(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】マグネトロンプラズマ成膜装置
(51)【国際特許分類】
C23C 14/35 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
C23C14/35 C
(21)【出願番号】P 2020041005
(22)【出願日】2020-03-10
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2019057677
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】森地 健太
(72)【発明者】
【氏名】塘口 直樹
(72)【発明者】
【氏名】谷口 剛志
【審査官】宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0345628(US,A1)
【文献】特表2014-500398(JP,A)
【文献】特表2014-534341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成膜ロールと、
前記成膜ロールと対向配置されるマグネトロンプラズマユニットとを備え、
前記マグネトロンプラズマユニットは、
前記成膜ロールの軸線と同一方向に軸線が延びるロータリーターゲットと、
前記ロータリーターゲットの径方向内側に配置されるマグネットユニットとを備え、
前記マグネットユニットは、第1磁極部と、第2磁極部と、第3磁極部と、第4磁極部とを周方向に沿って順に備え、
前記第2磁極部および前記第3磁極部が、N極およびS極のうち一方の磁極を有し、
前記第1磁極部および前記第4磁極部が、他方の磁極を有し、
前記ロータリーターゲットの軸線に直交する断面視において、前記第2磁極部を通過し、その磁化方向に沿う仮想線と、前記第3磁極部を通過し、その磁化方向に沿う仮想線とが、前記成膜ロールの中心に近づきながら収束するように交差
し、
下記で求められる角度θが30度以下であることを特徴とする、
マグネトロンプラズマ成膜装置。
前記ロータリーターゲットの外周面上において、前記ロータリーターゲットの円周方向の一方向に向かって、前記ロータリーターゲットの磁束密度の接線方向成分を測定する。前記磁束密度の最大の接線方向成分に相当する点および前記ロータリーターゲットの中心を結ぶ線分と、前記磁束密度の最小の接線方向成分に相当する点および前記中心を結ぶ線分とが成す角度θを、求める。
【請求項2】
成膜ロールと、
前記成膜ロールと対向配置されるマグネトロンプラズマユニットとを備え、
前記マグネトロンプラズマユニットは、
前記成膜ロールの軸線と同一方向に軸線が延びるロータリーターゲットと、
前記ロータリーターゲットの径方向内側に配置されるマグネットユニットとを備え、
前記マグネットユニットは、第1磁極部と、第2磁極部と、第3磁極部と、第4磁極部とを周方向に沿って順に備え、
前記第2磁極部および前記第3磁極部が、N極およびS極のうち一方の磁極を有し、
前記第1磁極部および前記第4磁極部が、他方の磁極を有し、
前記ロータリーターゲットの軸線に直交する断面視において、前記第1磁極部を通過し、その磁化方向に沿う仮想線と、前記第4磁極部を通過し、その磁化方向に沿う仮想線とが、前記成膜ロールから遠ざかりながら収束するように交差
し、
下記で求められる角度θが30度以下であることを特徴とする、
マグネトロンプラズマ成膜装置。
前記ロータリーターゲットの外周面上において、前記ロータリーターゲットの円周方向の一方向に向かって、前記ロータリーターゲットの磁束密度の接線方向成分を測定する。前記磁束密度の最大の接線方向成分に相当する点および前記ロータリーターゲットの中心を結ぶ線分と、前記磁束密度の最小の接線方向成分に相当する点および前記中心を結ぶ線分とが成す角度θを、求める。
【請求項3】
成膜ロールと、
前記成膜ロールと対向配置されるマグネトロンプラズマユニットとを備え、
前記マグネトロンプラズマユニットは、
前記成膜ロールの軸線と同一方向に軸線が延びるロータリーターゲットと、
前記ロータリーターゲットの径方向内側に配置されるマグネットユニットとを備え、
前記マグネットユニットは、第1磁極部と、第2磁極部と、第3磁極部と、第4磁極部とを周方向に沿って順に備え、
前記第1磁極部と、前記第2磁極部と、前記第3磁極部と、前記第4磁極部とのそれぞれは、固定部材に固定されており、前記ロータリーターゲットの軸線に直交する断面視において、前記固定部材に固定される固定辺と、前記固定辺と反対側に位置する対辺とを有する略矩形状をなし、
前記対辺の長さLに対する、前記対辺および前記固定辺間の離間距離Dの比(D/L)が、1.5以上であ
り、
下記で求められる角度θが30度以下であることを特徴とする、
マグネトロンプラズマ成膜装置。
前記ロータリーターゲットの外周面上において、前記ロータリーターゲットの円周方向の一方向に向かって、前記ロータリーターゲットの磁束密度の接線方向成分を測定する。前記磁束密度の最大の接線方向成分に相当する点および前記ロータリーターゲットの中心を結ぶ線分と、前記磁束密度の最小の接線方向成分に相当する点および前記中心を結ぶ線分とが成す角度θを、求める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネトロンプラズマ成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マグネトロンプラズマ成膜装置として、成膜ロールと、それに対向するマグネトロンスパッタユニットとを備えるマグネトロンスパッタリング成膜装置が知られている。
【0003】
このマグネトロンスパッタリング装置では、マグネトロンスパッタユニットによって磁界を生成し、これによって、ターゲットから放出された電子が長く保持されて、スパッタリングの効率が向上される。
【0004】
例えば、筒と、それの内部において、ヨークに保持された4つの磁石とを備えるマグネトロンスパッタリング成膜装置が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。特許文献1には、4つの磁石のそれぞれは、断面視において、ヨークに固定される固定辺と、その反対側にある対辺とを有する断面矩形状をなす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、特許文献1に開示される構成において、隣接する外側の磁石および内側の磁石に対応するトンネル形状の磁界が生成される。
【0007】
近年、マグネトロンプラズマ成膜装置には、高い成膜速度が求められる。
【0008】
しかし、上記した特許文献1の構成では、高い成膜速度を得るには限界がある。
【0009】
本発明は、高い成膜速度で成膜することのできるマグネトロンプラズマ成膜装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明(1)は、成膜ロールと、前記成膜ロールと対向配置されるマグネトロンプラズマユニットとを備え、前記マグネトロンプラズマユニットは、前記成膜ロールの軸線と同一方向に軸線が延びるロータリーターゲットと、前記ロータリーターゲットの径方向内側に配置されるマグネットユニットとを備え、下記で求められる角度θが30度以下である、マグネトロンプラズマ成膜装置を含む。
【0011】
前記ロータリーターゲットの外周面上において、前記ロータリーターゲットの円周方向の一方向に向かって、前記ロータリーターゲットの磁束密度の接線方向成分を測定する。
前記磁束密度の最大の接線方向成分に相当する点および前記ロータリーターゲットの中心を結ぶ線分と、前記磁束密度の最小の接線方向成分に相当する点および前記中心を結ぶ線分とが成す角度θを、求める。
【0012】
このマグネトロンプラズマ成膜装置では、上記した角度θが30度以下と狭いので、ロータリーターゲットの外周面上において、磁束密度において最大の接線方向成分に対応するプラズマと、磁束密度の最小の接線方向成分に対応するプラズマとの、周方向における距離が近く、そのため、ロータリーターゲットから放出される電子の密度が濃い領域を集約することができる。その結果、高い成膜速度で成膜することができる。
【0013】
本発明(2)は、前記マグネットユニットは、第1磁極部と、第2磁極部と、第3磁極部と、第4磁極部とを周方向に沿って順に備え、前記第2磁極部および前記第3磁極部が、N極およびS極のうち一方の磁極を有し、前記第1磁極部および前記第4磁極部が、他方の磁極を有し、前記ロータリーターゲットの軸線に直交する断面視において、前記第2磁極部を通過し、その磁化方向に沿う仮想線と、前記第3磁極部を通過し、その磁化方向に沿う仮想線とが、前記成膜ロールの中心に近づきながら収束するように交差する、(1)に記載のマグネトロンプラズマ成膜装置を含む。
【0014】
このマグネトロンプラズマ成膜装置によれば、角度θを確実に30度以下と狭くすることができる。そのため、より一層高い成膜速度で成膜することができる。
【0015】
本発明(3)は、前記マグネットユニットは、第1磁極部と、第2磁極部と、第3磁極部と、第4磁極部とを周方向に沿って順に備え、前記第2磁極部および前記第3磁極部が、N極およびS極のうち一方の磁極を有し、前記第1磁極部および前記第4磁極部が、他方の磁極を有し、前記ロータリーターゲットの軸線に直交する断面視において、前記第1磁極部を通過し、その磁化方向に沿う仮想線と、前記第4磁極部を通過し、その磁化方向に沿う仮想線とが、前記成膜ロールから遠ざかりながら収束するように交差する、(1)または(2)に記載のマグネトロンプラズマ成膜装置を含む。
【0016】
このマグネトロンプラズマ成膜装置によれば、角度θを確実に30度以下と狭くすることができる。そのため、より一層高い成膜速度で成膜することができる。
【0017】
本発明(4)は、前記マグネットユニットは、第1磁極部と、第2磁極部と、第3磁極部と、第4磁極部とを周方向に沿って順に備え、前記第1磁極部と、前記第2磁極部と、前記第3磁極部と、前記第4磁極部とのそれぞれは、固定部材に固定されており、前記ロータリーターゲットの軸線に直交する断面視において、前記固定部材に固定される固定辺と、前記固定辺と反対側に位置する対辺とを有する略矩形状をなし、前記対辺の長さLに対する、前記対辺および前記固定辺間の離間距離Dの比(D/L)が、1.5以上である、(1)~(3)のいずれか一項に記載のマグネトロンプラズマ成膜装置を含む。
【0018】
このマグネトロンプラズマ成膜装置によれば、2点における磁束密度の最大をより大きく、最小をより小さくすることができる。そのため、電子密度が高いプラズマを生成でき、成膜効率に優れる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のマグネトロンプラズマ成膜装置は、高い成膜速度が成膜することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態であるマグネトロンスパッタリング成膜装置の断面図である。
【
図2】
図2は、
図1のマグネトロンスパッタリング成膜装置に備えられるマグネトロンプラズマユニットの拡大断面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すマグネットユニットの断面図である。
【
図4】
図4は、実施例1および比較例1のロータリーターゲットの磁束密度の接線方向成分と、角度θとの関係を示すグラフである。
【
図5】
図5A~
図5Bは、第1磁極部および第4磁極部をN極にし、第2磁極部および第3磁極部をS極にした例であって、
図5Aが、断面図および
図5Bが、ロータリーターゲットの磁束密度の接線方向成分と、角度θとの関係を示すグラフである。
【
図6】
図6は、比較例1のマグネットユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のマグネトロンプラズマ成膜装置の一実施形態であるマグネトロンスパッタリング成膜装置を
図1~
図4を参照して説明する。
【0022】
なお、
図3では、第1磁極部31~第4磁極部34(後述)の磁化方向(矢印)を明瞭に示すために、マグネットユニット20(後述)は、ハッチング処理せず、描画している。
【0023】
図1に示すように、マグネトロンスパッタリング成膜装置1は、基材41を搬送しながら、膜42を基材41に対して形成(成膜)する、ロールトゥロール方式の成膜装置である。マグネトロンスパッタリング成膜装置1は、搬送部2と、成膜部3とを備える。
【0024】
搬送部2は、搬送ケーシング11と、送出ロール5と、巻取ロール6と、ガイドロール27と、真空ポンプ26とを備える。
【0025】
搬送ケーシング11は、搬送方向に沿って延びる略箱形状を有する。搬送ケーシング11は、送出ロール5、巻取ロール6およびガイドロール27を収容する。
【0026】
送出ロール5および巻取ロール6のそれぞれは、搬送ケーシング11内の搬送方向上流側端部および下流側端部のそれぞれに配置されている。
【0027】
ガイドロール27は、送出ロール5および巻取ロール6の間において、複数配置されている。複数のガイドロール27は、基材41を成膜ロール14に巻回させるように、配置されている。
【0028】
真空ポンプ26は、搬送ケーシング11に設けられている。
【0029】
成膜部3は、成膜ケーシング12、成膜ロール14および複数のマグネトロンプラズマユニット15とを備える。
【0030】
成膜ケーシング12は、搬送ケーシング11に連続しており、搬送ケーシング11とともに、真空チャンバーを構成する。成膜ケーシング12は、略箱形状を有する。成膜ケーシング12は、複数の隔壁25を有する。複数の隔壁25は、成膜ロール14に向かって延びる。なお、成膜ケーシング12には、図示しないスパッタガス供給装置が設けられる。成膜ケーシング12は、成膜ロール14および複数のマグネトロンプラズマユニット15を収容する。
【0031】
成膜ロール14は、その軸線が、基材41の搬送方向および厚み方向に直交する幅方向に沿う。
【0032】
複数のマグネトロンプラズマユニット15は、成膜ロール14の径方向外側に対向配置されている。複数のマグネトロンプラズマユニット15は、成膜ロール14の周方向に沿って互いに間隔を隔てて配置されている。
【0033】
周方向に隣接するマグネトロンプラズマユニット15は、隔壁25によって仕切られている。隔壁25によって仕切られる空間は、成膜室10を構成する。成膜室10は、成膜ケーシング12内(真空チャンバー)において、複数仕切られている。1つの成膜室10に、1つのマグネトロンプラズマユニット15が設けられている。複数のマグネトロンプラズマユニット15のそれぞれは、プラズマケーシング23と、第1ユニット24および第2ユニット28とを備える。
【0034】
図2に示すように、プラズマケーシング23は、成膜ロール14に向かって一側が開口された略箱形状を有する。プラズマケーシング23は、成膜ロール14の軸線に沿って延びる。プラズマケーシング23は、第1ユニット24および第2ユニット28を収容する。第1ユニット24および第2ユニット28は、成膜ロール14の周方向に沿って互いに間隔を隔てて隣接配置されている。第1ユニット24および第2ユニット28は、プラズマケーシング23の開口を通して、成膜ロール14に面している。
【0035】
第1ユニット24および第2ユニット28は、ロータリーターゲット16(後述)の回転方向以外は、同一の構成である。そのため、第1ユニット24を詳説し、第2ユニット28を簡単に説明する。
【0036】
図3に示すように、第1ユニット24は、ロータリーターゲット16と、マグネットユニット20とを備える。
【0037】
ロータリーターゲット16は、円筒形状を有しており、成膜ロール14の軸線と平行する軸線AL(断面視における中心)を有する。ロータリーターゲット16は、例えば、成膜ロール14の回転方向と逆向きに回転可能(周回移動可能)である。ロータリーターゲット16は、カソード源(図示しない)と電気的に接続されており、これによって、カソードとして作用できる。また、ロータリーターゲット16の外周面には、ターゲット材料が積層されており、つまり、ロータリーターゲット16は、膜42を形成するための材料を外周面に有する。材料としては、例えば、In、Sn、Zn、Ga、Sb、Nb、Ti、Si、Zr、Mg、Al、Au、Ag、Cu、Pd、Wからなる群より選択される少なくとも1種の金属を含む金属酸化物が挙げられる。具体的には、例えば、インジウムスズ複合酸化物(ITO)などのインジウム含有酸化物、例えば、アンチモンスズ複合酸化物(ATO)などのアンチモン含有酸化物などが挙げられる。
【0038】
マグネットユニット20は、ロータリーターゲット16の径方向内側に収容されている。マグネットユニット20は、固定部材19と、2つの第1磁石21と、2つの第2磁石22とを備える。
【0039】
固定部材19は、成膜ロール14の軸線方向に延びる幅狭板形状を有しており、ヨークと称される。固定部材19は、一方の主面(厚み方向一方面)17および他方の主面18(厚み方向他方面)を含む。一方の主面17および他方の主面18は、いずれも平坦面である。一方の主面17は、成膜ロール14に向かい合う。他方の主面18は、一方の主面17に平行する。固定部材19の材料としては、例えば、鉄などの金属などが挙げられる。
【0040】
2つの第1磁石21、および、2つの第2磁石22のそれぞれは、成膜ロール14の軸線方向に沿って延びる四角柱形状を有する。2つの第1磁石21および2つの第2磁石22は、固定部材19の一方の主面17に固定されている。2つの第1磁石21および2つの第2磁石22は、固定部材19の幅方向において、隣接配置している。具体的には、2つの第1磁石21および2つの第2磁石22は、幅方向において互いに接触している。
【0041】
2つの第1磁石21と、2つの第2磁石22とは、固定部材19の幅方向および厚み方向(ロータリーターゲット16の軸線に直交する方向に相当)に沿う断面視において、第1磁極部31と、第2磁極部32と、第3磁極部33と、第4磁極部34とを含む。
【0042】
第1磁極部31と、第2磁極部32と、第3磁極部33と、第4磁極部34とは、周方向一方向(このロータリーターゲット16の回転方向)に沿って順に配置されている。第1磁極部31と、第2磁極部32と、第3磁極部33と、第4磁極部34とは、固定部材19の幅方向一方側に向かって、互いが接触するように順に配置されている。
【0043】
第2磁極部32および第3磁極部33は、2つの第1磁石21から構成される。これらは、第2磁極部32および第3磁極部33は、例えば、N極を有する。第1磁極部31および第4磁極部34は、例えば、第2磁石22から構成される。第1磁極部31および第4磁極部34は、S極を有する。
【0044】
断面視において、第1磁極部31、第2磁極部32、第3磁極部33および第4磁極部34のそれぞれは、同一形状の略矩形状を有する。断面視において、第1磁極部31、第2磁極部32、第3磁極部33および第4磁極部34のそれぞれは、固定部材19の一方の主面17に固定される固定辺37と、固定辺37と反対側に位置する対辺38と、それらの両端縁を連結する2つの側辺39とを有する略矩形状を有する。
【0045】
第1磁極部31、第2磁極部32、第3磁極部33および第4磁極部34のそれぞれの固定辺37は、一方の主面17に配置されている。第1磁極部31、第2磁極部32、第3磁極部33および第4磁極部34のそれぞれの対辺38は、固定部材19の一方の主面17に平行する。第1磁極部31、第2磁極部32、第3磁極部33および第4磁極部34の対辺38は、幅方向に沿って連続しており、具体的には、面一である(1つの平坦面を形成する)。
【0046】
また、第1磁極部31、第2磁極部32、第3磁極部33および第4磁極部34のそれぞれは、厚み方向長さが幅方向長さより長いサイズを有する。つまり、対辺38の長さLに対する、対辺38および固定辺37間の離間距離Dの比(D/L)が、例えば、1超過、好ましくは、1.4以上、より好ましくは、1.5以上、さらに好ましくは、1.6以上、とりわけ好ましくは、1.7以上である。また、上記した比(D/L)は、また、例えば、6以下である。比(D/L)が上記した下限以上であれば、後述する点MAX_Pにおける磁束密度の最大をより大きく、また、後述する点MIN_Pにおける磁束密度の最小をより小さくすることができる。これによって、膜42をより一層高い成膜速度で成膜することができる。
【0047】
断面視において、第1磁極部31、第2磁極部32、第3磁極部33および第4磁極部34の磁化方向は、固定部材19の厚み方向(固定部材19の一方の主面17の法線方向に相当)(固定辺37および対辺38の対向方向にも相当)に傾斜し、また、固定部材19の幅方向にも傾斜する。
【0048】
例えば、第2磁極部32および第3磁極部33のそれぞれの磁化方向は、固定部材19の法線方向において、成膜ロール14から離れるにつれて、固定部材19の幅方向外側に傾斜する。第1磁極部31および第4磁極部34のそれぞれの磁化方向は、固定部材19の法線方向において、成膜ロール14の中心に近づくにつれて、固定部材19の幅方向外側に傾斜する。
【0049】
より具体的には、断面視において、第2磁極部32を通過し、その磁化方向に沿う仮想線IL2と、第3磁極部33を通過し、その磁化方向に沿う仮想線IL3とは、成膜ロール14の中心に近づきながら収束するように交差する。そのため、仮想線IL2および仮想線IL3が交差することで、ロータリーターゲット16の表面の磁束を集中させることができる。それにより、トンネル形状の2つの磁界が互いに近づき、後述する角度θを確実に30度以下と狭くすることができる。その結果、より一層高い成膜速度で成膜することができる。
【0050】
2つの仮想線IL2およびIL3の交差点CP1から第2磁極部32までの線分と、交差点CP1から第3磁極部33までの線分とのなす角度は、例えば、135度以下、好ましくは、90度以下、より好ましくは、80度以下であり、また、例えば、20度超過、好ましくは、30度以上、より好ましくは、40度以上である。
【0051】
他方、断面視において、第1磁極部31を通過し、その磁化方向に沿う仮想線IL1と、第4磁極部34を通過し、その磁化方向に沿う仮想線IL4とは、成膜ロール14から遠ざかりながら収束するように交差する。そのため、仮想線IL1および仮想線IL4が交差することで、ロータリーターゲット16の表面の磁束を集中させることができる。それにより、トンネル形状の2つの磁界が互いに近づき、後述する角度θを確実に30度以下と狭くすることができ、より一層高い成膜速度で成膜することができる。
【0052】
2つの仮想線IL1およびIL4の交差点CP2から第1磁極部31までの線分と、交差点CP2から第4磁極部34までの線分とのなす角度は、例えば、135度以下、好ましくは、90度以下、より好ましくは、80度以下であり、また、例えば、20度超過、好ましくは、30度以上、より好ましくは、40度以上である。
【0053】
第1磁石21および第2磁石22の材料として、例えば、ネオジム磁石などの永久磁石が挙げられる。
【0054】
図2に示すように、第2ユニット28は、成膜ロール14の回転方向と同じ向きに回転可能なロータリーターゲット16、および、上記したマグネットユニット20を備える。
【0055】
そして、この一実施形態では、下記で求められる角度θが、30度以下である。
【0056】
ロータリーターゲット16の外周面上において、ロータリーターゲットの円周方向の一方向に向かって、磁束密度の接線方向成分を測定する。磁束密度の最大の接線方向成分に相当する点MAX_Pおよびロータリーターゲット16の中心を結ぶ線分LS1と、磁束密度の最小の接線方向成分に相当する点MIN_Pおよび中心を結ぶ線分LS2とが成す角度θを、求める。角度θは、例えば、市販のソフトウェアを用いる、磁場のシミュレーションによって、求められる。
【0057】
ここで、上記したシミュレーションによって得られる磁束密度の接線方向成分を説明する。
【0058】
図3に示すように、第1ユニット24では、N極を有する第2磁極部32の対辺38から、S極を有する第1磁極部31の対辺38に向かうトンネル形状の第1磁界MF1(複数の点で描画)が生成されている。なお、この一実施形態では、第2磁極部32がN極であり、第1磁極部31がS極であることから、ロータリーターゲット16の周方向であって、第1磁極部31から第2磁極部32に向かう一方向に、磁束密度の接線方向成分を測定すれば、磁束密度の最小(つまり、マイナス側における磁界の最強値)が得られる(
図4のMIN_P参照)。
【0059】
また、N極を有する第3磁極部33の対辺38から、S極を有する第4磁極部34の対辺38に向かうトンネル形状の第2磁界MF2(複数の点で描画)が生成されている。この一実施形態では、第3磁極部33がN極であり、第4磁極部34がS極であることから、ロータリーターゲット16の周方向であって、第3磁極部33から第4磁極部34に向かう一方向に、磁束密度の接線方向成分を測定すれば、磁束密度の最大(つまり、プラス側における磁界の最強値)が得られる。(
図4のMAX_P参照)。
【0060】
従って、ロータリーターゲット16の周方向であって、第1磁極部31から第4磁極部34に向かう一方向に、磁束密度の接線方向成分を測定すれば、
図4に示すように、通常、最小と最大とが順に観察される。
【0061】
第2ユニット28についても、第1ユニット24と同様である。
【0062】
なお、磁束密度の、最大の接線方向成分に相当する点MAX_P、および、最小の接線方向成分に相当する点MIN_Pは、磁束密度の接線方向成分の絶対値において、2つの極大に相当する点と同義である。
【0063】
角度θは、上記した2つの線分LS1およびLS2により形成される角度のうち、成膜ロール14側の角度である。
【0064】
しかし、上記した角度θが30度を超える場合には、
図4の破線および
図6で示されるように、ロータリーターゲット16の径方向外側において、磁束密度の最大の接線方向成分に対応するプラズマと、磁束密度の最小の接線方向成分に対応するプラズマとの、周方向における距離が遠くなる。そのため、ロータリーターゲット16から放出される電子の密度が濃い領域が分散してしまう。そのため、高い成膜速度で成膜することには限界がある。
【0065】
対して、この一実施形態では、
図3に示すように、上記した角度θが30度以下と狭いので、ロータリーターゲット16の径方向外側において、磁束密度の最大の接線方向成分に対応するプラズマと、磁束密度の最小の接線方向成分に対応するプラズマとの、周方向における距離が近くなる。そのため、ロータリーターゲット16から放出される電子の密度が濃い領域を集約できる。そのため、高い成膜速度で成膜することができる。
【0066】
なお、上記した成膜速度は、実際に、マグネトロンスパッタリング成膜装置1を用いて、基材41に対して膜42を形成し、膜42の厚みと、基材41の搬送速度とを乗じた値を、ロータリーターゲット16のカソード電圧で割ることによって、求められる。成膜速度は、ダイナミックレートとも称呼される。成膜速度の単位は、例えば、[nm・m/秒/kW]である。また、成膜速度は、市販のソフトウェアを用いる、希薄流体のシミュレーションによって、求めることもできる。
【0067】
好ましくは、上記した角度θが、27度以下、より好ましくは、26度以下、さらに好ましくは、25度以下、とりわけ好ましくは、23度以下である。また、通常、10度以上である。角度θが上記した下限以上であれば、磁束密度が過度に低くなることを抑制し、プラズマを持続して発生させることができる。
【0068】
次に、このマグネトロンスパッタリング成膜装置1を用いて、基材41に膜42を形成する方法を説明する。
【0069】
まず、
図1に示すマグネトロンスパッタリング成膜装置1を準備する。
【0070】
続いて、長尺の基材41をマグネトロンスパッタリング成膜装置1にセットする。基材41としては、特に限定されず、例えば、高分子フィルム、ガラスフィルム(薄膜ガラス)などが挙げられる。高分子フィルムとしては、例えば、ポリエステル系フィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなど)、ポリカーボネート系フィルム、オレフィン系フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、シクロオレフィンフィルムなど)、アクリル系フィルム、ポリエーテルスルフォン系フィルム、ポリアリレート系フィルム、メラミン系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリイミド系フィルム、セルロース系フィルム、ポリスチレン系フィルムが挙げられる。
【0071】
基材41をマグネトロンスパッタリング成膜装置1にセットするには、
図1に示すように、基材41を送出ロール5に巻回し、続いて、基材41の長手方向一端部を、複数のガイドロール27でガイドしながら、成膜ロール14に巻回させて、巻取ロール6に巻き取らせる。
【0072】
続いて、真空ポンプ26を駆動して、搬送ケーシング11および成膜ケーシング12内を真空にする。これとともに、図示しないスパッタガス供給装置からスパッタガスを成膜ケーシング12内に供給する。スパッタガスとしては、例えば、アルゴンなどの不活性ガス、例えば、さらに酸素を含む反応性ガスなどが挙げられる。
【0073】
続いて、送出ロール5から巻取ロール6に向けて、基材41を連続して搬送しながら、ロータリーターゲット16にカソード電圧を印加する。これにより、ロータリーターゲット16から電子が放出される。
【0074】
すると、上記した電子は、第1ユニット24および第2ユニット28のそれぞれにおける第1磁界MF1および第2磁界MF2の両方において、長く保持される。
【0075】
すると、スパッタガスに由来する原子(具体的には、アルゴン原子)が、ロータリーターゲット16に効率よく衝突し、これによって、ロータリーターゲット16からその材料の粒子が、成膜ロール14の外周面上の基材41に付着する。これによって、スパッタリングによって、
図1に示すように、膜42が基材41に形成される。
【0076】
そして、このマグネトロンスパッタリング成膜装置1では、上記した角度θが30度以下と狭いので、成膜ロール14の外側において、磁束密度において最大の接線方向成分に対応するプラズマと、磁束密度の最小の接線方向成分に対応するプラズマとの、周方向における距離が近く、そのため、ロータリーターゲット16から放出される電子の密度が濃い領域を集約することができる。そのため、高い成膜速度で膜42を基材41に形成(成膜)することができる。
【0077】
また、このマグネトロンスパッタリング成膜装置1では、断面視において、第2磁極部32を通過し、その磁化方向に沿う仮想線IL2と、第3磁極部33を通過し、その磁化方向に沿う仮想線IL3とが、成膜ロールの中心に近づきながら収束するように交差するので、ロータリーターゲット16の表面の磁束を集中させることができる。それにより、トンネル形状の2つの磁界が互いに近づき、上記した角度θを確実に30度以下と狭くすることができる。そのため、より一層高い成膜速度で膜42を形成することができる。
【0078】
また、このマグネトロンスパッタリング成膜装置1では、断面視において、第1磁極部31を通過し、その磁化方向に沿う仮想線IL1と、第4磁極部34を通過し、その磁化方向に沿う仮想線IL4とが、成膜ロールロータリーターゲット16から遠ざかるように収束するように交差するので、ロータリーターゲット16の表面の磁束を集中させることができる。それにより、トンネル形状の2つの磁界が互いに近づき、角度θを確実に30度以下と狭くすることができる。そのため、より一層高い成膜速度で膜42を形成することができる。
【0079】
このマグネトロンスパッタリング成膜装置1において、第1磁極部31~第4磁極部34において、固定辺37の長さLに対する、固定辺37および対辺38間の離間距離Dの比(D/L)が、1.5以上であれば、磁束密度の最大の接線方向成分をより大きく、また、磁束密度の最小の接線方向成分をより小さくすることができ、そのため、より一層高い成膜速度で膜42を基材41に効率よく形成することができる。
【0080】
なお、本実施形態では、マグネトロンプラズマユニット15が、回転可能な円筒形状のロータリーターゲット16を備えるので、上記した角度θを30度以下と狭くしても、ロータリーターゲット16が回転可能であるので、ロータリーターゲット16において、周方向にわたって均一に薄くなる。そのため、均質なスパッタリングで、かつ、高い成膜速度で膜42を形成できる。
【0081】
また、一実施形態では、第1磁極部31、第2磁極部32、第3磁極部33および第4磁極部34のそれぞれの磁化方向を固定部材19の法線方向および幅方向に対して傾斜させて、磁束密度に関する角度θを30度以下にしているが、角度θを上記上限以下にする手法は、上記に限定されない。
【0082】
<変形例>
以下の各変形例において、上記した一実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、各変形例は、特記する以外、一実施形態態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、一実施形態およびその変形例を適宜組み合わせることができる。
【0083】
一実施形態では、本発明のマグネトロンプラズマ成膜装置の一例としてマグネトロンスパッタリング成膜装置1を例示したが、例えば、プラズマCVD成膜装置を例示することもできる。
【0084】
一実施形態では、第2磁極部32および第3磁極部33がN極を有し、第1磁極部31および第4磁極部34は、S極を有するが、その逆でもよい。
【0085】
つまり、
図5Aに示すように、第1磁極部31および第4磁極部34がN極であり、第2磁極部32および第3磁極部33がS極である。すると、磁束密度の接線方向成分をロータリーターゲット16の周方向において、第1磁極部31から第4磁極部34に向かって測定すれば、
図5Bに示すように、まず、第1磁界MF1において最大(MAX_P)が得られ、次いで、第2磁界MF2において最小(MIN_P)が得られ、そして、これらから角度θが求められる。この変形例によっても、一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【実施例】
【0086】
以下に実施例、製造例、比較例および比較製造例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例、製造例、比較例および比較製造例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0087】
実施例1
一実施形態に記載のマグネトロンスパッタリング成膜装置1を準備した。
【0088】
第1磁極部31~第4磁極部34は、いずれも、表1に記載の断面視サイズを有し、磁化方向は、
図3に示し、表1に記載の通りである。
【0089】
実施例2
第1磁極部31および第2磁極部32の磁極を入れ替え、また、第3磁極部33および第4磁極部34の磁極を入れ替えた以外は、実施例1と同様にして、マグネトロンスパッタリング成膜装置1を準備した。
【0090】
比較例1
第1磁極部31~第4磁極部34の断面視サイズを表1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様に、マグネトロンスパッタリング成膜装置1を準備した。
【0091】
第1磁極部31~第4磁極部34は、いずれも、表1に記載の断面視サイズを有し、磁化方向は、
図6に示し、表1に記載の通りである。
【0092】
実施例3~実施例7
第1磁極部31~第4磁極部34における磁化方向(IL1~IL4)および/または断面視サイズを表1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様に、マグネトロンスパッタリング成膜装置1を準備した。
【0093】
なお、上記した各実施例~比較例における第1磁極部31~第4磁極部34では、表1に記載の磁化方向となるように、予め磁化方向が調整されている。
【0094】
製造例1
実施例1のマグネトロンスパッタリング成膜装置1を用い、表2の記載に準拠して、基材41に対して膜42を形成した。
【0095】
比較製造例1
比較例1のマグネトロンスパッタリング成膜装置1を用い、表2の記載に準拠して、基材41に対して膜42を形成した。
【0096】
<評価>
実施例1、2および比較例1のそれぞれのマグネトロンスパッタリング成膜装置1と、製造例1および比較製造例1のそれぞれの成膜物性とについて、下記の項目を評価した。その結果を表1および表3に記載する。
【0097】
(1)角度θ
角度θを、以下のソフトウェアを用いる、有限要素法による磁場のシミュレーションにより求めた。また、磁束密度および角度θの測定における測定方向(周方向一方向)の関係を、
図4(実施例1および比較例1)および
図5B(実施例2)に示す。
【0098】
ソフトウェア名:JMAG(JSOL社製)
計算手法:有限要素法
(2)成膜速度A
成膜速度を、以下のソフトウェアを用いる、希薄流体のシミュレーションにより求めた。実施例1~実施例7の成膜速度は、比較例1の成膜速度を100としたきの比率として求めた。
【0099】
ソフトウェア名:DSMC-Neutrals(ウェーブフロント社製)
計算手法:Direct Simulation Monte Carlo(DSMC)法
(3)成膜速度B
製造例1および比較製造例1の成膜速度(ダイナミックレート)を実測した。成膜速度(ダイナミックレート)は、膜42の厚みと、基材41の搬送速度とを乗じた値を、ロータリーターゲット16のカソード電圧で割ることによって、求めた。比較製造例1の成膜速度に比べて、製造例1の成膜速度は、27%、高かった。
【0100】
なお、表1および表3から分かるように、実施例1および比較例1の成膜速度A(計算値)と、製造例1および比較製造例1の成膜速度B(実測値)との成膜速度(さらには、向上の程度)は、幾分ずれている。これは、以下の事由による。
【0101】
すなわち、成膜速度Aの算出に用いたシミュレーションでは、ロータリーターゲット16の軸線に直交する方向の断面(いわゆる、2次元断面)においてロータリーターゲット16から放出された粒子の挙動を近似して計算しており、つまり、軸線方向におけるロータリーターゲット16から放出された粒子の挙動が考慮されていない。一方、成膜速度Bの測定(実測)では、ロータリーターゲット16の軸線方向の作用が測定値に含まれている(加味されている)。
【0102】
(4)比抵抗
製造例1および比較製造例1のそれぞれの膜42を加熱によりアニールした。アニール後の膜42の表面抵抗を四探針法により測定した。比較製造例1の表面抵抗に比べて、製造例1の表面抵抗は、15%、低かった。つまり、電気伝導性に優れていた。
【0103】
【0104】
【0105】
【符号の説明】
【0106】
1 マグネトロンスパッタリング成膜装置
14 成膜ロール
15 マグネトロンプラズマユニット
16 ロータリーターゲット
19 固定部材
20 マグネットユニット
31 第1磁極部
32 第2磁極部
33 第3磁極部
34 第4磁極部
37 固定辺
38 対辺
L 対辺の長さ
D 離間距離
LS1 磁束密度の最大の接線方向成分に相当する点および中心を結ぶ線分
LS2 磁束密度の最小の接線方向成分に相当する点および中心を結ぶ線分
IL1 交差点から第1磁極部までの線分
IL2 交差点から第2磁極部までの線分
IL3 交差点から第3磁極部までの線分
IL4 交差点から第4磁極部までの線分