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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】電動式建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/22 20060101AFI20240731BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20240731BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
E02F9/22 C
E02F9/00 C
E02F9/24 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023556631
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 JP2022040129
(87)【国際公開番号】W WO2023074791
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2024-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2021177464
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大鶴 隼也
(72)【発明者】
【氏名】木原 聖一
(72)【発明者】
【氏名】木村 庄吾
(72)【発明者】
【氏名】桑原 拓真
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-84099(JP,A)
【文献】特開2010-22164(JP,A)
【文献】特開2012-181984(JP,A)
【文献】特開2012-178230(JP,A)
【文献】特開2002-327469(JP,A)
【文献】実開平4-89154(JP,U)
【文献】韓国公開実用新案第20-2013-0004413(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/22
E02F 9/00
E02F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席を有する自走可能な車体と、前記車体に設けられた作業装置とからなり、
前記車体は、動力源となる電動モータと、前記電動モータに供給される電力を貯えるバッテリと、前記電動モータまたは前記バッテリに電力を供給するための給電ケーブルが接続される給電コネクタと、前記車体または前記作業装置が作動しているときに点灯する表示灯と、を備えてなる電動式建設機械において、
前記給電コネクタおよび前記表示灯は前記運転席の後側に設けられ、
前記給電ケーブルが抜き差しされる前記給電コネクタの差込み口は、左右方向のうち前記表示灯側を向いて配置されていることを特徴とする電動式建設機械。
【請求項2】
前記給電コネクタと前記表示灯とを取付けるベース部材を有し、前記ベース部材が前記車体に取付けられることを特徴とする請求項1に記載の電動式建設機械。
【請求項3】
前記給電コネクタの前記差込み口は、前記表示灯の後方を向いて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電動式建設機械。
【請求項4】
前記給電コネクタの前記差込み口は、前記表示灯の下方を向いて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電動式建設機械。
【請求項5】
前記ベース部材には、前記ベース部材に取付けられた前記給電コネクタを覆うコネクタカバーが設けられ、
前記コネクタカバーには、前記給電コネクタの前記差込み口に対応する開口部と、前記コネクタカバーにヒンジ機構を介して取付けられ前記開口部を開閉可能に覆う蓋体とが設けられ、
前記蓋体は、前記ヒンジ機構を支点として後方に開くことを特徴とする請求項2に記載の電動式建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動力源として電動モータを備えた油圧ショベル等の電動式建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の代表例である油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、下部走行体上に旋回装置を介して旋回可能に搭載され下部走行体と共に車体を構成する上部旋回体と、上部旋回体の前側に設けられた作業装置とを備えている。近年では、地球温暖化、大気汚染を抑制する対策として、電動モータを動力源とする電動式油圧ショベルが実用化されている。この電動式油圧ショベルは、電動モータによって油圧ポンプを駆動することにより、油圧アクチュエータに作動用の圧油を供給する(特許文献1参照)。
【0003】
電動式油圧ショベルは、通常、電動モータ、バッテリおよび充電器を備え、外部電源からの電力は、充電器等を介して電動モータに供給され、余剰の電力はバッテリに充電される。このため、電動式油圧ショベルには給電コネクタが設けられ、外部電源に接続された給電ケーブルは、給電コネクタの差込み口に差し込まれることにより、充電器に電気的に接続される。これにより、外部電源またはバッテリから供給される電力によって電動モータが駆動され、電動式油圧ショベルは、電動モータによって駆動される油圧ポンプからの圧油により、上部旋回体を旋回させつつ作業装置を用いて土砂の掘削作業等を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-8009号公報
【発明の概要】
【0005】
電動式油圧ショベルは、外部電源と給電コネクタとが給電ケーブルによって接続され、外部電源からの電力供給により作業を行う状態と、外部電源と給電コネクタとが接続されずに車体に搭載しているバッテリからの電力供給により作業を行う状態がある。外部電源と給電コネクタとが給電ケーブルによって接続されている状態では、走行する車体による給電ケーブルの踏み付け、あるいは上部旋回体の旋回時における給電ケーブルの巻き込み等によって給電ケーブルが損傷してしまう可能性がある。そのため、電動式油圧ショベルに搭乗しているオペレータは給電コネクタへの給電ケーブルの接続の有無をいち早く知る必要がある。また、電動式油圧ショベルの周囲の作業者にとっても、電動式油圧ショベルの駆動に伴う給電ケーブルの揺動があることから、自身の安全な作業範囲を把握するためにも給電コネクタへの給電ケーブルの接続の有無を知ることは重要である。
【0006】
しかし、特に、電動式油圧ショベルを用いた夜間作業時に、電動式油圧ショベルを照らす照明設備が十分でない場合には、オペレータや周囲の作業者にとって、給電コネクタに接続された給電ケーブルを認識するのが難しいという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、給電ケーブルを通じて外部電源からの電力が供給されていることをオペレータおよび周囲の作業者に認識させるようにした電動式建設機械を提供することにある。
【0008】
本発明は、運転席を有する自走可能な車体と、前記車体に設けられた作業装置とからなり、前記車体は、動力源となる電動モータと、前記電動モータに供給される電力を貯えるバッテリと、前記電動モータまたは前記バッテリに電力を供給するための給電ケーブルが接続される給電コネクタと、前記車体または前記作業装置が作動しているときに点灯する表示灯と、を備えてなる電動式建設機械において、前記給電コネクタおよび前記表示灯は前記運転席の後側に設けられ、前記給電ケーブルが抜き差しされる前記給電コネクタの差込み口は、左右方向のうち前記表示灯側を向いて配置されていることを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、夜間作業時において車体または作業装置の作動時に表示灯が点灯することにより、給電コネクタの差込み口に差し込まれた給電ケーブルを照らすことができる。これにより、給電ケーブルを通じて外部電源から電力が供給されていることを、オペレータおよび周囲の作業者に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態による電動式油圧ショベルを示す左側面図である。
図2】電動式油圧ショベルを後方から見た背面図である。
図3】カウンタウエイトの上面、給電コネクタ、表示灯を右後方から見た斜視図である。
図4】ベース部材、給電コネクタ、コネクタカバー、表示灯を示す斜視図である。
図5】ベース部材、コネクタカバー、蓋体、表示灯を示す斜視図である。
図6】ベース部材、給電コネクタ、コネクタカバー、表示灯を示す分解斜視図である。
図7】ベース部材、給電コネクタ、表示灯を上方から見た平面図である。
図8】ベース部材、給電コネクタ、コネクタカバー、給電ケーブル、表示灯を上方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態による電動式建設機械を、電動式油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図8を参照しつつ詳細に説明する。なお、実施形態では、電動式油圧ショベルの走行方向を前後方向とし、走行方向と直交する方向を左右方向として説明する。
【0012】
電動式建設機械を代表する電動式油圧ショベル1は、前後方向に自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とを備えている。電動式油圧ショベル1の車体は、下部走行体2と上部旋回体3とにより構成されている。上部旋回体3の前側には、スイング式の作業装置4が設けられ、この作業装置4を用いて土砂の掘削作業等が行われる。
【0013】
スイング式の作業装置4は、後述する旋回フレーム5の前側に左右方向に揺動可能に設けられたスイングポスト4Aを有している。スイングポスト4Aには、ブーム4Bが回動可能に取付けられ、ブーム4Bの先端には、アーム4Cが回動可能に取付けられ、アーム4Cの先端には、バケット4Dが回動可能に取付けられている。また、作業装置4は、スイングポスト4Aを揺動させるスイングシリンダ4Eと、ブーム4Bを回動させるブームシリンダ4Fと、アーム4Cを回動させるアームシリンダ4Gと、バケット4Dを回動させるバケットシリンダ4Hとを備えている。
【0014】
上部旋回体3は、下部走行体2に旋回装置を介して旋回可能に搭載され、下部走行体2上で旋回動作を行う。上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム5を備え、旋回フレーム5には、後述するキャブ6、カウンタウエイト10、外装カバー11、バッテリ12等が搭載されている。
【0015】
キャブ6は、旋回フレーム5の左側に配置されている。キャブ6は、前面6A、後面6B、左側面6C、右側面6D、上面6Eによって囲まれたボックス状に形成され、オペレータが搭乗する運転室を形成している。キャブ6内には、オペレータが座る運転席7、下部走行体2の走行動作を制御する走行用レバー・ペダル8、上部旋回体3の旋回動作、および作業装置4の動作を制御する作業用操作レバー9等が設けられている。
【0016】
カウンタウエイト10は、キャブ6よりも後側に位置して旋回フレーム5の後端に設けられている。カウンタウエイト10は、旋回フレーム5の前側に設けられた作業装置4との重量バランスを保っている。カウンタウエイト10は、旋回フレーム5の後端から上方に立上がり、バッテリ12等を後方から覆っている。
【0017】
カウンタウエイト10の後面10Aは、左右方向の中央部が後方に突出した円弧状をなしている。これにより、上部旋回体3が旋回したときに、カウンタウエイト10の後面10Aは一定の旋回半径内に収まる。また、カウンタウエイト10の上面10Bには、後述するベース部材14を介して給電コネクタ18、表示灯25が取付けられている。
【0018】
外装カバー11は、カウンタウエイト10の前側に位置して旋回フレーム5上に設けられている。外装カバー11は、旋回フレーム5上に搭載された電動モータ、油圧ポンプ(いずれも図示せず)、バッテリ12等の搭載機器をカウンタウエイト10と共に覆っている。外装カバー11は、搭載機器を右側および上側から覆う右外装カバー11Aと、搭載機器を左側から覆う左外装カバー11Bとを含んで構成されている。
【0019】
バッテリ12は、カウンタウエイト10の前側に配置されている。バッテリ12は、動力源となる電動モータ(図示せず)に供給される電力を蓄える。外部電源13からの電力は、充電器等を介して電動モータ(いずれも図示せず)に供給され、余剰の電力はバッテリ12に充電される。電動モータは、外部電源13から供給された電力により油圧ポンプ(図示せず)を駆動し、電動式油圧ショベル1は、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4を用いて土砂の掘削作業等を行う。
【0020】
次に、本実施形態に用いられるベース部材14、給電コネクタ18、表示灯25について説明する。これらベース部材14、給電コネクタ18、表示灯25は、1つのユニットを構成し、運転席7の後側に位置してカウンタウエイト10の上面10Bに設けられている。
【0021】
ベース部材14は、キャブ6の後面6Bの後側に位置してカウンタウエイト10の上面10Bに取付けられている。ベース部材14は、給電コネクタ18と表示灯25とが一体的に取付けられた状態で、カウンタウエイト10に取付けられている。図6および図7に示すように、ベース部材14は、左右方向に延びる平板状の基板15と、基板15の左側に設けられたコネクタ取付台座16と、基板15の右側に設けられた表示灯取付台座17とを含んで構成されている。
【0022】
基板15のうちコネクタ取付台座16よりも左側の部位には、上下方向に貫通するケーブル挿通孔15Aが形成されている。ケーブル挿通孔15Aには、給電コネクタ18と充電器(図示せず)との間を接続する接続ケーブル20(図8参照)が挿通される。基板15のうちコネクタ取付台座16よりも右側の部位には、左右方向に離間して2個の大径孔15Bが形成されている。また、基板15のうちケーブル挿通孔15Aよりも左側の部位には、前後方向に離間して2個の小径孔15C(1個のみ図示)が形成されている。さらに、基板15のうちケーブル挿通孔15Aよりも前側の部位には、L字型に屈曲した板体からなるカバー取付板15Dが立設され、カバー取付板15Dにはナット15Eが溶接されている。
【0023】
基板15の大径孔15Bに挿通された2個の大径ボルト15F、および小径孔15Cに挿通された2個の小径ボルト15Gは、それぞれカウンタウエイト10の上面10Bに設けられた雌ねじ穴(図示せず)に螺着される。これにより、基板15は、カウンタウエイト10の上面10Bに固定される。
【0024】
コネクタ取付台座16は、ケーブル挿通孔15Aの右側に位置して基板15上に立設され、給電コネクタ18とコネクタカバー21が取付けられる。コネクタ取付台座16は、鋼板等に曲げ加工を施すことにより形成され、基板15から上方に立上がるコネクタ取付板16Aと、コネクタ取付板16Aの前端から右側に屈曲したカバー取付板16Bとを有している。コネクタ取付板16Aには、板厚方向に貫通する四角形の角孔16Cと、角孔16Cを取囲んで溶接された4個のナット16Dとが設けられている。また、カバー取付板16Bの下側には、1個のボルト挿通孔16Eが形成されている。
【0025】
表示灯取付台座17は、コネクタ取付台座16の右側に位置して基板15上に設けられ、表示灯25が取付けられる。表示灯取付台座17は、逆U字型に折り曲げられた2個の枠体17Aからなり、これら2個の枠体17Aは、左右方向に離間した状態で基板15上に溶接され、基板15から上方に突出している。2個の枠体17Aの上面17Bには、それぞれボルト挿通孔17Cが形成され、上面17Bの裏側には、ボルト挿通孔17Cと同心上にナット(図示せず)が溶接されている。
【0026】
給電コネクタ18は、ベース部材14のコネクタ取付台座16に取付けられ、運転席7の後側に配置されている。給電コネクタ18は、内周側に接続端子(図示せず)が配置された円筒体からなり、給電コネクタ18の先端は、外部電源13に接続された給電ケーブル19が抜き差しされる差込み口18Aとなっている。給電コネクタ18の先端側には四角形の取付フランジ18Bが固定され、取付フランジ18Bには、コネクタ取付台座16のナット16Dに対応する4個のボルト挿通孔18Cが設けられている。
【0027】
給電コネクタ18は、取付フランジ18Bのボルト挿通孔18Cに挿通されたボルト18Dを、コネクタ取付台座16のナット16Dに螺合することにより、コネクタ取付台座16に取付けられる。図8に示すように、コネクタ取付台座16に取付けられた給電コネクタ18には、接続ケーブル20が接続され、接続ケーブル20は、基板15のケーブル挿通孔15Aを通じて外装カバー11の内側へと延び、充電器(図示せず)に接続されている。
【0028】
図3に示すように、コネクタ取付台座16に給電コネクタ18を取付けた状態で、給電コネクタ18の差込み口18Aは、左右方向のうち表示灯25側を向いて配置され、かつ、表示灯25の後方を向いて配置されている。これにより、給電コネクタ18に接続された給電ケーブル19が、表示灯25の前側に出るのを抑えることができる。このため、電動式油圧ショベル1の右前方あるいは右側方に存在する作業者が表示灯25を目視するときの視線が、給電ケーブル19によって遮られることがなく、表示灯25を確実に目視することができる。また、運転席7に座ったオペレータが後方を振り返ったときに、オペレータの視線が給電ケーブル19によって遮られることがなく、表示灯25を確実に目視することができる。
【0029】
さらに、給電コネクタ18の差込み口18Aは、表示灯25の下方を向いて配置されている。これにより、給電コネクタ18に接続された給電ケーブル19が、表示灯25の真後ろを横切るのを抑えることができる。このため、電動式油圧ショベル1の後方に存在する作業者が表示灯25を目視するときの視線が、給電ケーブル19によって遮られることがなく、表示灯25を確実に目視することができる。
【0030】
コネクタカバー21は、ベース部材14のコネクタ取付台座16に設けられ、コネクタ取付台座16に取付けられた給電コネクタ18を覆っている。図6および図8に示すように、コネクタカバー21は、左前面板21A、右前面板21B、左後面板21C、右後面板21D、左側面板21E、上面板21Fによって囲まれ、下側が開口した箱状に形成されている。
【0031】
コネクタカバー21を構成する左前面板21Aの左端側には、ボルト挿通孔21Gが設けられている。ボルト挿通孔21Gは、基板15のカバー取付板15Dに設けられたナット15Eに対応している。左前面板21Aの右端側には、ボルト挿通孔21Hが設けられている。ボルト挿通孔21Hは、コネクタ取付台座16のカバー取付板16Bに設けられたボルト挿通孔16Eに対応している。コネクタカバー21は、ボルト挿通孔21Gに挿通されたボルト21Jを、基板15(カバー取付板15D)のナット15Eに螺合すると共に、コネクタ取付台座16(カバー取付板16B)のボルト挿通孔16Eとボルト挿通孔21Hとに挿通されたボルト21Kにナットを螺合することにより、コネクタ取付台座16に取付けられている。
【0032】
コネクタカバー21の開口部22は、コネクタカバー21を構成する左後面板21Cの右側から右後面板21Dの全域に亘って形成されている。開口部22は、左右方向に延びる矩形状をなし、コネクタ取付台座16に取付けられた給電コネクタ18の差込み口18Aに対応している。従って、給電ケーブル19は、開口部22を通じてコネクタカバー21の内部に挿入され、給電コネクタ18の差込み口18Aに差し込まれる。
【0033】
蓋体23は、コネクタカバー21の左後面板21Cにヒンジ機構24を介して取付けられ、開口部22を開閉可能に覆っている。蓋体23は、コネクタカバー21の左後面板21Cに当接する左蓋体23Aと、右後面板21Dに当接する右蓋体23Bとを有している。右蓋体23Bは、左蓋体23Aに対しヒンジ部材23Cを介して回動可能に取付けられている。蓋体23は、開口部22を閉じて給電コネクタ18を覆い隠す閉位置(図5の位置)と、ヒンジ機構24を中心として回動することにより開口部22を開く開位置(例えば図8の位置)とに変位する。
【0034】
蓋体23が開位置に変位するときには、蓋体23の先端23D(右蓋体23Bの右端)は、ヒンジ機構24を支点として後方(図8中の矢示A方向)に移動し、蓋体23全体が後方に開く。これにより、蓋体23が開いたときに、表示灯25の前側に出ることがなく、電動式油圧ショベル1の右前方に存在する作業者が表示灯25を目視するときの視線が、蓋体23によって遮られることがない。また、運転席7に座ったオペレータが後方を振り返ったときに、オペレータの視線が蓋体23によって遮られることがない。一方、蓋体23の右蓋体23Bには、施錠部材23Eが設けられている。施錠部材23Eは、蓋体23を閉位置に保持するもので、鍵部材(図示せず)によって解錠することにより、蓋体23を開位置へと変位させることができる。
【0035】
表示灯25は、運転席7よりも後側に位置して上部旋回体3に設けられている。表示灯25は、カウンタウエイト10に取付けられた共通なベース部材14の表示灯取付台座17に、給電コネクタ18と一体的に取付けられている。表示灯25は、給電コネクタ18の右側に隣接した位置でカウンタウエイト10の上面10Bから上方に突出している。表示灯25は、下部走行体2の走行時あるいは上部旋回体3の旋回時、作業装置4の作動時(電動式油圧ショベル1の稼働時)に点灯し、電動式油圧ショベル1の周囲の作業者に対し、電動式油圧ショベル1が作動中であることを報知し、注意を喚起する。
【0036】
表示灯25は、電動式油圧ショベル1の稼働時に点灯する表示灯本体25Aと、表示灯本体25Aの下面に複数(例えば3本)のボルト25Bを用いて固定された平板状の取付板25Cとを有している。取付板25Cには、左右方向に離間して2個のボルト挿通孔25Dが設けられ、これら2個のボルト挿通孔25Dは、ベース部材14の表示灯取付台座17を構成する2個の枠体17Aのボルト挿通孔17Cに対応している。
【0037】
表示灯25は、取付板25Cのボルト挿通孔25Dに挿通されたボルト25Eを、表示灯取付台座17のボルト挿通孔17Cの裏面に溶接されたナット(図示せず)に螺合することにより、表示灯取付台座17に取付けられている。このように、ベース部材14のコネクタ取付台座16に給電コネクタ18を取付け、表示灯取付台座17に表示灯25を取付けた状態で、給電コネクタ18の差込み口18Aは表示灯25側に配置され、表示灯本体25Aと左右方向で対向している。これにより、電動式油圧ショベル1の稼働時に表示灯25が点灯したときには、表示灯25から照射される光によって給電コネクタ18、給電コネクタ18に接続された給電ケーブル19を照らすことができる。
【0038】
また、給電コネクタ18と表示灯25とは、共通なベース部材14に一体的に取付けられた状態で、このベース部材14を介してカウンタウエイト10の上面10Bに取付けられている。これにより、給電コネクタ18と表示灯25とを、ユニット化した状態でカウンタウエイト10に取付けることができるので、例えば給電コネクタ18と表示灯25とを別々にカウンタウエイト10に取付ける場合に比較して、取付け作業の作業性を高めることができる。
【0039】
本実施形態による電動式油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、以下、電動式油圧ショベル1の動作について説明する。
【0040】
外部電源13から供給される電力によって電動式油圧ショベル1を駆動する場合には、コネクタカバー21に設けられた蓋体23を閉位置から開位置へと変位させ、コネクタカバー21の開口部22を開放する。この状態で、外部電源13に接続された給電ケーブル19を、給電コネクタ18の差込み口18Aに差し込む。これにより、外部電源13からの電力が電動モータ(図示せず)に供給され、電動モータは、外部電源からの電力によって油圧ポンプ(図示せず)を駆動する。
【0041】
この状態で、オペレータが走行用レバー・ペダル8を操作することにより、電動式油圧ショベル1を作業現場まで走行させることができる。電動式油圧ショベル1が作業現場まで移動した後には、オペレータが作業用操作レバー9を操作することにより、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4によって土砂等の掘削作業を行うことができる。下部走行体2の走行時あるいは上部旋回体3の旋回時、作業装置4の作動時(電動式油圧ショベル1の稼働時)には、表示灯25が点灯する。これにより、電動式油圧ショベル1の周囲に存在する作業者に対し、電動式油圧ショベル1が稼働中であることを報知し、注意を喚起することができる。
【0042】
この場合、給電コネクタ18の差込み口18Aは、左右方向のうち表示灯25側を向いて配置されているので、表示灯25から照射される光によって、差込み口18Aに接続された給電ケーブル19を照らすことができる。これにより、電動式油圧ショベル1を用いた夜間作業時に、給電コネクタ18に接続された給電ケーブル19を通じて電動式油圧ショベル1に外部電源13からの電力が供給され、この電力によって電動式油圧ショベル1が稼働していることを、オペレータおよび周囲の作業者に認識させることができる。この結果、周囲の作業者が、電動式油圧ショベル1に外部電源13からの電力が供給されている最中に、誤って給電コネクタ18から給電ケーブル19を抜いてしまう事態を回避することができる。
【0043】
特に、夜間作業時において電動式油圧ショベル1を照らす照明設備が十分でない場合でも、給電コネクタ18に接続された給電ケーブル19を、表示灯25からの光によって明るく照らすことができる。この結果、オペレータおよび電動式油圧ショベル1の周囲の作業者は、給電コネクタ18に接続された給電ケーブル19を明確に認識することができる。
【0044】
しかも、給電コネクタ18の差込み口18Aは、表示灯25の下方を向いて配置されている。これにより、給電ケーブル19に接続された給電ケーブル19が、表示灯25の真後ろを横切るのを防止することができる。この結果、電動式油圧ショベル1の後方に作業者が存在する場合に、表示灯25を目視する作業者の視線が給電ケーブル19によって遮られることがなく、作業者は表示灯25を確実に目視することができる。
【0045】
また、給電コネクタ18の差込み口18Aは、表示灯25の後方を向いて配置されている。これにより、給電ケーブル19に接続された給電ケーブル19が、表示灯25の前側に出るのを防止することができる。このため、電動式油圧ショベル1の右前方あるいは右側方に存在する作業者が表示灯25を目視するときの視線が、給電ケーブル19によって遮られることがなく、表示灯25を確実に目視することができる。また、運転席7に座ったオペレータが後方を振り返ったときに、オペレータの視線が給電ケーブル19によって遮られることがなく、表示灯25を確実に目視することができる。この結果、例えば電動式油圧ショベル1の作動時に表示灯25が故障等によって点灯しなかった場合に、この表示灯25の故障を認識し、故障に対する修理等を迅速に行うことができる。
【0046】
さらに、給電コネクタ18の差込み口18Aに給電ケーブル19を接続するため、コネクタカバー21の開口部22を開放するときには、蓋体23は、表示灯25の前側に出ることなく、ヒンジ機構24を支点として後方に開く。これにより、電動式油圧ショベル1の右前方に存在する作業者が表示灯25を目視するときの視線が、蓋体23によって遮られることがなく、表示灯25を確実に目視することができる。また、運転席7に座ったオペレータが後方を振り返ったときに、オペレータの視線が蓋体23によって遮られることがなく、表示灯25を確実に目視することができる。
【0047】
かくして、本実施形態では、下部走行体2と上部旋回体3とからなり運転席7を有する自走可能な車体と、上部旋回体3に設けられた作業装置4とからなり、上部旋回体3は、動力源となる電動モータと、前記電動モータに供給される電力を貯えるバッテリ12と、前記電動モータまたはバッテリ12に電力を供給するための給電ケーブル19が接続される給電コネクタ18と、下部走行体2、上部旋回体3または作業装置4が作動しているときに点灯する表示灯25と、を備えてなる電動式油圧ショベル1において、給電コネクタ18および表示灯25は運転席7の後側に設けられ、給電ケーブル19が抜き差しされる給電コネクタ18の差込み口18Aは、左右方向のうち表示灯25側を向いて配置されていることを特徴としている。
【0048】
この構成によれば、表示灯25から照射される光によって差込み口18Aに接続された給電ケーブル19を照らすことができる。これにより、給電ケーブル19を通じて電動式油圧ショベル1に外部電源13からの電力が供給され、この電力によって電動式油圧ショベル1が稼働していることを、オペレータおよび周囲の作業者に認識させることができる。この結果、電動式油圧ショベル1に外部電源13からの電力が供給されているにも関わらず、周囲の作業者が誤って給電コネクタ18から給電ケーブル19を抜いてしまう事態を回避することができる。
【0049】
実施形態では、給電コネクタ18と表示灯25とを取付けるベース部材14を有し、ベース部材14が上部旋回体3のカウンタウエイト10に取付けられている。この構成によれば、給電コネクタ18と表示灯25とを、ユニット化した状態でカウンタウエイト10に取付けることができる。この結果、例えば給電コネクタ18と表示灯25とを別々にカウンタウエイト10に取付ける場合に比較して、給電コネクタ18と表示灯25の取付け作業の作業性を高めることができる。
【0050】
実施形態では、給電コネクタ18の差込み口18Aは、表示灯25の後方を向いて配置されている。この構成によれば、給電コネクタ18に接続された給電ケーブル19が、表示灯25の前側に出るのを抑えることができる。このため、電動式油圧ショベル1の右前方あるいは右側方に存在する作業者が表示灯25を目視するときの視線が、給電ケーブル19によって遮られることがなく、表示灯25を確実に目視することができる。また、オペレータが運転席7から後方を振り返ったときに、オペレータの視線が給電ケーブル19によって遮られることがなく、表示灯25を確実に目視することができる。この結果、例えば電動式油圧ショベル1の作動時に、表示灯25が故障等によって点灯しなかった場合に、この表示灯25の故障を認識して迅速に対処することができる。
【0051】
実施形態では、給電コネクタ18の差込み口18Aは、表示灯25の下方を向いて配置されている。この構成によれば、給電コネクタ18に接続された給電ケーブル19が、表示灯25の真後ろを横切るのを防止できる。この結果、電動式油圧ショベル1の後方に作業者が存在する場合に、表示灯25を目視する作業者の視線が給電ケーブル19によって遮られることがなく、作業者は表示灯25を確実に目視することができる。
【0052】
実施形態では、ベース部材14には、ベース部材14に取付けられた給電コネクタ18を覆うコネクタカバー21が設けられ、コネクタカバー21には、給電コネクタ18の差込み口18Aに対応する開口部22と、コネクタカバー21にヒンジ機構24を介して取付けられ開口部22を開閉可能に覆う蓋体23とが設けられ、蓋体23は、ヒンジ機構24を支点として後方に開く。この構成によれば、給電コネクタ18の差込み口18Aに給電ケーブル19を接続するため、コネクタカバー21の開口部22を開放したときに、蓋体23は、表示灯25の前側に出ることなく後方に開く。これにより、電動式油圧ショベル1の右前方に存在する作業者が表示灯25を目視するときの視線が、蓋体23によって遮られることがなく、表示灯25を確実に目視することができる。また、オペレータが運転席7から後方を振り返ったときに、オペレータの視線が蓋体23によって遮られることがなく、表示灯25を確実に目視することができる。
【0053】
なお、実施形態では、表示灯25を給電コネクタ18の右側に設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば表示灯を給電コネクタの左側に設け、差込み口を左右方向のうち表示灯側を向いて配置する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
4 作業装置
7 運転席
12 バッテリ
14 ベース部材
18 給電コネクタ
18A 差込み口
19 給電ケーブル
21 コネクタカバー
22 開口部
23 蓋体
24 ヒンジ機構
25 表示灯
図1
図2
図3
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図8