(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】工作機械、制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/10 20060101AFI20240731BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
B23Q11/10 E
B23Q17/00 A
B23Q17/00 D
(21)【出願番号】P 2023531302
(86)(22)【出願日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 JP2021024992
(87)【国際公開番号】W WO2023276120
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2024-06-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【氏名又は名称】北原 悠樹
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【氏名又は名称】藤原 賢司
(72)【発明者】
【氏名】船越 元気
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第212351324(CN,U)
【文献】特許第6754487(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械であって、
加工エリアを区画形成するためのカバー体と、
前記加工エリアにクーラントを吐出するための吐出部と、
前記加工エリアに吐出されたクーラントを受けるための第1タンクと、
前記第1タンク内の第1クーラント量を検出するための第1検出部と、
前記吐出部に供給するためのクーラントを貯蔵する第2タンクと、
前記第2タンク内の第2クーラント量を検出するための第2検出部と、
前記第1タンクから前記第2タンクにクーラントを送るためのポンプと、
前記工作機械を制御するための制御部とを備え、
前記ポンプの制御モードは、
前記第1クーラント量が第1所定量を上回った場合に前記ポンプを駆動し、前記第1クーラント量が前記第1所定量よりも少ない第2所定量を下回った場合に前記ポンプの駆動を停止する第1制御モードと、
前記第1クーラント量が一定量になるように前記ポンプを駆動する第2制御モードとを含み、
前記制御部は、
前記第2クーラント量が第3所定量以上である場合に、前記第1制御モードで前記ポンプを制御し、
前記第2クーラント量が前記第3所定量を下回ったことに基づいて、前記ポンプの制御モードを前記第1制御モードから前記第2制御モードに切り替える、工作機械。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2クーラント量が前記第3所定量より少ない第4所定量を下回った場合に、前記工作機械を停止する、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記第3所定量から前記第4所定量を差分した量は、前記第1所定量から前記第2所定量を差分した量よりも多い、請求項2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記工作機械は、さらに、光源を備え、
前記制御部は、
前記ポンプの制御モードが前記第1制御モードである場合には、第1発光パターンで前記光源を発光させ、
前記ポンプの制御モードが前記第2制御モードである場合には、前記第1発光パターンとは異なる第2発光パターンで前記光源を発光させる、請求項1~3のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項5】
前記ポンプは、クーラントの吸入口を含み、
前記吸入口は、
前記第1タンクにおけるクーラント量が前記第1所定量である場合にはクーラントに浸かり、
前記第1タンクにおけるクーラント量が前記第2所定量である場合にはクーラントに浸からない、請求項1~4のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項6】
前記一定量は、前記第1所定量よりも少なく、かつ前記第2所定量よりも多く、
前記吸入口は、前記第1タンクにおけるクーラント量が前記一定量である場合にはクーラントに浸かる、請求項5に記載の工作機械。
【請求項7】
前記ポンプの制御モードを前記第1制御モードから前記第2制御モードに切り替えるか否かは、前記第1クーラント量が前記第2所定量になったときに前記第2検出部によって検出された前記第2クーラント量に基づいて判断される、請求項1~6のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項8】
工作機械の制御方法であって、
前記工作機械は、
加工エリアを区画形成するためのカバー体と、
前記加工エリアにクーラントを吐出するための吐出部と、
前記加工エリアに吐出されたクーラントを受けるための第1タンクと、
前記第1タンク内の第1クーラント量を検出するための第1検出部と、
前記吐出部に供給するためのクーラントを貯蔵する第2タンクと、
前記第2タンク内の第2クーラント量を検出するための第2検出部と、
前記第1タンクから前記第2タンクにクーラントを送るためのポンプとを備え、
前記ポンプの制御モードは、
前記第1クーラント量が第1所定量を上回った場合に前記ポンプを駆動し、前記第1クーラント量が前記第1所定量よりも少ない第2所定量を下回った場合に前記ポンプの駆動を停止する第1制御モードと、
前記第1クーラント量が一定量になるように前記ポンプを駆動する第2制御モードとを含み、
前記制御方法は、
前記第2クーラント量が第3所定量以上である場合に、前記第1制御モードで前記ポンプを制御するステップと、
前記第2クーラント量が前記第3所定量を下回ったことに基づいて、前記ポンプの制御モードを前記第1制御モードから前記第2制御モードに切り替えるステップとを備える、制御方法。
【請求項9】
工作機械の制御プログラムであって、
前記工作機械は、
加工エリアを区画形成するためのカバー体と、
前記加工エリアにクーラントを吐出するための吐出部と、
前記加工エリアに吐出されたクーラントを受けるための第1タンクと、
前記第1タンク内の第1クーラント量を検出するための第1検出部と、
前記吐出部に供給するためのクーラントを貯蔵する第2タンクと、
前記第2タンク内の第2クーラント量を検出するための第2検出部と、
前記第1タンクから前記第2タンクにクーラントを送るためのポンプとを備え、
前記ポンプの制御モードは、
前記第1クーラント量が第1所定量を上回った場合に前記ポンプを駆動し、前記第1クーラント量が前記第1所定量よりも少ない第2所定量を下回った場合に前記ポンプの駆動を停止する第1制御モードと、
前記第1クーラント量が一定量になるように前記ポンプを駆動する第2制御モードとを含み、
前記制御プログラムは、前記工作機械に、
前記第2クーラント量が第3所定量以上である場合に、前記第1制御モードで前記ポンプを制御するステップと、
前記第2クーラント量が前記第3所定量を下回ったことに基づいて、前記ポンプの制御モードを前記第1制御モードから前記第2制御モードに切り替えるステップと実行させる、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作機械、制御方法、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械は、加工エリアにクーラントを吐出しながらワークを加工する。当該クーラントは、切り屑などの除去後、再利用される。これに関し、特許第6872087号公報(特許文献1)は、クーラントの循環機構を備えた工作機械を開示している。
【0003】
より具体的には、クーラントは貯蔵用タンクに貯蔵されており、工作機械は、貯蔵用タンクから加工エリアにクーラントを吐出する。これにより、加工時に発生したワークの切り屑が加工エリアから排出される。加工エリアに吐出されたクーラントは、工作機械内に設けられている回収用タンクに集められる。回収用タンクにはポンプが設けられており、回収用タンクに集められたクーラントは、当該ポンプの吸入口から貯蔵用タンクに戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている工作機械は、回収用タンク内のクーラント量が一定になるようにクーラントの循環を制御している。この場合、油や切り屑などの異物が回収用タンク内で拡散されず、異物が回収用タンク内で蓄積する可能性がある。したがって、回収用タンク内の異物をより確実に排出するための技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例では、工作機械は、加工エリアを区画形成するためのカバー体と、上記加工エリアにクーラントを吐出するための吐出部と、上記加工エリアに吐出されたクーラントを受けるための第1タンクと、上記第1タンク内の第1クーラント量を検出するための第1検出部と、上記吐出部に供給するためのクーラントを貯蔵する第2タンクと、上記第2タンク内の第2クーラント量を検出するための第2検出部と、上記第1タンクから上記第2タンクにクーラントを送るためのポンプと、上記工作機械を制御するための制御部とを備える。上記ポンプの制御モードは、上記第1クーラント量が第1所定量を上回った場合に上記ポンプを駆動し、上記第1クーラント量が上記第1所定量よりも少ない第2所定量を下回った場合に上記ポンプの駆動を停止する第1制御モードと、上記第1クーラント量が一定量になるように上記ポンプを駆動する第2制御モードとを含む。上記制御部は、上記第2クーラント量が第3所定量以上である場合に、上記第1制御モードで上記ポンプを制御し、上記第2クーラント量が上記第3所定量を下回ったことに基づいて、上記ポンプの制御モードを上記第1制御モードから上記第2制御モードに切り替える。
【0007】
本開示の一例では、上記制御部は、上記第2クーラント量が上記第3所定量より少ない第4所定量を下回った場合に、上記工作機械を停止する。
【0008】
本開示の一例では、上記第3所定量から上記第4所定量を差分した量は、上記第1所定量から上記第2所定量を差分した量よりも多い。
【0009】
本開示の一例では、上記工作機械は、さらに、光源を備える。上記制御部は、上記ポンプの制御モードが上記第1制御モードである場合には、第1発光パターンで上記光源を発光させ、上記ポンプの制御モードが上記第2制御モードである場合には、上記第1発光パターンとは異なる第2発光パターンで上記光源を発光させる。
【0010】
本開示の一例では、上記ポンプは、クーラントの吸入口を含む。上記吸入口は、上記第1タンクにおけるクーラント量が上記第1所定量である場合にはクーラントに浸かり、上記第1タンクにおけるクーラント量が上記第2所定量である場合にはクーラントに浸からない。
【0011】
本開示の一例では、上記一定量は、上記第1所定量よりも少なく、かつ上記第2所定量よりも多い。上記吸入口は、上記第1タンクにおけるクーラント量が上記一定量である場合にはクーラントに浸かる。
【0012】
本開示の一例では、上記ポンプの制御モードを上記第1制御モードから上記第2制御モードに切り替えるか否かは、上記第1クーラント量が上記第2所定量になったときに上記第2検出部によって検出された上記第2クーラント量に基づいて判断される。
【0013】
本開示の他の例では、工作機械の制御方法が提供される。上記工作機械は、加工エリアを区画形成するためのカバー体と、上記加工エリアにクーラントを吐出するための吐出部と、上記加工エリアに吐出されたクーラントを受けるための第1タンクと、上記第1タンク内の第1クーラント量を検出するための第1検出部と、上記吐出部に供給するためのクーラントを貯蔵する第2タンクと、上記第2タンク内の第2クーラント量を検出するための第2検出部と、上記第1タンクから上記第2タンクにクーラントを送るためのポンプとを備える。上記ポンプの制御モードは、上記第1クーラント量が第1所定量を上回った場合に上記ポンプを駆動し、上記第1クーラント量が上記第1所定量よりも少ない第2所定量を下回った場合に上記ポンプの駆動を停止する第1制御モードと、上記第1クーラント量が一定量になるように上記ポンプを駆動する第2制御モードとを含む。上記制御方法は、上記第2クーラント量が第3所定量以上である場合に、上記第1制御モードで上記ポンプを制御するステップと、上記第2クーラント量が上記第3所定量を下回ったことに基づいて、上記ポンプの制御モードを上記第1制御モードから上記第2制御モードに切り替えるステップとを備える。
【0014】
本開示の他の例では、工作機械の制御プログラムが提供される。上記工作機械は、加工エリアを区画形成するためのカバー体と、上記加工エリアにクーラントを吐出するための吐出部と、上記加工エリアに吐出されたクーラントを受けるための第1タンクと、上記第1タンク内の第1クーラント量を検出するための第1検出部と、上記吐出部に供給するためのクーラントを貯蔵する第2タンクと、上記第2タンク内の第2クーラント量を検出するための第2検出部と、上記第1タンクから上記第2タンクにクーラントを送るためのポンプとを備える。上記ポンプの制御モードは、上記第1クーラント量が第1所定量を上回った場合に上記ポンプを駆動し、上記第1クーラント量が上記第1所定量よりも少ない第2所定量を下回った場合に上記ポンプの駆動を停止する第1制御モードと、上記第1クーラント量が一定量になるように上記ポンプを駆動する第2制御モードとを含む。上記制御プログラムは、上記工作機械に、上記第2クーラント量が第3所定量以上である場合に、上記第1制御モードで上記ポンプを制御するステップと、上記第2クーラント量が上記第3所定量を下回ったことに基づいて、上記ポンプの制御モードを上記第1制御モードから上記第2制御モードに切り替えるステップと実行させる。
【0015】
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】工作機械における駆動機構の構成例を示す図である。
【
図5】クーラントの循環機構の一例を示す図である。
【
図6】ON/OFF制御モードを説明するための図である。
【
図7】アナログ制御モードを説明するための図である。
【
図8】回収用ポンプの制御モードを切り換えるタイミングを説明するための図である。
【
図9】工作機械における異常対処処理の一例を説明するための図である。
【
図10】光源の発光パターンの一例を示す図である。
【
図11】光源の発光パターンの他の例を示す図である。
【
図12】回収用タンク11と回収用ポンプとを示す図である。
【
図13】CPU(Central Processing Unit)ユニットのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図14】CNC(Computer Numerical Control)ユニットのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図15】工具情報の検索処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0018】
<A.工作機械100の外観>
図1を参照して、実施の形態に従う工作機械100について説明する。
図1は、工作機械100の外観を示す図である。
【0019】
本明細書でいう「工作機械」とは、ワークを加工する機能を備えた種々の装置を包含する概念である。本明細書では、工作機械100の一例として、横形のマシニングセンタを例に挙げて説明を行うが、工作機械100は、これに限定されない。たとえば、工作機械100は、縦形のマシニングセンタであってもよい。あるいは、工作機械100は、旋盤であってもよいし、付加加工機であってもよいし、その他の切削機械や研削機械であってもよい。さらに、工作機械100は、これらを複合した複合機であってもよい。
【0020】
図1に示されるように、工作機械100は、カバー体130と、操作盤140とを含む。カバー体130は、スプラッシュガードとも呼ばれ、工作機械100の外観を成すとともに、ワークWの加工エリアを区画形成している。
【0021】
操作盤140は、汎用のコンピュータであり、加工に関する各種情報を表示するためのディスプレイ142を有する。ディスプレイ142は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、またはその他の表示機器である。また、ディスプレイ142は、タッチパネルを備え、工作機械100に対する各種操作をタッチ操作で受け付ける。
【0022】
<B.工作機械100の駆動機構>
次に、
図2を参照して、工作機械100における各種の駆動機構について説明する。
図2は、工作機械100における駆動機構の構成例を示す図である。
【0023】
図2に示されるように、工作機械100は、制御部50と、吐出用ポンプ109と、モータドライバ111A,111R,111X~111Zと、モータ112R,112X~112Zと、移動体113と、吐出部125と、主軸頭131と、テーブル136と、チップコンベア150とを含む。チップコンベア150は、モータ112Aと、回収用ポンプ152とを含む。
【0024】
吐出部125は、工作機械100内に設けられ、ワークWの加工により生じた切り屑をチップコンベア150に排出するためにクーラントを吐出する。
【0025】
主軸頭131は、主軸132と、ハウジング133とを含む。主軸132は、ハウジング133の内部に設けられる。主軸132には、被加工物であるワークWを加工するための工具が装着される。
図2の例では、ワークWのミーリング加工に用いられる工具134が主軸132に装着されている。
【0026】
説明の便宜のために、以下では、主軸132の軸方向を「Z方向」とも称する。重力方向を「Y方向」とも称する。Y軸方向およびZ軸方向の両方に直交する方向を「X方向」と称する。
【0027】
チップコンベア150は、ワークWの加工によって生じた切り屑を加工エリア外へ排出するための機構である。チップコンベア150の詳細については後述する。
【0028】
本明細書でいう「制御部50」とは、工作機械100を制御する装置を意味する。制御部50の装置構成は、任意である。制御部50は、単体の制御ユニットで構成されてもよいし、複数の制御ユニットで構成されてもよい。
図2の例では、制御部50は、PLC(Programmable Logic Controller)としてのCPUユニット20と、CNC(Computer Numerical Control)ユニット30とで構成されている。CPUユニット20およびCNCユニット30は、通信経路B(たとえば、フィールドバスまたはLANケーブルなど)を介して互いに通信を行う。
【0029】
CPUユニット20は、予め設計されているPLCプログラムに従って、工作機械100内の各種ユニットを制御する。当該PLCプログラムは、たとえば、ラダープログラムで記述されている。
【0030】
一例として、CPUユニット20は、PLCプログラムに従って、吐出用ポンプ109を制御し、吐出部125によるクーラントの吐出を制御する。これにより、クーラントの吐出のオン/オフ、およびクーラントの吐出量などが制御される。
【0031】
他の例として、CPUユニット20は、PLCプログラムに従って、モータドライバ111Aを制御する。モータドライバ111Aは、モータ112Aの目標回転速度の入力をCPUユニット20から受け、モータ112Aを制御する。これにより、チップコンベア150の駆動のオン/オフ、およびチップコンベア150による切り屑の搬送速度などが制御される。なお、モータ112Aは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0032】
他の例として、CPUユニット20は、PLCプログラムに従って、回収用ポンプ152を制御し、チップコンベア150内のクーラント量を調整する。回収用ポンプ152の制御方法の詳細については後述する。
【0033】
CNCユニット30は、CPUユニット20からの加工開始指令を受けたことに基づいて、予め設計されている加工プログラムの実行を開始する。当該加工プログラムは、たとえば、NC(Numerical Control)プログラムで記述されている。CNCユニット30は、当該加工プログラムに従ってモータドライバ111R,111X~111Zを制御し、テーブル136に固定されているワークWを加工する。
【0034】
モータドライバ111Rは、CNCユニット30から目標回転速度の入力を逐次的に受け、モータ112Rを制御する。モータ112Rは、Z軸方向を中心として主軸132を回転駆動する。モータ112Rは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0035】
モータ112Rがサーボモータである場合、モータドライバ111Rは、モータ112Rの回転角度を検知するためのエンコーダ(図示しない)のフィードバック信号からモータ112Rの実回転速度を算出する。そして、モータドライバ111Rは、算出した実回転速度が目標回転速度よりも小さい場合にはモータ112Rの回転速度を上げ、算出した実回転速度が目標回転速度よりも大きい場合にはモータ112Rの回転速度を下げる。このように、モータドライバ111Rは、モータ112Rの回転速度のフィードバックを逐次的に受けながらモータ112Rの回転速度を目標回転速度に近付ける。
【0036】
モータドライバ111Xは、CNCユニット30から目標位置の入力を逐次的に受け、モータ112Xを制御する。モータ112Xは、主軸頭131が取り付けられている移動体113をボールネジ(図示しない)を介して送り駆動し、X方向の任意の位置に主軸132を移動する。モータドライバ111Xによるモータ112Xの制御方法は、モータドライバ111Rと同様であるので、その説明については繰り返さない。なお、モータ112Xは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0037】
モータドライバ111Yは、CNCユニット30から目標位置の入力を逐次的に受け、モータ112Yを制御する。モータ112Yは、主軸頭131が取り付けられている移動体113をボールネジ(図示しない)を介して送り駆動し、Y方向の任意の位置に主軸132を移動する。モータドライバ111Yによるモータ112Yの制御方法は、モータドライバ111Rと同様であるので、その説明については繰り返さない。なお、モータ112Yは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0038】
モータドライバ111Zは、CNCユニット30から目標位置の入力を逐次的に受け、モータ112Zを制御する。モータ112Zは、主軸頭131が取り付けられている移動体113をボールネジ(図示しない)を介して送り駆動し、Z方向の任意の位置に主軸132を移動する。モータドライバ111Zによるモータ112Zの制御方法は、モータドライバ111Rと同様であるので、その説明については繰り返さない。なお、モータ112Zは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0039】
<C.チップコンベア150の構成>
次に、
図3および
図4を参照して、上述の
図2に示されるチップコンベア150について説明する。
図3は、チップコンベア150の外観を示す図である。
図4は、チップコンベア150の断面を示す図である。
【0040】
チップコンベア150は、加工エリアを区画形成するカバー体130に併設されている。チップコンベア150は、加工エリアから排出されるワークの切り屑およびクーラントを受ける。
【0041】
チップコンベア150は、回収用タンク11を有する。回収用タンク11は、クーラントを貯留可能なように構成されている。チップコンベア150は、チップバケット(図示しない)に搬送するとともに、クーラントを濾過することにより清浄なクーラントを回収用タンク11に排出する。
【0042】
チップコンベア150は、カバー体21をさらに有する。カバー体21は、チップコンベア150の外観を成す。カバー体21は、内部に空間を形成する筐体形状を有する。
【0043】
カバー体21は、その構成部位として、水平部22と、切り屑受け入れ部23と、立ち上がり部26と、切り屑排出部27とを有する。
【0044】
カバー体21は、全体として、水平部22および立ち上がり部26の間で屈曲した形状を有する。水平部22は、回収用タンク11内に載置されている。水平部22は、水平方向に延在する板形状の外観を有する。水平部22は、矩形形状の平面視を有する。立ち上がり部26は、水平部22のその長手方向における一方端から立ち上がり、斜め上方向に延伸する。
【0045】
切り屑受け入れ部23は、水平部22に設けられている。切り屑受け入れ部23は、水平部22の頂面上に設けられた筐体から構成されている。切り屑受け入れ部23には、接続口24が設けられている。接続口24は、切り屑受け入れ部23を貫通する貫通孔からなる。切り屑受け入れ部23には、接続口24を通じて、加工エリアの設備である切り屑搬送装置13が接続されている。切り屑搬送装置13は、たとえば、一方向に延びる樋体と、その樋体に設置されるスパイラルコンベアとを含んで構成されている。
【0046】
切り屑排出部27は、水平部22から斜め上方向に延伸する先の立ち上がり部26の端部に設けられている。切り屑排出部27は、鉛直下方向に向けて開口するカバー体21の開口部からなる。切り屑排出部27の下方には、切り屑を回収するためのチップバケット(図示しない)が設置される。加工エリアから排出されたワークの切り屑は、切り屑受け入れ部23よりカバー体21内に受け入れられる。切り屑は、続いて説明する切り屑搬送機構によりカバー体21の内部で搬送され、切り屑排出部27より排出されてチップバケットに回収される。
【0047】
チップコンベア150は、切り屑搬送部35をさらに有する。切り屑搬送部35は、カバー体21に収容されている。切り屑搬送部35は、カバー体21内で切り屑を搬送するための装置である。
【0048】
より具体的に説明すると、切り屑搬送部35は、一対の無端チェーン34と、駆動スプロケット37と、従動スプロケット38とを有する。
【0049】
駆動スプロケット37は、水平部22から斜め上方向に延伸する先の立ち上がり部26の端部に設けられている。駆動スプロケット37は、切り屑排出部27の上方に配置されている。駆動スプロケット37は、
図4の紙面に直交する方向(以下、この方向を「チップコンベア150の幅方向」ともいう)に延びる軸を中心に回転可能に支持されている。駆動スプロケット37には、上述のモータ112A(
図4参照)の出力軸が連結されている。駆動スプロケット37は、モータ112Aから動力が伝達されることにより回転する。
【0050】
従動スプロケット38は、水平部22および立ち上がり部26の間の屈曲部に設けられている。従動スプロケット38は、チップコンベア150の幅方向に延びる軸(軸AX1)を中心に回転可能に支持されている。
【0051】
一対の無端チェーン34は、チップコンベア150の幅方向に距離を隔てて平行に配置されている。無端チェーン34は、カバー体21の内部において、水平部22および立ち上がり部26の間に渡って環状に配索されている。無端チェーン34は、カバー体21の内部において、切り屑受け入れ部23に対向する位置と、切り屑排出部27に対向する位置との間で往復するように配索されている。
【0052】
無端チェーン34は、カバー体21内で配索される経路上において、駆動スプロケット37および従動スプロケット38に掛け回されるとともに、複数のガイド部材によって案内されている。モータ112Aからの動力を受けて駆動スプロケット37が回転すると、無端チェーン34は、
図4中の矢印A(ハッチングが付された矢印)に示す方向に回動する。
【0053】
チップコンベア150は、濾過機構39をさらに有する。濾過機構39は、加工エリアから受け入れたクーラントを濾過することによって、清浄なクーラントをカバー体21内から回収用タンク11に排出するように構成されている。
【0054】
より具体的に説明すると、濾過機構39は、ドラム状のフィルタ46を有する。フィルタ46は、カバー体21に収容されている。フィルタ46は、水平部22および立ち上がり部26の間の屈曲部に設けられている。フィルタ46は、クーラントに含まれる切り屑などの異物を捕獲可能に構成されている。フィルタ46は、たとえば、円筒形状を有し、その内側に内部空間47を形成している。
【0055】
ドラム状のフィルタ46は、その中心軸がチップコンベア150の幅方向に延びるように配置されている。フィルタ46は、その中心軸が、従動スプロケット38の回転中心である軸AX1と一致するように配置されている。フィルタ46は、軸AX1の軸方向における両端において、従動スプロケット38に接続されている。
【0056】
なお、上述では、ドラム状のフィルタ46について説明を行ったが、フィルタ46の形状は、ドラム状に限定されない。一例として、フィルタ46の形状は、矩形であってもよいし、円形であってもよい。
【0057】
カバー体21には、クーラント排出部28が形成されている。クーラント排出部28は、カバー体21を貫通する貫通孔からなる。クーラント排出部28は、フィルタ46の内部空間47と、カバー体21の外側の外部空間とを連通させるように設けられている。切り屑受け入れ部23を通じてカバー体21内に受け入れられたクーラントは、フィルタ46の内部空間47に進入することにより濾過される。濾過されたクーラントは、クーラント排出部28を通じて回収用タンク11に排出される。
【0058】
<D.クーラントの循環機構>
次に、
図5を参照して、クーラントを循環機構について説明する。
図5は、クーラントの循環機構の一例を示す図である。
【0059】
吐出部125から吐出されたクーラントは、工作機械100内を循環する。工作機械100は、クーラントの循環機構の構成として、回収用タンク11と、貯蔵用タンク12と、吐出用ポンプ109と、バルブ110と、吐出部125と、チップコンベア150と、液量センサ151と、回収用ポンプ152と、液量センサ155と、流路R1,R2A~R2C,R3とを含む。
【0060】
吐出部125は、1つ以上の吐出機構で構成される。
図5の例では、吐出部125は、吐出機構125A~125Cで構成されている。
【0061】
貯蔵用タンク12には、クーラントが貯蔵されている。貯蔵用タンク12は、流路R1の一端に繋がっている。流路R1の他端は、バルブ110に繋がっている。流路R1は、バルブ110によって流路R2A~R2Cに分岐される。
【0062】
流路R2Aは、吐出機構125Aと繋がっている。吐出機構125Aは、たとえば、流路R2Aに繋がっているクーラントノズル(図示しない)を有し、流路R2Aを通じて圧送されたクーラントを当該クーラントノズルから主軸頭131に向けて吐出する。これにより、主軸頭131に付着したワークの切り屑がチップコンベア150に排出される。
【0063】
流路R2Bは、吐出機構125Bと繋がっている。吐出機構125Bは、流路R2Bを通じて圧送されたクーラントを加工エリアAR全体に向けて吐出する。これにより、加工エリア内にあるワークの切り屑がチップコンベア150に排出される。
【0064】
流路R2Cは、吐出機構125Cと繋がっている。吐出機構125Aは、流路R2Aを通じて圧送されたクーラントをベッドBDの壁面に向けて吐出する。これにより、ベッドBD上に溜まっている切り屑がチップコンベア150に排出される。
【0065】
吐出用ポンプ109は、その駆動に伴って、貯蔵用タンク12に貯留されたクーラントを、流路R1からバルブ110を介して流路R2A~R2Cのそれぞれに圧送する。これにより、吐出用ポンプ109は、貯蔵用タンク12から吐出部125のクーラントノズルにクーラントを送る。
【0066】
バルブ110は、貯蔵用タンク12から吐出機構125A~125Cに向けて圧送されるクーラントの流量を制御する制御弁である。バルブ110は、上述の制御部50によって制御される。なお、バルブ110は、吐出用ポンプ109と一体的に構成されてもよいし、別に構成されてもよい。
【0067】
チップコンベア150は、回収用タンク11と、濾過機構39とを有する。濾過機構39は、クーラントに含まれる切り屑などの異物を捕獲可能に構成されている。濾過機構39を通過したクーラントは、チップコンベア150のカバー体21内から回収用タンク11に排出される。これにより、回収用タンク11は、加工エリアARに吐出されたクーラントを受ける。
【0068】
液量センサ151(第1検出部)は、回収用タンク11内のクーラント量を検出するためのセンサである。液量センサ151は、濾過機構39を通過するクーラントの流れの方向において濾過機構39よりも下流側に配置される。
【0069】
液量センサ151としては、回収用タンク11内のクーラントの体積に相関する物理量を検出可能なセンサであれば任意の種類のセンサが採用され得る。一例として、液量センサ151は、フロートスイッチであってもよいし、距離センサであってもよいし、重量センサであってもよいし、その他のセンサであってもよい。
【0070】
ある局面において、液量センサ151は、回収用タンク11内のクーラントの液面と、予め定められた基準面との間の距離を検出する。当該基準面は、回収用タンク11の底面であってもよいし、液量センサ151の設置位置における水平面であってもよい。他の局面において、液量センサ151は、回収用タンク11内のクーラントの重さを検出する。
【0071】
回収用ポンプ152は、濾過機構39を通過して回収用タンク11に溜まっているクーラントを汲み上げ、流路R3を通じて当該クーラントを貯蔵用タンク12に送る。貯蔵用タンク12内には、異物を除去するためのフィルタ(図示しない)が設けられている。貯蔵用タンク12内のクーラントは、当該フィルタを通過後、吐出用ポンプ109によって流路R1を再び圧送される。
【0072】
液量センサ155(第2検出部)は、貯蔵用タンク12内のクーラント量を検出するためのセンサである。液量センサ155としては、貯蔵用タンク12内のクーラントの体積に相関する物理量を検出可能なセンサであれば任意の種類のセンサが採用され得る。一例として、液量センサ155は、フロートスイッチであってもよいし、距離センサであってもよいし、重量センサであってもよいし、その他のセンサであってもよい。
【0073】
ある局面において、液量センサ155は、貯蔵用タンク12内のクーラントの液面と、予め定められた基準面との間の距離を検出する。当該基準面は、貯蔵用タンク12の底面であってもよいし、液量センサ155の設置位置における水平面であってもよい。他の局面において、液量センサ155は、貯蔵用タンク12内のクーラントの重さを検出する。
【0074】
<E.回収用ポンプ152の制御モード>
次に、
図6および
図7を参照して、
図5に示される回収用ポンプ152の制御モードについて説明する。
【0075】
工作機械100の制御部50は、少なくとも2つの制御モードで回収用ポンプ152を制御する。以下では、回収用ポンプ152の第1制御モードを「ON/OFF制御モード」と称し、回収用ポンプ152の第2制御モードを「アナログ制御モード」と称する。
【0076】
(E1.ON/OFF制御モード)
まず、
図6を参照して、ON/OFF制御モードについて説明する。
図6は、ON/OFF制御モードを説明するための図である。ON/OFF制御モードでは、制御部50は、回収用タンク11内のクーラント量を増減させる。
【0077】
より具体的には、まず、制御部50は、回収用ポンプ152をOFFにする。これにより、回収用タンク11から貯蔵用タンク12へのクーラントの排出が停止する。一方で、ワークの加工時には、貯蔵用タンク12のクーラントが工作機械100内の加工エリアARに吐出される。当該吐出されたクーラントは、回収用タンク11に流れ込む。結果として、回収用タンク11内のクーラント量は増加していき、貯蔵用タンク12内のクーラント量は減少していく。このとき、制御部50は、回収用タンク11内のクーラント量を上述の液量センサ151から定期的に取得し、当該クーラント量が所定量th1を上回ったか否かを判断する。所定量th1の値は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。
【0078】
制御部50は、回収用タンク11内のクーラント量が所定量th1を上回ったと判断した場合、回収用ポンプ152を駆動する。このとき、制御部50は、回収用タンク11から貯蔵用タンク12へのクーラントの排出量が貯蔵用タンク12から加工エリアARへのクーラントの吐出量よりも多くなるように回収用ポンプ152を制御する。一例として、制御部50は、設定可能な内の最大回転数(たとえば、50Hz~60Hz)で回収用ポンプ152を駆動する。これにより、回収用タンク11内のクーラント量は減少していき、貯蔵用タンク12内のクーラント量は増加していく。
【0079】
次に、制御部50は、上述の液量センサ151の出力値に基づいて、回収用タンク11内のクーラント量が所定量th2を下回ったか否かを判断する。所定量th2は、所定量th1よりも少ない。所定量th2の値は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。制御部50は、回収用タンク11内のクーラント量が所定量th2を下回ったと判断した場合、回収用ポンプ152の駆動を停止する。
【0080】
以上のように、制御部50は、ON/OFF制御モードでは、回収用タンク11内のクーラント量を所定量th1,th2の間で繰り返し増減させる。これにより、回収用タンク11内の液面の高さが変動し、回収用タンク11内の液面上の異物(たとえば、油や浮遊している切り屑)は、回収用ポンプ152の吸入口から回収用タンク11に排出される。また、回収用タンク11内のクーラント量が増減することで、回収用タンク11内のクーラントが拡散される。そのため、回収用タンク11内の液面上の異物は、より回収用タンク11に排出されやすくなる。
【0081】
一方で、クーラントは、ワークの加工時に発生する熱などにより蒸発する。一例として、クーラントは、1日に約200L蒸発する。その結果、工作機械100内のクーラントの総量は、時間の経過とともに減少していく。したがって、制御部50は、回収用タンク11内のクーラント量を繰り返し増減している際に、回収用タンク11内にクーラントが残っているにも関わらず貯蔵用タンク12内のクーラントが尽きたと認識してしまう可能性がある。この場合、回収用タンク11に残っているクーラントが機内で十分に使われていない。
【0082】
(E2.アナログ制御モード)
次に、
図7を参照して、アナログ制御モードについて説明する。
図7は、アナログ制御モードを説明するための図である。アナログ制御モードでは、制御部50は、回収用タンク11内のクーラント量が一定量THになるように回収用ポンプ152を制御する。
【0083】
一定量THは、上述の所定量th1よりも少なく、上述の所定量th2よりも多い。一定量THの値は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。
【0084】
より具体的な処理として、制御部50は、回収用タンク11内のクーラント量を上述の液量センサ151から定期的に取得する。制御部50は、回収用タンク11内のクーラント量が一定量THよりも多い場合には、回収用ポンプ152の回転数を現在の回転数よりも上げる。これにより、回収用タンク11内のクーラント量が減少する。一方で、制御部50は、回収用タンク11内のクーラント量が一定量THよりも少ない場合には、回収用ポンプ152の回転数を現在の回転数よりも下げる。これにより、回収用タンク11内のクーラント量が増加する。これにより、回収用ポンプ152のクーラント量が一定量THに保たれる。
【0085】
このように、アナログ制御モードでは、回収用タンク11内のクーラント量が増減しないため、貯蔵用タンク12内のクーラント量の減少は、クーラントの蒸発にのみ起因する。そのため、工作機械100は、回収用タンク11内にクーラントが残っているにも関わらず、貯蔵用タンク12内にクーラントが残っていないと認識することがなくなり、回収用タンク11内のクーラントを機内で十分に利用することができる。
【0086】
しかしながら、アナログ制御モードでは、回収用タンク11内の液面の高さが常に一定になる。そのため、油や切り屑などの液面上の異物は、回収用ポンプ152の吸入口から回収用タンク11に排出されない。
【0087】
<F.回収用ポンプ152の制御方法>
次に、
図8を参照して、回収用ポンプ152の制御方法について説明する。
図8は、回収用ポンプ152の制御モードを切り換えるタイミングを説明するための図である。
【0088】
工作機械100の制御部50は、貯蔵用タンク12内のクーラント量に基づいて、回収用ポンプ152の制御モードをON/OFF制御モードからアナログ制御モードに切り換える。
【0089】
より具体的には、制御部50は、貯蔵用タンク12内のクーラント量を上述の液量センサ155から定期的に取得し、当該クーラント量が所定量th3を下回ったか否かを判断する。所定量th3の値は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。
【0090】
制御部50は、貯蔵用タンク12内のクーラント量が所定量th3以上である場合には、ON/OFF制御モードで回収用ポンプ152を制御する。その後、制御部50は、貯蔵用タンク12内のクーラント量が所定量th3を下回ったことに基づいて、回収用ポンプ152の制御モードをON/OFF制御モードからアナログ制御モードに切り替える。これにより、ON/OFF制御モードの利点と、アナログ制御モードの利点との両方を享受することができる。
【0091】
より具体的には、制御部50は、貯蔵用タンク12内のクーラント量が多い段階ではON/OFF制御モードで回収用ポンプ152を制御する。これにより、回収用タンク11内の液面の高さが所定量th1,th2の間で変動し、回収用タンク11内の液面上の異物(たとえば、油や浮遊している切り屑)は、回収用ポンプ152の吸入口から回収用タンク11に排出される。また、回収用タンク11内のクーラント量が増減することで、回収用タンク11内のクーラントが拡散される。そのため、回収用タンク11内の液面上の異物は、回収用タンク11に排出されやすくなる。
【0092】
一方で、制御部50は、貯蔵用タンク12内のクーラント量が少ない段階ではアナログ制御モードで回収用ポンプ152を制御する。アナログ制御モードでは、回収用タンク11内のクーラント量が増減しないため、貯蔵用タンク12内のクーラント量の減少は、クーラントの蒸発にのみ起因する。そのため、工作機械100は、回収用タンク11内にクーラントが残っているにも関わらず、貯蔵用タンク12内にクーラントが残っていないと認識することがなくなり、回収用タンク11内のクーラントを機内で十分に利用することができる。
【0093】
なお、回収用ポンプ152の制御モードをON/OFF制御モードからアナログ制御モードに切り替えるか否かを判断するタイミングは任意である。一例として、回収用ポンプ152の制御モードをON/OFF制御モードからアナログ制御モードに切り替えるか否かは、回収用タンク11内のクーラント量が所定量th2になったときにおける貯蔵用タンク12内のクーラント量に基づいて判断される。
【0094】
より具体的には、制御部50は、ON/OFF制御モードで回収用ポンプ152をONにしている間、上述の液量センサ151から回収用タンク11内のクーラント量を定期的に取得する。その後、制御部50は、当該取得したクーラント量が所定量th2に達したタイミングで、上述の液量センサ155から貯蔵用タンク12内のクーラント量を取得する。制御部50は、当該取得したクーラント量が所定量th3を下回っている場合には、回収用ポンプ152の制御モードをON/OFF制御モードからアナログ制御モードに切り替える。
【0095】
これにより、制御部50は、回収用タンク11内のクーラント量が最も少なくなったタイミングで回収用ポンプ152の制御モードを切り替えるか否かを判断できる。すなわち、制御部50は、工作機械100内のクーラントの総量により近い数値を用いて、回収用ポンプ152の制御モードを切り替えるか否かを判断することができる。
【0096】
<G.異常対処処理>
次に、
図9を参照して、工作機械100における異常対処処理について説明する。
図9は、工作機械100における異常対処処理の一例を説明するための図である。
【0097】
上述のように、制御部50は、回収用タンク11内のクーラント量が所定量th3を下回ったタイミングで回収用ポンプ152の制御モードをON/OFF制御モードからアナログ制御モードに切り替える。その後、制御部50は、上述の液量センサ155から貯蔵用タンク12内のクーラント量を定期的に取得する。そして、制御部50は、貯蔵用タンク12内のクーラント量が所定量th4に達したか否かを判断する。
【0098】
制御部50は、貯蔵用タンク12内のクーラント量が所定量th4以上であると判断した場合、工作機械100内にクーラントが十分に残っていると判断する。一方で、制御部50は、貯蔵用タンク12内のクーラント量が所定量th4を下回っている場合、工作機械100内にクーラントが十分に残っていないと判断する。この場合、制御部50は、予め定められた異常対処処理を実行する。
【0099】
一例として、当該異常対処処理は、工作機械100を停止する処理を含む。これにより、工作機械100は、クーラントが加工時に供給されないことを確実に防止することができる。
【0100】
他の例として、当該異常対処処理は、工作機械100内にクーラントが十分に残っていないことを報知する処理を含む。当該報知処理は、上述のディスプレイ142にメッセージを表示することで実現されてもよいし、貯蔵用タンク12に設けられている後述の光源158を発光させることで実現されてもよい。これにより、ユーザは、工作機械100内にクーラントが十分に残っていないことを認識できる。
【0101】
以上のように、所定量th4は、異常対処処理を実行するか否かの基準値となる。所定量th4は、所定量th3よりも少ない。所定量th4の値は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。
【0102】
また、所定量th3から所定量th4を差分した量は、所定量th1から所定量th2を差分した量よりも多い。これにより、制御部50がON/OFF制御モード時において回収用タンク11内のクーラント量を所定量th1,th2の間で繰り返し増減している間に、貯蔵用タンク12内のクーラント量がth4を下回ることを防ぐことができる。すなわち、回収用ポンプ152の制御モードがON/OFF制御モードからアナログ制御モードに切り換えられる前に、異常対処処理は、実行されなくなる。
【0103】
<H.発光パターン>
次に、
図10および
図11を参照して、回収用ポンプ152の制御モードに応じた発光パターンについて説明する。
図10は、光源158の発光パターンの一例を示す図である。
【0104】
光源158は、ユーザが視認可能なように工作機械100に設けられる。一例として、光源158は、貯蔵用タンク12の外観を成すカバー上に設けられる。
【0105】
光源158は、たとえば、複数の発光素子で構成される。
図10の例では、光源158は、4つの発光素子で構成されている。各発光素子の発光は、上述の制御部50によって制御される。典型的には、各発光素子の発光は、上述のCPUユニット20によって制御される。
【0106】
制御部50は、回収用ポンプ152の制御モードに応じた光源158の発光パターンを変える。より具体的には、制御部50は、回収用ポンプ152の制御モードが上述のON/OFF制御モードである場合には、第1発光パターンで光源158を発光させる。一方で、制御部50は、回収用ポンプ152の制御モードが上述のアナログ制御モードである場合には、第1発光パターンとは異なる第2発光パターンで光源158を発光させる。これにより、ユーザは、現在の制御モードを容易に認識することができる。
【0107】
なお、上記第1,第2発光パターンは、各発光素子の発光および消灯の組み合わせによって区別されてもよいし、発光色の違いによって区別されてもよい。
【0108】
また、光源158の発光パターンは、
図10の例に限定されない。
図11は、光源158の発光パターンの他の例を示す図である。
【0109】
図11の例では、制御部50は、回収用ポンプ152の制御モードだけでなく、貯蔵用タンク12内のクーラント量に応じても光源158の発光パターンを変えている。
【0110】
一例として、制御部50は、回収用ポンプ152の制御モードがON/OFF制御モードであり、かつ貯蔵用タンク12内のクーラント量が80%以上100%以下である場合には、光源158の全発光素子を白色に発光させる。
【0111】
また、制御部50は、回収用ポンプ152の制御モードがON/OFF制御モードであり、かつ貯蔵用タンク12内のクーラント量が60%以上80%未満である場合には、光源158の上1つの発光素子を消灯し、光源158の下3つの発光素子を白色に発光させる。
【0112】
また、制御部50は、回収用ポンプ152の制御モードがアナログ制御モードであり、かつ貯蔵用タンク12内のクーラント量が40%以上60%未満である場合には、光源158の上2つの発光素子を消灯し、光源158の下2つの発光素子を白色に発光させる。
【0113】
また、制御部50は、回収用ポンプ152の制御モードがアナログ制御モードであり、かつ貯蔵用タンク12内のクーラント量が20%以上40%未満である場合には、光源158の上3つの発光素子を消灯し、光源158の下1つの発光素子を赤色に発光させる。
【0114】
また、制御部50は、回収用ポンプ152の制御モードがアナログ制御モードであり、かつ貯蔵用タンク12内のクーラント量が0%以上20%未満である場合には、光源158の全発光素子を赤色に発光させる。このとき、制御部50は、光源158を点滅させてもよい。
【0115】
<I.回収用ポンプ152の設置位置>
次に、
図12を参照して、上述の所定量th1,th2と、回収用ポンプ152の設置位置との関係について説明する。
図12は、回収用タンク11と回収用ポンプ152とを示す図である。
【0116】
図12に示されるように、回収用ポンプ152は、クーラントの吸入口153を有する。回収用タンク11内のクーラントは、吸入口153から吸い込まれ、上述の貯蔵用タンク12に排出される。
【0117】
上述のように、ON/OFF制御モードでは、制御部50は、回収用タンク11内のクーラント量を所定量th1,th2の間で繰り返し増減させるよう回収用ポンプ152を制御する。当該所定量th1,th2の値は、回収用ポンプ152の位置に応じて決められる。
【0118】
より具体的には、吸入口153は、回収用タンク11内におけるクーラント量が所定量th1である場合にはクーラントに浸かる。一方で、吸入口153は、回収用タンク11内におけるクーラント量が所定量th2である場合にはクーラントに浸からない。異なる言い方をすれば、吸入口153の位置は、所定量th1における液面よりも低く、所定量th2における液面よりも高い。これにより、回収用タンク11内の液面は、クーラントの増減中に吸入口153を通過する。このとき、回収用タンク11内の液面上の異物は、吸入口153から貯蔵用タンク12に排出される。
【0119】
なお、回収用ポンプ152の吸入口153の位置が所定量th1,th2に合わされてもよいし、所定量th1,th2の値が回収用ポンプ152の吸入口153の位置を基準に設定されてもよい。
【0120】
また、上述では、吸入口153の位置が所定量th1,th2を基準に決められる例について説明を行ったが、吸入口153の位置は、必ずしも、所定量th1,th2を基準に決められる必要はない。一例として、吸入口153の位置は、所定量th1における液面よりも高くてもよい。他の例として、吸入口153の位置は、所定量th2における液面よりも低くてもよい。これらの場合でも、回収用タンク11内のクーラントは、ON/OFF制御モード中に拡散される。これにより、回収用タンク11内の異物が吸入口153から吸い込まれ、上述の貯蔵用タンク12に排出される。
【0121】
好ましくは、回収用ポンプ152の吸入口153の位置は、所定量th1,th2だけでなく、上述の一定量THにも合わされる。より具体的には、吸入口153は、回収用タンク11におけるクーラント量が一定量THである場合にはクーラントに浸かる。異なる言い方をすれば、吸入口153の位置は、一定量THにおける液面よりも低い。これにより、制御部50は、アナログ制御モード時において吸入口153からクーラントを吸い込むことができ、回収用タンク11内のクーラント量を一定量THに保つことができる。
【0122】
<J.CPUユニット20のハードウェア構成>
次に、
図13を参照して、
図2に示されるCPUユニット20のハードウェア構成について説明する。
図13は、CPUユニット20のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0123】
CPUユニット20は、制御回路201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、通信インターフェイス204,205と、補助記憶装置220とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス209に接続される。
【0124】
制御回路201は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU(Graphics Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0125】
制御回路201は、制御プログラム222などの各種プログラムを実行することでCPUユニット20の動作を制御する。制御プログラム222は、工作機械100内の各種装置を制御するための命令を規定している。制御回路201は、制御プログラム222の実行命令を受け付けたことに基づいて、補助記憶装置220またはROM202からRAM203に制御プログラム222を読み出す。RAM203は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム222の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0126】
通信インターフェイス204は、LAN(Local Area Network)ケーブル、WLAN(Wireless LAN)、またはBluetooth(登録商標)などを用いた通信を実現するためのインターフェイスである。一例として、CPUユニット20は、通信インターフェイス305を介して、上述の吐出用ポンプ109、上述のモータドライバ111A、および上述の回収用ポンプ152などの外部機器との通信を実現する。
【0127】
通信インターフェイス205は、フィールドバスに接続される各種ユニットとの通信を実現するためのインターフェイスである。当該フィールドバスに接続されるユニットの一例として、CNCユニット30やI/Oユニット(図示しない)などが挙げられる。
【0128】
補助記憶装置220は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。補助記憶装置220は、制御プログラム222および設定ファイル224などの各種情報を格納する。設定ファイル224には、制御プログラム222の実行時に参照される各種パラメータが規定される。一例として、設定ファイル224は、上述の所定量th1~th4の値、上述の一定量THの値、およびその他の設定値などを含む。
【0129】
制御プログラム222および設定ファイル224の格納場所は、補助記憶装置220に限定されず、制御回路201の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリ)、ROM202、RAM203、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0130】
なお、制御プログラム222は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う各種の処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム222の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム222によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム222の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態でCPUユニット20が構成されてもよい。
【0131】
<K.CNCユニット30のハードウェア構成>
次に、
図14を参照して、
図2に示されるCNCユニット30のハードウェア構成について説明する。
図14は、CNCユニット30のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0132】
CNCユニット30は、制御回路301と、ROM302と、RAM303と、通信インターフェイス305と、通信インターフェイス305と、補助記憶装置320とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス309に接続される。
【0133】
制御回路301は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0134】
制御回路301は、加工プログラム322などの各種プログラムを実行することでCNCユニット30の動作を制御する。加工プログラム322は、ワーク加工を実現するためのプログラムである。制御回路301は、加工プログラム322の実行命令を受け付けたことに基づいて、ROM302からRAM303に加工プログラム322を読み出す。RAM303は、ワーキングメモリとして機能し、加工プログラム322の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0135】
通信インターフェイス305は、LAN、WLAN、またはBluetooth(登録商標)などを用いた通信を実現するためのインターフェイスである。一例として、CNCユニット30は、通信インターフェイス305を介してCPUユニット20との通信を実現する。また、CNCユニット30は、通信インターフェイス305または他の通信インターフェイスを介して、ワーク加工のための各種駆動ユニット(たとえば、モータドライバ111R,111X~111Zなど)との通信を実現する。
【0136】
補助記憶装置320は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。補助記憶装置320は、加工プログラム322などを格納する。加工プログラム322の格納場所は、補助記憶装置320に限定されず、制御回路301の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリ)、ROM302、RAM303、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0137】
<L.フローチャート>
次に、
図15を参照して、工具情報の検索フローについて説明する。
図15は、工具情報の検索処理の流れを示すフローチャートである。
【0138】
図15に示される処理は、制御部50が上述の制御プログラム222を実行することにより行われる。なお、
図15に示される処理の一部または全部は、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0139】
ステップS110において、制御部50は、上述の回収用ポンプ152をOFFにする。すなわち、制御部50は、回収用ポンプ152の回転数をゼロにする。これにより、回収用タンク11から貯蔵用タンク12へのクーラントの排出が停止する。結果として、回収用タンク11内のクーラント量は増加していき、貯蔵用タンク12内のクーラント量は減少していく。
【0140】
ステップS120において、制御部50は、上述の液量センサ151の出力値に基づいて、回収用タンク11内のクーラント量が上述の所定量th1を超えたか否かを判断する。制御部50は、回収用タンク11内のクーラント量が所定量th1を超えたと判断した場合(ステップS120においてYES)、制御をステップS122に切り替える。そうでない場合には(ステップS120においてNO)、制御部50は、ステップS120の処理を再び実行する。
【0141】
ステップS122において、制御部50は、上述の回収用ポンプ152をONにする。このとき、制御部50は、設定可能な内の最大回転数(たとえば、50Hz~60Hz)で回収用ポンプ152を駆動する。これにより、回収用タンク11内のクーラントは、貯蔵用タンク12に排出される。結果として、回収用タンク11内のクーラント量は減少していき、貯蔵用タンク12内のクーラント量は増加していく。
【0142】
ステップS130において、制御部50は、上述の液量センサ151の出力値に基づいて、回収用タンク11内のクーラント量が上述の所定量th2を下回ったか否かを判断する。制御部50は、回収用タンク11内のクーラント量が所定量th2を下回ったと判断した場合(ステップS130においてYES)、制御をステップS140に切り替える。そうでない場合には(ステップS130においてNO)、制御部50は、ステップS130の処理を再び実行する。
【0143】
ステップS140において、制御部50は、上述の液量センサ155の出力値に基づいて、貯蔵用タンク12内のクーラント量が上述の所定量th3を下回ったか否かを判断する。制御部50は、貯蔵用タンク12内のクーラント量が所定量th3を下回ったと判断した場合(ステップS140においてYES)、制御をステップS142に切り替える。そうでない場合には(ステップS140においてNO)、制御部50は、ステップS110に制御を戻す。
【0144】
ステップS142において、制御部50は、回収用ポンプ152の制御モードをON/OFF制御モードからアナログ制御モードに切り換える。一例として、制御部50は、20Hz~40Hzの間で回収用ポンプ152の回転数を適宜調整する。これにより、回収用タンク11内のクーラントは、上述の一定量THに保たれる。
【0145】
なお、制御部50は、貯蔵用タンク12内のクーラント量が上述の所定量th3を下回ったタイミングで制御モードを切り換えてもよいし、当該タイミングから所定時間(たとえば、360秒)に制御モードを切り換えてもよい。
【0146】
ステップS150において、制御部50は、上述の液量センサ155の出力値に基づいて、貯蔵用タンク12内のクーラント量が上述の所定量th4を下回ったか否かを判断する。制御部50は、貯蔵用タンク12内のクーラント量が所定量th4を下回ったと判断した場合(ステップS150においてYES)、制御をステップS152に切り替える。そうでない場合には(ステップS150においてNO)、制御部50は、ステップS150の処理を再び実行する。
【0147】
ステップS152において、制御部50は、予め定められた異常対処処理を実行する。異常対処処理については上述の通りであるので、その説明については繰り返さない。
【0148】
<M.まとめ>
以上のようにして、工作機械100の制御部50は、貯蔵用タンク12内のクーラント量が所定量th3以上である場合に、ON/OFF制御モードで回収用ポンプ152を制御する。その後、制御部50は、貯蔵用タンク12内のクーラント量が所定量th3を下回ったことに基づいて、回収用ポンプ152の制御モードをON/OFF制御モードからアナログ制御モードに切り替える。これにより、ON/OFF制御モードの利点と、アナログ制御モードの利点との両方を享受することができる。
【0149】
より具体的には、ON/OFF制御モードでは、回収用タンク11内の液面の高さが所定量th1,th2の間で変動し、回収用タンク11内の液面上の異物(たとえば、油や浮遊している切り屑)は、回収用ポンプ152の吸入口から貯蔵用タンク12に排出される。また、回収用タンク11内のクーラント量が増減することで、回収用タンク11内のクーラントが拡散される。そのため、回収用タンク11内の液面上の異物は、貯蔵用タンク12に排出されやすくなる。
【0150】
一方で、アナログ制御モードでは、回収用タンク11内のクーラント量が増減しないため、貯蔵用タンク12内のクーラント量の減少は、クーラントの蒸発にのみ起因する。そのため、工作機械100は、回収用タンク11内にクーラントが残っているにも関わらず、貯蔵用タンク12内にクーラントが残っていないと認識することがなくなり、回収用タンク11内のクーラントを機内で十分に利用することができる。
【0151】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0152】
11 回収用タンク、12 貯蔵用タンク、13 切り屑搬送装置、20 CPUユニット、21 カバー体、22 水平部、23 切り屑受け入れ部、24 接続口、26 立ち上がり部、27 切り屑排出部、28 クーラント排出部、30 CNCユニット、34 無端チェーン、35 切り屑搬送部、37 駆動スプロケット、38 従動スプロケット、39 濾過機構、46 フィルタ、47 内部空間、50 制御部、100 工作機械、109 吐出用ポンプ、110 バルブ、111A モータドライバ、111R モータドライバ、111X モータドライバ、111Y モータドライバ、111Z モータドライバ、112A モータ、112R モータ、112X モータ、112Y モータ、112Z モータ、113 移動体、125 吐出部、125A 吐出機構、125B 吐出機構、125C 吐出機構、130 カバー体、131 主軸頭、132 主軸、133 ハウジング、134 工具、136 テーブル、140 操作盤、142 ディスプレイ、150 チップコンベア、151 液量センサ、152 回収用ポンプ、153 吸入口、155 液量センサ、158 光源、201 制御回路、202 ROM、203 RAM、204 通信インターフェイス、205 通信インターフェイス、209 内部バス、220 補助記憶装置、222 制御プログラム、224 設定ファイル、301 制御回路、302 ROM、303 RAM、305 通信インターフェイス、309 内部バス、320 補助記憶装置、322 加工プログラム。