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特許7530530サイロの点検方法、プログラム、記録媒体、表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】サイロの点検方法、プログラム、記録媒体、表示装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/48 20060101AFI20240731BHJP
   B08B 9/46 20060101ALI20240731BHJP
   B65D 90/00 20060101ALI20240731BHJP
   B65D 88/26 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
B65D90/48 Z
B08B9/46
B65D90/00 Z
B65D88/26 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024017584
(22)【出願日】2024-02-08
【審査請求日】2024-02-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000153443
【氏名又は名称】株式会社 日立産業制御ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】村中 達弥
(72)【発明者】
【氏名】那須 清
(72)【発明者】
【氏名】的野 貴士
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 啓介
(72)【発明者】
【氏名】大倉 喜富
(72)【発明者】
【氏名】竹廣 圭一
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-221858(JP,A)
【文献】特開昭59-184071(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111390388(CN,A)
【文献】中国実用新案第208860807(CN,U)
【文献】特開2001-253493(JP,A)
【文献】特開2005-306393(JP,A)
【文献】特開2003-294511(JP,A)
【文献】特開昭63-294388(JP,A)
【文献】特開2016-176533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/00-90/66
G01N 29/00-29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出部と、前記検出部に接続された吊り下げ用具と、を備える点検装置を用いて、サイロの内部を点検する方法であって、
前記検出部が前記サイロの前記内部に吊下される工程と、
前記検出部が、前記サイロの前記内部の状態を検出する工程と、
前記点検装置の外部又は内部に配置された演算部が、前記サイロの前記内部の前記状態に基いて前記サイロの清掃又は修理を実施するかどうかを判定する工程と、
前記演算部が、前記サイロの前記内部の前記状態に基いて前記サイロの前記内部が基準以上に清浄かどうかを判定する工程と、を含む、サイロの点検方法。
【請求項2】
検出部と、前記検出部に接続された吊り下げ用具と、を備える点検装置を用いて、サイロの内部を点検する方法であって、
前記検出部が前記サイロの前記内部に吊下される工程と、
前記検出部が、前記サイロの前記内部の状態を検出する工程と、
前記点検装置の外部又は内部に配置された演算部が、前記サイロの前記内部の前記状態に基いて前記サイロの清掃又は修理を実施するかどうかを判定する工程と、
前記演算部が、前記サイロの前記内部の前記状態に基いて前記サイロの前記内部の資材の状態を検知する工程と、
前記資材の前記状態を記録する工程と、
前記資材の前記状態を含むデータに基いて前記資材のメンテナンスについての作業が必要かどうかを判定する工程と、含む、サイロの点検方法。
【請求項3】
検出部と、前記検出部に接続された吊り下げ用具と、を備える点検装置を用いて、サイロの内部を点検する方法であって、
前記検出部が前記サイロの前記内部に吊下される工程と、
前記検出部が、前記サイロの前記内部の状態を検出する工程と、
前記点検装置の外部又は内部に配置された演算部が、前記サイロの前記内部の前記状態に基いて前記サイロの清掃又は修理を実施するかどうかを判定する工程と、
前記サイロの前記内部、判定の過程及び結果並びに評価の過程及び結果のうち少なくとも一つを含む画像を表示する工程と、を含む、サイロの点検方法。
【請求項4】
前記点検装置は、検出部位置調整部を更に備え、
前記吊り下げ用具は、前記検出部位置調整部に接続され、
前記検出部位置調整部が、前記検出部を前記サイロの前記内部に吊下する、請求項1~3のいずれか一項に記載のサイロの点検方法。
【請求項5】
前記清掃又は前記修理を実施した後、再度、
前記検出部が前記サイロの前記内部に吊下され、
前記検出部が、前記サイロの前記内部の前記状態を検出し、
前記演算部が、前記サイロの前記内部の前記状態に基いて、前記清掃又は前記修理を実施するかどうかを判定する、請求項1~3のいずれか一項に記載のサイロの点検方法。
【請求項6】
記演算部が、前記サイロの前記内部の前記状態に基いて前記サイロの前記内部のメンテナンスを実施するかどうかを判定する工程を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のサイロの点検方法。
【請求項7】
記演算部が、前記サイロの前記内部の前記状態に基いて前記サイロの前記内部の危険度を算出する工程と、
前記危険度に基いて前記サイロの前記内部の清掃又は修理を実施するかどうかを判定する工程と、を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のサイロの点検方法。
【請求項8】
コンピュータに、以下の方法に含まれる工程を実行させるためのプログラムであって、
前記方法は、請求項1~3のいずれか一項に記載のサイロの点検方法である、プログラム。
【請求項9】
コンピュータに、以下の方法に含まれる工程を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であって、
前記方法は、請求項1~3のいずれか一項に記載のサイロの点検方法である、記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サイロの点検方法、プログラム、記録媒体、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サイロは、穀物、石炭、砂利、セメント、鉱石、肥料等の資材を貯蔵するために広く用いられている。サイロは、設置面積当たりの貯蔵量が多いことが利点であり、高さ30メートルを超える円筒形状のものもある。
【0003】
サイロの点検は、作業員の目視による観察が通例であり、サイロの清掃は、作業員がサイロの内部に入って人力で行うことが通例である。
【0004】
従来、サイロの点検、清掃等の省力化、安全等の観点から、様々な自動化、機械化等が進められている。
【0005】
特許文献1には、投入量と排出量との差分から穀物在庫推定レベルを演算し、穀物在庫推定レベルと穀物在庫実測レベルとの差から得た穀物内空洞の発生履歴を用いて、所定の相関関係を学習(ニューロ等)により決定し、サイロ内在庫量の予測を行なうサイロ在庫管理計算機を備えたサイロ在庫管理装置が開示されている。
【0006】
特許文献2には、容器への搬入及び容器からの搬出の際に分解の必要が無く、かつ容器のコニカル部を十分に清掃できる容器内清掃器具として、加圧流体の通路となる可とう性を有する耐圧ゴムホースと、その耐圧ゴムホースと連通する剛性を有する水平管と、その水平管の両端にそれぞれ連結され、可とう性を有する2本のホースと、搬出用のロープと、を備えたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平6-259139号公報
【文献】特開2016-52625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
サイロは、高さがあり、内部が暗いため、作業員が点検口等から目視により確認しても、内部の状態を十分に把握することができない場合がある。
【0009】
具体的には、サイロの内部の穀物等の貯蔵物の全てを出荷した後等に、サイロの天面部から貯蔵物の残存量等を作業員が目視により確認し、必要に応じて内部の清掃を実施している。しかしながら、このような方法は、作業員の視覚に依存するため、誤差も大きく、その後の対応についての判断が異なってしまう問題がある。このため、サイロの内部の状態を正確に把握し、適切な清掃計画を立案することが課題となっている。
【0010】
また、貯蔵物の全てを出荷する前においても、貯蔵物の残存量、温度、保存状態等を把握することができれば、貯蔵物の品質管理も容易になる。
【0011】
さらに、サイロの内壁面等に亀裂等の損傷部が発生しているかどうかについても、作業員が適切に判断する必要がある。
【0012】
特許文献1及び2においては、このような様々な点検を自動化するような手段は提案されていない。
【0013】
本開示の目的は、サイロの内部の状態を正確に検知し、サイロの適切な清掃計画、貯蔵物の品質管理、サイロの修理等のための基礎データを取得することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示のサイロの点検方法は、検出部と、検出部に接続された吊り下げ用具と、を備える点検装置を用いて、サイロの内部を点検する方法であって、検出部がサイロの内部に吊下される工程と、検出部が、サイロの内部の状態を検出する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、サイロの内部の状態を正確に検知し、サイロの適切な清掃計画、貯蔵物の品質管理、サイロの修理等のための基礎データを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の点検装置をサイロ内に吊下している状態を示す模式断面図である。
図2】実施例1の点検装置を示す構成図である。
図3図2の点検装置の要部を示す斜視図である。
図4】実施例2の点検装置を示す構成図である。
図5】本開示に係るサイロの点検システムを示す構成図である。
図6】実施例3のサイロの点検方法を示すフロー図である。
図7】実施例4のサイロの点検方法を示すフロー図である。
図8】実施例5のサイロの点検方法を示すフロー図である。
図9】実施例6のサイロの点検方法を示すフロー図である。
図10】実施例6のサイロの点検における演算処理の一例を示す図である。
図11】実施例7のサイロの点検方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示に係るサイロの点検方法及び点検装置について、図面を用いて説明する。
【0018】
図1は、本開示の点検装置をサイロ内に吊下している状態を示す模式断面図である。
【0019】
本図に示すサイロ100は、胴部10と、錐部11と、を含む。サイロ100の上面部には点検口12、錐部11には点検口14が設けられている。また、錐部11の内部には、燻蒸ガス供給部16が設置されている。燻蒸ガス供給部16の中央下面部には、ガス供給口(図示していない)が設けられている。胴部10は、通常、外形が円柱形状又は四角柱状である。錐部11は、胴部10の形状に対応する形状を有し、外形が円錐形状若しくは円錐台形状又は四角錐形状若しくは四角錐台形状である。
【0020】
本図においては、サイロ100の内部に、点検装置の本体である装置本体18(検出部)を吊下している状態を示している。装置本体18は、ロープ20の下端部に固定されている。装置本体18は、点検口12からサイロ100の内部に入れられている。装置本体18は、ロープ20の長さを調整することにより、サイロ100の内部において鉛直方向に移動させることができるように構成されている。
【実施例1】
【0021】
図2は、実施例1の点検装置を示す構成図である。
【0022】
図2に示す点検装置200は、装置本体18と、ロープ20と、ロープ支持部22と、リール、ウインチ等で構成された昇降部28(検出部位置調整部)と、を含む。装置本体18とロープ20とは、接続部24により接続されている。したがって、装置本体18と昇降部28とは、接続部24及びロープ20により接続されている。ロープ20は、ロープ支持部22に設置された昇降部28により巻き取られるようになっている。これにより、ロープ20の長さを調整することができる。なお、接続部24は、装置本体18の一部と解釈することもできる。また、ロープ支持部22の長軸は、略水平方向に配置されていることが望ましい。ロープ20は、ロープ支持部22の一方の端部に支持され、かつ、その端部から鉛直下向きにサイロの内部に吊下されている。
【0023】
接続部24は、ロープ20の軸を中心として回転可能としてもよい。この場合、ロープ20以外のワイヤ等(図示していない)により接続部24の回転角を調整するように構成されていることが望ましい。ワイヤ等は、ロープ支持部22等と接続部24とを接続するように構成され、接続部24に所定の張力を伝えることにより、接続部24の回転角を調整することができるようになっている。
【0024】
なお、ロープ20及びワイヤ等は、強度、耐久性等の観点から、金属、カーボンファイバ等で形成されていることが望ましい。ロープ20の代わりに、ローラーチェーン(スプロケット)、リンクチェーン、ボールチェーン等(以下「チェーン等」という。)を用いてもよい。また、ワイヤ等の代わりに、チェーン等を用いてもよい。ロープ20は、「吊り下げ用具」の一種である。また、ロープ支持部22は、「吊り下げ用具支持部」の一種である。また、ワイヤは、「回転角調整用具」の一種である。このように、ロープ20及びワイヤ等は、他の構成を有するものであってもよい。
【0025】
装置本体18には、撮像部30(カメラ等)が設置されている。撮像部30は、360度カメラ(全方位カメラ)であってもよい。
【0026】
また、装置本体18には、レーザ距離計(図示していない)を設置してもよい。レーザ距離計は、下向きにレーザを照射することができるようにすれば、サイロの下部までの距離、サイロ内に残存する貯蔵物の上面までの距離等を測定することができる。なお、距離計は、レーザを利用するもの以外でもよく、例えば、音波、超音波、電波等を利用するものであってもよい。
【0027】
さらに、装置本体18には、サイロ内の環境温度を測定する温度センサ、サイロ内の湿度を測定する湿度センサ、貯蔵物の表面温度を測定する温度センサ、サイロ内の所定のガスの濃度を測定するガスセンサ、サイロ内の可視光による観察を容易にするための照明ユニット(ライト)等を設置することが望ましい。ここで、貯蔵物の表面温度を測定する温度センサは、感温部(プローブ)を貯蔵物の表面に直接接触させて温度を測定する構成を有するものであってもよいが、貯蔵物の表面から発せられる赤外線を検出する赤外線センサであってもよい。湿度センサのデータから貯蔵物に含まれる水分(湿分)を推定してもよい。
【0028】
ガスセンサとしては、アンモニアセンサ、COセンサ、Oセンサ、COセンサ、酢酸、メタノール、エタノール等のアルコール等を検出する臭気センサ等が挙げられる。これらのガスセンサを用いれば、貯蔵物が穀物である場合には、穀物の発酵や腐敗に伴って発生するガス、又は発酵や腐敗に伴って減少するOを検出することができる。
【0029】
また、装置本体18で取得したデータ等は、装置本体18に内蔵された記録装置に保存してもよい。また、当該データ等は、無線により作業員のスマートフォン、タブレット等の携帯端末(以下単に「携帯端末」という。)、パーソナルコンピュータ(PC)等に送信するように構成することが望ましい。また、当該データ等は、サイロから離れた場所に設置されたサーバ、記録装置等にインターネット等を介して送信するように構成してもよい。この場合においては、携帯端末、PC、サーバ、記録装置等に設けられたデータベースに当該データを蓄積し、携帯端末、PC、サーバ、記録装置等に設けられた演算部により当該データを用いた所定の計算を行い、その計算結果も携帯端末、PC、サーバ、記録装置等に蓄積するようにすることが望ましい。また、装置本体18に内蔵された演算部により当該データを用いた所定の計算を行ってもよく、その計算結果を携帯端末、PC、サーバ、記録装置等に送信するように構成してもよい。したがって、演算部は、点検装置200の外部に配置してもよく、点検装置200の装置本体18その他の所定の部位に配置してもよい。ここで、装置本体18その他の所定の部位は、「点検装置200の内部」と言い換えることができる。
【0030】
なお、本図に示す点検装置200は、ロープ支持部22及び昇降部28を含む構成としているが、本開示に係る点検装置は、これに限定されるものではなく、ロープ支持部22及び昇降部28を用いないで、ロープ20に接続した装置本体18を、作業員が人力でサイロの内部に吊下してもよい。この場合、作業員が、吊下したロープ20の長さを調整することにより、サイロの内部における装置本体18の位置を定めることができる。
【0031】
図3は、図2の点検装置の要部を示す斜視図である。
【0032】
図3に示すように、点検装置のロープ支持部22には、昇降部28が設置されている。そして、ロープ支持部22は、可動部32に固定されている。可動部32は、固定レール部34に支持されている。固定レール部34の後端部には、ストッパ36が設置されている。可動部32は、固定レール部34により移動する方向を制限されている。また、可動部32は、ストッパ36に接触する位置で停止するようになっている。これにより、可動部32は、制限された範囲で水平方向にのみ移動するようになっている。
【実施例2】
【0033】
図4は、実施例2の点検装置を示す構成図である。
【0034】
本図に関しては、実施例1の図2と異なる点のみについて説明する。
【0035】
図4に示す点検装置400においては、装置本体18の上方の所定の位置(ロープ20又はロープ支持部22)に照明ユニット42(ライト)が設置されている。照明ユニット42には、その下方を重点的に照らすように、傘部が設けられていることが望ましい。照明ユニット42を設けることにより、装置本体18の上方についても、可視光による画像の取得が容易となる。
【0036】
なお、本図においては、ライトは、装置本体18の上方に設置しているが、ライトの設置位置は、本図に示す例に限定されるものではなく、サイロの天面部の点検口に設置してもよい(構成T1)。また、ライトは、装置本体18の側面部等に設置してもよく、撮像部30(カメラ等)の近くであってカメラ等の上方に設置してもよい(構成T2)。
【0037】
構成T1の場合、構成T2のライトを点灯する場合と消灯する場合とがある。構成T1の場合であっても、構成T1のライトを点灯する場合と消灯する場合とがある。
【0038】
構成T1のライトは、カメラ撮影の際に用いることもできる。
【0039】
また、構成T1のライトは、照明だけに用いるものではなく、360度の球体モデルで撮影する場合に、撮影原点座標の光点(北斗七星)としてサイロ内の撮影画像の座標合わせに用いることもできる。これにより、サイロ内の実際の構造や状態を位置についてのぶれが生じないようにすることができる。
【0040】
撮影される光源(円:サイズ幅W、高さH)は、カメラと点検口(光源)との距離の計測に用いることができる。カメラで撮影する場合(ピンホールモデル単純化)、距離Lで撮影された撮影画像上の物体高さhは、距離2Lで撮影されると、撮影画像上で2/hになる。これにより、相互の相対距離の計測ができる。なお、360度の撮影画像から光源に向けたカメラ撮影画像(W×H)への視点変換、カメラ焦点距離及びccd等の受光部のサイズを用いる。
【0041】
カメラから一定距離に設置した構成T2のライトは、カメラの鉛直下方の穀物の表面の状態、及び、底面部に堆積した穀物の表面を撮影するための光源として用いることもできる。
【0042】
構成T1のライトは、全体撮影用の光源であり、構成T2のライトは、近接撮影用の光源である。
【0043】
吊り下げ距離を算出するための撮影を行う場合は、構成T2のライトを撮影中に消灯し、構成T1のライトを点灯する。サイロ壁面部の撮影を行う場合は、構成T1のライトを消灯し、構成T2のライトを点灯する。
【0044】
穀物の表面を撮影する際の構成T2のライトとカメラとの距離は、穀物の表面までの距離L1に合わせ、光量を調整する。サイロ壁面部を撮影する際の構成T2のライトとカメラとの距離は、サイロ壁面までの距離L2に合わせ、光量を調整する。
【0045】
つぎに、実施例1又は2の点検装置を用いて実施するサイロの点検方法について説明する。
【実施例3】
【0046】
実施例3は、清掃の要否を点検する場合である。
【0047】
まず、全体システムについて説明する。
【0048】
図5は、本開示に係るサイロの点検システムを示す構成図である。
【0049】
本図においては、点検システム500は、点検装置本体510(検出部)と、リール部520(検出部位置調整部)と、照明ユニット530と、演算装置540(演算部)と、記憶装置550(記録装置)と、を備えている。ここで、リール部は、実施例1と同様に、「昇降部」と呼んでもよい。点検装置本体510、リール部520及び照明ユニット530は、演算装置540に接続されている。演算装置540は、点検装置本体510、リール部520及び照明ユニット530の操作のための制御信号の送信、点検装置本体510から送信されるデータ等の受信、当該データ等を用いた判定処理等を行う。また、演算装置540は、記憶装置550にも接続されている。演算装置540は、保存が必要なデータ等を記憶装置550に送信する。記憶装置550は、送信されたデータ等を受信し、蓄積する。演算装置540は、必要に応じて、記憶装置550のデータ等の送信を要求し、記憶装置550からのデータ等を用いて、点検装置本体510等の制御のために必要な判定処理を含む演算処理等を行う。
【0050】
なお、演算装置540は、PC、サーバ、携帯端末等に内蔵させてもよい。データ等の送信及び受信は、有線及び無線のいずれで行ってもよい。また、サーバ等に設けた演算装置540から、作業員の携帯端末等に送信及び受信をするように構成してもよい。
【0051】
図6は、実施例3のサイロの点検方法を示すフロー図である。
【0052】
本図に示すように、サイロの点検においては、検出部位置調整部が、サイロの内部に点検装置の検出部を吊下する(工程S11)。そして、検出部は、サイロの内部を点検する(工程S12)。言い換えると、工程S12においては、検出部が、サイロの内部の所定の状態(画像、数値等を含む。)を取得する。その後、検出部を引き上げて回収する(工程S13)。
【0053】
つぎに、演算部が、サイロの内部の状態に基いてサイロの内部の清掃を実施するかどうかを判定する(工程S14)。なお、工程S14においては、サイロの修理の要否についても判定してもよい。この場合、画像データ等に基いて判定する。工程S14においては、貯蔵物の品質等について判定してもよい。また、工程S13は、工程S14の後に行ってもよい。
【0054】
清掃を実施する場合には、所定の手順に従って、サイロの内部を清掃する(工程S15)。清掃、修理等は、作業員がサイロの内部に入って行ってもよいが、清掃装置又は清掃ロボットにより行ってもよい。作業員による清掃、修理等が必要な場合は、作業員の携帯端末等にその旨の通知を送信する。
【0055】
清掃が終了した後は、再度、工程S11に戻り、点検を行う(工程S12)。
【0056】
工程S14において清掃を実施しないと判定した場合には、サイロの点検を終了する。
【0057】
一方、工程S14において清掃を実施すると判定した場合には、清掃及び点検を繰り返す(工程S11~S15)。
【0058】
このように、サイロの内部に点検装置を吊下して行う点検により、サイロの内部の状態を正確に検知することができ、サイロの清掃の要否を的確に判定することができる。これにより、不要な清掃を省略することができ、清掃の回数を減らすことができる。また、貯蔵物の残存量、位置等も把握することができるため、その後の作業員による作業の安全性を確保することができる。
【0059】
また、この点検により、サイロの内壁面等に亀裂等の損傷部が発生しているかどうかを判定することもできる。
【0060】
工程S12において取得されたデータ、工程S14において取得された清掃、修理等の要否、貯蔵物の品質等の判定結果のデータ等は、携帯端末、PC、サーバ、記録装置等に設けられたデータベースに蓄積することが望ましい。これらのデータ等を用いて、サイロの清掃計画の作成、貯蔵物の品質管理、サイロの修理、部品の交換等の時期の設定等を行うことができる。これらの処理において、人工知能(AI)、機械学習(マシンラーニング)、深層学習(ディープラーニング)等の技術を用いてもよい。
【0061】
なお、本図に示す工程S11においては、検出部位置調整部が、サイロの内部に点検装置の検出部を吊下しているが、本開示のサイロの点検方法は、これに限定されるものではなく、検出部位置調整部によらないで、検出部を、作業員が人力でサイロの内部に吊下してもよい。この場合、作業員が、吊下した吊り下げ用具の長さを調整することにより、サイロの内部における検出部の位置を定めることができる。
【0062】
以下、実施例3とは異なる目的でサイロの点検を行う場合について説明する。
【実施例4】
【0063】
実施例4は、清掃の品位を点検する場合である。したがって、本実施例のサイロの点検は、一度清掃を行った後で行う。
【0064】
図7は、実施例4のサイロの点検方法を示すフロー図である。
【0065】
本図に示すように、検出部位置調整部が、サイロの内部に点検装置の検出部を吊下する(工程S21)。そして、検出部が、サイロの内部を点検する(工程S22)。つぎに、検出部又は演算部が、サイロの内部の清掃後の状態を検知する(工程S23)。その後、検出部位置調整部が、検出部を引き上げて回収する(工程S24)。
【0066】
つぎに、演算部が、サイロの内部の状態に基いてサイロの内部が基準以上に清浄かどうかを判定する(工程S25)。この場合、画像データ等に基いて判定する。なお、工程S24は、工程S25の後に行ってもよい。
【0067】
工程S25において清浄でないと判定された場合には、所定の手順に従って、サイロの内部を再度清掃する(工程S26)。作業員による清掃、修理等が必要な場合は、作業員の携帯端末等にその旨の通知を送信する。
【0068】
清掃が終了した後は、再度、工程S21に戻り、点検を行う(工程S22)。
【0069】
工程S25において清浄であると判定された場合には、サイロの点検を終了する。
【0070】
このように、サイロの内部に点検装置を吊下して行う点検により、サイロの内部の状態を正確に検知することができ、サイロの清掃の品位を的確に判定することができる。これにより、不要な清掃を省略することができ、清掃の回数を減らすことができる。
【実施例5】
【0071】
実施例5は、設備管理に関する点検をする場合である。
【0072】
図8は、実施例5のサイロの点検方法を示すフロー図である。
【0073】
本図に示すように、検出部位置調整部が、サイロの内部に点検装置の検出部を吊下する(工程S31)。そして、検出部が、サイロの内部を点検する(工程S32)。つぎに、検出部又は演算部が、サイロの内部の劣化の状態を検知する(工程S33)。その後、検出部位置調整部が、検出部を引き上げて回収する(工程S34)。
【0074】
つぎに、演算部が、サイロの内部の状態に基いてサイロの内部のメンテナンスを実施するかどうかを判定する(工程S35)。この場合、画像データ等に基いて判定する。なお、工程S34は、工程S35の後に行ってもよい。
【0075】
工程S35においてメンテナンスを実施する必要があると判定された場合には、所定の手順に従って、サイロの内部のメンテナンスを実施する(工程S36)。作業員によるメンテナンス等が必要な場合は、作業員の携帯端末等にその旨の通知を送信する。
【0076】
メンテナンスが終了した後は、再度、工程S31に戻り、点検を行う(工程S32)。
【0077】
工程S35においてメンテナンスを実施する必要がないと判定された場合には、サイロの点検を終了する。
【0078】
このように、サイロの内部に点検装置を吊下して行う点検により、サイロの内部の状態を正確に検知することができ、サイロのメンテナンスの要否を的確に判定することができる。これにより、不要なメンテナンスを省略することができ、メンテナンスの回数を減らすことができる。
【実施例6】
【0079】
実施例6は、危険度に関する点検をする場合である。
【0080】
図9は、実施例6のサイロの点検方法を示すフロー図である。
【0081】
本図に示すように、検出部位置調整部が、サイロの内部に点検装置の検出部を吊下する(工程S41)。そして、検出部が、サイロの内部を点検する(工程S42)。つぎに、検出部又は演算部が、サイロの内部の危険度を算出する(工程S43)。その後、検出部位置調整部が、検出部を引き上げて回収する(工程S44)。
【0082】
つぎに、演算部が、サイロの内部の危険度に基いてサイロの内部の清掃を実施することができるかどうかを判定する(工程S45)。この場合、画像データ等に基いて判定する。なお、工程S44は、工程S45の後に行ってもよい。
【0083】
工程S45において、サイロの内部の危険度が低く清掃を実施することができると判定された場合には、所定の手順に従って、サイロの内部の清掃を実施する(工程S46)。作業員による危険な状態の解消等が必要な場合は、作業員の携帯端末等にその旨の通知を送信する。
【0084】
清掃が終了した後は、再度、工程S41に戻り、点検を行う(工程S42)。
【0085】
工程S45において、サイロの内部の危険度が高く清掃を実施することができないと判定された場合には、サイロの点検を終了する。この場合、危険度を下げるための対策案の通知を作業員の携帯端末等に送信することが望ましい。
【0086】
図10は、本実施例のサイロの点検における演算処理の一例を示す図である。
【0087】
本図においては、図中の上段でサイロの内部の360度撮影画像を4分割した画像として表し設備基準画像と清掃前の画像とを並べて示している。すなわち、それぞれの画像は、サイロの内部を周方向に90度ずつ分割して表している。図中の中段では、上段の2つの画像を比較照合して、サイロの内部の残存物であると判定される部分の位置及び面積を画像として示している。この面積から、残存物の量を推算することができる。図中の下段では、サイロの内部の危険度を評価してマップとして表したものを示している。この場合においては、残存物が存在する位置のサイロにおける高さに対応するポテンシャルエネルギー等を危険度の指標として示している。
【0088】
このように、サイロの内部に点検装置を吊下して行う点検により、サイロの内部の状態を正確に検知することができ、サイロの内部の危険度を的確に判定することができる。これにより、危険な状態で作業員がサイロの内部に入って清掃をすることを回避することができ、サイロの外部から内部の調整をすることにより内部を安全な状態とした後で清掃を開始することができる。
【0089】
なお、本図に示す画像、判定結果、評価結果等を、作業員の携帯端末、PC等の表示部に表示してもよい。このような表示をすることにより、作業員の最終的な判断を求めてもよい。ここで、表示部を有する携帯端末、PC等は、「表示装置」と呼ぶことができる。
【実施例7】
【0090】
実施例7は、資材の品質管理に関する点検をする場合である。
【0091】
図11は、実施例7のサイロの点検方法を示すフロー図である。
【0092】
本図に示すように、検出部位置調整部が、サイロの内部に点検装置の検出部を吊下する(工程S51)。そして、検出部が、サイロの内部を点検する(工程S52)。つぎに、検出部又は演算部が、サイロの内部の資材の状態を検知する(工程S53)。記録装置が、資材の状態を記録して蓄積する(工程S54)。工程S54においては、サイロの内部の資材の量だけでなく、資材の温度、サイロの内部の湿度等も検出し、資材の保管期間、天候、サイロの外部の気温及び湿度、資材の移載や排出量の実績等のデータとともに記録して蓄積することが望ましい。
【0093】
その後、検出部位置調整部が、検出部を引き上げて回収する(工程S55)。
【0094】
つぎに、演算部が、資材の状態を含むデータに基いてサイロの内部の資材等のメンテナンス等についての作業等が必要かどうかを判定する(工程S56)。この場合、画像データ等に基いて判定する。なお、工程S55は、工程S56の後に行ってもよい。
【0095】
工程S56において作業等が必要であると判定された場合には、担当者、顧客、作業員等の携帯端末等にその旨の通知を送信する(工程S57)。
【0096】
工程S56において作業等が必要ないと判定された場合には、サイロの点検を終了する。
【0097】
このように、サイロの内部に点検装置を吊下して行う点検により、サイロの内部の資材の状態を正確に検知することができ、資材等のメンテナンスの要否を的確に判定することができる。これにより、不要なメンテナンスを省略することができ、メンテナンスの回数を減らすことができる。また、資材等の品質を維持することができ、品質基準を満たさないような資材等の発生を防止することができ、資材等が使用されずに廃棄されるような事態を回避することができる。
【0098】
なお、上記の実施例においては、通知を送信する相手方として主として「作業員」と記載して説明しているが、本開示に係るサイロの点検方法を実施する際に関係する担当者、顧客等に通知を送信することが望ましい場合には、そのようにする工程も本開示の内容に含まれるものとする。
【0099】
以下、本開示に係る望ましい実施形態について、まとめて説明する。
【0100】
点検装置は、検出部位置調整部を更に備え、吊り下げ用具は、検出部位置調整部に接続され、検出部位置調整部が、検出部をサイロの内部に吊下する。
【0101】
点検装置の外部又は内部に配置された演算部が、サイロの内部の状態に基いてサイロの清掃又は修理を実施するかどうかを判定する工程を更に含む。
【0102】
清掃又は修理を実施した後、再度、検出部がサイロの内部に吊下され、検出部が、サイロの内部の状態を検出し、演算部が、サイロの内部の状態に基いて、清掃又は修理を実施するかどうかを判定する。
【0103】
点検装置の外部又は内部に配置された演算部が、サイロの内部の状態に基いてサイロの内部が基準以上に清浄かどうかを判定する工程を更に含む。
【0104】
点検装置の外部又は内部に配置された演算部が、サイロの内部の状態に基いてサイロの内部のメンテナンスを実施するかどうかを判定する工程を更に含む。
【0105】
点検装置の外部又は内部に配置された演算部が、サイロの内部の状態に基いてサイロの内部の危険度を算出する工程と、危険度に基いてサイロの内部の清掃又は修理を実施するかどうかを判定する工程と、を更に含む。
【0106】
点検装置の外部又は内部に配置された演算部が、サイロの内部の状態に基いてサイロの内部の資材の状態を検知する工程と、資材の状態を記録する工程と、資材の状態を含むデータに基いて資材のメンテナンスについての作業が必要かどうかを判定する工程と、を更に含む。
【0107】
サイロの内部、判定の過程及び結果並びに評価の過程及び結果のうち少なくとも一つを含む画像を表示する工程を更に含む。ここで、当該画像を表示する工程は、サイロの内部の画像、この画像を変換した画像、判定の過程及び結果、評価の過程及び結果、並びにこれらの画像、判定及び評価をまとめた画像を表示する工程を含む。また、このような画像を表示する表示装置は、携帯端末、PC等の二次元的表示だけでなく、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)等の三次元的表示技術を用いるものであってもよい。
【0108】
コンピュータに、本開示に係るサイロの点検方法に含まれる工程を実行させるためのプログラムは、本開示の内容に含まれる。
【0109】
コンピュータに、本開示に係るサイロの点検方法に含まれる工程を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体は、本開示の内容に含まれる。
【0110】
以下、本開示の上記以外の効果について、まとめて説明する。
【0111】
本開示によれば、サイロが複数ある場合には、新たに到着した資材等の貯蔵物をいずれのサイロに投入すべきかを判定することができ、投入の順序を事前に計画することができる。また、サイロの清掃の順序についても、事前に計画することができる。さらに、作業員に必要な作業の予定等について自動的に連絡することができる。
【0112】
言い換えると、サイロに関する情報を蓄積し、見える化することができる。また、サイロの内部の状態についての点検を自動化することができる。
【符号の説明】
【0113】
10:胴部、11:錐部、12、14:点検口、16:燻蒸ガス供給部、18:装置本体、20:ロープ、22:ロープ支持部、28:昇降部、30:撮像部、32:可動部、34:固定レール部、36:ストッパ、42:照明ユニット、100:サイロ、200、400:点検装置、500:点検システム、510:点検装置本体、520:リール部、530:照明ユニット、540:演算装置、550:記憶装置。
【要約】
【課題】サイロの内部の状態を正確に検知し、サイロの適切な清掃計画、貯蔵物の品質管理、サイロの修理等のための基礎データを取得する。
【解決手段】検出部と、検出部に接続された吊り下げ用具と、を備える点検装置を用いて、サイロの内部を点検する方法であって、検出部がサイロの内部に吊下される工程(工程S11)と、検出部が、サイロの内部の状態を検出する工程(工程S12)と、を含む。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11