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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】水力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03B 7/00 20060101AFI20240801BHJP
   F03B 15/20 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
F03B7/00
F03B15/20 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020014953
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021121734
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2023-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】511116432
【氏名又は名称】株式会社バンブーケミカル研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100199451
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 隆滋
(72)【発明者】
【氏名】鶴羽 正幸
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-166332(JP,A)
【文献】特開2016-145525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 7/00
F03B 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲に複数の羽根を持ち両軸端付近を回転自在に支持された水車部と、
発電機と、
前記水車部の軸の回転を前記発電機まで伝動するための、軸継手、増速機を有する発電駆動部と、
フレーム状の筐体と、
斜め方向に延在し、前記筐体に取り付けられる両側一対のレールと、
前記両側一対のレールに移動可能に支持された一対の移動台車部と、
前記移動台車部を移動させる伝動手段部と、
前記伝動手段部を駆動させるモーターと減速機からなる移動台車駆動部と、
水位検出器と、
電気制御部を、備え、
前記水車部は、前記一対の移動台車部に支持され、前記両側一対のレールを移動可能であり、
位置検出用の検出器は、片側の前記レール上の上側位置と下側の位置に複数個取りつけられており、
前記水車部の位置は、制御システムに接続されている水位検出器で設定される、水車発電装置。
【請求項2】
前記水位検出器において水位の異常な上昇を検知した場合や、前記電気制御部の制御システムに異常が発生した場合は、前記移動台車駆動部と前記伝動手段部によって前記水車部を前記上側位置の前記検出器の位置まで自動で移動させて退避できる機能をもつ、請求項1に記載の水車発電装置。
【請求項3】
水車を角度のついたレール上を移動する駆動部と、伝動部によって移動可能とした水車移動方法において、レールの角度、即ち水車の移動する角度は、水平方向、垂直方向を含む全角度にできる構成をもつ、請求項2に記載の水車発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水力発電装置に関し、特に用水の堰からの落下水量の変動に応じて、自動で水車の位置を変えて最適な発電効率を実現する。また、水位の異常やシステム異常の時は自動で水車を退避位置に移動できる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用水の堰などから落下する、又は流速の早い流水の水のエネルギーを円周に羽根をもつ水車の回転に伝えて、その回転力を増速機を経由して発電機まで伝動して発電する一般的に水車の下側を流水が通過するため下掛け式水車と呼ばれる水力発電装置に関する特許である。用水の水量と水位は天候に左右されて常に一定でなく、時には渇水で流量が少ない時や、洪水で増水する場合もあり、常に変動する水量、水位に対応してどんな条件にも最適な発電効率をもつ水力発電装置が求められる。しかしながら、従来例のほとんどは、水車の位置が固定位置で、水量や水位の変化に対応できず、最適な発電効率が得られていなかった。あるいは、事例は少ないが、水車が移動する機能をもつ先行技術文献もあり、下記に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-58944号公報
【文献】特開2006-132494号公報
【文献】特開2017-166332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明は、水車が支点を中心に揺動可能に支持されたアームの先端に回転自在に取り付けられていて、水車の下半分は水面から沈んで浮力によって水位の変動に対応している。この場合、水位の変動には対応できるが、洪水などの時や、システムの異常時は、水車は安全な位置に退避できず水車装置が破損する可能性もある。
特許文献2の発明は、上流側と下流側の各水車が、それぞれ中空ドラムを持ち、浮力によって水位の変動に対応して水位が変動しても水車が回転して発電する方法であるが、これも洪水などの増水時やシステム異常の発生時は、水車は安全な位置に退避できない。
特許文献3の発明は、水車が上流側と下流側へネジとナットの勘合の構造で、人が手回しハンドルを使って水車の位置を水位に対応して変えられる方法である。これも、前記の2例と同様の問題がある。
【0005】
本発明の目的は、このような課題を解決することに鑑みてなされたものであり、水位の変動に自動的に発電効率が最大になる水車位置に設定ができると同時に、洪水やシステム異常などの時は自動で安全な位置へ水車を退避できる水力発電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、水車1と、水車軸受け2,3と、増速機4と、発電機5と、水車軸と増速機を連結する軸接手6と、前記水車軸受けを支持する駆動側台車7と、同じく従動側台車8と、前記各台車を回転自在に支持する各4個の支持ローラー9と、前記支持ローラーの案内として水平に対して角度をもってフレーム10に取り付けられた下側レール11、上側レール12と、前記駆動側と従動側の台車に各々取り付けられ、前記レールの上側スプロケット13、14と、前記レールの下側に取り付けられた下側スプロケット15,16と、閉ループを形作るように設けられたチェーン17,18と、一対の上側スプロケットを取り付けて、中間部を中空形ウオーム減速機19の出力軸20と、前記出力軸を回転自在に支持する軸受け21,22と、前記ウオーム減速機の入力軸側にモーター23の駆動を伝える伝動手段24と、前記片側のレールに取り付けられた上側検出器25と、同じく下側に複数個取り付けられた下側検出器26,27,28と、前記各検出器に当接する位置の前記台車側に取り付けられたドグ29と、水車の設置位置の上流側に取り付けられた水位検出器30、及び電気制御部31から構成される水車発電装置、によって達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、用水の水位の高さに応じて、最も発電効率が高い水車の位置を自動で設定して、水車の位置が自動的に選択できるため、天候に左右される水量と水位に常に対応が可能となる。また、洪水などの際の増水時は、水位検出器で自動的に水位の上限を検出し、水車を上側の流水が当たらない位置に自動的に退避させることができる。更に、発電の制御システムに異常が発生した場合も、制御部が異常を自動で検知して、水車を自動的に。安全な退避位置に移動することができる。以上の要件は、昼夜を問わず無人で、天候が急に変化して水位の変動が激しい場合でも、安定した稼働を実現するためにも水車発電装置に具備すべき必要な機能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態による水力発電装置100を説明する正面図である。
図2】本発明の実施形態による水力発電装置100を説明する正面図である。
図3】本発明の実施形態による水力発電装置100を説明する正面図である。
図4】本発明の実施形態による水力発電装置100を説明する平面図である。
図5】本発明の実施形態による水力発電装置100を説明する側面図である。
図6】本発明の実施形態による水力発電装置100を説明する側面図である。
図7】本発明の実施形態による水力発電装置100を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図7を用いて、本発明の実施形態による水力発電装置100を説明する。なお、 以下の全ての図面においては、理解を容易にするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせて図示している。
【0010】
図1は、水力発電装置100の正面図であり水車が上側の退避位置にある状態を示し、図2は、水力発電装置100の正面図であり、水車が下側の水位が中程度の場合の水車の位置を示す図である。また、図3は、水力発電装置100の正面図であり水車が下側の水位が低い場合の水車の位置を示す図である。図4は、水力発電装置100の平面図であり、図5は、水力発電装置100の側面図であり、図6は、水力発電装置100の側面図であり、図7は、水力発電装置100の側面図である。
【0011】
図1に示すように、水力発電装置100は、水車1と、水車軸受け2,3と、増速機4と、発電機5と、水車1の水車軸と増速機4を連結する軸接手6と、水車軸受け2,3を支持する駆動側台車7と、同じく従動側台車8と、駆動側台車7と従動側台車8を回転自在に支持する各4個の支持ローラー9と、支持ローラー9の案内として水平に対して角度をもってフレーム10に取り付けられた左右一対のレール(レールは、下側レール11,上側レール12で構成される。)と、駆動側台車7と従動側台車8に各々取り付けられレールの上側に配置される上側スプロケット13,14と、駆動側台車7と従動側台車8に各々取り付けられレールの下側に配置される下側スプロケット15、16と、閉ループを形作るように設けられたチェーン17,18と、一対の上側スプロケットを取り付けて、中間部を中空形ウオーム減速機19の出力軸20と、出力軸20を回転自在に支持する軸受け21,22と、ウオーム減速機19の入力軸側にモーター23の駆動を伝える伝動手段24と、駆動側のレールの上側に取り付けられた上側検出器25と、駆動側のレールの下側に複数個取り付けられた下側検出器26,27,28と、上側検出器25及び下側検出器26,27,28に当接する位置の駆動側台車7側に取り付けられたドグ29と、水車の設置位置の上流側に取り付けられた水位検出器30、及び電気制御部31とを有している。また、本例の下側レール11、上側レール12で構成される左右一対のレールは、斜め上方向に直線上に延在するように構成されるが、これ以外の構成であってもよい。例えば、下側レール11、上側レール12のぞれぞれの中心付近に回転軸を設け、下側レール11、上側レール12が同時に0°(水平方向)~90°(鉛直上方向)に回転するように構成されてもよい。また、下側レール11、上側レール12のレールが、斜め上方向に延在する部分と水平方向に延在する部分と、両つなぎ部分を略1/4から1/8円状の曲線を有する部分で構成されてもよい。
【0012】
(水力発電装置100の動作の説明)
稼働前の初期条件として、水車1は退避位置の上側検出器25に当接する位置にあり、洪水などで増水した場合にも、水が水車に当たらない位置のため水車の回転は停止していて発電はしていない状態である(図1参照)。
まず、水位検出器30で現在の水位が計測され、その信号が電気制御部31に通電され、電気制御部31で複数の水車の下の位置が自動で設定されて、その信号がモーター23に伝わり、モーター23を回転させて伝動手段24を経由してウオーム減速機19から出力軸20に駆動力が伝わり、上側スプロケット13,14からチェーン17,18に伝動して、水車1の軸受けを介して取り付けられた駆動側台車7、従動側台車8に伝動し、水位に応じて設定された位置の検出器26,27,28の設定された位置にドグ29が当接して水車1の移動は停止し、水車1の羽根が水を受けて回転を開始し、水車1の回転力が軸継手6、及び増速機4を経由して発電機5を回転させて発電が行われる。
また、電気制御部31は、手動のスイッチを用いることで、水車1を上側検出器25の位置から下側検出器26,27,28の設定された位置に移動させることも可能である。
また、電気制御部31に各種機器に取り付けたセンサーや各種機器からの異常信号が入力された場合や電気制御部31の制御システムにおいてエラー処理が行われた場合において、電気制御部31は、水車1を上述の退避位置まで移動させる処理を実行する。
【0013】
上述の実施形態は、本発明の好適な一例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、上述の説明によって不当に限定されるものではない。また、上述の実施形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。また、上述の実施形態で説明される構成は相互に付け足したり組み合わせたりしてもよい。
本発明は、水車発電装置の水車の設定位置を水位検出器で自動計測して設定する場合以外でも、電気制御部で、人が目視で確認して、水位を人手でセレクトスイッチを使って複数の水車の位置設定の中から、最適な位置に水車を選択できるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、水車を利用した発電装置において広く利用可能である。
【符号の説明】
【0015】
1 水車
2 水車軸受け
3 水車軸受け
4 増速機
5 発電機
6 軸継手
7 駆動側台車
8 従動側台車
9 支持ローラー
10 フレーム
11 下側レール
12 上側レール
13、14 上側スプロケット
15、16 下側スプロケット
17、18 チェーン
19 ウオーム減速機
20 出力軸
21、22 軸受け
23 モーター
24 伝動手段
25 上側検出器
26、27、28 下側検出器
29 ドグ
30 水位検出器
31 電気制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7