(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】医用画像3Dイメージング処理方法及び医用画像処理装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/46 20240101AFI20240801BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20240801BHJP
A61B 6/50 20240101ALI20240801BHJP
【FI】
A61B6/46 536Q
A61B6/03 560B
A61B6/50 500B
(21)【出願番号】P 2020145814
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】502094572
【氏名又は名称】株式会社アールテック
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100117857
【氏名又は名称】南林 薫
(72)【発明者】
【氏名】小杉 隆司
(72)【発明者】
【氏名】小杉 崇文
(72)【発明者】
【氏名】太田 信
(72)【発明者】
【氏名】安西 眸
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-164595(JP,A)
【文献】国際公開第2005/011499(WO,A1)
【文献】特開2019-193837(JP,A)
【文献】特開2014-000332(JP,A)
【文献】特開平11-197142(JP,A)
【文献】特開2016-178986(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0037761(US,A1)
【文献】Nicholas J. Swerdlow et al.,"Three-dimensional image fusion is associated with lower radiation exposure and shorter time to carotid cannulation during carotid artery stenting",Journal of Vascular Surgery,,2019年,vol.69, (2019),pp.1111-1120
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
術者が医療デバイスを用いて血管の手術を行う際に視認する術者用表示部を有する医用画像処理装置であって、
前記手術を行う前の術前の前記血管の3次元形状を含む術前3次元血管画像と、前記手術の最中のX線透視画像である術中X線透視画像とを取得する取得部と、
前記術前3次元血管画像および前記術中X線透視画像を用いて生成された画像であって、前記血管の3次元形状および前記医療デバイスの3次元形状を含む医用画像を、前記術者用表示部に表示する制御を行う表示制御部と、
を有
し、
前記取得部は、前記術中X線透視画像として、異なる複数方向から撮影されたX線透視画像であって血管像の強調処理を行う前の画像である第1の術中X線透視画像と、前記複数方向から撮影された前記X線透視画像であって前記血管像の強調処理を行った後の画像である第2の術中X線透視画像とを取得するものであり、
前記医用画像は、前記術前3次元血管画像、前記第1の術中X線透視画像および前記第2の術中X線透視画像を用いて生成された画像であることを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項2】
前記術前3次元血管画像を前記複数方向から擬似撮影処理して、前記複数方向の術前擬似2次元血管画像を生成する擬似撮影処理部と、
前記第2の術中X線透視画像と前記術前擬似2次元血管画像とにおいて前記血管の位置合わせを行った後、前記第2の術中X線透視画像を3次元化して、術中擬似3次元血管画像を生成する血管3次元化処理部と、
前記第1の術中X線透視画像と前記術前擬似2次元血管画像とにおいて前記血管の位置合わせを行った後、前記第1の術中X線透視画像に含まれている前記医療デバイスを抽出して3次元化し、3次元医療デバイス画像を生成するデバイス3次元化処理部と、
前記術中擬似3次元血管画像に前記3次元医療デバイス画像を合成して、前記医用画像を生成する合成部と、
を更に有することを特徴とする請求項
1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記術者とは異なる補助者が視認する表示部であって、前記医用画像を表示する画像表示領域を含む補助者用表示部を更に有し、
前記表示制御部は、前記術者用表示部に表示する前記医用画像と、前記補助者用表示部の前記画像表示領域に表示する前記医用画像とを、連動させて表示する制御を更に行うことを特徴とする請求項1
または2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記術者用表示部および前記補助者用表示部の前記画像表示領域に、前記医用画像とともに、前記手術を行う前の術前指標に関する術前指標情報および前記手術の最中の術中指標に関する術中指標情報のうちの少なくとも一方の指標情報を表示する制御を更に行うことを特徴とする請求項
3に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記術者の手を含む領域を撮影する手領域撮影部と、
前記術者が発した音声を認識する音声認識部と、
を更に有し、
前記表示制御部は、前記手領域撮影部で撮影された前記手の動きまたは前記音声認識部で認識された前記音声に基づいて、前記術者用表示部に対する前記医用画像の表示を変更する制御を更に行うことを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記手領域撮影部で撮影された前記手の動きに基づく前記手の形状が第1の手形状から第2の手形状になった場合、または、前記音声認識部で認識された前記音声が所定の音声であった場合に、前記術者用表示部に対する前記医用画像の表示を変更することが可能な表示設定変更可能状態とすることを特徴とする請求項
5に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記表示設定変更可能状態となった後に、前記手領域撮影部で撮影された前記手の動きまたは前記音声認識部で認識された前記音声に基づいて、前記医用画像の回転表示、前記医用画像の移動表示および前記医用画像の倍率変更表示のうちの少なくとも1つの表示制御を行うことを特徴とする請求項
6に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記表示設定変更可能状態となった後に、前記手領域撮影部で撮影された前記手の動きまたは前記音声認識部で認識された前記音声に基づいて、前記医用画像の表示設定を初期化する制御を行うことを特徴とする請求項
6または
7に記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
術者が医療デバイスを用いて血管の手術を行う際に視認する術者用表示部を有する医用画像処理装置による医用画像3Dイメージング処理方法であって、
前記手術を行う前の術前の前記血管の3次元形状を含む術前3次元血管画像と、前記手術の最中のX線透視画像である術中X線透視画像とを取得する取得ステップと、
前記術前3次元血管画像および前記術中X線透視画像を用いて生成された画像であって、前記血管の3次元形状および前記医療デバイスの3次元形状を含む医用画像を、前記術者用表示部に表示する制御を行う表示制御ステップと、
を有
し、
前記取得ステップは、前記術中X線透視画像として、異なる複数方向から撮影されたX線透視画像であって血管像の強調処理を行う前の画像である第1の術中X線透視画像と、前記複数方向から撮影された前記X線透視画像であって前記血管像の強調処理を行った後の画像である第2の術中X線透視画像とを取得するものであり、
前記医用画像は、前記術前3次元血管画像、前記第1の術中X線透視画像および前記第2の術中X線透視画像を用いて生成された画像であることを特徴とする医用画像3Dイメージング処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像の処理を行う医用画像処理装置及び当該医用画像処理装置による医用画像3Dイメージング処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
術者が医療デバイスを用いて血管の手術を行う際に、当該血管及び当該医療デバイスを含む被検体の領域をX線透視撮影することによって得られる医用画像の一種であるX線透視画像を表示部に動画表示して、術者が表示部に表示されたX線透視画像を視認しながら当該手術を進めることが行われている。例えば、特許文献1には、血管内に医療デバイスの一種であるステントを設置する手術を行う際に、当該血管及び当該ステントを含む被検体の領域をX線透視撮影して、X線透視画像を表示部に動画表示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、X線透視画像は2次元画像であるため、特許文献1に記載の技術では、術者は、この2次元画像から血管や医療デバイスにおける3次元の位置関係を認識しながら手術を進めることになる。この際、2次元の情報は、3次元の情報と比べて情報の欠落があるため、特許文献1に記載の技術では、術者が安全に血管の手術を進めるという観点においては不十分である。
【0005】
また、術者が医療デバイスを用いて血管の手術を行っている最中(術中)において、血流にさらされる血管の内腔面の形状は、医療デバイス(カテーテルや他のデバイス)の留置により変化するが、医療デバイスの存在により変化した内腔面の形状を3次元的に再抽出するには、再度画像を取得する必要がある。しかしながら、再度画像を取得するためには、患者に造影剤投与の負担がかかるため、頻繁に行うことは難しい。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、術者が医用画像を視認しながら医療デバイスを用いて血管の手術を行う際に、血管や医療デバイスにおける3次元の位置関係をより容易に認識させることで、安全に手術を行える仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の医用画像処理装置は、術者が医療デバイスを用いて血管の手術を行う際に視認する術者用表示部を有する医用画像処理装置であって、前記手術を行う前の術前の前記血管の3次元形状を含む術前3次元血管画像と、前記手術の最中のX線透視画像である術中X線透視画像とを取得する取得部と、前記術前3次元血管画像および前記術中X線透視画像を用いて生成された画像であって、前記血管の3次元形状および前記医療デバイスの3次元形状を含む医用画像を、前記術者用表示部に表示する制御を行う表示制御部と、を有し、前記取得部は、前記術中X線透視画像として、異なる複数方向から撮影されたX線透視画像であって血管像の強調処理を行う前の画像である第1の術中X線透視画像と、前記複数方向から撮影された前記X線透視画像であって前記血管像の強調処理を行った後の画像である第2の術中X線透視画像とを取得するものであり、前記医用画像は、前記術前3次元血管画像、前記第1の術中X線透視画像および前記第2の術中X線透視画像を用いて生成された画像である。
また、本発明は、上述した医用画像処理装置による医用画像3Dイメージング処理方法を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、術者が医用画像を視認しながら医療デバイスを用いて血管の手術を行う際に、安全に手術を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る医用画像処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す術前3次元血管画像の一例を示す図である。
【
図3】
図1に示す第1の術中X線透視画像の一例を示す図である。
【
図4】
図1に示す第2の術中X線透視画像の一例を示す図である。
【
図5】
図1に示す術前擬似2次元血管画像の一例を示す図である。
【
図6】
図4に示す2方向から撮影された第2の術中X線透視画像と、
図5に示す当該2方向から擬似撮影処理した結果得られた術前擬似2次元血管画像との血管の位置合わせ処理を説明するための図である。
【
図7】
図1に示す術中擬似3次元血管画像の一例を示す図である。
【
図8】
図3に示す第1の術中X線透視画像から抽出した、医療デバイスを含む医療デバイス包含画像領域を示す図である。
【
図9】
図1に示す医用画像を含む医用画像群の一例を示す図である。
【
図10】
図1に示す術者用表示部及び補助者用表示部の表示例を示す図である。
【
図11】
図1に示す表示制御部の記憶部に記憶されているハンドサイン管理テーブル情報及び音声認識管理テーブル情報の一例を示す図である。
【
図12A】本発明の実施形態に係る医用画像処理装置による医用画像3Dイメージング処理方法(医用画像処理方法)における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図12B】本発明の実施形態に係る医用画像処理装置による医用画像3Dイメージング処理方法(医用画像処理方法)における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る医用画像処理装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。医用画像処理装置100は、
図1に示すように、入力部110、入力部120、画像処理部130、表示制御部140、術者用表示部150、補助者用表示部160、手領域撮影部170、音声認識部180、及び、XR表示部190を有して構成されている。また、
図1では、医療デバイスを用いて血管の手術を行う術者310、及び、術者310とは異なる者であって術者310を補助する補助者320を上から見た際の挿絵を図示している。
【0012】
入力部110は、術者310が手術を行う対象の血管であって手術を行う前(術前)の血管の3次元形状を含む術前3次元血管画像210を、画像処理部130に対して入力する構成部である。
図2は、
図1に示す術前3次元血管画像210の一例を示す図である。この
図2には、例えば術前に撮影したCT画像などをもとに作成した術前の血管211における3次元形状の一例が示されている。また、本実施形態においては、入力部110は、術前3次元血管画像210とともに、術前3次元血管画像210の術前指標に関する術前指標情報(動脈瘤の体積や幅、高さなど)やその撮影情報(撮影方向やX線源の位置など)を含む情報を、画像処理部130に対して入力する。
【0013】
入力部120は、術者310が医療デバイスを用いて血管の手術を行っている最中(術中)の当該血管の領域を含むX線透視画像である術中X線透視画像220を、画像処理部130に対して入力する構成部である。ここで、本実施形態においては、術中X線透視画像220は、2次元画像であってリアルタイムの動画として画像処理部130に入力されるものである。具体的に、入力部120は、術中X線透視画像220として、異なる複数方向(本実施形態では、2方向)から撮影されたX線透視画像であって所定の画像処理(具体的には、差分処理)を行う前の画像である第1の術中X線透視画像221と、当該異なる複数方向(本実施形態では、2方向)から撮影されたX線透視画像であって所定の画像処理(具体的には、差分処理)を行った後の画像である第2の術中X線透視画像222とを、画像処理部130に対して入力する。
図3は、
図1に示す第1の術中X線透視画像221の一例を示す図である。この
図3では、例えば、異なる2方向から撮影されたX線透視画像のうちの一方の方向から撮影されたX線透視画像に基づく第1の術中X線透視画像221のみを図示しているが、実際には、他方の方向から撮影されたX線透視画像に基づく第1の術中X線透視画像221も取得されているものとする。この
図3に示す第1の術中X線透視画像221では、医療デバイス2211として、血管の動脈瘤に対するコイル塞栓術で用いるコイルが映し出されており、また、医療デバイス2211を含む領域を医療デバイス包含画像領域2210として矩形で図示している。この
図3に示す第1の術中X線透視画像221は、医療デバイス2211の抽出に利用するための画像である。
図4は、
図1に示す第2の術中X線透視画像222の一例を示す図である。この
図4では、異なる2方向から撮影されたX線透視画像のうちの一方の方向から撮影されたX線透視画像を差分処理(造影剤注入前後の画像を組み合わせ、血管像を強調する)することによって得られた第2の術中X線透視画像222-1と、他方の方向から撮影されたX線透視画像を差分処理することによって得られた第2の術中X線透視画像222-2を図示している。この
図4に示す第2の術中X線透視画像222-1及び222-2は、血管の抽出に利用するための画像である。また、本実施形態においては、入力部120は、第1の術中X線透視画像221及び第2の術中X線透視画像222とともに、術中X線透視画像220の術中指標に関する術中指標情報やその撮影情報を含む情報を、画像処理部130に対して入力する。
【0014】
画像処理部130は、入力部110から入力された術前3次元血管画像210と、入力部120から入力された第1の術中X線透視画像221及び第2の術中X線透視画像222を画像処理して、医用画像260を生成する構成部である。この画像処理部130は、
図1に示すように、取得部131、擬似撮影処理部132、血管3次元化処理部133、デバイス3次元化処理部134、及び、合成部135を有して構成されている。
【0015】
取得部131は、入力部110から術前3次元血管画像210を取得するとともに、入力部120から術中X線透視画像220(より具体的には、第1の術中X線透視画像221及び第2の術中X線透視画像222)を取得する構成部である。さらに、取得部131は、入力部110から術前3次元血管画像210を取得する際に、入力部110から術前3次元血管画像210の術前指標に関する術前指標情報やその撮影情報を含む情報も取得し、また、入力部120から術中X線透視画像220(より具体的には、第1の術中X線透視画像221及び第2の術中X線透視画像222)を取得する際に、入力部120から術中X線透視画像220の術中指標に関する術中指標情報やその撮影情報を含む情報も取得する。
【0016】
擬似撮影処理部132は、取得部131で取得した術前3次元血管画像210及び術中X線透視画像220の撮影情報等を用いて、術前3次元血管画像210を、術中X線透視画像220を撮影した複数方向(本実施形態では、2方向)から擬似撮影処理の画像処理を行って、当該複数方向の術前擬似2次元血管画像230を生成する構成部である。
図5は、
図1に示す術前擬似2次元血管画像230の一例を示す図である。具体的に、
図5では、中央領域に術前3次元血管画像210(血管211)を図示しており、この術前3次元血管画像210を、術中X線透視画像220(例えば、第2の術中X線透視画像222-1及び222-2)を撮影した2方向のうちの一方の方向から擬似撮影処理した結果得られた術前擬似2次元血管画像230-1と、他方の方向から擬似撮影処理した結果得られた術前擬似2次元血管画像230-2を示している。
【0017】
血管3次元化処理部133は、まず、取得部131で取得した複数方向(本実施形態では、2方向)から撮影された第2の術中X線透視画像222と、擬似撮影処理部132で複数方向(本実施形態では、2方向)から擬似撮影処理した結果得られた術前擬似2次元血管画像230とにおいて、血管の位置合わせを行う。この血管の位置合わせを行う際には、例えば、血管部の抽出や中心線の作成、血管枝の抽出、第2の術中X線透視画像222と術前擬似2次元血管画像230の血管枝の対応付け等が行われる。
図6は、
図4に示す2方向から撮影された第2の術中X線透視画像222-1及び222-2と、
図5に示す当該2方向から擬似撮影処理した結果得られた術前擬似2次元血管画像230-1及び230-2との血管の位置合わせ処理を説明するための図である。ここで、
図6(a)には、
図4に示す2方向から撮影された第2の術中X線透視画像222-1及び222-2を図示し、
図6(b)には、
図5に示す当該2方向から擬似撮影処理した結果得られた術前擬似2次元血管画像230-1及び230-2を図示している。この
図6において、血管3次元化処理部133は、第2の術中X線透視画像222-1及び222-2の血管の部位が、術前擬似2次元血管画像230-1及び230-2のどこに該当するかを確認して、両種画像の血管の位置合わせを行う。この
図6に示す例では、各画像において、血管の部位B1は同じ血管の部位を示しており、同様に血管の部位B2は同じ血管の部位を示している。その後、血管3次元化処理部133は、血管の位置合わせを行った、2方向から撮影された第2の術中X線透視画像222と当該2方向から擬似撮影処理した結果得られた術前擬似2次元血管画像230をもとに、第2の術中X線透視画像222を3次元化して、術中擬似3次元血管画像240を生成する。
図7は、
図1に示す術中擬似3次元血管画像240の一例を示す図である。この
図7の術中擬似3次元血管画像240には、術中の血管241における3次元形状の一例が示されている。
【0018】
デバイス3次元化処理部134は、まず、取得部131で取得した複数方向(本実施形態では、2方向)から撮影された第1の術中X線透視画像221と、擬似撮影処理部132で複数方向(本実施形態では、2方向)から擬似撮影処理した結果得られた術前擬似2次元血管画像230とにおいて、血管の位置合わせを行う。このデバイス3次元化処理部134による血管の位置合わせ方法は、上述した血管3次元化処理部133による血管の位置合わせ方法と同様の方法を採用することができるため、その説明は省略する。血管の位置合わせを行った後、デバイス3次元化処理部134は、2方向から撮影された第1の術中X線透視画像221のそれぞれから、医療デバイス2211を含む医療デバイス包含画像領域2210を抽出する。
図8は、
図3に示す第1の術中X線透視画像221から抽出した、医療デバイス2211を含む医療デバイス包含画像領域2210を示す図である。医療デバイス包含画像領域2210を抽出した後、デバイス3次元化処理部134は、血管の位置合わせを行った、2方向から撮影された第1の術中X線透視画像221と当該2方向から擬似撮影処理した結果得られた術前擬似2次元血管画像230をもとに、医療デバイス2211の3次元座標を算出して、第1の術中X線透視画像221(医療デバイス包含画像領域2210)を3次元化し、3次元医療デバイス画像250を生成する。
【0019】
合成部135は、血管3次元化処理部133で生成された術中擬似3次元血管画像240に、デバイス3次元化処理部134で生成された3次元医療デバイス画像250を重ね合わせて合成し、医用画像260を生成する。
図9は、
図1に示す医用画像260を含む医用画像群900の一例を示す図である。
図9に示すように、医用画像260は、術中の血管241の3次元形状及び3次元医療デバイス画像250で示される医療デバイスの3次元形状を含む3次元画像である。また、
図9に示す医用画像群900には、医用画像260に加えて、例えば異なる2方向から撮影されたX線透視画像に基づく第2の術中X線透視画像222-1及び222-2に対応する第2の術中X線透視画像901及び902が含まれている。
【0020】
術者用表示部150は、術者310が医療デバイスを用いて血管の手術を行う際に視認する表示部であって、表示制御部140の制御に基づいて、当該血管の3次元形状及び当該医療デバイスの3次元形状を含む医用画像260を含む各種の画像や各種の情報を表示する構成部である。
【0021】
補助者用表示部160は、術者310とは異なる補助者320が視認する表示部であって、例えば表示制御部140の制御に基づいて、医用画像260を含む各種の画像や各種の情報を表示する構成部である。また、補助者用表示部160は、補助者320等が各種の情報を入力する際に操作する操作入力部161を含み構成されている。
【0022】
ここで、術者用表示部150及び補助者用表示部160について具体的に説明する。
図10は、
図1に示す術者用表示部150及び補助者用表示部160の表示例を示す図である。具体的に、
図10(a)は術者用表示部150の表示例を示し、
図10(b)は補助者用表示部160の表示例を示している。
【0023】
図10(a)に示す例では、術者用表示部150の画像表示領域1510には、
図9に示す医用画像260が表示されている。また、術者用表示部150の画像表示領域1510には、医用画像260に加えて、手術を行う前の術前指標に関する術前指標情報及び手術の最中の術中指標に関する術中指標情報のうちの少なくとも一方の指標情報1511が表示されている。なお、本実施形態においては、術者用表示部150の画像表示領域1510には、医用画像260に加えて、
図9に示す第2の術中X線透視画像901及び902を表示する形態(即ち、
図9に示す医用画像群900を表示する形態)であってもよい。
【0024】
図10(b)に示す例では、補助者用表示部160の画像表示領域1610には、術者用表示部150の画像表示領域1510と同様に、
図9に示す医用画像260が表示されている。また、補助者用表示部160の画像表示領域1610には、術者用表示部150の画像表示領域1510と同様に、医用画像260に加えて、手術を行う前の術前指標に関する術前指標情報及び手術の最中の術中指標に関する術中指標情報のうちの少なくとも一方の指標情報1611が表示されている。なお、本実施形態においては、補助者用表示部160の画像表示領域1610には、術者用表示部150の画像表示領域1510と同様に、医用画像260に加えて、
図9に示す第2の術中X線透視画像901及び902を表示する形態(即ち、
図9に示す医用画像群900を表示する形態)であってもよい。ここで、本実施形態においては、術者用表示部150の画像表示領域1510に表示される画像及び情報は、表示制御部140の制御によって、補助者用表示部160の画像表示領域1610に表示される画像及び情報と連動して表示される(同じものが表示される)ものとする。この点、例えば、補助者用表示部160の画像表示領域1610は、術者用表示部150の画像表示領域1510に表示される画像及び情報を、補助者320が管理するための表示領域である。このように、術者用表示部150の画像表示領域1510に表示される画像及び情報と補助者用表示部160の画像表示領域1610に表示される画像及び情報とを連動させて表示することにより、術者310が行っている手術の状況について術者310と補助者320とで認識を共有させることができる。また、補助者用表示部160の画像表示領域1620は、補助者320が、操作ダイヤログ表示領域1630に表示・設定された操作ダイヤログを操作することによって、各種の画像や指標情報1621を含む各種の情報を選択・編集・加工等する作業領域である。
【0025】
また、
図10に示す指標情報1511、指標情報1611及び指標情報1621は、術前指標情報としては、例えば、血管の動脈瘤の容積や高さ、ネック径、直径に関する情報、医療デバイスとしてのコイルの充填率に関する情報、医療デバイスとしてのステントの配置に関する情報等を表示することが可能であり、また、術中指標情報としては、例えば、コイルの充填率に関する情報、ステントの配置に関する情報、カテーテルの歪分布に関する情報、マーカーの相対位置に関する情報、指定点と血管の動脈瘤との2点間距離に関する情報等を表示することが可能である。
【0026】
また、本実施形態においては、
図10(a)に示す術者用表示部150の画像表示領域1510、
図10(b)に示す画像表示領域1610及び画像表示領域1620には、医用画像260等の3次元画像に替えて術中X線透視画像220等の2次元画像を切り替えて表示することができるようになっている。
【0027】
ここで、再び
図1の説明に戻る。
手領域撮影部170は、例えば表示制御部140の制御に基づいて、術者310の手311を含む領域(手領域)を動画で撮影する構成部である。
【0028】
音声認識部180は、例えば表示制御部140の制御に基づいて、術者310が発した音声を認識する構成部である。
【0029】
XR表示部190は、表示制御部140の制御に基づいて、医用画像260に含まれる血管の3次元形状及び医療デバイスの3次元形状をXR(EXTENDED REALITY)で表示可能なデータ形式に変換して、医用画像260に含まれる血管の3次元形状及び医療デバイスの3次元形状をXR表示する構成部である。このXR表示部190は、例えば、術者310が、術者用表示部150に替えて、術者用表示部として装着可能に構成されている。
【0030】
表示制御部140は、補助者用表示部160の操作入力部161から入力された情報(例えば表示指示情報)、及び、手領域撮影部170で撮影された術者310の手311の動き(ハンドサイン)または音声認識部180で認識された術者310の音声に基づいて、術者用表示部150や補助者用表示部160、XR表示部190に対して、各種の画像や各種の情報を表示する制御を行う構成部である。具体的に、表示制御部140は、手領域撮影部170で撮影された術者310の手311の動きまたは音声認識部180で認識された術者310の音声に基づいて、術者用表示部150の画像表示領域1510に対する医用画像260の表示を変更する制御を行う。さらに、本実施形態においては、表示制御部140は、
図10に示すように、術者用表示部150の画像表示領域1510に表示する医用画像260と、補助者用表示部160の画像表示領域1610に表示する医用画像260とを連動させて表示する制御を更に行う。この表示制御部140は、
図1に示すように、記憶部141及び処理部142を含み構成されている。記憶部141は、画像処理部130で得られた各種の画像(術前3次元血管画像210、第1の術中X線透視画像221、第2の術中X線透視画像222、術前擬似2次元血管画像230、術中擬似3次元血管画像240、3次元医療デバイス画像250、医用画像260、医用画像群900等)や、画像処理部130で得られた各種の情報(術前3次元血管画像210の術前指標に関する術前指標情報やその撮影情報を含む情報、術中X線透視画像220の術中指標に関する術中指標情報やその撮影情報を含む情報等)を、画像処理部130から取得して記憶するとともに、表示制御部140が表示制御を行う際に必要な各種の情報(術者310の手311の動き(ハンドサイン)に基づき、医用画像260の表示を変更する制御を行う際に必要なハンドサイン管理テーブル情報や、術者310が発した音声に基づき、医用画像260の表示を変更する制御を行う際に必要な音声認識管理テーブル情報を含む)を予め記憶している。処理部142は、表示制御部140が、術者用表示部150や補助者用表示部160、XR表示部190に対して、各種の画像や各種の情報を表示する制御を行う際の各種の処理を行う構成部である。
【0031】
ここで、表示制御部140の記憶部141に記憶されているハンドサイン管理テーブル情報及び音声認識管理テーブル情報について説明する。
図11は、
図1に示す表示制御部140の記憶部141に記憶されているハンドサイン管理テーブル情報1110及び音声認識管理テーブル情報1120の一例を示す図である。具体的に、
図11では、
図11(a)にハンドサイン管理テーブル情報1110の一例を示し、
図11(b)に音声認識管理テーブル情報1120の一例を示している。
【0032】
まず、
図11(a)に示すハンドサイン管理テーブル情報1110の説明を行う。
ハンドサイン管理テーブル情報1110は、
図11(a)に示すように、表示設定変更規定情報1111、回転操作規定情報1112、移動操作規定情報1113、及び、ズーム操作規定情報1114を有して構成されている。
【0033】
図11(a)に示す表示設定変更規定情報1111には、上から1番目の規定情報として、手領域撮影部170で撮影された術者310の手311の形状が、「グー」の形状から「パー」の形状となった場合に、表示制御部140は、術者用表示部150の画像表示領域1510(連動表示される補助者用表示部160の画像表示領域1610も同様)に対する医用画像260の表示を変更することが可能な表示設定変更可能状態とすることが規定されている。ここで、本実施形態においては、術者310の手311において「グー」の形状は、「第1の手形状」と定義し、また、術者310の手311において「パー」の形状は、「第2の手形状」と定義する。
【0034】
図11(a)に示す表示設定変更規定情報1111には、上から2番目の規定情報として、上述した表示設定変更可能状態となった後に、手領域撮影部170で撮影された術者310の手311の形状が、「指1本」を立てる手形状となった場合に、表示制御部140は、術者用表示部150の画像表示領域1510(連動表示される補助者用表示部160の画像表示領域1610も同様)に対して医用画像260を所定方向に回転させる操作を開始することが規定されている。ここで、本実施形態においては、術者310の手311において「指1本」を立てる手形状は、「第3の手形状」と定義する。
【0035】
図11(a)に示す表示設定変更規定情報1111には、上から3番目の規定情報として、上述した表示設定変更可能状態となった後に、手領域撮影部170で撮影された術者310の手311の形状が、「指2本」を立てる手形状となった場合に、表示制御部140は、術者用表示部150の画像表示領域1510(連動表示される補助者用表示部160の画像表示領域1610も同様)に対して医用画像260を所定方向に移動させる操作を開始することが規定されている。ここで、本実施形態においては、術者310の手311において「指2本」を立てる手形状は、「第4の手形状」と定義する。
【0036】
図11(a)に示す表示設定変更規定情報1111には、上から4番目の規定情報として、上述した表示設定変更可能状態となった後に、手領域撮影部170で撮影された術者310の手311の形状が、「指3本」を立てる手形状となった場合に、表示制御部140は、術者用表示部150の画像表示領域1510(連動表示される補助者用表示部160の画像表示領域1610も同様)に対して医用画像260の表示倍率を変更するズーム操作(拡大・縮小操作)を開始することが規定されている。ここで、本実施形態においては、術者310の手311において「指3本」を立てる手形状は、「第5の手形状」と定義する。
【0037】
図11(a)に示す表示設定変更規定情報1111には、上から5番目の規定情報として、上述した表示設定変更可能状態となった後に、手領域撮影部170で撮影された術者310の手311の形状が、「指4本」を立てる手形状となった場合に、表示制御部140は、術者用表示部150の画像表示領域1510(連動表示される補助者用表示部160の画像表示領域1610も同様)に対する医用画像260の表示設定を初期化することが規定されている。ここで、本実施形態においては、術者310の手311において「指4本」を立てる手形状は、「第6の手形状」と定義する。
【0038】
図11(a)に示す回転操作規定情報1112には、上述した表示設定変更可能状態となった後に、手領域撮影部170で撮影された術者310の手311の形状が「指1本」を立てる手形状となって医用画像260の回転操作が開始された際に、表示制御部140は、その後、手領域撮影部170で撮影された術者310の手311の指による上下左右のいずれかの方向のスワイプ動作が行われた場合に、スワイプ動作が行われた方向に医用画像260を回転表示させることが規定されている。なお、本実施形態においては、
図10(a)に示す術者用表示部150の画像表示領域1510に表示されている医用画像260を術者310が視認している場合に、術者310の手311の指による上方向は
図10(a)に示す+Y方向と定義し、術者310の手311の指による下方向は
図10(a)に示す-Y方向と定義し、術者310の手311の指による左方向は
図10(a)に示す-X方向と定義し、術者310の手311の指による右方向は
図10(a)に示す+X方向と定義する。
【0039】
図11(a)に示す移動操作規定情報1113には、上述した表示設定変更可能状態となった後に、手領域撮影部170で撮影された術者310の手311の形状が「指2本」を立てる手形状となって医用画像260の移動操作が開始された際に、表示制御部140は、その後、手領域撮影部170で撮影された術者310の手311の指による上下左右のいずれかの方向のスワイプ動作が行われた場合に、スワイプ動作が行われた方向に医用画像260を移動表示させることが規定されている。
【0040】
図11(a)に示すズーム操作規定情報1114には、上述した表示設定変更可能状態となった後に、手領域撮影部170で撮影された術者310の手311の形状が「指3本」を立てる手形状となって医用画像260のズーム操作(拡大・縮小操作)が開始された際に、表示制御部140は、その後、手領域撮影部170で撮影された術者310の手311の指による上方向(
図10(a)の+Y方向(第1方向))のスワイプ動作が行われた場合に医用画像260を拡大表示させ、また、手領域撮影部170で撮影された術者310の手311の指による下方向(
図10(a)の-Y方向(第2方向))のスワイプ動作が行われた場合に医用画像260を縮小表示させることが規定されている。
【0041】
なお、本実施形態においては、表示制御部140は、手領域撮影部170で撮影された術者310の手311の指による或る方向へのスワイプ動作を検知した後の数秒間は、逆方向へのスワイプ動作を検知不可とするものとする。
【0042】
続いて、
図11(b)に示す音声認識管理テーブル情報1120の説明を行う。
音声認識管理テーブル情報1120は、
図11(b)に示すように、表示設定変更規定情報1121、回転操作規定情報1122、移動操作規定情報1123、及び、ズーム操作規定情報1124を有して構成されている。
【0043】
図11(b)に示す表示設定変更規定情報1121には、上から1番目の規定情報として、音声認識部180で認識された術者310の音声が「回転」であった場合に、表示制御部140は、術者用表示部150の画像表示領域1510(連動表示される補助者用表示部160の画像表示領域1610も同様)に対して医用画像260を所定方向に回転させる操作を開始することが規定されている。
【0044】
図11(b)に示す表示設定変更規定情報1121には、上から2番目の規定情報として、音声認識部180で認識された術者310の音声が「移動」であった場合に、表示制御部140は、術者用表示部150の画像表示領域1510(連動表示される補助者用表示部160の画像表示領域1610も同様)に対して医用画像260を所定方向に移動させる操作を開始することが規定されている。
【0045】
図11(b)に示す表示設定変更規定情報1121には、上から3番目の規定情報として、音声認識部180で認識された術者310の音声が「ズーム」であった場合に、表示制御部140は、術者用表示部150の画像表示領域1510(連動表示される補助者用表示部160の画像表示領域1610も同様)に対して医用画像260の表示倍率を変更するズーム操作(拡大・縮小操作)を開始することが規定されている。
【0046】
図11(b)に示す表示設定変更規定情報1121には、上から4番目の規定情報として、音声認識部180で認識された術者310の音声が「全体」または「初期化」であった場合に、表示制御部140は、術者用表示部150の画像表示領域1510(連動表示される補助者用表示部160の画像表示領域1610も同様)に対する医用画像260の表示設定を初期化することが規定されている。
【0047】
図11(b)に示す表示設定変更規定情報1121には、上から5番目の規定情報として、音声認識部180で認識された術者310の音声が「連続」であった場合に、表示制御部140は、術者用表示部150の画像表示領域1510(連動表示される補助者用表示部160の画像表示領域1610も同様)に対する現在の医用画像260の表示変更を連続して実行することが規定されている。
【0048】
図11(b)に示す表示設定変更規定情報1121には、上から6番目の規定情報として、音声認識部180で認識された術者310の音声が「一定」であった場合に、表示制御部140は、術者用表示部150の画像表示領域1510(連動表示される補助者用表示部160の画像表示領域1610も同様)に対する現在の医用画像260の表示変更を一定量で実行することが規定されている。
【0049】
本実施形態においては、
図11(b)に示す表示設定変更規定情報1121で規定されている、術者310の所定の音声(「回転」、「移動」、「ズーム」、「全体」、「初期化」、「連続」、「一定」)が音声認識部180において認識された場合に、表示制御部140は、術者用表示部150の画像表示領域1510(連動表示される補助者用表示部160の画像表示領域1610も同様)に対する医用画像260の表示を変更することが可能な表示設定変更可能状態となる。
【0050】
図11(b)に示す回転操作規定情報1122には、上から1番目の規定情報として、音声認識部180において「回転」の音声が認識された後に、音声認識部180で「上」の音声が認識された場合には、表示制御部140は、医用画像260を一定角度または連続で上方向に回転表示させることが規定されている。また、
図11(b)に示す回転操作規定情報1122には、上から2番目の規定情報として、音声認識部180において「回転」の音声が認識された後に、音声認識部180で「上」の音声が認識された場合には、表示制御部140は、医用画像260を一定角度または連続で下方向に回転表示させることが規定されている。また、
図11(b)に示す回転操作規定情報1122には、上から3番目の規定情報として、音声認識部180において「回転」の音声が認識された後に、音声認識部180で「左」の音声が認識された場合には、表示制御部140は、医用画像260を一定角度または連続で左方向に回転表示させることが規定されている。また、
図11(b)に示す回転操作規定情報1122には、上から4番目の規定情報として、音声認識部180において「回転」の音声が認識された後に、音声認識部180で「右」の音声が認識された場合には、表示制御部140は、医用画像260を一定角度または連続で右方向に回転表示させることが規定されている。また、
図11(b)に示す回転操作規定情報1122には、上から5番目の規定情報として、音声認識部180において「回転」の音声が認識された後に、音声認識部180で「ストップ」の音声が認識された場合には、表示制御部140は、医用画像260の回転表示を停止させることが規定されている。
【0051】
図11(b)に示す移動操作規定情報1123には、上から1番目の規定情報として、音声認識部180において「移動」の音声が認識された後に、音声認識部180で「上」の音声が認識された場合には、表示制御部140は、医用画像260を一定角度または連続で上方向に移動表示させることが規定されている。また、
図11(b)に示す移動操作規定情報1123には、上から2番目の規定情報として、音声認識部180において「移動」の音声が認識された後に、音声認識部180で「下」の音声が認識された場合には、表示制御部140は、医用画像260を一定角度または連続で下方向に移動表示させることが規定されている。また、
図11(b)に示す移動操作規定情報1123には、上から3番目の規定情報として、音声認識部180において「移動」の音声が認識された後に、音声認識部180で「左」の音声が認識された場合には、表示制御部140は、医用画像260を一定角度または連続で左方向に移動表示させることが規定されている。また、
図11(b)に示す移動操作規定情報1123には、上から4番目の規定情報として、音声認識部180において「移動」の音声が認識された後に、音声認識部180で「右」の音声が認識された場合には、表示制御部140は、医用画像260を一定角度または連続で右方向に移動表示させることが規定されている。また、
図11(b)に示す移動操作規定情報1123には、上から5番目の規定情報として、音声認識部180において「移動」かつ「連続」の状態で、「上」「下」「左」「右」の音声が認識された後に、音声認識部180で「ストップ」の音声が認識された場合には、表示制御部140は、医用画像260の移動表示を停止させることが規定されている。
【0052】
図11(b)に示すズーム操作規定情報1124には、上から1番目の規定情報として、音声認識部180において「ズーム」の音声が認識された後に、音声認識部180で「拡大」の音声が認識された場合には、表示制御部140は、医用画像260を一定量または連続で拡大表示させることが規定されている。また、
図11(b)に示すズーム操作規定情報1124には、上から2番目の規定情報として、音声認識部180において「ズーム」の音声が認識された後に、音声認識部180で「縮小」の音声が認識された場合には、表示制御部140は、医用画像260を一定量または連続で縮小表示させることが規定されている。また、
図11(b)に示すズーム操作規定情報1124には、上から3番目の規定情報として、音声認識部180において「ズーム」かつ「連続」の状態で、「拡大」「縮小」の音声が認識された後に、音声認識部180で「ストップ」の音声が認識された場合には、表示制御部140は、医用画像260の拡大表示・縮小表示を停止させることが規定されている。
【0053】
次に、
図1に示す医用画像処理装置100による医用画像3Dイメージング処理方法(医用画像処理方法)における処理手順について、
図12A及び
図12Bを用いて以下に説明する。
図12A及び
図12Bは、本発明の実施形態に係る医用画像処理装置100による医用画像3Dイメージング処理方法(医用画像処理方法)における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0054】
まず、
図12AのステップS101において、取得部131は、入力部110から術前3次元血管画像210を取得するとともに、入力部120から第1の術中X線透視画像221及び第2の術中X線透視画像222を取得する。具体的に、ステップS101では、例えば、
図2に示す術前3次元血管画像210、
図3に示す第1の術中X線透視画像221、及び、
図4に示す第2の術中X線透視画像222を取得する。さらに、取得部131は、入力部110から術前3次元血管画像210を取得する際に、入力部110から術前3次元血管画像210の術前指標に関する術前指標情報やその撮影情報を含む情報も取得し、また、入力部120から第1の術中X線透視画像221及び第2の術中X線透視画像222を取得する際に、入力部120から術中X線透視画像220の術中指標に関する術中指標情報やその撮影情報を含む情報も取得する。
【0055】
続いて、
図12AのステップS102において、擬似撮影処理部132は、取得部131で取得した術前3次元血管画像210及び術中X線透視画像220の撮影情報等を用いて、術前3次元血管画像210を、術中X線透視画像220を撮影した複数方向(本実施形態では、2方向)から擬似撮影処理の画像処理を行って、当該複数方向の術前擬似2次元血管画像230を生成する。具体的に、ステップS102では、例えば、
図5に示す術前擬似2次元血管画像230-1及び術前擬似2次元血管画像230-2を生成する。
【0056】
続いて、
図12AのステップS103において、血管3次元化処理部133は、まず、取得部131で取得した複数方向(本実施形態では、2方向)から撮影された第2の術中X線透視画像222と、擬似撮影処理部132で複数方向(本実施形態では、2方向)から擬似撮影処理した結果得られた術前擬似2次元血管画像230とにおいて、血管の位置合わせを行う。その後、血管3次元化処理部133は、血管の位置合わせを行った、2方向から撮影された第2の術中X線透視画像222と当該2方向から擬似撮影処理した結果得られた術前擬似2次元血管画像230をもとに、第2の術中X線透視画像222を3次元化して、術中擬似3次元血管画像240を生成する。具体的に、ステップS103では、例えば、
図7に示す術中擬似3次元血管画像240を生成する。
【0057】
続いて、
図12AのステップS104において、デバイス3次元化処理部134は、まず、取得部131で取得した複数方向(本実施形態では、2方向)から撮影された第1の術中X線透視画像221と、擬似撮影処理部132で複数方向(本実施形態では、2方向)から擬似撮影処理した結果得られた術前擬似2次元血管画像230とにおいて、血管の位置合わせを行う。そして、血管の位置合わせを行った後、デバイス3次元化処理部134は、2方向から撮影された第1の術中X線透視画像221のそれぞれから、医療デバイス2211を含む医療デバイス包含画像領域2210を抽出する。ここでは、具体的に、例えば、
図8に示す医療デバイス包含画像領域2210を抽出する。そして、医療デバイス包含画像領域2210を抽出した後、デバイス3次元化処理部134は、血管の位置合わせを行った、2方向から撮影された第1の術中X線透視画像221と当該2方向から擬似撮影処理した結果得られた術前擬似2次元血管画像230をもとに、医療デバイス2211の3次元座標を算出して、第1の術中X線透視画像221(医療デバイス包含画像領域2210)を3次元化し、3次元医療デバイス画像250を生成する。
【0058】
続いて、
図12AのステップS105において、合成部135は、血管3次元化処理部133で生成された術中擬似3次元血管画像240に、デバイス3次元化処理部134で生成された3次元医療デバイス画像を重ね合わせて合成し、医用画像260を生成する。具体的に、ステップS105では、例えば、
図9に示す医用画像260を生成する。
【0059】
続いて、
図12AのステップS106において、表示制御部140は、例えば補助者用表示部160の操作入力部161から入力された情報(例えば表示指示情報)に基づいて、術者用表示部150の画像表示領域1510及び補助者用表示部160の画像表示領域1610に、医用画像260を連動させて表示する制御を行う。具体的に、ステップS106では、例えば、
図10に示すように、術者用表示部150の画像表示領域1510及び補助者用表示部160の画像表示領域1610に、医用画像260を連動させて表示する制御を行う。なお、
図10に示す例では、術者用表示部150の画像表示領域1510及び補助者用表示部160の画像表示領域1610には、医用画像260のみが表示されているが、本実施形態においてはこの態様に限定されるものではなく、例えば、医用画像260の他に
図9に示す第2の術中X線透視画像901及び902が表示されていてもよい。
【0060】
続いて、
図12AのステップS107において、手領域撮影部170は、例えば表示制御部140の制御に基づいて、術者310の手311を含む領域(手領域)の動画での撮影を開始し、また、音声認識部180は、例えば表示制御部140の制御に基づいて、術者310が発した音声の認識を開始する。そして、表示制御部140は、手領域撮影部170で撮影された術者310の手311を含む手領域の動画像を逐次取得するとともに、音声認識部180で認識された術者310の音声を順次取得する。
【0061】
続いて、
図12BのステップS108において、表示制御部140は、手領域撮影部170から取得した術者310の手311を含む手領域の動画像に基づいて術者310の手311の形状が第1の手形状(本実施形態では、
図11(a)に記載の「グー」の形状)から第2の手形状(本実施形態では、
図11(a)に記載の「パー」の形状)になったか否か、または、音声認識部180において所定の音声(本実施形態では、
図11(b)に示す表示設定変更規定情報1121で規定されている「回転」や「移動」等の音声)が認識されたか否かを判断する。
【0062】
図12BのステップS108の判断の結果、術者310の手311の形状が第1の手形状から第2の手形状になっていない場合や音声認識部180において所定の音声が認識されていない場合には(S108/NO)、
図12BのステップS109に進む。
図12BのステップS109に進むと、表示制御部140は、術者用表示部150の画像表示領域1510及び補助者用表示部160の画像表示領域1610に連動して表示されている医用画像260について、現在の表示設定を維持する制御を行う。その後、所定時間が経過した後、
図12BのステップS108に戻る。
【0063】
一方、
図12BのステップS108の判断の結果、術者310の手311の形状が第1の手形状から第2の手形状になった場合または音声認識部180において所定の音声が認識された場合には(S108/YES)、
図12BのステップS110に進む。
図12BのステップS110に進むと、表示制御部140は、記憶部141に記憶されているハンドサイン管理テーブル情報1110の表示設定変更規定情報1111または音声認識管理テーブル情報1120の表示設定変更規定情報1121に基づいて、術者用表示部150の画像表示領域1510(連動表示される補助者用表示部160の画像表示領域1610も同様)に対する医用画像260の表示を変更することが可能な表示設定変更可能状態とする。
【0064】
続いて、
図12BのステップS111において、表示制御部140は、表示設定変更可能状態となった後に、手領域撮影部170から取得した術者310の手311を含む手領域の動画像に基づいて術者310の手311の形状が第3の手形状(本実施形態では、
図11(a)に記載の「指1本」を立てる手形状)になったか否か、または、音声認識部180において「回転」の音声が認識されたか否かを判断する。
【0065】
図12BのステップS111の判断の結果、術者310の手311の形状が第3の手形状になった場合または音声認識部180において「回転」の音声が認識された場合には(S111/YES)、
図12BのステップS112に進む。
図12BのステップS112に進むと、表示制御部140は、記憶部141に記憶されているハンドサイン管理テーブル情報1110の表示設定変更規定情報1111または音声認識管理テーブル情報1120の表示設定変更規定情報1121に基づいて、術者用表示部150の画像表示領域1510(連動表示される補助者用表示部160の画像表示領域1610も同様)に対する医用画像260の回転操作を開始する。その後、表示制御部140は、記憶部141に記憶されているハンドサイン管理テーブル情報1110の回転操作規定情報1112または音声認識管理テーブル情報1120の回転操作規定情報1122に基づいて、手領域撮影部170で撮影された術者310の手311の指による上下左右のいずれかの方向のスワイプ動作が行われた場合または音声認識部180において「上」「下」「左」「右」のいずれかの音声が認識された場合に、指示された当該方向に医用画像260を回転表示する制御を行う。その後、
図12BのステップS108に戻る。
【0066】
一方、
図12BのステップS111の判断の結果、術者310の手311の形状が第3の手形状になっていない場合や音声認識部180において「回転」の音声が認識されていない場合には(S111/NO)、
図12BのステップS113に進む。
図12BのステップS113に進むと、表示制御部140は、表示設定変更可能状態となった後に、手領域撮影部170から取得した術者310の手311を含む手領域の動画像に基づいて術者310の手311の形状が第4の手形状(本実施形態では、
図11(a)に記載の「指2本」を立てる手形状)になったか否か、または、音声認識部180において「移動」の音声が認識されたか否かを判断する。
【0067】
図12BのステップS113の判断の結果、術者310の手311の形状が第4の手形状になった場合または音声認識部180において「移動」の音声が認識された場合には(S113/YES)、
図12BのステップS114に進む。
図12BのステップS114に進むと、表示制御部140は、記憶部141に記憶されているハンドサイン管理テーブル情報1110の表示設定変更規定情報1111または音声認識管理テーブル情報1120の表示設定変更規定情報1121に基づいて、術者用表示部150の画像表示領域1510(連動表示される補助者用表示部160の画像表示領域1610も同様)に対する医用画像260の移動操作を開始する。その後、表示制御部140は、記憶部141に記憶されているハンドサイン管理テーブル情報1110の移動操作規定情報1113または音声認識管理テーブル情報1120の移動操作規定情報1123に基づいて、手領域撮影部170で撮影された術者310の手311の指による上下左右のいずれかの方向のスワイプ動作が行われた場合または音声認識部180において「上」「下」「左」「右」のいずれかの音声が認識された場合に、指示された当該方向に医用画像260を移動表示する制御を行う。その後、
図12BのステップS108に戻る。
【0068】
一方、
図12BのステップS113の判断の結果、術者310の手311の形状が第4の手形状になっていない場合や音声認識部180において「移動」の音声が認識されていない場合には(S113/NO)、
図12BのステップS115に進む。
図12BのステップS115に進むと、表示制御部140は、表示設定変更可能状態となった後に、手領域撮影部170から取得した術者310の手311を含む手領域の動画像に基づいて術者310の手311の形状が第5の手形状(本実施形態では、
図11(a)に記載の「指3本」を立てる手形状)になったか否か、または、音声認識部180において「ズーム」の音声が認識されたか否かを判断する。
【0069】
図12BのステップS115の判断の結果、術者310の手311の形状が第5の手形状になった場合または音声認識部180において「ズーム」の音声が認識された場合には(S115/YES)、
図12BのステップS116に進む。
図12BのステップS116に進むと、表示制御部140は、記憶部141に記憶されているハンドサイン管理テーブル情報1110の表示設定変更規定情報1111または音声認識管理テーブル情報1120の表示設定変更規定情報1121に基づいて、術者用表示部150の画像表示領域1510(連動表示される補助者用表示部160の画像表示領域1610も同様)に対して医用画像260の表示倍率を変更(倍率変更表示)するズーム操作(拡大・縮小操作)を開始する。その後、表示制御部140は、記憶部141に記憶されているハンドサイン管理テーブル情報1110のズーム操作規定情報1114または音声認識管理テーブル情報1120のズーム操作規定情報1124に基づいて、手領域撮影部170で撮影された術者310の手311の指による上方向のスワイプ動作が行われた場合または音声認識部180において「拡大」の音声が認識された場合には医用画像260を拡大表示し、また、手領域撮影部170で撮影された術者310の手311の指による下方向のスワイプ動作が行われた場合または音声認識部180において「縮小」の音声が認識された場合には医用画像260を縮小表示する制御を行う。その後、
図12BのステップS108に戻る。
【0070】
一方、
図12BのステップS115の判断の結果、術者310の手311の形状が第5の手形状になっていない場合や音声認識部180において「ズーム」の音声が認識されていない場合には(S115/NO)、
図12BのステップS117に進む。
図12BのステップS117に進むと、表示制御部140は、表示設定変更可能状態となった後に、手領域撮影部170から取得した術者310の手311を含む手領域の動画像に基づいて術者310の手311の形状が第6の手形状(本実施形態では、
図11(a)に記載の「指4本」を立てる手形状)になったか否か、または、音声認識部180において「全体/初期化」の音声が認識されたか否かを判断する。
【0071】
図12BのステップS117の判断の結果、術者310の手311の形状が第6の手形状になった場合または音声認識部180において「全体/初期化」の音声が認識された場合には(S117/YES)、
図12BのステップS118に進む。
図12BのステップS118に進むと、表示制御部140は、記憶部141に記憶されているハンドサイン管理テーブル情報1110の表示設定変更規定情報1111または音声認識管理テーブル情報1120の表示設定変更規定情報1121に基づいて、術者用表示部150の画像表示領域1510(連動表示される補助者用表示部160の画像表示領域1610も同様)に対する医用画像260の表示設定を初期化する制御を行う。その後、
図12BのステップS108に戻る。
【0072】
一方、
図12BのステップS117の判断の結果、術者310の手311の形状が第6の手形状になっていない場合や音声認識部180において「全体/初期化」の音声が認識されていない場合には(S117/NO)、
図12BのステップS119に進む。
図12BのステップS119に進むと、表示制御部140は、音声認識部180において「連続/一定」の音声が認識されたか否かを判断する。
【0073】
図12BのステップS119の判断の結果、音声認識部180において「連続/一定」の音声が認識された場合には(S119/YES)、
図12BのステップS120に進む。
図12BのステップS120に進むと、表示制御部140は、術者用表示部150の画像表示領域1510(連動表示される補助者用表示部160の画像表示領域1610も同様)に対する医用画像260の表示を、指示された連続または一定で変更する制御を行う。その後、
図12BのステップS108に戻る。
【0074】
一方、
図12BのステップS119の判断の結果、音声認識部180において「連続/一定」の音声が認識されていない場合には(S119/NO)、
図12BのステップS121に進む。
図12BのステップS121に進むと、表示制御部140は、音声認識部180において「ストップ」の音声が認識されたか否かを判断する。
【0075】
図12BのステップS121の判断の結果、音声認識部180において「ストップ」の音声が認識された場合には(S121/YES)、
図12BのステップS122に進む。
図12BのステップS122に進むと、表示制御部140は、術者用表示部150の画像表示領域1510(連動表示される補助者用表示部160の画像表示領域1610も同様)に対して医用画像260を停止表示する制御を行う。その後、
図12BのステップS108に戻る。
【0076】
一方、
図12BのステップS121の判断の結果、音声認識部180において「ストップ」の音声が認識されていない場合には(S121/NO)、
図12BのステップS123に進む。
図12BのステップS123に進むと、表示制御部140は、例えば補助者用表示部160の操作入力部161から入力された情報に基づいて、医療デバイスを用いた血管の手術を終了するか否かを判断する。
【0077】
図12BのステップS123の判断の結果、医療デバイスを用いた血管の手術を終了しない場合には(S123/NO)、
図12BのステップS108に戻る。
【0078】
一方、
図12BのステップS123の判断の結果、医療デバイスを用いた血管の手術を終了する場合には(S123/YES)、例えば表示制御部140は、画像処理部130の処理を終了するとともに手領域撮影部170による撮影及び音声認識部180による音声認識を終了して、
図12A及び
図12Bに示すフローチャートの処理を終了する。
【0079】
以上説明した本発明の実施形態に係る医用画像処理装置100では、取得部131は、手術を行う前の術前の血管の3次元形状を含む術前3次元血管画像210と、手術の最中のX線透視画像である術中X線透視画像220を取得するようにしている。そして、表示制御部140は、取得部131で取得した術前3次元血管画像210及び術中X線透視画像220を用いて生成された画像であって、血管の3次元形状及び医療デバイスの3次元形状を含む医用画像260を、術者用表示部150に表示する制御を行うようにしている。
かかる構成によれば、術者用表示部150に3次元画像である医用画像260を表示するようにしたため、例えば術者用表示部150に2次元画像を表示する場合と比較して、より精密な情報を術者310に提供することができ、その結果、術者310が医療デバイスを用いた血管の手術を行う際に、より安全に手術を行うことができる。
【0080】
さらに、本発明の実施形態に係る医用画像処理装置100では、表示制御部140は、手領域撮影部170で撮影された術者310の手311の動きまたは音声認識部180で認識された術者310の音声に基づいて、術者用表示部150に対する医用画像260の表示を変更する制御を行うようにしている。
かかる構成によれば、術者310の手311の動きまたは音声認識部180で認識された術者310の音声に基づいて術者用表示部150に対する医用画像260の表示を変更するようにしたため、例えば術者310が口頭で補助者320に表示変更を指示して補助者320が術者用表示部150に表示されている医用画像260の表示を変更する場合と比較して、術者310が意図した通りに医用画像260の表示を変更することができ、その結果、効率的な手術を行うことができる。
【0081】
(その他の実施形態)
上述した本発明の実施形態では、術者310が血管の手術を行う際に用いる医療デバイス2211として、血管の動脈瘤に対するコイル塞栓術で用いるコイルを適用した例を示したが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えばステント等の他の医療デバイスを適用することも、本発明に含まれる。
【0082】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
このプログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、本発明に含まれる。
【0083】
なお、上述した本発明の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0084】
100:医用画像処理装置、110:入力部、120:入力部、130:画像処理部、131:取得部、132:擬似撮影処理部、133:血管3次元化処理部、134:デバイス3次元化処理部、135:合成部、140:表示制御部、141:記憶部、142:処理部、150:術者用表示部、160:補助者用表示部、161:操作入力部、170:手領域撮影部、180:音声認識部、190:XR表示部、210:術前3次元血管画像、220:術中X線透視画像、221:第1の術中X線透視画像、222:第2の術中X線透視画像、230:術前擬似2次元血管画像、240:術中擬似3次元血管画像、250:3次元医療デバイス画像、260:医用画像、310:術者、311:術者の手、320:補助者