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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】便蓋及び便座
(51)【国際特許分類】
   A47K 13/00 20060101AFI20240801BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
A47K13/00
B32B27/20 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021037586
(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公開番号】P2022137880
(43)【公開日】2022-09-22
【審査請求日】2024-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】武田 宏二
(72)【発明者】
【氏名】岩下 直基
(72)【発明者】
【氏名】副島 嵩生
(72)【発明者】
【氏名】光橋 義陽
(72)【発明者】
【氏名】始田 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】黒木 潤二
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-065517(JP,A)
【文献】特開2013-224346(JP,A)
【文献】特開2014-019068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00
B32B 27/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に対して開閉可能に設けられる便蓋であって、
閉状態において前記便器のボウル部の上方に位置する便蓋本体部と、
閉状態において前記便蓋本体部の端部から下方に向かって延びる便蓋側面部と、
を備え、
前記便蓋本体部及び前記便蓋側面部は、結晶性樹脂と無機フィラーとを含み、一体成形されており、
前記便蓋本体部は、閉状態において上方を向く便蓋表面部と、閉状態において下方を向く便蓋裏面部と、を有し、
前記便蓋表面部における前記無機フィラーの配向強度は、前記便蓋裏面部における前記無機フィラーの配向強度よりも大きいことを特徴とする便蓋。
【請求項2】
前記便蓋表面部における前記結晶性樹脂の結晶化度は、前記便蓋裏面部における前記結晶性樹脂の結晶化度よりも高いことを特徴とする請求項1記載の便蓋。
【請求項3】
前記便蓋表面部は、閉状態において上方側の最表層に位置し、前記無機フィラーの配向強度が1.1未満、または、前記無機フィラーの配向角度が流動方向±5度を超えている領域である第1便蓋スキン層を有し、
前記便蓋裏面部は、閉状態において下方側の最表層に位置し、前記無機フィラーの配向強度が1.1未満、または、前記無機フィラーの配向角度が流動方向±5度を超えている領域である第2便蓋スキン層を有し、
前記第1便蓋スキン層の厚さは、前記第2便蓋スキン層の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の便蓋。
【請求項4】
便器に対して開閉可能に設けられる中空の便座であって、
閉状態において上方または下方に露出する第1面部と、前記第1面部の端部から前記第1面部が露出する方向とは反対側に向かって延びる便座側面部と、を有する第1部材と、
前記第1面部とは反対側に露出する第2面部を有する第2部材と、
を備え、
前記第1面部及び前記便座側面部は、結晶性樹脂と無機フィラーとを含み、一体成形されており、
前記第1面部は、前記第1面部が露出する方向を向く便座表面部と、前記便座表面部とは反対側を向く便座裏面部と、を有し、
前記便座表面部における前記無機フィラーの配向強度は、前記便座裏面部における前記無機フィラーの配向強度よりも大きいことを特徴とする便座。
【請求項5】
前記便座表面部における前記結晶性樹脂の結晶化度は、前記便座裏面部における前記結晶性樹脂の結晶化度よりも高いことを特徴とする請求項4記載の便座。
【請求項6】
前記便座表面部は、前記第1面部が露出する方向側の最表層に位置し、前記無機フィラーの配向強度が1.1未満、または、前記無機フィラーの配向角度が流動方向±5度を超えている領域である第1便座スキン層を有し、
前記便座裏面部は、前記第1面部が露出する方向とは反対側の最表層に位置し、前記無機フィラーの配向強度が1.1未満、または、前記無機フィラーの配向角度が流動方向±5度を超えている領域である第2便座スキン層を有し、
前記第1便座スキン層の厚さは、前記第2便座スキン層の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項4または5に記載の便座。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、便蓋及び便座に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂を含む材料を射出成形して製造される便蓋や便座において、材料にガラス繊維などの無機フィラーを添加することが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特公昭56-58291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
便蓋や便座は、鉛直方向の断面が凹状(コの字状)になるように成形される。熱可塑性樹脂を用いてこのような形状を有する便蓋や便座を成形すると、成形品が冷却される過程で発生した残留応力により経時的に成形品が収縮し、側面部が内倒れするという課題がある。特に、特許文献1のようにガラス繊維などの無機フィラーを添加した場合には、残留応力による経時的な寸法変化がさらに大きくなるため、金型から取り出した後の側面部の内倒れ量がさらに大きくなるという課題がある。
【0005】
例えば、便蓋において側面部の内倒れ量が大きくなると、便蓋を閉じた際に側面部の下端が便座と干渉して、便蓋を完全に閉じることができなくなり、便座の保温性能が低下したり、美観が低下したりするおそれがある。また、便座は、2つの成形品を組み立てて製造される。そのため、例えば、便座において側面部の内倒れ量が大きくなると、便座を組み立てられなくなるおそれがある。
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、側面部の内倒れを抑制できる便蓋及び便座を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様は、便器に対して開閉可能に設けられる便蓋であって、閉状態において前記便器のボウル部の上方に位置する便蓋本体部と、閉状態において前記便蓋本体部の端部から下方に向かって延びる便蓋側面部と、を備え、前記便蓋本体部及び前記便蓋側面部は、結晶性樹脂と無機フィラーとを含み、一体成形されており、前記便蓋本体部は、閉状態において上方を向く便蓋表面部と、閉状態において下方を向く便蓋裏面部と、を有し、前記便蓋表面部における前記無機フィラーの配向強度は、前記便蓋裏面部における前記無機フィラーの配向強度よりも大きいことを特徴とする便蓋である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、側面部の内倒れを抑制できる便蓋及び便座を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るトイレ装置を表す斜視図である。
図2図2(a)及び図2(b)は、実施形態に係る便蓋を表す平面図及び断面図である。
図3】実施形態に係る便蓋の一部を模式的に表す断面図である。
図4図4(a)~図4(c)は、実施形態に係る便蓋の各層における無機フィラーの配向状態を表す写真である。
図5図5(a)及び図5(b)は、実施形態に係る便座を表す平面図及び断面図である。
図6】実施形態に係る便座の一部を模式的に表す断面図である。
図7図7(a)~図7(c)は、便蓋の製造工程の一部を表す断面図である。
図8】無機フィラーの配向角度の一例を表すグラフである。
図9】結晶性樹脂のX線回折スペクトルの一例を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係るトイレ装置を表す斜視図である。
図1に表したように、実施形態に係るトイレ装置100は、洋式腰掛便器(以下、単に「便器」という)10と、ケーシング20と、便蓋30と、便座40と、を備える。
【0011】
便器10は、下方に向けて窪んだボウル部11を有する。便器10は、ボウル部11において使用者の尿や便などの排泄物を受ける。
【0012】
ここで、本願明細書においては、便座40に座った使用者からみて上方を「上方」とし、便座40に座った使用者からみて下方を「下方」とする。また、開いた状態の便蓋30に背を向けて便座40に座った使用者からみて左右方向を、それぞれ「左側方」及び「右側方」とし、前後方向を、それぞれ「前方」及び「後方」とする。
【0013】
便器10のボウル部11の後方の上には、ケーシング20が設けられている。ケーシング20の内部には、例えば、便蓋30を開閉するための便蓋電動開閉ユニットや便座40を開閉するための便座電動開閉ユニットが収納されている。また、ケーシング20の内部には、例えば、使用者の局部を洗浄するノズルユニットなどが収納されていてもよい。
【0014】
便蓋30及び便座40は、それぞれ、便器10に対して開閉可能に設けられている。便蓋30及び便座40は、それぞれ、ケーシング20に対して回動可能に軸支されている。より具体的には、便蓋30は、ケーシング20の内部に収納された便蓋電動開閉ユニットに軸支されている。便座40は、ケーシング20の内部に収納された便座電動開閉ユニットに軸支されている。図1では、開状態の便蓋30と、閉状態の便座40と、を表している。
【0015】
便座40は、閉状態において、ボウル部11の上方に位置する。便座40は、閉状態において上下方向に貫通する開口部40hを有する。便蓋30は、閉状態において、ボウル部11及び便座40の上方を覆う。
【0016】
以下、便蓋30について、さらに詳しく説明する。
図2(a)及び図2(b)は、実施形態に係る便蓋を表す平面図及び断面図である。
図3は、実施形態に係る便蓋の一部を模式的に表す断面図である。
図2(b)は、図2(a)に示したA1-A2線による断面図である。
図3は、図2(b)に示した領域R1の拡大図である。
図1図2(a)、及び図2(b)に表したように、便蓋30は、便蓋本体部31と、便蓋側面部32と、を有する。
【0017】
便蓋本体部31は、閉状態において、ボウル部11及び便座40の上方に位置する。便蓋本体部31は、閉状態においてボウル部11及び便座40の上方を覆う。
【0018】
便蓋側面部32は、閉状態において、便蓋本体部31の前方、左側方、及び右側方の端部から下方に向かって延びる。つまり、便蓋30は、鉛直方向の断面が凹状(コの字状)になっている。便蓋本体部31及び便蓋側面部32は、一体成形されている。
【0019】
便蓋本体部31は、便蓋表面部31aと、便蓋裏面部31bと、を有する。便蓋表面部31aは、閉状態において、上方を向く。便蓋裏面部31bは、閉状態において、下方を向く。便蓋裏面部31bは、例えば、閉状態において便座40と対向する。以下、便蓋30の説明では、閉状態における上方側を表側、閉状態における下方側を裏側として説明する。
【0020】
便蓋本体部31及び便蓋側面部32は、結晶性樹脂と、無機フィラーと、を含む。結晶性樹脂は、結晶性を有する熱可塑性樹脂である。結晶性樹脂としては、例えば、PPまたはポリブチレンテレフタレート(PBT:Polybutyleneterephtalate)が用いられる。
【0021】
無機フィラーは、無機材料からなるフィラー(充填剤)である。無機フィラーとしては、例えば、ガラス繊維などの繊維状の無機フィラーが用いられる。無機フィラーは、繊維状でなくてもよい。また、無機フィラーは、例えば、針状鉱物、縦横差のある高アスペクトな板状鉱物、紡錘状鉱物、米粒状鉱物、扁平の米粒状鉱物などの鉱物であってもよい。無機フィラーとしてガラス繊維を用いる場合、繊維径が直径6μm以上24μm以下(例えば、13μm程度)、長さが10μm以上3000μm以下(例えば、300μm以上1000μm以下程度)のガラス繊維を用いることが好ましい。便蓋本体部31及び便蓋側面部32に含まれる無機フィラーの量は、結晶性樹脂と無機フィラーの合計の100質量部に対して、5質量部以上30質量部以下(例えば、10質量部程度)であることが好ましい。
【0022】
便蓋表面部31aにおける無機フィラーの配向強度は、便蓋裏面部31bにおける無機フィラーの配向強度よりも大きい。便蓋表面部31aにおける無機フィラーの配向強度は、例えば、1.2以上である。便蓋裏面部31bにおける無機フィラーの配向強度は、例えば、1.1以下である。
【0023】
便蓋表面部31aにおける無機フィラーの配向強度は、例えば、図2(a)に示した領域S1における便蓋本体部31の表側における無機フィラーの配向強度である。便蓋裏面部31bにおける無機フィラーの配向強度は、例えば、図2(a)に示した領域S1における便蓋本体部31の裏側における無機フィラーの配向強度である。領域S1は、例えば、便蓋本体部31のゲートG(成形時に材料が注入される部分)から70mm前方の位置の5mm四方の領域である。なお、図2(a)では、ゲートGの位置を二点鎖線で表している。
【0024】
無機フィラーの配向角度及び配向強度は、例えば、以下の方法で求めることができる。
まず、便蓋本体部31の領域S1を5mm×5mmにカットしてサンプルを作製する。次に、マイクロフォーカスX線CTシステム(島津製作所製 inspeXio SMX-100CT)を用いて、サンプルの3次元構造の観察を行い、厚み方向に0.011mmピッチで断面画像を取得する。次に、紙の表面繊維配向解析プログラム(V.8.03、http://enomae.com/FiberOri/index.htm、江前敏晴、“画像処理を用いた紙の物性解析手法”、紙パルプ技術タイムス48(11)、P1-5(2005))を用いて得られた断面画像の解析を行い、画像ごとに、無機フィラーの配向角度及び配向強度の値を求める。なお、配向角度とは、パワースペクトルが大きい角度のことである。配向強度とは、パワースペクトル分布を楕円近似した際の長軸/短軸の比である。便蓋表面部31aにおける無機フィラーの配向強度は、便蓋表面部31aの表側の最表面(露出面)から深さ0.3mmまでの配向強度の平均値として求められる。便蓋裏面部31bにおける無機フィラーの配向強度は、便蓋裏面部31bの裏側の最表面(露出面)から深さ0.3mmまでの配向強度の平均値として求められる。
【0025】
便蓋表面部31aにおける無機フィラーの配向強度を便蓋裏面部31bにおける無機フィラーの配向強度よりも大きくすることで、便蓋表面部31aにおける収縮力を便蓋裏面部31bにおける収縮力よりも大きくすることができる。便蓋表面部31aにおける収縮力を便蓋裏面部31bにおける収縮力よりも大きくすることで、便蓋側面部32に対して外倒れする方向の力を付与できる。これにより、残留応力によって便蓋側面部32に対してかかる内倒れする方向の力を相殺することができ、便蓋側面部32の内倒れを抑制できる。したがって、金型から取り出した後の便蓋側面部32の寸法変化を小さくできる。
【0026】
図3に表したように、便蓋表面部31a及び便蓋裏面部31bは、連続的に設けられている。便蓋本体部31の厚さ方向の中央CL1よりも表側を便蓋表面部31a、便蓋本体部31の厚さ方向の中央CL1よりも裏側を便蓋裏面部31bとみなすことができる。
【0027】
便蓋表面部31a及び便蓋裏面部31bは、それぞれ、多層構造を有する。便蓋表面部31aは、第1便蓋スキン層36aと、第1便蓋せん断流動層36bと、第1便蓋コア層36cと、を有する。便蓋裏面部31bは、第2便蓋スキン層37aと、第2便蓋せん断流動層37bと、第2便蓋コア層37cと、を有する。
【0028】
第1便蓋スキン層36aは、表側の最表層に位置する。第1便蓋スキン層36aは、便蓋表面部31aの表側の最表面(露出面)を含む。第1便蓋せん断流動層36bは、第1便蓋スキン層36aの裏側に位置する。第1便蓋コア層36cは、第1便蓋せん断流動層36bの裏側に位置する。
【0029】
第2便蓋スキン層37aは、裏側の最表層に位置する。第2便蓋スキン層37aは、便蓋裏面部31bの裏側の最表面(露出面)を含む。第2便蓋せん断流動層37bは、第2便蓋スキン層37aの表側に位置する。第2便蓋コア層37cは、第2便蓋せん断流動層37bの表側に位置する。第1便蓋コア層36c及び第2便蓋コア層37cは、連続的に設けられている。
【0030】
第1便蓋スキン層36aの厚さT1は、例えば、第2便蓋スキン層37aの厚さT2よりも小さい。厚さT1は、例えば、第1便蓋せん断流動層36bの厚さT3よりも小さい。厚さT2は、例えば、第2便蓋せん断流動層37bの厚さT4よりも大きい。厚さT2は、例えば、厚さT1と厚さT3との合計値に等しい。厚さT3は、例えば、厚さT4と等しい。第1便蓋コア層36cの厚さと第2便蓋コア層37cの厚さとの合計値は、例えば、厚さT1と厚さT2と厚さT3と厚さT4との合計値よりも大きい。厚さT1は、例えば、0.1mm程度である。厚さT2は、例えば、0.3mm程度である。厚さT3は、例えば、0.2mm程度である。厚さT4は、例えば、0.2mm程度である。第1便蓋コア層36cの厚さと第2便蓋コア層37cの厚さとの合計値は、例えば、3.8mm程度である。
【0031】
便蓋表面部31aの第1便蓋スキン層36aの厚さT1を便蓋裏面部31bの第2便蓋スキン層37aの厚さT2よりも小さくすることで、便蓋表面部31aにおける収縮力を便蓋裏面部31bにおける収縮力よりも大きくすることができる。これにより、便蓋側面部32に対して外倒れする方向の力を付与することができ、便蓋側面部32の内倒れをより確実に抑制できる。また、第1便蓋スキン層36aの厚さT1を第2便蓋スキン層37aの厚さT2よりも小さくする手段として、例えば、金型内で便蓋表面部31aを冷却する際の金型温度を金型内で便蓋裏面部31bを冷却する際の金型温度よりも高くすることが考えられる。これにより、金型から取り出した際の便蓋表面部31aの温度が便蓋裏面部31bの温度よりも高くなり、便蓋表面部31aにおける収縮力を便蓋裏面部31bにおける収縮力よりも大きくすることができる。これにより、便蓋側面部32に対して外倒れする方向の力を付与することができ、便蓋側面部32の内倒れをより確実に抑制できる。したがって、金型から取り出した後の便蓋側面部32の寸法変化をより小さくできる。
【0032】
図4(a)~図4(c)は、実施形態に係る便蓋の各層における無機フィラーの配向状態を表す写真である。
図4(a)は、第1便蓋スキン層36aにおける無機フィラーの配向状態を表している。図4(b)は、第1便蓋せん断流動層36bにおける無機フィラーの配向状態を表している。図4(c)は、第1便蓋コア層36cにおける無機フィラーの配向状態を表している。図4(a)~図4(c)では、無機フィラーが白く表されている。
【0033】
図4(a)~図4(c)に表したように、第1便蓋せん断流動層36bは、流動方向に沿い、配向強度が大きい層である。ここで、「流動方向」とは、射出成形時に無機フィラーを含む材料が流動する方向である。第1便蓋せん断流動層36bは、例えば、無機フィラーの配向強度が1.1以上、かつ、無機フィラーの配向角度が流動方向±5度以内となっている領域である。第1便蓋スキン層36aは、例えば、第1便蓋せん断流動層36bの表側に位置し、無機フィラーの配向強度が1.1未満、または、無機フィラーの配向角度が流動方向±5度を超えている領域である。第1便蓋コア層36cは、例えば、第1便蓋せん断流動層36bの裏側に位置し、無機フィラーの配向強度が1.1未満、または、無機フィラーの配向角度が流動方向±5度を超えている領域である。
【0034】
また、第2便蓋スキン層37a、第2便蓋せん断流動層37b、及び第2便蓋コア層37cは、第1便蓋スキン層36a、第1便蓋せん断流動層36b、及び第1便蓋コア層36cと同様にして定義することができる。すなわち、第2便蓋せん断流動層37bは、例えば、無機フィラーの配向強度が1.1以上、かつ、無機フィラーの配向角度が流動方向±5度以内となっている領域である。第2便蓋スキン層37aは、例えば、第2便蓋せん断流動層37bの裏側に位置し、無機フィラーの配向強度が1.1未満、または、無機フィラーの配向角度が流動方向±5度を超えている領域である。第2便蓋コア層37cは、例えば、第2便蓋せん断流動層37bの表側に位置し、無機フィラーの配向強度が1.1未満、または、無機フィラーの配向角度が流動方向±5度を超えている領域である。
【0035】
便蓋表面部31aにおける結晶性樹脂の結晶化度は、例えば、便蓋裏面部31bにおける結晶性樹脂の結晶化度よりも高い。便蓋表面部31aにおける結晶性樹脂の結晶化度は、例えば、40%以上である。便蓋裏面部31bにおける結晶性樹脂の結晶化度は、例えば、40%未満であり、好ましくは35%未満である。
【0036】
便蓋表面部31aにおける結晶性樹脂の結晶化度は、例えば、図2(a)に示した領域S1における便蓋本体部31の表側の結晶性樹脂の結晶化度である。便蓋裏面部31bにおける結晶性樹脂の結晶化度は、例えば、図2(a)に示した領域S1における便蓋本体部31の裏側の結晶性樹脂の結晶化度である。
【0037】
結晶性樹脂の結晶化度は、例えば、以下の方法で求めることができる。
まず、便蓋本体部31の領域S1を5mm×5mmにカットしてサンプルを作製する。次に、X線回折装置(スペクトリス製 X’Pert PRO)を用いて、サンプルの表面と入射X線とのなす角度を1.0度となるようにサンプルを設置した状態で、回折強度を測定する。次に、得られたX線回折強度曲線(X線回折スペクトル)を非晶質ハローと各結晶質ピークとに波形分離し、非晶質ハローの面積Sc(非晶質ハローの積分強度)と全結晶質ピークの面積Sc(各結晶質ピークの積分強度の総和)から、下記の(1)式を用いて結晶性樹脂の結晶化度を求める。
結晶性樹脂の結晶化度=Sc/(Sc+Sa)×100(%)・・・(1)
なお、X線回折装置の測定条件は、以下の通りである。
X線源: CuKα
発散スリット: 1.0mm
スキャン法: 連続スキャン法
スキャン軸: 2θ
入射角: 1.0度
測定範囲: 5~40度
サンプリング間隔: 5~40度
スキャン速度: 0.02度/min
管電圧: 45kV
管電流: 40mA
【0038】
便蓋表面部31aにおける結晶性樹脂の結晶化度を便蓋裏面部31bにおける結晶性樹脂の結晶化度よりも高くすることで、便蓋表面部31aにおける収縮力を便蓋裏面部31bにおける収縮力よりも大きくすることができる。これにより、便蓋側面部32に対して外倒れする方向の力を付与することができ、便蓋側面部32の内倒れをより確実に抑制できる。また、便蓋表面部31aにおける結晶性樹脂の結晶化度を便蓋裏面部31bにおける結晶性樹脂の結晶化度よりも高くする手段として、例えば、金型内で便蓋表面部31aを冷却する際の金型温度を金型内で便蓋裏面部31bを冷却する際の金型温度よりも高くすることが考えられる。これにより、金型から取り出した際の便蓋表面部31aの温度が便蓋裏面部31bの温度よりも高くなり、便蓋表面部31aにおける収縮力を便蓋裏面部31bにおける収縮力よりも大きくすることができる。これにより、便蓋側面部32に対して外倒れする方向の力を付与することができ、便蓋側面部32の内倒れをより確実に抑制できる。したがって、金型から取り出した後の便蓋側面部32の寸法変化をより小さくできる。
【0039】
以下、便座40について、さらに詳しく説明する。
図5(a)及び図5(b)は、実施形態に係る便座を表す平面図及び断面図である。
図6は、実施形態に係る便座の一部を模式的に表す断面図である。
図5(b)は、図5(a)に示したB1-B2線による断面図である。
図6は、図5(b)に示した領域R2の拡大図である。
図5(a)及び図5(b)に表したように、便座40は、中空であり、第1部材41と、第2部材42と、第1接合部材43と、第2接合部材44と、を有する。第1部材41及び第2部材42は、便座40の内周側において、第1接合部材43により接合されている。第1部材41及び第2部材42は、便座40の外周側において、第2接合部材44により接合されている。
【0040】
第1部材41は、第1面部41aと、一対の便座側面部41bと、を有する。第1面部41aは、閉状態において上方または下方に露出する。一対の便座側面部41bの一方は、第1面部41aの内周側の端部から第1面部41aが露出する方向とは反対側に向かって延びている。一対の便座側面部41bの他方は、第1面部41aの外周側の端部から第1面部41aが露出する方向とは反対側に向かって延びている。つまり、第1部材41は、鉛直方向の断面が凹状(コの字状)になっている。第1面部41a及び一対の便座側面部41bは、それぞれ、一体成形されている。第2部材42は、第1面部41aとは反対側に露出する第2面部42aを有する。
【0041】
第1面部41aは、便座表面部46aと、便座裏面部46bと、を有する。便座表面部46aは、第1面部41aが露出する方向を向く。便座裏面部46bは、便座表面部46aとは反対側を向く。つまり、便座裏面部46bは、第1面部41aが露出する方向とは反対側を向く。以下、便座40の説明では、第1面部41aが露出する方向側を表側、第1面部41aが露出する方向とは反対側を裏側として説明する。表側は、中空の便座40の外側であり、裏側は、中空の便座40の内側である。
【0042】
以下では、第1部材41が上板であり、第2部材42が底板である場合を例に挙げて説明する。この例では、第1部材41は、第2部材42の上に設けられている。第1面部41aは、閉状態において上方に露出する上面部である。上面部は、使用者が着座する着座面部である。一対の便座側面部41bは、それぞれ、閉状態において下方に向かって延びている。第2面部42aは、閉状態において下方に露出する下面部である。つまり、この例では、上板の鉛直方向の断面が凹状(コの字状)になっている。また、この例では、便座表面部46aは、閉状態において上方を向く面であり、便座の外表面の一部を構成している。一方、便座裏面部46bは、閉状態において下方を向く面であり、中空の便座の内表面の一部を構成している。
【0043】
第1面部41a及び便座側面部41bは、結晶性樹脂と、無機フィラーと、を含む。つまり、第1部材41は、結晶性樹脂と、無機フィラーと、を含む。第2部材42は、例えば、結晶性樹脂と、無機フィラーと、を含む。結晶性樹脂及び無機フィラーとしては、便蓋30の説明で例示したものと同様のものを用いることができる。また、無機フィラーの配合量も、便蓋30の説明で例示したものと同様とすることができる。
【0044】
便座表面部46aにおける無機フィラーの配向強度は、便座裏面部46bにおける無機フィラーの配向強度よりも大きい。便座表面部46aにおける無機フィラーの配向強度は、例えば、1.2以上である。便座裏面部46bにおける無機フィラーの配向強度は、例えば、1.1以下である。
【0045】
便座表面部46aにおける無機フィラーの配向強度は、例えば、図5(a)に示した領域S2における第1面部41aの表側における無機フィラーの配向強度である。便座裏面部46bにおける無機フィラーの配向強度は、例えば、図5(a)に示した領域S2における第1面部41aの裏側における無機フィラーの配向強度である。領域S2は、例えば、便座40のゲートG(成形時に材料が注入される部分)から50mm前方の位置の5mm四方の領域である。なお、図5(a)では、ゲートGの位置を二点鎖線で表している。無機フィラーの配向強度は、例えば、上述の便蓋30における無機フィラーの配向強度と同様の方法で求めることができる。
【0046】
便座表面部46aにおける無機フィラーの配向強度を便座裏面部46bにおける無機フィラーの配向強度よりも大きくすることで、便座表面部46aにおける収縮力を便座裏面部46bにおける収縮力よりも大きくすることができる。便座表面部46aにおける収縮力を便座裏面部46bにおける収縮力よりも大きくすることで、便座側面部41bに対して外倒れする方向の力を付与できる。これにより、残留応力によって便座側面部41bに対してかかる内倒れする方向の力を相殺することができ、便座側面部41bの内倒れを抑制できる。したがって、金型から取り出した後の便座側面部41bの寸法変化を小さくできる。
【0047】
図6に表したように、便座表面部46a及び便座裏面部46bは、連続的に設けられている。第1面部41aの厚さ方向の中央CL2よりも表側を便座表面部46a、第1面部41aの厚さ方向の中央CL2よりも裏側を便座裏面部46bとみなすことができる。
【0048】
便座表面部46a及び便座裏面部46bは、それぞれ、多層構造を有する。便座表面部46aは、第1便座スキン層48aと、第1便座せん断流動層48bと、第1便座コア層48cと、を有する。便座裏面部46bは、第2便座スキン層49aと、第2便座せん断流動層49bと、第2便座コア層49cと、を有する。
【0049】
第1便座スキン層48aは、表側の最表層に位置する。第1便座スキン層48aは、第1面部41aの表側の最表面(露出面)を含む。第1便座せん断流動層48bは、第1便座スキン層48aの裏側に位置する。第1便座コア層48cは、第1便座せん断流動層48bの裏側に位置する。
【0050】
第2便座スキン層49aは、裏側の最表層に位置する。第2便座スキン層49aは、第1面部41aの裏側の最表面(露出面)を含む。第2便座せん断流動層49bは、第2便座スキン層49aの表側に位置する。第2便座コア層49cは、第2便座せん断流動層49bの表側に位置する。第1便座コア層48c及び第2便座コア層49cは、連続的に設けられている。
【0051】
第1便座スキン層48aの厚さT11は、例えば、第2便座スキン層49aの厚さT12よりも小さい。厚さT11は、例えば、第1便座せん断流動層48bの厚さT13よりも小さい。厚さT12は、例えば、第2便座せん断流動層49bの厚さT14よりも大きい。厚さT12は、例えば、厚さT11と厚さT13との合計値に等しい。厚さT13は、例えば、厚さT14と等しい。第1便座コア層48cの厚さと第2便座コア層49cの厚さとの合計値は、例えば、厚さT11と厚さT12と厚さT13と厚さT14との合計値よりも大きい。厚さT11は、例えば、0.1mm程度である。厚さT12は、例えば、0.3mm程度である。厚さT13は、例えば、0.2mm程度である。厚さT14は、例えば、0.2mm程度である。第1便座コア層48cの厚さと第2便座コア層49cの厚さとの合計値は、例えば、3.5mm程度である。
【0052】
便座表面部46aの第1便座スキン層48aの厚さT11を便座裏面部46bの第2便座スキン層49aの厚さT12よりも小さくすることで、便座表面部46aにおける収縮力を便座裏面部46bにおける収縮力よりも大きくすることができる。これにより、便座側面部41bに対して外倒れする方向の力を付与することができ、便座側面部41bの内倒れをより確実に抑制できる。また、第1便座スキン層48aの厚さT11を第2便座スキン層49aの厚さT12よりも小さくする手段として、例えば、金型内で便座表面部46aを冷却する際の金型温度を金型内で便座裏面部46bを冷却する際の金型温度よりも高くすることが考えられる。これにより、金型から取り出した際の便座表面部46aの温度が便座裏面部46bの温度よりも高くなり、便座表面部46aにおける収縮力を便座裏面部46bにおける収縮力よりも大きくすることができる。これにより、便座側面部41bに対して外倒れする方向の力を付与することができ、便座側面部41bの内倒れをより確実に抑制できる。したがって、金型から取り出した後の便座側面部41bの寸法変化をより小さくできる。
【0053】
便座40の第1便座スキン層48a、第1便座せん断流動層48b、及び第1便座コア層48cは、例えば、上述した便蓋30の第1便蓋スキン層36a、第1便蓋せん断流動層36b、及び第1便蓋コア層36cと同様にして定義することができる。すなわち、第1便座せん断流動層48bは、例えば、無機フィラーの配向強度が1.1以上、かつ、無機フィラーの配向角度が流動方向±5度以内となっている領域である。第1便座スキン層48aは、例えば、第1便座せん断流動層48bの表側に位置し、無機フィラーの配向強度が1.1未満、または、無機フィラーの配向角度が流動方向±5度を超えている領域である。第1便座コア層48cは、例えば、第1便座せん断流動層48bの裏側に位置し、無機フィラーの配向強度が1.1未満、または、無機フィラーの配向角度が流動方向±5度を超えている領域である。
【0054】
また、便座40の第2便座スキン層49a、第2便座せん断流動層49b、及び第2便座コア層49cは、例えば、上述した便蓋30の第2便蓋スキン層37a、第2便蓋せん断流動層37b、及び第2便蓋コア層37cと同様にして定義することができる。すなわち、第2便座せん断流動層49bは、例えば、無機フィラーの配向強度が1.1以上、かつ、無機フィラーの配向角度が流動方向±5度以内となっている領域である。第2便座スキン層49aは、例えば、第2便座せん断流動層49bの裏側に位置し、無機フィラーの配向強度が1.1未満、または、無機フィラーの配向角度が流動方向±5度を超えている領域である。第2便座コア層49cは、例えば、第2便座せん断流動層49bの表側に位置し、無機フィラーの配向強度が1.1未満、または、無機フィラーの配向角度が流動方向±5度を超えている領域である。
【0055】
便座表面部46aにおける結晶性樹脂の結晶化度は、例えば、便座裏面部46bにおける結晶性樹脂の結晶化度よりも高い。便座表面部46aにおける結晶性樹脂の結晶化度は、例えば、40%以上である。便座裏面部46bにおける結晶性樹脂の結晶化度は、例えば、40%未満であり、好ましくは35%未満である。
【0056】
便座表面部46aにおける結晶性樹脂の結晶化度は、例えば、図5(a)に示した領域S2における第1面部41aの表側の結晶性樹脂の結晶化度である。便座裏面部46bにおける結晶性樹脂の結晶化度は、例えば、図5(a)に示した領域S2における第1面部41aの裏側の結晶性樹脂の結晶化度である。結晶性樹脂の結晶化度は、例えば、上述の便蓋30における結晶性樹脂の結晶化度と同様の方法で求めることができる。
【0057】
便座表面部46aにおける結晶性樹脂の結晶化度を便座裏面部46bにおける結晶性樹脂の結晶化度よりも高くすることで、便座表面部46aにおける収縮力を便座裏面部46bにおける収縮力よりも大きくすることができる。これにより、便座側面部41bに対して外倒れする方向の力を付与することができ、便座側面部41bの内倒れをより確実に抑制できる。また、便座表面部46aにおける結晶性樹脂の結晶化度を便座裏面部46bにおける結晶性樹脂の結晶化度よりも高くする手段として、例えば、金型内で便座表面部46aを冷却する際の金型温度を金型内で便座裏面部46bを冷却する際の金型温度よりも高くすることが考えられる。これにより、金型から取り出した際の便座表面部46aの温度が便座裏面部46bの温度よりも高くなり、便座表面部46aにおける収縮力を便座裏面部46bにおける収縮力よりも大きくすることができる。これにより、便座側面部41bに対して外倒れする方向の力を付与することができ、便座側面部41bの内倒れをより確実に抑制できる。したがって、金型から取り出した後の便座側面部41bの寸法変化をより小さくできる。
【0058】
なお、上記の説明では、第1部材41が上板であり、第2部材42が底板である場合を例に挙げて説明したが、第1部材41が底板であり、第2部材42が上板であってもよい。つまり、下板の鉛直方向の断面が凹状(コの字状)になっていてもよい。この場合、第1面部41aは、閉状態において下方に露出する下面部である。また、この場合、一対の便座側面部41bは、それぞれ、閉状態において上方に向かって延びる。また、この場合、第2面部42aは、閉状態において上方に露出する上面部である。このような便座40においても、上記の構成を適用することができる。
【0059】
以下、実施形態に係る便蓋30及び便座40の製造工程について説明する。
図7(a)~図7(c)は、実施形態に係る便蓋の製造工程の一部を表す断面図である。
図7(a)~図7(c)に表したように、便蓋30は、金型M1及び金型M2を用いて、成形により製造される。金型M1には、加熱部Hと、冷却部C1と、が設けられている。金型M2には、冷却部C2が設けられており、加熱部は設けられていない。
【0060】
製造工程においては、まず、図7(a)に表したように、加熱部Hにより加熱された金型M1及び加熱されていない金型M2で形成された空間に上記の結晶性樹脂などを含む材料Xを充填する。このとき、材料Xは、金型M1よりも高温に加熱された状態で、金型M1及び金型M2で形成された空間に充填される。言い換えると、材料Xは、熱変形温度(ISOR75)のマイナス70℃以上かつ射出シリンダの温度より低い温度に加熱された金型M1及び加熱されていない金型M2で形成された空間に、射出シリンダにより加熱された状態で充填される。これにより、材料Xは、金型M1に接している側において徐々に冷却されるとともに、金型M2に接している側において急速に冷却される。次に、図7(b)に表したように、冷却部C1により金型M1を冷却するとともに、冷却部C2により金型M2を冷却することで、金型M1及び金型M2の内部において材料Xを冷却して硬化させる。次に、図7(c)に表したように、材料Xが硬化することで成形された便蓋30を金型M1及び金型M2から取り出す。
【0061】
このように、便蓋表面部31a側の金型M1には加熱部Hを設けるとともに、便蓋裏面部31b側の金型M2には加熱部を設けないことで、金型M1内で冷却される便蓋表面部31aの温度を、金型M2内で冷却される便蓋裏面部31bの温度よりも高くすることができる。これにより、便蓋表面部31aにおける無機フィラーの配向強度を、便蓋裏面部31bにおける無機フィラーの配向強度よりも大きくすることができる。また、便蓋表面部31aにおける結晶性樹脂の結晶化度を、便蓋裏面部31bにおける結晶性樹脂の結晶化度よりも高くすることができる。また、便蓋表面部31aの第1便蓋スキン層36aの厚さT1を、便蓋裏面部31bの第2便蓋スキン層37aの厚さT2よりも小さくすることができる。
【0062】
以下、このように金型M1、M2の少なくとも一方に加熱部を設け、材料Xを徐々に冷却して硬化させる成形方法を、「ヒート&クール成形(H&C成形)」と称する。これに対し、金型M1、M2のいずれにも加熱部を設けず、材料Xを急速に冷却して硬化させる成形方法を、「通常成形」と称する。
【0063】
図7(a)~図7(c)では、便蓋30の製造工程について説明したが、便座40も同様の方法で製造することができる。便座40は、例えば、上記の方法で第1部材41と第2部材42とを作製し、第1部材41と第2部材42とを第1接合部材43及び第2接合部材44により接合させることで、製造することができる。このとき、加熱部Hを設けた金型M1で第1部材41の便座表面部46a側を成形し、加熱部を設けない金型M2で第1部材41の便座裏面部46b側を成形することで、便座表面部46aにおける無機フィラーの配向強度を、便座裏面部46bにおける無機フィラーの配向強度よりも大きくすることができる。また、便座表面部46aにおける結晶性樹脂の結晶化度を、便座裏面部46bにおける結晶性樹脂の結晶化度よりも高くすることができる。また、便座表面部46aの第1便座スキン層48aの厚さT11を、便座裏面部46bの第2便座スキン層49aの厚さT12よりも小さくすることができる。
【0064】
また、金型M1に加熱部Hを設ける代わりに、金型M1の成形品を形成する面に、断熱材をコーティングしてもよい。金型M1の表面に断熱材をコーティングすることで、加熱溶融した材料Xの冷却速度が遅くなるため、H&C成形と同様の効果を得ることができる。
【0065】
また、金型M1に加熱部Hを設ける代わりに、冷却部C1に温水や加圧した温水などを流してもよい。冷却部C1に温水や加圧した温水などを流すことで、金型M1の温度が通常の成形よりも高くなるため、H&C成形と同様の効果を得ることができる。
【0066】
以下、実験例について説明する。
図8は、無機フィラーの配向角度の一例を表すグラフである。
図9は、結晶性樹脂のX線回折スペクトルの一例を表すグラフである。
H&C成形により、加熱部が設けられた金型で便蓋表面部31a側を成形し、加熱部が設けられていない金型で便蓋裏面部31b側を成形することで、便蓋30を製造した。
【0067】
得られた便蓋30において、上述の方法で、便蓋表面部31a及び便蓋裏面部31bにおける無機フィラーの配向角度を求めた。結果を図8に示す。図8では、流動方向を90度としている。また、上述の方法で、便蓋表面部31a及び便蓋裏面部31bにおける無機フィラーの配向強度を求めた。
【0068】
また、得られた便蓋30において、上述の方法で、便蓋表面部31a及び便蓋裏面部31bにおける結晶性樹脂のX線回折スペクトルを求めた。結果を図9に示す。図9では、便蓋表面部31aにおける結晶性樹脂のX線回折スペクトルを実線で表し、便蓋裏面部31bにおける結晶性樹脂のX線回折スペクトルを破線で表している。また、上述の方法で、X線回折スペクトルから、便蓋表面部31aにおける結晶性樹脂の結晶化度及び便蓋裏面部31bにおける結晶性樹脂の結晶化度を算出した。
【0069】
図8に表したように、便蓋表面部31aでは、表側の最表面からの深さが0.1mmから0.3mmまでの領域に、配向角度が流動方向に沿う第1便蓋せん断流動層36b(厚さ0.2mm)が形成され、表側の最表面からの深さが0mm以上0.1mmの領域に、配向角度が流動方向に沿わない(無配向の)第1便蓋スキン層36a(厚さ0.1mm)が形成されていた。
【0070】
一方、図8に表したように、便蓋裏面部31bでは、裏側の最表面からの深さが0.3mmから0.5mmまでの領域に、配向角度が流動方向に沿う第2便蓋せん断流動層37b(厚さ0.2mm)が形成され、裏側の最表面からの深さが0mmから0.3mmまでの領域に、配向角度が流動方向に沿わない(無配向の)第2便蓋スキン層37a(厚さ0.3mm)が形成されていた。つまり、便蓋表面部31aの第1便蓋スキン層36aの厚さは、便蓋裏面部31bの第2便蓋スキン層37aの厚さよりも小さかった。
【0071】
また、便蓋表面部31aにおける無機フィラーの配向強度は1.2であり、便蓋裏面部31bにおける無機フィラーの配向強度は1.1であった。つまり、便蓋表面部31aにおける無機フィラーの配向強度は、便蓋裏面部31bにおける無機フィラーの配向強度よりも大きかった。
【0072】
なお、上述のように、便蓋表面部31aにおける無機フィラーの配向強度は、便蓋表面部31aの表側の最表面(露出面)から深さ0.3mmまでの配向強度の平均値である。つまり、この実験例では、便蓋表面部31aにおける無機フィラーの配向強度は、第1便蓋スキン層36aと第1便蓋せん断流動層36bとを含む領域における無機フィラーの配向強度の平均値である。一方、上述のように、便蓋裏面部31bにおける無機フィラーの配向強度は、便蓋裏面部31bの裏側の最表面(露出面)から深さ0.3mmまでの配向強度の平均値である。つまり、この実験例では、便蓋裏面部31bにおける無機フィラーの配向強度は、第2便蓋スキン層37aにおける無機フィラーの配向強度の平均値である。
【0073】
また、図9に表したX線回折スペクトルから算出された便蓋表面部31aの結晶性樹脂の結晶化度は44%であり、図9に表したX線回折スペクトルから算出された便蓋裏面部31bにおける結晶性樹脂の結晶化度は31%であった。つまり、便蓋表面部31aにおける結晶性樹脂の結晶化度は、便蓋裏面部31bにおける結晶性樹脂の結晶化度よりも高かった。
【0074】
このような実験例の便蓋30では、例えば、通常成形で製造された便蓋に比べて、便蓋側面部32の内倒れが抑制されていた。なお、通常成形で製造された便蓋では、便蓋表面部31aにおける無機フィラーの配向強度と、便蓋裏面部31bにおける無機フィラーの配向強度と、が同じであった。また、通常成形で製造された便蓋では、便蓋表面部31aの結晶性樹脂の結晶化度と、便蓋裏面部31bにおける結晶性樹脂の結晶化度と、が同じであった。また、通常成形で製造された便蓋では、第1便蓋スキン層36aの厚さと、第2便蓋スキン層37aの厚さと、が同じであった。
【0075】
また、ここでは説明を省略するが、加熱部が設けられた金型で便座表面部46a側を成形し、加熱部が設けられていない金型で便座裏面部46b側を成形することで製造した便座40では、通常成形で製造された便座に比べて、便座側面部41bの内倒れが抑制されていた。
【0076】
以上説明した実施形態に基づく便蓋及び便座として、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
【0077】
第1の態様は、便器に対して開閉可能に設けられる便蓋であって、閉状態において前記便器のボウル部の上方に位置する便蓋本体部と、閉状態において前記便蓋本体部の端部から下方に向かって延びる便蓋側面部と、を備え、前記便蓋本体部及び前記便蓋側面部は、結晶性樹脂と無機フィラーとを含み、一体成形されており、前記便蓋本体部は、閉状態において上方を向く便蓋表面部と、閉状態において下方を向く便蓋裏面部と、を有し、前記便蓋表面部における前記無機フィラーの配向強度は、前記便蓋裏面部における前記無機フィラーの配向強度よりも大きいことを特徴とする便蓋である。
【0078】
第1の態様によれば、便蓋表面部における無機フィラーの配向強度を便蓋裏面部における無機フィラーの配向強度よりも大きくすることで、便蓋表面部における収縮力を便蓋裏面部における収縮力よりも大きくすることができる。便蓋表面部における収縮力を便蓋裏面部における収縮力よりも大きくすることで、便蓋側面部に対して外倒れする方向の力を付与できる。これにより、残留応力によって便蓋側面部に対してかかる内倒れする方向の力を相殺することができ、便蓋側面部の内倒れを抑制できる。したがって、金型から取り出した後の便蓋側面部の寸法変化を小さくできる。
【0079】
第2の態様は、第1の態様において、前記便蓋表面部における前記結晶性樹脂の結晶化度は、前記便蓋裏面部における前記結晶性樹脂の結晶化度よりも高いことを特徴とする便蓋である。
【0080】
第2の態様によれば、便蓋表面部における結晶性樹脂の結晶化度を便蓋裏面部における結晶性樹脂の結晶化度よりも高くすることで、便蓋表面部における収縮力を便蓋裏面部における収縮力よりも大きくすることができる。これにより、便蓋側面部に対して外倒れする方向の力を付与することができ、便蓋側面部の内倒れをより確実に抑制できる。また、便蓋表面部における結晶性樹脂の結晶化度を便蓋裏面部における結晶性樹脂の結晶化度よりも高くする手段として、例えば、金型内で便蓋表面部を冷却する際の金型温度を金型内で便蓋裏面部を冷却する際の金型温度よりも高くすることが考えられる。これにより、金型から取り出した際の便蓋表面部の温度が便蓋裏面部の温度よりも高くなり、便蓋表面部における収縮力を便蓋裏面部における収縮力よりも大きくすることができる。これにより、便蓋側面部に対して外倒れする方向の力を付与することができ、便蓋側面部の内倒れをより確実に抑制できる。したがって、金型から取り出した後の便蓋側面部の寸法変化をより小さくできる。
【0081】
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記便蓋表面部は、閉状態において上方側の最表層に位置し、前記無機フィラーの配向強度が1.1未満、または、前記無機フィラーの配向角度が流動方向±5度を超えている領域である第1便蓋スキン層を有し、前記便蓋裏面部は、閉状態において下方側の最表層に位置し、前記無機フィラーの配向強度が1.1未満、または、前記無機フィラーの配向角度が流動方向±5度を超えている領域である第2便蓋スキン層を有し、前記第1便蓋スキン層の厚さは、前記第2便蓋スキン層の厚さよりも小さいことを特徴とする便蓋である。
【0082】
第3の態様によれば、便蓋表面部の第1便蓋スキン層の厚さを便蓋裏面部の第2便蓋スキン層の厚さよりも小さくすることで、便蓋表面部における収縮力を便蓋裏面部における収縮力よりも大きくすることができる。これにより、便蓋側面部に対して外倒れする方向の力を付与することができ、便蓋側面部の内倒れをより確実に抑制できる。また、第1便蓋スキン層の厚さを第2便蓋スキン層の厚さよりも小さくする手段として、例えば、金型内で便蓋表面部を冷却する際の金型温度を金型内で便蓋裏面部を冷却する際の金型温度よりも高くすることが考えられる。これにより、金型から取り出した際の便蓋表面部の温度が便蓋裏面部の温度よりも高くなり、便蓋表面部における収縮力を便蓋裏面部における収縮力よりも大きくすることができる。これにより、便蓋側面部に対して外倒れする方向の力を付与することができ、便蓋側面部の内倒れをより確実に抑制できる。したがって、金型から取り出した後の便蓋側面部の寸法変化をより小さくできる。
【0083】
第4の態様は、便器に対して開閉可能に設けられる中空の便座であって、閉状態において上方または下方に露出する第1面部と、前記第1面部の端部から前記第1面部が露出する方向とは反対側に向かって延びる便座側面部と、を有する第1部材と、前記第1面部とは反対側に露出する第2面部を有する第2部材と、を備え、前記第1面部及び前記便座側面部は、結晶性樹脂と無機フィラーとを含み、一体成形されており、前記第1面部は、前記第1面部が露出する方向を向く便座表面部と、前記便座表面部とは反対側を向く便座裏面部と、を有し、前記便座表面部における前記無機フィラーの配向強度は、前記便座裏面部における前記無機フィラーの配向強度よりも大きいことを特徴とする便座である。
【0084】
第4の態様によれば、便座表面部における無機フィラーの配向強度を便座裏面部における無機フィラーの配向強度よりも大きくすることで、便座表面部における収縮力を便座裏面部における収縮力よりも大きくすることができる。便座表面部における収縮力を便座裏面部における収縮力よりも大きくすることで、便座側面部に対して外倒れする方向の力を付与できる。これにより、残留応力によって便座側面部に対してかかる内倒れする方向の力を相殺することができ、便座側面部の内倒れを抑制できる。したがって、金型から取り出した後の便座側面部の寸法変化を小さくできる。
【0085】
第5の態様は、第4の態様において、前記便座表面部における前記結晶性樹脂の結晶化度は、前記便座裏面部における前記結晶性樹脂の結晶化度よりも高いことを特徴とする便座である。
【0086】
第5の態様によれば、便座表面部における結晶性樹脂の結晶化度を便座裏面部における結晶性樹脂の結晶化度よりも高くすることで、便座表面部における収縮力を便座裏面部における収縮力よりも大きくすることができる。これにより、便座側面部に対して外倒れする方向の力を付与することができ、便座側面部の内倒れをより確実に抑制できる。また、便座表面部における結晶性樹脂の結晶化度を便座裏面部における結晶性樹脂の結晶化度よりも高くする手段として、例えば、金型内で便座表面部を冷却する際の金型温度を金型内で便座裏面部を冷却する際の金型温度よりも高くすることが考えられる。これにより、金型から取り出した際の便座表面部の温度が便座裏面部の温度よりも高くなり、便座表面部における収縮力を便座裏面部における収縮力よりも大きくすることができる。これにより、便座側面部に対して外倒れする方向の力を付与することができ、便座側面部の内倒れをより確実に抑制できる。したがって、金型から取り出した後の便座側面部の寸法変化をより小さくできる。
【0087】
第6の態様は、第4または第5の態様において、前記便座表面部は、前記第1面部が露出する方向側の最表層に位置し、前記無機フィラーの配向強度が1.1未満、または、前記無機フィラーの配向角度が流動方向±5度を超えている領域である第1便座スキン層を有し、前記便座裏面部は、前記第1面部が露出する方向とは反対側の最表層に位置し、前記無機フィラーの配向強度が1.1未満、または、前記無機フィラーの配向角度が流動方向±5度を超えている領域である第2便座スキン層を有し、前記第1便座スキン層の厚さは、前記第2便座スキン層の厚さよりも小さいことを特徴とする便座である。
【0088】
第6の態様によれば、便座表面部の第1便座スキン層の厚さを便座裏面部の第2便座スキン層の厚さよりも小さくすることで、便座表面部における収縮力を便座裏面部における収縮力よりも大きくすることができる。これにより、便座側面部に対して外倒れする方向の力を付与することができ、便座側面部の内倒れをより確実に抑制できる。また、第1便座スキン層の厚さを第2便座スキン層の厚さよりも小さくする手段として、例えば、金型内で便座表面部を冷却する際の金型温度を金型内で便座裏面部を冷却する際の金型温度よりも高くすることが考えられる。これにより、金型から取り出した際の便座表面部の温度が便座裏面部の温度よりも高くなり、便座表面部における収縮力を便座裏面部における収縮力よりも大きくすることができる。これにより、便座側面部に対して外倒れする方向の力を付与することができ、便座側面部の内倒れをより確実に抑制できる。したがって、金型から取り出した後の便座側面部の寸法変化をより小さくできる。
【0089】
以上説明したように、実施形態によれば、側面部の内倒れを抑制できる便蓋及び便座が提供される。
【0090】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、便蓋や便座などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0091】
10 便器、 11 ボウル部、 20 ケーシング、 30 便蓋、 31 便蓋本体部、 31a 便蓋表面部、 31b 便蓋裏面部、 32 便蓋側面部、 36a 第1便蓋スキン層、 36b 第1便蓋せん断流動層、 36c 第1便蓋コア層、 37a 第2便蓋スキン層、 37b 第2便蓋せん断流動層、 37c 第2便蓋コア層、 40 便座、 40h 開口部、 41 第1部材、 41a 第1面部、 41b 便座側面部、 42 第2部材、 43 第1接合部材、 44 第2接合部材、 46a 便座表面部、 46b 便座裏面部、 48a 第1便座スキン層、 48b 第1便座せん断流動層、 48c 第1便座コア層、 49a 第2便座スキン層、 49b 第2便座せん断流動層、 49c 第2便座コア層、 100 トイレ装置、 C1、C2 冷却部、 G ゲート、 H 加熱部、 M1、M2 金型、 X 材料
図1
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図9