(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】試験システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 19/00 20060101AFI20240801BHJP
G09B 5/08 20060101ALI20240801BHJP
G09B 7/02 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
G09B19/00 G
G09B5/08
G09B7/02
(21)【出願番号】P 2020166620
(22)【出願日】2020-10-01
【審査請求日】2023-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】513166134
【氏名又は名称】株式会社空間概念研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100114638
【氏名又は名称】中野 寛也
(72)【発明者】
【氏名】赤池 啓子
【審査官】白形 優依
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-237801(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0035233(US,A1)
【文献】特許第6754908(JP,B1)
【文献】特開2018-066989(JP,A)
【文献】特開2001-290412(JP,A)
【文献】特開2019-219465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00 - 9/56
G09B17/00 -19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔地にいる受験者に対してネットワークを介して試験を実施するコンピュータにより構成された試験システムであって、
受験者が操作する受験者端末とネットワークを介して接続される試験管理サーバを備え、
この試験管理サーバは、
受験者が装着する非透過型ヘッドマウントディスプレイの表示部に試験用の問題データを表示するために前記受験者端末に対してネットワークを介して当該試験用の問題データを送信する処理を実行する問題データ送信手段と、
前記受験者端末からネットワークを介して送信されてくる受験者の解答データを受信する処理を実行する解答データ受信手段と、
前記非透過型ヘッドマウントディスプレイに設けられた着脱検出装置により検出されて前記受験者端末からネットワークを介して送信されてくる前記非透過型ヘッドマウントディスプレイの着脱状態データを受信する処理を実行する着脱状態データ受信手段と、
この着脱状態データ受信手段により受信した出題時間帯の着脱状態データおよび解答時間帯の着脱状態データを用いて、出題した問題の問題種別に対して着脱状態が適正であるか否かを判断する処理を実行する不正判定手段と
を備えたことを特徴とする試験システム。
【請求項2】
前記試験管理サーバに接続されて監視員が試験を監視するための表示を行う監視員端末を備え、
前記試験管理サーバは、
前記受験者端末に設けられた人物撮像装置により撮像されてネットワークを介して送信されてくる受験者の顔を含む人物画像データを受信し、受信した人物画像データを動画で前記監視員端末に表示する処理を実行する監視手段を備え、
前記不正判定手段は、
前記非透過型ヘッドマウントディスプレイの装着が必要な問題の処理中に、前記出題時間帯の着脱状態データが、装着を示すデータであり、前記解答時間帯の着脱状態データが、非装着を示すデータであると判断した場合には、不正の可能性があるという情報を前記監視手段に伝達する処理を実行する構成とされ、
前記監視手段は、
前記不正判定手段からの伝達を受けて、前記監視員端末に表示される受験者の人物画像データの周囲または周辺部分で注意喚起表示処理を実行する構成とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の試験システム。
【請求項3】
前記試験管理サーバは、
試験開始時および/または試験終了時、並びに、前記着脱状態データが非装着を示すデータとなっている試験中の時間帯に、前記受験者端末に設けられた人物撮像装置により撮像されてネットワークを介して送信されてくる受験者の顔を含む人物画像データから顔画像データを取得する処理を実行する顔画像取得手段と、
この顔画像取得手段により取得した複数の顔画像データの各々について顔特徴量を抽出する処理を実行する顔特徴量抽出手段と、
受験者に対して発行する電子的または紙の認定証を作成する処理を実行する認定証作成手段とを備え、
前記不正判定手段は、
前記顔特徴量抽出手段により抽出した複数の顔特徴量の全てが一致または略一致しているか否かを判断し、全てが一致または略一致している状態でない場合には、不正が行われていると判定する処理も実行する構成とされ、
前記認定証作成手段は、
前記不正判定手段により複数の顔特徴量の全てが一致または略一致していると判断された場合には、複数の顔画像データのうち受験者の顔が最も明確に表れている顔画像データを、前記認定証に掲載する顔写真として採用する処理を実行する構成とされている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の試験システム。
【請求項4】
前記試験管理サーバは、
前記非透過型ヘッドマウントディスプレイの装着が必要な問題が、予め定められた問題数だけ連続するか、または予め定められた時間だけ連続した場合で、かつ、連続している間の前記着脱状態データが、装着を示すデータであると判断した場合に、試験中の時間帯の顔画像データの取得のために、任意のタイミングで、前記非透過型ヘッドマウントディスプレイの取外し指示を、ネットワークを介して前記受験者端末に送信する処理を実行する顔画像取得要否判断手段を備え、
前記顔画像取得手段は、
前記顔画像取得要否判断手段により前記非透過型ヘッドマウントディスプレイの取外し指示を前記受験者端末に送信した場合で、かつ、当該取外し指示の後に前記着脱状態データが、非装着を示すデータであると判断した場合に、前記受験者端末からネットワークを介して送信されてくる前記人物画像データから顔画像データを取得する処理を実行する構成とされている
ことを特徴とする請求項3に記載の試験システム。
【請求項5】
前記非透過型ヘッドマウントディスプレイには、当該非透過型ヘッドマウントディスプレイの装着者の視線で当該非透過型ヘッドマウントディスプレイの外側の空間を撮像可能な装着者視線撮像装置が設けられ、
前記問題データ送信手段は、
前記非透過型ヘッドマウントディスプレイの装着が必要な問題であり、かつ、動作を伴う解答が必要な問題の処理中に、出題時間帯から解答時間帯に移行するタイミングで、前記装着者視線撮像装置により撮像した装着者視線画像データを前記非透過型ヘッドマウントディスプレイの表示部の少なくとも一部に動画で表示する動作解答用の表示モードへの切換指示を、前記受験者端末に対してネットワークを介して送信する処理も実行する構成とされ、
前記解答データ受信手段は、
前記解答データとして、前記受験者端末からネットワークを介して送信されてくる前記装着者視線画像データを受信する処理を実行する構成とされ、
前記監視手段は、
前記人物画像データの表示と切り替えて、または、前記人物画像データの表示とともに、前記受験者端末からネットワークを介して送信されてくる前記装着者視線画像データを動画で前記監視員端末に表示する処理も実行する構成とされている
ことを特徴とする請求項2に記載の試験システム。
【請求項6】
前記試験管理サーバは、
筆記で解答する問題で、前記解答データ受信手段により前記解答データとして受信した前記装着者視線画像データを用いて、文字読取処理を実行する評価手段を備えた
ことを特徴とする請求項5に記載の試験システム。
【請求項7】
前記試験管理サーバは、
実物のテスト用具を用いた現実空間上での動作により解答する問題で、前記解答データ受信手段により前記解答データとして受信した前記装着者視線画像データを用いて、パターン認識処理を実行する評価手段を備え、
この評価手段は、
正解と判定されている装着者視線画像データおよび不正解と判定されている装着者視線画像データ、並びにこれらに対応する正解および不正解の各ラベルを用いた学習処理で得られたパターン認識用のモデルを用いて、前記パターン認識処理を実行する構成とされている
ことを特徴とする請求項5に記載の試験システム。
【請求項8】
前記非透過型ヘッドマウントディスプレイには、当該非透過型ヘッドマウントディスプレイの装着者の視線で当該非透過型ヘッドマウントディスプレイの外側の空間を撮像可能な装着者視線撮像装置が設けられ、
前記問題データ送信手段は、
前記非透過型ヘッドマウントディスプレイの装着が必要な問題であり、かつ、出題時間帯および解答時間帯に筆記でメモをとることが許可されている問題の処理中に、前記非透過型ヘッドマウントディスプレイの表示部に、試験用の問題データを表示するとともに、受験者が筆記でメモをとることができるようにするために前記装着者視線撮像装置により撮像した装着者視線画像データを表示するメモ用の表示モードへの切換指示を、前記受験者端末に対してネットワークを介して送信する処理も実行する構成とされ、
前記監視手段は、
前記人物画像データの表示と切り替えて、または、前記人物画像データの表示とともに、前記受験者端末からネットワークを介して送信されてくる前記装着者視線画像データを動画で前記監視員端末に表示する処理も実行する構成とされている
ことを特徴とする請求項2に記載の試験システム。
【請求項9】
前記非透過型ヘッドマウントディスプレイには、発光部が設けられ、
前記試験管理サーバは、
前記非透過型ヘッドマウントディスプレイの装着が必要な問題の処理中に、前記発光部を任意のタイミングで発光させるための発光指示を、ネットワークを介して前記受験者端末に送信するとともに、発光が行われたタイミングで、前記受験者端末に設けられた人物撮像装置で撮像されてネットワークを介して送信されてくる人物画像データを、発光確認用画像データとして受信し、受信した発光確認用画像データに、前記発光部での発光が写っているか否かを判断する処理を実行する発光管理手段を備え、
前記不正判定手段は、
前記発光管理手段により前記発光確認用画像データで発光を確認することができなかった場合に、不正が行われていると判断する処理を実行する構成とされている
ことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の試験システム。
【請求項10】
前記試験管理サーバに接続されて監視員が試験を監視するための表示を行う監視員端末を備え、
前記試験管理サーバは、
前記受験者端末に設けられた人物撮像装置により撮像されてネットワークを介して送信されてくる受験者の顔を含む人物画像データを受信し、受信した人物画像データを動画で前記監視員端末に表示する処理を実行する監視手段を備え、
この監視手段は、
前記監視員端末の画面上に設けられた複数の人物画像表示部で、複数の受験者の各々の人物画像データを動画で表示するとともに、これらの複数の人物画像表示部の各々に対応させて前記監視員端末の画面上に設けられた複数の発光時間帯表示部で、前記発光管理手段から前記発光指示を送信した旨の伝達を受けたときに前記非透過型ヘッドマウントディスプレイの前記発光部の発光と同期するタイミングで発光時間帯であることを示す発光時間帯表示を行う構成とされている
ことを特徴とする請求項9に記載の試験システム。
【請求項11】
前記試験管理サーバは、
試験開始時、および前記着脱状態データが非装着を示すデータとなっている試験中の時間帯に、または、これらの試験開始時および試験中の時間帯に加えて試験終了時に、前記受験者端末に設けられた人物撮像装置により撮像されてネットワークを介して送信されてくる受験者の顔を含む人物画像データから顔画像データを取得する処理を実行する顔画像取得手段と、
この顔画像取得手段により取得した複数の顔画像データの各々について顔特徴量を抽出する処理を実行する顔特徴量抽出手段と、
受験者に対して発行する電子的または紙の認定証を作成する処理を実行する認定証作成手段と、
試験開始時に、前記受験者端末に設けられたマイクロフォンまたは前記非透過型ヘッドマウントディスプレイのマイクロフォンにより取得されてネットワークを介して送信されてれくる声紋抽出用の音声データを受信し、受信した音声データを用いて声紋分析を行い、得られた声紋データを、本人度算出用の基準データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段に記憶させる処理を実行する事前登録受付手段と、
試験中の時間帯またはこの試験中の時間帯に加えて試験終了時に、前記受験者端末に設けられたマイクロフォンまたは前記非透過型ヘッドマウントディスプレイのマイクロフォンにより取得されてネットワークを介して送信されてれくる声紋抽出用の音声データを受信し、受信した音声データを用いて声紋分析を行い、得られた声紋データを、本人度算出用の照合データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて前記受験者情報記憶手段に記憶させる処理を実行する照合データ取得手段とを備え、
前記顔特徴量抽出手段は、
試験開始時には、前記顔画像取得手段により取得した顔画像データから抽出した顔特徴量を、本人度算出用の基準データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて前記受験者情報記憶手段に記憶させ、
試験中の時間帯またはこの試験中の時間帯に加えて試験終了時には、前記顔画像取得手段により取得した顔画像データから抽出した顔特徴量を、本人度算出用の照合データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて前記受験者情報記憶手段に記憶させるとともに、この本人度算出用の照合データとしての顔特徴量と、前記受験者情報記憶手段に記憶されている前記本人度算出用の基準データとしての顔特徴量との類似度を示す顔特徴量スコアを算出する処理を実行する構成とされ、
前記顔画像取得手段は、
試験開始時には、前記人物画像データから取得した顔画像データを、前記認定証作成手段により作成する前記認定証に掲載する顔写真用の顔画像データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて前記受験者情報記憶手段に記憶させ、
試験中の時間帯またはこの試験中の時間帯に加えて試験終了時には、前記顔特徴量抽出手段により算出した前記顔特徴量スコアが、予め定められた閾値未満または以下の場合にのみ、前記人物画像データから取得した顔画像データを、不正判定用の顔画像データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて前記受験者情報記憶手段に記憶させ、前記顔特徴量スコアが、予め定められた閾値以上または閾値を超える場合には、前記人物画像データから取得した顔画像データを前記受験者情報記憶手段に記憶させない処理を実行する構成とされ、
前記不正判定手段は、
前記受験者情報記憶手段に記憶されている前記本人度算出用の照合データとしての顔特徴量の各々と前記本人度算出用の基準データとしての顔特徴量との類似度を示す複数の前記顔特徴量スコアを算出するか、または、前記顔特徴量抽出手段により算出されて顔特徴量とともに、受験者ID、試験IDと関連付けて前記受験者情報記憶手段に記憶されている複数の前記顔特徴量スコアを取得し、算出または取得した複数の前記顔特徴量スコアを平均した顔特徴量平均スコアを算出し、
さらに前記受験者情報記憶手段に記憶されている前記本人度算出用の照合データとしての声紋データの各々と前記本人度算出用の基準データとしての声紋データとの類似度を示す複数の声紋スコアを算出し、算出した複数の声紋スコアを平均した声紋平均スコアを算出した後、
算出した前記顔特徴量平均スコアと、前記声紋平均スコアとを用いて、これらの平均スコアを統合した本人度を算出する処理を実行する構成とされ、
前記認定証作成手段は、
前記不正判定手段により算出した本人度が、予め定められた閾値以下または未満の場合には、前記認定証を作成しない構成とされている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の試験システム。
【請求項12】
前記試験管理サーバは、
前記非透過型ヘッドマウントディスプレイの装着が必要な問題が、予め定められた問題数だけ連続するか、または予め定められた時間だけ連続した場合で、かつ、連続している間の前記着脱状態データが、装着を示すデータであると判断した場合に、試験中の時間帯の顔画像データの取得のために、任意のタイミングで、前記非透過型ヘッドマウントディスプレイの取外し指示を、ネットワークを介して前記受験者端末に送信する処理を実行する顔画像取得要否判断手段と、
声を出して解答する問題以外の問題が、予め定められた問題数だけ連続するか、または予め定められた時間だけ連続した場合に、試験中の時間帯の声紋抽出用の音声データの取得のために、問題の合間に、任意のタイミングで、発声指示を、ネットワークを介して前記受験者端末に送信する処理を実行する声紋取得要否判断手段とを備え、
前記顔画像取得手段は、
前記顔画像取得要否判断手段により前記非透過型ヘッドマウントディスプレイの取外し指示を前記受験者端末に送信した場合で、かつ、当該取外し指示の後に前記着脱状態データが、非装着を示すデータであると判断した場合に、前記受験者端末からネットワークを介して送信されてくる前記人物画像データから顔画像データを取得する処理を実行する構成とされ、
前記照合データ取得手段は、
前記声紋取得要否判断手段により前記発声指示を前記受験者端末に送信した場合に、前記受験者端末からネットワークを介して送信されてれくる声紋抽出用の音声データを用いて声紋分析を行い、声紋データを得る処理を実行する構成とされている
ことを特徴とする請求項11に記載の試験システム。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の試験システムを構成する試験管理サーバとして、コンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔地にいる受験者に対してネットワークを介して試験を実施するコンピュータにより構成された試験システムおよびプログラムに係り、例えば、語学力、会話力、コミュニケーション能力、技能等の能力および知識を測定するための検定試験、認定試験、資格試験、入学試験、入社試験、卒業試験、修了試験、期末試験、進級試験、昇進試験、模擬試験、日々の学習効果確認試験等の各種の試験を行う場合に利用できる。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットを利用して講師と学生とが会話をし、語学等の学習を行うオンライン学習指導が盛んに行われている。また、学生を対象とした語学等の学習指導に限らず、仕事に就くために、あるいは社会生活を営むために必要となる各種の技能や知識を獲得することを目的としたオンライン講座等も盛んに行われている。
【0003】
一方、語学等の学習の到達度、知識の定着度、技術等の習得度等を測るためには、試験を行う必要がある。試験の結果は、例えば、資格の獲得、就職、入学、卒業、修了、進級、昇進等の成否に直結するため、厳格、厳正に実施されるべきものである。しかし、従来より、受験者以外の第三者が本人に成り代わって受験する替え玉受験や、試験中に第三者からの情報提供を受けて受験者が問題に対して解答する不正行為等が横行しているのも事実である。
【0004】
なお、本発明では、ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDと略記する場合がある。)を利用して試験を行うので、ヘッドマウントディスプレイを利用した情報処理という観点で、本発明に関連ある技術としては、非透過型ヘッドマウントディスプレイで映像コンテンツを閲覧している場合等でも、非透過型ヘッドマウントディスプレイの装着者が周囲の状況を把握し易くなるようにする技術が知られている(特許文献1参照)。この非透過型ヘッドマウントディスプレイは、外部映像を撮像する撮像部と、この撮像部が撮像した外部映像を取得する外部映像取得部と、映像コンテンツを取得する映像コンテンツ取得部と、外部映像取得部が取得した外部映像と映像コンテンツ取得部が取得した映像コンテンツとのうちの少なくとも一方を表示する表示部と、物体の接近を検出する接近検出部と、表示部に映像コンテンツが表示されている間に物体の接近が検出された場合に、撮像部が撮像した外部映像と映像コンテンツとの両方を視認可能とするべく外部映像と映像コンテンツとを重畳させた重畳画像を表示部に表示させる表示制御部とを備えている。映像コンテンツは、画像および音声を含むコンテンツであればどのようなコンテンツであってもよく、例えば、映画、テレビ番組、ゲーム等とされている。
【0005】
また、非透過型ヘッドマウントディスプレイにおいて、透過モードと非透過モードとの間を移行させるシステムが知られている(特許文献2参照)。このシステムでは、ゲームのインタラクティブなシーンをレンダリングするスクリーンの一部に、現実世界の画像の少なくとも一部を表示する。この際、ヘッドマウントディスプレイを装着しているユーザの視線方向の変更に応答して非透過モードから透過モードへの移行が行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-191124号公報(要約)
【文献】特表2016-532178号公報(要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように、インターネットを利用したオンライン学習指導やオンライン講座等が盛んに行われているが、この延長として、試験についても、インターネットを利用してオンラインで実施することができれば便利であり、そのような需要がある。この際、試験は、個人の能力や知識を問うものであり、試験の結果は、例えば、資格の獲得、就職、入学、卒業、修了、進級、昇進等の成否に直結するため、不正を排除し、厳格、厳正に実施する必要がある。
【0008】
しかし、多数の受験者が試験会場や教室等に集合して行われる従来型の試験では、不正を防止するため、試験監視員や教員等による試験会場内や教室内等の見回りが行われているが、オンライン試験では、そのような見回りによる監視を行うことはできない。
【0009】
従って、遠隔地にいる受験者に対し、インターネットを利用し、不正を防止しつつオンライン試験を実施することができるシステムの開発が望まれる。
【0010】
本発明の目的は、不正を防止しつつオンライン試験を実施可能な試験システムおよびプログラムを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、遠隔地にいる受験者に対してネットワークを介して試験を実施するコンピュータにより構成された試験システムであって、
受験者が操作する受験者端末とネットワークを介して接続される試験管理サーバを備え、
この試験管理サーバは、
受験者が装着する非透過型ヘッドマウントディスプレイの表示部に試験用の問題データを表示するために受験者端末に対してネットワークを介して当該試験用の問題データを送信する処理を実行する問題データ送信手段と、
受験者端末からネットワークを介して送信されてくる受験者の解答データを受信する処理を実行する解答データ受信手段と、
非透過型ヘッドマウントディスプレイに設けられた着脱検出装置により検出されて受験者端末からネットワークを介して送信されてくる非透過型ヘッドマウントディスプレイの着脱状態データを受信する処理を実行する着脱状態データ受信手段と、
この着脱状態データ受信手段により受信した出題時間帯の着脱状態データおよび解答時間帯の着脱状態データを用いて、出題した問題の問題種別に対して着脱状態が適正であるか否かを判断する処理を実行する不正判定手段と
を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
ここで、「問題データ送信手段」の「受験者が装着する非透過型ヘッドマウントディスプレイの表示部に試験用の問題データを表示するために受験者端末に対してネットワークを介して当該試験用の問題データを送信する処理」には、試験用の問題データをネットワークを介して受験者端末の本体(非透過型HMDとは独立した機器)に送信し、その本体から非透過型HMDに送信する場合と、試験用の問題データをネットワークを介して非透過型HMDに直接に送信する場合とが含まれる。
【0013】
また、「不正判定手段」の「出題した問題の問題種別に対して」とは、必ずしも全ての問題について着脱状態が適正であるか否かの判断を行う必要はなく、非透過型ヘッドマウントディスプレイを装着しなければならない問題について、着脱状態が適正であるか否かの判断を行えばよい趣旨である。従って、非透過型ヘッドマウントディスプレイを装着しなくてもよい問題については、着脱状態が適正であるか否かの判断を行う必要はない。また、ある試験において、全ての問題が、非透過型ヘッドマウントディスプレイを装着しなければならない問題である場合には、その試験における全ての問題について着脱状態が適正であるか否かの判断を行うことになる。
【0014】
このような本発明の試験システムにおいては、非透過型ヘッドマウントディスプレイで問題を表示するので、受験者以外の者は、問題を見ることができない。また、受験者は、非透過型ヘッドマウントディスプレイを装着しているので、例えば、こっそり辞書を見る等の不正をしにくい環境となる。
【0015】
さらに、非透過型ヘッドマウントディスプレイに設けられた着脱検出装置により検出された着脱状態データを用いて、出題した問題の問題種別に対して着脱状態が適正であるか否かを判断するので、例えば、非透過型HMDを装着しなければならない問題について、非透過型HMDを装着せずに解答している状態、あるいは非透過型HMDを装着して問題を見ているべきときに非透過型HMDを装着していない状態等を捉えることができる。このため、不正を防止しつつ試験を実施することが可能となり、これらにより前記目的が達成される。
【0016】
<監視員端末で注意喚起表示処理を実行する構成>
【0017】
また、前述した試験システムにおいて、
試験管理サーバに接続されて監視員が試験を監視するための表示を行う監視員端末を備え、
試験管理サーバは、
受験者端末に設けられた人物撮像装置により撮像されてネットワークを介して送信されてくる受験者の顔を含む人物画像データを受信し、受信した人物画像データを動画で監視員端末に表示する処理を実行する監視手段を備え、
不正判定手段は、
非透過型ヘッドマウントディスプレイの装着が必要な問題の処理中に、出題時間帯の着脱状態データが、装着を示すデータであり、解答時間帯の着脱状態データが、非装着を示すデータであると判断した場合には、不正の可能性があるという情報を監視手段に伝達する処理を実行する構成とされ、
監視手段は、
不正判定手段からの伝達を受けて、監視員端末に表示される受験者の人物画像データの周囲または周辺部分で注意喚起表示処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0018】
このように監視員端末で注意喚起表示処理を実行する構成とした場合には、複数の受験者を監視している監視員に対し、不正を行っている可能性のある受験者を知らせることができるので、監視員の監視負担を軽減するとともに、監視効率を向上させることが可能となる。
【0019】
<複数の顔画像データの各々について顔特徴量を抽出し、複数の顔特徴量の全てが一致または略一致しているか否かを判断する構成>
【0020】
また、前述した試験システムにおいて、
試験管理サーバは、
試験開始時および/または試験終了時、並びに、着脱状態データが非装着を示すデータとなっている試験中の時間帯に、受験者端末に設けられた人物撮像装置により撮像されてネットワークを介して送信されてくる受験者の顔を含む人物画像データから顔画像データを取得する処理を実行する顔画像取得手段と、
この顔画像取得手段により取得した複数の顔画像データの各々について顔特徴量を抽出する処理を実行する顔特徴量抽出手段と、
受験者に対して発行する電子的または紙の認定証を作成する処理を実行する認定証作成手段とを備え、
不正判定手段は、
顔特徴量抽出手段により抽出した複数の顔特徴量の全てが一致または略一致しているか否かを判断し、全てが一致または略一致している状態でない場合には、不正が行われていると判定する処理も実行する構成とされ、
認定証作成手段は、
不正判定手段により複数の顔特徴量の全てが一致または略一致していると判断された場合には、複数の顔画像データのうち受験者の顔が最も明確に表れている顔画像データを、認定証に掲載する顔写真として採用する処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0021】
ここで、「顔画像取得手段」における「試験開始時および/または試験終了時、並びに、着脱状態データが非装着を示すデータとなっている試験中の時間帯に」のうちの「試験開始時」は、問題データおよびその解答データの送受信の処理が開始される前の段階という意味であり、試験開始前も含まれ、ある程度の時間幅をもつ。但し、試験開始前を含むといっても、例えば前日や数時間前の時点を含むという意味ではなく、問題を見聞きしてそれに解答するというルーチンに入る前の準備段階という意味である。同様に、「試験終了時」は、問題データおよびその解答データの送受信の処理が終了した後の段階という意味であり、試験終了後も含まれ、ある程度の時間幅をもつ。但し、試験終了後を含むといっても、例えば翌日や数時間後の時点を含むという意味ではなく、直後といえるような時間帯である。以下の発明においても同様である。
【0022】
このように複数の顔画像データの各々について顔特徴量を抽出し、複数の顔特徴量の全てが一致または略一致しているか否かを判断する構成とした場合には、試験中における人の入れ替わりの有無を判断し、不正を検知することができるうえ、認定証に掲載するための適切な顔写真を得ることが可能となる。
【0023】
<非透過型ヘッドマウントディスプレイの取外し指示を出す構成>
【0024】
さらに、上述した複数の顔画像データの各々について顔特徴量を抽出し、複数の顔特徴量の全てが一致または略一致しているか否かを判断する構成とした場合において、
試験管理サーバは、
非透過型ヘッドマウントディスプレイの装着が必要な問題が、予め定められた問題数だけ連続するか、または予め定められた時間だけ連続した場合で、かつ、連続している間の着脱状態データが、装着を示すデータであると判断した場合に、試験中の時間帯の顔画像データの取得のために、任意のタイミングで、非透過型ヘッドマウントディスプレイの取外し指示を、ネットワークを介して受験者端末に送信する処理を実行する顔画像取得要否判断手段を備え、
顔画像取得手段は、
顔画像取得要否判断手段により非透過型ヘッドマウントディスプレイの取外し指示を受験者端末に送信した場合で、かつ、当該取外し指示の後に着脱状態データが、非装着を示すデータであると判断した場合に、受験者端末からネットワークを介して送信されてくる人物画像データから顔画像データを取得する処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0025】
このように非透過型ヘッドマウントディスプレイの取外し指示を出す構成とした場合には、非透過型ヘッドマウントディスプレイの装着が必要な問題が連続し、試験中の時間帯における顔画像データを取得しにくい状況下でも、必要な顔画像データを取得し、不正検知を行うことが可能となる。また、非透過型HMDの取外し指示は、一定の条件を満たした場合に、顔画像取得要否判断手段により任意のタイミングで送信されるので、受験者端末側では予測できないことから、例えば、取外し指示が出されることを察知して補助者から受験者本人に戻る等の対応ができなくなり、不正を行いにくい環境を構築することができる。
【0026】
<装着者視線撮像装置により撮像した装着者視線画像データを、非透過型ヘッドマウントディスプレイに表示するとともに、監視員端末にも表示する構成>
【0027】
また、前述した監視員端末で注意喚起表示処理を実行する構成とした場合において、
非透過型ヘッドマウントディスプレイには、当該非透過型ヘッドマウントディスプレイの装着者の視線で当該非透過型ヘッドマウントディスプレイの外側の空間を撮像可能な装着者視線撮像装置が設けられ、
問題データ送信手段は、
非透過型ヘッドマウントディスプレイの装着が必要な問題であり、かつ、動作を伴う解答が必要な問題の処理中に、出題時間帯から解答時間帯に移行するタイミングで、装着者視線撮像装置により撮像した装着者視線画像データを非透過型ヘッドマウントディスプレイの表示部の少なくとも一部に動画で表示する動作解答用の表示モードへの切換指示を、受験者端末に対してネットワークを介して送信する処理も実行する構成とされ、
解答データ受信手段は、
解答データとして、受験者端末からネットワークを介して送信されてくる装着者視線画像データを受信する処理を実行する構成とされ、
監視手段は、
人物画像データの表示と切り替えて、または、人物画像データの表示とともに、受験者端末からネットワークを介して送信されてくる装着者視線画像データを動画で監視員端末に表示する処理も実行する構成とされていることが望ましい。
【0028】
ここで、「動作を伴う解答が必要な問題」とは、例えば、筆記で解答する試験問題、手話の実技の試験問題、工具や道具や器具等の使い方の実技の試験問題、船舶のロープの結び方の試験問題等である。
【0029】
このように装着者視線撮像装置により撮像した装着者視線画像データを、非透過型ヘッドマウントディスプレイに表示するとともに、監視員端末にも表示する構成とした場合には、動作を伴う解答が必要な問題を出題したときに、非透過型ヘッドマウントディスプレイを装着したままの状態でも、受験者は、自分の手や指等の動きを自分の目で確認しながら解答を行うことができる。また、装着者視線画像データが、非透過型ヘッドマウントディスプレイに表示されることにより、受験者は、非透過型ヘッドマウントディスプレイの外部が見えるようになるので、不正を行いやすい環境となるが、装着者視線画像データは、監視員端末にも表示されるので、不正の未然防止が図られる。
【0030】
<筆記による解答について文字読取処理を実行して評価する構成>
【0031】
さらに、上述した装着者視線撮像装置により撮像した装着者視線画像データを、非透過型ヘッドマウントディスプレイに表示するとともに、監視員端末にも表示する構成とした場合において、
試験管理サーバは、
筆記で解答する問題で、解答データ受信手段により解答データとして受信した装着者視線画像データを用いて、文字読取処理を実行する評価手段を備えていることが望ましい。
【0032】
このように筆記による解答について文字読取処理を実行して評価する構成とした場合には、受験者の解答の評価(正誤判定や採点等)の自動化を図ることができる。
【0033】
<実物のテスト用具を用いた現実空間上での動作による解答についてパターン認識処理を実行して評価する構成>
【0034】
そして、前述した装着者視線撮像装置により撮像した装着者視線画像データを、非透過型ヘッドマウントディスプレイに表示するとともに、監視員端末にも表示する構成とした場合において、
試験管理サーバは、
実物のテスト用具を用いた現実空間上での動作により解答する問題で、解答データ受信手段により解答データとして受信した装着者視線画像データを用いて、パターン認識処理を実行する評価手段を備え、
この評価手段は、
正解と判定されている装着者視線画像データおよび不正解と判定されている装着者視線画像データ、並びにこれらに対応する正解および不正解の各ラベルを用いた学習処理で得られたパターン認識用のモデルを用いて、パターン認識処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0035】
このように実物のテスト用具を用いた現実空間上での動作による解答についてパターン認識処理を実行して評価する構成とした場合には、受験者の解答の評価(正誤判定や採点等)の自動化を図ることができる。
【0036】
<受験者が筆記でメモをとることができるように、装着者視線画像データを、非透過型ヘッドマウントディスプレイに表示するとともに、監視員端末にも表示する構成>
【0037】
また、前述した監視員端末で注意喚起表示処理を実行する構成とした場合において、
非透過型ヘッドマウントディスプレイには、当該非透過型ヘッドマウントディスプレイの装着者の視線で当該非透過型ヘッドマウントディスプレイの外側の空間を撮像可能な装着者視線撮像装置が設けられ、
問題データ送信手段は、
非透過型ヘッドマウントディスプレイの装着が必要な問題であり、かつ、出題時間帯および解答時間帯に筆記でメモをとることが許可されている問題の処理中に、非透過型ヘッドマウントディスプレイの表示部に、試験用の問題データを表示するとともに、受験者が筆記でメモをとることができるようにするために装着者視線撮像装置により撮像した装着者視線画像データを表示するメモ用の表示モードへの切換指示を、受験者端末に対してネットワークを介して送信する処理も実行する構成とされ、
監視手段は、
人物画像データの表示と切り替えて、または、人物画像データの表示とともに、受験者端末からネットワークを介して送信されてくる装着者視線画像データを動画で監視員端末に表示する処理も実行する構成とされていることが望ましい。
【0038】
このように受験者が筆記でメモをとることができるように、装着者視線画像データを、非透過型ヘッドマウントディスプレイに表示するとともに、監視員端末にも表示する構成とした場合には、非透過型ヘッドマウントディスプレイを装着したままの状態でも、受験者は、出題時間帯においては、長文の問題であれば、その要旨や問題文中のキーワードについてメモをとったり、解答時間帯においては、筆記をしながら計算したり、考えたりすること等が可能となる。また、装着者視線画像データが、非透過型ヘッドマウントディスプレイに表示されることにより、受験者は、非透過型ヘッドマウントディスプレイの外部が見えるようになるので、不正を行いやすい環境となるが、装着者視線画像データは、監視員端末にも表示されるので、不正の未然防止が図られる。
【0039】
<非透過型ヘッドマウントディスプレイに発光部を設けて不正を検知する構成>
【0040】
また、前述した試験システムにおいて、
非透過型ヘッドマウントディスプレイには、発光部が設けられ、
試験管理サーバは、
非透過型ヘッドマウントディスプレイの装着が必要な問題の処理中に、発光部を任意のタイミングで発光させるための発光指示を、ネットワークを介して受験者端末に送信するとともに、発光が行われたタイミングで、受験者端末に設けられた人物撮像装置で撮像されてネットワークを介して送信されてくる人物画像データを、発光確認用画像データとして受信し、受信した発光確認用画像データに、発光部での発光が写っているか否かを判断する処理を実行する発光管理手段を備え、
不正判定手段は、
発光管理手段により発光確認用画像データで発光を確認することができなかった場合に、不正が行われていると判断する処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0041】
このように非透過型ヘッドマウントディスプレイに発光部を設けて不正を検知する構成とした場合には、受験者が装着するべき非透過型ヘッドマウントディスプレイを、受験者以外の者(補助者)が装着し、その表示部に表示された問題を見て解答し、つまり、本来的には受験者しか見ることができない問題を補助者が見て解答し、一方、受験者は、同一または類似の形状を有する非透過型ヘッドマウントディスプレイ(問題が表示されない別の非透過型HMD)を装着し、試験を受けているふりをするといった不正や、非透過型HMDを装着した受験者の写真を置いておくといった不正を検知することができるので、不正の未然防止が図られる。また、発光部の発光は、任意のタイミングで行われるので、受験者端末側で予測することができないことから、発光の直前に正常な状態に戻す等の行為が困難になり、不正を行いにくい環境を構築することができる。
【0042】
<監視員端末で、非透過型ヘッドマウントディスプレイの発光部の発光と同期させて発光時間帯であることを示す発光時間帯表示を行う構成>
【0043】
さらに、上述した非透過型ヘッドマウントディスプレイに発光部を設けて不正を検知する構成とした場合において、
試験管理サーバに接続されて監視員が試験を監視するための表示を行う監視員端末を備え、
試験管理サーバは、
受験者端末に設けられた人物撮像装置により撮像されてネットワークを介して送信されてくる受験者の顔を含む人物画像データを受信し、受信した人物画像データを動画で監視員端末に表示する処理を実行する監視手段を備え、
この監視手段は、
監視員端末の画面上に設けられた複数の人物画像表示部で、複数の受験者の各々の人物画像データを動画で表示するとともに、これらの複数の人物画像表示部の各々に対応させて監視員端末の画面上に設けられた複数の発光時間帯表示部で、発光管理手段から発光指示を送信した旨の伝達を受けたときに非透過型ヘッドマウントディスプレイの発光部の発光と同期するタイミングで発光時間帯であることを示す発光時間帯表示を行う構成とされていることが望ましい。
【0044】
このように監視員端末で、非透過型ヘッドマウントディスプレイの発光部の発光と同期させて発光時間帯であることを示す発光時間帯表示を行う構成とした場合には、監視員が、多くの受験者の人物画像の中から、不正を行っている可能性のある受験者を見つけ易くなるので、監視員の負担軽減、監視効率の向上が図られる。
【0045】
<顔特徴量スコア、声紋スコアを用いて本人度を算出する構成>
【0046】
また、前述した試験システムにおいて、
試験管理サーバは、
試験開始時、および着脱状態データが非装着を示すデータとなっている試験中の時間帯に、または、これらの試験開始時および試験中の時間帯に加えて試験終了時に、受験者端末に設けられた人物撮像装置により撮像されてネットワークを介して送信されてくる受験者の顔を含む人物画像データから顔画像データを取得する処理を実行する顔画像取得手段と、
この顔画像取得手段により取得した複数の顔画像データの各々について顔特徴量を抽出する処理を実行する顔特徴量抽出手段と、
受験者に対して発行する電子的または紙の認定証を作成する処理を実行する認定証作成手段と、
試験開始時に、受験者端末に設けられたマイクロフォンまたは非透過型ヘッドマウントディスプレイのマイクロフォンにより取得されてネットワークを介して送信されてれくる声紋抽出用の音声データを受信し、受信した音声データを用いて声紋分析を行い、得られた声紋データを、本人度算出用の基準データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段に記憶させる処理を実行する事前登録受付手段と、
試験中の時間帯またはこの試験中の時間帯に加えて試験終了時に、受験者端末に設けられたマイクロフォンまたは非透過型ヘッドマウントディスプレイのマイクロフォンにより取得されてネットワークを介して送信されてれくる声紋抽出用の音声データを受信し、受信した音声データを用いて声紋分析を行い、得られた声紋データを、本人度算出用の照合データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段に記憶させる処理を実行する照合データ取得手段とを備え、
顔特徴量抽出手段は、
試験開始時には、顔画像取得手段により取得した顔画像データから抽出した顔特徴量を、本人度算出用の基準データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段に記憶させ、
試験中の時間帯またはこの試験中の時間帯に加えて試験終了時には、顔画像取得手段により取得した顔画像データから抽出した顔特徴量を、本人度算出用の照合データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段に記憶させるとともに、この本人度算出用の照合データとしての顔特徴量と、受験者情報記憶手段に記憶されている本人度算出用の基準データとしての顔特徴量との類似度を示す顔特徴量スコアを算出する処理を実行する構成とされ、
顔画像取得手段は、
試験開始時には、人物画像データから取得した顔画像データを、認定証作成手段により作成する認定証に掲載する顔写真用の顔画像データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段に記憶させ、
試験中の時間帯またはこの試験中の時間帯に加えて試験終了時には、顔特徴量抽出手段により算出した顔特徴量スコアが、予め定められた閾値未満または以下の場合にのみ、人物画像データから取得した顔画像データを、不正判定用の顔画像データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段に記憶させ、顔特徴量スコアが、予め定められた閾値以上または閾値を超える場合には、人物画像データから取得した顔画像データを受験者情報記憶手段に記憶させない処理を実行する構成とされ、
不正判定手段は、
受験者情報記憶手段に記憶されている本人度算出用の照合データとしての顔特徴量の各々と本人度算出用の基準データとしての顔特徴量との類似度を示す複数の顔特徴量スコアを算出するか、または、顔特徴量抽出手段により算出されて顔特徴量とともに、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段に記憶されている複数の顔特徴量スコアを取得し、算出または取得した複数の顔特徴量スコアを平均した顔特徴量平均スコアを算出し、
さらに受験者情報記憶手段に記憶されている本人度算出用の照合データとしての声紋データの各々と本人度算出用の基準データとしての声紋データとの類似度を示す複数の声紋スコアを算出し、算出した複数の声紋スコアを平均した声紋平均スコアを算出した後、
算出した顔特徴量平均スコアと、声紋平均スコアとを用いて、これらの平均スコアを統合した本人度を算出する処理を実行する構成とされ、
認定証作成手段は、
不正判定手段により算出した本人度が、予め定められた閾値以下または未満の場合には、認定証を作成しない構成としてもよい。
【0047】
このように顔特徴量スコア、声紋スコアを用いて本人度を算出する構成とした場合には、試験中に受験者が別の者に入れ替わったか否かを、より確実に判断することができる。また、顔特徴量スコアが、予め定められた閾値未満または以下の場合(顔特徴量の類似度が低い場合)にのみ、顔画像データを受験者情報記憶手段に記憶させ、顔特徴量スコアが、予め定められた閾値以上または閾値を超える場合(顔特徴量の類似度が高い場合)には、顔特徴量は、受験者情報記憶手段に記憶させるが、顔画像データは、受験者情報記憶手段に記憶させないので、記憶すべきデータ量を削減することができる。
【0048】
<非透過型ヘッドマウントディスプレイの取外し指示や、発声指示を出す構成>
【0049】
さらに、上述した顔特徴量スコア、声紋スコアを用いて本人度を算出する構成において、
試験管理サーバは、
非透過型ヘッドマウントディスプレイの装着が必要な問題が、予め定められた問題数だけ連続するか、または予め定められた時間だけ連続した場合で、かつ、連続している間の着脱状態データが、装着を示すデータであると判断した場合に、試験中の時間帯の顔画像データの取得のために、任意のタイミングで、非透過型ヘッドマウントディスプレイの取外し指示を、ネットワークを介して受験者端末に送信する処理を実行する顔画像取得要否判断手段と、
声を出して解答する問題以外の問題が、予め定められた問題数だけ連続するか、または予め定められた時間だけ連続した場合に、試験中の時間帯の声紋抽出用の音声データの取得のために、問題の合間に、任意のタイミングで、発声指示を、ネットワークを介して受験者端末に送信する処理を実行する声紋取得要否判断手段とを備え、
顔画像取得手段は、
顔画像取得要否判断手段により非透過型ヘッドマウントディスプレイの取外し指示を受験者端末に送信した場合で、かつ、当該取外し指示の後に着脱状態データが、非装着を示すデータであると判断した場合に、受験者端末からネットワークを介して送信されてくる人物画像データから顔画像データを取得する処理を実行する構成とされ、
照合データ取得手段は、
声紋取得要否判断手段により発声指示を受験者端末に送信した場合に、受験者端末からネットワークを介して送信されてれくる声紋抽出用の音声データを用いて声紋分析を行い、声紋データを得る処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0050】
このように非透過型ヘッドマウントディスプレイの取外し指示や、発声指示を出す構成とした場合には、試験中に、非透過型ヘッドマウントディスプレイの装着が必要な問題や、声を出して解答する問題以外の問題が連続するときでも、本人度算出用の照合データとしての顔特徴量や声紋データを得ることができる。
【0051】
<プログラムの発明>
【0052】
本発明のプログラムは、以上に述べた試験システムを構成する試験管理サーバとして、コンピュータを機能させるためのものである。
【0053】
なお、上記のプログラムまたはその一部は、例えば、光磁気ディスク(MO)、コンパクトディスク(CD)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去および書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、フラッシュディスク等の記録媒体に記録して保存や流通等させることが可能であるとともに、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等の有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにはこれらの組合せ等の伝送媒体を用いて伝送することが可能であり、また、搬送波に載せて搬送することも可能である。さらに、上記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。
【発明の効果】
【0054】
以上に述べたように本発明によれば、非透過型ヘッドマウントディスプレイで問題を表示するので、受験者以外の者は、問題を見ることができず、また、受験者は、非透過型ヘッドマウントディスプレイを装着しているので、不正をしにくい環境に置かれることになり、さらに、非透過型ヘッドマウントディスプレイに設けられた着脱検出装置による着脱状態データを用いて着脱状態が適正であるか否かを判断するので、不正を防止しつつ試験を実施することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】本発明の一実施形態の試験システムの全体構成図。
【
図2】前記実施形態の非透過型ヘッドマウントディスプレイの斜視図。
【
図3】前記実施形態の非透過型ヘッドマウントディスプレイの構成図。
【
図4】前記実施形態の試験に係る処理の全体の流れを示すフローチャートの図。
【
図5】前記実施形態の試験に係る処理のタイミングチャートの図。
【
図6】前記実施形態の監視員端末の画面例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1には、本実施形態の試験システム10の全体構成が示されている。
図2、
図3には、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の斜視図、構成図が示されている。また、
図4には、試験に係る処理の全体の流れがフローチャートで示され、
図5には、タイミングチャートが示されている。さらに、
図6には、監視員端末80の画面例が示され、
図7には、認定証300の一例が示されている。
【0057】
<試験システム10の全体構成>
【0058】
図1において、試験システム10は、試験管理サーバ20を備え、この試験管理サーバ20には、複数(通常は多数)の受験者端末50と、1つまたは複数の監視員端末80と、1つまたは複数の評価者端末90と、1つまたは複数の管理者端末100と、複数(通常は多数)の本人確認要求者端末110とが、ネットワーク1により接続されている。
【0059】
ここで、ネットワーク1は、主としてインターネットにより構成された外部ネットワークであり、インターネットと、LANやイントラネット等の内部ネットワーク(例えば、社内、グループ企業内等で構築された限定的なネットワーク)との組合せでもよく、有線であるか無線であるか、さらには有線および無線の混在型であるかは問わず、要するに、複数地点(距離の長短は問わない。)間で、ある程度の速度をもって情報を伝送することができるものであればよい。なお、試験管理サーバ20と監視員端末80とは、必ずしもネットワーク1により接続されている必要はなく、通信回線により接続されていればよい。従って、監視員端末80は、試験管理サーバ20の設置位置に対し、遠隔地に設置されていてもよいが、試験管理サーバ20に直結されていてもよい。
【0060】
試験管理サーバ20は、1台または複数台のコンピュータにより構成され、試験に係る各種の処理を実行する処理手段20Aと、この処理手段20Aで実行される各種の処理で使用される各種のデータを記憶する問題記憶手段40、解答記憶手段41、成績記憶手段42、受験者情報記憶手段43、試験情報記憶手段44、および発光確認結果記憶手段45とを備えている。
【0061】
また、処理手段20Aは、事前登録受付手段21と、顔画像取得手段22と、顔特徴量抽出手段23と、問題データ送信手段24と、解答データ受信手段25と、着脱状態データ受信手段26と、評価手段27と、顔画像取得要否判断手段28と、成績算出手段29と、認定証作成手段30と、発光管理手段31と、不正判定手段32と、監視手段33と、本人確認手段34とを含んで構成されている。
【0062】
この処理手段20Aに含まれる各手段21~34は、試験管理サーバ20を構成するコンピュータ本体の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する1つまたは複数のプログラム、並びに、主メモリやキャッシュメモリ等の作業用メモリ等により実現される。なお、これらの各手段21~34の詳細は、後述する。
【0063】
また、各記憶手段40~45は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)等により好適に実現されるが、記憶容量やアクセス速度等に問題が生じない範囲であれば、例えば、USBメモリ、DVD、CD、MO、磁気テープ等の他の記録媒体を採用してもよい。なお、これらの各記憶手段40~45の詳細は、後述する。
【0064】
さらに、試験管理サーバ20を複数台のコンピュータにより構成する場合は、様々な機能分散を行うことができ、例えば、処理手段20Aは、WEBサーバやWEBアプリケーションサーバで構成し、各記憶手段40~45は、データベースサーバで構成することができる。また、処理手段20Aを複数台のコンピュータにより機能分散させてもよく、各記憶手段40~45を複数のデータベースサーバで構成してもよい。なお、各記憶手段40~45のデータの保存形態は、データベースではなく、ファイルシステムとしてもよい。
【0065】
受験者端末50は、試験を受ける受験者が操作する端末であり、
図1に示すように、コンピュータにより構成された本体50Aと、この本体50Aに周辺機器として接続される液晶ディスプレイ等の表示手段51と、キーボードやマウスやタッチパネル等の入力手段52と、CCDカメラやCMOSカメラ等により構成された人物撮像装置53および補助撮像装置54と、マイクロフォン55と、スピーカ56と、指紋読取装置57と、非透過型ヘッドマウントディスプレイ(HMD)60とを含んで構成されている。
【0066】
ここで、本体50Aには、Webブラウザが搭載されている。なお、試験専用のプログラムを搭載してもよい。この本体50Aは、タブレットやスマートフォン等の携帯機器であってもよい。また、人物撮像装置53は、通常のWebRTC(Web Real-Time Communication)で用いるWebカメラのように、主として顔を含む人物(ここでは受験者)の画像を撮像するために設置されるものであるが、顔を含む人物以外の画像を撮像してもよく、例えば、受験者が離席した場合には、当然、背景画像のような人物以外の画像を撮像することになる。一方、補助撮像装置54は、主として、顔を含む人物(受験者)以外の物(例えば、キーボードを操作する手や、周囲の状況等)を撮像するために1つまたは複数設置されるものであるが、設置を省略してもよい。この補助撮像装置54は、デバイス(カメラ)としては、人物撮像装置53と同様の性能・構成のものでよい。マイクロフォン55やスピーカ56は、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60のマイクロフォン70やスピーカ71(
図3参照)を使用する場合には、使用しなくてもよい。非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の詳細については、
図2および
図3を用いて後述する。
【0067】
監視員端末80は、試験を受ける各受験者の挙動を監視する監視員が操作する端末であり、
図1に示すように、コンピュータにより構成された本体80Aと、この本体80Aに周辺機器として接続される液晶ディスプレイ等の表示手段81と、キーボードやマウスやタッチパネル等の入力手段82とを含んで構成されている。ここで、本体80Aには、Webブラウザが搭載されている。なお、監視専用のプログラムを搭載してもよい。この本体80Aは、タブレット等の携帯機器であってもよい。
【0068】
評価者端末90は、受験者の解答を評価(正誤判定や採点)する評価者が操作する端末であり、コンピュータにより構成され、図示は省略されているが、液晶ディスプレイ等の表示手段と、キーボードやマウスやタッチパネル等の入力手段とを含んで構成されている。この評価者端末90は、タブレット等の携帯機器であってもよい。受験者の解答は、評価手段27により自動で評価される場合と、評価者端末90において評価者が評価する場合とがある。前者の自動評価の場合は、通常は、リアルタイムまたは略リアルタイムで行われるが、事後的に行われてもよい。後者の評価者による評価の場合は、事後的に行われる。
【0069】
具体的には、後者の場合、評価者端末90において、試験管理サーバ20の評価手段27に対し、評価者が評価作業の対象となる解答データの取得要求を行うと、解答記憶手段41に記憶された解答データが、ネットワーク1を介して送信されてくるので、取得した解答データについて評価を行い、その評価結果データを、ネットワーク1を介して試験管理サーバ20の評価手段27に送信する。試験管理サーバ20では、評価手段27により、評価結果データを受信し、試験ID、受験者ID、問題IDと関連付けて解答記憶手段41に記憶させる。
【0070】
管理者端末100は、試験システム10の管理者が操作する端末であり、コンピュータにより構成され、図示は省略されているが、液晶ディスプレイ等の表示手段と、キーボードやマウスやタッチパネル等の入力手段とを含んで構成されている。この管理者端末100は、タブレット等の携帯機器であってもよい。管理者は、管理者端末100において、例えば、試験に関する情報(試験ID、試験名、試験実施日、認定団体、認定証フォーム等)を設定し、試験情報記憶手段44に記憶させる作業を行う。また、それぞれの試験を構成する各問題に関する情報(試験ID、試験種別、問題ID、問題種別、出題時間長、解答時間長、問題データ、正解データ等)を設定し、問題記憶手段40に記憶させる作業を行う。
【0071】
ここで、試験名は、例えば、「第X回Y検定試験(1級)」等のような試験の名称であり、認定証の発行時に使用される。また、ここでの試験種別とは、英会話試験・弁護士試験等の別ではなく、その試験がどのような問題により構成されているかを示す情報であり、例えば、「HMD装着要問題のみ(非透過型HMDを装着しなければならない問題のみで構成される試験)」、「HMD装着不要問題のみ」、「HMD装着要・不要問題混在(装着要80%以上)」等であるか、または、試験の厳格度・厳密度・厳正度を示す情報(例えば国家試験等のような高い厳格度・厳密度・厳正度が要求される試験であるのか、あるいは、日々の授業の効果確認試験等のような手軽に行われる試験であるのか等の別や程度を示す情報であり、従って、非透過型HMDの装着の要否に繋がる情報)である。また、試験種別には、試験中にメモをとることが許可されるか否かの別を示す情報も含まれる。
【0072】
さらに、ここでの問題種別とは、「HMD装着要(非透過型HMDを装着しなければならない問題)」、「HMD装着不要」、あるいは「メモ許可(試験中にメモをとってもよい問題)」、「メモ不許可」、「発声解答(例えば、語学の試験で外国語を発音させる等のように、声を出して解答する問題)」、「選択解答(声を出さずに、選択肢の中からの選択行為で解答する問題)」等である。出題時間長とは、問題の出題に要する時間であり、例えば、問題文を音声で読み上げるタイプの問題の場合には、その読み上げに要する時間長であり、問題文や問題の図表等を表示するだけで音声による読み上げを行わないタイプの問題の場合には、受験者がその問題文を読んだり、問題の図表等の内容を把握するのに必要な平均的な時間を予測して設定した時間長である。解答時間長とは、解答のための制限時間長であり、例えば20秒間等として不正ができないような時間長(例えば、不正に辞書を引いて解答するには不十分な時間長)に設定することができる。
【0073】
本人確認要求者端末110は、他人から認定証の提示を受けた際にその認定証を提示した者がその認定証を付与された本人であるか否かを確認したい本人確認要求者が操作する端末であり、
図1に示すように、コンピュータにより構成された本体110Aと、この本体110Aに周辺機器として接続される液晶ディスプレイ等の表示手段111と、キーボードやマウスやタッチパネル等の入力手段112と、撮像装置113と、マイクロフォン114と、指紋読取装置115とを含んで構成されている。ここで、本体110Aには、Webブラウザが搭載されている。なお、本人確認専用のプログラムを搭載してもよい。この本体110Aは、タブレットやスマートフォン等の携帯機器であってもよい。
【0074】
具体的には、認定証を保有する者(試験の際には受験者だった者)が、例えば会社の採用面接等で自己の保有する認定証を提示する場合には、認定証の提示を受ける会社が、本人確認要求者となり、試験管理サーバ20の本人確認手段34と通信を行うことにより、本人確認を行うことができる。この詳細については、試験管理サーバ20の本人確認手段34の説明で後述する。
【0075】
<試験管理サーバ20/事前登録受付手段21、顔画像取得手段22、顔特徴量抽出手段23の構成>
【0076】
事前登録受付手段21は、受験者端末50からの要求に応じ、事前登録用画面(例えばWeb画面)の表示用データをネットワーク1を介して送信するとともに、受験者端末50からネットワーク1を介して送信されてくる受験者の住所、氏名、生年月日、趣味、職業、学籍番号等の個人情報を受信し、受信した個人情報を、自動付与した受験者ID(受験番号等)、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる処理を実行するものである。この際、運転免許証等の写真付きの本人確認用の証明書の画像データを登録するようにしてもよく、この画像データは、下記の顔画像取得手段22により取得した顔画像データとの照合処理(不正判定手段32による照合処理)に用いることができる。
【0077】
また、事前登録受付手段21は、受験者端末50に設けられた人物撮像装置53若しくは補助撮像装置54、または非透過型HMD60の内側方向撮像装置69により撮像されてネットワーク1を介して送信されてれくる虹彩データを受信し、受信した虹彩データを、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる処理を実行する。
【0078】
さらに、事前登録受付手段21は、受験者端末50に設けられたマイクロフォン55、または非透過型HMD60のマイクロフォン70により取得されてネットワーク1を介して送信されてれくる声紋抽出用の音声データを受信し、受信した音声データを用いて声紋分析を行い、得られた声紋データを、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる処理を実行する。この際、声紋分析方法は、既存の方法を使用することができ、定型文を発声させて得られた音声データを用いるテキスト依存方式でもよく、非定型の発話の音声データを用いるテキスト独立方法でもよい。
【0079】
また、事前登録受付手段21は、受験者端末50に設けられた指紋読取装置57により読み取られてネットワーク1を介して送信されてれくる指紋データを受信し、受信した指紋データを、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる処理を実行する。
【0080】
顔画像取得手段22は、受験者端末50に設けられた人物撮像装置53で撮像された人物画像データ(動画または静止画)を、受験者端末50からネットワーク1を介して受信し、受信した人物画像データから顔の部分を検出して切り取ることにより顔画像データを取得し、取得した顔画像データを、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる処理を実行するものである。顔の部分の検出処理は、既存の方法を採用することができる。例えば、目や口等の顔部品の検出等を行うことによるフィーチャー・ベースト・アプローチ、ニューラルネットワークやサポートベクターマシン(SVM)等のパターン認識によるイメージ・ベースト・アプローチ、およびこれらの両者を組み合わせた方法等を採用することができる。また、肌色情報を利用して顔検出を行う方法を採用してもよい。なお、人物撮像装置53で撮像された人物画像データに代えて、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の内側方向撮像装置69で撮像された人物画像データを用いてもよく、この場合は、内側方向撮像装置69が人物撮像装置となる。この際、非透過型HMD60は装着するのではなく、顔の全体が写るように、非透過型HMD60を手で持って、非透過型HMD60と顔との距離をとって撮像する。
【0081】
また、顔画像取得手段22は、顔画像取得要否判断手段28により非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の取外し指示を受験者端末50に送信した場合で、かつ、当該取外し指示の後に着脱状態データが、非装着を示すデータであると判断した場合に、受験者端末50からネットワーク1を介して送信されてくる人物画像データから顔画像データを取得する処理も実行する。すなわち、受験者が、非透過型HMD60の取外し指示に従って、非透過型HMD60を取り外したときに、その取り外した状態で得られた人物画像データから顔画像データを取得する。
【0082】
顔特徴量抽出手段23は、顔画像取得手段22により取得した顔画像データから顔特徴量を抽出し、抽出した顔特徴量を、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる処理を実行するものである。この顔特徴量は、顔検出の後に実行される既存の顔認証の方法で用いられる特徴量でよく、例えば、顔の輪郭や、顔の目・鼻・口等の特徴点の位置関係等である。
【0083】
<試験管理サーバ20/問題データ送信手段24、解答データ受信手段25の構成>
【0084】
問題データ送信手段24は、受験者が装着する非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の表示部63(
図2、
図3参照)に試験用の問題データを表示するために、実施する試験についての試験IDに関連付けられて問題記憶手段40に記憶されている試験用の問題データを、ネットワーク1を介して受験者端末50に送信する処理を実行するものである。
【0085】
この際、問題データは、受験者端末50の本体50Aを経由して非透過型ヘッドマウントディスプレイ60に送信され、表示部63に表示されてもよく、本体50Aを経由せずに、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60に直接に送信され、表示部63に表示されてもよい。
【0086】
また、問題データを送信する順番は、各受験者に共通の予め定められた順番でもよく、受験者毎に異なるランダムな順番としてもよく、各受験者の解答状況(進行中の試験における正誤判定の結果の集積状況等)に応じて出題する問題が変わるようにしてもよい。同一の試験を同時期に受けている各受験者は、同じ問題であっても、それぞれ解答するスピードが異なり、また、出題の順番が異なる場合や、出題される問題が異なる場合があるので、ある瞬間に各受験者が処理している問題は、たまたま一致する場合もあるが、通常は異なっている。
【0087】
さらに、問題データ送信手段24は、必要な場合には、音声合成処理を実行し、問題データであるテキストデータを音声データに変換して受験者端末50に送信する。なお、音声合成処理は、受験者端末50側で実行してもよい。
【0088】
また、問題データ送信手段24は、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の装着が必要な問題であり、かつ、動作を伴う解答が必要な問題の処理中に、出題時間帯から解答時間帯に移行するタイミング(出題開始時点から問題記憶手段40に記憶された出題時間長が経過したタイミング)で、装着者視線撮像装置68(
図2、
図3参照)により撮像した装着者視線画像データを非透過型HMD60の表示部63(
図2、
図3参照)の少なくとも一部に動画で表示する動作解答用の表示モードへの切換指示を、受験者端末50に対してネットワーク1を介して送信する処理も実行する。ここで、装着者視線画像データを非透過型HMD60の表示部63の少なくとも一部に動画で表示するとは、装着者視線画像データを表示部63の全体に表示してもよく、解答時間帯において問題文や問題の図表等を表示部63の一部に残す状態で、装着者視線画像データを表示部63の一部に表示してもよい趣旨である。なお、表示部63において、問題文や問題の図表等と、装着者視線画像データとを重畳表示してもよい。
【0089】
解答データ受信手段25は、受験者端末50からネットワーク1を介して送信されてくる受験者の解答データを受信し、受信した解答データを、試験ID、受験者ID、問題IDと関連付けて解答記憶手段41に記憶させる処理を実行するものである。
【0090】
この際、受験者は、受験者端末50において、問題に応じて、入力手段52を用いて解答を入力するか、マイクロフォン55または非透過型HMD60のマイクロフォン70(
図3参照)を用いて音声で解答を入力する。音声入力が行われた場合には、解答データ受信手段25、または受験者端末50側で、解答データについて音声認識処理が実行される。また、入力手段52であるマウスの操作(移動操作、クリック操作、ドラッグ&ドロップ操作等)は、非透過型HMD60の表示部63内に表示された仮想のキーボードやボタン等の操作対象に反映されるようにしてもよい。
【0091】
さらに、解答データ受信手段25は、非透過型HMD60の表示部63の表示が、動作解答用の表示モードになった場合には、受験者端末50からネットワーク1を介して送信されてくる装着者視線画像データを、解答データとして受信する処理を実行する。つまり、装着者視線画像データが、解答データとなる。具体的には、例えば、筆記で解答する問題において、受験者が筆記した文字や図形を含む装着者視線画像データ(動画または静止画)を、解答データとして受信する。筆記で解答する問題とは、例えば、「おはようございます。」という日本語をアナウンスしてそれを中国語で書かせる問題や、中国語で「マルを書いてください。」とアナウンスしてマルの図形を書かせる問題等である。筆記した文字(数字や記号を含む)であれば、評価手段27は、OCRによる文字読取処理を実行して解答データをテキストデータに変換し、評価(正誤判定や採点)を行うことができる。筆記した図形であれば、評価手段27は、例えばニューラルネットワーク等によるパターン認識処理を実行し、描かれた図形の評価(正誤判定や採点)を行うことができる。この場合、正解データおよび不正解データを学習用データとしてパターン認識用のモデルが事前に構築されている。すなわち、正解と判定されている装着者視線画像データおよび不正解と判定されている装着者視線画像データ、並びにそれらに対応する正解および不正解の各ラベルを用いて、パターン認識用のモデルを構築(パラメータを決定)するための学習処理が事前に行われている。なお、このような文字(数字や記号を含む)や図形の筆記入力は、デジタルペンおよびデジタルペーパーを用いて行うこともできるが、ここでは、普通の紙に筆記した文字や図形を含む装着者視線画像データにより、解答データが得られるようになっている。従って、受験者は、鉛筆やボールペン等の普通の筆記用具(デジタルではない筆記用具)および普通の紙を用いて解答することができ、普通のペーパーテストの感覚で解答することができる。
【0092】
また、解答データ受信手段25は、赤い積み木、白い積み木等のテスト用具(実物)があり、例えば、母国語以外の言語で「赤い積み木の上に、白い積み木を置いてください。」、「5つの積み木のうち、赤い積み木を右から2番目に置いてください。」等の問題が出されたときに、実際に、受験者がその動作を行い、その動作を含む装着者視線画像データ(動画)、または動作完了後の状態を含む装着者視線画像データ(静止画)を、解答データとして受信するようにしてもよい。このような動作や、動作完了後の状態は、評価手段27により、例えばニューラルネットワーク等によるパターン認識処理を実行し、評価(正誤判定や採点)を行うことができる。この場合、正解データおよび不正解データを学習用データとしてパターン認識用のモデルが事前に構築されている。なお、受験者に対してこのような動作を要求する問題は、非透過型HMD60の表示部63に、仮想の積み木等を表示し、それを仮想空間上で操作させること(VR:バーチャルリアリティ)でも実現することができるが、ここでは、受験者は、仮想空間上ではなく、現実空間上で動作を行うことにより解答することができ、自分の手で実際に積み木等のテスト用具(実物)を掴んで動かして解答することができるので、マウス操作で仮想空間上の物を動かすときのような煩わしさを回避することができる。また、試験の内容によっては実技試験のような感覚で解答することがでる。例えば、船舶におけるロープワーク(ロープの結び方)の問題であれば、現実空間上でロープを使用して解答することになるので、実技試験のような感覚で解答することができる。さらに、装着者視線画像データを利用した現実空間上での動作による動作解答用の表示モードと、VRでの操作によるVR操作解答用の表示モードとを併存させ、試験によって、または問題によって、あるいは解答する受験者の選択によって、いずれかの表示モードで解答するようにしてもよい。
【0093】
<試験管理サーバ20/着脱状態データ受信手段26の構成>
【0094】
着脱状態データ受信手段26は、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60に設けられた着脱検出装置66(
図2、
図3参照)により検出されて受験者端末50からネットワーク1を介して送信されてくる非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の着脱状態データを受信し、受信した出題時間帯の着脱状態データおよび解答時間帯の着脱状態データ(より詳細には、出題時間帯・解答時間帯の別を示す情報と、装着・非装着の別を示す情報とを組み合わせたデータ)を、試験ID、受験者ID、問題IDと関連付けて解答記憶手段41(本実施形態の解答記憶手段41は、着脱状態記憶手段も兼ねている。)に記憶させる処理を実行するものである。
【0095】
この際、非透過型HMD60の着脱検出装置66からの着脱状態データは、常時、受験者端末50から送信されてくるので、着脱状態データ受信手段26は、
図5に示すように、各問題における出題時間帯の着脱状態データおよび解答時間帯の着脱状態データを受信することができる。なお、ある1つの問題の出題時間帯において、着脱状態データが、装着を示すデータのときと、非装着を示すデータのときとがある場合は、全体として非装着を示すデータであるものとして解答記憶手段41に記憶させる。同様に、ある1つの問題の解答時間帯において、着脱状態データが、装着を示すデータのときと、非装着を示すデータのときとがある場合も、全体として非装着を示すデータであるものとして解答記憶手段41に記憶させる。
【0096】
<試験管理サーバ20/評価手段27の構成>
【0097】
評価手段27は、解答記憶手段41に記憶された解答データと、問題記憶手段40に記憶された正解データとを用いて、受験者の解答データを評価(正誤判定や採点)し、その評価結果データを、試験ID、受験者ID、問題IDと関連付けて解答記憶手段41に記憶させる処理を実行するものである。
【0098】
評価者端末90の説明で既に述べているが、受験者の解答は、評価手段27により自動で評価される場合と、評価者端末90において評価者が評価する場合とがある。
【0099】
前者の自動評価の場合は、評価手段27は、解答記憶手段41に記憶された解答データと、問題記憶手段40に記憶された正解データとの比較照合を行うことにより、評価(正誤判定や採点)を実行する。装着者視線画像データが解答データとなっている場合には、解答データ受信手段25の説明で既に述べた通り、評価手段27は、装着者視線画像データに含まれている筆記入力された文字(数字や記号を含む)について文字読取処理を実行し、または、装着者視線画像データに含まれている筆記入力された図形についてパターン認識処理を実行し、あるいは、装着者視線画像データに含まれている動作や動作完了後の状態についてパターン認識処理を実行する。
【0100】
後者の評価者による評価の場合は、評価手段27は、評価者端末90からの評価者の要求に応じ、解答記憶手段41に記憶された解答データと、問題記憶手段40に記憶された正解データとを、ネットワーク1を介して評価者端末90へ送信するとともに、評価者端末90からネットワーク1を介して送信されてくる評価者による評価結果データを受信し、受信した評価結果データを、試験ID、受験者ID、問題IDと関連付けて解答記憶手段41に記憶させる。
【0101】
<試験管理サーバ20/顔画像取得要否判断手段28の構成>
【0102】
顔画像取得要否判断手段28は、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の装着が必要な問題が、予め定められた問題数だけ連続するか、または予め定められた時間だけ連続した場合で、かつ、連続している間の着脱状態データが、装着を示すデータであると判断した場合に、試験中の時間帯の顔画像データの取得のために、すなわち試験開始前や試験終了後の顔画像データとは別の顔画像データの取得のために、任意のタイミングで、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の取外し指示を、ネットワーク1を介して受験者端末50に送信する処理を実行するものである。
【0103】
そして、顔画像取得手段22の説明で既に述べた通り、顔画像取得手段22は、上記の非透過型HMD60の取外し指示が受験者端末50に送信された場合で、かつ、当該取外し指示の送信後に着脱状態データ受信手段26により受信した着脱状態データが、非装着を示すデータであると判断した場合に、受験者端末50からネットワーク1を介して送信されてくる人物画像データから顔画像データを取得する。
【0104】
<試験管理サーバ20/成績算出手段29、認定証作成手段30の構成>
【0105】
成績算出手段29は、解答記憶手段41に記憶されている評価結果データを用いて、各受験者の成績を算出し、認定証(合格証)を発行するか否かの判断結果を、成績データとして、試験ID、受験者ID、認定証ID(認定番号等であるが、認定証を発行しない場合には採番なし)と関連付けて成績記憶手段42に記憶させるか、または、成績が悪くても必ず認定証を発行する試験の場合には、認定証に掲載する認定レベルや総得点等を、成績データとして、試験ID、受験者ID、認定証IDと関連付けて成績記憶手段42に記憶させる処理を実行するものである。なお、不正判定手段32により不正が行われたと判断された場合には、成績算出手段29による処理は行わなくてもよい。
【0106】
認定証作成手段30は、認定証の発行対象の試験についての試験IDと関連付けられて試験情報記憶手段44に記憶されている試験名、試験実施日、認定団体、認定証フォーム等、および成績記憶手段42に記憶されている成績データを用いて、受験者に対して発行する電子的または紙の認定証300(
図7参照)を作成する処理を実行するものである。なお、不正判定手段32により不正が行われたと判断された場合には、認定証は発行されない。また、成績が認定基準に達しない場合にも、認定証は発行されない。但し、どのような成績でも(従って、たとえ悪い成績でも)、そのレベル(例えば、語学の試験における得点や、成績に基づき定まる級等)を認定する試験の場合には、認定証が発行される。
【0107】
図7に示すように、認定証300には、「合格証」や「修了証」等の認定証タイトル、認定ID(認定番号等)、氏名、試験名、認定日(試験実施日でもよい)、認定団体等が掲載されている。また、認定証300には、顔写真310、顔特徴量の2次元バーコード321、虹彩データの2次元バーコード322、声紋データの2次元バーコード323、指紋データの2次元バーコード324、趣味等の個人情報の2次元バーコード325が掲載されている。
【0108】
この際、認定証作成手段30は、不正判定手段32により複数の顔特徴量の全てが一致または略一致していると判断された場合には、受験者情報記憶手段43に記憶されている複数の顔画像データのうち受験者の顔が最も明確に表れている顔画像データを、認定証300に掲載する顔写真310として採用するとともに、その顔画像データから抽出された顔特徴量の2次元バーコード321を、認定証300に掲載する。顔が最も明確に表れている状態は、例えば、目の面積が大きい、正面を向いている等を適宜設定することができる。顔写真310の掲載の要否は、各受験者が選択することができる。
【0109】
また、認定証作成手段30は、顔特徴量、虹彩データ、声紋データ、指紋データ、趣味等の個人情報を暗号化してから、2次元バーコード化する。各2次元バーコード321~325の掲載の要否は、各受験者が選択することができる。なお、顔写真310、各2次元バーコード321~325のいずれも掲載しないと、認定証300の証明力は落ちる。
【0110】
<試験管理サーバ20/発光管理手段31の構成>
【0111】
発光管理手段31は、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の装着が必要な問題の処理中に、発光部67(
図2、
図3参照)を任意のタイミングで発光させるための発光指示を、ネットワーク1を介して受験者端末50に送信するとともに、発光が行われたタイミングで、受験者端末50に設けられた人物撮像装置53で撮像されてネットワーク1を介して送信されてくる人物画像データを、発光確認用画像データとして受信し、受信した発光確認用画像データに、発光部67での発光が写っているか否かを確認し、その発光確認結果データを、受験者ID、試験IDと関連付けて発光確認結果記憶手段45に記憶させる処理を実行するものである。
【0112】
この際、発光管理手段31による1回の発光指示で非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の発光部67が発光する時間長は、
図5に示すように、瞬間的なものではなく、ある程度の長さ(例えば、1秒間、数秒間等)の発光時間帯を形成するような時間長となっている。そして、この発光時間帯において人物撮像装置53で撮像された人物画像データ(発光確認用画像データ)が、ネットワーク1を介して送信されてくる。これにより、1回の発光指示(1つの発光時間帯)に対し、少なくとも1つの発光確認用画像データが得られる。仮に瞬間的な発光とした場合、人物画像データが動画で送信されてくる際に、動画のフレームレート(FPS:1秒間のフレーム数)が粗いと、実際に発光しているのに、その発光を確認することができない事態が生じ得るが、発光時間帯を形成することにより、そのような事態を回避している。
【0113】
<試験管理サーバ20/不正判定手段32の構成>
【0114】
不正判定手段32は、着脱状態データ受信手段26により受信して解答記憶手段41に記憶されている出題時間帯の着脱状態データおよび解答時間帯の着脱状態データを用いて、出題した問題の問題種別に対して着脱状態が適正であるか否かを判断する処理を実行するものである。
【0115】
具体的には、不正判定手段32は、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の装着が必要な問題の処理中に、出題時間帯の着脱状態データが、装着を示すデータであり、解答時間帯の着脱状態データが、非装着を示すデータであると判断した場合(例えば、
図5の第(N-2)問の場合)には、不正の可能性(やや高い)があるという情報(例えば、赤枠等による注意喚起表示が必要な監視レベルである旨の情報)を監視手段33に伝達する処理を実行する。なお、目が痒い等の理由で、非透過型HMD60を短時間だけ外すこともあるので、上記の着脱状態を検知した場合において直ちに不正が行われたと判断することはない。
【0116】
また、不正判定手段32は、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の装着が必要な問題の処理中に、出題時間帯の着脱状態データが、非装着を示すデータであると判断した場合(例えば、
図5の第(N-1)問、第N問の場合)には、そもそも受験者が問題を見ることができない状態であるため、直ぐに次の問題に移ってもよいが、本実施形態では、その問題の処理をそのまま続行し、不正の可能性(やや低い)があるという情報(例えば、黄色枠等による注意喚起表示が必要な監視レベルである旨の情報)を監視手段33に伝達する処理を実行する。
【0117】
さらに、不正判定手段32は、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の装着が不要な(必要のない)問題の処理中には、着脱状態データ以外の判断要素で不正の可能性があると判断されない限りは、不正の可能性はないと判断する。
【0118】
また、不正判定手段32は、発光確認結果記憶手段45に記憶されている発光確認結果データを用いて、発光管理手段31による処理で発行が確認されていなかった場合に、不正が行われていると判断する処理も実行する。
【0119】
さらに、不正判定手段32は、顔特徴量抽出手段23により抽出した複数の顔特徴量の全てが一致または略一致しているか否かを判断し、全てが一致または略一致している状態でない場合には、不正が行われていると判断する処理も実行する。
【0120】
<試験管理サーバ20/監視手段33の構成>
【0121】
監視手段33は、受験者端末50に設けられた人物撮像装置53により撮像されてネットワーク1を介して送信されてくる受験者の顔を含む人物画像データを受信し、
図6に示すように、受信した人物画像データを動画で監視員端末80の表示手段81の監視画面200に表示する処理を実行するものである。
【0122】
図6において、監視画面200には、複数の受験者の画像等を表示する全体表示部201と、監視員が選択した特定の1人または少数の受験者の画像等を表示する個別表示部202とが設けられている。
【0123】
全体表示部201には、複数の受験者の各々の人物画像データを動画で表示する人物画像表示部210と、発光管理手段31による発光指示が出た際に非透過型HMD60の発光部67の発光と同期するように発光時間帯であることを着色等により表示する発光時間帯表示部220とが設けられている。発光時間帯表示部220の表示は、監視手段33が、発光管理手段31から発光指示を送信した旨の伝達を受けて実行する。
【0124】
人物画像表示部210において、受験者が非透過型HMD60を装着していれば、その装着した状態が人物画像表示部210に表示されるので、監視員は、非透過型HMD60の発光部67が発光しているか否かを確認することができる。なお、発光は常時行われるわけではないので、常時、発光されている画像になっているとすれば、非透過型HMD60の発光部67の故障の場合を除けば(受験者は事後的に故障であることを証明すれば、自己の不利益を免れることができる。)、発光状態の写真を置いている等の不正が行われていることになり、一方、全く発光しなければ、問題が表示されている非透過型HMD60とは別の非透過型HMDを装着しているか、あるいは写真を置いている等の不正が行われていることになる。また、人物画像表示部210に表示されている非透過型HMD60の発光部67の発光と、発光時間帯表示部220における着色等による発光時間帯であることを示す表示とが、同期していない場合は、非透過型HMD60の発光部67の故障の場合を除けば、不正が行われていることになる。
【0125】
また、動作を伴う解答が必要な問題の処理中に、非透過型HMD60の表示部63の表示が、動作解答用の表示モードに切り換えられた場合には、人物画像表示部210には、人物画像データに代えて、装着者視線撮像装置68により撮像した装着者視線画像データが表示される。
【0126】
個別表示部202には、監視員により選択された受験者の人物画像データを動画で表示する人物画像表示部210と、その受験者の発光時間帯を示す発光時間帯表示部220と、受験者端末50に1つまたは複数の補助撮像装置54が設けられている場合にはそれらの補助撮像装置54で撮像された補助画像データを動画で表示する1つまたは複数の補助画像表示部230とが設けられている。全体表示部201と同様に、動作を伴う解答が必要な問題の処理中に、非透過型HMD60の表示部63の表示が、動作解答用の表示モードに切り換えられた場合には、個別表示部202の人物画像表示部210にも、人物画像データに代えて、装着者視線撮像装置68により撮像した装着者視線画像データが表示される。また、個別表示部202では、表示の切換ではなく、人物画像データおよび装着者視線画像データの双方の表示部を設けてもよい。なお、受験者の選択は、監視員が、入力手段82を操作して行い、監視手段33がその操作を受け付けて表示対象の受験者の切換・追加・消去を行う。また、補助画像表示部230の表示は、監視手段33が、受験者端末50からネットワーク1を介して送信されてくる補助画像データを受信して実行する。
【0127】
さらに、監視手段33は、不正判定手段32からの伝達を受けて、監視員端末80の表示手段81に表示される受験者の人物画像データの周囲または周辺部分で注意喚起表示処理を実行する。
図6に示すように、不正判定手段32から不正の可能性(やや高い)があるという情報の伝達を受けた場合には、例えば、人物画像表示部210を赤枠等で囲うことによる注意喚起表示処理を実行する(
図6の受験番号2参照)。また、不正判定手段32から不正の可能性(やや低い)があるという情報の伝達を受けた場合には、例えば、人物画像表示部210を黄色枠等で囲うことによる注意喚起表示処理を実行する(
図6の受験番号7参照)。
【0128】
<試験管理サーバ20/本人確認手段34の構成>
【0129】
本人確認手段34は、本人確認要求者端末110からネットワーク1を介して送信されてくる本人確認用の各種データを用いて、本人確認要求者に対して認定証300(
図7参照)を提示した者が認定を受けた本人(実際に試験を受けた者)であるか否かを確認する処理を実行し、その本人確認結果データを、ネットワーク1を介して本人確認要求者端末110に送信して表示手段111に表示させる処理を実行するものである。例えば、会社の採用面接に来た者が自己の保有する認定証300をその会社に提示したとすると、その会社(会社の面接担当者)が、本人確認要求者である。本人確認要求者は、本人確認要求者端末110の表示手段111に表示された本人確認結果を参照することにより、認定証300を提示した者(採用面接を受けに来た者)が、提示された認定証300に係る試験を受けた本人であるか否かを確認することができる。
【0130】
具体的には、先ず、本人確認要求者は、提示された認定証300に顔写真310が掲載されている場合には、認定証300を提示した者(採用面接を受けに来た者)の顔と、認定証300の顔写真310とを、目視で比較し、同一人であるか否かを判断する。
【0131】
また、提示された認定証300に顔特徴量の2次元バーコード321が掲載されている場合には、本人確認要求者は、本人確認要求者端末110において、撮像装置113により、採用面接に来た者の顔を含む人物画像データを撮像し、撮像した人物画像データを、ネットワーク1を介して試験管理サーバ20の本人確認手段34に送信するとともに、撮像装置113により、提示された認定証300の顔特徴量の2次元バーコード321を撮像し、撮像した顔特徴量の2次元バーコード321(暗号化されている状態)を、ネットワーク1を介して試験管理サーバ20の本人確認手段34に送信する。そして、試験管理サーバ20では、本人確認手段34が、本人確認要求者端末110からネットワーク1を介して送信されてくる現在の人物画像データを受信し、受信した人物画像データから顔画像データを取得し、更に顔画像データから現在の顔特徴量を抽出するとともに、本人確認要求者端末110からネットワーク1を介して送信されてくる顔特徴量の2次元バーコード321を受信し、復号処理を行って受験時の顔特徴量を取得し、双方の顔特徴量が一致または略一致するか否かを判断し、その本人確認結果データを、ネットワーク1を介して本人確認要求者端末110に送信する。
【0132】
さらに、提示された認定証300に虹彩データの2次元バーコード322が掲載されている場合には、本人確認要求者は、本人確認要求者端末110において、撮像装置113により、採用面接に来た者の虹彩データを撮像し、撮像した虹彩データを、ネットワーク1を介して試験管理サーバ20の本人確認手段34に送信するとともに、撮像装置113により、提示された認定証300の虹彩データの2次元バーコード322を撮像し、撮像した虹彩データの2次元バーコード322(暗号化されている状態)を、ネットワーク1を介して試験管理サーバ20の本人確認手段34に送信する。そして、試験管理サーバ20では、本人確認手段34が、本人確認要求者端末110からネットワーク1を介して送信されてくる現在の虹彩データを受信するとともに、本人確認要求者端末110からネットワーク1を介して送信されてくる虹彩データの2次元バーコード322を受信し、復号処理を行って受験時の虹彩データを取得し、双方の虹彩データが一致または略一致するか否かを判断し、その本人確認結果データを、ネットワーク1を介して本人確認要求者端末110に送信する。
【0133】
また、提示された認定証300に声紋データの2次元バーコード323が掲載されている場合には、本人確認要求者は、本人確認要求者端末110において、マイクロフォン114により、採用面接に来た者の音声データを取得し、取得した音声データを、ネットワーク1を介して試験管理サーバ20の本人確認手段34に送信するとともに、撮像装置113により、提示された認定証300の声紋データの2次元バーコード323を撮像し、撮像した声紋データの2次元バーコード323(暗号化されている状態)を、ネットワーク1を介して試験管理サーバ20の本人確認手段34に送信する。そして、試験管理サーバ20では、本人確認手段34が、本人確認要求者端末110からネットワーク1を介して送信されてくる音声データを受信し、受信した音声データを用いて声紋分析(事前登録受付手段21により実行される声紋分析と同じ方法)を行って現在の声紋データを取得するとともに、本人確認要求者端末110からネットワーク1を介して送信されてくる声紋データの2次元バーコード323を受信し、復号処理を行って受験時の声紋データを取得し、双方の声紋データが一致または略一致するか否かを判断し、その本人確認結果データを、ネットワーク1を介して本人確認要求者端末110に送信する。
【0134】
さらに、提示された認定証300に指紋データの2次元バーコード324が掲載されている場合には、本人確認要求者は、本人確認要求者端末110において、指紋読取装置115により、採用面接に来た者の指紋データを取得し、取得した指紋データを、ネットワーク1を介して試験管理サーバ20の本人確認手段34に送信するとともに、撮像装置113により、提示された認定証300の指紋データの2次元バーコード324を撮像し、撮像した指紋データの2次元バーコード324(暗号化されている状態)を、ネットワーク1を介して試験管理サーバ20の本人確認手段34に送信する。そして、試験管理サーバ20では、本人確認手段34が、本人確認要求者端末110からネットワーク1を介して送信されてくる現在の指紋データを受信するとともに、本人確認要求者端末110からネットワーク1を介して送信されてくる指紋データの2次元バーコード324を受信し、復号処理を行って受験時の指紋データを取得し、双方の指紋データが一致または略一致するか否かを判断し、その本人確認結果データを、ネットワーク1を介して本人確認要求者端末110に送信する。
【0135】
また、提示された認定証300に個人情報の2次元バーコード325が掲載されている場合には、本人確認要求者は、採用面接に来た者に対し、氏名、生年月日、趣味等の個人情報を質問して聞き出し、本人確認要求者端末110において、入力手段112を操作し、聞き出した個人情報を入力し、入力した個人情報を、ネットワーク1を介して試験管理サーバ20の本人確認手段34に送信するとともに、撮像装置113により、提示された認定証300の個人情報の2次元バーコード325を撮像し、撮像した個人情報の2次元バーコード325(暗号化されている状態)を、ネットワーク1を介して試験管理サーバ20の本人確認手段34に送信する。そして、試験管理サーバ20では、本人確認手段34が、本人確認要求者端末110からネットワーク1を介して送信されてくる現在の個人情報を受信するとともに、本人確認要求者端末110からネットワーク1を介して送信されてくる個人情報の2次元バーコード325を受信し、復号処理を行って受験時の個人情報を取得し、双方の個人情報が一致または略一致するか否かを判断し、その本人確認結果データを、ネットワーク1を介して本人確認要求者端末110に送信する。
【0136】
<試験管理サーバ20/問題記憶手段40、解答記憶手段41、成績記憶手段42、受験者情報記憶手段43、試験情報記憶手段44、発光確認結果記憶手段45の構成>
【0137】
問題記憶手段40は、
図4に示すように、試験ID、試験種別、問題ID、問題種別、出題時間長、解答時間長、問題データ、正解データを関連付けて記憶するものである。
【0138】
解答記憶手段41は、
図4に示すように、試験ID、受験者ID、問題ID、解答データ、出題時間帯の着脱状態データ、解答時間帯の着脱状態データ、評価結果データを関連付けて記憶するものである。なお、本実施形態の解答記憶手段41は、着脱状態記憶手段を兼ねている。着脱状態記憶手段を別に設置する場合は、試験ID、受験者ID、問題ID、出題時間帯の着脱状態データ、解答時間帯の着脱状態データを関連付けて記憶する。
【0139】
成績記憶手段42は、
図4に示すように、試験ID、受験者ID、成績データ、認定証IDを関連付けて記憶するものである。
【0140】
受験者情報記憶手段43は、
図4に示すように、受験者ID、試験ID、住所、氏名、生年月日、趣味、職業、顔画像データ(候補を含む複数)、顔特徴量(候補を含む複数)、虹彩データ、声紋データ、指紋データ等を関連付けて記憶するものである。
【0141】
試験情報記憶手段44は、
図4に示すように、試験ID、試験名、試験実施日、認定団体、認定証フォーム等を関連付けて記憶するものである。
【0142】
発光確認結果記憶手段45は、
図4に示すように、受験者ID、試験ID、発光確認結果データ(複数)を関連付けて記憶するものである。
【0143】
<非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の構成:
図2、
図3>
【0144】
図2および
図3において、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60は、本体60Aと、この本体60Aを装着者の頭部に固定するための第1のベルト61(頭頂部に接するベルト)および第2のベルト62(頭部の左右の側面および後頭部を周回するベルト)と、本体60Aに埋め込まれる表示部63と、表示を含む入出力制御や通信制御等の各種の制御を行う制御部64と、受験者端末50の本体50Aまたは試験管理サーバ20との通信を行う通信部65と、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の着脱状態を検出する着脱検出装置66と、発光管理手段31による発光指示を受けて発光する発光部67と、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の装着者の視線で当該非透過型HMD60の外側の空間を撮像可能な装着者視線撮像装置68と、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の内側方向(装着者の顔の方向)を撮像可能な内側方向撮像装置69と、マイクロフォン70と、スピーカ71とを備えて構成されている。
【0145】
着脱検出装置66は、本実施形態では、一例として、第1のベルト61の接続部61A、第2のベルト62の接続部62A,62Bのうちの少なくとも1つの接続部に設けられている。3つの着脱検出装置66A,66B,66Cとした場合には、全ての着脱検出装置が装着の状態となれば、全体として装着を示すデータが出力され、いずれかの着脱検出装置が非装着の状態となれば、全体として非装着を示すデータが出力されるので、全体で1つの着脱検出装置66が構成されていると考えてもよい。この着脱検出装置66は、接続部を構成するフックの接触・非接触を検出することにより着脱状態を検出する構成でもよく、接続部の一方を他方に差し込こんだ際にレーザ光が遮られることを捉えて着脱状態を検出する構成でもよく、接続部の一方と他方とのギャップをギャップセンサで検出することにより着脱状態を検出する構成でもよく、どのような方式の着脱検出方法でもよい。なお、本実施形態では、着脱検出装置66は、ベルトの途中の接続部に設けられているが、ベルトと本体60Aとの接続部に設けられていてもよく、また、必ずしも接続部に設けられている必要もなく、例えば、本体60Aに設けて本体60Aと装着者の頭部との距離を測定する方式の着脱検出方法としてもよい。
【0146】
装着者視線撮像装置68および内側方向撮像装置69は、例えば、CCDカメラやCMOSカメラ等により構成される。なお、装着者視線撮像装置68、内側方向撮像装置69のいずれについても、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60を装着する必要のない試験や問題では、主として顔を含む人物(ここでは受験者)の画像を撮像するための人物撮像装置53として利用することができるとともに、顔を含む人物(受験者)以外の物(例えば、キーボードを操作する手や、周囲の状況等)を撮像するための補助撮像装置54として利用することもできる。この場合、装着者視線撮像装置68や内側方向撮像装置69の撮像方向(カメラの中心線の方向)を、目的に応じて、顔を含む人物やそれ以外の物(キーボードを操作する手等)に向けた状態で固定しておく必要があるので、非透過型HMD60の本体60Aを所望の姿勢で固定するための専用の支持具を用意するか、あるいは非透過型HMD60の本体60Aの外形形状を固定に適した形状としておくことが好ましい。前者の専用の支持具とは、例えばカメラの三脚等のような支持具である。後者の固定に適した形状とは、例えば、非透過型HMD60を机の上に置いたときに装着者視線撮像装置68や内側方向撮像装置69の撮像方向が目的の方向に向くように本体60Aの底面部分が形成されている場合や、本体60Aの底面部分に鉤爪状部分(通常のWebカメラに設けられた固定用の鉤爪状部分と同様のもの)が設けられ、それを表示手段51の上端部等に引っ掛けるようにして取付可能になっている場合等である。
【0147】
表示部63の表示には、通常の表示モードと、動作解答用の表示モードと、メモ用の表示モードとがある。通常の表示モードでは、表示部63の画面全体に、問題文や問題の図表等が表示される。
【0148】
動作解答用の表示モードでは、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の装着が必要な問題であり、かつ、動作を伴う解答が必要な問題の処理中に、出題時間帯から解答時間帯に移行するタイミングで、装着者視線撮像装置68により撮像した装着者視線画像データが、非透過型HMD60の表示部63の少なくとも一部に動画で表示される。この動作解答用の表示モードの詳細については、解答データ受信手段25の説明で既に詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0149】
メモ用の表示モードでは、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の装着が必要な問題であり、かつ、出題時間帯および解答時間帯に筆記でメモをとることが許可されている問題の処理中に、非透過型HMD60の表示部63に、試験用の問題データが表示されるとともに、受験者が筆記でメモをとることができるようにするために装着者視線撮像装置68により撮像した装着者視線画像データが表示される。この際、表示部63における試験用の問題データの表示領域と、装着者視線画像データの表示領域とを分けてもよく、あるいは、双方のデータの重畳表示を行ってもよい。前者のように双方の表示領域を分ける場合は、例えば、左右、または上下に分けてそのうちの一方をメモ領域(装着者視線画像データの表示領域)としてもよく、右上部分とそれ以外の部分、右下部分とそれ以外の部分、左上部分とそれ以外の部分、または左下部分とそれ以外の部分に分けてそのうちの一方をメモ領域としてもよい。これにより、受験者は、出題時間帯においては、長文の問題であれば、その要旨や問題文中のキーワードについてメモをとることができる。すなわち、自分の手で、鉛筆やボールペン等の筆記用具を用いて、紙(デジタルペーパーではなく、通常の紙)にメモを記載することができる。また、解答時間帯においては、筆記をしながら計算したり、考えたりすること等ができる。
【0150】
表示部63は、非透過型HMD60の本体60Aにスマートフォンを嵌め込んで構成してもよい。この構成において、発光部67を設ける場合には、発光部67は、表示部63を構成するスマートフォンからの発光とする必要がある。なぜなら、発光部67が設けられている本体60Aと、本体60Aに嵌め込まれたスマートフォンとは、一体化されておらず、分離可能であるため、受験者以外の者(補助者)が本体60Aからスマートフォンを取り外し、別の場所に隠れながらスマートフォンの表示画面を見て問題を把握することが可能になるからである。従って、スマートフォンと本体60Aとをケーブル等で接続し、スマートフォンからの信号で発光部67を発光させるか、あるいは、スマートフォンの表示画面(装着者の顔と向かい合わせになる面)の一部の光(発光部67を形成するための光)を、鏡等を用いて屈折させて反対向きにする。
【0151】
マイクロフォン70およびスピーカ71は、非透過型HMD60の本体60Aとは別体のヘッドセットを、本体60Aに接続して構成してもよく(
図2には不図示)、本体60Aに内蔵させてもよい。なお、受験者端末50の本体50Aに接続されたマイクロフォン55およびスピーカ56を使用する場合は、マイクロフォン70およびスピーカ71の設置は、省略してもよい。
【0152】
【0153】
このような本実施形態においては、以下のような処理の流れで、試験システム10により各種の試験が実施される。
【0154】
図4において、先ず、受験者は、受験者端末50を操作し、事前登録データとして、自分の住所、氏名、生年月日、趣味、職業等の個人情報を入力し、ネットワーク1を介して試験管理サーバ20へ送信する(ステップS1)。試験管理サーバ20では、事前登録受付手段21により、受験者端末50からネットワーク1を介して送信されてくる受験者の趣味等の個人情報を受信し、受信した個人情報を、自動付与した受験者ID(受験番号等)、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる(ステップS2)。この際、受験者は、必要に応じ、運転免許証等の写真付きの本人確認用の証明書の画像データ、虹彩データ、声紋データ、指紋データも送信し、受験者情報記憶手段43に記憶させてもよい。これらの処理内容の詳細は、事前登録受付手段21の説明で既に詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0155】
次に、受験者は、受験者端末50を操作し、試験開始前の顔画像データおよび顔特徴量の登録を行うために、人物撮像装置53により自分の顔を含む人物画像データを撮像し、撮像した人物画像データを、ネットワーク1を介して試験管理サーバ20へ送信する(ステップS3)。試験管理サーバ20では、顔画像取得手段22により、受験者端末50からネットワーク1を介して送信されてくる人物画像データを受信し、受信した人物画像データから顔の部分を検出して切り取ることにより顔画像データを取得し、取得した顔画像データを、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させるとともに、顔特徴量抽出手段23により、顔画像データから顔特徴量を抽出し、抽出した顔特徴量を、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる(ステップS4)。これらの処理内容の詳細は、顔画像取得手段22、顔特徴量抽出手段23の説明で既に詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0156】
それから、試験を開始する。ここでは、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の装着が必要な試験の場合について説明する。受験者端末50では、受験者は、非透過型HMD60を装着して試験に備える。そして、試験管理サーバ20では、問題データ送信手段24により、受験者が装着する非透過型HMD60の表示部63(
図2、
図3参照)に試験用の問題データを表示するために、実施する試験についての試験IDに関連付けられて問題記憶手段40に記憶されている試験用の問題データを、ネットワーク1を介して受験者端末50に送信する(ステップS5)。
【0157】
受験者端末50では、試験管理サーバ20からネットワーク1を介して送信されてくる問題データを、本体50Aを経由して、または直接に、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60で受信し、問題データ(問題文や、問題の図表等)の再生を開始する(ステップS6)。この再生は、主として表示部63への表示であるが、音声出力を伴っていてもよい。問題の提示(出題)は、再生開始後、問題記憶手段40に記憶されている出題時間長だけ続き、その間は、出題時間帯となる。
【0158】
そして、この出題時間帯において、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の着脱検出装置66から出力される着脱状態データを、ネットワーク1を介して試験管理サーバ20に送信する(ステップS7)。この送信は、受験者端末50の本体50Aを経由させてもよく、経由させずに非透過型HMD60から直接にネットワーク1に送出してもよい。
【0159】
試験管理サーバ20では、着脱状態データ受信手段26により、非透過型HMD60からネットワーク1を介して送信されてくる着脱状態データを受信し、受信した出題時間帯の着脱状態データを、試験ID、受験者ID、問題IDと関連付けて解答記憶手段41に記憶させる(ステップS8)。
【0160】
また、不正判定手段32により、解答記憶手段41に記憶されている出題時間帯の着脱状態データを用いて、出題した問題の問題種別に対して着脱状態が適正であるか否かを判断し(注意喚起表示の要否判断)、条件を満たした場合には、不正の可能性があるという情報を監視手段33に伝達する。監視手段33は、この伝達を受けて、監視員端末80で注意喚起表示を行う(ステップS8)。これらの処理内容の詳細は、不正判定手段32、監視手段33の説明で既に詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0161】
動作を伴う解答が必要な問題では、出題時間帯が終了し、解答時間帯に入るタイミングで、問題データ送信手段24により、動作解答用の表示モードへの切換指示を、ネットワーク1を介して受験者端末50に送信する(ステップS9)。受験者端末50では、本体50Aを経由して、または直接に、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60が動作解答用の表示モードへの切換指示を受信すると、装着者視線撮像装置68(
図2、
図3参照)により撮像した装着者視線画像データが、非透過型HMD60の表示部63の少なくとも一部に動画で表示される(ステップS10)。
【0162】
そして、解答時間帯においても、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の着脱検出装置66から出力される着脱状態データを、ネットワーク1を介して試験管理サーバ20に送信する(ステップS11)。
【0163】
試験管理サーバ20では、着脱状態データ受信手段26により、非透過型HMD60からネットワーク1を介して送信されてくる着脱状態データを受信し、受信した解答時間帯の着脱状態データを、試験ID、受験者ID、問題IDと関連付けて解答記憶手段41に記憶させる(ステップS12)。
【0164】
また、不正判定手段32により、解答記憶手段41に記憶されている出題時間帯の着脱状態データおよび解答時間帯の着脱状態データを用いて(つまり、解答時間帯に入っているので、その前の出題時間帯の着脱状態データも用いる。)、出題した問題の問題種別に対して着脱状態が適正であるか否かを判断し(注意喚起表示の要否判断)、条件を満たした場合には、不正の可能性があるという情報を監視手段33に伝達する。監視手段33は、この伝達を受けて、監視員端末80で注意喚起表示を行う(ステップS12)。
【0165】
さらに、発光管理手段31により、非透過型HMD60の発光部67(
図2、
図3参照)を発光させるか否かを判断し(発光は任意のタイミングで行う)、発光させる場合には、発光指示をネットワーク1を介して受験者端末50に送信する(ステップS13)。受験者端末50では、本体50Aを経由して、または直接に、非透過型HMD60で発光指示を受信し、発光部67での発光を行うとともに、発光が行われたタイミングで人物撮像装置53で撮像された人物画像データを、発光確認用画像データとして、ネットワーク1を介して試験管理サーバ20に送信する(ステップS14)。試験管理サーバ20では、発光管理手段31により、ネットワーク1を介して送信されてくる発光確認用画像データを受信し、受信した発光確認用画像データに発光部67での発光が映っているか否かを確認し、その発光確認結果データを、受験者ID、試験IDと関連付けて発光確認結果記憶手段45に記憶させる(ステップS13)。これらの処理内容の詳細は、発光管理手段31の説明で既に詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。なお、ステップS13,S14では、説明の便宜上、発光は、解答時間帯に行われるように記載されているが、発光は、出題時間帯でもよく、解答時間帯でもよく、双方の時間帯に跨っていてもよく、本実施形態では、各問題の出題・解答とは別途のタイミングで発光管理が行われる。
【0166】
続いて、受験者端末50において、受験者は、問題に対する解答を入力し、解答データを、ネットワーク1を介して試験管理サーバ20に送信する(ステップS15)。この際、動作を伴う解答が必要な問題では、受験者は、非透過型HMD60の表示部63で、自分の動作が映っている装着者視線画像データを見ながら解答する。試験管理サーバ20では、解答データ受信手段25により、受験者端末50からネットワーク1を介して送信されてくる受験者の解答データを受信し、受信した解答データを、試験ID、受験者ID、問題IDと関連付けて解答記憶手段41に記憶させる(ステップS16)。これらの処理内容の詳細は、解答データ受信手段25の説明で既に詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0167】
その後、試験管理サーバ20では、評価手段27により、解答記憶手段41に記憶された解答データと、問題記憶手段40に記憶された正解データとを用いて、受験者の解答データを評価(正誤判定や採点)し、その評価結果データを、試験ID、受験者ID、問題IDと関連付けて解答記憶手段41に記憶させる(ステップS17)。これらの処理内容の詳細は、評価手段27の説明で既に詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0168】
続いて、試験管理サーバ20では、顔画像取得要否判断手段28により、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の装着が必要な問題が、予め定められた問題数だけ連続するか、または予め定められた時間だけ連続した場合で、かつ、連続している間の着脱状態データが、装着を示すデータであると判断した場合に、試験中の時間帯の顔画像データ(すなわち試験開始前や試験終了後の顔画像データとは別の顔画像データ)を取得するか否かを判断し(試験中の時間帯の顔画像データの取得は、任意のタイミング)、取得する場合は、非透過型HMD60の取外し指示を、ネットワーク1を介して受験者端末50に送信する(ステップS18)。
【0169】
受験者端末50では、非透過型HMD60の取外し指示を受信し、その旨を表示部63に表示する(ステップS19)。音声出力で取外し指示を行ってもよい。そして、受験者は、取外し指示に従って非透過型HMD60を取り外した後に、人物撮像装置53により、自分の顔を含む人物画像データを撮像し、撮像した人物画像データを、ネットワーク1を介して試験管理サーバ20に送信する(ステップS20)。試験管理サーバ20では、顔画像取得手段22により、受験者端末50からネットワーク1を介して送信されてくる人物画像データを受信し、受信した人物画像データから顔の部分を検出して切り取ることにより顔画像データを取得し、取得した顔画像データを、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させるとともに、顔特徴量抽出手段23により、顔画像データから顔特徴量を抽出し、抽出した顔特徴量を、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる(ステップS21)。この処理は、前述したステップS4の処理と同じである。
【0170】
それから、次の問題に進むか否かを判断し(ステップS22)、次の問題に進む場合には、前述したステップS5の処理に戻り、以降、次の問題に進まないと判断するまで、ステップS5~S22の処理を繰り返す。一方、次の問題に進まない場合には、試験終了となる。
【0171】
試験終了後には、受験者は、非透過型HMD60を取り外した状態で、人物撮像装置53により、自分の顔を含む人物画像データを撮像し、撮像した人物画像データを、ネットワーク1を介して試験管理サーバ20に送信する(ステップS23)。試験管理サーバ20では、顔画像取得手段22により、受験者端末50からネットワーク1を介して送信されてくる人物画像データを受信し、受信した人物画像データから顔の部分を検出して切り取ることにより顔画像データを取得し、取得した顔画像データを、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させるとともに、顔特徴量抽出手段23により、顔画像データから顔特徴量を抽出し、抽出した顔特徴量を、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる(ステップS24)。この処理は、前述したステップS4,S21の処理と同じである。
【0172】
続いて、試験管理サーバ20では、成績算出手段29により、解答記憶手段41に記憶されている評価結果データを用いて、各受験者の成績を算出し、認定証300(
図7参照)を発行するか否かの判断結果を、成績データとして、試験ID、受験者ID、認定証ID(認定番号等であるが、認定証を発行しない場合には採番なし)と関連付けて成績記憶手段42に記憶させるか、または、成績が悪くても必ず認定証を発行する試験の場合には、認定証に掲載する認定レベルや総得点等を、成績データとして、試験ID、受験者ID、認定証IDと関連付けて成績記憶手段42に記憶させる(ステップS25)。この際、不正判定手段32による不正の有無の判定処理も行われ、不正が行われたと判断された場合には、成績算出手段29による処理は行わなくてもよい。
【0173】
その後、認定証作成手段30により、認定証の発行対象の試験についての試験IDと関連付けられて試験情報記憶手段44に記憶されている試験名、試験実施日、認定団体、認定証フォーム等、および成績記憶手段42に記憶されている各受験者の成績データを用いて、各受験者に対して発行する電子的または紙の認定証300(
図7参照)を作成する(ステップS26)。
【0174】
<本実施形態の効果>
【0175】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、試験システム10では、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60で問題を表示するので、受験者以外の者は、問題を見ることができない。また、受験者は、非透過型HMD60を装着しているので、例えば、こっそり辞書を見る等の不正をしにくい環境を構築することができる。
【0176】
さらに、不正判定手段32は、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の着脱検出装置66により検出された着脱状態データを用いて、出題した問題の問題種別に対して着脱状態が適正であるか否かを判断するので、例えば、非透過型HMD60を装着しなければならない問題について、非透過型HMD60を装着せずに解答している状態、あるいは非透過型HMD60を装着して問題を見ているべきときに非透過型HMD60を装着していない状態等を捉えることができる。このため、不正を防止しつつ試験を実施することができる。
【0177】
また、試験システム10は、監視手段33および監視員端末80を備えているので、監視員端末80で注意喚起表示を行うことができる(
図6参照)。このため、複数の受験者をまとめて監視している監視員に対し、不正を行っている可能性のある受験者を知らせることができるので、監視員の監視負担を軽減することができるとともに、監視効率を向上させることができる。
【0178】
さらに、試験システム10は、顔画像取得手段22、顔特徴量抽出手段23、不正判定手段32、および認定証作成手段30を備えているので、複数の顔画像データの各々について顔特徴量を抽出し、複数の顔特徴量の全てが一致または略一致しているか否かを判断し、全てが一致または略一致していると判断した場合に、複数の顔画像データのうち受験者の顔が最も明確に表れている顔画像データを、認定証300(
図7参照)に掲載する顔写真310として採用することができる。このため、試験中における人の入れ替わりの有無を判断し、不正を検知することができるうえ、認定証300に掲載するための適切な顔写真310を得ることができる。
【0179】
また、試験システム10は、顔画像取得要否判断手段28を備えているので、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の取外し指示を出すことができる。このため、非透過型HMD60の装着が必要な問題が連続し、試験中の時間帯における顔画像データを取得しにくい状況下でも、必要な顔画像データを取得し、不正検知を行うことができる。また、非透過型HMD60の取外し指示は、一定の条件を満たした場合に、顔画像取得要否判断手段28により任意のタイミングで送信されるので、受験者端末50側では予測できないことから、例えば、取外し指示が出されることを察知して補助者から受験者本人に戻る等の対応ができなくなり、不正を行いにくい環境を構築することができる。
【0180】
さらに、試験システム10では、非透過型HMD60に装着者視線撮像装置68が設けられているので、動作を伴う解答が必要な問題において、装着者視線撮像装置68により撮像した装着者視線画像データを、非透過型HMD60の表示部63に表示することができるとともに、監視員端末80にも表示することができる。このため、動作を伴う解答が必要な問題が出題されたときに、非透過型HMD60を装着したままの状態でも、受験者は、自分の手や指等の動きを自分の目で確認しながら解答を行うことができる。また、装着者視線画像データが、非透過型HMD60に表示されることにより、受験者は、非透過型HMD60の外部が見えるようになるので、その分、不正を行いやすい環境となるが、装着者視線画像データは、監視員端末80にも表示されるので、不正の未然防止を図ることができる。
【0181】
そして、上記のように装着者視線撮像装置68により撮像した装着者視線画像データが、非透過型HMD60の表示部63に表示される場合に、受験者が筆記による解答を行うと、評価手段27は、装着者視線画像データについて文字読取処理を実行して解答の評価(正誤判定や採点等)を行うことができる。このため、評価の自動化を図ることができる。
【0182】
また、試験システム10では、非透過型HMD60に装着者視線撮像装置68が設けられているので、メモをとることが許可されている問題では、受験者が筆記でメモをとることができるように、装着者視線画像データを、非透過型HMD60の表示部63に表示することができるとともに、監視員端末80にも表示することができる。このため、非透過型HMD60を装着したままの状態でも、受験者は、出題時間帯においては、長文の問題であれば、その要旨や問題文中のキーワードについてメモをとることができ、解答時間帯においては、筆記をしながら計算したり、考えたりすること等ができる。また、装着者視線画像データが、非透過型HMD60の表示部63に表示されることにより、受験者は、非透過型HMD60の外部が見えるようになるので、不正を行いやすい環境となるが、装着者視線画像データは、監視員端末80にも表示されるので、不正の未然防止を図ることができる。
【0183】
さらに、試験システム10は、発光管理手段41を備え、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60には発光部67が設けられているので、受験者が装着するべき非透過型HMD60を、受験者以外の者(補助者)が装着し、その表示部63に表示された問題を見て解答し、つまり、本来的には受験者しか見ることができない問題を補助者が見て解答し、一方、受験者は、同一または類似の形状を有する非透過型HMD(問題が表示されない別の非透過型HMD)を装着し、試験を受けているふりをするといった不正や、非透過型HMD60を装着した受験者の写真を置いておくといった不正を検知することができる。このため、不正の未然防止を図ることができる。また、発光部67の発光は、任意のタイミングで行われるので、受験者端末50側で予測することができないことから、発光の直前に正常な状態に戻す等の行為が困難になり、不正を行いにくい環境を構築することができる。
【0184】
<変形の形態>
【0185】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
【0186】
<受験者端末50が非透過型HMD60だけの構成、非透過型HMD60の本体60Aにスマートフォンを嵌め込んで表示部63を形成する構成>
【0187】
例えば、前記実施形態では、受験者端末50は、コンピュータにより構成された本体50Aと、非透過型HMD60とを含んで構成されていたが、受験者端末は、コンピュータにより構成された本体50Aを使用せずに、非透過型HMD60だけで構成してもよい。また、このように受験者端末を、コンピュータにより構成された本体50Aを使用せずに、非透過型HMD60だけで構成する場合は、非透過型HMD60の本体60Aにスマートフォンを嵌め込んで表示部63を形成する構成としてもよい。これらの構成をとった場合、非透過型HMD60を装着した状態の受験者を外部から撮像する人物撮像装置53もなくなるので、監視員端末80での監視員による監視ができず、また、非透過型HMD60の発光部67の発光を確認するための発光確認用画像データの取得もできなくなるが、着脱状態データを用いた不正の防止は図ることができる。
【0188】
<スマートフォンやタブレット端末等の携帯機器に設置された撮像装置を利用する構成>
【0189】
さらに、前記実施形態では、人物撮像装置53や補助撮像装置54は、受験者端末50の本体50Aに接続されていたが(
図1参照)、これらの人物撮像装置53や補助撮像装置54を、スマートフォンやタブレット端末等の携帯機器に設置された撮像装置(カメラ)により構成してもよく、この場合、携帯機器で撮像した画像データは、携帯機器から本体50Aを介して試験管理サーバ20に送信してもよく、本体50Aを介さずに携帯機器から直接に試験管理サーバ20に送信してもよい。なお、本体50Aを、スマートフォンやタブレット端末等の携帯機器で構成してもよいので、その場合には、第1の携帯機器(例えば、タブレット端末)の画面で問題を表示しつつ、第2、第3、…の携帯機器(例えば、スマートフォンや、別のタブレット端末)の撮像装置(カメラ)で受験者の顔を含む人物画像や手の画像等の撮像処理を行ってもよい。
【0190】
<試験勉強に役立つ教材の広告や販売、および教材の購入者(受験者)のデータの利活用を行う構成:
図8>
【0191】
また、
図8に示すように、前記実施形態を、試験勉強に役立つ教材の広告や販売、および教材の購入者(受験者)のデータの利活用を行う構成としてもよい。このような構成とする場合、
図8での図示は省略されているが、前記実施形態に設けられていた機能は全て備えていてよい。従って、
図8は、前記実施形態の構成に対して追加される機能を中心とした記載となっている。すなわち、試験管理サーバ20の処理手段20Aには、教材購入受付手段35と、教材使用成果集計手段36と、広告データ作成手段37と、広告掲載手段38とが含まれている。また、試験管理サーバ20は、教材使用状態記憶手段46と、教材使用成果記憶手段47と、広告データ記憶手段48とを備えている。
【0192】
教材購入受付手段35は、例えば、試験終了後(前記実施形態の
図4のステップS25の処理後等)に非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の表示部63に表示された教材の広告をクリックした受験者による教材購入の申込を受け付け、教材を購入した受験者についての氏名および生年月日等の個人特定情報(さらに住所や電話番号等を個人特定情報として用いてもよく、これらの個人特定情報は、受験者IDに関連付けられて受験者情報記憶手段43に記憶されている。)、購入された教材についての教材ID、教材購入日を、教材使用状態記憶手段46に記憶させる処理を実行するものである。そして、教材を購入した受験者が、実際にその教材を使用する都度に、その教材使用日時が、氏名および生年月日等の個人特定情報、並びに教材IDと関連付けられて教材使用状態記憶手段46に記憶されるようになっている。この教材使用日時の書き込みは、教材を用いた学習を支援する学習システム120により実行される。
【0193】
教材使用成果集計手段36は、教材使用状態記憶手段46、試験情報記憶手段44、受験者情報記憶手段43、および成績記憶手段42に記憶されたデータを用いて、各教材を使用した各受験者の教材使用成果を集計し、その集計結果を、氏名および生年月日等の個人特定情報、並びに教材IDと関連付けて教材使用成果記憶手段47に記憶させる処理を実行するものである。具体的には、
図8の最下部に示すように、同種の試験が、第1回、第2回、…という具合に、複数回実施される場合があるので、それらの同種の試験が繰り返される間に、各受験者が各教材を使用することにより、どれぐらい成績が上がったのかという情報を集計する。なお、試験IDは、同種の試験でも、第1回の試験と、第2回の試験とでは、異なる試験IDが付与されるが、同種の試験であれば、試験IDの1部は共通化されていて同種の試験であることを識別できるようになっているか、または同種の試験についての試験IDを関連付けるテーブル(同種試験関連付け記憶手段)が用意されている。また、受験者IDは、受験番号等とされ、通常は、同一人でも、試験毎に異なる受験者IDとなるので、受験者IDに関連付けられて受験者情報記憶手段43に記憶されている氏名および生年月日等の個人特定情報を用いて、同一人が受けた各試験における成績データを収集することになる。
【0194】
すなわち、教材使用成果集計手段36は、先ず、
図8の最下部の△印で示される教材使用日時が、累積データとして教材使用状態記憶手段46に記憶されているので、それらの教材使用日時(累積)を取得し、試験情報記憶手段44に記憶された各試験実施日(同種の試験についての試験IDに関連付けられた試験実施日)との時間的な前後関係を判断し、「教材使用開始時よりも前の期間中、最後に受けた試験(1)についての試験ID」と、「最後の教材使用時の直後に受けた試験(2)または教材使用継続中の最後の試験(2)についての試験ID」とを特定する。
図8の最下部の集計例Aでは、第4回の試験が、「教材使用開始時よりも前の期間中、最後に受けた試験(1)」に該当し、第6回の試験が、「最後の教材使用時の直後に受けた試験(2)」に該当する。集計例Bでは、第4回の試験が、「教材使用開始時よりも前の期間中、最後に受けた試験(1)」に該当し、第7回の試験が、「教材使用継続中の最後の試験(2)」に該当する。
【0195】
続いて、教材使用成果集計手段36は、上記のように特定した試験(1),(2)についての試験ID、および集計対象の教材使用者の氏名および生年月日等の個人特定情報を用いて、受験者情報記憶手段43から、試験(1),(2)についての試験IDに対応するその教材使用者の受験者IDを取得する。そして、教材使用成果集計手段36は、試験IDおよび受験者IDを用いて、成績記憶手段42から成績データを取得し、取得した成績データ、および試験IDを、集計対象の教材使用者の氏名および生年月日等の個人特定情報、並びに、教材IDと関連付けて教材使用成果記憶手段47に記憶させる。さらに、教材使用成果集計手段36は、教材使用成果記憶手段47に記憶させた同一人(教材使用者)による試験(1),(2)の各成績データの差、すなわち、試験(1)の成績データに対する試験(2)の成績データの変化量を算出し、算出した変化量(変化量は、プラスになっていることが前提)を、教材使用成果データとして教材使用成果記憶手段47に記憶させる。
【0196】
広告データ作成手段37は、教材使用成果記憶手段47に記憶された各教材使用者の教材使用成果データを教材毎に集計し、アップした得点の平均値、中央値、最頻値、最大値等の各種の指標値を算出し、算出した指標値を用いて各教材についての広告データを作成し、作成した広告データを、試験ID(同種の試験のうち、次回に実施される試験についての試験ID)、教材IDおよび教材種別、並びに広告表示対象者の成績データの区分と関連付けて広告データ記憶手段48に記憶させる処理を実行するものである。教材種別とは、例えば、中国語学習の教材、英語学習の教材、弁護士試験のための法律関連の教材、電気関係の技術に関する教材等の別であり、試験IDにより試験の内容(例えば、中国語の試験、弁護士試験等の別)が特定されるので、試験IDに対応する教材種別が定まることになる。広告表示対象者の成績データの区分とは、試験終了後に広告を掲載する場合に、成績が悪かった受験者、中程度であった受験者、比較的高成績であった受験者等のうち、どのような成績レベルの受験者に対し、購入を推薦する教材であるのかを示す情報であり、例えば、「10点未満」、「10点以上、30点未満」、「30点以上、69点未満」、「70点以上」等の区分を示すデータである。ここで作成される広告データは、次回に実施される試験で使用する広告データ(例えば、次回の試験の終了後に掲載する広告データ)であり、広告データ記憶手段48に記憶される広告データは、常時、更新される。具体的には、例えば、教材αを使用した各教材使用者の教材使用成果データを集計し、アップした得点の平均値が5点であったとすれば、「<教材α>空間大学教授Y監修 この教材を使用した人は、試験の得点が平均5点アップしています。使用料はXXX円/月です。」等の広告データが作成される(
図8参照)。
【0197】
広告掲載手段38は、例えば、試験終了後に、実施された試験についての試験ID、および、実施された試験における受験者の成績データを用いて、広告データ記憶手段48から、当該受験者の成績データに対応する広告表示対象者の成績データの区分に関連付けられている各教材の広告データ(当該受験者に推薦することが適切な教材の広告データ)を取得し、取得した広告データを、例えば、試験終了後の成績表示画面400(
図8参照)に掲載する処理を実行するものである。例えば、
図8に示すように、成績表示画面400には、成績表示部410と、複数(1つでもよい。)の広告表示部420とが設けられ、広告掲載手段38は、広告表示部420に、広告データ記憶手段48から取得した広告データを用いた広告表示を行う。そして、この広告表示部420の広告を見た受験者が、いずれかの教材の広告表示部420をクリックすると、既に詳述したように、教材購入受付手段35による処理が実行される。なお、このような広告表示は、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の表示部63への表示だけではなく、非透過型HMD60を使用しない試験で行ってもよい。
【0198】
<試験問題を供給する者(業者)と、監視等を行って試験を適正に実施する者(業者)とが一致していない構成:
図9>
【0199】
また、前記実施形態では、試験問題を供給する者(業者)と、監視等を行って試験を適正に実施する者(業者)とが、一致していたが、必ずしもこれらの者(業者)は一致していなくてもよい。例えば、
図9に示す試験システム500は、複数の者(業者)で運営・管理されている。この試験システム500は、第1の管理者(例えば、各種試験の実施を行う業者)が運営・管理する第1の試験管理サーバ510と、第2の管理者(例えば、試験問題の作成、出題、解答の受付、評価等を行う業者)が運営・管理する第2の試験管理サーバ520とを備えている。第1、第2の試験管理サーバ510,520は、それぞれ1台または複数台のコンピュータにより構成されている。
【0200】
このような構成とする場合、例えば、試験問題の供給等を行う複数(多数)の第2の管理者が存在し、それらの複数の第2の管理者が、監視を含む試験の実施を行う1人(1社)の第1の管理者の運営・管理の下で、それぞれが用意した問題による試験を実施するといった業務形態をとることができる。なお、第1の管理者と第2の管理者との関係は、このような1対多に限らず、多対多でもよく、多対1でもよい。多対1の場合は、例えば、1人(1社)の第2の管理者が、中国語の試験問題と、英語の試験問題とを作成して提供し、異なる第1の管理者の運営・管理の下で、それぞれの問題による試験を実施するといった業務形態をとることができる。
【0201】
第1の試験管理サーバ510の処理手段510Aには、前記実施形態の
図1と同様に、事前登録受付手段21と、顔画像取得手段22と、顔特徴量抽出手段23と、着脱状態データ受信手段26と、顔画像取得要否判断手段28と、成績算出手段29と、認定証作成手段30と、発光管理手段31と、不正判定手段32と、監視手段33と、本人確認手段34とが含まれているとともに、上述した
図8と同様に、教材購入受付手段35と、教材使用成果集計手段36と、広告データ作成手段37と、広告掲載手段38とが含まれている。また、第1の試験管理サーバ510は、前記実施形態の
図1と同様に、成績記憶手段42と、受験者情報記憶手段43と、試験情報記憶手段44と、発光確認結果記憶手段45とを備えているとともに、上述した
図8と同様に、教材使用状態記憶手段46と、教材使用成果記憶手段47と、広告データ記憶手段48とを備えている。
【0202】
さらに、第1の試験管理サーバ510は、着脱状態記憶手段540を備えているが、これは、前記実施形態の解答記憶手段41の一部である。従って、前記実施形態の解答記憶手段41は、着脱状態記憶手段を兼ねていた。具体的には、着脱状態記憶手段540は、
図9に示すように、試験IDと、受験者IDと、問題IDと、出題時間帯の着脱状態データ(出題時間帯を示す情報と、装着・非装着の別との組合せデータ)と、解答時間帯の着脱状態データ(解答時間帯を示す情報と、装着・非装着の別との組合せデータ)とを関連付けて記憶している。
【0203】
この第1の試験管理サーバ510には、監視員端末80と、本人確認要求者端末110と、第1の管理者(例えば、監視を含む各種試験の実施を行う業者)が操作する第1の管理者端末530とが、ネットワーク1を介して接続されている。第1の管理者端末530は、前記実施形態の
図1の管理者端末100が、機能的に分割されたものである。
【0204】
第2の試験管理サーバ520の処理手段520Aには、前記実施形態の
図1と同様に、問題データ送信手段24と、解答データ受信手段25と、評価手段27とが含まれている。また、第2の試験管理サーバ520は、前記実施形態の
図1と同様に、問題記憶手段40を備えている。さらに、第2の試験管理サーバ520は、解答記憶手段541を備えているが、これは、前記実施形態の解答記憶手段41(
図4参照)の一部である。具体的には、解答記憶手段541は、
図9に示すように、試験IDと、受験者IDと、問題IDと、解答データと、評価結果データとを関連付けて記憶している。
【0205】
また、第2の試験管理サーバ520には、評価者端末90と、第2の管理者(例えば、試験問題の作成、出題、解答の受付、評価等を行う業者)が操作する第2の管理者端末531とが、ネットワーク1を介して接続されている。第2の管理者端末531は、前記実施形態の
図1の管理者端末100が、機能的に分割されたものである。
【0206】
図9のような構成とした場合には、問題データの送受信の処理(前記実施形態の
図4のステップS5,S6の処理)、および装着者視線撮像装置68(前記実施形態の
図2、
図3参照)による動作解答用の表示モードへの切換指示の送受信の処理(前記実施形態の
図4のステップS9,S10の処理)は、第2の試験管理サーバ520から受験者端末50への処理となる。また、解答データの送受信の処理(前記実施形態の
図4のステップS15,S16の処理)は、受験者端末50から第2の試験管理サーバ520への処理となる。さらに、解答の評価(正誤判定や採点)の処理(前記実施形態の
図4のステップS17の処理)は、第2の試験管理サーバ520で実行される。
【0207】
一方、事前登録データの送受信の処理(前記実施形態の
図4のステップS1,S2の処理)、人物画像データの送受信の処理(前記実施形態の
図4のステップS3,S4およびステップS23,S24の処理)、および着脱状態データの送受信の処理(前記実施形態の
図4のステップS7,S8およびステップS11,S12の処理)は、受験者端末50から第1の試験管理サーバ510への処理となる。また、非透過型HMD60の発光部67(前記実施形態の
図2、
図3参照)の発光管理のための発光指示および発光確認用画像データの送受信の処理(前記実施形態の
図4のステップS13,S14の処理)は、第1の試験管理サーバ510と受験者端末50との間の処理となる。さらに、非透過型HMD60の取外し指示の送受信およびそれに伴う人物画像データの送受信の処理(前記実施形態の
図4のステップS18~S21の処理)も、第1の試験管理サーバ510と受験者端末50との間の処理となる。そして、成績の算出処理(前記実施形態の
図4のステップS25の処理)、広告掲載処理(
図8参照)、認定証の作成処理(前記実施形態の
図4のステップS26の処理)は、第1の試験管理サーバ510で実行される。なお、成績の算出処理では、第2の試験管理サーバ520の解答記憶手段541に記憶されている評価結果データを用いるので、第1の試験管理サーバ510の成績算出手段29は、第2の試験管理サーバ520からネットワーク1を介して評価結果データを取得する。
【0208】
また、
図9のような構成とした場合には、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の表示部63(
図2、
図3参照)に表示される画面、あるいは、非透過型HMD60の装着が必要ない試験や問題の場合には、受験者端末50の表示手段51(非透過型HMD60を除く表示手段)の画面には、第1の試験管理サーバ510から送信されてくる管理的な画面と、第2の試験管理サーバ520から送信されてくる問題提示用の画面とが、表示されることになる。この際、第1の試験管理サーバ510から送信されてくる管理的な画面を外枠部分とし、その枠の中に、第2の試験管理サーバ520から送信されてくる問題提示用の画面を表示するようにしてもよく、あるいは、管理的な画面と、問題提示用の画面とを切り換えて表示してもよい。後者のように切り換える場合は、例えば、切換直前の画面に、切換直後の画面の情報(URL等)を含ませておけばよい。なお、受験者端末50での画面表示処理およびそれに付随する処理は、例えば、WEBブラウザ、およびWEBページに付随して第1の試験管理サーバ510または第2の試験管理サーバ520から提供されるプログラム(例えば、JavaScript(ECMAScript)等:JavaScriptは登録商標)で実行してもよく、ブラウジング機能を有する専用のプログラムを受験者端末50(受験者端末50の本体50Aまたは非透過型HMD60の本体60A)にインストールして実行してもよい。
【0209】
<電子認定証を発行して分散型台帳に記録する構成>
【0210】
さらに、前記実施形態では、認定証作成手段30は、
図7に示すように、顔写真310や2次元バーコード321~325を掲載(但し、掲載するか否かは選択可)した認定証300を発行する構成とされていたが、受験者の要望に応じ、電子認定証を発行し、受験者IDまたはそれに代わる保管用の識別情報と関連付けて分散型台帳(例えば、ブロックチェーン)に記録することによりデータの改ざんが困難な状態で保管し、受験者が必要なときに(受験者の取得要求があったときに)、受験者ID等の識別情報を用いて当該受験者の電子認定証を分散型台帳から取得して受験者端末50(但し、受験時とは異なる端末でもよい)に送信するようにしてもよい。この場合、試験管理サーバ20から分散型台帳(ブロックチェーン等)の構成ノード(分散型台帳形成用のピア・ツー・ピア・ネットワークで接続された複数のコンピュータのうちのいずれか)にアクセスすることにより、電子認定証についての分散型台帳への登録および分散型台帳からの取得を行ってもよく、試験管理サーバ20自体を構成ノードとしてもよい。
【0211】
<分散型台帳を利用して、受験者のために、仮想通貨を取り扱う構成>
【0212】
そして、上記のように、試験管理サーバ20から分散型台帳(ブロックチェーン等)の構成ノードにアクセス可能とするか、または、試験管理サーバ20自体を構成ノードとする場合、試験管理サーバ20は、受験者のために、仮想通貨を取り扱う構成としてもよい。具体的には、成績算出手段29により算出されて成績記憶手段42に記憶されている成績データが良好な場合(予め定められた閾値以上の場合)や、試験システム10の使用時間が長い場合(予め定められた閾値以上の場合)に、受験者に対して仮想通貨を付与するサービスを行ってもよい。この際、閾値を段階的に設け、成績に応じて、あるいは使用時間の長さに応じて、付与する仮想通貨の量を増減させてもよい。すなわち、成績が良い程、あるいは使用時間が長い程、より多くの仮想通貨を付与するようにしてもよい。また、成績が良い場合や、使用時間が長い場合に、仮想通貨の付与に代えて、受験者に対し、教材の購入代金に充当することができるポイント、あるいは非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の購入代金やレンタル代金に充当することができるポイントを付与してもよい。より詳細には、試験管理サーバ20に設けられた受験者援助手段(不図示)により、仮想通貨やポイントを付与するための計算を受験者毎に実行し、付与した仮想通貨は、分散型台帳(ブロックチェーン等)における受験者のアカウント(例えばイーサリアムのアドレス等)に記録し、付与したポイントは、試験管理サーバ20に設けられたポイント記憶手段(不図示)に記憶させる。なお、受験者情報記憶手段43に、受験者の銀行口座情報やクレジットカード情報が記憶されている場合には、仮想通貨の付与に代えて、現実の通貨による振込としてもよい。この振込処理も、受験者援助手段(不図示)により実行される。
【0213】
<着脱状態データを用いて使用時間を推定し、仮想通貨の付与、ポイントの付与、現実の通貨の付与を行う構成>
【0214】
さらに、上記のように、使用時間に応じて、仮想通貨の付与、ポイントの付与、現実の通貨の付与を行う場合には、解答記憶手段41に記憶された着脱状態データを用いて、使用時間を推定してもよい。具体的には、受験者援助手段(不図示)は、着脱状態データが一定の時間間隔で得られることを前提とし、取得した着脱状態データの数により時間長を推定するか、または、取得した着脱状態データの数そのものの大小に応じて、仮想通貨の付与、ポイントの付与、現実の通貨の付与を行ってもよい。この際、不正判定手段32は、着脱状態データ受信手段26により受信して解答記憶手段41に記憶されている出題時間帯の着脱状態データおよび解答時間帯の着脱状態データを用いて、出題した問題の問題種別に対して着脱状態が適正であるか否かを判断する処理を実行するので、受験者援助手段(不図示)は、不正判定手段32により着脱状態が適正であると判断された場合だけをカウントして着脱状態データの数(数そのもの、あるいはその数から推定される時間長)としてもよい。すなわち、不正の可能性があるような状況下で取得された着脱状態データは、使用としてカウントしないようにしてもよい。
【0215】
<非透過型HMD60の装着が不要な問題の処理中に、人物画像データを用いて受験者の不自然な動作を検出する構成>
【0216】
また、前記実施形態では、不正判定手段32は、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の装着が必要な問題の処理中には、着脱状態データ受信手段26により受信して解答記憶手段41に記憶されている着脱状態データを用いて不正の可能性の有無について判断し、不正の可能性があるという情報(例えば、赤枠や黄色枠等による注意喚起表示が必要な監視レベルである旨の情報)を監視手段33に伝達するようになっていたが、非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の装着が不要な問題の処理中には、例えば、次のような処理を行うことができる。すなわち、前記実施形態の監視手段33は、受験者端末50に設けられた人物撮像装置53により撮像されてネットワーク1を介して送信されてくる受験者の顔を含む人物画像データを受信し、
図6に示すように、受信した人物画像データを動画で監視員端末80の表示手段81の監視画面200に表示する処理を実行するが、この際、監視手段33は、受信した人物画像データを、不正判定手段32に渡すようにしてもよい。不正判定手段32は、受け取った人物画像データを用いて受験者の不自然な動作(例えば、頻繁に顔を横に向ける、頻繁に視線が横に向く等のように、カンニング等の不正の可能性がある動作)を検出し、検出した場合には、不正の可能性があるという情報(例えば、赤枠や黄色枠等による注意喚起表示が必要な監視レベルである旨の情報)を監視手段33に伝達するようにしてもよい。
【0217】
<顔特徴量スコア、声紋スコア等を用いて本人度を算出する構成>
【0218】
また、前記実施形態では、不正判定手段32は、顔特徴量抽出手段23により抽出されて受験者情報記憶手段43に記憶されている複数の顔特徴量の全てが一致または略一致しているか否かを判断し、全てが一致または略一致している状態でない場合には、不正が行われていると判定する処理を実行し、さらに、認定証作成手段30は、不正判定手段32により複数の顔特徴量の全てが一致または略一致していると判断された場合には、複数の顔画像データのうち受験者の顔が最も明確に表れている顔画像データを、認定証300(
図7参照)に掲載する顔写真として採用する処理を実行する構成とされていたが、本発明の不正判定手段および認定証作成手段は、次のように、顔特徴量スコア、声紋スコア等を用いて本人度を算出し、本人度の大小に応じて認定証300の発行の有無を決定する構成としてもよい。
【0219】
すなわち、このような構成(以下、「顔特徴量スコア、声紋スコア等を用いて本人度を算出する構成」という。)とする場合、顔画像取得手段は、試験開始時、および着脱状態データが非装着を示すデータとなっている試験中の時間帯に、または、これらの試験開始時および試験中の時間帯に加えて試験終了時に、受験者端末50に設けられた人物撮像装置53により撮像されてネットワーク1を介して送信されてくる受験者の顔を含む人物画像データから顔画像データを取得する処理を実行する。
【0220】
より詳細には、顔画像取得手段は、試験開始時には、人物画像データから取得した顔画像データを、認定証作成手段により作成する認定証300(
図7参照)に掲載する顔写真用の顔画像データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる。従って、前記実施形態では、顔画像取得手段22により取得した複数の顔画像データのうち受験者の顔が最も明確に表れている顔画像データ、つまり、複数の顔画像データのうちのいずれかを認定証300(
図7参照)に掲載する顔写真310として採用していたが、顔特徴量スコア、声紋スコア等を用いて本人度を算出する構成とする場合には、試験開始時(既に詳述している通り、試験開始前の段階を含む。
図4の例では、ステップS3,S4の時点)に取得した顔画像データが、必ず認定証300に掲載する顔写真310用の顔画像データとなるので、試験開始時(試験開始前も含む。)の顔画像データの取得は必須である。
【0221】
また、顔画像取得手段は、試験中の時間帯またはこの試験中の時間帯に加えて試験終了時(既に詳述している通り、試験終了後を含む。)には、次に述べる顔特徴量抽出手段により算出した顔特徴量スコアが、予め定められた閾値未満または以下の場合(顔特徴量の類似度が低い場合)にのみ、人物画像データから取得した顔画像データを、不正判定用の顔画像データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる。一方、顔特徴量スコアが、予め定められた閾値以上または閾値を超える場合(顔特徴量の類似度が高い場合)には、人物画像データから取得した顔画像データを受験者情報記憶手段43に記憶させない。
【0222】
前者のように顔特徴量スコアが低い場合(顔特徴量の類似度が低い場合)が多くなれば、後述する顔特徴量平均スコアが低くなり、従って、後述する本人度が低くなり、それを理由に認定証300(
図7参照)が発行されないという事態が生じるので、そのような事態になったときに、受験者から不正は行っていないという申立てがあれば、受験者情報記憶手段43に記憶された顔画像データを用いて、人の判断による不正の有無の判定が行われる。一方、後者のように顔特徴量スコアが高い場合(顔特徴量の類似度が高い場合)は、顔画像データを受験者情報記憶手段43に記憶させないことにより、記憶すべきデータ量を少なくすることができる。
【0223】
顔特徴量抽出手段は、上述した顔画像取得手段により取得した複数の顔画像データの各々について顔特徴量を抽出する処理を実行する。
【0224】
具体的には、顔特徴量抽出手段は、試験開始時(試験開始前を含む。)には、上述した顔画像取得手段により取得した顔画像データから顔特徴量を抽出し、抽出した顔特徴量を、本人度算出用の基準データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる。また、試験中の時間帯またはこの試験中の時間帯に加えて試験終了時(試験終了後を含む。)には、上述した顔画像取得手段により取得した顔画像データから顔特徴量を抽出し、抽出した顔特徴量を、本人度算出用の照合データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させるとともに、この本人度算出用の照合データとしての顔特徴量と、受験者情報記憶手段43に記憶されている本人度算出用の基準データとしての顔特徴量との類似度を示す顔特徴量スコアを算出する処理を実行する。ここで算出した顔特徴量スコアは、本人度算出用の照合データとしての顔特徴量とともに、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させてもよく、不正判定手段により、再度算出されることを前提に、記憶させなくてもよい。
【0225】
事前登録受付手段は、前記実施形態の事前登録受付手段21と同様であるから、同一の符号を付する。事前登録受付手段21は、試験開始時(試験開始前を含む。
図4の例では、ステップS1,S2の時点)に、受験者端末50に設けられたマイクロフォン55または非透過型ヘッドマウントディスプレイ60のマイクロフォン70により取得されてネットワーク1を介して送信されてれくる声紋抽出用の音声データを受信し、受信した音声データを用いて声紋分析を行い、得られた声紋データを、本人度算出用の基準データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる処理を実行する。この際、声紋分析方法は、既存の方法を使用することができ、定型文を発声させて得られた音声データを用いるテキスト依存方式でもよく、非定型の発話の音声データを用いるテキスト独立方法でもよい。
【0226】
また、事前登録受付手段21は、試験開始時(試験開始前を含む。
図4の例では、ステップS1,S2の時点)に、受験者端末50に設けられた人物撮像装置53若しくは補助撮像装置54、または非透過型HMD60の内側方向撮像装置69により撮像されてネットワーク1を介して送信されてれくる虹彩データを受信し、受信した虹彩データを、本人度算出用の基準データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる処理を実行する。
【0227】
さらに、事前登録受付手段21は、試験開始時(試験開始前を含む。
図4の例では、ステップS1,S2の時点)に、受験者端末50に設けられた指紋読取装置57により読み取られてネットワーク1を介して送信されてれくる指紋データを受信し、受信した指紋データを、本人度算出用の基準データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる処理を実行する。
【0228】
また、事前登録受付手段21は、試験開始時(試験開始前を含む。
図4の例では、ステップS1,S2の時点)に、受験者端末50からの要求に応じ、事前登録用画面(例えばWeb画面)の表示用データをネットワーク1を介して送信するとともに、受験者端末50からネットワーク1を介して送信されてくる受験者の住所、氏名、生年月日、趣味、職業、学籍番号等の個人情報を受信し、受信した個人情報を、本人度算出用の基準データとして、自動付与した受験者ID(受験番号等)、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる処理を実行する。
【0229】
そして、顔特徴量スコア、声紋スコア等を用いて本人度を算出する構成とする場合には、前記実施形態の場合とは異なり、試験管理サーバ20に、照合データ取得手段が設けられる。この照合データ取得手段は、試験中の時間帯またはこの試験中の時間帯に加えて試験終了時(試験終了後を含む。)に、受験者端末50に設けられたマイクロフォン55または非透過型ヘッドマウントディスプレイ60のマイクロフォン70により取得されてネットワーク1を介して送信されてれくる声紋抽出用の音声データを受信し、受信した音声データを用いて声紋分析を行い、得られた声紋データを、本人度算出用の照合データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる処理を実行する。この際、声紋分析方法は、既存の方法を使用することができ、定型文を発声させて得られた音声データを用いるテキスト依存方式でもよく、非定型の発話の音声データを用いるテキスト独立方法でもよい。声を出して入力された解答データを利用する場合は、テキスト独立方法となる。
【0230】
また、照合データ取得手段は、試験中の時間帯またはこの試験中の時間帯に加えて試験終了時(試験終了後を含む。)に、受験者端末50に設けられた人物撮像装置53若しくは補助撮像装置54、または非透過型HMD60の内側方向撮像装置69により撮像されてネットワーク1を介して送信されてれくる虹彩データを受信し、受信した虹彩データを、本人度算出用の照合データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる処理を実行する。
【0231】
さらに、照合データ取得手段は、試験中の時間帯またはこの試験中の時間帯に加えて試験終了時(試験終了後を含む。)に、受験者端末50に設けられた指紋読取装置57により読み取られてネットワーク1を介して送信されてれくる指紋データを受信し、受信した指紋データを、本人度算出用の照合データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる処理を実行する。
【0232】
また、照合データ取得手段は、試験中の時間帯またはこの試験中の時間帯に加えて試験終了時(試験終了後を含む。)に、照合用画面(例えばWeb画面)の表示用データをネットワーク1を介して受験者端末50に送信するとともに、受験者端末50からネットワーク1を介して送信されてくる受験者の住所、氏名、生年月日、趣味、職業、学籍番号等の個人情報を受信し、受信した個人情報を、本人度算出用の照合データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる処理を実行する。
【0233】
不正判定手段は、複数の顔特徴量スコア、複数の声紋スコア、複数の虹彩スコア、複数の指紋スコア、複数の個人情報スコア(例えば、複数の趣味スコア等)を算出し、それらをそれぞれ平均して顔特徴量平均スコア、声紋平均スコア、虹彩平均スコア、指紋平均スコア、個人情報平均スコア(例えば、趣味平均スコア等)を算出し、さらに、それらの平均スコアを統合(単純平均、加重平均、調和平均等)して本人度(本人らしさを示す数値)を算出し、算出した本人度が低い場合(予め定められた閾値以下または未満の場合)に、不正が行われたと判定する処理を実行する。
【0234】
具体的には、不正判定手段は、受験者情報記憶手段43に記憶されている本人度算出用の照合データとしての顔特徴量の各々と、本人度算出用の基準データとしての顔特徴量とを用いて、それらの顔特徴量の類似度(照合データの各々が、基準データに類似する度合い)を示す複数の顔特徴量スコアを算出する。なお、顔特徴量スコアが、上述した顔特徴量抽出手段により算出されて顔特徴量(本人度算出用の照合データとしての顔特徴量)とともに、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶されている場合には、受験者情報記憶手段43から複数の顔特徴量スコアを取得してもよい。顔特徴量スコア、すなわち顔特徴量の類似度を示す数値は、既存の顔認証で用いられる数値でよく、本人であることの確からしさを示す尤度や確率等である。さらに、不正判定手段は、算出または取得した複数の顔特徴量スコアを平均(単純平均でよい)した顔特徴量平均スコアを算出する。
【0235】
また、不正判定手段は、受験者情報記憶手段43に記憶されている本人度算出用の照合データとしての声紋データの各々と、本人度算出用の基準データとしての声紋データとを用いて、それらの声紋データの類似度(照合データの各々が、基準データに類似する度合い)を示す複数の声紋スコアを算出する。声紋スコア、すなわち声紋データの類似度を示す数値は、既存の声紋認証で用いられる数値でよく、本人であることの確からしさを示す尤度や確率等である。さらに、不正判定手段は、算出した複数の声紋スコアを平均(単純平均でよい)した声紋平均スコアを算出する。
【0236】
さらに、不正判定手段は、受験者情報記憶手段43に記憶されている本人度算出用の照合データとしての虹彩データの各々と、本人度算出用の基準データとしての虹彩データとを用いて、それらの虹彩データの類似度(照合データの各々が、基準データに類似する度合い)を示す複数の虹彩スコアを算出する。虹彩スコア、すなわち虹彩データの類似度を示す数値は、既存の虹彩認証で用いられる数値でよく、本人であることの確からしさを示す尤度や確率等である。さらに、不正判定手段は、算出した複数の虹彩スコアを平均(単純平均でよい)した虹彩平均スコアを算出する。
【0237】
また、不正判定手段は、受験者情報記憶手段43に記憶されている本人度算出用の照合データとしての指紋データの各々と、本人度算出用の基準データとしての指紋データとを用いて、それらの指紋データの類似度(照合データの各々が、基準データに類似する度合い)を示す複数の指紋スコアを算出する。指紋スコア、すなわち指紋データの類似度を示す数値は、既存の指紋認証で用いられる数値でよく、本人であることの確からしさを示す尤度や確率等である。さらに、不正判定手段は、算出した複数の指紋スコアを平均(単純平均でよい)した指紋平均スコアを算出する。
【0238】
さらに、不正判定手段は、受験者情報記憶手段43に記憶されている本人度算出用の照合データとしての個人情報(例えば、趣味等)の各々と、本人度算出用の基準データとしての個人情報(例えば、趣味等)とを用いて、それらの個人情報の類似度(照合データの各々が、基準データに類似する度合い)を示す複数の個人情報スコア(例えば、複数の趣味スコア等)を算出する。例えば、趣味を選択肢で入力する場合には、選択された選択肢が一致するか否かであり、テキストで入力する場合には、ピアノ演奏と、楽器演奏とは、比較的類似するので、趣味スコアが比較的高くなる。さらに、不正判定手段は、算出した複数の個人情報スコア(例えば、複数の趣味スコア等)を平均(単純平均でよい)した個人情報平均スコア(例えば、趣味平均スコア等)を算出する。
【0239】
そして、不正判定手段は、顔特徴量平均スコア、声紋平均スコア、虹彩平均スコア、指紋平均スコア、個人情報平均スコア(例えば、趣味平均スコア等)を統合して本人度を算出し、算出した本人度を、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる。この際、統合は、例えば、単純平均、加重平均、調和平均等で行うことができる。また、不正判定手段は、算出した本人度と、予め定められた閾値とを比較し、算出した本人度が低い場合(閾値以下または未満の場合)に、不正が行われたと判定する処理を実行する。なお、「顔特徴量平均スコアおよび声紋平均スコア」以外の平均スコアは必須ではなく、統合に使用しなくてもよい。
【0240】
認定証作成手段は、受験者に対して発行する電子的または紙の認定証300(
図7参照)を作成する処理を実行する。この点は、前記実施形態の認定証作成手段30と同様である。
【0241】
一方、前記実施形態の認定証作成手段30は、不正判定手段32により複数の顔特徴量の全てが一致または略一致していると判断された場合に、顔画像取得手段22により取得した複数の顔画像データのうち受験者の顔が最も明確に表れている顔画像データを、認定証300(
図7参照)に掲載する顔写真310として採用する処理を実行する構成とされていた。これに対し、顔特徴量スコア、声紋スコア等を用いて本人度を算出する構成とする場合は、認定証作成手段は、不正判定手段により算出した本人度が、予め定められた閾値以下または未満の場合(不正が行われたと判定された場合)には、認定証300(
図7参照)を作成しない。また、不正判定手段により算出した本人度が、予め定められた閾値を超えるか、または閾値以上であった場合には、認定証300(
図7参照)を作成し、この際、試験開始時(試験開始前を含む。)に顔画像取得手段により取得した顔画像データを、認定証300に掲載する顔写真310用の顔画像データとする。
【0242】
<透過型ヘッドマウントディスプレイ60の取外し指示に加え、発声指示を出す構成>
【0243】
また、前記実施形態では、試験管理サーバ20に、顔画像取得要否判断手段28が設けられていたが、顔特徴量スコア、声紋スコア等を用いて本人度を算出する構成とする場合には、声紋取得要否判断手段も設けることが好ましい。この声紋取得要否判断手段は、声を出して解答する問題以外の問題が、予め定められた問題数だけ連続するか、または予め定められた時間だけ連続した場合に、試験中の時間帯の声紋抽出用の音声データの取得のために、問題の合間に任意のタイミングで、発声指示を、ネットワーク1を介して受験者端末50に送信する処理を実行する。
【0244】
そして、前記実施形態の顔画像取得手段22は、顔画像取得要否判断手段28により非透過型ヘッドマウントディスプレイ60の取外し指示を受験者端末50に送信した場合で、かつ、当該取外し指示の後に着脱状態データが、非装着を示すデータであると判断した場合に、受験者端末50からネットワーク1を介して送信されてくる人物画像データから顔画像データを取得する処理を実行する構成とされていたが、略同様な考え方で、照合データ取得手段は、次のような構成とすることが好ましい。
【0245】
すなわち、照合データ取得手段は、声紋取得要否判断手段により発声指示を受験者端末50に送信した場合に、受験者端末50からネットワーク1を介して送信されてれくる声紋抽出用の音声データを受信し、受信した音声データを用いて声紋分析を行い、得られた声紋データを、本人度算出用の照合データとして、受験者ID、試験IDと関連付けて受験者情報記憶手段43に記憶させる処理を実行する構成とすることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0246】
以上のように、本発明の試験システムおよびプログラは、例えば、語学力、会話力、コミュニケーション能力、技能等の能力および知識を測定するための検定試験、認定試験、資格試験、入学試験、入社試験、卒業試験、修了試験、期末試験、進級試験、昇進試験、模擬試験、日々の学習効果確認試験等の各種の試験を行う場合に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0247】
1 ネットワーク
10,500 試験システム
20,510,520 試験管理サーバ
22 顔画像取得手段
23 顔特徴量抽出手段
24 問題データ送信手段
25 解答データ受信手段
26 着脱状態データ受信手段
27 評価手段
28 顔画像取得要否判断手段
30 認定証作成手段
31 発光管理手段
32 不正判定手段
33 監視手段
50 受験者端末
60 非透過型ヘッドマウントディスプレイ
63 表示部
66 着脱検出装置
67 発光部
68 装着者視線撮像装置
80 監視員端末