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  • 特許-壁紙パネル及び壁紙パネルの施工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】壁紙パネル及び壁紙パネルの施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/07 20060101AFI20240801BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
E04F13/07 E
E04F13/07 C
E04F13/08 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023220139
(22)【出願日】2023-12-26
(62)【分割の表示】P 2023220130の分割
【原出願日】2023-12-26
【審査請求日】2024-01-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000130824
【氏名又は名称】株式会社サンゲツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】作本 明彦
(72)【発明者】
【氏名】蜂谷 賢
(72)【発明者】
【氏名】五味川 健治
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-256024(JP,A)
【文献】特開2001-199030(JP,A)
【文献】特開2017-200768(JP,A)
【文献】特開2013-208808(JP,A)
【文献】特開2004-284202(JP,A)
【文献】特開2023-134977(JP,A)
【文献】国際公開第2023/112478(WO,A1)
【文献】特開平03-151453(JP,A)
【文献】特開平10-331385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/07
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁紙と石膏ボードとを含む壁紙パネルであって、
前記石膏ボードは、正面と背面と上面と下面と左側面と右側面とを有し、
前記壁紙は、裏打ち材を有し、
前記裏打ち材には、普通紙、難燃紙、無機質紙、織布及び不織布のいずれかが用いられ、
前記壁紙は、折り返されて、でん粉を含む接着剤によって、前記正面、前記左側面及び前記右側面を覆うように前記石膏ボードに貼り付けられ、壁紙パネル。
【請求項2】
前記正面及び前記背面の面積は、一辺100mm×一辺100mm~短辺1000mm×長辺3000mmの範囲内である、請求項1に記載の壁紙パネル。
【請求項3】
前記正面、前記左側面及び前記右側面に貼り付けられる前記壁紙の厚さは、一定である、請求項1に記載の壁紙パネル。
【請求項4】
前記壁紙についてのJIS A 6921に規定されている湿潤強度試験の結果は、5N/1.5cm以上である、請求項1に記載の壁紙パネル。
【請求項5】
前記壁紙は、ラミネート方式で前記石膏ボードに貼り付けられ、請求項1に記載の壁紙パネル。
【請求項6】
請求項1に記載の壁紙パネルの施工方法であって、
スタッドの取り付け面に粘着剤を付与する工程と、
前記粘着剤に対して、前記壁紙パネルの石膏ボードの背面の一部を仮固定する工程と、
前記壁紙パネルを圧着する工程とを有する、壁紙パネルの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、壁紙パネル及び壁紙パネルの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁の施工方法として、職人が、ビスにて石膏ボードをスタッドに固定した後に、かかる石膏ボードを固定しているビスを隠すように壁紙を貼り付ける方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2023/112478A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の壁の施工方法では、石膏ボードに壁紙を貼り付けるという技術が必要な作業を施工場所にて行わなければならないという問題点があった。また、技量の高い職人が不足するときの対策も求められていた。
【0005】
そこで、本開示は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、施工場所で石膏ボードに壁紙を貼り付ける作業を行う必要がない壁紙パネル及び壁紙パネルの施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の特徴は、壁紙と石膏ボードとを含む壁紙パネルであって、前記石膏ボードは、正面と背面と上面と下面と左側面と右側面とを有し、前記壁紙は、折り返されて、でん粉を含む接着剤によって、前記正面、前記左側面及び前記右側面を覆うように前記石膏ボードに貼り付けられることを要旨とする。
【0007】
本開示の第2の特徴は、壁紙パネル(上述の第1の特徴を有する壁紙パネル)の施工方法であって、スタッドの取り付け面に粘着剤を付与する工程と、前記粘着剤に対して、前記壁紙パネルの石膏ボードの背面の一部を仮固定する工程と、前記壁紙パネルを圧着する工程とを有することを要旨とする。
【0008】
本開示の第3の特徴は、壁紙パネルの施工方法であって、壁紙に付与されている識別情報を取得する工程と、前記識別情報に関連付けられている壁紙パネルを取得する工程と、取得した前記壁紙パネルを粘着剤によってスタッドの取り付け面に貼り付ける工程と、前記壁紙を、前記壁紙パネルが貼り付けられていない部分に貼り付ける工程とを有することを要旨とする。
【0009】
本開示の第4の特徴は、壁紙パネルの施工方法であって、壁紙に付与されている識別情報を取得する工程と、前記識別情報に関連付けられている壁紙パネルを取得する工程と、前記壁紙を、所定部分に貼り付ける工程と、前記所定部分以外の部分において、取得した前記壁紙パネルを粘着剤によってスタッドの取り付け面に貼り付ける工程とを有することを要旨とする。
【0010】
本開示の第5の特徴は、壁紙パネルの施工方法であって、壁紙パネルの壁紙に付与されている識別情報を取得する工程と、前記識別情報に関連付けられている壁紙を取得する工程と、前記壁紙パネルを粘着剤によってスタッドの取り付け面に貼り付ける工程と、取得した前記壁紙を、前記壁紙パネルが貼り付けられていない部分に貼り付ける工程とを有することを要旨とする。
【0011】
本開示の第6の特徴は、壁紙パネルの施工方法であって、壁紙パネルの壁紙に付与されている識別情報を取得する工程と、前記識別情報に関連付けられている壁紙を取得する工程と、取得した前記壁紙を、所定部分に貼り付ける工程と、前記所定部分以外の部分において、前記壁紙パネルを粘着剤によってスタッドの取り付け面に貼り付ける工程とを有することを要旨とする。
【0012】
本開示の第7の特徴は、壁紙パネルを粘着剤によってスタッドの取り付け面に貼り付ける工程と、前記壁紙パネルの壁紙に付与されている識別情報を取得する工程と、前記識別情報に関連付けられている壁紙を取得する工程と、取得した前記壁紙を、前記壁紙パネルが貼り付けられていない部分に貼り付ける工程とを有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、施工場所で石膏ボードに壁紙を貼り付ける作業を行う必要がない壁紙パネル及び壁紙パネルの施工方法を提供することができる。
【0014】
また、本開示によれば、職人の技量に依存することなく施工しやすい壁紙パネル及び壁紙パネルの施工方法を提供することができる。
【0015】
さらに、本開示によれば、施工時間を短縮することができる壁紙パネル及び壁紙パネルの施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、一実施形態に係る壁紙パネル1の全体構成の一例を示す図である。
図2図2は、一実施形態に係る壁紙パネル1の断面図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
(第1実施形態)
以下、図1図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る壁紙パネル1の全体構成の一例を示す図であり、図2は、本実施形態に係る壁紙パネル1の断面図の一例である。
【0019】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る壁紙パネル1は、壁紙10と、石膏ボード20とを有している。
【0020】
図1及び図2に示すように、石膏ボード20は、正面20Fと背面20Bと上面20Uと下面20Dと左側面20Lと右側面20Rとを有する。ここで、正面20F、背面20B、上面20U、下面20D、左側面20L及び右側面20Rは、スタッドに固定する石膏ボード20の向きによって決まる。なお、正面20F及び背面20Bは、6面のうち最も面積の広い一対の面である。なお、一般的に、石膏ボード20は、略直方体の形状を有している。
【0021】
例えば、石膏ボード20は、石膏芯の表裏面を石膏ボード用原紙で被覆してなる不燃性の石膏ボードである。例えば、かかる石膏ボード用原紙のパルプ含有量は、70~170g/mの範囲にある。
【0022】
壁紙10は、紙系壁紙であってもよいし、繊維系壁紙であってもよいし、塩化ビニル樹脂系壁紙であってもよいし、プラスチック系壁紙であってもよいし、無機質系壁紙であってもよい。なお、裏打ち材には、普通紙や難燃紙や無機質紙や織布や不織布等が用いられることがある。
【0023】
ここで、紙系壁紙は、紙(普通紙や難燃紙や紙布)を主素材とする壁紙である。
【0024】
また、繊維系壁紙は、有機質の繊維を主素材とする壁紙である。具体的には、繊維系壁紙は、植物性繊維又はレーヨン等のセルロース系再生繊維を主素材とする壁紙(化学繊維との混紡・ 交織等を含む)であってもよいし、化学繊維(アクリル、ポリエステル等)を主素材とする壁紙であってもよいし、動物性繊維織物を主素材とする壁紙であってもよい。
【0025】
また、塩化ビニル樹脂系壁紙は、塩化ビニル樹脂を主素材とするか、或いは、表面化粧層に20g/m以上塩化ビニル樹脂を使用している壁紙である。
【0026】
また、プラスチック系壁紙は、塩化ビニル樹脂を除くプラスチックを主素材とするか、或いは、表面化粧層に20g/m以上プラスチックを使用している壁紙である。
【0027】
さらに、無機質系壁紙は、無機質紙・無機質骨材・ガラス繊維等の無機質を主素材とする壁紙である。
【0028】
また、壁紙10は、石膏ボード20に貼着する裏打層と、かかる裏打層に積層する熱可塑性樹脂からなる合成樹脂層と、かかる合成樹脂層の表面に積層される防汚層とを備えていてもよい。
【0029】
本実施形態に係る壁紙パネル1おいて、壁紙10は、折り返されて、でん粉を含む接着剤30によって、石膏ボード20に貼り付けられる。
【0030】
例えば、図2に示すように、壁紙10は、折り返されて、でん粉を含む接着剤30によって、石膏ボード20の正面20F、左側面20L及び右側面20Rを覆うように石膏ボード20に貼り付けられてもよい。
【0031】
本発明者は、壁紙10を石膏ボード20の正面20Fのみを覆うように石膏ボード20に貼り付けた状態の壁紙パネル1をスタッドに取り付けた場合、壁紙10が石膏コード20から剥がれやすいという問題点を発見した。したがって、本発明者は、上述のような構成を採用することで、かかる問題点を解消することに成功した。
【0032】
また、本発明者は、壁紙10を石膏ボード20の正面20Fのみを覆うように石膏ボード20に貼り付けた状態の壁紙パネル1をスタッドに取り付けた場合、左側面20L及び右側面20Rから石膏ボード20の破片がこぼれやすいという問題点を発見した。したがって、本発明者は、上述のような構成を採用することで、かかる問題点を解消することに成功した。
【0033】
さらに、本発明者は、壁紙10を石膏ボード20の正面20Fのみを覆うように石膏ボード20に貼り付けた状態の複数の壁紙パネル1を横に並べてスタッドに取り付けた場合、石膏ボード20の側面同士が接触することになり、接触面に隙間ができてしまうという問題点を発見した。したがって、本発明者は、上述のような構成を採用することで、かかる問題点を解消することに成功した。
【0034】
ここで、図2に示すように、本実施形態に係る壁紙パネル1おいて、壁紙10は、石膏ボード20の上面20U、下面20D及び背面20Bを覆わなくてもよい。
【0035】
なお、壁紙10は、石膏ボード20の正面20F、左側面20L及び右側面20Rを覆い、且つ、石膏ボード20の上面20U、下面20D及び背面20Bの一部又は全部を覆うように石膏ボード20に貼り付けられてもよい。
【0036】
ここで用いられる接着剤30の質量は、固形量で60g/m以下であること(有機質量は、60g±6/m以下であること)が好ましい。
【0037】
かかる場合、接着剤30の構成は、でん粉系接着剤であってもよい。でん粉系接着剤の質量は、固形量で60g±6/m以下であること(有機質量は、60g±6/m以下であること)が好ましい。また、でん粉系接着剤の組成(質量%)としては、でん粉のりが80±2以上であり、補強剤が20±2以下である。かかる補強剤は、エチレン酢酸ビニル樹脂エマルション及び酢酸ビニル樹脂エマルションのいずれか、或いは、その組み合わせである。なお、でん粉系接着剤には、補強剤が含まれていなくてもよい。
【0038】
また、上述の接着剤30の構成は、上述のでん粉系接着剤と合成樹脂からなるシーラーとの組合せであってもよい。シーラーの質量は、固形量で10g±1/m以下であること(有機質量は、10g±1/m以下であること)が好ましい。合成樹脂は、アクリル樹脂エマルション(アクリル酸エステル共重合体エマルション、メタクリル酸エステル共重合体エマルション)、エチレン酢酸ビニル樹脂エマルション及び酢酸ビニル樹脂エマルションのいずれか、或いは、その組み合わせである。
【0039】
或いは、ここで用いられる接着剤30の質量は、固形量で40g±4/m以下であること(有機質量は、40g±4/m以下であること)が好ましい。
【0040】
かかる場合、接着剤30の構成は、メチルセルロース系接着剤であってもよい。なお、メチルセルロース系接着剤は、紙を裏打層に用いたときにも有効であり、不織布を裏打層に用いたときに特に有効である。
メチルセルロース系接着剤の質量は、固形量で40g±4/m以下であること(有機質量は、40g±4/m以下であること)が好ましい。また、メチルセルロース系接着剤の組成(質量%)としては、メチルセルロースが80±2以上であり、補強剤が20±2以下である。かかる補強剤は、エチレン酢酸ビニル樹脂エマルション及び酢酸ビニル樹脂エマルションのいずれか、或いは、その組み合わせである。なお、メチルセルロース系接着剤には、補強剤が含まれていなくてもよい。
【0041】
また、上述の接着剤30の構成は、上述のメチルセルロース系接着剤と合成樹脂からなるシーラーとの組合せであってもよい。シーラーの質量は、固形量で10g±1/m以下であること(有機質量は、10g±1/m以下であること)が好ましい。合成樹脂は、アクリル樹脂エマルション(アクリル酸エステル共重合体エマルション、メタクリル酸エステル共重合体エマルション)、エチレン酢酸ビニル樹脂エマルション及び酢酸ビニル樹脂エマルションのいずれか、或いは、その組み合わせである。
【0042】
上述の構成を有する壁紙パネル1であれば、特許文献1に示す方法を用いて、鋼製のスタッド(下地材)に取り付けることができる。なお、特許文献1には、石膏ボードを鋼製のスタッドに取り付ける方法について開示されている。
【0043】
具体的には、第1に、かかるスタッドの取り付け面に粘着剤を付与する。ここで、かかる粘着剤には、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤ウレタン系粘着剤やシリコーン系粘着剤等が適用でき、これらを単独で適用してよいもよいし、二種類以上を組み合わせて適用しもてよい。
【0044】
第2に、かかる粘着剤に対して、壁紙パネル1の石膏ボード20の背面20Bの一部を仮固定する。
【0045】
第3に、壁紙パネル1の石膏ボード20の正面20Fに磁気吸引治具を当接させ、上述の粘着剤に沿って移動させることにより、磁気吸引治具の吸引力にてスタッドを引き付けて壁紙パネル1を圧着する。かかる磁気吸引治具としては、アルニコ磁石やフェライト磁石やネオジム磁石等の永久磁石が適用できる。ここで、かかる磁気吸引治具として永久磁石に代わり、電磁石等の一時磁石等が適用されてもよい。
【0046】
本実施形態に係る壁紙パネル1によれば、石膏ボード20の背面20Bが壁紙10で覆われていないため、上述の方法を用いてスタッドに取り付けることができる。石膏ボード20の背面20Bが壁紙10で覆われている場合、背面20Bに貼り付けられている壁紙10によって、磁気吸引治具の吸引力にてスタッドを引き付けて壁紙パネル1を圧着することができないため、上述の方法を用いることができない。
【0047】
また、本実施形態に係る壁紙パネル1において、石膏ボード20の背面20Bが壁紙10で覆われていないと、スタッドの接地面で段差が起きにくく、貼りやすいという効果を奏する。
【0048】
また、上述の正面20F及び背面20Bの面積は、一辺100mm×一辺100mm~短辺1000mm×長辺3000mmの範囲内であることが好ましい。
【0049】
かかる構成によれば、一般的な四角形の形だけではなく、特殊な形にも対応することができる。例えば、かかる構成によれば、壁紙パネル1を貼り付ける場所が一般的な形である場合だけではなく、壁紙パネル1を貼り付ける場所が特殊な形(端部等)である場合であっても、壁紙パネル1を、その形にすることができる。また、かかる構成によれば、壁紙パネル1を工場から施工場所に容易に搬送することができる。
【0050】
また、正面20F、左側面20L及び右側面20Rに貼り付けられる壁紙10の厚さは、一定であってもよい。かかる構成によれば、壁紙パネル1を段差がなく仕上げることができる。また、かかる構成によれば、壁紙パネル1が、スタッドにより確実に固定され得る。
【0051】
また、壁紙10についてのJIS A 6921に規定されている湿潤強度試験の結果は、5N/1.5cm以上であってもよい。
【0052】
さらに、壁紙10は、ラミネート方式で石膏ボード20に貼り付けられてもよい。具体的には、ラミネート機を通じて石膏ボード20の正面20Fに壁紙10を貼り付けてもよい。かかる場合、壁紙10を折り返して巻き込むことで、石膏ボード20の左側面20L及び右側面20Rを覆うように壁紙10を貼り付ける。なお、石膏ボード20の上面20U及び下面20Dを覆わないように壁紙10をカットしてもよい。例えば、壁紙10の端部についてはカットし、石膏ボード20の背面20Bや上面20Uや下面20D等を覆う部分においては長さによってカットする場合もあればカットしない場合もある。
かかる構成によれば、容易に壁紙パネル1を製造することができる。
【0053】
本実施形態に係る壁紙パネル1によれば、施工場所における石膏ボード20に壁紙10を貼り付ける作業の実施を回避することができる。
【0054】
施工場所において、壁紙パネル1を貼れない部分が生じることがあり、かかる部分に壁紙を貼ることがある。そのような場合、職人が、壁紙パネル1の壁紙10の柄と同じ柄の壁紙を施工現場で探す手間が掛かっていた。また、施工現場に同じ柄の壁紙がない場合は、施工現場に調達する必要があった。
【0055】
そこで、壁紙パネル1に貼り付けられた壁紙10と同じ柄の壁紙を識別情報で分かるようにすることで、上述の手間を省くことができる。また、かかる識別情報を用いて、壁紙パネル1における壁紙10について自由に選ぶことができる。ここで、かかる識別情報は、記号や数字や文字等によって構成されるものである。
【0056】
なお、かかる識別情報は、壁紙パネル1(壁紙10又は石膏ボード20)と共に、壁紙10と同じ柄の壁紙にも付与される。例えば、かかる識別情報は、壁紙パネル1では、壁紙10の表面又は裏面或いは石膏ボード20正面20Fや背面20B等に付与されてもよい。
【0057】
また、かかる識別情報は、施工現場で作業員が識別情報を目視で確認できるように番号・記号・文字等で表示されていてもよく、多次元バーコードやQRコード(登録商標)の形態で、壁紙パネル1や壁紙10と同じ柄の壁紙に付与されていてもよい。
【0058】
以下、壁紙パネル1の施工方法の一例について説明する。なお、以下の施工方法で用いられる壁紙パネル1は、本実施形態に係る壁紙パネル1に限定されることなく、任意の壁紙パネルを用いることができる。
【0059】
1つ目の例では、第1に、ユーザ(施主、コーディネータ及び作業員の三者のいずれかを示す)は、施主の所望の壁紙に付与されている識別情報を取得する。例えば、ユーザは、通信携帯端末等で、かかる識別情報をスキャンすることで取得してもよい。或いは、ユーザは、ウェブサイトや見本帳から、かかる識別情報を取得してもよい。
【0060】
第2に、ユーザは、取得した識別情報に関連付けられている壁紙パネル1を取得する。例えば、ユーザは、通信ネットワークを通じて、壁紙パネル1の販売業者に対して、取得した識別情報を送信することで、壁紙パネル1を取得する。ここで、壁紙パネル1の販売業者は、ユーザから通知された識別情報に応じて、かかる識別情報に関連付けられている壁紙を用いて壁紙パネル1を作成してもよい。
【0061】
第3に、作業員は、壁紙パネル1を粘着剤によってスタッドの取り付け面に貼り付ける。
【0062】
第4に、作業員は、上述の壁紙を、壁紙パネル1が貼り付けられていない部分に貼り付ける。この際、作業員は、上述の壁紙を壁紙パネル1が貼り付けられていない部分に貼り付ける際に、スタッドの取り付け面に石膏ボード等の下地材(樹脂製パネル、木質板、金属板、コンクリート板、各種セメント板、ケイ酸カルシウム板、含水無機物含有ボード等が挙げられる)を貼り付けた後、下地材に壁紙を貼り付けてもよい。
【0063】
なお、作業員は、壁紙パネル1を貼り付けることができない部分において、上述の壁紙を貼り付けてもよい。
【0064】
なお、かかる例において、作業員は、上述の壁紙を貼り付けてから、壁紙パネル1を貼り付けてもよい。
【0065】
2つ目の例では、第1に、ユーザは、壁紙パネル1の壁紙10に付与されている識別情報を取得する。
【0066】
第2に、ユーザは、取得した識別情報に関連付けられている壁紙を取得する。
【0067】
第3に、作業員は、壁紙パネル1を粘着剤によってスタッドの取り付け面に貼り付ける。
【0068】
第4に、作業員は、取得された壁紙を、壁紙パネル1が貼り付けられていない部分に貼り付ける。
【0069】
なお、かかる例において、作業員は、上述の壁紙を貼り付けてから、壁紙パネル1を貼り付けてもよい。
【0070】
3つ目の例では、第1に、作業員は、壁紙パネル1を粘着剤によってスタッドの取り付け面に貼り付ける。
【0071】
第2に、作業員は、壁紙パネル1の壁紙10に付与されている識別情報を取得する。
【0072】
第3に、ユーザは、取得した識別情報に関連付けられている壁紙を取得する。
【0073】
第4に、作業員は、取得した壁紙を、壁紙パネル1が貼り付けられていない部分に貼り付ける。
【0074】
3つ目の例は、壁紙パネル1の施工中に壁紙10と同じ柄の壁紙が必要なことが判明したケースや、壁紙の補修のケース等を想定している。
【0075】
上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施できる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0076】
1…壁紙パネル
10…壁紙
20…石膏ボード
20F…正面
20B…背面
20U…上面
20D…下面
20R…右側面
20L…左側面
30…接着剤


【要約】
【課題】職人の技量に依存することなく設置可能な壁紙パネルの提供。
【解決手段】本開示に係る壁紙パネル1において、石膏ボード20は、正面20Fと背面20Bと上面20Uと下面20Dと左側面20Lと右側面20Rとを有し、壁紙10は、折り返されて、でん粉を含む接着剤30によって、正面20F、左側面20L及び右側面20Rを覆うように石膏ボード20に貼り付けられる。
【選択図】図2
図1
図2