはCompoNet(登録商標)などが採用される。
【0035】
作業ステーション200は、1つ以上のモータドライバ234と、1つ以上のモータ235とを含む。
図2の例では、2つのモータドライバ234A,234Bと、2つのモータ235A,235Bとが示されている。
【0036】
作業ステーション200内または作業ステーション200周辺には、リモートI/Oユニット71が設置される。リモートI/Oユニット71は、作業ステーション200内の各種駆動ユニット(たとえば、モータドライバ234)と、PLC150との間のデータのやり取りを仲介する。一例として、モータドライバ234は、リモートI/Oユニット71を介してPLC150からの制御指令を一定周期ごとに受け、当該制御指令に従ってモータ235の駆動を制御する。
【0037】
モータ235Aは、たとえば、作業ステーション200内にある後述のマガジンM1(
図10参照)の駆動を制御する。モータ235Bは、たとえば、作業ステーション200内のATC(Automatic Train Control)の駆動を制御する。
【0038】
モータドライバ234は、たとえば、サーボモータ用のドライバであってもよいし、ステッピングモータ用のドライバであってもよい。モータ235は、サーボモータであってもよいし、ステッピングモータであってもよい。
【0039】
搬送装置300は、1つ以上のモータドライバ334と、1つ以上のモータ335とを含む。
図2の例では、2つのモータドライバ334A,334Bと、2つのモータ335A,335Bとが示されている。
【0040】
搬送装置300内または搬送装置300周辺には、リモートI/Oユニット72が設置される。リモートI/Oユニット72は、搬送装置300内の各種駆動ユニット(たとえば、モータドライバ334)と、PLC150との間のデータのやり取りを仲介する。一例として、モータドライバ334は、リモートI/Oユニット72を介してPLC150からの制御指令を一定周期ごとに受け、当該制御指令に従ってモータ335の駆動を制御する。
【0041】
モータ335Aは、たとえば、上述の台車332(
図1参照)の駆動を制御する。モータ335Bは、たとえば、アームロボット330(
図1参照)の駆動を制御する。モータ335Bは、アームロボット330の関節の数に応じて設けられる。
【0042】
モータドライバ334は、たとえば、サーボモータ用のドライバであってもよいし、ステッピングモータ用のドライバであってもよい。モータ335は、サーボモータであってもよいし、ステッピングモータであってもよい。
【0043】
工作機械400は、CNC401と、1つ以上のモータドライバ411と、1つ以上のモータ412とを含む。
図2の例では、2つのモータドライバ411A,411Bと、2つのモータ412A,412Bとが示されている。
【0044】
工作機械400内または工作機械400周辺には、リモートI/Oユニット72が設置される。リモートI/Oユニット72は、工作機械400内の各種駆動ユニット(たとえば、CNC401)と、PLC150との間のデータのやり取りを仲介する。モータドライバ411は、モータドライバ334と同様に、リモートI/Oユニット72を介してPLC150からの制御指令を一定周期ごとに受け、当該制御指令に従って、モータ412の駆動を制御する。
【0045】
モータ412Aは、たとえば、工具を装着可能に構成される主軸を当該主軸の軸方向に駆動する。モータ412Bは、たとえば、主軸の軸方向を中心とした回転方向に主軸を回転駆動する。
【0046】
モータドライバ411は、たとえば、サーボモータ用のドライバであってもよいし、ステッピングモータ用のドライバであってもよい。モータ412は、サーボモータであってもよいし、ステッピングモータであってもよい。
【0047】
<C.搬出態様の概要>
次に、
図3を参照して、工具ホルダーの搬出態様について説明する。
図3は、工具搬送システム10における工具ホルダーの搬出態様の一例を概略的に示す図である。
【0048】
工具搬送システム10は、工具ホルダーを工作機械400から定期的に搬出する。工作機械400から搬出する工具ホルダーの中には、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが含まれている場合がある。
【0049】
「使用不能状態の工具」とは、ワークの加工に用いることが推奨されない回収対象の工具を意味する。一例として、使用不能状態の工具は、摩耗などにより寿命が尽きた工具と、残寿命が所定値以下の工具と、損傷が生じている工具とを含む。工具の損傷の種類としては、たとえば、過大な力がかかったことによる工具の変形、工具の刃欠け、および工具の折損などが挙げられる。これに対して、「使用可能状態の工具」とは、使用不能状態の工具以外の工具を意味する。
【0050】
使用不能状態の工具が工作機械400から工具収納部250に搬出された場合には、工具収納部250における工具ホルダーの収納スペースが無駄に使用されることになる。そこで、工具搬送システム10の制御部50は、工作機械400からの搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが含まれていると判断した場合、当該搬出対象の工具ホルダーを工作機械400から作業ステーション200に搬送するように搬送装置300を制御する。これにより、工具収納部250における工具ホルダーの収納スペースが無駄に使用されることを防止することができる。
【0051】
一方で、制御部50は、搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが含まれていないと判断した場合、当該搬出対象の工具ホルダーを工作機械400から工具収納部250に搬送するように搬送装置300を制御する。これにより、工具搬送システム10は、使用可能状態の工具を工具収納部250に収納することができ、当該工具を再利用しやすくなる。
【0052】
工作機械400からの搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが含まれているか否かを判断するタイミングは、任意である。一例として、当該判断処理は、工作機械400から工具ホルダーを搬出する時に実行される。他の例として、当該判断処理は、工作機械400から工具ホルダーを搬出する前に予め実行される。
【0053】
なお、上述では、使用可能状態の工具が工具収納部250に搬出される例について説明を行ったが、使用可能状態の工具は、必ずしも工具収納部250に搬出される必要は無い。会社によっては、工具の残寿命が少なくなった時点で当該工具を新たな工具と交換する。そのため、制御部50は、搬出対象の工具ホルダーの中に、残寿命が所定閾値未満の工具を保持している工具ホルダーが含まれている場合、当該搬出対象の工具ホルダーを工作機械400から作業ステーション200に搬送してもよい。これにより、工具搬送システム10は、使用不能状態の工具だけでなく、まだ使用可能であるが敢えて使用しないような工具も回収することができる。
【0054】
<D.工具搬送システム10の機能構成>
次に、
図4~
図7を参照して、工具ホルダーの搬送処理を実現するための機能構成について説明する。
図4は、工具搬送システム10の機能構成の一例を示す図である。
【0055】
図4に示されるように、工具搬送システム10は、機能構成として、監視部52と、搬送制御部54と、判断部56とを含む。以下では、これらの構成について順に説明する。
【0056】
なお、各機能構成の配置は、任意である。
図4に示される機能構成の一部または全部は、上述の管理装置100(
図2参照)に実装されてもよいし、上述のPLC150(
図2参照)に実装されてもよいし、上述の操作端末200A(
図2参照)に実装されてもよいし、上述のCNC401(
図2参照)に実装されてもよい。
【0057】
(D1.監視部52)
まず、
図5を参照して、
図4に示される監視部52の機能について説明する。
図5は、工具情報174のデータ構造の一例を示す図である。
【0058】
監視部52は、工作機械400の加工プログラム422を監視し、工作機械400内にある各工具について新品時から現在までの使用量をカウントする。ここでいう「量」とは、時間、距離、および回数を含む概念である。「工具の使用量」は、たとえば、新品状態から現在までに加工で使用された総時間と、新品状態から現在までに加工時に移動した総距離と、新品状態から現在までに加工で使用された総回数とを含む。
【0059】
監視部52は、カウントした使用量に基づいて、
図5に示される工具情報174を更新する。工具情報174は、工具の識別情報の別に、当該工具の使用可能時間と、当該工具の現使用時間と、当該工具の残寿命とを対応付けている。
【0060】
工具情報174に規定されている工具の識別情報は、工具を一意に識別するための情報である。当該識別情報は、工具ごとに予め割り当てられている。一例として、当該識別情報は、ID(Identification)などの工具番号で示されてもよいし、工具名で示されてもよい。
【0061】
工具情報174に規定されている最大使用可能量は、新品時から寿命が尽きるまでの工具の使用可能量を示す指標である。各工具の最大使用可能量は、工具メーカーなどによって予め決められている。
【0062】
工具情報174に規定されている現使用量は、新品時から現在までの工具の使用量を示す指標である。当該現使用量は、監視部52によって更新される。
【0063】
一例として、ワークの加工プログラム422は、工作機械400の主軸に装着する工具を指定するための工具交換命令や、主軸または工具を回転駆動/送り駆動するための駆動命令などを含む。監視部52は、加工プログラム422に規定されている工具交換命令が実行された際に、当該工具の識別情報を記憶しておく。次に、監視部52は、加工プログラム422に規定されている駆動命令が実行されたことに基づいて、当該工具の使用量のカウントを開始する。次に、監視部52は、加工プログラム422に規定されている停止命令または最終行の命令が実行されたことに基づいて、当該工具の使用量のカウントを停止する。次に、監視部52は、工具情報174を参照して、上記記憶した識別情報に対応付けられている現使用量に、カウントされた使用量を加算する。これにより、監視部52は、各工具の現使用量を更新する。
【0064】
工具情報174に規定されている残寿命は、現在から寿命が尽きるまでの工具の使用量を示す指標である。典型的には、当該残寿命は、工具の最大使用可能量から工具の現使用量を差分した結果に相当する。監視部52は、工具情報174に規定されている現使用量を更新した際に、当該残寿命についても更新する。
【0065】
(D2.搬送制御部54)
次に、
図6を参照して、
図4に示される搬送制御部54の機能について説明する。
図6は、搬送制御部54への入力と、当該入力に対する搬送制御部54の出力との一例を示す図である。
【0066】
一例として、搬送制御部54は、加工スケジュール124と、収納情報175とを入力として受け、搬送装置300に対して工具ホルダーの搬送指令を出力する。
【0067】
加工スケジュール124は、たとえば、工作機械400の各々における各ワークの加工予定タイミングと、各加工工程で使用される工具とを規定している。
図6の例では、工作機械400Aの加工スケジュール124が示されている。
【0068】
収納情報175は、工具搬送システム10内における各工具ホルダーの収納場所の別に、当該収納場所に収納されている工具ホルダーの識別情報と、当該工具ホルダーに保持されている工具の識別情報とを対応付けている。
【0069】
収納情報175に規定されている収納場所は、工具搬送システム10内における工具ホルダーの場所を一意に特定するための情報である。一例として、当該収納場所は、作業ステーション200内における工具ホルダーの収納位置と、工具収納部250内における工具ホルダーの収納位置と、搬送装置300内における工具ホルダーの収納位置と、工作機械400内における工具ホルダーの収納位置とのいずれかを示す。
【0070】
収納情報175に規定されている工具ホルダーの識別情報は、工具ホルダーを一意に特定するための情報である。当該識別情報は、工具ホルダーごとに予め割り当てられている。当該識別情報は、IDなどの工具ホルダー番号で示されてもよいし、工具ホルダー名で示されてもよい。
【0071】
収納情報175に規定されている工具の識別情報は、工具を一意に特定するための情報である。当該識別情報は、工具ごとに予め割り当てられている。当該識別情報は、IDなどの工具番号で示されてもよいし、工具名で示されてもよい。当該識別情報は、上述の工具情報174(
図5参照)に規定されている工具の識別情報と対応している。
【0072】
搬送制御部54は、加工スケジュール124を参照して、ワークの加工が対象の工作機械400で開始される前までに使用予定工具を特定しておく。次に、搬送制御部54は、収納情報175を参照して、当該使用予定工具が対象の工作機械400内に無い場合には、作業ステーション200または工具収納部250から対象の工作機械400に使用予定工具を搬送装置300に搬入させる。
【0073】
また、搬送制御部54は、工作機械400内にある工具ホルダーを定期的に搬送装置300に搬出させる。搬出対象の各工具ホルダーが保持する工具の識別情報は、判断部56に出力される。ある局面において、工作機械400からの搬出対象の工具ホルダーは、ランダムに決定される。他の局面において、工作機械400からの搬出対象の工具ホルダーは、予め定められたルールに従って決定される。
【0074】
図7を参照して、工作機械400からの搬出対象の工具ホルダーを予め定められたルールに従って決定する方法の一例について説明する。
図7は、搬送制御部54への入力と、当該入力に対する搬送制御部54の出力との一例を示す図である。
【0075】
一例として、搬送制御部54は、工具の残寿命に基づいて、工作機械400からの搬出対象の工具ホルダーを決定する。このとき、搬送制御部54は、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーを、使用可能状態の工具を保持している工具ホルダーよりも優先して、工作機械400からの搬出対象の工具ホルダーとして決定する。
【0076】
搬出対象の工具ホルダーは、たとえば、上述の工具情報174と、上述の収納情報175とに基づいて決定される。より具体的には、搬送制御部54は、収納情報175を参照して、対象の工作機械400が保持している各工具を特定する。次に、搬送制御部54は、当該特定した各工具の残寿命を工具情報174から取得する。続いて、搬送制御部54は、対象の工作機械400が保持している各工具の中で、残寿命がより短い工具を特定する。その後、搬送制御部54は、当該特定した工具を保持している工具ホルダーを工作機械400からの搬出対象として決定する。これにより、使用不能状態の工具が使用可能状態の工具よりも優先して工作機械400から搬出される。
【0077】
工作機械400から搬出された使用不能状態の工具は、工具収納部250ではなく、作業ステーション200に搬送される。そのため、作業者は、作業ステーション200において使用不能状態の工具を回収することができる。また、搬送制御部54は、工具ホルダーの収納スペースが工具収納部250において無駄に使用されることを防止することができる。
【0078】
(D3.判断部56)
次に、
図8を参照して、
図4に示される判断部56の機能について説明する。
図8は、判断部56への入力と、当該入力に対する判断部56の出力との一例を示す図である。
【0079】
判断部56は、上述の工具情報174と、工作機械400から搬出される工具の識別情報とを入力として受け、当該工具の搬出先を出力する。当該搬出先は、工作機械400からの搬出対象の工具の中に、使用不能状態の工具が含まれているか否かに応じて変えられる。
【0080】
より具体的には、判断部56は、工具情報174を参照して、工作機械400から搬出される各工具について残寿命を特定する。このとき、判断部56は、残寿命が所定閾値以下の工具を使用不能状態の工具として判断する。
【0081】
判断部56は、工作機械400からの搬出対象の工具の中に、使用不能状態の工具が1つでも含まれていると判断した場合、当該搬出対象の工具の搬出先を作業ステーション200とする。一方で、判断部56は、工作機械400からの搬出対象の全工具が使用可能状態であると判断した場合、当該搬出対象の工具の搬出先を工具収納部250とする。当該搬出先は、上述の搬送制御部54に出力される。
【0082】
<E.工具ホルダーの搬送順>
次に、
図9を参照して、使用不能状態の工具と使用可能状態の工具とを同時に工作機械400から搬出した場合における工具ホルダーの搬送順について説明する。
図9は、工具搬送システム10における工具ホルダーの搬出態様の一例を概略的に示す図である。
【0083】
搬送装置300は、複数の工具ホルダーを保持可能に構成される。そのため、搬送装置300は、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーと、使用可能状態の工具を保持している工具ホルダーとを工作機械400から同時に搬送する場合がある。この場合、まず、上述の搬送制御部54は、使用不能状態の工具と使用可能状態の工具とを搬送装置300に保持させた状態で、工作機械400から作業ステーション200に移動させる(ステップS51参照)。その後、搬送制御部54は、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーのみを作業ステーション200に搬出する。
【0084】
続いて、搬送制御部54は、使用可能状態の工具を搬送装置300に保持させた状態で、作業ステーション200から工作機械400から作業ステーション200に移動させる(ステップS52参照)。その後、搬送制御部54は、使用可能状態の工具を保持している工具ホルダーを工具収納部250に収納する。
【0085】
以上のように、搬送制御部54は、工作機械400からの搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーと、使用可能状態の工具を保持している工具ホルダーとが含まれている場合、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーを作業ステーション200に搬送した後に、使用可能状態の工具を保持している工具ホルダーを工具収納部250に搬送するように搬送装置300を制御する。これにより、工具搬送システム10は、工具ホルダーを収納する空きスペースを工具収納部250に確保しつつ、使用可能状態の工具を再び工作機械400に搬入しやすくなる。
【0086】
なお、ステップS51において、搬出対象の工具ホルダーが工作機械400から作業ステーション200に搬出された際に、工具ホルダーの収納スペースの空きが作業ステーション200内に無い場合がある。この場合、搬送制御部54は、作業ステーション200内に収納されている工具ホルダーの内で、新品の工具を保持している工具ホルダーを作業ステーション200から搬送させるように搬送装置300を制御する。これにより、搬送制御部54は、作業ステーション200内に工具ホルダーの収納スペースの空きを確保でき、かつ、新品の工具を搬入することができる。
【0087】
より具体的には、搬送制御部54は、上述の収納情報175を参照して、作業ステーション200に保持されている各工具を特定する。次に、搬送制御部54は、上述の工具情報174を参照して、当該特定した各工具の残寿命を取得する。続いて、搬送制御部54は、作業ステーション200が保持している各工具の中で、残寿命がより長い工具を特定する。その後、搬送制御部54は、当該特定した工具を保持している工具ホルダーを作業ステーション200からの搬入対象として決定する。これにより、搬送制御部54は、より新品に近い工具を作業ステーション200から工具収納部250に優先的に搬入することができる。
【0088】
<F.工具収納部250への工具搬入工程>
次に、
図10を参照して、作業ステーション200から工具収納部250への工具ホルダーの搬入工程について説明する。
図10は、作業ステーション200から工具収納部250への工具ホルダーの搬入工程の流れを概略的に示す図である。
【0089】
ステップS1において、作業者は、作業ステーション200内のマガジンM1に搬入対象の工具ホルダーH1をセットする。作業ステーション200に収納可能な工具ホルダーの数は、工具収納部250に収納可能な工具ホルダーの数よりも少ない。
【0090】
作業者が工具ホルダーH1をマガジンM1にセットする位置の付近には、バーコードまたはQRコード(登録商標)の読み取り装置(図示しない)が設けられている。当該読み取り装置は、工具ホルダーH1に付されているバーコードまたはQRコードを読み取る。これにより、搬入対象の工具ホルダーH1の識別情報が読み取られる。作業者は、工具ホルダーH1のセットが完了すると、操作端末200Aに対して完了操作を行う。
【0091】
次に、ステップS2において、制御部50は、モータ235A(
図2参照)を制御し、作業ステーション200内のマガジンM1を駆動する。これにより、制御部50は、搬入対象の工具ホルダーH1を所定の工具交換位置に移動する。当該工具交換位置の近傍には、ATC238が設けられている。ATC238は、当該工具交換位置にある工具ホルダーH1をマガジンM1から取り外し、半回転する。
【0092】
次に、ステップS3において、アームロボット330は、ATC238から工具ホルダーH1を取り外し、当該工具ホルダーH1を台車332上の仮置き場336に置く。搬入対象の工具ホルダーが他にある場合には、仮置き場336の収納最大数を超えない範囲で、ステップS1~S3の工程が繰り返される。
【0093】
次に、ステップS4において、制御部50は、モータ335Aを制御し、台車332を駆動する。これにより、制御部50は、指示された工具搬入位置に台車332を移動する。当該工具搬入位置は、たとえば、上述の収納情報175(
図6参照)に基づいて決定される。
【0094】
制御部50は、収納情報175に規定される空の収納場所を参照して、工具ホルダーH1の収納先を決定する。空の収納場所が複数ある場合には、制御部50は、複数の空の収納場所の中からランダムに選択された1つの収納場所を収納先として決定してもよいし、複数の空の収納場所の中から選択された搬送装置300により近い1つの収納場所を収納先として決定してもよい。
【0095】
次に、ステップS5において、アームロボット330は、搬入対象の工具ホルダーH1を仮置き場336から取り外し、当該工具ホルダーH1を決定した収納先に収納する。その後、制御部50は、対応する収納場所に工具ホルダーH1の識別情報を対応付けて収納情報175を更新する。
【0096】
搬入対象の工具ホルダーが他に仮置き場336に残っている場合には、制御部50は、仮置き場336上の工具ホルダーがなくなるまでステップS4,S5の工程を繰り返す。
【0097】
<G.工作機械400への工具搬入工程>
次に、
図11を参照して、
図10に引き続く工具ホルダーの搬入工程について説明する。
図11は、工具収納部250から工作機械400への工具ホルダーの搬入工程の流れを概略的に示す図である。
【0098】
あるタイミングにおいて、制御部50は、工作機械400への工具ホルダーの搬入指示を受け付けたとする。搬入対象の工具および搬送先の工作機械400は、たとえば、操作端末200Aに対して作業者によって指定される。作業者によって指定された工具を保持している工具ホルダーが工具収納部250内に複数ある場合には、制御部50は、搬入対象の工具ホルダーを特定する。これにより、工具ホルダーH2が搬入対象の工具として特定されたとする。この場合、制御部50は、上述の収納情報175(
図6参照)から工具ホルダーH2の収納場所を特定する。その後、制御部50は、モータ335A(
図2参照)を制御することで台車332を駆動し、工具ホルダーH2の収納場所の前に台車332を移動する。
【0099】
次に、ステップS11において、アームロボット330は、搬送対象の工具ホルダーH2を工具収納部250から取り出し、台車332上の仮置き場336に工具ホルダーH2を置く。
【0100】
次に、ステップS12において、制御部50は、モータ335Aを制御することで、搬送先の工作機械400の位置に台車332を駆動する。
【0101】
次に、ステップS13において、アームロボット330は、搬送先の工作機械400に備えられるATC438に工具ホルダーH2を渡す。その後、ATC438は、アームロボット330から受けた工具ホルダーH2を工作機械400内のATC438に装着する。その後、ATC438は、工作機械400内のマガジンに工具ホルダーH2をセットする。これにより、工具ホルダーH2が工作機械400で使用可能な状態になる。
【0102】
<H.作業ステーション200への工具の搬出工程>
次に、
図12を参照して、工具ホルダーの搬出工程について説明する。
図12は、工作機械400から作業ステーション200への工具ホルダーの搬出工程の流れを概略的に示す図である。
【0103】
あるタイミングにおいて、制御部50は、工具ホルダーの回収指示を受け付けたとする。このことに基づいて、制御部50は、工作機械400に収納されている工具ホルダーの中から、回収対象の工具ホルダーを特定する。その結果、工具ホルダーH3が回収対象として特定されたとする。制御部50は、上述の収納情報175(
図6参照)を参照して、工具ホルダーH3の収納先を特定する。その後、制御部50は、上述のモータ335A(
図2参照)を制御することで台車332を駆動し、工具ホルダーH3を収納している工作機械400の前に台車332を移動する。次に、アームロボット330は、工作機械400から工具ホルダーH3を取り出し、当該工具ホルダーH3を台車332上の仮置き場336に置く。また、制御部50は、収納情報175から工具ホルダーH3の識別情報を削除し、工具ホルダーH3の収納元を空の状態に書き換える。
【0104】
その後、制御部50は、工作機械400から搬出した工具ホルダーH3の中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが1つでも含まれているか否かを判断する。制御部50は、工作機械400から搬出した工具ホルダーH3の中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが1つでも含まれていると判断した場合、工具ホルダーH3の搬出先を作業ステーション200とする。
【0105】
次に、ステップS21において、制御部50は、上述のモータ335Aを制御することで台車332を駆動し、工作機械400の前から作業ステーション200の前に台車332を移動する。
【0106】
次に、ステップS22において、アームロボット330は、搬出対象の工具ホルダーH3を仮置き場336から取り外し、作業ステーション200に備えられる上述のATC238(
図10参照)に工具ホルダーH3を装着する。その後、ATC238は、作業ステーション200のマガジンM1に工具ホルダーH3を装着する。
【0107】
次に、ステップS23において、制御部50は、上述のモータ235Aを制御することでマガジンM1を駆動し、搬出対象の工具ホルダーH3を出口に移動する。その後、作業者は、当該出口から搬出対象の工具ホルダーH3を取り出す。
【0108】
<I.管理装置100のハードウェア構成>
次に、
図13を参照して、
図2に示される管理装置100のハードウェア構成について説明する。
図13は、管理装置100のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【0109】
管理装置100は、制御回路101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、通信インターフェイス104と、表示インターフェイス105と、入力インターフェイス107と、記憶装置120とを含む。これらのコンポーネントは、バス110に接続される。
【0110】
制御回路101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのGPU(Graphics Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0111】
制御回路101は、制御プログラム122やオペレーティングシステムなどの各種プログラムを実行することで管理装置100の動作を制御する。制御回路101は、制御プログラム122の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置120またはROM102からRAM103に制御プログラム122を読み出す。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム122の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0112】
通信インターフェイス104には、LAN(Local Area Network)やアンテナなどが接続される。管理装置100は、通信インターフェイス104を介してネットワークNW1に接続される。これにより、管理装置100は、ネットワークNW1に接続される外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、PLC150やサーバー(図示しない)などを含む。
【0113】
表示インターフェイス105には、ディスプレイ106が接続される。表示インターフェイス105は、制御回路101などからの指令に従って、ディスプレイ106に対して、画像を表示するための画像信号を送出する。ディスプレイ106は、たとえば、工具ホルダーの回収指示を受け付けるための操作画面や、搬入対象の工具ホルダーを指定するための選択画面などを表示する。ディスプレイ106は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、またはその他の表示機器である。なお、ディスプレイ106は、管理装置100と一体的に構成されてもよいし、管理装置100とは別に構成されてもよい。
【0114】
入力インターフェイス107には、入力デバイス108が接続される。入力デバイス108は、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネル、またはユーザの操作を受け付けることが可能なその他の装置である。なお、入力デバイス108は、管理装置100と一体的に構成されてもよいし、管理装置100とは別に構成されてもよい。
【0115】
記憶装置120は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置120は、制御プログラム122および上述の加工スケジュール124などを格納する。制御プログラム122および加工スケジュール124の格納場所は、記憶装置120に限定されず、制御回路101の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM102、RAM103、他の装置(たとえば、サーバー、PLC150、または操作端末200A)などに格納されていてもよい。
【0116】
制御プログラム122は、上述の
図4に示される機能構成の一部または全部を実現するためのプログラムである。制御プログラム122は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、制御プログラム122による搬送制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム122の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム122によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム122の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で管理装置100が構成されてもよい。
【0117】
<J.PLC150のハードウェア構成>
図14を参照して、
図2に示されるPLC150のハードウェア構成の一例について説明する。
図14は、PLC150の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
【0118】
PLC150は、制御回路151と、ROM(Read Only Memory)152と、RAM(Random Access Memory)153と、通信インターフェイス154,155と、記憶装置170とを含む。これらのコンポーネントは、バス160に接続される。
【0119】
制御回路151は、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのMPU(Micro Processing Unit)、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGAまたはそれらの組み合わせなどによって構成される。
【0120】
制御回路151は、制御プログラム172など各種プログラムを実行することで搬送装置300や工作機械400の動作を制御する。制御回路151は、制御プログラム172の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置170からROM152に制御プログラム172を読み出す。RAM153は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム172の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0121】
通信インターフェイス154には、LANやアンテナなどが接続される。PLC150は、通信インターフェイス154を介してネットワークNW1に接続される。これにより、PLC150は、ネットワークNW1に接続される外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、管理装置100やサーバー(図示しない)などを含む。
【0122】
通信インターフェイス155は、フィールドネットワークであるネットワークNW2に接続するためのインターフェイスである。PLC150は、通信インターフェイス155を介してネットワークNW2に接続される外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、上述のリモートI/Oユニット71~73などを含む。
【0123】
記憶装置170は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置170は、制御プログラム172、上述の工具情報174、および上述の収納情報175などを格納する。制御プログラム172、工具情報174、および収納情報175の格納場所は、記憶装置170に限定されず、制御回路151の記憶領域(たとえば、キャッシュ領域など)、ROM152、RAM153、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0124】
制御プログラム172は、上述の
図4に示される機能構成の一部または全部を実現するためのプログラムである。制御プログラム172は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム172の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム172によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム172の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態でPLC150が構成されてもよい。
【0125】
<K.操作端末200Aのハードウェア構成>
図15を参照して、
図1に示される操作端末200Aのハードウェア構成について説明する。
図15は、操作端末200Aのハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【0126】
操作端末200Aは、制御回路201と、ROM202と、RAM203と、通信インターフェイス204と、表示インターフェイス205と、入力インターフェイス207と、記憶装置220とを含む。これらのコンポーネントは、バス210に接続される。
【0127】
制御回路201は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0128】
制御回路201は、制御プログラム222やオペレーティングシステムなどの各種プログラムを実行することで操作端末200Aの動作を制御する。制御回路201は、制御プログラム222の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置220またはROM202からRAM203に制御プログラム222を読み出す。RAM203は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム222の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0129】
通信インターフェイス204には、LANやアンテナなどが接続される。操作端末200Aは、通信インターフェイス204を介してネットワークNW1に接続される。これにより、操作端末200Aは、ネットワークNW1に接続される外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、PLC150やサーバー(図示しない)などを含む。
【0130】
表示インターフェイス205には、ディスプレイ206が接続される。表示インターフェイス205は、制御回路201などからの指令に従って、ディスプレイ206に対して、画像を表示するための画像信号を送出する。ディスプレイ206は、たとえば、工具ホルダーの回収指示を受け付けるための操作画面、搬入対象の工具ホルダーを指定するための工具選択画面、または、搬入先の工作機械400を指定するための工作機械選択画面などを表示する。ディスプレイ206は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、またはその他の表示機器である。なお、ディスプレイ206は、操作端末200Aと一体的に構成されてもよいし、操作端末200Aとは別に構成されてもよい。
【0131】
入力インターフェイス207には、入力デバイス208が接続される。入力デバイス208は、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネル、またはユーザの操作を受け付けることが可能なその他の装置である。なお、入力デバイス208は、操作端末200Aと一体的に構成されてもよいし、操作端末200Aとは別に構成されてもよい。
【0132】
記憶装置220は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置220は、制御プログラム222などを格納する。制御プログラム222の格納場所は、記憶装置220に限定されず、制御回路201の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM202、RAM203、管理装置100、PLC150、または外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0133】
制御プログラム222は、上述の
図4に示される機能構成の一部または全部を実現するためのプログラムである。制御プログラム222は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、制御プログラム222による制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム222の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム222によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム222の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で操作端末200Aが構成されてもよい。
【0134】
<L.工具ホルダーの搬出フロー>
次に、
図16を参照して、工具ホルダーの搬出処理に係る制御フローについて説明する。
図16は、工作機械400からの工具ホルダーの搬出処理の流れを示すフローチャートである。
【0135】
図16に示される処理は、制御部50が制御プログラムを実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0136】
ステップS110において、制御部50は、上述の加工スケジュール124に基づいて、工作機械400から工具ホルダーを搬出するタイミングが到来したか否かを判断する。制御部50は、工作機械400から工具ホルダーを搬出するタイミングが到来したと判断した場合(ステップS110においてYES)、制御をステップS120に切り替える。そうでない場合には(ステップS110においてNO)、制御部50は、ステップS110の処理を再び実行する。
【0137】
ステップS120において、制御部50は、上述の判断部56として機能し、工作機械400からの搬出対象の工具に使用不能状態の工具が含まれているか否かを判断する。一例として、制御部50は、上述の工具情報174を参照して、工作機械400から搬出される各工具について残寿命を特定する。このとき、制御部50は、残寿命が所定閾値未満の工具を使用不能状態の工具として特定する。当該所定閾値は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。制御部50は、工作機械400からの搬出対象の工具に使用不能状態の工具が含まれていると判断した場合(ステップS120においてYES)、制御をステップS122に切り替える。そうでない場合には(ステップS120においてNO)、制御部50は、制御をステップS132に切り替える。
【0138】
ステップS122において、制御部50は、上述の搬送制御部54として機能し、工作機械400の前から作業ステーション200の前に搬送装置300を移動する。
【0139】
ステップS124において、制御部50は、上述の搬送制御部54として機能し、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーを作業ステーション200に搬出するよう搬送装置300を制御する。
【0140】
ステップS132において、制御部50は、上述の搬送制御部54として機能し、工作機械400の前から工具収納部250の前に搬送装置300を移動する。
【0141】
ステップS134において、制御部50は、上述の搬送制御部54として機能し、工作機械400から搬出した全ての工具ホルダーを工具収納部250に収納するよう搬送装置300を制御する。
【0142】
ステップS140において、制御部50は、上述の判断部56として機能し、工作機械400からの搬出対象の工具に使用可能状態の工具が含まれているか否かを判断する。一例として、制御部50は、上述の工具情報174を参照して、工作機械400から搬出される各工具について残寿命を特定する。このとき、制御部50は、残寿命が所定閾値以上の工具を使用可能状態の工具として特定する。当該所定閾値は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。制御部50は、工作機械400からの搬出対象の工具に使用可能状態の工具が含まれていると判断した場合(ステップS140においてYES)、制御をステップS142に切り替える。そうでない場合には(ステップS140においてNO)、制御部50は、
図16に示される処理を終了する。
【0143】
ステップS142において、制御部50は、上述の搬送制御部54として機能し、作業ステーション200の前から工具収納部250の前に搬送装置300を移動する。
【0144】
ステップS144において、制御部50は、上述の搬送制御部54として機能し、使用可能状態の工具を保持している工具ホルダーを工具収納部250に収納するよう搬送装置300を制御する。
【0145】
<M.まとめ>
以上のようにして、工具搬送システム10は、工作機械400からの搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが含まれているか否かを判断し、当該判断結果に応じて当該工具ホルダーの搬出先を変える。
【0146】
制御部50は、搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが含まれている場合、当該搬出対象の工具ホルダーを工作機械400から作業ステーション200に搬送するように搬送装置300を制御する。これにより、工具搬送システム10は、工具収納部250における工具ホルダーの収納スペースが無駄に使用されることを防止できる。
【0147】
一方で、制御部50は、搬出対象の工具ホルダーの中に、使用不能状態の工具を保持している工具ホルダーが含まれていない場合、当該搬出対象の工具ホルダーを工作機械400から工具収納部250に搬送するように搬送装置300を制御する。これにより、工具搬送システム10は、使用可能状態の工具を工具収納部250に収納することができ、当該工具を再利用しやすくなる。
【0148】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0149】
10 工具搬送システム、50 制御部、52 監視部、54 搬送制御部、56 判断部、71 リモートI/Oユニット、72 リモートI/Oユニット、73 リモートI/Oユニット、100 管理装置、101 制御回路、102 ROM、103 RAM、104 通信インターフェイス、105 表示インターフェイス、106 ディスプレイ、107 入力インターフェイス、108 入力デバイス、110 バス、120 記憶装置、122 制御プログラム、124 加工スケジュール、151 制御回路、152 ROM、153 RAM、154 通信インターフェイス、155 通信インターフェイス、160 バス、170 記憶装置、172 制御プログラム、174 工具情報、175 収納情報、200 作業ステーション、200A 操作端末、201 制御回路、202 ROM、203 RAM、204 通信インターフェイス、205 表示インターフェイス、206 ディスプレイ、207 入力インターフェイス、208 入力デバイス、210 バス、220 記憶装置、222 制御プログラム、234 モータドライバ、234A モータドライバ、234B モータドライバ、235 モータ、235A モータ、235B モータ、250 工具収納部、300 搬送装置、330 アームロボット、331 レール、332 台車、334 モータドライバ、334A モータドライバ、334B モータドライバ、335 モータ、335A モータ、335B モータ、336 仮置き場、400,400A~400F 工作機械、411 モータドライバ、411A モータドライバ、411B モータドライバ、412 モータ、412A モータ、412B モータ、422 加工プログラム。