(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】被設置体設置具
(51)【国際特許分類】
A44C 5/00 20060101AFI20240801BHJP
A61L 9/12 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
A44C5/00 502Z
A44C5/00 501C
A61L9/12
(21)【出願番号】P 2021007017
(22)【出願日】2021-01-20
【審査請求日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2020111540
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000230630
【氏名又は名称】株式会社ルミカ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】原田 士郎
(72)【発明者】
【氏名】日原 剛
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-345514(JP,A)
【文献】登録実用新案第3029121(JP,U)
【文献】中国実用新案第2660292(CN,Y)
【文献】中国特許出願公開第104522947(CN,A)
【文献】実開平03-049010(JP,U)
【文献】実開平01-062711(JP,U)
【文献】実開平06-068201(JP,U)
【文献】実開平04-081301(JP,U)
【文献】特表平11-512744(JP,A)
【文献】登録実用新案第3040105(JP,U)
【文献】実開昭58-019620(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第105996331(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0237115(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/00
A61L 9/12
F21K 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を備え、
円環状に形成されており、
円環の一部に欠損箇所が設けられている設置具本体部と、
前記設置具本体部に設けられ、光、音、所定の物質の少なくともいずれかを発する被設置体が設置される被設置体設置部と、
を有
し、
前記被設置体は、細長い柱状に形成されており、
前記設置具本体部の断面形状は、前記設置具本体部の円環よりも径が小さく一部に開口部が形成されている円環状に形成されており、
前記被設置体設置部は、前記設置具本体部の断面の環で形成されており、
前記被設置体は、この被設置体の長手方向と前記設置具本体部の円環の延伸方向とがお互いに一致するようにして、前記設置具本体部の断面の環の内部に設置されるように構成されており、
前記設置具本体部には、前記被設置体設置部に設置されている被設置体を保持する一対の被設置体保持部が設けられており、
前記設置具本体部の断面形状における開口部は、一対の前記被設置体保持部が設けられている箇所を除いて、前記設置具本体部の円環の延伸方向の全長にわたって、前記設置具本体部の外径側の部位に形成されており、
一対の前記被設置体保持部のそれぞれは、前記設置具本体部の円環の延伸方向の両端部に前記開口部が形成されるようにして、前記設置具本体部の円環の延伸方向で前記設置具本体部の両端に近い部位に設けられており、
前記設置具本体部の、前記被設置体保持部が設けられている箇所での断面形状が、開口部が形成されていない円環状になっていることを特徴とする被設置体設置具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被設置体設置具に係り、特に、人等に設置されて使用されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、
図12で示すようなブレスレット301が知られている。ブレスレット301は、細長い円柱状の発光体303と、この発光体303を環状にするための接続体305とを備えて構成されている。
【0003】
発光体303は、使用前の状態では、
図12で示すように直線状に延びており、発光していない。発光体303に
図12に矢印で示すような力を加えて曲げると、発光体303の筐体307内に収容されていた複数種類の物質が混じり合って化学反応を起こし、発光体303が所定の時間発光するようになっている。
【0004】
接続体305は円筒状に形成されており、
図12で示す状態では、接続体305の円筒の一方の端部305Aに、細長い円柱状の発光体303の円筒の一方の端部303Aが嵌まり込んでいる。発光体303に
図12に矢印で示すような力を加えて円環状に曲げ、さらに、細長い円柱状の発光体303の他方の端部303Bを接続体305の円筒の他方の端部305Bに嵌め込むことで、発光体303が円環状の形態を維持するようになっている。
【0005】
また、ブレスレット301は、発光体303を上述したように円環状の形態にするときに、人の手首に設置されるようになっている。接続体305によって発光体303の円環状の形態が維持されている状態で、ブレスレット301が人の手首に設置されている状態が維持されるようになっている。
【0006】
さらに、
図13で示すような二酸化塩素発生装置401が従来より知られている。二酸化塩素発生装置401は、アンプルで構成されて第1の容器403と厚い合成樹脂で構成された第2の容器405とを備えて構成されている。たとえば、第1の容器403に内部には、亜塩素酸ナトリウム水溶液が入っており、第2の容器405に内部には、第1の容器403とクエン酸水溶液とが入っている。
【0007】
二酸化塩素発生装置401に
図13に矢印で示す力を適宜加えると、第2の容器405が弾性変形し、この弾性変形によって第1の容器403が破壊されるようになっている。この破壊によって亜塩素酸ナトリウム水溶液とクエン酸水溶液が混じり合って化学反応を起こし、二酸化塩素が発生するようになっている。
【0008】
上記発生した二酸化塩素は、第2の容器405の肉部を通って第2の容器405の外部に出てくるようになっている。第2の容器405の外部に出てきた二酸化塩素は、殺菌剤として作用するようになっている。
【0009】
ここで、従来の技術に関する文献としてたとえば特許文献1を掲げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、
図12で示すブレスレット301は、一人で手首に設置することが困難であるという問題がある。
【0012】
すなわち、1人の人がブレスレット301を自らの右手を使って自らの左手に設置する場合、細長い円柱状の発光体303の他方の端部303Bを接続体305の円筒の他方の端部305Bに嵌め込む必要がある。しかし、発光体303がある程度の弾性を備えていることや、発光体303の他方の端部303Bを接続体305の円筒の他方の端部305Bに締り嵌めの態様で設置する必要があることで、ブレスレット301を一人で手首に設置することはとても難しい。
【0013】
上記問題は、光を発するブレスレットに限らず、香り等を発するブレスレットでも同様に発生する。また、ブレスレットに限らず、人の体の一部や動物の体の一部に設置される被設置体設置具でも同様に発生する問題である。
【0014】
また、二酸化塩素発生装置401では、第2の容器405の剛性が高くなっている。指で思いっきり大きな力を加えることで、第2の容器405が若干変形し、第1の容器403が破壊されるが、この後、第2の容器405は変形した状態を保っておらず、外力が加えられていない状態に復元してしまう。すなわち、第2の容器405は、肉眼で容易にわかるような大きく曲がっている状態を保つことはできない。
【0015】
したがって、二酸化塩素発生装置401を、
図1等で示す被設置体設置具1に設置することはできないという問題がある。この問題は、二酸化塩素以外の物質を発生させる装置においても同様に発生する問題である。
【0016】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、設置具本体部と、被設置体が設置される被設置体設置部とを有する被設置体設置具であって、人の体の一部等に片手で容易に設置することができる被設置体設置具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1に記載の発明は、弾性を備え、円環状に形成されており、円環の一部に欠損箇所が設けられている設置具本体部と、前記設置具本体部に設けられ、光、音、所定の物質の少なくともいずれかを発する被設置体が設置される被設置体設置部とを有し、前記被設置体は、細長い柱状に形成されており、前記設置具本体部の断面形状は、前記設置具本体部の円環よりも径が小さく一部に開口部が形成されている円環状に形成されており、前記被設置体設置部は、前記設置具本体部の断面の環で形成されており、前記被設置体は、この被設置体の長手方向と前記設置具本体部の円環の延伸方向とがお互いに一致するようにして、前記設置具本体部の断面の環の内部に設置されるように構成されており、前記設置具本体部には、前記被設置体設置部に設置されている被設置体を保持する一対の被設置体保持部が設けられており、前記設置具本体部の断面形状における開口部は、一対の前記被設置体保持部が設けられている箇所を除いて、前記設置具本体部の円環の延伸方向の全長にわたって、前記設置具本体部の外径側の部位に形成されており、一対の前記被設置体保持部のそれぞれは、前記設置具本体部の円環の延伸方向の両端部に前記開口部が形成されるようにして、前記設置具本体部の円環の延伸方向で前記設置具本体部の両端に近い部位に設けられており、前記設置具本体部の、前記被設置体保持部が設けられている箇所での断面形状が、開口部が形成されていない円環状になっている被設置体設置具である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、設置具本体部と、被設置体が設置される被設置体設置部とを有する被設置体設置具であって、人の体の一部等に片手で容易に設置することができる被設置体設置具を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】(a)は本発明の実施形態に係る被設置体設置具の概略構成を示す斜視図であり、(b)は本発明の実施形態に係る被設置体設置具に設置される被設置体の概略構成を示す断面を拡大して描いた図であり、(c)本発明の実施形態に係る被設置体設置具に設置される被設置体の外観を示す図である。
【
図2】(a)は本発明の実施形態に係る被設置体設置具の概略構成を示す正面図であり、(b)は(a)におけるIIB矢視図であり、(c)は(a)におけるIIC矢視図である。
【
図3】(a)は
図2の(c)におけるIIIA矢視図であり、(b)は
図2(a)におけるIIIB-IIIB断面を示す図である。
【
図4】(a)は本発明の実施形態に係る被設置体設置具を手首に設置し始めるときの状態を示す図であり、(b)は本発明の実施形態に係る被設置体設置具を手首に設置し終えたときの状態を示す図である。
【
図5】(a)は1つ目の変形例に係る被設置体設置具の概略構成を示す正面図であり、(b)は(a)におけるVB矢視図であり、(c)は(a)におけるVC矢視図であり、(d)は(a)におけるVD矢視図である。
【
図6】(a)は1つ目の変形例に係る被設置体設置具の概略構成を示す斜視図であり、(b)は
図5(d)におけるVIB-VIB断面を示す図である。
【
図7】(a)は2つ目の変形例に係る被設置体設置具の概略構成を示す正面図であり、(b)は(a)におけるVIIB-VIIB断面を示す図であり、(c)は(a)におけるVIIC-VIIC断面を示す図であり、(d)は(a)におけるVIID-VIID断面を示す図である。
【
図8】(a)は3つ目の変形例に係る被設置体設置具の概略構成を示す正面図であり、(b)は(a)におけるVIIIB矢視図であり、(c)は(a)におけるVIIIC矢視図である。
【
図9】(a)は3つ目の変形例に係る被設置体設置具の概略構成を示す斜視図であり、(b)は
図9(a)におけるIXB-IXB断面を拡大して描いた図である。
【
図10】(a)は4つ目の変形例に係る被設置体設置具の概略構成を示す正面図であり、(b)(c)は4つ目の変形例に係る被設置体設置具に設置される被設置体を示す図である。
【
図11】参考例に係るブレスレットを示す図である。
【
図13】従来の二酸化塩素発生装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施形態に係る被設置体設置具(被設置体支持具)1は、
図1~
図4で示すように、設置具本体部3と被設置体設置部5とを備えて構成されている。
【0034】
設置具本体部3は、弾性を備えており、
図1(a)や
図2(a)等で示すように、環状(大きな環状;たとえば円環状)に形成されている。また、設置具本体部3の大きな環の一部には欠損箇所7が設けられている。
【0035】
被設置体設置部5は、設置具本体部3に設けられており、被設置体設置部5には、光、音、所定の物質(たとえば香り成分や除菌成分や殺菌成分等の気体)の少なくともいずれかを発する被設置体(物質発生装置)9が一体的に設置されるようになっている。
【0036】
被設置体設置具1は、被設置体9が設置具本体部3(被設置体設置部5)に設置されている状態で、人等の動物の体の一部や物の一部(たとえば人の手首)11(
図4参照)に設置され使用される。
【0037】
被設置体設置具1を人の手首11に設置して使用する場合、被設置体設置具1は、腕輪もしくはブレスレットということになる。ただし、被設置体設置具1は、必ずしも装飾を目的とするものではなく、被設置体設置具1が装飾以外の目的に使用されることもある。
【0038】
ここで、被設置体9が設置具本体部3(被設置体設置具1)に設置されておらず設置具本体部3と被設置体9に重力以外の力が加わっていない状態を被設置体非設置無外力状態とする。また、被設置体9が設置具本体部3(被設置体設置具1)に設置されており設置具本体部3と被設置体9に重力以外の力が加わっていない状態を被設置体設置済み無外力状態とする。
【0039】
被設置体非設置無外力状態であっても被設置体設置済み無外力状態であっても、欠損箇所7は空隙になっており、欠損箇所7には被設置体9も存在していない。さらに、被設置体設置具1は、
図1(a)や
図2(a)等で示すように、大きな環状(大きな「C」字状)に形成されている。
【0040】
また、被設置体非設置無外力状態や被設置体設置済み無外力状態では、
図4(a)で示すように、欠損箇所7の幅寸法L1の値が、人の手首11の外径の最小値L2よりも小さくなっている。
【0041】
欠損箇所7の幅寸法L1の値とは、設置具本体部3の環の延伸方向(たとえば円環の円弧の延伸方向)における設置具本体部3の一方の端3Aと他方の端3Bとの間の距離L1の値である。人の手首11の外径の最小値とは、人の手首11の外径の値でもっとも小さい値であり、人の手首11の断面が、
図4で示すように楕円形状になっているとすると、上記楕円の短軸の寸法L2の値になる。
【0042】
被設置体設置済み無外力状態の被設置体設置具1が人の手首11に設置されていない状態(
図4(a)参照)から、被設置体設置済み無外力状態の被設置体設置具1を人の手首11に設置する(はめ込む)。このときには(
図4(a)の矢印A1参照)、設置具本体部3と被設置体9とが、欠損箇所7の幅寸法L1の値が大きくなるような弾性変形をするようになっている((
図4(a)の矢印A2参照)。
【0043】
そして、この弾性変形によって、人の手首11が欠損箇所7を通り抜けて設置具本体部3の内側に入り込むようになっている(
図4(b)参照)。この後、再び被設置体設置済み無外力状態になり設置具本体部3と被設置体9とが復元し、人の手首11が欠損箇所7を通り抜けることができなり、人の手首11が設置具本体部3(被設置体設置具1)の内側に入り込んだ状態が維持されるようになっている。すなわち、被設置体設置具1が、人の手首11に設置されている状態が維持されるようになっている。
【0044】
被設置体9のバネ定数の値の大きさは、設置具本体部3のバネ定数の値の大きさに比べて小さくなっており、たとえば、被設置体9のバネ定数の値を無視しても差し支えない程度になっている。なお、被設置体9が設置具本体部3に設置されている被設置体設置済み状態において、被設置体9がバネとしてまったく機能しない態様になっている場合もある。また、上述した被設置体設置済み無外力状態は、上記被設置体設置済み状態のうちの1つの状態である。
【0045】
ここで、設置具本体部3の弾性について説明すると、設置具本体部3は、成人の腕が発揮する通常の大きさの力を加えると、肉眼で容易に確認できる程度の弾性変形するようになっている。すなわち、成人の腕が発揮する通常の大きさの力を加えることによって、上述したような人の手首11に嵌めるための弾性変形をするようになっている。一方、幼児の指が発揮する程度の大きさの力を加えても、肉眼による弾性変形がほとんど認められない程度の剛性を備えている。
【0046】
また、設置具本体部3の環の延伸方向の両端3A、3Bのそれぞれには、被設置体設置済み状態で、被設置体9の設置具本体部3の環の延伸方向での移動を阻止する端壁部13(13A、13B)が設けられている。
【0047】
被設置体9は、
図1(b)(c)等で示すように、細長い柱状(長手方向に対して直交する平面による断面の形状が一定の形状になっている柱状)に形成されている。設置具本体部3の断面形状は、
図3(b)で示すように、一部に開口部15が形成されている環状(小さい環状:小さい「C」字状)に形成されている。なお、設置具本体部3の断面形状とは、設置具本体部3の環の中心軸を含む平面による断面の形状である。すなわち、設置具本体部3の断面形状とは設置具本体部3の環(たとえば円弧)の延伸方向に対して直交する平面による断面の形状である。
【0048】
被設置体設置部5は、設置具本体部3の断面の環(小さい環の内面等)で形成されている。被設置体9は、この被設置体9の長手方向と設置具本体部3の環(設置具本体部3の全体における大きな環)の延伸方向とがお互いに一致するようにして、設置具本体部3の断面の小さな環の内部に設置されるように構成されている(
図3(b)参照)。
【0049】
被設置体非設置無外力状態では、設置具本体部3の断面の小さい環の開口部15の幅寸法L3の値が、被設置体9の外径L4(
図3(b)参照)の値よりも僅かに小さくなっている。また、被設置体非設置無外力状態では、被設置体9は、たとえば曲がっておらず直線状に延びている(
図1(b)(c)参照)。
【0050】
被設置体非設置無外力状態から被設置体9を被設置体設置部5に設置(はめ込む)するときには、設置具本体部3の断面の小さい環の開口部15の幅寸法L3の値が大きくなるように設置具本体部3(被設置体設置部5)が弾性変形するようになっている。そして、設置具本体部3の弾性変形によって、被設置体9が小さい環の開口部15を通り抜けて設置具本体部3の内側の部位(被設置体設置部5)に入り込むようになっている。この後、設置具本体部3が復元し、被設置体9が開口部15を通り抜けることができなり、被設置体9が被設置体設置部5に一体的に設置されている状態が維持されるようになっている(
図3(b)参照)。
【0051】
また、設置体設置済み状態では、
図2(a)等で示すように、被設置体9が、被設置体設置部5(設置具本体部3)の曲がりの態様(たとえば円弧)に倣って変形している。さらに、設置体設置済み状態では、被設置体設置部5に設置されている被設置体9を、設置具本体部3が付勢力をもって抑え込んでおり、被設置体設置部5に設置されている被設置体9の設置具本体部3に対するガタツキが発生しないようになっている。
【0052】
なお、上記説明では、被設置体9が被設置体設置部5に設置されるときに、被設置体設置部5のみが弾性変形するような説明をしているが、被設置体9も僅かに弾性変形している。
【0053】
ここで、被設置体9が細長い円柱状に形成されており、設置具本体部3の断面形状が一部に開口部15が形成されている円環状に形成されており、被設置体設置部5のみが弾性変形することにした場合を例に掲げてさらに詳しく説明する。
【0054】
被設置体非設置無外力状態では、設置具本体部3の断面における円の内径(円弧状の断面の内径;
図3(b)参照)L5の値が、被設置体9の断面の円の外径L4の値よりも僅かに大きくなっている。なお、
図3(b)では被設置体設置済み状態を示しているので、寸法L4と寸法L5とはお互いが等しくなっている。
【0055】
また、被設置体非設置無外力状態では、上述したように、設置具本体部3の断面における開口部15の幅寸法L3の値が被設置体9の外径L4の値よりも僅かに大きくなっている。これにより、設置具本体部3の断面における円環の円弧の長さは、この中心角度が180°を超えた円弧になっている(半円弧よりも長い円弧)になっている。
【0056】
設置体設置済み状態では、上述したようにまた
図3(b)で示すように、設置具本体部3の断面形状の円の内径L4の値と、被設置体9の外径L5の値とがお互いに等しくなっている。
【0057】
1つの設置具本体部3には、たとえば、1本の被設置体9が設置されるようになっており、被設置体設置部5の長さ寸法の値(円弧の長さの値)と被設置体9の長さ寸法の値の値とは、お互いにほぼ等しくなっている。これにより、設置体設置済み状態では、被設置体設置部5の円弧の全長にわたって、被設置体9が存在している。
【0058】
設置具本体部3の断面における開口部15は、
図1等で示すように、設置具本体部3の側面の部位に形成されている。なお、設置具本体部3の断面における開口部15が、
図5等で示す1つ目の変形例に係る被設置体設置具1aのように、設置具本体部3の外径側の部位に形成されていてもよい。
【0059】
ここで、設置具本体部3の断面における開口部15が設置具本体部3の側面の部位に形成されている態様について、さらに説明する。
【0060】
円形状(おおきな円弧状)に形成されている設置具本体部3には内径と外径が存在している。外径の値は当然に内径の値よりも大きくなっている。被設置体設置具1を人の手首11に設置した状態では、設置具本体部3の内径側の部位が、人の手首11に対向しており(
図4(b)参照)、内径側の部位の一部が手首11に接触するようになっている。
【0061】
設置具本体部3の側面の部位は、設置具本体部3の内径側の部位と設置具本体部3の外径側の部位と間の部位である。したがって、設置具本体部3の断面における開口部15が設置具本体部3の側面側の部位に形成されている態様では、被設置体設置具1を人の手首11に設置した状態で、開口部15が人の腕の長さ方向で一方の側(掌や指側)を向いている。もしくは、設置具本体部3の断面における開口部15が設置具本体部3の側面側の部位に形成されている態様では、開口15部が腕の長さ方向で他方の側(肘や肩)を向いている。
【0062】
また、設置具本体部3の断面における開口部15が設置具本体部3の外径側の部位に形成されている態様では、被設置体設置具1を人の手首11に設置した状態で、設置具本体部3の外径側の部位が手首とは対向しておらず、外側を向いている。すなわち、開口部15が設置具本体部3を間にした手首とは反対側である外側を向いている。
【0063】
また、設置具本体部3には、
図2、
図3等で示すように、被設置体設置部5に設置されている被設置体9を設置具本体部3から取り外しやすくするための貫通孔20が設けられている。この場合、設置具本体部3の断面の小さな円弧における開口部15は、設置具本体部3の側面の部位に形成されている。
【0064】
ここで、
図1~
図4で示す被設置体設置具1や被設置体9についてさらに詳しく説明する。
【0065】
設置具本体部3は、大きな円環の幅寸法L6(
図2(a)参照)の値は、たとえば、一定の値になっている。設置具本体部3の断面の小さな円弧の外径の寸法L7(
図3(b)参照)の値や設置具本体部3の断面の小さな円弧の肉部の厚さ寸法L8(
図3(b)参照)の値も、一定の値になっている。
【0066】
なお、設置具本体部3の断面が、開口部15を有する円形状になっている場合には、幅寸法L6と外径の寸法L7とは同じものを示している。
【0067】
設置具本体部3の大きな円環の延伸方向における設置具本体部3の一方の端3Aを含む一方の端部に形成されている端壁部13(13A)は、半円弧状に形成されている。また、設置具本体部3の大きな円環の延伸方向における設置具本体部3の他方の端3Bを含む一方の端部に形成されている端壁部13(13B)も、半円弧状に形成されている。
【0068】
さらに説明すると、端壁部13Aや端壁部13Bの外形(外面)は、球の表面の一部で形成されている。
【0069】
設置具本体部3に設けられている貫通孔20は、たとえば長円状に形成されており、設置具本体部3の肉部をこの厚さ方向で貫通している。また、貫通孔20は、長円の長さ方向が、設置具本体部3の大きな円弧の延伸方向と一致している。
【0070】
また、貫通孔20は、設置具本体部3の断面の小さな円弧では、
図3(b)で示すように、側面の外側よりの部位に設けられている。外側よりの部位とは、
図3(a)で示す設置具本体部3の大きな円弧における外側よりの部位である。なお、貫通孔20が、内側よりの部位に設けられていてもよいし、貫通孔20が、設置具本体部3の断面の小さな円弧の中央部に設けられていてもよい。
【0071】
さらに、貫通孔20は複数(たとえば3つ)設けられており、1つ目の貫通孔20Aは、設置具本体部3の大きな円弧の延伸方向の一端部に設けられている。2つ目の貫通孔20Bは、設置具本体部3の大きな円弧の延伸方向の中央部に設けられている。3つ目の貫通孔20Cは、設置具本体部3の大きな円弧の延伸方向の他端部に設けられている。
【0072】
また、設置具本体部3は、たとえば合成樹脂で一体成形されている。設置具本体部3を構成している合成樹脂は、透明もしくは半透明もしくは色付き透明に形成されており、被設置体9が所定の色を発する発光体である場合、発光体9が発した光の一部を透過するようになっている。なお、設置具本体部3が光(可視光)を遮断する材料で構成されていてもよい。
【0073】
被設置体9は、
図1(b)で示すように、第2の容器17と第1の容器19とを備えて構成されている。第2の容器17は、たとえば、合成樹脂で形成されている。被設置体9が所定の色を発する発光体である場合、被設置体9を構成している合成樹脂は、被設置体9の内部で発した光の少なくとも一部が透過するようになっている。
【0074】
また、被設置体9を構成している第2の容器17は、透明もしくは半透明もしくは色付き透明に形成されており、被設置体9が所定の色を発する発光体である場合、発光体9が発した光の一部を透過するようになっている。また、被設置体9が所定の色を発する発光体である場合、第2の容器17内に存在している薬剤等は、第2の容器17の肉部を通って第2の容器17の外部には出てこないようになっている。なお、被設置体9が所定の色を発する発光体である場合において、第2の容器17内に存在している薬剤等が第2の容器17の肉部を通って第2の容器17の外部には出てくる構成であってもよい。
【0075】
第1の容器19は、たとえばアンプルで構成されており、第2の容器17の内部空間(第2の閉空間)21に収容されている。第1の容器19の内部空間(第1の閉空間)23には、第1の薬剤25が収容されており、第2の容器17の内部空間(第2の閉空間)21であって第1の容器19の外側の空間27には、第2の薬剤29が収容されている。
【0076】
そして、第1の容器19が、たとえば、加えられた力によって破壊されることによって、第1の薬剤25と第2の薬剤29とが第2の容器17内で化学反応を起こし、光が発生するように構成されている。
【0077】
なお、第1の薬剤25と第2の薬剤29とが第2の容器17内で化学反応を起こしたときに、二酸化塩素等の殺菌成分が気体(ガス)になって発生するように構成されていてもよい。また、香り成分が気体になって発生するようになっていてもよい。また、その他の気体が発生するようになっていてもよい。この場合、第2の容器17は、発生した気体のみ(たとえば二酸化塩素のみ)を透過させるポリプロピエン、ポリエチレン、シリコン等の合成樹脂等で構成されている。
【0078】
さらに、第1の容器19を設けることなく、第2の容器17内に、香り成分等(所定の気体)を発する物質を収容しておき、この発生した気体が第2の容器17の肉部を透過して第2の容器17の外部に出てくるようになっていてもよい。
【0079】
次に、被設置体設置具1の動作について、被設置体9が発光体である場合を例に掲げて説明する。
【0080】
初期状態では、発光体9が設置具本体部3に設置されておらず設置具本体部3と発光体9に重力以外の力が加わっていない被設置体非設置無外力状態になっているものとする。被設置体非設置無外力状態では、
図1(b)(c)のように発光体9が直線状に延びており、発光体9の第1の容器19は破壊されていない。
【0081】
上記初期状態で、発光体9に
図1(c)で示す矢印A3で示すような力を加えて発光体9を円弧状の曲げるとともに、発光体9を設置具本体部3の被設置体設置部5に設置することで被設置体設置済み無外力状態になる。このとき、第1の容器19が破壊され、第1の容器19内の第1の薬剤25と、第2の容器17の内部空間21であって第1の容器19の外側の空間27内の第2の薬剤29とが化学反応を起こし、発光体9が発光する。
【0082】
続いて、被設置体設置済み無外力状態の被設置体設置具1が人の手首11に設置されていない状態(
図4(a)参照)から、被設置体設置具1を人の手首に設置する(はめ込む)。このときに(
図4(a)の矢印A1参照)、設置具本体部3と被設置体9とが、欠損箇所7の幅寸法L1の値が大きくなるような弾性変形をする(
図4(a)の矢印A2参照)。
【0083】
そして、この弾性変形によって、人の手首11が欠損箇所7を通り抜けて設置具本体部3の内側に入り込み、被設置体設置具1が復元し、被設置体設置具1の手首11への設置が終了する(
図4(b)参照)。
【0084】
手首11に設置されている被設置体設置具1を手首11から取り外す場合には、被設置体設置具1を手首11に設置する場合とは逆の操作をする。
【0085】
また、被設置体設置済み状態の被設置体設置具1から被設置体9を取り外す場合には、貫通孔20で露出している被設置体9の部位を指先(爪先)で押す等して、被設置体9を設置具本体部3の開口部15から設置具本体部3の外部に押し出す。
【0086】
被設置体設置具1によれば、設置具本体部3が、弾性を備えており一部に欠損箇所7が設けられている環状に形成されているので、人の手首11に片手で容易に設置することができる。
【0087】
すなわち、被設置体設置済み無外力状態の被設置体設置具1が人の手首11に設置されていない状態から、被設置体設置済み無外力状態の被設置体設置具1を人の左手首11に設置する。このときに、右手で被設置体設置具1をもって、設置具本体部3の欠損箇所7のところを左手首11に押し付けると、設置具本体部3と被設置体9とが、欠損箇所7の幅寸法L1の値が大きくなるように弾性変形する。
【0088】
そして、被設置体設置具1の弾性変形によって、左手首11が欠損箇所7を通り抜けして設置具本体部3の内側に入り込むので、右手でだけで、被設置体設置具1を左手首11に容易に設置することができる。
【0089】
また、被設置体設置具1によれば、発光体9が設置される被設置体設置部5を備えているので、左手首11に設置されている状態で被設置体設置具1が装飾効果を発揮することができる。
【0090】
また、被設置体設置具1では、被設置体9が細長い柱状に形成されており、設置具本体部3の断面形状が一部に開口部15が形成されている小さい「C」字状に形成されており、被設置体設置部5が設置具本体部3の断面の環で形成されている。また、被設置体設置具1では、被設置体9が、この被設置体9の長手方向と設置具本体部3の環の延伸方向とがお互いに一致するようにして、設置具本体部3の断面の環の内部に設置されるように構成されている。これにより、被設置体設置部5の構成が簡素化されている。
【0091】
また、被設置体設置具1において、設置具本体部3の断面における開口部15を、設置具本体部3の外径側の部位に形成する。これにより、設置具本体部3に設置されている被設置体9が発光するものである場合、被設置体9が発する光を効率良く被設置体設置具1から出射することができる。また、設置具本体部3に設置されている被設置体9が二酸化塩素等の除菌剤等である場合、除菌剤等が直接皮膚に向かって放射されることが防止される。
【0092】
また、設置具本体部3の断面における開口部15を設置具本体部3の側面の部位に形成した場合であっても、被設置体9が発光するものであれば、同様の効果を得ることができる。
【0093】
また、被設置体設置具1によれば、被設置体設置部5に設置されている被設置体9を取り外しやすくするための貫通孔20が設置具本体部3に設けられているので、被設置体9の交換が容易になっている。
【0094】
次に、1つ目の変形例に係る被設置体設置具1aについて、
図5、
図6を参照しつつ説明する。
【0095】
1つ目の変形例に係る被設置体設置具1aは、被設置体保持部31が設けられている点が、
図1~
図3を用いて説明した被設置体設置具1と異なり、その他は、
図1~
図3を用いて説明した被設置体設置具1と同様に構成されている。
【0096】
なお、
図1~
図3で示す被設置体設置具1では、開口部15が設置具本体部3の側面の部位に形成されているが、
図5、
図6で示す被設置体設置具1aでは、開口部15が設置具本体部3の外径側の部位に形成されている。
【0097】
1つ目の変形例に係る被設置体設置具1aの設置具本体部3に設けられている被設置体保持部31は、たとえば、被設置体設置部5での被設置体9の保持に加えて、被設置体設置部5に設置されている被設置体9をさらに強く保持するようになっている。
【0098】
被設置体設置具1aの被設置体保持部31は、被設置体9の少なくとも長手方向の両端側の部位で、被設置体設置部5に設置されている被設置体9を保持するようになっている。
【0099】
設置具本体部3が大きな円環状に形成されており、さらに、設置具本体部3の断面形状が一部に開口部15が形成されている小さな円環状に形成されている場合を例に掲げて説明する。
【0100】
被設置体保持部31が設けられていないとすると、設置具本体部3の断面は、
図1~
図3で説明した被設置体設置具1と同様に、設置具本体部3の大きな円弧の全長にわたって開口部15が形成されている円弧状に形成されている。
【0101】
被設置体設置具1aでは、被設置体保持部31が設けられている。そして、被設置体保持部31が形成されている部位では、設置具本体部3の断面は開口部が設けられていない小さな円形状(円環状)に形成されている。なお、被設置体保持部31が形成されている部位における設置具本体部3の断面の形状が、小さな開口部が設けられている小さな「C」字状に形成されていてもよい。この場合、被設置体保持部31が形成されている部位における小さな開口部の幅寸法の値は、被設置体保持部31が形成されていない部位における開口部の幅寸法の値よりも小さくなっている。
【0102】
ここで、設置具本体部3の大きな円弧の延伸方向での、被設置体保持部31の位置についてさらに説明する。被設置体保持部31はたとえば2箇所に設けられている。一方の被設置体保持部31Aは、設置具本体部3の大きな円弧の延伸方向の一方の準端部に設けられている。一方の準端部とは、設置具本体部3の大きな円弧の延伸方向での一方の端部(一方の端3Aを含む)に隣接している部位である。
【0103】
他方の被設置体保持部31Bは、設置具本体部3の大きな円弧の延伸方向の他方の準端部に設けられている。他方の準端部とは、一方の準端部と同様な、設置具本体部3の大きな円弧の延伸方向での他方の端部(他方の端3Bを含む)に隣接している部位である。
【0104】
被設置体保持部31が、設置具本体部3の大きな円弧の延伸方向で上述した位置に設けられていることで、設置具本体部3の大きな円弧の延伸方向での一方の端部や他方の端部には、被設置体保持部31が設けられておらず開口部15が存在している。
【0105】
これにより、一対の被設置体保持部31は、設置具本体部3の大きな円弧の延伸方向の両端に近い部位に設けられていることになる。そして、被設置体設置済み状態では、被設置体9の長手方向の両端の近傍の部位が所定の僅かな長さにわたって被設置体保持部31(31A、31B)で一層強く保持されるようになっている。
【0106】
また、被設置体非設置無外力状態における被設置体保持部31の内径の値は、被設置体9の外径の値よりもごく僅かに小さくなっている。これにより被設置体設置済み状態では、被設置体保持部31に被設置体9が締まり嵌め状態で係合している。
【0107】
なお、
図5、
図6で示す態様では、設置具本体部3に貫通孔20が設けられていないが、
図1~
図3で示した被設置体設置具1と同様に、貫通孔20を設けてもよい。また、
図5、
図6で示す態様では、開口部15が設置具本体部3の外径側の部位に形成されているが、開口部15が設置具本体部3の側面の部位に形成されていてもよい。
【0108】
被設置体設置具1aによれば、被設置体設置部5に設置されている被設置体9を保持する被設置体保持部31が設置具本体部3に設けられているので、被設置体設置部5による被設置体9の保持を一層確実にすることができる。
【0109】
また、被設置体設置具1aによれば、被設置体保持部31が設置具本体部3の大きな円弧の延伸方向での準端部に設けられているので、被設置体設置済み状態で被設置体9の端部9A、9Bが設置具本体部3の開口部15によって露出している。
【0110】
これにより、被設置体設置済み状態からの被設置体9の取り外しがしやすくなっている。すなわち、被設置体9を取り外すときに、端部9Aや端部9Bを押すことで、被設置体9が設置具本体部3から外れやすくなっている。
【0111】
次に、2つ目の変形例に係る被設置体設置具1bについて、
図7を参照しつつ説明する。
【0112】
2つ目の変形例に係る被設置体設置具1bは、開口部15の形態が
図1~
図3で示す被設置体設置具1と異なっており、その他は、被設置体設置具1と同様に構成されている。
【0113】
すなわち、2つ目の変形例に係る被設置体設置具1bでは、設置具本体部3の一方の側面に開口部15Aが設けられており、設置具本体部3の他方の側面に開口部15Bが設けられている。
【0114】
開口部15Aは、設置具本体部3の大きな円弧の延伸方向の両端部を除く部位に形成されている。換言すれば、開口部15Aは、設置具本体部3の大きな円弧の延伸方向の中間部で長く形成されている。
【0115】
開口部15Bは、設置具本体部3の大きな円弧の延伸方向の両端部に形成されている。なお、
図7(a)や
図7(c)から理解されるように、正面視において、開口部15Aの一部と開口部15Bの一部とがお互いに重なっている(オーバーラップしている)。
【0116】
次に、3つ目の変形例に係る被設置体設置具1cについて、
図8、
図9を参照しつつ説明する。
【0117】
3つ目の変形例に係る被設置体設置具1cは、被設置体設置部5に複数本の被設置体9を設置することができる点が、
図5、
図6で示す1つ目の変形例に係る被設置体設置具1aと異なっており、その他は、被設置体設置具1aと同様に構成されている。
【0118】
すなわち、被設置体設置具1cでは、1つの設置具本体部3に、複数(たとえば3本)の被設置体9が設置されるように構成されている。
【0119】
被設置体設置具1cの設置具本体部3の断面形状は、一部に開口部15が形成されている横幅の広い「U」字状に形成されている。3本の被設置体9は、お互いが同じ形状に形成されている。被設置体設置済み状態では、3本の被設置体9が横方向(設置具本体部3の中心軸の延伸方向;
図9(b)では左右方向)にならびお互いに平行になって、被設置体設置部5に設置されている。
【0120】
また、被設置体設置部5の長さ寸法の値(円弧の長さの値)と被設置体9の長さ寸法の値の値とは、お互いにほぼ等しくなっており、被設置体設置済み状態では、被設置体設置部5の円弧の全長にわたって、3本の被設置体9が存在している。
【0121】
3本の被設置体9は、
図9(b)で示すように、薄い膜状の外皮材33によって束ねられ、一体化している。なお、外皮材33は、第2の容器17と同様に光等を透過するようになっている。また、外皮材33は、たとえば、3本の被設置体9の総てを覆っている。これによって、3本の被設置体9は、見た目では1本に見える。
【0122】
被設置体設置具1cによれば、1つの被設置体設置部5に複数の被設置体9が設置されるように構成されているので、被設置体9が光を発するものである場合に複数色を発光でき、装飾効果を高めることができる。また、被設置体9が香りを発するものである場合にも様々な香りが混じった香りを提供することができる。そして、香りによる様々な効果(たとえばリラックス効果や集中力を高める効果)を得ることができる。
【0123】
次に、4つ目の変形例に係る被設置体設置具1dについて、
図10を参照しつつ説明する。
【0124】
4つ目の変形例に係る被設置体設置具1dも、被設置体設置部5に複数本の被設置体9を設置することができる点が、上述した各被設置体設置具1、1a、1b、1cと異なっており、その他は、被設置体設置具1、1a、1b、1cと同様に構成されている。
【0125】
すなわち、4つ目の変形例に係る被設置体設置具1dでは、被設置体設置部5に設置されている複数の被設置体9のうちのなかから選択された一部の被設置体9のみが光、音、所定の物質の少なくともいずれかを発するように構成されている。
【0126】
さらに説明すると、4つ目の変形例に係る被設置体設置具1dの被設置体設置部5にはたとえば3本の被設置体9(9a、9b、9c)を設置することができるように構成されている。
【0127】
なお、被設置体設置済み状態では、3本の被設置体9(9a、9b、9c)は、被設置体設置具1dの設置具本体部3の長手方向(たとえば大きな円弧の延伸方向)にならんでいる。そして、被設置体9(9a、9b、9c)のうちのなかから選択された一部の被設置体9(たとえば、被設置体9a)のみが光、音、所定の物質の少なくともいずれかを発するように構成されている。
【0128】
また、被設置体9aの発光等が終えた場合には、次の被設置体9bから光等を発するように構成されている。さらに、被設置体9bの発光等が終えた場合には、次の被設置体9bから光等発するように構成されている。
【0129】
ここで、被設置体設置部5に設置されている複数の被設置体9のうちのなかから選択された一部の被設置体9a発光等させる場合について説明する。
【0130】
被設置体非設置無外力状態では、
図10(c)で示すように、被設置体9(9a、9b、9c)は設置具本体部3と同じ曲率半径の円弧状に形成されている。
【0131】
被設置体非設置無外力状態で被設置体設置部5に被設置体9(9a、9b、9c)を変形させることなくそのまま設置すると
図10(a)で示す初期状態になる。この初期状態では、いずれの被設置体9(9a、9b、9c)も発光等していない。
【0132】
上記初期状態において、被設置体9aを選択し、この選択された被設置体9aを被設置体設置部5から取り外す。取り外した被設置体9aに力を加え、たとえば、
図10(b)で示すように、被設置体9aを直線状に変形させることで、被設置体9aの発光等が開始される。
【0133】
この後、発光等が開始された被設置体9aを被設置体設置部5に設置する。被設置体9bや被設置体9cについても、被設置体9aの場合と同様にして発光等させる。
【0134】
なお、被設置体設置具1dにおいて、総ての複数の被設置体9を同時に発光等させてもよいし、総ての複数の被設置体9のうちの選択された複数の被設置体9を同時に発光等させてもよい。
【0135】
被設置体設置具1dによれば、設置具本体部3に設置されている複数の被設置体9のうちのなかから選択された一部の被設置体9aのみが光を発するようになっているので、長い時間にわたって、光や香り等を発することができる。
【0136】
たとえば、設置具本体部に3つの被設置体9(9a、9b、9c)を設置しておいて、3つの被設置体9(9a、9b、9c)が次々と順に光を発するようにすれば、1つの被設置体9しか設置されていない場合に比べて3倍の時間、光を発することができる。
【0137】
次に参考例に係る被設置体設置具351について
図11を参照しつつ説明する。
【0138】
参考例に係る被設置体設置具351の設置具本体部353は、合成樹脂で構成され可撓性を備えた薄板状の本体部構成材355を、たとえば2枚重ね合わせたことで、帯状に形成されている。設置具本体部353の剛性は、本発明の実施形態に係る被設置体設置具1の設置具本体部3の剛性に比べてかなり小さくなっており、剛性がほとんど存在しない程度になっており、たとえば幼児の指でも容易に変形するようになっている。
【0139】
薄板状の本体部構成材355の厚さ方向は、
図11の紙面に直交する方向になっている。2枚の本体部構成材355の外周部はお互いが接合されている。これにより、2枚の本体部構成材355の内側には、被設置体設置部357が形成されている。
【0140】
また、2枚の本体部構成材355のうちの一方の本体部構成材355には、被設置体9を出し入れするための開口部359が設けられている。開口部359は線ファスナによって開閉自在になっている。
【0141】
また、被設置体設置具351には、被設置体設置具351を手首に設置するときに、被設置体設置具351を環状にするための面ファスナ361が設けられている。
【0142】
ここで、物質発生装置(被設置体)9についてさらに説明する。物質発生装置9は、上述したように、第1の容器19と第2の容器17とを備えて構成されている(
図1(b)(c)参照)。
【0143】
第1の容器19は、上述したようにアンプルで構成されており、第1の容器19の外部から隔てられている第1の閉空間23を形成している。すなわち、第1の閉空間23は、第1の容器19を構成している所定の厚さの薄いガラス製の肉部によって閉じた空間になっている。第1の閉空間23内には、第1の物質(たとえば、第1の薬剤)25が入っている。
【0144】
第2の容器17は、上述したように、合成樹脂等の材料で構成されており、可撓性を備えており、第2の容器17の外部から隔てられている第2の閉空間21を形成している。すなわち第2の閉空間21は、第2の容器17を構成している所定の厚さの薄い合成樹脂製の肉部によって閉じた空間になっている。第2の閉空間21内には、第1の物質25とは異なる第2の物質(たとえば、第2の薬剤)29が入っている。第1の容器19が破壊されていない状態では、第1の物質25と第2の物質29とは、第2の容器17の肉部で隔てられている。
【0145】
物質発生装置9では、第2の容器17に力を加えて第2の容器17が変形することで、第2の容器17は破壊されないが第1の容器19が変形して第2の容器17内で破壊されるようになっている。
【0146】
第1の容器19の破壊によって、第1の物質25と第2の物質29とが混合され、この混合によって生成された第3の物資が、第2の容器17の肉部を透過して第2の容器17の外部に出てくるように構成されている。たとえば、第1の物質25と第2の物質29とがお互いに混ざり合って化学反応を起こし、この化学反応によって生成された気体もしくは液体等の第3の物質が、第2の容器17の外部に出てくるようになっている。
【0147】
また、第2の容器17に重力以外の力が加わっていないときに形状を無荷重形状とすると、物質発生装置9は、第1の容器19が破壊された後に、第2の容器17が上記無荷重形状とは異なる形状に変形し固定されている状態で使用されるようになっている。すなわち、
図1(b)(c)は上記無荷重状態を示しており、
図1(a)、
図2(a)等は、第2の容器17(物質発生装置9)が変形して固定された状態を示している。なお、上記無荷重形状における第2の容器17の肉部の厚さは、いずれの部位でもお互いが等しい一定値になっている。
【0148】
第1の物質25は、液体、ゲル状物質、粉末、固体、気体の少なくともいずれかで成り立っている。第2の物質29は、第1の物質25とは異なる物質であって、液体、ゲル状物質、粉末、固体、気体の少なくともいずれかで成り立っている。
【0149】
第3の物質として、ガスや香り、忌避成分、殺虫成分、二酸化塩素等の、第2の容器17の肉部を構成している樹脂を透過する者を掲げることができる。また、第3の物質として、二酸化塩素と香り成分等の混合物を掲げることもできる。
【0150】
さらに具体的には、第1の物質25としてクエン酸水溶液を掲げることができ、第2の物質29として亜塩素酸ナトリウム水溶液を掲げることができる。なお、第1の物質25を亜塩素酸ナトリウム水溶液とし、第2の物資29をクエン酸水溶液としてもよい。
【0151】
第2の容器17の可撓性ついてさらに説明する。第2の容器17は、無荷重状態では細長い棒状に形成されており、直線状に延びている。無荷重状態の第2の容器17に人の指で中程度の力を適宜加えると、直線状に延びている第2の容器17が、
図1(a)、
図2(a)等で示すように、一部が欠損している円形状(僅かな一部が欠損している円弧状)になる。このように、第2の容器17は、人の指が発する中程度の力で容易に変形する程度の可撓性を備えている。
【0152】
なお、第2の容器17の剛性は、上述したように、被設置体設置具1に比べて十分に低くなっている。換言すれば、第2の容器17は、被設置体設置具1に比べて小さい力でも容易に変形するようになっている。すなわち、
図1(b)(c)で示す無荷重形状(初期形状)の物質発生装置9を、円弧状に曲げて
図1(a)等で示す円弧状の被設置体設置具1に設置した場合、物質発生装置9は復元力を被設置体設置具1に与えている。しかし、物質発生装置9の復元力によっては、被設置体設置具1はほとんど変形しないようになっている。
【0153】
第2の容器17に力が加わっておらず第1の容器19が破壊されていないときの、第2の容器17の形状(無荷重形状)は、
図1(b)等で示すようになっている。すなわち、第2の容器17(物質発生装置9)は、無荷重形状では、長手方向の両端部が塞がっており、直線状になって長く延びている筒状(たとえば細長い円筒状)に形成されている。
【0154】
これに対して、物質発生装置9が使用されるときには、第2の容器17がこの長手方向の全長にわたって円弧状に曲がって長く延びている(
図1(a)、
図2(a)等参照)。
【0155】
第2の容器17の外径の値に対する第2の容器17の長さ寸法の値(第2の容器17の長さ寸法の値/第2の容器の外径の値)は、3~50の間の所定の値になっている。なお、第2の容器の長さ寸法の値/第2の容器の外径の値が、5~40、10~30、さらに、15~25程度の間の所定の値になっていてもよい。
【0156】
物質発生装置(二酸化塩素発生装置)9によれば、第2の容器17が可撓性を備えているので、容易に変形するようになっている。これにより、物質発生装置9を弾性変形等させて被設置体設置具1に容易に設置することができる。
【0157】
また、物質発生装置9は、第1の容器19が破壊された後に、第2の容器17が無荷重形状に対して変形した状態で使用されるので、第2の容器17に肉部の一部に引張応力による歪が発生している。この歪によって、第2の容器17の一部で肉部の厚さが薄くなっており、合成樹脂の分子のからみつきの態様が変化している。そして、引っ張り応力が発生している部位から、混合によって生成された第3の物資が出やすくなっている。
【0158】
また、物質発生装置9では、無荷重形状で第2の容器17が直線状になって長く延びており、使用がされるときには第2の容器17が円弧状に曲がる。これにより、第3の物質や第1の物質25を、第2の容器17の全体から偏りのほとんど無い状態で第2の容器17の外部に出すことができる。
【0159】
ところで、物質発生装置9が、第1の容器19内に第1の物質25が入っており第2の容器17内に第2の物質29として空気等の物質が入っている構成になっていてもよい。
【0160】
そして、第2の容器17に力を加えて第2の容器17が変形することで、第1の容器19が破壊され、第1の物質25が第2の容器17の肉部を透過して第2の容器17の外部に出てくるように構成されていてもよい。
【0161】
なお、第2の物質29として、空気もしくは不活性物質(窒素;N2、アルゴン;Ar、二酸化炭素;CO2等の不活性ガス、さらには、第1の容器19内の第1の物質25と混ざっても化学反応等をほとんど起こさない液体、固体等の物資を掲げることができる。
【符号の説明】
【0162】
1 被設置体設置具
3 設置具本体部
5 被設置体設置部
7 欠損箇所
9 被設置体(物質発生装置)
15 開口部
17 第2の容器
19 第1の容器
20 貫通孔
21 第2の閉空間(内部空間)
23 第1の閉空間(内部空間)
25 第1の物質(第1の薬剤)
29 第2の物質(第2の薬剤)
31 被設置体保持部