(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】サイロの点検装置
(51)【国際特許分類】
B65D 90/48 20060101AFI20240731BHJP
A01F 25/16 20060101ALI20240731BHJP
B65D 88/26 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
B65D90/48 Z
A01F25/16
B65D88/26 Z
(21)【出願番号】P 2024017582
(22)【出願日】2024-02-08
【審査請求日】2024-02-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000153443
【氏名又は名称】株式会社 日立産業制御ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】那須 清
(72)【発明者】
【氏名】村中 達弥
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-221858(JP,A)
【文献】特開昭59-184071(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111390388(CN,A)
【文献】中国実用新案第208860807(CN,U)
【文献】特開2001-253493(JP,A)
【文献】特開2005-306393(JP,A)
【文献】特開2003-294511(JP,A)
【文献】特開昭63-294388(JP,A)
【文献】特開2016-176533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/00-90/66
G01N 29/00-29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出部と、前記検出部に接続された吊り下げ用具と、を備え、サイロの内部を点検する点検装置であって、
前記検出部は、
前記サイロの前記内部の温度若しくは湿度、貯蔵物の表面温度、及び所定のガスの濃度のうちの少なくとも一つを測定するセンサを有し、前記サイロの前記内部に吊下され、前記サイロの前記内部の状態を検出し、
前記点検装置の外部又は内部に配置された演算部により、前記サイロの前記内部の前記状態に基いて前記サイロの清掃又は修理を実施するかどうかの判定がなされる、サイロの点検装置。
【請求項2】
検出部と、前記検出部に接続された吊り下げ用具と、を備え、サイロの内部を点検する点検装置であって、
前記検出部は、全方位カメラを有し、前記サイロの前記内部に吊下され、前記サイロの前記内部の状態を検出し、
前記点検装置の外部又は内部に配置された演算部により、前記サイロの前記内部の前記状態に基いて前記サイロの清掃又は修理を実施するかどうかの判定がなされる、サイロの点検装置。
【請求項3】
検出部と、前記検出部に接続された吊り下げ用具と、前記吊り下げ用具を支持する吊り下げ用具支持部と、を備え、サイロの内部を点検する点検装置であって、
前記検出部は、前記サイロの前記内部に吊下され、前記サイロの前記内部の状態を検出し、
前記吊り下げ用具支持部の長軸は、略水平方向に配置され、
前記吊り下げ用具は、前記吊り下げ用具支持部の一方の端部に支持され、かつ、前記端部から鉛直下向きに前記サイロの前記内部に吊下されるように構成され、
前記検出部、前記吊り下げ用具又は前記吊り下げ用具支持部には、照明ユニットが設置され、
前記点検装置の外部又は内部に配置された演算部により、前記サイロの前記内部の前記状態に基いて前記サイロの清掃又は修理を実施するかどうかの判定がなされる、サイロの点検装置。
【請求項4】
検出部位置調整部を更に備え、
前記吊り下げ用具は、前記検出部位置調整部に接続され、
前記検出部位置調整部は、前記検出部を前記サイロの前記内部に吊下する、請求項
1~3のいずれか一項に記載のサイロの点検装置。
【請求項5】
前記清掃又は前記修理を実施した後、再度、
前記検出部が前記サイロの前記内部に吊下され、
前記検出部は、前記サイロの前記内部の前記状態を検出し、
前記演算部は、前記サイロの前記内部の前記状態に基いて、前記清掃又は前記修理を実施するかどうかを判定する、請求項1
~3のいずれか一項に記載のサイロの点検装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サイロの点検装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サイロは、穀物、石炭、砂利、セメント、鉱石、肥料等を貯蔵するために広く用いられている。サイロは、設置面積当たりの貯蔵量が多いことが利点であり、高さ30メートルを超える円筒形状のものもある。
【0003】
サイロの点検は、作業員の目視による観察が通例であり、サイロの清掃は、作業員がサイロの内部に入って人力で行うことが通例である。
【0004】
従来、サイロの点検、清掃等の省力化、安全等の観点から、様々な自動化、機械化等が進められている。
【0005】
特許文献1には、投入量と排出量との差分から穀物在庫推定レベルを演算し、穀物在庫推定レベルと穀物在庫実測レベルとの差から得た穀物内空洞の発生履歴を用いて、所定の相関関係を学習(ニューロ等)により決定し、サイロ内在庫量の予測を行なうサイロ在庫管理計算機を備えたサイロ在庫管理装置が開示されている。
【0006】
特許文献2には、容器への搬入及び容器からの搬出の際に分解の必要が無く、かつ容器のコニカル部を十分に清掃できる容器内清掃器具として、加圧流体の通路となる可とう性を有する耐圧ゴムホースと、その耐圧ゴムホースと連通する剛性を有する水平管と、その水平管の両端にそれぞれ連結され、可とう性を有する2本のホースと、搬出用のロープと、を備えたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平6-259139号公報
【文献】特開2016-52625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
サイロは、高さがあり、内部が暗いため、作業員が点検口等から目視により確認しても、内部の状態を十分に把握することができない場合がある。
【0009】
具体的には、サイロの内部の穀物等の貯蔵物の全てを出荷した後等に、サイロの天面部から貯蔵物の残存量等を作業員が目視により確認し、必要に応じて内部の清掃を実施している。しかしながら、このような方法は、作業員の視覚に依存するため、誤差も大きく、その後の対応についての判断が異なってしまう問題がある。このため、サイロの内部の状態を正確に把握し、適切な清掃計画を立案することが課題となっている。
【0010】
また、貯蔵物の全てを出荷する前においても、貯蔵物の残存量、温度、保存状態等を把握することができれば、貯蔵物の品質管理も容易になる。
【0011】
さらに、サイロの内壁面等に亀裂等の損傷部が発生しているかどうかについても、作業員が適切に判断する必要がある。
【0012】
特許文献1及び2においては、このような様々な点検を自動化するような手段は提案されていない。
【0013】
本開示の目的は、サイロの内部の状態を正確に検知し、サイロの適切な清掃計画、貯蔵物の品質管理、サイロの修理等のための基礎データを取得することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示のサイロの点検装置は、検出部と、検出部に接続された吊り下げ用具と、を備え、サイロの内部を点検する装置であって、検出部は、サイロの内部に吊下され、サイロの内部の状態を検出する。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、サイロの内部の状態を正確に検知し、サイロの適切な清掃計画、貯蔵物の品質管理、サイロの修理等のための基礎データを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の点検装置をサイロ内に吊下している状態を示す模式断面図である。
【
図5】実施例3のサイロの点検方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示に係るサイロの点検方法及び点検装置について、図面を用いて説明する。
【0018】
図1は、本開示の点検装置をサイロ内に吊下している状態を示す模式断面図である。
【0019】
本図に示すサイロ100は、胴部10と、錐部11と、を含む。サイロ100の上面部には点検口12、錐部11には点検口14が設けられている。また、錐部11の内部には、燻蒸ガス供給部16が設置されている。燻蒸ガス供給部16の中央下面部には、ガス供給口(図示していない)が設けられている。胴部10は、通常、外形が円柱形状又は四角柱状である。錐部11は、胴部10の形状に対応する形状を有し、外形が円錐形状若しくは円錐台形状又は四角錐形状若しくは四角錐台形状である。
【0020】
本図においては、サイロ100の内部に、点検装置の本体である装置本体18(検出部)を吊下している状態を示している。装置本体18は、ロープ20の下端部に固定されている。装置本体18は、点検口12からサイロ100の内部に入れられている。装置本体18は、ロープ20の長さを調整することにより、サイロ100の内部において鉛直方向に移動させることができるように構成されている。
【実施例1】
【0021】
【0022】
図2に示す点検装置200は、装置本体18と、ロープ20と、ロープ支持部22と、リール部28(検出部位置調整部)と、を含む。装置本体18とロープ20とは、接続部24により接続されている。したがって、装置本体18とリール部28とは、接続部24及びロープ20により接続されている。ロープ20は、ロープ支持部22に設置されたリール部28により巻き取られるようになっている。これにより、ロープ20の長さを調整することができる。なお、接続部24は、装置本体18の一部と解釈することもできる。また、ロープ支持部22の長軸は、略水平方向に配置されていることが望ましい。ロープ20は、ロープ支持部22の一方の端部に支持され、かつ、その端部から鉛直下向きにサイロの内部に吊下されている。
【0023】
接続部24は、ロープ20の軸を中心として回転可能としてもよい。この場合、ロープ20以外のワイヤ等(図示していない)により接続部24の回転角を調整するように構成されていることが望ましい。ワイヤ等は、ロープ支持部22等と接続部24とを接続するように構成され、接続部24に所定の張力を伝えることにより、接続部24の回転角を調整することができるようになっている。
【0024】
なお、ロープ20及びワイヤ等は、強度、耐久性等の観点から、金属、カーボンファイバ等で形成されていることが望ましい。ロープ20の代わりに、ローラーチェーン(スプロケット)、リンクチェーン、ボールチェーン等(以下「チェーン等」という。)を用いてもよい。また、ワイヤ等の代わりに、チェーン等を用いてもよい。ロープ20は、「吊り下げ用具」の一種である。また、ロープ支持部22は、「吊り下げ用具支持部」の一種である。また、ワイヤは、「回転角調整用具」の一種である。このように、ロープ20及びワイヤ等は、他の構成を有するものであってもよい。
【0025】
装置本体18には、撮像部30(カメラ等)が設置されている。撮像部30は、360度カメラ(全方位カメラ)であってもよい。
【0026】
また、装置本体18には、レーザ距離計(図示していない)を設置してもよい。レーザ距離計は、下向きにレーザを照射することができるようにすれば、サイロの下部までの距離、サイロ内に残存する貯蔵物の上面までの距離等を測定することができる。なお、距離計は、レーザを利用するもの以外でもよく、例えば、音波、超音波、電波等を利用するものであってもよい。
【0027】
さらに、装置本体18には、サイロ内の環境温度を測定する温度センサ、サイロ内の湿度を測定する湿度センサ、貯蔵物の表面温度を測定する温度センサ、サイロ内の所定のガスの濃度を測定するガスセンサ、サイロ内の可視光による観察を容易にするための照明ユニット(ライト)等を設置することが望ましい。ここで、貯蔵物の表面温度を測定する温度センサは、感温部(プローブ)を貯蔵物の表面に直接接触させて温度を測定する構成を有するものであってもよいが、貯蔵物の表面から発せられる赤外線を検出する赤外線センサであってもよい。湿度センサのデータから貯蔵物に含まれる水分(湿分)を推定してもよい。
【0028】
ガスセンサとしては、CO2センサ、O2センサ、COセンサ、酢酸、メタノール、エタノール等のアルコール等を検出する臭気センサ等が挙げられる。これらのガスセンサを用いれば、貯蔵物が穀物である場合には、穀物の発酵や腐敗に伴って発生するガス、又は発酵や腐敗に伴って減少するO2を検出することができる。
【0029】
また、装置本体18で取得したデータ等は、装置本体18に内蔵された記録装置に保存してもよい。また、当該データ等は、無線により作業員のスマートフォン、タブレット等の携帯端末(以下単に「携帯端末」という。)、パーソナルコンピュータ(PC)等に送信するように構成することが望ましい。また、当該データ等は、サイロから離れた場所に設置されたサーバ、記録装置等にインターネット等を介して送信するように構成してもよい。この場合においては、携帯端末、PC、サーバ、記録装置等に設けられたデータベースに当該データを蓄積し、携帯端末、PC、サーバ、記録装置等に設けられた演算部により当該データを用いた所定の計算を行い、その計算結果も携帯端末、PC、サーバ、記録装置等に蓄積するようにすることが望ましい。また、装置本体18に内蔵された演算部により当該データを用いた所定の計算を行ってもよく、その計算結果を携帯端末、PC、サーバ、記録装置等に送信するように構成してもよい。したがって、演算部は、点検装置200の外部に配置してもよく、点検装置200の装置本体18その他の所定の部位に配置してもよい。ここで、装置本体18その他の所定の部位は、「点検装置200の内部」と言い換えることができる。
【0030】
なお、本図に示す点検装置200は、ロープ支持部22及びリール部28を含む構成としているが、本開示に係る点検装置は、これに限定されるものではなく、ロープ支持部22及びリール部28を用いないで、ロープ20に接続した装置本体18を、作業員が人力でサイロの内部に吊下してもよい。この場合、作業員が、吊下したロープ20の長さを調整することにより、サイロの内部における装置本体18の位置を定めることができる。
【0031】
【0032】
図3に示すように、点検装置のロープ支持部22には、リール部28が設置されている。そして、ロープ支持部22は、可動部32に固定されている。可動部32は、固定レール部34に支持されている。固定レール部34の後端部には、ストッパ36が設置されている。可動部32は、固定レール部34により移動する方向を制限されている。また、可動部32は、ストッパ36に接触する位置で停止するようになっている。これにより、可動部32は、制限された範囲で水平方向にのみ移動するようになっている。
【実施例2】
【0033】
【0034】
本図に関しては、実施例1の
図2と異なる点のみについて説明する。
【0035】
図4に示す点検装置400においては、装置本体18の上方の所定の位置(ロープ20又はロープ支持部22)に照明ユニット42(ライト)が設置されている。照明ユニット42には、その下方を重点的に照らすように、傘部が設けられていることが望ましい。照明ユニット42を設けることにより、装置本体18の上方についても、可視光による画像の取得が容易となる。
【0036】
なお、本図においては、ライトは、装置本体18の上方に設置しているが、ライトの設置位置は、本図に示す例に限定されるものではなく、サイロの天面部の点検口に設置してもよい(構成T1)。また、ライトは、装置本体18の側面部等に設置してもよく、撮像部30(カメラ等)の近くであってカメラ等の上方に設置してもよい(構成T2)。
【0037】
構成T1の場合、構成T2のライトを点灯する場合と消灯する場合とがある。構成T1の場合であっても、構成T1のライトを点灯する場合と消灯する場合とがある。
【0038】
構成T1のライトは、カメラ撮影の際に用いることもできる。
【0039】
また、構成T1のライトは、照明だけに用いるものではなく、360度の球体モデルで撮影する場合に、撮影原点座標の光点(北斗七星)としてサイロ内の撮影画像の座標合わせに用いることもできる。これにより、サイロ内の実際の構造や状態を位置についてのぶれが生じないようにすることができる。
【0040】
撮影される光源(円:サイズ幅W、高さH)は、カメラと点検口(光源)との距離の計測に用いることができる。カメラで撮影する場合(ピンホールモデル単純化)、距離Lで撮影された撮影画像上の物体高さhは、距離2Lで撮影されると、撮影画像上で2/hになる。これにより、相互の相対距離の計測ができる。なお、360度の撮影画像から光源に向けたカメラ撮影画像(W×H)への視点変換、カメラ焦点距離及びccd等の受光部のサイズを用いる。
【0041】
カメラから一定距離に設置した構成T2のライトは、カメラの鉛直下方の穀物の表面の状態、及び、底面部に堆積した穀物の表面を撮影するための光源として用いることもできる。
【0042】
構成T1のライトは、全体撮影用の光源であり、構成T2のライトは、近接撮影用の光源である。
【0043】
吊り下げ距離を算出するための撮影を行う場合は、構成T2のライトを撮影中に消灯し、構成T1のライトを点灯する。サイロ壁面部の撮影を行う場合は、構成T1のライトを消灯し、構成T2のライトを点灯する。
【0044】
穀物の表面を撮影する際の構成T2のライトとカメラとの距離は、穀物の表面までの距離L1に合わせ、光量を調整する。サイロ壁面部を撮影する際の構成T2のライトとカメラとの距離は、サイロ壁面までの距離L2に合わせ、光量を調整する。
【0045】
つぎに、実施例1又は2の点検装置を用いて実施するサイロの点検方法について説明する。
【実施例3】
【0046】
図5は、実施例3のサイロの点検方法を示すフロー図である。
【0047】
本図に示すように、サイロの点検においては、検出部位置調整部が、サイロの内部に点検装置の検出部を吊下する(工程S11)。そして、検出部は、サイロの内部を点検する(工程S12)。言い換えると、工程S12においては、検出部が、サイロの内部の所定の状態(画像、数値等を含む。)を取得する。その後、検出部を引き上げて回収する(工程S13)。
【0048】
つぎに、演算部が、サイロの内部の清掃を実施するかどうかを判定する(工程S14)。なお、工程S14においては、サイロの修理の要否についても判定してもよい。この場合、画像データ等に基いて判定する。工程S14においては、貯蔵物の品質等について判定してもよい。また、工程S13は、工程S14の後に行ってもよい。
【0049】
清掃を実施する場合には、所定の手順に従って、サイロの内部を清掃する(工程S15)。清掃、修理等は、作業員がサイロの内部に入って行ってもよいが、清掃装置又は清掃ロボットにより行ってもよい。作業員による清掃、修理等が必要な場合は、作業員の携帯端末等にその旨の通知を送信する。
【0050】
清掃が終了した後は、再度、工程S11に戻り、点検を行う(工程S12)。
【0051】
工程S14において清掃を実施しないと判定した場合には、サイロの点検を終了する。
【0052】
一方、工程S14において清掃を実施すると判定した場合には、清掃及び点検を繰り返す(工程S11~S15)。
【0053】
このように、サイロの内部に点検装置を吊下して行う点検により、サイロの内部の状態を正確に検知することができ、サイロの清掃の要否を的確に判定することができる。これにより、不要な清掃を省略することができ、清掃の回数を減らすことができる。また、貯蔵物の残存量、位置等も把握することができるため、その後の作業員による作業の安全性を確保することができる。
【0054】
また、この点検により、サイロの内壁面等に亀裂等の損傷部が発生しているかどうかを判定することもできる。
【0055】
工程S12において取得されたデータ、工程S14において取得された清掃、修理等の要否、貯蔵物の品質等の判定結果のデータ等は、携帯端末、PC、サーバ、記録装置等に設けられたデータベースに蓄積することが望ましい。これらのデータ等を用いて、サイロの清掃計画の作成、貯蔵物の品質管理、サイロの修理、部品の交換等の時期の設定等を行うことができる。これらの処理において、人工知能(AI)、機械学習(マシンラーニング)、深層学習(ディープラーニング)等の技術を用いてもよい。
【0056】
なお、本図に示す工程S11においては、検出部位置調整部が、サイロの内部に点検装置の検出部を吊下しているが、本開示のサイロの点検方法は、これに限定されるものではなく、検出部位置調整部によらないで、検出部を、作業員が人力でサイロの内部に吊下してもよい。この場合、作業員が、吊下した吊り下げ用具の長さを調整することにより、サイロの内部における検出部の位置を定めることができる。
【0057】
以下、本開示の上記以外の効果について、まとめて説明する。
【0058】
本開示によれば、サイロが複数ある場合には、新たに到着した貯蔵物をいずれのサイロに投入すべきかを判定することができ、投入の順序を事前に計画することができる。また、サイロの清掃の順序についても、事前に計画することができる。さらに、作業員に必要な作業の予定等について自動的に連絡することができる。
【0059】
言い換えると、サイロに関する情報を蓄積し、見える化することができる。また、サイロの内部の状態についての点検を自動化することができる。
【符号の説明】
【0060】
10:胴部、11:錐部、12、14:点検口、16:燻蒸ガス供給部、18:装置本体、20:ロープ、22:ロープ支持部、28:リール部、30:撮像部、32:可動部、34:固定レール部、36:ストッパ、42:照明ユニット、100:サイロ、200、400:点検装置。
【要約】
【課題】サイロの内部の状態を正確に検知し、サイロの適切な清掃計画、貯蔵物の品質管理、サイロの修理等のための基礎データを取得する。
【解決手段】検出部(18)と、検出部(18)に接続された吊り下げ用具(20)と、を備え、サイロの内部を点検する、サイロの点検装置(200)であって、検出部(18)は、サイロの内部に吊下され、サイロの内部の状態を検出する。
【選択図】
図2