(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】感放射線性樹脂組成物、パターン形成方法及び単量体化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/039 20060101AFI20240801BHJP
C08F 12/22 20060101ALI20240801BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20240801BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
G03F7/039 601
C08F12/22
G03F7/004 503A
G03F7/20 501
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2020202752
(22)【出願日】2020-12-07
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2020042383
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020159868
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 奈津子
【審査官】高草木 綾音
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-276182(JP,A)
【文献】特開2008-090261(JP,A)
【文献】特開2018-205710(JP,A)
【文献】国際公開第2018/056369(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される構造単位Aを含む樹脂と、
下記式(2-1)で表される感放射線性酸発生
剤と、
溶剤と
を含む感放射線性樹脂組成物。
【化1】
(上記式(1)中、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
R
3は酸解離性基又は非酸解離性基である。ただし、R
3が1つ存在する場合、R
3は酸解離性基であり、R
3が複数存在する場合、複数のR
3のうちの少なくとも1つは酸解離性基である。R
3が複数存在する場合、複数のR
3は互いに同一又は異なる。
R
41は水素原子又は酸の作用で脱保護される保護基である。R
41が複数存在する場合、複数のR
41は互いに同一又は異なる。
R
51は、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、フッ素化アルキル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基又はアシロキシ基である。R
51が複数存在する場合、複数のR
51は互いに同一又は異なる。
n
1は0~2の整数であり、m
1は1~8の整数であり、m
2は1~8の整数であり、m
3は0~6の整数である。ただし、2≦m
1+m
2+m
3≦2n
1+5を満たす。)
【化2】
(上記式(2-1)中、
n
2は1~5の整数である。
R
f1及びR
f2は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基である。ただし、n
2が1である場合、R
f1及びR
f2のうちの少なくとも1つはフッ素原子又はフルオロアルキル基である。n
2が2~5である場合、複数存在するR
f1及びR
f2のうちの少なくとも1つはフッ素原子又はフルオロアルキル基であり、複数存在するR
f1及びR
f2は互いに同一又は異なる。
L
1は2価の連結基である。
R
5aは、環構造を有する1価の有機基である。
X
1
+は、1価のオニウムカチオンである
。)
【請求項2】
上記樹脂が、(メタ)アクリル酸エステル系単量体に由来する構造単位Bをさらに含む請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項3】
上記構造単位Bとして、酸解離性基を有する構造単位B1(ただし、上記構造単位Aを除く。)を含む請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項4】
上記樹脂が、下記式(5)で表される構造単位Cをさらに含む請求項1~3のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
【化3】
(上記式(5)中、
Rαは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
L
CAは、単結合、-COO-
*又は-O-
*である。*は芳香環側の結合手である。
R
42及びR
52は、上記式(1)のR
41及びR
51とそれぞれ同義である。
n
3は0~2の整数であり、m
3は1~8の整数であり、m
4は0~8の整数である。ただし、1≦m
3+m
4≦2n
3+5を満たす。)
【請求項5】
上記構造単位Cの含有割合は、上記樹脂を構成する全構造単位に対して、5モル%以上55モル%以下である請求項4に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項6】
上記式(1)中、COOR
3が結合する炭素原子とOR
41が結合する炭素原子とが隣接する請求項1~
5のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項7】
放射線の照射により、上記感放射線性酸発生剤から発生する酸よりpKaが高い酸を発生するオニウム塩化合物をさらに含む請求項1~
6のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項8】
上記式(2-1
)におけるオニウムカチオンが
、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンである請求項1~
7のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項9】
上記感放射線性酸発生剤の含有量は、上記樹脂100質量部に対して5質量部以上50質量部以下である請求項1~8のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物を基板上に直接又は間接に塗布してレジスト膜を形成する工程と、
上記レジスト膜を露光する工程と、
露光された上記レジスト膜を現像液で現像する工程と
を含むパターン形成方法。
【請求項11】
上記露光を極端紫外線又は電子線を用いて行う請求項
10に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感放射線性樹脂組成物、パターン形成方法及び単量体化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子における微細な回路形成にレジスト組成物を用いるフォトリソグラフィー技術が利用されている。代表的な手順として、例えば、レジスト組成物の被膜に対するマスクパターンを介した放射線照射による露光で酸を発生させ、その酸を触媒とする反応により露光部と未露光部とにおいて樹脂のアルカリ系や有機溶剤系の現像液に対する溶解度の差を生じさせることで、基板上にレジストパターンを形成する。
【0003】
上記フォトリソグラフィー技術ではArFエキシマレーザー等の短波長の放射線を用いたり、この放射線と液浸露光法(リキッドイマージョンリソグラフィー)とを組み合わせたりしてパターン微細化を推進している。次世代技術として、電子線、X線及びEUV(極端紫外線)等のさらに短波長の放射線の利用が図られており、こうした放射線の吸収効率を高めたスチレン系の樹脂を含むレジスト材料も検討されつつある。(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の次世代技術においても、感度とともにライン幅やホール径の均一性の指標であるクリティカルディメンションユニフォーミティー(CDU)性能、解像度等の点で従来と同等以上のレジスト諸性能が要求される。しかしながら、既存の感放射線性樹脂組成物ではそれらの特性は十分なレベルで得られていない。
【0006】
本発明は、次世代技術を適用した場合に感度やCDU性能、解像度を十分なレベルで発揮可能な感放射線性樹脂組成物及びパターン形成方法並びに前記感放射線性樹脂組成物の樹脂の調製に好適な単量体化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、本課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記構成を採用することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、一実施形態において、
下記式(1)で表される構造単位Aを含む樹脂と、
下記式(2-1)で表される感放射線性酸発生剤及び下記式(2-2)で表される感放射線性酸発生剤からなる群より選択される少なくとも1種の感放射線性酸発生剤と、
溶剤と
を含む感放射線性樹脂組成物に関する。
【化1】
(上記式(1)中、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
R
3は酸解離性基又は非酸解離性基である。ただし、R
3が1つ存在する場合、R
3は酸解離性基であり、R
3が複数存在する場合、複数のR
3のうちの少なくとも1つは酸解離性基である。R
3が複数存在する場合、複数のR
3は互いに同一又は異なる。
R
41は水素原子又は酸の作用で脱保護される保護基である。R
41が複数存在する場合、複数のR
41は互いに同一又は異なる。
R
51は、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、フッ素化アルキル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基又はアシロキシ基である。R
51が複数存在する場合、複数のR
51は互いに同一又は異なる。
n
1は0~2の整数であり、m
1は1~8の整数であり、m
2は1~8の整数であり、m
3は0~6の整数である。ただし、2≦m
1+m
2+m
3≦2n
1+5を満たす。)
【化2】
(上記式(2-1)中、
n
2は1~5の整数である。
R
f1及びR
f2は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基である。ただし、n
2が1である場合、R
f1及びR
f2のうちの少なくとも1つはフッ素原子又はフルオロアルキル基である。n
2が2~5である場合、複数存在するR
f1及びR
f2のうちの少なくとも1つはフッ素原子又はフルオロアルキル基であり、複数存在するR
f1及びR
f2は互いに同一又は異なる。
L
1は2価の連結基である。
R
5aは、環構造を有する1価の有機基である。
X
1
+は、1価のオニウムカチオンである。
上記式(2-2)中、
R
5bは、1価の有機基である。
X
2
+は、正電荷を有する原子が環構造を形成する原子でない1価のオニウムカチオンである。)
【0009】
当該感放射線性樹脂組成物は、上記構造単位Aを含む樹脂を含むので、感度、CDU性能及び解像度を十分なレベルで発揮することができる。この理由は定かではないものの、以下のように推察される。構造単位Aではフェノール性水酸基又は酸の作用によりフェノール性水酸基を発生する保護構造と酸解離性基とを共存させている。前者の存在により露光時のエネルギー吸収効率が向上して酸発生効率が高まるとともに、後者の存在により露光部と未露光部とのコントラストが高まる。これに対し、フェノール性水酸基又は酸の作用によりフェノール性水酸基を発生する保護構造を有する構造単位と酸解離性基を有する構造単位とを含む従来の樹脂では、一方の構造単位の含有割合を増やせば他方の構造単位の含有割合が相対的に減少し、各構造単位に基づく作用効果もそれに応じて増減するという、いわばトレードオフの関係にある。当該感放射線性樹脂組成物における樹脂では両方の特性を有する構造単位Aを導入したことによる相乗効果により感度とCDU性能とを向上させることができる。さらに、酸の作用により酸解離性基からカルボキシ基が生じると、構造単位Aにはフェノール性水酸基とカルボキシ基とが共存することになる。これにより樹脂のアルカリ現像液への溶解性が高まり、その結果、解像度を向上させることができる。
【0010】
なお、「酸解離性基」とは、カルボキシ基、フェノール性水酸基、スルホ基、スルホンアミド基等のアルカリ可溶性基が有する水素原子を置換する基であって、酸の作用により解離する基をいう。従って、酸解離性基は、これらの官能基中の上記水素原子と結合していた酸素原子と結合していることになる。「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を有する基である。
【0011】
本発明は、別の実施形態において、
当該感放射線性樹脂組成物を基板上に直接又は間接に塗布してレジスト膜を形成する工程と、
上記レジスト膜を露光する工程と、
露光された上記レジスト膜を現像液で現像する工程と
を含むパターン形成方法に関する。
【0012】
当該パターン形成方法では、感度、CDU性能及び解像度に優れる上記感放射線性樹脂組成物を用いているので、次世代露光技術を適用するリソグラフィーにより高品位のレジストパターンを効率的に形成することができる。
【0013】
本発明は、さらに別の実施形態において、
ホルミルヒドロキシ芳香族カルボン酸と酸解離性基構造を有するアルコールとを反応させてエステル体を合成する工程を含み、
さらに、上記エステル体のヒドロキシ基を保護する工程と上記エステル体のホルミル基をアルケンに変換する工程とを任意の順で含む単量体化合物の製造方法に関する。
【0014】
当該製造方法により、当該感放射線性樹脂組成物の樹脂の調製に好適な単量体化合物を効率良く製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0016】
《感放射線性樹脂組成物》
本実施形態に係る感放射線性樹脂組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)は、樹脂、感放射線性酸発生剤及び溶剤を含む。上記組成物は、本発明の効果を損なわない限り、他の任意成分を含んでいてもよい。
【0017】
<樹脂>
樹脂は、構造単位Aを含む重合体の集合体である(以下、この樹脂を「ベース樹脂」ともいう。)。ベース樹脂は、構造単位A以外に、(メタ)アクリル酸エステル系単量体に由来する構造単位B、フェノール性水酸基を有する構造単位C、極性基を有する構造単位D、ラクトン構造等を含む構造単位E等を含んでいてもよい。以下、各構造単位について説明する。
【0018】
(構造単位A)
構造単位Aは、下記式(1)で表される。
【化3】
【0019】
上記式(1)中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
R3は酸解離性基又は非酸解離性基である。ただし、R3が1つ存在する場合、R3は酸解離性基であり、R3が複数存在する場合、複数のR3のうちの少なくとも1つは酸解離性基である。R3が複数存在する場合、複数のR3は互いに同一又は異なる。
R41は水素原子又は酸の作用で脱保護される保護基である。R41が複数存在する場合、複数のR41は互いに同一又は異なる。
R51は、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、フッ素化アルキル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基又はアシロキシ基である。R51が複数存在する場合、複数のR51は互いに同一又は異なる。
n1は0~2の整数であり、m1は1~8の整数であり、m2は1~8の整数であり、m3は0~6の整数である。ただし、2≦m1+m2+m3≦2n1+5を満たす。
【0020】
上記R3で表される酸解離性基は特に限定されず、例えば、R3が結合する-COO-とともに第三級アルキルエステル部分を形成する構造、R3が結合する-COO-とともに-COO-の末端側酸素原子のβ位炭素とγ位炭素との間に二重結合を有する第二級不飽和アルキルエステル部分を形成する構造、R3が結合する-COO-とともにアセタール結合を形成する構造等が挙げられる。当該感放射線性樹脂組成物のパターン形成性の向上の観点から、酸解離性基は下記式(2)で表されることが好ましい。
【0021】
【0022】
上記式(2)中、R8は、炭素数1~20の1価の炭化水素基である。R9及びR10は、それぞれ独立して、炭素数1~10の1価の鎖状炭化水素基若しくは炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される炭素数3~20の2価の脂環式基を表す。*は酸素原子との結合手である。
【0023】
上記R8で表される炭素数1~20の1価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1~10の鎖状炭化水素基、炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0024】
上記R8~R10で表される炭素数1~10の鎖状炭化水素基としては、炭素数1~10の直鎖若しくは分岐鎖飽和炭化水素基、又は炭素数1~10の直鎖若しくは分岐鎖不飽和炭化水素基が挙げられる。
【0025】
上記R8~R10で表される炭素数3~20の脂環式炭化水素基としては、単環若しくは多環の飽和炭化水素基、又は単環若しくは多環の不飽和炭化水素基が挙げられる。単環の飽和炭化水素基としてはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基が好ましい。多環のシクロアルキル基としてはノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の有橋脂環式炭化水素基が好ましい。なお、有橋脂環式炭化水素基とは、脂環を構成する炭素原子のうち互いに隣接しない2つの炭素原子間が1つ以上の炭素原子を含む結合連鎖で結合された多環性の脂環式炭化水素基をいう。
【0026】
上記R8で表される炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
【0027】
上記R8としては、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素基、炭素数3~20の脂環式炭化水素基が好ましい。
【0028】
上記R9及びR10で表される鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される炭素数3~20の2価の脂環式基は、上記炭素数の単環又は多環の脂環式炭化水素の炭素環を構成する同一炭素原子から2個の水素原子を除いた基であれば特に限定されない。単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基のいずれでもよく、多環式炭化水素基としては、有橋脂環式炭化水素基及び縮合脂環式炭化水素基のいずれでもよく、飽和炭化水素基及び不飽和炭化水素基のいずれでもよい。なお、縮合脂環式炭化水素基とは、複数の脂環が辺(隣接する2つの炭素原子間の結合)を共有する形で構成された多環性の脂環式炭化水素基をいう。
【0029】
単環の脂環式炭化水素基のうち飽和炭化水素基としては、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロヘプタンジイル基、シクロオクタンジイル基等が好ましく、不飽和炭化水素基としてはシクロペンテンジイル基、シクロヘキセンジイル基、シクロヘプテンジイル基、シクロオクテンジイル基、シクロデセンジイル基等が好ましい。多環の脂環式炭化水素基としては、有橋脂環式飽和炭化水素基が好ましく、例えばビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,2-ジイル基(ノルボルナン-2,2-ジイル基)、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,2-ジイル基、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン-2,2-ジイル基(アダマンタン-2,2-ジイル基)等が好ましい。
【0030】
これらの中で、R8は炭素数1~4のアルキル基であり、R9及びR10が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される脂環構造が多環又は単環のシクロアルカン構造であることが好ましい
【0031】
酸解離性基としては、好ましくは、下記式(3-1)~(3-8)で表される構造等が挙げられる。
【0032】
【0033】
上記式(3-1)~(3-8)中、R8~R10は、上記式(2)と同義である。i及びjは、それぞれ独立して、1~4の整数である。g、k及びlはそれぞれ0又は1である。*は酸素原子との結合手である。
【0034】
i及びjとしては、1が好ましい。R8としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基又はフェニル基が好ましい。R9及びR10としては、メチル基又はエチル基が好ましい。
【0035】
なお、酸解離性基が環構造を含む場合、環構造の水素原子の一部又は全部は置換基で置換されていてもよい。置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基等が挙げられる。
【0036】
上記酸解離性基とともに、又はこれに代えて、酸解離性基として下記式(1f)~(3f)で表される構造を含んでいてもよい。
【0037】
【0038】
上記式(1f)~(3f)中、Rβfは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1~5の鎖状アルキル基である。h1は、1~4の整数である。*は酸素原子との結合手である。
【0039】
上記Rβfとしては、水素原子、メチル基又はエチル基が好ましい。h1としては1又は2が好ましい。
【0040】
上記R3で表される非酸解離性基としては、例えば
メチル基、エチル基、プロピル基等の1級のアルキル基;
シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の2級のシクロアルキル基;
1-アダマンチル基等の3級シクロアルキル基;
シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基等の1級のシクロアルキル基;
メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、プロポキシメチル基等のアルコキシアルキル基;
トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ヘキサフルオロプロピル基等のフルオロアルキル基;
アセチル基、プロピオニル基等のアシル基;
フェニル基等のアリール基等が挙げられる。これらの中で、2級のシクロアルキル基、アルコキシアルキル基が好ましい。
【0041】
R3が1つ存在する場合、R3は酸解離性基である。R3が複数存在する場合、複数のR3のうちの少なくとも1つは酸解離性基であればよい。R3が複数存在する場合、全てのR3は酸解離性基であることが好ましい。R3として酸解離性基を有することでレジスト膜の解像度を向上させることができる。R3が複数存在する場合、複数のR3は互いに同一又は異なる。
【0042】
上記R
41で表される酸の作用で脱保護される保護基としては、例えば、下記式(AL-1)~(AL-3)で表される基等が挙げられる。
【化7】
【0043】
上記式(AL-1)及び(AL-2)中、RL1及びRL2は、1価の炭化水素基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。上記1価の炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、炭素数1~40のアルキル基が好ましく、炭素数1~20のアルキル基がより好ましい。式(AL-1)中、aは0~10の整数であり、1~5の整数が好ましい。上記式(AL-1)~(AL-3)中、*は他の部分との結合手である。
【0044】
上記式(AL-2)中、RL3及びRL4は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の炭化水素基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。上記1価の炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、炭素数1~20のアルキル基が好ましい。また、RL2、RL3及びRL4のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子とともに炭素数3~20の環を形成してもよい。上記環としては、炭素数4~16の環が好ましく、特に脂環が好ましい。
【0045】
上記式(AL-3)中、RL5、RL6及びRL7は、それぞれ独立に、1価の炭化水素基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。上記1価の炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、炭素数1~20のアルキル基が好ましい。また、RL5、RL6及びRL7のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子とともに炭素数3~20の環を形成してもよい。上記環としては、炭素数4~16の環が好ましく、特に脂環が好ましい。
【0046】
これらの中でも、酸の作用で脱保護される保護基としては上記式(AL-3)で表される基が好ましい。
【0047】
R51は、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、フッ素化アルキル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基又はアシロキシ基である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~8の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられる。フッ素化アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の炭素数1~8の直鎖又は分岐のフッ素化アルキル基が挙げられる。アルコキシカルボニルオキシ基としては、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、ブトキシカルボニルオキシ基及びアダマンチルメチルオキシカルボニルオキシ基等の炭素数2~16の鎖状又は脂環のアルコキシカルボニルオキシ基が挙げられる。アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基及びアクリロイル基等の炭素数2~12の脂肪族又は芳香族のアシル基が挙げられる。アシロキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基及びアクリロイルオキシ基等の炭素数2~12の脂肪族又は芳香族のアシロキシ基等が挙げられる。
【0048】
n1は0~2の整数である。n1は0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。m1は1~8の整数である。m1は1~3の整数であることが好ましく、m1は1又は2であることが好ましい。m2は1~8の整数である。m2は1~3の整数であることが好ましく、m2は1又は2であることが好ましい。m3は0~6の整数である。m3は0~2の整数であることが好ましく、m3は0又は1であることが好ましい。
【0049】
上記式(1)中、COOR3が結合する炭素原子とOR41が結合する炭素原子とが隣接することが好ましい。これにより、COOR3に由来するCOOHとOR41に由来するOHとで6員環水素結合を形成しCOOHの酸性度が向上するため、アルカリ現像液への溶解性が向上し、その結果、感度、CDU性能及び解像度をより高いレベルで発揮することができる。
【0050】
構造単位Aは、下記式(A-1)~(A-39)で表されることが好ましい。
【化8】
【0051】
【0052】
上記式(A-1)~(A-39)中、R2は上記式(1)と同義である。
【0053】
これらの中でも、上記式(A-1)~(A-9)、(A-14)、(A-17)、(A-20)、(A-21)、(A-24)、(A-30)、(A-32)、(A-34)~(A-37)で表される構造単位が好ましい。
【0054】
構造単位Aは、1種又は複数種を組み合わせて用いることができる。
【0055】
上記式(1)においてR41が水素原子である構造単位Aを得る場合、R41をアルカリ解離性基等の保護基によりフェノール性水酸基を保護した単量体化合物を重合し、その後加水分解を行って脱保護することにより構造単位Aを得るようにすることが好ましい。加水分解によりフェノール性水酸基を与える保護基としては、例えば、炭素数2~20のアシル基又は炭素数2~20のアルコキシカルボニル基が挙げられる。中でも、アセチル基、tert-ブトキシカルボニル基が好ましい。
【0056】
(構造単位Aを与える単量体化合物の製造方法)
構造単位Aを与える単量体化合物の製造方法について、上記式(A-1)で表される構造単位に対応する単量体化合物であって、ヒドロキシ基がアセチル基で保護された化合物を代表に説明する。合成スキームは以下のとおりである。
【0057】
【0058】
上記スキーム中、Arは上記式(1)における芳香環構造に対応する構造である。R3は上記式(1)と同義である。
【0059】
ホルミルヒドロキシ芳香族カルボン酸と酸解離性基構造を有するアルコールとを反応させて酸解離性基を導入したエステル体を合成する。次に、エステル体と塩化アセチルとを反応させてヒドロキシ基を保護し、さらに亜鉛とハロゲン化アルキルから生成する金属錯体の存在下、Wittig型オレフィン化反応によりホルミル基をアルケンに変換することで目的とする単量体化合物(A-i)を合成することができる。上記スキームではエステル体を得た後、ヒドロキシ基の保護に続いてホルミル基のオレフィン化を行っているものの、これに限定されず、ホルミル基のオレフィン化に続いてヒドロキシ基の保護を行ってもよい。他の単量体化合物の構造についても、出発原料化合物における芳香環の構造、芳香環上の置換基(カルボキシ基、ヒドロキシ基、他の置換基等)の種類や数、酸解離性基構造を有するアルコールの構造等を適宜変更することで合成することができる。
【0060】
樹脂中、構造単位Aの含有割合(構造単位Aが複数種存在する場合は合計)の下限としては、樹脂を構成する全構造単位に対して、5モル%が好ましく、7モル%がより好ましく、10モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、100モル%が好ましく、90モル%がより好ましく、80モル%がさらに好ましい。構造単位Aの含有割合を上記範囲とすることで、上記感放射線性樹脂組成物は、感度、CDU性能及び解像度のさらなる向上を図ることができる。
【0061】
(構造単位B)
構造単位Bは、(メタ)アクリル酸エステル系単量体に由来する構造単位である。ベース樹脂が構造単位Bを含むことで、当該感放射線性樹脂組成物のレジスト膜の感度やCDU性能、解像度をより向上させることができるとともに、良好なパターン形成性を得ることができる。
【0062】
構造単位Bは、下記式(4)で表されることが好ましい。
【化11】
【0063】
上記式(4)中、R7は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R31は、酸解離性基又は非酸解離性基である。
【0064】
構造単位Bは、上記式(4)におけるR31の構造に応じて、酸解離性基を有する構造単位B1であってもよく、非酸解離性基を有する構造単位B2であってもよい。R31が酸解離性基である場合、R31としては上記式(2)で表される酸解離性基であることが好ましい。また、R31が非酸解離性基である場合、R31としては上記式(1)におけるR3で表される非酸解離性基を好適に挙げることができる。
【0065】
酸解離性基を有する構造単位B1としては、例えば、下記式(4-1)~(4-6)で表される構造単位(以下、「構造単位(B1-1)~(B1-6)」ともいう。)等が挙げられる。
【0066】
【0067】
上記式(4-1)~(4-6)中、R7は上記式(4)と同義であり、R8~R10は上記式(2)と同義である。i及びjは、それぞれ独立して、1~4の整数である。k及びlは0又は1である。
【0068】
i及びjとしては、1が好ましい。R8としては、メチル基、エチル基又はイソプロピル基が好ましい。R9及びR10としては、メチル基又はエチル基が好ましい。
【0069】
さらに樹脂は、構造単位B1として、上記構造単位(B1-1)~(B1-6)とともに、又はこれらに代えて、下記式(4-7)~(4-9)で表される構造単位(以下、「構造単位(B1-7)~(B1-9)」ともいう。)を含んでいてもよい。
【0070】
【0071】
上記式(4-7)~(4-9)中、R7は上記式(4)と同義である。Rβfは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1~5の鎖状アルキル基である。複数のRβfは互いに同一又は異っていてもよい。h1は、1~4の整数である。
【0072】
上記Rβfとしては、水素原子、メチル基又はエチル基が好ましい。h1としては1又は2が好ましい。
【0073】
非酸解離性基を有する構造単位B2としては、例えば、下記式(4-10)~(4-11)で表される構造単位(以下、「構造単位(B2-1)~(B2-2)」ともいう。)等が挙げられる。
【0074】
【化14】
(上記式中、R
7は上記式(4)と同義である。n
b1は2~5の整数である。n
b2は0~4の整数である。n
b3は0~5の整数である。)
【0075】
上記R7としては水素原子又はメチル基が好ましい。nb1としては2~4の整数が好ましく、2又は3がより好ましい。nb2としては0~3の整数が好ましく、0~2の整数がより好ましい。nb3としては1~4の整数が好ましく。2~4の整数がより好ましい。
【0076】
ベース樹脂は、構造単位Bを1種又は2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
【0077】
樹脂が構造単位Bを含む場合、構造単位Bの含有割合(構造単位Bが複数種存在する場合は合計)の下限としては、ベース樹脂を構成する全構造単位に対して、10モル%が好ましく、15モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましく、30モル%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、80モル%が好ましく、70モル%がより好ましく、65モル%がさらに好ましい。構造単位Bの含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物のパターン形成性をより向上させることができる。
【0078】
(構造単位C)
上記樹脂は、下記式(5)で表される構造単位Cをさらに含むことが好ましい。
【化15】
(上記式(5)中、
R
αは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
L
CAは、単結合、-COO-
*又は-O-
*である。*は芳香環側の結合手である。
R
42及びR
52は、上記式(1)のR
41及びR
51とそれぞれ同義である。
n
3は0~2の整数であり、m
3は1~8の整数であり、m
4は0~8の整数である。ただし、1≦m
3+m
4≦2n
3+5を満たす。)
【0079】
構造単位Cは、構造単位Aとは異なるフェノール性水酸基を含む構造単位又は酸の作用によりフェノール性水酸基を与える構造単位である。樹脂は、必要に応じ構造単位Cやその他の構造単位を有することで、現像液への溶解性をより適度に調整することができ、その結果、上記感放射線性樹脂組成物の感度等をより向上させることができる。また、レジストパターン形成方法における露光工程で照射する放射線として、KrFエキシマレーザー光、EUV、電子線等を用いる場合には、構造単位Cはエッチング耐性の向上と、露光部と未露光部との間の現像液溶解性の差(溶解コントラスト)の向上に寄与する。特に、電子線やEUVといった波長50nm以下の放射線による露光を用いるパターン形成に好適に適用することができる。
【0080】
上記Rαとしては、構造単位Cを与える単量体の共重合性の観点から、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0081】
LCAとしては、単結合又は-COO-*が好ましい。
【0082】
上記R42で表される酸の作用で脱保護される保護基としては、上記式(1)におけるR42として挙げられた酸の作用で脱保護される保護基を好適に採用することができる。
【0083】
同様に、上記R52で表される置換基も上記式(1)におけるR51として挙げられた置換基を好適に採用することができる。
【0084】
上記n3としては、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
【0085】
上記m3としては、1~3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。
【0086】
上記m4としては、0~3の整数が好ましく、0~2の整数がより好ましい。
【0087】
上記構造単位Cとしては、下記式(c1-1)~(c1-10)で表される構造単位(以下、「構造単位(C-1)~構造単位(C-10)」ともいう。)等であることが好ましい。
【0088】
【0089】
上記式(c1-1)~(c1-10)中、Rαは上記式(5)と同様である。
【0090】
これらの中で、上記構造単位(C-1)~(C-4)、(C-6)及び(C-8)が好ましい。
【0091】
ベース樹脂が構造単位Cを含む場合、構造単位Cの含有割合(構造単位Cが複数種存在する場合は合計)の下限としては、樹脂を構成する全構造単位に対して、5モル%が好ましく、8モル%がより好ましく、10モル%がさらに好ましく、15モル%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、70モル%が好ましく、60モル%がより好ましく、55モル%がさらに好ましく、50モル%が特に好ましい。構造単位Cの含有割合を上記範囲とすることで、上記感放射線性樹脂組成物は、感度、CDU性能能及び解像度のさらなる向上を図ることができる。
【0092】
ヒドロキシスチレン等のフェノール性水酸基を有する単量体を重合させる場合、アルカリ解離性基等の保護基によりフェノール性水酸基を保護した状態で重合させておき、その後加水分解を行って脱保護することにより構造単位Cを得るようにすることが好ましい。
【0093】
(構造単位D)
ベース樹脂は、上記構造単位A~構造単位C以外に極性基又はイオン性官能基を有する構造単位Dを適宜含んでいてもよい。極性基としては、例えば、フッ素原子、アルコール性水酸基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、スルホンアミド基等を挙げることができる。構造単位Dの中で、フッ素原子を有する構造単位、アルコール性水酸基を有する構造単位及びカルボキシ基を有する構造単位が好ましく、フッ素原子を有する構造単位及びアルコール性水酸基を有する構造単位がより好ましい。イオン性官能基にはアニオン性基、カチオン性基があり、アニオン性基としてはスルホン酸アニオンを有する基が好ましく、カチオン性基としてはスルホニウムカチオンを有する基が好ましい。
【0094】
構造単位Dとしては、例えば、下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【0095】
【0096】
【0097】
上記式中、RAは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
【0098】
樹脂が構造単位Dを有する場合、樹脂を構成する全構造単位に対する構造単位Dの含有割合(構造単位Dが複数種存在する場合は合計)の下限としては、3モル%が好ましく、5モル%がより好ましく、8モル%がさらに好ましい。一方、上記含有割合の上限としては、40モル%が好ましく、35モル%がより好ましく、30モル%がさらに好ましい。構造単位Dの含有割合を上記範囲とすることで、樹脂の現像液への溶解性をより適度にすることができる。
【0099】
(構造単位E)
構造単位(II)は、ラクトン構造、環状カーボネート構造及びスルトン構造からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む構造単位である。ベース樹脂は、構造単位Eをさらに有することで、現像液への溶解性を調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物は、解像性等のリソグラフィー性能を向上させることができる。また、ベース樹脂から形成されるレジストパターンと基板との密着性を向上させることができる。
【0100】
構造単位Eとしては、例えば、下記式(T-1)~(T-10)で表される構造単位等が挙げられる。
【0101】
【0102】
上記式中、RL1は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。RL2~RL5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、ジメチルアミノ基である。RL4及びRL5は、互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される炭素数3~8の2価の脂環式基であってもよい。L2は、単結合又は2価の連結基である。Xは、酸素原子又はメチレン基である。kは0~3の整数である。mは1~3の整数である。
【0103】
上記RL4及びRL5が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される炭素数3~8の2価の脂環式基としては、上記式(2)中のR9及びR10で表される鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される炭素数3~20の2価の脂環式基のうち炭素数が3~8の基が挙げられる。この脂環式基上の1つ以上の水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。
【0104】
上記L2で表される2価の連結基としては、例えば、炭素数1~10の2価の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基、炭素数4~12の2価の脂環式炭化水素基、又はこれらの炭化水素基の1個以上と-CO-、-O-、-NH-及び-S-のうちの少なくとも1種の基とから構成される基等が挙げられる。
【0105】
構造単位Eとしては、これらの中で、ラクトン構造を含む構造単位が好ましく、ノルボルナンラクトン構造を含む構造単位がより好ましく、ノルボルナンラクトン-イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位がさらに好ましい。
【0106】
構造単位Eの含有割合の下限としては、ベース樹脂を構成する全構造単位に対して、5モル%が好ましく、15モル%がより好ましく、30モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、80モル%が好ましく、75モル%がより好ましく、70モル%がさらに好ましい。構造単位(II)の含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物は解像性等のリソグラフィー性能及び形成されるレジストパターンの基板との密着性をより向上させることができる。
【0107】
なお、上記構造単位B~構造単位Eについては、それらの構造単位から上記構造単位Aに該当するものを除く。
【0108】
樹脂の含有量としては、上記感放射線性樹脂組成物の全固形分中、70質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。ここで「固形分」とは、上記感放射線性樹脂組成物中に含まれる成分のうち溶媒を除いた全ての成分をいう。
【0109】
(樹脂の合成方法)
ベース樹脂たる樹脂は、例えば、各構造単位を与える単量体を、ラジカル重合開始剤等を用い、適当な溶剤中で重合反応を行うことにより合成できる。
【0110】
上記ラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビスイソブチレート等のアゾ系ラジカル開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系ラジカル開始剤等を挙げることができる。これらの中で、AIBN、ジメチル2,2’-アゾビスイソブチレートが好ましく、AIBNがより好ましい。これらのラジカル開始剤は1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0111】
上記重合反応に使用される溶剤としては、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸i-ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;アセトン、メチルエチルケトン、4-メチル-2-ペンタノン、2-ヘプタノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、4-メチル-2-ペンタノール等のアルコール類等を挙げることができる。これらの重合反応に使用される溶剤は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。
【0112】
上記重合反応における反応温度としては、通常40℃~150℃であり、50℃~120℃が好ましい。反応時間としては、通常1時間~48時間であり、1時間~24時間が好ましい。
【0113】
ベース樹脂たる樹脂の分子量は特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が1,000以上50,000以下が好ましく、2,000以上30,000以下がより好ましく、3,000以上15,000以下がさらに好ましく、4,000以上12,000以下が特に好ましい。樹脂(A)のMwが上記下限未満だと、得られるレジスト膜の耐熱性が低下する場合がある。樹脂(A)のMwが上記上限を超えると、レジスト膜の現像性が低下する場合がある。
【0114】
ベース樹脂たる樹脂のGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対するMwの比(Mw/Mn)は、通常、1以上5以下であり、1以上3以下が好ましく、1以上2以下がさらに好ましい。
【0115】
本明細書における樹脂のMw及びMnは、以下の条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される値である。
GPCカラム:G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本(以上、東ソー製)
カラム温度:40℃
溶出溶剤:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
【0116】
樹脂の含有量としては、上記感放射線性樹脂組成物の全固形分に対して、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、85質量%以上がさらに好ましい。
【0117】
<他の樹脂>
本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、他の樹脂として、上記ベース樹脂よりもフッ素原子の質量含有率が大きい樹脂(以下、「高フッ素含有量樹脂」ともいう。)を含んでいてもよい。上記感放射線性樹脂組成物が高フッ素含有量樹脂を含有する場合、上記ベース樹脂に対してレジスト膜の表層に偏在化させることができ、その結果、レジスト膜表面の状態やレジスト膜中の成分分布を所望の状態に制御することができる。
【0118】
高フッ素含有量樹脂としては、例えば、必要に応じて上記ベース樹脂における構造単位Aから構造単位Cまでを有するとともに、下記式(6)で表される構造単位(以下、「構造単位G」ともいう。)を有することが好ましい。
【化20】
【0119】
上記式(6)中、R13は、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Gは、単結合、酸素原子、硫黄原子、-COO-、-SO2ONH-、-CONH-又は-OCONH-である。R14は、炭素数1~20の1価のフッ素化鎖状炭化水素基又は炭素数3~20の1価のフッ素化脂環式炭化水素基である。
【0120】
上記R13としては、構造単位Gを与える単量体の共重合性の観点から、水素原子及びメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0121】
上記GLとしては、構造単位Gを与える単量体の共重合性の観点から、単結合及び-COO-が好ましく、-COO-がより好ましい。
【0122】
上記R14で表される炭素数1~20の1価のフッ素化鎖状炭化水素基としては、炭素数1~20の直鎖又は分岐鎖アルキル基が有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子により置換されたものを挙げることができる。
【0123】
上記R14で表される炭素数3~20の1価のフッ素化脂環式炭化水素基としては、炭素数3~20の単環又は多環式炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子により置換されたものを挙げることができる。
【0124】
上記R14としては、フッ素化鎖状炭化水素基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、2,2,2-トリフルオロエチル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル基及び5,5,5-トリフルオロ-1,1-ジエチルペンチル基がさらに好ましい。
【0125】
高フッ素含有量樹脂が構造単位Gを有する場合、構造単位Gの含有割合の下限としては、高フッ素含有量樹脂を構成する全構造単位に対して、10モル%が好ましく、15モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましく、25モル%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、60モル%が好ましく、50モル%がより好ましく、40モル%がさらに好ましい。構造単位Gの含有割合を上記範囲とすることで、高フッ素含有量樹脂のフッ素原子の質量含有率をより適度に調整してレジスト膜の表層への偏在化をさらに促進することができる。
【0126】
高フッ素含有量樹脂は、構造単位G以外に、下記式(f-1)で表されるフッ素原子含有構造単位(以下、構造単位Hともいう。)を有していてもよい。高フッ素含有量樹脂は構造単位Hを有することで、アルカリ現像液への溶解性が向上し、現像欠陥の発生を抑制することができる。
【化21】
【0127】
構造単位Hは、(x)アルカリ可溶性基を有する場合と、(y)アルカリの作用により解離してアルカリ現像液への溶解性が増大する基(以下、単に「アルカリ解離性基」とも言う。)を有する場合の2つに大別される。(x)、(y)双方に共通して、上記式(f-1)中、RCは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。RDは単結合、炭素数1~20の(s+1)価の炭化水素基、この炭化水素基のRE側の末端に酸素原子、硫黄原子、-NRdd-、カルボニル基、-COO-若しくは-CONH-が結合された構造、又はこの炭化水素基が有する水素原子の一部がヘテロ原子を有する有機基により置換された構造である。Rddは、水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基である。sは、1~3の整数である。
【0128】
構造単位Hが(x)アルカリ可溶性基を有する場合、RFは水素原子であり、A1は酸素原子、-COO-*又は-SO2O-*である。*はRFに結合する部位を示す。W1は単結合、炭素数1~20の炭化水素基又は2価のフッ素化炭化水素基である。A1が酸素原子である場合、W1はA1が結合する炭素原子にフッ素原子又はフルオロアルキル基を有するフッ素化炭化水素基である。REは単結合又は炭素数1~20の2価の有機基である。sが2又は3の場合、複数のRE、W1、A1及びRFはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。構造単位Hが(x)アルカリ可溶性基を有することで、アルカリ現像液に対する親和性を高め、現像欠陥を抑制することができる。(x)アルカリ可溶性基を有する構造単位Hとしては、A1が酸素原子でありW1が1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2,2-メタンジイル基である場合が特に好ましい。
【0129】
構造単位Hが(y)アルカリ解離性基を有する場合、RFは炭素数1~30の1価の有機基であり、A1は酸素原子、-NRaa-、-COO-*又は-SO2O-*である。Raaは水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基である。*はRFに結合する部位を示す。W1は単結合又は炭素数1~20の2価のフッ素化炭化水素基である。REは、単結合又は炭素数1~20の2価の有機基である。A1が-COO-*又は-SO2O-*である場合、W1又はRFはA1と結合する炭素原子又はこれに隣接する炭素原子上にフッ素原子を有する。A1が酸素原子である場合、W1、REは単結合であり、RDは炭素数1~20の炭化水素基のRE側の末端にカルボニル基が結合された構造であり、RFはフッ素原子を有する有機基である。sが2又は3の場合、複数のRE、W1、A1及びRFはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。構造単位Hが(y)アルカリ解離性基を有することにより、アルカリ現像工程においてレジスト膜表面が疎水性から親水性へと変化する。この結果、現像液に対する親和性を大幅に高め、より効率的に現像欠陥を抑制することができる。(y)アルカリ解離性基を有する構造単位Hとしては、A1が-COO-*であり、RF若しくはW1又はこれら両方がフッ素原子を有するものが特に好ましい。
【0130】
RCとしては、構造単位Hを与える単量体の共重合性等の観点から、水素原子及びメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0131】
REが2価の有機基である場合、ラクトン構造を有する基が好ましく、多環のラクトン構造を有する基がより好ましく、ノルボルナンラクトン構造を有する基がより好ましい。
【0132】
高フッ素含有量樹脂が構造単位Hを有する場合、構造単位Hの含有割合の下限としては、高フッ素含有量樹脂を構成する全構造単位に対して、10モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、30モル%がさらに好ましく、35モル%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、90モル%が好ましく、75モル%がより好ましく、60モル%がさらに好ましい。構造単位Hの含有割合を上記範囲とすることで、液浸露光時のレジスト膜の撥水性をより向上させることができる。
【0133】
高フッ素含有量樹脂のMwの下限としては、1,000が好ましく、2,000がより好ましく、3,000がさらに好ましく、5,000が特に好ましい。上記Mwの上限としては、50,000が好ましく、30,000がより好ましく、20,000がさらに好ましく、15,000が特に好ましい。
【0134】
高フッ素含有量樹脂のMw/Mnの下限としては、通常1であり、1.1がより好ましい。上記Mw/Mnの上限としては、通常5であり、3が好ましく、2がより好ましく、1.7がさらに好ましい。
【0135】
高フッ素含有量樹脂の含有量の下限としては、上記感放射線性樹脂組成物中の全固形分に対して、0.1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましく、1質量%がさらに好ましく、1.5質量%がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、20質量%が好ましく、15質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましく、7質量%が特に好ましい。
【0136】
高フッ素含有量樹脂の含有量の下限としては、上記ベース樹脂100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、0.5質量部がより好ましく、1質量部がさらに好ましく、1.5質量部が特に好ましい。上記含有量の上限としては、15質量部が好ましく、10質量部がより好ましく、8質量部がさらに好ましく、5質量部が特に好ましい。
【0137】
高フッ素含有量樹脂の含有量を上記範囲とすることで、高フッ素含有量樹脂をレジスト膜の表層へより効果的に偏在化させることができ、その結果、現像時にパターン上部の溶出が抑制され、パターンの矩形性を高めることができる。上記感放射線性樹脂組成物は、高フッ素含有量樹脂を1種又は2種以上含有していてもよい。
【0138】
(高フッ素含有量樹脂の合成方法)
高フッ素含有量樹脂は、上述のベース樹脂の合成方法と同様の方法により合成することができる。
【0139】
<感放射線性酸発生剤>
上記感放射線性樹脂組成物は、末端に環構造を有する感放射線性酸発生剤(以下、「感放射線性酸発生剤1」ともいう。)及び正電荷を有する原子が環構造を形成する原子でない1価のオニウムカチオンを有する感放射線性酸発生剤(以下、「感放射線性酸発生剤2」ともいう。)からなる群より選択される少なくとも1種を含む。感放射線性樹脂組成物における感放射線性酸発生剤の含有形態としては、それ単独で低分子化合物として存在する形態でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよいものの、単独で低分子化合物として存在する形態が好ましい。
【0140】
(感放射線性酸発生剤1)
感放射線性酸発生剤1は、下記式(2-1)で表される。
【化22】
【0141】
上記式(2-1)中、
n2は1~5の整数である。
Rf1及びRf2は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基である。ただし、n2が1である場合、Rf1及びRf2のうちの少なくとも1つはフッ素原子又はフルオロアルキル基である。n2が2~5である場合、複数存在するRf1及びRf2のうちの少なくとも1つはフッ素原子又はフルオロアルキル基であり、複数存在するRf1及びRf2は互いに同一又は異なる。
L1は2価の連結基である。
R5aは、環構造を有する1価の有機基である。
X1
+は、1価のオニウムカチオンである。
【0142】
上記式(2-1)中、n2としては1~4の整数が好ましく、1~3の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましい。
【0143】
上記式(2-1)中、Rf1及びRf2で表されるフルオロアルキル基としては、炭素数1~20のフルオロアルキル基等を挙げることができる。Rf1及びRf2としては、フッ素原子及びフルオロアルキル基が好ましく、フッ素原子及びパーフルオロアルキル基がより好ましく、フッ素原子及びトリフルオロメチル基がさらに好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
【0144】
上記式(2-1)中、L1で表される2価の連結基としては、例えば、例えば、炭素数1~10の2価の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基、炭素数4~12の2価の脂環式炭化水素基、-CO-、-O-、-NH-、-S-及び環状アセタール構造から選ばれる1種の基、又はこれらの基を2個以上組み合わせてなる基等が挙げられる。
【0145】
上記炭素数1~10の2価の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基としては、例えば、メタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ヘキサンジイル基、オクタンジイル基等が挙げられる。中でも、炭素数1~8のアルカンジイル基が好ましい。
【0146】
上記炭素数4~12の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基等の単環のシクロアルカンジイル基;ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基等の多環のシクロアルカンジイル基等が挙げられる。中でも、炭素数5~12のシクロアルカンジイル基が好ましい。
【0147】
R5aで表される環構造を有する1価の有機基としては、例えば、環員数5以上の脂環構造を含む1価の基、環員数5以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基、環員数6以上の芳香環構造を含む1価の基、環員数5以上の芳香族複素環構造を含む1価の基等を挙げることができる。R5aで表される1価の有機基において重合体に結合し、上記式(2-1)で表される感放射線性酸発生剤1が重合体の一部として組み込まれた形態も本実施形態の感放射線性酸発生剤に含まれる。
【0148】
上記環員数5以上の脂環構造としては、例えば、
シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造、シクロノナン構造、シクロデカン構造、シクロドデカン構造等の単環のシクロアルカン構造;
シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造、シクロヘプテン構造、シクロオクテン構造、シクロデセン構造等の単環のシクロアルケン構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環のシクロアルカン構造;
ノルボルネン構造、トリシクロデセン構造等の多環のシクロアルケン構造などを挙げることができる。
【0149】
上記環員数5以上の脂肪族複素環構造としては、例えば、
ペンタノラクトン構造、ヘキサノラクトン構造、ノルボルナンラクトン構造等のラクトン構造;
ペンタノスルトン構造、ヘキサノスルトン構造、ノルボルナンスルトン構造等のスルトン構造;
オキサシクロペンタン構造、オキサシクロヘプタン構造、オキサノルボルナン構造等の酸素原子含有複素環構造;
アザシクロペンタン構造、アザシクロヘキサン構造、ジアザビシクロオクタン構造等の窒素原子含有複素環構造;
チアシクロペンタン構造、チアシクロヘキサン構造、チアノルボルナン構造のイオウ原子含有複素環構造などを挙げることができる。
【0150】
上記環員数6以上の芳香環構造としては、例えば、ベンゼン構造、ナフタレン構造、フェナントレン構造、アントラセン構造等を挙げることができる。
【0151】
上記環員数5以上の芳香族複素環構造としては、例えば、フラン構造、ピラン構造、ベンゾピラン構造等の酸素原子含有複素環構造、ピリジン構造、ピリミジン構造、インドール構造等の窒素原子含有複素環構造などを挙げることができる。
【0152】
R5aの環構造の環員数の下限としては、5であってもよく、6が好ましく、7がより好ましく、8がさらに好ましい。一方、上記環員数の上限としては、15が好ましく、14がより好ましく、13がさらに好ましく、12が特に好ましい。上記環員数を上記範囲とすることで、上述の酸の拡散長をさらに適度に短くすることができ、その結果、上記化学増幅型レジスト材料の各種性能をより向上させることができる。
【0153】
R5aの環構造が有する水素原子の一部又は全部は、置換基で置換されていてもよい。上記置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基などを挙げることができる。これらの中でヒドロキシ基が好ましい。
【0154】
R5aとしては、これらの中で、環員数5以上の脂環構造を含む1価の基及び環員数5以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基が好ましく、環員数6以上の脂環構造を含む1価の基及び環員数6以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基がより好ましく、環員数9以上の脂環構造を含む1価の基及び環員数9以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基がさらに好ましく、アダマンチル基、ヒドロキシアダマンチル基、ノルボルナンラクトン-イル基、ノルボルナンスルトン-イル基及び5-オキソ-4-オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン-イル基がさらに好ましく、アダマンチル基が特に好ましい。
【0155】
上記X1
+で表される1価のオニウムカチオンとしては、例えば、S、I、O、N、P、Cl、Br、F、As、Se、Sn、Sb、Te、Bi等の元素を含む放射線分解性オニウムカチオンが挙げられ、例えばスルホニウムカチオン、テトラヒドロチオフェニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ジアゾニウムカチオン、ピリジニウムカチオン等が挙げられる。中でも、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンが好ましい。スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンは、好ましくは下記式(X-1)~(X-6)で表される。
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
上記式(X-1)中、Ra1、Ra2及びRa3は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1~12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、アルコキシ基若しくはアルコキシカルボニルオキシ基、置換若しくは非置換の炭素数3~12の単環若しくは多環のシクロアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6~12の芳香族炭化水素基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、-OSO2-RP、-SO2-RQ若しくは-S-RTであるか、又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造を表す。当該環構造は骨格を形成する炭素-炭素結合間にOやS等のヘテロ原子を含んでいてもよい。RP、RQ及びRTは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1~12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数5~25の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数6~12の芳香族炭化水素基である。k1、k2及びk3は、それぞれ独立して0~5の整数である。Ra1~Ra3並びにRP、RQ及びRTがそれぞれ複数の場合、複数のRa1~Ra3並びにRP、RQ及びRTはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0163】
上記式(X-2)中、Rb1は、置換若しくは非置換の炭素数1~20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基若しくはアルコキシ基、置換若しくは非置換の炭素数2~8のアシル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6~8の芳香族炭化水素基、又はヒドロキシ基である。nkは0又は1である。nkが0のとき、k4は0~4の整数であり、nkが1のとき、k4は0~7の整数である。Rb1が複数の場合、複数のRb1は同一でも異なっていてもよく、また、複数のRb1は、互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。Rb2は、置換若しくは非置換の炭素数1~7の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6若しくは7の芳香族炭化水素基である。LCは単結合又は2価の連結基である。k5は、0~4の整数である。Rb2が複数の場合、複数のRb2は同一でも異なっていてもよく、また、複数のRb2は互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。qは、0~3の整数である。式中、S+を含む環構造は骨格を形成する炭素-炭素結合間にOやS等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0164】
上記式(X-3)中、Rc1、Rc2及びRc3は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1~12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である。
【0165】
上記式(X-4)中、Rg1は、置換若しくは非置換の炭素数1~20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基若しくはアルコキシ基、置換若しくは非置換の炭素数2~8のアシル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6~8の芳香族炭化水素基、又はヒドロキシ基である。nkは0又は1である。nk2が0のとき、k10は0~4の整数であり、nk2が1のとき、k10は0~7の整数である。Rg1が複数の場合、複数のRg1は同一でも異なっていてもよく、また、複数のRg1は、互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。Rg2は及びRg3は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1~12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、アルコキシ基若しくはアルコキシカルボニルオキシ基、置換若しくは非置換の炭素数3~12の単環若しくは多環のシクロアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6~12の芳香族炭化水素基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であるか、又はこれらの基が互いに合わせられ構成される環構造を表す。k11及びk12は、それぞれ独立して0~4の整数である。Rg2は及びRg3がそれぞれ複数の場合、複数のRg2は及びRg3はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0166】
上記式(X-5)中、Rd1及びRd2は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1~12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、アルコキシ基若しくはアルコキシカルボニル基、置換若しくは非置換の炭素数6~12の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1~4のハロゲン化アルキル基、ニトロ基であるか、又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造を表す。k6及びk7は、それぞれ独立して0~5の整数である。Rd1及びRd2がそれぞれ複数の場合、複数のRd1及びRd2はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0167】
上記式(X-6)中、Re1及びRe2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、置換若しくは非置換の炭素数1~12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6~12の芳香族炭化水素基である。k8及びk9は、それぞれ独立して0~4の整数である。
【0168】
上記式(2-1)で表される感放射線性酸発生剤1としては、例えば、下記式(2-1-1)~(2-1-41)で表される感放射線性酸発生剤(以下、「感放射線性酸発生剤(1-1)~感放射線性酸発生剤(1-41)」ともいう。)等が挙げられる。
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
上記式(2-1-1)~(2-1-41)中、X1
+は、1価のオニウムカチオンである。
【0174】
これらの中でも、上記式(2-1-1)、(2-1-11)、(2-1-16)、(2-1-36)~(2-1-41)で表される感放射線性酸発生剤が好ましい。
【0175】
(感放射線性酸発生剤2)
感放射線性酸発生剤2は、下記式(2-2)で表される。
【化33】
【0176】
上記式(2-2)中、
R5bは、1価の有機基である。
X2
+は、正電荷を有する原子が環構造を形成する原子でない1価のオニウムカチオンである。
【0177】
上記R5bで表される1価の有機基としては特に限定されず、鎖状構造、環状構造又はこれらの組み合わせのいずれであってもよい。上記鎖状構造としては、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖のいずれをも問わない鎖状炭化水素基が挙げられる。上記環状構造としては、脂環式、芳香族又は複素環式のいずれをも問わない環状炭化水素基が挙げられる。また、鎖状構造を有する基や環状構造を有する基が含む水素原子の一部又は全部を置換基で置換した基、これらの基の炭素-炭素間に、CO、CS、O、S、SO2若しくはNR’、又はこれらのうちの2種以上を組み合わせて含む基等も挙げられる。R’は炭素数1~10の炭化水素基である。中でも、1価の有機基としては、置換若しくは非置換の炭素数1~20の1価の鎖状炭化水素基、置換若しくは非置換の炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基、又は置換若しくは非置換の炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基が好ましい。R5bで表される1価の有機基において重合体に結合し、上記式(2-2)で表される感放射線性酸発生剤2が重合体の一部として組み込まれた形態も本実施形態の感放射線性酸発生剤に含まれる。
【0178】
上記有機基が有する水素原子の一部又は全部を置換する置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシ基;カルボキシ基;シアノ基;ニトロ基;アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基又はこれらの基の水素原子をハロゲン原子で置換した基;オキソ基(=O)等が挙げられる。
【0179】
上記炭素数1~20の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば、炭素数1~20の直鎖若しくは分岐鎖飽和炭化水素基、又は炭素数1~20の直鎖若しくは分岐鎖不飽和炭化水素基等を挙げることができる。炭素数は1以上であればよいものの、下限としては2が好ましく、3がより好ましく、4がさらに好ましい。炭素数の上限としては18が好ましく、16がより好ましく、14がさらに好ましく、12が特に好ましい。
【0180】
上記炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、単環若しくは多環の飽和炭化水素基、又は単環若しくは多環の不飽和炭化水素基等が挙げられる。単環の飽和炭化水素基としてはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基が好ましい。多環のシクロアルキル基としてはノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の有橋脂環式炭化水素基が好ましい。なお、有橋脂環式炭化水素基とは、脂環を構成する炭素原子のうち互いに隣接しない2つの炭素原子間が1つ以上の炭素原子を含む結合連鎖で結合された多環性の脂環式炭化水素基をいう。
【0181】
上記炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
【0182】
上記複素環式の環状炭化水素基としては、芳香族複素環構造から水素原子を1個取り除いた基及び脂環複素環構造から水素原子を1個取り除いた基が挙げられる。ヘテロ原子を導入することで芳香族性を有する5員環の芳香族構造も複素環構造に含まれる。ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
【0183】
上記芳香族複素環構造としては、例えば
フラン、ピラン、ベンゾフラン、ベンゾピラン等の酸素原子含有芳香族複素環構造;
ピロール、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナジン、カルバゾール等の窒素原子含有芳香族複素環構造;
チオフェン等の硫黄原子含有芳香族複素環構造;
チアゾール、ベンゾチアゾール、チアジン、オキサジン等の複数のヘテロ原子を含有する芳香族複素環構造等が挙げられる。
【0184】
上記脂環複素環構造としては、例えば
オキシラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキソラン、ジオキサン等の酸素原子含有脂環複素環構造;
アジリジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン等の窒素原子含有脂環複素環構造;
チエタン、チオラン、チアン等の硫黄原子含有脂環複素環構造;
モルホリン、1,2-オキサチオラン、1,3-オキサチオラン等の複数のヘテロ原子を含有する脂環複素環構造;
ラクトン構造、環状カーボネート構造及びスルトン構造等が挙げられる。
【0185】
上記X2
+で表される正電荷を有する原子が環構造を形成する原子でない1価のオニウムカチオンとしては、上記式(X-1)、(X-3)及び(X-5)で表される1価のオニウムカチオンが好適に挙げられる。
【0186】
上記式(2-2)で表される感放射線性酸発生剤2としては、例えば、下記式(2-2-1)~(2-2-12)で表される感放射線性酸発生剤(以下、「感放射線性酸発生剤(2-1)~感放射線性酸発生剤(2-12)」ともいう。)等が挙げられる。
【0187】
【0188】
レジストパターン形成方法における露光工程で照射する放射線として、KrFエキシマレーザー光、EUV、電子線等を用いる場合には、上記式(2-1)で表される感放射線性酸発生剤1のスルホン酸アニオン及び上記式(2-2)で表される感放射線性酸発生剤2のスルホン酸アニオンは、ヨウ素原子を1個以上有することが好ましい。
【0189】
上記X1
+で表される1価のオニウムカチオン及び上記X2
+で表される1価のオニウムカチオンは、フッ素原子を3個以上有することが好ましく、フッ素原子を5個以上有することがより好ましい。このようなオニウムカチオンとしては、例えば、上記式(X-1)においてk1=k2=k3=1且つRa1=Ra2=Ra3=フッ素原子であるカチオン、式(X-1)においてk1=k2=k3=1且つRa1=Ra2=フッ素原子且つRa3=トリフルオロメチル基であるカチオン、k1=k2=1かつk3=0且つRa1=Ra2=トリフルオロメチル基であるカチオン等が挙げられる。
【0190】
感放射線性酸発生剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。感放射線性酸発生剤の含有量(複数種の感放射線性酸発生剤が存在する場合は合計)の下限は、樹脂100質量部に対して0.1質量部が好ましく、1質量部がより好ましく、3質量部がさらに好ましい。上記含有量の上限は、50質量部が好ましく、45質量部がより好ましく、40質量部がさらに好ましい。これによりレジストパターン形成の際に優れた感度やCDU性能、解像度を発揮することができる。
【0191】
<酸拡散制御剤>
当該感放射線性樹脂組成物は、必要に応じて、酸拡散制御剤を含有してもよい。酸拡散制御剤は、露光により感放射線性酸発生剤から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏する。また、得られる感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性が向上する。さらに、レジストパターンの解像度がさらに向上すると共に、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に優れた感放射線性樹脂組成物が得られる。
【0192】
酸拡散制御剤としては、例えば下記式(7)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」ともいう)、同一分子内に窒素原子を2個有する化合物(以下、「含窒素化合物(II)」ともいう)、窒素原子を3個有する化合物(以下、「含窒素化合物(III)」ともいう)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
【0193】
【0194】
上記式(7)中、R22、R23及びR24は、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のシクロアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基又は置換若しくは非置換のアラルキル基である。
【0195】
含窒素化合物(I)としては、例えばn-ヘキシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ-n-ブチルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン等のトリアルキルアミン類;アニリン等の芳香族アミン類等が挙げられる。
【0196】
含窒素化合物(II)としては、例えばエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン等が挙げられる。
【0197】
含窒素化合物(III)としては、例えばポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等のポリアミン化合物;ジメチルアミノエチルアクリルアミド等の重合体等が挙げられる。
【0198】
アミド基含有化合物としては、例えばホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
【0199】
ウレア化合物としては、例えば尿素、メチルウレア、1,1-ジメチルウレア、1,3-ジメチルウレア、1,1,3,3-テトラメチルウレア、1,3-ジフェニルウレア、トリブチルチオウレア等が挙げられる。
【0200】
含窒素複素環化合物としては、例えばピリジン、2-メチルピリジン等のピリジン類;N-プロピルモルホリン、N-(ウンデシルカルボニルオキシエチル)モルホリン等のモルホリン類;ピラジン類、ピラゾール類等が挙げられる。
【0201】
また上記含窒素有機化合物として、酸解離性基を有する化合物を用いることもできる。このような酸解離性基を有する含窒素有機化合物としては、例えばN-t-ブトキシカルボニルピペリジン、N-t-ブトキシカルボニルイミダゾール、N-t-ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N-t-ブトキシカルボニル-2-フェニルベンズイミダゾール、N-(t-ブトキシカルボニル)ジ-n-オクチルアミン、N-(t-ブトキシカルボニル)ジエタノールアミン、N-(t-ブトキシカルボニル)ジシクロヘキシルアミン、N-(t-ブトキシカルボニル)ジフェニルアミン、N-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピペリジン、N-t-アミルオキシカルボニル-4-ヒドロキシピペリジン等が挙げられる。
【0202】
また、酸拡散制御剤として、放射線の照射により、上記感放射線性酸発生剤から発生する酸よりpKaが高い酸を発生するオニウム塩化合物(以下、便宜上「感放射線性弱酸発生剤」ともいう。)を好適に用いることもできる。上記感放射線性弱酸発生剤より発生する酸は、上記樹脂中の酸解離性基を解離させる条件では上記酸解離性基の解離を誘発しない弱酸である。なお、本明細書において、酸解離性基の「解離」とは、110℃で60秒間ポストエクスポージャーベークした際に解離することをいう。
【0203】
感放射線性弱酸発生剤としては、例えば下記式(8-1)で表されるスルホニウム塩化合物、下記式(8-2)で表されるヨードニウム塩化合物等が挙げられる。
【0204】
【0205】
上記式(8-1)及び式(8-2)中、J+はスルホニウムカチオンであり、U+はヨードニウムカチオンである。J+で表されるスルホニウムカチオンとしては、上記式(X-1)~(X-4)で表されるスルホニウムカチオンが挙げられ、U+で表されるヨードニウムカチオンとしては、上記式(X-5)~(X-6)で表されるヨードニウムカチオンが挙げられる。E-及びQ-は、それぞれ独立して、OH-、Rαα-COO-、-N--で表されるアニオンである。Rααは、アルキル基、アリール基又はアラルキル基である。Rααで表されるアルキル基の水素原子、又はアリール基若しくはアラルキル基の芳香環の水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子置換若しくは非置換の炭素数1~12のアルキル基又は炭素数1~12のアルコキシ基で置換されていてもよい。
【0206】
上記感放射線性弱酸発生剤としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0207】
【0208】
酸拡散制御剤の含有量の下限としては、感放射線性酸発生剤の合計モル数に対して、5モル%が好ましく、10モル%がより好ましく、15モル%がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、60モル%が好ましく、55モル%がより好ましく、50モル%がさらに好ましい。酸拡散制御剤の含有量を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物のリソグラフィー性能をより向上させることができる。当該感放射線性樹脂組成物は、酸拡散制御剤を1種又は2種以上を含有していてもよい。
【0209】
<溶剤>
本実施形態に係る感放射線性樹脂組成物は、溶剤を含有する。溶剤は、少なくとも樹脂及び感放射線性酸発生剤、並びに所望により含有される添加剤等を溶解又は分散可能な溶剤であれば特に限定されない。
【0210】
溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、アミド系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
【0211】
アルコール系溶剤としては、例えば、
iso-プロパノール、4-メチル-2-ペンタノール、3-メトキシブタノール、n-ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、フルフリルアルコール、シクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、ジアセトンアルコール等の炭素数1~18のモノアルコール系溶剤;
エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の炭素数2~18の多価アルコール系溶剤;
上記多価アルコール系溶剤が有するヒドロキシ基の一部をエーテル化した多価アルコール部分エーテル系溶剤等が挙げられる。
【0212】
エーテル系溶剤としては、例えば、
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のジアルキルエーテル系溶剤;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶剤;
ジフェニルエーテル、アニソール(メチルフェニルエーテル)等の芳香環含有エーテル系溶剤;
上記多価アルコール系溶剤が有するヒドロキシ基をエーテル化した多価アルコールエーテル系溶剤等が挙げられる。
【0213】
ケトン系溶剤としては、例えばアセトン、ブタノン、メチル-iso-ブチルケトン等の鎖状ケトン系溶剤:
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶剤:
2,4-ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等が挙げられる。
【0214】
アミド系溶剤としては、例えばN,N’-ジメチルイミダゾリジノン、N-メチルピロリドン等の環状アミド系溶剤;
N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶剤等が挙げられる。
【0215】
エステル系溶剤としては、例えば、
酢酸n-ブチル、乳酸エチル等のモノカルボン酸エステル系溶剤;
ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール部分エーテルアセテート系溶剤;
γ-ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン系溶剤;
ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶剤;
ジ酢酸プロピレングリコール、酢酸メトキシトリグリコール、シュウ酸ジエチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、フタル酸ジエチル等の多価カルボン酸ジエステル系溶剤が挙げられる。
【0216】
炭化水素系溶剤としては、例えば
n-ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;
ベンゼン、トルエン、ジ-iso-プロピルベンセン、n-アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられる。
【0217】
これらの中で、エステル系溶剤、ケトン系溶剤が好ましく、多価アルコール部分エーテルアセテート系溶剤、環状ケトン系溶剤、ラクトン系溶剤がより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトンがさらに好ましい。当該感放射線性樹脂組成物は、溶剤を1種又は2種以上含有していてもよい。
【0218】
<その他の任意成分>
上記感放射線性樹脂組成物は、上記成分以外にも、その他の任意成分を含有していてもよい。上記その他の任意成分としては、例えば、架橋剤、偏在化促進剤、界面活性剤、脂環式骨格含有化合物、増感剤等を挙げることができる。これらのその他の任意成分は、それぞれ1種又は2種以上を併用してもよい。
【0219】
(架橋剤)
架橋剤は2つ以上の官能基を有する化合物であり、一括露光工程後のベーク工程において、酸触媒反応により(1)重合体成分において架橋反応を引き起こし、(1)重合体成分の分子量を増加させることで、パターン露光部の現像液に対する溶解度を低下させるものである。上記官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、エポキシ基、ビニルエーテル基等を挙げることができる。
【0220】
(偏在化促進剤)
偏在化促進剤は、上記高フッ素含有量樹脂をより効率的にレジスト膜表面に偏在させる効果を有するものである。上記感放射線性樹脂組成物にこの偏在化促進剤を含有させることで、上記高フッ素含有量樹脂の添加量を従来よりも少なくすることができる。従って、上記感放射線性樹脂組成物のリソグラフィー性能を維持しつつ、レジスト膜から液浸媒体への成分の溶出をさらに抑制したり、高速スキャンにより液浸露光をより高速に行うことが可能になり、結果としてウォーターマーク欠陥等の液浸由来欠陥を抑制するレジスト膜表面の疎水性を向上させることができる。このような偏在化促進剤として用いることができるものとしては、例えば、比誘電率が30以上200以下で、1気圧における沸点が100℃以上の低分子化合物を挙げることができる。このような化合物としては、具体的には、ラクトン化合物、カーボネート化合物、ニトリル化合物、多価アルコール等を挙げることができる。
【0221】
(界面活性剤)
界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn-オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn-ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤;市販品としては、KP341(信越化学工業製)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ製)、メガファックF171、同F173(以上、DIC製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム製)、アサヒガードAG710、サーフロンS-382、同SC-101、同SC-102、同SC-103、同SC-104、同SC-105、同SC-106(以上、旭硝子工業製)等を挙げることができる。上記感放射線性樹脂組成物における界面活性剤の含有量としては、樹脂100質量部に対して通常2質量部以下である。
【0222】
(脂環式骨格含有化合物)
脂環式骨格含有化合物は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を改善する効果を奏する。
【0223】
脂環式骨格含有化合物としては、例えば、
1-アダマンタンカルボン酸、2-アダマンタノン、1-アダマンタンカルボン酸t-ブチル等のアダマンタン誘導体類;
デオキシコール酸t-ブチル、デオキシコール酸t-ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2-エトキシエチル等のデオキシコール酸エステル類;
リトコール酸t-ブチル、リトコール酸t-ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2-エトキシエチル等のリトコール酸エステル類;
3-〔2-ヒドロキシ-2,2-ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.1(2,5).1(7,10)]ドデカン、2-ヒドロキシ-9-メトキシカルボニル-5-オキソ-4-オキサ-トリシクロ[4.2.1.0(3,7)]ノナン等を挙げることができる。上記感放射線性樹脂組成物における脂環式骨格含有化合物の含有量としては、樹脂100質量部に対して通常5質量部以下である。
【0224】
(増感剤)
増感剤は、感放射線性酸発生剤等からの酸の生成量を増加する作用を示すものであり、上記感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
【0225】
増感剤としては、例えば、カルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等を挙げることができる。これらの増感剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。上記感放射線性樹脂組成物における増感剤の含有量としては、樹脂100質量部に対して通常2質量部以下である。
【0226】
<感放射線性樹脂組成物の調製方法>
上記感放射線性樹脂組成物は、例えば、樹脂、感放射線性酸発生剤及び溶剤と、必要に応じてその他の任意成分とを所定の割合で混合することにより調製できる。上記感放射線性樹脂組成物は、混合後に、例えば、孔径0.05μm程度のフィルター等でろ過することが好ましい。上記感放射線性樹脂組成物の固形分濃度としては、通常0.1質量%~50質量%であり、0.5質量%~30質量%が好ましく、1質量%~20質量%がより好ましい。
【0227】
《パターン形成方法》
本実施形態におけるパターン形成方法は、
上記感放射線性樹脂組成物を基板上に直接又は間接に塗布してレジスト膜を形成する工程(1)(以下、「レジスト膜形成工程」ともいう)、
上記レジスト膜を露光する工程(2)(以下、「露光工程」ともいう)、及び、
露光された上記レジスト膜を現像する工程(3)(以下、「現像工程」ともいう)を含む。
【0228】
上記パターン形成方法によれば、露光工程における感度やCDU性能、解像度に優れた上記感放射線性樹脂組成物を用いているため、高品位のレジストパターンを形成することができる。以下、各工程について説明する。
【0229】
[レジスト膜形成工程]
本工程(上記工程(1))では、上記感放射線性樹脂組成物でレジスト膜を形成する。このレジスト膜を形成する基板としては、例えば、シリコンウェハ、二酸化シリコン、アルミニウムで被覆されたウェハ等の従来公知のもの等を挙げることができる。また、例えば、特公平6-12452号公報や特開昭59-93448号公報等に開示されている有機系又は無機系の反射防止膜を基板上に形成してもよい。塗布方法としては、例えば、回転塗布(スピンコーティング)、流延塗布、ロール塗布等を挙げることができる。塗布した後に、必要に応じて、塗膜中の溶剤を揮発させるため、プレベーク(PB)を行ってもよい。PB温度としては、通常60℃~140℃であり、80℃~120℃が好ましい。PB時間としては、通常5秒~600秒であり、10秒~300秒が好ましい。形成されるレジスト膜の膜厚としては、10nm~1,000nmが好ましく、10nm~500nmがより好ましい。
【0230】
液浸露光を行う場合、上記感放射線性樹脂組成物における上記高フッ素含有量樹脂等の撥水性重合体添加剤の有無にかかわらず、上記形成したレジスト膜上に、液浸液とレジスト膜との直接の接触を避ける目的で、液浸液に不溶性の液浸用保護膜を設けてもよい。液浸用保護膜としては、現像工程の前に溶剤により剥離する溶剤剥離型保護膜(例えば、特開2006-227632号公報参照)、現像工程の現像と同時に剥離する現像液剥離型保護膜(例えば、WO2005-069076号公報、WO2006-035790号公報参照)のいずれを用いてもよい。ただし、スループットの観点からは、現像液剥離型液浸用保護膜を用いることが好ましい。
【0231】
また、次工程である露光工程を波長50nm以下の放射線にて行う場合、上記組成物中のベース樹脂として上記構造単位Aとともに、必要に応じて構造単位Cを有する樹脂を用いることが好ましい。
【0232】
[露光工程]
本工程(上記工程(2))では、上記工程(1)であるレジスト膜形成工程で形成されたレジスト膜に、フォトマスクを介して(場合によっては、水等の液浸媒体を介して)、放射線を照射し、露光する。露光に用いる放射線としては、目的とするパターンの線幅に応じて、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、EUV(極端紫外線)、X線、γ線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線などを挙げることができる。これらの中でも、遠紫外線、電子線、EUVが好ましく、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)、電子線、EUVがより好ましく、次世代露光技術として位置付けされる波長50nm以下の電子線、EUVがさらに好ましい。
【0233】
露光を液浸露光により行う場合、用いる液浸液としては、例えば、水、フッ素系不活性液体等を挙げることができる。液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつ膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましいが、特に露光光源がArFエキシマレーザー光(波長193nm)である場合、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水を用いるのが好ましい。水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させる添加剤をわずかな割合で添加しても良い。この添加剤は、ウェハ上のレジスト膜を溶解させず、かつレンズの下面の光学コートに対する影響が無視できるものが好ましい。使用する水としては蒸留水が好ましい。
【0234】
上記露光の後、ポストエクスポージャーベーク(PEB)を行い、レジスト膜の露光された部分において、露光により感放射線性酸発生剤から発生した酸による樹脂等が有する酸解離性基の解離を促進させることが好ましい。このPEBによって、露光部と未露光部とで現像液に対する溶解性に差が生じる。PEB温度としては、通常50℃~180℃であり、80℃~130℃が好ましい。PEB時間としては、通常5秒~600秒であり、10秒~300秒が好ましい。
【0235】
[現像工程]
本工程(上記工程(3))では、上記工程(2)である上記露光工程で露光されたレジスト膜を現像する。これにより、所定のレジストパターンを形成することができる。現像後は、水又はアルコール等のリンス液で洗浄し、乾燥することが一般的である。
【0236】
上記現像に用いる現像液としては、アルカリ現像の場合、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ-[4.3.0]-5-ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ水溶液等を挙げることができる。これらの中でも、TMAH水溶液が好ましく、2.38質量%TMAH水溶液がより好ましい。
【0237】
また、有機溶剤現像の場合、炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤等の有機溶剤、又は有機溶剤を含有する溶剤を挙げることができる。上記有機溶剤としては、例えば、上述の感放射線性樹脂組成物の溶剤として列挙した溶剤の1種又は2種以上等を挙げることができる。これらの中でも、エステル系溶剤、ケトン系溶剤が好ましい。エステル系溶剤としては、酢酸エステル系溶剤が好ましく、酢酸n-ブチル、酢酸アミルがより好ましい。ケトン系溶剤としては、鎖状ケトンが好ましく、2-ヘプタノンがより好ましい。現像液中の有機溶剤の含有量としては、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、99質量%以上が特に好ましい。現像液中の有機溶剤以外の成分としては、例えば、水、シリコンオイル等を挙げることができる。
【0238】
現像方法としては、例えば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等を挙げることができる。
【実施例】
【0239】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各種物性値の測定方法を以下に示す。なお以下の合成例のうち重合反応においては特に断りのない限り、質量部は使用した単量体の合計質量を100質量部とした場合の値を意味し、モル%は使用した単量体の合計モル数を100モル%とした場合の値を意味する。
【0240】
[重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分散度(Mw/Mn)の測定]
樹脂の項に記載の測定条件により測定した。また、分散度(Mw/Mn)は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
【0241】
[1H-NMR分析及び13C-NMR分析]
日本電子社の「JNM-Delta400」を用いて測定した。
【0242】
<[Z]単量体化合物の合成>
[合成例1:単量体化合物(Z-1)の合成]
下記反応スキームに従って、単量体化合物(Z-1)を合成した。
【0243】
【0244】
反応容器に(P1-1)で表される化合物(154mmol)、N,N-ジメチルアミノピリジン(15.4mmol)、t-ブチルアルコール(154mL)を混合し、室温で攪拌した。次いで、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(169mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(384mL)溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温でさらに10時間攪拌したのち、塩化メチレン(500mL)を加えて濾過し、濾液の溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物(P2-1)を93%の収率で得た。
【0245】
化合物(P2-1)(142mmol)をTHF(284mL)に溶かし、室温で攪拌しピリジン(355mmol)を滴下した。滴下終了後反応溶液を0℃に冷却し、塩化アセチル(355mmol)のTHF(284mL)溶液を1時間かけて滴下した。室温に昇温してさらに3時間攪拌した。冷却後、超純水(500mL)を加え酢酸エチル300mLで3回抽出した。次いで、有機層を飽和食塩水(500mL)で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物(P3-1)を99%以上の収率で得た。
【0246】
亜鉛粉末(578mmol)とN,N’-ジメチルホルムアミド(156mL)を混合し室温で10分攪拌した後に、塩化アセチル(14.2mmol)を滴下し、室温で1時間攪拌した。次いで、化合物(P3-1)(142mmol)およびジブロモメタン(234mmol)のN,N’-ジメチルホルムアミド(60mL)溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、無水酢酸(142mmol)を滴下し1時間攪拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を500mL加えた。酢酸エチル300mLで3回抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄、次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物(Z-1)を66%の収率で得た。
【0247】
[合成例2~20:単量体化合物(Z-2)~(Z-20)の合成]
前駆体を適宜選択し、実施例1と同様の処方を選択することで、下記式(Z-2)~(Z-20)で表される[Z]単量体化合物を合成した。
【化39】
【0248】
【0249】
<[A]樹脂の合成>
各実施例及び比較例における各樹脂の合成で用いた単量体を以下に示す。(メタ)アクリル酸エステル系単量体由来の構造単位Bのうち、酸解離性基を有する構造単位B1を与える化合物として(M-4)、(M-5)及び(M-6)を用い、非酸解離性基を有する構造単位B2を与える化合物として(M-9)を用い、フェノール性水酸基を有する構造単位Cを与える化合物として(M-1)、(M-2)及び(M-3)を用い、極性基を有する構造単位Dを与える化合物として(M-7)及び(M-8)を用い、高フッ素含有量樹脂を形成する構造単位Gを与える化合物として(M-10)を用いた。
【0250】
【0251】
[合成例21:樹脂(A-1)の合成]
単量体としての化合物(Z-1)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(200質量部)に溶解した。ここに開始剤として2,2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)(10モル%)を加えて単量体溶液を調製した。一方、空の反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテル(全モノマー量に対して100質量部)を加え、攪拌しながら85℃に加熱した。次に、上記で調製した単量体溶液を3時間かけて滴下し、その後さらに3時間85℃で加熱し、重合反応を合計6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を室温に冷却した。重合溶液をn-ヘキサン(1,000質量部)中に滴下して、重合体を凝固精製した。上記重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル(150質量部)を加えた。さらに、メタノール(150質量部)、トリエチルアミン(化合物(Z-1)の使用量に対し1.5モル当量)及び水(化合物(Z-1)の使用量に対し1.5モル当量)を加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応終了後、溶媒及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた重合体をアセトン(150質量部)に溶解した。これを水(2,000質量部)中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ別した。50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の樹脂(A-1)を良好な収率で得た。
【0252】
[合成例22~60:樹脂(A-2)~(A-38)、(CA-1)及び(CA-2)の合成]
モノマーを適宜選択し、合成例21と同様の操作を行うことによって、樹脂(A-2)~(A-38)、(CA-1)及び(CA-2)を合成した。なおトリエチルアミン及び水の使用量は化合物(Z-1)~(Z-20)及び(M-1)、(M-3)の使用量に対し1.5モル当量、化合物(M-2)の使用量に対し3.0モル等量の合計とした。
【0253】
得られた樹脂の各構造単位の使用量、Mw及びMw/Mnの値を表1に合わせて示す。
【0254】
【0255】
[合成例61:高フッ素含有量樹脂(B)の合成]
単量体としての化合物(M-6)、化合物(M-10)をモル比率が70/30となるように2-ブタノン(100質量部)に溶解した。ここに開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(5モル%)を添加し、単量体溶液を調製した。一方、空の反応容器に2-ブタノン(50質量部)を入れ、30分窒素パージした。反応容器内を80℃とし、攪拌しながら、上記単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。反応溶液を分液漏斗に移液した後、ヘキサン(150質量部)で上記反応溶液を均一に希釈したのち、メタノール(600質量部)、および水(30質量部)を投入して混合した。30分静置後、下層を回収し、溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに置換することで、高フッ素含有量樹脂(B)を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。
【0256】
<感放射線性樹脂組成物の調製>
下記実施例及び比較例の感放射線性樹脂組成物の調製に用いた[C]感放射線性酸発生剤、[CC]他の感放射線性酸発生剤、[D]酸拡散制御剤、及び[E]溶媒を以下に示す。
【0257】
[C]感放射線性酸発生剤
感放射線性酸発生剤として下記式(C-1)~(C-11)で表される化合物を用いた。
【0258】
【0259】
[CC]他の感放射線性酸発生剤
他の感放射線性酸発生剤として下記式(CC-1)及び(CC-2)で表される化合物を用いた。
【0260】
【0261】
[D]酸拡散制御剤
酸拡散制御剤として下記式(D-1)~(D-3)で表される化合物を用いた。
【0262】
【0263】
[E]溶剤
E-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
E-2:プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0264】
[実施例1]
[A]樹脂(A-1)100質量部、[B]高フッ素含有量樹脂(B)1質量部、[C]感放射線性酸発生剤としての(C-1)5質量部、[D]酸拡散抑制剤としての(D-1)を(C-1)に対して20モル%、[E]有機溶媒としての(E-1)7700質量部及び(E-2)3300質量部を配合して感放射線性樹脂組成物(R-1)を調製した。
【0265】
[実施例2~38及び比較例1~5]
下記表2に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、実施例1と同様に操作して、感放射線性樹脂組成物(R-2)~(R-38)及び(CR-1)~(CR-5)を調製した。
【表2】
【0266】
<レジストパターンの形成>
膜厚20nmの下層膜(AL412(Brewer Science社製))が形成された12インチのシリコンウェハ表面に、スピンコーター(CLEAN TRACK ACT12、東京エレクトロン製)を使用して、上記調製した各感放射線性樹脂組成物を塗布した。100℃で60秒間SB(ソフトベーク)を行った後、23℃で30秒間冷却し、膜厚30nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜に、EUV露光機(型式「NXE3300」、ASML製、NA=0.33、照明条件:Conventional s=0.89)を用いてEUV光を照射した。上記レジスト膜に100℃で60秒間PEB(ポストエクスポージャーベーク)を行った。次いで、2.38wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて23℃で30秒間現像し、コンタクトホールパターン(直径25nm、50nmピッチ)を形成した。
【0267】
<評価>
上記形成した各レジストパターンについて、下記方法に従って測定することにより、各感放射線性樹脂組成物の感度、CDU性能及び解像度を評価した。なお、レジストパターンの測長には走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「CG-5000」)を用いた。評価結果を下記表3に示す。
【0268】
[感度]
上記レジストパターンの形成において、直径25nmコンタクトホールパターンを形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度(mJ/cm2)とした。感度は、60mJ/cm2以下の場合は「良好」と、60mJ/cm2を超える場合は「不良」と判定した。
【0269】
[CDU性能]
上記走査型電子顕微鏡を用いてレジストパターンを上部から観察し、任意のポイントで計800個測長した。寸法のバラつき(3σ)を求め、これをCDU性能(nm)とした。CDUは、その値が小さいほど、長周期でのホール径のばらつきが小さく良好であることを示す。CDU性能は、4.5nm以下の場合は「良好」と、4.5nmを超える場合は「不良」と評価した。
【0270】
[解像度]
露光量を変えた場合に解像される最小のコンタクトホールパターンの直径を測定し、この測定値を解像度(nm)とした。解像度は、値が小さいほど良いことを示す。解像度は、22nm以下の場合は「良好」と、22nmを超える場合は「不良」と評価した。
【0271】
【0272】
<[Z]単量体化合物の合成>
[合成例62:単量体化合物(Z-21)の合成]
下記反応スキームに従って、単量体化合物(Z-21)を合成した。
【0273】
【0274】
亜鉛粉末(578mmol)とN,N’-ジメチルホルムアミド(156mL)を混合し室温で10分攪拌した後に、塩化アセチル(14.2mmol)を滴下し、室温で1時間攪拌した。次いで、化合物(P2-1)(142mmol)およびジブロモメタン(234mmol)のN,N’-ジメチルホルムアミド(60mL)溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を500mL加えた。酢酸エチル300mLで3回抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄、次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物(Z-21)を52%の収率で得た。
【0275】
<[A]樹脂の合成>
各実施例及び比較例における各樹脂の合成で用いた単量体を以下に示す。フェノール性水酸基を有する構造単位Cを与える化合物として(M-11)、(M-12)を用い、感放射線性酸発生基を有する構造単位を与える化合物として(M-13)及び(M-14)を用いた。
【0276】
【0277】
[合成例63:樹脂(A-39)の合成]
単量体としての化合物(Z-21)、化合物(M-6)、化合物(M-12)、及び化合物(M-13)をモル比率が10/45/30/15となるようにテトラヒドロフラン(200質量部)に溶解した。ここに開始剤として2,2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)(10モル%)を加えて単量体溶液を調製した。一方、空の反応容器にテトラヒドロフラン(全モノマー量に対して100質量部)を加え、攪拌しながら還流させた。次に、上記で調製した単量体溶液を3時間かけて滴下し、その後さらに3時間還流し、重合反応を合計6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を室温に冷却した。重合溶液をメタノール(1,000質量部)中に滴下して、重合体を凝固精製した。さらにヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して白色粉末状の樹脂(A-39)を良好な収率で得た。
【0278】
[合成例64:樹脂(A-40)の合成]
モノマーを適宜選択し、合成例63と同様の操作を行うことによって、樹脂(A-40)を合成した。
【0279】
得られた樹脂の各構造単位の使用量、Mw及びMw/Mnの値を表4に合わせて示す。
【0280】
【0281】
<感放射線性樹脂組成物の調製>
下記実施例及び比較例の感放射線性樹脂組成物の調製に用いた[C]感放射線性酸発生剤、[CC]他の感放射線性酸発生剤、[D]酸拡散制御剤、及び[E]溶媒を以下に示す。
【0282】
[C]感放射線性酸発生剤
感放射線性酸発生剤として下記式(C-12)~(C-14)で表される化合物を用いた。
【0283】
【0284】
[実施例39~43]
下記表5に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、実施例1と同様に操作して、感放射線性樹脂組成物(R-39)~(R-43)を調製した。
【0285】
【0286】
<レジストパターンの形成及び評価>
実施例1~38及び比較例1~5と同様にしてコンタクトホールパターン(直径25nm、50nmピッチ)を形成した。次いで、上記形成した各レジストパターンについて、実施例1~38及び比較例1~5と同様にして、各感放射線性樹脂組成物の感度、CDU性能及び解像度を評価した。評価結果を下記表6に示す。
【0287】
【0288】
<感放射線性樹脂組成物の調製>
下記実施例の感放射線性樹脂組成物の調製に用いた[D]酸拡散制御剤を以下に示す。
【0289】
[D]酸拡散制御剤
酸拡散制御剤として下記式(D-4)で表される化合物を用いた。
【0290】
【0291】
[実施例44]
下記表7に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、実施例1と同様に操作して、感放射線性樹脂組成物(R-44)を調製した。
【0292】
【0293】
<レジストパターンの形成及び評価>
実施例1~38及び比較例1~5と同様にしてコンタクトホールパターン(直径25nm、50nmピッチ)を形成した。次いで上記形成した各レジストパターンについて、実施例1~38及び比較例1~5と同様にして各感放射線性樹脂組成物の感度、CDU性能及び解像度を評価した。評価結果を下記表8に示す。
【0294】
【0295】
表3及び表6の結果から明らかなように、実施例の感放射線性樹脂組成物ではいずれも、感度、CDU性能、解像度が比較例の感放射線性樹脂組成物と比較して良好であった。表8の結果から明らかなように、実施例の感放射線性樹脂組成物では、感度、CDU性能、解像度が良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0296】
本発明の感放射線性樹脂組成物及びパターン形成方法によれば、従来よりも感度、CDUおよび解像度を改良することができる。従って、これらは半導体デバイス、液晶デバイス等の各種電子デバイスのリソグラフィー工程における微細なレジストパターン形成に好適に用いることができる。