(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】装柱バンド
(51)【国際特許分類】
H02G 7/00 20060101AFI20240801BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20240801BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20240801BHJP
G09F 7/18 20060101ALI20240801BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
H02G7/00
F16B2/08 F
F16B2/08 K
F16B7/04 301U
G09F7/18 T
H02G1/02
(21)【出願番号】P 2020193721
(22)【出願日】2020-11-20
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】神野 健太
(72)【発明者】
【氏名】谷口 育久
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-083776(JP,A)
【文献】特開平11-122773(JP,A)
【文献】米国特許第05157816(US,A)
【文献】特開2014-152793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 7/00
F16B 2/08
F16B 7/04
G09F 7/18
H02G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状構造物の周囲を取り囲むようにして配置されるバンド部材と、
前記バンド部材に前記柱状構造物に対する締付力を生じさせるための締付部材と、を備え、
前記バンド部材は、
前記柱状構造物を取り囲むバンド本体部と、
それぞれが前記柱状構造物を前記バンド部材が取り囲む方向における別々の端部を構成する一対の締付受部と、を有し、
前記一対の締付受部のそれぞれは、
前記バンド本体部から延出する延出部と、
前記延出部に対して前記柱状構造物側とは反対側に向かって延出する壁部と、を有し、
前記締付部材は、前記バンド本体部が、前記柱状構造物の外面に沿わせて配置されるとともに、前記一対の締付受部のそれぞれの前記延出部が互いに重なるように配置され、且つ前記一対の締付受部のそれぞれの前記壁部が前記柱状構造物を前記バンド部材が取り囲む方向において対向するように配置された状態で、前記一対の締付受部のそれぞれの前記壁部の間に圧入可能な楔部を有する、
装柱バンド。
【請求項2】
前記締付部材は、前記楔部との間に間隔をあけて対向する補助圧入部であって、前記一対の締付部材のそれぞれの前記延出部よりも前記柱状構造物側に配置される補助圧入部を有する、
請求項1に記載の装柱バンド。
【請求項3】
前記一対の延出部のそれぞれは、
長板状に形成された複数の長板部であって、前記柱状構造物の軸線方向において互いの間に間隔をあけて並ぶ複数の長板部を有し、
前記一対の壁部のそれぞれは、各前記長板部の先端から前記柱状構造物とは反対側に向かって延出する複数の壁板部を有し、
前記一対の延出部が重なるように配置された状態で、一方の前記延出部の長板部と他方の前記延
出部の長板部とが前記軸線方向で交互に並ぶように構成される、
請求項1又は請求項2に記載の装柱バンド。
【請求項4】
前記一対の締付受部のそれぞれの前記壁部は、互いに対向配置される対向面を有し、
前記延出部は、前記壁部の前記対向面から延出するとともに、他の前記壁部に挿通されている、
請求項1に記載の装柱バンド。
【請求項5】
前記締付部材には、前記柱状構造物への取付対象となる装柱物が一体形成される、
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の装柱バンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱等の柱状構造物に装柱物を取り付けるための装柱バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
上記の装柱バンドは、柱状構造物に巻き付けた状態で固定することによって、装柱物を取り付けるためのベースとして用いるものであり、例えば、特許文献1の
図3に図示されているような、電柱を介在させた状態で対面配置される一対の円弧部(電柱を中心とする円周の1/2周分の円弧部)と、一対の円弧部の両端部同士を締結するネジとナットとを備えた装柱バンドが知られている。
【0003】
かかる装柱バンドを用いて装柱物であるクロージャ取付金物を電柱に取り付けるには、電柱の一方側と他方側とに円弧部を一つずつ配置し、且つ装柱物であるクロージャ取付金物を各円弧部の一方の端部の間に配置した状態で、各円弧部の端部とクロージャ取付金物とに挿通したネジをナットに螺合させている。
【0004】
ネジがナットに締め込まれるに伴い、一対の円弧部が協働して電柱を締め付けつつクロージャ取付金物を挟持し、これにより、電柱にクロージャ取付金物が取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の装柱バンドは、一対の円弧部の端部同士をネジとナットで締結する構造となっているが、一対の円弧部の端部の位置を合わせながらネジをナットに締め込む作業が困難であることが装柱作業を複雑なものにしているという問題が起きている。
【0007】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、装柱作業の簡素化を図ることができる装柱バンドの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の装柱バンドは、
柱状構造物の周囲を取り囲むようにして配置されるバンド部材と、
前記バンド部材に前記柱状構造物に対する締付力を生じさせるための締付部材と、を備え、
前記バンド部材は、
前記柱状構造物を取り囲むバンド本体部と、
それぞれが前記柱状構造物を前記バンド部材が取り囲む方向における別々の端部を構成する一対の締付受部と、を有し、
前記一対の締付受部のそれぞれは、
前記バンド本体部から延出する延出部と、
前記延出部に対して前記柱状構造物側とは反対側に向かって延出する壁部と、を有し、
前記締付部材は、前記バンド本体部が、前記柱状構造物の外面に沿わせて配置されるとともに、前記一対の締付受部のそれぞれの前記延出部が互いに重なるように配置され、且つ前記一対の締付受部のそれぞれの前記壁部が前記柱状構造物を前記バンド部材が取り囲む方向において対向するように配置された状態で、前記一対の締付受部のそれぞれの前記壁部の間に圧入可能な楔部を有する。
【0009】
上記構成の装柱バンドによれば、バンド本体部を前記柱状構造物の外周面に沿わせて配置し、一対の締付受部のそれぞれの延出部を互いに重ねて配置し、さらに、一対の締付受部のそれぞれの壁部を、前記バンド部材が前記柱状構造物を取り囲む方向で対向するように配置すると、各壁部の間に締付部材を圧入可能な領域が形成される。
【0010】
そして、この領域に楔部を圧入すると、各壁部が前記周方向において互いに離れる方向に押し操作され、これに伴い、各延出部とバンド本体部の両端部とが引き操作され、これにより、バンド部材に柱状構造物への締付力が生じるようになっている。
【0011】
従って、上記構成の装柱バンドは、従来の装柱バンドのようなねじ締め作業ではなく、一対の壁部の間に締付部材を圧入するという簡単な操作によってバンド部材に柱状構造物への締付力を生じさせることができるため、簡単な作業で柱状構造物に固定することが可能である。
【0012】
また、本発明の装柱バンドにおいて、
前記締付部材は、前記楔部との間に間隔をあけて対向する補助圧入部であって、前記一対の締付部材のそれぞれの前記延出部よりも前記柱状構造物側に配置される補助圧入部を有するようにしてもよい。
【0013】
上記構成の装柱バンドでは、圧入領域に楔部を圧入する際に、補助圧入部を締付部材の前記延出部よりも柱状構造物側に配置すると、前記少なくとも一方の締付部材の前記延出部が補助圧入部により柱状構造物とは反対側に向けて押し出されるため、柱状構造物に対するバンド部材の締付力が高まり易くなる。
【0014】
また、本発明の装柱バンドにおいて、
前記一対の延出部のそれぞれは、
長板状に形成された複数の長板部であって、前記柱状構造物の軸線方向において互いの間に間隔をあけて並ぶ複数の長板部を有し、
前記一対の壁部のそれぞれは、各前記長板部の先端から前記柱状構造物とは反対側に向かって延出する複数の壁板部を有し、
前記一対の延出部が重なるように配置された状態で、一方の前記延出部の長板部と他方の前記延設部の長板部とが前記軸線方向で交互に並ぶように構成されるようにしてもよい。
【0015】
上記構成の装柱バンドによれば、楔部が圧入領域に圧入された際に、バンド本体部の各端部が前記軸線方向における一端側から他端側に亘って満遍なく引き操作されるため、柱状構造物へのバンド部材の締付力が高まり易くなる。
【0016】
また、本発明の装柱バンドにおいて、
前記一対の締付受部のそれぞれの前記壁部は、互いに対向配置される対向面を有し、
前記延出部は、前記壁部の前記対向面から延出するとともに、他の前記壁部に挿通される、ようにしてもよい。
【0017】
上記構成の装柱バンドでは、バンド部材につながる各延出部が壁部に挿通されるため、対向配置した壁部同士の配置関係が不用意に崩れないようにすることができる。
【0018】
また、本発明の装柱バンドにおいて、
前記締付部材には、前記柱状構造物への取付対象となる装柱物一体形成されていてもよい。
【0019】
このようにすれば、バンド部材を柱状構造物に固定するとともに、装柱物の設置作業も完了させることができるようになる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明の装柱バンドは、装柱作業の簡素化を図ることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係る装柱バンドの斜視図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る装柱バンドの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る装柱バンドのバンド部材の斜視図である。
【
図4】
図4において、(a)はバンド部材の平面図であり、(b)はバンド部材の正面図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係る装柱バンドの平面図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係る装柱バンドの挿込部材の斜視図である。
【
図7】
図7は、同実施形態に係る装柱バンドの挿込部材の正面図である。
【
図8】
図8は、同実施形態に係る装柱バンドの挿込部材の側面図である。
【
図9】
図9は、同実施形態に係る装柱バンドの使用状態での横断面のうち、締付部材3の近傍領域を拡大した図である。
【
図10】
図10は、同実施形態に係る装柱バンドの使用状態の説明図であって、(a)はバンド部材を柱状構造物に巻き付けた直後の状態の説明図であり、(b)はバンド部材が柱状構造物を締め付けている状態の説明図である。
【
図11】
図11は、本発明の第二実施形態に係る装柱バンドのバンド部材の平面図である。
【
図12】
図12は、同実施形態に係る装柱バンドの使用状態での平面拡大図である。
【
図13】
図13は、同実施形態に係る装柱バンドの使用状態での横断面のうち、締付部材3の近傍領域を拡大した図である。
【
図14】
図14は、本発明の第三実施形態に係る装柱バンドの斜視図である。
【
図15】
図15は、同実施形態に係る装柱バンドの分解斜視図である。
【
図16】
図16は、同実施形態に係る装柱バンドのバンド部材の平面図である。
【
図17】
図17は、同実施形態に係る装柱バンドの挿込部材の斜視図である。
【
図18】
図18は、同実施形態に係る装柱バンドの挿込部材の正面図である。
【
図19】
図19は、同実施形態に係る装柱バンドの挿込部材の背面図である。
【
図20】
図20は、同実施形態に係る装柱バンドの横断面図である。
【
図21】
図21は、同実施形態に係る装柱バンドの使用状態での平面図のうち、壁部近傍の領域を拡大した図である。
【
図22】
図22は、同実施形態に係る装柱バンドの使用状態の説明図であって、(a)はバンド部材を柱状構造物に巻き付けた直後の状態の説明図であり、(b)はバンド部材が柱状構造物を締め付けている状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第一実施形態にかかる装柱バンドについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0023】
装柱バンドは、装柱に使用する器具である。なお、本実施形態における装柱とは、電柱等の柱状構造物に装柱物を取り付ける行為を指し、装柱物には、配電用の資材や設備の他、通信機器、標識等の物品の他、電柱のカバーや、鉢、プランター等の柱状構造物を装飾するような物品も含まれる。
【0024】
本実施形態の装柱バンドは、
図1に示すように、柱状構造物Pの周囲を取り囲むようにして配置されるバンド部材2と、バンド部材2に柱状構造物Pに対する締付力を生じさせるための締付部材3と、バンド部材2に装柱物Oを取り付ける装柱物用取付部4と、を備えている。
【0025】
なお、以下の説明において、柱状構造物Pの軸線が延びる方向を軸線方向、該軸線方向を中心とする周方向は周方向、前記軸線方向に直交する方向(すなわち、柱状構造物Pの径方向に対応する方向)は径方向と称する。また、径方向において外側に向かう方向を径外方向、径方向において内側に向かう方向を径内方向と称する。
【0026】
バンド部材2は、
図3に示すように、締付部材3により互いに連結された状態と、締付部材3による連結が解除された状態とに切替可能な一対の開閉連結部(端部)2Sを有する。
【0027】
本実施形態のバンド部材2は、前記周方向に沿って湾曲した形状となるように構成されるバンド本体部20と、前記一対のバンド本体部20のそれぞれに設けられており、且つ締付部材3により互いに連結された状態と、締付部材3による連結が解除された状態とに切替可能な一対の締付受部21と、を有している。また、バンド部材2の開閉連結部2Sは、締付受部21によって構成されている。
【0028】
バンド本体部20は、分割可能となるように構成されており、互いに連結可能な複数の分割体200を有する。なお、本実施形態のバンド本体部20は、2つの分割体200を有するように構成されているが、3つ以上の分割体200を有するように構成されていてもよい。また、バンド本体部20全体が単一の部材により構成されていてもよい。
【0029】
分割体200は、円弧状に湾曲している。また、本実施形態の分割体200は、他の分割体200に連結される連結部2000と、締付受部21が設けられている被連設部2001と、を有する。
【0030】
各分割体200は、互いの連結部2000が直接的又は間接的に連結可能となるように構成されていればよいが、本実施形態では互いの連結部2000が直接的に連結可能となるように構成されている。
【0031】
より具体的に説明すると、一方の分割体200の連結部2000には、連結部2000自身の厚み方向で貫通する連結孔2000aが形成されている。なお、一方の分割体200の連結部2000には、複数の連結孔2000aが前記周方向で間隔を空けて並べて形成されている。
【0032】
他方の分割体200の連結部2000には、前記連結孔2000aに引掛可能な連結用引掛部2000bが形成されている。
【0033】
締付受部21は、被連設部2001から延出する延出部210と、延出部210(延出部210の先端)から前記径外方向側に延出するように形成されている壁部211と、を有する。
【0034】
本実施形態の延出部210は、分割体200と一体的に形成されている。また、本実施形態の延出部210は、分割体200と同様に円弧状に湾曲している。
【0035】
本実施形態の延出部210は、前記径方向において互いにずれた位置に配置される内側延出部2100と、外側延出部2101と、を有する。
【0036】
内側延出部2100は細長い板状に形成されている。本実施形態の被連設部2001には、内側延出部2100が複数設けられている。そして、複数の内側延出部2100は、前記軸線方向において互いの間に間隔をあけて並んでいる。
【0037】
外側延出部2101も細長い板状に形成されている。また、被連設部2001には、外側延出部2101も複数設けられている。そして、複数の外側延出部2101は、前記軸線方向において互いの間に間隔をあけて並んでいる。
【0038】
なお、複数の内側延出部2100と複数の外側延出部2101とは、前記径方向において延出部210を外側から見たときに、前記軸線方向に沿って交互に並んでいる。
【0039】
また、一方の分割体200に設けられている各内側延出部2100と、他方の分割体200に設けられている各内側延出部2100とは、前記軸線方向における形成位置がずれており、バンド部材2が後述する巻付状態であるときに、一方の分割体200に設けられている各内側延出部2100と、他方の分割体200に設けられている各内側延出部2100とが前記軸線方向に沿って交互に並ぶようになっている。
【0040】
一方の分割体200に設けられている各外側延出部2101と、他方の分割体200に設けられている各外側延出部2101もまた、前記軸線方向における形成位置がずれており、バンド部材2が後述する巻付状態であるときに、一方の分割体200に設けられている各外側延出部2101と、他方の分割体200に設けられている各外側延出部2101とが前記軸線方向に沿って交互に並ぶようになっている。
【0041】
本実施形態の壁部211は、外側延出部2101(外側延出部2101の先端)から前記径方向外方に向かって延出する側壁部2110と、側壁部2110の先端から前記周方向において外側延出部2101の先端から基端に向かう方向と同方向に向けて延出する返し部2111と、を有する。
【0042】
なお、側壁部2110は、複数の外側延出部2101のそれぞれに対して一つずつ形成されており、返し部2111は、複数の側壁部2110のそれぞれに対して一つずつ形成されている。そのため、本実施形態の各締付受部21は、櫛歯状に形成されている。
【0043】
ここで、
図5に示すように、本実施形態のバンド部材2は、各分割体200の連結部2000同士を連結した状態で、一方の側壁部2110の内側延出部2100及び外側延出部2101の先端から他方の側壁部2110の内側延出部2100及び外側延出部2101の先端までの部分を柱状構造物の周囲に周回させた巻付状態になると、各延出部210の内側延出部2100同士が噛み合い、且つ各延出部210の外側延出部2101同士も噛み合った状態になり、各延出部210の内側延出部2100と各延出部210の外側延出部2101との間には、締付部材3の後述する補助圧入部31を圧入可能な内側圧入領域S1が形成される。
【0044】
また、バンド部材2が前記巻付状態になると、各壁部211の側壁部2110が前記周方向において互いに対向配置され、これにより、各壁部211の側壁部2110の間には締付部材3の後述する楔部を圧入可能な外側圧入領域S2が形成される。
【0045】
なお、バンド部材2が前記巻付状態になると、各壁部211の返し部2111は、前記周方向において互いの先端部を向かい合わせにした状態で配置される。
【0046】
締付部材3は、
図6に示すように、外側圧入領域S2(
図5参照)に抜差可能な楔部30と、前記楔部30との間に間隔をあけて対向し、且つ内側圧入領域S1(
図5参照)に抜差可能な補助圧入部31と、楔部30が外側圧入領域S2に挿し込まれた状態において、外側圧入領域S2に楔部30を挿し込む方向で締付受部21に当接する掛止部32と、を有する。
【0047】
なお、以下の締付部材3の説明においては、楔部30が外側圧入領域S2に挿し込まれ、且つ補助圧入部31が内側圧入領域S1に挿し込まれている状態において、一方の壁部211の側壁部2110と他方の壁部211の側壁部2110とが並ぶ方向における楔部30の寸法及び補助圧入部31の寸法を横幅、前記軸線方向における楔部30の寸法及び補助圧入部31の寸法を高さ、各側壁部2110が並ぶ方向と前記軸線方向とに直交する方向における楔部30及び補助圧入部31の寸法を厚みと称する。
【0048】
楔部30は、
図7に示すように、外側圧入領域S2からの引き抜き方向(
図7の上方向に対応する方向)における一端側(
図7における上側)に位置し、且つ横幅が外側圧入領域S2の間隔(楔部30が外側圧入領域S2に挿し込まれる前の状態での側壁部2110同士の間の間隔)よりも大きくなるように形成されている広幅部300と、外側圧入領域S2への挿し込み方向(
図7の下方向に対応する方向)に向かって前記広幅部300から延出し、且つ先端側(
図7の下端側)に向かうにつれて横幅が徐々に小さくなる狭幅部301と、を有する。
【0049】
広幅部300は、楔部30を外側圧入領域S2に抜き差しする方向における全長に亘って横幅が一定となるように形成されている。また、広幅部300は、側壁部2110同士の間に圧入されるようになっている。
【0050】
狭幅部301は、先端の横幅が外側圧入領域S2の間隔(楔部30が挿し込まれる前の状態における側壁部2110同士の間の間隔)よりも小さくなるように形成されている。なお、本実施形態の狭幅部301では、横幅方向における側面が平面となっているが、例えば、狭幅部301は、基端の横幅よりも先端の横幅の方が小さくなっていれば、横幅方向における側面が曲面になっていてもよい。
【0051】
補助圧入部31は、
図8に示すように、内側圧入領域S1に挿し込まれた状態において、内側延出部2100を外側延出部2101から離れる方向(すなわち、前記径外方向に対応する方向)に向けて押操作するように構成されている。
【0052】
本実施形態の補助圧入部31は、内側圧入領域S1からの引き抜き方向(
図8の上方向に対応する方向)における一端側(
図8における上端側)に位置し、且つ厚みが前記径方向における内側圧入領域S1の寸法(補助圧入部31が内側圧入領域S1に挿し込まれる前の状態における内側延出部2100と外側延出部2101との間の間隔)よりも大きくなるように形成されている太厚部310と、内側圧入領域S1への挿し込み方向(
図8の下方向に対応する方向)に向かって前記太厚部310から延出し、且つ内側圧入領域S1への挿し込み方向における先端側(
図8の下端側)に向かうにつれて厚みが徐々に小さくなる細厚部311と、を有する。
【0053】
太厚部310の厚みは、前記抜差方向における全長に亘って一定である。また、太厚部310は、内側延出部2100と外側延出部2101との間に圧入されるようになっている。
【0054】
ここで、楔部30には、外側圧入領域S2に圧入されている状態で、外側延出部2101に対向する内向面302と、返し部2111に接する外向面(内向面302とは反対側の一面)303と、が含まれており、補助圧入部31には、内側圧入領域S1に圧入されている状態で、内側延出部2100に対向する内向面312と、外側延出部2101に対向する外向面(内向面312とは反対側の一面)313と、が含まれている。
【0055】
楔部30の内向面302と補助圧入部31の外向面313とは、互いの間に間隔をあけた状態で対向している。そして、楔部30の内向面302と補助圧入部31の外向面313の間の空間は、各延出部210の外側延出部2101が互いに噛み合わされた状態で挿し込まれる挿込溝33となっている。
【0056】
本実施形態の外側延出部2101は、上述のように、前記周方向に沿って湾曲し且つ円弧状に形成されているため、挿込溝33も、
図9に示すように、平面視における形状が前記周方向に沿って湾曲し且つ円弧状となるように形成されている。
【0057】
そのため、挿込溝33を画定する楔部30の内向面302と補助圧入部31の外向面313も、平面視における形状が前記周方向に沿って湾曲し且つ円弧状となるように形成されている。
【0058】
掛止部32は、
図8に示すように、楔部30と補助圧入部31とを接続する中間掛止部320と、楔部30及び補助圧入部31よりも外側に張り出した外縁掛止部321と、を有する。
【0059】
楔部30が外側圧入領域S2に挿し込まれ、補助圧入部31が内側圧入領域S1に挿し込まれた状態になると、中間掛止部320は、外側延出部2101に掛止され、外縁掛止部321は、側壁部2110、返し部2111、内側延出部2100に対して掛止された状態になる。
【0060】
装柱物用取付部4は、
図4(a)に示すように、側壁部2110の両面のうち、返し部2111が延出する方向とは反対側に向いている一面から突出する突起40を有する。また、本実施形態では、複数の側壁部2110のそれぞれに対して突起40が突設されている。
【0061】
装柱物には、
図2に示すように、締付部材3によってバンド部材2に柱状構造物への締付力を生じさせる操作(本実施形態では、外側圧入領域S2に楔部30を圧入する操作)に伴い、装柱物用取付部4によってバンド部材2に固定される被固定部O1が設けられている。本実施形態の被固定部O1は、側壁部2110の前記一面に対向配置される一対の対向板部O10であって、突起40を挿込可能な固定孔O100が形成されている一対の対向板部O10によって構成されている。
【0062】
本実施形態の装柱バンド1の構成は以上の通りである。続いて、本実施形態の装柱バンド1の使用方法を説明する。
【0063】
本実施形態の装柱バンド1を使用して装柱する作業では、バンド部材2を柱状構造物Pに巻き付ける巻付作業と、締付部材3を使って柱状構造物Pへの締付力をバンド部材2に生じさせる締付作業と、装柱物Oを装柱物用取付部4に取り付ける取付作業とが行われる。なお、本実施形態においては、締付作業が完了するとともに取付作業も完了する。
【0064】
巻付作業では、分割体200同士を連結してバンド本体部20を組み立て、バンド部材2を前記巻付状態にする。このようにすると、バンド部材2における一方の壁部211の側壁部2110と他方の壁部211の側壁部2110との間の部分が柱状構造物Pの周囲に周回し、内側圧入領域S1と外側圧入領域S2とが形成される(
図10(a)参照)。また、バンド部材2は、一対の締付受部21が互いに噛み合うと巻付状態が維持されるため、これにより、柱状構造物Pに仮止めされる。
【0065】
締付作業は、一対の対向板部O10が側壁部2110の前記一面に対向配置された状態で行われる。締付作業では、楔部30を外側圧入領域S2に圧入し、補助圧入部31を内側圧入領域S1に圧入する。
【0066】
楔部30が外側圧入領域S2に圧入されると、広幅部300によって一対の側壁部2110が互いに離間する方向に押操作される。また、一対の側壁部2110が互いに離間するに伴って、各延出部210と被連設部2001とが引き操作され、これにより、バンド部材2に柱状構造物Pへの締付力が生じる(
図10(b)参照)。
【0067】
さらに、一対の側壁部2110が互いに離間する方向に動くと、側壁部2110の前記一面が対向板部O10に接近することによって突起40が固定孔O100に挿し込まれる(
図2参照)。これにより、装柱物Oがバンド部材2に固定されるため、締付作業中に取付作業も完了する。
【0068】
また、補助圧入部31が内側圧入領域S1に圧入されると、外向面313が外側延出部2101を前記径内方向側から受け止めつつ、内向面312が内側延出部2100を前記径外方向側から前記径内方向に向けて押操作するため、補助圧入部31が外側延出部2101と内側延出部2100とに挟み込まれた状態になる。これにより、補助圧入部31が内側延出部2100と外側延出部2101とに対して抜け止めされる結果、締付部材3が一対の締付受部21から脱落し難くなる。
【0069】
さらに、補助圧入部31の外向面313が外側延出部2101を前記径内方向側から受け止めた状態にもなるため、外側延出部2101の前記径内方向への動きが規制されることによって、バンド部材2の緩み、すなわち、柱状構造物Pに対するバンド部材2の締付力の低下が抑制される。
【0070】
続いて、本発明の第二実施形態にかかる装柱バンド1について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0071】
本実施形態の装柱バンドも、装柱に使用する器具である。なお、本実施形態においても装柱とは、電柱等の柱状構造物に装柱物を取り付ける行為を指し、装柱物には、配電用の資材や設備の他、通信機器、標識等の物品の他、電柱のカバーや、鉢、プランター等の柱状構造物を装飾するような物品も含まれる。
【0072】
また、本実施形態に係る装柱バンド1は、第一実施形態に係る装柱バンド1に対して、内側延出部2100と外側延出部2101の形状(
図11、
図12参照)と、締付部材3の挿込溝33の形状(
図13参照)が異なっており、他の構成は第一実施形態に係る装柱バンド1と同じである。
【0073】
本実施形態に係る装柱バンド1では、
図11、
図12に示すように、内側延出部2100と、外側延出部2101が平板状に形成されており、これに伴い、
図13に示すように、外側延出部2101を挿通する挿込溝33も平面視において直線状となるように形成されている。
【0074】
本実施形態に係る装柱バンド1の使用方法は、第一実施形態に係る装柱バンド1の使用方法と同じである。
【0075】
続いて、本発明の第三実施形態にかかる装柱バンド1について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0076】
本実施形態の装柱バンドも、装柱に使用する器具である。なお、本実施形態においても装柱とは、電柱等の柱状構造物に装柱物を取り付ける行為を指し、装柱物には、配電用の資材や設備の他、通信機器、標識等の物品の他、電柱のカバーや、鉢、プランター等の柱状構造物を装飾するような物品も含まれる。
【0077】
本実施形態の装柱バンド1は、
図14に示すように、柱状構造物Pの周囲を取り囲むようにして配置されるバンド部材2と、バンド部材2に柱状構造物Pに対する締付力を生じさせるための締付部材3と、を備えている。
【0078】
なお、本実施形態においても、柱状構造物Pの軸線が延びる方向を軸線方向、該軸線方向を中心とする周方向は周方向、前記軸線方向と前記周方向とに直交する方向(すなわち、柱状構造物Pの径方向に対応する方向)は径方向と称する。また、径方向において外側に向かう方向を径外方向、径方向において内側に向かう方向を径内方向と称する。
【0079】
バンド部材2は、
図16に示すように、締付部材3により互いに連結された状態と、締付部材3による連結が解除された状態とに切替可能な一対の開閉連結部(端部)2Sを有する。
【0080】
本実施形態のバンド部材2は、前記周方向に沿って湾曲した形状となるように構成されるバンド本体部20と、前記一対のバンド本体部20のそれぞれに設けられており、且つ締付部材3により互いに連結された状態と、締付部材3による連結が解除された状態とに切替可能な一対の締付受部21と、を有している。また、バンド部材2の開閉連結部2Sは、締付受部21によって構成されている。
【0081】
バンド本体部20は、分割可能であり、互いに連結可能な複数の分割体200を有する。なお、本実施形態のバンド本体部20は、2つの分割体200を有するように構成されているが、3つ以上の分割体200を有するように構成されていてもよい。また、バンド本体部20全体が単一の部材により構成されていてもよい。
【0082】
分割体200は、円弧状に湾曲している。また、本実施形態の分割体200は、他の分割体200に連結される連結部2000と、締付受部21が設けられている被連設部2001と、を有する。
【0083】
各分割体200は、互いの連結部2000が直接的又は間接的に連結可能となるように構成されるが、本実施形態では互いの連結部2000が間接的に連結可能となるように構成されている。
【0084】
より具体的に説明すると、
図14に示すように、各分割体200の連結部2000は、フック状に形成されており、装柱物Oに掛止可能となっている。なお、本実施形態の装柱物Oは、各分割体200の連結部2000が掛止可能な掛止孔O10とが形成された被固定部O1を有する。被固定部O1は、バンド部材2に固定される部分であるともいえる。
【0085】
一対の締付受部21のそれぞれは、
図16に示すように、被連設部2001から延出する延出部210と、延出部210に設けられ、且つ締付部材3を前記周方向で受けるための壁部211と、を有する。
【0086】
各壁部211は、
図21に示すように、2つの延出部210よりも柱状構造物P側(前記径内方向側)に配置される内壁部2110と、2つの延出部210よりも柱状構造物P側とは反対側(前記径外方向側)に配置される外壁部2111と、を有する。
【0087】
一方の壁部211への延出部210の接合位置Jと、他方の壁部211への延出部210の接合位置Jとは、前記径方向において互いにずれた場所に設定されている。
【0088】
また、各壁部211には、他の壁部211に接合されている延出部210を挿通する挿通孔2112が形成されており、一方の壁部211の挿通孔2112の位置と、他方の壁部211の挿通孔2112の位置も互いにずれた場所に設定されている。なお、挿通孔2112には、分割体200も挿通可能である。
【0089】
一方の壁部211では、接合位置Jから前記径外方向側にずれた位置に挿込孔2112が形成され、他方の壁部211では、接合位置Jから前記径内方向側にずれた位置に挿込孔2112が形成されている。
【0090】
そして、本実施形態のバンド部材2は、各壁部211の挿通孔2112に延出部210を通してバンド部材2を前記巻付状態にすると、一対の壁部211が対向配置され、且つ一方の壁部211への延出部210の接合位置Jと他方の壁部211の挿通孔2112の位置とが前記周方向で並び、且つ一方の壁部211の挿通孔2112の位置と他方の壁部211への延出部210の接合位置Jとが前記周方向で並ぶように構成されている。
【0091】
そのため、一方の壁部211では、接合位置Jよりも前記径内方向側の部分が内壁部2110となり、挿通孔2112よりも前記径外方向側の部分が外壁部2111となっている。また、他方の壁部211では、挿通孔2112よりも前記径内方向側の部分が内壁部2110となり、接合位置Jよりも前記径外方向側の部分が外壁部2111となっている。
【0092】
そして、各壁部211の内壁部2111の間には締付部材3の後述する圧入部30を圧入可能な内側圧入領域S1が形成され、各壁部211の外壁部2110の間には締付部材3の後述する補助圧入部31を圧入可能な外側圧入領域S2が形成される。
【0093】
締付部材3は、
図17に示すように、外側圧入領域S1と内側圧入領域S2とに抜差可能な2つの圧入部30,31と、該2つの圧入部30,31に連設され且つ各圧入部30,31が内側圧入領域S1、外側圧入領域S2に挿し込まれた状態で分割体200に対して上方から掛止する掛止部32とを有する。
【0094】
なお、本実施形態では、外側圧入領域S2に圧入される圧入部30を外側圧入部30と称し、内側圧入領域S1に圧入される圧入部31を補助圧入部31と称する。また、以下の締付部材3の説明においては、外側圧入部30が外側圧入領域S2に圧入され、補助圧入部31が内側圧入領域S1に圧入されている状態において、各側壁部211が並ぶ方向における寸法を横幅、前記軸線方向における寸法を高さ、前記径方向における寸法を厚みと称する。
【0095】
外側圧入部30は、
図18に示すように、外側圧入領域S2からの引き抜き方向(
図18の上方向に対応する方向)における一端側(
図18の上方側の一端)に位置し、且つ横幅が外側圧入領域S2の間隔(外側圧入部30が外側圧入領域S2に圧入される前の状態における壁部211同士の間の間隔)よりも大きくなるように形成されている広幅部300と、外側圧入領域S2への挿し込み方向(
図18の下方向に対応する方向)に向かって前記広幅部300から延出し、且つ先端側(
図18の下端側)に向かうにつれて横幅が徐々に小さくなる狭幅部301と、を有する
【0096】
広幅部300は、前記抜差方向における全長に亘って横幅が一定となるように形成されている。
【0097】
そして、狭幅部301は、先端の横幅が外側圧入領域S2の間隔(外側圧入部30が挿し込まれる前の状態における側壁部211同士の間の間隔)よりも小さくなるように形成されている。なお、本実施形態の狭幅部301では、横幅方向における側面が平面となっているが、例えば、狭幅部301は、基端の横幅よりも先端の横幅の方が小さくなっていれば、横幅方向における側面が曲面になっていてもよい。
【0098】
補助圧入部31も、
図19に示すように、内側圧入領域S1からの引き抜き方向(
図19の上方向に対応する方向)における一端側(
図19の下方側の一端)に位置し、且つ横幅が内側圧入領域S2の間隔(補助圧入部31が内側圧入領域S1に圧入される前の状態における壁部211同士の間の間隔)よりも大きくなるように形成されている広幅部310と、外側圧入領域S2への挿し込み方向(
図19の下方向に対応する方向)に向かって前記広幅部310から延出し、且つ先端側(
図19の下端側)に向かうにつれて横幅が徐々に小さくなる狭幅部311と、を有する。
【0099】
広幅部310は、前記抜差方向における全長に亘って横幅が一定となるように形成されている。
【0100】
そして、狭幅部311は、先端の横幅が外側圧入領域S1の間隔(楔部が挿し込まれる前の状態における側壁部211同士の間の間隔)よりも小さくなるように形成されている。なお、本実施形態の狭幅部311では、横幅方向における側面が平面となっているが、例えば、狭幅部311は、基端の横幅よりも先端の横幅の方が小さくなっていれば、横幅方向における側面が曲面になっていてもよい。
【0101】
ここで、外側圧入部30と補助圧入部31とは、互いの間に間隔をあけた状態で対向している。これにより、外側圧入部30と補助圧入部31との間には、被連設部2001が挿し込まれる挿込溝33が形成されている。
【0102】
本実施形態の被連設部2001は、上述のように、前記周方向に沿って湾曲し且つ円弧状に形成されているため、挿込溝33も、前記周方向に沿って湾曲し且つ円弧状となるように形成されている(
図20参照)。
【0103】
本実施形態の装柱バンド1の構成は以上の通りである。続いて、本実施形態の装柱バンド1の使用方法を説明する。
【0104】
本実施形態の装柱バンド1を使用して装柱する作業では、バンド部材2を柱状構造物Pに巻き付ける巻付作業と、締付部材3を使って柱状構造物Pへの締付力をバンド部材2に生じさせる締付作業と、装柱物を装柱物用取付部に取り付ける取付作業とが行われる。なお、本実施形態においては、締付作業が完了するとともに取付作業も完了する。
【0105】
巻付作業では、分割体200同士を連結してバンド本体部20を組み立て、バンド部材2を前記巻付状態にする。本実施形態では、装柱物を介して各分割体200の連結部2000が互いに連結されることによって、分割体200同士が連結される。
【0106】
そして、一対の締付受部21を組み合わせる。より具体的に説明すると、一方の壁部211の挿通孔2110に他方の被連設部2001が挿通され、他方の壁部211の挿通孔2110に一方の被連設部2001が挿通された状態にする。このようにすると、バンド部材2が柱状構造物Pの周囲に沿って配置されるとともに、一対の壁部211の間に外側圧入領域S2と、内側圧入領域S1とが形成される(
図22(a)参照)。
【0107】
締付作業では、外側圧入部30を外側圧入領域S2に圧入し、補助圧入部31を内側圧入領域S1に圧入する。このようにすると、外側圧入部30と補助圧入部31とによって、一対の壁部211が互いに離間する方向に向けて押操作されるため、一対の壁部211が互いに離間する方向に動く(
図22(b)参照)。これに伴い、各延出部210とともにバンド本体部20の被連設部2001が引き操作されるため、バンド部材2に柱状構造物Pへの締付力が生じる。
【0108】
なお、外側圧入部30は、狭幅部301が先端側に向かうにつれて横幅が徐々に小さくなるように形成されているため、外側圧入領域S2内に入り易くなっており、補助圧入部31もまた、細厚部311が先端側に向かうにつれて厚みが徐々に小さくなるように形成されているため、内側圧入領域S1内に入り易くなっている。
【0109】
なお、本実施形態の締付部材3は、外側圧入部30の側面、補助圧入部31の側面、掛止部32の側面のそれぞれが平面となっているため、外側圧入部30の側面によって外壁部2111が押操作され、補助圧入部31の側面によって内壁部2110が押操作されるとともに、外壁部2111と内壁部2110の間の部分が掛止部32の側面によって押し操作される。
【0110】
また、本実施形態では、巻付作業において装柱物がバンド部材2に取り付けられるため、締付作業が完了するとともに取付作業も完了する。
【0111】
以上のように、上記第一、第二実施形態の装柱バンド1によれば、バンド本体部20を柱状構造物Pの外周面に沿わせて配置し、一対の締付受部21のそれぞれの延出部210(内側延出部2100と、外側延出部2101)を互いに重ねて配置し、さらに、一対の締付受部21のそれぞれの壁部211を周方向において対向するように配置すると、各壁部211の間には、楔部30を圧入可能な外側圧入領域S2が形成される。
【0112】
そして、この外側圧入領域S2に楔部30を圧入すると、各壁部211が周方向において互いに離れる方向に押し操作され、これに伴い、各延出部210とバンド本体部20の両端部とが引き操作され、これにより、バンド部材2に柱状構造物Pへの締付力が生じるようになっている。
【0113】
従って、上記第一、第二実施形態の装柱バンド1は、従来の装柱バンドのようなねじ締め作業ではなく、一対の壁部211の間に締付部材3を圧入するという簡単な操作によってバンド部材2に柱状構造物Pへの締付力を生じさせることができるため、簡単な作業で柱状構造物Pに固定することが可能である。
【0114】
また、上記第三実施形態の装柱バンド1においても、外側圧入領域S2には外側圧入部30を圧入し、内側圧入領域S1には補助圧入部31を挿し込むという簡単な操作によってバンド部材2に柱状構造物Pへの締付力を生じさせることができるため、簡単な作業で柱状構造物Pに固定することが可能である。
【0115】
さらに、第一、第二実施形態では、補助圧入部31がバンド部材2の延出部211(外側延出部2101)よりも前記径方向内方に配置されると、延出部211が補助圧入部31により前記径方向外方に向けて押し出されるため、バンド部材2が緩みにくくなる分、柱状構造物Pに対するバンド部材の締付力が高まり易くなる。
【0116】
第三実施形態においても、補助圧入部31がバンド部材2の延出部211よりも前記径方向内方に配置されると、延出部211が補助圧入部31により前記径方向外方に向けて押し出されるため、バンド部材2が緩みにくくなる分、柱状構造物Pに対するバンド部材の締付力が高まり易くなる。
【0117】
なお、第三実施形態の装柱バンド1においては、バンド部材20につながる各210を壁部211の挿込孔2112に挿通した状態にできるため、かかる状態にすれば、対向配置した壁部211同士の配置関係が不用意に崩れないようにしつつ、壁部211の間に締付部材3を圧入する作業を行うことができるようになる。
【0118】
さらに、第一、第二実施形態においては、補助圧入部31が内側圧入領域S1に挿し込まれると、内側延出部2100が外側延出部2101から離れる方向(すなわち、前記径方向外方に対応する方向)に向かって押圧されるため、内側圧入領域S1が補助圧入部31と柱状構造物Pとに挟まれた状態になり、バンド部材2が柱状構造物2に対してずれにくくなる。
【0119】
そして、第一実施形態、第二実施形態、第三実施形態においては、一方の分割体21の連結端部211には複数の連結孔211aが形成されているため、連結孔211aへの連結用引掛部211bの掛け方を変えることにより、バンド部材2のサイズを柱状構造物Pの外径に合わせて調整できるようになっているため、様々なサイズの柱状構造物Pに対応し易くなっている。
【0120】
なお、本発明に係る装柱バンドは、上記第一実施形態、第二実施形態、第三実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0121】
上記第一実施形態、第二実施形態、第三実施形態の装柱バンド1の使用方法では、締付作業が完了するとともに装柱物Oがバンド部材2に固定された状態になっていたが、この構成に限定されない。例えば、締付作業を完了させた後に装柱物Oをバンド部材2に固定してもよい。
【0122】
上記第三実施形態において、特に言及しなかったが、補助圧入部31は、内側圧入領域S1に挿し込まれた際に、柱状構造物Pに当接するように構成されていてもよい。このようにすれば、柱状構造物Pに対するバンド部材2のガタツキを抑えることができる。
【0123】
また、上記第三実施形態において、
図20に図示した締付部材3では、補助圧入部31のうちの柱状構造物P側に向けて配置される一面が平らに形成されていたが、該一面を柱状構造物Pの外周面に合わせて湾曲した形状にすれば、柱状構造物Pに対するバンド部材2のガタツキがより確実に抑えられる。
【符号の説明】
【0124】
1…装柱バンド、2…バンド部材、3…締付部材、P…柱状構造物、O…装柱物