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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】ペット用飲料フィルタ
(51)【国際特許分類】
   A01K 39/02 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
A01K39/02 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021010070
(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公開番号】P2022113995
(43)【公開日】2022-08-05
【審査請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】594033846
【氏名又は名称】株式会社マルカン
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(72)【発明者】
【氏名】松本 幸彦
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-191558(JP,A)
【文献】特開2017-148018(JP,A)
【文献】特開2019-162096(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0239475(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 5/00- 9/00
A01K 39/00-39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペット用飲料を貯留する貯留タンクと前記貯留タンクの上方に設けられ循環ポンプにより前記貯留タンク内の前記ペット用飲料が供給される飲料摂取部との間に配置され、前記飲料摂取部から排出された前記ペット用飲料に含まれる異物を除去するペット用飲料フィルタであって、
上方に開口された収容部が設けられたトレイと、
前記収容部に収容されるとともに前記ペット用飲料の特性を改善する特性改善体と、
前記特性改善体の上方に前記収容部の開口を覆った状態で設けられるとともに前記ペット用飲料に含まれる異物を除去する異物除去シート部と、を備え、
前記トレイは、前記収容部に前記特性改善体が収容された状態で、前記特性改善体の底部よりも上方であって前記異物除去シート部の上面よりも下方の高さ位置において前記収容部に開口するメイン排出孔を有することにより、前記飲料摂取部から排出されたペット用飲料を前記収容部に一時的に貯留する、ペット用飲料フィルタ。
【請求項2】
前記トレイは、前記メイン排出孔よりも下方の高さ位置であって前記収容部の底部に対応して開口するとともに、前記メイン排出孔の開口面積よりも小さいサブ排出孔をさらに有する、請求項1に記載のペット用飲料フィルタ。
【請求項3】
前記メイン排出孔は、前記トレイの周壁に形成された複数のユニット主孔から構成され、
前記サブ排出孔は、少なくとも一部の前記ユニット主孔に連続して形成された複数のユニット副孔から構成されている、請求項2に記載のペット用飲料フィルタ。
【請求項4】
前記収容部は、平面視において複数の角部を有する形状を呈し、
前記ユニット副孔の少なくとも一部は、前記角部それぞれに臨んで配置されている、請求項3に記載のペット用飲料フィルタ。
【請求項5】
前記収容部は、前記トレイの周方向に沿って隣接して複数設けられている、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のペット用飲料フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬、猫、ウサギ、フェレットなどのペットに対し、水やミルク等の飲料を供給するペット用飲料供給装置に用いるペット用飲料フィルタに関し、特にペット用飲料を循環させる循環式ペット用飲料供給装置に用いるペット用飲料フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の循環式ペット用飲料供給装置について、水分をペットに供給するため、循環式給水器が一般的に知られている。
【0003】
具体的には、循環式給水器は、特許文献1に示すように、水を貯留する貯水タンクと、この貯水タンクの上方に設けられた水飲み部と、前記貯水タンクの水を水飲み部に供給する循環ポンプと、前記貯水タンクと水飲み部との間に設けられ前記水飲み部から前記貯水タンクに戻る流水を濾過する濾過材を含む不織布フィルタとを備え、ペット用飲料水を衛生的に保つようになされたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-97010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記従来の循環式給水器においては、フィルタを通過する流水は循環ポンプによって吸い上げられた水量に限定され、水質改善などの水の特性を改善する機能が濾過材に付加されていたとしても、十分な改善効果を得ることが難しかった。
【0006】
特に、フィルタにおいては、不織布フィルタの内部に別途濾過材が配置されているものの、この濾過材が全面に配置されずに周縁部にまで行き届いていないものが多い。このようなフィルタにおいては、循環水がこの周縁部を通過することによって濾過材に触れることなく、貯水タンクに戻ってしまうといったバイパス問題が懸念され、内部の濾過材の機能、例えば細菌の繁殖抑制や循環水の軟水化などの機能を十分に発揮できないといった問題が生じる虞もある。また、循環水が濾過材に触れる場合でも特性改善が十分に行われないまま貯水タンクに戻ってしまい、貯水タンク内の飲料水の全体の特性改善が行われるまでに一定の時間がかかるという懸念もある。
【0007】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、特性改善効果を十分に得ることができるペット用飲料フィルタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明に係るペット用飲料フィルタは、ペット用飲料を貯留する貯留タンクと前記貯留タンクの上方に設けられ循環ポンプにより前記貯留タンク内の前記ペット用飲料が供給される飲料摂取部との間に配置され、前記飲料摂取部から排出された前記ペット用飲料に含まれる異物を除去するペット用飲料フィルタであって、上方に開口された収容部が設けられたトレイと、前記収容部に収容されるとともに前記ペット用飲料の特性を改善する特性改善体と、前記特性改善体の上方に前記収容部の開口を覆った状態で設けられるとともに前記ペット用飲料に含まれる異物を除去する異物除去シート部と、を備え、前記トレイは、前記収容部に前記特性改善体が収容された状態で、前記特性改善体の底部よりも上方であって前記異物除去シート部の上面よりも下方の高さ位置において前記収容部に開口するメイン排出孔を有することにより、前記飲料摂取部から排出されたペット用飲料を前記収容部に一時的に貯留する。
【0009】
本発明によれば、トレイと特性改善体と異物除去シート部とを備えるので、飲料摂取部から排出されたペット用飲料は異物除去シート部で異物が除去された後、特性改善体によって特性が改善され、トレイの収容部に導かれる。トレイは、特性改善体の底部よりも上方の高さ位置において収容部に開口するメイン排出孔を有するので、ペット用飲料はメイン排出孔に至るまで収容部に一時的に貯留され、メイン排出孔に至ったペット用飲料はメイン排出孔を通じて排出される。このとき、特性改善体の少なくとも底部は収容部に一時的に貯留されたペット用飲料に浸漬された状態となっている。このため、ペット用飲料の特性を特性改善体により十分に、また効率よく改善することができるとともに、ペット用飲料が特性改善体に触れることなく貯留タンクに戻るバイパス問題も解消される。しかも、メイン排出孔は、異物除去シート部の上面よりも下方の高さ位置において開口するので、異物除去シート部の異物の流出やその異物に付着した成分等が収容部に仮貯留されたペット用飲料に溶け込むことを可及的に抑制することができ、ペット用飲料の汚染も抑制することができる。
【0010】
この発明において、前記トレイは、前記メイン排出孔よりも下方の高さ位置であって前記収容部の底部に対応して開口するとともに、前記メイン排出孔の開口面積よりも小さいサブ排出孔をさらに有するのが好ましい。
【0011】
このように構成すれば、トレイはサブ排出孔をさらに有するので、循環ポンプの駆動中において、収容部におけるペット用飲料の一時的な貯留を維持しつつ、この一時的に貯留されているペット用飲料の一部を収容部の底部に対応する位置において排出することができ、一時的に貯留されているペット用飲料の滞留を抑制することができる。しかも、循環ポンプが停止されると、サブ排出孔を通じて収容部に一時的に貯留されたペット用飲料を排出することができる。すなわち、サブ排出孔が形成されていない場合には、ペット用飲料フィルタを移動させる場合に、一時的に貯留されたペット用飲料がこぼれることがあるが、この一時的に貯留されたペット用飲料をサブ排出孔を通じて収容部から排出することにより、ペット用飲料がこぼれることを抑制することができ、ペット用飲料フィルタの取り扱い利便性を向上することができる。
【0012】
この発明において、前記メイン排出孔は、前記トレイの周壁に形成された複数のユニット主孔から構成され、前記サブ排出孔は、少なくとも一部の前記ユニット主孔に連続して形成された複数のユニット副孔から構成されているのが好ましい。
【0013】
このように構成すれば、メイン排出孔及びサブ排出孔を複数のユニット主孔及び複数のユニット副孔によってトレイに分散させて構成することができ、トレイの強度を適切に保つことができる。しかも、ユニット副孔は、少なくとも一部のユニット主孔に連続して形成されるので、ユニット主孔と一体に形成することができ、これによりトレイの製造も容易となる。
【0014】
この発明において、前記収容部は、平面視において複数の角部を有する形状を呈し、前記ユニット副孔の少なくとも一部は、前記角部それぞれに臨んで配置されているのが好ましい。
【0015】
このように構成すれば、収容部は、平面視において複数の角部を有する形状を呈し、ユニット副孔の少なくとも一部は、角部にそれぞれ臨んで配置されているので、トレイが水平方向に対して傾いている場合にでも、収容部に一時的に貯留されたペット用飲料をユニット副孔から確実に排出させることができ、ペット用飲料フィルタの取り扱い利便性を更に向上させることができる。
【0016】
この発明において、前記収容部は、前記トレイの周方向に沿って隣接して複数設けられているのが好ましい。
【0017】
このように構成すれば、収容部は、トレイの周方向に沿って隣接して設けられているので、トレイの周方向に沿って複数の小領域にトレイを区画して収容部を形成することができる。このため、トレイに単一の収容部が設けられる場合に比べて、収容部の平面領域を小さく形成することができる。これにより、ペット用飲料フィルタが水平方向に対して傾いている場合でも、収容部に収容されている特性改善体が、当該収容部に一時的に貯留されているペット用飲料に対して浸漬され易くなり、ペット用飲料の特性をより十分に改善することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るペット用飲料フィルタによれば、特性改善効果を十分に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るペット用飲料供給装置を示す縦断面図である。
図2】フィルタカートリッジを分解した状態で示す縦断面図である。
図3】収容トレイを示す上面斜視図である。
図4】収容トレイを示す下面斜視図である。
図5】メイン排出孔及びサブ排出孔が形成された立上壁を二次元上に展開した展開図である。
図6】収容トレイに水が一時貯留されている状態を示すペット用飲料供給装置の縦断面図である。
図7】猫用摂水部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0021】
本実施形態のペット用飲料供給装置は、ペット用飲料のうち水(飲料水)を犬に供給する犬用給水器として構成されているが、本発明の飲料供給装置は、水に限らず、水に栄養、味、香り等を添加したペット用清涼飲料水やミルクなど、ペットが摂取することができる液体であれば幅広く適用可能である。また、対象となるペットは、犬に限定されるものではなく、猫、ウサギ、ハムスター、フェレット等、ペット用飲料を摂取する動物が広く含まれる。
【0022】
図1は本実施形態のペット用飲料供給装置の縦断面図である。なお、以下、説明の便宜上、各図における+X方向を右方向、+Y方向を前方向、+Z方向を上方向として説明するが、これらの方向の表現については特に限定されるものではなく、単に本実施形態における相対的な位置関係を表したものである。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の犬用給水器1は、上方に開口する容器状に構成され内部に水を貯留する貯水タンク2(貯留タンクに対応)と、この貯水タンク2の上部開口部に配置されたフィルタトレイ3と、このフィルタトレイ3の上方に設けられた摂水部4(飲料摂取部に対応)と、貯水タンク2の内側底部に配置され貯水タンク2に貯留された水を摂水部4に供給する循環ポンプ5と、フィルタトレイ3内に配置され摂水部4から排出された水が貯水タンク2に戻る際に通過するフィルタカートリッジ6(ペット用飲料フィルタに対応)と、を備え、貯水タンク2の水を摂水部4に循環供給することにより主に摂水部4で犬が水を摂取できるようになされている。
【0024】
貯水タンク2は、上方に開口する容器であり、内部に水を貯留することができるように構成されている。本実施形態では、貯水タンク2は、平面視で略円形の深皿状に構成されている。
【0025】
具体的には、貯水タンク2は、合成樹脂の一体成形品であり、外殻壁部20と、外殻壁部20の上端に連設され外殻壁部20とともに貯水タンク2の周壁部をなす内殻壁部21と、内殻壁部21の下端に配置された底壁部22とを備え、略円形の深皿状に構成されている。また、貯水タンク2は、内殻壁部21の内側において水を貯留する平面視略円形の貯水空間2aが設けられている。
【0026】
外殻壁部20は、下方に向かうにしたがって外方に傾斜して構成され、これにより載置安定性を高めるものとなされている。一方、内殻壁部21は上部において内側にクランク状に屈曲した状態に構成され、この屈曲による載置段部21aにフィルタトレイ3が載置可能に構成されている。底壁部22には、循環ポンプ5が位置決めされることにより配置される。
【0027】
フィルタトレイ3は、フィルタカートリッジ6を収納するものであり、平面視ドーナツ型の平皿形状を呈する。このフィルタトレイ3は、その外周縁が貯水タンク2の貯水空間2aに対応して構成され、周縁部が貯水タンク2における内殻壁部21の載置段部21a上に載置されている。
【0028】
具体的には、フィルタトレイ3は、中心部に円筒状ボス部31aが立設された平面視円形のトレイ本体31と、このトレイ本体31の外周壁上端に径方向外側に突出して設けられた環状の水受け部32と、この水受け部32の下面を受けて支持するとともにとトレイ本体31の外周壁側端部とを連結する円環状の受け補強部33とを有し、この水受け部32の下面外周縁部が載置段部21aに載置されている。
【0029】
トレイ本体31は、平面視略円形の平皿状部材である。このトレイ本体31の底壁部には、流通孔311が円筒状ボス部31aを中心に放射状に複数配置され、この流通孔311の間がフィルタカートリッジ6を支持する桟状部312として構成されている。円筒状ボス部31aは内部に摂水部4の後述する給水スリーブ42が嵌合されるものであり、トレイ本体31の外周壁よりも高く設定されている。
【0030】
水受け部32は、摂水部4から排出されて落下した水を受ける部分であり、摂水部4の外周縁に重複するように配置されている。この水受け部32は、底部がトレイ本体31の外周壁部の上端よりも下方に配置されるとともに外周壁部が内周壁部よりも高く形成されている。これにより、水受け部32は、摂水部4から排出された水を一時貯留することが可能であるとともにこの水受け部32から溢れる水が内側に導かれるように構成されている。
【0031】
摂水部4は、循環ポンプ5によって貯水タンク2から供給された水を犬(ペット)が摂取する部分であり、フィルタトレイ3の上側に配置されている。摂水部4は、異形傘状に構成され中心部に循環ポンプ5から供給された水を吐出する吐水孔41aが設けられた摂水本体41と、この摂水本体41の下面中心部から下方に延び内部空間が吐水孔41aに連通する給水スリーブ42とを備え、吐水孔41aから吐出された水が摂水本体41の上面を伝って外縁に流出するように構成されている。
【0032】
摂水本体41は、平面視略円形状を呈し、上面が球面状に構成されている。この摂水本体41は、吐水孔41aを取り囲むように環状に設けられた貯水凹部41bが下方に凹んだ状態で設けられ、この貯水凹部41b内に水を一時貯留可能に構成されている。また摂水本体41の外周縁部には、周方向に沿って複数の円弧状切欠部41cが設けられ、フィルタトレイ3の水受け部32に溜まった水をフィルタカートリッジ6へ排出し易いように工夫されている。
【0033】
給水スリーブ42は、上下方向に延びて、内部に水が流通する円筒状部材であり、フィルタトレイ3の円筒状ボス部31aに嵌合状態に取り付けられている。この給水スリーブ42は、外周面において上下方向中間部分よりも下側部分が上側部分が縮径されることにより位置決め段部42aが設けられ、この位置決め段部42aが円筒状ボス部31aの頂面に突き当たって位置決めされるようになされている。また、給水スリーブ42の下端部の縮径部には循環ポンプ5の吐水管51が内嵌されている。
【0034】
循環ポンプ5は、公知の電動式水中ポンプであり、貯水タンク2内の水を取り込んで、吐水管51を通じて摂水部4の給水スリーブ42に水を供給する。この循環ポンプ5は、貯水タンク2の底壁部22に配置されている。
【0035】
図2はフィルタカートリッジを分解した状態で示す縦断面図である。フィルタカートリッジ6は、水に含まれる毛や埃などの異物を捕捉するとともに、貯水タンク2内の水質を改善するものであり、内部空間を有するドーナツ型の板状体として構成されている。フィルタカートリッジ6は、フィルタトレイ3のトレイ本体31内に収容されており、摂水部4から排出された水が貯水タンク2に戻る前に流通する。
【0036】
このフィルタカートリッジ6は、上方に開口した収容部62を有する収容トレイ6a(トレイに対応)と、水質改善体6b(特性改善体に対応)と、異物除去シート部6cと、を備える。収容部62内に水質改善体6bが収容された状態で、この水質改善体6bの上方において収容部62の開口を覆うように収容トレイ6aの上面に異物除去シート部6cが接合されることによりフィルタカートリッジ6が構成される。このフィルタカートリッジ6に摂水部4から水が排出されると、異物除去シート部6cが、摂水部4から排出された水に含まれる異物を除去する。さらに、異物除去シート部6cを通過した水は収容トレイ6aに一時的に所定量貯留されるとともに、収容部62の内部に収容されている水質改善体6b(具体的には収容トレイ6aの内部に収容された濾過材)が、収容部62内の水の水質を改善する。
【0037】
図3は収容トレイを示す上面斜視図であり、図4は収容トレイを示す下面斜視図である。収容トレイ6aは、全体視ドーナツ型の平皿容器状を呈する。この収容トレイ6aの中心部には中心孔60bが設けられており、中心孔60bにはフィルタトレイ3の円筒状ボス部31aが挿通される。具体的には、収容トレイ6aは、平面視扇形環の複数の単位トレイ60aが中心孔60bを中心として周方向に隣接して配置された状態で一体に形成されている。各単位トレイ60aは上方に開口した1つの収容部62を有している。各収容部62の内部には水質改善体6b(水質改善処理材)が収容される。本実施形態では、収容トレイ6aは、4つの単位トレイ60aを有している。4つの単位トレイ60aは、同一の大きさ及び形状であり、中心孔60bを中心に周方向に等間隔に配置されている。収容トレイ6aは、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS樹脂などの硬質合成樹脂から形成されている。
【0038】
各単位トレイ60aは、平面視扇形環を呈する底壁63と、この底壁63の周縁から上方に延びる立上壁64と、フランジ部67と、複数のリブ68と、を備える。
【0039】
立上壁64は、外周壁64aと、内周壁64bと、一対の側壁64cと、を備える。外周壁64aは、底壁63の外周縁から上方に延びる。内周壁64bは、底壁63の内周縁から上方に延びる。内周壁64bには、当該内周壁64bとともにフィルタトレイ3の円筒状ボス部31aの周縁を取り囲むことが可能なように、当該内周壁64bの周方向両端部から周方向に所定距離延びる内周縁両側壁64fが一体に形成されている。各単位トレイ60aの内周壁64b及び内周縁両側壁64fは、中心孔60bを取り囲むように周方向に間隔を空けて並んでいる。一対の側壁64cそれぞれは、底壁63の一対の側縁から上方に延びる。これにより、一対の側壁64cは、外周壁64aの周方向一方側端部又は他方側端部と、内周壁64bの周方向一方側端部又は他方側端部とを接続し、接続部分が円弧状入隅部である角部64d、64eとして形成されている。具体的に、本実施形態では、外周壁64aと一対の側壁64cそれぞれとの接続部分により2つの外周壁側角部64dが形成されており、内周壁64bと一対の側壁64cそれぞれとの接続部分により2つの内周壁側角部64eが形成されている。これら外周壁64a、内周壁64b及び一対の側壁64cは、底壁63から同一の高さを有しており、底壁63を取り囲むことにより上方に開口した収容部62を構成する。本実施形態では4つの単位トレイ60aにより、同一の大きさ及び形状の4つの収容部62が構成されている。
【0040】
フランジ部67は、収容部62の上方の開口を覆う異物除去シート部6cを各単位トレイ60aに取り付けるために立上壁64の上端に設けられている。具体的には、フランジ部67は、外周フランジ部67aと、内周フランジ部67bと、側壁フランジ部67cとを有する。フランジ部67a~67cそれぞれは、外周壁64aの上端、内周壁64b及び内周縁両側壁64fの上端、側壁64cの上端から収容部62の外方に向かって上面を有するように延びる。フランジ部67a~67cは同一の高さであり、異物除去シート部6cをその上面に一様に溶着可能である。
【0041】
複数のリブ68は、図4に示すように収容トレイ6aの裏面に設けられている。具体的に、複数のリブ68は、側壁64cの裏面(側壁64cにおいて収容部62内に面する側とは反対側の面)と側壁フランジ部67cの下面とを連結する。
【0042】
立上壁64には、立上壁64を貫通するメイン排出孔65及びサブ排出孔66が形成されている。メイン排出孔65は、収容部62に所定量以上の水が流入した場合に当該所定量以上の水を排出するための排出孔である。これにより、収容部62には所定量未満の水が一時的に貯留される。サブ排出孔66は、収容部62に一時的に貯留されている水を収容部62から排出するための排出孔である。
【0043】
収容部62における水の一時貯留は循環ポンプ5を駆動することにより、摂水部4から連続的に収容部62に水が排出される状態で行われる。本実施形態では、4つの収容部62に概ね均等に水が排出されることを前提に、各収容部62それぞれにおいて概ね同量の水を一時的に貯留できるように、循環ポンプ5の吐出量等との関係で、メイン排出孔65及びサブ排出孔66の開口面積等が設定されている。さらに、サブ排出孔66の開口面積については、収容部62に一時貯留されている水がサブ排出孔66から排出されても、摂水部4から排出される水が収容部62に補充されることにより収容部62に水を一時的に貯留した状態を維持できるようにメイン排出孔65の開口面積よりも小さく設定されている。
【0044】
図5はメイン排出孔及びサブ排出孔が形成された立上壁(64a~64c)を二次元上に展開した展開図である。メイン排出孔65は複数のユニット主孔65aを含む。複数のユニット主孔65aは、第1ユニット主孔651aと、第2ユニット主孔652aとを含む。第2ユニット主孔652aは、後述のユニット副孔66aと連通する排出孔である。これに対して、第1ユニット主孔651aはユニット副孔66aと連通してない排出孔である。本実施形態では、第1ユニット主孔651a及び第2ユニット主孔652aは同一の大きさ及び形状を有しており、正面視において上下方向に長い長方形状である。
【0045】
本実施形態では、第1ユニット主孔651a及び第2ユニット主孔652aの総数に対して半数以上の第1ユニット主孔651a及び第2ユニット主孔652aが一対の側壁64cに形成されることにより、犬用給水器1が若干傾いて配置されている場合でも、収容部62から下方に水を排出するように構成されている。具体的には、1つの第1ユニット主孔651a及び1つの第2ユニット主孔652aが、内周壁64bにおいて、互いに離隔した状態で周方向に並んで配置されている。また、6つの第1ユニット主孔651aが、一対の側壁64cそれぞれにおいて、側壁64cが延びる径方向に沿って互いに離隔した状態で等間隔に並んで配置されている。また、1つの第2ユニット主孔652aが2つの外周壁側角部64dそれぞれに配置されている。
【0046】
各ユニット主孔65a(第1ユニット主孔651a及び第2ユニット主孔652a)は、収容部62に水質改善体6bが収容された状態で、水質改善体6bの底部よりも上方であって異物除去シート部6cの上面よりも下方の高さ位置において収容部62に開口している。図5に示すように、底壁63の上面の位置を位置P0とし、この位置P0を基準とした立上壁64の上端の位置を位置P2とし、位置P0より上方でありかつ位置P2より下方の位置をP1とする。水質改善体6bは、位置P0と位置P2との間において収容部62に収容可能であり、本実施形態では水質改善体6bは底壁63の上面に載置されている。よって、水質改善体6bの底部の位置は位置P0である。本実施形態では、各ユニット主孔65aは、その下縁が位置P1に位置し、その上縁が位置P2に位置するように側壁64c、内周壁64b及び2つの外周壁側角部64dに設けられている。各ユニット主孔65aの下縁の位置P1は、位置P0と位置P2との間であればよい(位置P0<位置P1<位置P2)。位置P1は、位置P0を基準として、例えば、位置P0から位置P2まで長さの1/4~3/4である。また、本実施形態では、各ユニット主孔65aの上縁は位置P2であるが、位置P2よりも下方でもよい。ただし、各ユニット主孔65aの上縁を位置P2に設定することにより、金型を用いて複数のユニット主孔65aを有する収容トレイ6aを形成する場合に、ユニット主孔65aを形成するためのピンを収容トレイ6aの高さ方向の途中からではなく上端部から挿入できるため、当該ピンの配置など成型が容易である。
【0047】
また、サブ排出孔66は複数のユニット副孔66aを含む。複数のユニット副孔66aは、第2ユニット主孔652aの下方に連続して形成されている。具体的に、本実施形態では、ユニット副孔66aそれぞれは、内周壁64b及び2つの外周壁側角部64dそれぞれに配置されている第2ユニット主孔652aの下方に連続するように、内周壁64b及び2つの外周壁側角部64dに配置されている。各ユニット副孔66aは同一の大きさ及び形状を有しており、本実施形態では第2ユニット主孔652aと同幅の正面視方形状である。図5に示すように、各ユニット副孔66aは、その上縁が位置P1に位置し、その下縁が位置P0に位置する。
【0048】
立上壁64に前述の各ユニット主孔65aが形成されているため、摂水部4から収容部62に排出された水は、収容部62の底部である位置P0から各ユニット主孔65aの下縁である位置P1に至るまで収容部62に一時的に貯留され、当該位置P1に至った水は各ユニット主孔65aを通じて排出される。
【0049】
さらに、立上壁64において前述の各ユニット副孔66aが形成されているため、循環ポンプ5の駆動中において、収容部62における水の一時的な貯留を維持しつつ、この一時的に貯留されている水の一部を各ユニット副孔66aを通じて排出することができる。そして、循環ポンプ5の駆動が停止された後においては、収容部62に貯留されている水を各ユニット副孔66aを通じて排出することができる。
【0050】
また、前述の通りメイン排出孔65及びサブ排出孔66それぞれは、複数のユニット主孔65a及び複数のユニット副孔66aを有するため、収容トレイ6aに複数のユニット主孔65a及び複数のユニット副孔66aを分散させて配置することができ、収容トレイ6aの強度を適切に保つことができる。しかも、ユニット副孔66aは、ユニット主孔65aに連続して形成されるので、ユニット主孔65aと一体に形成することができ、これによりトレイの製造も容易となる。
【0051】
また、複数のリブ68が各側壁64cにおける6つのユニット主孔65a間に設けられているため、複数のユニット主孔65aが設けられつつも側壁64cの強度の低下を抑制することができる。
【0052】
また、収容部62は、2つの外周壁側角部64d及び2つの内周壁側角部64eが内周側と外周側とに分散しつつ、かつ周方向に分散して配置されている。そして、複数のユニット副孔66aは、角部(本実施形態では前記角部のうち2つの外周壁側角部64d)に臨んで配置されているので、収容トレイ6aが水平方向に対して傾いている場合にでも、収容部62に一時的に貯留された水をユニット副孔66aから確実に排出させることができ、フィルタカートリッジ6の取り扱い利便性を更に向上させることができる。なお、各収容部62における3つのユニット副孔66aのうち2つのユニット副孔66aは前述の通り2つの外周壁側角部64dに設けられており、残りの1つのユニット副孔66aは内周壁64bに設けられている。
【0053】
異物除去シート部6cは、収容トレイ6aの形状に対応する平面視ドーナツ型のシート状に構成されている。具体的に、異物除去シート部6cは、外縁が円形の不織布シートの中心部に、内周壁64bの中心孔60bに対応する挿通孔60cが設けられている。異物除去シート部6cは、この挿通孔60cが中心孔60bに一致された状態で、収容トレイ6aの上面(外周フランジ部67aの上面、内周フランジ部67bの上面、及び、側壁フランジ部67c)に溶着によって接合されている。異物除去シート部6cの収容トレイ6aでの高さ位置は、本実施形態では図5に示すように位置P2である。異物除去シート部6cの厚みは、収容トレイ6aの厚みに対して薄く形成されている。なお、異物除去シート部6cの材質として、本実施形態では不織布を用いているが、水に含まれる獣毛、食べ滓、埃等の異物を物理的に補足して除去できるものであれば特に限定するものではなく、種々の繊維の織布、ろ紙、網部材、焼結金属多孔板、連続気泡の発泡体など、透水可能な濾過材を好適に用いることができる。
【0054】
異物除去シート部6cにより覆われる収容部62には、水質改善体6bとして所定の濾過材が収容されている。この濾過材としては、専ら化学濾過又は生物濾過を行うものが利用され、例えば活性炭(銀イオンなどの付着させたものを含む)、イオン交換樹脂、マグネシウムなど水に投入することにより水素を発生させる水素発生剤、セラミックス、ゼオライト、アンスラサイトなどが用いられている。但し、この濾過材として、物理的濾過を排除するものではなく、不織布やポリウレタン発泡体なども含まれる。本実施形態では、4つの収容部62において、活性炭とイオン交換樹脂とが周方向に交互に収容されているが、収容部62の数は特に限定するものではなく単一(この場合仕切壁は省略される)、であっても良く、また例えば各収容部62の全てに活性炭を収納しても良く、改善すべき特性等を考慮して適宜濾過材、その配置態様等を決定することができる。
【0055】
水質改善体6bは、水質改善体6b自体が球形等の粒状及びシート状であるもの、粒状等の水質改善体6bが袋に収容された袋状等の多様な態様で存在する。メイン排出孔65の形成位置の基準である水質改善体6bの底部は、水質改善体6bが存在する最も下部の部分である。当該底部は、水質改善体6bが例えば粒状である場合は粒状の最も下部の部分であり、水質改善体6bが例えばシート状又は袋状である場合はシート状又は袋状の下面である。
【0056】
以上の構成を有する犬用給水器1は、例えば次のようにして組み立て、使用前の準備を行う。
【0057】
まず、貯水タンク2に循環ポンプ5を取り付ける。具体的には、貯水タンク2の底壁部22に循環ポンプ5を載置し、この循環ポンプ5の配線コード(不図示)を貯水タンク2内から外部に引き出す。この状態で貯水タンク2に注水する。
【0058】
そして、フィルタトレイ3及びフィルタカートリッジ6を貯水タンク2にセットする。具体的には、フィルタトレイ3を貯水タンク2の載置段部21a上に載置するとともにフィルタカートリッジ6をフィルタトレイ3のトレイ本体31内に収納する。この収納にあたっては、フィルタトレイ3の円筒状ボス部31aをフィルタカートリッジ6の中心孔(中心孔60b及び挿通孔60c)に挿通してフィルタカートリッジ6をトレイ本体31に載置することにより行う。
【0059】
続いて、摂水部4を装着する。具体的には、摂水部4の給水スリーブ42をフィルタトレイ3の円筒状ボス部31a内に挿入し、続けてこの給水スリーブ42の下端部の縮径部を循環ポンプ5の吐水管51に緊密状態に外嵌する。そして、給水スリーブ42の位置決め段部42aがフィルタトレイ3の円筒状ボス部31aの頂面に当接するまで押し込んで、摂水部4を貯水タンク2に装着する。
【0060】
以上のように構成された犬用給水器1の作用について、図6を用いて説明する。
【0061】
まず循環ポンプ5を駆動させると、循環ポンプ5が貯水タンク2内の水を取り込んで吐水管51から吐出する。この吐出された水は、摂水部4の給水スリーブ42を通って吐水孔41aから吐出し、摂水本体41の上面を伝って流れ落ちる。このとき、流れ落ちる水は、摂水本体41の貯水凹部41bに一度貯留されてから、この貯水凹部41bから溢れ出て周縁部にまで達し、フィルタトレイ3の水受け部32に流れ落ちる。犬は、この摂水本体41の上面を流れる水や貯水凹部41bに溜まっている水、或いは水受け部32に溜まっている水を摂取する。
【0062】
そして、水受け部32に溜まった水は内側に溢れ出てフィルタカートリッジ6の異物除去シート部6cを通過する。この循環する水に獣毛や食べ滓、埃などの異物が混入している場合には、これらの異物が異物除去シート部6cにより捕捉されるため、循環水から異物を除去することができる。循環水から異物が除去された後、水質改善体6bによって水質が改善され、収容トレイ6aの収容部62に導かれる。
【0063】
収容トレイ6aは、水質改善体6bの底部よりも上方の高さ位置において収容部62に開口するメイン排出孔65を有するので、水はメイン排出孔65に至るまで収容部62に一時的に貯留され、メイン排出孔65に至った水はメイン排出孔65を通じて排出される。このとき、図6に示すように、貯水タンク2内の水の液位はL1であり、収容トレイ6aの底壁63の下面が貯水タンク2内の液面から露出した状態であるものの、収容部62には液位L2の水が一時的に貯留されている。液位L2は、収容トレイ6aの底壁63の上面の位置を基準とした液面の位置である。この液位L2は、収容トレイ6aの底壁63の上面の位置を基準とした、メイン排出孔65(具体的にはユニット主孔65a)の下縁である位置P1と概ね一致する。このように収容部62に液位L2まで水が一時的に貯留されているため、水質改善体6bの少なくとも底部は収容部62内の水に浸漬された状態となっている。このため、水の特性を水質改善体6bにより十分に、また効率よく改善することができるとともに、水が水質改善体6bに触れることなく貯水タンク2に戻るバイパス問題も解消される。具体的に、本実施形態のように収容部62に水が溜められるタイプの収容トレイ6aでは水質改善体6bと水との接触時間が長いため改善効果が最大に到達するまでの時間が、例えば収容部に水が溜められず通過するタイプの収容トレイよりも早く、効率よく水の特性を改善することができる。しかも、メイン排出孔65は、異物除去シート部6cの上面よりも下方の高さ位置において開口するので、異物除去シート部6cの上面が常時、水に浸かった状態になく、異物除去シート部6cの異物の流出やその異物に付着した成分等が収容部62に仮貯留された水に溶け込むことを可及的に抑制することができ、貯水タンク2の水の汚染も抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態では、収容部62は、収容トレイ6aの周方向に沿って隣接して設けられているので、収容トレイ6aの周方向に沿って複数の小領域に収容トレイ6aを区画して収容部62を形成することができる。このため、収容トレイ6aに単一の収容部62が設けられる場合に比べて、収容部62の平面領域を小さく形成することができる。これにより、フィルタカートリッジ6が水平方向に対して傾いている場合でも、収容部62に収容されている水質改善体6bが、当該収容部62に一時的に貯留されている水に対して浸漬され易くなり、水の特性をより十分に改善することができる。
【0065】
さらに、収容トレイ6aは、メイン排出孔65に加えてサブ排出孔66をさらに有するので、循環ポンプ5の駆動中において、収容部62における水の一時的な貯留を維持しつつ、この一時的に貯留されている水の一部をサブ排出孔66(具体的にはユニット副孔66a)を通じて排出することができ、一時的に貯留されている水の滞留を抑制することができる。
【0066】
次に、循環ポンプ5が停止されると、収容部62に一時的に貯留されていた液位L2の水がサブ排出孔66を通じて排出される。サブ排出孔66が形成されていない場合には、フィルタカートリッジ6を移動させる場合に、一時的に貯留された水がこぼれることがあるが、この一時的に貯留された水をサブ排出孔66を通じて収容部62から排出することにより、水がこぼれることを抑制することができ、フィルタカートリッジ6の取り扱い利便性を向上することができる。しかも、複数のユニット副孔66aは、角部に臨んで配置されているので、収容トレイ6aが水平方向に対して傾いている場合にでも、収容部62に一時的に貯留された水をユニット副孔66aから確実に排出させることができる。
【0067】
なお、以上に説明した犬用給水器1は、本発明のペット用飲料供給装置の一実施形態であり、その具体的構成等については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、その変形例を説明する。
【0068】
(A)サブ排出孔の省略について
上記実施形態では、収容トレイ6aにはメイン排出孔65及びサブ排出孔66が形成されている。しかし、トレイにはメイン排出孔のみが形成され、サブ排出孔は省略されてもよい。トレイがメイン排出孔を有することにより、メイン排出孔に至るまで収容部にペット用飲料を一時的に貯留させることができる。ただし、収容トレイ6aにサブ排出孔66を設けることにより、収容部62に一時的に貯留されている水の滞留を抑制することができるとともに、収容部62から確実に水を排出することもできる。
【0069】
(B)ユニット主孔及びユニット副孔の態様について
収容部にペット用飲料を一時的に貯留することができる構成であれば、ユニット主孔及びユニット副孔の大きさ、形状、形成場所及び数等は上記実施形態に示す態様に限定されない。この一例について以下に説明する。
【0070】
(B1)ユニット主孔及びユニット副孔の大きさ、形状について
ユニット主孔又はユニット副孔は、例えば、1つの側壁64cの径方向一方側端部から他方側端部まで延びるように大きく形成されていてもよい。なお、ユニット主孔又はユニット副孔は、外周壁64a、内周壁64b、外周壁側角部64d及び内周壁側角部64eにおいても同様の態様で形成されてもよい。
【0071】
また、ユニット主孔又はユニット副孔は、正面視において、例えば、逆台形状、逆三角形状等、楕円形状等であってもよい。さらに、ユニット主孔及びユニット副孔は、上下に連続した状態で一連の逆台形状又は逆三角形状等を呈していてもよい。この場合には、ユニット主孔及びユニット副孔を一連に形成しつつ、ユニット副孔の開口面積をユニット主孔の開口面積よりも確実に小さくすることができる。
【0072】
また、ユニット主孔及びユニット副孔とは互いに連続している形態に限られず、互いに分離していてもよい。
【0073】
(B2)ユニット主孔及びユニット副孔の形状の形成場所について
ユニット主孔及びユニット副孔は、収容トレイの立上壁(外周壁、内周壁、側壁、外周壁側角部及び内周壁側角部)のうち少なくとも一つの部分に形成されればよい。さらに、ユニット副孔は、収容トレイの立上壁及び底壁の両方に形成されてもよいし、底壁のみに形成されてもよい。また、ユニット副孔の形成場所はユニット主孔の形成場所と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0074】
(B3)ユニット主孔及びユニット副孔を形成する高さ位置
上記実施形態では、単位トレイ60aにおける底壁63の上面の位置P0、立上壁64の上端の位置P2、及び位置P0と位置P2との間の位置P1を基準としてユニット主孔65a及びユニット副孔66aを形成する高さ位置が設定されている。
【0075】
しかし、トレイ内において、特性改善体が存在する位置及び異物除去シート部が配置されている位置により、ユニット主孔及びユニット副孔が形成される高さ位置が設定されればよい。具体的に、特性改善体の底部の位置は収容部の高さの範囲(上記実施形態では位置P0~位置P2)のうちの任意の位置である。例えば特性改善体が収容部において水に浮遊する場合には、特性改善体の底部は位置P0よりも上に位置する。また、例えば、異物除去シート部は収容部の内部における位置P2よりも下方の位置に配置されていてもよい。これら特性改善体及び異物除去シート部の位置に応じてユニット主孔及びユニット副孔の形成位置が設定される。
【0076】
(B4)各収容部へのペット用飲料の排出位置と、ユニット主孔の形成場所との関係について
ユニット主孔は、収容部に導入された水が十分に特性改善体と接触しつつユニット主孔を通じて貯留タンクに排出されるように、収容部のうち、摂水部から収容部への水の排出位置に近接している部分以外に形成されることが好ましい。
【0077】
上記実施形態では、摂水部4から収容部62への水の排出位置は、収容トレイ6aの径方向の半分の位置よりも径方向外方側である。ユニット主孔65aは、当該排出位置に排出された水が当該排出位置に近接する外周壁64aから即座に排出されないように、外周壁64aではなく、一対の側壁64c及び内周壁64bに形成されている。
【0078】
逆に、摂水部4から収容部62への水の排出位置が、収容トレイ6aの径方向の半分の位置よりも径方向内方側である場合には、ユニット主孔65aは、当該排出位置に排出された水が当該排出位置に近接する内周壁64bから即座に排出されないように、内周壁64bではなく、一対の側壁64c及び外周壁64aの少なくとも一つに形成されるのが好ましい。
【0079】
(C)トレイの態様
本発明のペット用飲料フィルタのトレイは、上記実施形態では収容トレイ6aから構成されている。しかし、ペット用飲料フィルタのトレイとしては、収容トレイ6aに限定されず、フィルタトレイ3を用いてもよい。具体的に、フィルタカートリッジは、一般的なカートリッジ、すなわち底壁に通水孔を有し、この通水孔を通じてフィルタカートリッジから排出された水が、上記実施形態の収容トレイ6aと同様にフィルタトレイに一時的に貯留されるように構成されていてもよい。
【0080】
(D)ペット用飲料供給装置の形状について
(D1)トレイの形状について
上記実施形態では収容トレイ6aは平皿容器状を呈し、底壁63に対して立ち上がる立上壁64を備えている。メイン排出孔65はこの立上壁64に設けられている。しかし、収容トレイは、その内部にペット用飲料を一時的に貯留可能であればその形状は限定されず、例えば底壁及び側壁が一連に連なったお椀状であってもよい。
【0081】
また、トレイの収容部の形状において、上記実施形態では単位トレイ60aの収容部62は平面視扇形環であるが、その形状は限定されず、平面視矩形状、平面視三角形状等であってもよい。また、トレイに形成される収容部の数は上記実施形態では4つであるが、その数は限定されず、例えば1つ又は1つ以外の複数であってもよい。
【0082】
(D2)摂水部の形状について
前記実施形態では、対象ペットとして犬を想定して、摂水部4についても貯水凹部41bを設けて水を一時的に貯留可能に構成されているが、対象ペットとして他の動物を想定しても良く、その場合には対象ペットの性質を考慮して、飲料摂取部の具体的構成を変更しても良い。例えば、対象ペットとして猫を想定する場合には、猫は流水を好むことから飲料摂取部(摂水部)として貯水凹部を省略しても良い。
【0083】
具体的には、図7に示すように、他の実施形態に係る摂水部14は、傘状に構成され中心部に吐水孔141aが設けられた摂水本体141と、この摂水本体41の下面中心部から下方に延び内部空間が吐水孔141aに連通する給水スリーブ142とを備える。この摂水本体141は、中心部から外周縁部にかけて滑らかな曲線によって構成され、前記実施形態と異なり、吐水孔141aから吐出した水は一時的に貯留されることなく絶えず流れている。
【0084】
このように、摂水本体141を中心部から外周縁部にかけて滑らかな曲線によって構成することによって、対象ペットである猫の好みに応じた流水状態とすることができ、ペットの飲料摂取を促進することができる。
【0085】
(E)ペット用飲料フィルタの構成態様
前記実施形態では、フィルタカートリッジ6として、水質改善体6bが収容トレイ6a内に収容されるとともに、収容トレイ6a上に異物除去シート部6cを重ね合わせたものを用いているが、本発明のペット用飲料フィルタとしてはこれに限定されるものではなく、収容トレイ6a、水質改善体6b及び異物除去シート部6cを有しているものであれば広く適用可能である。
【0086】
例えば、フィルタカートリッジ16として、前記実施形態のフィルタカートリッジ6の下面に更に異物除去シート部を接合するものであっても良い。
【0087】
また、上記実施形態では、フィルタカートリッジ6において収容トレイ6aに収容された水質改善体6bと、収容トレイ6aの上面の異物除去シート部6cとが積層状態に重ね合わされているが、これらの水質改善体6bと異物除去シート部6cとの間に空気層と他の層が積層されているものであっても良い。
【0088】
また、例えば、フィルタカートリッジ6として、収容トレイ6aを用いることなく、不織布などの異物除去シート部の間に、活性炭、イオン交換樹脂などの濾過材を挟み込んだものを用いるものであっても良く、この場合、下側の異物除去シート部をトレイ状に成形するものであっても良い。
【符号の説明】
【0089】
1 :犬用給水器(ペット用飲料供給装置)
2 :貯水タンク(貯留タンク)
3 :フィルタトレイ(トレイ)
4 :摂水部(飲料摂取部)
5 :循環ポンプ
6 :フィルタカートリッジ
6a :収容トレイ(トレイ)
6b :水質改善体(特性改善層)
6c :異物除去シート部
14 :摂水部(飲料摂取部)
62 :収容部
65 :メイン排出孔
65a :ユニット主孔
66 :サブ排出孔
66a :ユニット副孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7