(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置、ナビゲーション装置の制御方法、ナビゲーション装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20240801BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20240801BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20240801BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/0969
G09B29/00 A
G09B29/10 A
(21)【出願番号】P 2021567662
(86)(22)【出願日】2020-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2020048677
(87)【国際公開番号】W WO2021132553
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-10-17
(31)【優先権主張番号】P 2019237912
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】江尻 剛士
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-257576(JP,A)
【文献】特開平10-89990(JP,A)
【文献】特表2016-535252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/36
G08G 1/0969
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両にてナビゲーションの処理を実行するナビゲーション装置において、
前記ナビゲーションの処理に供する画像を表示する画像表示部と、
前記画像表示部の表示を制御する表示制御部とを備え、
前記表示制御部は、
案内地点までの距離が第1の表示切替判定距離になるまでの間、前記車両の前方を俯瞰した鳥瞰図の形式により一定の縮尺で前記画像表示部で地図を表示し、前記地図上で移動経路をガイド線により表示し、
前記案内地点までの距離が前記第1の表示切替判定距離以下となると、前記案内地点に近づくに従って前記縮尺を増大し、
前記案内地点までの距離が第2の表示切替判定距離以下となると、前記縮尺の増大を停止し、前記ガイド線の表示箇所に、前記案内地点における進路を示すマークを表示する
ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、
前記地図上の道路の幅に対して、一定幅により前記ガイド線を表示する
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記マークが、帯状の部位の一端に矢印を配置したマークであり、
前記表示制御部は、
前記帯状の部位の幅を前記ガイド線の幅と同一幅により表示する
請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記画像表示部は、
ドライバーにより前方風景を視認可能に、前記ドライバーの前方空間に、虚像により前記画像を表示し、
表示制御部は、
前記案内地点までの距離が前記第1の表示切替判定距離になるまでの間、前記地図の表示において、少なくとも前記地図上の道路を前記ドライバーが視認可能な輝度により表示し、
前記案内地点までの距離が前記第1の表示切替判定距離以下となると、少なくとも前記地図上の道路の輝度を低下させる
請求項1、請求項2、請求項3の何れかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
車両にてナビゲーションの処理を実行するナビゲーション装置の制御方法において、
案内地点までの距離が第1の表示切替判定距離になるまでの間、前記車両の前方を俯瞰した鳥瞰図の形式により一定の縮尺で地図を表示し、前記地図上で移動経路をガイド線により表示し、
前記案内地点までの距離が前記第1の表示切替判定距離以下となると、前記案内地点に近づくに従って前記縮尺を増大し、
前記案内地点までの距離が第2の表示切替判定距離以下となると、前記縮尺の増大を停止し、前記ガイド線の表示箇所に、前記案内地点における進路を示すマークを表示する
ナビゲーション装置の制御方法。
【請求項6】
車両にてナビゲーションの処理を実行するナビゲーション装置において、演算処理回路における実行により、所定の処理手順を実行させるナビゲーション装置の制御プログラムにおいて、
前記処理手順は、
案内地点までの距離が第1の表示切替判定距離になるまでの間、前記車両の前方を俯瞰した鳥瞰図の形式により一定の縮尺で地図を表示し、前記地図上で移動経路をガイド線により表示する広域地図表示ステップと、
前記案内地点までの距離が前記第1の表示切替判定距離以下となると、前記案内地点に近づくに従って前記縮尺を増大する拡大地図表示ステップと、
前記案内地点までの距離が第2の表示切替判定距離以下となると、前記縮尺の増大を停止し、前記ガイド線の表示箇所に、前記案内地点における進路を示すマークを表示するAR表示ステップとを備える
ナビゲーション装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、ナビゲーション装置の制御方法、ナビゲーション装置の制御プログラムに関し、例えばヘッドアップディスプレイにより画像表示してナビゲーションの処理を実行するナビゲーション装置に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置のルートガイド表示では、地図表示、AR表示、ターンバイターン表示、交差点拡大図、ディスタンスバー、距離の数値表示等の表示形態が利用されている。
ここで地図表示は、地図表示してこの地図上で移動経路を表示する表示形態であり、AR表示は、実際の風景等にナビゲーション情報を表示してルートガイドする表示形態である。またターンバイターン表示は、右折、左折等の進行方向を示すマークを表示してルートガイドする表示形態であり、交差点拡大図は、交差点等の進行方向を変化させる箇所で地図を拡大表示してルートガイドする表示形態である。またディスタンスバーは、交差点等の目標物までの距離を棒グラフにより表示する表示形態であり、距離の数値表示は、ディスタンスバーに代えて数値により交差点等の目標物までの距離を表示する表示形態である。
【0003】
ナビゲーション装置では、これら何れかの表示形態により、さらにはこれらの表示形態の組み合わせによりルートガイドの処理を実行している。また交差点等までの距離に応じて、これらの表示形態を切り替えてルートガイドの処理を実行している。
【0004】
このようなルートガイドの表示に関して、例えば特許文献1には、地図表示をスクロールさせたり、ズームさせたりする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで従来のルートガイドの表示においては、使い勝手の点で、実用上未だ不十分な問題がある。
すなわち上述した何れかの表示形態により、さらにはこれらの表示形態の組み合わせによりルートガイドする場合、交差点等までの距離によっては、右折、左折等の地点を間違いなく、かつ直感的に把握し難い問題があり、その結果、進路を誤認識してしまう場合がある。
この問題を解決するために、交差点等までの距離に応じて、これらの表示形態を切り替えてルートガイドすることが考えられるものの、この場合、表示形態が切り替わると視点が変化することにより、さらには表示形態自体が切り替わることにより、内容を把握するためのドライバーの負担が増大する問題がある。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ドライバーの負担の増大を有効に回避して、右折、左折等の地点を間違いなく、かつ直感的に把握できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
係る課題を解決するため請求項1の発明は、
車両にてナビゲーションの処理を実行するナビゲーション装置において、
前記ナビゲーションの処理に供する画像を表示する画像表示部と、
前記画像表示部の表示を制御する表示制御部とを備え、
前記表示制御部は、
案内地点までの距離が第1の表示切替判定距離になるまでの間、前記車両の前方を俯瞰した鳥瞰図の形式により一定の縮尺で前記画像表示部で地図を表示し、前記地図上で移動経路をガイド線により表示し、
前記案内地点までの距離が前記第1の表示切替判定距離以下となると、前記案内地点に近づくに従って前記縮尺を増大し、
前記案内地点までの距離が第2の表示切替判定距離以下となると、前記縮尺の増大を停止し、前記ガイド線の表示箇所に、前記案内地点における進路を示すマークを表示する。
【0009】
請求項1の構成によれば、案内地点までの距離が第1の表示切替判定距離になるまでの間、車両の前方を俯瞰した鳥瞰図の形式により一定の縮尺で地図を表示し、この地図上で移動経路をガイド線により表示することにより、案内地点に近づくまでの間、移動経路を直観的に把握することができる。
またさらに案内地点までの距離が第1の表示切替判定距離以下となると、案内地点に近づくに従って縮尺が増大することにより、表示の切り替えによる負担を軽減して、ドライバーにて直感的に案内地点への接近を把握することができる。
またさらに案内地点までの距離が第2の表示切替判定距離以下となると、縮尺の増大を停止し、ガイド線の表示箇所に、案内地点における進路を示すマークを表示することにより、詳細な地図上で矢印等のマークを表示して進路の変更を表示することができ、これにより表示の切り替えによるドライバーの負担の増大を有効に回避して、間違いなく、かつ直感的に、右折、左折等の地点を把握することができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、
前記表示制御部は、
前記地図上の道路の幅に対して、一定幅により前記ガイド線を表示する。
【0011】
請求項2の構成によれば、ガイド線の一定幅による表示により、移動経路を認識し易くすることができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の構成において、
前記マークが、帯状の部位の一端に矢印を配置したマークであり、
前記表示制御部は、
前記帯状の部位の幅を前記ガイド線の幅と同一幅により表示する。
【0013】
請求項3の構成によれば、急激な表示の変化を有効に回避して進路を表示することができ、またその後、ガイド線の表示を停止してマークのみ表示するようにしてもよく、一段とドライバーの負担の増大を低減して、確実に進路の変更を把握することができる。
【0014】
また請求項4の発明は、請求項1、請求項2、請求項3の何れかの構成において、
前記画像表示部は、
前記ドライバーにより前方風景を視認可能に、前記ドライバーの前方空間に、虚像により前記画像を表示し、
表示制御部は、
前記案内地点までの距離が前記第1の表示切替判定距離になるまでの間、前記地図の表示において、少なくとも前記地図上の道路を前記ドライバーが視認可能な輝度により表示し、
前記案内地点までの距離が前記第1の表示切替判定距離以下となると、少なくとも前記地図上の道路の輝度を低下させる。
【0015】
請求項4の構成によれば、案内地点に接近すると、前方風景の視認性を増大させることができ、一段と間違いなく、右折、左折等の地点を把握することができる。
【0016】
請求項5の発明は、
車両にてナビゲーションの処理を実行するナビゲーション装置の制御方法において、
案内地点までの距離が第1の表示切替判定距離になるまでの間、前記車両の前方を俯瞰した鳥瞰図の形式により一定の縮尺で地図を表示し、前記地図上で移動経路をガイド線により表示し、
前記案内地点までの距離が前記第1の表示切替判定距離以下となると、前記案内地点に近づくに従って前記縮尺を増大し、
前記案内地点までの距離が第2の表示切替判定距離以下となると、前記縮尺の増大を停止し、前記ガイド線の表示箇所に、前記案内地点における進路を示すマークを表示する。
【0017】
請求項5の構成によれば、案内地点までの距離が第1の表示切替判定距離になるまでの間、車両の前方を俯瞰した鳥瞰図の形式により一定の縮尺で地図を表示し、この地図上で移動経路をガイド線により表示することにより、案内地点に近づくまでの間、移動経路を直観的に把握することができる。
またさらに案内地点までの距離が第1の表示切替判定距離以下となると、案内地点に近づくに従って縮尺が増大することにより、表示の切り替えによる負担を軽減して、ドライバーにて直感的に案内地点への接近を把握することができる。
またさらに案内地点までの距離が第2の表示切替判定距離以下となると、縮尺の増大を停止し、ガイド線の表示箇所に、案内地点における進路を示すマークを表示することにより、詳細な地図上で矢印等のマークを表示して進路の変更を表示することができ、これにより表示の切り替えによるドライバーの負担の増大を有効に回避して、間違いなく、かつ直感的に、右折、左折等の地点を把握することができる。
【0018】
請求項6の発明は、
車両にてナビゲーションの処理を実行するナビゲーション装置において、演算処理回路における実行により、所定の処理手順を実行させるナビゲーション装置の制御プログラムにおいて、
前記処理手順は、
案内地点までの距離が第1の表示切替判定距離になるまでの間、前記車両の前方を俯瞰した鳥瞰図の形式により一定の縮尺で地図を表示し、前記地図上で移動経路をガイド線により表示する広域地図表示ステップと、
前記案内地点までの距離が前記第1の表示切替判定距離以下となると、前記案内地点に近づくに従って前記縮尺を増大する拡大地図表示ステップと、
前記案内地点までの距離が第2の表示切替判定距離以下となると、前記縮尺の増大を停止し、前記ガイド線の表示箇所に、前記案内地点における進路を示すマークを表示するAR表示ステップとを備える。
【0019】
請求項6の構成によれば、案内地点までの距離が第1の表示切替判定距離になるまでの間、車両の前方を俯瞰した鳥瞰図の形式により一定の縮尺で地図を表示し、この地図上で移動経路をガイド線により表示することにより、案内地点に近づくまでの間、移動経路を直観的に把握することができる。
またさらに案内地点までの距離が第1の表示切替判定距離以下となると、前記案内地点に近づくに従って縮尺が増大することにより、表示の切り替えによる負担を軽減して、ドライバーにて直感的に案内地点への接近を把握することができる。
またさらに案内地点までの距離が第2の表示切替判定距離以下となると、縮尺の増大を停止し、ガイド線の表示箇所に、案内地点における進路を示すマークを表示することにより、詳細な地図上で矢印等のマークを表示して進路の変更を表示することができ、これにより表示の切り替えによるドライバーの負担の増大を有効に回避して、間違いなく、かつ直感的に、右折、左折等の地点を把握することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ドライバーの負担の増大を有効に回避して、右折、左折等の地点を間違いなく、かつ直感的に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るナビゲーション装置を示す図である。
【
図2】
図1のナビゲーション装置の動作の説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1実施形態〕
〔全体構成〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るナビゲーション装置を示すブロック図である。このナビゲーション装置1は、車両にてナビゲーションの処理等を実行する情報端末装置である。
このナビゲーション装置1は、画像表示部2、表示制御部3を備え、さらに入出力インターフェース(I/O IF)4を備える。
【0023】
ここで入出力インターフェース4は、この車両に設けられた各種の機器との間、車外の機器との間でデータ通信する部位である。入出力インターフェース4は、この車両に設けられたコントローラである車両ECU(Electronic Control Unit)41から車速パルス等のナビゲーションの処理に必要な車両情報を取得する。入出力インターフェース4は、道路情報、地図情報を記録したデータベースである道路情報データベース(DB)42からルート検索、地図表示等に使用する道路等の情報を取得する。また入出力インターフェース4は、GPS(Global Positioning System)等により現在位置を検出する自車位置検出部43から自車の現在位置情報を取得する。また入出力インターフェース4は、3次元の加速度センサである車外センサ44から加速度の情報を取得し、ナビゲーション装置1ではこの加速度の情報からこの車両の進行方向の変化を検出する。また入出力インターフェース4は、視線方向検出部45、目位置検出部46からドライバーの撮像結果を処理して得られるドライバーの視線方向の情報、目位置の情報をそれぞれ取得し、ナビゲーション装置1では、この視線方向の情報、目位置の情報により画像表示位置を設定する。また入出力インターフェース4は、撮像装置47から自車両の前方風景の複数の撮像結果を取得し、ナビゲーション装置1では、この撮像結果の処理により交差点等を検出し、さらにはこの交差点等までの距離を検出する。
またナビゲーション装置1は、電子メールの送受機能等を備え、入出力インターフェース4は、他車両に設けられた情報端末装置、歩行者の携帯する情報端末装置、ネットワーク上に設けられた情報端末装置である車外通信接続機器48との間で必要なデータを入出力する。
【0024】
画像表示部2は、ナビゲーションの処理に供する画像を表示する部位であり、この実施形態ではヘッドアップディスプレイが適用される。画像表示部2は、画像表示パネルの出射光をフロントガラスに向けて出射し、フロントガラスからの反射光をドライバーに提供するように構成され、これによりドライバーにより前方風景を視認可能に、ドライバーの前方空間に、虚像により各種の画像を表示する。なおヘッドアップディスプレイに代えてヘッドマウントディスプレイを適用するようにしても良く、各種の構成を広く適用することができる。
【0025】
表示制御部3は、画像表示部2の表示を制御するコントローラであり、プロセッサ5、画像処理回路6、メモリ7を備える。画像処理回路6は、プロセッサ5の処理により形成された画像により画像データを形成し、この画像データを画像表示部2に出力する。
プロセッサ5は、ナビゲーション装置の制御プログラムを実行する演算処理回路であり、表示制御部3は、プロセッサ5によるこの制御プログラムの実行によりナビゲーションの処理に係る所定の処理手順を実行させる。
メモリ7は、プロセッサ5のワークエリアを構成し、プロセッサ5によるプログラムの実行により各種のモジュールが構成される。なおこの
図1においては、ルートガイドの処理に係るモジュールを示す。
【0026】
ここで実オブジェクト関連情報検出モジュール(実オブジェクト関連情報検出M)71は、撮像装置47の撮像結果を処理して交差点等の、右折、左折等の指示を提供する地点(以下、案内地点と呼ぶ)の検出に必要な情報を取得するモジュールである。実オブジェクト位置設定モジュール(実オブジェクト位置設定M)72は、実オブジェクト関連情報検出モジュール71の検出結果に基いて、案内地点の位置を検出するモジュールである。差分判定モジュール(差分判定M)73は、移動経路からの逸脱距離を判定するモジュールである。距離判定モジュール(距離判定M)74は、案内地点までの距離を判定するモジュールである。速度判定モジュール(速度判定M)75は、車速パルスにより走行速度を検出して判定するモジュールである。報知必要度判定モジュール(報知必要度判定M)75は、差分判定モジュール73、距離判定モジュール74、速度判定モジュール75の判定結果から報知の重要度を判定するモジュールである。画像位置決定モジュール(画像位置決定M)76は、ドライバーの視線方向の情報、目位置の情報に基づいて、画像表示部2で表示に供する画像の表示位置を決定するモジュールである。画像サイズ決定モジュール(画像サイズ決定M)77は、画像位置決定モジュール76による画像の大きさを決定するモジュールである。グラフィックモジュール(グラフィックM)78は、画像位置決定モジュール76、画像サイズ決定モジュール77の処理結果に基づいて、画像表示部2で表示する画像を生成するモジュールである。
【0027】
〔ルートガイド表示〕
表示制御部3は、ドライバーにより移動経路の検索が指示されると、自車位置検出部43で検出される現在位置情報に基づいて移動経路を検索し、道路情報データベース42の記録に基づいて地図表示し、目的地までの移動経路を表示する。またこの移動経路によるルートガイドが指示されると、ルートガイドの処理を実行する。
【0028】
図2は、このルートガイドの処理における画像表示部2による表示画面(ルートガイド表示)2AA~2AFを示す平面図である。ナビゲーション装置1は、ドライバーの正面、矩形の領域でルートガイドの処理に係る表示画面2AA~2AFを表示する。なお
図2は、画像表示部2で形成される対応する表示画面を、案内地点までの距離により示す図である。これにより表示画面2AA~2AFは、黒色の部位程、ドライバーにおいて前方風景を視認し易くなる。
【0029】
表示制御部3は、距離判定モジュール74の判定結果に基づいて、案内地点までの距離が表示開始距離(例えば300m)以下となると、ルートガイド情報の表示を開始し、符号2AA、2ABにより示すように、案内地点までの距離が第1の表示切替判定距離TH1(例えば200m)になるまでの間、車両の前方を俯瞰した鳥瞰図の形式により一定の縮尺で地図を表示し、この地図上で移動経路をガイド線20により表示する(広域地図表示ステップ)。なお実用上十分な場合には、案内地点までの距離が第1の表示切替判定距離TH1になるまでの間、常時、地図表示するようにしてもよい。
なおこの一定の縮尺は、固定値としても良く、ドライバーの指示した縮尺としてもよい。
また表示開始距離、第1の表示切替判定距離TH1は、固定値としても良く、ドライバーの指示した距離としても良く、ドライバーの指示した縮尺に対応するように設定してもよく、周辺の混雑の程度に応じて設定してもよい。
【0030】
これによりナビゲーション装置1では、案内地点までの距離が第1の表示切替判定距離TH1になるまでの間、広域の地図により移動経路を確認して進路変更箇所を把握することができ、案内地点に近づくまでの間、移動経路を直観的に把握することができる。
【0031】
ここでこの表示画面2AA、2ABでは、少なくとも地図上の道路22をドライバーが視認可能な輝度により表示し、ガイド線20は、この道路22より高い輝度により、道路22と異なる色彩により表示し、これにより移動経路を直感的に把握できるようにする。
また道路22の幅に対して、ガイド線20を一定の幅により表示し、これにより道路21と同様に遠方になる程、道路22に対応してガイド線20の幅を狭くして、移動経路を認識し易くする。
【0032】
またこの表示画面2AA、2ABでは、自車両の位置を示す自車マーク23、目的地が地図上に存在する場合には、目的地を示す目的地マーク24、さらに著名な地点(例えば行楽地、観光地である)が地図上に存在する場合には、対応するマークを表示する。
またこの表示画面2AA、2ABでは、主だった建築物等が存在しない箇所(道路間の空き地、農地等である)は、道路22より低輝度で表示し、これにより一段と前方視界の視認性を向上する。
また主だった建築物25を道路22より高い輝度であって、ガイド線20より低い輝度で表示し、これによりガイド線20の視認性を損なわないようにして、移動経路上の目標物を地図上で容易に確認できるようにする。
このように表示画面を表示して、表示制御部3は、車両の走行により現在位置が変化すると、この位置変化に対応するように表示画面の表示を可変する。
【0033】
表示制御部3は、符号2AC、2AD、2AE、2AFにより示すように、案内地点までの距離が第1の表示切替判定距離TH1以下となると、案内地点までの距離が第2の表示切替判定距離TH2(例えば50m)になるまでの間、案内地点に近づくに従って縮尺を増大して地図を表示する(拡大地図表示ステップ)。
これによりナビゲーション装置1では、表示の切り替えによる負担を低減することができ、ドライバーにおいては、詳細な地図により直感的に案内地点を把握することができる。
ここでこの縮尺の増大は、一定の遷移時間(例えば1秒)で徐々に倍率を増大させる処理を案内地点に近づくに従って繰り返して段階的(例えば案内地点までの距離が200m、100mの2段階で)に実行される。なお案内地点までの距離が減少するに従って連続的に縮尺を増大させるようにしてもよい。
【0034】
ここで第2の表示切替判定距離TH2は、固定値としても良く、ドライバーの指示した距離としても良く、ドライバーの指示した縮尺に対応するように設定してもよく、周辺の混雑の程度に応じて設定してもよい。
【0035】
またこのように縮尺を増大して地図を表示して、案内地点までの距離が第1の表示切替判定距離TH1以下であって、案内地点までの距離が第2の表示切替判定距離TH2となる前の道路表示切替距離(例えば100m)になると、表示制御部3は、地図の縮尺の増大に連動して、地図上の道路22の輝度を低下させ、またこれとは逆に、道路22間については、輝度を増大させ、これにより道路22との輝度の高低を反転させる。
なおこの輝度の低減、増大は、段階的な地図の縮尺の増大に連動させることなく、案内地点に近づくに従って徐々に輝度を変化させるようにしてもよい。また道路表示切替距離は、第1の表示切替判定距離TH1以下の範囲で種々に設定することができる。
また道路22間については、輝度を増大させないようにして、道路22のみ輝度を低減するようにして輝度の高低を反転させるようにしてもよい。
これによりナビゲーション装置1では、案内地点に接近すると、前方風景の視認性を一段と増大させることができ、一段と間違いなく、右折、左折等の地点を把握することができる。
【0036】
このように縮尺を増大させて、符号2AE、2AFにより示すように、案内地点までの距離が第2の表示切替判定距離TH2以下となると、縮尺の増大を停止し、ガイド線20の表示箇所に、案内地点における進路を示すマーク27を表示する(AR表示ステップ)。
この実施形態において、マーク27は、帯状の部位27Aの一端に矢印27Bを配置したマークであり、ガイド線20と同一の色彩により、帯状の部位27Aの幅をガイド線20の幅と同一幅により表示する。なおガイド線と異なる色彩により表示するようにしてもよい。
これによりマーク27を表示を開始したことによる急激な表示の変化を低減して進路を表示することができる。
【0037】
表示制御部3は、このようにマーク27を表示して、さらに案内地点まで接近すると、ガイド線20の輝度を徐々に低下させてガイド線20の表示を停止し、これによりマーク27のみを表示する(表示画面2AF)。これによっても一段と確実に進路を把握することができる。なおこのようにマーク27のみを表示する時点で、道路22以外の部位は表示されないような縮尺となっており、これによりマーク27以外の部位では何ら前方視界を妨げないようにし、一段と視認性を向上する。
【0038】
表示制御部3は、このようにしてマーク27を表示して自車両位置の変化に対応するように、マーク27の大きさを可変し、さらには進行方向が変化すると、この変化に対応するようにマーク27の向きを変化させる。また進行方向の変化が完了すると、次の案内地点までの距離に応じて上述した表示画面22AA~22AFを表示するようにして、例えばフェードインの処理により徐々に表示画面の表示を開始する。
【0039】
以上の構成によれば、案内地点までの距離が第1の表示切替判定距離になるまでの間、車両の前方を俯瞰した鳥瞰図の形式により一定の縮尺で地図を表示し、この地図上で移動経路をガイド線により表示し、案内地点までの距離が第1の表示切替判定距離以下となると、案内地点に近づくに従って縮尺を増大し、案内地点までの距離が第2の表示切替判定距離以下となると、縮尺の増大を停止してガイド線の表示箇所に、進路を示すマークを表示することにより、案内地点に近づくまでの間、広域の地図により移動経路を直観的に把握することができ、案内地点に近づくに従って縮尺を増大した地図により、表示の切り替えによる負担をドライバーに与えることなく、ドライバーにて直感的に案内地点への接近を把握することができ、またさらに案内地点まで近づくと詳細な地図上のマークで進路の変更を確認することができる。これにより表示の切り替えによるドライバーの負担の増大を有効に回避して、間違いなく、かつ直感的に、右折、左折等の地点を把握することができる。
【0040】
またさらに地図上の道路の幅に対して、一定幅によりガイド線を表示することにより、移動経路を認識し易くすることができる。
【0041】
またさらにこのマークが、帯状の部位の一端に矢印を配置したマークであり、帯状の部位の幅をガイド線の幅と同一幅により表示することにより、急激な表示の変化を有効に回避して進路を表示することができ、またその後、ガイド線の表示を停止してマークのみ表示するようにしてもよく、一段とドライバーの負担の増大を低減して、確実に進路の変更を把握することができる。
【0042】
またさらにドライバーにより前方風景を視認可能に、ドライバーの前方空間に、虚像により画像を表示する構成において、案内地点までの距離が第1の表示切替判定距離になるまでの間、少なくとも地図上の道路をドライバーが視認可能な輝度により表示し、この距離が第1の表示切替判定距離以下となると少なくとも道路の輝度を低下させることにより、前方風景の視認性を増大させることができ、一段と間違いなく、右折、左折等の地点を把握することができる。
【0043】
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態を種々に変更することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 ナビゲーション装置
2 画像表示部
3 表示制御部
4 入出力インターフェース
5 プロセッサ
6 画像処理回路
7 メモリ
20 ガイド線
22 道路
27 マーク