(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】流量制御針付き比例流量制御ポペット弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/04 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020009854
(22)【出願日】2020-01-24
【審査請求日】2023-01-13
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505296441
【氏名又は名称】エムエイシー・バルブス,インク
【氏名又は名称原語表記】MAC VALVES,INC
【住所又は居所原語表記】30569 BECK ROAD,P.O.BOX 111,WIXOM,MICHIGAN 48393,UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ ケビン シー
(72)【発明者】
【氏名】ソブカ デイヴィッド エム
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-153262(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0072173(US,A1)
【文献】特開2000-220757(JP,A)
【文献】実開平03-117176(JP,U)
【文献】米国特許第05388613(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第4206508(EP,A1)
【文献】独国実用新案第9218213(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00 - 1/54
F16K 31/00 - 31/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量制御弁であって、
弁本体遠位端部と、弁本体近位端部と、長手軸に沿って延出するポペットボアと、前記弁本体遠位端部に配置される弁座とを有する弁本体と、
前記弁本体を通って前記ポペットボアまで延びる入口と、内面を有し、前記弁本体を通って前記ポペットボアまで延びる出口と、ねじ付ボアを有するドライブヘッドと、
ポペット遠位端部およびポペット近位端部を有するポペットとを備え、前記ポペットボアに摺動可能に設けられる弁部材と、
前記ドライブヘッドの前記ねじ付ボアと螺合するシャフトを有するステッピングモータであって、閉位置と開位置の間で、前記長手軸に平行な長手方向に前記弁部材を変位させるように作動するステッピングモータと、
前記弁部材は、前記閉位置において前記弁座と当接し、前記開位置において前記弁座から離れるように変位する弁座係合面を備え、
前記長手軸に沿って、前記弁部材の移動に応じて撓むように、前記弁本体および前記弁部材の間に延出し、前記弁本体および前記弁部材に接続されるダイアフラムと、
前記弁部材が前記閉位置にあるとき、前記ポペット遠位端部から突出し、前記出口に少なくとも部分的に収容される、前記ポペットに搭載された流量制御針であって、前記出口の前記内面と協働し、前記弁部材が前記閉位置および前記開位置の間を移動する際にサイズが変化する出口流量オリフィスを規定する流量制御針と、
を備え、
前記流量制御針は、前記ポペット遠位端部に対して調整可能な長手方向位置を有し、製造公差および摩耗によるばらつきを調整することを特徴とする流量制御弁。
【請求項2】
請求項1に記載の流量制御弁において、
前記流量制御針は、流量制御針遠位端部と流量制御針近位端部の間に延びていることを特徴とする流量制御弁。
【請求項3】
請求項2に記載の流量制御弁において、
前記流量制御針遠位端部は、前記出口の前記内面と協働し、前記弁部材の長手方向位置に応じて、サイズが変わる前記出口流量オリフィスの断面積を規定するテーパー面を有することを特徴とする流量制御弁。
【請求項4】
請求項3に記載の流量制御弁において、
前記テーパー面により、前記流量制御針遠位端部を切頭円錐形状とすることを特徴とする流量制御弁。
【請求項5】
請求項4に記載の流量制御弁において、
前記出口の前記内面は、傾斜した漏斗形状を有することを特徴とする流量制御弁。
【請求項6】
請求項5に記載の流量制御弁において、
前記弁部材が前記閉位置にあるとき、前記流量制御針遠位端部の前記テーパー面の少なくとも一部は、前記出口の前記内面に当接し、前記流量制御針遠位端部の前記テーパー面は、前記長手軸に対して第1の角度で配置され、前記出口の前記内面は、前記長手軸に対して第2の角度で配置されることを特徴とする流量制御弁。
【請求項7】
請求項6に記載の流量制御弁において、
前記第1の角度は、前記弁部材が前記閉位置にある際の拘束を防止するように、前記第2の角度と少なくとも1度異なることを特徴とする流量制御弁。
【請求項8】
請求項4に記載の流量制御弁において、
前記流量制御針は、長手方向に見て前記流量制御針遠位端部と前記流量制御針近位端部の間に配置され、より大きな直径からより小さな直径に移行する径方向段差を備えることを特徴とする流量制御弁。
【請求項9】
請求項4に記載の流量制御弁において、
前記出口の前記内面は、円筒形状を有することを特徴とする流量制御弁。
【請求項10】
請求項2に記載の流量制御弁において、
前記ポペットは、前記長手軸に沿って前記ポペット遠位端部まで延出するポペットボアを有することを特徴とする流量制御弁。
【請求項11】
請求項10に記載の流量制御弁において、
前記ポペットのポペットボアは、雌ねじを有し、
前記流量制御針近位端部は、前記雌ねじと螺合して、前記ポペットのポペットボアに収容されることを特徴とする流量制御弁。
【請求項12】
請求項11に記載の流量制御弁において、
前記流量制御針遠位端部は、前記ポペットのポペットボア内で前記流量制御針を回転させることで、前記流量制御針遠位端部と前記ポペット遠位端部の間で測定される長手方向距離を変化させるように前記ポペットのポペットボア内で前記流量制御針の回転調整を可能にする工具インタフェースを有することを特徴とする流量制御弁。
【請求項13】
請求項10に記載の流量制御弁において、
前記流量制御針近位端部は、前記ポペットのポペットボア内に収容されることを特徴とする流量制御弁。
【請求項14】
請求項2に記載の流量制御弁において、
前記流量制御針は、前記流量制御針遠位端部で変化する直径を有することを特徴とする流量制御弁。
【請求項15】
請求項1に記載の流量制御弁において、
前記弁座係合面は、前記ポペット遠位端部に配置され、前記流量制御針の径方向外側にあることを特徴とする流量制御弁。
【請求項16】
請求項1に記載の流量制御弁において、
前記弁座および前記弁座係合面の少なくとも1つは、弾性材料で形成されることを特徴とする流量制御弁。
【請求項17】
請求項1に記載の流量制御弁において、
前記ポペットは、前記ポペット遠位端部を規定する第1ポペットセグメントと、前記第1ポペットセグメントと前記ドライブヘッドの間に延びる第2ポペットセグメントと、を備え、
前記ダイアフラムの一部は、前記第1ポペットセグメントと前記第2ポペットセグメントの間で締め付けられることを特徴とする流量制御弁。
【請求項18】
請求項1に記載の流量制御弁において、
前記ポペットは、前記ドライブヘッドから離され、前記ポペット近位端部は、前記ポペットを前記ドライブヘッド側へ付勢する付勢部材により、前記ドライブヘッドと接触して保持されることを特徴とする流量制御弁。
【請求項19】
流量制御弁であって、
長手軸を規定する弁本体を備え、
前記弁本体は、弁本体遠位端部を規定する第1弁本体部と、弁本体近位端部を規定する第2弁本体部とを有し、
前記弁本体は、前記第1および第2弁本体部を通って、前記長手軸に沿って同軸状に延出するポペットボアを有し、
前記第1弁本体部は、前記弁本体遠位端部に配置される弁座を備え、
前記ポペットボアは、ボア直径を有し、
前記流量制御弁は、さらに、前記ポペットボアに摺動可能に配置され、前記長手軸と同軸上に配列される弁部材を備え、
前記弁部材は、ドライブヘッドとポペットを備え、
前記ポペットは、ポペット遠位端部を規定する第1ポペットセグメントと、ポペット近位端部を規定する第2ポペットセグメントとを備え、
前記第1ポペットセグメントは、前記第1弁本体部に摺動可能に収容され、
前記第2ポペットセグメントは、前記第2弁本体部に摺動可能に収容され、前記第1ポペットセグメントと前記ドライブヘッドの間に長手方向に延出し、
前記ドライブヘッドは、ねじ付ボアを有し、
前記流量制御弁は、さらに、前記弁本体近位端部に接続されるドライブアダプタを備え、
前記ドライブアダプタは、前記ドライブヘッドの少なくとも一部を収容するヘッド収容キャビティを備え、
前記流量制御弁は、さらに、前記ドライブアダプタに接続されるステッピングモータを備え、
前記ステッピングモータは、前記ドライブヘッドの前記ねじ付ボアと螺合するシャフトを回転させ、閉位置と開位置の間の長手方向位置の範囲内にわたって、前記長手軸に平行な長手方向に前記弁部材を変位させるように作動し、
前記流量制御弁は、さらに、前記ポペットボアから前記弁本体の孔開き面まで、前記弁本体を貫通して延出する入口と
、前記ポペットボアから前記弁本体の端面まで、前記弁本体を貫通して延出する出口と、を備え、
前記出口は、前記長手軸と同軸に揃って配置され、
前記弁部材は、前記ポペット遠位端部に、前記閉位置で前記弁座と接触し、前記開位置で前記弁座から離れるよう変位する弁座係合面を規定する弁座係合部材を備え、
前記弁座係合部材は、弾性材料で形成され、
前記ステッピングモータの前記シャフトを第1回転方向に回転させることにより、前記ポペットボア内の前記弁部材を前記閉位置から前記開位置へ長手方向に変位させ、前記シャフトを逆の第2回転方向に回転させることにより、前記弁部材を前記開位置から前記閉位置に戻し、
前記ステッピングモータの前記シャフトは、前記ステッピングモータの増分インクリメンタルな回転により、前記ドライブヘッドの前記ねじ付ボア内で回転され、前記弁部材を前記長手方向に増分インクリメンタルに並進させるよう、前記ステッピングモータに接続され、前記ステッピングモータから延出するねじ軸であり、
前記弁部材は、前記ドライブヘッドから離され、前記ポペット近位端部は、前記弁部材を前記ドライブヘッド側へ付勢する付勢部材により、前記ドライブヘッドと接触して保持され、
前記付勢部材は、前記ポペットボア内の前記弁本体の肩部と、前記第2ポペットセグメントのフランジの間に配置されるばねであり、
前記流量制御弁は、さらに、前記長手軸に沿った前記弁部材の移動に応じて撓むように、前記弁部材の前記第1ポペットセグメントと前記第2ポペットセグメントの間に収容され、前記弁本体から内側へ延出するダイアフラムと、
前記ダイアフラムを前記第1ポペットセグメントと前記第2ポペットセグメントの間に締め付け可能とする、前記第1ポペットセグメントと前記第2ポペットセグメントの間のねじ接続部と、を備え、
前記弁部材の前記第1ポペットセグメントは、前記長手軸に沿って、前記ポペット遠位端部まで延出するポペットボアを備え、
前記出口は、内面を有し、
前記流量制御弁は、さらに、前記第1ポペットセグメントに搭載され、前記ポペット遠位端部から突出し、前記弁部材が前記閉位置にあるとき前記出口に少なくとも一部は収容される流量制御針を備え、
前記流量制御針は、前記長手軸に沿って、流量制御針遠位端部と流量制御針近位端部の間に延出し、
前記流量制御針遠位端部は、前記出口内に同心円状に整列し、
前記流量制御針遠位端部は、前記出口の前記内面と協働し、前記弁部材が前記閉位置と前記開位置の間を移動する際、サイズが変わる出口流量オリフィスを規定するテーパー面を有し、
前記出口流量オリフィスは、前記弁部材の前記長手方向位置によってサイズが変わる断面積を有し、
前記流量制御針は、前記流量制御針遠位端部で変化する直径を有し、
前記テーパー面は、前記流量制御針遠位端部を切頭円錐形状とし、前記流量制御針遠位端部と前記流量制御針近位端部の間に長手方向に配置されて、前記流量制御針の前記直径が、より大きな直径からより小さな直径に移行する径方向段差を形成し、
前記出口の前記内面は、円筒形状を有し、
前記流量制御針遠位端部の前記テーパー面の少なくとも一部は、前記弁部材が前記閉位置にあるとき前記出口の前記内面と接触し、
前記流量制御針は、前記弁部材の長手方向変位とは関係なく前記出口流量オリフィスの前記断面積の前記サイズを調整可能なように、前記ポペット遠位端部に対して調整可能な長手方向位置を有することを特徴とする流量制御弁。
【請求項20】
流量制御弁であって、
長手軸を規定する弁本体を備え、
前記弁本体は、弁本体遠位端部を規定する第1弁本体部と、弁本体近位端部を規定す
る第2弁本体部とを有し、
前記弁本体は、前記第1および第2弁本体部を通って、前記長手軸に沿って同軸状に延出するポペットボアを有し、
前記第1弁本体部は、前記弁本体遠位端部に配置される弁座を備え、
前記ポペットボアは、ボア直径を有し、
前記流量制御弁は、さらに、前記ポペットボアに摺動可能に配置され、前記長手軸と同軸上に配列される弁部材を備え、
前記弁部材は、ドライブヘッドとポペットを備え、
前記ポペットは、ポペット遠位端部を規定する第1ポペットセグメントと、ポペット近位端部を規定する第2ポペットセグメントとを備え、
前記第1ポペットセグメントは、前記第1弁本体部に摺動可能に収容され、
前記第2ポペットセグメントは、前記第2弁本体部に摺動可能に収容され、前記第1ポペットセグメントと前記ドライブヘッドの間に長手方向に延出し、
前記ドライブヘッドは、ねじ付ボアを有し、
前記流量制御弁は、さらに、前記弁本体近位端部に接続されるドライブアダプタを備え、
前記ドライブアダプタは、前記ドライブヘッドの少なくとも一部を収容するヘッド収容キャビティを備え、
前記流量制御弁は、さらに、前記ドライブアダプタに接続されるステッピングモータを備え、
前記ステッピングモータは、前記ドライブヘッドの前記ねじ付ボアと螺合するシャフトを回転させ、閉位置と開位置の間の長手方向位置の範囲内にわたって、前記長手軸に平行な長手方向に前記弁部材を変位させるように作動し、
前記流量制御弁は、さらに、前記ポペットボアから前記弁本体の孔開き面まで、前記弁本体を貫通して延出する入口と
、前記ポペットボアから前記弁本体の端面まで、前記弁本体を貫通して延出する出口と、を備え、
前記出口は、前記長手軸と同軸に揃って配置され、
前記弁部材は、前記ポペット遠位端部に、前記閉位置で前記弁座と接触し、前記開位置で前記弁座から離れるよう変位する弁座係合面を規定する弁座係合部材を備え、
前記弁座係合部材は、弾性材料で形成され、
前記ステッピングモータの前記シャフトを第1回転方向に回転させることにより、前記ポペットボア内の前記弁部材を前記閉位置から前記開位置へ長手方向に変位させ、前記シャフトを逆の第2回転方向に回転させることにより、前記弁部材を前記開位置から前記閉位置に戻し、
前記ステッピングモータの前記シャフトは、前記ステッピングモータの増分インクリメンタルな回転により、前記ドライブヘッドの前記ねじ付ボア内で回転され、前記弁部材を前記長手方向に増分インクリメンタルに並進させるよう、前記ステッピングモータに接続され、前記ステッピングモータから延出するねじ軸であり、
前記弁部材は、前記ドライブヘッドから離され、前記ポペット近位端部は、前記弁部材を前記ドライブヘッド側へ付勢する付勢部材により、前記ドライブヘッドと接触して保持され、
前記付勢部材は、前記ポペットボア内の前記弁本体の肩部と、前記第2ポペットセグメントのフランジの間に配置されるばねであり、
前記流量制御弁は、さらに、前記長手軸に沿った前記弁部材の移動に応じて撓むように、前記弁部材の前記第1ポペットセグメントと前記第2ポペットセグメントの間に収容され、前記弁本体から内側へ延出するダイアフラムと、
前記ダイアフラムを前記第1ポペットセグメントと前記第2ポペットセグメントの間に締め付け可能とする、前記第1ポペットセグメントと前記第2ポペットセグメントの間のねじ接続部と、を備え、
前記弁部材の前記第1ポペットセグメントは、前記長手軸に沿って、前記ポペット遠位端部まで延出するポペットボアを備え、
前記出口は、内面を有し、
前記流量制御弁は、さらに、前記第1ポペットセグメントに搭載され、前記ポペット遠位端部から突出し、前記弁部材が前記閉位置にあるとき前記出口に少なくとも一部は収容される流量制御針を備え、
前記流量制御針は、前記長手軸に沿って、流量制御針遠位端部と流量制御針近位端部の間に延出し、
前記流量制御針遠位端部は、前記出口内に同心円状に整列し、
前記流量制御針遠位端部は、前記出口の前記内面と協働し、前記弁部材が前記閉位置と前記開位置の間を移動する際、サイズが変わる出口流量オリフィスを規定するテーパー面を有し、
前記出口流量オリフィスは、前記弁部材の前記長手方向位置によってサイズが変わる断面積を有し、
前記流量制御針は、前記流量制御針遠位端部で変化する直径を有し、
前記テーパー面は、前記流量制御針遠位端部を切頭円錐形状とし、前記流量制御針遠位端部と前記流量制御針近位端部の間に長手方向に配置されて、前記流量制御針の前記直径が、より大きな直径からより小さな直径に移行する径方向段差を形成し、
前記出口の前記内面は、傾斜した漏斗形状を有し、
前記流量制御針遠位端部の前記テーパー面の少なくとも一部は、前記弁部材が前記閉位置にあるとき前記出口の前記内面と当接し、
前記流量制御針遠位端部の前記テーパー面は、前記長手軸に対して第1の角度で配置され、前記出口の前記内面は、前記長手軸に対して第2の角度で配置され、
前記第1の角度は、前記弁部材が前記閉位置にある際に拘束されるのを防止するように、前記第2の角度と少なくとも1度異なり、
前記第1ポペットセグメントのポペットボアは、雌ねじを有し、
前記流量制御針近位端部は、前記雌ねじと螺合して、前記第1ポペットセグメントのポペットボアに収容され、
前記流量制御針遠位端部は、前記第1ポペットセグメントのポペットボア内で前記流量制御針を回転させることにより、前記流量制御針遠位端部と前記ポペット遠位端部の間で測定される長手方向距離が変化するように前記第1ポペットセグメントのポペットボア内で前記流量制御針の回転調整を可能にする工具インタフェースを有することを特徴とする流量制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願開示は、ステッピングモータによって操作される流量制御弁に関する。より詳細には、ダイヤフラムによって密閉され、流量制御針を備える流量制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションは、本願開示に関連する背景技術情報を提供するが、必ずしも従来技術ではない。
【0003】
ステッピングモータで操作することにより、全開位置と全閉位置の間の流量変動を制御する正確さの向上が求められる弁において、弁部材の位置の反復性を向上させることができる。作動装置への流体体積または流体圧力の正確な供給を必要とする用途には、他の公知のバルブアクチュエーターと比較して、ステッピングモータによって提供される正確さが有用となりうる。しかしながら、公知のステッピングモータ作動式流量制御弁は、通常、ステッピングモータの回転力を、弁部材を開弁位置と閉弁位置との間で往復するよう並進運動させるために使用される長手方向の力に変えるための、ギアシステムまたは多方向駆動システムが必要である。したがって、一般的な駆動システムでは、複数の可動部品を駆動するために、操作力が失われてしまう。公知のシステムの複数の可動部品の複雑さ、電力損失、許容誤差によっても、そもそも弁の作動にステッピングモータを使用する主な理由の一部である弁の位置の正確さと反復性が低下する。
【0004】
一般的なステッピングモータで作動する流量制御弁(例えば、ポペット弁)で使用される弁部材は、マニホールドを通る流体の流れ(例えば、圧縮空気)を制御する。そのようなマニホールドは、ソータ、包装機械、フードプロセッサー、製紙機械などの機器の一部であり得る。弁部材は、通常、ゴム製オーバーモールドを備え、および/または弁部材は、ゴム製の弁座に接触して閉鎖し、流体密封シールを形成する。このような流量制御弁は、何百万回も作動する可能性がある。時間が経過すると、弁部材のゴム製オーバーモールドやゴム製弁座が摩耗したり、永久的に変形したりして、流量制御弁の精度(つまり、流量分解能)が低下する。
【0005】
従来の流量制御弁では、弁部材は弁本体内に摺動可能に配置される。閉位置では、弁部材は、一般に、弁本体の弁座と接触して保持される。開位置では、ステッピングモータは、一般に、弁部材を弁座から離間させ、その間に隙間を形成する。米国特許第3,985,333号(Paulsen)に開示されるように、ベローズ形状のダイヤフラムを使用して、弁本体と弁部材の間にシールを設けることができる。このようなダイヤフラムは、弁部材の長手方向の移動を可能にしつつ、汚染物質がモータハウジングに侵入するのを防ぐことができる。
【0006】
弁本体は、マニホールドに設けられたボアに収納されるように設計されている。マニホールドは、通常、マニホールドボアと流体連通して配置された複数の通路を備える。作動中、流量制御弁はこれらの複数の通路の間の流体の流れを制御する。弁本体をマニホールドボア内に密閉するために、通常、弁本体の外側にOリングシールが設けられる。
【0007】
ステッピングモータで作動する流量制御弁は、作動装置に供給できる流体体積または流体圧力の精度を上げるものの、より向上された精度を有する流体制御弁が依然として求められる。特に、低い流体流量でより良好な流量分解能を提供できる流量制御弁が依然として求められる。
【発明の概要】
【0008】
このセクションは、本願開示の概要を提供するが、発明の全範囲および特徴の包括的開示ではない。
【0009】
本願開示は、弁本体と、弁本体に接続されるステッピングモータとを備える改良された流量制御弁を提供する。弁本体は、弁本体遠位端部と弁本体近位端部とを有する。ポペットボアは、長手軸に沿って、弁本体を貫通して延びる。弁本体遠位端部は、弁座を備える。弁部材は、ポペットボア内に配置される。弁部材は、ポペットとドライブヘッドを備える。ポペットはドライブヘッドに接続され、開位置と閉位置の間でポペットボア内を摺動可能である。ポペットは、ポペット遠位端部とポペット近位端部とを備える。
【0010】
ドライブヘッドはねじ付ボアを有し、ステッピングモータは、ドライブヘッドのねじ付ボアと螺合するシャフトを有する。ステッピングモータは、開位置と閉位置の間で、長手軸に平行な長手方向に弁部材を変位させるように作動する。弁部材は、閉位置において弁座と当接し、開位置において弁座から離れるように変位する弁座係合面を備える。
【0011】
ダイアフラムは、弁本体から弁部材まで内側へ延出する。ダイアフラムは、弁本体および弁部材に接続され、長手軸に沿った弁部材の移動に応じて撓む。流量制御弁は、入口および出口を有する。入口および出口はそれぞれ、弁本体を貫通してポペットボアまで延びる。
【0012】
流量制御針が、弁部材のポペットに搭載される。流量制御針は、ポペット遠位端部から突出し、弁部材が閉位置にあるとき、少なくとも一部が出口に収容される。流量制御針は、出口の内面と協働し、弁部材が開位置と閉位置の間を移動する際サイズが変わる出口流量オリフィスを規定する。この設計によれば、弁部材の弁座係合面と弁本体の弁座との間の界面の代わりに、流量制御針と出口の内面との間の界面が流量を制御する。すなわち、流量制御針と出口の内面との間の界面が流量を制御し、弁部材の弁座係合面と弁本体の弁座との間の界面は、弁部材が閉位置にあるとき(すなわち、流量ゼロ)、流体密封シールを形成する。密封シール界面が流量制御界面とは別なので、密封シール界面近傍での変化および変形は、流量制御界面に影響せず、その結果、精度(すなわち、流量分解能)が向上する。
【0013】
さらなる適用範囲は、本明細書の記載から明らかになるだろう。この発明の概要における記載および特定の実施例は、説明の目的のためだけであり、本願開示の範囲を限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本明細書で説明される図面は、選択された実施形態の例示のみを目的とし、すべての可能な実装を目的とするものではなく、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【
図1】本願開示にしたがって構成された例示的流量制御弁の側面斜視図。
【
図2】
図1に示される例示的流量制御弁の部分的側面断面図。
【
図3】閉位置にある流量制御弁を示す、
図1に示される例示的流量制御弁の拡大された部分的側面断面図。
【
図4】開位置にある流量制御弁を示す、
図1に示される例示的流量制御弁の拡大された部分的側面断面図。
【
図5】本願開示にしたがって構成された例示的流量制御弁の側面斜視図。
【
図6】
図5に示される例示的流量制御弁の部分的側面断面図。
【
図7】閉位置にある流量制御弁を示す、
図5に示される例示的流量制御弁の拡大部分側面断面図。
【
図8】開位置にある流量制御弁を示す、
図5に示される例示的流量制御弁の別の拡大部分側面断面図。
【
図9】マニホールドに搭載される、
図5に示される例示的流量制御弁の部分的側面断面図。 図面のいくつかを通して、対応する参照番号は、対応する構成部品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付の図面を参照して、例示的実施形態をより完全に記載する。これらの例示的実施形態は、本願開示を十全なものとし、当業者にその範囲を十分に伝えるよう示される。本願開示の実施形態の十全な理解を提供するため、具体的な構成要素、素子及び方法の例など、数多くの具体的詳細を記載している。当業者にとって、具体的な詳細を用いる必要はなく、例示的実施形態は多くの異なる形態で実装可能であり、また本願開示を限定するものと解釈すべきでないことは明らかであろう。いくつかの例示的実施形態において、公知の方法、公知の素子構造及び公知の技術は、詳細に記載されない。
【0016】
本明細書中で用いられる用語は、具体的な例示的実施形態を記述することのみを目的とするものであり、限定的であることを意図しない。本明細書で使用される際、単数形は、明示されていない限り複数形も含むことを意図する。用語「備える」、「備えて」、「含んで」および「有して」は包括的であり、述べられた特徴、整数、工程、操作、要素、および/または部品の存在を特定する。しかし、1以上の特徴、整数、工程、操作、要素、部品および/または群の存在または追加を排除するものではない。本明細書で記載される方法工程、プロセスおよび操作は、実行順序として詳細に特定されない限り、必ずしも記載または図示された特定の順序で実行を要するものと解釈されるべきではない。追加工程または代替工程が用いられてもよいことも理解されるであろう。
【0017】
要素または層が、他の要素または層「上に」ある、「に係合」、「に接続」または「に連結」すると記される場合、この要素または層は直接に他の要素または層上にあるか、係合、接続、または連結してもよい。または、介在要素または層があってもよい。一方、要素が、他の要素または層の「直接上に」ある、「に直接係合」、「に直接接続」または「に直接連結」すると記される場合、介在要素または層は存在しなくてよい。要素同士の関係を説明するのに使用される他の文言(例えば、「の間に」と「直接…の間に」、「隣接して」と「直接隣接して」など)は、同様に解釈されるべきである。本明細書で用いられる際、用語「および/または」は1以上の関連づけられたリスト項目の全ての組み合わせを含む。
【0018】
第一、第二、第三等の用語が各種要素、部品、領域、層および/または切断面を説明するために本明細書で使用されるが、これらの要素、部品、領域、層および/または切断面はこれらの用語により限定されるものではない。これらの用語は、ある要素、部品、領域、層および/または切断面を他の領域、層または切断面から区別するためにのみ使用されてもよい。本明細書で使用される際の「第一」「第二」のような用語および他の数に関する用語は、文脈で明示されない限り、配列または順序を意味しない。したがって、下記で論じられる第一要素、部品、領域、層および/または切断面は、実施例の教示から逸脱することなく第二要素、部品、領域、層および/または切断面と称されることも可能である。
【0019】
「インナー」、「アウター」、「真下に」、「下に」、「下側の」「上に」、「上部に」等のような空間的に相対的な用語が、図示する際、ある要素または特徴と他の要素または特徴との関係の記載を容易にするために、本明細書で使われてもよい。空間的に相対的な用語は、図示される向きに加えて、使用時または操作時における装置の異なる向きを包含するとしてもよい。例えば、図の装置がひっくり返ると、他の要素または特徴の「下に」または「真下に」と記載される要素は、他の要素または特徴の「上に」置かれるだろう。このように、例示の用語「下に」は上と下両方への向きを包含することが可能である。装置は他方向に向かされてもよい(90度回転または他の向きに)。本明細書で使用される空間関連記述子は適宜解釈される。
【0020】
図1~4を参照して、本願開示に従い構成された流量制御弁10が示される。流量制御弁10は、長手軸12に沿って延出する弁本体11を備える。本明細書で使用される用語「長手方向の」「長手方向に」「軸方向の」「軸方向に」は、長手軸12に沿って、または、長手軸12に平行であることを意味する。弁本体11は、弁本体遠位端部14を規定する第1弁本体部13と、弁本体近位端部16を規定する第2弁本体部15とを有する。図示の例では、第1および第2弁本体部13、15は、第1ねじ接続部17によって互いに接続されている。第1弁本体部13は、弁本体遠位端部14に配置された弁座18を備える。弁本体11は、第1および第2弁本体部13、15を通って、長手軸12に沿って同軸に延びるポペットボア19を有する。ポペットボア19は、内径20を有する。弁本体11は、限定的でない例として、ステンレス鋼またはニッケルめっきされた真鍮を含む様々な材料から作ることができる。
【0021】
入口21は、ポペットボア19から弁本体11の孔開き面22まで第1弁本体部13を貫通して延びる。出口23は、ポペットボア19から弁本体11の端面24まで第1弁本体部13を貫通して延びる。他の構成も可能であるが、
図1から
図4に示される例では、入口21および出口23は、内面25a、25bを有する。出口23は、長手軸12と同軸に揃って配置され、入口21は、長手軸12に垂直に配置される。弁座18は、入口21と出口23との間に配置される。任意で、Oリングなどの1つまたは複数のシール部材26を、第1弁本体部13に入口21の対向面上に形成された、1つまたは複数の周方向スロット27内に配置してもよい。
【0022】
弁部材28は、ポペットボア19内にスライド可能に配置され、長手軸12と同軸に配列される。弁部材28は、ポペット30を備える。ポペット30は、ポペット遠位端部31とポペット近位端部32との間に延びている。図示された例では、ポペット30は、ポペット遠位端部31を規定する第1ポペットセグメント33と、ポペット近位端部32を規定する第2ポペットセグメント34とを備える。第1ポペットセグメント33は、第1弁本体部13内に摺動可能に収容され、第2ポペットセグメント34は、第2弁本体部15内に摺動可能に収容される。第2ポペットセグメント34は、第1ポペットセグメント33とドライブヘッド29との間で長手方向に延びる。第1および第2ポペットセグメント33、34は、第2ねじ接続部35によって接続されている。ドライブヘッド29は、雌ねじ付ボア36を有する。ポペット30は、限定的でない例として、アルミニウム、ステンレス鋼、またはプラスチックを含む様々な材料から作ることができる。
【0023】
ドライブアダプタ37は、第3ねじ接続部38によって弁本体近位端部16に接続されている。ドライブアダプタ37は、ドライブヘッド29の少なくとも一部を収容するヘッド収容空洞39を備える。以下でより詳細に説明されるように、ドライブアダプタ37は、設置目的のために雄ねじ40を有してもよい。ドライブアダプタ37には、ステッピングモータ41が接続されている。ステッピングモータ41は、ドライブヘッド29のねじ付ボア36と螺合するシャフト42を回転させるように動作し、閉位置(
図3)と開位置(
図4)の間の長手方向位置の範囲にわたって、弁部材28を長手方向に変位させる。
【0024】
雄ねじシャフト42は、ステッピングモータ41に接続され、ステッピングモータ41から延出する。ステッピングモータ41の雄ねじシャフト42は、ドライブヘッド29に形成された雌ねじ付ボア36に螺合して収容される。雄ねじシャフト42は、直接または間接的に、ステッピングモータ41に接続され、ステッピングモータ41によって回転可能に駆動され得る。雄ねじシャフト42は、雌ねじ付ボア36内に直接螺合可能に収容され、長手軸12に対して同軸に揃って配置される。したがって、雄ねじシャフト42を回転させると、雄ねじシャフト42の完全または部分的な回転に基づいて、ドライブヘッド29が直接軸方向に移動し、弁部材28が開位置と閉位置との間で移動する。ヘッド収容空洞39の形状により、ドライブヘッド29の回転が防止され、その結果、雄ねじシャフト42の回転は、ドライブヘッド29の軸方向の変位に変換される。雄ねじシャフト42および雌ねじ付ボア36のねじのピッチは変更可能であり、異なるストローク長および作動速度を提供するように選択可能である。限定的でない例として、図示の実施形態における弁部材28のストローク長は、約0.35ミリメートルである。
【0025】
ステッピングモータ41の雄ねじシャフト42を第1回転方向に回転させることにより、ポペットボア19内の弁部材28が閉位置(
図3)から開位置(
図4)に移動する。逆も同様に、雄ねじシャフト42を逆の第2回転方向に回転させることにより、弁部材28が開位置(
図4)から閉位置(
図3)に戻る。第1回転方向および第2回転方向にステッピングモータ41を増分インクリメンタルに回転させることにより、ドライブヘッド29のねじ付ボア36内で雄ねじシャフト42を回転させる。これにより、第1長手方向および第2長手方向に弁部材28を増分インクリメンタルに並進(すなわち移動)させる。
【0026】
ドライブヘッド29は、弁部材28の第2ポペットセグメント34から離れている(すなわち、分離されている)。それにもかかわらず、ドライブヘッド29は、弁部材28のポペット近位端部32に当接し、それにより、ドライブヘッド29は、閉位置(
図3)と開位置(
図4)との間で弁部材28を駆動する。ポペット近位端部32は、ポペット30をドライブヘッド29側に付勢する付勢部材43によってドライブヘッド29と接触して保持される。図示された例では、付勢部材43は、ポペットボア19内に径方向内側に延びる弁本体11の肩部44と、ポペット近位端部32から径方向外側に延びるフランジ45との間に配置されるコイルばねである。その結果、付勢部材43は、第2ポペットセグメント34の一部の周りにらせん状に延在し、弁本体11の肩部44および第2ポペットセグメント34のフランジ45を押し、ポペット近位端部32とドライブヘッド29とを接触し続けさせる。付勢部材43は、ポペット30をドライブヘッド29側に付勢するように作用する付勢力をポペット30に加える。
【0027】
弁部材28の長手方向位置は、雄ねじシャフト42と雌ねじ付ボア36のねじ山とが限られた範囲でしか滑らないことを理由の一つとして、反復可能である。付勢部材43がポペット30に、ひいてはドライブヘッド29に加える付勢力は、ねじの隙間および/または摩耗に起因する軸方向の寸法変化を緩和して、弁部材28の長手方向位置の再現性をさらに高める。弁部材28は、弁座係合面47を規定する弁座係合部材46を備える。弁部材28が閉位置にあるとき、弁座係合部材46の弁座係合面47は弁座18と当接する。弁部材28が開位置にあるとき、弁座係合部材46の弁座係合面47は弁座18から離間している。他の構成も可能であるが、図示された例では、弁座係合部材46は、第1ポペットセグメント33のポペット遠位端部31にオーバーモールドされた、ゴムなどの弾性材料で形成される。あるいは、弁座18が弾性部材で形成されてもよい。弁部材28が閉位置にあるとき、弁座係合部材46の弁座係合面47と弁座18との間の境界面は、入口21から出口23への流体の流れを止める(すなわち、流量制御弁10を通る流れがゼロの状態を作り出す)密封境界面として機能する。
【0028】
流量制御弁10は、弁本体11から弁部材28まで径方向内向きに延びるダイヤフラム48を備える。図示された例では、ダイヤフラム48の外側の円形部分は、弁本体近位部分13と弁本体遠位部分15の間に収容され、ダイヤフラム48の内側の円形部分は、第1および第2ポペットセグメント33、34の間に収容される。より具体的には、弁本体近位部分13と弁本体遠位部分15との間の第1ねじ接続部17により、ダイヤフラム48の外側円形部分を弁本体近位部分13と弁本体遠位部分15との間で締め付けることができ、第1および第2ポペットセグメント33、34の間の第2ねじ接続部35により、ダイアフラム48の内側の円形部分を第1および第2のポペットセグメント33、34との間で締め付けることができる。
【0029】
ダイヤフラム48は、長手軸12に沿った弁部材28の動きに応答して撓む。ダイヤフラム48は、流量制御弁10に大気圧シールを提供して、加圧空気または水などの流体、および汚染物質が駆動アダプタ37およびステッピングモータ41のヘッド収容キャビティ39に入るのを防ぐ。他の構成も可能であるが、図示された実施形態に示されるダイヤフラム48は、ダイヤフラム48の可撓性を増大させるU字形断面を有する蛇腹状部分を有する。
【0030】
第1ポペットセグメント33に取り付けられた流量制御針49は、弁部材28のポペット遠位端部31から突出している。弁部材28が閉位置にあるとき(
図3)、流量制御針49の少なくとも一部が出口23に収容される。流量制御針49は、流量制御針遠位端部50と流量制御針近位端部51との間で長手軸12に沿って延びる。弁部材28のストロークに応じて他の配置が可能であるが、図示された例では、流量制御弁10の開位置と閉位置の両方で、流量制御針遠位端部50は、弁本体11の出口23内で同心に整列され続ける。
【0031】
流量制御針49の針直径52は、流量制御針遠位端部50で変化する。より具体的には、流量制御針遠位端部50は、出口23の内面25bと協働して出口流量オリフィス54を規定するテーパー面53を有する。出口流量オリフィス54は、流量制御弁10が開位置にあるとき(
図4)、流量制御針遠位端部50のテーパー面53と、出口23の内面25bとの間の隙間により形成される。流量制御針遠位端部50の先細り形状のため、出口流量オリフィス54は、弁部材28が閉位置と開位置との間を移動するときにサイズが変化する。より具体的には、出口流量オリフィス54は、弁部材28の長手方向位置に応じてサイズが変化する円形リング状の断面積を有する。限定的でない例として、図示された例では、出口流量オリフィス54の最大断面積は、弁部材28が開位置にある場合の約2平方ミリメートルである。
【0032】
流量制御針49のテーパー面53により、流量制御針遠位端部50は切頭円錐形状となる。他の構成も可能であるが、
図2から
図4に示される例では、流量制御針49は、流量制御針遠位端部50と流量制御針近位端部51の間に長手方向に配置された径方向段差55を有する。その段差において、流量制御針49の直径は、より大きな直径から、流量制御針近位端部51におけるより小さな直径の円筒部56に移行する。径方向段差55は、長手軸12を横切るように、径方向内向きに延びる。弁部材28の第1ポペットセグメント33は、長手軸12に沿ってポペット遠位端部31まで延びるポペットボア57を有する。流量制御針49の円筒部56は、ポペットボア57内に圧入される。流量制御針49は、限定的でない例として、流量制御弁10を通過する流体が液体である場合はステンレス鋼を含み、流量制御弁10を通過する流体が空気である場合はアルミニウムを含む様々な材料から作ることができる。
【0033】
図3に示される弁閉鎖位置では、ポペット遠位端部31上の弁座18係合面は、第1弁本体部13上の弁座18と当接して保持される。したがって、流量制御弁10が弁閉位置にあるとき、流量制御弁10は、入口21と出口23との間の流体の流れを防ぐ。
図4に示す弁開位置では、ポペット遠位端部31の弁座係合面47は、第1弁本体部13の弁座18から離れ、それにより、入口21から出口23への流路を提供する。ステッピングモータ41が弁部材28を閉位置(
図3)と開位置(
図4)との間で駆動すると、ダイヤフラム48は撓んで弁部材28を並進させる。
【0034】
図5から
図8を参照して、別の流量制御弁100が示される。
図5から
図8に示される流量制御弁100の構成要素の多くは、以下に注記されることを除いて、
図2から
図4に示される制御弁の構成要素と同一または実質的に同一である。実施形態間で共有される同等の構成要素は、
図5から
図8においては、同等の構成要素に符号を付けるために、100番台の参照番号を付与する。
【0035】
図5から
図8に示される流量制御弁100は、調整可能な流量制御針149を備える。より具体的には、ポペットボア157は雌ねじ158を有し、流量制御針149の円筒部156は、ポペットボア157内の雌ねじ158に螺合される円筒部ねじ159を有する。Oリングシール160を、流量制御針149の円筒部156の径方向段差155の近くに設け、流量制御針149の円筒部156とポペットボア157との間に流体密閉シールを設けても良い。流量制御針遠位端部150は、ポペットボア157内の流量制御針149の回転調整を可能にする工具インタフェース161を有する。ポペットボア157内で流量制御針149を回転させることにより、遠位ポペット130セグメントに対する流量制御針149の長手方向の位置、ひいては、流量制御針遠位端部150とポペット遠位端部131との間で測定される長手方向距離が変化する。ポペット130に対する流量制御針149の長手方向位置を調整することにより、出口流量オリフィス154の断面積のサイズを調整して、流量制御弁100を通る流体流量を微調整することができる。この調整機能により、製造公差によるばらつきにも対応できる。例えば、流量制御弁100は、流量制御針149が、弁部材28が閉位置にあるとき、流量制御針遠位端部150のテーパー表面153が、出口123の内面125bと最初に当接するところまで後退している(すなわち、螺合していない)製造プロセス中に容易に調整可能である。摩耗が発生した場合は、流量制御針149と出口123の間の適切な許容誤差を再確立できるまでこのプロセスを繰り返してもよい。
【0036】
図5から
図8に示す実施形態では、第1弁本体部113の出口123の内面125bは、傾斜した漏斗状の形状を有する。弁部材128が閉位置にあるとき(
図7)、流量制御針遠位端部150のテーパー面153の少なくとも一部は、出口123の内面125bと当接する。流量制御針遠位端部150のテーパー面153は、長手軸112に対して第1の角度162で配置される。出口123の内面125bは、長手軸112に対して第2の角度163で配置される。第1の角度162は、第2の角度163と少なくとも1度異なる。この構成は、弁部材128が閉位置にあるときに、ポペット遠位端部131が出口123に拘束されるのを防ぐのに役立つ。
【0037】
図9を参照すると、マニホールド264に取り付けられた流量制御弁100が示される。
マニホールド264は、マニホールドボア265を備える。流量制御弁100の弁本体111は、マニホールドボア265に摺動可能に挿入される。ドライブアダプタ137の雄ねじ140は、マニホールドボア265のねじ部分266と螺合する。弁本体111に形成された周方向スロット127に配置されたOリングなどのシール部材126は、マニホールドボア265と当接し、流体シールを形成する。弁本体111がマニホールドボア265に取り付けられると、入口121および出口123は、それぞれ、マニホールド264の入口通路267および出口通路268と流体連通して配置される。作動中、流量制御弁100は、マニホールド264の入口通路267と出口通路268との間の加圧空気などの流体の流れを制御する。
【0038】
本開示の流量制御弁10、100のそれぞれは、ステッピングモータ41、141の増分インクリメンタルな回転によって可変流量制御を提供する。ステッピングモータ41、141の増分インクリメンタルな回転は、弁部材28、128の長手方向の並進運動に変換される。また、弁部材28、128が開位置に向かって移動すると、入口21、121および出口23、123にわたって圧力が低下する。弁部材28、128を摺動可能に収容するポペットボア19、119は、弁部材28、128と弁本体11、111との接触点で等しい直径を有するので、各入口および出口により、弁部材28、128に作用する力が均衡する。
【0039】
本開示の流量制御弁10、100は、いくつかの利点を提供する。
出口流量オリフィス54、154が、弁座18、118と弁座係合部材46、146との間の界面(すなわち、ギャップ)の代わりに、流量制御針49、149のテーパー面53、153と出口23、123の内面25b、125bとの間の界面(すなわち、ギャップ)によって形成されるため、本明細書に開示される流量制御弁10、100を通る精度(すなわち、流量分解能)は、大幅に改善される。従来の弁では、弁部材28、128が開位置と閉位置との間を移動すると、弁座係合部材46、146および/または弁座18、118が撓み、少量だけ跳ね返る。これにより、この2つの部材の間のギャップに小さな変化が生じる。さらに、弁座係合部材46、146および/または弁座18、118は、繰り返されるバルブサイクルのために、経時的に摩耗および/または永久的に変形する可能性がある。これらの変動によって、特に、より低い流体流量において、通常の弁の精度は制限される。
本明細書に開示される流量制御弁10、100は、弁座18、118と弁座係合部材46、146との間の密封界面とは別個の出口流量オリフィス54、154(すなわち、流量制御界面)を有する。
その結果、弁座18、118および/または弁座係合部材46、146における撓み、反発、摩耗、および変形は、流量制御針49、149と出口23、123との間の界面に影響を与えず、流量制御弁10、110の精度を上げる。例えば、本明細書に開示されている流量制御弁10、110は、29ポンド/平方インチの圧力で毎分670ミリリットルから毎分30ミリリットルの流量まで改善された分解能を有することが見出された。
【0040】
実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提供されてきた。
前述の説明は、網羅的であることや発明を限定することを意図しない。
特定の実施形態の個々の要素または特徴は、一般に、その特定の実施形態に限定されず、適用可能である場合、交換可能であり、特に図示または説明されていなくても、選択された実施形態で使用することができる。
同じことが多くの方法で変更される場合もある。そのような変形は、本開示からの逸脱と見なされるべきではなく、すべてのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。