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特許7530560放射線治療のための呼吸バイオフィードバック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】放射線治療のための呼吸バイオフィードバック
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20240801BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
A61N5/10 M
A61B5/055 390
A61B5/055 370
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022517330
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2020075257
(87)【国際公開番号】W WO2021052843
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-09-05
(31)【優先権主張番号】19201823.2
(32)【優先日】2019-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】62/903,014
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】カドビ モハマッド ホセイン
(72)【発明者】
【氏名】ワーナー リゼット
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-533889(JP,A)
【文献】特開2002-360543(JP,A)
【文献】特表2015-533539(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0091314(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03531159(EP,A1)
【文献】国際公開第2018/134445(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/121693(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用システムであって、
磁気共鳴イメージングシステムと、
照射ゾーン内のターゲットボリュームを制御可能に照射するように構成される放射線治療システムと、
前記照射ゾーン内の被検体の少なくとも腹部領域を支持するように構成される被検体支持体と、
前記被検体の呼吸運動を記述する動き信号を提供するように構成される呼吸監視システムと、
前記被検体が前記被検体支持体によって支持されている場合に前記被検体に呼吸位相インジケータを表示するように構成される被検体ディスプレイと、
マシン実行可能命令を記憶するメモリであって、4次元磁気共鳴イメージングプロトコルに従って撮像ゾーンから較正磁気共鳴データを取得するための較正パルスシーケンスコマンドを更に有する、メモリと、
前記医用システムを制御するプロセッサと、
を有し、前記マシン実行可能命令の実行は、前記プロセッサに、
所定の期間、測定された動き信号を呼吸監視システムを用いて取得するステップと、
較正パルスシーケンスコマンドを用いて磁気共鳴イメージングシステムを制御して較正磁気共鳴データを取得するステップであって、前記較正磁気共鳴データは、動き位相ビンに分割される、ステップと、
を実行させ、
前記マシン実行可能命令の実行は更に、前記較正磁気共鳴データの取得中、前記プロセッサに、
前記測定された動き信号を時間的に追うことによって、時間的な所望の動き信号を決定するステップと、
前記呼吸監視システムを使用して較正動き信号を取得するステップと、
前記較正動き信号を用いて、前記較正磁気共鳴データを動き位相ビンにビニングするステップと、
前記呼吸位相インジケータを被検体ディスプレイ上にレンダリングするステップであって、前記呼吸位相インジケータは、前記時間的な所望の動き信号と前記較正動き信号との間の差を示すように構成される、ステップと、
を繰り返し実行させ、
前記マシン実行可能命令の実行は更に、前記プロセッサに、前記較正磁気共鳴データから時間分解磁気共鳴イメージングデータセットを再構成するステップを実行させ、
前記マシン実行可能命令の実行は更に、前記プロセッサに、
前記測定された動き信号を時間的に追うことによって所望の動き信号を決定するステップと、
前記呼吸監視システムを使用して現在の動き信号を取得するステップと、
前記被検体ディスプレイに前記呼吸位相インジケータをレンダリングするステップであって、前記呼吸位相インジケータは、前記所望の動き信号と前記現在の動き信号との間の差を示す、ステップと、
前記所望の動き信号に同期される前記時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの第1の部分又は前記現在の動き信号によって参照される前記時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの第2の部分を使用して、前記放射線治療システムのターゲット照射を制御するように構成される制御コマンドを生成するステップと、
を繰り返し実行させ、前記制御コマンドは、前記現在の動き信号と前記測定された動き信号との間の合致に所定の基準を適用することによって、前記時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの前記第1の部分と、前記時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの前記第2の部分との間の選択を行うように構成される、医用システム。
【請求項2】
前記磁気共鳴イメージングシステムは、前記放射線治療システムに一体化されており、前記照射ゾーンは前記撮像ゾーン内にある、請求項1に記載の医用システム。
【請求項3】
前記メモリが更に、撮像パルスシーケンスコマンドを含み、前記マシン実行可能命令の実行が更に、前記プロセッサに、
前記制御コマンドの生成中に、前記磁気共鳴イメージングシステムを前記撮像パルスシーケンスコマンドで制御することにより、イメージング磁気共鳴データを取得するステップと、
前記イメージング磁気共鳴データから少なくとも1つの磁気共鳴画像を再構成するステップであって、前記呼吸位相インジケータは、前記少なくとも1つの磁気共鳴画像を表示するよう構成される、ステップと、
を実行させる、請求項2に記載の医用システム。
【請求項4】
前記照射ゾーンと前記撮像ゾーンとが互いに不連続である、請求項2に記載の医用システム。
【請求項5】
前記呼吸位相インジケータは、前記所望の動き信号を波形として表示するように構成され、前記呼吸位相インジケータは更に、前記現在の動き信号を前記波形に対する位置として表示するように構成される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の医用システム。
【請求項6】
前記呼吸位相インジケータが更に、前記所望の動き信号を第1のオブジェクトのロケーションとして表示するように構成され、前記呼吸位相インジケータが、前記現在の動き信号を第2のオブジェクトのロケーションとして表示するように構成される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の医用システム。
【請求項7】
前記呼吸位相インジケータは、前記所望の動き信号及び前記現在の動き信号を用いて、前記被検体のアニメーションを制御するように構成される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の医用システム。
【請求項8】
前記マシン実行可能命令の実行は更に、請求項プロセッサに、前記制御コマンドを用いて前記放射線治療システムを制御させる、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の医用システム。
【請求項9】
前記呼吸監視システムは、呼吸ベルト、光学呼吸検出システム、赤外線呼吸検出システム、内部ナビゲータパルスシーケンス、及びそれらの組み合わせのうちのいずれか1つを有する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の医用システム。
【請求項10】
前記被検体ディスプレイは、前記呼吸位相インジケータを壁に投影するように構成されるプロジェクタ、前記呼吸位相インジケータを前記医用システムのボアに投影するように構成されるプロジェクタ、LCDディスプレイ、及び磁気共鳴イメージング形成互換ディスプレイのうちのいずれか1つである、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の医用システム。
【請求項11】
前記放射線治療システムは、線形加速器放射線治療システム、コバルト放射線治療システム、及びX線放射線治療システムのいずれかである、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の医用システム。
【請求項12】
医用システムの作動方法であって、前記医用システムは、
磁気共鳴イメージングシステムと、
照射ゾーン内のターゲットボリュームを制御可能に照射するように構成される放射線治療システムと、
前記照射ゾーン内の被検体の少なくとも腹部領域を支持するように構成される被検体支持体と、
前記被検体の呼吸運動を記述する動き信号を提供する呼吸監視システムと、
前記被検体支持体によって支持される前記被検体に呼吸位相インジケータを表示する被検体ディスプレイと、
を有し、前記方法が、
所定の期間、測定された動き信号を前記呼吸監視システムを用いて取得するステップと、
正パルスシーケンスコマンドで前記磁気共鳴イメージングシステムを制御して、較正磁気共鳴データを取得するステップであって、前記較正パルスシーケンスコマンドは、4次元磁気共鳴イメージングプロトコルに従って撮像ゾーンから前記較正磁気共鳴データを取得するように構成され、前記照射ゾーンは前記撮像ゾーン内にあり、前記較正磁気共鳴データは動き位相ビンに分割される、ステップと、を有し、
前記方法が更に、
前記測定された動き信号を時間的に追うことによって時間的な所望の動き信号を決定するステップと、
前記呼吸監視システムを使用して較正動き信号を取得するステップと、
前記較正磁気共鳴データを前記較正動き信号を用いて動き位相ビンにビニングするステップと、
前記呼吸位相インジケータを前記被検体ディスプレイ上にレンダリングするステップであって、前記呼吸位相インジケータが、時間的な所望の動き信号と較正動き信号との間の差を示すように構成される、ステップと、を反復的に有し、
前記方法が更に、前記較正磁気共鳴データから時間分解磁気共鳴イメージングデータセットを再構成するステップを有し、
前記方法が更に、
前記測定された動き信号を時間的に追うことによって所望の動き信号を決定するステップと、
前記呼吸監視システムを使用して現在の動き信号を取得するステップと、
前記被検体ディスプレイ上に前記呼吸位相インジケータをレンダリングするステップであって、前記呼吸位相インジケータは、前記所望の動き信号と前記現在の動き信号との間の差を示すように構成される、ステップと、
前記所望の動き信号に同期される前記時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの第1の部分又は前記現在の動き信号によって参照される前記時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの第2の部分を使用して、前記放射線治療システムのターゲット照射を制御するように構成される制御コマンドを生成するステップと、を反復的に有し、前記制御コマンドは、前記現在の動き信号と前記測定された動き信号との間の合致に所定の基準を適用することによって、前記時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの前記第1の部分と、前記時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの前記第2の部分との間の選択を行うように構成される、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線治療に関し、特に、磁気共鳴イメージングを用いた放射線治療のガイダンスに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の身体内の画像を生成するプロシージャの一部として、原子の核スピンをそろえるために、磁気共鳴画像(MRI)スキャナによって大きな静磁場が使用される。このような医用画像は、放射線治療システムの計画及び/又はガイドに有用であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
To et. al., "Impact of incorporating visual biofeedback in 4D MRI," J. Applied Clinical Med. Phys, vol. 17, pp. 128-137 (2016)は、腹部病変に対する正確な放射線療法(RT)は、4D CTでは、呼吸運動及び準最適軟組織コントラストにより複雑であることが開示されている。4D MRIは、長いスキャン時間及び不規則な呼吸パターンが制限的である可能性はあるが、改善されたコントラストを提供する。これに対処するために、視覚的バイオフィードバック(VBF)が4D MRIに導入された。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、独立請求項における医用システム、コンピュータプログラム製品、及び方法を提供する。実施形態は従属請求項に記載されている。
【0005】
実施形態は、先に取得された磁気共鳴画像データセットを用いて放射線治療システムをガイドする改善された手段を提供することができる。これは、呼吸監視システムの測定された動き信号に対して参照され又は同期される時間分解磁気共鳴画像データセット(4D MRIデータセット)を使用することによって達成され得る。放射線治療中、現在の動き信号は呼吸監視システムを用いて測定される。ディスプレイは、呼吸位相インジケータのレンダリングを提供する。呼吸位相インジケータは、所望の動き信号と現在の動き信号との間の差を示す。呼吸位相インジケータは、被検体が、時間分解される磁気共鳴画像データセットが取得されたときに被検体が有していた呼吸パターンをより良好に制御し、対応付けるために使用することができるバイオフィードバック信号を提供する。
【0006】
一態様では、本発明は、照射ゾーン内のターゲットボリュームを制御可能に照射するように構成される放射線治療システムを有する医用システムを提供する。本明細書で使用される照射ゾーンは、放射線治療システムが空間ボリュームに対してターゲットボリュームをステアする(操る)又はターゲットボリュームに焦点を合わせることができる空間ボリュームを包含する。医用システムは、更に、照射ゾーン内の被検体の少なくとも腹側領域を支持するように構成される被検体支持体を有する。腹側領域は、被検体の腹部及び/又は胸部領域を包含することができる。
【0007】
医用システムは、被検体の呼吸動作を記述する動き信号を提供するように構成される呼吸監視システムを更に有する。呼吸監視システムは、被検体が呼吸する際の被検体の動きを測定することができる任意のシステムでありうる。例えば、動き信号は、被検体の呼吸位相を提供することができる。医用システムは、更に、被検体支持体によって支持されている被検体に、呼吸位相インジケータを表示するように構成される被検体ディスプレイを有する。本明細書で使用される呼吸位相インジケータは、被検体ディスプレイ上にレンダリングされ、被検体の現在の呼吸位相又は動きを伝達するインジケータでありうる。
【0008】
医用システムは、マシン実行可能命令を記憶するメモリを更に有する。医用システムは、医用システムを制御するように構成されるプロセッサを更に有する。マシン実行可能命令の実行は、プロセッサに時間分解磁気共鳴イメージングデータセットを受信させる。時間分解磁気共鳴イメージングデータセットは、一例において一連の磁気共鳴イメージングでありうる。別の例では、時間分解磁気共鳴イメージングデータセットは、特定の時間又は呼吸位相範囲における平均画像でありうる。
【0009】
別の例では、時間分解磁気共鳴イメージングデータセットは、時間又は呼吸位相の関数として被検体の様々な解剖学的構造のロケーションを示すために予め処理された磁気共鳴イメージングデータである。時間分解磁気共鳴イメージングデータセットは、測定された動き信号に同期される。測定された動き信号は時間的に周期性をもつ。測定された動き信号は、呼吸監視システムによって提供され得る動き信号と同等でありうる。従って、時間分解磁気共鳴イメージングデータセットは、動き信号の関数として時間分解磁気共鳴イメージングデータを提供する。
【0010】
マシン実行可能命令の実行は更に、プロセッサに、測定された動き信号を時間的に追う(追跡する、追っていく:step through)ことによって、所望の動き信号を繰り返し決定させる。例えば、測定された動き信号は、時間又は周期の関数として、特定の波形又は構造を有することができる。測定された動き信号を離散的な期間又はチャンク(chunks、かたまり)に分解し、それらを逐次的に呼び戻す(recall)ことによって、測定された動き信号から所望の動き信号を得ることができる。マシン実行可能命令の実行は更に、プロセッサに、呼吸監視システムを使用して、現在の動き信号を繰り返し取得させる。現在の動き信号は、現在の時点で測定される動き信号でありうる。
【0011】
マシン実行可能命令の実行は更に、プロセッサに、呼吸位相インジケータをディスプレイ上に繰り返し表示させる。呼吸位相インジケータは、所望の動き信号と測定された動き信号との間の差を示すように構成されており、呼吸位相インジケータは、従って、被検体にバイオフィードバック信号を提供し、所望の呼吸パターンと現在の呼吸パターンとの間の差を示す。マシン実行可能命令の実行は、更に、プロセッサに、所望の動き信号に同期される時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの第1の部分、又は現在の動き信号によって参照される時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの第2の部分を用いて、放射線治療システムのターゲット照射を制御するように構成される制御コマンドを繰り返し生成させる。
【0012】
制御コマンドは、時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの2つのグループのうちの1つに対応付けられるように生成される。第1の部分は、現在の所望の動き信号に対応する部分である。しかしながら、被検体が所望の動き信号からあまりにもずれている場合、この信号を用いて放射線治療システムをターゲット設定したり、制御したりすることは不正確である。この場合、現在の動き信号は、時間分解磁気共鳴イメージングデータセットを参照し、放射線治療システムによる適切なターゲット照射のために使用されることができるデータを得るために使用される。
【0013】
この実施形態では、以前の磁気共鳴イメージングスキャンからのデータは、時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの形で提供され、時間分解磁気共鳴イメージングデータセットは、測定された動き信号によって参照される。呼吸位相インジケータの表示は、被検体が、時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの取得に使用された呼吸パターンに合わせることを助ける。被検体が同じ呼吸パターンに従う場合、時間分解磁気共鳴イメージングデータセットを使用して、被検体の様々な内部臓器がどこに位置付けられるかを将来予測することは非常に正確である。一方、被検体が不安定な呼吸パターンを有する場合、被検体が将来どのように動くかを適切に予測することは非常に困難になる。従って、実施形態は、放射線治療システムのために、被検体内の改良されたターゲト照射を提供することができる。
【0014】
別の実施形態では、時間分解磁気共鳴イメージングデータセットは、照射ゾーン内に支持される対象の少なくとも腹側領域を記述する。
【0015】
別の実施形態では、制御コマンドは、現在の動き信号と測定された動き信号との間の合致に所定の基準を適用することによって、時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの第1の部分と、時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの第2の部分との間の選択を行うように構成される。例えば、現在の動き信号が、測定された動き信号から、所定の基準よりも大きく逸脱した場合、システムは、時間分解磁気共鳴画像データセットの第2の部分に切り替わることができる。時間分解磁気共鳴画像データセットの第2の部分は、例えば、現在の動き信号が、測定された動き信号に所定の基準の範囲内でフィットするように、時間オフセットとして選択され得る。
【0016】
「同期される(synchronized to)」という語は、現在の動き信号が、所望の動き信号に同期され又はロックされることを示すことができる。「参照される(referenced to)」という語もまた、現在の動き信号が、時間又は位相オフセットを伴って、所望の動き信号に同期され又はロックされることを示すことができる。
【0017】
動き信号は、呼吸監視システムによって測定される信号である。所望の動き信号は、呼吸監視システムによって測定される動き信号から導かれる動き信号である。「所望の(desired)」という語は、特定の動き信号を示すために使用されるラベルである。現在の動き信号はまた、呼吸監視システムによって測定される動き信号である。「現在の(current)」という語は、呼吸監視システムによって測定された特定のデータを示すラベルである。
【0018】
別の実施形態において、医用システムは、磁気共鳴画像システムを更に有する。磁気共鳴イメージングシステムは、別個の独立した磁気共鳴イメージングシステムであってもよく、又は、磁気共鳴イメージングシステムは、放射線治療システムに組み込まれてもよい。
【0019】
メモリは、更に、4次元磁気共鳴イメージングプロトコルに従って撮像ゾーンから較正磁気共鳴データを取得するように構成される較正パルスシーケンスコマンドを含む。4次元磁気共鳴イメージングプロトコルは、本明細書において、3つの空間次元及び1つの時間次元でデータを取得する磁気共鳴イメージングプロトコルを包含し、従って、4次元磁気共鳴イメージングプロトコルは、時間の関数として3次元磁気共鳴イメージングデータを取得する。
【0020】
マシン実行可能命令の実行は、更に、プロセッサに、呼吸監視システムで測定される動き信号を所定の期間にわたって取得させる。例えば、被検体が磁気共鳴イメージングシステムに挿入され、呼吸監視システムを用いて被検体の呼吸が監視されることができる。マシン実行可能命令の実行は、更に、プロセッサに、較正パルスシーケンスコマンドを用いて、磁気共鳴イメージングシステムを制御させ、較正磁気共鳴データを取得させる。較正磁気共鳴データは、(複数の)動き位相ビンに分割される。測定された動き信号は、例えば、取得されたデータを動き位相ビンに分割するために使用され得る。マシン実行可能命令の実行は更に、プロセッサに、較正磁気共鳴データから時間分解磁気共鳴イメージングデータセットを再構成させる。
【0021】
マシン実行可能命令の実行は更に、較正磁気共鳴データの取得中、プロセッサに、測定された動き信号を時間的に追うことによって時間的な所望の動き信号を決定するステップと、呼吸監視システムを用いて較正動き信号を取得するステップと、較正動き信号を使用して、磁気共鳴イメージングデータを動き位相ビンに分割するステップと、最終的に呼吸位相インジケータを表示するステップと、を繰り返し実行させる。呼吸位相インジケータは、時間的な所望の動き信号と較正動き信号との間の差を示すように再び構成される。この実施形態では、フィードバックは、放射線治療ステップ中と同様に被検体に提供される。これは、被検体が呼吸をより規則的に制御することができれば、被検体の動きがより反復可能であるため、磁気共鳴イメージングデータの品質が改善されるため、有益でありうる。
【0022】
磁気共鳴イメージングフェーズ中及び放射線治療フェーズ中に、同種の患者動き監視とバイオフィードバックが提供されれば、時間分解磁気共鳴イメージングデータの品質が向上するとともに、放射線治療システムによるターゲット照射の精度も向上する。
【0023】
別の実施形態では、磁気共鳴イメージングシステムは、放射線治療システムに統合される。照射ゾーンは撮像ゾーン内にある。照射ゾーンが撮像ゾーン内にあるという結果は、磁気共鳴イメージングシステムが、放射線治療システムによるガイド又はターゲット照射のために使用され得ることである。この場合、放射線治療システム及び磁気共鳴イメージングシステムの被検体ディスプレイ及び呼吸監視システムは、同一であってもよい。
【0024】
別の実施形態では、メモリは、撮像パルスシーケンスコマンドを更に含む。マシン実行可能命令の実行は、更に、プロセッサに、制御コマンドの生成中に、撮像パルスシーケンスコマンドを用いて磁気共鳴イメージングシステムを制御することによって、撮像磁気共鳴データを取得させる。マシン実行可能命令の実行は、更に、プロセッサに、撮像磁気共鳴データから少なくとも1つの磁気共鳴画像を再構成させる。呼吸位相インジケータは、少なくとも1つの磁気共鳴画像を表示するように完全に構成される。例えば、呼吸位相インジケータは、被検体の呼吸パターンを制御する際の補助として、実際の磁気共鳴画像を被検体に表示することができる。
【0025】
別の実施形態では、照射ゾーンと撮像ゾーンとが分離される。これの結果は、磁気共鳴イメージングシステムが放射線治療システムを直接ガイドするために使用できないことである。この場合、放射線治療システムは、1つの位置にありえ、磁気共鳴イメージングシステムは、別の位置にありうる。例えば、被検体は、まず、時間分解磁気共鳴イメージングデータセット及び測定された動き信号を提供するために、磁気共鳴イメージングシステムに配置されることができる。次いで、被検体は、放射線治療システムに物理的に移動されることができる。これは、磁気共鳴イメージングシステム及び放射線治療システムを、共に協調的に機能する単一の医用システムに組み合わせるという利点を有し得る。この例では、放射線治療システムは、第1呼吸監視システム及び第1被検体ディスプレイを有することができ、磁気共鳴イメージングシステムは、第2呼吸監視システム及び第2被検体ディスプレイを有することができる。
【0026】
別の実施形態では、呼吸位相インジケータは、所望の動き信号を波形として表示するように構成される。呼吸位相インジケータは、現在の動き信号を波形に対する位置として表示するように完全に構成される。例えば、被検体の現在の呼吸位相を示すカーソルが存在し、これが所望の動き信号と比較されることができる。これは、被検体の呼吸位相が正しいか否かを被検体に示すのに役立つ。波形が更に、最大及び最小呼吸位相を表示することができる。これは、測定した動き信号が取得されたとき被検体が呈していたよりも被検体が深く呼吸している場合や、被検体が過換気である場合に、被検体に合図するのに役立つ場合がある。
【0027】
別の実施形態では、呼吸位相インジケータは、所望の動き信号を第1の物体のロケーションとして表示するように構成される。呼吸位相インジケータは、更に、現在の動き信号を第2の物体のロケーションとして表示するように構成される。例えば、それらは、2つの円形又は他の幾何学的形状でありうる。被検体は、2つの物体が重なり合うように、又はそれらが互いに許容可能な距離内になるように、自分の呼吸パターンを調節しようとするより容易な時間を有し得る。
【0028】
別の実施形態では、呼吸位相インジケータは、設計された動き信号及び現在の動き信号を使用して、被検体のアニメーションを制御するように構成される。例えば、アニメーションは、被検体位置の単純化又はレンダリング、又は人の呼吸のアニメーションでありうる。これは、所望の動き信号をミラーリングする被検体において有用であり得る。
【0029】
別の実施例では、マシン実行可能命令は更に、プロセッサに、制御コマンドを用いて放射線治療システムを制御させる。これは、精度及び有効性が改善した放射線治療セッションを提供しうるので、有益でありうる。
【0030】
別の実施形態では、呼吸監視システムは、呼吸ベルトを有する。
【0031】
別の実施形態では、呼吸監視システムは、光学的呼吸検出システムを有する。これは、例えばカメラ又は撮像システムでありうる。
【0032】
別の実施形態では、呼吸監視システムは、赤外線呼吸検出システムを有する。例えば、これは赤外線カメラシステムでありうる。赤外線呼吸検出システムは、被検体によって着用される衣類やその他の衣類を通して見ることができるので、特に効果的である。市販の赤外線カメラシステムの例として、フィリップスのバイタルアイ(VitalEye)システムがある。バイタルアイ技術及びアルゴリズムは、200以上の身体ロケーションを同時に処理し、呼吸のサインを抽出する。
【0033】
別の実施形態では、呼吸監視システムは、内部ナビゲータパルスシーケンスを含む。例えば、ダイアフラムの位置のようなものを監視するために使用される磁気共鳴画像ナビゲータパルスシーケンスが存在しうる。
【0034】
別の実施形態では、ディスプレイは、呼吸位相インジケータを壁に投影するように構成されるプロジェクタである。
【0035】
別の実施形態では、ディスプレイは、呼吸位相インジケータを医用システムのボアに投影するように構成されるプロジェクタである。例えば、システムが磁気共鳴イメージングシステムを提供する場合、被検体が見ることができる内側ボア上への投影がありうる。
【0036】
別の実施形態では、ディスプレイは、LCDディスプレイである。
【0037】
別の実施形態では、ディスプレイは、磁気共鳴イメージング互換ディスプレイである。例えば、ライトパイプ又は他の技術を用いて、被検体に見えるようにインジケータ又はディスプレイを動かすことができる。
【0038】
別の実施形態では、放射線治療システムは、線形加速器(LINAC)放射線治療システムである。
【0039】
別の実施形態では、放射線治療システムは、コバルト放射線治療システムである。例えば、被検体に照射するためのガンマ放射線を提供するために使用されるコバルト放射線源が存在し得る。
【0040】
別の実施形態では、放射線治療システムは、X線放射線治療システムである。例えば、放射線治療を行うための放射線を提供するためにX線システムが使用されることができる。
【0041】
別の態様では、本発明は、医用システムを作動させる方法を提供する。医用システムは、放射線ゾーン内のターゲットボリュームを照射することを制御するように構成される放射線治療システムを有する。医用システムは、放射線ゾーン内の被検体の少なくとも腹側領域を支持するように構成される被検体支持体を更に有する。医用システムは、更に、被検体の呼吸動作を記述する動き信号を提供するように構成される呼吸監視システムを有する。
【0042】
医用システムは、更に、呼吸位相インジケータを、被検体支持体によって支持されている被検体に表示するように構成される被検体ディスプレイを有する。
【0043】
本発明の方法は、時間分解磁気共鳴イメージングデータセットを受信するステップを有する。時間分解磁気共鳴イメージングデータセットは、測定された動き信号に同期される。測定された動き信号は時間的に周期性をもつ。本方法は、測定された動き信号を時間的に追うことによって所望の動き信号を繰り返し決定するステップを更に有する。本方法は、呼吸監視システムを使用して、現在の動き信号を繰り返し取得するステップを更に有する。この方法は、呼吸位相インジケータをディスプレイ上にレンダリングステップを更に有する。呼吸位相インジケータは、所望の動き信号と測定された動き信号との間の差を示すように構成される。
【0044】
この方法は、所望の動き信号に同期される時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの第1の部分又は現在の動き信号によって参照される時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの第2の部分を用いて、放射線治療システムのターゲット照射を制御するように構成される制御コマンドを繰り返し生成するステップを更に有する。
【0045】
別の態様では、本発明は、医用システムを制御するプロセッサによる実行のためのマシン実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品を提供する。医用システムは、照射ゾーン内のターゲットボリュームを制御可能に照射するように構成される放射線治療システムを有する。医用システムは、更に、照射ゾーン内の被検体の少なくとも腹側領域を支持するように構成される被検体支持体を有する。医用システムは、更に、対象の呼吸動作を記述する動き信号を提供するように構成される呼吸監視システムを有する。医用システムは、更に、呼吸位相インジケータを、被検体支持体によって支持されている被検体に表示するように構成される被検体ディスプレイを有する。
【0046】
マシン実行可能命令の実行は、プロセッサに、時間分解磁気共鳴イメージングデータセットを受信させる。時間分解磁気共鳴イメージングデータセットは、測定された動き信号に同期される。測定された動き信号は時間的に周期的である。マシン実行可能命令の実行は、更に、プロセッサに、測定された動き信号を時間的に追うことによって、所望の動き信号を繰り返し決定させる。マシン実行可能命令の実行により、プロセッサは、呼吸監視システムを使用して、現在の動き信号を繰り返し取得させる。
【0047】
マシン実行可能命令の実行により、プロセッサは、呼吸位相インジケータをディスプレイ上に繰り返し表示させる。呼吸位相インジケータは、所望の動き信号と測定された動き信号との間の差を示すように構成される。マシン実行可能命令の実行によって、プロセッサは、所望の動き信号に同期される時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの第1の部分、又は現在の動き信号によって参照される時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの第2の部分を用いて、放射線治療システムのターゲット照射を制御するように構成される制御コマンドを繰り返し生成するようにされる。
【0048】
組み合わせられた実施形態が相互に排他的でない限り、本発明の前述の実施形態の1つ又は複数が組み合わせされることができることを理解されたい。当業者には理解されるように、本発明の態様は、装置、方法、又はコンピュータプログラム製品として具体化することができる。従って、本発明の態様は、完全にハードウェアの形態、完全にソフトウェアの形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、又はソフトウェアとハードウェアの形態を組み合わせた態様であり、これらはすべて、本明細書において「回路」、「モジュール」、又は「システム」と呼ばれ得る。更に、本発明の態様は、その上に具体化されたコンピュータ実行可能コードを有する1つ又は複数のコンピュータ可読媒体に具体化されたコンピュータプログラム製品の形をとりうる。
【0049】
1つ又は複数のコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせを利用することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読記憶媒体でありうる。本明細書で使用される「コンピュータ可読記憶媒体」は、コンピューティング装置のプロセッサによって実行可能な命令を記憶することができる任意の有形の記憶媒体を包含する。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ可読の非一時的記憶媒体と呼ばれることもある。コンピュータ可読記憶媒体はまた、有形のコンピュータ可読媒体と呼ばれうる。ある実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、コンピューティング装置のプロセッサによってアクセス可能なデータを記憶することも可能である。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、フロッピーディスク、磁気ハードディスクドライブ、ソリッドステートハードディスク、フラッシュメモリ、USBサムドライブ、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、光ディスク、光磁気ディスク、及びプロセッサのレジスタファイルが挙げられるが、これらに限定されない。光ディスクの例としては、CD-ROM、CD-RW、CD-R、DVD-ROM、DVD-RW、又はDVD-Rディスクなどのコンパクトディスク(CD)及びデジタル多用途ディスク(DVD)がある。コンピュータ可読記憶媒体という語はまた、ネットワーク又は通信リンクを介してコンピュータ装置によってアクセスされることが可能な様々なタイプの記録媒体をさす。例えば、データは、モデムを介して、インターネットを介して、又はローカルエリアネットワークを介して取り出されることができる。コンピュータ可読媒体上に具体化されたコンピュータ実行可能コードは無線、有線、光ファイバケーブル、RFなど、又は前述のもの任意の適切な組み合わせを含むがこれらに限定されない、任意の適切な媒体を使用して送信され得る。
【0050】
コンピュータ可読信号媒体は例えば、ベースバンドで、又は搬送波の一部として、コンピュータ実行可能コードがその中に具体化された伝播されるデータ信号を含むことができる。そのような伝播信号は、電磁、光学、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含むが、それらに限定されない、任意の様々な形態をとることができる。コンピュータ可読信号媒体は、任意のコンピュータ可読媒体でありえ、かかるコンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、機器、又は装置によって、又はそれに関連して使用されるためのプログラムを通信、伝播、又は伝送することができる。
【0051】
「コンピュータメモリ」又は「メモリ」は、コンピュータ可読記憶媒体の一例である。コンピュータメモリは、プロセッサに直接アクセス可能な任意のメモリである。「コンピュータ記憶装置」又は「記憶装置」は、コンピュータ可読記憶媒体の他の一例である。コンピュータ記憶装置は、任意の不揮発性コンピュータ可読記憶媒体である。ある実施形態では、コンピュータ記憶装置は、コンピュータメモリであってもよく、又はその逆であってもよい。
【0052】
本明細書で使用される「プロセッサ」は、プログラム又はマシン実行可能命令又はコンピュータ実行可能コードを実行することが可能な電子コンポーネントを包含する。「プロセッサ」を有するコンピューティング装置への言及は、複数のプロセッサ又は処理コアを有することができるものとして解釈されるべきである。プロセッサは、例えば、マルチコアプロセッサであってもよい。プロセッサは、単一のコンピュータシステム内の、又は複数のコンピュータシステム間で分散されたプロセッサの集合を指す場合もある。コンピューティング装置という用語は、プロセッサ又はプロセッサを構成するそれぞれのコンピューティング装置の集合又はネットワークを指すことができると解釈されるべきである。コンピュータ実行可能コードは、複数のプロセッサによって実行されてもよく、かかる複数のプロセッサは、同一のコンピューティング装置内にあってもよいし、複数のコンピューティング装置に分散されていてもよい。
【0053】
コンピュータ実行可能コードは、マシン実行可能命令又はプロセッサに本発明の態様を実行させるプログラムを含むことができる。本発明の態様に係る処理を実行するためのコンピュータ実行可能コードは、Java、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語及び「C」プログラミング言語又は類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含み、マシン実行可能命令にコンパイルされた、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書くことができる。場合によっては、コンピュータ実行可能コードは、高水準言語の形成であってもよいし、事前にコンパイルされた形成であってもよく、その場でマシン実行可能命令を生成するインタプリタと共に使用されてもよい。
【0054】
コンピュータ実行可能コードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンのソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上で且つ部分的にリモートのコンピュータ上で、又は全体的にリモートのコンピュータ又はサーバ上で、実行されることができる。後者の状況では、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されることができ、又は(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータに接続されることができる。
【0055】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して説明される。フローチャート、図、及び/又はブロック図の各ブロック又はブロックの部分は、適用可能な場合にはコンピュータ実行可能コードの形態のコンピュータプログラム命令によって実現されることができることを理解されたい。更に、互いに排他的ではない場合、それぞれ異なるフローチャート、図、及び/又はブロック図におけるブロックを組み合わせることができることが理解される。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、特定用途コンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに供給され、それにより、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図ブロック又はブロック図に指定された関数/動作を実行するための手段を生成するようなマシンを製造することができる。
【0056】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイスに特定の方法で機能するように指示することができるコンピュータ可読媒体に記憶されることができ、その結果、コンピュータ可読媒体に記憶された命令は、フローチャート及び/又はブロック図の1又は複数のブロックで指定された機能/動作を実現する命令を含む製品を生成する。
【0057】
コンピュータプログラム命令は更に、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、又はコンピュータ、他のプログラム可能な装置若しくはコンピュータ実現プロセスを生成する他のデバイス上で一連の操作ステップを実行させる他のデバイス、にロードされることができ、それにより、コンピュータ又は他のプログラマブル装置上で実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1又は複数のブロックに指定される機能/動作を実現するためのプロセスを提供する。本明細書で使用される「ユーザインタフェース」は、ユーザ又はオペレータがコンピュータ又はコンピュータシステムと対話することを可能にするインタフェースである。「ユーザインタフェース」は、「ヒューマンインターフェース装置」とも呼ばれ、ユーザインタフェースは情報又はデータをオペレータに提供し、及び/又はオペレータから情報又はデータを受信することができる。ユーザインタフェースは、オペレータからの入力をコンピュータによって受け取ることを可能にし、コンピュータからユーザに出力を提供することができる。換言すれば、ユーザインタフェースは、オペレータがコンピュータを制御し又は操作することを可能にし、インタフェースは、コンピュータがオペレータの制御又は操作の効果を示すことを可能にする。ディスプレイ又はグラフィカルユーザインタフェース上のデータ又は情報の表示は、オペレータに情報を提供する一例である。キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、ポインティングスティック、グラフィックスタブレット、ジョイスティック、ゲームパッド、ウェブカメラ、ヘッドセット、ペダル、有線グローブ、リモートコントロール、及び加速度計を介したデータの受信は、すべて、オペレータからの情報又はデータの受信を可能にするユーザインターフェースコンポーネントの例である。本明細書で使用される「ハードウェアインタフェース」は、コンピュータシステムのプロセッサが外部コンピューティング装置及び/又は機器と対話する及び/又はそれを制御することを可能にするインタフェースを含む。ハードウェアインタフェースは、プロセッサが制御信号又は命令を外部コンピューティング装置及び/又は機器に送信することを可能にし得る。ハードウェアインタフェースはまた、プロセッサが外部コンピューティング装置及び/又は装置とデータを交換することを可能にしうる。ハードウェアインタフェースの例としては、ユニバーサルシリアルバス、IEEE1394ポート、パラレルポート、IEEE1284ポート、シリアルポート、RS-232ポート、IEEE-488ポート、Bluetooth接続、ワイヤレスローカルエリアネットワーク接続、TCP/IP接続、イーサネット接続、制御電圧インタフェース、MIDIインタフェース、アナログ入力インタフェース、及びデジタル入力インタフェースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書で使用される「ディスプレイ」又は「ディスプレイ装置」は、画像又はデータを表示するように適応された出力デバイス又はユーザインタフェースを包含する。ディスプレイは、視覚的データ、聴覚データ、及び/又は触覚データを出力することができる。ディスプレイの例としては、コンピュータモニタ、テレビ画面、タッチスクリーン、触覚電子ディスプレイ、点字スクリーン、陰極線管(CRT)、蓄積管、双安定ディスプレイ、電子ペーパー、ベクトルディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ(VF)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、プロジェクタ、及びヘッドマウントディスプレイが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
磁気共鳴(MR)データは、本明細書では、磁気共鳴イメージングスキャン中に磁気共鳴装置のアンテナを用いて原子スピンによって放射される高周波信号の記録された測定値であると定義される。磁気共鳴データは医用イメージングデータの一例である。磁気共鳴画像(MRI)画像又はMR画像は、本明細書では、磁気共鳴イメージングデータ内に含まれる解剖学的データの再構成された2次元又は3次元の可視化であると規定される。この視覚化は例えば、コンピュータをして実施されることができる。
【0060】
以下、本発明の好ましい実施形態を、単なる例として図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】医用システムの一例を示す図。
図2図1の医用システムを操作する例示的な方法を示すフローチャート。
図3図1の医用システムの追加成分を示す図。
図4図4に示す医用システムのコンポーネントの操作方法の一例を示すフローチャート。
図5】医用システムの他の例を示す図。
図6】呼吸位相インジケータの一例を示す図。
図7】呼吸位相インジケータの他の例を示す図。
図8】呼吸位相インジケータの他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0062】
これらの図における同様の番号が付された構成要素は、同等の構成要素であるか、又は同じ機能を果たすかのいずれかである。前述した構成要素は、機能が同等である場合には、必ずしも後の図で説明されない。
【0063】
図1は、医用システム100の一例を示す。図1の医用システム100は、放射線治療システム102を有する。放射線治療システム102は、コバルト放射線治療システム、X線放射線治療システム、及びLINACのような多くの異なるタイプの放射線治療システムの1つを表すことが意図される。この実施例では、放射線治療システム102は、放射線治療源106を備えたガントリ104を有する。コリメータ108が、ビーム経路110を成形するために使用されることができる。ボリューム112は、照射ゾーンであり、ターゲットボリューム114がステアされることができるボリュームを表す。例えば、コリメータ108が、ビーム経路110を調整するために使用さえることができる。ガントリ104は、放射線治療ソース106をその周りで回転させる回転軸116を有する。
【0064】
医用システム100は、被検体122を支持する被検体支持体120を更に有する。被検体支持体120は、照射ゾーン112内の被検体122の腹側領域124を支持できるように構成される。
【0065】
医用システム100は、ディスプレイ130及び呼吸監視システム132を更に有するものとして示されている。この例では、呼吸監視システム132は、カメラ又は赤外線カメラである。被検体の122胸部の動きは、動き信号を生成するために使用されることができる。この例では、高い磁場が存在しないので、ディスプレイ130のタイプは非常に開放されている。それは、例えば、LCDディスプレイ、CRTディスプレイ、又は被検体122にとって可視である仮想現実ディスプレイ又は他のプロジェクションであり得る。
【0066】
放射線治療システム102、被検体支持体120、ディスプレイ130、及び呼吸監視システム132は、すべて、コンピュータ140のハードウェアインタフェース144に接続されているように示されている。被検体支持体120は、例えば、回転軸116に対する被検体122の高さ及び位置を調整するためのアクチュエータ又はモータを含んでもよい。
【0067】
コンピュータシステム140は更にプロセッサ142を含む。プロセッサ142は代表的なものであり、単一のコンピュータシステム140内の1又は複数のプロセッサ・コアであってもよいし、複数のコンピュータシステムに分散された複数のコア及びプロセッサであってもよい。プロセッサ142は、ハードウェアインタフェース144に接続されており、これにより、プロセッサ142は、照射システム102を制御し、操作することができる。プロセッサ142は、図示されていないユーザインタフェースにオプションで接続することができる。プロセッサ142は更に、メモリ146に接続されているものとして示されている。メモリ146は代表的なものであり、プロセッサ142にアクセス可能なメモリの任意の組み合わせを表すものである。
【0068】
メモリは、マシン実行可能命令150を含むものとして示される。マシン実行可能命令は、プロセッサ142が放射線治療システム102の動作及び機能を制御することを可能にする。マシン実行可能命令150はまた、プロセッサ142がデータ処理及び数値タスクを実行することを可能にしてもよい。メモリ146は、時間分解磁気共鳴イメージングデータセット152を含むものとして更に示される。これは、4次元磁気共鳴イメージングデータを含む生の形態の磁気共鳴イメージングデータであってもよい。他の例では、時間分解磁気共鳴イメージングデータセット152は、例えば、事前処理されたデータであってもよく、測定された動き信号154の関数として、臓器又は器官の位置及び被検体122の様々な位置を示すことができる。
【0069】
時間分解磁気共鳴イメージングデータセット152は、測定された動き信号154に参照付けされる。これは、時間分解磁気共鳴イメージングデータセット152が、被検体122の呼吸位相に関しても分解されることを意味する。この図には示されていないが、被検体支持体120は、例えば、被検体122を繰り返し位置付けるための拘束装置又は取付け具を有し得る放射線治療台を有することができる。磁気共鳴イメージングシステムは、図示されていない同等の放射線治療台を有してもよい。
【0070】
メモリ146は、所望の動き信号156を含むものとして更に示される。所望の動き信号156は、測定された動き信号154を時間の関数として逐次的に追うことによって決定される動き信号である。例えば、被検体122は、放射線治療システム102に配置されることができ、短時間、被検体122の呼吸位相が、呼吸監視システム132を用いて測定されることができる。その後、ある期間の後、プロセッサ142は、測定された動き信号154を、呼吸監視システム132によって測定される現在の動き信号158と同期させる。これにより、現在の動き信号158を前もって測定された動き信号154で予測することによって、所望の動き信号156が、進行する時間に関して生成されることになる。プロセッサ142は、呼吸監視システム132から現在の動き信号158を受信することができる。プロセッサ142は呼吸位相インジケータ160を計算することができる。次いで、呼吸位相インジケータ160が、ディスプレイ130上にレンダリングされることができる。呼吸位相インジケータ160は、現在の動き信号158と所望の動き信号156との間の差を表示するために使用されることができる。メモリ146は、制御コマンド162を有するように更に示される。
【0071】
放射線治療システム102を制御してターゲットボリューム114を照射するために、制御コマンド162が使用される。制御コマンド162は、2つの方法のうちの1つにより生成されることができる。現在の動き信号158が、所望の動き信号156を十分に良く追跡している場合、所望の動き信号156を用いて被検体122の将来の位置を予測することができ、これによりターゲットボリューム114の位置付けを改善することができる。しかしながら、現在の動き信号158と所望の動き信号156とが過度に異なる場合、プロセッサ142は、現在の動き信号158を用いて、ターゲットボリューム114のターゲット照射位置を決定することができる。ターゲット照射は、例えば、所望の動き信号156又は最も近い現在の動き信号158のいずれかに対応する時間分解磁気共鳴イメージングデータセット152の一部を呼び出すことによって使用されることができる。
【0072】
図2は、図1の医用システム100の操作方法を示すフローチャートを示す。ステップ200において、まず、プロセッサ142は、時間分解磁気共鳴イメージングデータセット152及び測定された動き信号154を受信する。ステップ202、204、206、208はループする形で繰り返されることができる。次に、ステップ202で、所望の動き信号156は、測定された動き信号154を時間的に追うことによって決定される。次いで、ステップ204で、呼吸監視システム132から現在の動き信号158が受信される。次いで、ステップ206で、呼吸位相インジケータ160が、所望の動き信号156及び現在の動き信号158を使用して決定される。これは、次に、ディスプレイ130上でレンダリングされる。
【0073】
次いで、ステップ208で、制御コマンド162が生成される。これは、時間分解磁気共鳴イメージングデータセット152の第1の部分を使用して行われ、かかる第1の部分は、例えば、被検体の現在の位置を放射線治療計画にレジストレーションするために使用され得る時間分解磁気共鳴イメージングデータセット152に対応する。従って、時間分解磁気共鳴イメージングデータセット152からのデータは、放射線治療計画を更新することによって制御コマンド162を生成するために使用されることができる。
【0074】
図3は、医用システム100のさらなる図を示す。図3の構成要素は、図1に示す構成要素と組み合わせることができる。この意味で、医用システム100は、磁気共鳴イメージングシステム300を更に含むものとして示される。
【0075】
磁気共鳴イメージングシステム300は、磁石302を有する。磁石302は、それを貫通するボア306を有する円筒形の超電導磁石である。異なる種類の磁石の使用も可能である。例えば、分割円筒形磁石といわゆるオープン磁石の両方を使用することも可能である。分割された円筒形磁石は、クライオスタットが磁石の等平面へのアクセスを可能にするために2つのセクションに分割されていることを除いて、標準の円筒形磁石と同様であり、このような磁石は例えば、荷電粒子ビーム治療と併せて使用されることができる。オープン磁石は、2つの磁石セクションを有し、それら2つの磁石セクションは上下に配置され、それらの間には、被検体を受け入れることができる大きさの空間があり、2つの磁石セクションの配置は、ヘルムホルツコイルに似ている。オープン磁石は、被検体が囲まれないので人気がある。円筒形磁石のクライオスタットの内部には、超電導コイルの集合体がある。
【0076】
円筒形磁石302のボア306内には、磁場が磁気共鳴イメージングを実行するのに十分に強くかつ均一である撮像ゾーン306が存在する。視野308は、撮像ゾーン306内に示される。磁気共鳴データは、前記視野308に関して取得される。被検体122は、被検体支持体120によって支持されているように示されている。
【0077】
磁石のボア306内には、磁気共鳴データの取得のために使用され、磁石302の撮像ゾーン308内の磁気スピンを空間的に符号化する一組の磁場勾配コイル310も存在する。磁場勾配コイル310は、磁場勾配コイル電源312に接続されている。磁場勾配コイル310は、一例であることが意図されている。典型的には、磁場勾配コイル310は、3つの直交する空間方向において空間符号化するための3つの別々のコイル組を有する。磁場勾配電源は、磁場勾配コイルに電流を供給する。磁場勾配コイル310に供給される電流は、時間の関数として制御され、ランプ状にされてもパルス状にされてもよい。
【0078】
撮像ゾーン308に隣接して、撮像ゾーン308内の磁気スピンの向きを操作し、撮像ゾーン308内のスピンからの無線送信も受信するための無線周波数コイル314がある。
【0079】
この例では、磁気共鳴アンテナ314は、身体コイルであるとして図示されている。しかしながら、磁気共鳴アンテナ314は、例示的なものであり、複数のコイル又はアンテナで表されてもよい。高周波アンテナは、複数のコイル素子を有することができる。無線周波数アンテナは、チャネル又はアンテナと称されることができる。無線周波数コイル314は、無線周波数トランシーバ316に接続される。無線周波数コイル314及び無線周波数トランシーバ316は、別個の送信コイル及び受信コイル、並びに別個の送信機及び受信機と置き換えられることができる。無線周波数コイル314及び無線周波数トランシーバ316は、一例であることが理解される。無線周波数コイル314は、専用の送信アンテナ及び専用の受信アンテナを表すことも意図されている。同様に、トランシーバ316も、別個の送信器及び受信器を表すことができる。また、無線周波数コイル314は、複数の受信/送信素子を有してもよく、無線周波数トランシーバ316は、複数の受信/送信チャネルを有することができる。例えば、SENSEのようなパラレルイメージング技術が実行される場合、高周波コイル314は、複数のコイル素子を有することができる。
【0080】
磁気共鳴イメージングシステム300は、追加の呼吸監視システム132´及びディスプレイ130´を有するものとして示される。この例では、ディスプレイ130´は、ボア306の外側に配置され、ミラー318は、被検体122がディスプレイ130´を見ることができるように配置される。ここで、この図に示されているが、被検体支持体120は、図1の支持体120の放射線治療台上部と同一の放射線治療台上部であってもよい。これは、磁気共鳴イメージングシステム300内及び放射線治療システム102内の両方において、被検体122を再現性良く位置付けるために使用されることができる。
【0081】
また、無線周波数送信機316及び磁場勾配コイル電源312は、コンピュータシステム140のハードウェアインタフェース144に接続されているように示されている。
【0082】
メモリ146は、再び、マシン実行可能命令を含むものとして示される。メモリ146は、4次元磁気共鳴イメージングプロトコルに従って較正磁気共鳴データを取得するために磁気共鳴イメージングシステム300を制御するために使用され得る較正パルスシーケンスコマンド320を更に有するものとして示される。メモリ146は、較正パルスシーケンスコマンド320によって磁気共鳴イメージングシステム300を制御することによって取得された較正磁気共鳴データ322を有するものとして更に示される。メモリ146は、呼吸監視システム132´を使用して測定された測定動き信号154を有するものとして更に示される。
【0083】
較正磁気共鳴データ322の取得中に、測定された動き信号154が、較正磁気共鳴データ322を動き位相ビン324に分割するために使用されることができる。次いで、動き位相ビン324の各々内のk空間磁気共鳴イメージングデータを使用して、時間分解磁気共鳴イメージングデータセット152を再構成することができる。メモリ326は、較正動き信号326を含むものとして示される。較正動き信号326は、所望の動き信号154に類似している。較正動き信号326は、測定された動き信号154を時間の関数として追うことによって、測定された動き信号154から再構成される。メモリ146は、図1の呼吸位相インジケータ160にも類似している呼吸位相インジケータ160´を含むものとして示されている。
【0084】
図4は、図3の磁気共鳴イメージングシステム300を作動させる方法を図示するフローチャートを示す。ステップ400では、まず、測定された動き信号154が呼吸監視システム132´で取得される。次いで、ステップ412において、磁気共鳴イメージングシステム300は、較正パルスシーケンスコマンド320を用いて制御されて、磁気共鳴イメージングデータ322を取得する。ステップ404、406、408、及び410は、磁気共鳴画像データ322の取得中に繰り返し実行される。ステップ404では、時間的な所望の動き信号156´は、測定された動き信号154を時間的に追うことによって決定される。
【0085】
次いで、ステップ406で、呼吸監視システム132を用いて較正動き信号326を取得する。ステップ408では、磁気共鳴イメージングデータ322は、較正動き信号326又は時間的な所望の動き信号156´に従って、動き位相ビン324にビニングされる。ステップ410において、呼吸位相インジケータ160´は、較正動き信号326及び時間的な所望の動き信号156´を使用して構築される。これは、その後、ディスプレイ130´上にレンダリングされる。これらのステップが実行された後、この方法はステップ412に進み、そこで時間分解磁気共鳴イメージングデータセット152が再構成される。ビニング408のようないくつかの動作は、磁気共鳴イメージングデータのすべてが取得された後に実行されてもよいことに留意されたい。
【0086】
図2及び図4に示される方法は、組み合わせることができる。例えば、図4に示す方法をまず実施し、次いで、図2の方法を実施してもよい。
【0087】
図5は、医用システム500のさらなる例を示す。図5の例は、図1及び図3に示す特徴を組み合わせたものである。磁気共鳴イメージングシステム300及び放射線治療システム102は、一体化される。放射線ゾーン112は、撮像ゾーン306内にある。この例では、放射線ビーム110は、磁石302のクライオスタット502を通過するように示されている。ビームは、超電導コイル504を回避する。これは、例示的なものであることを意図している。更に、放射線ビーム110が通過しないように、磁石302が、分割コイル又はオープン磁石に置き換えられてもよい。更に、図2及び図4に示される方法は、図5の医用システム500を作動させるために使用されることができる。図4の方法ステップが、まず実行され、次いで、図2に示される方法ステップは、これの後に実行されてもよい。更に、磁気共鳴イメージングシステム302が、ターゲットボリューム114の照射中に被検体122をイメージングするために使用されることができる。従って、磁気共鳴イメージングシステム302は、照射中に放射線治療を追加的にガイドするために使用されることもできる。
【0088】
図6は呼吸位相インジケータ160の一例を示す。所望の動き信号156は、繰り返し波形として表される。この例でマークされているのは、被検体のガイドとして使用されうる最大呼吸位相600及び最小呼吸位相602である。現在の動き信号158は、カーソルとして示される。被検体は、カーソルが波形156上にとどまるように呼吸を調節しようとする。
【0089】
図7は呼吸位相インジケータ160の代替例を示す。この例では、2つの円が存在し、1つの円は、所望の動き信号156を表し、第2の円158は、現在の動き信号を表す。現在の動き信号158と所望の動き信号156との間の差を表す2つの間には距離700がある。
【0090】
例は、カメラのような呼吸監視システムによって得られる呼吸信号(動き信号154、158)を利用することができる。呼吸の不規則性による動きのアーチファクトを低減するために、パーソナライズされたバイオフィードバックを提供することができる。これは、呼吸信号を患者に表示して呼吸パターンをガイドするために、動きサロゲート(surrogate)又は光学的動き検出技術をアンビエント・インボア・ソリューションと統合することによって実施されることができる。その結果、治療計画目的のために、より正確で高速な4D MRI画像を取得することが実現可能である。加えて、光学的検出システムによって得られた呼吸信号は、より良い治療を達成するためにシミュレーションセッションと同様の呼吸パターンを維持するために、パーソナライズされたバイオフィードバックとして治療デリバリ中に使用されことができる。
【0091】
呼吸運動が存在する場合の正確な治療計画を達成するために、4D CTイメージング方法は、健康な組織への放射線曝射を最小限にし、放射線治療中の腫瘍への放射線を最大限にするために、腫瘍及びリスク臓器(OAR)の呼吸運動を臨床的に特徴づけるために使用されてきた。4D MRI技術は、軟組織コントラスト及び過剰な電離放射線の欠如という4D CTの限界を克服するために、過去10年に開発中である。
【0092】
内部ナビゲータ又は外部ベローズのような一般的な呼吸サロゲート(呼吸監視システム132)を使用して、呼吸サイクルの定義されたフェーズでT2強調シングルショットターボスピンエコー(TSE)画像を取得するためのプロスペクティブな振幅ベースの4D MRIを提供することができる。この4D MRI技術は、振幅に基づいてプロスペクティブにトリガされるので、高度に不規則な呼吸パターンから生じる再発する休止のため、長い捕捉時間が報告された。加えて、病気のがん患者の間で非常に一般的な不規則な呼吸パターンは、呼吸位相の誤ったソートを引き起こし、その結果、4D MRI画像におけるビニングアーテファクト(aka motion artefact)及び患者の解剖学的構造の不連続性をもたらす可能性がある。プロスペクティブな4D MRIは、いくつかの例において、初期の10秒トレーニング期間を使用することができ、この場合、プログラムは患者特有の呼吸パラメータを学習し、それらを使用して、以下の画像取得のための複数のビニングレベルを確立する。これは4D MRI収集を容易にするが、次の6~10分の呼吸が訓練行動に従うと仮定する。従って、より大きな呼吸振幅をもつ呼吸の不規則性は無視される。これは必ずしも動きアーチファクトを引き起こすわけではないが、患者の呼吸行動を忠実に表しているわけではない。言い換えれば、4D MRIシミュレーションが、がんの動き評価において適用される場合、それは、不規則性の推測下にありうる。従って、4D MRIは、基になる呼吸相関法が4D MRI内に呼吸不規則性情報を組み込むメカニズムを有していないため、4D CTの欠点を抱えている。4D MRI収集にオーディオコーチング及び視覚的バイオフィードバックを組み込むことが可能であり、放射線療法デリバリは呼吸規則性を改善し、解剖学的再現性を高め、これらのプロシージャの全体的な時間負荷を軽減する。
【0093】
4D MRIのサロゲートとして内部ナビゲータと外部ベローズを使用するにはいくつかの制限がある。外部ベローズの場合、信号の飽和、ゲインリセット、セットアップのロジスティクス及びポジショニング時間、バッテリ寿命、及びMRボア干渉はいくらかの制限となる。内部ナビゲータは外部呼吸ベローズ信号よりも正確であることが示されているが、その性能はナビゲータ計画におけるオペレータの専門知識及び内部臓器の運動に依存し、ロバストな内部ナビゲータ信号を獲得することは困難である。更に、ナビゲータが画像スライスと重なり合い、画像ボリュームの飽和を引き起こしうる場合、画像ボリュームの混乱が生じうる。内部ナビゲータと外部ベローズの両方に関する共通の問題として、サロゲート信号の品質は、動きアーチファクトをもたらす見込みのある4D MRIの位相ソーティングに大きく影響を及ぼすことがある。動きアーチファクトは、肺癌における4D CTの呼吸サイクル内の肉眼的腫瘍ボリューム(GTV)変動を最大110%引き起こすことが報告されており、一方、腫瘍運動軌道を考慮すると内部腫瘍ボリューム(ITV)は複数倍増加した。より良い呼吸サロゲートを用いて4D MRI動きアーチファクトを最小化することにより、GTVにおける不確実性は減少すると期待される。
【0094】
例は、スキャナの中心(磁石302のボア306内)の動きを検出するカメラを含み得る。この動きは分析され、呼吸信号(動き信号154、158)に変換される。これは、内部ナビゲータ又は外部ベローズ信号の制限を排除するために、4D MR技術に統合されることができる。このシステムは呼吸ベローズ信号よりもロバストで正確でありうる。更に、これは対話の必要が無く、オペレータや患者による取り扱いが不要な光学系である。
【0095】
現在のバイオフィードバックシステム(呼吸位相インジケータ160)には制限がある。いくつかの例では、4D MRIトリガとバイオフィードバックの両方に対する呼吸波形(動き信号154、158)が、2つの異なる外部サロゲートを用いて導出された。両方の波形は腹部の動きに基づくが、理想的には、2つのシステムは統合される。単純なバイオフィードバック信号(LEDディスプレイなど)は、患者の呼吸波形を表す最善のものではない場合がある。理想的には、4D MRI技術における位相ソーティングに利用される患者呼吸波形が、バイオフィードバック信号としても使用されることができる。
【0096】
より良いソリューションは、興味を引く視覚標示(呼吸位相インジケータ160)が後壁に表示され、ヘッドコイル上のミラー318を介して見ることができ、一方、患者122がヘッドホンを介して音楽/音を聞くことができるような、アンビエント・インボア・ソリューションの使用であり得る。ここでは、患者の呼吸パターンをガイドするために、パーソナライズされた視覚的バイオフィードバックとして患者を光学システムで撮像することによって得られた呼吸信号を表示することが提案される。
【0097】
例は、以下の特徴のうちの1又は複数を含み得る:1.現在の内部サロゲート及び外部サロゲートに関する問題を解決するために、より正確な呼吸サロゲートを達成するための4D MRI技術の統合動きサロゲート技術又は光学技術。2.呼吸の不規則性による動きアーチファクトを低減するために、パーソナライズされたバイオフィードバックとして、動きサロゲート技術又は光学システムによって得られた呼吸信号を利用する。これは、呼吸信号を患者に表示して呼吸パターンをガイドするために、光学技術のような動きサロゲート技術と、アンビエント・インボア・ソリューションとを統合することによって行われることができる。
【0098】
光学呼吸監視システム132技術を4D MRIシステムに統合することにより、よりロバストで正確な呼吸サロゲート信号(動き信号154、158)を取得することが可能である場合がある。この正確なサロゲートは、4D MRIにおけるより信頼性の高い位相ソーティングを達成するのに役立つ可能性がある。更に、これは、よりロバストなサロゲートを活用した4D MRI技術におけるアイドル時間の短縮に役立ち、最終的にスキャン時間を短縮する。
【0099】
例えば、(MRI磁石302のための)アンビエント・インボア・ソリューションを提供することができ、そこでは、興味を引く視覚標示を後壁に表示することができ、ヘッドコイル上のミラーを介して見ることができ、一方、患者はヘッドホンを介して音楽/音を聞くことができる。ここでは、患者の呼吸パターンをガイドするためのパーソナライズされた視覚的バイオフィードバックとして、光学システム又はカメラによって得られた4D MRIで使用される呼吸信号を患者に表示することが提案される。呼吸信号の振幅レンジを一定に保つために、終末吸気のレンジ602及び終末呼気のレンジ600を壁上のモニタ上に表示して患者に呼吸をライン内にガイドすることができる。これは、規則的な呼吸パターンを達成するのに役立ち、これは、より良い品質とより正確な位相ソーティングで4D MRI画像を獲得し、動きのアーチファクトを減少させるのに役立つ。加えて、規則的な呼吸パターンによりスキャン時間が短縮される。これを以下の図8に示す。
【0100】
図8は、医用システムのボア内の被検体122を表す。壁には、図6に示すように呼吸位相インジケータ160の突起がある。ミラー318は、被検体122がこれを見ることを可能にする。
【0101】
図8は、4D MRIの呼吸サロゲートとして使用されるべきロバストな呼吸信号を得るために赤外線カメラを使用する呼吸監視システム132を示す。図は、赤外線カメラによって得られた呼吸信号が、インボア・ソリューションを使用してオンザフライで壁に表示される方法の概略図を提供する。線600及び602は、呼吸振幅を不変に保つために、範囲内で呼吸するよう患者へのガイダンスとして使用することができる。
【0102】
より正確でより高速な4D MRI画像を取得する上で、4D MRI画像が取得され治療計画に使用されるとき、パーソナライズされたバイオフィードバックとして治療セッション中に使用して呼吸パターン及び振幅をシミュレーションセッションと同様に維持するために、赤外線カメラによって取得された呼吸信号も保存されることができる。
【0103】
例は、特に上腹部(肝臓、膵臓)及び胸郭(肺、食道)についての呼吸運動に影響されるあらゆる解剖学的構造における放射線療法(RT)シミュレーションに有用であり、MR LINAC、CT‐シミュレーション又はLINACにも適用される。
【0104】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に図示され説明されてきたが、そのような図示及び説明は、説明的又は例示的であり、限定的ではないと考えられるべきである。本発明は開示された実施形態に限定されるものではない。
【0105】
開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示、及び添付の請求項の検討から、請求項に記載された発明を実施する際に当業者によって理解され、実施されることができる。請求項において、「有する、含む(comprising)」の語は、他の構成要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数性を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に列挙されるいくつかの項目の機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは他のハードウェアと一緒に、又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶/配布されることができるが、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムなどを介して、他の形態で配布されることもできる。請求項におけるいかなる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
以下、本願発明の各種形態を付記する。
(項目1)
医用システムであって、
磁気共鳴イメージングシステムと、
照射ゾーン内のターゲットボリュームを制御可能に照射するように構成される放射線治療システムと、
前記照射ゾーン内の被検体の少なくとも腹部領域を支持するように構成される被検体支持体と、
前記被検体の呼吸運動を記述する動き信号を提供するように構成される呼吸監視システムと、
前記被検体が前記被検体支持体によって支持されている場合に前記被検体に呼吸位相インジケータを表示するように構成される被検体ディスプレイと、
マシン実行可能な命令を記憶するメモリであって、4次元磁気共鳴イメージングプロトコルに従ってイメージングゾーンから較正磁気共鳴データを取得するための較正パルスシーケンスコマンドを更に有する、メモリと、
前記医用システムを制御するプロセッサと、
を有し、前記マシン実行可能命令の実行は、前記プロセッサに、
所定の期間、測定された動き信号を呼吸監視システムを用いて取得するステップと、
較正パルスシーケンスコマンドを用いて磁気共鳴イメージングシステムを制御して較正用磁気共鳴データを取得するステップであって、前記較正用磁気共鳴データは、動き位相ビンに分割される、ステップと、前記較正用磁気共鳴データから時間分解磁気共鳴イメージングデータセットを再構成するステップと、
を実行させ、
前記マシン実行可能コマンドの実行は更に、前記較正磁気共鳴データの取得中、前記プロセッサに、
前記測定された動き信号を時間的に追うことによって、時間的な所望の動き信号を決定するステップと、
前記呼吸監視システムを使用して較正動き信号を取得するステップと、
前記較正動き信号を用いて、前記磁気共鳴イメージングデータを動き位相ビンにビニングするステップと、
前記呼吸位相インジケータを被検体ディスプレイ上にレンダリングするステップであって、前記呼吸位相インジケータは、前記時間的な所望の動き信号と前記較正動き信号との間の差を示すように構成される、ステップと、
を繰り返し実行させ、
前記マシン実行可能命令の実行は更に、前記プロセッサに、前記時間分解磁気共鳴イメージングデータセットを受信するステップを実行させ、前記時間分解磁気共鳴イメージングデータセットは、測定された動き信号に同期され、前記測定された動き信号は、時間的に周期的であり、
前記マシン実行可能命令の実行は更に、前記プロセッサに、
前記測定された動き信号を時間的に追うことによって所望の動き信号を決定するステップと、
前記呼吸監視システムを使用して現在の動き信号を取得するステップと、
前記被検体ディスプレイに前記呼吸位相インジケータをレンダリングするステップであって、前記呼吸位相インジケータは、前記所望の動き信号と前記測定された動き信号との間の差を示す、ステップと、
前記所望の動き信号に同期される前記時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの第1の部分又は前記現在の動き信号によって参照される前記時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの第2の部分を使用して、前記放射線療法システムのターゲット照射を制御するように構成される制御コマンドを生成するステップと、
を繰り返し実行させる、医用システム。
(項目2)
前記磁気共鳴イメージングシステムは、前記放射線治療システムに一体化されており、前記照射ゾーンは前記撮像ゾーン内にある、項目1に記載の医用システム。
(項目3)
前記メモリが更に、撮像パルスシーケンスコマンドを含み、前記マシン実行可能命令の実行が更に、前記プロセッサに、
前記制御コマンドの生成中に、前記磁気共鳴イメージングシステムを前記イメージングパルスシーケンスコマンドで制御することにより、イメージング磁気共鳴データを取得するステップと、
前記イメージング磁気共鳴データから少なくとも1つの磁気共鳴画像を再構成するステップであって、前記呼吸位相インジケータは、前記少なくとも1つの磁気共鳴画像を表示するよう構成される、ステップと、
を実行させる、項目2に記載の医用システム。
(項目4)
前記照射ゾーンと前記撮像ゾーンとが互いに不連続である、項目2に記載の医用システム。
(項目5)
前記呼吸位相インジケータは、前記所望の動き信号を波形として表示するように構成され、前記呼吸位相インジケータは更に、前記現在の動き信号を前記波形に対する位置として表示するように構成される、項目1乃至4のいずれか1項に記載の医用システム。
(項目6)
前記呼吸位相インジケータが更に、前記所望の動き信号を第1のオブジェクトのロケーションとして表示するように構成され、前記呼吸位相インジケータが、前記現在の動き信号を第2のオブジェクトのロケーションとして表示するように構成される、項目1乃至5のいずれか1項に記載の医用システム。
(項目7)
前記呼吸位相インジケータは、前記所望の動き信号及び前記現在の動き信号を用いて、前記被検体のアニメーションを制御するように構成される、項目1乃至6のいずれか1項に記載の医用システム。
(項目8)
前記マシン実行可能命令の実行は更に、項目プロセッサに、前記制御コマンドを用いて前記放射線治療システムを制御させる、項目1乃至7のいずれか1項に記載の医用システム。
(項目9)
前記呼吸監視システムは、呼吸ベルト、光学呼吸検出システム、赤外線呼吸検出システム、内部ナビゲータパルスシーケンス、及びそれらの組み合わせのうちのいずれか1つを有する、項目1乃至8のいずれか1項に記載の医用システム。
(項目10)
前記被検体ディスプレイは、前記呼吸位相インジケータを壁に投影するように構成されるプロジェクタ、前記呼吸位相インジケータを前記医用システムのボアに投影するように構成されるプロジェクタ、LCDディスプレイ、及び磁気共鳴イメージング形成互換ディスプレイのうちのいずれか1つである、項目1乃至9のいずれか1項に記載の医用システム。
(項目11)
前記放射線治療システムは、線形加速器放射線治療システム、コバルト放射線治療システム、及びX線放射線治療システムのいずれかである、項目1乃至10のいずれか1項に記載の医用システム。
(項目12)
前記時間分解磁気共鳴イメージングデータセットは、前記照射ゾーンに支持される前記被検体の少なくとも腹側領域を記述する、項目1乃至11のいずれか1項に記載の医用システム。
(項目13)
前記制御コマンドは、前記現在の動き信号と前記測定された動き信号との間の合致に所定の基準を適用することによって、前記時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの前記第1の部分と、前記時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの前記第2の部分との間の選択を行うように構成される、項目1乃至12のいずれか1項に記載の医用システム。
(項目14)
医用システムの作動方法であって、前記医用システムは、
磁気共鳴イメージングシステムと、
照射ゾーン内のターゲットボリュームを制御可能に照射するように構成される放射線治療システムと、
前記照射ゾーン内の被検体の少なくとも腹部領域を支持するように構成される被検体支持体と、
前記被検体の呼吸運動を記述する動き信号を提供する呼吸監視システムと、
前記被検体支持体によって支持される前記被検体に呼吸位相インジケータを表示する被検体ディスプレイと、
を有し、前記方法が、
所定の期間、前記呼吸監視システムにより前記測定された動き信号を取得するステップと、
前記較正パルスシーケンスコマンドで前記磁気共鳴イメージングシステムを制御して、前記較正磁気共鳴データを取得するステップであって、前記較正パルスシーケンスコマンドは、4次元磁気共鳴イメージングプロトコルに従って撮像ゾーンから前記較正磁気共鳴データを取得するように構成され、前記較正磁気共鳴データは動き位相ビンに分割される、ステップと、
前記較正磁気共鳴データから時間分解磁気共鳴イメージングデータセットを再構成するステップと、を有し、
前記方法が更に、
前記測定された動き信号を時間的に追うことによって時間的な所望の動き信号を決定するステップと、
前記呼吸監視システムを使用して較正動き信号を取得するステップと、
前記磁気共鳴イメージングデータを前記較正動き信号を用いて動き位相ビンにビニングするステップと、
前記呼吸位相インジケータを前記被検体ディスプレイ上にレンダリングするステップであって、前記呼吸位相インジケータが、時間的な所望の動き信号と較正動き信号との間の差を示すように構成される、ステップと、を反復的に有し、
前記方法が更に、時間分解磁気共鳴イメージングデータセットを受信するステップを有し、前記時間分解磁気共鳴イメージングデータセットは、測定された動き信号に同期され、前記測定された動き信号は、時間的に周期的であり、
前記方法が更に、
前記測定された動き信号を時間的に追うことによって所望の動き信号を決定するステップと、
前記呼吸監視システムを使用して現在の動き信号を取得するステップと、
前記被検体ディスプレイ上に前記呼吸位相インジケータをレンダリングするステップであって、前記呼吸位相インジケータは、前記所望の動き信号と前記測定された動き信号との間の差を示すように構成される、ステップと、
前記所望の動き信号に同期される前記時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの第1の部分又は前記現在の動き信号によって参照される前記時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの第2の部分を使用して、前記放射線治療システムのターゲット照射を制御するように構成される制御コマンドを生成するステップと、を反復的に有する方法。
(項目15)
医用システムを制御するプロセッサによる実行のためのマシン実行可能命令を有するコンピュータプログラムであって、前記医用システムは、
磁気共鳴イメージングシステムと、
照射ゾーン内のターゲットボリュームを制御可能に照射するように構成される放射線治療システムと、
前記照射ゾーン内の被検体の少なくとも腹部領域を支持するように構成される被検体支持体と、
前記被検体の呼吸運動を記述する動き信号を提供するように構成される呼吸監視システムと、
前記被検体が前記被検体支持体によって支持される場合に、呼吸位相インジケータを前記被検体に表示するように構成される被検体ディスプレイと、を有し、
前記マシン実行可能な命令の実行が、前記プロセッサに、
所定の期間、測定された動き信号を前記呼吸監視システムで取得するステップと、
前記較正磁気共鳴データを取得するために前記較正パルスシーケンスコマンドで磁気共鳴イメージングシステムを制御するステップであって、前記較正パルスシーケンスコマンドは、4次元磁気共鳴イメージングプロトコルに従って、撮像ゾーンから較正磁気共鳴データを取得するように構成されており、前記較正磁気共鳴データは動き位相ビンに分割される、ステップと、
前記較正磁気共鳴データから時間分解磁気共鳴イメージングデータセットを再構成するステップと、を実行させ、
前記マシン実行可能コマンドの実行が更に、前記較正磁気共鳴データの取得中に、前記プロセッサに、
前記測定された動き信号を時間的に追うことによって、時間的な所望の動き信号を決定するステップと、
前記呼吸監視システムを使用して較正動き信号を取得するステップと、
前記較正動き信号を用いて、前記磁気共鳴イメージングデータを動き位相ビンにビニングするステップと、
前記呼吸位相インジケータを前記被検体ディスプレイ上にレンダリングするステップであって、前記呼吸位相インジケータは、前記時間的な所望の動き信号と前記較正動き信号との間の差を示すように構成される、ステップと、を繰り返し実行させ、
前記マシン実行可能命令の実行が更に、前記プロセッサに、時間分解磁気共鳴イメージングデータセットを受信させ、前記時間分解磁気共鳴イメージングデータセットは、測定された動き信号に同期され、前記測定された動き信号は、時間的に周期性をもち、
前記マシン実行可能命令の実行が更に、前記プロセッサに、
前記測定された動き信号を時間的に追うことによって所望の動き信号を決定するステップと、
前記呼吸監視システムを使用して現在の動き信号を取得するステップと、
前記被検体ディスプレイ上に呼吸位相インジケータをレンダリングするステップであって、前記呼吸位相インジケータは、前記所望の動き信号と前記測定された動き信号との間の差を示すように構成される、ステップと、
前記所望の動き信号に同期される前記時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの第1の部分又は前記現在の動き信号によって参照される前記時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの第2の部分を使用して、前記放射線治療システムのターゲット照射を制御するよう構成される制御コマンドを生成するステップと、
を繰り返し実行させる、コンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0106】
100 医用システム
102 放射線治療システム
104 ガントリ
106 放射線源
108 コリメータ
110 ビーム経路
112 照射ゾーン
114 ターゲットボリューム
116 回転軸
120 被検体支持体
122 被検体
124 腹部領域
130 ディスプレイ
130´ ディスプレイ
132 呼吸監視システム
132´ 呼吸監視システム
140 コンピュータ
142 プロセッサ
144 ハードウェアインタフェース
146 メモリ
150 マシン実行可能命令
152 時間分解磁気共鳴画像データセット
154 測定された動き信号
156 所望の動き信号
156´ 時間的な所望の動き信号
158 現在の動き信号
160 呼吸位相インジケータ
160´ 呼吸位相インジケータ
162 制御コマンド
200 測定された動き信号に同期される時間分解磁気共鳴イメージングデータセットを受信する
202 測定された動き信号を時間的に追うことによって所望の動き信号を決定する
204 呼吸監視システムを使用して現在の動き信号を取得する
206 呼吸位相インジケータをディスプレイに表示する
208 所望の動き信号に同期される時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの第1の部分、又は現在の動き信号によって参照される時間分解磁気共鳴イメージングデータセットの第2の部分を用いて、放射線治療システムのターゲット照射を制御するように構成される制御コマンドを生成する。
300 磁気共鳴イメージングシステム
302 磁石
304 磁石のボア
306 撮像ゾーン
308 視野角
310 磁場勾配コイル電源
312 磁場勾配コイル電源
314 磁気共鳴アンテナ
316 トランスシーバ
318 ミラー
320 較正パルスシーケンスコマンド
322 較正磁気共鳴データ
324 動き位相ビン
326 較正動き信号
400 所定の期間、測定された動き信号を呼吸監視システムで取得する
402 較正パルスシーケンスコマンドを用いて磁気共鳴イメージングシステムを制御して較正磁気共鳴データを取得する
404 測定された動き信号を時間的に追うことによって時間的な所望の動き信号を決定する
406 呼吸監視システムを使用して較正動き信号を取得する
408 較正動き信号を用いて磁気共鳴イメージングデータを動き位相ビンにビニングする
410 呼吸位相インジケータをディスプレイに表示させる:呼吸位相インジケータは、時間的な所望の動き信号と前記較正動き信号との間の差を示すように構成される
412 ビニングされた較正磁気共鳴データから時間分解磁気共鳴イメージングデータセットを再構成する
500 医用システム
502 クライオスタット
504 超電導コイル
600 最大
602 最小
700 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8