(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】支給計算システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/1057 20230101AFI20240801BHJP
【FI】
G06Q10/1057
(21)【出願番号】P 2024101744
(22)【出願日】2024-06-25
(62)【分割の表示】P 2023166085の分割
【原出願日】2023-09-27
【審査請求日】2024-06-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503319560
【氏名又は名称】株式会社バイトルヒクマ
(74)【代理人】
【識別番号】100155158
【氏名又は名称】渡部 仁
(72)【発明者】
【氏名】土田 恵理
(72)【発明者】
【氏名】横田 千恵子
(72)【発明者】
【氏名】近藤 純平
(72)【発明者】
【氏名】今野 良
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】特許第7300132(JP,B1)
【文献】特開2016-192201(JP,A)
【文献】特開2022-154889(JP,A)
【文献】特開2019-113951(JP,A)
【文献】特開2007-066214(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2109187(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-2350171(KR,B1)
【文献】WiMS/SaaS ニューノーマルなオフィスワークを加速する テレワークを支援,第11回 Japan IT Week (秋),2020年10月28日,pp.1-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
勤務先ごとに、当該勤務先の勤務先IDを含む勤務先情報を記憶する勤務先情報記憶手段と、
社員ごとに、当該社員の社員ID及び当該社員が属する複数の勤務先の前記勤務先IDを含む社員情報を記憶する社員情報記憶手段と、
前記勤務先情報記憶手段及び前記社員情報記憶手段を参照し、申請社員の社員IDに対応する前記勤務先情報を取得する勤務先情報取得手段と、
前記勤務先情報取得手段で取得した勤務先情報に基づいて、前記申請社員に対し当該申請社員が属する複数の勤務先を提示する勤務先提示手段と、
前記勤務先提示手段で提示した複数の勤務先のなかからいずれかの選択を受け付ける勤務先選択手段と、
前記勤務先選択手段で選択された勤務先と前記申請社員の自宅との間の移動で当該申請社員が利用する経路に関する経路情報を経路情報記憶手段に登録する経路情報登録手段と、
対象社員が属する複数の勤務先のそれぞれについて当該対象社員が利用する経路に関する前記経路情報を前記経路情報記憶手段から取得する経路情報取得手段と、
前記対象社員が複数の前記経路を利用した実績に関する利用実績情報を取得する利用実績情報取得手段と、
前記経路情報取得手段で取得した経路情報、前記利用実績情報取得手段で取得した利用実績情報、及び、前記経路に係る運賃に関する運賃情報を記憶する運賃情報記憶手段の運賃情報に基づいて、前記対象社員が複数の前記経路を利用した場合の通勤交通費の支給金額を計算する支給金額計算手段とを備えることを特徴とする支給計算システム。
【請求項2】
勤務先ごとに、当該勤務先の勤務先IDを含む勤務先情報を記憶する勤務先情報記憶手段と、
社員ごとに、当該社員の社員ID及び当該社員が属する複数の勤務先の前記勤務先IDを含む社員情報を記憶する社員情報記憶手段と、
前記勤務先情報記憶手段及び前記社員情報記憶手段を参照し、申請社員の社員IDに対応する前記勤務先情報を取得する勤務先情報取得手段と、
前記勤務先情報取得手段で取得した勤務先情報に基づいて、前記申請社員に対し当該申請社員が属する複数の勤務先を提示する勤務先提示手段と、
前記勤務先提示手段で提示した複数の勤務先のなかからいずれかの選択を受け付ける勤務先選択手段と、
前記勤務先選択手段で選択された勤務先と前記申請社員の自宅との間の移動で当該申請社員が利用する経路の方向種別として往路、復路又は往復のいずれかの選択を受け付ける方向種別選択手段と、
前記勤務先選択手段で選択された勤務先と前記申請社員の自宅との間の移動で当該申請社員が利用する経路に関する経路情報及び前記方向種別選択手段で選択された方向種別に関する方向種別情報を経路情報記憶手段に登録する経路情報登録手段と、
対象社員が属する複数の勤務先のそれぞれについて当該対象社員が利用する経路に関する前記経路情報及び前記方向種別情報を前記経路情報記憶手段から取得する経路情報取得手段と、
前記対象社員が複数の前記経路を利用した実績に関する利用実績情報を取得する利用実績情報取得手段と、
前記経路情報取得手段で取得した経路情報及び方向種別情報、前記利用実績情報取得手段で取得した利用実績情報、並びに、前記経路に係る運賃に関する運賃情報を記憶する運賃情報記憶手段の運賃情報に基づいて、前記対象社員が複数の前記経路を利用した場合の通勤交通費の支給金額を計算する支給金額計算手段とを備えることを特徴とする支給計算システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記経路情報登録手段は、1の前記申請社員について、当該申請社員が属する複数の勤務先のうち第1勤務先との間で当該申請社員が往路で利用する経路及び復路で利用する経路としてそれぞれ異なる経路、並びに、当該複数の勤務先のうち第1勤務先とは異なる第2勤務先との間で当該申請社員が往路で利用する経路及び復路で利用する経路としてそれぞれ異なる経路に関する経路情報を前記経路情報記憶手段
に登録することを特徴とする支給計算システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記勤務先情報は、勤務先の最寄り駅に関する最寄り駅情報を含み、
前記勤務先情報取得手段で取得した勤務先情報に基づいて、前記勤務先選択手段で選択された勤務先の最寄り駅が複数存在すると判定した場合は、前記申請社員に対しそれら最寄り駅のすべての組み合わせについて、当該申請社員の自宅の最寄り駅と当該勤務先の最寄り駅との間の移動で当該申請社員が利用する経路を提示する経路提示手段と、
前記経路提示手段で提示した複数の経路のなかからいずれかの選択を受け付ける経路選択手段とを備え、
前記経路情報登録手段は、前記経路選択手段で選択された経路に関する経路情報を前記経路情報記憶手段に登録することを特徴とする支給計算システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支給対象者の支給金額の計算を支援するシステムに係り、特に、複数の勤務先に属する社員に対し通勤経路の利用に応じた交通費の支給を行う場合に支給金額を計算するのに好適な支給計算システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通勤交通費の新規発生、経路変更、打ち切り等による変更時に、通勤手当の計算及び給与への連携を行う技術として、例えば、特許文献1記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1記載の技術は、通勤交通費の新規発生、経路変更、打ち切り等の申請があると給与システムと連携して給与の交通費支給額を計算する技術であって、会社の通勤手当の支給基準や計算方法に関する定義を作成し、通勤交通費の申請データが入力されると通勤手当定義に基づいて申請データを通勤手当データに変換し、給与の交通費支給額を精算する場合は通勤手当データを計算し直す更新処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の技術にあっては、1人の社員が複数の勤務先に属することを前提とした構成となっていないため、交通費を日割り支給する社員が各出勤日について、実際にどの勤務先に出勤したかを把握することができず、交通費の支給金額を計算することが困難であるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、複数の勤務先に属する社員に対し通勤経路の利用に応じた交通費の支給を行う場合に支給金額を計算するのに好適な支給計算システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1の支給計算システムは、一の支給対象者が属する複数の勤務先のそれぞれについて当該支給対象者が自宅と当該勤務先との間の移動で利用する経路に関する経路情報を取得する経路情報取得手段と、前記一の支給対象者が複数の前記経路を利用した実績に関する利用実績情報を取得する利用実績情報取得手段と、前記経路情報取得手段で取得した経路情報、前記利用実績情報取得手段で取得した利用実績情報、及び、前記経路に係る運賃に関する運賃情報を記憶する運賃情報記憶手段の運賃情報に基づいて、前記一の支給対象者が複数の前記経路を利用した場合の交通費の支給金額を計算する支給金額計算手段とを備える。
【0008】
このような構成であれば、経路情報取得手段により、複数の勤務先のそれぞれについて一の支給対象者が利用する経路に関する経路情報が取得され、利用実績情報取得手段により、一の支給対象者が複数の経路を利用した実績に関する利用実績情報が取得される。そして、支給金額計算手段により、取得された経路情報及び利用実績情報、並びに運賃情報記憶手段の運賃情報に基づいて、一の支給対象者が複数の経路を利用した場合の交通費の支給金額が計算される。
【0009】
ここで、本システムは、単一の装置、端末その他の機器として実現するようにしてもよいし、複数の装置、端末その他の機器を通信可能に接続したネットワークシステムとして実現するようにしてもよい。後者の場合、各構成要素は、それぞれ通信可能に接続されていれば、複数の機器等のうちいずれに属していてもよい。
【0010】
〔発明2〕 さらに、発明2の支給計算システムは、発明1の支給計算システムにおいて、前記経路情報取得手段及び前記利用実績情報取得手段は、前記一の支給対象者が利用する前記複数の経路のうち当該支給対象者が利用した経路に関する経路情報及び当該支給対象者が当該経路を利用した実績に関する利用実績情報を対応づけて記憶する記憶手段から、複数の前記経路について対応する前記経路情報及び前記利用実績情報を取得する。
【0011】
このような構成であれば、経路情報取得手段及び利用実績情報取得手段により、一の支給対象者が利用する複数の経路について、その支給対象者が利用した経路に関する経路情報及びその支給対象者がその経路を利用した実績に関する利用実績情報が記憶手段から取得される。
【0012】
〔発明3〕 さらに、発明3の支給計算システムは、発明1の支給計算システムにおいて、承認処理による承認を得て、複数の前記経路について前記一の支給対象者が利用する前記経路に関する経路情報を経路情報記憶手段に登録し得る経路情報登録手段と、承認処理による承認を得て、前記経路情報記憶手段の経路情報のうち前記一の支給対象者が利用した前記経路に関する経路情報と対応づけて、当該支給対象者が当該経路を利用した実績に関する利用実績情報を利用実績情報記憶手段に登録する利用実績情報登録手段とを備え、前記経路情報取得手段及び前記利用実績情報取得手段は、複数の前記経路について対応する前記経路情報及び前記利用実績情報を前記経路情報記憶手段及び前記利用実績情報記憶手段から取得する。
【0013】
このような構成であれば、経路情報登録手段により、承認処理による承認を得て、一の支給対象者が利用する経路に関する経路情報が経路情報記憶手段に登録される。このとき、一の支給対象者は、複数の経路について経路情報を登録することができる。また、利用実績情報登録手段により、承認処理による承認を得て、経路情報記憶手段の経路情報のうち一の支給対象者が利用した経路に関する経路情報と対応づけて、その支給対象者がその経路を利用した実績に関する利用実績情報が利用実績情報記憶手段に登録される。そして、経路情報取得手段及び利用実績情報取得手段により、一の支給対象者が利用する複数の経路について、その支給対象者が利用した経路に関する経路情報及びその支給対象者がその経路を利用した実績に関する利用実績情報が経路情報記憶手段及び利用実績情報記憶手段から取得される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、発明1の支給計算システムによれば、複数の勤務先に属する支給対象者に対し経路の利用に応じた交通費の支給を行う場合の支給金額を計算することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施の形態に係るネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】通勤交通費計算サーバ100のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】企業マスタテーブル400、勤務先マスタテーブル402、社員情報マスタテーブル404、社員別経路情報テーブル406及び社員別支給情報テーブル408のデータ構造を示す図である。
【
図4】社員別日割支給情報テーブル410、部署情報テーブル412、システム環境情報テーブル414、バッチジョブ定義情報テーブル416及びタスクスケジューラ情報テーブル418のデータ構造を示す図である。
【
図5】運賃情報テーブル420のデータ構造を示す図である。
【
図6】通勤経路情報新規申請処理を示すフローチャートである。
【
図10】支給情報追加・修正処理を示すフローチャートである。
【
図13】給与連携基礎データ作成タスク登録処理を示すフローチャートである。
【
図14】通勤交通費の支給金額に変動が生じる例を説明する図である。
【
図15】給与連携バッチ処理プログラム実行処理を示すフローチャートである。
【
図16】バッチサーバ150におけるタスクスケジューラによるバッチ処理メインプログラムの実行処理の流れを示す図である。
【
図17】運賃改定に係る支給情報及び日割支給情報を計算する場合を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1~
図17は、本実施の形態を示す図である。
【0017】
本実施の形態において、「社員」とは、正社員、パート、その他の従業者をいう。
〔構成〕
まず、本実施の形態の構成を説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係るネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
インターネット199には、
図1に示すように、通勤交通費の計算及び通勤交通費の支給金額の計算を支援するサービス(以下「交通費給与連携支援サービス」という。)を提供する通勤交通費計算サーバ100と、通勤交通費の支給金額を計算するための各種基礎データの更新処理を実行するバッチサーバ150と、通勤交通費計算サーバ100及びバッチサーバ150で利用される各種テーブル情報を管理するデータベースサーバ170と、交通費給与連携支援サービスを利用する企業の社員ごとに設置された社員端末200とが接続されている。
【0019】
〔通勤交通費計算サーバ100のハードウェア構成〕
次に、通勤交通費計算サーバ100の構成を説明する。
【0020】
図2は、通勤交通費計算サーバ100のハードウェア構成を示す図である。
通勤交通費計算サーバ100は、
図2に示すように、制御プログラムに基づいて演算及びシステム全体を制御するCPU(Central Processing Unit)30と、所定領域に予めCPU30の制御プログラム等を格納しているROM(Read Only Memory)32と、ROM32等から読み出したデータやCPU30の演算過程で必要な演算結果を格納するためのRAM(Random Access Memory)34と、外部装置に対してデータの入出力を媒介するI/F(InterFace)38とで構成されており、これらは、データを転送するための信号線であるバス39で相互に且つデータ授受可能に接続されている。
【0021】
I/F38には、外部装置として、ヒューマンインターフェースとしてデータの入力が可能なキーボードやマウス等からなる入力装置40と、データやテーブル等をファイルとして格納する記憶装置42と、画像信号に基づいて画面を表示する表示装置44と、インターネット199に接続するための信号線とが接続されている。
【0022】
〔バッチサーバ150及びデータベースサーバ170のハードウェア構成〕
次に、バッチサーバ150及びデータベースサーバ170の構成を説明する。
【0023】
バッチサーバ150及びデータベースサーバ170は、通勤交通費計算サーバ100と同様のハードウェア構成を有する。
【0024】
〔社員端末200のハードウェア構成〕
社員端末200は、通勤交通費計算サーバ100のような据え置き型を想定した端末、又は、スマートフォン、タブレットなどの携帯型の端末から構成されている。前者の場合、そのハードウェア構成は、通勤交通費計算サーバ100と同様となる。一方、後者の場合、そのハードウェア構成は、CPUと、アプリケーションソフトなどのプログラムやプログラムを実行するためのデータ等を格納しているROMと、ROM等から読み出したデータやCPUの演算過程で必要な演算結果を格納するためのRAMと、付属の各種装置に対してデータの入出力を媒介するI/Fとで構成されている。これらは、データを転送するための信号線で相互に且つデータ授受可能に接続されている。
【0025】
I/Fには、付属の各種装置として、データ入力が可能で且つ画像信号に基づいて画面を表示可能なタッチパネル式の表示入力装置、記憶装置、無線通信装置、ビデオカメラ等が接続されている。
【0026】
〔各種テーブルについて〕
次に、データベースサーバ170の記憶装置に記憶されている各種テーブルのデータ構造を説明する。
【0027】
図3(a)~(e)は、企業マスタテーブル400、勤務先マスタテーブル402、社員情報マスタテーブル404、社員別経路情報テーブル406及び社員別支給情報テーブル408のデータ構造を示す図である。
【0028】
データベースサーバ170の記憶装置には、
図3(a)~(e)に示すように、企業情報を登録する企業マスタテーブル400と、企業ごとの勤務先の情報を登録する勤務先マスタテーブル402と、社員情報を登録する社員情報マスタテーブル404と、社員ごとの通勤経路の情報を登録する社員別経路情報テーブル406と、社員ごとの通勤交通費の支給情報を登録する社員別支給情報テーブル408とが記憶されている。
【0029】
企業マスタテーブル400には、
図3(a)に示すように、企業ID及び適用開始日の組合せごとに1つのレコードが登録されている。各レコードには、企業ID、企業名、申請制御区分、社員グループ区分情報、適用開始日、適用終了日、最終更新日、最終更新者、その他の情報からなる主要情報が登録されている。
【0030】
ここで、企業IDは、企業を識別するための情報であり、例えば、企業ごとに固有の番号(例えば数字のみ、文字や数字の組み合わせ)などから構成される。また、申請制御区分は、社員からの申請受付可否を設定する情報であり、社員グループ区分情報は、支給社員グループ、その他の社員グループの職系、事務所、所属等の区分を示す情報である。
【0031】
勤務先マスタテーブル402は、
図3(b)に示すように、企業ID、勤務先ID及び適用開始日の組合せごとに1つのレコードが登録されている。各レコードには、企業ID、勤務先ID、勤務先名、勤務先住所、カレンダID、始業時刻、終業時刻、燃料単価種別ID、地図情報、適用開始日、適用終了日、最終更新日、最終更新者、その他の情報からなる主要情報が登録されている。
【0032】
ここで、勤務先IDは、勤務先を識別するための情報であり、例えば、勤務先ごとに固有の番号(例えば数字のみ、文字や数字の組み合わせ)などから構成される。また、カレンダIDは、企業ごとに設定された勤務先の営業日と休日とが記されたカレンダを識別するための情報であり、例えば、カレンダの種類ごとに固有の番号(例えば数字のみ、文字や数字の組み合わせ)などから構成される。また、燃料単価種別IDは、企業ごとに設定された燃料の単価種別を識別するための情報であり、例えば、単価種別ごとに固有の番号(例えば数字のみ、文字や数字の組み合わせ)などから構成される。なお、燃料単価種別としては、ガソリン(レギュラー)、ガソリン(ハイオク)、ディーゼル(軽油)などの燃料ごとの単価種別と、EV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド電気自動車)、FCV(燃料電池自動車)などのエコ自動車の種類ごとの単価種別がある。また、地図情報は、勤務先の位置情報及び最寄り駅情報を含む。
【0033】
社員情報マスタテーブル404には、
図3(c)に示すように、企業ID、社員ID及び適用開始日の組合せごとに1つのレコードが登録されている。各レコードには、企業ID、社員ID、社員名、社員名(カナ)、社員自宅の郵便番号、社員自宅の住所、電話番号、メールアドレス、勤務先ID、勤務先名、所属部署ID、所属部署名、社員区分、支給ルールID、パスワード、権限レベル、地図情報、適用開始日、適用終了日、最終更新日、最終更新者、その他の情報を含む主要情報が登録されている。
【0034】
ここで、所属部署IDは、社員の所属する部署を識別するための情報であり、例えば、所属部署ごとに固有の番号(例えば数字のみ、文字や数字の組み合わせ)などから構成される。社員区分は、正社員、パートなどを区分する情報であり、権限レベルは、人事権限、上位者権限及び社員権限のうちのいずれかを示す情報である。人事権限は、本システムの通勤費業務に関するすべての機能を利用することができる権限であり、上位者権限は、通勤経路の申請及び申請内容の承認作業のみをすることができる権限であり、社員権限は、通勤経路の申請のみをすることができる権限である。また、地図情報は、社員自宅の位置情報及び最寄り駅情報を含む。
【0035】
1人の社員は複数の勤務先に属することがある。例えば、月の上旬は勤務先Aに、月の下旬は勤務先Bに通勤するといった場合である。このため、社員情報マスタテーブル404には、1人の社員につき1又は複数の勤務先ID及び勤務先名を登録することができる。
【0036】
社員別経路情報テーブル406には、
図3(d)に示すように、企業ID、社員ID及び経路IDの組合せごとに1つのレコードが登録されている。各レコードには、企業ID、社員ID、乗物ID、経路方向種別、社員自宅の最寄り駅、勤務先ID、勤務先名、勤務先の最寄り駅、経路ID、通勤経路、経路利用期間、1ヵ月金額、3ヵ月金額、6ヵ月金額、12ヵ月金額、片道金額、片道距離、片道時間、乗換回数、経路基準日、適用開始日、適用終了日、最終更新日、最終更新者、その他の情報を含む主要情報が登録されている。
【0037】
ここで、経路方向種別は、通勤手段の利用方向を示す情報であり往路、復路又は往復の情報となる。また、経路IDは、通勤経路を識別するための情報であり、例えば、通勤経路ごとに固有の番号(例えば数字のみ、文字や数字の組み合わせ)などから構成される。また、通勤経路は、自宅から勤務先までの経路であり、例えば、通勤手段が鉄道であれば、「自宅→徒歩→最寄り駅(自宅)→途中駅→最寄り駅(勤務先)→徒歩→勤務先」となり、例えば、通勤手段が自動車であれば、「自宅→自動車→勤務先」となる。また、1ヵ月金額、3ヵ月金額、6ヵ月金額及び12ヵ月金額は、設定した通勤手段及び経路方向種別の1、3、6及び12ヵ月の通勤交通費の金額であり、経路基準日は、通勤経路が有効となる基準日である。
【0038】
通勤経路の目的地又は到着地が勤務先の場合、社員別経路情報テーブル406には、目的地又は到着地となる勤務先に関する勤務先ID及び勤務先名をその通勤経路と対応づけて登録する。また、上記のとおり1人の社員が複数の勤務先に属することがあることから、社員別経路情報テーブル406には、1人の社員につき1又は複数の経路情報を登録することができる。複数の勤務先に関する経路情報を登録する場合、社員別経路情報テーブル406には、1人の社員につき複数の勤務先に関する勤務先ID及び勤務先名が登録される。
【0039】
社員別支給情報テーブル408は、
図3(e)に示すように、企業ID、社員ID、経路ID及び支給IDの組合せごとに1つのレコードが登録されている。各レコードには、企業ID、社員ID、経路ID、支給ID、開始日、終了日、支給日、支払方法、支給対象期間、支給対象月数、支給/控除額、自己負担額、種別、期間、備考、解約日、支払詳細情報、定期月数、定期枚数、支給金額、支給金額合計、自己負担額合計、その他の情報を含む主要情報が登録されている。
【0040】
ここで、支給IDは、支給情報を識別するための情報であり、例えば、支給情報ごとに固有の番号(例えば数字のみ、文字や数字の組み合わせ)などから構成される。また、支払方法は、例えば、給与に組み込み、銀行口座への振り込み、現物(現金)支給などの通勤交通費の支払方法を示す情報であり、支給対象月数及び定期月数は、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月及び12ヵ月のいずれかとなる。また、支払詳細情報は、継続支給の対象であるか否か、支給サイクル固定の対象であるか否か、運賃改定処理対象であるか否かを示す情報である。
【0041】
図4(a)~(e)は、社員別日割支給情報テーブル410、部署情報テーブル412、システム環境情報テーブル414、バッチジョブ定義情報テーブル416及びタスクスケジューラ情報テーブル418のデータ構造を示す図である。
【0042】
データベースサーバ170の記憶装置には、
図4(a)~(e)に示すように、社員ごとの日割通勤交通費の支給情報を登録する社員別日割支給情報テーブル410と、所属部署ごとの承認者及び代理申請者の情報を登録する部署情報テーブル412とが記憶されている。加えて、バッチサーバ150のIPアドレス等のシステム環境情報を登録するシステム環境情報テーブル414と、バッチ処理プログラムの物理ファイル名の情報等を含むバッチジョブの定義情報を登録するバッチジョブ定義情報テーブル416と、タスクスケジューラに登録したタスクを実行するための情報を登録するタスクスケジューラ情報テーブル418とが記憶されている。
【0043】
社員別日割支給情報テーブル410は、
図4(a)に示すように、企業ID、社員ID、経路ID及び日割IDの組合せごとに1つのレコードが登録されている。各レコードには、企業ID、社員ID、経路ID、日割ID、開始日、終了日、支給日、支払方法、日割支給対象期間、支給対象日数、利用方向種別(片道/往復)、支払詳細情報、支給金額、支給金額合計、その他の情報を含む主要情報が登録されている。
【0044】
ここで、日割IDは、日割情報を識別するための情報であり、例えば、日割情報ごとに固有の番号(例えば数字のみ、文字や数字の組み合わせ)などから構成される。また、日割支給対象期間は、通勤交通費を日割で計算する対象期間を示す情報であり、支給対象日数は、支給対象期間のうち通勤交通費を日割りで支払う日数の情報であり、利用方向種別(片道/往復)は、支給対象期間に利用した経路方向種別を示す情報である。また、支払詳細情報は、運賃改定処理対象であるか否かを示す情報である。
【0045】
部署情報テーブル412は、
図4(b)に示すように、企業ごと及び所属部署ごとに1つのレコードが登録されている。各レコードには、企業ID、所属部署ID、承認者ID、代理申請者ID、適用開始日、適用終了日、最終更新日、最終更新者、その他の情報を含む主要情報が登録されている。
【0046】
ここで、承認者IDは、所属部署IDに対応する所属部署に所属する社員の通勤経路の申請について承認を行う権限を有する上司権限を有する社員の社員IDであり、代理申請者IDは、同じ所属部署に所属する他の社員について通勤経路の申請を代理で行うことができる権限を有する社員の社員IDである。
【0047】
システム環境情報テーブル414は、
図4(c)に示すように、バッチサーバIPアドレス、バッチサーバユーザID、バッチサーバユーザID、パスワード、サービスURL、パケット名、実費用パケット名、その他の情報を含む主要情報が登録されている。
【0048】
ここで、バッチサーバユーザIDは、バッチサーバ150にアクセスするユーザを識別するための情報であり、例えば、ユーザごとに固有の番号(例えば数字のみ、文字や数字の組み合わせ)などから構成される。また、パケット名は、給与連携基礎データの作成で使用するパケット名であり、実費用パケット名は、実費処理で使用するパケット名である。
【0049】
バッチジョブ定義情報テーブル416は、
図4(d)に示すように、テナント番号、バッチ処理ID、バッチ名称、バッチパス、バッチ物理ファイル名、その他の情報を含む主要情報が登録されている。
【0050】
ここで、テナント番号は、給与連携基礎データの作成処理等のバッチ処理を実行するテナントの番号である。また、バッチ処理IDは、バッチ処理の種類を識別するための情報であり、例えば、バッチ処理の種類ごとに固有の番号(例えば数字のみ、文字や数字の組み合わせ)などから構成される。また、バッチパスは、バッチ処理プログラムを保存している物理パス(バッチサーバ150側)であり、バッチ処理物理ファイル名は、バッチ処理プログラムの物理ファイル名である。
【0051】
タスクスケジューラ情報テーブル418は、
図4(e)に示すように、テナント番号、バッチ処理ID及びタスクIDの組合せごとに1つのレコードが登録されている。各レコードには、テナント番号、バッチ処理ID、バッチ処理パス、パラメータ情報、タスクID、ステータス、実行フラグ、その他の情報を含む主要情報が登録されている。
【0052】
ここで、バッチ処理パスは、バッチ処理を統括するバッチ処理メインプログラムの物理ファイル名(フルパス)を示す情報であり、パラメータ情報は、バッチ処理で読み込むパラメータ情報である。例えば、給与連携基礎データの作成を行うバッチ処理(以下「給与連携バッチ処理」という。)であれば、通勤交通費の支給金額に変動が生じた支給情報を識別するための情報であり、企業ID、社員ID、支給ID(日割支給情報の場合は日割IDも)等を含む情報となる。
【0053】
図5は、運賃情報テーブル420のデータ構造を示す図である。
データベースサーバ170の記憶装置には、
図5に示すように、電車やバス等の交通機関の運賃に関する運賃情報を登録する運賃情報テーブル420が記憶されている。
【0054】
運賃情報テーブル420は、
図5に示すように、運賃IDごとに1つのレコードが登録されている。各レコードには、運賃ID、区間情報(例えば、出発駅及び到着駅それぞれの駅番号)、運賃種別(例えば、1ヵ月運賃、3ヵ月運賃、6ヵ月運賃、12ヵ月運賃、片道運賃)、運賃、運賃の改定日、最終更新日、最終更新者、その他の情報を含む主要情報が登録されている。運賃改定があった場合、同一の区間について改定日が異なるレコードが登録される。この場合、古い方の改定日のレコードに係る運賃が改定前の運賃、新しい方の改定日のレコードに係る運賃が改定後の運賃として特定することができる。
【0055】
社員の通勤交通費は、社員別経路情報テーブル406の経路情報及び運賃情報テーブル420の運賃情報に基づいて通勤経路に係る運賃を積算することにより計算することができる。また、通勤交通費を日割りで支給する場合は、社員別経路情報テーブル406の経路情報、社員別日割支給情報テーブル410の日割支給情報及び運賃情報テーブル420の運賃情報に基づいて通勤経路に係る運賃を積算することにより計算することができる。通勤交通費の計算方法は、公知の技術(例えば特開2003-90733号公報)を用いて行うことができる。
【0056】
なお、図示省略するが、データベースサーバ170の記憶装置には、テーブル400~418以外にも、通勤交通費を計算するための各種定義データ等が登録されたテーブル、通勤交通費を給与と連携するための各種基礎データが登録されたテーブルなどが記憶されている。基礎データテーブルとしては、具体的に、給与基礎データテーブル、課税基礎データテーブル、社会保険基礎データテーブル及び雇用保険基礎データテーブル等がある。
【0057】
ここで、給与基礎データは、通勤手当の支給金額のデータであり、課税基礎データは、通勤手当の支給金額に対する課税額又は非課税額のデータであり、社会保険基礎データは、通勤手当の支給金額に対する社会保険の保険金額のデータであり、雇用保険基礎データは、通勤手当の支給金額に対する雇用保険の保険金額のデータである。
【0058】
〔動作〕
次に、本実施の形態の動作を説明する。
〔通勤経路情報新規申請処理〕
初めに、社員が通勤経路情報を新規に申請する場合の通勤交通費計算サーバ100の動作を説明する。なお、テーブル400~418へのアクセスは、実際は、通勤交通費計算サーバ100がデータベースサーバ170と通信することにより行うが、説明の平易化のため、通勤交通費計算サーバ100がテーブル400~418にアクセスするとして以下説明する。
【0059】
図6は、通勤経路情報新規申請処理を示すフローチャートである。
CPU30は、MPU(Micro-Processing Unit)等からなり、ROM32の所定領域に格納されている所定のプログラムを起動させ、そのプログラムに従って、
図6のフローチャートに示す通勤経路情報新規申請処理を実行する。
【0060】
通勤経路情報新規申請処理は、CPU30において実行されると、
図6に示すように、まず、ステップS100に移行して、社員端末200からの新規申請要求を受信したか否かを判定し、新規申請要求を受信したと判定した場合(YES)は、ステップS102に移行する。
【0061】
ここで、通勤経路情報の新規申請は、例えば、新入社員が初めて通勤経路情報を登録する場合、引っ越しをして通勤経路が変わった場合、又は勤務先が追加若しくは変更になった場合などに行われる。
【0062】
ステップS102では、申請情報入力処理を実行する。申請情報入力処理では、入力画面を介して、通勤手段(乗物ID)、申請理由、社員自宅の最寄り駅、勤務先の最寄り駅、経路方向種別等の通勤経路情報を入力することができる。
【0063】
図7は、通勤経路申請画面510を示す図である。
申請情報入力処理では、まず、
図7に示すように通勤経路申請画面510が表示される。申請者(社員)は、通勤経路申請画面510において、適用開始日、通勤手段、交通会社、申請理由、社員自宅の住所、企業名、勤務先及び経路方向種別などを入力する。
【0064】
社員自宅の住所については、申請者の社員IDに対応する社員自宅の住所を社員情報マスタテーブル404から取得し表示する。
【0065】
勤務先については、申請者の社員IDに対応する勤務先を社員情報マスタテーブル404から取得し、ドロップダウンリスト52に表示する。1人の社員につき複数の勤務先が登録されている場合、ドロップダウンリスト52には複数の勤務先が表示される。申請者は、それら勤務先のうちいずれかを選択する。
【0066】
経路方向種別は、「往路」「復路」「往復」の3つのうちから1つを選択することができる。すなわち、往路しか利用しない場合、復路しか利用しない場合、往路と復路とで通勤経路が異なる場合、往復とも利用する場合などに、往路、復路及び往復で個別に通勤経路を設定することができる。
【0067】
図8は、通勤経路申請画面520を示す図である。
申請者は、その他の通勤経路情報を入力し、「次へ」のボタン53をクリックすると、
図8に示すように通勤経路申請画面520が表示される。申請者は、通勤経路申請画面520において、社員自宅の最寄り駅、経由駅、勤務先の最寄り駅などを入力する。
【0068】
社員自宅の最寄り駅については、申請者の社員IDに対応する社員自宅の最寄り駅を社員情報マスタテーブル404から取得し、テキストボックス54に表示する。社員自宅の最寄り駅が複数登録されている場合、テキストボックス54には複数の最寄り駅が表示される。なお、社員自宅の最寄り駅は、「検索」のボタン55をクリックし手動で入力することもできる。
【0069】
勤務先の最寄り駅については、通勤経路申請画面510で選択された勤務先について、申請者の社員IDに対応する勤務先の最寄り駅を社員情報マスタテーブル404から取得し、テキストボックス56に表示する。勤務先の最寄り駅が複数登録されている場合、テキストボックス56には複数の最寄り駅が表示される。なお、勤務先の最寄り駅は、「検索」のボタン57をクリックし手動で入力することもできる。
【0070】
申請者は、その他の通勤経路情報を入力し、「次へ」のボタン58をクリックすると、社員自宅の最寄り駅と勤務先の最寄り駅との間の通勤経路の候補が表示される。社員自宅の最寄り駅又は勤務先の最寄り駅が複数存在する場合は、それら最寄り駅のすべての組み合わせについて、社員自宅の最寄り駅と勤務先の最寄り駅との間の通勤経路の候補が表示される。申請者は、表示された通勤経路の候補からいずれかを選択し、選択した通勤経路を通勤経路として申請することができる。
【0071】
次いで、ステップS104に移行して、社員端末200からの登録申請を受信したか否かを判定し、登録申請を受信したと判定した場合(YES)は、ステップS106に移行する。
【0072】
ステップS106では、申請者の所属部署の情報(所属部署ID)を社員情報マスタテーブル404から取得するとともに、取得した所属部署IDに対応する承認先情報(承認権限を有する社員の社員ID)を部署情報テーブル412から取得する。
【0073】
ここで、所属部署IDは、ワークフロー専用の識別情報であり、異なる複数の実組織間で所属社員が同一の所属部署IDを有するように設定することが可能である。例えば、実組織である総務部に所属する社員A~Dと、実組織である営業部に所属する社員F~Iに対して、同一の所属部署IDである「B1」を設定することができる。なお、実組織については、社員情報マスタテーブル404の社員グループIDにて登録される。
【0074】
また、例えば、社員A及びFは上司権限を有する社員であるとして、ワークフローにおける承認権限が与えられているとする。また、社員Eは一般社員であり、代理申請権限が与えられているとする。ここで、承認権限は、ワークフローにおいて同じ所属部署(例えばB1)に所属する所属社員の申請内容を承認する権限であり、代理申請権限は、人事部以外の社員が他の所属社員の申請を代理で行う権限である。すなわち、承認権限を有する社員A及びFは、同じ所属部署B1の社員B~E及びG~Iの申請に対して承認を行うことができる。また、代理申請権限を有する社員Eは、同じ所属部署B1の社員A~D及びF~Iの申請処理を代理で行うことができる。
【0075】
これにより、実組織が異なっていても、部署情報テーブル412で定義された同一の所属部署IDで管理されている場合、実組織を跨いだ承認処理及び代理申請処理を行うことができる。すなわち、アメーバ状の承認ルートを構築することができる。
【0076】
次いで、ステップS108に移行して、取得した承認先情報に基づいて承認ルートを構築する。その後、構築した承認ルートに基づいてルート先の各承認者宛てに申請情報の承認要求を送信する。
【0077】
例えば、所属部署B1に所属する一般社員(A及びF以外)が通勤経路の申請を行った場合の承認先は、社員A及びFの双方となり、承認後の点検先は、人事権限を有する社員(以下「人事社員」という。)であって、例えば、所属部署B1を担当している人事社員J~Lの3人となる。なお、人事社員は、どの部署に対しても点検を行う権限を有している。
【0078】
すなわち、承認ルートは、まず「社員A及びF」となり、社員Aが先に承認後は「社員A→人事社員J~L」となる。一方、社員Fが先に承認後は、「社員F→人事社員J~L」となる。すなわち、承認は社員A及びFのいずれか一方が行えばよく双方共の承認は必要ない。また、承認後の点検は、所属部署B1を担当している人事社員J~Lの3人となり、点検についても人事社員J~Lのうちのいずれか一人が行えばよい。
【0079】
このようにして、承認及び点検が行われ申請が許可されることで申請情報が、社員別経路情報テーブル406、社員別支給情報テーブル408及び社員別日割支給情報テーブル410に登録される。すなわち、新たな通勤経路が登録されることによって、社員別支給情報テーブル408又は社員別日割支給情報テーブル410に記憶された支給情報又は日割支給情報に通勤交通費の支給金額が変わる変動が生じる。
【0080】
ステップS108の処理が終了すると、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
一方、ステップS104で、登録申請を受信しないと判定した場合(NO)は、ステップS110に移行して、社員端末200からのキャンセル要求を受信したか否かを判定し、キャンセル要求を受信したと判定した場合(YES)は、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
【0081】
一方、ステップS110で、キャンセル要求を受信しないと判定した場合(NO)は、ステップS104に移行する。
【0082】
一方、ステップS100で、新規申請要求を受信しないと判定した場合(NO)は、新規申請要求を受信するまでステップS100で待機する。
【0083】
〔支給情報追加・修正処理〕
次に、人事社員が、社員別支給情報テーブル408及び社員別日割支給情報テーブル410に登録された支給情報の追加及び修正を行う場合の動作を説明する。
【0084】
図9は、社員情報一覧画面500を示す図である。
通勤費給与連携サービスの提供ページに人事権限を有するアカウントでログインすると、人事社員の社員端末200の表示装置には、サービスのトップページが表示される。このトップページには、図示省略するが、「申請」「社員情報」「業務マスタ」などのメインメニューボタンが表示されている。なお、図示省略するが、これらメインメニューボタンは常に画面上部に表示されており、トップページ以外のページからでも選択することができる。そして、人事社員が、社員端末200を介して「社員情報」のメニューボタンを選択(マウスによる押下又は指によるタッチ等を)することで、表示装置には、
図9に示す社員情報一覧画面500が表示される。ここで、人事社員は、通勤交通費の支給金額の計算に係る業務を行う権限を有している。
【0085】
支給情報追加・修正処理は、社員情報一覧画面500において追加又は修正対象の社員を選択し、経路一覧ボタン51を選択したあとに表示される経路一覧画面800において実行される処理である。経路一覧画面800には、選択社員が利用する通勤経路であって承認を受けた1又は複数の通勤経路が表示される。選択社員が複数の勤務先に属する場合、経路一覧画面800には、複数の勤務先のそれぞれについて自宅から勤務先までの通勤経路又は勤務先から自宅までの通勤経路が表示される。
【0086】
図10は、支給情報追加・修正処理を示すフローチャートである。
図11は、経路一覧画面800を示す図である。
図12は、支給情報一覧画面801を示す図である。
【0087】
支給情報追加・修正処理は、CPU30において実行されると、
図10に示すように、まず、ステップS200に移行する。
【0088】
ステップS200では、社員端末200からの情報に基づいて、経路一覧画面800に表示された選択社員の通勤経路一覧から選択された通勤経路について経路の修正ボタン80が選択されたか否かを判定する。そして、経路の修正ボタン80が選択されたと判定した場合(YES)は、支給情報一覧画面801の画面情報を社員端末200に送信する。すなわち、
図11に示す経路一覧画面800にて経路の修正ボタン80が選択された場合は、社員端末200の表示装置に、
図12に示す支給情報一覧画面801が表示される。
【0089】
次いで、ステップS202に移行して、社員端末200からの情報に基づいて、支給情報一覧画面801にて、追加ボタン82が選択されたか否かを判定する。そして、追加ボタン82が選択されたと判定した場合(YES)は、支給情報設定画面の画面情報を社員端末200に送信する。すなわち、
図12に示す支給情報一覧画面801にて、日割支給情報が選択された状態で修正ボタン83が選択された場合は、社員端末200の表示画面に、日割支給情報設定画面(図示略)が表示される。なお、図示省略するが、定期の支給情報が選択された状態で修正ボタン83が選択された場合は、日割支給情報設定画面とは異なる定期の支給情報について追加設定できる画面が表示され、何も選択していない状態で追加ボタン82が選択された場合は、定期と日割の両方の支給情報を追加設定できる画面が表示される。
【0090】
次いで、ステップS204に移行して、支給情報追加処理を実行する。支給情報追加処理として、日割支給情報設定画面において、人事社員が入力した情報に基づいて、支給情報を追加する場合の処理を説明する。
【0091】
人事社員は、社員端末200を介して、日割支給情報設定画面にて必要な情報を入力する。具体的に、日割支給対象期間、支給対象日数、利用方向種別(片道/往復)を入力する。日割支給情報は、例えば、入社日が中途半端な日で、月の途中から出勤するような場合に、その月の出勤日だけ通勤交通費を日割で支給するような場合に設定される情報である。又は、例えば感染症の蔓延などによって在宅勤務を行う必要があり、週に2日だけ出勤するといった場合に出勤日だけ通勤交通費を日割で支給するような場合に設定される情報である。従って、日割対象の期間を日割支給対象期間として設定する。
【0092】
ここで、利用方向種別は、往路と復路で同じ通勤経路を利用したのであれば往復を選択し、往路と復路とで異なる通勤経路を利用した又は片道のみ利用したのであれば片道を選択する。これにより、支給対象期間の各日付に対して共通して往復又は片道が設定される。また、同じ通勤経路で片道だけ利用した日と、往復で利用した日とが混在する場合は片道又は往復のいずれかを選択後に日付ごとに個別に利用方向種別を設定することができる。
【0093】
また、日割支給情報の入力後に、日割支給情報設定画面に表示されたOKボタン(図示略)が選択されることで日割支給情報の入力が完了したと判定し、
図12に示す支給情報一覧画面801に戻る。そして、支給情報一覧画面801には、新たに入力された日割支給情報が一覧に追加され、右下の確定ボタンが選択されることで、新たな日割支給情報が、社員別日割支給情報テーブル410に追加される。すなわち、日割支給情報の新規追加によって通勤交通費の支給金額に変動が生じる。
【0094】
ステップS204の処理が終了すると、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
一方、ステップS202で、追加ボタン82が選択されないと判定した場合(NO)は、ステップS206に移行して、社員端末200からの情報に基づいて、支給情報一覧画面801にて、選択支給情報について修正ボタン83が選択されたか否かを判定する。そして、修正ボタン83が選択されたと判定した場合(YES)は、支給情報設定画面の画面情報を社員端末200に送信する。すなわち、
図12に示す支給情報一覧画面801にて、既に登録されている日割支給情報が選択された状態で修正ボタン83が選択された場合は、社員端末200の表示画面に、日割支給情報設定画面が既に情報が入力された状態で表示される。
【0095】
次いで、ステップS208に移行して、支給情報修正処理を実行する。支給情報修正処理は、日割支給情報設定画面にて既に入力された情報を修正する処理であり、支給情報追加処理と比較して、新たに情報を入力するか既に入力された情報を変更(修正)するかの違いのみで同様の処理となるので説明を省略する。また、日割支給情報が修正されることによって社員別日割支給情報テーブル410に記憶された日割支給情報に通勤交通費の支給金額が変わる変動が生じる。ステップS208の処理が終了すると、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
【0096】
一方、ステップS206で、修正ボタン83が選択されないと判定した場合(NO)は、ステップS210に移行して、追加ボタン82及び修正ボタン83を除く他のボタンが選択されたか否かを判定する。そして、他のボタンが選択されたと判定した場合(YES)は、他のボタンに対応する画面の画面情報を社員端末200に送信し、ステップS212に移行する。
【0097】
ステップS212では、選択された他のボタンに対応する処理を実行する。他のボタンとしては、
図12に示すように、解約ボタン、削除ボタン、確定ボタン及びキャンセルボタンがある。解約ボタンが選択された場合は定期の解約処理が実行され、削除ボタンが選択された場合は選択支給情報の削除処理が実行され、キャンセルボタンが選択された場合は、通勤経路の修正がキャンセルされて経路一覧画面800に戻る処理が実行される。ステップS212の処理が終了すると、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
【0098】
一方、ステップS210で、他のボタンが選択されないと判定した場合(NO)は、ステップS202に移行する。
【0099】
一方、ステップS200で、経路の修正ボタン80が選択されないと判定した場合(NO)は、経路の修正ボタン80が選択されるまでステップS200で待機する。
【0100】
〔支給情報追加・修正処理〕
上記支給情報追加・修正処理と同様の機能は、一般社員も利用することができる。一般社員は、自己の支給情報について追加を行うことができる。ただし、一般社員が行った支給情報の追加については、承認先の承認を得てその内容が確定される点で異なる。
【0101】
〔給与連携基礎データ作成タスク登録処理〕
次に、通勤交通費の支給金額に変動が生じたことを契機に、バッチサーバ150に対して給与連携基礎データ作成タスクの登録を行う場合の通勤交通費計算サーバ100の動作を説明する。
【0102】
図13は、給与連携基礎データ作成タスク登録処理を示すフローチャートである。
給与連携基礎データ作成タスク登録処理は、CPU30において実行されると、
図13に示すように、まず、ステップS300に移行する。
【0103】
ステップS300では、社員別支給情報テーブル408又は社員別日割支給情報テーブル410の支給情報の変動が生じたか否かを判定する。そして、支給情報の変動が生じたと判定した場合(YES)は、ステップS302に移行する。
【0104】
図14は、通勤交通費の支給金額に変動が生じる例を説明する図である。
図14に示すように、社員による通勤経路の新規申請があってこの申請について上司の承認及び人事部の承認(許可)が得られた場合に、新規に申請された通勤経路に応じた支給情報が生成されて、それが社員別支給情報テーブル408に登録される。同様に、人事社員によって代理で通勤経路の新規申請があった場合も、申請された通勤経路に応じた支給情報が生成されて、それが社員別支給情報テーブル408に登録される。このような場合に、支給情報に支給金額が変わる変動があったか否かを判定する。
【0105】
また、人事社員の月次処理によって、例えば、通勤交通費を日割りで支給する計算が行われた場合に社員別日割支給情報テーブル410の登録内容に支給金額が変わる変動が生じるため、この変動を支給金額の変動と判定する。
【0106】
また、運賃改定によって、既に支給されている支給額との間に差額が生じる場合にもその差額の支給によって社員別支給情報テーブル408又は社員別日割支給情報テーブル410の支給情報に支給金額が変わる変動が生じるため、この変動を支給金額の変動と判定する。また、日割支給額の登録、運賃改定による差額の調整処理が完了後に、給与データの給与連携システムへの出力処理が行われ、その後、先取りで次回の給与連携基礎データを作成する処理が行われる。このとき日割支給や運賃改定等によって先取りで作成した給与連携基礎データに変動が生じる場合は、この場合も社員別支給情報テーブル408又は社員別日割支給情報テーブル410の支給情報に支給金額が変わる変動が生じるため、支給金額の変動が生じていると判定する。支給金額の変動は、例えば、運賃情報テーブル420において、前回の通勤交通費支給月の給与支給計算処理の完了以後の改定日が設定されたか否かで判定する。
【0107】
ステップS302では、支給金額が変動した支給情報に係るパラメータ情報をチェックする。チェックするパラメータ情報としては、給与連携バッチ処理を実行するテナントのテナント番号、企業ID、給与連携バッチ処理プログラムのID(以下「給与連携バッチ処理ID」という。)、ステップS300で支給金額が変わる変動があったと判定した支給情報の支給IDを含む。
【0108】
運賃改定処理対象として設定されている支給情報のうち運賃改定の対象となった支給情報(以下「運賃改定に係る支給情報」という。)の支給IDについては、例えば、次のとおりである。社員別経路情報テーブル406及び運賃情報テーブル420に基づいて、運賃改定の対象となった区間情報から該当の経路情報を特定し、特定した経路情報を用いて通勤交通費を計算した支給情報の支給IDを社員別支給情報テーブル408から取得する。取得した支給IDを含むパラメータ情報は、ステップS322においてタスクスケジューラ情報テーブル418に登録される。
【0109】
運賃改定処理対象として設定されている日割支給情報のうち運賃改定の対象となった日割支給情報(以下「運賃改定に係る日割支給情報」という。)の支給IDについては、例えば、次のとおりである。社員別経路情報テーブル406及び運賃情報テーブル420に基づいて、運賃改定の対象となった区間情報から該当の経路情報を特定し、特定した経路情報を用いて通勤交通費を計算した日割支給情報の支給ID及び日割IDを社員別日割支給情報テーブル410から取得する。取得した支給IDを含むパラメータ情報は、ステップS322においてタスクスケジューラ情報テーブル418に登録される。
【0110】
次いで、ステップS304に移行して、記憶装置42に記憶されたバッチジョブ定義情報テーブル416から、バッチ処理メインプログラムの物理ファイル名(フルパス)を取得する。ここで、バッチ処理メインプログラムは、給与連携バッチ処理等の各種バッチ処理を統括制御するプログラムであり、バッチ処理メインプログラムの実行時に設定するパラメータの内容によって実行されるバッチ処理が制御される。
【0111】
次いで、ステップS306に移行して、記憶装置42に記憶されたシステムの環境情報テーブル414から、バッチサーバ150のIPアドレス、ログインユーザID及びパスワードを取得し、ステップS308に移行する。
【0112】
ステップS308では、ステップS306で取得した情報に基づいて、バッチサーバ150にログインし、セッションを確立する。その後、ステップS310に移行する。
【0113】
ステップS310では、タスクスケジューラによるタスクの実行条件を作成する。タスクの実行条件は、バッチサーバ150との間の通信ラグを考慮した所定時間(以下「開始遅延時間」という。)後にタスクを実行するといった実行条件を作成する。開始遅延時間は、通勤交通費計算サーバサーバ100及びバッチサーバ150のシステム時刻が一致している場合、例えば、通勤交通費計算サーバ100のシステム時刻の2分後に設定する。システム時刻が所定時間ずれている場合は、システム時刻がずれている所定時間もさらに考慮する。すなわち、通信ラグを考慮してタスクスケジュールの登録から開始遅延時間後にタスクを実行するようにスケジュールを組む。
【0114】
また、通勤交通費計算サーバ100及びバッチサーバ150は、これらのオペレーティングシステム(OS)にタスクスケジューラが搭載されている。
【0115】
タスクスケジューラは、コンピュータプログラムの実行制御システムの一つで、利用者が指定したスケジュールや条件に基づいてプログラムの起動や終了を行い、実行状態や実行結果を記録して報告するものである。これにより、OS上での特定のコマンドや実行ファイルの起動や終了などをスケジュールに基づいて自動実行することができる。
【0116】
次いで、ステップS312に移行して、タスクのアクションを作成する。タスクのアクションは、実行プログラムと、実行パラメータ(実行プログラムに与える引数)とによって構成される。具体的に、実行プログラムは、バッチ処理メインプログラムとなり、実行パラメータは、テナント番号、給与連携バッチ処理ID及びタスクIDとなる。ここで、タスクIDは、タスクスケジューラに登録するタスクを識別するための情報である。
【0117】
次いで、ステップS314に移行して、タスク完了後のアクションに対する削除設定を作成する。ここで、支給金額に変動が生じた場合の給与連携基礎データの作成処理は、変動が生じたときにすぐに行われる処理であり、定期的に繰り返し行われる処理ではないためタスク完了後にアクションを削除する設定を作成する。具体的に、タスクが再度実行するようにスケジュールされていない場合に削除されるまでの時間を設定する。
【0118】
次いで、ステップS316に移行して、タスクスケジューラのインスタンスを作成する。すなわち、タスクスケジューラで実行するバッチ処理メインプログラム(給与連携バッチ処理)のインスタンスを作成する。すなわち、バッチ処理メインプログラム、実行パラメータなどを、バッチサーバ150のメインメモリ上に展開して処理・実行できる状態にする。
【0119】
ここで、給与連携バッチ処理は、通勤交通費の支給金額が変動したと判定後に、他の給与計算システムに通勤交通費の支給金額及び他の支給金額に係るデータを出力する前に実行する必要がある。そのため、給与連携バッチ処理は、支給金額に変動が生じたと判定後に速やかに実行されることが望ましい。
【0120】
また、タスクスケジューラでは、インスタンス単位で処理が実行され、複数のインスタンスを並列して実行することができる。
【0121】
次いで、ステップS318に移行して、ステップS310~S316で作成した各種情報をタスクスケジューラに登録する。すなわち、テナント番号、企業ID、給与連携バッチ処理ID、タスクスケジュール(年月日時分)、実行ユーザ等の情報が登録される。
【0122】
次いで、ステップS320に移行して、バッチサーバ150とのセッションを破棄し、ステップS322に移行する。
【0123】
ステップS322では、タスクスケジューラに登録したタスクの実行に必要な情報であるタスクスケジューラ情報をタスクスケジューラ情報テーブル418に登録する。具体的に、テナント番号、バッチ処理ID、バッチ処理パス、パラメータ情報、タスクID、ステータス、実行フラグ、その他の情報をタスクスケジューラ情報テーブル418に登録する。ステップS322の処理が終了すると、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
【0124】
なお、ステップS308~S320の処理は、例えば、OSに搭載されたコマンドラインインターフェース(例えば、OSがWindowsの場合に「Windows PowerShell(登録商標)」)を用いて自動で行われる処理となる。
【0125】
一方、ステップS300で、支給情報の変動が生じていないと判定した場合(NO)は、支給情報の変動が生じるまでステップS300で待機する。
【0126】
〔給与連携バッチ処理プログラム実行処理〕
給与連携バッチ処理プログラム実行処理は、バッチサーバ150において、タスクスケジューラによって実行される処理となる。
【0127】
図15は、給与連携バッチ処理プログラム実行処理を示すフローチャートである。
図16は、バッチサーバ150におけるタスクスケジューラによるバッチ処理メインプログラムの実行処理の流れを示す図である。
【0128】
バッチサーバ150のCPUは、ROMの所定領域に格納されている所定のプログラムを起動させ、そのプログラムに従って、
図15のフローチャートに示す給与連携バッチ処理プログラム実行処理を実行する。
【0129】
給与連携バッチ処理プログラム実行処理は、CPUにおいて実行されると、
図15に示すように、まず、ステップS400に移行する。
【0130】
ステップS400では、登録されたタスクの実行時刻になったか否かを判定し、実行時刻になったと判定した場合(YES)は、ステップS402に移行する。
【0131】
ここでは、
図16に示すように、登録してから開始遅延時間後にバッチ処理メインプログラムが実行するようにタスクスケジュールがタスクスケジューラに登録されているため、登録から開始遅延時間後に実行時刻となる。
【0132】
ステップS402では、タスクスケジューラに登録された実行パラメータをチェックする。ここで、実行パラメータは、テナント番号、給与連携バッチ処理ID及びタスクIDとなる。
【0133】
次いで、ステップS404に移行して、ステップS402でチェックした実行パラメータに対応するタスクの実行に必要なパラメータ情報をタスクスケジューラ情報テーブル418から取得する。具体的に、
図16に示すように、パラメータ情報として、実行するタスクのテナント番号、バッチ処理ID及びタスクIDに対応するパラメータ情報を取得する。
【0134】
次いで、ステップS406に移行して、タスクスケジューラに登録された各種情報及びステップS404で取得したパラメータ情報に基づいてバッチ処理メインプログラムが実行され、給与連携バッチ処理プログラムが実行される。バッチ処理メインプログラムは、給与連携バッチ処理IDに対応する給与連携バッチ処理プログラム(モジュール)を、例えばバッチサーバ150の記憶装置に記憶されたバッチ処理業務モジュールライブラリ(図示略)から読み出す。そして、読み出した給与連携バッチ処理プログラムを実行する。
【0135】
給与連携バッチ処理プログラムが実行されると、
図16に示すように、ステップS404で取得したパラメータ情報に対応する支給情報の変動内容を元に、給与連携基礎データ(給与基礎データ、課税基礎データ、社会保険基礎データ及び雇用保険基礎データ)の各計算値を再計算し、各種基礎データテーブルに登録されている各種基礎データの計算値を再計算後のデータに更新する。
【0136】
ここで、通勤交通費の支給金額を計算する給与支給計算処理には、社員に支給する支給金額のうち通勤交通費の支給金額及び通勤交通費に応じて変動する支給金額を計算する第1計算処理がある。また、給与支給計算処理には、他の支給金額(例えば残業代等)を計算する第2計算処理がある。さらに、第1計算処理及び第2計算処理の処理結果に基づいて支給金額を計算する第3計算処理がある。なお、第2計算処理及び第3計算処理は、例えば、他の給与計算システムにて行われる処理となる。給与連携バッチ処理では、第1計算処理が実行される。
【0137】
給与連携バッチ処理は、当月に支給すべき通勤交通費の支給金額について一括で計算するのではなく、支給情報の単位で時系列に分散して実行される。例えば、通勤経路の新規申請や変更申請があった場合は、その申請に係る支給金額をそのタイミングで計算し、運賃改定があった場合は、運賃改定に係る支給金額をそのタイミングで計算する。
【0138】
また、給与連携バッチ処理では、所定期間ごとに(通勤交通費の支給月ごと(例えば、1ヵ月ごと、3ヵ月ごと等))に通勤交通費の支給金額が計算される。そのため、給与連携バッチ処理プログラムの実行は、前回の通勤交通費支給月の給与支給計算処理の完了後から、次回の通勤交通費支給月の給与支給計算処理の実行タイミングの前までの期間内に行われる。ここで、「給与支給計算処理の実行タイミング」とは、給与支給計算処理のうち第2計算処理及び第3計算処理が例えば月次の一括処理であり、第2計算処理及び第3計算処理が実行されるタイミングをいう。また、通勤交通費支給月の給与支給計算処理では、第1計算処理、第2計算処理及び第3計算処理のうち未計算の計算処理が行われる。
【0139】
図17は、運賃改定に係る支給情報及び日割支給情報を計算する場合を示すタイムチャートである。
【0140】
図17の例では、前回の給与支給計算処理の完了後に運賃改定があり、この運賃改定により社員A及び社員Cの通勤交通費の支給金額に変動が生じた場合、社員Aの支給情報及び社員Cの支給情報に係る給与連携バッチ処理が実行される。その後再び運賃改定があり、この運賃改定により社員B及び社員Dの通勤交通費の支給金額に変動が生じた場合、社員Bの支給情報及び社員Dの支給情報に係る給与連携バッチ処理が実行される。その後、次回の給与支給計算処理の実行タイミングになると、第2計算処理及び第3計算処理が実行される。このように、運賃改定があった場合その都度、全社員の支給情報が再計算されるのではなく、該当の社員の支給情報が再計算される。
【0141】
次いで、ステップS408に移行して、タスク完了後のタスクスケジューラ情報をタスクスケジューラ情報テーブル418から削除し、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
【0142】
一方、ステップS400で、タスクの実行時刻になっていないと判定した場合(NO)は、実行時刻になるまでステップS400で待機する。
【0143】
〔実施の形態の効果〕
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、一の社員が属する複数の勤務先のそれぞれについてその社員が自宅とその勤務先との間の移動で利用する通勤経路に関する経路情報、及び、一の社員が複数の通勤経路を利用した実績に関する日割支給情報を取得し、取得した経路情報及び日割支給情報、並びに運賃情報テーブル420の運賃情報に基づいて、一の社員が複数の通勤経路を利用した場合の支給金額を計算する。
【0144】
これにより、複数の勤務先に属する社員に対し、通勤経路の利用に応じて交通費の日割り支給を行う場合の支給金額を計算することができる。
【0145】
さらに、本実施の形態では、社員別経路情報テーブル406の経路情報及び運賃情報テーブル420の運賃情報に基づいて、運賃改定の対象となった支給情報を特定し、特定した支給情報に係る支給金額を計算するため給与連携バッチ処理を実行する。
【0146】
これにより、運賃改定があった場合に給与連携バッチ処理が時系列で分散して実行されるので、給与支給計算処理の負荷を低減することができる。すなわち、運賃改定があった場合に、運賃改定に係る支給金額を再計算することができるので、全社員の分を一括で計算するよりも給与支給計算処理に係る負荷を低減することができる。
【0147】
さらに、本実施の形態では、通勤交通費の支給金額に変動が生じる支給情報の変更があったと判定されたときに、通勤交通費の支給金額を計算又は再計算するため給与連携バッチ処理を実行する。
【0148】
これにより、通勤交通費の支給金額が変動した場合に給与連携バッチ処理が時系列で分散して実行されるので、給与支給計算処理の負荷を低減することができる。すなわち、通勤交通費の支給金額が変動した場合に、変動に係る社員の通勤交通費の支給金額又は通勤交通費に応じて変動する支給金額を再計算することができるので、全社員の分を一括で計算するよりも給与支給計算処理に係る負荷を低減することができる。
【0149】
さらに、本実施の形態では、通信ラグを考慮してタスクスケジュールの登録から開始遅延時間後にタスクを実行するようにスケジュールを組み、登録から所定時間を空けて給与連携バッチ処理プログラムを実行する。
【0150】
これにより、通信ラグが生じた場合にバッチサーバ150で給与連携バッチ処理が実行できない可能性を低減することができる。
【0151】
さらに、本実施の形態では、社員又は代理申請者(人事社員含む)が通勤経路情報の申請又は代理申請を行って、この申請が上司社員及び人事社員に承認され、対象社員の支給情報が初めて社員別支給情報テーブル408に登録された場合に、通勤交通費の支給金額に変動が生じたと判定する。加えて、通勤経路情報の申請が承認されて社員別支給情報テーブル408に登録された支給情報が変更された場合に、通勤交通費の支給金額に変動が生じたと判定する。
【0152】
さらに、日割支給情報が社員別日割支給情報テーブル410に新規に登録された場合に、通勤交通費の支給金額に変動が生じたと判定するようにした。なおさらに、人事社員の月次処理によって、社員別日割支給情報テーブル410に登録された既存の日割支給情報に変更があった場合に、通勤交通費の支給金額に変動が生じたと判定する。
【0153】
さらに、運賃改定により、改定後の料金に対応する支給金額と既に支給した支給金額との間に差額が生じた場合に、差額を支給するために社員別日割支給情報テーブル410に新規に日割支給情報が登録されるか又は既に登録された既存の日割支給情報が変更される。この場合も、通勤交通費の支給金額に変動が生じたと判定する。
【0154】
また、通勤交通費の支給金額に変動が生じた給与連携基礎データの連携後(給与連携システムへと出力後)に、先取りして作成された次回の給与連携基礎データにも変更が生じるため、この場合も支給金額に変動が生じたと判定する。
【0155】
これにより、通勤経路の申請以外に、日割支給、運賃改定等の他の理由で通勤交通費の支給金額に変動が生じた場合も分散処理が可能であり、給与支給計算処理の負荷をより低減することができる。また、社員別支給情報テーブル408又は社員別日割支給情報テーブル410への支給情報又は日割支給情報の登録をもって通勤交通費の支給金額に変動が生じたと判定するようにしたので、支給金額の変動の有無をより確実に判定することができる。
【0156】
〔対応関係〕
本実施の形態において、データベースサーバ170の記憶装置は、発明1の運賃情報記憶手段、発明2の記憶手段、発明3の経路情報記憶手段、又は発明3の利用実績情報記憶手段に対応している。
【0157】
〔変形例〕
なお、上記実施の形態においては、一の社員が複数の通勤経路を利用した実績に関する情報として社員別日割支給情報テーブル410の日割支給情報(日割支給対象期間、支給対象日数等)に基づいて交通費の支給金額を計算したが、これに限らず、社員別支給情報テーブル408の支給情報(支給対象期間、支給対象月数等)に基づいて交通費の支給金額を計算することもできる。
【0158】
また、上記実施の形態及びその変形例において、ステップS102の申請情報入力処理では、申請者(社員)が属する複数の勤務先からいずれかを選択したが、これに限らず、その社員が属する企業について設定された複数の勤務先からいずれかを選択する構成を採用することもできる。この場合、その社員が属さない勤務先が候補として含まれることがある。
【0159】
また、上記実施の形態及びその変形例において、発明1の支給金額計算手段は、社員が行った支給情報の追加について承認先の承認が得られた場合の交通費の支給金額を計算する処理に対応するものとして説明したが、これに限らず、バッチサーバ150において交通費の支給金額を計算する処理にも対応する。
【0160】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、運賃改定の対象となった支給情報を特定するのに運賃情報テーブル420の運賃情報を用いたが、これに限らず、例えば、運賃改定があった区間に関する区間情報、運賃改定があった通勤経路に関する経路情報、その他運賃改定に関する改定情報を採用することができる。すなわち、運賃改定があったことが把握できる情報であればよく、必ずしも改定前後の運賃や改定日の情報を必須とするものではない。
【0161】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、運賃改定があった場合に運賃改定に係る支給金額を再計算したが、これに限らず、当月に支給すべき通勤交通費であって運賃改定に係る通勤交通費の支給金額を運賃改定のタイミングで計算する構成を採用することができる。この場合、社員別経路情報テーブル406の経路情報及び運賃情報テーブル420の運賃情報に基づいて、運賃改定の対象となる支給を特定し、特定した支給に係る支給金額を計算するため給与連携バッチ処理を実行する。運賃改定の対象となる支給は、例えば、運賃改定に係る通勤経路を特定すること、又は、運賃改定に係る通勤経路を利用する社員を特定することにより特定することができる。
【0162】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、社員別支給情報テーブル408又は社員別日割支給情報テーブル410に支給情報又は日割支給情報が新規に登録され、又はその支給情報若しくは日割支給情報が変更された場合に通勤交通費の支給金額に変動が生じたと判定したが、この構成に限らない。例えば、通勤経路が申請され、その申請が承認された場合に、支給金額に変動が生じたと判定する構成とするなど他の構成としてもよい。
【0163】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、ネットワークシステムとして実現したが、これに限らず、単一の装置又はアプリケーションとして実現することもできる。
【0164】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、給与連携バッチ処理をバッチサーバ150でタスクスケジューラにより実行する構成としたが、これに限らず、例えば、通勤交通費計算サーバ100のみで給与支給計算処理を実行する構成、バッチサーバ150以外のさらに他のサーバ等と連携して給与支給計算処理を実行する構成を採用することができる。
【0165】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、インターネット199からなるネットワークシステムに適用した場合について説明したが、これに限らず、例えば、インターネット199と同一方式により通信を行ういわゆるイントラネットに適用してもよい。もちろん、インターネット199と同一方式により通信を行うネットワークに限らず、任意の通信方式のネットワークに適用することができる。
【0166】
また、上記実施の形態及びその変形例において、
図6、
図10、
図13及び
図15のフローチャートに示す処理を実行するにあたってはいずれも、ROMに予め格納されているプログラムを実行する場合について説明したが、これに限らず、これらの手順を示したプログラムが記憶された記憶媒体から、そのプログラムをRAMに読み込んで実行するようにしてもよい。
【0167】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、社員の通勤交通費を計算する場合等について本発明を適用したが、これに限らず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で他の場合にも適用可能である。例えば、出張旅費その他の交通費を計算する場合、社員以外の者に支給する交通費を計算する場合、通勤経路以外の経路の利用に関する交通費を計算する場合にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0168】
100…通勤交通費計算サーバ、 150…バッチサーバ、 170…データベースサーバ、 200…社員端末、 30…CPU、 32…ROM、 34…RAM、 38…I/F、 39…バス、 40…入力装置、 42…記憶装置、 44…表示装置、 199…インターネット、 400…企業マスタテーブル、 402…勤務先マスタテーブル、 404…社員情報マスタテーブル、 406…社員別経路情報テーブル、 408…社員別支給情報テーブル、 410…社員別日割支給情報テーブル、 412…部署情報テーブル、 414…システム環境情報テーブル、 416…バッチジョブ定義情報テーブル、 418…タスクスケジューラ情報テーブル、 420…運賃情報テーブル
【要約】
【課題】 複数の勤務先に属する社員に対し通勤経路の利用に応じた交通費の支給を行う場合に支給金額を計算するのに好適な支給計算システムを提供する。
【解決手段】 通勤交通費計算サーバ100は、一の社員が属する複数の勤務先のそれぞれについてその社員が自宅とその勤務先との間の移動で利用する通勤経路に関する経路情報を登録する。そして、一の社員が利用する複数の通勤経路に関する経路情報、及び、一の社員が複数の通勤経路を利用した実績に関する日割支給情報を取得する。バッチサーバ150は、通勤交通費計算サーバ100で取得した経路情報及び日割支給情報、並びに運賃情報テーブル420の運賃情報に基づいて、一の社員が複数の通勤経路を利用した場合の支給金額を計算する。
【選択図】
図6