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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】アクチュエータ、及び、流体制御機器
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
F16K31/04 K
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021099447
(22)【出願日】2021-06-15
(62)【分割の表示】P 2020047267の分割
【原出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021148293
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2019年11月27日ないし2019年11月29日に東京ビッグサイトで開催されたIIFES2019で公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2020年1月9日と2020年1月16日に、株式会社エム・システム技研のウェブサイトで公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 MS TODAY エムエスツデー 第29巻 第1号 通巻255号 (2020年1月1日発行)第6-7ページで公開
(73)【特許権者】
【識別番号】390001166
【氏名又は名称】株式会社エムジー
(72)【発明者】
【氏名】藤原 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】和平 孝信
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特公平6-89858(JP,B2)
【文献】国際公開第2008/096438(WO,A1)
【文献】特開2011-105139(JP,A)
【文献】特開2006-115610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/00-31/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部を第1駆動力で駆動できる第1制御と、前記駆動部を前記第1駆動力よりも強い第2駆動力で駆動できる第2制御とが可能な制御部と、
所定方向に移動できる移動部と、
前記駆動部から前記第1駆動力及び前記第2駆動力の少なくとも一方が供給されたとき、前記移動部が移動するための力を前記移動部に供給できる弾性部材と、
バルブの増し締めをするための増し締め量に関する情報を記憶する記憶部とを有するアクチュエータの操作方法であって、
前記増し締め量に関する情報は、前記第1制御により前記駆動部が停止した位置から前記第2制御により前記駆動部を移動させる量に関する情報であり、
前記制御部が前記第1制御により前記駆動部の駆動を開始させる第1ステップと、
前記制御部が前記第1制御による前記駆動部の駆動が停止したときの位置に関する情報を前記記憶部に記憶させる第2ステップと、
前記制御部が前記位置に関する情報と、前記増し締め量に関する情報とを用いて演算した第1位置情報を前記記憶部に記憶させる第3ステップと、
前記制御部が前記記憶部に記憶された前記第1位置情報を用いて、前記第2制御により前記駆動部を駆動することにより前記バルブの増し締めをする第4ステップとを有し、
前記第1位置情報は、前記第1制御により前記駆動部が停止した位置から前記第1制御により前記駆動部を駆動した方向に前記増し締め量だけ移動した位置の情報である、アクチュエータの操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ、及び、流体制御機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スプリング8,8′とワッシャ9,9′によって軸方向に相互移動が可能であるよう釣合位置に支持された弁体3を有するステッピングモータバルブが記載されている。特許文献1には、常時は弁体3がロータ6と共に回転すること、及び、弁体・弁座間摩擦が増大したとき弁体3の回転が停止したままでロータ6が更に回転できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平01-098777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、好適な制御を実現できるアクチュエータ、及び、流体制御機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の観点に係るアクチュエータの操作方法は、駆動部を第1駆動力で駆動できる第1制御と、前記駆動部を前記第1駆動力よりも強い第2駆動力で駆動できる第2制御とが可能な制御部と、所定方向に移動できる移動部と、前記駆動部から前記第1駆動力及び前記第2駆動力の少なくとも一方が供給されたとき、前記移動部が移動するための力を前記移動部に供給できる弾性部材と、バルブの増し締めをするための増し締め量に関する情報を記憶する記憶部とを有するアクチュエータの操作方法であって、前記増し締め量に関する情報は、前記第1制御により前記駆動部が停止した位置から前記第2制御により前記駆動部を移動させる量に関する情報であり、前記制御部が前記第1制御により前記駆動部の駆動を開始させる第1ステップと、前記制御部が前記第1制御による前記駆動部の駆動が停止したときの位置に関する情報を前記記憶部に記憶させる第2ステップと、前記制御部が前記位置に関する情報と、前記増し締め量に関する情報とを用いて演算した第1位置情報を前記記憶部に記憶させる第3ステップと、前記制御部が前記記憶部に記憶された前記第1位置情報を用いて、前記第2制御により前記駆動部を駆動することにより前記バルブの増し締めをする第4ステップとを有し、前記第1位置情報は、前記第1制御により前記駆動部が停止した位置から前記第1制御により前記駆動部を駆動した方向に前記増し締め量だけ移動した位置の情報である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、好適な制御を実現できるアクチュエータ、及び、流体制御機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は第1実施形態の流体制御機器を説明するための図である。
図2図2は第1実施形態のアクチュエータを説明するための図である。
図3図3は第1実施形態のアクチュエータの回路を説明するための図である。
図4図4は、第1実施形態のアクチュエータの動作を説明するための図である。
図5図5は、第1実施形態のアクチュエータの動作を説明するための別の図である。
図6図6は、第1実施形態のアクチュエータの動作を説明するための更に別の図である。
図7図7は、第1実施形態の流体制御機器の動作を説明するための図である。
図8図8は、第2実施形態の流体制御機器を説明するための図である。
図9図9は、第2実施形態のアクチュエータの動作を説明するための図である。
図10図10は、第2実施形態のアクチュエータの動作を説明するための別の図である。
図11図11は、第3実施形態の流体制御機器を説明するための図である。
図12図12は、第3実施形態のアクチュエータのスイッチを説明するための図である。
図13図13は、第3実施形態の流体制御機器の動作を説明するための図である。
図14図14は、第3実施形態の流体制御機器の動作を説明するための別の図である。
図15図15は、第3実施形態の流体制御機器の動作を説明するための更に別の図である。
図16図16は、第3実施形態の流体制御機器の動作を説明するための更に別の図である。
図17図17は、第4実施形態の流体制御機器の記憶部に記憶された情報を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
【0009】
図1は第1実施形態の流体制御機器を説明するための図、図2は第1実施形態のアクチュエータを説明するための図、図3は第1実施形態のアクチュエータの回路を説明するための図である。
【0010】
図1において、流体制御機器1は、例えば、水や油などの液体、粉体等の流体の流量を制御する機器である。流体制御機器1は、アクチュエータ2と、バルブ装置3とを有する。
【0011】
アクチュエータ2は、例えば、電動アクチュエータである。アクチュエータ2は、ケース70と、弾性部40と、駆動部50と、移動部(駆動軸)60とを有する。
【0012】
バルブ装置3は、アクチュエータ2に接続される接続部75と、接続部75に接続された弁体76と、目盛761と、目印762と、流体78が流れる管部77とを有する。管部77の+X方向側には接触部771が備えられている。
【0013】
流体制御機器1は、アクチュエータ2を駆動することにより、アクチュエータ2の端部611が+X方向又は-X方向に移動する。アクチュエータ2の端部611が+X方向又は-X方向に移動すると、バルブ装置3の接続部75及び弁体76も+X方向又は-X方向に移動する。
【0014】
目盛761は、弁体76の側面にX方向に沿って備えられている。目印762は管部77との相対的位置が変わらないように、目盛761に対向して備えられている。このため、ユーザは目印762に対応する目盛761を読むことで、弁体76のX方向の位置を知ることができる。
【0015】
バルブ装置3を開方向に制御する場合、アクチュエータ2が端部611を-X方向に移動させ、弁体76が-X方向に移動する。これにより、管部77の流路が広くなり、バルブ装置3に流れる流体78の流量が増大する。
【0016】
バルブ装置3を閉方向に制御する場合、アクチュエータ2が端部611を+X方向に移動させ、弁体76が+X方向に移動する。これにより、管部77の流路が狭くなり、バルブ装置3に流れる流体78の流量が減少する。弁体76が76aの位置に移動し弁体76と管部77の接触部771とが接触するまでは、流体制御機器1は、アクチュエータ2を+X方向に移動させることができる。
【0017】
次に、図2図3を用いて、アクチュエータ2の構成を詳細に説明する。
【0018】
図2図3において、アクチュエータ2は、ケース70と、弾性部40と、駆動部50と、移動部(駆動軸)60と、操作部31と、検出部32と、制御部33と、機構部34とを有する。図2において、ケース70は、制御部33等の回路、機構部34、駆動部50の一部等を収容している。
【0019】
図2図3において、操作部31は、例えば、ケース70の外部に備えられ、ユーザが操作可能な複数の操作ボタン(図示せず)や、外部機器(図示せず)から外部制御信号が供給される入力部を有する。操作部31は、ユーザによる操作ボタンの操作や、外部制御信号に応じて操作信号S1を出力する。
【0020】
検出部32は、例えば、駆動部50の動作(駆動)、停止等を検出するためのセンサである。検出部32は、例えば、ポテンショメータ、エンコーダ等の位置検出センサである。検出部32は、直線的な移動を検出するセンサであってもよいし、回転を検出するセンサであってもよい。本実施形態において、検出部32は、直線的な移動を検出するポテンショメータである。検出部32はケース70に固定されており、駆動部50上を摺動するブラシ(図示せず)を用いて駆動部50の移動を検出し、検出信号S2を出力する。検出信号S2は制御部33の記憶部35に記憶される。
【0021】
制御部33は、例えば、マイクロコンピュータ(図示せず)と、記憶部35とを有する。制御部33は、検出信号S2に基づいて駆動部50が停止したか否かを判断(検出)する。制御部33は、操作部31から出力された操作信号S1と、検出部32から出力された検出信号S2と、記憶部35に記憶された情報とを用いて演算を行い、制御信号S3を出力する。本実施形態において、制御部33は、後述する第1制御と、第2制御と、通常制御とを行う。
【0022】
機構部34は、モータ(図示せず)と、カム機構(図示せず)とを有する。モータは、例えば、回転するモータでもよいし、直線的に駆動するモータでもよい。モータは、DCモータ、交流モータ、ステッピングモータ、超音波モータ等を用いることができる。例えば、本実施形態では、高精度、高トルクを実現するためにステッピングモータを用いている。
【0023】
カム機構は、任意の構成を採用し得る。例えば、回転駆動と直線的駆動とを変換するものでもよいし、回転駆動から回転駆動に変換するものでもよいし、直線的駆動から直線的駆動に変換するものでもよいし、回転駆動を回転しながら直線的に駆動するものに変換するものでもよい。例えば、本実施形態では、モータの回転駆動を直線的駆動(+X方向又は-X方向)に変換するカム機構を用いている。
【0024】
本実施形態において、機構部34は、制御信号S3に基づいてモータを駆動し、モータの駆動力がカム機構に供給される。カム機構は供給された駆動力を用いて、所定の駆動力で駆動部50を駆動する。
【0025】
図2において、駆動部50は、X方向に伸びる基体51と、基体51の+X方向側の端である端部511と、基体51の+X方向側の部分から-Y方向に延びる第1突起部531と、基体51の-X方向側の部分から-Y方向に延びる第2突起部532とを有する。
【0026】
移動部60は、X方向に伸びる基体61と、基体61の+X方向側の端である端部611と、駆動部50に対向する面に備えられた目盛612と、基体61の-X方向側の部分からY方向に延びる第2突起部632と、基体61の第2突起部632よりも+X方向側の部分からY方向に延びる第1突起部631とを有する。
【0027】
図3において、弾性部40は、弾性体41と、弾性体41の一端側に備えられた支持部材45と、弾性体41の他端側に備えられた支持部材46とを有する。弾性体41は、例えば、金属バネ、ゴム等の弾性部材である。
【0028】
支持部材45は、第1突起部531及び第1突起部631の少なくとも一方に接触可能に、第1突起部531及び第1突起部631よりも-X方向側に備えられている。支持部材46は、第2突起部532及び第2突起部632の少なくとも一方に接触可能に、第2突起部532及び第2突起部632よりも+X方向側に備えられている。
【0029】
本実施形態において、弾性体41の自然長x10[mm](図示せず)は、第1突起部531と第2突起部532との間隔、又は、第1突起部631と第2突起部632との間隔よりも長い。このため、弾性体41は、支持部材45と支持部材46との間隔が広がる方向の弾性力で支持部材45及び支持部材46を加圧している。
【0030】
次に、アクチュエータの動作を説明する。図4から図6は第1実施形態のアクチュエータの動作を説明するための図である。
【0031】
図4(a)は、初期状態を示す図である。本実施形態の初期状態では、第1突起部531と第1突起部631とが対向した位置にあり、第2突起部532と第2突起部632とが対向した位置にある。支持部材45は第1突起部531及び第1突起部631に支持され、支持部材46は第2突起部532及び第2突起部632に支持されている。
【0032】
図4(a)に示す初期状態において、制御部33は駆動部50を駆動するための制御信号S3を出力しておらず、駆動部50が停止している。検出部32は制御部33に検出信号S2を出力し、制御部33は検出信号S2に基づいて、駆動部50の位置情報を記憶部35に記憶する。
【0033】
弾性体41は、第1突起部531及び第1突起部631と、第2突起部532及び第2突起部632とに加圧され圧縮されており、長さがx11[mm]である。図4(a)の状態において、弾性体41は自然長x10[mm]よりも(x10-x11)[mm]だけ縮んでいる。
【0034】
図4(a)の状態において、弾性体41は、第1突起部531及び第2突起部532に挟まれている。このため、弾性体41は、力F0(第1突起部531及び第2突起部532が弾性体41を圧縮する力)で圧縮されて長さがx11[mm]になっており、力F0と等しい大きさの弾性力を生じている。なお、弾性体41のバネ乗数をk1[N/mm]とすると、力F0=k1×(x10-x11)[N]である。
【0035】
図4(a)の状態において、駆動部50の端部511は、移動部60の目盛612の0(ゼロ)の位置にある。この位置を第1位置と称する。
【0036】
図4(b)は、図4(a)の状態から駆動部50を第1駆動力で+X方向に駆動した状態である。制御部33は駆動部50を第1駆動力で+X方向に駆動するための制御信号S3を出力し、駆動部50が第1駆動力で+X方向に駆動する。検出部32は制御部33に検出信号S2を出力し、制御部33は検出信号S2に基づいて、駆動部50の位置情報を記憶部35に記憶する。
【0037】
第1駆動力は、例えば、力F0(第1突起部531及び第2突起部532が弾性体41を圧縮する力)よりも小さい力である。第1駆動力は、例えば、力F0以下、かつ、力F0の1/20以上の値であることが好ましい。更に好ましくは、第1駆動力は、例えば、力F0以下、かつ、力F0の1/10以上の値であることが好ましい。
【0038】
弁体76(図1ご参照)と管部77の接触部771(図1ご参照)とが接触するまでは、駆動部50の第1駆動力が弾性部40を介して移動部60に伝達され、駆動部50及び移動部60が+X方向に移動し、弁体76が+X方向に移動する。
【0039】
駆動部50が図4(a)の状態よりも+X方向にa1移動し、弁体76と接触部771とが接触すると、移動部60が接触部771から抗力を受け移動できなくなる。第1駆動力が力F0以下であり弾性部40が収縮しないので、駆動部50も移動できなくなる。このとき、検出部32は、制御部33に検出信号S2を出力し、制御部33は検出信号S2に基づいて、駆動部50の位置情報を第1基準位置として記憶部35に記憶する。
【0040】
なお、図4(b)においては、弾性体41が収縮していない(弾性体41の長さがx11)ので、駆動部50の端部511は、移動部60の目盛612の0(ゼロ)の位置(第1位置)にある。
【0041】
図5(a)は、図4(b)と同一の状態である。図5(b)は図5(a)の状態から駆動部50を第2駆動力で+X方向に駆動した状態である。
【0042】
図5(b)において、制御部33は駆動部50を第2駆動力で+X方向に駆動するための制御信号S3を出力し、駆動部50を第2駆動力で+X方向に駆動する。第2駆動力は、例えば、力F0(第1突起部531及び第2突起部532が弾性体41を圧縮する力)よりも大きい力である。検出部32は制御部33に検出信号S2を出力し、制御部33は検出信号S2に基づいて、駆動部50の位置情報を記憶部35に記憶する。
【0043】
弁体76と接触部771とが接触しているので、移動部60は+X方向に(殆んど)移動できない。このため、駆動部50が第2駆動力で+X方向に駆動すると、弾性体41が圧縮される。移動部60は、弾性部40を介して第2駆動力が伝達され、弁体76と接触部771とを更に強く押し付ける(増し締め)。
【0044】
その後、駆動部50が図5(a)の状態よりも+X方向にa2移動したとき、制御部33は、後述する第2制御終了条件(第2制御により駆動部50を移動させる距離がa2[mm])が満たされたと判断し、駆動部50を停止させる。このとき、制御部33は、検出信号S2に基づいて、駆動部50の位置情報を第2基準位置として記憶部35に記憶する。
【0045】
図5(b)においては、駆動部50が第2駆動力でa2[mm]移動し、弾性体41の長さはx11[mm]よりも短いx12[mm]になっている。本実施形態において、x11[mm]=x12+a2[mm]であり、弾性体41に弾性力F1=k1×(x10-x12)[N]が生じる。
【0046】
第2駆動力は、例えば、機構部34のモータの通常制御時の定格の駆動力以下、かつ、力F0(第1突起部531及び第2突起部532が弾性体41を圧縮する力)以上の値であることが好ましい。更に好ましくは、第2駆動力は、例えば、モータの通常制御時の定格の駆動力以下、かつ、力F0の2倍以上の値であることが好ましい。
【0047】
図5(b)においては、弾性体41がa2[mm]短くなったので、駆動部50の端部511は、目盛612の0(ゼロ)の位置よりも+X方向に2(2目盛)だけ移動している。この位置を第2位置と称する。
【0048】
図6(a)は、図4(b)と同様の状態を説明するための図である。図6(a)に示した流体制御機器1は、図4(a)の状態で外部部材(図示せず)を用いて移動部60の位置が固定される。移動部60の位置が固定された状態で、制御部33は、駆動部50を第3駆動力で-X方向に駆動する第1制御を行う。。第3駆動力は、例えば、第1駆動力とは逆向きで第1駆動力と等しい力である。
第3駆動力は、例えば、力F0(第1突起部531及び第2突起部532が弾性体41を圧縮する力)よりも小さい力であるから、駆動部50は移動できない。制御部33は検出信号S2に基づいて、駆動部50の位置情報を第3基準位置として記憶部35に記憶する。なお、図6(a)において、駆動部50の端部511は、移動部60の目盛612の0(ゼロ)の位置(第1位置)にある。
【0049】
図6(b)において、制御部33は駆動部50を第4駆動力で-X方向に駆動するための制御信号S3を出力し、駆動部50が第4駆動力で-X方向に駆動する第2制御を行う。第4駆動力は、例えば、第2駆動力と大きさが等しく逆向きの力である。
【0050】
その後、駆動部50が図6(a)の状態よりも-X方向にa3移動したとき、制御部33は、第2制御終了条件(第2制御により駆動部50を移動させる距離が-a3[mm])が満たされたと判断し、駆動部50を停止させる。このとき、制御部33は、検出信号S2に基づいて、駆動部50の位置情報を第4基準位置として記憶部35に記憶する。
【0051】
図6(b)においては、駆動部50が第4駆動力で駆動されているので、弾性体41の長さはx11[mm]よりも短いx13[mm]となっている。本実施形態において、x11[mm]=x13+a3[mm]であり、弾性体41に弾性力F2=k1×(x10-x13)[N]が生じる。
【0052】
図6(b)においては、弾性体41がa3[mm]短くなったので、駆動部50の端部511は、目盛612の0(ゼロ)の位置よりも-X方向に2(2目盛)だけ移動している。この位置を第3位置と称する。
【0053】
次に、流体制御機器の動作を説明する。図7は第1実施形態の流体制御機器の動作を説明するための図である。
【0054】
図7に示すように、まず、ステップ1では、機器が設置される。本実施形態では、工場等の現場において、アクチュエータ2の移動部60(図1ご参照)と、バルブ装置3の接続部75(図1ご参照)とが接続される。また、流体制御機器1に必要な電源が供給される。
【0055】
ステップ2では、ユーザが操作部31を用いて所定の設定を行う。操作部31は、所定の設定に関する情報を操作信号S1として制御部33に出力する。制御部33は所定の設定に関する情報(操作信号S1)を記憶部35に記憶する。
【0056】
所定の設定とは、例えば、第1駆動力の大きさの設定、第2駆動力の大きさの設定、第3駆動力の大きさの設定、第4駆動力の大きさの設定、第2制御終了条件の設定、通常制御時の駆動力の設定等を挙げることができる。通常制御時の駆動力は、例えば、通常制御時の定格の駆動力、通常制御時の最大の駆動力、通常制御時の最小の駆動力等を挙げることができる。
【0057】
例えば、第1~第4駆動力の大きさは、力[N]に対応する値で設定してもよいし、圧力[Pa]に対応する値で設定してもよいし、第1~第4駆動力を弾性体41に印加することにより収縮された弾性体41の長さ[mm]で設定してもよいし、機構部34のモータの回転数やモータに供給される電流等で設定してもよい。
【0058】
例えば、本実施形態では、弾性体41の自然長x10、長さx11(図4(a)ご参照)、力F0(第1突起部531及び第2突起部532が弾性体41を圧縮する力)が予めユーザに知らされている。このため、ユーザは、例えば、力F0×(1/10)を第1駆動力として設定する。例えば、本実施形態では、通常制御時の定格の駆動力を第2駆動力として設定する。例えば、力F0の整数倍を第2駆動力として設定してもよい。
【0059】
また、ユーザは、操作部31を用いて第2制御終了条件を設定できる。第2制御終了条件は、第2制御を終了するための任意の条件である。例えば、図5に示した本実施形態では、「第2制御により駆動部50を移動させる距離a2[mm]」を第2制御終了条件として設定している。
【0060】
駆動部50が距離a2[mm]移動したか否かの判断は、例えば、制御部33が機構部34のモータの回転数を検出することにより判断してもよいし、制御部33が検出部32の検出信号S2を監視することにより判断してもよいし、他の方法で判断してもよい。
【0061】
例えば、本実施形態では、ステッピングモータを用いているので、モータの回転数と駆動部50の移動距離とが一対一に対応する。また、第2制御時に駆動部50が距離a2[mm]移動すると弾性体41がa2[mm]縮む。
【0062】
図5(b)を用いて説明したように、x11[mm]=x12+a2[mm]であり、弾性体41がa2[mm]縮むと、弾性体41の長さがx11[mm]からx12[mm]になり、弾性体41に弾性力F1=k1×(x10-x12)[N]が生じる。弾性力F1は、第2制御が完了したときに、弁体76が接触部771を加圧する力に対応する。
【0063】
このため、ユーザは操作部31を用いて、弾性力F1=k1×(x10-x12)[N]に対応する所望の値を入力する。操作部31は、操作信号S1として弾性力F1を制御部33に出力する。
【0064】
制御部33は、弾性力F1から駆動部50の移動距離a2[mm]を演算し、駆動部50を移動距離a2[mm]移動させるためのステッピングモータの回転数A[回転]を演算し、制御信号S3として回転数A[回転]を機構部34に出力する。
【0065】
機構部34のステッピングモータがA回転することにより、駆動部50が距離a2[mm]移動し、弾性体41がa2[mm]縮み、弁体76が接触部771をF1=k1×(x10-x12)の力で加圧することとなる。
【0066】
なお、第2制御終了条件の設定は、上記例に限定されない。例えば、ユーザが弾性体41のバネ乗数k1[N/mm]を知っている場合、ユーザは操作部31を用いて、駆動部50の移動距離a2[mm]を入力してもよい。この場合、操作部31が操作信号S1として移動距離a2[mm]を生成し、制御部33が制御信号S3として回転数A[回転]を生成することにより、機構部34のステッピングモータがA[回転]することになる。
【0067】
第2制御終了条件は、駆動部50の移動距離に限定されるものではない。例えば、第2制御を開始してから所定の時間が経過したことを終了条件としてもよいし、機構部34のモータが停止したことを終了条件としてもよいし、弁体76や接触部771に設置されたセンサを用いて弁体76と接触部771との間の加圧力が所定値以上になったことを検出したことを終了条件としてもよい。
【0068】
ステップ3において、ユーザが操作部31のスタートボタンSW1を押すことにより、第1制御が開始される。第1制御とは、例えば、駆動部50を第1駆動力で駆動する制御である。
【0069】
第1制御において、操作部31は、スタートボタンSW1(図示せず)が押された旨の操作信号S1を制御部33に出力する。検出部32は、検出信号S2を制御部33に出力する。制御部33は、記憶部35に記憶された情報に基づいて、第1駆動力で+X方向に駆動部50を駆動する旨の制御信号S3を生成し機構部34に出力する。
【0070】
機構部34は、制御信号S3に基づいてモータを駆動し、第1駆動力で+X方向に駆動部50を駆動させる。駆動部50を+X方向に駆動することにより、移動部60が+X方向に移動し、弁体76(図1ご参照)が接触部771(図1ご参照)に近づいていく。
【0071】
その後、弁体76を+X方向に移動させることにより、弁体76が接触部771に接触する。弁体76が接触部771に接触すると、移動部60が移動できなくなる。第1駆動力が力F0よりも小さいから、駆動部50は弾性体41を圧縮させることができず、駆動部50の移動も停止する。
【0072】
駆動部50が停止すると、検出部32の検出信号S2に基づいて、制御部33が駆動部50の停止を検出(判断)する(ステップ4)。
【0073】
ステップ5において、制御部33は、駆動部50の位置情報を第1基準位置として記憶部35に記憶する。本実施形態においては、駆動部50が停止したときの検出部32の検出信号S2が第1基準位置となる。なお、駆動部50の端部511は、移動部60の目盛612の0(ゼロ)の位置(第1位置)にある(図4(b)ご参照)。
【0074】
制御部33は、駆動部50の停止を検出したので第1制御を終了し第2制御を開始する(ステップ6)。第2制御とは、例えば、駆動部50を第2駆動力で駆動する制御である。
【0075】
第2制御において、制御部33は、記憶部35に記憶された情報に基づいて、第2駆動力で+X方向に駆動部50を駆動する旨の制御信号S3を生成し機構部34に出力する。機構部34は、制御信号S3に基づいてモータを駆動し、第2駆動力で+X方向に駆動部50を駆動する。
【0076】
弁体76及び移動部60は、+X方向に(殆んど)移動できないので、駆動部50の移動に応じて弾性体41が収縮していく。弁体76は接触部771に加圧接触する。
【0077】
制御部33は、ステップ2で設定された第2制御終了条件が満たされたか否かを繰り返し判断する。本実施形態では、第2制御終了条件として、例えば、「第2制御により駆動部50を移動させる距離a2[mm](図5(b)ご参照)」が設定されているので、制御部33が機構部34のモータの回転数を繰り返し検出することにより第2制御終了条件が満たされたか否かを判断する。制御部33は、第2制御終了条件が満たされたと判断したとき(ステップ7)、検出部32の検出信号S2を検出する。
【0078】
ステップ8において、制御部33は、第2制御終了条件が満たされたと判断したときの駆動部50の位置情報(検出部32の検出信号S2)を第2基準位置として記憶部35に記憶する。
【0079】
制御部33は、第2基準位置を記憶部35に記憶した後、駆動部50の駆動を停止し第2制御を終了する。なお、駆動部50の端部511は、移動部60の目盛612の+2の位置(第2位置)にある(図5(b)ご参照)。
【0080】
ステップ9において、制御部33は、第2制御が終了したので通常制御を開始する。通常制御とは、例えば、第1~第4基準位置の少なくとも一つを用いて、駆動部50、移動部60、弁体76等を移動させる制御である。
【0081】
通常制御では、例えば、操作部31の入力部に供給される外部制御信号や、ユーザによる操作部31の操作に基づいて操作部31が操作信号S1を出力する。制御部33は、操作信号S1、検出信号S2及び記憶部35に記憶された情報に基づいて、駆動部50を駆動する旨の制御信号S3を生成し機構部34に出力する。これにより、弁体76を自由に制御できる。
【0082】
例えば、本実施形態において、制御部33は第2基準位置をバルブ装置3の閉位置(バルブ装置3が閉じている状態。流体78が流れない状態)として通常制御を行う。
【0083】
通常制御は、第1基準位置、第2基準位置、第3基準位置及び第4基準位置の1つのみを用いてもよいし、第1基準位置、第2基準位置、第3基準位置及び第4基準位置の2つ以上を用いてもよい。例えば、第1基準位置及び第2基準位置を用いて通常制御を行う場合、例えば、第1基準位置は流体78が殆んど流れない状態とし、第2基準位置は流体78が全く流れない状態としても良い。
流体制御機器1には、目盛761及び目印762が設けられているので、通常制御において、ユーザは、目盛761及び目印762を視認することにより、バルブ装置3の開閉状態や、弁体76の動作を容易に確認できる
【0084】
また、目盛761に対する目印762の位置は、ポテンショメータ、エンコーダ等の位置検出センサ(第2位置検出センサと称する)を用いて検出することもできる。この場合、第2位置検出センサの出力信号は、制御部33に供給されることが好ましい。上述した検出部32(図3ご参照)から出力された検出信号S2(図3ご参照)と、第2位置検出センサの出力信号とを用いることにより、より高度な制御を実現できるからである。
【0085】
上述した本実施形態のアクチュエータ2は、第1基準位置、第2基準位置、第3基準位置及び第4基準位置の少なくとも一つを用いているので、好適な制御を実現できる。流体制御機器1は、アクチュエータ2の制御により弁体76を所望の位置に移動させることができる。
【0086】
本実施形態のアクチュエータ2は、第1駆動力及び第2駆動力の少なくとも一方で駆動可能な駆動部50と、所定方向に移動できる移動部60と、駆動部50から第1駆動力及び第2駆動力の少なくとも一方が供給され、移動部60が移動するための力を移動部60に供給する弾性部40とを有する。
【0087】
このため、駆動部50の駆動力が弾性部40を介して移動部60に供給されることになり、移動部60が停止している場合に駆動部50を駆動させることで弾性部40を圧縮することができる。
【0088】
本実施形態のアクチュエータ2は、駆動部50の停止を検出するための検出信号を制御部33に供給する検出部32を有するので、制御部33は、第1制御を行った後、検出部32の検出信号に基づいて駆動部50の停止を検出することで第1制御を終了し、第2制御を開始することができる。
【0089】
本実施形態において、アクチュエータ2の制御部33は、駆動部50を第1駆動力で駆動できる第1制御と、駆動部50を第1駆動力よりも強い第2駆動力で駆動できる第2制御とが可能である。
【0090】
このため、制御部33は、第1制御により弁体76と接触部771とを弱い力で接触させることができる。また、第2制御により弁体76と接触部771とを強い力で加圧接触させることができる。
【0091】
例えば、本実施形態では、第1駆動力が力F0(第1突起部531及び第2突起部532が弾性体41を圧縮する力)よりも小さい値に設定されているので、第1制御による弾性体41の収縮量はゼロ又は非常に小さい値である。第2駆動力は力F0よりも大きい値に設定されているので、第2制御による弾性体41の収縮量は比較的大きな値となる。
【0092】
本実施形態では、第1制御により弁体76と接触部771とを接触させた状態から第2制御が開始され、「第2制御による駆動部50のX方向の移動量」は、「第1制御の開始から第2制御の完了までの弾性体41の収縮量」に等しいとみなすことができる。
【0093】
「第1制御の開始から第2制御の完了までの弾性体41の収縮量」にバネ乗数をk1[N/mm]を乗算することにより「第2制御の完了時に弁体76が接触部771を加圧する力(増し締め量)」が得られる。
【0094】
本実施形態では、ユーザが操作部31を用いて所定の設定を行うことにより、第2制御時に制御部33が「第2制御による駆動部50のX方向の移動量」に対応する制御信号S3を機構部34に供給することで「第2制御の完了時に弁体76が接触部771を加圧する力(増し締め量)」を実現できる。
【0095】
本実施形態の流体制御機器1では、操作部31を用いて、弁体76が接触部771を加圧する力(増し締め量)を容易に設定できるので、流体78の好適な流量制御を実現できる。例えば、好適な増し締め量(弁体76が接触部771を加圧する力)が、流体78の温度や組成、弁体76及び接触部771の経年劣化具合等により変動する場合でも、操作部31を用いて、好適に増し締め量を変更することができる。
【0096】
(第2実施形態)
【0097】
図8は第2実施形態の流体制御機器を説明するための図、図9は第2実施形態のアクチュエータの動作を説明するための図、図10は第2実施形態のアクチュエータの動作を説明するための別の図である。以下の説明において、図1図7に示した構成と同様の構成には同一の参照符号を付し、重複した説明を省略する。
【0098】
図8において、流体制御機器1’は、アクチュエータ2と、バルブ装置3’とを有する。バルブ装置3’は、接続部75、弁体76、目盛761、目印762、流体78、管部77及び接触部771に換えて、接続部75a、弁体76c、76e、目盛761a、761b、目印762a、762b、流体78a、78b、管部77a、77b及び接触部771a、771bを有する。
【0099】
接続部75aは、弁体76c、76eに接続されている。弁体76cは接続部75aの+X方向側に備えられ、弁体76eは接続部75aの-X方向側に備えられている。目盛761a、761bは、弁体76c、76eに備えられている。目印762a、762bは、目盛761a、761bに対向して備えられている。接触部771a、771bは、管部77a、77bに備えられている。
【0100】
駆動部50を+X方向側に駆動すると弁体76cが接触部771aに接触し流体78aの流れが制限される。駆動部50を-X方向側に駆動すると弁体76eが接触部771bに接触し流体78bの流れが制限される。
【0101】
弁体76c、目盛761a、目印762a、流体78a、管部77a及び接触部771aの動作は、上述した第1実施形態の流体制御機器1の動作と同様であるため、弁体76e、目盛761b、目印762b、流体78b、管部77b及び接触部771bの動作を中心に説明する。
【0102】
図9(a)は、初期状態を示す図である。制御部33は駆動部50を駆動するための制御信号S3を出力しておらず、駆動部50が停止している。図9(a)の状態において、駆動部50の端部511は、移動部60の目盛612の0(ゼロ)の位置(第1位置)にある。
【0103】
弾性体41は、長さがx11[mm]である。弾性体41のバネ乗数をk1とすると、図4(a)の状態において、弾性体41は力F0(第1突起部531及び第2突起部532が弾性体41を圧縮する力)の力で圧縮されている。
【0104】
図9(b)は、図9(a)の状態から駆動部50を第3駆動力で-X方向に駆動した状態である。第3駆動力は、例えば、第1駆動力とは逆向きで第1駆動力と等しい力である。制御部33は駆動部50を第3駆動力で-X方向に駆動するための制御信号S3を出力し、駆動部50が第3駆動力で-X方向に駆動する第1制御を開始する。
【0105】
駆動部50が図9(a)の状態よりも-X方向にa4移動し、弁体76eと接触部771bとが接触すると、移動部60が接触部771bから抗力を受け移動できなくなる。第3駆動力が力F0以下であり弾性部40が収縮しないので、駆動部50も移動できなくなる。このとき、制御部33は、検出部32の検出信号S2に基づいて、駆動部50の位置情報を第3基準位置として記憶部35に記憶する。
【0106】
なお、図9(b)においては、弾性体41が収縮していない(弾性体41の長さがx11)ので、駆動部50の端部511は、移動部60の目盛612の0(ゼロ)の位置(第1位置)にある。
【0107】
図10(a)は、図9(b)と同一の状態である。図10(b)は、図10(a)の状態から駆動部50を第4駆動力で-X方向に駆動した状態である。
【0108】
図10(b)において、制御部33は駆動部50を第4駆動力で-X方向に駆動するための制御信号S3を出力し、駆動部50を第4駆動力で-X方向に駆動する第2制御を行う。第4駆動力は、例えば、第2駆動力とは逆向きで第2駆動力と等しい力である。第4駆動力は、例えば、力F0(第1突起部531及び第2突起部532が弾性体41を圧縮する力)よりも大きい力である。
【0109】
弁体76eと接触部771bとが接触しているので、移動部60は-X方向に(殆んど)移動できない。このため、駆動部50が第4駆動力で-X方向に駆動すると、弾性体41が圧縮される。移動部60は、弾性部40を介して第4駆動力が伝達され、弁体76eと接触部771bとを更に強く押し付ける(増し締め)。
【0110】
その後、駆動部50が図10(a)の状態よりも-X方向にa5移動したとき、制御部33は、第2制御終了条件(例えば、第2制御により駆動部50を移動させる距離が-a5[mm])が満たされたと判断し、駆動部50を停止させる。このとき、制御部33は、検出信号S2に基づいて、駆動部50の位置情報を第4基準位置として記憶部35に記憶する。
【0111】
図10(b)においては、弾性体41がa5[mm]短くなったので、駆動部50の端部511は、目盛612の0(ゼロ)の位置よりも-X方向にa5(1目盛)だけ移動している。この位置を第3位置と称する。
【0112】
上述した本実施形態のアクチュエータ2は、第1実施形態のアクチュエータ2と同様の構成を有するので、同様の優れた作用効果を奏することができる。
【0113】
上述した本実施形態の流体制御機器1’は、アクチュエータ2と、バルブ装置3’とを有する。バルブ装置3’は、接続部75a、弁体76c、76e、目盛761a、761b、目印762a、762b、流体78a、78b、管部77a、77b及び接触部771a、771bを有する。
【0114】
このため、制御部33は、第1基準位置、第2基準位置、第3基準位置及び第4基準位置の少なくとも1つを用いて、好適な制御を実現できる。流体制御機器1’は、アクチュエータ2の制御により弁体76c、弁体76eを所望の位置に移動させることができる。
【0115】
また、本実施形態の流体制御機器1’は、第1実施形態の図4及び図5に示した動作と同様に駆動部50を第1駆動力又は第2駆動力で+X方向に駆動することにより弁体76cと接触部771aとを接触させたり、所定の圧力で加圧する制御、及び、第2実施形態の図9及び図10に示したように駆動部50を第3駆動力又は第4駆動力で-X方向に駆動することにより弁体76eと接触部771bとを接触させたり、所定の圧力で加圧する制御を実現できる。
【0116】
(第3実施形態)
【0117】
図11は第3実施形態の流体制御機器を説明するための図、図12は第3実施形態のアクチュエータのスイッチを説明するための図である。以下の説明において、図1図10に示した構成と同様の構成には同一の参照符号を付し、重複した説明を省略する。
【0118】
図11において、流体制御機器1Aは、アクチュエータ2Aと、バルブ装置3(図1ご参照)とを有する。アクチュエータ2Aは、図3に示した制御部33に換えて制御部33Aを有し、図3に示した操作部31に換えて操作部310を有する。
【0119】
制御部33Aは、マイクロコンピュータ(図示せず)と、記憶部35と、電池36と、スイッチ37と、第1端子381と、第2端子382と、第3端子383とを有する。
【0120】
信号処理装置391は、流体制御機器1Aの外部の機器である。信号処理装置391は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)である。信号処理装置391は、所定の通信ネットワークを介して第1端子381と電気的に接続されている。本実施形態において、信号処理装置391は、第1通信プロトコルの信号である第1操作信号S11を第1端子381に出力し、第1通信プロトコルのモニタ信号であるモニタ信号S5が第1端子381から供給される。本実施形態において、第1通信プロトコルは、例えば、Modbus通信であるが、これに限定されるものではない。
【0121】
制御機器392は、流体制御機器1Aの外部の機器である。制御機器392は、例えば、工場や発電所等に備えられた各種のセンサ、制御装置等の工業計器を含む。制御機器392は、例えば、液体のレベルを検出するセンサ、温度センサ等の各種のセンサから出力される信号に応じて制御装置が所定の演算を行い、第1通信プロトコルとは異なる第2通信プロトコルの第2操作信号S12が制御装置から第2端子382に出力される。
【0122】
本実施形態において、第2通信プロトコルは、例えば、工業計器において標準化されているアナログの4mA~20mAの電流信号で規定される通信であるが、これに限定されるものではない。
【0123】
操作部310は、例えば、ケース70(図2ご参照)の外部に備えられている。操作部310は、ユーザが操作可能な複数の操作ボタン(図示せず)と、信号を生成するための電気回路(図示せず)とを有する。
【0124】
操作部310は、第3端子383と電気的に接続されており第1通信プロトコル及び第2通信プロトコルとは異なる第3通信プロトコルの信号である第3操作信号S13を出力する。例えば、本実施形態において、第3端子383は、LANケーブル、USBケーブル等のコネクタであり、操作部310は、LANケーブル、USBケーブル等により第3端子383と電気的に接続されている。
【0125】
制御部33Aの記憶部35は、信号処理装置391から供給された第1操作信号S11、制御機器392から供給された第2操作信号S12、操作部310から供給された第3操作信号S13、制御部33Aの演算結果等の情報を記憶する。電池36は、流体制御機器1Aの電源がオフにされているときや、停電時等に制御部33A等に電力を供給する。
【0126】
制御部33Aのスイッチ37は、例えば、例えば、ケース70(図2ご参照)の外壁の所定の領域に備えられている。スイッチ37は、電気配線(図示せず)を用いて制御部33Aのマイクロコンピュータに接続されている。スイッチ37は、例えば、タクトスイッチ、ディップスイッチ、ボリュームスイッチ、各種ボタン等の任意のスイッチを選択できる。
【0127】
図12は、スイッチ37を説明するための図である。図12においてスイッチ37は、ユーザが操作可能な複数の操作ボタン371~378bを有する。電源ボタン371は、流体制御機器1Aの電源ボタンである。停止ボタン372は、流体制御機器1Aを緊急停止させるためのボタンである。
【0128】
オートセットアップボタン375は、上述した第1制御及び第2制御を開始するためのボタンである。以下、第1制御を行った後に第2制御を行う制御動作をオートセットアップと称する。
【0129】
本実施形態では、ケース70にオートセットアップボタン375が設けられているので、ユーザーがオートセットアップボタン375を押すだけで、第1制御及び第2制御が自動的に実行されることになる。第1制御及び第2制御の設定は、後述するように、予め工場出荷時に記憶部35に記憶させることが好ましい。
【0130】
手動運転ボタン376は、手動運転をするか否かを決定するボタンである。例えば、手動運転ボタン376がオン状態にされると手動運転モードに設定され、手動運転ボタン376がオフ状態にされると非手動運転モードに設定される。
【0131】
ボタン377a~377cは、その他のボタンである。その他のボタンは、例えば、数字や文字を入力したり、YES、NOの選択をしたり、複数項目のうちの1つを選択する等の任意の操作が可能なボタンである。
【0132】
上側駆動ボタン378aは、駆動部50を上側(-X方向側)の位置に駆動するためのボタンであり、下側駆動ボタン378bは、駆動部50を下側(+X方向側)の位置に駆動するためのボタンである。
【0133】
図13は第3実施形態の流体制御機器の動作を説明するための図、図14は第3実施形態の流体制御機器の動作を説明するための別の図、図15は第3実施形態の流体制御機器の動作を説明するための更に別の図、図16は第3実施形態の流体制御機器の動作を説明するための更に別の図である。以下の説明において、図1図12に示した構成と同様の構成には同一の参照符号を付し、重複した説明を省略する。
【0134】
図13に示したように、本実施形態の流体制御機器は、手動モードと、非手動モードとに切替が可能である。手動モードは、スイッチ37や操作部310を用いて各種制御を行うことができるモードである。図12に示した手動運転ボタン376をオン状態にすると手動モードに設定され、手動運転ボタン376をオフ状態にすると非手動モードに設定される。
【0135】
手動モードは、例えば、オートセットアップボタン375や操作部310を用いてオートセットアップの開始を指示したり、操作部310を用いて、オートセットアップ動作時の駆動部50の位置等を設定したり、上側駆動ボタン378a、下側駆動ボタン378bや操作部310を用いて、通常制御時に駆動部50の軸動作を実行させることができる。
【0136】
非手動モードは、スイッチ37や操作部310を用いて各種制御を行うことができず、第1通信(Modbus通信)や第2通信(4mA~20mAの電流信号)を用いて各種制御を行うことができる。
【0137】
本実施形態では、非手動モードの場合、第1通信(Modbus通信)の第1操作信号S11に応じて駆動部50の軸動作等がされる第1通信モード、又は、第2通信(4mA~20mAの電流信号)の第2操作信号S12に応じて駆動部50の軸動作等がされる第2通信モードに切替が可能である。
【0138】
非手動モードでは、第1通信の詳細設定をしなければならない。第1通信の詳細設定は、「第1通信を用いてモニタを行う」、「第1通信を用いて軸動作を行う」及び「第1通信を用いて設定を行う」の何れかを選択しなければならない。
【0139】
非手動モードでは、第1通信の詳細設定が所定の設定にされている場合のみ、各種制御を行うことができる。ユーザのケアレスミスによる誤動作を防止するためである。
【0140】
例えば、第1通信(Modbus通信)モードに設定されている場合、第1通信の詳細設定が「第1通信を用いてモニタを行う」に設定されていれば、ユーザは第1端子381から信号処理装置391に供給されるモニタ信号S5を用いて、アクチュエータ2Aの状態について確認することができる。
【0141】
第1通信(Modbus通信)モードに設定されている場合、第1通信の詳細設定が「第1通信を用いて軸動作を行う」に設定されていれば、通常制御時に第1通信を用いて駆動部50を駆動する制御(軸動作)をすることができる。
【0142】
第1通信モードに設定されている場合、第1通信の詳細設定が「第1通信を用いて設定を行う」に設定されていれば、第1通信(信号処理装置391)を用いて、オートセットアップの開始を指示したり、オートセットアップ動作時の駆動部50の位置等の設定をすることができる。
【0143】
第2通信(4mA~20mAの電流信号)モードに設定されている場合、第1通信の詳細設定が「第1通信を用いてモニタを行う」に設定されていれば、通常制御時に第2通信を用いて駆動部50を軸動作させることができるとともに、ユーザは第1端子381から信号処理装置391に供給されるモニタ信号S5を用いて、アクチュエータ2Aの状態について確認することができる。
【0144】
第2通信モードに設定されている場合、第1通信の詳細設定が「第1通信を用いて設定を行う」に設定されていれば、第1通信を用いて、オートセットアップの開始を指示したり、駆動部50の位置等の設定をすることができる。
【0145】
次に、図14から図16を用いて流体制御機器の詳細な制御フローの説明を行う。
【0146】
本実施形態の流体制御機器を動作させるためには、まず、図14に示すように、ステップ11でユーザがスイッチ37の電源ボタン371をオンにする。
【0147】
このとき、図16に示すように、弁体76は、開始位置8mmで停止している。図16の縦軸の目盛は、図1に示した目盛761の読み取り値(目印762の位置に対応する目盛761の値)である。図16に示した実施形態では、弁体76の位置を開始位置(8mm)としたが、駆動部50の位置や移動部60の位置等を開始位置として設定(規定)しても良い。
【0148】
本実施形態では、開始位置8mmよりも上側の2mmの位置に上側最大位置が備えられ、上側最大位置よりも上側の0mmの位置に上側ハードリミットが備えられている。上側最大位置は、電気的な制御で駆動できる最も上側の位置であり、上側ハードリミットは、機械的に駆動できる最も上側の位置である。
【0149】
同様に、開始位置8mmよりも下側の18mmの位置に下側最大位置が備えられ、下側最大位置よりも下側の20mmの位置に下側ハードリミットが備えられている。下側最大位置は、電気的な制御で駆動できる最も下側の位置であり、下側ハードリミットは、機械的に駆動できる最も下側の位置である。
図16に示した実施形態では、弁体76の位置を上側最大位置、上側ハードリミット、下側最大位置、下側ハードリミットとしたが、駆動部50の位置や移動部60の位置等を上側最大位置、上側ハードリミット、下側最大位置、下側ハードリミットとして設定(規定)しても良い。
【0150】
座面位置は、例えば、第1制御(第1駆動力)で駆動部50を駆動した際に駆動部50の駆動が停止するときの位置である。座面位置は、例えば、第1制御で駆動部50を駆動した際に駆動部50の駆動が停止したときの駆動部50の位置や、第1制御で駆動部50を駆動した際に弁体76が停止する位置や、第1制御で駆動部50を駆動した際に弁体76と接触部771(図1ご参照)とが接触したときの位置であってもよい。
例えば、図16に示した実施形態において、座面位置(15mm)は、第1制御で駆動部50を駆動した際に駆動部50の駆動が停止したときの弁体76の位置である。図16に示した実施形態では、弁体76の位置を座面位置としたが、駆動部50の位置や移動部60の位置等を座面位置として設定(規定)しても良い。
【0151】
下側停止位置は、例えば、バルブ装置が閉状態(バルブ装置3が閉じている状態。流体78が流れない状態)となる位置や、第2制御(第2駆動力)で駆動部50を駆動した際に駆動部50が停止するときの位置である。下側停止位置は、例えば、第2制御(第2駆動力)で駆動部50を駆動した際に駆動部50が停止するときの駆動部50の位置であってもよいし、第2制御(第2駆動力)で駆動部50を駆動した際に弁体76が停止するときの位置であってもよいし、第2駆動力の大きさと、弾性体41の弾性力とにより定まる位置であってもよいし、通常制御の基準となる位置であってもよい。
例えば、図16に示した実施形態において、下側停止位置(15.1mm)は、第2制御(第2駆動力)で駆動部50を駆動した際に駆動部50が停止するときの弁体76の位置である。図16に示した実施形態では、下側停止位置が15.1mmとなっているが、下側停止位置は、15.01mm、15.001mmの様に座面位置(15mm)とほぼ等しい値であってもよい。
図16に示した実施形態では、弁体76の位置を下側停止位置としたが、駆動部50の位置や移動部60の位置等を下側停止位置として設定(規定)しても良い。例えば、座面位置及び下側停止位置を駆動部50の位置で規定する場合における座面位置と下側停止位置との変位量は、座面位置及び下側停止位置を弁体76の位置で規定する場合における座面位置と下側停止位置との変位量に、弾性体41の収縮量を加えた値となる。なお、弾性体41の収縮量は、目盛612(図11ご参照)で読み取ることができる。
【0152】
図14のステップ11で電源ボタン371がオンにされるた後、ユーザーは手動運転ボタン376を操作して手動運転モード又は非手動運転モードに設定する。ステップ12において制御部33Aは、手動運転モードに設定されているか否かを判断する。手動運転モードに設定されている場合はステップ14bまたはステップ15cに進み、手動運転モードに決定されていない(非手動運転に決定されている)場合は、ステップ13に進む。
【0153】
ステップ13において、ユーザは、第1通信の詳細設定を行う。具体的には、「第1通信を用いてモニタを行う」、「第1通信を用いて軸動作を行う」、「第1通信を用いて設定を行う」のうち何れかを選択する。
【0154】
制御部33Aは、ユーザにより「第1通信を用いて設定を行う」が選択されたと判断した場合、ステップ14aに進む。「第1通信を用いて設定を行う」が選択されない場合、ステップ14aに進むことができない。第1通信を用いて設定を行うというユーザの意図を確認することにより、ユーザが意図しない誤動作を防止するためである。
【0155】
ステップ14aにおいて、ユーザは信号処理装置391(第1通信)を用いて、オートセットアップ動作に関する設定や、その他の設定を行う。例えば、本実施形態では、オートセットアップ動作に関する設定として、押込み量が1mm、ストロークが10mmに設定されている。設定された値は、記憶部35に記憶される。
【0156】
押込み量は、例えば、第2制御時に弾性体41を収縮させる長さ(収縮量)とすることができる。また、押込み量は、例えば、第1制御により駆動部50が停止した位置と、第2制御により駆動部50が停止した位置との差に対応する値としてもよい。
また、押込み量は、第2駆動力(第2制御時に駆動部50を駆動する力)で弾性体41を収縮させる長さとしてもよいし、第2制御時に駆動部50が弾性体41を収縮させて駆動する量としてもよい。
また、押込み量は、第1制御により駆動部50が停止したときの駆動部50の位置と、第2制御により駆動部50が停止したときの駆動部50の位置との差に対応する値や、第1制御により弁体76が停止した位置と、第2制御により弁体76が停止した位置との差に対応する値や、第2制御時の駆動部50の駆動量と弾性体41の弾性力とにより定まる値や、第2駆動力の大きさに応じた値や、第2駆動力の大きさと弾性体41の弾性力とにより定まる値とすることもできる。
【0157】
本実施形態において、第1駆動力(第1制御時に駆動部50を駆動する力)は、例えば、力F0(図3に示した第1突起部531及び第2突起部532が弾性体41を圧縮する力)よりも小さい力が設定され、第2駆動力は、例えば、力F0よりも大きい力が設定されている。
【0158】
例えば、本実施形態では、弾性体41の弾性力及び第2駆動力が予め定められているから、ユーザが第1通信を用いて押込み量(1mm)を入力した場合、制御部33Aは、第2制御時に駆動部50
が弾性体41を収縮させて1mm駆動するように制御し、弾性体41が約1mm押し込まれる(圧縮される)。本実施形態では、弾性体41が約1mm収縮するので、弁体76は殆んど移動しない(弁体76が座面位置(15mm)から下側停止位置(15.1mm)まで僅かに移動する)。
【0159】
例えば、ユーザが第1通信を用いて押込み量(2mm)を入力した場合、第2制御時に駆動部50が弾性体41を収縮させて2mm駆動するように制御し、弾性体41がより強い力で約2mm押し込まれる(圧縮される)。弾性体41が約2mm収縮するので、弁体76は殆んど移動しない(弁体76が座面位置(15mm)から下側停止位置(15.2mm)まで僅かに移動する)。
【0160】
本実施形態では、押込み量を設定したがこれに限定されるものではない。例えば、押込み量に代えて、第2駆動力の大きさを設定する方法、第1駆動力及び第2駆動力の大きさを設定する方法等を採用してもよい。第2駆動力の大きさと押込み量とは比例関係があるからである。
【0161】
ストロークは、例えば、図16に示した座面位置(15mm)を起点とした上方向の長さである。本実施形態では、ストロークが10mmに設定されているから座面位置(15mm)から10mmだけ上側の位置である5mmが上側停止位置となる。図16に示した実施形態では、弁体76の位置を上側停止位置としたが、駆動部50の位置や移動部60の位置等を上側停止位置として設定(規定)しても良い。
【0162】
上側停止位置は、第1制御が完了した後であって第2制御が開始される前に弁体76を停止させる位置である。本実施形態において、制御部33Aは、第1制御(第1駆動力)により弁体76を座面位置(15mm)に移動させた後、第1駆動力とは逆向きの力で弁体76を上側停止位置(5mm)に移動させ、その後、第2制御を開始する。
【0163】
なお、ストロークの起点は、座面位置に限定するものではなく、例えば、下側停止位置(15.1mm)や下側最大位置(18mm)等を起点にしてもよい。また、本実施例では入力されたストロークに基づいて上側停止位置(5mm)を設定する例を用いて説明したが、信号処理装置391(第1通信)、操作部310等を用いて上側停止位置(5mm)を直接的に入力しても良いことは言うまでもない。
また、ストロークは、第1制御により弁体76が停止する位置と、第2制御が開始されるとき(第2制御が開始される直前)の弁体76の位置との差に対応する値であってもよい。また、ストロークは、第1制御により弁体76が停止する位置と、通常制御が開始されるとき(通常制御が開始される直前)の弁体76の位置との差の2倍の値であってもよい。
【0164】
ステップ14aで所定の設定がされた後、ステップ15aにおいて、ユーザは信号処理装置391(第1通信)を用いてオートセットアップの実行を指示する。ステップ16において制御部33Aは、設定された条件でオートセットアップを実行し、オートセットアップが完了すると通常制御が実行可能な状態になる(ステップ17)。
【0165】
上述したステップ12において、制御部33Aが手動運転に決定されていると判断した場合、制御部33Aは、ユーザにより操作部310、又は、スイッチ37が操作されるまで待機する。
ユーザが操作部310を操作した場合、ステップ14bに進み、制御部33Aは、操作部310の操作に基づいてオートセットアップ動作に関する設定や、その他の設定を行う。
【0166】
本実施形態では、操作部310を用いて、押込み量(1mm)及びストローク(10mm)が設定され、記憶部35に記憶される。
【0167】
その後、ステップ15bにおいて、ユーザが操作部310(第2通信)を用いてオートセットアップの実行を指示すると、制御部33Aは、設定された条件でオートセットアップを実行する(ステップ16)。
なお、ステップ14bで操作部310を用いた所定の設定がされる前に操作部310を用いたオートセットアップの実行を指示があった場合、ステップ14bをとばしてステップ15bを行ってもよい。この場合、所定の設定は、装置の工場出荷時に記憶部35に予め記憶させておくことが好ましい。
【0168】
上述したステップ12において制御部33Aが手動運転に決定されていると判断した後、ユーザがスイッチ37のオートセットアップボタン375を操作した場合、制御部33Aはオートセットアップの実行を指示し(ステップ15c)オートセットアップが実行される(ステップ16)。
【0169】
この場合、ユーザは手動運転に決定された後にスイッチ37を用いてオートセットアップ動作に関する設定等を行うことができないので、必要な設定(押込み量(1mm)及びストローク(10mm))は、アクチュエータ2Aの工場出荷時等に記憶部35に予め記憶させておくことが好ましい。
【0170】
次に、図16を参照して、本実施形態のオートセットアップの動作について詳細に説明する。
【0171】
例えば、本実施形態では、図16に示すように、オートセットアップが実行される前、弁体76は開始位置(8mm)で停止している。上述したように、オートセットアップ動作に関する設定として、押込み量(1mm)及びストローク(10mm)が設定されている。
【0172】
オートセットアップが実行されると、制御部33Aが第1制御を開始し、弁体76の位置を開始位置(8mm)から座面位置(15mm)に移動させる。仮に、弁体76が下側最大位置よりも上側の位置で停止せずに下側最大位置(18mm)に到達した場合、異常が疑われるのでエラー処理を行う。エラー処理としては、弁体76(駆動部50)の駆動を停止する処理や、警告ブザー(図示せず)を鳴らす等の処理等を挙げることができる。
【0173】
制御部33Aは、弁体76が下側最大位置(18mm)よりも上側で停止した場合、停止位置を第1基準位置として記憶部35に記憶する。本実施形態では、停止位置が座面位置(15mm)となっている。
【0174】
その後、制御部33Aは、弁体76(駆動部50)が上側停止位置(5mm)で停止するように制御を行う。仮に、弁体76(駆動部50)が上側停止位置(5mm)に到達する前に停止した場合、異常が疑われるのでエラー処理を行う。
【0175】
制御部33Aは、弁体76が上側停止位置(5mm)に到達したことを検出した後、第2制御を開始し、弁体76が下側に移動する。仮に、座面位置(15mm)に到達する前に弁体76(駆動部50)が停止した場合、異常が疑われるのでエラー処理を行う。弁体76が下側最大位置よりも上側の位置で停止せずに下側最大位置(18mm)に到達した場合もエラー処理を行う。
【0176】
制御部33Aは、弁体76が座面位置(15mm)と同じ位置又は座面位置より下側であって下側最大位置(18mm)より上側の位置で停止したことを検出したとき、停止位置を第2基準位置として記憶部35に記憶する。本実施形態では、停止位置が下側停止位置(15.1mm)となっている。
【0177】
その後、制御部33Aは、弁体76を完了位置に向けて駆動させ、弁体76が完了位置に到達したことを検出した後、通常制御が実行可能な状態とする。本実施形態において、完了位置は、座面位置(15mm)から上方向にストローク(10mm)の1/2だけ移動した位置(10mm)である。図16に示した実施形態では、弁体76の位置を完了位置としたが、駆動部50の位置や移動部60の位置等を完了位置として設定(規定)しても良い。
【0178】
後述する通常制御は、完了位置(10mm)から開始される。完了位置の設定方法は任意であり、例えば、操作部310、信号処理装置391(第1通信)等を用いて完了位置(10mm)を直接的に入力しても良いことは言うまでもない。
【0179】
次に、図15を用いて、オートセットアップの完了後に行われる通常制御の説明を行う。通常制御でも、第1通信の詳細設定が所定の設定にされている場合のみ、各種制御を行うことができる。ユーザのケアレスミスによる誤動作を防止するためである。
【0180】
上述したように、図14のステップ16(オートセットアップ)が完了すると、通常制御が実行可能な状態になり(ステップ17)、ユーザが手動運転ボタン376を操作し、手動運転モードまたは非手動運転モードに設定する。
【0181】
図15のステップ21において制御部33Aは、手動運転モードに設定されていると判断した場合はステップ27に進み、手動運転モードに決定されていない(非手動運転に決定されている)と判断した場合は、ステップ22に進む。
【0182】
ステップ27において、制御部33Aは、第1通信の詳細設定を「第1通信を用いてモニタを行う」に自動的に設定する。ステップ28において、ユーザがスイッチ37、又は、操作部310を操作することにより、制御部33Aが所定の動作を行う。
【0183】
例えば、本実施形態では、ユーザが上側駆動ボタン378a、下側駆動ボタン378b又は操作部310を用いて、駆動部50を上側(-X方向側)又は下側(+X方向側)の位置に駆動する制御(軸動作)をすることができる。
【0184】
ステップ21で、非手動運転に設定されていると判断された場合、ユーザは、信号処理装置391を用いて、第1通信(Modbus通信)又は第2通信(4mA~20mAの電流信号)を選択する。制御部33Aは、第1通信(Modbus通信)が選択されていると判断した場合はステップ23に進み、第2通信(4mA~20mAの電流信号)が選択されていると判断した場合はステップ25に進む。
【0185】
ステップ23では、ユーザが第1通信の詳細設定を行う。第1通信の詳細設定が「第1通信を用いて軸動作を行う」に設定されている場合はステップ24に進み第1通信の詳細設定が「第1通信を用いて軸動作を行う」に設定されていない場合は異常処理される。異常処理は、例えば、駆動部50を停止させる制御である。
ステップ24において、制御部33Aは、第1通信(信号処理装置391)の第1操作信号S11に基づいて、駆動部50を上側(-X方向側)又は下側(+X方向側)の位置に駆動する通常制御(軸動作)をする
ステップ25では、ユーザが第1通信の詳細設定を行う。制御部33Aは、第1通信の詳細設定が「第1通信を用いてモニタを行う」に設定されている場合はステップ26に進み第1通信の詳細設定が「第1通信を用いてモニタを行う」に設定されていない場合は異常処理される。ステップ26において、制御部33Aは、第2通信(制御機器392)の第2操作信号S12に基づいて、駆動部50を上側(-X方向側)又は下側(+X方向側)の位置に駆動する通常制御(軸動作)をする
【0186】
本実施形態では、図13に示したように、第1通信モードに設定されている場合は、「第1通信を用いて軸動作を行う」に設定されている場合のみ軸動作を行うことが可能であり、その他の設定では第1通信を用いて軸動作を行うことができない。
【0187】
この場合、第2通信(制御機器392)、スイッチ37及び操作部310の何れかから制御信号が供給されても通常制御を行わないので、ユーザが意図しない誤動作を防止することができる。
【0188】
本実施形態では、第2通信モードに設定されている場合は、「第1通信を用いてモニタを行う」に設定されている場合のみ、第1通信を用いてモニタを行い、第2通信を用いて軸動作を行うことが可能であり、その他の設定では第2通信を用いて軸動作を行うことができない。この場合、第1通信(信号処理装置391)、スイッチ37及び操作部310の何れかから制御信号が供給されても通常制御を行わないので、ユーザが意図しない誤動作を防止することができる。
【0189】
本実施形態では、手動運転モードに決定されている(非手動運転に決定されていない)場合、ユーザはスイッチ37の上側駆動ボタン378a又は下側駆動ボタン378bを用いて通常制御を行うことができる。この場合、流体制御機器は、第1通信(信号処理装置391)及び第2通信(制御機器392)の何れかから制御信号が供給されても通常制御を行わないので、ユーザが意図しない誤動作を防止することができる。
【0190】
本実施形態では、非手動モード(手動運転に決定されていない)、かつ、設定モードに設定されている場合、第1通信による設定動作(オートセットアップ、設定変更など)が許容され、第2通信、手動操作による動作が許容されないので、ユーザが意図しない誤動作を防止することができる。
【0191】
(第4実施形態)
【0192】
図17は第4実施形態の流体制御機器の記憶部に記憶された情報を説明するための図である。以下の説明において、図1図16に示した構成と同様の構成には同一の参照符号を付し、重複した説明を省略する。
【0193】
本実施形態において、流体制御機器の制御部33A(図11ご参照)の記憶部35(図11ご参照)には、図17に示す情報が記憶されている。なお、図17は記憶部35に記憶されている情報の例示であり、これに限定されるものではない。
【0194】
図17において、年月日[年/月/日]及び時刻[時間/分/秒]は、情報が記憶された日時及び時刻の情報である。具体的には、図17には、2020年1月14日8時16分、2020年1月15日8時16分及び2020年1月15日8時17分に記憶された情報が例示されている。なお、本実施形態では、1分間隔で情報が記憶されており、図17では1月14日8時17分から1月15日8時15分までの情報の図示が省略されている。
【0195】
積算通電時間[hour]は、電源ボタン371がオン状態にされている時間を積算したものであり、積算運転時間[hour]は、機構部34及び駆動部50の少なくとも一方が駆動している時間を積算したものである。積算運転距離[m]は、駆動部50、移動部60又は弁体76の移動した距離を積算したものである。
【0196】
モータ起動回数[回]は、機構部34のモータ又は駆動部50が起動した回数を積算したものであり、モータ反転回数[回]は、機構部34のモータ又は駆動部50の駆動方向が反転した回数を積算したものであり、モータリトライ回数[回]は、機構部34、駆動部50、移動部60又は弁体76が異常停止した後にモータを起動させた回数の積算値である。
【0197】
1分毎の運転比率[%]は、直近の1分間においてモータが駆動している時間[秒]/60[秒]×100[%]である。
【0198】
過頻度運転回数[回]は、過頻度運転がされた回数を積算したものである。過頻度運転とは、例えば、モータの起動と停止とが短時間に行われる運転である。本実施例では、例えば、デューティー50%未満の運転を過頻度運転としている。
【0199】
開度25%未満の割合[%]は、開度25%未満であった時間[hour]/積算通電時間[hour]×100[%]であり、開度25%~50%の割合[%]は、開度25%~50%であった時間[hour]/積算通電時間[hour]×100[%]であり、開度50%~75%の割合[%]は、開度50%~75%であった時間[hour]/積算通電時間[hour]×100[%]であり、開度75%以上の割合[%]は、開度75%以上であった時間[hour]/積算通電時間[hour]×100[%]である。
【0200】
ロック情報[0-2]は、モータのロック状態に関する情報である。正常時は0が記憶され、駆動部50を上側(-X方向側)の位置に駆動させるようにモータが駆動しているときにロックした場合には1が記憶され、駆動部50を下側(+X方向側)の位置に駆動させるようにモータが駆動しているときにロックした場合には2が記憶される。
【0201】
記憶部35は、制御部33Aのマイクロコンピュータ等に接続されているので、図17に示した情報は、必要に応じてマイクロコンピュータで処理される。マイクロコンピュータは、図17に示した情報を処理することにより、オートセットアップ制御や通常制御をより最適化しても良いし、図17に示した情報を用いて流体制御機器1Aの故障診断をしてもよい。また、マイクロコンピュータは、図17に示した情報を第1端子381から信号処理装置391に出力し、信号処理装置391を用いて流体制御機器1Aの故障診断を行っても良い。
【0202】
具体的には、例えば、制御部33Aのマイクロコンピュータは、モータ起動回数[回]やモータ反転回数[回]に基づいて、マイクロコンピュータの制御(例えば、PID制御(Proportional Integral Derivative Control 、PID Controller))が適正であるか否かを判断し、制御のパラメータを自動調整することができる。制御のパラメータが不適切であれば、モータ起動回数やモータ反転回数が増加するからである。
【0203】
また、例えば、年月日の情報と、モータ起動回数やモータ反転回数の情報とを関連付けて制御が適正であるか否かを判断してもよい。日付が新しくなるほどモータ起動回数やモータ反転回数が増加していれば、経年劣化による異常であると判断できるからである。
【0204】
制御部33Aのマイクロコンピュータは、開度の割合[%]に基づいて、マイクロコンピュータの制御が適正であるか否かを判断し、制御のパラメータを自動調整してもよい。所定の開度である時間が異常であれば、制御のパラメータが異常である可能性があるからである。
【0205】
制御部33Aのマイクロコンピュータは、モータリトライ回数や、1分毎の運転比率や、過頻度運転回数や、ロック情報等を解析し、ディスプレイ等の報知手段(図示せず)を用いて装置の異常を報知してもよい。1分毎の運転比率、過頻度運転回数、ロック情報等には、異常の判断に役立つ情報が含まれているからである。
【0206】
制御部33Aのマイクロコンピュータは、積算通電時間や、積算運転時間等を用いて装置の部品の交換時期等を報知してもよい。これらの情報には、部品の交換時期等の判断に役立つ情報が含まれているからである。
【0207】
上述した各実施形態の構成は互いに組み合わせることができる。上記では、種々の実施の形態及び変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。例えば、上述した各実施形態の構成を互いに組み合わせたもの、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0208】
本発明によれば、好適な制御を実現できるアクチュエータ、及び、流体制御機器を提供することができる。
【符号の説明】
【0209】
32 検出部
33A 制御部
40 弾性部
50 駆動部
60 移動部
35 記憶部
37 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17